JP2004280028A - 可飽和吸収チップとその製造方法及び可飽和吸収チップを用いたデバイス - Google Patents

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Madoka Tokumoto
圓 徳本
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弘道 片浦
Hirotsugu Achinami
洋次 阿知波
Yuichi Tanaka
佑一 田中
Kenneth Zhaboronski Mark
ケンネス ジャボロンスキー マーク
Yun Set Sze
ジ イヨン セット
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Abstract

【課題】CNTを用いて可飽和吸収チップを構成するが、これまでは、機械的に脆弱な状態であって、大量生産に不向きな構造となっていた。しかも、可飽和吸収特性についても改善の余地があった。
【解決手段】本発明では、機械的に脆弱であった構造を、2枚の光学材料を用いることで強化したもので、併せて、この光学材料を用いることで大量生産に適した、しかも、反射損失を抑え安定した可飽和吸収特性を有するチップ構造とした可飽和吸収チップ、その製造方法、および可飽和吸収チップを用いた可飽和吸収デバイスの提供を実現したものである。
【選択図】図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は筒状の炭素分子であるカーボンナノチューブ(Carbon NanoTube:以下、CNTという)を用いた可飽和吸収チップに関わり、その散乱損失を少なくした可飽和吸収チップ、その製造方法、および可飽和吸収チップを用いたデバイスに関するものである。
特にこの発明に関わるチップでは、光通信波長帯域(波長0.8μm〜2μm)での光ノイズを効果的に減少させることを実現したものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信分野においては、光アンプなどによる光ノイズを減少させSN比を向上させる試みが行われている。
ここでは、CNTを用いた可飽和吸収チップに着目したもので、このCNTを用いた可飽和吸収チップの作製は、本出願人が提案した発明、具体的には、特願2002−048392に開示されている。
【0003】
ここでの可飽和吸収チップの作成は、一例としてCNTを溶液に混ぜてスプレー法により膜状に形成している。具体的には、CNTを必要により界面活性剤等を添加した溶液に混ぜて分解液を得、これを透明な光学材料、ここではガラス基板の被塗布物上にスプレー塗布し、乾燥することで可飽和吸収チップを作製している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如き構成では、CNTが1枚のガラス基板上に塗布された状態のままであり、表面上に剥き出し状態で大気の雰囲気中での使用形態となって、環境変化、特に湿度の変化に対し無防備であるとともに、機械的に脆弱な状態にあることから、期間を経ることで、チップとしての信頼性に欠ける欠点が懸念されていた。
また、上記従来例で用いるCNTは普通、絡まっていてその大きさ等が一様でなく、しかも露出状態にあることから表面での光散乱損失が大きく、チップとしての特性の安定性に欠ける問題もあった。
更に、その構造上、CNTがスプレー塗布されたままの露出構造にあり、しかもその加工技術に高度のものが要求されることから大量生産に適しているとは云えず、チップの量産効果による低価格の実現が求められていた。
更に、反射損失を抑えてその吸収性能を向上させるとともに、透過損失を抑えて可飽和吸収性能を向上させた特性要求を満たす可飽和吸収デバイスの早期実現が期待されているのである。
【0005】
本発明は上記課題を解消するためになされたものであって、CNTを用いた可飽和吸収チップとして要求される可飽和吸収特性を満たすことは勿論であるが、透過損失を少なくして素子としての安定性の向上を図るとともに、機械的に脆弱であったCNTを光学材料より成る2枚の基板で挟み込み紫外線硬化樹脂で閉じ込めることで、安定で生産性に優れた構造を持つチップを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では可飽和吸収チップを提案するにあたり、丈夫で作製し易いチップ構造にしたものである。
具体的には、反射防止膜(Anti Reflection Coating:以下、ARコートという)を施した光学材料を用いた2枚の基板の間に、CNTを紫外線硬化樹脂を用いてシート状に固めて閉じ込めることにより生産性とともに環境耐性を向上させ、更には、入射光に対する散乱が少なく、また、反射損失が小さい安定したチップ構造を実現したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による可飽和吸収チップの実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に関わる可飽和吸収チップの一実施形態の説明図である。今回、CNTを用いた可飽和吸収チップにおいて、光の散乱損失を削減させるため反射防止膜であるARコートを付加した光学材料、ここでは、2枚のガラス基板を用いてCNTを挟み、その後、紫外線硬化樹脂により固めて安定させ、且つ光散乱を減少させた構成となっている。以下、詳述する。
【0008】
尚、以下の図を用いた説明では、使用するCNT、紫外線硬化樹脂、ARコート、反射ミラーは、2枚のガラス基板の厚みと較べ非常に薄いものであることから、本発明を理解し易くするためにデフォルメした形で現している。
【0009】
図1において、1A、1Bはガラス基板であって、石英ガラス、あるいは光学ガラス(例えば、BK7)の表面を光学研磨したものとなっている。そして、その片面の表面にはそれぞれ光の反射防止膜であるARコート1a、1bが施されている。
また、1cは、前記ガラス基板1のARコートが施されていない他面に形成されたCNTの膜であり、その膜厚は数μm、望ましくは1〜2μmの程度に形成され、使用するCNTは、光ノイズを効果的に減少出来るよう、使用される光通信の波長帯域、例えば0.8μm〜2μmの波長帯域で最大吸収となるようにその直径、長さについて適宜選択される。
2は、CNTを溶かし込んだ分散液を散布するスプレー手段であり、3は紫外線硬化樹脂樹脂である。
【0010】
この時の紫外線硬化樹脂3は、その屈折率を上記使用するガラス基板1A,1Bの屈折率と同じ、あるいはほぼ同程度のものを使用することが望ましく、このことで、後述する工程により可飽和吸収チップが完成した場合、そのチップ全体が光学的に一体になることが出来、散乱を抑えることが出来るのである。
【0011】
以下、可飽和吸収チップの作製について、順を追って説明する。
先ず、図1(A)に示すように、一例として一辺が20〜30mm程度のサイズで光学研磨され片面にARコート1aが施されたガラス基板1Aの他面に、スプレー手段2を用いて、CNTを吹き付け、CNT膜1cを形成する。
【0012】
ここで、CNT膜1cの形成であるが、精製されたCNTを、例えばアルコール、ジクロロエタン、あるいはヂメチルフォルムアミド等の溶液に均一分散させて調整した分散液を使用する。この調整された分散液を、スプレー手段2の吐出口からガラス基板1Aに向けてスプレー散布することで、良質なCNT膜1cを得ることが出来る。この状態を示しているのが図1(B)である。
この時の、スプレー法により形成するCNT膜1cの膜厚は、1〜2μm程度に形成される。
また、上記調整した分散液でのCNTの分散濃度は、例えば、ヂメチルフォルムアミドを分散媒とした場合には、5〜100mg/ml以下が好適であり、また、調整時に、必要により界面活性剤、水酸化ナトリウム等を添加することで、より良質なCNT薄膜を形成することが期待出来る。
【0013】
次いで、図1(C)に示すように、上記形成したCNT膜1c表面上に紫外線硬化樹脂3を適量落とす。この時、紫外線硬化樹脂3は、自身の表面張力によりCNT膜1c上に拡がって行く。
この後、図1(D)に示すように、上記紫外線硬化樹脂3が滴下されているガラス基板1AのCNT膜1c上に、光学研磨され、片面にARコート1bが施されたガラス基板1Bを、この場合ガラス面が露出した面を向けて重ねる。
【0014】
この時、紫外線硬化樹脂3がCNT膜1c全面に広がるように、必要によりガラス基板1A、1Bの片方あるいは両方に均一に加圧することで、紫外線硬化樹脂3はガラス基板1A,1B間全面に均一に広がり、余分な紫外線硬化樹脂3ははみ出ることになる。
【0015】
次いで、図1(E)にあるように、上記積層したガラス基板1A、1Bのどちらか一方、あるいはその両方の平面に紫外線4を照射する。これにより、CNT膜1cを、紫外線硬化樹脂3の硬化とともに、ガラス基板1A、1B間に閉じ込めることが出来たことになる。
【0016】
以上により、屈折率を高めるための反射防止膜であるARコートを端面に形成した2枚のガラス基板を用い、加えて、散乱原因を保有していたCNTを、屈折率がガラス基板と同じ、あるいはほぼ同程度である紫外線硬化樹脂を利用して閉じ込めつつ2枚のガラス基板との一体化を実現出来た。
【0017】
この後、上記得られたガラス基板を例えばICチップウエハーの切断と同様に、所望のチップサイズ、例えば1mm〜数mm程度になるように切断し、1枚のガラス基板、ここでは20〜30mmサイズのガラス基板から、多数の可飽和吸収チップを切り出すことで、機械的に安定した壊れ難い強度を確保しつつ、環境耐性に優れ、散乱を抑え、長期間安定した特性を維持出来る可飽和吸収チップを得ることが出来る。
【0018】
図2は、上記切り出した可飽和吸収チップ1の外側両端面に共焦点型の非球面レンズ5a〜5dを用いた集光コリメータを配し、一体型として構成した可飽和吸収デバイスを示す原理図である。同図において、6a,6bは光信号を伝送するファイバであり、7a,7bはファイバ6a,6b端部を保護するフェルールである。
ここでは、直径1mm〜数mm程度の非球面レンズ5a〜5dの光学位置調整をすることで、可飽和吸収チップ1のCNTのところでファイバ6aあるいは6bからの光信号を最少に絞込み、可飽和吸収デバイスとしてより大きな可飽和性能を得ることが出来ることになる。
【0019】
次に、本発明に関わる他の可飽和吸収デバイスの実施形態について説明する。図3(A)は、全体図であり、同図(B)は、主要部の可飽和吸収チップ11の構成を説明する分解図である。
【0020】
図3において、12A,12Bは先に説明の実施形態と同様、光学研磨された第1と第2のガラス基板であり、その片面には無反射防止膜であるARコート12a,12bが、他面には高反射(例えば100%の)ミラー13a,13bが形成されている。また、14は本発明の主要構成要素であるCNT、15は紫外線硬化樹脂であり、他は図2と同様の構成となっている。
【0021】
以上の構成において、可飽和吸収チップ11は図1で説明した同様の手順により得ることが出来る。この場合、ガラス基板12A,12Bを反射ミラー13a,13bが向かい合う基板間にCNT14を含む紫外線硬化樹脂15の薄膜を挟み込み、その後、紫外線(図示せず)を照射することで硬化させ、両ガラス基板12A,12Bを一体に形成し、可飽和吸収チップ11を構成している。
【0022】
ここでは、高反射ミラー13a,13bを形成したことで透過光を多重反射させることになり非線形性をより強めるので、ここでの可飽和吸収チップ11では、先の図1及び図2で用いた可飽和吸収チップ1と較べて、より大きな可飽和吸収効果を得る事が出来る。
【0023】
図4は、これまでと異なる構造のチップを用いた可飽和吸収デバイスの実施形態を示す原理図であり、同図(A)は、全体図であり、同図(B)は、主要部の可飽和吸収チップ21の構成を説明する分解図である。
【0024】
図4において、22A,22Bは先に説明の実施形態と同様、光学研磨された第1と第2のガラス基板であり、第1のガラス基板22Aの外側表面には無反射防止膜であるARコート22aが、第2のガラス基板22Bの内側表面には高反射(例えば100%の)ミラー22bが形成されている。また、14は本発明の主要構成要素であるCNT、15は紫外線硬化樹脂である。
【0025】
以上の構成において、ガラス基板22Aの内側表面と,ガラス基板22Bの反射ミラー22bが形成された内側表面が向い合い、その基板間にCNT14を含む紫外線硬化樹脂15の薄膜を挟み込み、その後、紫外線(図示せず)を照射することで硬化させ、両ガラス基板22A,22Bを一体に形成し、可飽和吸収チップ21を構成している。
【0026】
ここでは、高反射ミラー22bを形成したことにより、可飽和吸収ミラーとして用いることが出来るもので、これは、モード同期レーザ発信器等に非常に有効なものとなる。
【0027】
Figure 2004280028
表−1
表−1は、これまでの可飽和吸収チップについてその特性を纏めたものであって、表中、透過率は光の透過損失の割合を示し、dB値、%値は大きいことが望ましく、又、変化量は可飽和性能を示すもので、大きいことが望ましいものである。
サンプル1は、従来例として述べた可飽和吸収チップの片面(ガラス基板面)にARコートを施したものであり、サンプル2は、本発明を適用した一実施形態で、ARコートを施した2枚のガラス基板の間にCNTを紫外線硬化樹脂を用いてシート状に固めて閉じ込めたものである。このサンプル2のサンプル1との比較では、両面のARコートと紫外線硬化樹脂の作用で散乱を抑えられたので、透過率が向上して大きく改善されていることが確認出来る。
【0028】
サンプル3は、サンプル2に対して更に改良を進めた実施形態例であって、この場合、真空中加熱処理を施したものであり、後述する加熱作用による効果で、サンプル2と較べ変化量が大きく改善され、サンプル1との比較では、透過率、変化量とも改善されていることが確認出来る。
ここでの真空中加熱処理は、製造過程で混入した残留金属(ニッケル、コバルト等)を除去するための塩酸処理や、CNT膜の形成過程で用いた溶媒が、それぞれCNTの内部やCNT間の隙間に侵入して残留塩酸や残留溶媒となり、これが得られる可飽和吸収チップの特性に少なからず影響を与えていると推定し、それを除去することを意図したものである。ここでは、真空中の200度前後で、1時間加熱した結果、上記残留塩酸、残留溶媒等が昇華によりほぼなくなり、結果、可飽和吸収チップとしての更なる特性の改善を確認することが出来たものである。
尚、加熱温度を高くすることで、加熱時間を短くすることも可能であり、同様に特性の改善を得ることが出来る。
【0029】
次に、本発明を適用した他の実施形態について説明する。
図5は、本発明に関わるのチップ構造を光ファイバの相互接続に適用した実施形態を示す説明図である。
図5において、51a,51bはシングルモードファイバ(Single Mode Fiber:以下、SMFという)であり、52a,52bはこのSMF51a,51bを保護するフェルールである。
【0030】
先ず、図5の(A)に示すように、SMF51aの端部をフェルール52aに通し、図示の状態でSMF51aの端面をフェルール52aの端面とともに清浄し、研磨する。
次いで、SMF51aとフェルール52aの端面表面にCNT53をスプレー法等によって塗布し、併せて紫外線硬化樹脂54を塗布する。
【0031】
この塗布面に上記同様に端面を清浄、研磨したSMF51b、フェルール52bを、図5(C)に示すように、SMF51aの中心軸と合うように調整・固定手段(図示せず)を用いて調整して面接触させ、固定する。
その後、上記接触面に対し、紫外線(図示せず)を照射して紫外線硬化樹脂54を硬化させ、図5(D)に示すようにSMF51a,51bを一体化する。
尚、この後、上記一体化出来た個所に対して、必要により保護キャップ(図示せず)被せることで、その強度を確保、維持することが出来る。
【0032】
ここで、CNTにあっては、従来技術の説明の項で述べた先願発明、具体的には特願2002−048392にも記載するように、光の吸収率はその強度により非線形に変化することが知られており、より強い光は透過率が高く、より弱い光は吸収率が高くなって透過率が低下し、遮断される。これにより透過光は入射光に対してSN比が大きくなる。このことからCNTの透過率は光強度により変化するものであること、CNTの部分での光ビーム断面積に逆比例して光強度が高くなることが理解出来る。
このため光強度の低いところでも可飽和吸収性能を発揮するために光ビーム断面積を小さくすることで光強度を高くすることになるが、光ファイバの場合、一本の直径が1mm未満で、実質的に光が通過するコアの直径は10μm以下であることから、その表面で通過する断面積は小さく光強度が高いことが理解出来る。
【0033】
以上の説明ではSMFを用いて行ったが、本発明はこれのみではなく、例えば、分散シフトファイバ(DSF:Dispersion Sift Fiber)に適用しても、本発明の所期の目的を損なうことなく、充分な効果を期待することが出来ることは説明するまでもない事項である。
【0034】
このように、2枚のガラス基板を配し、その間にCNTとともにその屈折率がガラス基板と同じ紫外線硬化樹脂を挟み込むことで散乱ロスを24%(1dB)改善し、加えて、使用するガラス(石英ガラスまたはBK7等の光学ガラス)に無反射コートを施すことにより反射ロスを約8%改善したものである。
以上のようにガラス基板と紫外線硬化樹脂を用いてCNTを機械的に安定させることにより、扱う光の透過率が高く、対環境性に優れ、取扱が簡単で、汚損したときも洗うことが可能な安定した可飽和吸収チップを実現することが出来た。尚、CNT自身は機械的に安定にすることにより1GWまでの光強度、1200度程度までの高温に対しほとんど変質しないことが判っている。
【0035】
また、光学材料、CNTの直径及び長さ、紫外線硬化樹脂を適宜選択し、組合せることで、吸収波長を所望の波長、ここでは、光通信波長帯域とされる0.8μm〜2μmに調整することにより吸収強度を高くし、相対的に可飽和吸収性能を高めることも出来ることは説明するまでもないことである。
【0036】
ここで、可飽和吸収チップの両端に図2で示したように非球面レンズを用いた集光コリメータを配して一体にした可飽和吸収デバイスを透過する光強度についてみると、その強度は光ピークパワーにより変化する。
CNTの場合、光強度が大きければ大きいほど透過率が高く、低ければ低いほど吸収が大きく透過率は下がり、遮断されることになる。
すなわち、光通信などの光伝送系において光ノイズなどの低いパワーレベルのものは受動的に吸収が大きくなって透過率は低くなり、逆に必要な信号などのパワーレベルの高いものは受動的に透過率が高くなって、CNTをその主要構成要素として用いる本発明の可飽和吸収チップが有効であることが理解出来る。
【0037】
尚、このCNTを用いた本発明が光通信に有効であることは、光強度により吸収強度の変化を確認するために入射強度対透過強度量の測定により確認出来るが、これについては、前出の特願2000−048392にZ−スキャン法として詳述されているので、ここでは説明しない。
【0038】
以上の説明では、光学材料として、ガラス基板としたが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、その他の光学材料として、プラスチック材や、アクリル材を使用しても本発明の所期の課題を解決し、有効な効果を得ることが出来るものであることは、説明するまでもない。
【0039】
さらに、光学材料としてサファイアを用いることも有効である。これは、デバイスとして使用した場合、大きな光パワーを受けることが予想され、その際には、温度が上昇し、挟み込む紫外線硬化樹脂を変質させる可能性があることから、熱伝導率が高いサファイアを用いることで、本発明の所期の課題を解決し、併せて有効な効果を期待出来るものである。
【0040】
また、使用するCNTとして、そのチューブ構造は、単層CNT(Single−Wall CNT)に限定されず、多層CNT(Multi−Wall CNT)であっても、本発明の所期の効果を期待することが出来る。
【0041】
【発明の効果】
CNTは普通、絡まっていて太さなどが一様でなく光散乱が大きいが、本発明のように、ARコートした光学材料の基板で挟み、紫外線硬化樹脂で固定することにより安定で壊れにくい可飽和吸収チップ構造とすることができた。
また、光学材料基板を、ARコートしたことで表面反射一面の反射を少なく(数パーセント程度)し、更に、CNT自身の散乱を、使用する光学材料基板とほぼ同じ屈折率である紫外線硬化樹脂を用いて閉じ込めることで、損失を少なく(1db程度)することができた。
【0042】
更に、これまで機械的に脆弱であったCNTを2枚のAR付ガラス基板に紫外線硬化樹脂で閉じ込める構造としたことにより、機械的強度の強化とともに環境変化にも対応出来ることになって特性の安定が得られ、扱い易さの向上による生産性の向上とともに価格を抑え、しかも反射損出が小さい安定したチップ、デバイスとすることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる可飽和吸収チップの一実施形態の工程説明図
【図2】本発明に関わる可飽和吸収チップを用いたデバイスを示す原理図である。
【図3】本発明に関わる可飽和吸収チップを用いた他のデバイスを示す原理図であり、同図(A)は全体図、同図(B)はそこで使用する可飽和吸収チップの構成を説明する分解図である。
【図4】本発明に関わる可飽和吸収チップを用いた他のデバイスを示す原理図であり、同図(A)は全体図、同図(B)はそこで使用する可飽和吸収チップの構成を説明する分解図である。
【図5】本発明に関わるチップ構造を光ファイバに適用した実施形態を示す原理図である。
【符号の説明】
1,11,21・・・可飽和吸収チップ
1A,1B,12A,12B,22A,22B・・・ガラス基板
1a,1b,12a,12b,22a・・・ARコート
1c,14・・・CNT膜
2・・・スプレー手段
3,15,54・・・紫外線硬化樹脂
4・・・紫外線
5a,5b,5c,5d・・・非球面レンズ
6a,6b・・・ファイバ
7a,7b,52a,52b・・・フェルール
13a,13b,22b・・・高反射ミラー
51a,51b・・・SMF(シングルモードファイバ)
53・・・CNT

Claims (11)

  1. 透明な光学材料を用いた2枚の基板を用い、その間にカーボンナノチューブを挟み、紫外線硬化樹脂で固定することにより構成したことを特徴とする可飽和吸収チップ。
  2. 請求項1に記載の可飽和吸収チップにおいて、各基板の外側表面上に無反射コートを施したことを特徴とする可飽和吸収チップ。
  3. 透明な光学材料であって外側表面上には無反射コートを、内側には反射ミラー施した2枚の基板を用い、2枚の基板の内側対面間にカーボンナノチューブを挟み、紫外線硬化樹脂で固定することにより構成したことを特徴とする可飽和吸収チップ。
  4. 透明な光学材料であって外側表面上に無反射コートを施した第1の基板と、透明な光学材料であって内側表面上に反射ミラーを施した第2の基板とを用い、第1の基板の内側と、第2の基板の内側との間にカーボンナノチューブを挟み、紫外線硬化樹脂で固定することにより構成したことを特徴とする可飽和吸収チップ。
  5. 請求項1乃至請求項4に記載の可飽和吸収チップにおいて、紫外線硬化樹脂の屈折率が、光学材料の屈折率と同じ、あるいはほぼ同程度のものとしたことを特徴とする可飽和吸収チップ。
  6. 請求項1乃至請求項5に記載の可飽和吸収チップにおいて、不純物を少なくすることを目的として加熱処理を加えたことを特徴とする可飽和吸収チップ。
  7. 透明な光学材料であって外側表面上に無反射コートを施した2枚の基板を用い、一方の基板の内側に、カーボンナノチューブと紫外線硬化樹脂を施すとともにもう一方の基板を内側に向けて積層し、その後、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、2枚の基板を一体にして構成したことを特徴とする可飽和吸収チップの製造方法。
  8. 透明な光学材料であって外側表面上には無反射コートを、内側には反射ミラー施した2枚の基板を用い、2枚の基板の内側対面間に、カーボンナノチューブと紫外線硬化樹脂を施して2枚の基板を積層し、その後、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、2枚の基板を一体にして構成したことを特徴とする可飽和吸収チップの製造方法。
  9. 透明な光学材料であって外側表面上に無反射コートを施した第1の基板と、透明な光学材料であって内側表面上に反射ミラーを施した第2の基板とを用い、第1の基板の内側と、第2の基板の内側との間に、カーボンナノチューブと紫外線硬化樹脂を施して積層し、その後、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、2枚の基板を一体にして構成したことを特徴とする可飽和吸収チップの製造方法。
  10. 請求項1〜4および請求項6に記載の可飽和吸収チップの両端に、集光コリメータを一体に配して成る可飽和吸収デバイス。
  11. 請求項5に記載の可飽和吸収チップの無反射コート端に、非焦点型非球面レンズを用いた集光コリメータを一体に配して成る可飽和吸収デバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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