JP2004279559A - オートフォーカスカメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズの位置制御が容易であるという、ステッピングモータの制御上の利点を最大限に引き出しながらも、高速かつ高精度のピント合わせ制御が行えるオートフォーカスカメラを提供すること。
【解決手段】外光式の測距回路を用いて外光AFを行って被写体距離Lを算出し(ステップS1B)、この被写体距離Lと補正値記憶部に記憶されたレンズの基準位置LD∞を用いて、ピント合わせレンズのレンズ位置を、ステッピングモータによって停止させることができないレンズ位置も含めて算出する(ステップS3B)。
【選択図】 図3
【解決手段】外光式の測距回路を用いて外光AFを行って被写体距離Lを算出し(ステップS1B)、この被写体距離Lと補正値記憶部に記憶されたレンズの基準位置LD∞を用いて、ピント合わせレンズのレンズ位置を、ステッピングモータによって停止させることができないレンズ位置も含めて算出する(ステップS3B)。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステッピングモータを用いてピント合わせ用レンズを駆動制御するオートフォーカス(AF)カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、フィルム式のカメラに代わって、CCD等の撮像素子で得た像を電子的に記録する、所謂デジタルカメラの普及が著しい。このデジタルカメラでは、撮像画像を、直接LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等の表示素子に表示再生して、このLCD表示をファインダ代わりに使用するスルー画モニタという機能が頻繁に利用される。このスルー画モニタによる表示において、ピント合わせレンズのレンズ位置は、常にピントが合った状態の広画角のレンズ位置、所謂常焦点位置に制御しておく。この常焦点位置は、ズーム操作によって、切り換えることもできる。このようにズーム操作によって常焦点位置が切り換え可能でないと、ズーム操作によるピント位置移動により、ピントがずれてしまい、スルー画モニタ機能が利用できなくなるおそれがある。また、デジタルカメラでは、ピント合わせ時等において、頻繁にピント合わせレンズ駆動用のモータを正逆転させる必要がある。
【0003】
そこで、デジタルカメラでは、ステッピングモータを用いてピント合わせレンズの駆動制御を行う事が多い。このステッピングモータはパルスが入力されることで所定量回転するモータである。即ち、パルスによるレンズ位置の検出が容易であるので、モータの正逆転制御により駆動されるレンズの位置制御が容易である。
【0004】
そこで、特許文献1等では、ピント合わせレンズを駆動しながら、撮像素子にて得られた被写体像信号のコントラストを判定してピント合わせを行う、所謂山登り式のオートフォーカス(AF)制御に、このステッピングモータが有効に利用されている。
【0005】
しかし、前述した常焦点位置は、ズームレンズのズーム位置や、レンズや鏡枠など部品の出来栄え等によって変化する位置である。したがって、カメラ製造時の調整工程において、常焦点位置等のレンズ位置の調整を行うことが好ましいが、レンズ位置の微調整は、ステッピングモータの1パルスの精度では不十分なことがある。前述したように、ステッピングモータは、パルスが入力される毎に所定量ずつ回転するモータであるので、1パルス毎のモータ回転量、即ち、レンズ駆動分解能による量子化誤差の影響を受けやすい。このように、ステッピングモータでは、連続的な位置制御や微少量の位置制御を行うことが困難であり、このような位置制御を行うためには、1パルス毎のレンズ駆動分解能を上げる必要がある。
【0006】
そこで、特許文献2では、ステッピングモータのレンズ駆動分解能を上げるために、2段式のギア等を用いてレンズ駆動リングの回転を段階的に駆動制御する工夫がなされている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−292382号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平11−52219号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、当然のことながら、特許文献2のようにしてレンズ駆動分解能を上げることは、機構の複雑さを伴い、また、大型化やコストアップにつながる可能性が高い。また、特許文献1等の提案では、ステッピングモータの位置誤差対策についてまでは十分に述べられていない。
【0010】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、レンズの位置制御が容易であるという、ステッピングモータの制御上の利点を最大限にひき出しながらも、高速かつ高精度のピント合わせ制御が行えるオートフォーカスカメラを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、第1の態様のオートフォーカスカメラは、ステッピングモータのパルス制御を用いて駆動制御されるピント合わせレンズと、被写体距離を算出する測距手段と、この測距手段で算出された被写体距離と前記ピント合わせレンズの基準位置とに基づいて、前記パルス制御時に前記ステッピングモータに入力すべきパルス数を算出するパルス数算出手段とを具備する。
【0012】
また、第2の態様のオートフォーカスカメラは、第1の態様のオートフォーカスカメラにおいて、前記測距手段は、外光式の測距手段である。
また、第3の態様のオートフォーカスカメラは、第1の態様のオートフォーカスカメラにおいて、前記ピント合わせレンズの基準位置は、カメラの製造時に、前記ピント合わせレンズのレンズ位置と被写体距離の逆数との関係から算出される、小数点以下の桁を含む値である。
これら第1〜第3の態様のオートフォーカスカメラによれば、測距手段による算出結果とピント合わせレンズ基準位置に基づいて計算によりパルス制御時のパルス数を決定するので、レンズの位置制御が容易であるという、ステッピングモータの制御上の利点を最大限にひき出しながらも、高速かつ高精度のピント合わせ制御を行うことができる。
また、第4の態様のオートフォーカスカメラは、第1の態様のオートフォーカスカメラにおいて、前記パルス数決定手段は、前記被写体距離及び前記ピント合わせレンズの基準位置に加えて、温度変化によって生じる前記ピント合わせレンズの駆動誤差を補正する補正係数も考慮して、前記パルス数を決定する。
この第4の態様のオートフォーカスカメラによれば、パルス数の決定時に温度変化によるレンズ駆動誤差も考慮に入れるので、より正確にパルス数を決定することができる。
【0013】
また、第5の態様のオートフォーカスカメラは、整数個のパルス入力により回転するステッピングモータのパルス制御により駆動制御されるピント合わせレンズのカメラ毎の駆動誤差を補正するための補正値を記憶する補正値記憶手段と、被写体までの距離を測距する測距手段と、この測距手段による測距結果と前記補正値記憶手段に記憶された補正値とから前記ステッピングモータに入力すべきパルス数を計算により算出するパルス数算出手段と、前記ピント合わせレンズを介して前記被写体のコントラストを検出するコントラスト検出手段と、前記パルス数算出手段によって算出されたパルス数が小数点以下の桁を含む場合に、その小数点以下の桁を切り捨てて整数のパルス数とした第1のパルス数及び前記小数点以下の桁を切り上げて前記整数のパルス数とした第2のパルス数を求め、前記第1のパルス数のパルスを前記ステッピングモータに入力して前記ピント合わせレンズを駆動制御したときに前記コントラスト検出手段によって検出される前記被写体のコントラストと前記第2のパルス数のパルスを前記ステッピングモータに入力して前記ピント合わせレンズを駆動制御したときに前記コントラスト検出手段によって検出される前記被写体のコントラストとを比較するコントラスト比較手段と、前記コントラスト比較手段の比較結果に応じて前記ピント合わせレンズのピント合わせ制御を行うピント制御手段とを具備する。
この第5の態様のオートフォーカスカメラによれば、補正値記憶手段に記憶された補正値を用い、また、小数点以下の桁を含むパルス数を考慮することにより、より正確なピント合わせを行うことができる。
【0014】
また、第6の態様のオートフォーカスカメラは、ステッピングモータのパルス制御を用いて駆動制御されるピント合わせレンズと、前記駆動制御されたピント合わせレンズを介して得られた被写体のコントラストに基づいて前記ピント合わせレンズの第1のピント位置を決定する第1のピント位置決定手段と、前記第1のピント位置決定手段によって前記第1のピント位置が決定された後、前記被写体までの被写体距離を測定し、この測定された被写体距離と前記第1のピント位置とから前記ピント合わせレンズの駆動方向を決定し、第2のピント位置を決定する第2のピント位置決定手段と、前記第2のピント位置決定手段によって決定された前記第2のピント位置に前記ピント合わせレンズのピント合わせを行うピント合わせ手段とを具備する。
この第6の態様のオートフォーカスカメラによれば、第1のピント位置決定手段の結果と被写体距離の測定結果とから山登りAFの際のピント合わせレンズの駆動方向をより正確に決定することができる。
【0015】
また、第7の態様のオートフォーカスカメラは、撮影レンズのズーム位置を検出するズーム位置検出手段と、前記撮影レンズに含まれるピント合わせレンズの駆動制御を行うステッピングモータと、前記ステッピングモータにより駆動制御された前記ピント合わせレンズの位置において、前記撮影レンズを介して検出された被写体のコントラストにより前記ピント合わせレンズのピント位置を決定するピント位置決定手段と、前記ピント位置決定手段によって決定されたピント位置から第1の被写体距離を算出する第1の距離算出手段と、前記撮影レンズとは異なる光路を用いて第2の被写体距離を算出する第2の距離算出手段と、前記ズーム位置検出手段によって検出されたズーム位置に基づいて、前記第1の被写体距離と前記第2の被写体距離の何れかを選択し、その選択した被写体距離に基づいて、撮影時のストロボ制御を行うストロボ制御手段とを具備する。
この第7の態様のオートフォーカスカメラによれば、ズーム位置によって、よりストロボ制御にふさわしい被写体距離を決定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。その前にまず、本発明の理解を深めるために、図2にを用いて被写体距離Lの逆数とピント合わせレンズのレンズ位置LDとの関係について説明する。ここで、図2に示すTはズームレンズの望遠側の特性を示し、Wはズームレンズの広角側の特性を示す。この図2からも明らかなように、望遠側では、停止させるべきレンズ位置LD1に対してΔLD1の誤差があっても、これを距離に換算した場合に図中ΔDTの誤差にしかならない。しかし、広角側では、レンズ位置LD1に対してΔLD1の誤差があった場合、これを距離に換算すると、先のΔDTよりもはるかに大きいΔDWの誤差になってしまう。
【0017】
例えば、ΔLD1よりもやや広い幅のΔLD2をカメラがピント合わせ可能な幅とし、また、広角時において、このΔLD2が1m〜3mであるとする。さらに、ΔDWが、1.2m〜2.7mの範囲の誤差をとり得るとすると、正しいピント合わせを行うためには、LD2からΔDWを除いた範囲、即ち、被写体からの距離が遠い側で30cm、近い側で20cmの範囲内にピント合わせ時の被写体距離検出精度を入れなければならない。
【0018】
これに対し、LD1の繰り出し時に、正しく、その中心距離1.5mが求められていると、許容される測距の誤差は、遠い側で1.5m、近い側で0.5mとなり、余裕が大きいのでピント合わせが容易となる。
【0019】
一方、測距回路を用いた従来のオートフォーカス(AF)カメラにおけるピント合わせでは、図3(A)のフローチャートに示すように、まず、被写体距離Lを算出し(ステップS1A)、被写体距離の逆数とレンズ位置との関係を用いて、被写体距離Lからピント位置LDを算出した後(ステップS2A)、そのピント位置LDにレンズを駆動制御する(ステップS3A)という手順でAFを行っている。しかし、このような従来のAFでは、距離の逆数とレンズ位置との関係が正しく求められている必要があり、そのためには、ピント合わせレンズ3aの基準位置が細かく決められている必要がある。しかし、前述したように、デジタルカメラではレンズの位置制御にステッピングモータを利用しているので、十分な精度の基準位置を求めることができるとは限らない。
【0020】
即ち、実際には図4で示す、Z=0の位置にピントを合わせたくとも、ステッピングモータでは、パルスの入力毎のレンズ駆動量、即ち、レンズ駆動分解能の整数倍の位置に対してレンズ駆動制御が行われるので、+Z1の次は−Z1にピントを合わせてしまう。したがって、+Z1と−Z1の間のZ=0の位置にはピントを合わせることができない。即ち、このZ=0にピントを合わせる場合には、前述したように1パルス毎のレンズ駆動分解能を上げる必要がある。
【0021】
しかし、レンズ駆動分解能を上げなくとも、Z=0の位置を計算により求めることで、1パルス毎のレンズ駆動分解能以下までデータを持たせれば、より正確なピント合わせを行うことができる。即ち、実際にパルスによる位置制御を行う場合は、基準位置から何個パルスを繰り出すのかという整数値による制御方法に限られるが、演算の際にはレンズ駆動量や駆動誤差の補正値などを小数点以下の桁を含む計算を行って精度の向上を行うことが好ましい。
【0022】
即ち、本発明では、Z=0にピントが合うようなレンズ位置LDを計算により求め、実際のピント合わせ時には、このレンズ位置LDを考慮してピント合わせを行う。例えば、このレンズ位置をレンズの初期位置(基準位置)として記憶させておき、例えば、ズーム時又はセットアップ(電源投入直後に撮影レンズを沈胴位置から初期位置へ繰り出す動作)時にレンズの基準位置の検出を行い、基準位置がずれていたときには、記憶させておいた基準位置を用いて補正を行うことで、撮影時に常に基準位置からのピント合わせを可能とする。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るオートフォーカスカメラ(以下、カメラと称する)の内部の電子回路を中心とした構成を示すブロック図である。即ち、このカメラは、マイクロコンピュータ(CPU)1と、ズーム駆動/ズーム位置検出回路2と、撮影レンズ3と、撮像素子4と、アナログ/デジタル(A/D)変換回路5と、画像処理回路6と、記録媒体7と、ストロボ制御回路8と、LCDドライバ9と、表示用LCD10と、補正値記憶部11と、レンズ駆動/レンズ位置検出回路12と、測距回路16とで構成される。
【0024】
CPU1は、カメラ全体の制御を司る制御部であり、撮影者の操作によるスイッチ(ズームスイッチ)1bの入力状態を判定し、この判定したスイッチ状態に応じてズーム駆動/ズーム位置検出回路2を制御して、撮影レンズ3の広角側又は望遠側へのズームを開始させ、同時にズーム位置も検出する。撮影レンズ3には、後に詳しく述べるピント合わせレンズ3aが含まれている。CPU1は、スイッチ(レリーズスイッチ)1aの入力状態を判定し、この判定したスイッチ状態に応じて撮影制御を開始させる。
【0025】
この撮影制御時において、被写体21からの像が、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)又はCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)センサによって構成される撮像素子4に入射すると、撮像素子4は、この入射した像を電気信号に変換して、この変換した電気信号をアナログ/デジタル(A/D)変換回路5に入力する。A/D変換回路5は、撮像素子4から入力されたアナログ電気信号をデジタル画像信号に変換して、このデジタル画像信号を画像処理回路6に入力する。画像処理回路6は、入力されたデジタル画像信号に対して、光源の種類に応じた白色を基準にして、入力された画像の色バランスを調節するホワイトバランス処理、後に述べる表示用LCD10に画像を表示させる際に階調が正しく表現されるように入出力特性(γ値)を補正するγ処理、画像の輪郭検出及び輪郭強調処理、RGB信号から輝度信号(Y)/色信号(C)分離等の各種画像処理を行った後、JPEG方式などを用いて画像を圧縮する。そして、このようして処理された画像を、メモリカードなどの不揮発性半導体メモリや磁気記録媒体などで構成される記録媒体7に記録させる。また、このような露出制御時には、被写体21の状況に応じてストロボ制御回路8によりストロボを発光させて露出を補う。
【0026】
なお、この画像処理回路6に入力された画像は、山登りAFのためのコントラスト判定にも利用される。このようなコントラスト判定は、レンズ駆動/レンズ位置検出回路12により、ピント合わせレンズ3aを駆動制御しながら、画像処理回路6から入力される画像信号のコントラストを判定してピント合わせを行う。レンズ駆動/レンズ位置検出回路12は、モータドライバ13a,13b、パルス分配器14、モータドライバ13a,13b、及びステッピングモータ15で構成されている。
【0027】
即ち、CPU1に制御されてパルス分配器14によってモータドライバ13a,13bにパルスが与えられる。モータドライバ13a,13bは、このパルス信号に応じてステッピングモータ15を回転させることによってピント合わせレンズ3aの駆動制御を行う。即ち、モータドライバ13a又は13bによってステッピングモータ15が回転すると、図5に示すように、その回転に応じて、鏡枠内に設けられた送りネジ部3bが回転する。これにより、ピント合わせレンズ3aは、ガイド部3cに支持されながら、図中Z方向に変位する。
【0028】
また、このカメラは、山登りAFに加えて外光式のAFも行う。このための測距回路(測距手段)16は、1対の受光レンズ17a,17bと1対のラインセンサ18a,18b、A/D変換器19、及び位置差算出部20からなる。
【0029】
このようなオートフォーカスカメラの撮影制御について図6を用いて説明する。即ち、CPU1は、ユーザによりレリーズスイッチ1aがONされたか否か、即ち、撮影開始指示がなされたか否かを判定する(ステップS11)。このステップS11の判定において、ユーザによる撮影開始指示がなされたと判定した場合には、被写体距離を測定する測距及び被写体輝度を測定する測光を行う(ステップS12)。次に測定した被写体距離に基づいてピント合わせレンズ3aを駆動して撮影レンズ3のピント合わせを行う(ステップS13)。この後、露出を行い(ステップS14)、なお、ステップS14の露出時には、ステップS12で測定した測光の結果を判定して、必要がある場合にはストロボ制御回路8を制御して被写体21にストロボ光を投射する。次に、このようにして得られた画像を記録媒体7に記録させて(ステップS15)、このフローチャートの撮影制御を終了する。
【0030】
一方、ステップS11の判定において、ユーザによる撮影開始指示がなされていないと判定した場合には、CPU1はユーザによるズームスイッチ1bの操作がなされたか否か、又は電源投入直後のセットアップ動作を行うか否かを判定する(ステップS16)。このステップS16の判定において、ズーム制御又はセットアップ制御を行わないと判定した場合には、このフローチャートの撮影制御を終了する。
【0031】
一方、ステップS16の判定において、CPU1はズーム制御又はセットアップ制御を行うと判定した場合には、何れかの制御を行う(ステップS17)。次に、ピント合わせレンズ3aの初期位置を検出する(ステップS18)。そして、ピントレンズ3aを駆動しながら被写体21のコントラストを検出し、このコントラストが最大となるレンズ位置を検出する(ステップS19)。そして、このレンズ位置から被写体距離を算出して(ステップS20)、このフローチャートの撮影制御を終了する。なお、この被写体距離の算出方法は、後に述べる。
【0032】
次に画像の表示について説明する。画像処理回路6はLCDドライバ9にも接続されており、画像処理後の画像をLCDドライバ9にも入力する。LCDドライバ9は、入力されてきた画像を表示用LCD10に表示させる。ユーザは、この表示用LCD10に表示された画像を見ながら構図を決定することができる。しかし、この時、撮影レンズ3内部のピント合わせレンズ3aが適切な位置に設定されていないと表示用LCD10に表示される画像は、所謂ピンボケ画像になっていまい、ユーザはこの画像を見て構図等を正しく判断することができない。
【0033】
このピンボケ画像が生じないような適切なレンズ位置は、ズーム位置やピント合わせ系の各部分の出来によって変化する。そこで、このカメラは、このようなズーム位置やカメラごとの部品ばらつきによる駆動誤差を補正するための補正値を記憶させておく補正値記憶部(例えば、データを電気的に書き込み/消去可能なEEPROMを使用する)11を有している。
【0034】
ここで、レンズ位置をLDとし、そのレンズ位置LDにおいて得られる像のコントラストの関係を求めると、図7(A)のようなグラフとなる。この図7(A)のグラフによれば、所定距離に存在する被写体に対しては、それに対応する所定のレンズ位置LDNでコントラストのピークが生じることが分かる。
【0035】
しかし、このカメラはステッピングモータ15を利用しているので、ピント合わせレンズ3aを停止させることが可能な位置は、離散的なレンズ位置LD1〜LD6である。即ち、ピント合わせレンズ3aを、必ずしもコントラストのピークが生じるレンズ位置LDNで停止させることができるとは限らない。
【0036】
そこで、本第1の実施形態においては、コントラストのピーク位置であるLDNを、各レンズ位置の小数点以下の桁を考慮して算出し、補正値記憶部11に記憶させておく。即ち、図7(A)の例で言えばLD3とLD4の間の位置にあるLDNを、例えばLD=3とLD=4の間の3.5という形で算出して記憶させる。以後、このコントラストのピーク位置を求める演算を補間演算と称する。この補間演算により求めた値は、実際には、レンズ駆動制御不可能な値であるが、後に詳しく述べるように、他の数値と合わせてより正確なレンズ駆動制御可能なレンズ位置を求める際に用いる。
【0037】
図8(A)、図8(B)は、カメラの製造時におけるカメラの調整装置の構成図である。即ち、カメラの製造時においては、所定距離LN,LF(LN<LF)に置かれたチャート32,33(コントラストのあるものを使用)を順次、カメラにモニタさせる形で、ピント合わせレンズ3aを動かしながら、撮像素子4で得られるコントラストを判定していけば、距離LN及びLFに応じて図7(A)、図7(B)に示したようなグラフが得られる。このようなレンズ駆動制御、コントラスト判定、及び補間演算等は、図8(A)、図8(B)に示す調整装置(パソコン等の演算機を含む装置)31によって行われる。即ち、この調整装置31により、図9に示すフローチャートに従って調整が行われる。
【0038】
次に、この図9のフローチャートについて説明する。まず、カメラ30から所定距離LNの位置にチャート32をセットした後(ステップS21)、山登りAFを開始させる。即ち、ピント合わせレンズ3aのレンズ位置を変化させながら、カメラ30の撮像素子4においてコントラストを検出して図7(A)に示すグラフを求め、さらに、検出したコントラストのピークに相当するレンズ位置LDNを算出する(ステップS22)。
【0039】
次に、カメラ30から所定距離LFの位置にチャート33をセットした後(ステップS23)、ステップS22の動作と同様にして、図7(B)に示すグラフ及びコントラストのピークに相当するレンズ位置LDFを算出する(ステップS24)。
【0040】
次に、求めた図7(A)、図7(B)のように求めたグラフから図10の被写体距離の逆数1/Lとレンズ位置LDとの関係を示すグラフにおける傾きKを求める。さらに、基準位置LD∞を算出する(ステップS25)。ここで、傾きKは、次の
【数1】
で求めることができる。また、図2のようなグラフ、
LD−LDF=K(1/L−1/LF)
又は (式2)
LD−LDN=K(1/L−1/LN)
に示す1次式を満たす。なお、これ以後は(式2)の上式を用いて説明する。この(式2)の上式により、被写体距離が無限遠に相当するピント合わせレンズ3aの基準位置LD∞は、(式2)の(1/L)を近似的に0とした値、即ち、
LD∞=LDF−K/LF (式3)
によって求められる。次に、このようにして求められたK及びLD∞を補正値記憶部11に記憶させて(ステップS26)、調整作業が終了する。
【0041】
図9に示した調整手順を通してLD∞が調整されたカメラは、図1の測距回路16で検出された結果から被写体距離Lを求めることによって、次の
LD=K(1/L)+LD∞ (式4)
から正しいピント位置を求めることができる。このLDは、一般に小数点以下の桁の値を持ち得る仮想的な位置である。
【0042】
ここで、外光式の測距回路16(特許請求の範囲に記載の測距手段)の測距原理を説明する。被写体21からの像が、両受光レンズ17a,17bを介して両ラインセンサ18a,18bに結像すると、両ラインセンサ18a,18bは、この像を電気信号(像信号)に変換してA/D変換器19に入力する。A/D変換器19は、入力された像信号をそれぞれデジタル化して、このデジタル像信号を位置差算出部20に入力する。位置差算出部20は、両ラインセンサから入力されてきたデジタル像信号に対して相関演算を行って、両ラインセンサ18a,18bに結像した被写体像の位置差xを算出し、この算出した位置差xをCPU1に入力する。
【0043】
ここで、被写体21までの距離を被写体距離Lとし、測距回路16を構成する1対の受光レンズ17a,17bのレンズ間距離を基線長B、受光レンズからラインセンサまでの距離を焦点距離fとすると、これらの間には、
L=B・f/x (式5)
で示す、所謂三角測距の原理式が成立しているので、CPU1は、入力されてきたxより被写体距離Lを算出することができる。しかし、実際には、測距回路16で算出される位置差xは、測距回路16を構成するレンズや枠などの温度変化による位置ずれの影響を受けるので、ここでは、被写体距離Lの算出に、
【数2】
の関係を用いる。ここで、ΔxTは、測距回路16の温度特性、即ち、測距回路16を構成するレンズや枠の温度変化による位置差xのずれを補正する補正係数である。この(式6)を前述の(式4)に代入すると、
【数3】
のような関係が得られる。ただし、この(式7)では、ピント合わせレンズ3aにも温度特性がある事を想定して、ΔLDTという補正係数を導入している。なお、これらの補正係数は、撮影レンズ3に温度変化を与えた時に、どのようなピント位置変化が起こるのかを予め調べておき、そのピント位置変化を補正するように求めた値である。これらの補正係数は、カメラ内部の補正値記憶部11に記憶させておき、ピント合わせが行われるたびに、この補正値記憶部11からこれらの補正係数を読み出すことで、(式7)を用いて、正しいピント位置を決定することが可能である。
【0044】
また、このカメラは、レンズ駆動にステッピングモータ15を用いているので、(式7)で算出した小数の位置にピント合わせレンズ3aを停止させることができない。そこで、(式7)を用いて算出されたLDを、ステッピングモータ15の1パルスあたりのレンズ繰り出し量LD0で割った値、即ち、
LDPLS=LD/LD0 (式8)
の整数値(小数点以下切上げ又は切捨て)が、ステッピングモータ15を停止させるのに入力すべきパルス数となる。このパルス数を求める(式8)の演算が特許請求の範囲に記載のパルス数算出手段に対応する。
【0045】
図3(B)に、ある被写体距離Lが算出されたときのピント合わせ制御のフローチャートを示す。
即ち、測距回路16によって外光AFを行い、これによって算出された位置差xに基づいて被写体距離Lを算出した後(ステップS1B)、CPU1は、補正値記憶部11に記憶させておいた傾きK及び基準位置LD∞を読み出す(ステップS2B)。次に読み出した傾きK及び基準位置LD∞とステップS1Bで算出した被写体距離Lとから、(式7)を用いてピント位置LDを算出する(ステップS3B)。即ち、ステッピングモータ15を用いてレンズ駆動制御を行う時には、LD0の整数倍の位置にしかモータ制御できないが、ステップS3Bの計算により、実際のレンズ駆動分解能以下である小数点以下の桁のレンズ位置も考慮して仮想的なピント位置を算出する。この動作が特許請求の範囲に記載のレンズ位置算出手段に対応する。
【0046】
以後のステップでは、ステップS3Bで算出したLDから、ステッピングモータに入力すべき停止パルス数を決定する。即ち、(式8)を用いて得られたLDPLSの小数点以下の桁を切り捨てて整数値とし(この整数値のパルス数が第1のパルス数である)、この値に対応する数の停止パルスをステッピングモータ15に入力してピント合わせレンズ3aを駆動し、このときに撮像素子4で得られた像信号からコントラストを検出する(ステップS4B)。次に、(式8)を用いて得られたLDPLSの小数点以下の桁を切り上げて整数値とし(この整数値のパルス数が第2のパルス数である)、この値に対応する数の停止パルスをステッピングモータ15に入力してピント合わせレンズ3aを駆動し、このときに撮像素子4で得られた像信号からコントラストを検出する(ステップS5B)。そして、ステップS4B及びステップS5Bで検出したコントラストのうち、何れの信号のほうが、コントラストが高いのかを判定して、コントラストが高いほうを、より正しいレンズ位置であると判定して、この位置にピント合わせレンズ3aを駆動して(ステップS6B)、ピント合わせ制御を終了する。このステップS5B〜S6Bの制御が、特許請求の範囲に記載のコントラスト比較手段及びピント制御手段の動作に対応する。
【0047】
なお、ステップS4B及びステップS5Bの代わりに、(式8)を用いて得られたLDPLSの小数点以下の桁を四捨五入して、ステッピングモータ15の停止パルス数を決定してもよいが、カメラの温度特性や姿勢差等によって、カメラの特性が調整時からずれている事も考えられるので、本第1の実施形態においては、2ポイントでコントラスト検出を行い、これらを比較して、よりコントラストの高い方のピント位置を選択するので、より精度の高いピント位置判定を行える。
【0048】
このように、本第1の実施形態では、種々の補正係数や調整値、及び設計値を用いて、実際に停止させることができない仮想的なピント位置を、小数点以下の桁まで考慮して算出し、そのピント位置を考慮して山登りAF制御を行うので、撮影レンズのピント許容幅以下に1パルス分の分解能があれば、正しいピント制御を行うことができる。即ち、必要以上にレンズ駆動分解能を細かくして、脱調を起こしやすくしたり、複雑な構成にして、機構を大型化したりすることなく、高精度のオートフォーカスカメラが廉価、かつ小型にて提供することが可能となる。
【0049】
また、本第1の実施形態によれば、ステッピングモータによるレンズ停止位置の分解能を、複雑な機構を用いて必要以上に細かくしなくとも、高速かつ高精度のピント合わせを行うことができる。なお、山登りAFでは、多数回レンズ位置を変えながら、コントラスト検出を行う必要があるが、本第1の実施形態では、外光AFを併用することにより、2ポイントのコントラストを検出するだけでピント合わせを終了させる事ができる。
【0050】
[第2の実施形態]
次に本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、前述したスルー画モニタ機能を持つデジタルカメラの特性を考慮した例である。なお、この第2の実施形態のカメラの内部構成は図1のものがそのまま適用できるので、ここでは説明を省略する。この第2の実施形態に係るカメラのメイン動作の手順を図11のフローチャートに示す。
【0051】
即ち、本第2の実施形態では、まず、CPU1は、撮影者が制御したズームレンズのズーム位置を検出し(ステップS31)する。次に、検出したズーム位置におけるピント合わせレンズ3aの基準位置LD∞及び傾きK等の値を補正値記憶部11から読み出す(ステップS32)。その後、山登りAFを行う(ステップS33)。このステップS33の山登りAFによるピント合わせは、スルー画モニタ機能のために行うものであり、カメラの図示しないメインスイッチが入力直後のタイミング(セットアップ時)やズームの直後のタイミング等の、レリーズタイムラグに影響しないタイミングで行う。
【0052】
次に、ステップS33の山登りAFによって停止されたレンズ位置LDIを検出し(ステップS34)、このレンズ位置LDIから被写体距離LIを算出する(ステップS35)。この計算には、(式7)を用いる。ここまでの制御が特許請求の範囲に記載の第1のピント位置決定手段の動作に対応する。その後、撮影者によりレリーズ操作がなされたか否か、即ち、レリーズスイッチ1aがONしたか否かを判定する(ステップS36)。このステップS36の判定においてレリーズスイッチ1aがONしていないと判定した場合には、レリーズスイッチ1aがONするまで待機する。
【0053】
一方、撮影者によりレリーズ操作が行われると、CPU1は、これを判定して、今度は、より高速にAFを行うことができ、シャッターチャンスに強い測距回路16による外光AFを行って被写体距離Lを算出する(ステップS37)。
【0054】
ステップS37で算出した被写体距離Lと前記LIとを比較し、ステッピングモータによって停止させることができない小数点以下の桁のレンズ位置まで考慮してピント位置判定を行い、レンズ駆動方向を決定するのが、本第2の実施形態の特徴である。また、ここでは、レリーズ操作後は、なるべく単純な手順にして高速のピント合わせが可能となるようにした。即ち、CPU1は、次のステップで、ズーム位置が広角側であるか否かを判定する(ステップS38)。
【0055】
このステップS38の判定において、広角側であると判定した場合には、スルー画モニタ時のレンズ位置LDIから算出した距離LIの逆数とレリーズ後に算出した被写体距離Lの逆数とを比較する(ステップS39)。この比較は、これら距離の逆数の差異が所定値αよりも小さいか否かで判定する。ステップS39の判定において、差異が小さいと判定した場合には、Yに分岐し、レンズを駆動しなくとも被写界深度内に被写体が収まるとして、レンズ駆動制御を行わずにステップS40に移行する。
【0056】
一方、ステップS38の判定においてレンズ位置が広角側でないと判定した場合、又は、ステップS39の判定において距離の逆数の差異が所定値α以上であると判定した場合には、CPU1はこれら距離の逆数の大小を判定する。即ち、1/Lが1/LIよりも大きいか否かを判定する(ステップS40)。これは、ピント合わせレンズの駆動方向を決定するためのステップである。ステップS40の判定において、1/Lが1/LIよりも大きい、即ち、被写体距離Lのほうが被写体距離LIよりも近いと判定した場合には、ピント合わせレンズ3aを繰り出し制御しながら山登りAFを行い(ステップS41)、一方、1/Lが1/LIよりも小さい、即ち、被写体距離Lのほうが被写体距離LIよりも遠いと判定した場合には、遠いならピント合わせレンズ3aを繰り込み制御しながら山登りAFを行って(ステップS42)、ステップS43に移行する。ここまでのピント合わせ制御が特許請求の範囲に記載の第2のピント位置決定手段及びピント合わせ手段の動作に対応する。
【0057】
ピント合わせが終了した後は、露出を行う(ステップS43)。このときのストロボ制御回路8の制御は、例えば、被写体距離情報を用いて、フラッシュマチック方式により精度の良い調光を行う。このフラッシュマチック方式は、被写体距離と絞り値とガイドナンバとの関係を用いてストロボの調光を行うものである。勿論、測光装置を用いて被写体輝度を検出し、その検出した被写体輝度に基づいてストロボ制御回路8の発光制御を行ってもよい。
【0058】
このように、本第2の実施形態では、ステッピングモータの分解能以下の値まで考慮して算出された被写体距離LIと外光AFによる測距結果Lと比較するようにしたので、繰り出し側と繰り込み側のどちらの方向に向かってレンズを動かせばピント合わせが可能であるのかを、より正確に判定する事ができる。即ち、ステッピングモータの分解能以下にまでレンズ駆動に関する情報を算出し、状況に応じてこの情報を有効利用したカメラの撮影制御を行うことができる。
【0059】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態は、図2に示す関係を利用した例である。なお、この第3の実施形態のカメラの内部構成も図1のものがそのまま適用できるので、ここでは説明を省略する。
【0060】
図2は、同じ量の駆動誤差でも望遠時はそのピント位置から被写体距離を算出したときの誤差が小さく、広角時は誤差が大きいということを示している。即ち、1パルスを図7(A)に示したように分解して利用するとしても、ズーム位置によって、算出した被写体距離の精度が異なる。一方、測距回路16においても、必ずしも、常に理想的な距離算出ができるわけではなく、例えば、図12のように撮影レンズ3のズーム位置が望遠側になると、ピント位置から算出した被写体距離の方が正確な値になる事がある。この時は、図13のようにレンズ駆動制御を行いながらコントラストを求め、補間演算によって求められたピント位置LDIから、
L=K/(LDI−LD∞−ΔLDT) (式9)
を用いて被写体距離Lを求める。
【0061】
一般に、測距回路16の受光レンズ16a,16bと撮影レンズ3とは、異なる位置に配置されているので、それらのパララックスによって一方のコントラストは高く、一方のコントラストは低いという条件が発生する。なお、どちらのAF方式によるピント合わせのほうが精度が良いかを決めるパラメータは、ズーム位置以外にも存在するが、ここでは、ズーム位置のみを用いて、外光AF方式によるピント合わせを行うか、又は山登りAF方式によるピント合わせを行うかを決定する。この手法を用いた撮影制御のフローチャートを図14に示す。
【0062】
まず、測距回路16により被写体距離算出を行って被写体距離Lを求める(ステップ51)。このステップS51の外光AFが、特許請求の範囲に記載の第1の距離算出手段の動作に対応し、外光AFで求めた被写体距離Lが第1の距離に対応する。
【0063】
次にステップS51に対応するピント位置に向かって山登りAFを行う(ステップS52)。このステップS52の山登りAFが、特許請求の範囲に記載の第2の距離算出手段の動作に対応する。
【0064】
する。このステップS52で時得られた情報をもとに次のステップでは、ステッピングモータ15で制御できる分解能以下まで、コントラストが最大になるレンズ位置LDIを求める(ステップS53)。次に、このLDIと補正値LD∞、ΔLDTを用いて(式9)によって被写体距離を算出する(ステップS54)。ここで、この被写体距離をLIとする。この被写体距離LIが第2の距離に対応する。
【0065】
このようにして、測距回路16を用いた外光AFによる測距結果Lと山登りAFによる測距結果LIとが得られるので、以後は、何れか適切な方を用いてカメラのレンズ駆動制御を行う。ここでは、ストロボの光量制御を前記被写体距離情報によって行う例を示すが、ストロボ撮影が必要ないシーンでは、ステップS55のストロボ撮影を行うか否かの判定をNに分岐して通常の露出を行う(ステップS60)。この後、撮影制御が終了する。
【0066】
一方、ステップS55をYに分岐することにより開始されるストロボ撮影時では、被写体距離情報によってストロボの光量を決定するフラッシュマチック方式を用いる。しかし、図12からも分かるように、望遠時は山登りAFの方から算出した被写体距離の精度が高く、広角時は外光AFから算出した被写体距離の精度が高い。そこで、ステップS55の後、ズーム位置が望遠側であるか否かを判定する(ステップS56)。このステップS56の判定において、ズーム位置が望遠側であると判定した場合には、山登りAFによる被写体距離算出結果LIを用いてストロボ光量を決定する(ステップS57)。一方、ステップS56の判定において、ズーム位置が広角側であると判定した場合には、外光AFによる被写体距離算出結果Lを用いてストロボ光量を決定する(ステップS58)。こうしてストロボ光量が決定した後、この決定した光量でストロボ制御回路8を発光させて露出を行い(ステップS59)、撮影制御を終了する。これらステップS56〜S58の制御が特許請求の範囲に記載のストロボ制御手段の動作に対応する。
【0067】
以上説明したように、本第3の実施形態によれば山登りAFを用いて本来ピントが合わされるべきピント位置をステッピングモータの分解能以下まで算出し、その算出結果を用いて露出時のストロボの調光制御を行い、また、この山登りAFを用いた調光では、調光の精度が不十分な条件では外光測距による結果を用いて調光制御を行うようにしてので、苦手なシーンのない撮影が楽しめるカメラを提供することができる。
【0068】
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0069】
さらに、前記した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、レンズの位置制御が容易であるという、ステッピングモータの制御上の利点を最大限に引き出しながらも、高速かつ高精度のピント合わせ制御が行えるオートフォーカスカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るオートフォーカスカメラの内部構成を示すブロック図である。
【図2】ズーム位置と、レンズ駆動誤差及び被写体距離算出誤差との関係を示すグラフである。
【図3】図3(A)は従来のピント合わせ制御の手順を示すフローチャートであり、図3(B)は本発明の第1の実施形態に係るオートフォーカスカメラのピント合わせ制御の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明のピント合わせの概念を説明するための図である。
【図5】ピント合わせレンズの駆動機構について説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るオートフォーカスカメラの撮影制御の手順を示すフローチャートである。
【図7】レンズ位置とコントラストとの関係を示すグラフである。
【図8】レンズ駆動誤差を調整するための調整装置の構成図である。
【図9】調整装置による調整手順を示すフローチャートである。
【図10】被写体距離の逆数とレンズ位置との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るオートフォーカスカメラのメイン制御の手順を示すフローチャートである。
【図12】AF方式、ズーム位置、及び換算した被写体距離の関係を示すグラフである。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るオートフォーカスカメラにおいて、コントラストが最大となるレンズ位置を算出するための概念を説明する図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るオートフォーカスカメラの撮影制御の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】1…CPU、1a…レリーズスイッチ、1b…ズームスイッチ、2…ズーム駆動/ズーム位置検出回路、3…撮影レンズ、3a…ピント合わせレンズ、4…撮像素子、5,19…アナログ/デジタル(A/D)変換回路、6…画像処理回路、7…記録媒体、8…ストロボ制御回路、9…LCDドライバ、10…表示用LCD、11…補正値記憶部、12…レンズ駆動/レンズ位置検出回路、13a,13b…モータドライバ、14…パルス分配器、15…ステッピングモータ、16…測距回路、17a,17b…受光レンズ、18a,18b…ラインセンサ、20…位置差算出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステッピングモータを用いてピント合わせ用レンズを駆動制御するオートフォーカス(AF)カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、フィルム式のカメラに代わって、CCD等の撮像素子で得た像を電子的に記録する、所謂デジタルカメラの普及が著しい。このデジタルカメラでは、撮像画像を、直接LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等の表示素子に表示再生して、このLCD表示をファインダ代わりに使用するスルー画モニタという機能が頻繁に利用される。このスルー画モニタによる表示において、ピント合わせレンズのレンズ位置は、常にピントが合った状態の広画角のレンズ位置、所謂常焦点位置に制御しておく。この常焦点位置は、ズーム操作によって、切り換えることもできる。このようにズーム操作によって常焦点位置が切り換え可能でないと、ズーム操作によるピント位置移動により、ピントがずれてしまい、スルー画モニタ機能が利用できなくなるおそれがある。また、デジタルカメラでは、ピント合わせ時等において、頻繁にピント合わせレンズ駆動用のモータを正逆転させる必要がある。
【0003】
そこで、デジタルカメラでは、ステッピングモータを用いてピント合わせレンズの駆動制御を行う事が多い。このステッピングモータはパルスが入力されることで所定量回転するモータである。即ち、パルスによるレンズ位置の検出が容易であるので、モータの正逆転制御により駆動されるレンズの位置制御が容易である。
【0004】
そこで、特許文献1等では、ピント合わせレンズを駆動しながら、撮像素子にて得られた被写体像信号のコントラストを判定してピント合わせを行う、所謂山登り式のオートフォーカス(AF)制御に、このステッピングモータが有効に利用されている。
【0005】
しかし、前述した常焦点位置は、ズームレンズのズーム位置や、レンズや鏡枠など部品の出来栄え等によって変化する位置である。したがって、カメラ製造時の調整工程において、常焦点位置等のレンズ位置の調整を行うことが好ましいが、レンズ位置の微調整は、ステッピングモータの1パルスの精度では不十分なことがある。前述したように、ステッピングモータは、パルスが入力される毎に所定量ずつ回転するモータであるので、1パルス毎のモータ回転量、即ち、レンズ駆動分解能による量子化誤差の影響を受けやすい。このように、ステッピングモータでは、連続的な位置制御や微少量の位置制御を行うことが困難であり、このような位置制御を行うためには、1パルス毎のレンズ駆動分解能を上げる必要がある。
【0006】
そこで、特許文献2では、ステッピングモータのレンズ駆動分解能を上げるために、2段式のギア等を用いてレンズ駆動リングの回転を段階的に駆動制御する工夫がなされている。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−292382号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平11−52219号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、当然のことながら、特許文献2のようにしてレンズ駆動分解能を上げることは、機構の複雑さを伴い、また、大型化やコストアップにつながる可能性が高い。また、特許文献1等の提案では、ステッピングモータの位置誤差対策についてまでは十分に述べられていない。
【0010】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、レンズの位置制御が容易であるという、ステッピングモータの制御上の利点を最大限にひき出しながらも、高速かつ高精度のピント合わせ制御が行えるオートフォーカスカメラを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、第1の態様のオートフォーカスカメラは、ステッピングモータのパルス制御を用いて駆動制御されるピント合わせレンズと、被写体距離を算出する測距手段と、この測距手段で算出された被写体距離と前記ピント合わせレンズの基準位置とに基づいて、前記パルス制御時に前記ステッピングモータに入力すべきパルス数を算出するパルス数算出手段とを具備する。
【0012】
また、第2の態様のオートフォーカスカメラは、第1の態様のオートフォーカスカメラにおいて、前記測距手段は、外光式の測距手段である。
また、第3の態様のオートフォーカスカメラは、第1の態様のオートフォーカスカメラにおいて、前記ピント合わせレンズの基準位置は、カメラの製造時に、前記ピント合わせレンズのレンズ位置と被写体距離の逆数との関係から算出される、小数点以下の桁を含む値である。
これら第1〜第3の態様のオートフォーカスカメラによれば、測距手段による算出結果とピント合わせレンズ基準位置に基づいて計算によりパルス制御時のパルス数を決定するので、レンズの位置制御が容易であるという、ステッピングモータの制御上の利点を最大限にひき出しながらも、高速かつ高精度のピント合わせ制御を行うことができる。
また、第4の態様のオートフォーカスカメラは、第1の態様のオートフォーカスカメラにおいて、前記パルス数決定手段は、前記被写体距離及び前記ピント合わせレンズの基準位置に加えて、温度変化によって生じる前記ピント合わせレンズの駆動誤差を補正する補正係数も考慮して、前記パルス数を決定する。
この第4の態様のオートフォーカスカメラによれば、パルス数の決定時に温度変化によるレンズ駆動誤差も考慮に入れるので、より正確にパルス数を決定することができる。
【0013】
また、第5の態様のオートフォーカスカメラは、整数個のパルス入力により回転するステッピングモータのパルス制御により駆動制御されるピント合わせレンズのカメラ毎の駆動誤差を補正するための補正値を記憶する補正値記憶手段と、被写体までの距離を測距する測距手段と、この測距手段による測距結果と前記補正値記憶手段に記憶された補正値とから前記ステッピングモータに入力すべきパルス数を計算により算出するパルス数算出手段と、前記ピント合わせレンズを介して前記被写体のコントラストを検出するコントラスト検出手段と、前記パルス数算出手段によって算出されたパルス数が小数点以下の桁を含む場合に、その小数点以下の桁を切り捨てて整数のパルス数とした第1のパルス数及び前記小数点以下の桁を切り上げて前記整数のパルス数とした第2のパルス数を求め、前記第1のパルス数のパルスを前記ステッピングモータに入力して前記ピント合わせレンズを駆動制御したときに前記コントラスト検出手段によって検出される前記被写体のコントラストと前記第2のパルス数のパルスを前記ステッピングモータに入力して前記ピント合わせレンズを駆動制御したときに前記コントラスト検出手段によって検出される前記被写体のコントラストとを比較するコントラスト比較手段と、前記コントラスト比較手段の比較結果に応じて前記ピント合わせレンズのピント合わせ制御を行うピント制御手段とを具備する。
この第5の態様のオートフォーカスカメラによれば、補正値記憶手段に記憶された補正値を用い、また、小数点以下の桁を含むパルス数を考慮することにより、より正確なピント合わせを行うことができる。
【0014】
また、第6の態様のオートフォーカスカメラは、ステッピングモータのパルス制御を用いて駆動制御されるピント合わせレンズと、前記駆動制御されたピント合わせレンズを介して得られた被写体のコントラストに基づいて前記ピント合わせレンズの第1のピント位置を決定する第1のピント位置決定手段と、前記第1のピント位置決定手段によって前記第1のピント位置が決定された後、前記被写体までの被写体距離を測定し、この測定された被写体距離と前記第1のピント位置とから前記ピント合わせレンズの駆動方向を決定し、第2のピント位置を決定する第2のピント位置決定手段と、前記第2のピント位置決定手段によって決定された前記第2のピント位置に前記ピント合わせレンズのピント合わせを行うピント合わせ手段とを具備する。
この第6の態様のオートフォーカスカメラによれば、第1のピント位置決定手段の結果と被写体距離の測定結果とから山登りAFの際のピント合わせレンズの駆動方向をより正確に決定することができる。
【0015】
また、第7の態様のオートフォーカスカメラは、撮影レンズのズーム位置を検出するズーム位置検出手段と、前記撮影レンズに含まれるピント合わせレンズの駆動制御を行うステッピングモータと、前記ステッピングモータにより駆動制御された前記ピント合わせレンズの位置において、前記撮影レンズを介して検出された被写体のコントラストにより前記ピント合わせレンズのピント位置を決定するピント位置決定手段と、前記ピント位置決定手段によって決定されたピント位置から第1の被写体距離を算出する第1の距離算出手段と、前記撮影レンズとは異なる光路を用いて第2の被写体距離を算出する第2の距離算出手段と、前記ズーム位置検出手段によって検出されたズーム位置に基づいて、前記第1の被写体距離と前記第2の被写体距離の何れかを選択し、その選択した被写体距離に基づいて、撮影時のストロボ制御を行うストロボ制御手段とを具備する。
この第7の態様のオートフォーカスカメラによれば、ズーム位置によって、よりストロボ制御にふさわしい被写体距離を決定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。その前にまず、本発明の理解を深めるために、図2にを用いて被写体距離Lの逆数とピント合わせレンズのレンズ位置LDとの関係について説明する。ここで、図2に示すTはズームレンズの望遠側の特性を示し、Wはズームレンズの広角側の特性を示す。この図2からも明らかなように、望遠側では、停止させるべきレンズ位置LD1に対してΔLD1の誤差があっても、これを距離に換算した場合に図中ΔDTの誤差にしかならない。しかし、広角側では、レンズ位置LD1に対してΔLD1の誤差があった場合、これを距離に換算すると、先のΔDTよりもはるかに大きいΔDWの誤差になってしまう。
【0017】
例えば、ΔLD1よりもやや広い幅のΔLD2をカメラがピント合わせ可能な幅とし、また、広角時において、このΔLD2が1m〜3mであるとする。さらに、ΔDWが、1.2m〜2.7mの範囲の誤差をとり得るとすると、正しいピント合わせを行うためには、LD2からΔDWを除いた範囲、即ち、被写体からの距離が遠い側で30cm、近い側で20cmの範囲内にピント合わせ時の被写体距離検出精度を入れなければならない。
【0018】
これに対し、LD1の繰り出し時に、正しく、その中心距離1.5mが求められていると、許容される測距の誤差は、遠い側で1.5m、近い側で0.5mとなり、余裕が大きいのでピント合わせが容易となる。
【0019】
一方、測距回路を用いた従来のオートフォーカス(AF)カメラにおけるピント合わせでは、図3(A)のフローチャートに示すように、まず、被写体距離Lを算出し(ステップS1A)、被写体距離の逆数とレンズ位置との関係を用いて、被写体距離Lからピント位置LDを算出した後(ステップS2A)、そのピント位置LDにレンズを駆動制御する(ステップS3A)という手順でAFを行っている。しかし、このような従来のAFでは、距離の逆数とレンズ位置との関係が正しく求められている必要があり、そのためには、ピント合わせレンズ3aの基準位置が細かく決められている必要がある。しかし、前述したように、デジタルカメラではレンズの位置制御にステッピングモータを利用しているので、十分な精度の基準位置を求めることができるとは限らない。
【0020】
即ち、実際には図4で示す、Z=0の位置にピントを合わせたくとも、ステッピングモータでは、パルスの入力毎のレンズ駆動量、即ち、レンズ駆動分解能の整数倍の位置に対してレンズ駆動制御が行われるので、+Z1の次は−Z1にピントを合わせてしまう。したがって、+Z1と−Z1の間のZ=0の位置にはピントを合わせることができない。即ち、このZ=0にピントを合わせる場合には、前述したように1パルス毎のレンズ駆動分解能を上げる必要がある。
【0021】
しかし、レンズ駆動分解能を上げなくとも、Z=0の位置を計算により求めることで、1パルス毎のレンズ駆動分解能以下までデータを持たせれば、より正確なピント合わせを行うことができる。即ち、実際にパルスによる位置制御を行う場合は、基準位置から何個パルスを繰り出すのかという整数値による制御方法に限られるが、演算の際にはレンズ駆動量や駆動誤差の補正値などを小数点以下の桁を含む計算を行って精度の向上を行うことが好ましい。
【0022】
即ち、本発明では、Z=0にピントが合うようなレンズ位置LDを計算により求め、実際のピント合わせ時には、このレンズ位置LDを考慮してピント合わせを行う。例えば、このレンズ位置をレンズの初期位置(基準位置)として記憶させておき、例えば、ズーム時又はセットアップ(電源投入直後に撮影レンズを沈胴位置から初期位置へ繰り出す動作)時にレンズの基準位置の検出を行い、基準位置がずれていたときには、記憶させておいた基準位置を用いて補正を行うことで、撮影時に常に基準位置からのピント合わせを可能とする。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るオートフォーカスカメラ(以下、カメラと称する)の内部の電子回路を中心とした構成を示すブロック図である。即ち、このカメラは、マイクロコンピュータ(CPU)1と、ズーム駆動/ズーム位置検出回路2と、撮影レンズ3と、撮像素子4と、アナログ/デジタル(A/D)変換回路5と、画像処理回路6と、記録媒体7と、ストロボ制御回路8と、LCDドライバ9と、表示用LCD10と、補正値記憶部11と、レンズ駆動/レンズ位置検出回路12と、測距回路16とで構成される。
【0024】
CPU1は、カメラ全体の制御を司る制御部であり、撮影者の操作によるスイッチ(ズームスイッチ)1bの入力状態を判定し、この判定したスイッチ状態に応じてズーム駆動/ズーム位置検出回路2を制御して、撮影レンズ3の広角側又は望遠側へのズームを開始させ、同時にズーム位置も検出する。撮影レンズ3には、後に詳しく述べるピント合わせレンズ3aが含まれている。CPU1は、スイッチ(レリーズスイッチ)1aの入力状態を判定し、この判定したスイッチ状態に応じて撮影制御を開始させる。
【0025】
この撮影制御時において、被写体21からの像が、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)又はCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)センサによって構成される撮像素子4に入射すると、撮像素子4は、この入射した像を電気信号に変換して、この変換した電気信号をアナログ/デジタル(A/D)変換回路5に入力する。A/D変換回路5は、撮像素子4から入力されたアナログ電気信号をデジタル画像信号に変換して、このデジタル画像信号を画像処理回路6に入力する。画像処理回路6は、入力されたデジタル画像信号に対して、光源の種類に応じた白色を基準にして、入力された画像の色バランスを調節するホワイトバランス処理、後に述べる表示用LCD10に画像を表示させる際に階調が正しく表現されるように入出力特性(γ値)を補正するγ処理、画像の輪郭検出及び輪郭強調処理、RGB信号から輝度信号(Y)/色信号(C)分離等の各種画像処理を行った後、JPEG方式などを用いて画像を圧縮する。そして、このようして処理された画像を、メモリカードなどの不揮発性半導体メモリや磁気記録媒体などで構成される記録媒体7に記録させる。また、このような露出制御時には、被写体21の状況に応じてストロボ制御回路8によりストロボを発光させて露出を補う。
【0026】
なお、この画像処理回路6に入力された画像は、山登りAFのためのコントラスト判定にも利用される。このようなコントラスト判定は、レンズ駆動/レンズ位置検出回路12により、ピント合わせレンズ3aを駆動制御しながら、画像処理回路6から入力される画像信号のコントラストを判定してピント合わせを行う。レンズ駆動/レンズ位置検出回路12は、モータドライバ13a,13b、パルス分配器14、モータドライバ13a,13b、及びステッピングモータ15で構成されている。
【0027】
即ち、CPU1に制御されてパルス分配器14によってモータドライバ13a,13bにパルスが与えられる。モータドライバ13a,13bは、このパルス信号に応じてステッピングモータ15を回転させることによってピント合わせレンズ3aの駆動制御を行う。即ち、モータドライバ13a又は13bによってステッピングモータ15が回転すると、図5に示すように、その回転に応じて、鏡枠内に設けられた送りネジ部3bが回転する。これにより、ピント合わせレンズ3aは、ガイド部3cに支持されながら、図中Z方向に変位する。
【0028】
また、このカメラは、山登りAFに加えて外光式のAFも行う。このための測距回路(測距手段)16は、1対の受光レンズ17a,17bと1対のラインセンサ18a,18b、A/D変換器19、及び位置差算出部20からなる。
【0029】
このようなオートフォーカスカメラの撮影制御について図6を用いて説明する。即ち、CPU1は、ユーザによりレリーズスイッチ1aがONされたか否か、即ち、撮影開始指示がなされたか否かを判定する(ステップS11)。このステップS11の判定において、ユーザによる撮影開始指示がなされたと判定した場合には、被写体距離を測定する測距及び被写体輝度を測定する測光を行う(ステップS12)。次に測定した被写体距離に基づいてピント合わせレンズ3aを駆動して撮影レンズ3のピント合わせを行う(ステップS13)。この後、露出を行い(ステップS14)、なお、ステップS14の露出時には、ステップS12で測定した測光の結果を判定して、必要がある場合にはストロボ制御回路8を制御して被写体21にストロボ光を投射する。次に、このようにして得られた画像を記録媒体7に記録させて(ステップS15)、このフローチャートの撮影制御を終了する。
【0030】
一方、ステップS11の判定において、ユーザによる撮影開始指示がなされていないと判定した場合には、CPU1はユーザによるズームスイッチ1bの操作がなされたか否か、又は電源投入直後のセットアップ動作を行うか否かを判定する(ステップS16)。このステップS16の判定において、ズーム制御又はセットアップ制御を行わないと判定した場合には、このフローチャートの撮影制御を終了する。
【0031】
一方、ステップS16の判定において、CPU1はズーム制御又はセットアップ制御を行うと判定した場合には、何れかの制御を行う(ステップS17)。次に、ピント合わせレンズ3aの初期位置を検出する(ステップS18)。そして、ピントレンズ3aを駆動しながら被写体21のコントラストを検出し、このコントラストが最大となるレンズ位置を検出する(ステップS19)。そして、このレンズ位置から被写体距離を算出して(ステップS20)、このフローチャートの撮影制御を終了する。なお、この被写体距離の算出方法は、後に述べる。
【0032】
次に画像の表示について説明する。画像処理回路6はLCDドライバ9にも接続されており、画像処理後の画像をLCDドライバ9にも入力する。LCDドライバ9は、入力されてきた画像を表示用LCD10に表示させる。ユーザは、この表示用LCD10に表示された画像を見ながら構図を決定することができる。しかし、この時、撮影レンズ3内部のピント合わせレンズ3aが適切な位置に設定されていないと表示用LCD10に表示される画像は、所謂ピンボケ画像になっていまい、ユーザはこの画像を見て構図等を正しく判断することができない。
【0033】
このピンボケ画像が生じないような適切なレンズ位置は、ズーム位置やピント合わせ系の各部分の出来によって変化する。そこで、このカメラは、このようなズーム位置やカメラごとの部品ばらつきによる駆動誤差を補正するための補正値を記憶させておく補正値記憶部(例えば、データを電気的に書き込み/消去可能なEEPROMを使用する)11を有している。
【0034】
ここで、レンズ位置をLDとし、そのレンズ位置LDにおいて得られる像のコントラストの関係を求めると、図7(A)のようなグラフとなる。この図7(A)のグラフによれば、所定距離に存在する被写体に対しては、それに対応する所定のレンズ位置LDNでコントラストのピークが生じることが分かる。
【0035】
しかし、このカメラはステッピングモータ15を利用しているので、ピント合わせレンズ3aを停止させることが可能な位置は、離散的なレンズ位置LD1〜LD6である。即ち、ピント合わせレンズ3aを、必ずしもコントラストのピークが生じるレンズ位置LDNで停止させることができるとは限らない。
【0036】
そこで、本第1の実施形態においては、コントラストのピーク位置であるLDNを、各レンズ位置の小数点以下の桁を考慮して算出し、補正値記憶部11に記憶させておく。即ち、図7(A)の例で言えばLD3とLD4の間の位置にあるLDNを、例えばLD=3とLD=4の間の3.5という形で算出して記憶させる。以後、このコントラストのピーク位置を求める演算を補間演算と称する。この補間演算により求めた値は、実際には、レンズ駆動制御不可能な値であるが、後に詳しく述べるように、他の数値と合わせてより正確なレンズ駆動制御可能なレンズ位置を求める際に用いる。
【0037】
図8(A)、図8(B)は、カメラの製造時におけるカメラの調整装置の構成図である。即ち、カメラの製造時においては、所定距離LN,LF(LN<LF)に置かれたチャート32,33(コントラストのあるものを使用)を順次、カメラにモニタさせる形で、ピント合わせレンズ3aを動かしながら、撮像素子4で得られるコントラストを判定していけば、距離LN及びLFに応じて図7(A)、図7(B)に示したようなグラフが得られる。このようなレンズ駆動制御、コントラスト判定、及び補間演算等は、図8(A)、図8(B)に示す調整装置(パソコン等の演算機を含む装置)31によって行われる。即ち、この調整装置31により、図9に示すフローチャートに従って調整が行われる。
【0038】
次に、この図9のフローチャートについて説明する。まず、カメラ30から所定距離LNの位置にチャート32をセットした後(ステップS21)、山登りAFを開始させる。即ち、ピント合わせレンズ3aのレンズ位置を変化させながら、カメラ30の撮像素子4においてコントラストを検出して図7(A)に示すグラフを求め、さらに、検出したコントラストのピークに相当するレンズ位置LDNを算出する(ステップS22)。
【0039】
次に、カメラ30から所定距離LFの位置にチャート33をセットした後(ステップS23)、ステップS22の動作と同様にして、図7(B)に示すグラフ及びコントラストのピークに相当するレンズ位置LDFを算出する(ステップS24)。
【0040】
次に、求めた図7(A)、図7(B)のように求めたグラフから図10の被写体距離の逆数1/Lとレンズ位置LDとの関係を示すグラフにおける傾きKを求める。さらに、基準位置LD∞を算出する(ステップS25)。ここで、傾きKは、次の
【数1】
で求めることができる。また、図2のようなグラフ、
LD−LDF=K(1/L−1/LF)
又は (式2)
LD−LDN=K(1/L−1/LN)
に示す1次式を満たす。なお、これ以後は(式2)の上式を用いて説明する。この(式2)の上式により、被写体距離が無限遠に相当するピント合わせレンズ3aの基準位置LD∞は、(式2)の(1/L)を近似的に0とした値、即ち、
LD∞=LDF−K/LF (式3)
によって求められる。次に、このようにして求められたK及びLD∞を補正値記憶部11に記憶させて(ステップS26)、調整作業が終了する。
【0041】
図9に示した調整手順を通してLD∞が調整されたカメラは、図1の測距回路16で検出された結果から被写体距離Lを求めることによって、次の
LD=K(1/L)+LD∞ (式4)
から正しいピント位置を求めることができる。このLDは、一般に小数点以下の桁の値を持ち得る仮想的な位置である。
【0042】
ここで、外光式の測距回路16(特許請求の範囲に記載の測距手段)の測距原理を説明する。被写体21からの像が、両受光レンズ17a,17bを介して両ラインセンサ18a,18bに結像すると、両ラインセンサ18a,18bは、この像を電気信号(像信号)に変換してA/D変換器19に入力する。A/D変換器19は、入力された像信号をそれぞれデジタル化して、このデジタル像信号を位置差算出部20に入力する。位置差算出部20は、両ラインセンサから入力されてきたデジタル像信号に対して相関演算を行って、両ラインセンサ18a,18bに結像した被写体像の位置差xを算出し、この算出した位置差xをCPU1に入力する。
【0043】
ここで、被写体21までの距離を被写体距離Lとし、測距回路16を構成する1対の受光レンズ17a,17bのレンズ間距離を基線長B、受光レンズからラインセンサまでの距離を焦点距離fとすると、これらの間には、
L=B・f/x (式5)
で示す、所謂三角測距の原理式が成立しているので、CPU1は、入力されてきたxより被写体距離Lを算出することができる。しかし、実際には、測距回路16で算出される位置差xは、測距回路16を構成するレンズや枠などの温度変化による位置ずれの影響を受けるので、ここでは、被写体距離Lの算出に、
【数2】
の関係を用いる。ここで、ΔxTは、測距回路16の温度特性、即ち、測距回路16を構成するレンズや枠の温度変化による位置差xのずれを補正する補正係数である。この(式6)を前述の(式4)に代入すると、
【数3】
のような関係が得られる。ただし、この(式7)では、ピント合わせレンズ3aにも温度特性がある事を想定して、ΔLDTという補正係数を導入している。なお、これらの補正係数は、撮影レンズ3に温度変化を与えた時に、どのようなピント位置変化が起こるのかを予め調べておき、そのピント位置変化を補正するように求めた値である。これらの補正係数は、カメラ内部の補正値記憶部11に記憶させておき、ピント合わせが行われるたびに、この補正値記憶部11からこれらの補正係数を読み出すことで、(式7)を用いて、正しいピント位置を決定することが可能である。
【0044】
また、このカメラは、レンズ駆動にステッピングモータ15を用いているので、(式7)で算出した小数の位置にピント合わせレンズ3aを停止させることができない。そこで、(式7)を用いて算出されたLDを、ステッピングモータ15の1パルスあたりのレンズ繰り出し量LD0で割った値、即ち、
LDPLS=LD/LD0 (式8)
の整数値(小数点以下切上げ又は切捨て)が、ステッピングモータ15を停止させるのに入力すべきパルス数となる。このパルス数を求める(式8)の演算が特許請求の範囲に記載のパルス数算出手段に対応する。
【0045】
図3(B)に、ある被写体距離Lが算出されたときのピント合わせ制御のフローチャートを示す。
即ち、測距回路16によって外光AFを行い、これによって算出された位置差xに基づいて被写体距離Lを算出した後(ステップS1B)、CPU1は、補正値記憶部11に記憶させておいた傾きK及び基準位置LD∞を読み出す(ステップS2B)。次に読み出した傾きK及び基準位置LD∞とステップS1Bで算出した被写体距離Lとから、(式7)を用いてピント位置LDを算出する(ステップS3B)。即ち、ステッピングモータ15を用いてレンズ駆動制御を行う時には、LD0の整数倍の位置にしかモータ制御できないが、ステップS3Bの計算により、実際のレンズ駆動分解能以下である小数点以下の桁のレンズ位置も考慮して仮想的なピント位置を算出する。この動作が特許請求の範囲に記載のレンズ位置算出手段に対応する。
【0046】
以後のステップでは、ステップS3Bで算出したLDから、ステッピングモータに入力すべき停止パルス数を決定する。即ち、(式8)を用いて得られたLDPLSの小数点以下の桁を切り捨てて整数値とし(この整数値のパルス数が第1のパルス数である)、この値に対応する数の停止パルスをステッピングモータ15に入力してピント合わせレンズ3aを駆動し、このときに撮像素子4で得られた像信号からコントラストを検出する(ステップS4B)。次に、(式8)を用いて得られたLDPLSの小数点以下の桁を切り上げて整数値とし(この整数値のパルス数が第2のパルス数である)、この値に対応する数の停止パルスをステッピングモータ15に入力してピント合わせレンズ3aを駆動し、このときに撮像素子4で得られた像信号からコントラストを検出する(ステップS5B)。そして、ステップS4B及びステップS5Bで検出したコントラストのうち、何れの信号のほうが、コントラストが高いのかを判定して、コントラストが高いほうを、より正しいレンズ位置であると判定して、この位置にピント合わせレンズ3aを駆動して(ステップS6B)、ピント合わせ制御を終了する。このステップS5B〜S6Bの制御が、特許請求の範囲に記載のコントラスト比較手段及びピント制御手段の動作に対応する。
【0047】
なお、ステップS4B及びステップS5Bの代わりに、(式8)を用いて得られたLDPLSの小数点以下の桁を四捨五入して、ステッピングモータ15の停止パルス数を決定してもよいが、カメラの温度特性や姿勢差等によって、カメラの特性が調整時からずれている事も考えられるので、本第1の実施形態においては、2ポイントでコントラスト検出を行い、これらを比較して、よりコントラストの高い方のピント位置を選択するので、より精度の高いピント位置判定を行える。
【0048】
このように、本第1の実施形態では、種々の補正係数や調整値、及び設計値を用いて、実際に停止させることができない仮想的なピント位置を、小数点以下の桁まで考慮して算出し、そのピント位置を考慮して山登りAF制御を行うので、撮影レンズのピント許容幅以下に1パルス分の分解能があれば、正しいピント制御を行うことができる。即ち、必要以上にレンズ駆動分解能を細かくして、脱調を起こしやすくしたり、複雑な構成にして、機構を大型化したりすることなく、高精度のオートフォーカスカメラが廉価、かつ小型にて提供することが可能となる。
【0049】
また、本第1の実施形態によれば、ステッピングモータによるレンズ停止位置の分解能を、複雑な機構を用いて必要以上に細かくしなくとも、高速かつ高精度のピント合わせを行うことができる。なお、山登りAFでは、多数回レンズ位置を変えながら、コントラスト検出を行う必要があるが、本第1の実施形態では、外光AFを併用することにより、2ポイントのコントラストを検出するだけでピント合わせを終了させる事ができる。
【0050】
[第2の実施形態]
次に本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、前述したスルー画モニタ機能を持つデジタルカメラの特性を考慮した例である。なお、この第2の実施形態のカメラの内部構成は図1のものがそのまま適用できるので、ここでは説明を省略する。この第2の実施形態に係るカメラのメイン動作の手順を図11のフローチャートに示す。
【0051】
即ち、本第2の実施形態では、まず、CPU1は、撮影者が制御したズームレンズのズーム位置を検出し(ステップS31)する。次に、検出したズーム位置におけるピント合わせレンズ3aの基準位置LD∞及び傾きK等の値を補正値記憶部11から読み出す(ステップS32)。その後、山登りAFを行う(ステップS33)。このステップS33の山登りAFによるピント合わせは、スルー画モニタ機能のために行うものであり、カメラの図示しないメインスイッチが入力直後のタイミング(セットアップ時)やズームの直後のタイミング等の、レリーズタイムラグに影響しないタイミングで行う。
【0052】
次に、ステップS33の山登りAFによって停止されたレンズ位置LDIを検出し(ステップS34)、このレンズ位置LDIから被写体距離LIを算出する(ステップS35)。この計算には、(式7)を用いる。ここまでの制御が特許請求の範囲に記載の第1のピント位置決定手段の動作に対応する。その後、撮影者によりレリーズ操作がなされたか否か、即ち、レリーズスイッチ1aがONしたか否かを判定する(ステップS36)。このステップS36の判定においてレリーズスイッチ1aがONしていないと判定した場合には、レリーズスイッチ1aがONするまで待機する。
【0053】
一方、撮影者によりレリーズ操作が行われると、CPU1は、これを判定して、今度は、より高速にAFを行うことができ、シャッターチャンスに強い測距回路16による外光AFを行って被写体距離Lを算出する(ステップS37)。
【0054】
ステップS37で算出した被写体距離Lと前記LIとを比較し、ステッピングモータによって停止させることができない小数点以下の桁のレンズ位置まで考慮してピント位置判定を行い、レンズ駆動方向を決定するのが、本第2の実施形態の特徴である。また、ここでは、レリーズ操作後は、なるべく単純な手順にして高速のピント合わせが可能となるようにした。即ち、CPU1は、次のステップで、ズーム位置が広角側であるか否かを判定する(ステップS38)。
【0055】
このステップS38の判定において、広角側であると判定した場合には、スルー画モニタ時のレンズ位置LDIから算出した距離LIの逆数とレリーズ後に算出した被写体距離Lの逆数とを比較する(ステップS39)。この比較は、これら距離の逆数の差異が所定値αよりも小さいか否かで判定する。ステップS39の判定において、差異が小さいと判定した場合には、Yに分岐し、レンズを駆動しなくとも被写界深度内に被写体が収まるとして、レンズ駆動制御を行わずにステップS40に移行する。
【0056】
一方、ステップS38の判定においてレンズ位置が広角側でないと判定した場合、又は、ステップS39の判定において距離の逆数の差異が所定値α以上であると判定した場合には、CPU1はこれら距離の逆数の大小を判定する。即ち、1/Lが1/LIよりも大きいか否かを判定する(ステップS40)。これは、ピント合わせレンズの駆動方向を決定するためのステップである。ステップS40の判定において、1/Lが1/LIよりも大きい、即ち、被写体距離Lのほうが被写体距離LIよりも近いと判定した場合には、ピント合わせレンズ3aを繰り出し制御しながら山登りAFを行い(ステップS41)、一方、1/Lが1/LIよりも小さい、即ち、被写体距離Lのほうが被写体距離LIよりも遠いと判定した場合には、遠いならピント合わせレンズ3aを繰り込み制御しながら山登りAFを行って(ステップS42)、ステップS43に移行する。ここまでのピント合わせ制御が特許請求の範囲に記載の第2のピント位置決定手段及びピント合わせ手段の動作に対応する。
【0057】
ピント合わせが終了した後は、露出を行う(ステップS43)。このときのストロボ制御回路8の制御は、例えば、被写体距離情報を用いて、フラッシュマチック方式により精度の良い調光を行う。このフラッシュマチック方式は、被写体距離と絞り値とガイドナンバとの関係を用いてストロボの調光を行うものである。勿論、測光装置を用いて被写体輝度を検出し、その検出した被写体輝度に基づいてストロボ制御回路8の発光制御を行ってもよい。
【0058】
このように、本第2の実施形態では、ステッピングモータの分解能以下の値まで考慮して算出された被写体距離LIと外光AFによる測距結果Lと比較するようにしたので、繰り出し側と繰り込み側のどちらの方向に向かってレンズを動かせばピント合わせが可能であるのかを、より正確に判定する事ができる。即ち、ステッピングモータの分解能以下にまでレンズ駆動に関する情報を算出し、状況に応じてこの情報を有効利用したカメラの撮影制御を行うことができる。
【0059】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態は、図2に示す関係を利用した例である。なお、この第3の実施形態のカメラの内部構成も図1のものがそのまま適用できるので、ここでは説明を省略する。
【0060】
図2は、同じ量の駆動誤差でも望遠時はそのピント位置から被写体距離を算出したときの誤差が小さく、広角時は誤差が大きいということを示している。即ち、1パルスを図7(A)に示したように分解して利用するとしても、ズーム位置によって、算出した被写体距離の精度が異なる。一方、測距回路16においても、必ずしも、常に理想的な距離算出ができるわけではなく、例えば、図12のように撮影レンズ3のズーム位置が望遠側になると、ピント位置から算出した被写体距離の方が正確な値になる事がある。この時は、図13のようにレンズ駆動制御を行いながらコントラストを求め、補間演算によって求められたピント位置LDIから、
L=K/(LDI−LD∞−ΔLDT) (式9)
を用いて被写体距離Lを求める。
【0061】
一般に、測距回路16の受光レンズ16a,16bと撮影レンズ3とは、異なる位置に配置されているので、それらのパララックスによって一方のコントラストは高く、一方のコントラストは低いという条件が発生する。なお、どちらのAF方式によるピント合わせのほうが精度が良いかを決めるパラメータは、ズーム位置以外にも存在するが、ここでは、ズーム位置のみを用いて、外光AF方式によるピント合わせを行うか、又は山登りAF方式によるピント合わせを行うかを決定する。この手法を用いた撮影制御のフローチャートを図14に示す。
【0062】
まず、測距回路16により被写体距離算出を行って被写体距離Lを求める(ステップ51)。このステップS51の外光AFが、特許請求の範囲に記載の第1の距離算出手段の動作に対応し、外光AFで求めた被写体距離Lが第1の距離に対応する。
【0063】
次にステップS51に対応するピント位置に向かって山登りAFを行う(ステップS52)。このステップS52の山登りAFが、特許請求の範囲に記載の第2の距離算出手段の動作に対応する。
【0064】
する。このステップS52で時得られた情報をもとに次のステップでは、ステッピングモータ15で制御できる分解能以下まで、コントラストが最大になるレンズ位置LDIを求める(ステップS53)。次に、このLDIと補正値LD∞、ΔLDTを用いて(式9)によって被写体距離を算出する(ステップS54)。ここで、この被写体距離をLIとする。この被写体距離LIが第2の距離に対応する。
【0065】
このようにして、測距回路16を用いた外光AFによる測距結果Lと山登りAFによる測距結果LIとが得られるので、以後は、何れか適切な方を用いてカメラのレンズ駆動制御を行う。ここでは、ストロボの光量制御を前記被写体距離情報によって行う例を示すが、ストロボ撮影が必要ないシーンでは、ステップS55のストロボ撮影を行うか否かの判定をNに分岐して通常の露出を行う(ステップS60)。この後、撮影制御が終了する。
【0066】
一方、ステップS55をYに分岐することにより開始されるストロボ撮影時では、被写体距離情報によってストロボの光量を決定するフラッシュマチック方式を用いる。しかし、図12からも分かるように、望遠時は山登りAFの方から算出した被写体距離の精度が高く、広角時は外光AFから算出した被写体距離の精度が高い。そこで、ステップS55の後、ズーム位置が望遠側であるか否かを判定する(ステップS56)。このステップS56の判定において、ズーム位置が望遠側であると判定した場合には、山登りAFによる被写体距離算出結果LIを用いてストロボ光量を決定する(ステップS57)。一方、ステップS56の判定において、ズーム位置が広角側であると判定した場合には、外光AFによる被写体距離算出結果Lを用いてストロボ光量を決定する(ステップS58)。こうしてストロボ光量が決定した後、この決定した光量でストロボ制御回路8を発光させて露出を行い(ステップS59)、撮影制御を終了する。これらステップS56〜S58の制御が特許請求の範囲に記載のストロボ制御手段の動作に対応する。
【0067】
以上説明したように、本第3の実施形態によれば山登りAFを用いて本来ピントが合わされるべきピント位置をステッピングモータの分解能以下まで算出し、その算出結果を用いて露出時のストロボの調光制御を行い、また、この山登りAFを用いた調光では、調光の精度が不十分な条件では外光測距による結果を用いて調光制御を行うようにしてので、苦手なシーンのない撮影が楽しめるカメラを提供することができる。
【0068】
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0069】
さらに、前記した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、レンズの位置制御が容易であるという、ステッピングモータの制御上の利点を最大限に引き出しながらも、高速かつ高精度のピント合わせ制御が行えるオートフォーカスカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るオートフォーカスカメラの内部構成を示すブロック図である。
【図2】ズーム位置と、レンズ駆動誤差及び被写体距離算出誤差との関係を示すグラフである。
【図3】図3(A)は従来のピント合わせ制御の手順を示すフローチャートであり、図3(B)は本発明の第1の実施形態に係るオートフォーカスカメラのピント合わせ制御の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明のピント合わせの概念を説明するための図である。
【図5】ピント合わせレンズの駆動機構について説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るオートフォーカスカメラの撮影制御の手順を示すフローチャートである。
【図7】レンズ位置とコントラストとの関係を示すグラフである。
【図8】レンズ駆動誤差を調整するための調整装置の構成図である。
【図9】調整装置による調整手順を示すフローチャートである。
【図10】被写体距離の逆数とレンズ位置との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るオートフォーカスカメラのメイン制御の手順を示すフローチャートである。
【図12】AF方式、ズーム位置、及び換算した被写体距離の関係を示すグラフである。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るオートフォーカスカメラにおいて、コントラストが最大となるレンズ位置を算出するための概念を説明する図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るオートフォーカスカメラの撮影制御の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】1…CPU、1a…レリーズスイッチ、1b…ズームスイッチ、2…ズーム駆動/ズーム位置検出回路、3…撮影レンズ、3a…ピント合わせレンズ、4…撮像素子、5,19…アナログ/デジタル(A/D)変換回路、6…画像処理回路、7…記録媒体、8…ストロボ制御回路、9…LCDドライバ、10…表示用LCD、11…補正値記憶部、12…レンズ駆動/レンズ位置検出回路、13a,13b…モータドライバ、14…パルス分配器、15…ステッピングモータ、16…測距回路、17a,17b…受光レンズ、18a,18b…ラインセンサ、20…位置差算出部
Claims (7)
- ステッピングモータのパルス制御を用いて駆動制御されるピント合わせレンズと、
被写体距離を算出する測距手段と、
この測距手段で算出された被写体距離と前記ピント合わせレンズの基準位置とに基づいて、前記パルス制御時に前記ステッピングモータに入力すべきパルス数を算出するパルス数算出手段と、
を具備することを特徴とするオートフォーカスカメラ。 - 前記測距手段は、外光式の測距手段であることを特徴とする請求項1に記載のオートフォーカスカメラ。
- 前記ピント合わせレンズの基準位置は、カメラの製造時に、前記ピント合わせレンズのレンズ位置と被写体距離の逆数との関係から算出される、小数点以下の桁を含む値であることを特徴とする請求項1に記載のオートフォーカスカメラ。
- 前記パルス数算出手段は、前記被写体距離及び前記ピント合わせレンズの基準位置に加えて、温度変化によって生じる前記ピント合わせレンズの駆動誤差を補正する補正係数も考慮して、前記パルス数を決定することを特徴とする請求項1に記載のオートフォーカスカメラ。
- 整数個のパルス入力により回転するステッピングモータのパルス制御により駆動制御されるピント合わせレンズのカメラ毎の駆動誤差を補正するための補正値を記憶する補正値記憶手段と、
被写体までの距離を測距する測距手段と、
この測距手段による測距結果と前記補正値記憶手段に記憶された補正値とから前記ステッピングモータに入力すべきパルス数を計算により算出するパルス数算出手段と、
前記ピント合わせレンズを介して前記被写体のコントラストを検出するコントラスト検出手段と、
前記パルス数算出手段によって算出されたパルス数が小数点以下の桁を含む場合に、その小数点以下の桁を切り捨てて整数のパルス数とした第1のパルス数及び前記小数点以下の桁を切り上げて前記整数のパルス数とした第2のパルス数を求め、前記第1のパルス数のパルスを前記ステッピングモータに入力して前記ピント合わせレンズを駆動制御したときに前記コントラスト検出手段によって検出される前記被写体のコントラストと前記第2のパルス数のパルスを前記ステッピングモータに入力して前記ピント合わせレンズを駆動制御したときに前記コントラスト検出手段によって検出される前記被写体のコントラストとを比較するコントラスト比較手段と、
前記コントラスト比較手段の比較結果に応じて前記ピント合わせレンズのピント合わせ制御を行うピント制御手段と、
を具備することを特徴とするオートフォーカスカメラ。 - ステッピングモータのパルス制御を用いて駆動制御されるピント合わせレンズと、
前記駆動制御されたピント合わせレンズを介して得られた被写体のコントラストに基づいて前記ピント合わせレンズの第1のピント位置を決定する第1のピント位置決定手段と、
前記第1のピント位置決定手段によって前記第1のピント位置が決定された後、前記被写体までの被写体距離を測定し、この測定された被写体距離と前記第1のピント位置とから前記ピント合わせレンズの駆動方向を決定し、第2のピント位置を決定する第2のピント位置決定手段と、
前記第2のピント位置決定手段によって決定された前記第2のピント位置に前記ピント合わせレンズのピント合わせを行うピント合わせ手段と、
を具備することを特徴とするオートフォーカスカメラ。 - 撮影レンズのズーム位置を検出するズーム位置検出手段と、
前記撮影レンズに含まれるピント合わせレンズの駆動制御を行うステッピングモータと、
前記ステッピングモータにより駆動制御された前記ピント合わせレンズの位置において、前記撮影レンズを介して検出された被写体のコントラストにより前記ピント合わせレンズのピント位置を決定するピント位置決定手段と、
前記ピント位置決定手段によって決定されたピント位置から第1の被写体距離を算出する第1の距離算出手段と、
前記撮影レンズとは異なる光路を用いて第2の被写体距離を算出する第2の距離算出手段と、
前記ズーム位置検出手段によって検出されたズーム位置に基づいて、前記第1の被写体距離と前記第2の被写体距離の何れかを選択し、その選択した被写体距離に基づいて、撮影時のストロボ制御を行うストロボ制御手段と、
を具備することを特徴とするオートフォーカスカメラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003068319A JP2004279559A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | オートフォーカスカメラ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003068319A JP2004279559A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | オートフォーカスカメラ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=33285694
Family Applications (1)
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JP2003068319A Withdrawn JP2004279559A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | オートフォーカスカメラ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004279559A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006235351A (ja) * | 2005-02-25 | 2006-09-07 | Nikon Corp | オートフォーカス装置 |
JP2009048126A (ja) * | 2007-08-22 | 2009-03-05 | Olympus Imaging Corp | 撮影装置および撮影装置の制御方法 |
JP2009254498A (ja) * | 2008-04-15 | 2009-11-05 | Yaskawa Information Systems Co Ltd | 診断・観察装置 |
KR101342463B1 (ko) * | 2008-09-29 | 2013-12-16 | 삼성테크윈 주식회사 | 렌즈의 탈조 보정 장치 및 방법 |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003068319A patent/JP2004279559A/ja not_active Withdrawn
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