JP5836907B2 - 真空遮断装置 - Google Patents

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Description

この発明は、それぞれ真空空間内で開閉する2組の接点対を有する真空遮断装置に関するもので、特に定格電圧が高く、進み小電流遮断試験およびコンデンサバンク開閉試験における遮断性能の高い真空遮断装置に適する。
真空遮断装置に用いられる真空バルブでは、一対の接点を用いて遮断と耐電圧の両性能を確保するのが基本構造であるが、近年の高電圧化、大容量化に対応するため、1つの真空容器の内部に2組の接点を設けた真空バルブが考案されている。
図13は特許文献1の構造を説明するための図である。気密の絶縁材で作られた円筒状の包囲体1に非磁性材で作られた中央基板7を設ける。中央基板7には円板状接点10、11が固定される。可動接点12、13は導電性の基部22と渦巻状の巻回体23と導電性プレート24とリング25、ジャンパ26で構成される。可動接点12、13は導電性ロッド14、15に接続される。
真空ギャップの絶縁耐力はギャップ長の0.5乗でしか増加しないため、高電圧の真空バルブの場合、印加する電圧を2組の接点で分圧した方が1組の接点の場合より合計のギャップ長を短くすることができる。このため、絶縁耐力を高くし、かつ材料消費量を減少させるという効果がある。
この他にも、一対の接点を収納した真空バルブを2本直列に設けた2点切り真空遮断装置が開発されている。これらの真空遮断装置では、2組の接点を同時に開閉して印加電圧を2組の接点で分圧する形態となっている。
以上の方法とは別に、接点材料の改善によって耐電圧性能を向上させる工夫もなされている。しかし、高耐圧材料は遮断性能が低下する傾向があるため、耐電圧性能と遮断性能の両方を同時に向上させることは困難な状況にある。
特開昭58−145035号公報
送電線もしくはコンデンサバンク開閉に用いられる真空遮断装置は、送電線の対地キャパシタンスまたはコンデンサバンクのキャパシタンスによって決まる進み小電流を遮断する能力が要求される。このため、進み小電流遮断試験やコンデンサバンク開閉試験を実施して遮断性能を検査する必要がある。なお、日本国内で一般に用いられている交流遮断器の規格JEC2300では送電線、コンデンサバンクに接続される遮断器に対する進み小電流試験を合わせて「進み小電流遮断試験」と称しているので、以下、進み小電流遮断試験と称する。
進み小電流遮断試験において、回路電圧を印加した状態で電極を閉じていくと、固定電極と可動電極の間の電界が高くなり、該電極が閉じる前に絶縁破壊が生じる。この時に生じるアーク(以後、プレアークと呼ぶ)の熱によって電極の接点表面に溶融が生じる。この後、電極は閉じ、溶融部位は熱拡散により温度が下がり溶着する。続く開極動作によって、溶着部位は引き剥がされるので、接点表面に損傷が生じる。このために、耐電圧性能が低下し再点弧の原因となっている。
図13の従来の真空遮断装置は、2組の接点を同時に閉極、開極するため、溶着引き外しによる損傷はどちらの接点にも起こりうる。さらに、進み小電流遮断試験では試験を例えば24回という多数回実施するため、2組の接点の両方に損傷が生じる可能性高い。この状態で、再起電圧が印加すると、2組の接点で分圧していても、接点の損傷部に局所的な高電界が発生するため、耐電圧は低下し再点弧の原因となる。
この発明は、前述のような課題に鑑みてなされたもので、2組の接点対の内の一つには溶着引き外しによる損傷が生じないようにして清浄な状態を維持することで、可動電極の開極距離や開極速度を大きくすること無く耐電圧性能を向上させ、進み小電流遮断試験およびコンデンサバンク開閉試験における遮断性能を向上させることを目的とする。
この発明に係る真空遮断装置は、空空間内で開閉する可動接点と固定接点とでそれぞれ構成された接点対Aおよび接点対Bを有する真空遮断装置において、前記真空遮断装置の閉極時には、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点に接触するタイミングが、前記接点対Bの前記可動接点が前記接点対Bの前記固定接点に接触するタイミングの後となるように、さらに前記真空遮断装置の開極時には、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から開離するタイミングが、前記接点対Bの前記可動接点が前記接点対Bの前記固定接点から開離するタイミングより後となるように、前記接点対Aの前記可動接点および前記接点対Bの前記可動接点を駆動する開閉機構を有し、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から離れる時間のばらつきの幅をΔtとすると、前記開極時の再起電圧の立ち上がりから1サイクル後の前記Δtの範囲で前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から開離するものである。
この発明は、空空間内で開閉する可動接点と固定接点とでそれぞれ構成された接点対Aおよび接点対Bを有する真空遮断装置において、前記真空遮断装置の閉極時には、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点に接触するタイミングが、前記接点対Bの前記可動接点が前記接点対Bの前記固定接点に接触するタイミングの後となるように、さらに前記真空遮断装置の開極時には、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から開離するタイミングが、前記接点対Bの前記可動接点が前記接点対Bの前記固定接点から開離するタイミングより後となるように、前記接点対Aの前記可動接点および前記接点対Bの前記可動接点を駆動する開閉機構を有し、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から離れる時間のばらつきの幅をΔtとすると、前記開極時の再起電圧の立ち上がりから1サイクル後の前記Δtの範囲で前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から開離するので、可動電極の開極距離や開極速度を大きくすることなく耐電圧性能を向上させ、進み小電流遮断試験およびコンデンサバンク開閉試験における遮断性能を向上させることができる。
この発明の実施の形態1に係る真空遮断装置を示す側面断面図である。 この発明の実施の形態1に係る真空遮断装置の開閉機構のリンク機構の構造を示す概略構造図、および接点の動作を説明する説明図である。 進み小電流遮断試験における接点間の平均電界と再起電圧を示す図である。 従来の真空遮断装置における接点間の平均電界を示す図である。 この発明の実施の形態1に係る真空遮断装置の接点間の平均電界を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る真空遮断装置で分圧コンデンサを設けた真空バルブの拡大図である。 この発明の実施の形態2に係る真空遮断装置の接点間の平均電界を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る真空遮断装置において、開極距離を短くした場合の接点間の平均電界を示す図である。 この発明の実施の形態3に係る真空遮断装置で分圧コンデンサを設け、かつ接点Aが1ms遅れて開く場合の接点間の平均電界を示す図である。 この発明の実施の形態3に係る真空遮断装置で分圧コンデンサ無しとし、かつ接点Aが1サイクル遅れて開く場合の接点間の平均電界を示す図である。 この発明の実施の形態4と実施の形態5に係る真空遮断装置で、分圧コンデンサによってA側の分圧高くした場合の接点間の平均電界を示す図である。 この発明の実施の形態6に係る真空遮断装置で、衝撃吸収構造を設けた真空バルブの拡大図である。 従来の真空遮断装置における真空バルブの構造を示す断面図である
実施の形態1.
以下この発明の実施の形態1を図1〜図5により説明する。
図1において、真空遮断装置はタンク20と、該タンク20内の中央部に設置された真空バルブ1と、タンク20の外部に設けられた開閉機構23および図示していないブッシングを主要部品とし、ブッシングの中心導体25と真空バルブ1、可とう導体16で電路を構成し、前記開閉機構で真空バルブ1内の2組の対をなす固定接点3と可動接点2をそれぞれ開閉することにより電流を入り切りする。
前記真空バルブ1は、密封状態に保持された絶縁筒10内に、該絶縁筒10の軸方向に対向して接離可能に配置された2組の対をなす固定接点3と可動接点2とを備え、各組の固定接点3および可動接点2はそれぞれコイル5を介して、各々対応する固定電極棒7および可動電極棒6に固着される。短絡遮断の際に、コイル5を流れる電流が軸方向の磁界(縦磁界)を発生することにより、固定接点3と可動接点2の間に発生するアークを拡散状態に維持する。このような電極構造を縦磁界電極と呼び、高い遮断性能を持つ。さらに、各組の各接点2,3が何れも平板で、溝や突出部などの電界を高める構造をもたないため高い耐電圧性能を持つ。アーク時間が0.5サイクル以上の長い遮断責務においては、アークが接点表面に滞在する時間が長いため金属蒸気の発生量が多くなり、一時的に電極周囲の耐電圧が低下してアークが電極以外に移行する危険がある。
そこで、固定接点3と支持部材15との間には固定電極棒7を介して所定長の距離を設けて、アークが支持部材15に移行しないようにした。また、アークが固定接点3から固定電極棒7に移行しないように固定接点3を固定電極棒7より大径にした。
なお、以後、2組の対をなす固定接点3および可動接点2のうち、図示左側の組の固定接点3と可動接点2を「接点対A」、図示右側の組の固定接点3と可動接点2を「接点対B」と記す。
固定電極棒7は、支持部材15に固定され、絶縁筒10の軸方向中央および径方向中央に取り付けられる。可動電極棒6はベローズ8とフランジ9を介して絶縁筒10に取り付ける。
2組の固定接点3と可動接点2とを囲む位置に各組毎にアークシールド11を設ける。アークシールド11は、電流遮断時に接点から発生する金属蒸気が絶縁筒10の内面に付着するのを防止し、沿面耐圧の低下を防止する。2つのアークシールド11,11は個別に設け、別々の電位となることができるようにする。
支持部材15には電界緩和シールド14が取り付けられている。真空バルブ1は支持部材15を介して真空バルブ支持ブッシング22によってタンク20に強固に固定される。可動電極棒6は絶縁ロッド12およびタンク側ベローズ13、ロッド31を介して、開閉機構23の動作を伝えるリンク機構24に接続する。タンク側ベローズ13はタンク20に取り付けられている。可動電極棒6には割り端子26が取り付けられ、ブッシング25Bの中心導体23とは可撓導体16によって接続する。
絶縁筒10はセラミックで形成されており、該セラミックには薄い金属であるメタライズ層を設けてフランジ9および支持部材15とロウ付けにより固定する。メタライズ層の端部が高電界となるため電界緩和シールド14を設けて電界緩和し、セラミック製絶縁筒10の沿面での放電を防止する。絶縁筒10の両端に位置する電界緩和シールド14はフランジ9に支持される。
タンク20は接地電位であるが、ブッシング25Bの中心導体25と真空バルブ1の中の各導体は高電圧となるので、真空バルブ支持ブッシング22はセラミックやモールド樹脂といった絶縁材料製として耐電圧を確保する。さらに、真空バルブ支持ブッシング22は固定接点3と可動接点2とを開閉する時の衝撃に耐えるだけの機械的強度を持たせる必要がある。開閉衝撃は固定電極棒7と支持部材15にも加わるので、これらの部品も同様に機械的強度を持たせる。
タンク27の中は絶縁性ガスであるSF6ガス、空気、窒素ガス等を封入する。
次に開閉機構の説明をする。
図2(1)は開閉機構23の動作を可動電極棒6に伝えるためのリンク機構24の構造を示す。接点対A、Bの動作の説明のため、図1から接点対A、Bの固定接点3と可動接点2だけを抽出して示した。
開閉機構23によって駆動するシャフト30は直線状の継手A27と接続され、該継手A27はくの字状の継手B28に接続される。継手A27および継手B28は回転軸29によって支持され、シャフト30の動きを伝える。継手B28はロッド31に接続され、ロッド31の動きは可動電極棒6を駆動する。右側の(接点対B側の)ロッド31にはスライダ32が設けられ、継手B28の端の連結部33がスライダ32内を接点対Bの開閉方向に所定長滑ってからロッド31を動かすことができるようになっている。
図2(1)の中の矢印は投入の際の動きを示している。また、図2(1)の中の白丸○は回転軸を、黒丸●は連結部を、それぞれ示す。
開閉機構23によってシャフト30が図示上方向に動くと、この動きは継手A27、継手B28によって連結部33に伝わり、連結部33が、図中の矢印方向に動く。右側の接点対B側のロッド31は、連結部33がスライダ32内を前記所定長滑った後に動き始めるので、右側の接点対Bは左側の接点対Aより遅れて接点を閉じることができる。接点が閉じた後には、図示していないラッチ機構によって可動電極棒6を接点閉成位置に保持し、接点が閉じた状態を維持する。
開極時は、左側の接点対Aの可動電極棒6のラッチ機構を外して左の可動電極棒6が動けるようにすると同時に、シャフト30が図示下方向(図示矢印と逆方向)に動く。まず、左側の(接点対A側の)継手B28の動きにより接点対A側のロッド31が動いて、左側の可動電極棒6が左側の接点対Aを開く方向に動く。右側の継手B28の動きによりその先端の連結部33がスライダ32内を滑り、連結部33がスライダ32の右端に至る直前に右側の接点対Bの可動電極棒6のラッチ機構を外して右の可動電極棒6が動けるようにする。連結部33がスライダ32の右端に来ると、右側の接点対B側のロッド31が動き始め右の可動電極棒6が右側の接点対Bを開く方向に動く。以上の動作の結果、左側の接点対Aが先に開極し、右側の接点対Bが遅れて開極する。
接点対Aに対応する左側の連結部33の速度VA、および接点対Bに対応する右側の連結部33の速度VBは、対応する継手B28のそれぞれの長さa(接点対Aに対応する左側の継手B28の回動軸29−連結部33間の長さ)、b(接点対Bに対応する右側の継手B28の回動軸29−連結部33間の長さ)を違った長さにすることで変えることができる。
以上のように、図2の開閉機構とリンク機構によれば、左側の接点対Aと右側の接点対Bの開閉タイミング、開閉速度を様々に変えることができる。本実施の形態では、図2(2)のように、閉極時は右側の接点対Bが接触後に左側の接点対Aが接触するように、接点対A側の可動電極棒6および接点対B側の可動電極棒6をそれぞれ動作させ、開極時は、接点対Aと接点対Bとが同時に開離するように開極させる。
次いで本構造(実施の形態1)の作用、効果を説明する。
前記のように構成された真空遮断装置の遮断性能および耐電圧性能について、従来の真空遮断装置と対比させて説明する。
進み小電流遮断試験では、[発明が解決しようとする課題]に述べたように、投入時のプレアークによって接点表面に溶融が生じ、その後の開極によって溶着部位が引き剥がされ損傷が生じる。接点表面分析や高速度カメラでの放電分析の結果、接点表面には溶着部位の引き剥がしの結果、高さ数十μmから数百μmの微小な突起が生じており、この先端に高電界が生じるため耐電圧性能が低下する。さらに、溶着部位の引き剥がしは微粒子が接点表面に発生する原因となり、その微粒子が接点間に電圧が印加された時の静電力により接点から剥がれて、接点間の電界により加速されて対向接点に衝突すると放電を引き起こす。
図3は進み小電流遮断試験における接点間の平均電界(図3(1))と再起電圧(図3(2))を示す。同図において、横軸は電流ゼロ点からの経過時間を示す。
進み小電流遮断試験ではアーク持続時間(以下「アーク時間」と記す)を変えて試験を行うことが規定されているが、この図はアーク時間が0msの場合を示している。アーク時間0msの場合は、アーク時間が0msより長い場合に比べて接点間電界が高くなるため厳しい試験条件であり、進み小電流遮断性能を説明するのに適していると考えられる。
接点間の平均電界は、時間0sで接点が乖離し開極を始め0.02sで規定のギャップ長まで開極した場合の値を示している。図3(1)のように、開極途中の0.007sで接点間の平均電界は最大となる。接点表面の損傷がない場合はこの最大電界でも放電しないが、前述の接点表面の損傷が生じて耐電圧性能が低下すると、接点間の平均電界がこの最大電界値まで上昇する途中や最大電界値前後で再点弧が発生する。そこで、以下では開極直後の接点間電界の立上りや最大電界に注目する。
損傷が生じた後の耐電圧性能として、ここでは再起電圧を下げることによって、接点間の平均電界が図3(1)の「溶着ありの場合の耐電圧」のレベルまで下がれば再点弧が生じないと仮定する。この場合の耐電圧性能は接点表面に損傷が無い場合の70%に低下している。
以上の条件を用いて、図13の従来構造で進み小電流遮断試験を行った場合の接点間の平均電界と放電が発生するかどうかを調べる。従来構造では2組の接点を同時に閉極、開極する。
2組の接点対の両方に損傷が生じたとし、このため各々の接点間の電界が、図3(1)の「溶着ありの場合の耐電圧」よりも大きくなると放電が生じるとする。2組の接点対の分圧の計算には図4(3)の回路を用いた。C(A)は接点対Aの接点間の静電容量、C(B)は接点対Bの接点間の静電容量、C(ブッシング)は真空バルブ支持ブッシング22の静電容量である。
接点対Aに再起電圧が印加され、接点対Bと真空バルブ支持ブッシング22の下端(タンク20)は接地されている。接点対Aと接点対Bとは同時に開離し、同じ開極速度で開極する。この開極速度をV(m/s)と記し、以下ではこの速度を基準として開極速度を相対値で示す(例えば、0.8倍の開極速度を0.8V(m/s)と記す)。
なお、アークシールド11と接点との間の静電容量が接点対Aと接点対Bの電位分担に大きな影響を与えないようにするため、アークシールド11は接点対A側と接点対B側とで別々に設け、支持部材15とは絶縁されている形態を仮定した。
計算の結果、接点対Aの分圧が70%となり接点対Bより高電圧が印加されるため、図4(1)のように開極直後の0.005s付近で耐電圧性能を上回る電界となり放電が発生する。すると、図4(2)のように全電圧が接点対Bに印加されるが、接点対Bにも損傷があって耐電圧性能が低下しているため、接点対Bでも放電してしまう。
なお、耐電圧性能とは例えば放電確率0.1%となる電界のように、放電確率が低く試験を規定の回数行っても放電が生じない接点間の平均電界のことを指す。
進み小電流遮断試験での試験回数は規格で規定されており、この耐電圧性能より高い電界が印加されると規定の試験回数の内に再点弧が発生する確率が高くなる。
図5はこの発明の実施の形態1の場合を示す。図2の開閉機構23を用いて、閉極時は、右側の接点対Bの接点2,3の接触後に左側の接点対Aの接点2,3が接触するように可動電極棒6,6を動作させ、開極時は、接点対Aと接点対Bとは同時に開離し、同じ速度で開極させる。
この結果、接点対Aには損傷があるが、接点対Bには損傷が無く清浄な状態となる。このため、接点対Bの表面には溶着部位の引き剥がしが生じておらず、微小な突起や微粒子の発生が抑制されるため耐電圧性能が高くなる。
図5(3)に本実施の形態1の構造を模擬する回路を示す。図5(1)のように、接点対A側の分圧が70%であるため、開極直後の0.005s付近で耐電圧性能を上回る電界が印加され放電が発生する。しかし、接点対Bは清浄な状態であるため、全電圧が接点対Bに印加されても耐電圧性能を上回ることが無く放電が発生しない。
接点対Aの耐電圧低下は70%に限らずもっと低くなる可能性もある。その場合はより早い時間に接点対Aでの放電が発生し、接点対Bに全電圧が印加されるが、清浄な接点対Bの接点間平均電界は耐電圧性能を上回ることが無く放電は発生しない。
図5(3)とは逆に清浄な接点対Bに高電圧H.Vを印加する場合は、接点対Bの耐電圧性能が高いため放電が発生しない。
図5では、接点対Aと接点対Bとが同じ速度で開極する場合を示したが、接点対Aの開極速度を上げることで、接点対Aの接点間電界が耐電圧性能を上回らないようにすることができる。この場合は、接点対Aも接点対Bも接点間平均電界が耐電圧性能を上回ることがなく信頼性が増すという効果がある。
逆に、接点対Aの開極速度を下げると、接点対Aの接点間電界が耐電圧性能を上回る時間が早くなるが、清浄な接点対Bでは放電が起こらないため効果は維持される。この場合は、接点対A側のベローズ8の負担が減るので接点対A側のベローズ8を小形化することが可能となる。
以上のように、本実施の形態1では、1つの絶縁筒内に2組の接点対A,Bを直列に設け、その各々の可動電極棒6にベローズ8を設けた構造として接点対A,Bを別々に開閉できるようにし、
さらに、1つの開閉機構23とリンク機構24によって、
閉極時は、接点対Bの接触後に接点対Aが接触するように可動電極棒6,6を動作させ、開極時には接点対Aと接点対Bとが同時に開離するように可動電極棒6,6を動作させたため、
接点対Aには損傷があるが、接点対Bには損傷が無く清浄な状態となり、
進み小電流遮断試験、コンデンサバンク開閉試験において、
接点対Aで放電が生じても清浄な接点対Bでは放電が発生しないため、進み小電流遮断性能、コンデンサバンク開閉性能が高いという効果がある。
2組の接点対を1つの真空容器の中に収めたため、タンク20の中に組み込む作業の手間が省けるという効果がある。また、2つの真空バルブ1,1を組んで使うよりも真空バルブが小形化し、真空遮断装置全体を小さくすることができるという効果がある。これは、材料の削減、運搬作業の低減、設置場所のコンパクト化という効果をもたらす。
開閉動作を1つの開閉機構23とリンク機構24とによって行うため、部品点数が減り、製造、調整の信頼性が増すという効果がある。
実施の形態2.
以下、本実施の形態2を図6〜8によって説明する。
図6は本実施の形態2による真空遮断装置の構造を示すもので、分圧コンデンサ34,34を設けることを特徴とする。この他の真空遮断装置の構造および開極閉極のタイミングは前述の実施の形態1と同じである。
分圧コンデンサ34,34は、2組の接点対A,Bの両方に対して設けられ、それらの一端が支持部材15を介して固定電極棒7と電気的につながり、他端がフランジ9を介して可動電極棒6と電気的につながるように設置される。分圧コンデンサ34,34は何れもその詳細構造は図示省略してあるが、何れも円柱形状のセラミックコンデンサを直列につなげたものを絶縁筒の中に固定して耐圧を確保するように構成されている。
分圧コンデンサ34,34の静電容量は、対応する接点対A,Bの接点2,3が開極距離だけ開いた時の当該接点間の静電容量より、例えば70倍と十分に大きくしてある。接点対Aと接点対Bとは同時に開離させて開極する。
図7(3)の回路で計算した結果、図7(1)に例示するように、接点対Aと接点対Bの分圧がほぼ均等(接点対Aに52%分圧)となり、各接点に印加電圧の約1/2の電圧が印加されるので、極間の電界は1/2に抑えられる。このため、開極速度を落とすことが可能となる。この例では、図7(1)に例示するように、接点対Aの開極速度を分圧コンデンサが無い場合の開極速度Vの0.8倍、接点対Bの開極速度を分圧コンデンサが無い場合の開極速度Vの0.55倍にまで下げることができ、図7(1)(2)ではこれらの速度で開極したときの電界を示した。
このように開極速度が低減されると、開閉機構の小形化が可能となる。さらに、ベローズ8に対する負担も減ることになるため、ベローズ8の小形化に伴う真空バルブの小形化が可能となる。
真空バルブでは遮断性能も必要であるのでそのための開極速度が必要であるが、進み小電流遮断性能のための開極速度の方が大きいので、本実施の形態2とすることにより開極速度を低減することができる。
また、開極速度は接点対Aも接点対Bも元々の開極速度Vのままとすると、開極距離を短くすることが可能となる。図8は開極距離を元の82.5%にした場合の接点間電界を示す。接点対Aに損傷が生じたことで、耐電圧性能は開極直後の1波目だけでなく、2波目以降も70%に低下したとしている。接点対A(図8(1)に例示)も接点対B(図8(2)に例示)も耐電圧性能以下の電界となっており、放電は発生しない。
以上のように、本実施の形態2では、分圧コンデンサ34,34を接点対A,Bのそれぞれに対応して設けることで接点対Aと接点対Bの分圧を均等化したため、各接点間電界が抑制される。このため、開極速度の低減、開極距離の短縮という効果がある。
実施の形態3.
以下、本実施の形態3を図9,10によって説明する。
前述の実施の形態1および2では開極の際に2つの接点対A,Bを同時に開離させたが、本実施の形態3では、開極時に接点対Aの方を接点対Bより遅らせて開極する。
以下の(1)〜(4)の4つの場合について検討する。
(1)分圧コンデンサ34,34あり(図6の事例)で、接点対Aが接点対Bより1ms遅れて開く場合。
分圧コンデンサ34,34の静電容量は対応する接点2,3が開極距離だけ開いた時の静電容量より例えば70倍と十分に大きくしてある。開極速度は接点対Aも接点対BもVm/sとした。
図9(1)のように、接点対Aの開極直後から0.005sまで、再起電圧は上昇の途中であるが、ギャップ長が短いため接点対Aには高電界が印加され耐電圧性能を上回る。このため、接点対Aで放電が発生するが、接点対Bは清浄な状態にあるため、全電圧が接点対Bに印加されても耐電圧性能を上回ることが無く放電が発生しない。
ここで、接点対Aの接点材料を高耐圧、溶着引き外しに強い材料にすると、開極直後の高電界での放電が抑制される。この場合、接点対Bは図9(2)の「接点対Aが放電しない場合」の電界が印加され、ピーク値は抑制される。よって、接点対Bの開極距離を短くすることができる。
接点対Bが開極してから接点対Aが開極するまでの間は接点対Bだけに全電圧が印加するので、接点対Bの材料はこれに耐える材料とする必要がある。また、接点対Aを高耐圧材料とすると、高耐圧材料は遮断性能が低い傾向があるので、接点対Bで遮断性能も確保する必要がある。
(2)分圧コンデンサ無し(図1の事例)として、同様に接点対Aを接点対Bより1ms遅れで開極する場合。
接点対Aの分圧が60〜70%に増加するのでピーク電界は13.3に増える。この場合でも、接点対Aが放電しても接点対Bが高い耐電圧性能を維持しているため、全電圧が接点対Bに印加されても放電は生じない。
(3)分圧コンデンサ無し(図1の事例)として、接点対Aを開くタイミングを接点対Bの開極タイミングに比べて1msよりさらに長い時間遅らせる場合。
再起電圧が高くなったところで開極することになるため開極直後の接点間電界が大きくなる。このため接点対Aを高耐圧接点材料としても放電が生じてしまう可能性が高いが、前記の場合と同様に接点対Bは耐電圧性能が高いので放電は生じない。
再起電圧が高いところで接点対Aを開極すると、極間に高い電界が印加する時間が長くなるので放電による接点の損傷が大きくなる。そこで、再起電圧が低い、再起電圧の立ち上りから2ms程度までと、1サイクル後の電流零点前後の2ms程度の範囲で開極する方が望ましい。
(4)接点対Aが電流零点から1サイクル後に開極した場合。
図10に示すように、接点対Aがちょうど再起電圧0kVから開極するので、開極直後の高電界が発生せず、図10(1)に示すように耐電圧性能以下に納まっている。
接点対Aの耐電圧性能が損傷によってもっと下がった場合は、接点対Aで放電が発生するが、前記の場合と同様に接点対Bでは放電しない。
接点Aの分圧は50〜70%である。
実際には、開閉機構23の動作により接点が開離する時間のばらつきの幅Δtがあるので、再起電圧の立ち上りから1サイクル後の前記Δtの範囲で接点対Aが開極することになる。電磁アクチュエーターを使用すると前記Δtを小さくすることができる。
以上の場合とは別に、接点対Aを先に開く方式も考えられる。アーク時間が数ms以上の場合は再起電圧が立ち上がる時に接点対Aのギャップが開いているので電界緩和されるが、アーク時間0msの場合には、接点対Bは閉じていて接点対Aだけに再起電圧が印加する時間が生じてしまう。このために接点対Aで放電が生じると即失敗となる。よって、このタイミングは適用すべきではない。
以上のように、開極時に接点対Aの方を接点対Bより遅らせて開極すると、接点対Aの開極直後に高電界が印加して放電が発生するが、接点対Bが清浄で耐電圧が高いので接点対Bでは放電が発生しない。この結果、進み小電流が高くなるという効果がある。接点対Aの開極タイミングは再起電圧の立ち上りから2ms程度までと、1サイクル後の電流零点前後の2ms程度の範囲が望ましい。さらに、分圧コンデンサ34,34を設けさらに接点
対Aに高耐圧接点を適用すると、接点対Aでの放電を抑制することができる。
実施の形態4.
以下、本実施の形態4を図11によって説明する。
前述の実施の形態2や実施の形態3では分圧コンデンサ34,34によって2つの接点対A,Bの分圧を均等化したが、本実施の形態4では、分圧コンデンサ34によって接点対Bの分圧を下げることで、接点対Aを耐圧用、接点対Bを遮断用と機能分別する。高耐圧材料は比較的遮断性能が低く、逆に遮断性能の高い材料は耐電圧性能が低い傾向があるので、本実施の形態4では機能分別することで耐電圧性能と遮断性能の両方を向上させる。
図11は、分圧コンデンサ34,34を設けた上にこれらコンデンサ34,34の静電容量の大きさを接点対B側が接点対A側の2倍とした場合の接点間電界である。開極は接点対A,B同時としている。計算の結果、接点対Aの分圧が66%、接点対Bの分圧が34%となった。
そこで、接点対Aを溶着引き外しの後でも高耐圧を維持する材料とし、他の実施の形態の接点の1.1倍の耐圧性能を溶着引き外しの後に持つとする。一方、接点対Bを遮断性能が良い材料とし、耐電圧性能は元の耐電圧性能の70%とした。
この構成により、図11のように接点対Aも接点対Bも耐電圧性能以下となり放電しない。
高耐圧材料は遮断性能が低くなるので、遮断時は接点対Aで遮断失敗して、接点対Bで遮断することになる。このため、接点対Bの分圧は遮断の再起電圧に耐える比率とする必要がある。
高耐圧接点材料としては例えばCuW、CuCrにおいてCrの比率を50%以上としたり、CuCrに第3元素としてWなどの高耐圧材料を入れたものがあり、高遮断性能接点材にはCuCrにおいてCrの比率を30%以下にしたものがある。
以上のように、本実施の形態4では分圧コンデンサによって接点対Bの分圧を下げることで、接点対Aを耐圧用、接点対Bを遮断用と機能分別した結果、進み小電流遮断性能と大電流遮断性能の両方を高くすることができる。
実施の形態5.
前述の実施の形態4では、接点対Aに高耐圧接点材、接点対Bに高遮断性能接点材を適用し機能分別したが、本実施の形態5では接点対Aを高耐圧化に適した電極構造、接点対Bを遮断性能の高い電極構造として機能分別する事例であり、以下の組合わせがある。
(1)接点対Aを縦磁界電極、接点対Bも縦磁界電極とする。
長所は、縦磁界電極は後述のスパイラル電極に比べて低い開極速度、短い開極距離とすることができる。さらに接点対Aおよび接点対Bの接点2,3が平板である(図1(2)参照)ため耐電圧性能も高い。
短所は、コイル部5(図1(2)参照)の抵抗のため通電での発熱が大きい。コイル部5の抵抗を抑えようとすると磁界が弱くなって遮断性能が低下する。
(2)接点対Aを平板電極、接点対Bを縦磁界電極とする。
長所は、平板電極の抵抗が小さいため、接点対Aの通電容量を増すことが可能である。
短所は、平板電極の遮断性能が低いため、接点対Aおよび接点対Bの両方を縦磁界電極とした場合よりも遮断性能が劣る。
(3)接点対Aを平板電極、接点対Bをスパイラル電極とする。
長所は、縦磁界電極に比べて構造が簡単であるため製造が容易である。抵抗が小さいため、通電容量を増すことが可能である。
短所は、スパイラル電極での遮断のため、縦磁界電極に比べて開極速度を上げ、開極距離を増やす必要がある。
以上のように、本実施の形態5では分圧コンデンサ34,34(図6参照)によって接点対Bの分圧を下げることで、接点対Aを耐圧用、接点対Bを遮断用と機能分別した結果、進み小電流遮断性能と大電流遮断性能の両方を高くすることができる。
なお、分圧コンデンサを設けない場合でも、遮断装置に対する責務に応じた最適な電極構造の組合わせを選んで最適化すればよい。
実施の形態6.
以下、本実施の形態6を図12によって説明する。
前述の実施の形態1〜5では、固定電極棒7を支持部材15に固定し、さらに該支持部材15を真空バルブ支持ブッシング22に固定したため、閉極時の衝撃が吸収されにくく接点2,3の投入直後に接点2,3のチャタリングが発生しやすかった。そこで、本実施の形態6では閉極時の衝撃吸収構造体35を設ける。
図12の衝撃吸収構造体35は円板をくり抜いて凹形にしたものを組合わせて支持部材15に、固定電極棒7の軸方向中間部に介在するように、固定したものである。投入時の衝撃によって衝撃吸収構造体35が歪むことで投入時の衝撃のエネルギーを吸収し接点2,3のチャタリングを防止する。衝撃吸収構造体35には小さい穴36が開いていて、中央の空洞部が真空引きされるようにする。電流路と衝撃吸収構造体35とを分けるため、電流路となるCuの可撓導体を別に設けてもよい。
衝撃吸収構造体としてバネを設けても良いが、前記の凹形構造は簡単で製造しやすいという長所がある。
以上のように、本実施の形態6では支持部材15に衝撃吸収構造を設けたため、投入直後の接点2,3のチャタリングが抑制される。このためチャタリングによるアークでの接点2,3の表面の損傷が抑制され、特に先に投入する接点対Bの耐圧を維持する効果がある。この結果として、進み小電流遮断性能が高くなる。
なお、前述の実施の形態1〜6は次のような特徴を有している。
特徴1:密封状態に保持された絶縁筒内に、前記絶縁筒の軸方向に対向して接離可能に配置された可動接点および固定接点と、前記可動接点に固着された可動電極棒をベローズとフランジを介して前記絶縁筒に取り付け、前記固定接点に固着された固定電極棒を支持部材を介して前記絶縁筒に取り付けた真空バルブを備えた真空遮断器に対して、前記真空バルブを2個直列に配置、または、1つの絶縁筒内に2組の接点対A,Bを直列に設け、その各々の可動電極棒にベローズを設け別々に開閉できる構造とし、さらに、1つの開閉機構によって、閉極時は、接点Bが接触後に接点Aが接触するように可動電極棒を動作させ、開極時は、開極時には接点Bが接点Aより後に乖離することがないように可動電極棒を動作させることを特徴とする真空遮断装置である。
この特徴により、接点Aだけに溶着引き外しが生じ、接点Bは清浄な状態が維持される。さらに、開極時に接点対Aと接点対Bとを同時に開離させる場合は、印加電圧を2組の接点で分圧するため、溶着引き外しが生じる接点対Aの電界が緩和される。
開極時に接点対Bを先に開離し接点対Aを後から開離させると、接点対Aは開極直後の分担電圧で高電界が発生し放電する可能性があるが、接点対Bは清浄な状態であるので耐電圧は高く放電しない。
この結果、進み小電流遮断試験性能、コンデンサバンク開閉試験性能が向上する。
また、開閉動作を1つの開閉機構によって行うため、部品点数が減り、製造、調整の信頼性が増す。
特徴2:前述の特徴1において、開閉機構の動作により接点が開離する時間のばらつきの幅をΔtとすると、開極時に、再起電圧の立ち上りから1サイクル後のΔtの範囲で接点Aが開極することを特徴とする真空遮断装置である。
この特徴により、接点対Aがちょうど再起電圧0kVから開極するので、開極直後の高電界が発生しない。このため、接点対Aでの放電が抑制され進み小電流遮断試験での放電確率がさらに低下し信頼性が増す。
特徴3:前述の特徴1および特徴2の少なくとも一において、分圧コンデンサを設けて、接点対Aと接点対Bとの分圧をほぼ均等にしたことを特徴とする真空遮断装置である。
この特徴により、接点対Aと接点対Bとの分圧が均等となり、極間の電界は1/2に抑えられる。このため、開極速度を落とすことや開極距離を短くすることが可能となる。
特徴4:前述の特徴1および特徴2の少なくとも一において、分圧コンデンサを設けて、接点対Bの分圧を下げることで、接点対Aを耐圧用、接点対Bを遮断用と機能分別し、接点対Aに高耐圧接点材料を、接点対Bに高遮断性能接点材を、それぞれ適用することを特徴とする真空遮断装置である。
この特徴により、接点対Aに高耐圧接点材料を、接点対Bに高遮断性能接点材を、それぞれ適用することで、進み小電流遮断性能と大電流遮断性能の両方を高くすることができる。
特徴5:特徴1〜4において、接点対Aと接点対Bに係る電極構造を、両者とも縦磁界電極、もしくは平板電極と縦磁界電極の組合せ、もしくは平板電極とスパイラル電極の組合せとしたことを特徴とする真空遮断装置である。
この特徴により、縦磁界電極は耐電圧性能と遮断性能は優れているが、コイル部の抵抗のため通電での発熱が大きいという欠点がある。スパイラル電極や平板電極は通電での発熱には優れているが遮断性能が劣るという欠点がある。そこで、遮断装置に求められる責務に応じて組合せを選んで最適化する。
前記特徴4のように、分圧コンデンサを設けて、接点対Bの分圧を下げることで、接点対Aを耐圧用、接点対Bを遮断用と機能分別した上で電極構造を選ぶと、進み小電流遮断性能と大電流遮断性能の両方を最大限に高くすることができる。
特徴6:前述の特徴1〜5において、固定接点と支持部との間には距離を設けて、アークが支持部に移行しないようにしたことを特徴とする真空遮断装置である。
この特徴により、アーク時間が0.5サイクル以上の長い遮断責務においては、金属蒸気の発生量が多いため、一時的に電極周囲の耐電圧が低下してアークが電極以外に移行する危険がある。その場合でも、アークが支持部に移行しないため、遮断性能が高いという効果がある。
特徴7:前述の特徴1〜6において、固定電極棒と支持部材の間に衝撃吸収構造を設けたことを特徴とする真空遮断装置である。
この特徴により、支持部材に衝撃吸収構造を設けて投入直後のチャタリングを抑制し、接点表面の損傷を防止することで、耐圧を維持する。この結果として、進み小電流遮断性能が高くなる。
特徴8:前述の特徴1〜7において、電磁アクチュエーターまたはバネによって駆動する1台の開閉機構と、該開閉機構の動きを2つの可動電極に伝達するリンク機構で構成され、可動電極に接続されたロッドにスライダを設けることで、2つの可動電極の動くタイミングをずらすことを特徴とする真空遮断装置である。
この特徴により、1台の開閉機構によって2つの可動電極を開閉するので、部品点数の削減、小形化が可能となる。
特徴9:2組の接点対A,Bを直列に設け、各々の可動電極棒にベローズを設け別々に開閉できるような構造として、投入時には常に接点対Bが先に閉じ、接点対Aは後から閉じるように動作させる。一方、開極時には接点対Bが接点対Aより後に開離することがないようにする。この動作により、接点対Aだけに溶着引き外しが生じ、接点対Bは清浄な状態が維持される。以上の開閉動作を1つの開閉機構によって行う。
特徴10:開極時に接点対Aと接点対Bを同時に開離させる場合は、印加電圧を2組の接点で分圧するため、溶着引き外しが生じる接点対Aの電界が緩和される。開極時に接点対Bを先に開離し接点対Aを後から開離させると、接点対Aは開極直後の分担電圧で接点間が高電界となるため放電が生じる可能性があるが、接点対Bは清浄な状態であるので耐電圧は高く放電しない。この結果、進み小電流遮断試験性能、コンデンサバンク開閉試験性能が向上する。また、開閉動作を1つの開閉機構によって行うため、部品点数が減り、製造、調整の信頼性が増す。
特徴11:2組の接点対Aおよび接点対Bを直列に設け、各々の可動電極棒にベローズを設け別々に開閉できるような構造として、投入時には常に接点対Bが先に閉じ、接点対Aは後から閉じるように動作させる。一方、開極時には接点対Bが接点対Aより後に開離することがないようにする。この動作により、接点対Aだけに溶着引き外しが生じ、接点対Bは清浄な状態が維持される。このため、接点対Aで放電が生じても、接点対Bは清浄な状態であるので耐電圧は高く放電しない。結果として、進み小電流遮断試験性能、コンデンサバンク開閉試験性能が向上する。
特徴12:それぞれ真空空間内で開閉する2組の接点対A,Bを有する真空遮断装置において、前記真空遮断装置の閉極時には、一方の前記接点対Bの可動接点が前記接点対Bの固定接点に接触するタイミングTBCが、他方の前記接点対Aの可動接点が前記接点対Aの固定接点に接触するタイミングTACより前になるように(つまりTBC<TACとなるように)閉極し、前記真空遮断装置の開極時には、前記他方の接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から開離するタイミングTAOが、前記一方の接点対Bの前記可動接点が前記接点対Bの前記固定接点から開離するタイミングTBOより前にならないように(つまりTBO≦TAOとなるように)開極するように、前記一方の接点対Bおよび前記他方の接点対Aのそれぞれの前記可動接点が、開閉機構によって駆動されるものであり、前記閉極動作により前記他方の接点対Aでプレアークが生じ接点表面の損傷が生じるが、前記一方の接点対Bは清浄に保たれることから、開極動作時は清浄な前記一方の接点対Bを先に開く、もしくは前記他方の接点対Aと前記一方の接点対Bとを同時に開き、前記他方の接点対Aの電界を下げるように動作する。
特徴13:それぞれ真空空間内で開閉する2組の接点対A,Bを有する真空遮断装置において、真空遮断装置の閉極時には、一方の接点対Bはその可動接点2がその固定接点3に接触した後に、他方の接点対Aの可動接点2が接点対Aの固定接点3に接触し、真空遮断装置の開極時には、他方の接点対Aの可動接点2の他方の接点対Aの固定接点3からの開離より後に一方の接点対Bの可動接点2が一方の接点対Bの固定接点3から開離しないように開離するように、一方の接点対Bおよび他方の接点対Aのそれぞれの可動接点2が、開閉機構23によって駆動されることにより、可動電極の開極距離や開極速度を大きくすることなく耐電圧性能が向上し、特に進み小電流遮断試験およびコンデンサバンク開閉試験における遮断性能が向上する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を適宜、変形、省略することができる。
なお、図1,2,6,12の各図において、CL1は可動接点2,固定接点3,コイル5,可動電極棒6,固定電極棒7,ベローズ8,アークシールド11,絶縁ロッド12,ロッド31の共通の中心線、CL2は固定電極棒7,電界緩和シールド14,支持部材15,真空バルブ支持ブッシング22の共通の中心線である。また、図1〜12の各図中、同一符合は同一または相当部分を示す。
1 真空バルブ、 2 可動接点、 3 固定接点、
4 縦磁界電極、 5 コイル、 6 可動電極棒、
7 固定電極棒、 8 ベローズ、 9 フランジ、
10 絶縁筒、 11 アークシールド、 12 絶縁ロッド、
13 タンク側ベローズ、14 電界緩和シールド、 15 支持部材、
16 可とう導体、 17 ガイド、 18 ブロックS、
19 支持用絶縁体、 20 タンク、 21 蓋、
22 真空バルブ支持ブッシング、 23 開閉機構、
24 リンク機構、 25 ブッシングの中心導体、
25B ブッシング、 26 割り端子、 27 継手A、
28 継手B、 29 回転軸、 30 シャフト、
31 ロッド、 32 スライダ、 33 連結部、
34 分圧コンデンサ、35 衝撃吸収構造体、 36 穴、
CL1,CL2 中心線。

Claims (12)

  1. 空空間内で開閉する可動接点と固定接点とでそれぞれ構成された接点対Aおよび接点対Bを有する真空遮断装置において、
    前記真空遮断装置の閉極時には、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点に接触するタイミングが、前記接点対Bの前記可動接点が前記接点対Bの前記固定接点に接触するタイミングの後となるように、さらに前記真空遮断装置の開極時には、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から開離するタイミングが、前記接点対Bの前記可動接点が前記接点対Bの前記固定接点から開離するタイミングより後となるように、前記接点対Aの前記可動接点および前記接点対Bの前記可動接点を駆動する開閉機構を有し、
    前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から離れる時間のばらつきの幅をΔtとすると、前記開極時の再起電圧の立ち上がりから1サイクル後の前記Δtの範囲で前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から開離する
    ことを特徴とする真空遮断装置。
  2. 空空間内で開閉する可動接点と固定接点とでそれぞれ構成された接点対Aおよび接点対B並びに接点対Aおよび接点対Bのそれぞれに対応して設けられた分圧コンデンサを有する真空遮断装置において、
    前記真空遮断装置の閉極時には、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点に接触するタイミングが、前記接点対Bの前記可動接点が前記接点対Bの前記固定接点に接触するタイミングの後となるように、さらに前記真空遮断装置の開極時には、前記接点対Aの前記可動接点が前記接点対Aの前記固定接点から離れるタイミングが、前記接点対Bの前記可動接点が前記接点対Bの前記固定接点から離れるタイミングと同時かまたは後となるように、前記接点対Aの前記可動接点および前記接点対Bの前記可動接点を駆動する開閉機構を有し、
    前記分圧コンデンサにより前記接点対Bの分圧を前記接点対Aの分圧より下げることによって前記接点対Bが遮断用の接点対とされ前記接点対Aが耐圧用の接点対とされると共に、前記接点対Bが高遮断性能接点材で形成され、前記接点対Aが高耐圧接点材で形成されている
    ことを特徴とする真空遮断装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の真空遮断装置において、前記接点対Aおよび前記接点対Bが、共通の真空容器内に配設されていることを特徴とする真空遮断装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の真空遮断装置において、前記接点対Aおよび前記接点対Bが、それぞれ個別の真空容器内に配設されていることを特徴とする真空遮断装置。
  5. 請求項1または請求項2に記載の真空遮断装置において、前記接点対Aおよび前記接点対Bが、共通の前記開閉機構により駆動されることを特徴とする真空遮断装置。
  6. 請求項1から5の何れか一に記載の真空遮断装置において、前記接点対Aおよび前記接点対Bの何れも平板電極であることを特徴とする真空遮断装置。
  7. 請求項1から5の何れか一に記載の真空遮断装置において、前記接点対Aおよび前記接点対Bの何れも縦磁界電極であることを特徴とする真空遮断装置。
  8. 請求項1から5の何れか一に記載の真空遮断装置において、前記接点対Aおよび前記接点対Bが平板電極と縦磁界電極との組み合わせであることを特徴とする真空遮断装置。
  9. 請求項1から5の何れか一に記載の真空遮断装置において、前記接点対Aおよび前記接点対Bが平板電極とスパイラル電極との組み合わせであることを特徴とする真空遮断装置。
  10. 請求項1から9の何れか一に記載の真空遮断装置において、前記固定接点を支持する支持部と前記固定接点とは、アークが前記固定接点から前記支持部に移行しないように固定電極棒を介して所定距離離間していることを特徴とする真空遮断装置。
  11. 請求項10に記載の真空遮断装置において、前記固定電極棒と前記支持部との間に、前記閉極時の衝撃を吸収する衝撃吸収構造体が設けられていることを特徴とする真空遮断装置。
  12. 請求項1から11の何れか一に記載の真空遮断装置において、前記開閉機構が電磁アクチュエーターによって前記駆動をする開閉機構であることを特徴とする真空遮断装置。
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