JP2006177916A - 精米の2次元検査方法 - Google Patents
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【課題】従来の精米の品質検査は、抜き取り検査や、破壊検査であり、検査の簡便さ迅速さ、非破壊性という点で問題があった。本発明では、精米の発する蛍光画像を使い迅速、簡便かつ非破壊で精米の2次元均質性検査を行う検査方法を提供する。
【解決手段】精米に紫外線を照射した際に精米から発する可視光の蛍光をCCD力メラで画像化し、蛍光の二次元強度分布により精米の均質性を検査することで、紫外線を短時間照射するだけで精米を破壊することなく迅速、簡便に均質性を検査することができる。特に、検査する精米が単一品種、単一産地のものであるか、種々の精米が混合されたブレンド米であるかの識別が迅速に行える。また、蛍光画像の輝度分布の定量化によって、ブレンド割合の定量化が可能である。さらに、精米の他、炊飯米、小麦、大麦、とうもろこし、ひえ、あわ、ピーナッツなどの多くの穀物や、でんぷん製品の均質性検査に広く適用可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】精米に紫外線を照射した際に精米から発する可視光の蛍光をCCD力メラで画像化し、蛍光の二次元強度分布により精米の均質性を検査することで、紫外線を短時間照射するだけで精米を破壊することなく迅速、簡便に均質性を検査することができる。特に、検査する精米が単一品種、単一産地のものであるか、種々の精米が混合されたブレンド米であるかの識別が迅速に行える。また、蛍光画像の輝度分布の定量化によって、ブレンド割合の定量化が可能である。さらに、精米の他、炊飯米、小麦、大麦、とうもろこし、ひえ、あわ、ピーナッツなどの多くの穀物や、でんぷん製品の均質性検査に広く適用可能である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、紫外線の照射によって精米から発生する可視光線の蛍光を画像化し、蛍光強度の2次元分布を測定することによって精米の均質性や異物の混入を簡便、迅速かつ非破壊で検査する2次元検査方法に関するものである。
従来、精米の品質は、主に精米容器に表示された産地、品種の情報によって判断していた。また、検査が目視で行われていたため、他品種の精米の混入や異物の混入の定量的で正確な判定は困難であった。
DNA分析による品種の特定や、炊飯した精米の粘度測定や、試食による抜き取り検査も行われていたが、いずれも破壊検査であり、検査に煩雑な操作と長い時間を要していた。光を使った精米の検査方法としては、精米の赤外線吸収を測定する方法があるが、赤外線吸収による方法では、精米の水分含有率の測定が可能であるが、精米の品質の均一性の検査は不可能であった。
玄米については、紫外線照射により発生する赤色発光の強度を測定する検査法があるが、該当の赤色発光は玄米のみに観測されるものであり、精米の品質検査には適用できなかった。
光ファイバを用いた精米の品質検査方法もあるが、光ファイバは細いため微小領域の検査には適しているが、検査できる範囲が狭く、複数の異なる品質の精米を混合した製品全体の均質性の検査は困難であり、単一品種、単一産地の製品か、混合したブレンド品かの判定は不可能であった。
以上述べたように、これまで行われていた精米の品質検査は、抜き取り検査や、破壊検査であり、検査の簡便さ迅速さ、非破壊性という点で問題があった。また、多種類の精米を混合したブレンド米の品質検査に適用できる迅速かつ簡便な検査方法はなかった。
本発明は、これまで有効な検査方法がなかった精米の均質性の検査方法として、CCDカメラを使って撮影した精米の蛍光画像による、簡便かつ非破壊な2次元検査方法を提供するものである。
本発明では、励起光源から紫外線を精米に照射する。紫外線の照射によって精米から発する可視光の蛍光を波長選択フィルタで波長を選択し、CCDカメラで2次元の蛍光画像を撮影する。撮影した画像の蛍光強度の2次元分布から精米の均質性を検査する。精米の蛍光強度は、品種、産地、品質によって大きく異なる。従って、蛍光強度の不均一な精米は、多品種、多産地米がブレンドされたものか、あるいは、品質に大きなばらつきのある製品であることがわかる。また、精米中に混入した異物は、蛍光を発しないか、蛍光を発したとしても、その発光波長、発光強度が、精米の蛍光と大きく異なるため、蛍光を用いて精米中の異物混入の有無を検査することができる。このため、本発明の検査方法では、当該精米の均質性を迅速、簡便かつ非破壊で検査することが可能である。
さらに、精米容器にあらかじめ透明部分を設けることにより、2次元検査装置を精米容器に密着させ、励起光源から紫外線を容器内の精米に照射し、蛍光の2次元画像を撮影できる。この方法によれば、精米を容器から取り出すことなしに、当該精米の均質性を迅速、簡便かつ非破壊で検査することが可能である。
本発明による品質検査方法は、精米に紫外線を照射し、精米から発する蛍光を撮影するだけで当該精米を破壊することなく均質性の検査を行うことができる。ここで述べた精米の検査と同様に、精米を炊飯した炊飯米や小麦粉、とうもろこし粉(コーンスターチ)、ひえ、あわ、大麦、ピーナッツなどの他の穀物、でんぷん製品についても紫外線照射による可視光の蛍光画像が撮影可能である。従って、本発明の2次元検査方法は、精米の他、精米を炊飯した炊飯米や小麦粉、とうもろこし粉(コーンスターチ)、ひえ、あわ、大麦、ピーナッツなどの他の多くの穀物類、でんぷん製品の均質性の検査に広く適用できる。
本発明では、これまで迅速かつ非破壊で簡便な検査方法がなかった精米の効果的な検査方法を提供することができた。本発明の検査方法は、精米のみならず、精米を炊飯した炊飯米や小麦粉、とうもろこし粉(コーンスターチ)、ひえ、あわ、大麦、ピーナッツなどの他の多くの穀物類、でんぷん質食品の簡便、迅速かつ非破壊な均質性の検査に適用可能であり、でんぷん質食品の品質管理を通じて日常生活に大きく貢献するものである。
本発明の請求項1記載の検査方法によれば、精米からの蛍光画像を測定するだけで精米を非破壊検査することが可能になり、簡便、迅速な製品の全数検査の実施による均質性管理に大きく貢献する。これによって、精米のブレンド状態や異物の混入検査が可能になる。
請求項2は、精米からの発光の内、最も発光強度の大きい可視光の主ピークの発光強度を検査に用いることにより、CCDカメラを用いて発光画像を撮影する際の信号の増幅やノイズの除去などの信号処理が容易に行えるとともに、励起光源の強度を低減でき、検査装置の簡略化に役立つものである。その結果、精米の品質を簡便かつ迅速に行うことができる。
本発明の請求項3記載の検査方法によれば、検査装置を精米容器の透明部分に密着して検査するため、精米を容器に入ったままの状態で非破壊検査することが可能になり、簡便、迅速な製品の均質性管理に大きく貢献する。精米のブレンド状態や異物の混入検査が容器に入ったままの状態で可能になる。
請求項4は、励起光源として発光ダイオードを用いることにより、本発明の精米検査装置の小型化および、低消費電力化の道を開くものである。
請求項5は、強力で集光特性の優れたレーザー光線を紫外線励起光源として用いることにより、精米からの発光強度を大きくでき、画像の撮影が容易になると同時に、検査精度が向上する。
さらに、請求項6は、本発明の検査方法を、精米を炊飯した炊飯米などの加工した精米の簡便、迅速かつ非破壊な検査に適用範囲を拡大するものであり、この発明によって精米だけでなく加工精米を使った食品の簡便、迅速かつ非破壊な品質管理が可能になり、食品製造の品質向上に役立つ。
さらに、請求項7は、本発明の検査方法を、小麦、とうもろこしなどの植物性でんぷんの簡便、迅速かつ非破壊な検査に適用範囲を拡大するものであり、この発明によって精米に加え、多くのでんぷん質食品、でんぷん質材料の簡便、迅速かつ非破壊な品質管理が可能になる。
請求項8は、CCDカメラを用いて蛍光強度の2次元分布を蛍光画像として撮影し、撮影した蛍光画像を用いて精米および精米以外のでんぷんの品質および、異物混入の有無を検査するものである。CCDカメラを用いることにより、簡便に蛍光の2次元分布を測定することが可能になり、でんぷん製品の全数検査が容易に実施できる。
さらに、請求項9は、CCDカメラを用いて撮影した蛍光画像の輝度ごとの画素数を数値化した輝度分布を用いて精米および精米以外のでんぷんの品質および、異物混入の有無を検査するものである。蛍光画像を数値化することにより、蛍光画像のみに基づく品質検査に比べて定量的な検査が可能になる。
本発明による精米検査装置は、図1に示したように、紫外線励起光源4から励起のための紫外光を反射ミラー7を通して精米容器6の透明部分から精米5に照射する。励起によって精米5から波長460ナノメートル付近に主ピークを持つ強い発光が観測できる。この波長460ナノメートル付近の強い発光ピークには、波長420ナノメートル付近、波長430ナノメートル付近および、波長540ナノメートル付近の比較的強度の弱い発光ピークが付随して観測できる。
紫外光の照射によって発光する精米5の可視光の蛍光画像を精米容器6の透明部分、励起光反射ミラー7、波長選択フィルタ3を通して選択した波長の2次元蛍光画像をCCDカメラ1によって撮影する。蛍光強度が強い場合には減光フィルタ2を用いて撮影可能な光強度に調整する。撮影した発光の2次元画像の均一性から精米の均質性を検査する。
反射ミラー7を用いずに、紫外線励起光源4から励起のための紫外光を直接精米5に照射した場合は、励起光強度の不均一が生じるため、得られた2次元蛍光画像をあらかじめ撮影した光源の強度分布の画像をもとに補正することにより、反射ミラー7を使った場合と同等の検査を実施することができる。
図2の発光スペクトルに示されるように、紫外光による励起によって精米から波長460ナノメートル付近を主ピークとし、波長420ナノメートル付近、波長430ナノメートル付近および、波長540ナノメートル付近に強度の弱い発光ピークを持つ可視光線の発光スペクトル8、9、10が観測できる。この精米からの発光スペクトルのピーク強度は、精米の品種、産地、品質によって大きく異なり、図2に示すように、もち米8、コシヒカリ9、通常の精米10のように変化した。
従って、測定した主ピークの発光強度から、当該精米の品種、産地、品質を検査することが可能である。さらに、発光ピークの強度分布を測定することによって、当該精米の品質の均一性を検査することが可能である。
図3に示されるように、種々の品種の精米を混合したブレンド米の発光の2次元画像11は、モザイク状の不均質な発光強度分布を示す。これは、精米の発光強度が、その品種、産地、品質によって大きく異なるためである。この画像を最も発光強度が強い精米粒の輝度を基準に2値化した画像12を使って、ブレンドの有無が迅速・簡便かつ非破壊で検査可能である。
さまざまなブレンド率の精米に対する蛍光画像輝度の分布を定量化した結果を図4に示した。像全体の輝度分布を定量化することによりブレンドの割合が定量検査可能である。ブレンド率75%の精米13、ブレンド率50%の精米14、ブレンド率25%の精米15のそれぞれで蛍光画像輝度の分布は大きく異なっている。ブレンド率の低い、均質性の高いものでは、輝度分布のピークが高輝度側あるいは低輝度側にずれており、2次元画像の画像輝度の分布が小さい結果が得られる。
従って、本発明の均質性の検査装置によれば、2次元画像の2値化処理により、精米の均質性を識別することが可能であり、2次元画像の画像輝度の定量化によりブレンド米のブレンド割合の検査も可能である。本発明の検査方法は、精米のほか、精米を炊飯した炊飯米や小麦粉、とうもろこし粉(コーンスターチ)、ひえ、あわ、大麦、ピーナッツなどの他の多くの穀物類、でんぷん製品の均質性の検査に広く適用可能である。
発光波長365ナノメートルの水銀ランプを紫外線励起光源として取り付け、波長選択フィルタと光学レンズ及び、Si製CCDカメラを発光の2次元画像撮影用として取り付けた精米検査装置を試作した。
この検査装置をコシヒカリの精米、もち米をそれぞれ25%、50%、75%の重量割合で混合したブレンド米に励起のための紫外光を照射した。紫外光の照射によって、精米から波長460ナノメートル付近を主ピークとする可視光の強い蛍光が観測できた。この発光を波長選択フィルタを通してSi製CCDカメラで撮影した。
精米のブレンド率を変えたものについて同様の測定を行い、撮影した画像を最も明るい精米の輝度を基準に2値化するとともに、蛍光画像の輝度分布を定量化した。その結果を表1に示す。
表1に示したように、ブレンド率75%の試料1の画像輝度ピーク値は120であり、測定した試料中最大であった。ブレンド率50%の試料2ではピークの輝度は100、ブレンド率25%の試料3では、輝度50および90にピークが見られた。この検査結果を用いて、波長460ナノメートル付近の蛍光画像の輝度分布を比較することによりそれぞれの精米のブレンドの有無を区別することができた。さらに2値化処理後の蛍光画像では、2種類の品種の異なる精米のブレンドであることが明瞭に識別できた。さらに、図4から明らかなように、蛍光画像の輝度分布のピーク位置にくわえて、輝度分布のピーク形状やピークの半値幅の比較からもブレンド率やブレンドの有無が判定できることは言うまでもない。
検査後の試料は、何ら損傷が無く、上記の検査を非破壊で検査を行うことができた。また、検査に用いた装置は繰り返し使用することができた。
この発明の精米検査方法は、精米をはじめとして、精米を炊飯した炊飯米や小麦粉、とうもろこし粉(コーンスターチ)、ひえ、あわ、大麦、ピーナッツなどの他の多くの穀物類、でんぷん製品の均質性の検査に広く適用可能である。従って、この発明の精米検査方法は、農産物の製造、食品製造などでの品質管理や製造工程での品質検査に幅広く利用できる。
1…CCDカメラ
2…減光フィルタ
3…波長選択フィルタ
4…励起光源
5…精米
6…精米容器
7…励起光反射ミラー
8…もち米の発光スペクトル
9…コシヒカリの発光スペクトル
10…通常の精米の発光スペクトル
11…種々の品種の精米をブレンドした精米の発光画像
12…ブレンドした精米の発光画像11を2値化処理した画像
13…ブレンド率75%のブレンド精米の画像輝度分布
14…ブレンド率50%のブレンド精米の画像輝度分布
15…ブレンド率25%のブレンド精米の画像輝度分布
2…減光フィルタ
3…波長選択フィルタ
4…励起光源
5…精米
6…精米容器
7…励起光反射ミラー
8…もち米の発光スペクトル
9…コシヒカリの発光スペクトル
10…通常の精米の発光スペクトル
11…種々の品種の精米をブレンドした精米の発光画像
12…ブレンドした精米の発光画像11を2値化処理した画像
13…ブレンド率75%のブレンド精米の画像輝度分布
14…ブレンド率50%のブレンド精米の画像輝度分布
15…ブレンド率25%のブレンド精米の画像輝度分布
Claims (9)
- 精米に紫外線の励起光を照射し、励起によって当該精米から発生した蛍光強度の2次元分布を測定することにより当該精米の均質性および、異物混入の有無を検査する2次元検査方法。
- 請求項1記載の精米検査方法において、精米からの発光の内、可視光の波長において最も発光強度の大きい主ピークの発光強度の2次元分布を測定することにより当該精米の均質性および、異物混入の有無を検査することを特徴とする精米の2次元検査装置。
- 請求項1記載の精米検査方法において、精米の容器の一部あるいは容器全体に、励起光および蛍光が透過できる窓を設け、当該窓を通して容器外部より容器内部の精米に励起光を照射し、励起によって当該精米から発生した蛍光強度の2次元分布を測定することにより当該精米の均質性および、異物混入の有無を検査する2次元検査方法。
- 請求項1記載の精米検査方法において、精米を励起し発光させるための励起光源として、発光ダイオードを用いることを特徴とする精米の2次元検査装置。
- 請求項1記載の精米検査方法において、精米を励起し発光させるための励起光源として、レーザー光線を用いることを特徴とする精米の2次元検査装置。
- 請求項1記載の精米検査方法において、精米のかわりに、精米を炊飯した炊飯米などの加工した精米の均質性を検査することを特徴とする2次元検査方法。
- 請求項1記載の精米検査方法において、当該検査方法を用いて、精米以外のでんぷんの品質を検査することを特徴とする2次元検査装置。
- 請求項1記載の精米検査方法において、CCDカメラを用いて蛍光強度の2次元分布を蛍光画像として撮影し、当該蛍光画像を用いて精米および精米以外のでんぷんの品質および、異物混入の有無を検査することを特徴とする2次元検査装置。
- 請求項1記載の精米検査方法において、CCDカメラを用いて蛍光画像を撮影し、当該蛍光画像の輝度ごとの画素数を数値化した輝度分布を用いて精米および精米以外のでんぷんの品質および、異物混入の有無を検査することを特徴とする2次元検査装置。
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