JP2004279920A - 偏光分離素子の実装構造、ホログラムレーザユニット及び光ピックアップ装置 - Google Patents
偏光分離素子の実装構造、ホログラムレーザユニット及び光ピックアップ装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】温度・湿度などの環境の変化により、偏光分離素子が作製後からの時間経過とともに内部で上下に剥がれてくるなどの劣化を抑制できる偏光分離素子の実装構造を提供する。
【解決手段】光学的透明基板2,5に光学的異方性膜4が接着された素子構成の場合、偏光分離素子1が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜4の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、少なくとも光学的透明基板2と光学的異方性膜4との間の接着層3Aの側面及び光学的異方性膜4の側面を実装用接着剤13により被覆して大気から遮断することにより、環境の変化等の影響を受けにくくなる。これにより、偏光分離素子1の劣化を抑制することができ、偏光分離素子1の信頼性を向上させることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】光学的透明基板2,5に光学的異方性膜4が接着された素子構成の場合、偏光分離素子1が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜4の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、少なくとも光学的透明基板2と光学的異方性膜4との間の接着層3Aの側面及び光学的異方性膜4の側面を実装用接着剤13により被覆して大気から遮断することにより、環境の変化等の影響を受けにくくなる。これにより、偏光分離素子1の劣化を抑制することができ、偏光分離素子1の信頼性を向上させることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜が光学的透明基板上に形成された偏光分離素子を被着物に実装する偏光分離素子の実装構造、偏光分離素子がこの実装構造により実装されたホログラムレーザユニット及び光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクの情報読取部である光ピックアップは、現在、小型化、低価格化、高性能化などの要求を受けている。中でも、偏光分離素子は期待を集めている。偏光分離素子は半導体レーザ素子及び受光素子が設けられたレーザユニットからの出射光を全透過し、光ディスクからの反射光を回折させてレーザユニットの受光素子にて受光させる役割を果たす。
【0003】
これまで提案されてきた偏光分離素子1の構造例の一例を図1の断面図に示す。図1に示す構成例は、例えば、特許文献1,2によるものであり、後述するように本発明にも適用される例を示している。図において、この偏光分離素子1は、下から順に下部透明基板2、接着層3A、有機複屈折膜などの光学的異方性膜4、接着層3B、上部透明基板5を積層させた構造とされている。ここに、光学的異方性膜4には、凹凸状の回折格子6が形成されており、その溝を接着層3Aの接着剤が埋める構造になっている。下部透明基板2及び上部透明基板5は光学的に透明である。
【0004】
このような偏光分離素子1は、例えば図13及び図14に示すように、ホログラムレーザユニット11のキャップ12上に接着剤13を用いて実装される。ここに、ホログラムレーザユニット11は、図14に示すように、リード14を有するステム15上に発光素子としての半導体レーザ16と受光素子17とを一体に配置させてなる。そして、半導体レーザ16から出射された入射光が偏光分離素子1に下面から入射し、光ディスクからの反射光はλ/4板18によって偏光方向が90°回転し、偏光成分の違いにより回折格子6(図1参照)部分で異常光線が分離され、受光素子17で受光され信号が検出されることとなる。
【0005】
このような偏光分離素子1は、その素子サイズ(大きさ)が数mm角程度であるため、直径4〜8インチの透明基板ウェハーに接着された有機複屈折膜上に数10〜数100個の回折格子を2次元アレイ状に作製し、その後、ダイシングによって個々の偏光分離素子を取り出す作製方法がある。即ち、下部透明基板2に相当する透明基板ウェハー上に有機複屈折膜などの光学的異方性膜4を貼り付け、その表面にエッチングにより回折格子6を形成し、上部透明基板5に相当する透明基板ウェハーを貼り合わせた後、図15(ウェハーからなる複数偏光分離素子体19の切削を真上から見た模式図)に示すようにダイシングによりウェハーからなる複数偏光分離素子体19をダイシングラインに従い一定間隔で縦横に切削することにより、数mm角の偏光分離素子1のチップを作製し、各チップを取り出す方法が、例えば特許文献1,2により提案されている。
【0006】
ところで、このように作製される構造の偏光分離素子1は、図16に示すように有機複屈折膜などの光学的異方性膜4が温度・湿度などの環境の変化に対して伸縮し、接着層3Aとの界面(若しくは、接着層3Bとの界面)で剥離することによって劣化することがある。図16は偏光分離素子1の下部(光学的異方性膜4、接着層3A、下部透明基板2)を模式的に示した正面図であり、光学的異方性膜4が接着層3Aとの界面で剥離する様子を誇張して示している。
【0007】
そして、このような偏光分離素子1のホログラムレーザユニット11への実装として、一般的にはホログラム実装装置を用いて偏光分離素子1を実装位置に水平になるようにして、図13及び図14に示すように紫外線硬化型樹脂である実装用接着剤13で偏光分離素子1の下面4隅をレーザユニットのキャップ12上面に接着する構造が用いられている。
【0008】
その他に、これまで半導体レーザのパッケージのキャップガラスにホログラムガラスを隙間なく接着する構造や、隙間を外部と連通させて接着する構造も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
しかしながら、固定用の紫外線硬化樹脂の粘度が低いため、この樹脂がキャップ側面に流れ出すという不都合が生じてしまう。そのため、樹脂の流れを防止するために、キャップ部のホログラム素子との接着面側に切り欠き部を設ける構造も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−75130公報
【特許文献2】
特開2001−66428公報
【特許文献3】
特開平6−162547号公報
【特許文献4】
特開平9−214065号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これらの特許文献3,4等に示される構造では、偏光分離素子1を実装することはできるが、図16により前述したような偏光分離素子1の劣化を抑制しているわけではない。よって、偏光分離素子1を実装すると同時に偏光分離素子1としての信頼性を向上させ、その結果として、ホログラムレーザユニットないしは光ピックアップ装置の信頼性を向上させ得る偏光分離素子の実装構造が必要とされる。
【0012】
本発明の目的は、温度・湿度などの環境の変化により、偏光分離素子が作製後からの時間経過とともに内部で上下に剥がれてくるなどの劣化を抑制することができる偏光分離素子の実装構造を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、温度・湿度などの環境の変化により、偏光分離素子が作製後からの時間経過とともに内部で上下に剥がれてくるなどの劣化を積極的に抑制することができる偏光分離素子の実装構造を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜が光学的透明基板上に形成された偏光分離素子を被着物に実装する偏光分離素子の実装構造において、少なくとも前記光学的異方性膜と前記光学的透明基板との間の接着層の側面及び前記光学的異方性膜の側面を、前記偏光分離素子を前記被着物に接着する実装用接着剤により一体に被覆してなる。
【0015】
従って、光学的透明基板に光学的異方性膜が接着された構成の場合、偏光分離素子が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、少なくとも光学的透明基板と光学的異方性膜との間の接着層の側面及び光学的異方性膜の側面を実装用接着剤により被覆して大気から遮断することにより、環境の変化等の影響を受けにくくすることができ、よって、偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。特に、これらの側面を実装用接着剤により一体に被覆することで、大気からの遮断をより確実に行える。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的透明基板は、前記光学的異方性膜の両面を各々接着層を介して挟む一対の光学的透明基板の何れか一方の基板である。
【0017】
従って、光学的異方性膜が一対の光学的透明基板で挟まれた構造の偏光分離素子の場合、積層面に対して垂直方向から光学的異方性膜を押さえる力が被着物より遠い方の光学的透明基板によって働くが、この場合も、光学的透明基板と光学的異方性膜との間の接着層の側面及び光学的異方性膜の側面を実装用接着剤により被覆して大気から遮断することにより、環境の変化等の影響を受けにくくすることができ、よって、偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の偏光分離素子の実装構造において、前記実装用接着剤は、低吸湿材料よりなる。
【0019】
従って、光学的異方性膜を大気から遮断する役割を果たす実装用接着剤が低吸湿材料による接着剤とすることにより、高湿の影響を受けにくくすることができ、長期に亘って偏光分離素子の信頼性を維持させることができる。
【0020】
請求項4記載の発明は、凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜が光学的透明基板上に形成された偏光分離素子を被着物に実装する偏光分離素子の実装構造において、前記被着物上において前記光学的透明基板と前記光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を付与してなる。
【0021】
従って、光学的透明基板に光学的異方性膜が接着された構成の場合、偏光分離素子が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、被着物上において光学的透明基板と光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を積極的に付与することにより、剥がれによる偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的透明基板として、前記光学的異方性膜の両面を各々接着層を介して挟む一対の光学的透明基板を有する。
【0023】
従って、光学的異方性膜が一対の光学的透明基板で挟まれた構造の偏光分離素子の場合、積層面に対して垂直方向から光学的異方性膜を押さえる力が被着物より遠い方の光学的透明基板によって働くが、この場合も、被着物上において光学的透明基板と光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を積極的に付与することにより、剥がれによる偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の偏光分離素子の実装構造において、前記外的加圧手段は、前記偏光分離素子を前記被着物に接着する実装用接着剤を用いて圧力を付与する。
【0025】
従って、請求項4又は5記載の発明を実現する上で、偏光分離素子を被着物に接着する実装方法とタクトが大きく変わることなく外的加圧手段を実装できるともに、同一材料を用いるためコストを低く抑えることができる。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の偏光分離素子の実装構造において、前記外的加圧手段は、前記実装用接着剤を前記被着物表面から前記偏光分離素子表面上の一部に亘って少なくとも前記偏光分離素子の側面部分で連続させて被覆させることにより形成されている。
【0027】
従って、実装用接着剤の連続被覆により外的加圧手段を容易に実現することができる。
【0028】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の偏光分離素子の実装構造において、前記実装用接着剤は、前記偏光分離素子の側面全てを被覆している。
【0029】
従って、請求項7記載の発明を実現する上で、偏光分離素子の積層面に対して垂直方向に最も大きな押さえ力を作用させることができる上、側面全てを被覆して大気から遮断しているので、環境変化の影響を受けにくくすることもでき、剥がれによる偏光分離素子の劣化をより確実に抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を一層向上させることができる。
【0030】
請求項9記載の発明は、請求項7記載の偏光分離素子の実装構造において、前記実装用接着剤は、前記偏光分離素子の複数箇所に対して圧力を付与するように分割して前記偏光分離素子の側面を被覆している。
【0031】
従って、請求項7記載の発明を実現する上で、偏光分離素子の積層面に対して極力少ない実装用接着剤の量で垂直方向に押さえ力を作用させることができ、最もシンプルな実装構造となり、最もタクトが良く、低コストで実現できる。
【0032】
請求項10記載の発明は、請求項6ないし9の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記実装用接着剤として、感光性樹脂を用いる。
【0033】
従って、実装用接着剤として、感光性樹脂を用いることにより、偏光分離素子の実装工程において実装用接着剤の塗布後の硬化時間を短くすることによってタクトを上げる効果を奏し、かつ、塗布した樹脂が広がるのを防止することもできる。
【0034】
請求項11記載の発明は、請求項4又は5記載の偏光分離素子の実装構造において、前記外的加圧手段は、前記偏光分離素子を前記被着物に接着する実装用接着剤とは異なる部材を用いて圧力を付与する。
【0035】
従って、偏光分離素子の積層面に対して垂直方向に押さえ力を作用させるための外的加圧手段として、実装用接着剤とは異なる部材、例えば、請求項12記載の発明のように金属製又はプラスチックス製部材を用いることにより、接着剤の場合のように接着剤が流れ出すという可能性は少なくなり、実装が容易となる。
【0036】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的異方性膜は有機複屈折膜である。
【0037】
従って、光学的異方性膜が高分子からなる有機複屈折膜の場合、当該偏光分離素子の作製が容易となり、かつ、その材料も低コストで済む。
【0038】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的異方性膜の常光線方向屈折率と異常光線方向屈折率との何れか一方の屈折率と、当該光学的異方性膜に形成された凹凸状の前記回折格子を埋める樹脂の屈折率とが同一である。
【0039】
従って、実装される偏光分離素子における回折格子としての性能が向上し、偏光分離度が向上する。
【0040】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的透明基板は、その光入射面若しくは光出射面の少なくとも一方に反射防止膜が施された光学的透明基板である。
【0041】
従って、実装される偏光分離素子の光学的透明基板が反射防止膜を光入射面又は光出射面に備えることにより、透過率が向上する。
【0042】
請求項16記載の発明は、請求項1ないし15の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的透明基板と前記光学的異方性材料とを接着するために用いられる接着剤は、感光性を有するエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤又はゴム系接着剤である。
【0043】
従って、接着層として紫外線硬化型樹脂のように感光性を有する樹脂、さらには、その樹脂として光学的異方性膜の応力を緩和させる効果を持つ弾力性の強いエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤又はゴム系接着剤を用いることにより、タクトを上昇させ得る上に、当該偏光分離素子内部に発生する応力を緩和させることができ、実装構造と相俟って素子の信頼性が向上する。
【0044】
請求項17記載の発明のホログラムレーザユニットは、発光素子と、受光素子と、これらの発光素子と受光素子とを有するユニットを被着物として請求項1ないし16の何れか一記載の実装構造により実装されて前記発光素子から発せられたレーザ光を透過し光ディスク側からの戻り光を前記受光素子側に回折させる偏光分離素子と、を一体に備える。
【0045】
従って、請求項1ないし16の何れか一記載の実装構造により偏光分離素子が実装されているので、長期に亘って偏光分離素子の信頼性を維持でき、ホログラムレーザユニットとしての寿命を延ばし、その性能も維持することができる。
【0046】
請求項18記載の発明の光ピックアップ装置は、請求項17記載のホログラムレーザユニットと、このホログラムレーザユニットの発光素子から発せられたレーザ光を対物レンズに集光させる対物レンズと、を備える。
【0047】
従って、請求項17記載のホログラムレーザユニットを備えるので、請求項17記載の発明の場合と同様の作用を奏する。
【0048】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。
【0049】
図1は、本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子1の構造例を示す断面図である。この偏光分離素子1は、下から順に下部透明基板2(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層3A(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、光学的異方性膜としての有機複屈折膜4(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層3B(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、上部透明基板5(BK7、厚さ:1.0mm)を積層させた構造とされている。有機複屈折膜4には、凹凸状の回折格子6(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層3Bの接着剤が埋める構造になっている。また、本実施の形態の場合、この偏光分離素子1の寸法は、縦、横の長さはともに4.5mm、高さは2.17mmとされている。このような偏光分離素子1は例えばホログラムレーザユニット11に実装されて前述したような動作をする。
【0050】
図2は偏光分離素子1をホログラムレーザユニット11のキャップ12を被着物として実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、偏光分離素子1がホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装用接着剤である紫外線硬化型樹脂13の接着により位置決め固定され、かつ、偏光分離素子1の側面のほぼ全面がこの紫外線硬化型樹脂13により一体に被覆された実装構造とされている。
【0051】
ここで、まず、このような偏光分離素子1の作製方法について説明する。
【0052】
(a) まず、直径100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる光学的透明下部基板ウェハー(光学的透明基板2用)に紫外線硬化型樹脂を用いて直径80mmの有機複屈折膜を貼り付け、高圧水銀灯によって紫外線を照射し、接着層を硬化させる。
【0053】
(b) 光学的透明下部基板ウェハーに貼付された有機複屈折膜の表面にフォトリソグラフィー、ドライエッチングによって複数の回折格子を2次元アレイ状に形成する。
【0054】
(c) 工程(b)で作製された光学的透明基板ウェハーを回折格子が形成された面を表面にして、平面ステンレス台に固定し、紫外線硬化型樹脂を滴下する。この樹脂が滴下されている面に、光学的透明上部基板ウェハー(光学的透明基板5用)を、反射防止膜が施された面を上側にして配置する。光学的透明下部基板ウェハーと光学的透明上部基板ウェハーが互いに平行に貼り付けられるように一定圧力を加え、紫外線硬化型樹脂の膜厚が基板内で位置に依らず一定になるように広げる。この状態で保持し、上部から高圧水銀灯によって紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂を硬化させる。
【0055】
(d) 工程(c)により作製された上下基板ウェハーをダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図15(切削を真上から見た図)に示したように縦横各12ライン切削し、一辺4.5mmの偏光分離素子1を144個を作製する。
【0056】
(e) その後、ダイシングテープ全体にUV光を照射して、テープから各偏光分離素子1を剥離する。
【0057】
次にこのように作製された偏光分離素子1の実装構造を図2を参照してその実装工程を含めて説明する。
【0058】
(f) まず、把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて、偏光分離素子1をホログラムレーザユニット11のキャップ12の実装位置に水平に位置調整する。
【0059】
(g) 図13及び図14に示したように、偏光分離素子1の側面端部の下4隅にディスペンサを用いて低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13を塗布し、紫外線を照射して仮固定する。
【0060】
(h) さらに、工程(g)による仮固定の後に、図2に示すように偏光分離素子1の側面全面(光学的透明基板2,5の側面、接着層3A,3Bの側面及び有機複屈折膜4の側面の全て)に同質の低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13をディスペンサを用いて一体に塗布し、紫外線を照射して硬化させることにより本固定する。
【0061】
このような偏光分離素子1の実装構造によれば、偏光分離素子1の側面全面が低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13により被覆されているので、剥がれが特に問題となる有機複屈折膜4、接着層3A,3Bの側面(外周面)が大気と接触することなく遮断される。よって、温度・湿度などの環境の変化があってもその影響を受けにくくなり、有機複屈折膜4が反ろうとする力(図16参照)は発生せず、結局、剥がれを生ずることがなく信頼性が維持される偏光分離素子1の実装構造となる。低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13としては、吸水性のないオレフィン系、フッ素系有機高分子材料などが挙げられる。また、シリコン接着シール材などのように、シリコン酸化物、金属酸化物等を含む材料でもよい。
【0062】
ところで、本実施の形態で対象とする偏光分離素子1は、一辺が4.5mmであるので、有機複屈折膜4の中央に形成された回折格子6と偏光分離素子1の端部との距離間隔は数mm程度である。このようにサイズの小さい素子においては、有機複屈折膜4、接着層3A,3Bの側面からの水分侵入による劣化の影響が小さくなく、偏光分離素子1の実装構造として図2に示すような構造例は信頼性を向上させる点で大きな効果を奏する。なお、偏光分離素子1の側面全面を被覆することが好ましいが、若干覆われない箇所があっても、従来と比較すればその効果は大であり、信頼性は大きく向上する。
【0063】
本発明の第二の実施の形態を図3に基づいて説明する。第一の実施の形態で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以降の実施の形態でも同様とする)。
【0064】
本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子1の構造は、第一の実施の形態の場合と同様であるが、本実施の形態の場合、偏光分離素子1の寸法は、縦、横の長さが各々3.2mm、2.8mm、高さ2.17mmとされている。従って、本実施の形態の場合の偏光分離素子1の作製方法は、基本的には、第一の実施の形態で説明した工程(a)〜(e)に従えばよいが、工程(d)のダイシングにおいて、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用い縦方向はライン間隔3.4mmで、横方向はライン間隔3.0mmで、縦横各12ライン切削することにより、縦3.2mm、横2.8mmの偏光分離素子1が144個作製される。
【0065】
図3はこのように作製された偏光分離素子1をホログラムレーザユニット11のキャップ12を被着物として実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、偏光分離素子1がホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装用接着剤である紫外線硬化型樹脂13の接着により位置決め固定され、かつ、偏光分離素子1の側面を下面(キャップ12面)から1.2mmの高さ、即ち、半分程度の途中の高さまでこの紫外線硬化型樹脂13により一体に被覆された実装構造とされている。
【0066】
このような偏光分離素子1の実装構造を図3を参照してその実装工程を含めて説明する。基本的には、第一の実施の形態の場合と同様であり、前述した工程(f)(g)を経た後、工程(h)において、偏光分離素子1の側面を、下面から1.2mmの高さまで低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13をディスペンサを用いて塗布し、紫外線を照射して硬化させることにより本固定すればよい。
【0067】
よって、基本的には、第一の実施の形態の場合と同様な作用・効果が得られる。特に、本実施の形態においては、実装対象とする偏光分離素子1のサイズが、縦3.2mm、横2.8mmであり、有機複屈折膜4の中央に形成された回折格子6と偏光分離素子1の側面端部との距離間隔は数mm程度である。このようにサイズの小さい素子においては、有機複屈折膜4、接着層3A,接着層3Bのダイシング断面からの水分侵入による劣化の影響が小さくなく、偏光分離素子1の実装構造として図3に示すように少なくとも下面側から光学的透明基板5にかかる側面部分全体を低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13により被覆する構造は、信頼性を向上させる点で大きな効果を奏する。なお、第一の実施の形態のように偏光分離素子1の側面全面を紫外線硬化型樹脂13により被覆する方が効果は大きいが、本実施の形態によれば、より少ない紫外線硬化型樹脂13の使用量によって水分侵入等による劣化の影響を抑制することができる。
【0068】
なお、このように偏光分離素子1が実装されたホログラムレーザユニット11は、例えば、図4に示すような光ピックアップ装置21中に組み込まれて利用される。即ち、光分離素子1が実装されたホログラムレーザユニット11に対して光学調整されたλ/4板22、コリメートレンズ23、対物レンズ24、光ディスク25を用いることにより、図4に示すような光ピックアップ装置21の光学系が形成される。
【0069】
また、これらの第一、第二の実施の形態では、偏光分離素子1の構造例としてλ/4板を含まない構造例を挙げたが、後述する実施の形態のようにλ/4板を接着層3Bと有機複屈折膜4との間に含む構造の偏光分離素子としてもよい。また、把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて偏光分離素子1の位置調整を行ったが、位置調整方法・装置は様々でよい。
【0070】
本発明の第三の実施の形態を図5及び図6に基づいて説明する。
【0071】
図5は、本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子31の構造例を示す断面図である。この偏光分離素子31は、前述の偏光分離素子1に準ずるが、接着層3Bと光学的透明基板5との間にλ/4板32及び接着層3Cが付加された積層構造への適用例とされている。即ち、偏光分離素子31は、上から順に、上部透明基板5(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層3C(アクリル系粘着剤、厚さ:0.03mm)、λ/4板32(厚さ:0.1mm)、接着層3B(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、厚さ:0.04mm)、有機複屈折膜4(厚さ:0.1mm)、接着層3A(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、厚さ:0.03mm)、下部透明基板2(BK7、厚さ:1.0mm)を積層させた構造とされている。
【0072】
図6は偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、偏光分離素子1がホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装用接着剤である紫外線硬化型樹脂13の接着により位置決め固定され、かつ、偏光分離素子1の側面全面及び上面(上部透明基板5表面)の光透過部以外の部分がこの紫外線硬化型樹脂13により一体に被覆された実装構造とされている。即ち、紫外線硬化型樹脂13がキャップ12表面から偏光分離素子31表面上の一部に亘って少なくとも偏光分離素子31の側面部分で連続させて一体に被覆してなり、この被覆部分により外的加圧手段33が構成されている。
【0073】
ここで、まず、このような偏光分離素子31の作製方法について説明する。
【0074】
(a) まず、直径100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板ウェハー(下部透明基板2用)に紫外線硬化型樹脂を用いて直径80mmの有機複屈折膜を貼り付け、高圧水銀灯によって紫外線を照射し、接着層を硬化させる。
【0075】
(b) 透明基板ウェハーに貼付された有機複屈折膜表面にフォトリソグラフィー、ドライエッチングによって複数の回折格子を2次元アレイ状に形成する。
【0076】
(c) 偏光分離素子31の上部透明基板5用となる透明基板ウェハーの一面に、粘着剤が塗布されたλ/4板32を貼り付ける。
【0077】
(d) 工程(b)により作製された透明基板ウェハーを回折格子が形成された面を表面にして、平面ステンレス台に固定し、紫外線硬化型樹脂を滴下し、この樹脂が滴下されている面に、工程(c)で作製された透明基板ウェハーのλ/4板32側が平行に貼り付けられるように一定圧力を加え、紫外線硬化型樹脂の膜厚が位置に依らず一定になるように広げる。この状態で保持し、上部から高圧水銀灯によって紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂を硬化させる。
【0078】
(e) 工程(d)により作製された上下透明基板ウェハーをダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図15で説明したように縦横各12ライン切削することにより、各偏光分離素子31に切り分ける。
【0079】
(f) その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各偏光分離素子31を剥離する。
【0080】
次に、このようにして作製された偏光分離素子31の実装構造を図6を参照してその実装工程を含めて説明する。
【0081】
(g) 把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて、偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12の実装位置に水平に位置調整する。
【0082】
(h) 図13及び図14に示したように、偏光分離素子31の側面端部の下4隅にディスペンサを用いて紫外線硬化型樹脂13を塗布し、紫外線を照射して仮固定する。
【0083】
(i) さらに、工程(h)による仮固定の後に、図6に示すように透過光、回折光が入出射する箇所以外の偏光分離素子31の上面及び側面全面に紫外線硬化型樹脂13をディスペンサを用いて塗布し、紫外線を照射し硬化させることにより本固定する。
【0084】
このような偏光分離素子31の実装構造によれば、透過光、回折光が入出射する箇所以外の偏光分離素子31の上面及び側面全面が紫外線硬化型樹脂13により連続して一体に被覆されているので、温度・湿度などの環境の変化により、有機複屈折膜4が反ろうとする力などに起因して、図16で説明した場合のように、偏光分離素子31の内部で剥がれようとする(上下方向)積層方向の力が発生しても、偏光分離素子31の上面にまで連続して被覆されている紫外線硬化型樹脂13が、上下方向(積層面に対して垂直方向)に押さえる圧力を加えることとなり、その応力を緩和する役目を果たすので、剥がれが抑制され、当該偏光分離素子31の劣化が低減される実装構造となる。特に、本実施の形態においては、偏光分離素子31の側面を全面的に紫外線硬化型樹脂13により被覆して大気から遮断しているので、剥がれが特に問題となる有機複屈折膜4の側面について環境変化の影響を受けにくくすることもでき、剥がれによる偏光分離素子31の劣化をより確実に抑制することができ、偏光分離素子31の信頼性が一層向上するものとなる。
【0085】
本発明の第四の実施の形態を図7及び図8に基づいて説明する。まず、本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子31の構造例は、第三の実施の形態の場合と同様である。
【0086】
図7は偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、偏光分離素子1がホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装用接着剤である紫外線硬化型樹脂13の接着により位置決め固定され、かつ、偏光分離素子1の上面の端部から側面の端部、そしてキャップ12表面に至るまで紫外線硬化型樹脂13が連続して偏光分離素子31を被覆する箇所が4箇所に分割されて存在する実装構造とされている。これらの被覆部分が外的加圧手段34を構成している。
【0087】
そこで、本実施の形態の偏光分離素子31の実装構造を図7を参照してその実装工程を含めて説明する。
【0088】
(g) 把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて、偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12の実装位置に水平に位置調整する。
【0089】
(h) 図13及び図14に示したように、偏光分離素子31の側面端部の下4隅にディスペンサを用いて紫外線硬化型樹脂13を塗布し、紫外線を照射して仮固定する。
【0090】
(i) さらに図7に示すように偏光分離素子31の上面の端部からキャップ12の上面まで偏光分離素子31の1つの角の部分に、工程(h)で使用した紫外線硬化型樹脂13を塗布し、紫外線を照射し硬化させることにより本固定する。
【0091】
(j) 同様の作業を偏光分離素子31の残りの3つの角の部分に対して行う。
【0092】
図8はこのような実装構造を示す正面図であり、有機複屈折膜4が反ろうとするなど、上下方向(積層方向)に剥がれようとする力F1が働く際にも、紫外線硬化型樹脂13がキャップ12表面から偏光分離素子31表面上の一部に亘って連続して被覆されていることから、この紫外線硬化型樹脂13が上下方向(積層面に垂直方向)に押さえる力F2を偏光分離素子31に作用させることとなり、光学的異方性膜4から発生する応力を押さえることができ、前述の第三の実施の形態のような効果が得られる。加えて、本実施の形態によれば、第三の実施の形態との比較において、偏光分離素子31の側面全面を紫外線硬化型樹脂13により被覆せず分割構造により部分的としているので、偏光分離素子31の積層面に対して極力少ない紫外線硬化型樹脂13の量で垂直方向に押さえ力を作用させることができ、最もシンプルな実装構造となり、最もタクトが良く、低コストで実現することができる。偏光分離素子31の上面においても、部分的となっているので、紫外線硬化型樹脂13が光透過部にはみ出す割合も少なくなる。
【0093】
本発明の第五の実施の形態を図9ないし図11に基づいて説明する。まず、本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子31の構造例は、第三の実施の形態の場合と同様である。
【0094】
図9は偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、図10に示すように例えば厚さ0.1mmで、偏光分離素子31のサイズに合わせた寸法で2つの直角部を有する形状の2つの金属製板41を外的加圧手段として用いるようにしたものである。即ち、金属製板41の長さ3mmの上辺部分41aが偏光分離素子31の上面に載り、紫外線硬化型樹脂13aにより固定され、金属製板41の長さ1.5mmの下辺部分41bは、キャップ12上で紫外線硬化型樹脂13aにより固定されている。ここに、2つの金属製板41は偏光分離素子31に対して互い違いに配置されている。紫外線硬化型樹脂13a,は紫外線硬化型樹脂13と同物質である。キャップ12上で紫外線硬化型樹脂13aは、偏光分離素子31の片側側面端部まで多少連続して塗布されて被覆する構造になっている。また、金属製板41の長さ2.2mmの中央部分41cが側面に配設されていない偏光分離素子31の側面端部2箇所では、その側面端部下角に紫外線硬化型樹脂13が施される構造とされている。
【0095】
そこで、このような偏光分離素子31の実装構造を図9及び図10を参照してその実装工程を含めて説明する。
【0096】
(g) 金属製板(縦6.7mm、横1mm、厚さ0.1mm)から、2つの直角部を持ち、中央部分の直線は偏光分離素子31の高さ(約2.3mm)より数百μm短くなるように折り曲げ、図10に示すような形状の金属製板41を2つ作製する。このような金属製板41に関して、偏光分離素子31の上面上に配設される上辺部分41aの長さは3mm、側面部分に配設される中央部分41cの長さは2.2mm、キャップ12上に配設される下辺部分41bの長さは1.5mmとした。
【0097】
(h) 工程(g)により作製された金属製板41を、偏光分離素子31上面の透過光が通過しない端の箇所に図9に示すように配置し、偏光分離素子31上面と金属製板41の長さ3mmの上辺部分41aにディスペンサを用いて紫外線硬化性樹脂13aを塗布した。その後、紫外線を照射し硬化させることにより偏光分離素子31上面に金属製板41を固定する。
【0098】
(i) 把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて、偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11の実装位置に水平に位置調整する。
【0099】
(j) 偏光分離素子31の下面4隅のうち、金属製板41の中央部分41c(長さ2.2mmの部分)が接している所の下隅2箇所と、接していない所の下隅2箇所にディスペンサを用いて紫外線硬化型樹脂13a,13を塗布し、紫外線を照射し硬化させることによりキャップ12上面に偏光分離素子31及び金属製板41を固定する。
【0100】
図11はこのように実装された偏光分離素子31の実装構造を示す正面図であり、有機複屈折膜4が反ろうとするなど、上下方向に剥がれようとする力F1が働く際にも金属製板41及びこの金属製板41を固定するための紫外線硬化型樹脂13aが上下方向(積層面に対して垂直方向)に押さえる力F3を偏光分離素子31に作用させることとなり、光学的異方性膜4から発生する応力を抑えることができ、前述の第三の実施の形態のような効果が得られる。さらに第三の実施の形態と比較すれば、使用する紫外線硬化型樹脂13aの量が極めて少量で済み、偏光分離素子31上面の光透過部にはみ出す割合も少なくなる。
【0101】
なお、このように偏光分離素子31が実装されたホログラムレーザユニット11は、例えば、図12に示すような光ピックアップ装置21中に組み込まれて利用される。即ち、光分離素子31が実装されたホログラムレーザユニット11に対して光学調整されたコリメートレンズ23、対物レンズ24、光ディスク25を用いることにより、図12に示すような光ピックアップ装置21の光学系が形成される。即ち、図4との対比では、偏光分離素子31自身がλ/4板32を有しているので、λ/4板22が省略された光学系構成とされている。
【0102】
なお、この偏光分離素子31の実装構造として図6に示した第三の実施の形態の変形例で追加説明する。即ち、偏光分離素子31中に含まれる接着層3A,3Bの接着剤として弾力性の高いエポキシ系紫外線硬化型樹脂若しくはアクリル系接着剤或いはゴム基接着材が用いることにより、温度・湿度などの環境の変化により、有機複屈折膜4が反ろうとする力などに起因して偏光分離素子31の内部で剥がれようとする上下方向の力が発生してもその応力がこれらの接着層3A,3Bの接着剤の弾力性によって緩和される。従って、塗布した紫外線硬化型樹脂3B(エポキシ系紫外線樹脂)による上下方向に押さえる力を低減させることができ、偏光分離素子31の信頼性が一層向上する。
【0103】
また、本発明は、これらの第三ないし第五の実施の形態に限らず、各種応用・変形例を適用することができる。例えば、第三の実施の形態の偏光分離素子31では半導体レーザ16からの出射光が透過する以外のところにディスペンサで紫外線硬化型樹脂13を塗布する例で説明したが、回折光が出射する箇所にマスキングしてディスペンサ以外のもので紫外線硬化型樹脂13を塗布し、後にマスクを外すようにしても良い。また、第五の実施の形態では、偏光分離素子31をキャップ12上に接着する接着剤とは異なる物質として屈曲形成した金属製板41を用いるようにしたが、強化プラスチックのような樹脂製板を曲げたものでもよい。また、2つの金属製板41を用いるようにしたが、偏光分離素子31の上面と接する箇所の長さを短くし、このような金属製板を4つ用いて偏光分離素子31の4隅を固定するようにしてもよい。さらに、偏光分離素子31の例として図5に示したようにλ/4板32を含む構造例で説明したが、図1の場合のようにλ/4板32を含まない構造の偏光分離素子であってもよい。
【0104】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、光学的透明基板に光学的異方性膜が接着された構成の場合、偏光分離素子が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、少なくとも光学的透明基板と光学的異方性膜との間の接着層の側面及び光学的異方性膜の側面を実装用接着剤により被覆して大気から遮断するようにしたので、環境の変化等の影響を受けにくくすることができ、よって、偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。特に、これらの側面を実装用接着剤により一体に被覆することで、大気からの遮断をより確実に行うことができる。
【0105】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の偏光分離素子の実装構造において、光学的異方性膜が一対の光学的透明基板で挟まれた構造の偏光分離素子の場合、積層面に対して垂直方向から光学的異方性膜を押さえる力が被着物より遠い方の光学的透明基板によって働くが、この場合も、光学的透明基板と光学的異方性膜との間の接着層の側面及び光学的異方性膜の側面を実装用接着剤により被覆して大気から遮断するようにしたので、環境の変化等の影響を受けにくくすることができ、よって、偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0106】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の偏光分離素子の実装構造において、光学的異方性膜を大気から遮断する役割を果たす実装用接着剤が低吸湿材料による接着剤としたので、高湿の影響を受けにくくすることができ、長期に亘って偏光分離素子の信頼性を維持させることができる。
【0107】
請求項4記載の発明によれば、光学的透明基板に光学的異方性膜が接着された構成の場合、偏光分離素子が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、被着物上において光学的透明基板と光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を積極的に付与するようにしたので、剥がれによる偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0108】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の偏光分離素子の実装構造において、光学的異方性膜が一対の光学的透明基板で挟まれた構造の偏光分離素子の場合、積層面に対して垂直方向から光学的異方性膜を押さえる力が被着物より遠い方の光学的透明基板によって働くが、この場合も、被着物上において光学的透明基板と光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を積極的に付与するようにしたので、剥がれによる偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0109】
請求項6記載の発明によれば、請求項4又は5記載の発明を実現する上で、偏光分離素子を被着物に接着する実装方法とタクトが大きく変わることなく外的加圧手段を実装できるともに、同一材料を用いるためコストを低く抑えることができる。
【0110】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の偏光分離素子の実装構造において、実装用接着剤の連続被覆により外的加圧手段を容易に実現することができる。
【0111】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明を実現する上で、偏光分離素子の積層面に対して垂直方向に最も大きな押さえ力を作用させることができる上に、側面全てを被覆して大気から遮断しているので、環境変化の影響を受けにくくすることもでき、剥がれによる偏光分離素子の劣化をより確実に抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を一層向上させることができる。
【0112】
請求項9記載の発明によれば、請求項7記載の発明を実現する上で、偏光分離素子の積層面に対して極力少ない実装用接着剤の量で垂直方向に押さえ力を作用させることができ、最もシンプルな実装構造となり、最もタクトが良く、低コストで実現することができる。
【0113】
請求項10記載の発明によれば、請求項6ないし9の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、実装用接着剤として、感光性樹脂を用いるようにしたので、偏光分離素子の実装工程において実装用接着剤の塗布後の硬化時間を短くすることによってタクトを上げる効果を奏し、かつ、塗布した樹脂が広がるのを防止することもできる。
【0114】
請求項11記載の発明によれば、請求項4又は5記載の偏光分離素子の実装構造において、偏光分離素子の積層面に対して垂直方向に押さえ力を作用させるための外的加圧手段として、実装用接着剤とは異なる部材、例えば、請求項12記載の発明のように金属製又はプラスチックス製部材を用いることにより、接着剤の場合のように接着剤が流れ出すという可能性は少なくなり、実装を容易にすることができる。
【0115】
請求項13記載の発明によれば、請求項1ないし12の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、光学的異方性膜が高分子からなる有機複屈折膜の場合、当該偏光分離素子の作製が容易となり、かつ、その材料も低コストで済ませることができる。
【0116】
請求項14記載の発明によれば、請求項1ないし13の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、実装される偏光分離素子における回折格子としての性能を向上させ、偏光分離度を向上させることができる。
【0117】
請求項15記載の発明によれば、請求項1ないし14の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、実装される偏光分離素子の光学的透明基板が反射防止膜を光入射面又は光出射面に備えるようにしたので、透過率を向上させることができる。
【0118】
請求項16記載の発明によれば、請求項1ないし15の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、接着層として紫外線硬化型樹脂のように感光性を有する樹脂、さらには、その樹脂として光学的異方性膜の応力を緩和させる効果を持つ弾力性の強いエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤又はゴム系接着剤を用いるようにしたので、タクトを上昇させ得る上に、当該偏光分離素子内部に発生する応力を緩和させることができ、実装構造と相俟って素子の信頼性を向上させることができる。
【0119】
請求項17記載の発明のホログラムレーザユニットによれば、請求項1ないし16の何れか一記載の実装構造により偏光分離素子が実装されているので、長期に亘って偏光分離素子の信頼性を維持でき、ホログラムレーザユニットとしての寿命を延ばし、その性能も維持することができる。
【0120】
請求項18記載の発明の光ピックアップ装置によれば、請求項17記載のホログラムレーザユニットを備えるので、請求項17記載の発明の場合と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において実装しようとする偏光分離素子の構造例の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図4】光ピックアップ装置への適用例を示す概略的な光学系構成図である。
【図5】本発明において実装しようとする別の偏光分離素子の構造例の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の第三の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の第四の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図8】その概略正面図である。
【図9】本発明の第五の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図10】その金属製板の構成例を示す側面図である。
【図11】実装構造を示す概略正面図である。
【図12】光ピックアップ装置への適用例を示す概略的な光学系構成図である。
【図13】偏光分離素子の一般的な実装状態を示す概略斜視図である。
【図14】ホログラムレーザユニットの構成例を示す概略正面図である。
【図15】ウェハーからなる複数偏光分離素子体の切削を真上から見た様子を示す模式図である。
【図16】界面での剥離の様子を誇張して示す正面図である。
【符号の説明】
1 偏光分離素子
2 光学的透明基板
3A,3B,3C 接着層
4 有機複屈折膜、光学的異方性膜
5 光学的透明基板
6 回折格子
11 ホログラムレーザユニット
12 被着物
13 実装用接着剤
16 発光素子
17 受光素子
24 対物レンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜が光学的透明基板上に形成された偏光分離素子を被着物に実装する偏光分離素子の実装構造、偏光分離素子がこの実装構造により実装されたホログラムレーザユニット及び光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクの情報読取部である光ピックアップは、現在、小型化、低価格化、高性能化などの要求を受けている。中でも、偏光分離素子は期待を集めている。偏光分離素子は半導体レーザ素子及び受光素子が設けられたレーザユニットからの出射光を全透過し、光ディスクからの反射光を回折させてレーザユニットの受光素子にて受光させる役割を果たす。
【0003】
これまで提案されてきた偏光分離素子1の構造例の一例を図1の断面図に示す。図1に示す構成例は、例えば、特許文献1,2によるものであり、後述するように本発明にも適用される例を示している。図において、この偏光分離素子1は、下から順に下部透明基板2、接着層3A、有機複屈折膜などの光学的異方性膜4、接着層3B、上部透明基板5を積層させた構造とされている。ここに、光学的異方性膜4には、凹凸状の回折格子6が形成されており、その溝を接着層3Aの接着剤が埋める構造になっている。下部透明基板2及び上部透明基板5は光学的に透明である。
【0004】
このような偏光分離素子1は、例えば図13及び図14に示すように、ホログラムレーザユニット11のキャップ12上に接着剤13を用いて実装される。ここに、ホログラムレーザユニット11は、図14に示すように、リード14を有するステム15上に発光素子としての半導体レーザ16と受光素子17とを一体に配置させてなる。そして、半導体レーザ16から出射された入射光が偏光分離素子1に下面から入射し、光ディスクからの反射光はλ/4板18によって偏光方向が90°回転し、偏光成分の違いにより回折格子6(図1参照)部分で異常光線が分離され、受光素子17で受光され信号が検出されることとなる。
【0005】
このような偏光分離素子1は、その素子サイズ(大きさ)が数mm角程度であるため、直径4〜8インチの透明基板ウェハーに接着された有機複屈折膜上に数10〜数100個の回折格子を2次元アレイ状に作製し、その後、ダイシングによって個々の偏光分離素子を取り出す作製方法がある。即ち、下部透明基板2に相当する透明基板ウェハー上に有機複屈折膜などの光学的異方性膜4を貼り付け、その表面にエッチングにより回折格子6を形成し、上部透明基板5に相当する透明基板ウェハーを貼り合わせた後、図15(ウェハーからなる複数偏光分離素子体19の切削を真上から見た模式図)に示すようにダイシングによりウェハーからなる複数偏光分離素子体19をダイシングラインに従い一定間隔で縦横に切削することにより、数mm角の偏光分離素子1のチップを作製し、各チップを取り出す方法が、例えば特許文献1,2により提案されている。
【0006】
ところで、このように作製される構造の偏光分離素子1は、図16に示すように有機複屈折膜などの光学的異方性膜4が温度・湿度などの環境の変化に対して伸縮し、接着層3Aとの界面(若しくは、接着層3Bとの界面)で剥離することによって劣化することがある。図16は偏光分離素子1の下部(光学的異方性膜4、接着層3A、下部透明基板2)を模式的に示した正面図であり、光学的異方性膜4が接着層3Aとの界面で剥離する様子を誇張して示している。
【0007】
そして、このような偏光分離素子1のホログラムレーザユニット11への実装として、一般的にはホログラム実装装置を用いて偏光分離素子1を実装位置に水平になるようにして、図13及び図14に示すように紫外線硬化型樹脂である実装用接着剤13で偏光分離素子1の下面4隅をレーザユニットのキャップ12上面に接着する構造が用いられている。
【0008】
その他に、これまで半導体レーザのパッケージのキャップガラスにホログラムガラスを隙間なく接着する構造や、隙間を外部と連通させて接着する構造も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
しかしながら、固定用の紫外線硬化樹脂の粘度が低いため、この樹脂がキャップ側面に流れ出すという不都合が生じてしまう。そのため、樹脂の流れを防止するために、キャップ部のホログラム素子との接着面側に切り欠き部を設ける構造も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−75130公報
【特許文献2】
特開2001−66428公報
【特許文献3】
特開平6−162547号公報
【特許文献4】
特開平9−214065号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これらの特許文献3,4等に示される構造では、偏光分離素子1を実装することはできるが、図16により前述したような偏光分離素子1の劣化を抑制しているわけではない。よって、偏光分離素子1を実装すると同時に偏光分離素子1としての信頼性を向上させ、その結果として、ホログラムレーザユニットないしは光ピックアップ装置の信頼性を向上させ得る偏光分離素子の実装構造が必要とされる。
【0012】
本発明の目的は、温度・湿度などの環境の変化により、偏光分離素子が作製後からの時間経過とともに内部で上下に剥がれてくるなどの劣化を抑制することができる偏光分離素子の実装構造を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、温度・湿度などの環境の変化により、偏光分離素子が作製後からの時間経過とともに内部で上下に剥がれてくるなどの劣化を積極的に抑制することができる偏光分離素子の実装構造を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜が光学的透明基板上に形成された偏光分離素子を被着物に実装する偏光分離素子の実装構造において、少なくとも前記光学的異方性膜と前記光学的透明基板との間の接着層の側面及び前記光学的異方性膜の側面を、前記偏光分離素子を前記被着物に接着する実装用接着剤により一体に被覆してなる。
【0015】
従って、光学的透明基板に光学的異方性膜が接着された構成の場合、偏光分離素子が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、少なくとも光学的透明基板と光学的異方性膜との間の接着層の側面及び光学的異方性膜の側面を実装用接着剤により被覆して大気から遮断することにより、環境の変化等の影響を受けにくくすることができ、よって、偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。特に、これらの側面を実装用接着剤により一体に被覆することで、大気からの遮断をより確実に行える。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的透明基板は、前記光学的異方性膜の両面を各々接着層を介して挟む一対の光学的透明基板の何れか一方の基板である。
【0017】
従って、光学的異方性膜が一対の光学的透明基板で挟まれた構造の偏光分離素子の場合、積層面に対して垂直方向から光学的異方性膜を押さえる力が被着物より遠い方の光学的透明基板によって働くが、この場合も、光学的透明基板と光学的異方性膜との間の接着層の側面及び光学的異方性膜の側面を実装用接着剤により被覆して大気から遮断することにより、環境の変化等の影響を受けにくくすることができ、よって、偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の偏光分離素子の実装構造において、前記実装用接着剤は、低吸湿材料よりなる。
【0019】
従って、光学的異方性膜を大気から遮断する役割を果たす実装用接着剤が低吸湿材料による接着剤とすることにより、高湿の影響を受けにくくすることができ、長期に亘って偏光分離素子の信頼性を維持させることができる。
【0020】
請求項4記載の発明は、凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜が光学的透明基板上に形成された偏光分離素子を被着物に実装する偏光分離素子の実装構造において、前記被着物上において前記光学的透明基板と前記光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を付与してなる。
【0021】
従って、光学的透明基板に光学的異方性膜が接着された構成の場合、偏光分離素子が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、被着物上において光学的透明基板と光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を積極的に付与することにより、剥がれによる偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的透明基板として、前記光学的異方性膜の両面を各々接着層を介して挟む一対の光学的透明基板を有する。
【0023】
従って、光学的異方性膜が一対の光学的透明基板で挟まれた構造の偏光分離素子の場合、積層面に対して垂直方向から光学的異方性膜を押さえる力が被着物より遠い方の光学的透明基板によって働くが、この場合も、被着物上において光学的透明基板と光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を積極的に付与することにより、剥がれによる偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0024】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の偏光分離素子の実装構造において、前記外的加圧手段は、前記偏光分離素子を前記被着物に接着する実装用接着剤を用いて圧力を付与する。
【0025】
従って、請求項4又は5記載の発明を実現する上で、偏光分離素子を被着物に接着する実装方法とタクトが大きく変わることなく外的加圧手段を実装できるともに、同一材料を用いるためコストを低く抑えることができる。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の偏光分離素子の実装構造において、前記外的加圧手段は、前記実装用接着剤を前記被着物表面から前記偏光分離素子表面上の一部に亘って少なくとも前記偏光分離素子の側面部分で連続させて被覆させることにより形成されている。
【0027】
従って、実装用接着剤の連続被覆により外的加圧手段を容易に実現することができる。
【0028】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の偏光分離素子の実装構造において、前記実装用接着剤は、前記偏光分離素子の側面全てを被覆している。
【0029】
従って、請求項7記載の発明を実現する上で、偏光分離素子の積層面に対して垂直方向に最も大きな押さえ力を作用させることができる上、側面全てを被覆して大気から遮断しているので、環境変化の影響を受けにくくすることもでき、剥がれによる偏光分離素子の劣化をより確実に抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を一層向上させることができる。
【0030】
請求項9記載の発明は、請求項7記載の偏光分離素子の実装構造において、前記実装用接着剤は、前記偏光分離素子の複数箇所に対して圧力を付与するように分割して前記偏光分離素子の側面を被覆している。
【0031】
従って、請求項7記載の発明を実現する上で、偏光分離素子の積層面に対して極力少ない実装用接着剤の量で垂直方向に押さえ力を作用させることができ、最もシンプルな実装構造となり、最もタクトが良く、低コストで実現できる。
【0032】
請求項10記載の発明は、請求項6ないし9の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記実装用接着剤として、感光性樹脂を用いる。
【0033】
従って、実装用接着剤として、感光性樹脂を用いることにより、偏光分離素子の実装工程において実装用接着剤の塗布後の硬化時間を短くすることによってタクトを上げる効果を奏し、かつ、塗布した樹脂が広がるのを防止することもできる。
【0034】
請求項11記載の発明は、請求項4又は5記載の偏光分離素子の実装構造において、前記外的加圧手段は、前記偏光分離素子を前記被着物に接着する実装用接着剤とは異なる部材を用いて圧力を付与する。
【0035】
従って、偏光分離素子の積層面に対して垂直方向に押さえ力を作用させるための外的加圧手段として、実装用接着剤とは異なる部材、例えば、請求項12記載の発明のように金属製又はプラスチックス製部材を用いることにより、接着剤の場合のように接着剤が流れ出すという可能性は少なくなり、実装が容易となる。
【0036】
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的異方性膜は有機複屈折膜である。
【0037】
従って、光学的異方性膜が高分子からなる有機複屈折膜の場合、当該偏光分離素子の作製が容易となり、かつ、その材料も低コストで済む。
【0038】
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的異方性膜の常光線方向屈折率と異常光線方向屈折率との何れか一方の屈折率と、当該光学的異方性膜に形成された凹凸状の前記回折格子を埋める樹脂の屈折率とが同一である。
【0039】
従って、実装される偏光分離素子における回折格子としての性能が向上し、偏光分離度が向上する。
【0040】
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的透明基板は、その光入射面若しくは光出射面の少なくとも一方に反射防止膜が施された光学的透明基板である。
【0041】
従って、実装される偏光分離素子の光学的透明基板が反射防止膜を光入射面又は光出射面に備えることにより、透過率が向上する。
【0042】
請求項16記載の発明は、請求項1ないし15の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、前記光学的透明基板と前記光学的異方性材料とを接着するために用いられる接着剤は、感光性を有するエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤又はゴム系接着剤である。
【0043】
従って、接着層として紫外線硬化型樹脂のように感光性を有する樹脂、さらには、その樹脂として光学的異方性膜の応力を緩和させる効果を持つ弾力性の強いエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤又はゴム系接着剤を用いることにより、タクトを上昇させ得る上に、当該偏光分離素子内部に発生する応力を緩和させることができ、実装構造と相俟って素子の信頼性が向上する。
【0044】
請求項17記載の発明のホログラムレーザユニットは、発光素子と、受光素子と、これらの発光素子と受光素子とを有するユニットを被着物として請求項1ないし16の何れか一記載の実装構造により実装されて前記発光素子から発せられたレーザ光を透過し光ディスク側からの戻り光を前記受光素子側に回折させる偏光分離素子と、を一体に備える。
【0045】
従って、請求項1ないし16の何れか一記載の実装構造により偏光分離素子が実装されているので、長期に亘って偏光分離素子の信頼性を維持でき、ホログラムレーザユニットとしての寿命を延ばし、その性能も維持することができる。
【0046】
請求項18記載の発明の光ピックアップ装置は、請求項17記載のホログラムレーザユニットと、このホログラムレーザユニットの発光素子から発せられたレーザ光を対物レンズに集光させる対物レンズと、を備える。
【0047】
従って、請求項17記載のホログラムレーザユニットを備えるので、請求項17記載の発明の場合と同様の作用を奏する。
【0048】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。
【0049】
図1は、本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子1の構造例を示す断面図である。この偏光分離素子1は、下から順に下部透明基板2(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層3A(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.02mm)、光学的異方性膜としての有機複屈折膜4(異常光線方向屈折率1.58、常光線方向屈折率1.67、厚さ:0.1mm)、接着層3B(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、屈折率1.58、厚さ:0.04mm)、上部透明基板5(BK7、厚さ:1.0mm)を積層させた構造とされている。有機複屈折膜4には、凹凸状の回折格子6(格子深さ4μm、ピッチ2μm、P偏光透過率約98%、S偏光透過率約1%、1次回折光回折効率約40%)が形成されており、その溝を接着層3Bの接着剤が埋める構造になっている。また、本実施の形態の場合、この偏光分離素子1の寸法は、縦、横の長さはともに4.5mm、高さは2.17mmとされている。このような偏光分離素子1は例えばホログラムレーザユニット11に実装されて前述したような動作をする。
【0050】
図2は偏光分離素子1をホログラムレーザユニット11のキャップ12を被着物として実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、偏光分離素子1がホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装用接着剤である紫外線硬化型樹脂13の接着により位置決め固定され、かつ、偏光分離素子1の側面のほぼ全面がこの紫外線硬化型樹脂13により一体に被覆された実装構造とされている。
【0051】
ここで、まず、このような偏光分離素子1の作製方法について説明する。
【0052】
(a) まず、直径100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる光学的透明下部基板ウェハー(光学的透明基板2用)に紫外線硬化型樹脂を用いて直径80mmの有機複屈折膜を貼り付け、高圧水銀灯によって紫外線を照射し、接着層を硬化させる。
【0053】
(b) 光学的透明下部基板ウェハーに貼付された有機複屈折膜の表面にフォトリソグラフィー、ドライエッチングによって複数の回折格子を2次元アレイ状に形成する。
【0054】
(c) 工程(b)で作製された光学的透明基板ウェハーを回折格子が形成された面を表面にして、平面ステンレス台に固定し、紫外線硬化型樹脂を滴下する。この樹脂が滴下されている面に、光学的透明上部基板ウェハー(光学的透明基板5用)を、反射防止膜が施された面を上側にして配置する。光学的透明下部基板ウェハーと光学的透明上部基板ウェハーが互いに平行に貼り付けられるように一定圧力を加え、紫外線硬化型樹脂の膜厚が基板内で位置に依らず一定になるように広げる。この状態で保持し、上部から高圧水銀灯によって紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂を硬化させる。
【0055】
(d) 工程(c)により作製された上下基板ウェハーをダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図15(切削を真上から見た図)に示したように縦横各12ライン切削し、一辺4.5mmの偏光分離素子1を144個を作製する。
【0056】
(e) その後、ダイシングテープ全体にUV光を照射して、テープから各偏光分離素子1を剥離する。
【0057】
次にこのように作製された偏光分離素子1の実装構造を図2を参照してその実装工程を含めて説明する。
【0058】
(f) まず、把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて、偏光分離素子1をホログラムレーザユニット11のキャップ12の実装位置に水平に位置調整する。
【0059】
(g) 図13及び図14に示したように、偏光分離素子1の側面端部の下4隅にディスペンサを用いて低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13を塗布し、紫外線を照射して仮固定する。
【0060】
(h) さらに、工程(g)による仮固定の後に、図2に示すように偏光分離素子1の側面全面(光学的透明基板2,5の側面、接着層3A,3Bの側面及び有機複屈折膜4の側面の全て)に同質の低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13をディスペンサを用いて一体に塗布し、紫外線を照射して硬化させることにより本固定する。
【0061】
このような偏光分離素子1の実装構造によれば、偏光分離素子1の側面全面が低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13により被覆されているので、剥がれが特に問題となる有機複屈折膜4、接着層3A,3Bの側面(外周面)が大気と接触することなく遮断される。よって、温度・湿度などの環境の変化があってもその影響を受けにくくなり、有機複屈折膜4が反ろうとする力(図16参照)は発生せず、結局、剥がれを生ずることがなく信頼性が維持される偏光分離素子1の実装構造となる。低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13としては、吸水性のないオレフィン系、フッ素系有機高分子材料などが挙げられる。また、シリコン接着シール材などのように、シリコン酸化物、金属酸化物等を含む材料でもよい。
【0062】
ところで、本実施の形態で対象とする偏光分離素子1は、一辺が4.5mmであるので、有機複屈折膜4の中央に形成された回折格子6と偏光分離素子1の端部との距離間隔は数mm程度である。このようにサイズの小さい素子においては、有機複屈折膜4、接着層3A,3Bの側面からの水分侵入による劣化の影響が小さくなく、偏光分離素子1の実装構造として図2に示すような構造例は信頼性を向上させる点で大きな効果を奏する。なお、偏光分離素子1の側面全面を被覆することが好ましいが、若干覆われない箇所があっても、従来と比較すればその効果は大であり、信頼性は大きく向上する。
【0063】
本発明の第二の実施の形態を図3に基づいて説明する。第一の実施の形態で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以降の実施の形態でも同様とする)。
【0064】
本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子1の構造は、第一の実施の形態の場合と同様であるが、本実施の形態の場合、偏光分離素子1の寸法は、縦、横の長さが各々3.2mm、2.8mm、高さ2.17mmとされている。従って、本実施の形態の場合の偏光分離素子1の作製方法は、基本的には、第一の実施の形態で説明した工程(a)〜(e)に従えばよいが、工程(d)のダイシングにおいて、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用い縦方向はライン間隔3.4mmで、横方向はライン間隔3.0mmで、縦横各12ライン切削することにより、縦3.2mm、横2.8mmの偏光分離素子1が144個作製される。
【0065】
図3はこのように作製された偏光分離素子1をホログラムレーザユニット11のキャップ12を被着物として実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、偏光分離素子1がホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装用接着剤である紫外線硬化型樹脂13の接着により位置決め固定され、かつ、偏光分離素子1の側面を下面(キャップ12面)から1.2mmの高さ、即ち、半分程度の途中の高さまでこの紫外線硬化型樹脂13により一体に被覆された実装構造とされている。
【0066】
このような偏光分離素子1の実装構造を図3を参照してその実装工程を含めて説明する。基本的には、第一の実施の形態の場合と同様であり、前述した工程(f)(g)を経た後、工程(h)において、偏光分離素子1の側面を、下面から1.2mmの高さまで低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13をディスペンサを用いて塗布し、紫外線を照射して硬化させることにより本固定すればよい。
【0067】
よって、基本的には、第一の実施の形態の場合と同様な作用・効果が得られる。特に、本実施の形態においては、実装対象とする偏光分離素子1のサイズが、縦3.2mm、横2.8mmであり、有機複屈折膜4の中央に形成された回折格子6と偏光分離素子1の側面端部との距離間隔は数mm程度である。このようにサイズの小さい素子においては、有機複屈折膜4、接着層3A,接着層3Bのダイシング断面からの水分侵入による劣化の影響が小さくなく、偏光分離素子1の実装構造として図3に示すように少なくとも下面側から光学的透明基板5にかかる側面部分全体を低吸湿性の紫外線硬化型樹脂13により被覆する構造は、信頼性を向上させる点で大きな効果を奏する。なお、第一の実施の形態のように偏光分離素子1の側面全面を紫外線硬化型樹脂13により被覆する方が効果は大きいが、本実施の形態によれば、より少ない紫外線硬化型樹脂13の使用量によって水分侵入等による劣化の影響を抑制することができる。
【0068】
なお、このように偏光分離素子1が実装されたホログラムレーザユニット11は、例えば、図4に示すような光ピックアップ装置21中に組み込まれて利用される。即ち、光分離素子1が実装されたホログラムレーザユニット11に対して光学調整されたλ/4板22、コリメートレンズ23、対物レンズ24、光ディスク25を用いることにより、図4に示すような光ピックアップ装置21の光学系が形成される。
【0069】
また、これらの第一、第二の実施の形態では、偏光分離素子1の構造例としてλ/4板を含まない構造例を挙げたが、後述する実施の形態のようにλ/4板を接着層3Bと有機複屈折膜4との間に含む構造の偏光分離素子としてもよい。また、把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて偏光分離素子1の位置調整を行ったが、位置調整方法・装置は様々でよい。
【0070】
本発明の第三の実施の形態を図5及び図6に基づいて説明する。
【0071】
図5は、本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子31の構造例を示す断面図である。この偏光分離素子31は、前述の偏光分離素子1に準ずるが、接着層3Bと光学的透明基板5との間にλ/4板32及び接着層3Cが付加された積層構造への適用例とされている。即ち、偏光分離素子31は、上から順に、上部透明基板5(BK7、厚さ:1.0mm)、接着層3C(アクリル系粘着剤、厚さ:0.03mm)、λ/4板32(厚さ:0.1mm)、接着層3B(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、厚さ:0.04mm)、有機複屈折膜4(厚さ:0.1mm)、接着層3A(エポキシ系紫外線硬化型樹脂、厚さ:0.03mm)、下部透明基板2(BK7、厚さ:1.0mm)を積層させた構造とされている。
【0072】
図6は偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、偏光分離素子1がホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装用接着剤である紫外線硬化型樹脂13の接着により位置決め固定され、かつ、偏光分離素子1の側面全面及び上面(上部透明基板5表面)の光透過部以外の部分がこの紫外線硬化型樹脂13により一体に被覆された実装構造とされている。即ち、紫外線硬化型樹脂13がキャップ12表面から偏光分離素子31表面上の一部に亘って少なくとも偏光分離素子31の側面部分で連続させて一体に被覆してなり、この被覆部分により外的加圧手段33が構成されている。
【0073】
ここで、まず、このような偏光分離素子31の作製方法について説明する。
【0074】
(a) まず、直径100mm、厚さ1.0mmのショット製光学ガラスBK7からなる透明基板ウェハー(下部透明基板2用)に紫外線硬化型樹脂を用いて直径80mmの有機複屈折膜を貼り付け、高圧水銀灯によって紫外線を照射し、接着層を硬化させる。
【0075】
(b) 透明基板ウェハーに貼付された有機複屈折膜表面にフォトリソグラフィー、ドライエッチングによって複数の回折格子を2次元アレイ状に形成する。
【0076】
(c) 偏光分離素子31の上部透明基板5用となる透明基板ウェハーの一面に、粘着剤が塗布されたλ/4板32を貼り付ける。
【0077】
(d) 工程(b)により作製された透明基板ウェハーを回折格子が形成された面を表面にして、平面ステンレス台に固定し、紫外線硬化型樹脂を滴下し、この樹脂が滴下されている面に、工程(c)で作製された透明基板ウェハーのλ/4板32側が平行に貼り付けられるように一定圧力を加え、紫外線硬化型樹脂の膜厚が位置に依らず一定になるように広げる。この状態で保持し、上部から高圧水銀灯によって紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂を硬化させる。
【0078】
(e) 工程(d)により作製された上下透明基板ウェハーをダイシングテープに固定し、厚さ0.5mmのダイシングブレードを用いてライン間隔4.7mmで、図15で説明したように縦横各12ライン切削することにより、各偏光分離素子31に切り分ける。
【0079】
(f) その後、ダイシングテープ全体に紫外線を照射して、テープから各偏光分離素子31を剥離する。
【0080】
次に、このようにして作製された偏光分離素子31の実装構造を図6を参照してその実装工程を含めて説明する。
【0081】
(g) 把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて、偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12の実装位置に水平に位置調整する。
【0082】
(h) 図13及び図14に示したように、偏光分離素子31の側面端部の下4隅にディスペンサを用いて紫外線硬化型樹脂13を塗布し、紫外線を照射して仮固定する。
【0083】
(i) さらに、工程(h)による仮固定の後に、図6に示すように透過光、回折光が入出射する箇所以外の偏光分離素子31の上面及び側面全面に紫外線硬化型樹脂13をディスペンサを用いて塗布し、紫外線を照射し硬化させることにより本固定する。
【0084】
このような偏光分離素子31の実装構造によれば、透過光、回折光が入出射する箇所以外の偏光分離素子31の上面及び側面全面が紫外線硬化型樹脂13により連続して一体に被覆されているので、温度・湿度などの環境の変化により、有機複屈折膜4が反ろうとする力などに起因して、図16で説明した場合のように、偏光分離素子31の内部で剥がれようとする(上下方向)積層方向の力が発生しても、偏光分離素子31の上面にまで連続して被覆されている紫外線硬化型樹脂13が、上下方向(積層面に対して垂直方向)に押さえる圧力を加えることとなり、その応力を緩和する役目を果たすので、剥がれが抑制され、当該偏光分離素子31の劣化が低減される実装構造となる。特に、本実施の形態においては、偏光分離素子31の側面を全面的に紫外線硬化型樹脂13により被覆して大気から遮断しているので、剥がれが特に問題となる有機複屈折膜4の側面について環境変化の影響を受けにくくすることもでき、剥がれによる偏光分離素子31の劣化をより確実に抑制することができ、偏光分離素子31の信頼性が一層向上するものとなる。
【0085】
本発明の第四の実施の形態を図7及び図8に基づいて説明する。まず、本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子31の構造例は、第三の実施の形態の場合と同様である。
【0086】
図7は偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、偏光分離素子1がホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装用接着剤である紫外線硬化型樹脂13の接着により位置決め固定され、かつ、偏光分離素子1の上面の端部から側面の端部、そしてキャップ12表面に至るまで紫外線硬化型樹脂13が連続して偏光分離素子31を被覆する箇所が4箇所に分割されて存在する実装構造とされている。これらの被覆部分が外的加圧手段34を構成している。
【0087】
そこで、本実施の形態の偏光分離素子31の実装構造を図7を参照してその実装工程を含めて説明する。
【0088】
(g) 把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて、偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12の実装位置に水平に位置調整する。
【0089】
(h) 図13及び図14に示したように、偏光分離素子31の側面端部の下4隅にディスペンサを用いて紫外線硬化型樹脂13を塗布し、紫外線を照射して仮固定する。
【0090】
(i) さらに図7に示すように偏光分離素子31の上面の端部からキャップ12の上面まで偏光分離素子31の1つの角の部分に、工程(h)で使用した紫外線硬化型樹脂13を塗布し、紫外線を照射し硬化させることにより本固定する。
【0091】
(j) 同様の作業を偏光分離素子31の残りの3つの角の部分に対して行う。
【0092】
図8はこのような実装構造を示す正面図であり、有機複屈折膜4が反ろうとするなど、上下方向(積層方向)に剥がれようとする力F1が働く際にも、紫外線硬化型樹脂13がキャップ12表面から偏光分離素子31表面上の一部に亘って連続して被覆されていることから、この紫外線硬化型樹脂13が上下方向(積層面に垂直方向)に押さえる力F2を偏光分離素子31に作用させることとなり、光学的異方性膜4から発生する応力を押さえることができ、前述の第三の実施の形態のような効果が得られる。加えて、本実施の形態によれば、第三の実施の形態との比較において、偏光分離素子31の側面全面を紫外線硬化型樹脂13により被覆せず分割構造により部分的としているので、偏光分離素子31の積層面に対して極力少ない紫外線硬化型樹脂13の量で垂直方向に押さえ力を作用させることができ、最もシンプルな実装構造となり、最もタクトが良く、低コストで実現することができる。偏光分離素子31の上面においても、部分的となっているので、紫外線硬化型樹脂13が光透過部にはみ出す割合も少なくなる。
【0093】
本発明の第五の実施の形態を図9ないし図11に基づいて説明する。まず、本実施の形態の実装構造によって実装しようとする偏光分離素子31の構造例は、第三の実施の形態の場合と同様である。
【0094】
図9は偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11のキャップ12上に実装した本実施の形態の実装構造を示す概略斜視図である。本実施の形態では、図10に示すように例えば厚さ0.1mmで、偏光分離素子31のサイズに合わせた寸法で2つの直角部を有する形状の2つの金属製板41を外的加圧手段として用いるようにしたものである。即ち、金属製板41の長さ3mmの上辺部分41aが偏光分離素子31の上面に載り、紫外線硬化型樹脂13aにより固定され、金属製板41の長さ1.5mmの下辺部分41bは、キャップ12上で紫外線硬化型樹脂13aにより固定されている。ここに、2つの金属製板41は偏光分離素子31に対して互い違いに配置されている。紫外線硬化型樹脂13a,は紫外線硬化型樹脂13と同物質である。キャップ12上で紫外線硬化型樹脂13aは、偏光分離素子31の片側側面端部まで多少連続して塗布されて被覆する構造になっている。また、金属製板41の長さ2.2mmの中央部分41cが側面に配設されていない偏光分離素子31の側面端部2箇所では、その側面端部下角に紫外線硬化型樹脂13が施される構造とされている。
【0095】
そこで、このような偏光分離素子31の実装構造を図9及び図10を参照してその実装工程を含めて説明する。
【0096】
(g) 金属製板(縦6.7mm、横1mm、厚さ0.1mm)から、2つの直角部を持ち、中央部分の直線は偏光分離素子31の高さ(約2.3mm)より数百μm短くなるように折り曲げ、図10に示すような形状の金属製板41を2つ作製する。このような金属製板41に関して、偏光分離素子31の上面上に配設される上辺部分41aの長さは3mm、側面部分に配設される中央部分41cの長さは2.2mm、キャップ12上に配設される下辺部分41bの長さは1.5mmとした。
【0097】
(h) 工程(g)により作製された金属製板41を、偏光分離素子31上面の透過光が通過しない端の箇所に図9に示すように配置し、偏光分離素子31上面と金属製板41の長さ3mmの上辺部分41aにディスペンサを用いて紫外線硬化性樹脂13aを塗布した。その後、紫外線を照射し硬化させることにより偏光分離素子31上面に金属製板41を固定する。
【0098】
(i) 把持ハンドを備えたホログラム実装装置を用いて、偏光分離素子31をホログラムレーザユニット11の実装位置に水平に位置調整する。
【0099】
(j) 偏光分離素子31の下面4隅のうち、金属製板41の中央部分41c(長さ2.2mmの部分)が接している所の下隅2箇所と、接していない所の下隅2箇所にディスペンサを用いて紫外線硬化型樹脂13a,13を塗布し、紫外線を照射し硬化させることによりキャップ12上面に偏光分離素子31及び金属製板41を固定する。
【0100】
図11はこのように実装された偏光分離素子31の実装構造を示す正面図であり、有機複屈折膜4が反ろうとするなど、上下方向に剥がれようとする力F1が働く際にも金属製板41及びこの金属製板41を固定するための紫外線硬化型樹脂13aが上下方向(積層面に対して垂直方向)に押さえる力F3を偏光分離素子31に作用させることとなり、光学的異方性膜4から発生する応力を抑えることができ、前述の第三の実施の形態のような効果が得られる。さらに第三の実施の形態と比較すれば、使用する紫外線硬化型樹脂13aの量が極めて少量で済み、偏光分離素子31上面の光透過部にはみ出す割合も少なくなる。
【0101】
なお、このように偏光分離素子31が実装されたホログラムレーザユニット11は、例えば、図12に示すような光ピックアップ装置21中に組み込まれて利用される。即ち、光分離素子31が実装されたホログラムレーザユニット11に対して光学調整されたコリメートレンズ23、対物レンズ24、光ディスク25を用いることにより、図12に示すような光ピックアップ装置21の光学系が形成される。即ち、図4との対比では、偏光分離素子31自身がλ/4板32を有しているので、λ/4板22が省略された光学系構成とされている。
【0102】
なお、この偏光分離素子31の実装構造として図6に示した第三の実施の形態の変形例で追加説明する。即ち、偏光分離素子31中に含まれる接着層3A,3Bの接着剤として弾力性の高いエポキシ系紫外線硬化型樹脂若しくはアクリル系接着剤或いはゴム基接着材が用いることにより、温度・湿度などの環境の変化により、有機複屈折膜4が反ろうとする力などに起因して偏光分離素子31の内部で剥がれようとする上下方向の力が発生してもその応力がこれらの接着層3A,3Bの接着剤の弾力性によって緩和される。従って、塗布した紫外線硬化型樹脂3B(エポキシ系紫外線樹脂)による上下方向に押さえる力を低減させることができ、偏光分離素子31の信頼性が一層向上する。
【0103】
また、本発明は、これらの第三ないし第五の実施の形態に限らず、各種応用・変形例を適用することができる。例えば、第三の実施の形態の偏光分離素子31では半導体レーザ16からの出射光が透過する以外のところにディスペンサで紫外線硬化型樹脂13を塗布する例で説明したが、回折光が出射する箇所にマスキングしてディスペンサ以外のもので紫外線硬化型樹脂13を塗布し、後にマスクを外すようにしても良い。また、第五の実施の形態では、偏光分離素子31をキャップ12上に接着する接着剤とは異なる物質として屈曲形成した金属製板41を用いるようにしたが、強化プラスチックのような樹脂製板を曲げたものでもよい。また、2つの金属製板41を用いるようにしたが、偏光分離素子31の上面と接する箇所の長さを短くし、このような金属製板を4つ用いて偏光分離素子31の4隅を固定するようにしてもよい。さらに、偏光分離素子31の例として図5に示したようにλ/4板32を含む構造例で説明したが、図1の場合のようにλ/4板32を含まない構造の偏光分離素子であってもよい。
【0104】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、光学的透明基板に光学的異方性膜が接着された構成の場合、偏光分離素子が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、少なくとも光学的透明基板と光学的異方性膜との間の接着層の側面及び光学的異方性膜の側面を実装用接着剤により被覆して大気から遮断するようにしたので、環境の変化等の影響を受けにくくすることができ、よって、偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。特に、これらの側面を実装用接着剤により一体に被覆することで、大気からの遮断をより確実に行うことができる。
【0105】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の偏光分離素子の実装構造において、光学的異方性膜が一対の光学的透明基板で挟まれた構造の偏光分離素子の場合、積層面に対して垂直方向から光学的異方性膜を押さえる力が被着物より遠い方の光学的透明基板によって働くが、この場合も、光学的透明基板と光学的異方性膜との間の接着層の側面及び光学的異方性膜の側面を実装用接着剤により被覆して大気から遮断するようにしたので、環境の変化等の影響を受けにくくすることができ、よって、偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0106】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の偏光分離素子の実装構造において、光学的異方性膜を大気から遮断する役割を果たす実装用接着剤が低吸湿材料による接着剤としたので、高湿の影響を受けにくくすることができ、長期に亘って偏光分離素子の信頼性を維持させることができる。
【0107】
請求項4記載の発明によれば、光学的透明基板に光学的異方性膜が接着された構成の場合、偏光分離素子が振動等の外力を受け、若しくは、高温高湿下に晒されるなど環境の変化を受けることにより、光学的異方性膜の接着層の応力が緩和され、剥がれが生じようとするが、被着物上において光学的透明基板と光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を積極的に付与するようにしたので、剥がれによる偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0108】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の偏光分離素子の実装構造において、光学的異方性膜が一対の光学的透明基板で挟まれた構造の偏光分離素子の場合、積層面に対して垂直方向から光学的異方性膜を押さえる力が被着物より遠い方の光学的透明基板によって働くが、この場合も、被着物上において光学的透明基板と光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を積極的に付与するようにしたので、剥がれによる偏光分離素子の劣化を抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を向上させることができる。
【0109】
請求項6記載の発明によれば、請求項4又は5記載の発明を実現する上で、偏光分離素子を被着物に接着する実装方法とタクトが大きく変わることなく外的加圧手段を実装できるともに、同一材料を用いるためコストを低く抑えることができる。
【0110】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の偏光分離素子の実装構造において、実装用接着剤の連続被覆により外的加圧手段を容易に実現することができる。
【0111】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明を実現する上で、偏光分離素子の積層面に対して垂直方向に最も大きな押さえ力を作用させることができる上に、側面全てを被覆して大気から遮断しているので、環境変化の影響を受けにくくすることもでき、剥がれによる偏光分離素子の劣化をより確実に抑制することができ、偏光分離素子の信頼性を一層向上させることができる。
【0112】
請求項9記載の発明によれば、請求項7記載の発明を実現する上で、偏光分離素子の積層面に対して極力少ない実装用接着剤の量で垂直方向に押さえ力を作用させることができ、最もシンプルな実装構造となり、最もタクトが良く、低コストで実現することができる。
【0113】
請求項10記載の発明によれば、請求項6ないし9の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、実装用接着剤として、感光性樹脂を用いるようにしたので、偏光分離素子の実装工程において実装用接着剤の塗布後の硬化時間を短くすることによってタクトを上げる効果を奏し、かつ、塗布した樹脂が広がるのを防止することもできる。
【0114】
請求項11記載の発明によれば、請求項4又は5記載の偏光分離素子の実装構造において、偏光分離素子の積層面に対して垂直方向に押さえ力を作用させるための外的加圧手段として、実装用接着剤とは異なる部材、例えば、請求項12記載の発明のように金属製又はプラスチックス製部材を用いることにより、接着剤の場合のように接着剤が流れ出すという可能性は少なくなり、実装を容易にすることができる。
【0115】
請求項13記載の発明によれば、請求項1ないし12の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、光学的異方性膜が高分子からなる有機複屈折膜の場合、当該偏光分離素子の作製が容易となり、かつ、その材料も低コストで済ませることができる。
【0116】
請求項14記載の発明によれば、請求項1ないし13の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、実装される偏光分離素子における回折格子としての性能を向上させ、偏光分離度を向上させることができる。
【0117】
請求項15記載の発明によれば、請求項1ないし14の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、実装される偏光分離素子の光学的透明基板が反射防止膜を光入射面又は光出射面に備えるようにしたので、透過率を向上させることができる。
【0118】
請求項16記載の発明によれば、請求項1ないし15の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造において、接着層として紫外線硬化型樹脂のように感光性を有する樹脂、さらには、その樹脂として光学的異方性膜の応力を緩和させる効果を持つ弾力性の強いエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤又はゴム系接着剤を用いるようにしたので、タクトを上昇させ得る上に、当該偏光分離素子内部に発生する応力を緩和させることができ、実装構造と相俟って素子の信頼性を向上させることができる。
【0119】
請求項17記載の発明のホログラムレーザユニットによれば、請求項1ないし16の何れか一記載の実装構造により偏光分離素子が実装されているので、長期に亘って偏光分離素子の信頼性を維持でき、ホログラムレーザユニットとしての寿命を延ばし、その性能も維持することができる。
【0120】
請求項18記載の発明の光ピックアップ装置によれば、請求項17記載のホログラムレーザユニットを備えるので、請求項17記載の発明の場合と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において実装しようとする偏光分離素子の構造例の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図4】光ピックアップ装置への適用例を示す概略的な光学系構成図である。
【図5】本発明において実装しようとする別の偏光分離素子の構造例の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の第三の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の第四の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図8】その概略正面図である。
【図9】本発明の第五の実施の形態の偏光分離素子の実装構造例を示す概略斜視図である。
【図10】その金属製板の構成例を示す側面図である。
【図11】実装構造を示す概略正面図である。
【図12】光ピックアップ装置への適用例を示す概略的な光学系構成図である。
【図13】偏光分離素子の一般的な実装状態を示す概略斜視図である。
【図14】ホログラムレーザユニットの構成例を示す概略正面図である。
【図15】ウェハーからなる複数偏光分離素子体の切削を真上から見た様子を示す模式図である。
【図16】界面での剥離の様子を誇張して示す正面図である。
【符号の説明】
1 偏光分離素子
2 光学的透明基板
3A,3B,3C 接着層
4 有機複屈折膜、光学的異方性膜
5 光学的透明基板
6 回折格子
11 ホログラムレーザユニット
12 被着物
13 実装用接着剤
16 発光素子
17 受光素子
24 対物レンズ
Claims (18)
- 凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜が光学的透明基板上に形成された偏光分離素子を被着物に実装する偏光分離素子の実装構造において、
少なくとも前記光学的異方性膜と前記光学的透明基板との間の接着層の側面及び前記光学的異方性膜の側面を、前記偏光分離素子を前記被着物に接着する実装用接着剤により一体に被覆してなることを特徴とする偏光分離素子の実装構造。 - 前記光学的透明基板は、前記光学的異方性膜の両面を各々接着層を介して挟む一対の光学的透明基板の何れか一方の基板であることを特徴とする請求項1記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記実装用接着剤は、低吸湿材料よりなることを特徴とする請求項1又は2記載の偏光分離素子の実装構造。
- 凹凸状の回折格子を有する光学的異方性膜が光学的透明基板上に形成された偏光分離素子を被着物に実装する偏光分離素子の実装構造において、
前記被着物上において前記光学的透明基板と前記光学的異方性膜との積層面に対して外的加圧手段により垂直方向に圧力を付与してなることを特徴とする偏光分離素子の実装構造。 - 前記光学的透明基板として、前記光学的異方性膜の両面を各々接着層を介して挟む一対の光学的透明基板を有することを特徴とする請求項4記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記外的加圧手段は、前記偏光分離素子を前記被着物に接着する実装用接着剤を用いて圧力を付与することを特徴とする請求項4又は5記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記外的加圧手段は、前記実装用接着剤を前記被着物表面から前記偏光分離素子表面上の一部に亘って少なくとも前記偏光分離素子の側面部分で連続させて被覆させることにより形成されていることを特徴とする請求項6記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記実装用接着剤は、前記偏光分離素子の側面全てを被覆していることを特徴とする請求項7記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記実装用接着剤は、前記偏光分離素子の複数箇所に対して圧力を付与するように分割して前記偏光分離素子の側面を被覆していることを特徴とする請求項7記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記実装用接着剤として、感光性樹脂を用いたことを特徴とする請求項6ないし9の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記外的加圧手段は、前記偏光分離素子を前記被着物に接着する実装用接着剤とは異なる部材を用いて圧力を付与することを特徴とする請求項4又は5記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記外的加圧手段は、金属製又はプラスチックス製部材よりなることを特徴とする請求項11記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記光学的異方性膜は有機複屈折膜であることを特徴とする請求項1ないし12の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記光学的異方性膜の常光線方向屈折率と異常光線方向屈折率との何れか一方の屈折率と、当該光学的異方性膜に形成された凹凸状の前記回折格子を埋める樹脂の屈折率とが同一であることを特徴とする請求項1ないし13の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記光学的透明基板は、その光入射面若しくは光出射面の少なくとも一方に反射防止膜が施された光学的透明基板であることを特徴とする請求項1ないし14の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造。
- 前記光学的透明基板と前記光学的異方性材料とを接着するために用いられる接着剤は、感光性を有するエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤又はゴム系接着剤であることを特徴とする請求項1ないし15の何れか一記載の偏光分離素子の実装構造。
- 発光素子と、
受光素子と、
これらの発光素子と受光素子とを有するユニットを被着物として請求項1ないし16の何れか一記載の実装構造により実装されて前記発光素子から発せられたレーザ光を透過し光ディスク側からの戻り光を前記受光素子側に回折させる偏光分離素子と、
を一体に備えることを特徴とするホログラムレーザユニット。 - 請求項17記載のホログラムレーザユニットと、
このホログラムレーザユニットの発光素子から発せられたレーザ光を対物レンズに集光させる対物レンズと、
を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
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JP2003073713A JP2004279920A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | 偏光分離素子の実装構造、ホログラムレーザユニット及び光ピックアップ装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007052153A (ja) * | 2005-08-17 | 2007-03-01 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 回折素子、光ピックアップおよび光ディスク装置 |
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-
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- 2003-03-18 JP JP2003073713A patent/JP2004279920A/ja active Pending
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