JP2004279653A - 液晶装置および液晶装置の製造方法並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶分子の配向性を向上させることが可能な液晶装置の提供を目的とする。
【解決手段】対向配置された基板本体10Aと、基板本体10Aに挟持される液晶層と、液晶層の液晶分子を配向させる配向膜40とを備えた液晶装置であって、基板本体10Aの表層に複数の突起98が形成され、その基板本体10Aに沿って配向膜40を形成することにより、配向膜40の表面に複数の凸部100が形成され、各凸部100は、平面視において概略長方形状に形成され、長辺側の側面視において概略鋸歯形状に形成され、なおかつ長辺を前記液晶分子の配向方向に一致させて形成されるとともに、各凸部100の平面視における山側短辺100aの角部106に、面取りまたは丸み付けが施されている構成とした。
【選択図】 図5
【解決手段】対向配置された基板本体10Aと、基板本体10Aに挟持される液晶層と、液晶層の液晶分子を配向させる配向膜40とを備えた液晶装置であって、基板本体10Aの表層に複数の突起98が形成され、その基板本体10Aに沿って配向膜40を形成することにより、配向膜40の表面に複数の凸部100が形成され、各凸部100は、平面視において概略長方形状に形成され、長辺側の側面視において概略鋸歯形状に形成され、なおかつ長辺を前記液晶分子の配向方向に一致させて形成されるとともに、各凸部100の平面視における山側短辺100aの角部106に、面取りまたは丸み付けが施されている構成とした。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶装置および液晶装置の製造方法並びに電子機器に関するものであり、特に配向膜の表面に配向用凸部を形成した液晶装置およびその製造方法と、その液晶装置を備えた電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置に搭載される光変調装置や、携帯電話等に搭載される直視型表示装置として用いられる液晶装置は、対向配置された一対の基板に液晶層が挟持されて構成されている。なお、この一対の基板の内側には、液晶層に電圧を印加するための電極が形成されている。また、この電極の内側には、電圧無印加時において液晶分子の配列を制御する配向膜が形成されている。そして、電圧無印加時と電圧印加時との液晶分子の配列変化に基づいて、液晶装置に画像表示が行われる構成となっている。
【0003】
上述した配向膜として、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが用いられている。ラビング処理は、柔らかい布からなるローラで、高分子膜の表面を所定方向に擦ることにより、高分子を所定方向に配向させるものである。そして、配向性高分子と液晶分子との分子間相互作用により、配向性高分子に沿って液晶分子が配置されるので、液晶分子を所定方向に配向させることができる。また、側鎖アルキル基によって液晶分子にプレティルトを与えることができる。
【0004】
しかしながら、このような配向膜を備えた液晶装置を、液晶プロジェクタ用の光変調装置に採用した場合には、光源から照射される強い光や熱によって、配向膜が次第に分解されてしまう。そして長期間の使用後には、電圧無印加時に液晶分子を所望のプレティルト角に配列することができなくなるなど、液晶分子の配向制御機能が低下して、液晶プロジェクタの表示品質が低下することがあった。
【0005】
そこで、配向膜の表面に突起を形成して液晶分子の配向制御を行う構成が、特許文献1ないし5に開示されている。図13は、配向膜の表面に形成された突起の斜視図である。なお図13では、液晶分子の配向方向をX方向とし、配向方向に直交する方向をY方向としている。図13に示すように、配向膜40の表面には、X方向に沿って複数の突起500が形成されている。各突起500は、平面視において概略長方形状とされ、側面視において概略鋸歯形状とされている。そして、突起500と、Y方向において隣接する突起502との間には、X方向に沿った谷部510xが形成されている。この谷部510xに液晶分子が入り込むので、液晶分子をX方向に配向させることができる。一方、鋸歯状に形成された各突起500の緩斜面に液晶分子が配置されるので、液晶分子にプレティルト角を与えることができる。なお、このような突起は、フォトレジストをホログラフィック露光する方法や、光硬化性化合物に形状を転写する方法などによって形成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−60624号公報
【特許文献2】
特開平1−238619号公報
【特許文献3】
特開平5−188377号公報
【特許文献4】
特開平8−114804号公報
【特許文献5】
特開平9−152612号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図13に示す配向膜40では、突起500と、X方向において隣接する突起501との間に、Y方向に沿って伸びる谷部510yが形成されている。そのため、液晶分子の一部がこの谷部510yに沿ってY方向に配向され、液晶分子のX方向への配向性が低下するという問題がある。
【0008】
また、図13に示す配向膜40では、ホログラフィック露光により各突起を形成することに起因して、突起500の平面視における山側短辺500aが、Y方向において隣接する突起502の平面視における山側短辺502aと、同一のX座標上に形成されている。したがって、複数の谷部510y,512yが、Y方向に沿って一直線上に配置されることになる。この場合、液晶分子の一部が隣接する谷部510y,512yをまたぐようにも配置され、液晶分子のX方向への配向性がより低下するという問題がある。
そして、液晶分子の配向性が低下すると、コントラストが低下するなど液晶プロジェクタ等の表示品質が悪化することになる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、液晶分子の配向性を向上させることが可能な液晶装置およびその製造方法の提供を目的とする。また、表示品質に優れた電子機器の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、対向配置された一対の基板と、この一対の基板に挟持される液晶層と、前記各基板のうち少なくとも一方の基板と前記液晶層との間に配置された電極と、前記電極と前記液晶層との間に配置され、前記液晶層の液晶分子を配向させる配向膜とを備えた液晶装置であって、前記一方の基板の表層に複数の凸部が形成され、前記一方の基板の内側に前記電極および前記配向膜を形成することにより、前記配向膜の表面に複数の凸部が形成され、前記各凸部は、平面視において概略長方形状に形成され、長辺側の側面視において概略鋸歯形状に形成され、前記長辺を前記液晶分子の配向方向に一致させて形成されるとともに、前記各凸部の平面視における山側短辺の角部に、面取りまたは丸み付けが施されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の液晶装置によれば、各凸部の平面視における山側短辺の角部に、面取りまたは丸み付けが施されているので、配向方向において隣接する凸部相互の間に形成される谷部の、配向方向に直交する方向に沿った長さが短くなる。そのため、当該谷部に入り込んだ液晶分子は、上述した面取りまたは丸みに沿って凸部の側方に移動する。したがって、液晶分子を配向方向に沿って配置させることが可能となり、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0012】
なお、前記各凸部の平面視における裾野側短辺の角部にも、面取りまたは丸み付けが施されているのが望ましい。これにより、上記谷部に入り込んだ液晶分子が凸部の側方に移動しやすくなり、液晶分子の配向性をより向上させることができる。
【0013】
また、前記突起は、前記電極の形成領域に選択的に形成されているのが望ましい。この場合にも、電圧印加の有無による液晶分子の配列制御は可能である。これに加えて、電極のスイッチング素子等を基板の平坦部に形成することが可能となり、電極のスイッチング素子等を容易に形成することができる。
【0014】
また、前記各凸部の平面視における山側短辺は、前記配向方向に直交する方向において隣接する凸部の、平面視における山側短辺に対して、前記配向方向に距離を置いて配置されているのが望ましい。この構成によれば、複数の前記谷部が配向方向に直交する方向に沿って一直線上に配置されないので、液晶分子が隣接する谷部をまたぐように配置されることがなくなる。したがって、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0015】
また、前記各凸部の前記側面視における緩斜面の前記配向方向に沿った長さは、0.5μm以上であって2.5μm以下であるのが望ましい。この場合、凸部の長さに起因して液晶分子の配向規制力が強くなるので、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0016】
また、前記配向方向に直交する方向における前記各凸部の断面は、概略長方形状に形成されているのが望ましい。また、前記各凸部の高さは、0.1μm以上であって0.2μm以下であるのが望ましい。この場合、凸部の高さに起因して液晶分子の配向規制力が強くなるので、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0017】
また、前記配向方向において隣接する前記各凸部相互の間隔は、0.5μm以下であるのが望ましい。これにより、隣接する凸部の間に液晶分子が放置されることがなくなって、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0018】
また、前記配向方向に直交する方向において隣接する前記各凸部相互の間隔は、1.0μm以下であるのが望ましい。これにより、隣接する凸部の間における液晶分子の姿勢が制限され、凸部による液晶分子の配向規制力が強くなるので、液晶分子の配向性を向上させることができる。なお、前記配向方向に直交する方向において隣接する前記各凸部は、相互に間隔を置いて配置されているのが望ましい。これにより、隣接する凸部の間に液晶分子が配置され、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0019】
また、前記各凸部の前記側面視における緩斜面の仰角は、前記液晶分子のプレティルト角と同等の角度に形成されているのが望ましい。また、前記配向方向に直交する方向に沿った前記各凸部の幅は、0.2μm以上であって0.5μm以下であるのが望ましい。これにより、液晶分子に所定のプレティルト角を付与することができる。また、緩斜面上における液晶分子の姿勢が制限され、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0020】
一方、本発明の液晶装置の製造方法は、対向配置された一対の基板に挟持される液晶層と、少なくとも一方の基板と前記液晶層との間に配置された電極と、前記電極と前記液晶層との間に配置され、前記液晶層の液晶分子を配向させる配向膜とを備えた液晶装置の製造方法であって、少なくとも一方の前記基板の表層に複数の突起を形成する工程と、前記複数の突起が形成された前記基板上に前記配向膜を形成することにより、前記配向膜の表面に複数の凸部を形成する工程と、を含んでなり、前記各凸部は、平面視において概略長方形状に形成されてなり、長辺側の側面視において概略鋸歯形状に形成され、前記長辺を前記液晶分子の配向方向に一致させて形成されるとともに、前記各凸部の平面視における山側短辺の角部に、面取りまたは丸み付けが施されてなることを特徴とする。この構成によれば、液晶分子を配向方向に沿って配置させることが可能となり、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0021】
一方、本発明の電子機器は、上述したいずれかの液晶装置を備えたことを特徴とする。上述した液晶装置はいずれも液晶分子の配向性に優れるので、表示品質に優れた電子機器を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0023】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る液晶装置につき、図1〜図6を用いて説明する。
本実施形態では、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTという)素子を用いたアクティブマトリクス方式の透過型液晶装置を例にして説明する。図1は、透過型液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素の等価回路図である。また、図2はTFTアレイ基板に形成された複数の画素の平面図であり、図3は図2のA−A’線における断面図である。
【0024】
図1に示すように、透過型液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素には、電極である画素電極9と、当該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30とが形成されている。
TFT素子30のソースには、データ線6aが電気的に接続されている。各データ線6aには、画像信号S1、S2、…、Snが供給される。なお、画像信号S1、S2、…、Snは、各データ線6aに対してこの順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループ毎に供給してもよい。
【0025】
また、TFT素子30のゲートには、走査線3aが電気的に接続されている。
走査線3aには、所定のタイミングでパルス的に、走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。なお、走査信号G1、G2、…、Gmは、各走査線3aに対してこの順に線順次で印加する。また、TFT素子30のドレインには、画素電極9が電気的に接続されている。そして、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオン状態にすると、データ線6aから供給された画素信号S1、S2、…、Snが、各画素の液晶に所定のタイミングで書き込まれる。
【0026】
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極9と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極14と容量線3bとの間に蓄積容量70が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶分子の配向が変化する。これにより、液晶に入射した光が変調されて、階調表示が可能となる。
【0027】
(平面構造)
次に、図2を用いて、本実施形態の透過型液晶装置の平面構造について説明する。本実施形態の透過型液晶装置では、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOという)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9(破線9aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されいる。また、画素電極9の縦横の境界に沿って、データ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。本実施形態では、各画素電極9ならびに各画素電極9を囲むように配設されたデータ線6a、走査線3aおよび容量線3b等の形成された領域が画素であり、マトリクス状に配置された各画素ごとに表示を行うことが可能な構造になっている。
【0028】
TFT素子30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層1aを中心として形成されている。半導体層1aのソース領域(後述)には、コンタクトホール5を介して、データ線6aが電気的に接続されている。また、半導体層1aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール8を介して、画素電極9が電気的に接続されている。一方、半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分には、チャネル領域1a’が形成されている。なお、走査線3aは、チャネル領域1a’との対向部分においてゲート電極として機能する。
【0029】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に伸びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aとの交点からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とによって構成されている。また、図2中に右上がりの斜線で示した領域には、第1遮光膜11aが形成されている。そして、容量線3bの突出部と第1遮光膜11aとが、コンタクトホール13を介して電気的に接続されている。
【0030】
(断面構造)
次に、図3を用いて、本実施形態の透過型液晶装置の断面構造について説明する。なお、図3は図2のA−A’線における断面図である。図3に示すように、本実施形態の透過型液晶装置は、TFTアレイ基板10と、これに対向配置される対向基板20と、これらの間に挟持される液晶層50とによって構成されている。
【0031】
TFTアレイ基板10は、石英等の透光性材料からなる基板本体10Aと、その内側に形成されたTFT素子30や画素電極9、配向膜40などとを主体として構成されている。一方、対向基板20は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20Aと、その内側に形成された共通電極21や配向膜60などとを主体として構成されている。さらに、液晶層50はTN液晶によって構成されている。
【0032】
TFTアレイ基板10の表面には、後述する第1遮光膜11aおよび第1層間絶縁膜12が形成されている。そして、第1層間絶縁膜12の表面に半導体層1aが形成され、この半導体層1aを中心としてTFT素子30が形成されている。半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分にはチャネル領域1a’が形成され、その両側にソース領域およびドレイン領域が形成されている。なお、TFT素子30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用するため、ソース領域およびドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。すなわち、ソース領域には低濃度ソース領域1bと高濃度ソース領域1dとが形成され、ドレイン領域には低濃度ドレイン領域1cと高濃度ドレイン領域1eとが形成されている。
【0033】
半導体層1aの表面には、ゲート絶縁膜2が形成されている。そして、ゲート絶縁膜2の表面に走査線3aが形成され、走査線3aはゲート電極を構成している。また、ゲート絶縁膜2および走査線3aの表面には、第2層間絶縁膜4が形成されている。そして、第2層間絶縁膜4の表面にデータ線6aが形成され、第2層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホール5を介して、データ線6aが高濃度ソース領域1dと電気的に接続されている。さらに、第2層間絶縁膜4およびデータ線6aの表面には、第3層間絶縁膜7が形成されている。そして、第3層間絶縁膜7の表面に画素電極9が形成され、第2層間絶縁膜4および第3層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール8を介して、画素電極9が高濃度ドレイン領域1eと電気的に接続されている。一方、第3層間絶縁膜7および画素電極9の表面には、電圧無印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜40が形成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fが形成されている。また、ゲート絶縁膜2を延設して誘電体膜とし、その表面に容量線3bを形成して第2蓄積容量電極とすることにより、上述した蓄積容量70が構成されている。
【0035】
また、TFT素子30の形成領域に対応するTFTアレイ基板10の表面に、第1遮光膜11aが形成されている。第1遮光膜11aは、対向基板20側から入射し、TFTアレイ基板10の外面(TFTアレイ基板10と空気との界面)で反射されて液晶層50へと戻る光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’、低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1cに入射することを防止するものである。なお、第1遮光膜11aは、第1層間絶縁膜12に形成されたコンタクトホール13を介して、前段あるいは後段の容量線3bと電気的に接続されている。これにより、第1遮光膜11aは第3蓄積容量電極として機能し、第1層間絶縁膜12を誘電体膜として、第1蓄積容量電極1fとの間に新たな蓄積容量が形成される。
【0036】
一方、データ線6a、走査線3aおよびTFT素子30の形成領域に対応する対向基板20の表面には、第2遮光膜23が形成されている。第2遮光膜23は、対向基板20側からの入射光が、半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを防止するものである。
また、対向基板20および第2遮光膜23の表面には、ほぼ全面に渡ってITO等からなる共通電極21が形成されている。さらに、共通電極21の表面には、電圧無印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜60が形成されている。
【0037】
(配向膜)
ところで、上述した配向膜40,60の表面には、凸部が形成されている。本実施形態では、この配向膜40,60に形成された凸部が特徴的な構成となっている。なお、配向膜60の構成は配向膜40の構成と同様であるから、配向膜40の構成のみについて、図4〜図6を用いて説明する。図4は配向膜の表面に形成された複数の凸部の配列状態を示す平面図である。図5は凸部の形状の説明図であって、図5(a)は平面図であり、図5(b)は図4のB−B線における側面断面図であり、図5(c)は正面図である。図6は液晶分子の配向状態を示す配向膜の側面断面図である。なお、図4〜図6において、X方向は液晶分子の配向方向であり、Y方向は配向方向に直交する方向である。
【0038】
配向膜40は、後述するように無機材料等で形成されている。なお、マグネシウム酸化物やマグネシウムなどのマグネシウム化合物で形成するのが望ましい。
【0039】
図5(b)に示すように、上述した基板本体10Aの表層には、突起98が形成されている。そして、この基板本体10Aの表面に沿って、各絶縁膜や画素電極9などとともに、配向膜40が形成されている。これにより、基板本体10Aの突起形状に沿って、配向膜40の表面に凸部100が形成されている。なお、液晶分子の配向制御は、配向膜40の表面に形成された凸部100によって行われる。そこで以下には、基板本体10Aに形成された突起98の形状ではなく、配向膜40に形成された凸部100の形状について述べる。すなわち、以下のごとく凸部100が形成されるように、あらかじめ基板本体10Aに突起98を形成しておく。
【0040】
図4に示すように、配向膜の表面には複数の凸部100が形成されている。なお凸部100は、配向膜の表面全体に形成してもよいし、画素電極の形成領域に選択的に形成してもよい。凸部100は、平面視において概略長方形状に形成され、その長手方向をX方向に一致させて配置されている。第1実施形態では、複数の凸部100がX方向およびY方向に整列された状態で配置されている。なお、凸部100と、X方向において隣接する凸部100xとの間には、谷部110xが形成されている。また、凸部100と、Y方向において隣接する凸部100との間には、谷部110yが形成されている。そして、複数の谷部110xがX方向に沿って一直線上に連続形成され、複数の谷部110yがY方向に沿って一直線上に連続形成されている。
【0041】
図5(a)に示すように、凸部100は平面視において概略長方形状に形成されている。なお後述するように、凸部100の山側短辺100aの角部106には丸み付けが施されている。また、図5(b)に示すように、凸部100は側面視において概略鋸歯形状に形成されている。そして、凸部100の頂点から図5(b)の左側に伸びる緩斜面が、凸部100の主傾斜面102を構成している。
この主傾斜面102の仰角αは、液晶分子に付与すべきプレティルト角と同等の角度に設定されている。
【0042】
図4に示すように、配向膜の表面には複数の谷部110xがX方向に沿って一直線上に連続形成されている。したがって、上述した配向膜40により図3に示す投射型液晶装置を構成した場合、液晶層50を構成する液晶分子はこの谷部110xに沿って配置され、液晶分子はX方向に配向される。また液晶層50を構成する液晶分子は、図6に示すように、凸部100の主傾斜面102に沿って配置される。これにより、液晶分子52にはプレティルト角αが付与される。
【0043】
ところで、図4に示すように、配向膜の表面には谷部110yがY方向に沿って形成されている。そのため、液晶分子の一部が谷部110yに沿ってY方向に配向されてしまうおそれがある。しかし、図5(b)に示すように、凸部100の頂点を挟んで主傾斜面102の反対側には、たとえば球面状の斜面104が形成されている。これにともなって、図5(a)に示すように、平面視における凸部100の山側短辺100aの角部106には、丸み付けが施されている。これにより、谷部110y(図4参照)に入り込んだ液晶分子は、当該丸みに沿って谷部110xに移動し、液晶分子が谷部110yに留まってY方向に配向されることはない。したがって、ほとんどの液晶分子をX方向に配向させることが可能となり、液晶分子の配向性を向上させることができる。なお、平面視における凸部100の山側短辺100aの角部106には、丸み付けの代わりに面取りを施してもよい。また、平面視における凸部100の裾野側短辺100bの角部107にも、丸み付けまたは面取りを施すのが望ましい。これにより、谷部110yに入り込んだ液晶分子が谷部110xに移動しやすくなり、液晶分子の配向性をより向上させることができる。
【0044】
ここで、凸部100における各部の寸法について説明する。図5に示すように、凸部100における主傾斜面102のX方向の長さL1は、たとえば2.24μmに形成されている。なお、L1は0.5μm以上であって2.5μm以下に形成するのが望ましい。L1が0.5μm未満の場合および2.5μmを超える場合には、谷部110x(図4参照)に沿って液晶分子をX方向に配向させる規制力(配向規制力)が弱くなる。
【0045】
なお、凸部100の頂点を挟んで主傾斜面102の反対側には、たとえば球面状の斜面104が形成されている。そのため、平面視における凸部100の山側短辺100aの角部106には、半径がW/2(ただし、Wは凸部110の幅)の丸み付けが施されている。また、斜面104のX方向の長さL2もW/2に形成されている。なお、L2=0であってもよい。この場合、斜面104を形成する代わりに、凸部110の頂点を通る垂直面を形成する。
【0046】
また、図5に示すように、各凸部の高さHは、たとえば0.2μmに形成されている。なお、Hは0.1μm以上であって0.2μm以下に形成するのが望ましい。Hが0.1μm未満の場合には、上述した配向規制力が弱くなる。一方、投射型液晶装置のセルギャップ(液晶層の厚さ)は、たとえば2.5μm〜3.0μmに形成されているので、Hが0.2μmを超える場合には、リタデーションが変化することになる。これにより、コントラストが悪くなるなど、光学特性に影響を与えることになる。
【0047】
一方、図4に示すように、X方向において隣接する凸部相互の間隔P1は、たとえば0.15μmに形成されている。なお、P1は0.5μm以下に形成するのが望ましい。P1が0.5μmを超える場合には、上述した配向規制力が弱くなる。なお、P1=0となるように、凸部110をX方向に連続形成してもよい。
【0048】
また、図4に示すように、Y方向において隣接する凸部相互の間隔P2は、たとえば0.15μmに形成されている。なお、P2は1.0μm以下に形成するのが望ましい。P2が1.0μmを超える場合には、上述した配向規制力が弱くなる。なお、P2=0となるように、凸部110をY方向に連続形成してもよいが、P2>0となるように、たとえば0.1μm以上の所定の間隔を置いて形成するのが望ましい。これにより、Y方向において隣接する凸部相互の間に液晶分子が入り込むので、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0049】
また、図5に示すように、各凸部110のY方向における幅Wは、たとえば0.3μmに形成されている。なお、Wは0.2μm以上であって0.5μm以下に形成するのが望ましい。Wが1.0μmを超える場合には、液晶分子が配置される主傾斜面102の幅が広くなりすぎて、上述した配向規制力が弱くなる。一方、Wが0.2μm未満の場合には、後述する方法で凸部を形成するのが困難になるほか、液晶分子にプレティルト角を付与するのが困難になる。
【0050】
(製造方法)
次に、本実施形態に係る投射型液晶装置の製造方法について、図3〜図5を用いて説明する。
まず、図5(b)に示すように、基板本体10Aの表層に突起98を形成する。突起98の形成は、レジスト膜をマスクとしたドライエッチング等によって行う。このレジスト膜をパターニングするため、まず各突起形状に対応する複数の凹部が形成された転写型を製造する。具体的には、石英ガラス等の表面に凹部を形成し、Niメッキ等を施して転写型を製造する。なお、グレーマスクを用いたフォトリソグラフィ技術により、転写型を製造することも可能である。また、Niメッキ等を施さず、石英ガラス等の表面に形成した凹部をそのまま転写型としてもよい。上述した凹部の形成は、集束イオンビーム(FIB)加工法等によって行う。なお、集束イオンビームの出力を調整したり、描画速度を調整したりすることによって、部分的に深さの異なる凹部を形成することができる。
【0051】
一方、基板本体10Aの表面にレジスト膜を形成する。なお、レジスト膜の形成は、スピンコート法やディッピング法、スプレーコート法などによって行うことができる。そして、このレジスト膜に上述した転写型を押圧することにより、レジスト膜を突起形状にパターニングする。次に、パターニングされたレジスト膜をマスクとして、基板本体10Aの表層をハーフエッチングする。これにより、突起の形成部分以外の部分がエッチングされる。なお、エッチングは反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチングなどによって行う。その後、基板本体10Aの表面のレジストを剥離する。以上により、基板本体10Aの表層に突起98が形成される。
【0052】
なお、基板本体10Aは石英等の硬質材料で形成されるため、転写型を基板本体10Aに押圧して直接的に突起98を形成するのは困難である。しかし、上述したように本実施形態では、転写型でレジスト膜をパターニングし、そのレジスト膜をマスクとして基板本体10Aをエッチングするので、基板本体10Aに突起98を形成することができる。なお、突起98の形成しろを考慮して、あらかじめ基板本体10Aの厚さを通常より厚めに形成しておくのが望ましい。
【0053】
次に、図3に示すように、基板本体10Aの表面に、第1遮光膜11a、第1層間絶縁膜12、半導体層1a、ゲート絶縁膜2、走査線3aおよび容量線6b、第2層間絶縁膜4、データ線6a、第3層間絶縁膜7、ならびに画素電極9を順次形成する。なお、第1層間絶縁膜12、ゲート絶縁膜2、第2層間絶縁膜4および第3層間絶縁膜7の形成は、MOCVD法等によって行う。また、第1遮光膜11a、走査線3a、容量線6b、データ線6aおよび画素電極9の形成は、蒸着法やスパッタ法等によって行う。次に、第3層間絶縁膜7および画素電極9の表面に、例えばEB(電子ビーム)真空蒸着法やイオンプレーティング法、スピンコート法などにより、配向膜40を形成する。図5(b)に示すように、基板本体10Aの表層には突起98が形成されているので、この突起98に沿って配向膜40を形成することにより、配向膜40の表面に凸部100が形成される。以上により、TFTアレイ基板10が形成される。
【0054】
なお、基板本体の突起を基にして配向膜に凸部を形成する代わりに、配向膜に直接突起を形成することも考えられる。しかしながら、この場合には突起の形成部分において配向膜が厚くなるので、液晶を駆動するために大きな電圧が必要となり、液晶装置の電力消費量が多くなる。この点、本実施形態では、画素電極9の外側に配置される基板本体10Aに突起を形成し、画素電極9の内側に配置される配向膜は均等な厚さに形成するので、液晶の駆動電圧を上昇させることがない。したがって、液晶装置の電力消費量を維持することができる。なお、携帯型の電子機器においては、電力消費量の低減が重要な課題となっている。この点、本実施形態に係る液晶装置は電力消費量が少ないので、携帯型の電子機器において好適に使用することができる。
【0055】
一方、対向基板20もTFTアレイ基板10と同様にして製造する。具体的には、基板本体20Aの表面にレジスト膜を塗布し、上記と同様の転写型を押圧してレジスト膜をパターニングする。そして、このレジスト膜をマスクとして基板本体20Aをエッチングすることにより、基板本体20Aの表層に突起を形成する。なお、突起の配向方向は、TFTアレイ基板10における突起の配向方向に対して90度回転した方向とする。次に、基板本体20Aの表面に、第2遮光膜23、共通電極21および配向膜60を順次積層して、配向膜60の表面に凸部を形成する。以上により、対向基板20が形成される。
【0056】
次に、TFTアレイ基板10または対向基板20のうち、一方の基板の周縁部にシール材を塗布して、その内側にスペーサを配置する。そして、その一方の基板に他方の基板を貼り合わせ、両方の基板とシール材とで囲まれた液晶セルを形成する。なお、液晶セルの厚さ(セルギャップ)が、例えば3μm程度の所定値となるように、スペーサの直径を設定する。さらに、シール材の一部に形成された液晶注入孔から、液晶セル内にTN液晶を注入して、液晶注入孔を封止する。
以上により、本実施形態に係る透過型液晶装置が形成される。
【0057】
上述したように、本実施形態の液晶装置では、配向膜の表面に凸部を形成して液晶分子を配向させるので、ラビング処理が不要となる。これにより、ラビング布や配向膜材料のダストに起因する不具合の発生を防止することができる。
【0058】
また、配向膜の表面に凸部を形成して液晶分子にプレティルト角を付与するので、配向膜の構成材料にアルキル基を付加する必要がない。これにより、プレティルト角の制御が容易になる。また、アルキル基を持たない材料によって配向膜を形成することが可能になり、配向膜の耐光性を向上させることができる。特に、耐光性に優れた無機材料により配向膜を形成するのが望ましい。これにより、液晶プロジェクタの液晶ライトバルブとして本実施形態に係る透過型液晶装置を使用した場合でも、光源から照射される強い光や熱により配向膜が分解されることがない。また、長期間の使用後にも、液晶配向制御機能が低下することはなく、液晶プロジェクタ等の表示品質を低下させることがない。
【0059】
なお、ITOにより画素電極を形成した場合には、画素電極から不純物やインジウム(In)、錫(Sn)等の金属元素が液晶層中に溶出するおそれがある。この場合、液晶装置の電気的特性が変化して、液晶装置の表示品質が低下することになる。そこで、マグネシウム化合物を含有する材料によって配向膜を形成するのが望ましい。具体的には、マグネシウム化合物として、MgO(酸化マグネシウム)等のマグネシウム酸化物、またはMgF2(フッ化マグネシウム)等のマグネシウム塩を含有するのが好ましい。これにより、配向膜の外側に形成された画素電極から、不純物やインジウム(In)、錫(Sn)等が液晶層に拡散するのを防止することができる。したがって、液晶層の電気的特性が変化することがなく、長時間の使用後にも液晶装置の表示品質を低下させることがないなど、液晶層の機能を維持することができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る液晶装置につき、図7〜図9を用いて説明する。図7〜図9は、配向膜の表面に形成された複数の凸部の配列状態を示す平面図である。第2実施形態に係る液晶装置が、第1実施形態と異なる点は、配向膜の表面に形成された凸部の配列状態のみである。その他の点については、第1実施形態と同様の構成であるから、詳細な説明を省略する。
【0061】
第1実施形態では、図4に示すように、複数の凸部100をX方向およびY方向に整列された状態で配置した。これに対して、第2実施形態では、各凸部100をX方向またはY方向に整列配置することなく、隣接する凸部の位置をずらして配置している。図7および図8では、各凸部100をX方向に整列配置しつつ、Y方向には位置をずらして配置している。すなわち、図7では、凸部100とY方向において隣接する凸部102とのX方向位置を、各凸部のX方向におけるピッチの半分程度ずらして規則的に配置している。また、図8では、凸部100とY方向において隣接する凸部102とのX方向位置を、ランダムにずらして配置している。一方、図9では、各凸部100の長手方向をX方向に一致させているが、各凸部100をX方向およびY方向に整列配置することなく、Y方向において隣接する凸部相互のX方向位置およびX方向において隣接する凸部相互のY方向位置を、それぞれランダムにずらして配置している。
【0062】
第1実施形態では、各凸部100をY方向に沿って整列配置したので、凸部100の平面視における山側短辺100aが、Y方向において隣接する凸部102の平面視における山側短辺102aと、同一のX座標上に形成されていた。したがって、複数の谷部110y,112yが、Y方向に沿って一直線上に連続形成されていた。しかし第2実施形態では、Y方向に隣接する凸部のX方向位置をずらして配置したので、凸部100の平面視における山側短辺100aが、Y方向において隣接する凸部102の平面視における山側短辺102aと、X方向位置をずらして配置されている。したがって、複数の谷部110y,112yが、Y方向に沿って一直線上に連続形成されない。これにより、液晶分子の一部が、隣接する谷部110y,112yをまたぐようにY方向に沿って配置される可能性がなくなり、液晶分子の配向性をより向上させることができる。
【0063】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る液晶装置につき、図10を用いて説明する。図10は、配向膜の表面に形成された凸部の形状の説明図であって、図10(a)は平面図であり、図10(b)は側面図であり、図10(c)は正面図である。第3実施形態に係る液晶装置が、第1実施形態または第2実施形態と異なる点は、配向膜の表面に形成された各凸部の形状のみである。その他の点については、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成であるから、詳細な説明を省略する。
【0064】
図10(a)に示すように、凸部200は平面視において概略長方形状に形成されている。なお、第1実施形態と同様に、凸部200の山側短辺200aの角部206には丸み付けが施されている。また、図10(b)に示すように、凸部200は側面視において概略鋸歯形状に形成されている。そして、凸部200の頂点から図10(b)の左側に伸びる緩斜面が、凸部200の主傾斜面202を構成している。この主傾斜面202の仰角αは、液晶分子に付与すべきプレティルト角と同等の角度に設定されている。なお、側面視における凸部200の山側端部には、凸部200の頂点から配向膜の表面にかけて垂直面204が形成されている。さらに、図10(c)に示すように、凸部200は正面視において概略長方形状に形成されている。ここで、X方向に直交する面における凸部200の断面形状は、すべて長方形状となっている。
【0065】
第1実施形態における凸部100は、図5(c)に示すように、正面視において半円形状に形成されていた。これに対して、第3実施形態における凸部200は、長方形状に形成されている。これにより、凸部200の側面の高さに起因して、谷部110x(図4または図7参照)に沿って液晶分子をX方向に配向させる規制力(配向規制力)が強くなり、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0066】
[投射型表示装置]
次に、本発明の電子機器の具体例である投射型表示装置につき、図11を用いて説明する。図11は、投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。この投射型表示装置は、第1〜第3実施形態のいずれかの透過型液晶装置を液晶光変調装置として備えたものである。
【0067】
図11において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は液晶光変調装置、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズ、831、832、833は入射側の偏光板、834、835、836は出射側の偏光板である。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
【0068】
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用液晶光変調装置822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用液晶光変調装置823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用液晶光変調装置824に入射される。
【0069】
各光変調装置により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0070】
このように、投射型表示装置の液晶光変調装置822,823,824として、第1〜第3実施形態のいずれかの透過型液晶装置を使用すれば、光源810から照射される強い光や熱により配向膜が分解されることはない。また、長期間の使用後にも、液晶配向制御機能が低下することはなく、投射型表示装置の表示品質を低下させることがない。
【0071】
なお、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。たとえば、実施形態ではTNモードの液晶装置を例にして説明したが、本発明はECBモードや垂直配向モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、強誘電モード、反強誘電モードなど、電圧無印加時の液晶分子の配向状態がいかなる液晶装置にも適用することができる。また、実施形態ではスイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を採用してもよい。また、実施形態では透過型液晶装置を例にして説明したが、本発明の液晶装置を反射型や半透過型の液晶装置に適用することも可能である。さらに、電子機器として3板式の投射型表示装置を例にして説明したが、本発明の液晶装置を単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に使用することも可能である。
【0072】
また、本発明の電子機器の他の具体例として、図12に携帯電話の斜視図を示す。この携帯電話300は、第1〜第3実施形態のいずれかの透過型液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、液晶装置の等価回路図である。
【図2】図2は、TFTアレイ基板の平面図である。
【図3】図3は、液晶装置の部分断面図である。
【図4】図4は、第1実施形態における配向膜の表面に形成された複数の凸部の配列状態を示す平面図である。
【図5】図5は、第1実施形態における凸部の形状の説明図である。
【図6】図6は、液晶分子の配向状態を示す配向膜の側面断面図である。
【図7】図7は、第2実施形態における複数の凸部の配列状態を示す平面図である。
【図8】図8は、第2実施形態における複数の凸部の配列状態を示す平面図である。
【図9】図9は、第2実施形態における複数の凸部の配列状態を示す平面図である。
【図10】図10は、第3実施形態における凸部の形状の説明図である。
【図11】図11は、投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。
【図12】図12は、携帯電話の斜視図である。
【図13】図13は、従来技術における複数の凸部の配列状態および凸部の形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
40配向膜 100凸部 102主傾斜面 104斜面 106角部
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶装置および液晶装置の製造方法並びに電子機器に関するものであり、特に配向膜の表面に配向用凸部を形成した液晶装置およびその製造方法と、その液晶装置を備えた電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置に搭載される光変調装置や、携帯電話等に搭載される直視型表示装置として用いられる液晶装置は、対向配置された一対の基板に液晶層が挟持されて構成されている。なお、この一対の基板の内側には、液晶層に電圧を印加するための電極が形成されている。また、この電極の内側には、電圧無印加時において液晶分子の配列を制御する配向膜が形成されている。そして、電圧無印加時と電圧印加時との液晶分子の配列変化に基づいて、液晶装置に画像表示が行われる構成となっている。
【0003】
上述した配向膜として、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが用いられている。ラビング処理は、柔らかい布からなるローラで、高分子膜の表面を所定方向に擦ることにより、高分子を所定方向に配向させるものである。そして、配向性高分子と液晶分子との分子間相互作用により、配向性高分子に沿って液晶分子が配置されるので、液晶分子を所定方向に配向させることができる。また、側鎖アルキル基によって液晶分子にプレティルトを与えることができる。
【0004】
しかしながら、このような配向膜を備えた液晶装置を、液晶プロジェクタ用の光変調装置に採用した場合には、光源から照射される強い光や熱によって、配向膜が次第に分解されてしまう。そして長期間の使用後には、電圧無印加時に液晶分子を所望のプレティルト角に配列することができなくなるなど、液晶分子の配向制御機能が低下して、液晶プロジェクタの表示品質が低下することがあった。
【0005】
そこで、配向膜の表面に突起を形成して液晶分子の配向制御を行う構成が、特許文献1ないし5に開示されている。図13は、配向膜の表面に形成された突起の斜視図である。なお図13では、液晶分子の配向方向をX方向とし、配向方向に直交する方向をY方向としている。図13に示すように、配向膜40の表面には、X方向に沿って複数の突起500が形成されている。各突起500は、平面視において概略長方形状とされ、側面視において概略鋸歯形状とされている。そして、突起500と、Y方向において隣接する突起502との間には、X方向に沿った谷部510xが形成されている。この谷部510xに液晶分子が入り込むので、液晶分子をX方向に配向させることができる。一方、鋸歯状に形成された各突起500の緩斜面に液晶分子が配置されるので、液晶分子にプレティルト角を与えることができる。なお、このような突起は、フォトレジストをホログラフィック露光する方法や、光硬化性化合物に形状を転写する方法などによって形成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−60624号公報
【特許文献2】
特開平1−238619号公報
【特許文献3】
特開平5−188377号公報
【特許文献4】
特開平8−114804号公報
【特許文献5】
特開平9−152612号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図13に示す配向膜40では、突起500と、X方向において隣接する突起501との間に、Y方向に沿って伸びる谷部510yが形成されている。そのため、液晶分子の一部がこの谷部510yに沿ってY方向に配向され、液晶分子のX方向への配向性が低下するという問題がある。
【0008】
また、図13に示す配向膜40では、ホログラフィック露光により各突起を形成することに起因して、突起500の平面視における山側短辺500aが、Y方向において隣接する突起502の平面視における山側短辺502aと、同一のX座標上に形成されている。したがって、複数の谷部510y,512yが、Y方向に沿って一直線上に配置されることになる。この場合、液晶分子の一部が隣接する谷部510y,512yをまたぐようにも配置され、液晶分子のX方向への配向性がより低下するという問題がある。
そして、液晶分子の配向性が低下すると、コントラストが低下するなど液晶プロジェクタ等の表示品質が悪化することになる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、液晶分子の配向性を向上させることが可能な液晶装置およびその製造方法の提供を目的とする。また、表示品質に優れた電子機器の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶装置は、対向配置された一対の基板と、この一対の基板に挟持される液晶層と、前記各基板のうち少なくとも一方の基板と前記液晶層との間に配置された電極と、前記電極と前記液晶層との間に配置され、前記液晶層の液晶分子を配向させる配向膜とを備えた液晶装置であって、前記一方の基板の表層に複数の凸部が形成され、前記一方の基板の内側に前記電極および前記配向膜を形成することにより、前記配向膜の表面に複数の凸部が形成され、前記各凸部は、平面視において概略長方形状に形成され、長辺側の側面視において概略鋸歯形状に形成され、前記長辺を前記液晶分子の配向方向に一致させて形成されるとともに、前記各凸部の平面視における山側短辺の角部に、面取りまたは丸み付けが施されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の液晶装置によれば、各凸部の平面視における山側短辺の角部に、面取りまたは丸み付けが施されているので、配向方向において隣接する凸部相互の間に形成される谷部の、配向方向に直交する方向に沿った長さが短くなる。そのため、当該谷部に入り込んだ液晶分子は、上述した面取りまたは丸みに沿って凸部の側方に移動する。したがって、液晶分子を配向方向に沿って配置させることが可能となり、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0012】
なお、前記各凸部の平面視における裾野側短辺の角部にも、面取りまたは丸み付けが施されているのが望ましい。これにより、上記谷部に入り込んだ液晶分子が凸部の側方に移動しやすくなり、液晶分子の配向性をより向上させることができる。
【0013】
また、前記突起は、前記電極の形成領域に選択的に形成されているのが望ましい。この場合にも、電圧印加の有無による液晶分子の配列制御は可能である。これに加えて、電極のスイッチング素子等を基板の平坦部に形成することが可能となり、電極のスイッチング素子等を容易に形成することができる。
【0014】
また、前記各凸部の平面視における山側短辺は、前記配向方向に直交する方向において隣接する凸部の、平面視における山側短辺に対して、前記配向方向に距離を置いて配置されているのが望ましい。この構成によれば、複数の前記谷部が配向方向に直交する方向に沿って一直線上に配置されないので、液晶分子が隣接する谷部をまたぐように配置されることがなくなる。したがって、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0015】
また、前記各凸部の前記側面視における緩斜面の前記配向方向に沿った長さは、0.5μm以上であって2.5μm以下であるのが望ましい。この場合、凸部の長さに起因して液晶分子の配向規制力が強くなるので、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0016】
また、前記配向方向に直交する方向における前記各凸部の断面は、概略長方形状に形成されているのが望ましい。また、前記各凸部の高さは、0.1μm以上であって0.2μm以下であるのが望ましい。この場合、凸部の高さに起因して液晶分子の配向規制力が強くなるので、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0017】
また、前記配向方向において隣接する前記各凸部相互の間隔は、0.5μm以下であるのが望ましい。これにより、隣接する凸部の間に液晶分子が放置されることがなくなって、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0018】
また、前記配向方向に直交する方向において隣接する前記各凸部相互の間隔は、1.0μm以下であるのが望ましい。これにより、隣接する凸部の間における液晶分子の姿勢が制限され、凸部による液晶分子の配向規制力が強くなるので、液晶分子の配向性を向上させることができる。なお、前記配向方向に直交する方向において隣接する前記各凸部は、相互に間隔を置いて配置されているのが望ましい。これにより、隣接する凸部の間に液晶分子が配置され、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0019】
また、前記各凸部の前記側面視における緩斜面の仰角は、前記液晶分子のプレティルト角と同等の角度に形成されているのが望ましい。また、前記配向方向に直交する方向に沿った前記各凸部の幅は、0.2μm以上であって0.5μm以下であるのが望ましい。これにより、液晶分子に所定のプレティルト角を付与することができる。また、緩斜面上における液晶分子の姿勢が制限され、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0020】
一方、本発明の液晶装置の製造方法は、対向配置された一対の基板に挟持される液晶層と、少なくとも一方の基板と前記液晶層との間に配置された電極と、前記電極と前記液晶層との間に配置され、前記液晶層の液晶分子を配向させる配向膜とを備えた液晶装置の製造方法であって、少なくとも一方の前記基板の表層に複数の突起を形成する工程と、前記複数の突起が形成された前記基板上に前記配向膜を形成することにより、前記配向膜の表面に複数の凸部を形成する工程と、を含んでなり、前記各凸部は、平面視において概略長方形状に形成されてなり、長辺側の側面視において概略鋸歯形状に形成され、前記長辺を前記液晶分子の配向方向に一致させて形成されるとともに、前記各凸部の平面視における山側短辺の角部に、面取りまたは丸み付けが施されてなることを特徴とする。この構成によれば、液晶分子を配向方向に沿って配置させることが可能となり、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0021】
一方、本発明の電子機器は、上述したいずれかの液晶装置を備えたことを特徴とする。上述した液晶装置はいずれも液晶分子の配向性に優れるので、表示品質に優れた電子機器を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0023】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る液晶装置につき、図1〜図6を用いて説明する。
本実施形態では、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTという)素子を用いたアクティブマトリクス方式の透過型液晶装置を例にして説明する。図1は、透過型液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素の等価回路図である。また、図2はTFTアレイ基板に形成された複数の画素の平面図であり、図3は図2のA−A’線における断面図である。
【0024】
図1に示すように、透過型液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素には、電極である画素電極9と、当該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30とが形成されている。
TFT素子30のソースには、データ線6aが電気的に接続されている。各データ線6aには、画像信号S1、S2、…、Snが供給される。なお、画像信号S1、S2、…、Snは、各データ線6aに対してこの順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループ毎に供給してもよい。
【0025】
また、TFT素子30のゲートには、走査線3aが電気的に接続されている。
走査線3aには、所定のタイミングでパルス的に、走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。なお、走査信号G1、G2、…、Gmは、各走査線3aに対してこの順に線順次で印加する。また、TFT素子30のドレインには、画素電極9が電気的に接続されている。そして、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオン状態にすると、データ線6aから供給された画素信号S1、S2、…、Snが、各画素の液晶に所定のタイミングで書き込まれる。
【0026】
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極9と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極14と容量線3bとの間に蓄積容量70が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶分子の配向が変化する。これにより、液晶に入射した光が変調されて、階調表示が可能となる。
【0027】
(平面構造)
次に、図2を用いて、本実施形態の透過型液晶装置の平面構造について説明する。本実施形態の透過型液晶装置では、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOという)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9(破線9aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されいる。また、画素電極9の縦横の境界に沿って、データ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。本実施形態では、各画素電極9ならびに各画素電極9を囲むように配設されたデータ線6a、走査線3aおよび容量線3b等の形成された領域が画素であり、マトリクス状に配置された各画素ごとに表示を行うことが可能な構造になっている。
【0028】
TFT素子30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層1aを中心として形成されている。半導体層1aのソース領域(後述)には、コンタクトホール5を介して、データ線6aが電気的に接続されている。また、半導体層1aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール8を介して、画素電極9が電気的に接続されている。一方、半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分には、チャネル領域1a’が形成されている。なお、走査線3aは、チャネル領域1a’との対向部分においてゲート電極として機能する。
【0029】
容量線3bは、走査線3aに沿って略直線状に伸びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aとの交点からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とによって構成されている。また、図2中に右上がりの斜線で示した領域には、第1遮光膜11aが形成されている。そして、容量線3bの突出部と第1遮光膜11aとが、コンタクトホール13を介して電気的に接続されている。
【0030】
(断面構造)
次に、図3を用いて、本実施形態の透過型液晶装置の断面構造について説明する。なお、図3は図2のA−A’線における断面図である。図3に示すように、本実施形態の透過型液晶装置は、TFTアレイ基板10と、これに対向配置される対向基板20と、これらの間に挟持される液晶層50とによって構成されている。
【0031】
TFTアレイ基板10は、石英等の透光性材料からなる基板本体10Aと、その内側に形成されたTFT素子30や画素電極9、配向膜40などとを主体として構成されている。一方、対向基板20は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20Aと、その内側に形成された共通電極21や配向膜60などとを主体として構成されている。さらに、液晶層50はTN液晶によって構成されている。
【0032】
TFTアレイ基板10の表面には、後述する第1遮光膜11aおよび第1層間絶縁膜12が形成されている。そして、第1層間絶縁膜12の表面に半導体層1aが形成され、この半導体層1aを中心としてTFT素子30が形成されている。半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分にはチャネル領域1a’が形成され、その両側にソース領域およびドレイン領域が形成されている。なお、TFT素子30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用するため、ソース領域およびドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。すなわち、ソース領域には低濃度ソース領域1bと高濃度ソース領域1dとが形成され、ドレイン領域には低濃度ドレイン領域1cと高濃度ドレイン領域1eとが形成されている。
【0033】
半導体層1aの表面には、ゲート絶縁膜2が形成されている。そして、ゲート絶縁膜2の表面に走査線3aが形成され、走査線3aはゲート電極を構成している。また、ゲート絶縁膜2および走査線3aの表面には、第2層間絶縁膜4が形成されている。そして、第2層間絶縁膜4の表面にデータ線6aが形成され、第2層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホール5を介して、データ線6aが高濃度ソース領域1dと電気的に接続されている。さらに、第2層間絶縁膜4およびデータ線6aの表面には、第3層間絶縁膜7が形成されている。そして、第3層間絶縁膜7の表面に画素電極9が形成され、第2層間絶縁膜4および第3層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール8を介して、画素電極9が高濃度ドレイン領域1eと電気的に接続されている。一方、第3層間絶縁膜7および画素電極9の表面には、電圧無印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜40が形成されている。
【0034】
なお、本実施形態では、半導体膜1aを延設して第1蓄積容量電極1fが形成されている。また、ゲート絶縁膜2を延設して誘電体膜とし、その表面に容量線3bを形成して第2蓄積容量電極とすることにより、上述した蓄積容量70が構成されている。
【0035】
また、TFT素子30の形成領域に対応するTFTアレイ基板10の表面に、第1遮光膜11aが形成されている。第1遮光膜11aは、対向基板20側から入射し、TFTアレイ基板10の外面(TFTアレイ基板10と空気との界面)で反射されて液晶層50へと戻る光が、少なくとも半導体層1aのチャネル領域1a’、低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1cに入射することを防止するものである。なお、第1遮光膜11aは、第1層間絶縁膜12に形成されたコンタクトホール13を介して、前段あるいは後段の容量線3bと電気的に接続されている。これにより、第1遮光膜11aは第3蓄積容量電極として機能し、第1層間絶縁膜12を誘電体膜として、第1蓄積容量電極1fとの間に新たな蓄積容量が形成される。
【0036】
一方、データ線6a、走査線3aおよびTFT素子30の形成領域に対応する対向基板20の表面には、第2遮光膜23が形成されている。第2遮光膜23は、対向基板20側からの入射光が、半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入するのを防止するものである。
また、対向基板20および第2遮光膜23の表面には、ほぼ全面に渡ってITO等からなる共通電極21が形成されている。さらに、共通電極21の表面には、電圧無印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜60が形成されている。
【0037】
(配向膜)
ところで、上述した配向膜40,60の表面には、凸部が形成されている。本実施形態では、この配向膜40,60に形成された凸部が特徴的な構成となっている。なお、配向膜60の構成は配向膜40の構成と同様であるから、配向膜40の構成のみについて、図4〜図6を用いて説明する。図4は配向膜の表面に形成された複数の凸部の配列状態を示す平面図である。図5は凸部の形状の説明図であって、図5(a)は平面図であり、図5(b)は図4のB−B線における側面断面図であり、図5(c)は正面図である。図6は液晶分子の配向状態を示す配向膜の側面断面図である。なお、図4〜図6において、X方向は液晶分子の配向方向であり、Y方向は配向方向に直交する方向である。
【0038】
配向膜40は、後述するように無機材料等で形成されている。なお、マグネシウム酸化物やマグネシウムなどのマグネシウム化合物で形成するのが望ましい。
【0039】
図5(b)に示すように、上述した基板本体10Aの表層には、突起98が形成されている。そして、この基板本体10Aの表面に沿って、各絶縁膜や画素電極9などとともに、配向膜40が形成されている。これにより、基板本体10Aの突起形状に沿って、配向膜40の表面に凸部100が形成されている。なお、液晶分子の配向制御は、配向膜40の表面に形成された凸部100によって行われる。そこで以下には、基板本体10Aに形成された突起98の形状ではなく、配向膜40に形成された凸部100の形状について述べる。すなわち、以下のごとく凸部100が形成されるように、あらかじめ基板本体10Aに突起98を形成しておく。
【0040】
図4に示すように、配向膜の表面には複数の凸部100が形成されている。なお凸部100は、配向膜の表面全体に形成してもよいし、画素電極の形成領域に選択的に形成してもよい。凸部100は、平面視において概略長方形状に形成され、その長手方向をX方向に一致させて配置されている。第1実施形態では、複数の凸部100がX方向およびY方向に整列された状態で配置されている。なお、凸部100と、X方向において隣接する凸部100xとの間には、谷部110xが形成されている。また、凸部100と、Y方向において隣接する凸部100との間には、谷部110yが形成されている。そして、複数の谷部110xがX方向に沿って一直線上に連続形成され、複数の谷部110yがY方向に沿って一直線上に連続形成されている。
【0041】
図5(a)に示すように、凸部100は平面視において概略長方形状に形成されている。なお後述するように、凸部100の山側短辺100aの角部106には丸み付けが施されている。また、図5(b)に示すように、凸部100は側面視において概略鋸歯形状に形成されている。そして、凸部100の頂点から図5(b)の左側に伸びる緩斜面が、凸部100の主傾斜面102を構成している。
この主傾斜面102の仰角αは、液晶分子に付与すべきプレティルト角と同等の角度に設定されている。
【0042】
図4に示すように、配向膜の表面には複数の谷部110xがX方向に沿って一直線上に連続形成されている。したがって、上述した配向膜40により図3に示す投射型液晶装置を構成した場合、液晶層50を構成する液晶分子はこの谷部110xに沿って配置され、液晶分子はX方向に配向される。また液晶層50を構成する液晶分子は、図6に示すように、凸部100の主傾斜面102に沿って配置される。これにより、液晶分子52にはプレティルト角αが付与される。
【0043】
ところで、図4に示すように、配向膜の表面には谷部110yがY方向に沿って形成されている。そのため、液晶分子の一部が谷部110yに沿ってY方向に配向されてしまうおそれがある。しかし、図5(b)に示すように、凸部100の頂点を挟んで主傾斜面102の反対側には、たとえば球面状の斜面104が形成されている。これにともなって、図5(a)に示すように、平面視における凸部100の山側短辺100aの角部106には、丸み付けが施されている。これにより、谷部110y(図4参照)に入り込んだ液晶分子は、当該丸みに沿って谷部110xに移動し、液晶分子が谷部110yに留まってY方向に配向されることはない。したがって、ほとんどの液晶分子をX方向に配向させることが可能となり、液晶分子の配向性を向上させることができる。なお、平面視における凸部100の山側短辺100aの角部106には、丸み付けの代わりに面取りを施してもよい。また、平面視における凸部100の裾野側短辺100bの角部107にも、丸み付けまたは面取りを施すのが望ましい。これにより、谷部110yに入り込んだ液晶分子が谷部110xに移動しやすくなり、液晶分子の配向性をより向上させることができる。
【0044】
ここで、凸部100における各部の寸法について説明する。図5に示すように、凸部100における主傾斜面102のX方向の長さL1は、たとえば2.24μmに形成されている。なお、L1は0.5μm以上であって2.5μm以下に形成するのが望ましい。L1が0.5μm未満の場合および2.5μmを超える場合には、谷部110x(図4参照)に沿って液晶分子をX方向に配向させる規制力(配向規制力)が弱くなる。
【0045】
なお、凸部100の頂点を挟んで主傾斜面102の反対側には、たとえば球面状の斜面104が形成されている。そのため、平面視における凸部100の山側短辺100aの角部106には、半径がW/2(ただし、Wは凸部110の幅)の丸み付けが施されている。また、斜面104のX方向の長さL2もW/2に形成されている。なお、L2=0であってもよい。この場合、斜面104を形成する代わりに、凸部110の頂点を通る垂直面を形成する。
【0046】
また、図5に示すように、各凸部の高さHは、たとえば0.2μmに形成されている。なお、Hは0.1μm以上であって0.2μm以下に形成するのが望ましい。Hが0.1μm未満の場合には、上述した配向規制力が弱くなる。一方、投射型液晶装置のセルギャップ(液晶層の厚さ)は、たとえば2.5μm〜3.0μmに形成されているので、Hが0.2μmを超える場合には、リタデーションが変化することになる。これにより、コントラストが悪くなるなど、光学特性に影響を与えることになる。
【0047】
一方、図4に示すように、X方向において隣接する凸部相互の間隔P1は、たとえば0.15μmに形成されている。なお、P1は0.5μm以下に形成するのが望ましい。P1が0.5μmを超える場合には、上述した配向規制力が弱くなる。なお、P1=0となるように、凸部110をX方向に連続形成してもよい。
【0048】
また、図4に示すように、Y方向において隣接する凸部相互の間隔P2は、たとえば0.15μmに形成されている。なお、P2は1.0μm以下に形成するのが望ましい。P2が1.0μmを超える場合には、上述した配向規制力が弱くなる。なお、P2=0となるように、凸部110をY方向に連続形成してもよいが、P2>0となるように、たとえば0.1μm以上の所定の間隔を置いて形成するのが望ましい。これにより、Y方向において隣接する凸部相互の間に液晶分子が入り込むので、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0049】
また、図5に示すように、各凸部110のY方向における幅Wは、たとえば0.3μmに形成されている。なお、Wは0.2μm以上であって0.5μm以下に形成するのが望ましい。Wが1.0μmを超える場合には、液晶分子が配置される主傾斜面102の幅が広くなりすぎて、上述した配向規制力が弱くなる。一方、Wが0.2μm未満の場合には、後述する方法で凸部を形成するのが困難になるほか、液晶分子にプレティルト角を付与するのが困難になる。
【0050】
(製造方法)
次に、本実施形態に係る投射型液晶装置の製造方法について、図3〜図5を用いて説明する。
まず、図5(b)に示すように、基板本体10Aの表層に突起98を形成する。突起98の形成は、レジスト膜をマスクとしたドライエッチング等によって行う。このレジスト膜をパターニングするため、まず各突起形状に対応する複数の凹部が形成された転写型を製造する。具体的には、石英ガラス等の表面に凹部を形成し、Niメッキ等を施して転写型を製造する。なお、グレーマスクを用いたフォトリソグラフィ技術により、転写型を製造することも可能である。また、Niメッキ等を施さず、石英ガラス等の表面に形成した凹部をそのまま転写型としてもよい。上述した凹部の形成は、集束イオンビーム(FIB)加工法等によって行う。なお、集束イオンビームの出力を調整したり、描画速度を調整したりすることによって、部分的に深さの異なる凹部を形成することができる。
【0051】
一方、基板本体10Aの表面にレジスト膜を形成する。なお、レジスト膜の形成は、スピンコート法やディッピング法、スプレーコート法などによって行うことができる。そして、このレジスト膜に上述した転写型を押圧することにより、レジスト膜を突起形状にパターニングする。次に、パターニングされたレジスト膜をマスクとして、基板本体10Aの表層をハーフエッチングする。これにより、突起の形成部分以外の部分がエッチングされる。なお、エッチングは反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチングなどによって行う。その後、基板本体10Aの表面のレジストを剥離する。以上により、基板本体10Aの表層に突起98が形成される。
【0052】
なお、基板本体10Aは石英等の硬質材料で形成されるため、転写型を基板本体10Aに押圧して直接的に突起98を形成するのは困難である。しかし、上述したように本実施形態では、転写型でレジスト膜をパターニングし、そのレジスト膜をマスクとして基板本体10Aをエッチングするので、基板本体10Aに突起98を形成することができる。なお、突起98の形成しろを考慮して、あらかじめ基板本体10Aの厚さを通常より厚めに形成しておくのが望ましい。
【0053】
次に、図3に示すように、基板本体10Aの表面に、第1遮光膜11a、第1層間絶縁膜12、半導体層1a、ゲート絶縁膜2、走査線3aおよび容量線6b、第2層間絶縁膜4、データ線6a、第3層間絶縁膜7、ならびに画素電極9を順次形成する。なお、第1層間絶縁膜12、ゲート絶縁膜2、第2層間絶縁膜4および第3層間絶縁膜7の形成は、MOCVD法等によって行う。また、第1遮光膜11a、走査線3a、容量線6b、データ線6aおよび画素電極9の形成は、蒸着法やスパッタ法等によって行う。次に、第3層間絶縁膜7および画素電極9の表面に、例えばEB(電子ビーム)真空蒸着法やイオンプレーティング法、スピンコート法などにより、配向膜40を形成する。図5(b)に示すように、基板本体10Aの表層には突起98が形成されているので、この突起98に沿って配向膜40を形成することにより、配向膜40の表面に凸部100が形成される。以上により、TFTアレイ基板10が形成される。
【0054】
なお、基板本体の突起を基にして配向膜に凸部を形成する代わりに、配向膜に直接突起を形成することも考えられる。しかしながら、この場合には突起の形成部分において配向膜が厚くなるので、液晶を駆動するために大きな電圧が必要となり、液晶装置の電力消費量が多くなる。この点、本実施形態では、画素電極9の外側に配置される基板本体10Aに突起を形成し、画素電極9の内側に配置される配向膜は均等な厚さに形成するので、液晶の駆動電圧を上昇させることがない。したがって、液晶装置の電力消費量を維持することができる。なお、携帯型の電子機器においては、電力消費量の低減が重要な課題となっている。この点、本実施形態に係る液晶装置は電力消費量が少ないので、携帯型の電子機器において好適に使用することができる。
【0055】
一方、対向基板20もTFTアレイ基板10と同様にして製造する。具体的には、基板本体20Aの表面にレジスト膜を塗布し、上記と同様の転写型を押圧してレジスト膜をパターニングする。そして、このレジスト膜をマスクとして基板本体20Aをエッチングすることにより、基板本体20Aの表層に突起を形成する。なお、突起の配向方向は、TFTアレイ基板10における突起の配向方向に対して90度回転した方向とする。次に、基板本体20Aの表面に、第2遮光膜23、共通電極21および配向膜60を順次積層して、配向膜60の表面に凸部を形成する。以上により、対向基板20が形成される。
【0056】
次に、TFTアレイ基板10または対向基板20のうち、一方の基板の周縁部にシール材を塗布して、その内側にスペーサを配置する。そして、その一方の基板に他方の基板を貼り合わせ、両方の基板とシール材とで囲まれた液晶セルを形成する。なお、液晶セルの厚さ(セルギャップ)が、例えば3μm程度の所定値となるように、スペーサの直径を設定する。さらに、シール材の一部に形成された液晶注入孔から、液晶セル内にTN液晶を注入して、液晶注入孔を封止する。
以上により、本実施形態に係る透過型液晶装置が形成される。
【0057】
上述したように、本実施形態の液晶装置では、配向膜の表面に凸部を形成して液晶分子を配向させるので、ラビング処理が不要となる。これにより、ラビング布や配向膜材料のダストに起因する不具合の発生を防止することができる。
【0058】
また、配向膜の表面に凸部を形成して液晶分子にプレティルト角を付与するので、配向膜の構成材料にアルキル基を付加する必要がない。これにより、プレティルト角の制御が容易になる。また、アルキル基を持たない材料によって配向膜を形成することが可能になり、配向膜の耐光性を向上させることができる。特に、耐光性に優れた無機材料により配向膜を形成するのが望ましい。これにより、液晶プロジェクタの液晶ライトバルブとして本実施形態に係る透過型液晶装置を使用した場合でも、光源から照射される強い光や熱により配向膜が分解されることがない。また、長期間の使用後にも、液晶配向制御機能が低下することはなく、液晶プロジェクタ等の表示品質を低下させることがない。
【0059】
なお、ITOにより画素電極を形成した場合には、画素電極から不純物やインジウム(In)、錫(Sn)等の金属元素が液晶層中に溶出するおそれがある。この場合、液晶装置の電気的特性が変化して、液晶装置の表示品質が低下することになる。そこで、マグネシウム化合物を含有する材料によって配向膜を形成するのが望ましい。具体的には、マグネシウム化合物として、MgO(酸化マグネシウム)等のマグネシウム酸化物、またはMgF2(フッ化マグネシウム)等のマグネシウム塩を含有するのが好ましい。これにより、配向膜の外側に形成された画素電極から、不純物やインジウム(In)、錫(Sn)等が液晶層に拡散するのを防止することができる。したがって、液晶層の電気的特性が変化することがなく、長時間の使用後にも液晶装置の表示品質を低下させることがないなど、液晶層の機能を維持することができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る液晶装置につき、図7〜図9を用いて説明する。図7〜図9は、配向膜の表面に形成された複数の凸部の配列状態を示す平面図である。第2実施形態に係る液晶装置が、第1実施形態と異なる点は、配向膜の表面に形成された凸部の配列状態のみである。その他の点については、第1実施形態と同様の構成であるから、詳細な説明を省略する。
【0061】
第1実施形態では、図4に示すように、複数の凸部100をX方向およびY方向に整列された状態で配置した。これに対して、第2実施形態では、各凸部100をX方向またはY方向に整列配置することなく、隣接する凸部の位置をずらして配置している。図7および図8では、各凸部100をX方向に整列配置しつつ、Y方向には位置をずらして配置している。すなわち、図7では、凸部100とY方向において隣接する凸部102とのX方向位置を、各凸部のX方向におけるピッチの半分程度ずらして規則的に配置している。また、図8では、凸部100とY方向において隣接する凸部102とのX方向位置を、ランダムにずらして配置している。一方、図9では、各凸部100の長手方向をX方向に一致させているが、各凸部100をX方向およびY方向に整列配置することなく、Y方向において隣接する凸部相互のX方向位置およびX方向において隣接する凸部相互のY方向位置を、それぞれランダムにずらして配置している。
【0062】
第1実施形態では、各凸部100をY方向に沿って整列配置したので、凸部100の平面視における山側短辺100aが、Y方向において隣接する凸部102の平面視における山側短辺102aと、同一のX座標上に形成されていた。したがって、複数の谷部110y,112yが、Y方向に沿って一直線上に連続形成されていた。しかし第2実施形態では、Y方向に隣接する凸部のX方向位置をずらして配置したので、凸部100の平面視における山側短辺100aが、Y方向において隣接する凸部102の平面視における山側短辺102aと、X方向位置をずらして配置されている。したがって、複数の谷部110y,112yが、Y方向に沿って一直線上に連続形成されない。これにより、液晶分子の一部が、隣接する谷部110y,112yをまたぐようにY方向に沿って配置される可能性がなくなり、液晶分子の配向性をより向上させることができる。
【0063】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る液晶装置につき、図10を用いて説明する。図10は、配向膜の表面に形成された凸部の形状の説明図であって、図10(a)は平面図であり、図10(b)は側面図であり、図10(c)は正面図である。第3実施形態に係る液晶装置が、第1実施形態または第2実施形態と異なる点は、配向膜の表面に形成された各凸部の形状のみである。その他の点については、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成であるから、詳細な説明を省略する。
【0064】
図10(a)に示すように、凸部200は平面視において概略長方形状に形成されている。なお、第1実施形態と同様に、凸部200の山側短辺200aの角部206には丸み付けが施されている。また、図10(b)に示すように、凸部200は側面視において概略鋸歯形状に形成されている。そして、凸部200の頂点から図10(b)の左側に伸びる緩斜面が、凸部200の主傾斜面202を構成している。この主傾斜面202の仰角αは、液晶分子に付与すべきプレティルト角と同等の角度に設定されている。なお、側面視における凸部200の山側端部には、凸部200の頂点から配向膜の表面にかけて垂直面204が形成されている。さらに、図10(c)に示すように、凸部200は正面視において概略長方形状に形成されている。ここで、X方向に直交する面における凸部200の断面形状は、すべて長方形状となっている。
【0065】
第1実施形態における凸部100は、図5(c)に示すように、正面視において半円形状に形成されていた。これに対して、第3実施形態における凸部200は、長方形状に形成されている。これにより、凸部200の側面の高さに起因して、谷部110x(図4または図7参照)に沿って液晶分子をX方向に配向させる規制力(配向規制力)が強くなり、液晶分子の配向性を向上させることができる。
【0066】
[投射型表示装置]
次に、本発明の電子機器の具体例である投射型表示装置につき、図11を用いて説明する。図11は、投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。この投射型表示装置は、第1〜第3実施形態のいずれかの透過型液晶装置を液晶光変調装置として備えたものである。
【0067】
図11において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は液晶光変調装置、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズ、831、832、833は入射側の偏光板、834、835、836は出射側の偏光板である。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
【0068】
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用液晶光変調装置822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用液晶光変調装置823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用液晶光変調装置824に入射される。
【0069】
各光変調装置により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0070】
このように、投射型表示装置の液晶光変調装置822,823,824として、第1〜第3実施形態のいずれかの透過型液晶装置を使用すれば、光源810から照射される強い光や熱により配向膜が分解されることはない。また、長期間の使用後にも、液晶配向制御機能が低下することはなく、投射型表示装置の表示品質を低下させることがない。
【0071】
なお、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。たとえば、実施形態ではTNモードの液晶装置を例にして説明したが、本発明はECBモードや垂直配向モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、強誘電モード、反強誘電モードなど、電圧無印加時の液晶分子の配向状態がいかなる液晶装置にも適用することができる。また、実施形態ではスイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を採用してもよい。また、実施形態では透過型液晶装置を例にして説明したが、本発明の液晶装置を反射型や半透過型の液晶装置に適用することも可能である。さらに、電子機器として3板式の投射型表示装置を例にして説明したが、本発明の液晶装置を単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に使用することも可能である。
【0072】
また、本発明の電子機器の他の具体例として、図12に携帯電話の斜視図を示す。この携帯電話300は、第1〜第3実施形態のいずれかの透過型液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、液晶装置の等価回路図である。
【図2】図2は、TFTアレイ基板の平面図である。
【図3】図3は、液晶装置の部分断面図である。
【図4】図4は、第1実施形態における配向膜の表面に形成された複数の凸部の配列状態を示す平面図である。
【図5】図5は、第1実施形態における凸部の形状の説明図である。
【図6】図6は、液晶分子の配向状態を示す配向膜の側面断面図である。
【図7】図7は、第2実施形態における複数の凸部の配列状態を示す平面図である。
【図8】図8は、第2実施形態における複数の凸部の配列状態を示す平面図である。
【図9】図9は、第2実施形態における複数の凸部の配列状態を示す平面図である。
【図10】図10は、第3実施形態における凸部の形状の説明図である。
【図11】図11は、投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。
【図12】図12は、携帯電話の斜視図である。
【図13】図13は、従来技術における複数の凸部の配列状態および凸部の形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
40配向膜 100凸部 102主傾斜面 104斜面 106角部
Claims (14)
- 対向配置された一対の基板と、この一対の基板に挟持される液晶層と、前記各基板のうち少なくとも一方の基板と前記液晶層との間に配置された電極と、
前記電極と前記液晶層との間に配置され、前記液晶層の液晶分子を配向させる配向膜とを備えた液晶装置であって、
前記一方の基板の表層に複数の突起が形成され、
前記一方の基板の内側に前記電極および前記配向膜を形成することにより、前記配向膜の表面に複数の凸部が形成され、
前記各凸部は、平面視において概略長方形状に形成され、長辺側の側面視において概略鋸歯形状に形成され、前記長辺を前記液晶分子の配向方向に一致させて形成されるとともに、
前記各凸部の平面視における山側短辺の角部に、面取りまたは丸み付けが施されていることを特徴とする液晶装置。 - 前記各凸部の平面視における裾野側短辺の角部に、面取りまたは丸み付けが施されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
- 前記凸部は、前記電極の形成領域に選択的に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
- 前記各凸部の平面視における山側短辺は、
前記配向方向に直交する方向において隣接する凸部の、平面視における山側短辺に対して、
前記配向方向に距離を置いて配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液晶装置。 - 前記各凸部の前記側面視における緩斜面の前記配向方向に沿った長さは、0.5μm以上であって2.5μm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液晶装置。
- 前記配向方向に直交する方向における前記各凸部の断面は、概略長方形状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液晶装置。
- 前記各凸部の高さは、0.1μm以上であって0.2μm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液晶装置。
- 前記配向方向において隣接する前記各凸部相互の間隔は、0.5μm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液晶装置。
- 前記配向方向に直交する方向において隣接する前記各凸部相互の間隔は、1.0μm以下であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の液晶装置。
- 前記配向方向に直交する方向において隣接する前記各凸部は、相互に間隔を置いて配置されていることを特徴とする請求項9に記載の液晶装置。
- 前記各凸部の前記側面視における緩斜面の仰角は、前記液晶分子のプレティルト角と同等の角度に形成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の液晶装置。
- 前記配向方向に直交する方向に沿った前記各凸部の幅は、0.2μm以上であって0.5μm以下であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の液晶装置。
- 対向配置された一対の基板に挟持される液晶層と、少なくとも一方の基板と前記液晶層との間に配置された電極と、前記電極と前記液晶層との間に配置され、前記液晶層の液晶分子を配向させる配向膜とを備えた液晶装置の製造方法であって、
少なくとも一方の前記基板の表層に複数の突起を形成する工程と、
前記複数の突起が形成された前記基板上に前記配向膜を形成することにより、前記配向膜の表面に複数の凸部を形成する工程と、を含んでなり、
前記各凸部は、平面視において概略長方形状に形成されてなり、長辺側の側面視において概略鋸歯形状に形成され、前記長辺を前記液晶分子の配向方向に一致させて形成されるとともに、前記各凸部の平面視における山側短辺の角部に、面取りまたは丸み付けが施されてなることを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 請求項1ないし12のいずれかに記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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JP2003069891A JP2004279653A (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | 液晶装置および液晶装置の製造方法並びに電子機器 |
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JP2007155950A (ja) * | 2005-12-02 | 2007-06-21 | Seiko Epson Corp | 液晶装置、液晶装置の製造方法及びプロジェクタ |
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-
2003
- 2003-03-14 JP JP2003069891A patent/JP2004279653A/ja active Pending
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