JP2004279424A - 質量分析法を用いた生体高分子の同定方法及び及びそれに使用されるプログラム製品 - Google Patents

質量分析法を用いた生体高分子の同定方法及び及びそれに使用されるプログラム製品 Download PDF

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Abstract

【課題】生体高分子を同定するための新規の方法及びそれに使用されるプログラム製品を提供する。
【解決手段】試料中の特定の生体高分子を同定する方法は、生体高分子の測定質量を含む第1のデータセットからある質量を選択するステップと、生体高分子のフラグメント集合に関する測定質量を含む第2のデータセットの質量と選択質量を突き合わせて整合させ、整合する質量が選択質量を有する生体高分子のフラグメントを表わすようにすることと、さらに、整合する質量を比較して選択質量を備える生体高分子の単量体配列を決定するステップを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体高分子の同定を行う技術に関し、特に質量分析法を用いて生体高分子を同定する技術に関する。
質量分析法(MS)は、その高感度、速度、及び、極めて複雑な混合物の分析能力によって、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び、多糖類などの生体高分子を研究するための強力な分析ツールとして出現した。例えば、生体試料(例えば、細胞抽出物)中の蛋白質を同定するために、さまざまな技法が開発されてきた。一般に、問題となる試料中の蛋白質は、まず、2次元ゲル電気泳動(2D Gel)によって分離される。次に、1つ以上の消化酵素(例えば、トリプシン)を用いて、選択されたゲル・スポットを切除及び消化して、蛋白質がより短いポリペプチド鎖の集合に分解される。これらの消化物は、さらに、質量分析法によって分析され、結果得られるスペクトルは、データ・ベース(例えば、SwissProt/TrEMBL、NCBI Protein Databese等)に納められたアミノ酸配列情報から予測されるスペクトルと比較される。同定は、2つ以上の蛋白質が観測スペクトルと整合する確率の低さの程度に基づいてなされる。これについては、先行技術文献に記載がある(例えば、非特許文献1参照)。このアプローチの一般的な呼称である、ポリペプチド質量のフィンガプリント法に関する基本的限界は、その配列が分っている蛋白質の同定にしか利用できず、あらかじめ分っていない蛋白質の同定は不可能であるという事実に起因する。
一般に、2D Gel分離は、緩慢で、時間を浪費することが分っており、従って、多次元液体クロマトグラフィ(MDLC)を用いたより処理能力の高い方法が開発されている。これについては、先行技術文献に記載がある(例えば、非特許文献2参照)。このプロセスのいくつかのバリエーションが利用されているが、いずれも、一般に、試料中に存在する蛋白質の酵素による消化から始めて、結果として、多種多様な蛋白質からポリペプチド鎖を含有する複雑な混合物が生じる。次に、この複雑な混合物は、一般には、逆相(RP)が後続する強い陽イオン交換(SCX)を用いて、MDLCによって分離される。結果生じる分離物には、一般に、複数の蛋白質からのポリペプチドが含まれている。これらの分離物は、質量分析法によって分析され、その結果が、前述のように、予測されるスペクトルと比較される。ほとんどの場合、分析は、タンデム質量分析法(MS/MS)を用いて実施される。これについては、先行文献に記載がある(例えば、非特許文献3参照)。このプロセスでは、分離段階からの溶離したポリペプチドが、タンデム質量分析法の第2段階におけるフラグメント化及び分析に備えて、特定のポリペプチド・イオンを選択する、タンデム質量分析法の第1段階において分析される。結果得られるスペクトルによって、選択されたポリペプチド・イオンの構造に関するより詳細な情報が得られ、同定が改善される。
蛋白質の同定にMDLC及びMS/MSを用いることに関する問題の1つは、試料中に存在する蛋白質を広範囲にわたってカバーするのが困難であるという点にある。これは、通常、第2段階におけるフラグメント化に備えて、第1段階でイオンを選択するために用いられるプロセスに帰することが可能である。フラグメント化に備えて、ある特定の蛋白質から十分な数の蛋白質が選択されれば、うまく同定することが可能になる。しかし、ポリペプチドを選択し、第2段階でスペクトルを集めるプロセスは、分離段階からの流れに対して緩慢であるため、第2段階の分析に備えて溶離のピークに存在する全てのポリペプチドを選択することは必ずしも可能であるとは限らない。選択に用いられるアルゴリズムでは、第1段階のスペクトルにおけるイオンの相対的存在度、及び、ある特定の質量の選択以降の時間を含む、さまざまな要素に基づいて、リアルタイムの決定が行われる。前記アルゴリズムは、特定の質量に対する優先度を示すか、または、特定の質量を除外するための規定を備えることも可能であるが、これらのリストは、一般に手動で作成される。これらの選択アプローチの結果として、比較的存在度の高いポリペプチド(すなわち、比較的豊富な蛋白質からのポリペプチド、または、いくつかの異なる蛋白質を消化する結果として得られる発生率の高いポリペプチド)が優先的に選択される。逆に、比較的存在度の低い、または、理想のイオン化特性に達しない蛋白質から生じるポリペプチドは、避ける場合が多い。
タンデム質量分析法には、さらに、イオン選択プロセスに関連したイオンの損失レベルが高いので、ある特定の試料中に存在する異なるポリペプチドの相対量を正確に測定するのが困難であるという問題もある。ほぼ全てのイオンが関係する複雑なスペクトルにおいて、全てのイオンを連続してモニタし、重要な各イオン毎にMS/MSを実施するのは不可能である。各イオンのイオン強度は、イオンが取り出されるポリペプチドのクロマトグラフ溶離プロファイルに応じて変化するので、イオンの選択及びMS/MSの実施に費やす時間によって、各イオン毎に収集されるデータ・ポイント数が大幅に減少し、その結果、試料中に存在する各ポリペプチドの推定量の精度が低下する。
一般に、ポリペプチドに関連して上述の限界は、質量分析法を用いて、ポリヌクレオチド及び多糖類を含む他の生体高分子を同定する場合にも当てはまる。
Strupat他、「Anal.Chem.」、1994年、第66巻、第464号 Yates他、「Anal.Chem.」、1997年、第69巻、第767号 Ducret他、「Protein Sci.」、1998年、第7巻、第706号
そこで本発明は、従来技術における上述の種々の問題を解決することのできる、生体高分子を同定するための新規の方法及びそれに使用されるプログラム製品を提供することを、その目的とする。
本願では、1つ以上の生体高分子を含む試料中の生体高分子を同定する方法が解説される。生体高分子としては、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または、多糖類が考えられる。この方法では、質量スペクトル・データセットを利用する。第1のデータセットには、試料中にある1つ以上の生体高分子の測定質量が含まれている。第2のデータセットには、1つ以上の生体高分子のフラグメント集合の測定質量が含まれている。この方法では、第1のデータベースからある質量を選択し、次に、第2のデータセットからの質量と選択した質量を突き合わせて整合させる。一致した質量は、選択した質量を備えた生体高分子のフラグメントであることを表わしている。第2のデータセットの質量が一致すると、それらの質量を比較して、選択した質量を備える生体高分子に関する単量体配列が求められる。この方法は、第1のデータセットのそれ以外の質量についても繰り返すことが可能である。
即ち、本発明は、1つ以上の生体高分子を含む試料中のある生体高分子を同定する方法であって、1つ以上の生体高分子の測定質量を含む第1のデータセットから、ある質量を選択するステップと、1つ以上の生体高分子のフラグメント集合に関する測定質量を含む第2のデータセットの質量と選択質量とを整合するようにし、整合する質量が選択質量を備える生体高分子のフラグメントを表わすようにするステップと、
整合する質量を比較して、選択質量を備える生体高分子の単量体配列を決定するステップとを有することを特徴とする方法を提供する。
好ましくは、さらに、1つ以上の生体高分子を非フラグメント形態で検出可能にする条件下において、第1のデータセットの生成において用いられる、1つ以上の生体高分子に関する第1の質量スペクトルを求めるステップと、検出前に、1つ以上の生体高分子をフラグメント化して、フラグメント集合にする条件下において、第2のデータセットの生成において用いられる、1つ以上の生体高分子に関する第2の質量スペクトルを求めるステップとを有する。
好ましくは、第1と第2の質量スペクトルは、同じ質量分析計を用いて連続して求められることと、質量分析計が、単一段質量分析計であることと、第2の質量スペクトルは、異なるフラグメント化エネルギーによって得られる2つの異なる質量スペクトルの和から生じるか、または、第2の質量スペクトルは、異なるフラグメント化メカニズムによって得られる2つの異なる質量スペクトルの和から生じることと、さらに、オプションにより、検出前に、1つ以上の生体高分子をフラグメント化して、フラグメント集合にする条件下において、第2のデータセットの生成において用いられる、1つ以上の生体高分子に関する第3の質量スペクトルを求めるステップとを有し、第2及び第3の質量スペクトルは、異なるフラグメント化エネルギーまたは異なるフラグメント化メカニズムを用いて得られる。
好ましくは、第1及び第2のデータセットにおける質量は、中性質量であることと、第1及び第2のデータセットにおける質量は、モノアイソトピック質量であることと、方法は、さらに、第1のデータセットからある質量を選択するステップの前に、第1のデータセットから第2のデータセットにも存在する質量を取り除くステップを有することと、さらに、第1のデータセットからある質量を選択するステップの前に、第2のデータセットから第1のデータセットにも存在する質量を取り除くステップを有する。
好ましくは、第2のデータセットの質量と選択質量との突合せステップは、選択質量から第2のデータセットにおける第1の質量を引いて、質量デルタが得られるようにし、第2のデータセットにおいて質量デルタと一致する第2の質量を確認し、オプションにより、第1または第2の質量が500Da未満の場合、第1または第2の質量に対して奏効する式決定を実施するステップ、または、選択質量から第2のデータセットにおける第1の質量を引いて、質量デルタが得られるようにし、オプションにより、質量デルタが500Da未満の場合、質量データに奏効する式決定を実施し、オプションにより、第2のデータセットにおいて質量デルタと一致する第2の質量を確認するステップが含まれる。
好ましくは、第2のデータセットの質量と選択質量との突合せステップは、さらに、第2のデータセットにおいて、1つ以上の単量体単位の理論上の質量だけ第1または第2の質量と異なる質量を確認するステップ、または、第2のデータセットにおいて、1つ以上の単量体単位の理論上の質量だけ第1または第2の質量と異なる質量、及び、生体高分子修飾を確認するステップ、または、第2のデータセットにおいて、理論上の系列オフセット質量だけ第1または第2の質量と異なる質量を確認するステップを有する。
好ましくは、第2のデータセットにおいて、1つ以上の単量体単位の理論上の質量だけ第1または第2の質量と異なる質量を確認するステップは、第1または第2の質量に1つ以上の単量体単位の理論上の質量の和を加算して、あるいは、第1または第2の質量から1つ以上の単量体単位の理論上の質量の和を減算して、合成質量を生成し、第2のデータセットにおいて、合成質量と一致する第3の質量を確認するステップ、または、第1または第2の質量から第2のデータセット内のある質量を引くことによって、質量デルタを生成し、オプションにより、質量デルタが500Da未満の場合、質量デルタに対して奏効する式決定を実施するステップを有する。
好ましくは、第2のデータセットにおいて、1つ以上の単量体単位の理論上の質量だけ第1または第2の質量と異なる質量、及び、生体高分子修飾を確認するステップは、第1または第2の質量から第2のデータセット内のある質量を引くことによって、第1の質量デルタを生成するステップと、第1の質量デルタから生体高分子修飾の理論上の質量を引くことによって、第2の質量デルタを生成するステップと、第2の質量デルタに対して奏効する式決定を実施するステップとを有する。
好ましくは、第2のデータセットにおいて、理論上の系列オフセット質量だけ第1または第2の質量と異なる質量を確認するステップは、第1または第2の質量に理論上の系列オフセット質量を加算して、或いは第1または第2の質量から理論上の系列オフセット質量を減算して、合成質量を生成するステップと、第2のデータセットにおいて、合成質量と一致する第3の質量を確認するステップとを有する。
好ましくは、整合する質量を比較して、選択質量を備える生体高分子の単量体配列を決定するステップは、対応するフラグメントの系列タイプに従って、整合する質量を分類するステップと、ある典型的な系列内における隣接位置のフラグメントに対応する、整合する質量対間の質量デルタを計算するステップと、質量デルタに対して式決定を実施するステップと、式決定に基づいて、質量デルタに関連した単量体を割り当てるステップと、割り当てに基づいて、選択質量を備えた生体高分子に関する単量体配列を決定するステップとを有する。
好ましくは、さらに、ある典型的な系列内における非隣接位置のフラグメントに対応する、整合する質量対間の質量デルタを計算し、前記質量デルタに対して式決定を実施し、式決定に基づいて、質量デルタに関連した単量体の組合せを割り当てるステップまたは、異なる典型的な系列における隣接位置のフラグメントに対応する、整合する質量対間の質量デルタを計算し、質量デルタに対して式決定を実施し、式決定に基づいて、質量デルタに関連した単量体を割り当てるステップ、または、異なる典型的な系列における非隣接位置のフラグメントに対応する、整合する質量対間の質量デルタを計算し、質量デルタに対して式決定を実施し、式決定に基づいて、質量デルタに関連した単量体の組み合わせを割り当てるステップを有する。
好ましくは、単量体配列は、配列内の各位置毎に可能性のある単一の単量体を含むか、単量体配列は、配列内のある位置に可能性のある2つ以上の単量体を含むか、単量体配列は、配列内のある位置に未知の単量体を含むか、あるいは、単量体配列は、配列内のある位置に生体高分子修飾を含む。
好ましくは、選択質量を備える生体高分子がポリペプチドで、単量体配列がアミノ酸配列であるか、選択質量を備える生体高分子がポリヌクレオチドで、単量体配列がヌクレオチド配列であるか、あるいは、選択質量を備える生体高分子が多糖類で、単量体配列が糖配列であり、多糖類は線状または分枝状とすることが可能である。
好ましくは、試料に複数の生体高分子が含まれることと、第1のデータセットに、複数の生体高分子の測定質量が含まれることと、第2のデータセットに、複数の生体高分子のフラグメント集合に関する測定質量が含まれる。
更に、本発明は、1つ以上の生体高分子の測定質量を含む第1のデータセットからある質量を選択するための命令と、1つ以上の生体高分子のフラグメント集合に関する測定質量を含む第2のデータセット内の質量と選択質量を突き合せて整合させる命令であって、整合する質量が選択質量を備えた生体高分子のフラグメントを表わすことと、さらに、整合する質量を比較して、選択質量を備える生体高分子に関する単量体配列を決定する命令とを含む、1組の機械に実行可能な命令によって構成されたコンピュータ可読媒体を具備する、1つ以上の生体高分子を含む試料中のある生体高分子を同定するためのコンピュータ・プログラム製品を提供する。
以下に添付図面を参照して、本発明の好適実施形態について詳細に説明する。本発明の特徴は、以下の説明からより明確になるであろう。
この特許出願明細書では、さまざまな特許及び出版された参考文献について言及する。こうした文献のそれぞれの内容は、参考までに本明細書において援用されている。単純化し、明瞭化するため、以下のセクションでは、本発明の方法を利用して、ポリペプチドを同定する方法について解説する。このポリペプチドを特に取り上げるというのは、制限を意図してのことではない。すなわち、云うまでもなく、当業者には明らかなように、本明細書に解説の方法を利用して、ポリヌクレオチド及び多糖類を含む他の生体高分子を同定することも可能である。これらの他の実施態様については、本明細書の終わりの部分でさらに詳述する。
[序論]
本発明によれば、いくつかの実施態様において、質量精度の高い質量分析法を用いて、問題となる試料中のポリペプチドを同定するための方法及び装置が得られる。本発明の方法及び装置は、ポリペプチド質量フィンガプリント法及びMS/MSのような伝統的なアプローチと組み合わせて利用することが可能であるが、これらの方法に依存するものではない。すなわち、本発明の方法及び装置を利用すれば、既知の蛋白質配列のデータベースと比較しなくても、質量スペクトル・データに基づいて、ポリペプチドを同定することが可能である。さらに、本発明の方法を利用すると、単一段質量分析計で得られる質量スペクトルに基づいてポリペプチドを同定することが可能である。
一般に、本発明の方法では、1組以上の質量スペクトルからイオン質量を分析することが必要になる。各組のスペクトルには、問題となる試料の少なくとも2つの異なるスペクトル、すなわち、「非フラグメント」すなわち「U」スペクトルと、「フラグメント」すなわち「F」スペクトルが含まれている。
Uスペクトルには、これらのポリペプチドがフラグメント化されていない場合の、試料中におけるポリペプチドの一部、できれば、全てに対応するピークが含まれる。望ましい実施態様の場合、Uスペクトルは、フラグメント化メカニズムにさらすことなく、試料中のポリペプチドを検出することによって得られる。もちろん、実施態様によっては、Uスペクトルに、例えば、質量分析計においてポリペプチドのイオン化及び/または検出に用いられるメカニズムのために偶発的に生じたフラグメントのような、これらのポリペプチドのフラグメントを表わすピークが含まれる可能性もある。
Fスペクトルには、試料中におけるポリペプチドの一部、できれば、全てのフラグメントの集合に対応するピークが含まれている。望ましい実施態様の場合、Fスペクトルは、1つ以上のフラグメント化メカニズムにさらした後、試料中のポリペプチドを検出することによって得られる。もちろん、実施態様によっては、Fスペクトルに、フラグメント化メカニズムにさらされて、残存したポリペプチドのような、非フラグメント化ポリペプチドを表わすピークが含まれる可能性もある。こうした状況が生じる可能性が最も高いのは、ポリペプチドが比較的弱いフラグメント化エネルギーにさらされる場合であることは明らかであろう。
U及びFスペクトルが得られると、さらに詳細に後述するさまざまな処理ステップを利用して、スペクトル質量(すなわち、「質量」)の抽出及び分析が実施される。これらの処理ステップでは、高レベルの質量精度を備えるスペクトル・データにおいて得られる構造情報が利用される。分析結果を利用して、問題となる試料中のポリペプチドの一部または全てが同定される。実施態様によっては、ポリペプチドの同定に、そのポリペプチドの全アミノ酸配列を求めることが必要なものもある。他の実施態様には、部分的アミノ酸配列及び/または1組の代替配列を求めるものもある。さらに他の実施態様には、さまざまな修飾の性質、位置、及び、相対レベルを求めるものもある。
望ましい実施態様のいくつかでは、単一段質量分析計によってスペクトルが得られる。こうした実施態様によれば、多段質量分析法において必要とされるイオン選択ステップを排除することによって、試料中に存在するポリペプチドがより広範囲にわたってカバーされる。単一段質量分析計を用いると、MDLC−MSのセットアップにおける分析の処理能力も増すことになる。さらに、単一段計測器に関連したイオン損失は少ないので、これらの実施態様に従って得られるスペクトルを利用して、試料中に存在するポリペプチドの相対量に関するより正確な情報を得ることが可能になる。実施態様のいくつかでは、本方法と質量タグ付け試薬を併用することによって、2つの異なる試料間における特定のポリペプチドのレベル変化を極めて正確に測定することが可能になる。
本明細書に解説の方法は、1つ以上のポリペプチドを含む試料にも適用可能である。実施態様によっては、試料に複数のポリペプチドが含まれるものもある。本明細書における定義によれば、「ポリペプチド」には、ペプチド結合によって結合され、N末端基及びC末端基(それぞれ、図1のR及びR)によって終結された一連の少なくとも3つのアミノ酸単量体が含まれている。もちろん、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」、及び、「蛋白質」といった用語は、交換可能に用いることが可能である、すなわち、本発明の目的上、ポリペプチドという用語には、全長にわたる蛋白質、及び、例えば、酵素消化または化学消化によるフラグメントのような、そのフラグメントが包含される。ポリペプチドには、発生率の高いアミノ酸単量体(例えば、表1にリストアップされたもの)及びより発生率の低いアミノ酸単量体(すなわち、蛋白質内に多く見受けられないが、制限するわけではないが、表2にリストアップされたような、ポリペプチド鎖に取り込むことが可能なアミノ酸単量体)を含むことが可能である。ポリペプチドには、N末端基及び任意のC末端基(例えば、制限するわけではないが、表3にリストアップされたもの)を含むことも可能である。また、ポリペプチド内の1つ以上のアミノ酸単量体は、制限するわけではないが、表4及び表5にリストアップされた修飾によって、及び/または、質量タグの付加によって修飾することが可能である。
Figure 2004279424
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実施態様によっては、この方法を利用して、例えば、N末端のエドマン法及び/またはC末端のカルボキシペプチダーゼ切断から得られる混合物のような、1つ以上の蛋白質の化学「消化」によって得られる試料を分析することが可能なものもある。この方法を利用して、合成ポリペプチド混合物における1つ以上のポリペプチドの配列を確認することも可能である。さらに他の実施態様には、本発明の方法及び装置を利用して、ポリペプチド混合物のさまざまな論理的画分を分析することが可能なものもある。例えば、本発明の方法を利用して、制限するわけではないが、2D Gel蛋白質分離による異なる切除スポットや、毛細管または自由流れ電気泳動分離、サイズ排除クロマトグラフィ分離、例えば、LC−MSセットアップにおけるような1次元または多次元LC分離による異なる収集分画等を分析することが可能である。
[U及びFスペクトルの取得]
本明細書に解説の方法は、U及びFスペクトルの取得中に用いられるイオン化技法から独立している(すなわち、制限するわけではないが、Hillenkamp他、「Anal.Chem.」、1991年、第63巻、193A号に記載のある従来のマトリックス支援レーザ脱離イオン化すなわちMALDI、Moyer及びCotter、「Anal.Chem.」、2002年、第74巻、468A号に記載のある大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化すなわちAP−MALDI、Fenn他、「Mass Spectrom.Rev.」、1990年、第9巻、第37号に記載のあるエレクトロスプレー・イオン化すなわちESI等を含む、ポリペプチドをイオン化することが可能な任意の技法を利用することが可能である)。
本発明は、利用される検出方法からも独立している(すなわち、制限するわけではないが、Chernushvich他、「J.Mass Spectrom.」、2001年、第36巻、第849号に記載のある飛行時間型質量分析法すなわちTOF、Hendrickson及びEmmett、「Annu.Rev.Phys.Chem.」、1999年、第50巻、第517号に記載のあるフーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴質量分析法すなわちFT−ICR、Jonscher及びYates、「Anal.Biochem.」、1997年、第244巻、第1号に記載のあるイオン・トラップ質量分析法等を含む、ポリペプチドを検出することが可能な任意の技法を利用することが可能である)。
本発明は、一般に、Fスペクトルを生じさせるために用いられるフラグメント化技法(または技法の組合せ)から独立している(すなわち、制限するわけではないが、Falick他、「J.Am.Soc.Mass Spectrom.」、1993年、第4巻、第882号に記載のある衝突誘起解離すなわちCID、Spengler、「J.Mass Spectrom.」、1997年、第32巻、第1019号に記載のあるポスト・ソース分解すなわちPSD、Little及びMcLafferty、「J.Am.Soc.Mass.Spectrom.」、1996年、第7号、第209号に記載のある赤外多光子解離すなわちIR−MPD、Chorush他、「Anal.Chem.」、1995年、第67巻、第1042号に記載のある表面誘起解離すなわちSID、Zubarev他、「Anal.Chem.」、2000年、第72巻、第563号に記載のある電子捕獲解離またはECD等を含む、ポリペプチドをフラグメント化することが可能な任意の技法を利用することが可能である)。
当該技術において周知のように、FスペクトルにおけるFイオンのタイプは、アミノ酸配列、フラグメント化法、フラグメント化エネルギー、内部エネルギー、荷電状態等を含む多くの要素によって決まる。単一バックボーンの切断から生じるFイオンに関する公認の命名法が、図1及び図2に示され、Johnson他、「Anal.Chem.」、1987年、第59巻、第2621号において解説されている。要するに、N末端のフラグメントは、a、b、または、cとして分類され、C末端のフラグメントは、x、y、または、zとして分類され、添字は、そのフラグメント内における単量体の数を表わしている。図1に例示のように、a/x、b/y、及び、c/zフラグメントは、それぞれ、Cα/C、C/N、及び、N/Cαi+1バックボーン結合の切断によって得られる。典型的なFスペクトルには、例えば、nの単量体を備えたa系列のポリペプチド、すなわち、a、a、a、a、a、a、a、a、a、a10、...、an−2、及び、an−1の1つ、いくつか、または、全てといった、ある特定のタイプの2つ以上のFイオンからのピークを含むことが可能である。さらに、Fスペクトルには、例えば、a/x、b/y、及び、c/z対の1つ、いくつか、または、全てといった、異なる組をなす相補的Fイオンを含むことが可能である。さらに、本発明のいくつかの実施態様によれば、Fスペクトルには、さらに、二重バックボーン切断、側鎖切断、及び/または、例えば、HO、NH等の損失といった、一般的な中性物の損失から生じるイオンを含むことも可能であるのは明白である。
望ましい実施態様の場合、Fスペクトルは、単一のまたは組み合わせた低エネルギー・メカニズムによって発生する。最近になって、橋本他によって、CID及びIR−MPDの組合せ利用が解説された(2002年、12月24日に、Anal.Chem.Webにおいて公表)。用いられる正確なエネルギーは、分析される試料及び用いられるフラグメント化方法によって決まるのは明らかである。一般に、適正なフラグメント化エネルギーは、例えば、フラグメント化エネルギーの関数として、非フラグメント・ピークとフラグメント・ピークの比率をモニタすることによって、実験に基づいて決定することが可能である。それに加えて、あるいは、その代わりに、検出されるフラグメントの平均分子量及び/または重量分布に基づいて、適合するフラグメント化エネルギーを選択することも可能である。実施態様によっては、フラグメント化エネルギーを二重バックボーン及び/または側鎖切断のしきい値未満のレベルに設定することが可能なものもある。例えば、制限するわけではないが、比較的高いガス圧でCIDを利用する場合に適したフラグメント化エネルギーは、一般に、約1000eV未満、より一般的には、約100〜約500eV、さらに一般的には、約150〜250eVになる。当業者であれば、ESD及びSIDのような他のメカニズムに適したフラグメント化エネルギーを容易に決定することが可能である。
本明細書に解説の方法は、U及びFスペクトルにおけるピークの質量の精度に影響されやすい。一般に、U及びFスペクトルの質量精度は、質量分析計の仕様及び信号強度によって影響される。市販計測器のメーカは、通常、その質量分析計について百万分の一単位(ppm)の質量精度を指定する。例えば、既知のポリペプチドの理論上のモノアイソトピック質量が、1,001.748Daで、そのポリペプチドの測定されたモノアイソトピック質量が、1,001.752Daの場合、その動作条件下における質量分析計の質量精度は、(1,001.752−1,001.748)/1,001.748=4.0×10−6すなわち4.0ppmである。
もちろん、本明細書に解説の方法に従って分析されるU及びFスペクトルは、広範囲にわたる動作条件下において得ることが可能である。分析の精度及び完全性は、当然のことながら、質量精度が増すにつれて向上する。必要とされる質量精度は、問題となる試料の性質、及び、例えば、ポリペプチドの平均分子量及び/または分子量範囲といった試料内におけるポリペプチドの性質によって左右される可能性がある。更に、質量制度の選択は目的とする分析の質によって決まる。制限するわけではないが、U及びFスペクトルを得るために用いられる1つまたは複数の質量分析計は、例えば、少なくとも約20ppm、できれば、約10〜約0.05ppm、さらに望ましいのは、約3〜約0.5ppmの質量精度でスペクトルが得られるようにする条件下において動作させることが可能である。
当業者にはすぐに分るように、例えば、制限するわけではないが、Smith他、「Electrophoresis」、2001年、第22巻、第1652号、Park及びRussel、「Anal.Chem.」、2001年、第73巻、第2558号、Flora他、2001年、「Anal.Chem.」、第73巻、第1247号、Hannis及びMuddiman、「J.Am.Soc.Mass.Spectrom」、2000年、第11巻、第876号、Jiang及びMoini、「Anal.Chem.」、2000年、第72巻、第20号、Green他、「Anal.Biochem.」、1999年、第275巻、第39号、Bruce他、「Anal.Chem.」、1999年、第71巻、第2595号、Lorenz他、「Rapid Commun.Mass Spectrom.」、1999年、第13巻、第2098号、Shi他、「Pro.Natl.Acad.Sci.USA」、1998年、第95巻、第11532号等に記載のような、これらの望ましい範囲内の質量精度で、ポリペプチドのスペクトルを得ることを可能にする、さまざまな方法及び装置が説明されてきた。さらに、例えば、制限するわけではないが、マサチューセッツ州ビルリカのBruker Daltonics社製のAPEX IIITM質量分析計、カリフォルニア州レークフォレストのIon Spec社製のHiResESITM質量分析計、マサチューセッツ州ミルフォードのMicromass社製のQ−TofUltimaTM質量分析計、カナダ、コンコードのMDS Sciex社製のAPI QSTARTM質量分析計、マサチューセッツ州ピーボディのJEOL社製のAccuTOFTM質量分析計、カリフォルニア州プレザントンのShimadzu Biotech社製のAXIMA−QITTMまたはAXIMA−MALDI TOFTM質量分析計等のような、これらの望ましい範囲内の質量精度で、ポリペプチドのスペクトルが得られるようにすることが可能なさまざまな質量分析計が市販されている。
実施態様のいくつかでは、高質量分解能の条件下において、U及びFスペクトルも得られる。質量分析計の質量分解能仕様によって、同様の分子量を有するポリペプチドの分解能力の測度が得られる。一般に、質量分解能は、分析器のタイプと実験条件の両方によって決まる。本発明の目的からして、ある特定のスペクトルの分解能は、分離された単一荷電ピークを半値全幅(FWHM)で割った、実験によって求められた質量の割合として定義される。例えば、1,658.752のm/z値における単一荷電ピークのFWHM値が、0.237の場合、そのピークの分解能は、1,658.752/0.237〜7,000に等しい。やはり、分析の精度及び完全性が、質量分解能が高くなるにつれて向上するのは明らかである。質量精度の場合と同様、必要とされる質量分解能は、問題となる試料の性質、及び、例えば、ポリペプチドの平均分子量及び/または分子量範囲といった試料内におけるポリペプチドの性質によって左右される可能性がある。実施態様のいくつかでは、制限するわけではないが、U及びFスペクトルを得るために用いられる1つまたは複数の質量分析計は、単一荷電イオン、できれば、二重荷電イオン、さらに望ましいのは、三重荷電イオン、それよりさらに望ましいのは、四重荷電イオンのアイソトープを分解するのに十分な条件下において動作させることが可能である。実用的なレベルの場合、これには、約300のm/z値において約2,400の分解能、及び、約2,000のm/z値において約15,000の分解能が必要とされる。全体としては、少なくとも、6,000、できれば、10,000以上の質量分解能が望ましい。
一般に、各組をなすスペクトル内におけるU及びFスペクトルは、同じ試料または同じ試料の異なるアリコットを利用することによって得られる。本明細書の定義によれば、同じ試料の異なる「アリコット」には、ほぼ同じポリペプチド組成物が含まれている、例えば、例えば、それらは、試料を2つ以上の容量に分割することによって得られる。ある特定の組をなすU及びFスペクトルは、やはり、同じ質量分析計を用いて得られるのが望ましい。実施態様のいくつかでは、背合わせでスペクトルを求めることによって、UスペクトルとFスペクトルの質量精度の相関関係が最強になる。単一質量分析計の利用が望ましいが、例えば、10、5、4、3、または、2未満だけしか異ならない質量精度といった、同様の、できれば、ほぼ同じ条件下で動作する、2つ以上の質量分析計を利用して、U及びFスペクトルを得ることが可能であるのは明らかである。いくつかの望ましい実施態様では、単一段質量分析計、できれば、同じ単一段質量分析計を用いて、U及びFスペクトルが求められる。
ある特定の組の各U及びFスペクトルは、単一収集スペクトルまたは2つ以上の収集スペクトルの合計に対応する可能性がある。いくつかの望ましい実施態様では、いくつかのスペクトルを合計することによって、UまたはFスペクトルが得られる場合、個々のスペクトルは、後続の分析に用いられる可能性があるので、合計されたスペクトルに加えて(または、その代わりに)記憶される。同じ質量分析計から収集したいくつかのスペクトルを合計して、U及びFスペクトルが得られる場合、これらは、順次(例えば、U、U、U等にF、F、F等が後続する)、介在配列式に(例えば、U、F、U、F、U、F等)、または、それらの何らかの組合せで(例えば、U、U、F、F、U、U、F、F等)得られるのは明らかである。さらに、データ収集時におけるある特定のフラグメント化エネルギーの選択を必要とせずに、あるフラグメント化エネルギー範囲にわたって得られるいくつかのスペクトルを合計して、Fスペクトルを生成することが可能である。それに加えて、または、その代わりに、2つ以上の異なるフラグメント化メカニズムによって得られるいくつかのスペクトルを合計して、Fスペクトルを生成することが可能である。UまたはFの収集は、一般に、質量分析計内に存在するフラグメント化条件と相関することになる。いくつかの実施態様では、U及びFスペクトルの収集と、例えば、フラグメント化エネルギーの変化といった、これらのフラグメント化条件における遷移を同期させることが可能である。すなわち、UスペクトルとFスペクトルとの間における非フラグメント質量とフラグメント質量の相互汚染を防止する上において、同期が有効になる可能性がある。いくつかの実施態様では、UスペクトルとFスペクトルの収集間に不感時間を挿入して、こうした相互汚染をさらに阻止することも可能である。
一般に、収集セットアップにおける特定の選択は、試料の性質、U及びFスペクトルが単一段質量分析計と多段質量分析計のどちらによって得られるか、U及びFスペクトルが同じ質量分析計によって得られるか否か、いくつかの異なる試料が、順次分析されるか否か(例えば、LC−MSセットアップの場合)、スペクトル収集時間、S/N比、フラグメント化メカニズムをオン及びオフにトグルするのに必要な時間、フラグメント化メカニズムのエネルギー及び性質、フラグメント化エネルギーを調整するのに必要な時間等といった、いくつかの要素によって左右されることになる。
本明細書に記載の方法は、2つ以上のUスペクトル及び/または2つ以上のFスペクトルを含む組をなすスペクトルを分析するように修正可能である。例えば、ある特定の試料に関する1組のスペクトルには、異なるフラグメント化エネルギーで得られた2つ以上のFスペクトル、及び/または、異なるフラグメント化メカニズムを利用して得られた2つ以上のFスペクトルが含まれる可能性があるのは明白である。すなわち、当該技術において周知のように、異なるフラグメント化エネルギー及びメカニズムには、異なるタイプのFイオンを生じる傾向がある(例えば、Papayannopoulos、「Mass.Spectrom.Rev.」、1995年、第14巻、第49号参照)。従って、異なるエネルギー及び/またはメカニズムで得られたFスペクトルの集合からの質量を考慮すると、異なるフラグメント・イオン系列(すなわち、a、b、c、x、y、及び,z系列)をさらに広範囲にわたってカバーすることが可能になる。
前述のように、さらに云うまでもないことではあるが、本発明の方法は、単独で利用することもできるし、あるいは、他のより伝統的なポリペプチド質量フィンガプリント技法(例えば、先行技術に解説のあるような)とタンデムに利用することも可能である。すなわち、本発明の方法を利用して、従来の方法では明らかにされなかった質量の部分集合を分析するのが有効になる可能性がある。
[U及びFスペクトルの分析]
一般に、本明細書に解説の方法では、ある特定の組におけるU及びFスペクトルが得られると(すなわち、ある特定の試料について)、1つ以上のFスペクトルにおける質量(すなわち、ポリペプチドのフラグメントに対応する)の検査と、それらの質量と1つ以上のUスペクトルにおける質量(すなわち、非フラグメント化ポリペプチドに対応する)を突き合わせて整合する試みが必要になる。F質量は、U質量に対応するポリペプチドから生じたフラグメントに対応すると、U質量に一致すると云える。さらに詳細に後述するように、いくつかの実施態様では、次に、U質量と一致したF質量の集合を用いて、U質量に対応するポリペプチドに関するアミノ酸配列が決定される。他のいくつかの実施態様では、U質量と一致したF質量の集合を用いて、対応するポリペプチドに関する1組の代替アミノ酸配列が決定される。さらに他の実施態様には、U質量と一致したF質量の集合を用いて、対応するポリペプチド内における各種修飾の性質、位置、及び、相対レベルが決定されるものもある。
[質量に関する「式の決定」]
いくつかの実施態様では、F質量とU質量の突合せに用いられる処理ステップにおいて、例えば、F質量または2つのF質量間の質量差といった候補質量に関する「式決定」を行うことが必要になる。本明細書における定義によれば、候補質量に関する「式決定」の実施には、アミノ酸単量体及び末端基(すなわち、図1及び2におけるR及びR)を「要素」として処理すること、及び、それらの理論上の質量を利用して、候補質量と一致する、1つ以上の「実験に基づくアミノ酸の式」を突き止めることが必要になる。例えば、N末端基(すなわち、図2のR=H)としての蛋白質、グリシン、及び、メチオニンを含むbイオン(図2参照)の実験によるアミノ酸の式は、H−(Gly,Met)である。同様に、N末端基としての蛋白質、2つのグリシン、メチオニン、及び、チロシンを含む同じ系列内のbイオンとbイオンとの間におけるアミノ酸「伸展」の実験によるアミノ酸の式は、(Gly,Tyr)である。
本発明における全ての質量計算及び比較には、測定を実施する計測器の質量精度を考慮しなければならないのは明らかである。一般に、質量(例えば、測定質量、理論上の質量、または、何らかの加算または減算の結果であるその組合せ)は、測定質量に基づいて可能性のある実際の質量範囲内に含まれる限りにおいて、測定質量と「一致する」と判断される。
式の決定に関して、その理論上の質量が候補となる測定質量に基づいて可能性のある実際の質量範囲外にある、実験に基づくアミノ酸の式は、「一致」しないとみなされる。逆に、その理論上の質量が候補となる測定質量に基づいて可能性のある実際の質量範囲内に含まれる、実験に基づくアミノ酸の式は、「一致」するとみなされる。従って、式の決定は、考えられる限りでは、0か、または、1つ以上の解答を備えることが可能である。単一の実験に基づく解答が得られる式の決定が望ましいが、2つ以上の解答が得られる式の決定が全く役に立たないというわけではない。というのも、別個の式の決定または他の決定と組み合わせられると、その式によって、単一の解答が導き出されることになる可能性もあるからである。本出願の目的からして、制限するわけではないが、Fイオンの測定質量に関して単一の実験に基づくアミノ酸の式が得られる式決定は、「奏効する式決定」と称される。「奏効する式決定」によれば、(a)Fイオンアミノ酸組成(例えば、上記例における1つのグリシン及び1つのメチオニン)、(b)Fイオンの系列タイプ(例えば、上記例におけるb系列)、及び、(c)その系列内におけるFイオンの位置(例えば、上記例における位置2)が得られるのは明らかである。
一般に、式決定の計算上の複雑さは、候補となる質量が増加するにつれて強まることになる。従って、望ましい実施態様のいくつかでは、式の決定を実施する質量を最小限に抑える試みがなされている。さらに詳細に後述するように、これは、検討すべき特定の質量範囲を選択することによって実現する。例えば、実施態様のいくつかでは、式決定は、50Daを超え、1000、500、400、350、300、250、または、200Da未満の候補質量に制限することが可能である。
化学元素(例えば、CONにおけるC、H、O、または、N)の一部または全ての理論上の質量を用いて、その測定質量に基づくある分子の実験による化学式(例えば、CON)を求める能力については、十分に理解されており、広く実施されている。James E.Delineによって自由に利用可能となっているMFCalcTMソフトウェア・プログラムには、典型的なアルゴリズムが含まれている。実施態様のいくつかでは、アミノ酸単量体及び末端基の理論上の質量(すなわち、化学元素の理論上の質量ではなく)と組み合わせて、これら既知の技法を利用することによって、式の決定を実施することが可能である。
さらに、または、代わりに、理論上の質量に関する1つ以上のデータベースを参考にすることによって、式の決定を実施することも可能である。本明細書に解説の方法は、決して理論上の質量に関する特定のデータベースを参考にすることに制限されるものではない。例えば、極端な例では、本発明の方法は、20の発生率の高いアミノ酸単量体(すなわち、表1(前出の表1。以下の表2乃至表5について同じ。)にリストアップされているような)の理論上の質量(例えば、モノアイソトピック質量またはある同位体分布の質量)を含む比較的単純なデータベースと組み合わせて用いることが可能である。もう1つの単純なデータベースは、発生率の高いa、b、c、x、y、及び、zタイプのイオン(すなわち、表1からの2つのアミノ酸単量体を含むa、b、c、x、y、または、zタイプのイオン)を網羅することが可能である。これらの比較的単純なデータベースは、制限するわけではないが、より大きいイオン(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10等のアミノ酸単量体を含むイオン)を含むデータベース、より発生率の低いアミノ酸単量体(例えば、表2にリストアップされているような)を含むデータベース、及び/または、代替N末端基またはC末端基(例えば、表3にリストアップされているような)を含むデータベースのような、より大規模でより複雑なデータベースによって補完するか、それらと組み合わせて用いることが可能である。さらに、より詳細に後述するように、いくつかの実施態様では、データベースは、さらに、ポリペプチド合成中に生じることが分っている1つ以上の修飾(例えば、制限するわけではないが、表5にリストアップされているような)、翻訳後蛋白質修飾(例えば、制限するわけではないが、表6にリストアップされているような)、及び/または、例えば、HOの損失、NHの損失、一般的な側鎖の損失等といった、一般に、イオン化及び/または検出プロセスの結果として質量分析計内において生じる修飾を考慮することも可能である。
Figure 2004279424
一般に、当業者であれば、さらにより容易に分るように、適合するデータベースはさまざまなやり方で作成することが可能である。アプローチの1つでは、元素の原子質量(例えば、Audi及びWapstra、「Nuclear Physics A」、1995年、第595号、第409巻からの)、元素の原子量(例えば、Coplen、「Pure Appl.Chem.」、2001年、第73巻、第667号からの)、及び/または、同位体存在比データ(例えば、Rosman及びTaylor、「J.Phys.Chem.Ref.Data」、1998年、第27巻、第1275号からの)と組み合わせて、データベース内の分子の実験に基づく化学式を用いることによって、理論上の質量を求めることが必要になる可能性がある。あるいはまた、さらに効率が良いように、データベースは、「逆」式決定を実施することによって、すなわち、アミノ酸単量体及び末端基を特定の理論上の質量を備えた「要素」(例えば、表1、B、及び、Cにリストアップされているような)として処理し、次に、これらの「要素」の質量を利用して、データベース内のさまざまな実験に基づくアミノ酸の式の質量を計算する式を適用して(例えば、a、b、c、x、y、または,zタイプのイオンについて、表4において得られる式を利用して)作成することが可能である。データベース作成プロセスの計算上の複雑性が軽減されるので、後者のアプローチが望ましい。もちろん、添付の表は純粋に例証を目的として提示されたものであり、本明細書において解説の方法は、決して、表に提示された正確な理論上の質量の利用に制限されるものではない。
[U及びFスペクトルの前処理]
次に、U及びFスペクトルに戻ると、実施態様のいくつかでは、U及びF質量を調べる前に、U及び/またはFスペクトルに前処理を施すことによって、本発明の方法の計算上の複雑性を軽減することが可能である。このオプションのスペクトルの前処理には、下記のアプローチの1つまたはいくつかの組合せ、または、その同等物を必要とする可能性がある:
(a)U及び/またはFスペクトルの逆畳み込み。質量スペクトルの逆畳み込みには、スペクトルにおけるm/z値を非荷電質量(すなわち「中性質量」)に変換することが必要になる。本明細書に解説の方法は、U及び/またはFスペクトルの前処理に用いられる逆畳み込みアルゴリズムから独立している。例えば、利用可能な、制限するものではない、アルゴリズムには、Zhang及びMarshall、「J.Am.Soc.Mass Spectrom.」、1998年、第9巻、第225号、Wehofsky及びHoffmann、「J.Mass Spectrom.」、2002年、第37巻、第223号に記載のもの、Fenn他に対する米国特許第5,130,538号明細書、第5,581,080号明細書、及び、第5,686,726号明細書、または、Gee他に対する米国特許第6,104,027号明細書等に記載のものが含まれる。
(b)U及び/またはFスペクトルの脱同位体化。質量スペクトルの脱同位体化には、同じイオンの異なる同位体形態に関連したm/z値を識別し、それらを単一m/z値に関連づけることが必要になる。実施態様のいくつかでは、後続の分析に利用できるので、さまざまな同位体形態のm/z値が記憶される。本明細書に解説の方法は、U及びFスペクトルの前処理に用いられる脱同位体化アルゴリズムから独立している。例えば、Horn他、「J.Am.Soc.Mass Spectrom.」、2000年、第11巻、第320号には、利用可能な、制限するものではない、アルゴリズムについての記載がある。望ましい実施態様の場合、異なる同位体形態のm/z値は、イオンのモノアイソトピック質量と関連づけられる。ある特定のイオンに関して、モノアイソトピック質量は、その元素組成が、それらの元素の最も存在度の高い同位体(例えば、12C、H、16O、14N、及び、32S)から構成される同位体形態の質量に対応する。定義によれば、モノアイソトピック・ピークは、必ず、特定の同位体分布における最も低いピークである。
(c)Fスペクトルにも存在しているU質量(例えば、Uスペクトル内で検出されるフラグメント・イオンに対応する)の考慮対象からの除外。このオプションのステップによって、後続の分析に用いられるU質量にフラグメント・イオンからの質量が含まれないという保証が得られる。例えば、Fスペクトルを得るのに、比較的弱いフラグメント化エネルギーが用いられ、従って、Fスペクトルにおける非フラグメント・イオンの検出確率が、比較的高くなる場合には、このオプションのステップによって、Uスペクトルから真性の非フラグメント・イオンの質量が偶発的に除去される可能性があるのは明らかである。しかし、Fスペクトルを得るのに、比較的強いフラグメント化エネルギーが用いられる場合には(すなわち、Fスペクトルにおける非フラグメント・イオンの検出確率が、比較的低くなる場合には)、このステップが有効になる可能性があるのは明らかである。従って、U質量を考慮対象から完全に除外する代わりに、それにフラグを付けるのが有効になる可能性がある。こうした実施態様によれば、フラグ付きのU質量は、当初、考慮対象から除外されるが、オプションにより、非フラグ付きU質量の分析後に利用することが可能になる。
(d)Uスペクトルにも存在しているF質量(例えば、Fスペクトル内で検出される非フラグメント・イオンに対応する)の考慮対象からの除外。このオプションのステップによって、後続の分析に用いられるF質量に非フラグメント・ポリペプチドからの質量が含まれないという保証が得られる。例えば、Uスペクトルを得るのに、イオン化または検出メカニズムが用いられる結果として、偶発的に、フラグメントが生じる場合には、実施態様によっては、このオプションのステップによって、真性のフラグメント・イオンの質量が偶発的に除去される可能性があるのは明らかであり、従って、いくつかの実施態様では、F質量を考慮対象から完全に除外する代わりに、それにフラグを付けるのが有効になる可能性がある。こうした実施態様によれば、フラグ付きのF質量は、当初、考慮対象から除外されるが、オプションにより、非フラグ付きF質量の分析後に利用することが可能になる。
上述のように、U及びFスペクトルが得られ、オプションの前処理が施されると、詳細に後述する処理ステップの1つ以上を利用して、F質量とU質量の突合せが実施される。云うまでもなく、また、当業者にはすぐに分るように、突合せ手順では、(a)下記処理ステップのそれぞれを利用する必要がないか、(b)提示の順序で処理ステップを利用する必要がない。さらに明らかなように、例えば、突合せ手順中に、異なる処理ステップのいずれかの側で、ある特定の処理ステップを数回繰り返すことも可能である。すなわち、云うまでもないが、以下で述べるのは、突合せ手順の単一の例証となる実施態様であって、本発明の方法は、決して、この特定の処理ステップの組合せ及び順序に制限されるものではない。さらに、ただ分りやすくすることだけを目的として、制限するわけではないが、さまざまな処理ステップに関する以下の説明では、U及びFスペクトルに、逆畳み込み及び脱同位体化が施されているものと仮定する。
[処理ステップ1:「シード」F質量の確認]
いくつかの実施態様によれば、突合せ手順は、特定のU質量と一致する「シード」F質量の集合を確認することによって開始可能である。本明細書における定義によれば、「シード」F質量の確認には、対応するFイオンのフラグメント系列タイプ(例えば、対応するFイオンがa、b、c、x、y、zタイプのイオン系列に属するかどうか)を決定することが必要である。実施例によっては、決定した系列内の対応するイオンの位置も決定される(例えば、対応するFが、b系列に属する場合、それがb、b、b、b、b等のいずれであるか)。さらに他の実施態様では、対応するFイオンのアミノ酸組成(例えば、対応するFイオンが、bイオンの場合、それに含まれるのが、2つのグリシンか、あるいは、1つのグリシン及び1つのトリプトファンであるか)も確認される。例えば、アミノ酸X及びアスパラギンを含むbイオン、及び、X及び2つのグリシンを含むbイオンを検討してみると、実施態様のいくつかでは、Fイオンの位置及びアミノ酸組成をおおよそのところしか決めることができないのは明らかである。即ち、これらは、ほぼ縮退質量を有している。例えば、「シード」F質量は、下記のアプローチの1つまたは組合せ、または、その同等物を利用して確認することが可能である:
(a)U質量と一致するある系列の低質量端におけるF質量を確認することによって。典型的な実施態様の1つでは、これは、a、b、c、x、y、または、z系列において可能性のある2つの単量体イオン範囲内に含まれる各F質量毎に式の決定を実施することによって実現可能である。発生率の高いアミノ酸単量体だけを含むポリペプチドを分析する場合、その範囲は、一般に、2つのグリシンを含むaイオンの理論上の質量と2つのトリプトファンを含むxイオンの理論上の質量との間にわたることになる。有効な解答は2つの単量体イオンを表わすことになる。奏効する式の決定が行われると、各U質量から候補の質量を引き、次に、結果得られる質量についてFスペクトル質量を調べることによって、候補となる2つの単量体のF質量とU質量との突き合わせて整合することが試みられる。一致が確認されると、その第2のF質量がその系列(例えば、b及びyn−1)における対応するイオンを表わすことになり、指定のU質量と一致するものとすることが可能になる。もちろん、このアプローチは、例えば、a、b、c、x、y、または、z系列内において可能性のある3、4、5、6、7等の単量体イオン範囲内にあるF質量といった、より広い範囲内の適合するF質量について走査するように拡張することが可能である。いくつかの実施態様では、式の決定は、計算上の複雑性を軽減するため、50Daを超え、1000、500、400、350、300、250、または、200Da未満のF質量に制限することが可能である。
(b)U質量と一致する系列の高質量端におけるF質量を確認する。これを実施するための可能性のある方法の1つでは、ある特定のU質量(U)を選択し、U〜[U−(可能性のある最も重い2つの単量体イオンの質量)]の範囲内にあるF質量(F)を選択し、質量U−Fの減算を行い、その結果に対する式決定を実施することが必要になる可能性がある。発生率の高いアミノ酸単量体だけを含むポリペプチドを分析する場合、可能性のある最も重い2つの単量体イオンの質量は、一般に、2つのトリプトファンを含むxの質量である。このプロセスは、奏効する式の決定が行われるまで、前記範囲内にある他のF質量について繰り返すことが可能である。奏効する式決定によって、一致が示され、結果得られる質量(すなわち、U−F)に対応するフラグメントと選択されたF質量(F)に対応するフラグメントの両方のイオン・タイプが得られる。いくつかの実施態様では、この突合せ手順は、結果得られる質量(すなわち、U−F)に関するFスペクトル質量を調べることによって裏付けることが可能である。このアプローチは、例えば、U〜[U−(可能性のある最も重い3、4、5、6、7等の単量体イオンの質量)]の範囲内といった、より広い範囲内の適合するF質量を走査するように拡張することが可能であるのは明らかである。やはり、実施態様のいくつかでは、式の決定は、計算上の複雑性を軽減するため、50Daを超え、1000、500、400、350、300、250、または、200Da未満の質量に制限することが可能である。
(c)U質量に一致する任意のF質量対を求める。これは、合計がU質量になる任意のF質量対を探索することによって実施される。これを実施するための可能性のある方法の1つでは、ある特定のU質量(U)を選択し、U未満の最大のF質量を求めて、Uから引き、第2のFスペクトル質量が結果得られる質量と一致するか否かを確かめようとすることが必要になる可能性がある。一致すれば、その2つのF質量は、Uと一致する対を表わしている。こうしたやり方で、この質量範囲(すなわち、可能性のある最も軽いF質量とUiの間)の中央値に達するまで、次に軽いF質量のテストを続行することが可能である。このプロセスは、異なるU質量を用いて繰り返すことが可能である。当業者であれば、このアプローチに対する多くの変更及び代替アプローチが明らかになるであろう。例えば、ある特定のU質量(U)を選択し、最小のF質量を求めて、Uから引き、その質量を有する別のF質量の有無を確かめようとすることが可能である。実施態様のいくつかでは、1対のF質量がU質量と一致すると、次に、対応するFイオンの系列タイプを確認する、すなわち、それらがa、b、c、x、y、及び、z系列のいずれに属するかを確認する試みがなされる。本明細書に解説の方法によれば、これは、一致対における軽いほうのF質量について式決定を実施することによって行われる。成功するのは、多くても1つのはずである。上記アプローチ(a)及び(b)の場合と同様、いくつかの実施態様では、これらの式の決定は、50Daを超え、1000、500、400、350、300、250、または、200Da未満の質量に制限することが可能である。一致した重いほうのFイオンのイオン・タイプは、同じ対(例えば、bとyn−2)における一致した軽いほうのFイオンのイオン・タイプと相補的になる。
もちろん、いくつかの実施態様では、上記(a)、(b)、または、(c)に従って一致した大きいシードF質量(例えば、制限するわけではないが、一致した1000、500、400、350、300、250、または、200DaのU質量内に含まれるF質量)は、異なるU質量との突合せに備えて、F質量のリストから除去することが可能である。実際、いくつかの実施態様では、あるU質量と一致した大きいシードF質量が異なるU質量と一致するということは、統計上、まずありそうにない。必ずしもそうとは限らないが、一般に、より小さいFシード質量は、複数Uイオンから発生したフラグメントに対応する可能性があるので、後続の検討対象から除外すべきではない。一致したシードF質量を検討対象から除外する決定は、一般に、もとの試料から得られたU質量の数、従って、もとの試料の複雑性に基づいて行われる。
[処理ステップ2:すぐ隣のイオンを利用したシード添加イオン系列の伸展]
いくつかの実施態様では、シードF質量の集合が確認されると、本発明の方法では、系列内におけるシード・イオンに隣接したイオンのF質量を確認することによって、1つ以上のシード添加イオン系列を伸展することが必要になる可能性がある。これは、シード添加イオン系列内の隣接イオンに関する理論上の質量のそれぞれにおいて、F質量を求めることによって実施可能である。例えば、いくつかの実施態様では、これには、シード・イオンの測定質量に対応する理論上のイオン質量に/から、可能性のあるアミノ酸単量体(例えば、表1及び表2にリストアップされているような)の1つ、いくつか、または、全ての理論上の質量を加算/減算し、一致を求めて下スペクトル質量を調べることが必要になる可能性がある。測定質量とは対照的に、このステップ(及び、後述する他のステップ)におけるシードイオンの理論上の質量を利用すると、測定における誤差の累積に伴って生じる可能性のある問題が防止される。それほど望ましくはないが、云うまでもなく、このステップ及び後続ステップにおいて、シード・イオンの測定質量を利用することが可能である。一般に、云うまでもないが、[理論上の質量]または[測定質量]に対する明示的な言及がなければ、明細書または請求項に現れる「フラグメントの質量」または「イオンの質量」という用語には、理論上の質量または測定質量の利用が包含されている。アミノ酸単量体がもとのシード・イオンに付加されるか、または、それから除去される毎に、成長または収縮シードイオンを利用して、このステップを繰り返すことが可能であることは明らかである。
[処理ステップ3:先走査によるシード添加イオン系列の伸展]
実施態様のいくつかでは、シード添加イオン系列は、さらに(または代わりに)、シード・イオンからアミノ酸単量体2つ分以上離れたイオンのF質量を確認することによって伸展することが可能である。このアプローチは、とりわけ、系列内の隣のイオンに対応する質量がFスペクトル質量から欠落している場合(例えば、aイオン質量は存在するが、aイオンの質量が検出されなかった場合)に役立つ。これは、下記のアプローチの1つまたはいくつかの組合せ、または、その同等物を利用して実施することが可能である:
(a)シード添加系列におけるg+h(またはg−h)の単量体イオンの可能性のある最大(または最小)質量の確認(ここで、gは最後に確認されたイオンの系列位置であり、hは、例えば、1、2、3、4、5、6、7等といった、欠落していると思われるイオン数である)。最後に確認された系列イオンと可能性のある最大(または最小)質量の間の各F質量毎に、最後に確認されたイオンの理論上の質量を引く(または、最後に確認されたイオンの理論上の質量から各F質量を引く)ことが可能である。次に、結果得られる質量に式の決定が行なわれる。ほとんどのF質量には、解答がない。計測器の質量精度内の解答によって、問題となるF質量がその系列の一部である可能性があることが示され、欠落したアミノ酸単量体の組成が得られる。
(b)同じ系列からのFイオンが、他の方法によって(例えば、処理ステップ1及び/または2によって)ギャップのもう一方の側で既に確認されている場合、[(確認された軽いほうのイオンの理論上の質量)+(最も軽い単量体の理論上の質量)]と[(確認された重いほうのイオンの理論上の質量)−(最も軽い単量体の理論上の質量)]との間にある全てのFスペクトル質量を確かめることが可能である。次に、候補となるFイオンから確認された軽いほうのイオンの理論上の質量を引くか、または、確認された重いほうのイオンの理論上の質量から候補となるFイオンの質量を引いて(どちらの結果が小さくなるにせよ)、その結果について式の決定を行うことが可能である。計測器の質量精度内の解答によって、問題となるF質量がその系列の一部である可能性があることが示され、欠落したアミノ酸単量体の組成が得られる。
[処理ステップ4:隣接系列内におけるシードF質量と同じ位置のF質量の確認]
いくつかの実施態様によれば、シード・イオンと同じ位置であるが、隣接系列内にあるイオン(例えば、シードイオンがaの場合、bまたはc)に対応するF質量を確認することによって、追加F質量とU質量を突き合わせて整合することが可能である。これは、シード・イオンの測定質量に対応する理論上のイオン質量に/から、可能性のある系列オフセット質量の1つ、いくつか、または、全てを加算/減算し、次に、一致を求めて、Fスペクトル質量を調べることによって実施可能である。系列オフセット質量は、シード・イオンの系列(例えば、a系列)と他の関連系列(例えば、b及びc系列)との間の質量デルタを表わしている。当該技術において周知のように、また、図2の化学式、及び、表4の式を検討することによって容易に明らかになるように、b系列とa系列との間の系列オフセット質量は、CO基の質量に対応し、b系列とc系列との間の系列オフセット質量は、NH基の質量に対応する等のことが理解される。
[処理ステップ5:シード添加イオン系列の確認]
一般に、関連系列の集合が伸展されると(すなわち、特定のU質量に関して)、オプションにより、下記のアプローチの1つまたはいくつかの組合せ、または、その同等物を利用して、それらを確認することが可能である:
(a)対応する関連系列メンバが(例えば、b及びyn−2)が確認された場合にはいつでも、その理論上の質量の和は、計測器の質量精度内の測定U質量と一致すべきである。
(b)異なる系列における同じ隣接アミノ酸位置を表わす複数イオン(例えば、b、b、c、及び、c)が存在する場合、同じ系列における重いイオンと軽いイオンとの間(例えば、b〜b及びc〜c)の質量デルタに関する式決定は、同じアミノ酸単量体と一致すべきである。
(c)異なる系列における同じ非隣接アミノ酸位置を表わす複数イオン(例えば、b、b、c、及び、c)が存在する場合、同じ系列における重いイオンと軽いイオンとの間(例えば、b〜b及びc〜c)の質量デルタに関する式決定は、同じアミノ酸単量体の組み合わせと一致すべきである。
(d)ある特定のFイオンに関する測定同位体分布は、その実験によるアミノ酸式から計算されたイオンに関する理論上の同位体分布と一致すべきである。このステップには、脱同位体化前に、Fスペクトルを分析することが必要になる。
(e)一般に、ある特定のFイオンの信号強度は、親Uイオンの信号強度を超えてはならない。
[処理ステップ6:Uイオンに関する1つ以上のアミノ酸配列の生成]
ある特定のUイオンに関する1つ以上のフラグメント系列内のF質量の集合が整合され、オプションの確認が実施されると、Uイオンに関する可能性のある1組のアミノ酸配列を生成することが可能になる。まず、1つ以上のフラグメント配列を個別に移動させて、各系列内の隣接イオン間における質量差を表わすアミノ酸単量体が、式決定を介して確認される。処理ステップ2及び5が実施された場合には、その結果を利用して、このステップを短縮することができるのは明らかである。
いくつかの実施態様では、異なる系列で予測されるアミノ酸単量体を比較して、それらの単量体によって、同じアミノ酸単量体がその配列の同じ位置に付加されるのか否かを判定することにより、共通アミノ酸配列を作成するのが、この処理段階において有効になる可能性がある。組み合わせられる系列の一方における特定位置からすぐ隣接したイオン(例えば、aが組み合わせられる場合のa)が欠落している場合、その位置の単量体は、その特定対(例えば、bとb)を含む異なる系列を調べることによって、決定することが可能である。特定の対をなす位置(例えば、位置4及び5)に関してすぐ隣接したイオンが、単一の組み合わせられる系列において確認されなかった場合、系列オフセットを考慮して、2つの異なる系列内のすぐ隣接した位置からのイオン(例えば、bとa)間における質量デルタについて式決定を実施することによって、適合する単量体を求めることが可能である。どの系列においても、その系列内のある特定ポイント(例えば、位置4)においてあるイオンが確認されなかった場合、組をなす代替配列が作成されるが、この場合、その位置(例えば、aとaの間)にまたがる質量デルタから求められたアミノ酸組成は、可能性のある全ての順列(及び、その質量データに関する式決定によって、いくつかの解が得られる場合には、可能性のある全ての組合せ)で表わされる。正確なアミノ酸の決定は、同じ質量であるために不可能な場合(例えば、ロイシン対イソロイシンのように)、組をなす代替配列も作成される。
[ポリペプチド修飾の考慮]
実施態様のいくつかでは、化学合成によって生じたポリペプチド試料を分析する場合、本明細書に解説の方法を拡張して、ポリペプチドの合成中に修飾の結果として生じる可能性のある1つ以上の理論上の質量デルタ(例えば、制限するわけではないが、表5にリストアップされたような)を考慮するのが有効になる可能性がある。同様に、自然源から抽出された(例えば、細胞抽出)試料を分析する場合、特定の翻訳後蛋白質修飾によって生じることが分っている1つ以上の理論上の質量デルタ(例えば、制限するわけではないが、表6にリストアップされたような)を考慮するのが有効になる可能性がある。試料の化学及び/または酵素処理によって修飾が導入される可能性もある。さらに、実施態様のいくつかによれば、一般に、イオン化、及び/または、例えば、HOの損失、NHの損失、共通側鎖の損失等の検出プロセスの結果として、質量分析計内に生じる理論上の質量デルタを考慮することが所望される場合もあり得る。
実施態様のいくつかでは、式決定技法を拡張して、問題となる理論上の質量デルタの1つ、いくつか、または、全てを考慮することも可能である。例えば、関連する理論上の質量デルタのサブセットを含むように、理論上の質量に関するデータベースを拡張することも可能である。あるいはまた、アミノ酸単量体及び末端基を「要素」として、実験に基づく式を決定するための伝統的な技法が利用されている場合、追加「要素」として理論上の質量デルタを含むことが可能である。一般に、考慮する必要のある修飾の選択は、部分的に試料の性質によって決まる。次に、U及びFスペクトル質量が、上述のように分析されるが、式の決定は、これらの追加「要素」及び/または拡張データベースを用いて実施される。あるいはまた、U及びFスペクトル質量は、前述のように分析し(すなわち、可能性のある修飾を考慮せずに)、下記のアプローチの1つまたはいくつかの組合せ、または、その同等物を利用して、結果得られたデータに後処理を施すことによって、さらに分析することが可能である:
(a)1つ以上のイオン系列における不連続部の両側のイオンを確認する。修飾は、系列内の修飾箇所におけるFイオンの質量シフトによって表わされる。従って、前述の方法(すなわち、修飾の可能性を考慮しない方法)に基づくと、修飾によって、一般に、イオン系列内に分解不可能なギャップが生じることになる。いくつかの実施態様によれば(例えば、修飾されたポリペプチド及び修飾されていない同じポリペプチドが、両方とも、ある特定の組をなすU及びFスペクトルを得るために用いられる試料内に存在する場合)、ギャップが生じないかもしれないという点は注目に値する。実際、こうした実施態様によれば、各オフセット質量(すなわち、修飾ポリペプチドからのFイオンの質量)は、対応する非オフセット質量(すなわち、非修飾ポリペプチドからの対応するFイオンの質量)と共に生じることになる。同じ試料内における修飾ポリペプチドと非修飾ポリペプチドの同時発生は、修飾の性質、試料の性質、及び、例えば、MDLC分離の形をとる、修飾に後続し、かつ、質量分析に先行して実施される分離の程度によって左右されることになるのは明らかである。一般に、ギャップは、両端からアプローチされるイオン系列内の不連続部として確認することが可能である(例えば、yn−4は、重いほうから軽いほうに系列を伸展する場合には見つけることが不可能であり、yn−3は、軽いほうから重いほうに系列を伸展する場合には見つけることが不可能である)。ギャップは、同じ箇所で中断する2つの系列(例えば、b及びy系列)を探すことによって確認することも可能である。こうしたギャップは、前述の方法によって説明することができない場合、修飾部位の候補になる。
修飾には、周知の質量デルタ(例えば、制限するわけではないが、表5及び表6にリストアップされているような)を備えるものもある。これらは、ギャップによって表わされる質量を得て、次に、既知の質量デルタを備える、可能性のある修飾の1つ、いくつか、または、全てを取り去り、その結果に対して式決定の実施を試みることによってテスト可能である。最終的な決定によって、そのタイプの修飾が示され、配列内におけるその箇所に存在するアミノ酸単量体が確認される。修正の箇所に隣接してイオンが欠落している場合、一群のアミノ酸単量体を式決定の中に確認することになる。その位置にある1つまたは複数のアミノ酸単量体は、確認される修飾と適合するか否かを判定することによって確かめることが可能である。修飾の性質は、一方は修飾と適合し、もう一方は適合しない場合に、その系列内におけるアミノ酸単量体の相対順序の確認に役立つ可能性がある。
(b)イオンがギャップの両側で確認されなかった場合、既知の質量デルタを備えた修飾についてテストする。これを実施することが可能な方法の1つでは、不連続部未満の(または、それを超える)理論上のイオン質量に/から可能性のある修飾の質量を加え(軽いほうから重いほうに伸展する場合)/引き(重いほうから軽いほうに伸展する場合)、次に、不連続部未満の(または、それを超える)イオンが結果得られる質量を備えているかのように、前述の方法を用いて、系列内の隣接イオンを探索することが必要になる。探索が成功すると、その位置における正しいアミノ酸が確認され、修飾が確認される。
[質量タグ付けの考慮]
実施態様のいくつかでは、本明細書に解説の方法は、例えば、異なる試料中の蛋白質の微分定量化のため、質量タグ付け技法の利用を考慮するように修正可能である。例えば、例証のため、制限するわけではなく、この方法は、同位体コード化アフィニティ・タグ(ICAT)の利用を考慮するように修正可能である。要するに、ICATは、3つの主セクション、すなわち、アフィニティ・タグ、安定同位体を組み込むためのリンカ、及び、システイン中に存在するチオール基に向かう特異性を備えた反応基から構成された、ある試薬クラスである(例えば、Gygi他、「Nat.Biotech.」、1999年、第994巻、第17号参照)。重い型(例えば、炭素バックボーンに重水素を含む)及び軽い型(例えば、重水素を含まない)ICAT試薬が、異なる試料中の蛋白質の標識付けに用いられる。この方法は、一般に、例えば、下記の4つのステップから構成される:
(a)軽い型のICAT試薬を用いて、第1の蛋白質試料(例えば、第1の細胞状態を示す)中におけるシステイン側鎖の誘導体化が実施される。重い型のICATを用いて、異なる試料(例えば、第2の細胞状態を示す)中における同じ蛋白質の誘導体化が実施される。
(b)2つの試料を混合し、消化して、その一部にタグが付けられたポリペプチド(すなわち、システインを含む)の混合物が形成される。
(c)アビジン・アフィニティ・クロマトグラフィを利用して、タグ付きフラグメントが隔離される。
(d)次に、MDLCを用いて、隔離したポリペプチドが分離され、分析のため、質量分析計に送り込まれる。
定量情報は、軽い型及び重い型のICATで標識付けされた化学的に同じポリペプチド対の相対信号強度の測定及び比較から得られる。ポリペプチド対の比によって、問題となるもとの蛋白質に関する定量情報が得られる。これは、ポリペプチド・フラグメントが、例えば、第1及び第2の細胞状態における蛋白質のもとの量の比率を表わすためである。
ICATのような質量タグを利用する場合、軽い型のタグと重い型のタグとの間の質量デルタによってオフセットした、2つのピーク(例えば、システインを含むような)がUスペクトルに生じることになる。Uイオンにおける質量タグの総数がF系列における対間において分割されることになり、従って、その和が正常と認められることになるので、F質量とU質量の組合せ対が影響を受けることはない。しかし、配列決定の実施時には、選択されたアミノ酸単量体の質量が異なることになる(質量タグの付加により)。実際には、これらのアミノ酸単量体には、不完全な反応のためタグが付いていない、軽いタグが付けられた、及び、重いタグが付けられた、複数質量が存在することになる。式決定アルゴリズムは、従って、これを考慮する必要がある。タグ付加はタグが存在する部位における翻訳後修飾とほぼ同等である。イオン系列の伸展時には、タグ付加はそのように処理することが可能である。選択アミノ酸単量体だけがタグ(例えば、提示例の場合、システイン)と反応するので、タグが存在すると、決定された実験によるアミノ酸式の検証も可能になる。
当業者には容易に明らかになるように、このアプローチは、他の異なる同位体タグ付け技法(例えば、Goshe他、「Anal.Chem.」、2001年、第73巻、第2578号、Yao他、「Anal.Chem.」、2001年、第73巻、第2836号」等参照)、及び、より一般的には、任意の質量タグ付け技法(例えば、Smith他、「OMICS」、2002年、第6巻、第61号参照)と併用して、適用することが可能である。
[装置]
当業者にはすぐに分るように、本発明の方法に関連していくつかの実施態様の説明を行ってきたが、本発明には、本発明の方法の実施に利用可能な装置も含まれている。本明細書において既述の処理ステップは、さまざまな異なる技法のうち任意の1つ以上を利用して得られる機械命令を実行するコンピュータ・システムにおいて実施することが可能である。
実施態様の1つでは、機械命令は、例えば、プログラミング言語、サード・パーティのソフトウェア・パッケージ、オペレーティング・システムの一部として含まれるルーチンを含む、ソフトウェアを利用して生成することが可能である。機械命令またはその形式は、本発明の方法のさまざまなステップを実施するための機械に実行可能な1組の命令と共に、コンピュータ可読媒体(例えば、制限するわけではないが、フロッピ・ディスク、ハード・ディスク・ドライブ、RAM、CD−ROM、テープ、カセット等)を含むコンピュータ・プログラム製品に記憶することが可能である。次に、ソフトウェアは、取り外し可能な記憶駆動装置、ハード・ドライブ、または、通信インターフェイスを用いて、コンピュータ・システム(例えば、やはり、質量分析計を操作するオフィス・コンピュータまたはオンライン・コンピュータ)にロードされる。コンピュータ・システム内の1つ以上のプロセッサによって実行される場合、ソフトウェアは、プロセッサによって本明細書に解説の本発明の機能が実施されるようにする。留意すべきは、上記処理は、例えば、専用集積回路のようなハードウェア・コンポーネントを用いて、ハードウェアで実施することもできるという点である。ある実施態様では、ハードウェア及び/またはソフトウェアの組合せを利用して上記処理を実施することも可能である。
[用語の定義他]
本明細書において用いられる限りにおいて、「ポリヌクレオチド」は、一般に、リン酸ジエステル結合によって連結された少なくとも2つのヌクレオチドを含む、ヌクレオチドの高分子である。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、及び、「核酸」という用語は、交換可能に用いることが可能である。DNA及びRNAが分析可能な典型的なポリヌクレオチドである。制限するわけではないが、本発明には、ペプチド核酸(PNA)、鎖錠核酸(LNA)、非構造核酸(UNA)の分析を含むことが可能である。ポリペプチドの場合と同様、測定されたU及びFポリヌクレオチド質量は、本発明のアルゴリズムを用いて分析される。ポリヌクレオチドは、それに含まれるヌクレオチドの配列によって同定される。アミノ酸単量体「要素」の代わりに、ヌクレオチド単量体「要素」を用いて、式決定が実施される。実施態様のいくつかでは、一般的なヌクレオチド(すなわち、塩基のアデニン、チミン、シトシン、グアニン、または、ウラシルを含むヌクレオチド)の理論上の質量を利用することが可能である。さらに、または、代わりに、珍しいか、非天然のヌクレオチド(例えば、制限するわけではないが、塩基の2−アミノアデニン、2−チオチミン、3メチルアデニン、5−プロピニルシトシン、5−プロピニルウラシル、5−ブロムウラシル、5−フルオロウラシル、5−ヨードウラシル、5−メチルシトシン、7−デアザアデニン、7−デアザグアニン、8−オキソアデニン、8−オキソグアニン、O(6)−メチルグアニン、または、2−チオシトシンを含むヌクレオチド)を利用することも可能である。同様に、糖修飾(例えば、2’−O,4’−Cメチレン・ブリッジを備えた、2′−フルオロリボース、アラビノース、ヘキソース、及び、リボース)によって生じる質量デルタ、及び/または、修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエート及び5′−N−ホスホラミダイト結合)により生じた質量デルタを検討することも可能である。ポリペプチドの場合と同様、ポリヌクレオチド・イオンの式決定には、末端基の理論上の質量を考慮することが必要になるが、一般に、これらの末端基は、ヒドロキシルまたはリン酸塩になる。
本明細書において用いられる限りにおいて、「多糖類」は、一般に、少なくとも2つの糖を含む糖の高分子である。「多糖類」、「オリゴ糖」、及び、「炭水化物」という用語は、交換可能に利用することが可能である。本発明の方法を利用して、線状または分枝多糖類を分析することが可能である。ポリペプチドの場合と同様、測定されたU及びF多糖類質量は、本発明のアルゴリズムを用いて分析される。多糖類は、それに含まれる糖の配列によって同定される。アミノ酸単量体「要素」の代わりに、糖単量体「要素」を用いて、式決定が実施される。実施態様のいくつかでは、一般的な糖(例えば、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース)の理論上の質量を利用することが可能である。さらに、または、代わりに、それほど一般的ではない、非天然の糖(例えば、デオキシリボース、フコース、ラムノース、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グルクロン酸、ムラミン酸、N−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、ヘプトース等)の理論上の質量を利用することも可能である。同様に、糖修飾(例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化等)によって生じる質量デルタを検討することも可能である。ポリペプチドの場合と同様、多糖類イオンの式決定には、やはり、末端基の理論上の質量を考慮することが必要になるが、一般に、多糖類には、自由還元端または還元された還元端が含まれる。
当業者であれば、本明細書に開示の本発明の仕様または実施技法を検討することによって、本発明の他の実施態様が明らかになるであろう。すなわち、当業者であれば明らかなように、本明細書に記載の方法は、ポリヌクレオチドまたは多糖類の同定にも利用可能である。
結果としてN−/C−末端ポリペプチド・フラグメントのa/x、b/y、及び、c/z系列を生じる単一バックボーン切断事象を例示した図である。 図1の単一バックボーン切断事象によって得られるN−/C−末端フラグメントの公認の命名法を例示した図である。

Claims (15)

  1. 1つ以上の生体高分子を含む試料中のある生体高分子を同定する方法であって、
    前記1つ以上の生体高分子の測定質量を含む第1のデータセットから、ある質量を選択するステップと、
    前記1つ以上の生体高分子のフラグメント集合に関する測定質量を含む第2のデータセットの質量と前記選択質量とを整合するようにし、整合する質量が前記選択質量を備える前記生体高分子のフラグメントを表わすようにするステップと、
    前記整合する質量を比較して、前記選択質量を備える前記生体高分子の単量体配列を決定するステップとを有することを特徴とする方法。
  2. さらに、前記1つ以上の生体高分子を非フラグメント形態で検出可能にする条件下において、前記第1のデータセットの生成において用いられる、前記1つ以上の生体高分子に関する第1の質量スペクトルを求めるステップと、
    検出前に、前記1つ以上の生体高分子をフラグメント化して、フラグメント集合にする条件下において、前記第2のデータセットの生成において用いられる、前記1つ以上の生体高分子に関する第2の質量スペクトルを求めるステップとを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1と第2の質量スペクトルは、同じ質量分析計を用いて連続して求められることと、
    前記質量分析計が、単一段質量分析計であることと、
    前記第2の質量スペクトルは、異なるフラグメント化エネルギーによって得られる2つの異なる質量スペクトルの和から生じるか、または、前記第2の質量スペクトルは、異なるフラグメント化メカニズムによって得られる2つの異なる質量スペクトルの和から生じることと、さらに、
    オプションにより、検出前に、前記1つ以上の生体高分子をフラグメント化して、フラグメント集合にする条件下において、前記第2のデータセットの生成において用いられる、前記1つ以上の生体高分子に関する第3の質量スペクトルを求めるステップとを有し、前記第2及び第3の質量スペクトルは、異なるフラグメント化エネルギーまたは異なるフラグメント化メカニズムを用いて得られることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1及び第2のデータセットにおける質量は、中性質量であることと、
    前記第1及び第2のデータセットにおける質量は、モノアイソトピック質量であることと、
    前記方法は、さらに、前記第1のデータセットからある質量を選択する前記ステップの前に、前記第1のデータセットから前記第2のデータセットにも存在する質量を取り除くステップを有することと、
    さらに、前記第1のデータセットからある質量を選択する前記ステップの前に、前記第2のデータセットから前記第1のデータセットにも存在する質量を取り除くステップを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 前記第2のデータセットの質量と前記選択質量との前記突合せステップは、
    前記選択質量から前記第2のデータセットにおける第1の質量を引いて、質量デルタが得られるようにし、前記第2のデータセットにおいて前記質量デルタと一致する第2の質量を確認し、オプションにより、前記第1または第2の質量が500Da未満の場合、前記第1または第2の質量に対して奏効する式決定を実施するステップ、または、
    前記選択質量から前記第2のデータセットにおける第1の質量を引いて、質量デルタが得られるようにし、オプションにより、前記質量デルタが500Da未満の場合、前記質量データに奏効する式決定を実施し、オプションにより、前記第2のデータセットにおいて前記質量デルタと一致する第2の質量を確認するステップが含まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第2のデータセットの質量と前記選択質量との前記突合せステップは、さらに、
    前記第2のデータセットにおいて、1つ以上の単量体単位の理論上の質量だけ前記第1または第2の質量と異なる質量を確認するステップ、または、
    前記第2のデータセットにおいて、1つ以上の単量体単位の理論上の質量だけ前記第1または第2の質量と異なる質量、及び、生体高分子修飾を確認するステップ、または、
    前記第2のデータセットにおいて、理論上の系列オフセット質量だけ前記第1または第2の質量と異なる質量を確認するステップを有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第2のデータセットにおいて、1つ以上の単量体単位の理論上の質量だけ前記第1または第2の質量と異なる質量を確認する前記ステップは、
    前記第1または第2の質量に1つ以上の単量体単位の理論上の質量の和を加算して、あるいは、前記第1または第2の質量から1つ以上の単量体単位の理論上の質量の和を減算して、合成質量を生成し、前記第2のデータセットにおいて、前記合成質量と一致する第3の質量を確認するステップ、または、
    前記第1または第2の質量から前記第2のデータセット内のある質量を引くことによって、質量デルタを生成し、オプションにより、前記質量デルタが500Da未満の場合、前記質量デルタに対して奏効する式決定を実施するステップを有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 前記第2のデータセットにおいて、1つ以上の単量体単位の理論上の質量だけ前記第1または第2の質量と異なる質量、及び、生体高分子修飾を確認する前記ステップは、
    前記第1または第2の質量から前記第2のデータセット内のある質量を引くことによって、第1の質量デルタを生成するステップと、
    前記第1の質量デルタから生体高分子修飾の理論上の質量を引くことによって、第2の質量デルタを生成するステップと、
    前記第2の質量デルタに対して奏効する式決定を実施するステップとを有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  9. 前記第2のデータセットにおいて、理論上の系列オフセット質量だけ前記第1または第2の質量と異なる質量を確認する前記ステップは、
    前記第1または第2の質量に理論上の系列オフセット質量を加算して、或いは前記第1または第2の質量から理論上の系列オフセット質量を減算して、合成質量を生成するステップと、
    前記第2のデータセットにおいて、前記合成質量と一致する第3の質量を確認するステップとを有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  10. 前記整合する質量を比較して、前記選択質量を備える前記生体高分子の単量体配列を決定するステップは、
    対応するフラグメントの系列タイプに従って、前記整合する質量を分類するステップと、
    ある典型的な系列内における隣接位置のフラグメントに対応する、前記整合する質量対間の質量デルタを計算するステップと、
    前記質量デルタに対して式決定を実施するステップと、
    前記式決定に基づいて、前記質量デルタに関連した単量体を割り当てるステップと、
    前記割り当てに基づいて、前記選択質量を備えた生体高分子に関する単量体配列を決定するステップとを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. さらに、ある典型的な系列内における非隣接位置のフラグメントに対応する、整合する質量対間の質量デルタを計算し、前記質量デルタに対して式決定を実施し、前記式決定に基づいて、前記質量デルタに関連した単量体の組合せを割り当てるステップまたは、
    異なる典型的な系列における隣接位置のフラグメントに対応する、整合する質量対間の質量デルタを計算し、前記質量デルタに対して式決定を実施し、前記式決定に基づいて、前記質量デルタに関連した単量体を割り当てるステップ、または、
    異なる典型的な系列における非隣接位置のフラグメントに対応する、整合する質量対間の質量デルタを計算し、前記質量デルタに対して式決定を実施し、前記式決定に基づいて、前記質量デルタに関連した単量体の組み合わせを割り当てるステップを有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 前記単量体配列は、前記配列内の各位置毎に可能性のある単一の単量体を含むか、
    前記単量体配列は、前記配列内のある位置に可能性のある2つ以上の単量体を含むか、
    前記単量体配列は、前記配列内のある位置に未知の単量体を含むか、あるいは、
    前記単量体配列は、前記配列内のある位置に生体高分子修飾を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  13. 前記選択質量を備える生体高分子がポリペプチドで、前記単量体配列がアミノ酸配列であるか、
    前記選択質量を備える生体高分子がポリヌクレオチドで、前記単量体配列がヌクレオチド配列であるか、あるいは、
    前記選択質量を備える生体高分子が多糖類で、前記単量体配列が糖配列であり、多糖類は線状または分枝状とすることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  14. 前記試料に複数の生体高分子が含まれることと、
    前記第1のデータセットに、前記複数の生体高分子の測定質量が含まれることと、
    前記第2のデータセットに、前記複数の生体高分子のフラグメント集合に関する測定質量が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  15. 1つ以上の生体高分子の測定質量を含む第1のデータセットからある質量を選択するための命令と、
    前記1つ以上の生体高分子のフラグメント集合に関する測定質量を含む第2のデータセット内の質量と前記選択質量を突き合せて整合させる命令であって、前記整合する質量が前記選択質量を備えた前記生体高分子のフラグメントを表わすことと、さらに、
    前記整合する質量を比較して、前記選択質量を備える前記生体高分子に関する単量体配列を決定する命令とを含むことを特徴とする、
    1組の機械に実行可能な命令によって構成されたコンピュータ可読媒体を具備する、1つ以上の生体高分子を含む試料中のある生体高分子を同定するためのコンピュータ・プログラム製品。

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