JP2004281059A - 真空バルブ - Google Patents

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Toshinori Kimura
俊則 木村
Shinji Sato
伸治 佐藤
Kenichi Koyama
健一 小山
Katsuhiko Horinouchi
克彦 堀之内
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Abstract

【課題】真空バルブ内の粒子物質に起因する絶縁破壊を防止し、特に、高電圧の真空遮断器の遮断性能・耐電圧特性を高め、かつ信頼性を高める。
【解決手段】内部を真空状態にした真空容器2と、該真空容器の端部を貫通する一対の電極棒20、21と、該電極棒にそれぞれ固定され接離可能に配置された一対の電極22、23と、該電極を囲んで上記真空容器内に配置されたアークシールド30を備えた真空バルブ1において、上記アークシールドを、円筒板からなる円筒板シールド31と該円筒板シールドに接続され円筒板シールドの内側に配置された網シールド32との二重構造にした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は主として高電圧の真空遮断器(例えば定格84kV)に関するもので、特にその遮断性能・耐電圧特性を高め、かつ信頼性を向上させることを目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の真空バルブ
高電圧下における電流遮断用に真空バルブが採用されている。真空バルブには遮断性能・耐電圧特性の向上のため何らかの工夫がなされている。真空バルブ内に設けられるアークシールドは、電流遮断時に電極間で発生する金属蒸気が絶縁容器内面に拡散・凝結することによって絶縁耐力が低下することを防止する。従来から真空遮断器の高電圧化が進んでおり、現在では定格84kVまでの真空遮断器が広く使われている。
【0003】
従来の真空バルブの電極構造
真空バルブの電極構造としては、平板電極、縦磁界電極、スパイラル電極が代表的である。そのなかで、特許文献1に示された、周辺が突出したスパイラル電極は簡単な構造で遮断性能が高いという特徴を持つ。
【0004】
真空バルブの設置時の向き
上記真空遮断器では真空バルブが鉛直方向を向くように設置されているが、場合によっては、配電盤内部のスペースを有効に利用するため真空バルブが水平方向を向くように設置されることがある。
【0005】
従来の真空バルブの問題点
真空バルブにおいて、遮断時の電極近傍を高速カメラで観測すると、真空アークの発生に伴って液滴が飛散している状況が観測される。これらの金属蒸気を含むいわゆる粒子状物質がアークシールドで跳ね返り、再び電極近くに戻ったりして電極近傍空間に存在し続けると再発弧の原因となる。実際、短絡遮断や進み小電流遮断等の遮断試験を行うと、電流ゼロ点から数msから数百ms後に絶縁破壊が生じることがある。
【0006】
従来のパーティクルトラップ
そこで、特許文献2に示されたものでは、アークシールドに略袋状のパーティクルトラップを形成し、粒子状物質を素早く捕捉し遮断性能を向上させることが考えられた。また、特許文献3では、アークシールドに溝を設けて凹凸状とすることにより表面積を増し、金属蒸気の吸着能力を増加させることを狙っている。
【0007】
従来の真空遮断器の開閉機構(バネ、電磁反発力による開閉機構)
真空遮断器の開閉機構は、バネ力を利用したものや、電磁反発力を利用したものが使われている。特許文献4に示されたものがその一例である。開極・閉極の両方を電磁操作で行い、さらに、開極・閉極の保持を非線形ばねで行うという特徴がある。電磁反発力による開閉機構は、バネ機構に比べて開極時間・閉極時間を短くすることができるという特徴がある。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−052576号公報
【0009】
【特許文献2】
特開昭61−58125号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平3−261020号公報
【0011】
【特許文献4】
特開2002−124163号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
定格電圧の高い真空バルブでは電極間に高電圧が印加される。例えば、定格84kVの場合、短絡遮断での再起電圧UcはUc=144kV、進み小電流では電極間に最大233kVが印加され、さらに、インパルス耐圧試験は400kVである。一方、真空バルブ内には、遮断時に発生する金属蒸気に含まれる液滴、これらの液滴が冷却固化したもの、機械加工によって発生した破片などの粒子状物質が存在する。これらの粒子状物質が電極表面やアークシールドに付着したり、電極近傍空間に存在すると局所的な高電界部を生じ絶縁破壊の原因となる。さらに、電極から電荷を注入されるなどにより電荷を持った粒子状物質が、高電界で加速されて対向電極に衝突しても、電極表面からの電子放出を促進し絶縁破壊の起点となる。このような絶縁破壊は直径数十μmという小さい粒子状物質であっても生じることが明らかになっている。
(例えば、Shinji Sato, Kenichi Koyama, Haruhisa Fujii, ’Behavior of
conductive micro−particles under electric field in vacuumand their
influence on breakdown characteristics’. Proceeding of XIXTH ISDEIV
(International Symposium on Discharges andElectrical Insulation in
Vacuum),p25,2000。 Fig.4及びFig.7参照)。
【0013】
粒子状物質は局所的な高電界を生じさせたり、電荷を持って静電気力により浮上し電極に衝突するため、絶縁破壊の起点となる。このため、真空バルブを水平方向に設置すると、アークシールド内面という高電界部に粒子状物質が溜まるため、これらの現象が生じやすくなり絶縁耐力が低下するという問題がある。
【0014】
遮断時に発生した金属蒸気を含む粒子状物質はアークシールドの外まで到達し、セラミック内面やベローズ、端板に付着する。特にセラミック内面に付着すると沿面耐圧が低下するので、遮断回数や遮断後の耐圧を低下させるという問題がある。
【0015】
タンク形真空遮断器では圧接バネや開閉機構がタンクの外に設置されている。このため、真空バルブの可動電極と開閉機構をつなぎ、かつ絶縁を確保するために、絶縁操作棒を含む操作ロッドを設けている。操作ロッドには開閉時に大きな力がかかるので、径を太くするなどして機械的強度を強化する必要がある。これは操作ロッドの重量を増大させるため、操作機構への負担が増してしまうという欠点がある。また、真空遮断器として長さが長くなり、大きなスペースを必要とするという欠点がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するため、この発明に係る真空バルブは、内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極と、該電極を囲んで上記真空容器内に配置されたアークシールドを備えた真空バルブにおいて、上記アークシールドを、円筒板からなる円筒板シールドと該円筒板シールドに接続され円筒板シールドの内側に配置された網シールドとの二重構造にしたことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る高速遮断器用の真空バルブ1の断面図、図2は図1のA部を拡大して示す図である。図1、図2において、セラミック等からなる絶縁筒10の両端に端板11、12を取り付けて、内部を高真空状態にした真空容器2が構成されており、真空容器2内には一方の端板11を貫通した固定電極棒20の先端に固着された固定側の電極22と、他方の端板12を貫通した可動電極棒21の先端に固着された可動側の電極23とが対向配置されている。可動電極棒21と端板12との間にはベローズ3が設けられている。ベローズ3は、可動電極棒21に接続された操作器(図示せず)を駆動して、可動電極棒21を軸方向に移動させる。そしてこの可動電極棒21の移動により、固定側の電極22と可動側の電極23が電気的に接離する。電極22、23間に点弧されたアークから拡散する金属蒸気が真空容器2の内壁に付着することを防止するために、アークシールド30がアークシールド支え33により絶縁筒10の内壁に固着されている。
【0018】
アークシールド30は円筒板シールド31と網シールド32とで構成される。円筒板シールド31は、円筒状をなし、円筒の中央部に径の大きい径大部31aが形成されている。網シールド32は、図2に示すように、金属のシールド線32aを網に編組した円筒状をしており、円筒板シールド31の径大部31aの内側に配置され、両端が径大部31aの終端、すなわち図1のa、b部においてロウ付けにより固着されている。従って、アークシールド30は、両端の僅かな部分を除き円筒板シールド31と網シールド32との二重構造になっており、円筒板シールド31と網シールド32とは同電位である。
【0019】
図2は図1のA部を拡大して示すものである。網シールド32のシールド線32aは網表面の電界を緩和するために断面が円または楕円状のものが用いられる。シールド線32aの曲率半径をr、シールド線32a間の間隔をd1、網シールド32と円筒板シールド31との間隔をL1とする。
【0020】
本アークシールド30の材料はステンレススチール、鋼、インバール、Ni、Crメッキ銅といった耐電圧の高い材料が適している。このうち、ステンレススチールはアークシールド材として広く用いられており、信頼性が高く加工しやすいというメリットがある。遮断容量の大きい真空バルブの場合は、真空遮断器の接点材料として用いられているCuCr系材料、WCu系材料、CuBi系材料、CuMoNb系材料等が適している。これらは耐圧が高くさらに遮断性能が高いため、電極間に生じたアークがアークシールドまで延びてきた場合でも遮断を助ける働きがあるという効果がある。AgWC系材料、CuTe系材料、CuCrTe系材料、CuTeSeFe系材料、CoAgTe系材料、CoAgSe系材料等の低サージ接点材料も遮断性能が高いので有効である。ただし、耐圧の点で上記CuCr等に劣る。電極材料としてよく使われるW、C、Cu,CuMoでもよい。Al、Ti,Ta、Mo、モネル(61Ni−30Cu)、インコネル(72Ni−15Cr−6Fe)、コバール(54Fe−29Ni−17Co)、ベリリウム銅といった真空中で用いられている材料を用いてもよい。
【0021】
網状シールドの形状
遮断試験の後に真空バルブ中に生成した金属粒子を分析したところ、さまざまの大きさの粒子が存在したが、特に20〜100μmの範囲のものが多かった。このような小さい粒子であっても絶縁耐力を低下させることが明らかになっている。従って、粒子を効果的に捕捉するために、大きさのばらつきも考慮してシールド線32aの間隔、つまり網の隙間dを1mm以上とするのがよい。さらに、網シールド32と円筒板シールド31間の距離L1を網の隙間dと同程度にすると、捕捉した粒子に高電界が印加しないため、局所的な高電界部を生じず絶縁破壊の原因となることがない。また、粒子が高電界の作用で浮き上がり、電極近傍に移動し、さらには電極に衝突し絶縁破壊を起こすことがなくなる。また、シールド線32aの断面の曲率半径rを0.5mm以上とすると網シールド32表面の電界が緩和されるため耐電圧が高くなる。例えば、rを0.5mm、dを5mm、Lを3mmとすれば、粒子の捕獲効果が高く、対電圧も高く、網状シールドが少々変形しても粒子に高電界が印加しないので信頼性の高いシールドとすることができる。
【0022】
電極構造
真空バルブの電極構造としては、主に縦磁界電極やスパイラル電極や平板電極がある。本アークシールドはいずれに対しても有効であるが、特にスパイラル電極の場合に有効である。スパイラル電極の場合、アークを横方向の磁界によって回転させるため、アークシールドに飛来する金属蒸気や粒子が多い。これらを効果的に捕捉する本アークシールドは、遮断・絶縁耐力の信頼性を高めるために有効である。
【0023】
いわゆるスパイラル電極(例えば特開2001―052576号公報に示された周辺が突出しているスパイラル電極参照)は遮断性能が高いという特徴がある。このスパイラル電極を適用した真空バルブに本アークシールドを採用すると、粒子状物質が効果的に除去されるので、遮断性能と耐電圧性能の両方を高めることができる。このため、定格電圧が高く信頼性も高い真空遮断器を実現することができる。電極22、23と網シールド32の距離、網シールド32と円筒板シールド31の距離を最適化することにより真空バルブをコンパクト化することが可能である。
【0024】
実施の形態の効果
本実施の形態のようにアークシールド30を二重構造にすることにより、遮断に伴って発生した粒子状物質4は網シールド32をすり抜けて円筒板シールド31表面に付着する。粒子状物質4としては、遮断時に発生する金属蒸気に含まれる液滴、これらの液滴が冷却固化したもの、機械加工によって発生した破片などがある。網シールド32と円筒板シールド31が同電位となっているため、粒子状物質4には電界が加わらず、粒子を原因とする絶縁破壊が生じなくなる。また、粒子状物質4が高電界となり部分放電を発生することもなくなる。このため、耐電圧性能、遮断性能を向上させるという効果がある。
【0025】
従来のパーティクルトラップと比べると、粒子状物質を捕獲する領域の面積が大きく効率が高いというメリットがある。網シールド32にも粒子状物質4が付着する可能性があるが、従来のアークシールドに比べて電極に対向する面(高電界の印加する面)の表面積が大幅に小さいので付着粒子の数が減り、絶縁破壊を起こす確率が小さくなる。他に、アークシールドのトータルの表面積が増えるため金属蒸気を捕集する効果も高まる。真空バルブでは、短絡遮断や進み小電流遮断等の遮断時に、電流ゼロ点から数msから数百ms後に絶縁破壊が生じることがある。この原因として、電極で発生した金属蒸気を含む粒子状物質がアークシールドで跳ね返り再び電極近くに戻ることが考えられる。本アークシールドは粒子状物質を効果的に捕捉するため、跳ね返りが少なく、このような再点弧が生じなくなる。
【0026】
オフライン時の開閉操作のように、電流遮断をせずに開閉する場合にも、振動によって電極表面から離れた粒子状物質が剥れ重力によって落下しアークシールド30上に落ちてくる可能性がある。本アークシールド30はこのような粒子状物質も捕捉するため、オンライン状態に復帰させたときに、遮断性能・耐電圧性能が高まるという効果がある。
【0027】
粒子状物質がアークシールド30から外に飛び出し絶縁筒10のセラミック内面に付着すると沿面耐圧を低下させる。さらに、絶縁筒10と端板11、12の接合部、図1のc部は絶縁物−金属−真空が隣り合い(トリプルジャンクション)、電界が高くなる性質があるため、粒子状物質が飛来したり付着したりすると絶縁破壊や部分放電の発生を促進する。本アークシールド30は粒子や金属蒸気を効果的に捕獲するので、アークシールド外部の絶縁筒10のセラミック沿面やセラミックと端板11、12の接合部にまで到達する量が減少し、絶縁耐圧を高める。このため、遮断可能回数も増える。
【0028】
コンディショニング
本アークシールドの効果を高くするため、製造工程においてコンディショニングを行う。これは、固定電極22−可動電極23間、電極22、23−アークシールド30間に高電圧を印加し放電を起こすことによって、機械加工等で生じた表面の微小な突起や粒子を除去する工程である。これにより耐電圧が高くなるという効果がある。高電圧はインパルス電圧、交流電圧、直流電圧のいずれでもよく、またこれらを組み合わせたものでもよい。電圧の値は、真空バルブに対する電圧責務の最大値以上とする。または、シールドに印加する電界が同等以上となるようにする。
【0029】
本アークシールド30の材料表面をあらかじめ化学研磨や電界研磨などによって鏡面加工仕上げしておくと、コンディショニング効果がさらに高くなる。表面膜が除去され、さらに表面が平滑化されるため、粒子の発生が抑えられ、耐電圧も向上する。
【0030】
真空容器2外部からアークシールド30に直接電圧を印加できるように、シールドの一部もしくはシールド支え33の一部が絶縁筒10から外部に露出した構造とするとコンディショニングが容易になる。コンディショニング用の端子を外部に設けてもよい。
【0031】
網状シールドの熱容量対策
網シールド32は従来のアークシールドと比べて熱容量が小さいため、続けて何回も遮断を行うと局所的に高温となり変形・破損する可能性がある。そこで、シールド線32aの断面形状をやや扁平とし、図2で垂直方向(奥行き方向(電極棒20、21に対して径方向))に長い形状としたり、図2で水平方向に長い形状として熱容量の増大を図ってもよい。熱を円筒板シールド31に逃がすために、網シールド32と円筒板シールド31をロウ付け以外の位置において金属で接続してもよい。
【0032】
実施の形態2.
本実施の形態2では網シールドがアークシールドの一部に設けられている構成を提案している。タンク形真空遮断器のように、真空バルブを水平方向に設置する場合、アークシールド30の下側、一例として、電極棒20、21を含む平面から下半分を円筒板シールド31と網シールド32との二重構造とする。水平方向に設置された真空バルブでは粒子状物質は重力により下方に落ちるが、上記構成により、下の方に落ちて行く粒子状物質が網シールド32に捕捉されるため絶縁耐力や遮断性能が低下することがない。
【0033】
また、電極近傍、一例として、固定電極22と電極開離時の可動電極23との間だけを円筒状に円筒板シールド31と網シールド32との二重構造としてもよい。特に、電極として前述の周辺が突出したスパイラル電極を使用している場合、遮断後のアークシールド表面への金属蒸気の付着は、電極を取り囲む円筒状の領域が殆どである。従って、粒子状物質もこの領域への飛散が殆どであるので、この部分のアークシールドを二重構造とすれば発生粒子の殆どを捕獲することができる。
【0034】
実施の形態3.
電極と対向する領域は特に高電圧が印加され、またアークが触れる可能性が考えられるので、アークシールド30の上記部分だけを高耐圧・高遮断性能材料で形成してもよい。
【0035】
実施の形態4.
図3は別の形態のアークシールド30を有する真空バルブを示す。真空バルブの絶縁筒は10a、10bに分割され、その間に円筒板シールド31が配置され、円筒板シールド31の両端は絶縁筒10a、10bのセラミックに固着され、絶縁筒10a、10bと端板11、12と円筒板シールド31とで真空容器2を形成する。円筒板シールド31の胴部31bはその両端より径大になされている。この胴部31bの内側に円筒形の多孔板シールド34が胴部31bとの間に適当な間隔をおいて配置され、多孔板シールド34の両端は円筒板シールド31にロウ付けされて固定される。多孔板シールド34は、図4(a)、(b)に示すように、円筒状の金属板に多数の円形穴34a、または四角形穴34bを開けて円筒形にしたものである。穴の直径は1mm以上とする。図5は図4のB部断面拡大図であるが、穴の端部35を丸め加工すると耐圧の点で望ましい。この丸め加工は、電極22、23と対向する面だけに設けてもよい。丸め加工の曲率半径rを0.5mm以上とすると電界が緩和され耐電圧が高くなるため、定格電圧の高い真空バルブに適しており、また、網シールドよりも機械的強度が高い。
【0036】
実施の形態5.
本実施の形態5は、図6とそのC部の断面拡大図である図7に示すように、真空バルブ1のアークシールドをヒダ付きにしたものである。アークシールド30としてヒダ付き円筒板シールド36を採用する。ヒダ付き円筒板シールド36は、アークシールド支え33で絶縁筒10の内部に取り付けられた円筒板からなり、電極22、23と対向する内面には電極棒20、21の長手方向に沿うヒダ36aが一面に形成されている。図7はヒダ36aの断面を示しており、ヒダの頂部は粒子物質の飛来方向に傾けて形成されている。このヒダ付きのアークシールド36は、電極としてスパイラル電極を採用した場合に適用して特に効果が大きい。スパイラル電極はアークを磁気駆動するため粒子状物質が斜めに飛来する。そこで、図7のように斜めに傾くヒダ36aを設けて粒子物質を捕捉する。
【0037】
ヒダ36aの形成は円筒板の内面にヒダ状の溝を形成してもよいし、円筒板をヒダ状に曲げ加工してもよい。ヒダの寸法は、溝幅d2を1mm程度以上、深さL2を1mm程度以上とし、ヒダの頂部の曲率半径rを0.5mm程度以上とする。
【0038】
実施の形態の効果
本実施の形態の真空バルブのヒダ付き円筒板シールド36は、遮断時に発生する金属蒸気に含まれる液滴、これらの液滴が冷却固化したもの、機械加工によって発生した破片などの粒子状物質を効果的に捕捉する。ヒダ36aの凹部に捕捉された粒子には高電界が加わらないため、粒子を原因とする絶縁破壊が生じる確率が大幅に低下する。このため、耐電圧性能、遮断性能を向上させるという効果がある。アークシールド30をヒダ付き円筒板シールド36とすることにより、粒子が平らなシールド上に付着している場合よりも曲率半径が大きくなるため電界が緩和され、絶縁破壊が生じなくなる効果もある。ヒダ付き円筒板シールド36は実施の形態1の網シールド32に比べて熱容量が大きい。このため、繰り返して遮断を行っても、熱的に破損する可能性が低いというメリットがある。ヒダ36aは傾斜して設けられているため、飛来粒子状物質の捕捉に効果的である。
【0039】
実施の形態6.
実施の形態6は真空バルブの電極にシールドを設けたものである。本実施の形態は電極構造として周辺部が突出したスパイラル電極に対して網シールドを設けている。図8はスパイラル電極(以下固定電極の符号を用いて説明する)を示すもので、電極22の中心から周縁部にわたって表面から裏面まで到る概略渦巻き形状の4本の溝22aが切られている。電極22は、その周縁部に位置して、溝22aにて4個に分画された厚さが厚い4個の接触用の突出部22bと、その中心部に位置して、溝22aにて4個に分画された厚さの薄い風車部22cとから構成されている。
【0040】
図9、図10は上記スパイラル電極22に網シールド37を設けたものを示している。網シールド37はスパイラル電極22の厚さの薄い風車部22c上、つまりアークが走行する周辺突出部22bの内側の凹部に、風車部22cとの間隔L3を置いて配置され、周囲が周辺突出部22bの内周にロウ付けにより固定されている。スパイラル電極22と網シールド37は電気的にも接続され同電位となる。網シールド37は、アークシールド材として多く用いられているSUSや、接点材料として用いられるCuCr系材料、W等で形成する。
【0041】
網シールド37のシールド線隙間の幅は1mm以上とする。網表面の電界を緩和するため、シールド線の断面を円または楕円状とする。網シールドと電極の距離L3は1mm程度とする。網シールドのかわりに図4のような円形穴、四角形穴を開けた多孔板シールドを用いてもよい。
【0042】
アークが走行する周辺突出部22bの内側の凹部に網シールド37を設置した本スパイラル電極22には、CuCr系材料等の高遮断性能材料が用いられる。網シールド37は、アークシールド材として多く用いられているSUSや、接点材料として用いられるCuCr系材料、W等で形成し、端部をロウ付けによって固定する。スパイラル電極22と網シールド37は電気的にも接続され同電位となる。
【0043】
スパイラル電極22のある一つの羽根の上にアークがある場合、隣の羽根に分流した電流が網シールド37を伝わって流れ込むと、アークを回転させる磁気駆動力が低下し、遮断性能の低下をもたらす。そこで、シールド線の断面積が小さくなるようにして抵抗を調整すると、電流の流れ込みが抑制され磁気駆動力が低下しない。電極中心付近で網シールド37を固定し、風車部22cに網シールド37が接触しないようにすれば、風車部22cを流れる電流経路とは関係がなくなるので、遮断性能への影響がなくなる。
【0044】
実施の形態の効果
実施の形態1、2と同様に粒子状物質を捕捉し電極表面の電界を緩和する。このため、粒子状物質を原因とする絶縁破壊が生じにくくなり、遮断性能、耐電圧性能が高くなる。
【0045】
本実施の形態の電極の効果を高めるには、コンディショニングを行い、電極22、網シールド37表面の微小な突起や粒子を除去することが重要である。電圧を印加するコンディショニングだけでなく、3〜30kArms程度の電流を遮断する操作を行う電流コンディショニングを行うと効果が大きい。これは、アークが回転し電極表面を溶かすことによって生じた金属蒸気がコーティングすることにより効果的に微小な突起や粒子を除去するからである。この時、電極周辺の突出部表面もコンディショニングされ耐電圧が向上する。
【0046】
なお、真空容器の外部からの磁界の作用などによって、上記スパイラル電極22の突出部22bを回転するアークに電極中心方向の力が働き、アークが外周部から内側に落ち込む可能性が考えられる。そこで、網シールド37を遮断性能の高い接点材料で形成しておけば、この網シールド37が遮断性能を低下させる要因とならない。網シールド37の内、電極の外周部に近い位置だけを接点材料で形成してもよい。
【0047】
実施の形態7.
図11、図12はスパイラル電極22の厚さの薄い風車部22c上、つまりアークが走行する接触用の周辺突出部22bの内側の凹部にヒダ付き板シールド38を設けている。ヒダ付き板シールド38は電極22と接して配置され、周囲が周辺突出部22bの凹部内周にロウ付けにより固定されている。ヒダ付き板シールド38とスパイラル電極22とは電気的にも接続され同電位となる。ヒダ付き板シールド38は、アークシールド材として多く用いられているSUSや、接点材料として用いられるCuCr系材料、W等で形成する。その他の構成は実施の形態6と同様である。
【0048】
実施の形態の効果
実施の形態1、2と同様に粒子状物質を捕捉し電極表面の電界を緩和する。このため、粒子状物質を原因とする絶縁破壊が生じにくくなり、遮断性能、耐電圧性能が高くなる。
【0049】
実施の形態8.
図13のように、周辺部が突出したスパイラル電極の中央部を凹ませても、粒子による絶縁破壊を防止することができる。通常、スパイラル電極22の中央は電極棒20を穴22dに嵌入するためにへこみ部22hがある(穴の途中まで電極棒を挿入したためできる)が、このへこみ部22hの端部は面取り加工をしても角となっているので他の部位よりも電界が高い。さらに、突出部22bの表面から発生した粒子がへこみ部22hに溜まりやすくなっている。そこで本実施の形態では、電極棒20が挿入されている穴22dを取り囲む部位を風車部22cより一段と低い凹部22eを設けている。
【0050】
電極表面の各部の電界は、印加電圧を対向電極までのギャップの長さで割った値で近似できる。電極22の中央部に凹部22eを設ければ対向電極までのギャップの長さがながくなるので電界が緩和される。このため、この部分に粒子状物質が付着しても耐圧に与える影響を少なくすることができる。
【0051】
電極周辺部の高さh自体を大きくすると、スパイラルの羽根が電極周辺部に作る磁界が弱くなる。しかしこれは、アークに作用する磁気駆動力を低下させるため、遮断性能が低下してしまう。本実施の形態のように電極中央部だけを凹ませることは、遮断性能に対する影響が小さい。
【0052】
実施の形態9.
図14〜図18は、外周の突出部を2段にしたスパイラル電極の構造を示す。図14はこの電極の分解斜視図、図15は羽根1枚分を抽出した斜視図、図16は図15を側面から見た図、図17は図15の上面図、図18は外周の突出部が一段の場合を示す上面図である。
【0053】
このスパイラル電極は、溝22aで3区画に分画された風車部22cと、この風車部22c上に接合された第1の突出部22b1と、さらにこの第1の突出部22b1上に接合された第2の突出部22b2とで構成されている。第1の突出部22b1は溝22a2により3個に分割されている。第1の突出部22b1の分割されたセグメントのそれぞれは、肉薄部221と肉厚部222とを備えている。第2の突出部22b2は溝22a1で3個に分割されており、分割されたセグメントのそれぞれは、上記肉厚部222上に接合されている。なお、図14において、斜線を施した部分が上の部材との接合部である。第1の突出部22b1の肉薄部221と第2の突出部22b2との間には空隙ができる。溝22a2は風車部22c上に位置するように配置され、また、溝22a1は上記溝22a2とはずれた位置に設けられる。従って、第1の突出部22b1と第2の突出部22b2とは直列接続の電路を形成する。
【0054】
以上の構成のスパイラル電極では、スパイラル状の風車部22cを流れる電流だけでなく、1段目の突出部22b1を流れる電流が作る磁界もアークの駆動に寄与するため、風車部22cから突出部22b2の上面までの突出高さhを高くしても、強い磁気駆動力が得られ遮断性能を向上させることができる。このため、電極中央部(周辺突出部の内側部分)の風車部22c表面の電界を小さくすることができ、粒子状物質による絶縁破壊を防止することができる。
【0055】
図18に示す、外周の突出部が1段の場合、アークに作用する磁気駆動力Fは風車部22cを流れる電流I1と突出部22b1を流れる電流I2の発生する磁界によって生じる。アークが図示した位置にある場合、突出部22b1を流れる電流I2が短く、I2が発生する磁気駆動力は小さいため、アークに作用する全磁気駆動力Fは主に風車部22cを流れる電流I1によって生じる。突出高さhを高くすると、電流I1とアークとの鉛直方向の距離hが大きくなるため、磁気駆動力Fが減少してしまう。
【0056】
図17のように突出部を2段にすると、突出高さhを高くしたときに、風車部22cを流れる電流I1とアークとの鉛直方向の距離h、水平方向の距離は大きくなるが、1段目の突出部を流れる電流I2がアークに対して大きな磁気駆動力を及ぼすため、全磁気駆動力Fは減少しない。
【0057】
アークに作用する磁気駆動力Fの向きと、アークの進行方向のなす角θが小さくなるため、アーク回転にとって有利である。この角θが小さくなると、アークから吹き出した金属蒸気や粒子がアークシールドで跳ね返って再びスパイラル電極に戻ってくる量が減少するため、再点弧が起こりにくくなる。
【0058】
図18の外周の突出部が1段の場合、アークが図示した位置にあるときのアークに作用する磁気駆動力Fは、アークの進行方向vに対してφ=30°程度の角度を持つ。これは、電流I1の電極中心から外周部に向かって流れるため、回転方向成分だけでなく外向き成分も持つためである。図17のように突出部を2段とすると、電流I2がアークに対して大きな磁気駆動力を及ぼすようになるが、電流I2は回転方向成分だけを持つため、アークに作用する磁気駆動力Fとアークの進行方向vとの角θが小さくなる。このため、突出部を2段にすると、磁気駆動力Fの回転方向成分が大きくなるため、アークの回転がよりスムーズになる。
【0059】
粒子状物質の吹出しの方向も図17、図18に示すように変わってくる。仮に粒子が完全弾性衝突すると考えると、図18のようにθが大きいと、アークシールドで跳ね返って再びスパイラル電極に戻ってくる。しかし、図17のようにθが小さいと、突出部をかすめるように跳ね返ってくる。実際の粒子状物質の場合も、θが小さいほうがアークシールドでの跳ね返りは減少すると考えられる。従って、突出部を2段にすることにより、アークシールドでの跳ね返った粒子状物質が電極に戻ってくる量が減少するため、再点弧すなわち遮断後数msから数百msごに絶縁破壊が生じることが防止される。
【0060】
さらに、本電極ではスパイラル状の羽根の間隔を大きくでき、風車部22cの表面積が小さい。このため、付着する粒子数が少ないという効果もある。
【0061】
1段目の突出部22b1の肉薄部221の厚みを8mm程度以下、2段目の突出部22b2の厚みを8mm程度以下、風車部22c部分の厚みを10mm程度以下とするとよい。これらの厚みが小さいほどアークに作用する磁気駆動力が大きくなる。
【0062】
2段目の突出部22b2は1段目の突出部22b1とロウ付けによらない一体物である方が望ましい。ロウ付け部は通電時の抵抗やアークによる加熱で機械的強度が弱くなる可能性がある。ロウ材は接点材料に比べて耐圧が低いという欠点がある。1枚のCuCr板から削りだすなどの製造方法が考えられる。
【0063】
図14では羽根を3枚としたが、アークの根元に作用する磁界が0.01テスラ以上となれば羽根の枚数は何枚でもよい。その他の形状パラメータ、例えば一段目突出部の周方向の長さ、二段目突出部の厚さなども、同様に磁界が0.01ステラ以上となるように調節する。詳述すれば以下のようになる。アークに対して駆動力として作用する磁束密度のうち、一方の電極の風車部を介してアークに流れ込む電流によって発生し、アークの脚部の自電極の接触面から0.5mmの範囲に対してアーク駆動力として作用する磁束密度の前記接触面に平行な成分が、前記接触面のどの位置においても電流1kAに対して0.01テスラ以上となるようにしてある。
【0064】
風車部の断面は角の曲率半径Rを0.5mm以上とすると、電界緩和効果により耐電圧が向上する。なお、図示していないが、機械的強度を補強するために、風車部22cの後ろにSUS等の補強用の平板を設ける。
【0065】
実施の形態10.
図19〜図21は周辺が突出したスパイラル電極の風車部の羽根の枚数を減らす等により羽根と羽根の間の溝幅を大きくしたスパイラル電極を示している。図19は風車部と突出部のみを示し、図20は補強板を示し、図21は風車部と突出部に補強板等を組み合わせた電極を示す。スパイラル電極22は、溝22aで3区画に分画して例えば3枚の羽根を持つ風車部22cを設け、溝22aの内、各羽根と羽根との間に形成される溝幅を突出部22bを分割する出口部22a3の幅よりも大きくしている。出口部22a3の幅はアークの移動を妨げない幅とする。羽根断面の角は曲率0.5mm以上の丸め加工を施すと、電界緩和効果により耐電圧が向上する。
【0066】
電極22の背面には補強板40を設ける。この補強板40に、羽根の間の溝22aと同じ形の溝(切り抜き部)40aを設ける。さらに補強板40の後ろに円周状の突起51を介してアークストップ板50を設ける。これはアークプラズマが補強板40の溝40aから吹き出し、電極棒20まで到達しないようにするためのものである。電極棒20は通常銅製で、アークがつくと遮断不能に陥る。アークストップ板50はスパイラル電極22の風車部の溝22aを通過してきた粒子状物質を捕捉する作用がある。さらに、アークストップ板50の端に円周状の突起51を設けたため粒子状物質がアークシールドに落下しにくい。
【0067】
実施の形態の効果
スパイラル風車部22cの表面積が減り付着する粒子数が減少する。さらに、スパイラル電極22の風車部22cの溝22aを通り抜けた粒子はアークストップ板50に捕捉されるため、アークシールドに付着する粒子状物質も減少し耐電圧の向上が図られる。また、実施の形態9と同様に、アークの根元に作用する磁界を0.01テスラ以上とすると高い遮断性能が得られる。図示していないが、スパイラル風車部の断面を半円状にすると、表面の電界が緩和され、さらにアークストップ板50の方まで飛来していく粒子状物質が増えるため、いっそう効果が高い。突出部22bの内径付近22gは粒子状物質が溜まりやすい。そこで、その部分の角の曲率半径rを0.5mm以上に大きくとって電界緩和を図れば耐電圧が向上する。さらに、突出部の内径の側面が斜めに広がるようにすると粒子状物質が溜まりにくくなるという効果がある。
【0068】
実施の形態11.
図22は別の形のアークシールドを有する真空バルブを示しており、アークシールド30は、一方の端部の直径が他方より大きい断面円錐台形の円筒板シールド39とし、さらに径大部の端にパーティクルトラップ溝39aを設ける。真空バルブを横置きとして使用する場合、円筒板シールド39に付着する粒子状物質は円筒板シールド39の傾斜に沿って下に集まり、トラップ溝39aに捕捉され、こうして粒子状物質が電極22、23付近のアークシールド内部に溜まるのを防止する。
【0069】
実施の形態12.
図23はタンク形真空遮断器に電磁反発力による開閉機構を適用し、さらに、開閉機構部をタンク内に収納した構造を示したものである。真空バルブ1のアークシールド30を例えば実施の形態1に示した網シールドと円筒板シールドの2重構造とした。従来の真空バルブと違って、可動電極棒21を可動側端板12に直接固定し、ベローズ60を絶縁筒10と端板12の間に固着する。端板12の外周にリング状の反発板61を固定する。
【0070】
タンク70内に真空バルブ1を固定するため、固定側端板11を、ブッシングの中心導体71に強固に固定された固定冶具72にネジ止め(図示せず)する。可動側は絶縁ロッド73を介して操作ロッド74を、ロッド支持板75の中心穴に通し、サラバネ76と接続する。電流の入出力のため、固定側はブッシングの中心導体71を固定冶具72と接続し、可動側は導体77と可動電極棒21をシャント78を介して接続する。反発板61を電磁反発力によって駆動するため、コイル80、81を反発板61をはさんで対向させ、コイル支持板82、83によって固定する。反発板61にはテフロン(登録商標)等の絶縁カバー62が設けられている。コイル80、81の入出力線は別に設置した電源(図示せず)に接続されている。タンク70内は絶縁のためにSF6ガスを封入する。
【0071】
動作
開極は、別に設置した電源からのパルス電流を開極用コイル80に流すと、その電磁力により反発板61に紙面左向きの反発力が生じ、可動側端板12、可動電極棒21、可動電極23、および絶縁ロッド73、操作ロッド74が左方向に高速で駆動され、ベローズ60が伸びて開極する。サラバネ76が開極状態を保持する。閉極は、閉極用コイル81にパルス電流を流すことにより紙面右向きの反発力を生じさせて行う。接圧力はサラバネ76が発生する。
【0072】
反発板61とコイル80、81との距離を短くした方が、所定の反発力を発生させるための電流を小さくすることができるので有利である。しかし、通電時や遮断時には反発板61に高電圧が印加されるので、SF6ガスの絶縁耐力を補うためにコイル80、81の周囲をエポキシ樹脂などで絶縁する。必要に応じて、反発板61をテフロン(登録商標)などの絶縁カバー62で覆う。ただし、反発板61は軽い方が効率がよい。
【0073】
実施の形態の効果
反発板61を含む電磁装置及びサラバネ76等の開閉機構部をタンク70内に収納したため、操作ロッド74が短くなり重量が減少するため機構部への負担が低減する。また、遮断器本体がコンパクト化する。さらに、本実施の形態では真空バルブ1のベローズ60の位置を変えることにより、反発板61を真空バルブの中央に近づけて配置することができ、その結果、コイル80、81も電極22、23の近くに設置可能である。このような構造とすると、開閉動作をする時にコイル80、81に流されるパルス電流により、アークシールド30を含む真空バルブ1内に、数テスラに及ぶ強磁場Bが発生する。磁場が電極棒20、21と平行で、電場Eが電極棒20、21から真空容器2外周へ放射状に生じるので、荷電粒子はE×Bの方向、すなわち電極棒20、21を軸として周を回転する方向にドリフトする。このため、アークシールド30に付着していた粒子状物質の電極20,21への衝突や、逆に電極20、21からアークシールド30への衝突が妨げられる。強磁場の発生時間は1〜2msであるが、時間を遅らせることや、荷電粒子の運動方向を変えることによる電極衝突粒子数の減少、衝突の衝撃の減衰効果があると考える。この結果、粒子状物質を原因とした絶縁破壊の発生確率が低下する効果がある。さらに、電極棒20、21と平行な磁場は、縦磁界電極が発生する磁場の向きと同じであり、電極22、23間に発生したアークを拡げ遮断性能を向上させる効果がある。
【0074】
従来と同じ形状の真空バルブを用いて、真空バルブとなるべく近い位置にコイル80、81を設けても、アークシールド内に電界と垂直方向の磁界が生じるので、上記の構造と同様に、粒子を原因とした絶縁破壊の発生確率が低下し遮断性能が向上する。
【0075】
本実施の形態では、接圧発生・開極状態保持のために、非線形ばねであるサラバネ76を用いたがこれに限らない。タンク70内にはSFガスを封入したが、Nを混合したSFガス、Nガス、COガス、Hガス等の絶縁性気体であればよい。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、真空バルブ内の粒子物質に起因する絶縁破壊を防止し、特に、高電圧の真空遮断器の遮断性能・耐電圧特性を高め、かつ信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る真空バルブを示す側面断面図である。
【図2】図1のA部を拡大して示す図である。
【図3】この発明の実施の形態4に係る真空バルブを示す側面断面図である。
【図4】図3の多孔板シールドの一部を示す図である。
【図5】図4のB部の断面図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る真空バルブを示す側面断面図である。
【図7】図6のC部を拡大して示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態6に係る真空バルブに使用される改良前の電極を示す斜視図である。
【図9】実施の形態6の真空バルブに使用される電極を示す斜視図である。
【図10】図9の電極の側面断面図である。
【図11】この発明の実施の形態7に係る真空バルブに使用される電極を示す斜視図である。
【図12】図11の電極の側面断面図である。
【図13】この発明の実施の形態8に係る真空バルブに使用される電極を示す側面断面図である。
【図14】この発明の実施の形態9に係る真空バルブに使用される電極の主要部を示す分解斜視図である。
図15は、外周の突出部を2段にしたスパイラル電極の構造を示す。図14はこの電極の分解斜視図、
【図15】実施の形態9に係るスパイラル電極の羽根1枚分を抽出した斜視図である。
【図16】図15を側面から見た図である。
【図17】図15の上面図である。
【図18】外周の突出部が一段のスパイラル電極を示す上面図である。
【図19】この発明の実施の形態10に係る真空バルブに使用される電極の要部を示す斜視図である。
【図20】実施の形態10に係る真空バルブの電極に使用される補強板を示す平面図である。
【図21】実施の形態10に係る真空バルブに使用される電極を示す側面断面図である。
【図22】この発明の実施の形態11に係る真空バルブを示す側面断面図である。
【図23】この発明の実施の形態12に係る真空バルブを示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 真空バルブ、 2 真空容器、
3 ベローズ、 4 粒子状物質、
10 絶縁筒、 10a 絶縁筒、
10b 絶縁筒、 11 端板、
12 端板、 20 固定電極棒、
21 可動電極棒、 22 電極、
22a 溝、 22b 突出部、
22b1 1段目の突出部、 22b2 2段目の突出部、
22c 風車部、 22d 電極棒挿入穴、
22e 凹部、 22g 突出部内縁、
22h へこみ部、 22a1 2段目の突出部の溝、
22a2 1段目の突出部の溝、 22a3 溝出口部、
221 肉薄部、 222 肉厚部、
23 電極、 30 アークシールド、
31 円筒板シールド、 31a 径大部、
31b 胴部、 32 網シールド、
32a シールド線、 33 アークシールド支え、
34 多孔板シールド、 34a 円形穴、
34b 四角形穴、 35 穴の端部、
36 ヒダ付き円筒板シールド、 37 網シールド、
38 ヒダ付き板シールド、 39 円錐台形板シールド、
39a トラップ溝、 40 補強板、
40a 溝、 50 アークストップ板、
51 円周状突起、 60 ベローズ、
61 反発板、 62 絶縁カバー、
70 タンク、 71 ブッシング中心導体、
72 固定治具、 73 絶縁ロッド、
74 操作ロッド、 75 ロッド支持板、
76 サラバネ、 77 導体、
78 シャント、 80 コイル、
81 コイル、 82 コイル支持板、
83 コイル支持板。

Claims (14)

  1. 内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極と、該電極を囲んで上記真空容器内に配置されたアークシールドを備えた真空バルブにおいて、上記アークシールドを、円筒板からなる円筒板シールドと該円筒板シールドに接続され円筒板シールドの内側に配置された網シールドとの二重構造にしたことを特徴とする真空バルブ。
  2. 内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極と、該電極を囲んで上記真空容器内に配置されたアークシールドを備えた真空バルブにおいて、上記アークシールドを、円筒板からなる円筒板シールドと該円筒板シールドに接続され円筒板シールドの内側に配置された多孔板シールドとの二重構造にしたことを特徴とする真空バルブ。
  3. 上記網シールドまたは多孔板シールドを、上記円筒板シールドの一部に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空バルブ。
  4. 内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極と、該電極を囲んで上記真空容器内に配置されたアークシールドを備えた真空バルブにおいて、上記アークシールドを、その内面に凹凸のヒダを設けたヒダ付きの円筒板シールドとし、かつ、上記ヒダの頂部をヒダの底面に対して傾けたことを特徴とする真空バルブ。
  5. 内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内荷に接離可能に配置された一対の電極とを備えた真空バルブにおいて、上記電極は、中心部から周縁部にわたって渦巻状の複数の溝が形成され、その中心部に位置して上記溝によって分画されている複数の風車部とその周縁部に位置して上記溝により分割され上記風車部より厚さが厚い複数の接触用の突出部を有し、かつ、上記風車部上に、網シールドを設けたことを特徴とする真空バルブ。
  6. 内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極とを備えた真空バルブにおいて、上記電極は、中心部から周縁部にわたって渦巻状の複数の溝が形成され、その中心部に位置して上記溝によって分画されている複数の風車部とその周縁部に位置して上記溝により分割され上記風車部より厚さが厚い複数の接触用の突出部を有し、かつ、上記風車部上に、ヒダ付き板シールドを設けたことを特徴とする真空バルブ。
  7. 内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極とを備えた真空バルブにおいて、上記電極は、中心部から周縁部にわたって渦巻状の複数の溝が形成され、その中心部に位置して上記溝によって分画されている複数の風車部と、その周縁部に位置して上記溝により分割され上記風車部より厚さが厚い複数の接触用の突出部を有し、かつ、上記電極の電極棒挿通穴に電極棒が途中まで挿入して取り付けられ、さらに、上記風車部の上記電極棒挿通穴を取り巻く部位を上記風車部の他の部位より凹ませたことを特徴とする真空バルブ。
  8. 内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極とを備えた真空バルブにおいて、上記電極は、中心部から周縁部にわたって渦巻状の複数の溝が形成され、その中心部に位置して上記溝によって分画されている複数の羽根を持つ風車部と、該風車部の周縁部に位置して上記溝により分割され上記風車部より厚さが厚い複数の接触用の突出部を有するもので、上記突出部の各々は電気的に直列接続されている2段の電路で構成されていることを特徴とする真空バルブ。
  9. 上記電極の風車部を分画しかつ上記突出部を分割する溝を、上記突出部を分割する部分の溝幅より、上記風車部を分画する部分の溝幅を大きくし、上記電極の背面には上記風車部を分画する部分の溝と同じ形の溝を有する補強板を接合し、さらに上記補強板の後ろにアークストップ板を設けたことを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の真空バルブ。
  10. 内部を真空状態にした真空容器と、該真空容器内に接離可能に配置された一対の電極と、該電極を囲んで上記真空容器内に配置されたアークシールドを備えた真空バルブにおいて、上記アークシールドを、断面が円錐台形の円筒板としたことを特徴とする真空バルブ。
  11. 上記円筒板シールドの径大側端部に粒子状物質を捕捉する溝を設けたことを特徴とする請求項10に記載の真空バルブ。
  12. 絶縁筒と、該絶縁筒の一端を閉塞する端板と、上記絶縁筒の他端にベローズを介して取り付けられ、絶縁筒を閉塞する端板とからなり、内部を真空状態にした真空容器、該真空容器内に
    接離可能に配置された一対の電極、上記真空容器内に上記電極を囲んで設けられたアークシールド、及び上記真空容器の外周に設けられ、上記ベローズ側端板を上記電極の接離方向に駆動することにより上記電極の接離を行う電磁装置を備えたことを特徴とする真空バルブ。
  13. 上記真空容器および電磁装置がガスタンク内に収容されていることを特徴とする請求項12に記載の真空バルブ。
  14. 上記電磁装置による磁界が上記電極間アークに影響を与える位置に上記電磁装置を配置したことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の真空バルブ。
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