JP2004279273A - 異物混入検査方法及びこれに用いる異物混入検査装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紫外線又は可視光からなる特定の励起波長の電磁波を検査対象物に照射し、特定の蛍光波長を検出するフィルタを用いて電磁波が照射された検査対象物の特定の蛍光波長を検出する異物混入検査方法であって、特定の励起波長の電磁波と特定の蛍光波長とで確定される第1の蛍光条件により第1の蛍光画像を得て、第1の蛍光条件と対比した場合に特定の励起波長の電磁波と特定の蛍光波長の少なくともどちらか一方を変更することで確定される第2の蛍光条件により第2の蛍光画像を得た後、少なくとも第1の蛍光画像と第2の蛍光画像を合成処理することにより、異物混入有無の判定を行うための信号を生成する。
【選択図】 図1
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば食品内の異物であってX線検査機や金属探知機等で検出不可能な異物を検出するのに適した異物混入検査方法及びこれに用いられる異物混入検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品衛生上の観点や製品品質向上の観点から、例えば食品、化粧品、薬品等の製造過程において製品に混入して製品の品質、商品価値を著しく低下させるプラスチック、毛髪、ゴム等の非金属異物を検出する必要性が高まっている。
【0003】
例えば、食品に混入する異物の検出装置に関して言及すると、今までに主にX線を利用した異物検出機や金属探知機などが開発され利用されてきた。しかし、金属探知機では金属以外の異物を検出することは不可能である。一方、X線異物検出機を用いれば、食品よりも比較的密度の大きい異物であれば金属以外でも検出可能である。しかしながら、プラスチックや毛髪など食品に密度が近い異物に関しては検出が不可能である。しかも、X線異物検出機はかなり高価なシステムであり、これを検査工程ラインに導入するには設備投資に多額のコストを要する問題もある。
【0004】
また、他の解決手段として、透光性のある食品材料に対しては、透過光による画像処理方法などが提案されかつ実際に適用されている事例もあるが、この方法を適用できる対象物は透光性のあることが必要とされるので検査可能な対象物が限られている。
【0005】
このような現状において、異物検査は人による目視検査が主流となっており、その過酷な作業条件の改善や人為的な見落としの防止、判別の困難な異物の検出精度向上等が大きな課題となっていた。
【0006】
一方、上述したX線利用の異物検出機や金属探知機などの大掛かりな検査機を用いず、かつ信頼性の低い目視等による検査を行うことなく、食品内のプラスチックや毛髪など食品に密度の近い異物を検査する方法が知られている。これは、検査対象物の蛍光波長を利用して異物検出を行う方法である(例えば、非特許文献1参照。)。
【0007】
この検査方法の場合、従来開示されている技術の範囲では、検査対象物としての食品が蛍光しやすい特定の励起波長の紫外線を当該食品に照射し、特定の蛍光波長のバンドパスフィルタで検出した単一の画像により、異物の存在を目視判断することが実験的に行なわれている。
【0008】
かかる紫外線を照射して特定の蛍光波長のみを検出する原理に、紫外線照射による欠陥検査装置を開示した技術内容(例えば、特許文献1参照。)を適用して当該原理に基づく異物検査装置を実現することも可能である。
【0009】
【非特許文献1】
食品産業オンラインセンサ技術研究組合編「食品産業とセンサー」光琳出版(第412−415頁、表2−1、図3−3)
【特許文献1】
特開2001−272352号公報(第2−3頁、図1)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば食品の場合、ハムやソーセージ、かまぼこ、ちくわ等に例示されるように異物検査に適した理想的な平面形状を有するものは殆ど無く、通常は凹凸を含む複雑な表面形状を有している。従って、紫外線の照射により食品自体が蛍光する場合、異物が混入されていなくても食品表面の凹凸形状による陰影(グラデュエーション)が現れやすい。一方、食品中に含まれる異物は、必ずしも食品そのものと蛍光特性が大きく異なるものではないため、食品の蛍光状態と異物の蛍光状態に若干の差異しか現れないことが多い。従って、上述の従来例で紹介した単一の蛍光画像から認識され得る異物については、凹凸形状などによる陰影との区別が非常に困難になることが多い。その結果、検査対象物に実際に含まれる異物を見落としたり、逆に異物のない検査対象物を異物混入物として判定してしまう等の問題が発生することが考えられる。
【0010】
本発明の目的は、例えば食品や化粧品、薬品等にプラスチックや毛髪等の検査対象物と密度が近似した異物が含まれる場合の異物混入検査を実現できる異物混入検査方法及びこれに用いる異物混入検査装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
食品と異物の蛍光特性について、特定の条件(条件1とする)においてはその蛍光特性に大きな差異がない場合でも、別の条件(条件2とする)においては同様に蛍光特性に大きな差異がないながらも、前記条件1と条件2とでは差異の現れる特徴(傾向)が異なる。逆に凹凸形状などによる陰影は、元々、検査対象食品の材質の蛍光特性に合致して現れるものなので、前記条件1と条件2において陰影の現れる特徴(傾向)は同じものになる。
【0012】
よってこれに着眼し、励起波長あるいは蛍光波長の少なくともどちらか一方を変更することにより、少なくとも2つ以上の蛍光条件により得られる2つ以上の画像を合成処理し、凹凸形状による陰影と異物による蛍光状態との違いを強調する装置を与える。これにより、前述の従来技術の課題を解決することを、本発明の基本的技術思想とする。
【0013】
そして、上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の異物混入検査方法は、紫外線又は可視光からなる特定の励起波長の電磁波を検査対象物に照射し、特定の蛍光波長を検出するフィルタを用いて電磁波が照射された検査対象物の発する特定の蛍光波長を検出して異物混入の有無を検査する異物混入検査方法であって、特定の励起波長の電磁波と特定の蛍光波長とで確定される第1の蛍光条件により第1の蛍光画像を得る第1のステップと、第1の蛍光条件と対比した場合に特定の励起波長の電磁波と特定の蛍光波長の少なくともどちらか一方を変更することで確定される第2の蛍光条件により第2の蛍光画像を得る第2のステップと、少なくとも第1のステップで得られた第1の蛍光画像と第2のステップで得られた第2の蛍光画像を含む2つ以上の異なる蛍光条件により得られた蛍光画像を合成処理することにより、異物混入有無の判定のために異物の存在領域を識別する画像処理を行う第3のステップを含んでいる。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載の異物混入検査装置は、請求項1に記載の異物混入検査方法を実施するための装置であって、紫外線又は可視光からなる特定の励起波長の電磁波を検査対象物に照射する照射手段と、電磁波が照射された検査対象物が発する特定の蛍光波長を検出するフィルタ手段とを備えた異物混入検査装置であって、特定の励起波長の電磁波と特定の蛍光波長とで確定される第1の蛍光条件により第1の蛍光画像を得ると共に、第1の蛍光条件と対比した場合に特定の励起波長の電磁波と特定の蛍光波長の少なくともどちらか一方が変更されることで確定される第2の蛍光条件により第2の蛍光画像を得て、少なくとも第1の蛍光画像と第2の蛍光画像を含む2つ以上の異なる蛍光条件により得られた2つ以上の蛍光画像を合成処理することにより、異物混入有無の判定のために異物の存在領域を識別する画像処理を行う画像処理手段とを備えている。
【0015】
例えば、食品材料やこれに混入する毛髪、プラスチック等の異物にはそれぞれ構成成分特有の蛍光特性を有している物が多い。これらの検査対象物と当該検査対象物に含まれる異物に関する2つの異なる条件下における特徴的な励起特性や蛍光波長の特性を導き出して、これらの特性を比較処理することで検査対象物に含まれる異物の有無を確実に検出する。即ち、2つの異なる条件下における特徴的な励起特性や蛍光波長の特性を導き出して相互に比較することで、特に単一の条件下では判別し難い互いに密度の近い検査対象物と異物との判別を確実に行う。
【0016】
好ましくは、請求項2に記載の異物混入検査方法のように、請求項1に記載の異物混入検査方法において、合成処理は、第1のステップで得られた第1の蛍光画像と第2のステップで得られた第2の蛍光画像との蛍光強度の比を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の比と予め定められた閾値との比較に基いて異物の存在領域を識別する画像処理から構成されるのが良い。
【0017】
また、請求項8に記載の異物混入検査装置は、請求項2に記載の異物混入検査方法を実施するための装置であって、請求項7に記載の異物混入検査装置において、画像処理手段による合成処理は、第1の蛍光画像と第2の蛍光画像との蛍光強度の比を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の比と予め定められた閾値との比較に基いて異物の存在領域を識別する画像処理から構成されている。
【0018】
異なる条件下における蛍光強度の比を比較しても互いに密度の近い検査対象物中の異物の有無を確認できる。
【0019】
好ましくは、請求項3に記載の異物混入検査方法のように、請求項1に記載の異物混入検査方法において、第3のステップで行う合成処理は、第1のステップで得られた第1の蛍光画像と第2のステップで得られた第2の蛍光画像との蛍光強度の差を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の差と予め定められた閾値との比較に基いて異物の存在領域を識別する画像処理から構成されるのが良い。
【0020】
また、請求項9に記載の異物混入検査装置は、請求項3に記載の異物混入検査方法を実施するための装置であって、請求項7に記載の異物混入検査装置において、画像処理手段による合成処理は、第1の蛍光画像と第2の蛍光画像との蛍光強度の差を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の差と予め定められた閾値との比較に基いて異物の存在領域を識別する画像処理から構成されている。
【0021】
異なる条件下における蛍光強度の差を比較しても検査対象物中の異物の有無を確認できる。
【0022】
好ましくは、請求項4に記載の異物混入検査方法のように、請求項1に記載の異物混入検査方法において、第1のステップにおける第1の蛍光条件と第2のステップにおける第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長が同一で、検出される蛍光波長が異なっているのが良い。
【0023】
また、請求項10に記載の異物混入検査装置は、請求項4に記載の異物混入検査方法を実施するための装置であって、請求項7に記載の異物混入検査装置において、第1の蛍光条件と第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長が同一で、検出される蛍光波長が異なっている。
【0024】
検出される蛍光波長を異なる2つの波長とすることで、互いに密度の近い検査対象物中の異物有無の判断を行い易い2つの異なる条件を簡単に作り出すことができる。
【0025】
好ましくは、請求項5に記載の異物混入検査方法のように、請求項1に記載の異物混入検査方法において、第1のステップにおける第1の蛍光条件と第2のステップにおける第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長が異なり、検出される蛍光波長が同一であるのが良い。
【0026】
また、請求項11に記載の異物混入検査装置は、請求項5に記載の異物混入検査方法を実施するための装置であって、請求項7に記載の異物混入検査装置において、第1の蛍光条件と第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長が異なり、検出される蛍光波長が同一である。
【0027】
紫外線の励起波長を異なる2つの波長とすることで、互いに密度の近い検査対象物中の異物有無の判断を行い易い2つの異なる条件を作り出すことができる。
【0028】
好ましくは、請求項6に記載の異物混入検査方法のように、請求項1に記載の異物混入検査方法において、第1のステップにおける第1の蛍光条件と第2のステップにおける第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長及び検出される蛍光波長がそれぞれ異なるのが良い。
【0029】
また、請求項12に記載の異物混入検査装置は、請求項6に記載の異物混入検査方法を実施するための装置であって、請求項7に記載の異物混入検査装置において、第1の蛍光条件と第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長及び検出される蛍光波長がそれぞれ異なっている。
【0030】
照射される電磁波の励起波長と検出される蛍光波長がそれぞれ異なることで、より異物の検出し易い異なる2つの条件を作り出すことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る異物混入検査方法及びこれに用いる異物混入検査装置について図面に基づいて説明する。なお、本発明の実施形態に係る異物混入検査方法及びこれに用いる検査装置は、ソーセージやかまぼこ等の表面に凹凸のある食品中に含まれる異物であって、例えば毛髪等の当該食品と蛍光特性が近似した異物の有無を検査するのに特に適した検査方法及び検査装置である。
【0032】
本発明の実施形態に係る異物混入検査装置1は、図1に示すように、特定波長の励起用紫外線或いは特定波長の励起用可視光を食品全体(図中ハッチング部)に均一に照射する2つの光源部10,10’と、特定波長の蛍光だけを検出するバンドパスフィルタ21を備えた撮像装置20と、異なる2つの条件下で撮像装置20から得られた2つの画像から異物の存在領域を識別する画像処理を行なう画像処理装置(合成処理手段)30とを備えている。なお、光源部10と撮像装置20とは、周囲の光を遮断する暗箱(図示せず)に収容されるようになっている。
【0033】
光源部10,10’は、本実施形態の場合、Xe(キセノン)ランプ11,11’とバンドパスフィルタ12,12’とをそれぞれ有している。なお、特定波長の励起用紫外線又は励起用可視光からなる電磁波を照射するのに適したものであれば、これに代わって光源として使用することができる。即ち、例えばハロゲンランプや重水素ランプとバンドパスフィルタやモノクロメータとを組み合わせたものを光源として使用することもできる。また、例えば特定の励起波長(単一波長)で発光するレーザーやダイオードを光源に使用しても良い。また、単一の光源で食品全体に励起光を均一に照射できるのであれば、本実施形態のように光源を2つ設ける必要はない。
【0034】
また、撮像装置20は、特定波長の蛍光だけを検出するバンドパスフィルタ21を備えたラインセンサ又はエリアセンサ、エリアカメラからなり、数種類のフィルタを利用できる機構を備えた物も含まれる。なお、検査対象物である食品や異物からの蛍光が微弱な場合は、撮像装置として冷却型CCDカメラやイメージインテンシファイヤを備えた高感度な検出器を使用し、暗箱により外乱光を除去した環境に本検査装置を設置して本実施形態にかかる異物含有検査方法を実施するのが好ましい。
【0035】
そして、異物混入検査装置1は、光源部10の照射する電磁波を異なる2つ以上の励起波長の電磁波とするか、撮像装置20によって検出する蛍光波長を異なる2つ以上の波長で検出することで、もしくは、電磁波と蛍光波長を異なる波長のものにするかで、少なくとも2つの異なる条件下で検査対象物である食品の蛍光特性を検出するようになっている。
【0036】
また、画像処理装置30は、この検出された少なくとも異なる2つの条件下で得られた複数の検出結果を合成処理(画像処理)し、検査対象物内の異物の存在領域を識別する機能を有しており、内部にCPU、メモリ、入出力インターフェース(I/F)回路を備えている。また、画像処理装置にはモニタ40が接続され、撮像装置20による蛍光画像や画像処理装置20によって画像処理された異物検出用の二次的画像が写し出されるようになっている。
【0037】
なお、本実施形態においては、説明及び理解の容易化のためにかかる異物混入検査装置1を用いて2つの異なる条件で検査対象物である食品の蛍光特性を検出し、この検出された2つの検出結果を合成処理(画像処理)し、検査対象物内の異物の有無を検出する場合について説明する。
【0038】
また、本実施形態においては検査対象物を例えばハムやソーセージ、かまぼこ、ちくわ等の表面に凹凸のある食品とし、異物を毛髪やプラスチック、または食品を包装するセルロース等として説明する。
【0039】
以下、食品と異物の蛍光特性を検出するに当たって、上述した2つの異なる条件を作り出す具体的内容について説明する。この2つの異なる条件は以下の方法に従って実現することができる。
【0040】
2つの異なる条件のうち、第1の条件は、特定の励起波長の紫外線を照射する光源(照射手段)と、特定の蛍光波長を検出する撮像装置(フィルタ手段)を用い、特定の励起波長と蛍光波長とで確定され、この第1の蛍光条件により第1の蛍光画像を得るようになっている。また、第1の蛍光条件と対比した場合に励起波長あるいは蛍光波長の少なくともどちらか一方が変更されることで確定される第2の蛍光条件により第2の蛍光画像を得ることができる。そして、第1の蛍光画像と第2の蛍光画像を合成処理することにより異物のみを識別するようになっている。
【0041】
この検査方法を実施するに当たって、図2に示すように、条件パターン▲1▼として、紫外線照射側の当該照射される紫外線の波長を変えて異なる2つの条件をつくる方式、即ち、第1の蛍光条件と第2の蛍光条件は、照射される紫外線の励起波長が同一で、検出される蛍光波長が異なるという方式が考えられる。
【0042】
また、条件パターン▲2▼として、検出する蛍光波長をバンドパスフィルタを用いて異なる2つの蛍光波長で検査する方式、即ち、第1の蛍光条件と第2の蛍光条件は、照射される紫外線の励起波長が異なり、検出される蛍光波長が同一であるという方式が考えられる。
【0043】
また、条件パターン▲3▼として、照射される紫外線の励起波長が異なりかつ検出される蛍光波長も異なる方式が考えられる。
【0044】
また、これら異なる2つの条件で得られた蛍光画像の合成処理の仕方にも幾つかの組み合わせが考えられる。まず、第1の合成処理方法としては、得られた2つの異なる検出結果を互いに比で合成処理するか差で合成処理するかの2通りの方式がある。
【0045】
即ち、一方の方式は、2つの異なる条件下で検出された第1の蛍光画像と第2の蛍光画像との蛍光強度の比を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の比と予め定められた閾値との比較に基づいて異物の存在領域を識別する画像処理方式である。
【0046】
続いて、考えられる方式は、2つの異なる条件下で検出された第1の蛍光画像と第2の蛍光画像との蛍光強度の差を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の差と予め定められた閾値との比較に基づいて異物の存在領域を識別する画像処理方式である。
【0047】
続いて、第2の合成処理の方法としては、2つの検査結果の蛍光特性のピークを用いて合成処理するか傾斜部を用いて合成処理するかの2通りの方式がある。
【0048】
このように、従来例のように単一の条件下で蛍光特性を得ないで、異なる2つ以上の条件(本実施形態では異なる2つの条件)での蛍光画像を得てこれを合成処理することで異物の存在領域を識別できる理由は以下の通りである。
【0049】
食品と異物の蛍光特性については互いに蛍光特性が近似しているため、特定の条件(条件1とする)において比較するとその蛍光特性に大きな差異がなく、また、別の特定の条件(条件2とする)においても同様に蛍光特性に大きな差異が生じない。しかしながら、食品と異物とでは条件1と条件2とで差異の現れる特徴(傾向)が異なる。逆に食品表面の凹凸形状などによる陰影(グラデュエーション)は、元々、検査対象物である食品の材質の蛍光特性に合致して現れるものなので、上述した条件1と条件2において陰影の現れる特徴(傾向)は同じものになる。
【0050】
従って、励起波長又は蛍光波長の少なくともどちらか一方を変更することにより少なくとも2つ以上の蛍光条件を実現し、この異なる蛍光条件下で得られた2つ以上の画像を画像処理(合成処理)することで、食品表面の凹凸形状による陰影を相殺して異物による蛍光画像のみを識別することができるようになる。
【0051】
続いて、本実施形態において考えられる互いに異なった2つの条件の組み合わせについてより具体的に説明する。
【0052】
上述した条件パターン▲1▼の場合、即ち照射する電磁波の波長は同一で検出する蛍光波長を異なる2つの波長とする場合であるが、本実施形態の場合、具体的には照射する電磁波の波長を360nm(ナノメートル)とし、撮像装置のフィルタの蛍光波長を450nmと550nmの2通りとする。
【0053】
また、条件パターン▲2▼の場合、即ち照射する電磁波の波長を異なる2つの波長とし、検出する蛍光波長は同一とする場合であるが、本実施形態の場合、具体的には検出する蛍光波長を500nmとし、照射する紫外線の波長を330nmと360nmの2通りとする。
【0054】
また、条件パターン▲3▼の場合、即ち照射する電磁波の波長及び検出する蛍光波長をそれぞれ異なる波長とする場合であるが、本実施形態の場合、具体的には照射する紫外線の波長を330nmであって検出する蛍光波長を500nmとした場合と、照射する紫外線の波長を360nmであって検出する蛍光波長を560nmとした場合の2通りとする。
【0055】
また、これらの条件パターンのそれぞれにおいて、異なる幾つかの画像処理(合成処理)のうちの何れかの処理を選択的に行う。具体的には、上述したように異なる2つの条件下で得られた画像の蛍光強度をどのように比較するかの比較方法に関して、蛍光強度の比をとって比較処理する方法と蛍光強度の差をとって比較処理する方法の2つの処理方法を選択する。
【0056】
また、以上の蛍光強度の比をとるか差をとるかに際して、その前提条件となる蛍光強度のとり方を選択する。具体的には、蛍光強度を異なる2つの条件下で得られた蛍光画像の各画素の蛍光特性におけるピーク値を用いる場合と各画素の蛍光特性の傾斜を利用する場合の2つのやり方を選択する。
【0057】
従って、本実施形態の場合、異なるパターン条件として、図2に示すように合計3通りのパターンが考えられ、各パターンにおいて蛍光強度の比をとる場合と差をとる場合の2通り、及び蛍光強度の絶対値として蛍光特性におけるピーク値を利用する場合と傾斜を利用する場合の2通りが考えられ、合計12通りの画像処理(合成処理)が考えられる。
【0058】
続いて、この12通りの画像処理(合成処理)のうち、4通りの画像処理(合成処理)を実施例A〜実施例Dとして例示的に列挙し、各実施例について考えられ得る蛍光特性を例示しながら、本発明の優位性を説明する。
【0059】
なお、各実施例の前提条件として、上述したように検査対象物を食品とし、異物をセルロースや毛髪等の食品と蛍光特性の近似したものとする。そして、特定波長域の紫外線を食品全体に照射する。光源には、実施例で選択された特定波長の紫外線を照射できるものであれば、本実施形態の当初で説明したように、ハロゲンランプやキセノンランプ、重水素ランプ等とバンドパスフィルタ又はモノクロメータ等との組み合わせのうち、任意の組み合わせを選択する。また、光源として励起波長で発光するレーザーやLEDを使用しても良い。
【0060】
そして、この食品の画像を本実施形態の当初で説明したようにCCDカメラ又はラインセンサ撮像装置で検出することにより蛍光画像を取得する。なお、これらの撮像装置は、特定波長域の蛍光のみを画像として取り込むため、バンドパスフィルタとの組み合わせにより受光波長を限定するようになっている。続いて、各実施例について説明する。
(実施例A)
実施例Aは、図3及び図4に示すように、励起波長360nmに限定した半値幅5nm程度の励起光を食品に照射し、450nm及び550nmにピークを持つ蛍光を、半値幅20nm程度のバンドパスフィルタと撮像装置との組み合わせにより、それぞれの蛍光画像として取得している。なお、図3は、明部における特定画素での食品と異物の蛍光特性を表したもので、図4は暗部における特定画素での食品と異物の蛍光特性を表したものである。そして、得られた2つの画像間で対応する画素ごとに蛍光波長のピーク値を求めてこれを蛍光強度とし、それぞれの蛍光強度の比を演算し、閾値により異物の領域を識別する画像処理を実施する。
【0061】
本実施例の場合、蛍光波長450nmにおいて明部(図3参照)における食品の蛍光強度(2400)と暗部(図4参照)における異物の蛍光強度(2400)がそれぞれの紫外線の励起波長でほぼ一致しているので、単一の蛍光画像を得るだけではその画像からは当該画素の部分が食品表面の凹凸であるか異物であるかの区別がつかない。
【0062】
しかしながら、明部の異物におけるλx(450nm)の蛍光強度(ピーク値)とλy(550nm)の蛍光強度(ピーク値)との比をとると、以下のようになる。
・λx(450nm)/λy(550nm)=4800/2400=2.0(異物)
また、明部の食品におけるλx(450nm)の蛍光強度(ピーク値)とλy(550nm)の蛍光強度(ピーク値)との比をとると、以下のようになる。
・λx(450nm)/λy(550nm)=2400/2000=1.2(食品)
一方、暗部の異物におけるλx(450nm)の蛍光強度(ピーク値)とλy(550nm)の蛍光強度(ピーク値)との比をとると、以下のようになる。
・λx(450nm)/λy(550nm)=2400/1200=2.0(異物)
また、暗部の食品におけるλx(450nm)の蛍光強度(ピーク値)とλy(550nm)の蛍光強度(ピーク値)との比をとると、以下のようになる。
・λx(450nm)/λy(550nm)=1200/1000=1.2(食品)
従って、閾値を中間値の1.6として比が1.6を超えたところの画素を異物領域と判断し、例えば輝度を大きくするなどして合成画像上識別し、比が1.6を超えないところの画素は食品領域と判断し、例えば輝度を小さくするなどして合成画像上背景色と同等として目立たなくする。このような画像処理(合成処理)を各画素について行い、全ての画素について画像処理(合成処理)を行い、新たな(二次的な)合成画像を生成する。かかる合成画像は、紫外線照射領域中において異物の存在領域のみ識別された画像となっており、検査員が食品中の異物混入の有無を一目で判断することができる。
【0063】
一方、検査員が目視する代わりに異物の有無を画像処理により自動検出しアラームを発報すると共に異物選別装置へ異物検知信号を送信し、プッシャー等の適当な異物除去アクチュエータを用いて異物を自動的に除去しても良い。これは、例えばCPU内において異物と判断された画素の集合からなる領域が一定の面積(閾値)を超えることで異物有りと判断することで容易に実現できる。
(実施例B)
続いて、実施例Bについて説明する。実施例Bは、図5に示すように、食品の場合、一方の蛍光波長λx(例えば450nm)における蛍光強度の方が他方の蛍光波長λy(例えば550nm)における蛍光強度よりも大きく、異物の場合、一方の蛍光波長λxにおける蛍光強度の方が他方の蛍光波長λyにおける蛍光強度より小さい場合について適用される。
【0064】
即ち、実施例Bは、励起波長360nmに限定した半値幅5nm程度の励起光を食品に照射し、450nm及び550nmにピークを持つ蛍光を、半値幅20nm程度のバンドパスフィルタと撮像装置との組み合わせにより、それぞれの蛍光画像を取得する。得られた2つの画像間で対応する画素ごとに蛍光波長のピーク値を求めてこれを蛍光強度とし、それぞれの蛍光強度の差を演算し、閾値により異物の領域を識別する画像処理を実施する。
【0065】
その結果、食品におけるλx(450nm)の蛍光強度(ピーク値)とλy(550nm)の蛍光強度(ピーク値)との差をとると、以下のようになる。
・λx(450nm)−λy(550nm)=10000−6000=4000(食品)
また、異物におけるλx(450nm)の蛍光強度(ピーク値)とλy(550nm)の蛍光強度(ピーク値)との差をとると、以下のようになる。
・λx(450nm)−λy(550nm)=6000−7000=−1000(異物)
従って、閾値を0として差が0より小さいところの画素を異物領域と判断し、例えば輝度を大きくするなどして合成画像上識別し、差が0より小さくないところの画素は食品領域と判断し、例えば輝度を小さくするなどして合成画像上背景色と同等として目立たなくする。このような画像処理(合成処理)を各画素について行い、全ての画素について画像処理(合成処理)を行い、実施例Aと同様に新たな(二次的な)合成画像を生成する。かかる合成画像は、実施例Aと同様に紫外線照射領域中において異物の存在領域のみ強調された画像となり、検査員が食品中の異物混入の有無を一目で判断することができる。
(実施例C)
続いて、実施例Cについて説明する。実施例Cは、図6に示すように、検出する蛍光波長が単一で紫外線による励起波長を任意の2波長で励起することにより2種類の蛍光画像を得ている。即ち、光源と任意の2つの励起波長を透過する半値幅5nm程度のバンドパスフィルタを組み合わせ、それぞれの励起波長を順次食品に照射し、半値幅20nm程度の蛍光に合わせたバンドパスフィルタと撮像装置との組み合わせにより、2種類の励起波長による蛍光画像を得ている。そして、これらの蛍光画像の対応する画素間でそれぞれの蛍光強度の比を演算し、閾値により異物の領域を識別する画像処理を行っている。
【0066】
具体的には、蛍光波長を500nmに限定し、半値幅5nm程度の330nmと360nmをピークとするバンドパスフィルタと光源との組み合わせによりかかる励起波長の紫外線を個別に食品に照射し、それぞれについて500nmにピークを持つ蛍光画像を取得する。そして、得られた画像間で、対応する画素毎においてそれぞれの蛍光強度の比を演算する。
【0067】
ここで図6に示す蛍光特性において、食品の場合、励起波長λa(330nm)の蛍光強度(ピーク値)と励起波長λb(360nm)の蛍光強度(ピーク値)との比をとると、以下のようになる。
・λa(330nm)/λb(360nm)=5000/2500=2.0(食品)
また、異物の場合、励起波長λa(330nm)の蛍光強度(ピーク値)と励起波長λb(360nm)の蛍光強度(ピーク値)との比をとると、以下のようになる。
・λa(330nm)/λb(360nm)=2500/2000=1.25(異物)
従って、閾値を1.5として比が1.5より小さいところの画素を異物領域と判断し、例えば輝度を大きくするなどして合成画像上強調し、比が1.5より小さくないところの画素は食品領域と判断し、例えば輝度を小さくするなどして合成画像上背景色と同等として目立たなくする。このような画像処理(合成処理)を各画素について行い、全ての画素について画像処理(合成処理)を行い、実施例A、実施例Bと同様に新たな(二次的な)合成画像を生成する。かかる合成画像は、実施例A、実施例Bと同様に紫外線照射領域中において異物の存在領域のみ強調された画像となっており、検査員が食品中の異物混入の有無を一目で判断することができる。
(実施例D)
続いて、実施例Dについて説明する。実施例Dは、図7に示すように、実施例Cにおいて、第2の励起波長λb(360nm)による蛍光波長を第1の励起波長λa(330nm)における蛍光波長(500nm)と異なった第2の蛍光波長(560nm)として異なる2つの条件を作り出し、それぞれの条件下で得られた蛍光画像の蛍光強度のピーク値の差を対応する画素ごとに求めて画像処理を行っている。
【0068】
具体的には、図7に示すように、励起波長λa(330nm)では、λx(500nm)の蛍光波長に限定した蛍光画像を得て、励起波長λb(360nm)ではλy(560nm)の蛍光波長に限定した蛍光画像を得る。そして、それぞれ得られた画像間で対応する画素の蛍光強度の差を求めて閾値と比較して、画像処理(合成処理)を行う。
【0069】
図7に示す蛍光特性において、食品の場合、励起波長λa(330nm)においてλx(500nm)の蛍光波長に限定した蛍光画像の蛍光強度(ピーク値)と励起波長λb(360nm)においてλy(560nm)の蛍光波長に限定した蛍光画像の蛍光強度の差をとると、以下のようになる。
・λa(330nm)−λb(360nm)=10000−4000=6000(食品)
また、異物の場合、励起波長λa(330nm)においてλx(500nm)の蛍光波長に限定した蛍光画像の蛍光強度(ピーク値)と励起波長λb(360nm)においてλy(560nm)の蛍光波長に限定した蛍光画像の蛍光強度の差をとると、以下のようになる。
・λa(330nm)−λb(360nm)=5000−6000=−1000(異物)
従って、閾値を0として差が0より小さいところの画素を異物領域と判断し、例えば輝度を大きくするなどして合成画像上強調し、差が0より小さくないところの画素は食品領域と判断し、例えば輝度を小さくするなどして合成画像上背景色と同等として目立たなくする。このような画像処理(合成処理)を各画素について行い、全ての画素について画像処理(合成処理)を行い、実施例A〜実施例Cと同様に新たな(二次的な)合成画像を生成する。かかる合成画像は、実施例A〜実施例Cと同様に紫外線照射領域中において異物の存在領域のみ強調された画像となっており、検査員が食品中の異物混入の有無を一目で判断することができる。
【0070】
以上、例示的に説明した実施例から分かるように、異なる適当な蛍光条件を適宜選択し、この異なる条件下において得られた蛍光画像の対応する画素同士を合成することで、以下のような食品中の異物検出に関する様々なアプリケーションに対応することが可能となる。
【0071】
具体的には、例えば食品にプラスチックや毛髪などの異物が含まれる場合のように、検査対象物と異物との密度が近いような場合における異物混入検査を低コストで実現できる。特に、食品表面における凹凸形状などによる陰影と食品中に含まれる異物による蛍光状態を区別しやすい。
【0072】
また、殆どの波長領域で蛍光が微弱である毛髪やその他の異物に関しては、本実施形態に係る検査方法を用いることで食品の蛍光に関与しない無駄な光の反射光によるコントラストの低減を避けて確実な異物検出を行うことができる。
【0073】
また、海苔や海草類などの色の濃い食品と毛髪とは、特に外観色彩上も近似しており、まぎらわしいが、本検査方法を用いることで確実な異物検出を行うことができる。
【0074】
また、食品の表面に透明な異物が密着しているような場合には、食品の蛍光も異物の蛍光に混在するため、本実施形態における異物含有検査方法が有効となる。特に、ソーセージやハムなどの製造工程中に使われるビニール包装材の混入を検出するのに適する。
【0075】
なお、上述した実施形態及びこれに関する幾つかの実施例においては、照射する励起光のための電磁波を紫外線として紹介した。しかしながら、検査対象物と異物に対して検査上好ましい蛍光特性を生じさせるものであれば、特定波長の可視光を選択的に照射しても良いことは言うまでもない。
【0076】
また、蛍光強度として、特定された蛍光波長におけるピーク値を用いたが、必ずしもこれに限定されず、特定された蛍光波長における蛍光特性の傾き度を蛍光強度として用いても良い。
【0077】
なお、上述した実施形態においては、照射する励起波長と検出する蛍光波長の少なくとも何れかを変えて異なる2つの条件を作り出し、この2つの条件下で得られる蛍光画像を合成処理(画像処理)していたが、必ずしも条件は2つに限定されず、異なる3つ以上の条件下においてそれぞれ得られた蛍光画像を合成処理(画像処理)しても良い。
【0078】
従って、異物が2種類以上含まれている可能性のある場合は、異なる3つの条件下での蛍光画像を得て、各異物を識別し易い条件の組み合わせで合成処理(画像処理)を行い、多種類の異物を確実に検出するようにしても良い。
【0079】
以下、異なる3つの条件下での蛍光画像を得て二種類の異物を検出する方法を本実施形態の変形例(実施例E)として説明する。
(実施例E)
実施例Eは、図8に示すように励起波長λex=360nmの紫外線を利用して、食品に異物A、異物Bが混入されているか否かの識別を異物の種類判断と共に行う実施例である。
【0080】
異物混入検査に当たっては、異物Aの検知条件として蛍光波長λ=420nmと蛍光波長λ=500nmとで特定される一組の条件を用いて異物検査を行う。また、異物Bの検知条件として蛍光波長λ=500nmと蛍光波長λ=550nmとで特定される別の一組の条件を用いて異物検査を行う。
【0081】
これらの異なる3つの条件下で得られた蛍光画像から各蛍光波長における異物A、異物B、食品の蛍光強度をピーク値で求める。その求めた結果を図9に示す。同図の結果から蛍光波長λ=420nmと蛍光波長λ=500nmとで特定される条件下での異物A、異物B、食品についての蛍光強度の差1を求めると、以下のようになる。
・λ(420nm)−λ(500nm)=8000−6000=2000(異物A)
・λ(420nm)−λ(500nm)=2000−4000=−2000(異物B)
・λ(420nm)−λ(500nm)=2000−5000=−3000(食品)
一方、蛍光波長λ=550nmと蛍光波長λ=500nmとで特定される条件下での異物A、異物B、食品についての蛍光強度の差2を求めると、以下のようになる。
・λ(550nm)−λ(500nm)=6000−6000=0(異物A)
・λ(550nm)−λ(500nm)=6000−4000=2000(異物B)
・λ(550nm)−λ(500nm)=5000−5000=0(食品)
以上から閾値を0(ゼロ)とすると、蛍光強度の差1(λ(420nm)−λ(500nm))がゼロより大きく、かつ蛍光強度の差2(λ(550nm)−λ(500nm))がゼロと等しいか小さい場合は異物Aと判断し、合成した画像のうちこの画素を例えば異物Aに対応する色彩で表示する。
【0082】
一方、蛍光強度の差1(λ(420nm)−λ(500nm))がゼロと等しいか小さくかつ蛍光強度の差2(λ(550nm)−λ(500nm))がゼロより大きい場合は異物Bと判断し、合成した画像のうちこの画素を例えば異物Bに対応する色彩で表示する。
【0083】
また、蛍光強度の差1(λ(420nm)−λ(500nm))がゼロと等しいか小さく、かつ蛍光強度の差2(λ(550nm)−λ(500nm))がゼロと等しいか小さい場合は食品と判断し、合成した画像のうちこの画素を例えば背景色と同一の色彩で表示する。
【0084】
蛍光強度の差1のみでは、異物Bと食品の識別ができず、蛍光強度の差2のみでは異物Aと食品の識別ができないが、以上のようにして3つの異なる条件を合成処理(画像処理)することで食品、異物A、異物Bをそれぞれ識別することが可能となり、異物混入検査の効率を一層高めることができる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる異物混入検査方法及び異物混入検査装置は、例えば検査対象物表面の凹凸形状などによる陰影と、検査対象物に含まれる異物との蛍光状態を区別し易くする。これにより、検査対象の異物を見落したり、逆に異物のない検査対象物を異物混入物として判定してしまうなどの問題を解決できる。
【0086】
具体的には、例えば食品やこれに混入する毛髪、プラスチック等の異物にはそれぞれ構成成分特有の蛍光特性を有している物が多い。これらの検査対象物と当該検査対象物に含まれる異物に2つの異なる条件下における特徴的な励起特性や蛍光波長の特性を導き出して、これらの特性を比較処理することで検査対象物に含まれる異物の有無を確実に検出することができる。即ち、2つの異なる条件下における特徴的な励起特性や蛍光波長の特性を導き出して相互に比較することで、特に単一の条件下では判別し難い凹凸などによる照射光のムラによる影響下での対象物と異物との判別を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる異物混入検査方法に使用する異物混入検査装置の概略構成図である。
【図2】図1における異物混入検査装置において作り出すことのできる2つの異なる検出条件の組み合わせを記載した一覧である。
【図3】図2において蛍光画像の明部で蛍光波長を変えて得られた結果のピーク値の比を比較する場合(実施例A)の説明図である。
【図4】図2において蛍光画像の暗部で蛍光波長を変えて得られた結果のピーク値の比を比較する場合(実施例A)の説明図である。
【図5】図2において蛍光波長を変えて得られた結果のピーク値の差を比較する場合(実施例B)の説明図である。
【図6】図2において照射する電磁波の波長を変えて得られた結果のピーク値の比を比較する場合(実施例C)の説明図である。
【図7】図2において照射する電磁波の波長と蛍光波長をそれぞれ変えて得られた結果のピーク値の差を比較する場合(実施例D)の説明図である。
【図8】異なる3つの条件下で蛍光画像を得てこれを合成処理する場合(実施例E)の蛍光特性図である。
【図9】図8における各条件下における蛍光強度を示した一覧である。
【符号の説明】
1 異物混入検査装置
10,10’ 光源部
11,11’ Xeランプ
12,12’ バンドパスフィルタ
20 撮像装置
21 バンドパスフィルタ
30 画像処理装置
40 モニタ
Claims (12)
- 紫外線又は可視光からなる特定の励起波長の電磁波を検査対象物に照射し、
特定の蛍光波長を検出するフィルタを用いて前記電磁波が照射された検査対象物の発する特定の蛍光波長を検出して異物混入の有無を検査する異物混入検査方法であって、
前記特定の励起波長の電磁波と前記特定の蛍光波長とで確定される第1の蛍光条件により第1の蛍光画像を得る第1のステップと、
前記第1の蛍光条件と対比した場合に前記特定の励起波長の電磁波と前記特定の蛍光波長の少なくともどちらか一方を変更することで確定される第2の蛍光条件により第2の蛍光画像を得る第2のステップと、
少なくとも前記第1のステップで得られた第1の蛍光画像と前記第2のステップで得られた第2の蛍光画像を含む2つ以上の異なる蛍光条件により得られた蛍光画像を合成処理することにより、異物混入有無の判定のために異物の存在領域を識別する画像処理を行う第3のステップを含むことを特徴とする異物混入検査方法。 - 前記合成処理は、前記第1のステップで得られた第1の蛍光画像と前記第2のステップで得られた第2の蛍光画像との蛍光強度の比を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の比と予め定められた閾値との比較に基づいて異物の存在領域を識別する画像処理から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の異物混入検査方法。
- 前記第3のステップで行う合成処理は、前記第1のステップで得られた第1の蛍光画像と前記第2のステップで得られた第2の蛍光画像との蛍光強度の差を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の差と予め定められた閾値との比較に基づいて異物の存在領域を識別する画像処理から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の異物混入検査方法。
- 前記第1のステップにおける第1の蛍光条件と前記第2のステップにおける第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長が同一で、検出される蛍光波長が異なっていることを特徴とする、請求項1に記載の異物混入検査方法。
- 前記第1のステップにおける第1の蛍光条件と前記第2のステップにおける第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長が異なり、検出される蛍光波長が同一であることを特徴とする、請求項1に記載の異物混入検査方法。
- 前記第1のステップにおける第1の蛍光条件と前記第2のステップにおける第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長及び検出される蛍光波長がそれぞれ異なっていることを特徴とする、請求項1に記載の異物混入検査方法。
- 紫外線又は可視光からなる特定の励起波長の電磁波を検査対象物に照射する照射手段と、
前記電磁波が照射された検査対象物が発する特定の蛍光波長を検出するフィルタ手段とを備えた異物混入検査装置であって、
前記特定の励起波長の電磁波と前記特定の蛍光波長とで確定される第1の蛍光条件により第1の蛍光画像を得ると共に、前記第1の蛍光条件と対比した場合に特定の励起波長の電磁波と特定の蛍光波長の少なくともどちらか一方が変更されることで確定される第2の蛍光条件により第2の蛍光画像を得て、少なくとも前記第1の蛍光画像と前記第2の蛍光画像を含む2つ以上の異なる蛍光条件により得られた2つ以上の蛍光画像を合成処理することにより、異物混入有無の判定のために異物の存在領域を識別する画像処理を行う画像処理手段を備えたことを特徴とする異物混入検査装置。 - 前記画像処理手段による合成処理は、前記第1の蛍光画像と前記第2の蛍光画像との蛍光強度の比を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の比と予め定められた閾値との比較に基づいて異物の存在領域を識別する画像処理から構成されることを特徴とする、請求項7に記載の異物混入検査装置。
- 前記画像処理手段による合成処理は、前記第1の蛍光画像と前記第2の蛍光画像との蛍光強度の差を各画像の対応する画素ごとに演算し、当該蛍光強度の差と予め定められた閾値との比較に基づいて異物の存在領域を識別する画像処理から構成されることを特徴とする、請求項7に記載の異物混入検査装置。
- 前記第1の蛍光条件と前記第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長が同一で、検出される蛍光波長が異なることを特徴とする、請求項7に記載の異物混入検査装置。
- 前記第1の蛍光条件と前記第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長が異なり、検出される蛍光波長が同一であることを特徴とする、請求項7に記載の異物混入検査装置。
- 前記第1の蛍光条件と前記第2の蛍光条件とは、照射される電磁波の励起波長及び検出される蛍光波長がそれぞれ異なっていることを特徴とする、請求項7に記載の異物混入検査装置。
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