JP2004277838A - 非調質鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】被削性、破断分割性及び耐疲労特性に優れクラッキングコンロッドの素材として好適な鋼を提供する。
【解決手段】C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%未満、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%及びN:0.002〜0.020%を含み、残部はFeと不純物からなり、元素記号をその元素の質量%での鋼中含有量として、「C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)」の値が0.80未満の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上である非調質鋼。Feの一部に代えて、下記▲1▼と▲2▼から選択される1群以上を含有してもよい。▲1▼Cr、▲2▼Pb、Te、Ca及びBiの1種以上。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非調質鋼に関し、詳しくは、被削性及び破断分割性に優れるとともに耐疲労特性も良好で、自動車エンジンなどのコネクティングロッドの素材として好適な被削性、破断分割性及び耐疲労特性に優れた非調質鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンなどのコネクティングロッド(以下、コンロッドという)は、ピストンとクランクシャフトを連結するエンジン部品であり、爆発力を駆動軸に伝達する役割を担っている。このため、コンロッドには高い疲労限度(以下、疲労強度ともいい、σwの記号で表す)が要求される。特に、近年のエンジンの高出力化にともなって、コンロッドに要求される疲労強度はますます大きくなっている。また、コンロッドのボルト穴及び、ピストンやクランクシャフトと連結する部分は切削加工されるため、その素材には良好な被削性が要求される。
【0003】
JISに規定されたS48C等の機械構造用炭素鋼は、これに焼入れ−焼戻しのいわゆる調質処理を施せば、安定して大きな疲労限度比(疲労限度σwを引張強さTSで除した値で、以下、耐久比ともいい、σw/TSの記号で表す)が確保できる。このため、従来のコンロッドは、S48C等の機械構造用炭素鋼を調質処理して製造されてきた。
【0004】
しかしながら、最近の厳しい経済情勢を反映して、各種自動車部品の製造コスト低減の動きが活発化しており、この動きはエンジン部品であるコンロッドにおいても例外ではなくなってきている。このため、製造コストが嵩む焼入れ−焼戻しの調質処理を行うことなく、つまり非調質で、前記機械構造用炭素鋼を調質処理した場合と同等の耐久比が得られるコンロッドに対する要望が大きくなり、一部の車種では採用され始めた。
【0005】
図1にコンロッドを示すが、従来のコンロッド1は、別の工程で熱間鍛造されたコンロッド本体2とコンロッドキャップ3に対して、切削加工によるボルト穴の加工と仕上げ整形加工を施し、その後でボルト4によって形状の複雑なクランクシャフトに結合して組み立てるという工程を経る必要がある。したがって、非調質化は達成できても、次に述べる「クラッキングコンロッド」ほどにはコスト低減の点で満足のいくものではない。
【0006】
つまり、最近では、非調質鋼化に加えて、更に一層の製造コスト低減のために、コンロッド本体2とコンロッドキャップ3の両者を熱間鍛造で一体成形した後、大端部5でコンロッド本体2とコンロッドキャップ3にクラッキング(分割)するいわゆる「クラッキングコンロッド」が検討されている。
【0007】
なお、上記のクラッキングには、一体成形材の分割したい部位である大端部5の穴(例えば図1におけるN部)に治具を挿入し、応力を負荷して破断させる方法が適用される。
【0008】
クラッキングされたコンロッド1(つまり、クラッキングコンロッド)は、クラッキングした際の破断面が平滑な脆性破面であれば、それをクランクシャフトと連結する際には、コンロッド本体2とコンロッドキャップ3とでクランクシャフトを挟み込んだ後、破断面を合わせ、コンロッド本体2とコンロッドキャップ3とをボルト4で連結するだけでよい。
【0009】
したがって、クラッキングコンロッドは、その破断面が平滑な脆性破面であれば、クランクシャフトを挟む部分である合わせ面の切削加工が不要になって製造コストを低減することができるし、破断面で連結が行われるために締結剛性すなわち強度に優れている。
【0010】
上記のクラッキングコンロッドについては、特許文献1に開示された質量%で0.7%程度のC(炭素)を含む非調質鋼を素材とするものが欧州で既に実用化されている。しかし、上記の欧州で実用化されたコンロッドは従来の機械構造用炭素鋼を調質処理したコンロッドに比べて耐久比が劣り、耐疲労特性の面では必ずしも産業界の要望に応えきれていない。
【0011】
そこで、欧州で実用化されているものと同等以上の破断分割性(以下、クラッキング性という)を有するとともに、非調質の状態で、調質処理したコンロッドと少なくとも同等の耐久比を有し、且つ、被削性にも優れたコンロッド用鋼に対する要望が極めて大きくなっている。
【0012】
特許文献2〜15には、鋼の化学組成を制御してクラッキング性を高めた「低延性非調質鋼」、或いは、化学組成と炭硫化物を制御してクラッキング性と被削性を高めた「低延性非調質鋼」が開示されている。しかし、この特許文献2〜15で提案されたいずれの非調質鋼も、必ずしも耐疲労特性に対する配慮がなされたものではない。
【0013】
特許文献16には、C含有量が重量%で0.2〜0.35%未満の低炭素域で、Mnの含有量を低減するとともに高V組成として延性の大きなフェライトを脆化させ、更に、粗大なTiC粒子を分散させることによって破断分離性を高めた「破断分離性と耐久強さに優れた機械構造用鋼」が開示されている。しかし、この公報で提案された機械構造用鋼は、被削性向上のために単にSを重量%で、0.01〜0.2%含有させただけのものであり、したがって、必ずしもコンロッドに要求される被削性を満足できるものではない。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第5135587号公報
【特許文献2】
特開平9−3589号公報
【特許文献3】
特開平9−31594号公報
【特許文献4】
特開平9−111412号公報
【特許文献5】
特開平9−176785号公報
【特許文献6】
特開平9−176786号公報
【特許文献7】
特開平9−176787号公報
【特許文献8】
特開平11−50184号公報
【特許文献9】
特開平11−199967号公報
【特許文献10】
特開平11−199968号公報
【特許文献11】
特開平11−236643号公報
【特許文献12】
特開平11−286746号公報
【特許文献13】
特開平11−286750号公報
【特許文献14】
特開平11−302778号公報
【特許文献15】
特開2000−345298号公報
【特許文献16】
特開平11−315340号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、被削性及び破断分割性に優れるとともに耐疲労特性も良好で、自動車エンジンなどのコンロッドの素材として好適な非調質鋼を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)〜(4)に示す非調質鋼にある。
【0017】
(1)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%未満、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%及びN:0.002〜0.020%を含み、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80未満の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0018】
Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼、ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
【0019】
(2)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%未満、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びCr:0.50%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80未満の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0020】
(3)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%未満、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%及びN:0.002〜0.020%を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80未満の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0021】
(4)質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%未満、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びCr:50%以下を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80未満の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
【0022】
ここで、フェライト・パーライト組織とは、フェライトとパーライトの混合組織をいう。前記した各相は、光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いた観察によって確認することができる。
【0023】
フェライトの硬さとしてのビッカース硬さは、0.09807Nの試験力で測定した値をいい、全硬さとしてのビッカース硬さは、98.07Nの試験力で測定した値をいう。
【0024】
また、全硬さとはランダムに4箇所測定した場合の平均値を指す。
【0025】
なお、本発明でいうフェライトには、セメンタイトとともにパーライトを形成するフェライトは含まない。
【0026】
以下、上記(1)〜(4)の非調質鋼に係る発明をそれぞれ(1)〜(4)の発明という。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前記した目的を達成するために種々検討を行い、下記(イ)〜(ヘ)の知見を得た。
【0028】
(イ)クラッキング性と被削性がともに良好になる場合の鋼の組織はフェライト・パーライト組織である。
【0029】
(ロ)フェライト・パーライト組織におけるフェライトの硬さはクラッキング性、被削性及び耐疲労特性に影響する。
【0030】
(ハ)フェライト・パーライト組織におけるフェライトの割合を大きくすれば耐久比が高くなって耐疲労特性が向上する。
【0031】
(ニ)フェライト・パーライト組織におけるフェライトの硬さと全硬さの比が大きい場合のクラッキング性は良好であるし、耐久比も大きく耐疲労特性に優れ、更に、被削性も良好である。
【0032】
(ホ)適正量のTiとVを複合添加することによって、従来のVを単独添加する非調質鋼に比べてフェライトを大幅に強化することができる。しかも、TiとVの複合添加によるフェライトの強化は、フェライト・パーライト組織における全硬さとフェライトの硬さとの差を小さくするので、上記したフェライトの硬さと全硬さの比が大きくなって、クラッキング性、被削性及び耐疲労特性がいずれも向上する。
【0033】
(ヘ)適正量のTiとVの複合添加によるフェライトの大幅な強化によって、前記▲1▼式で表されるC当量(つまりCeq)の値が小さい場合にも大きな強度が得られる。したがって、小さいCeqの値で大きな疲労強度が確保でき、更に、フェライトの強度が大きい分被削性は良好になる。
【0034】
前記(1)〜(4)の本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0035】
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)鋼の化学組成
C:0.20〜0.40%、
Cは、鋼の強度を高める作用を有し、0.20%以上含有させることで効果が得られる。しかし、その含有量が0.40%を超えると、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの割合が少なくなって、高い耐久比が得られず耐疲労特性が低下する。したがって、Cの含有量を0.20〜0.40%とした。なお、Cの含有量は0.20〜0.35%とすることが好ましい。
【0036】
Si:0.05〜1.50%
Siは、鋼の脱酸に有効であるとともに固溶強化によって鋼の強度を高める作用を有する。しかし、その含有量が0.05%未満では添加効果に乏しい。一方、Siを1.50%を超えて含有させても上記の効果は飽和しコストが嵩むばかりである。しかも、鋼の熱間加工性が低下する。したがって、Siの含有量を0.05〜1.50%とした。なお、Siの含有量は0.15〜0.90%とすることが好ましい。
【0037】
Mn:0.30〜2.00%
Mnは、鋼の脱酸作用を有するとともに、焼入れ性を高めて鋼の強度を向上させる作用を有する。これらの効果を得るためにはMnの含有量を0.30%以上とする必要がある。しかし、Mnの含有量が2.00%を超えると鋼の熱間加工性が低下する。更に、焼入れ性が高くなりすぎてベイナイト組織を生じ、クラッキング性及び被削性の低下をきたす。したがって、Mnの含有量を0.30〜2.00%とした。なお、Mnの含有量は0.30〜1.40%とすることが好ましく、0.60〜1.20%とすることが一層好ましい。
【0038】
P:0.040%未満
Pは、結晶粒界に偏析して熱間加工性を低下させてしまう。特に、その含有量が0.040%以上になると熱間加工性の低下が大きくなる場合がある。したがって、Pの含有量を0.040%未満とした。
【0039】
S:0.040〜0.130%
Sは、MnやTiとともに硫化物を形成して鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を得るには、Sの含有量を0.040%以上とする必要がある。しかし、Sの含有量が0.130%を超えると、鋼の熱間加工性が低下することがある。したがって、Sの含有量を0.040〜0.130%とした。なお、大きな被削性と十分な熱間加工性とを確保するためには、Sの含有量は0.070%を超えて0.130%までとすることが好ましい。
【0040】
V:0.10〜0.50%
Vは、本発明において重要な元素である。すなわち、Vはフェライト中に炭窒化物として析出して強度を向上させる作用を有する他に、後述するTiと複合して添加することによってクラッキング性を高める作用を有する。こうした効果を得るには、Vの含有量を0.10%以上とする必要がある。しかし、Vを0.50%を超えて含有させても前記した効果の増大はほとんどなく、コストが極めて大きくなってしまう。したがって、Vの含有量を0.10〜0.50%とした。なお、Vの含有量は0.10〜0.35%とすることが好ましく、0.15〜0.35%とすることが一層好ましい。
【0041】
Ti:0.10%を超えて0.50%まで
Tiは、本発明において重要な元素である。すなわち、TiはVと同様にフェライト中に炭窒化物として析出して強度を高め、更に、Vと複合して添加することによってフェライトを大幅に強化する作用を有する。このフェライトの強化は、フェライト・パーライト組織における全硬さとフェライトの硬さとの差を小さくするので、良好なクラッキング性が確保でき、更に、フェライトの強化は疲労亀裂発生の抑制につながるため大きな耐久比を確保することもできる。また、Tiには硫化物を形成して被削性を改善する作用もある。前記した効果を顕著に得るためには、Tiを0.10%を超えて含有させる必要がある。しかし、Tiの含有量が0.50%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがってTiの含有量を0.10%を超えて0.50%までとした。なお、Tiの含有量は0.10%を超えて0.30%までとすることが好ましい。
【0042】
Al:0.002〜0.100%
Alは、鋼の脱酸剤として有効な元素である。本発明の特徴のひとつは上述したようにTiとVの複合添加であるが、Tiは脱酸力が強いため酸化物を形成してしまい、炭窒化物を形成する割合が相対的に減少してしまう。そのため、TiがVとともにフェライトを強化する作用が低下する。また、Tiの歩留りを低下させて製造コストの上昇を招くことが懸念される。Alを添加する理由は、Alで鋼を脱酸して脱酸の安定化を図ると同時に、炭窒化物を形成してフェライトの強化に効くTiを確保し、Tiの歩留まり低下を防ぐという意味も兼ねている。そのために必要なAlの含有量は0.002%以上であるが、0.100%でその効果は飽和する。したがってAlの含有量を0.002〜0.100%とした。Alの含有量は0.002〜0.050%とすることが好ましい。
【0043】
なお、上述のAlで鋼を脱酸して脱酸の安定化を図ると同時に、TiがVとともにフェライトを強化する作用を確保し、また、Tiの歩留まり低下を防ぐためには、例えば、Alで十分脱酸してからTiを添加する、すなわち、添加順序をAl、Tiの順とするのがよい。
【0044】
N:0.002〜0.020%
Nは、V及びTiと炭窒化物を形成して鋼の強化に寄与する。この効果を得るには、Nは0.002%以上の含有量が必要である。しかし、Nを0.020%を超えて含有させても上記の効果は飽和する。したがって、Nの含有量を0.002〜0.020%とした。
【0045】
Ceqの値:0.80未満
一般に、前記▲1▼式で表されるCeqの値(つまり、C当量の値)が大きい場合にはコンロッドの被削性が低下し、Ceqの値が小さい場合には強度が小さくなって疲労強度も小さくなるが、前記した量のTiとVを含有させた非調質鋼の場合には、フェライトが大幅に強化されるため前記▲1▼式で表されるCeqの値が小さい場合にも大きな強度が得られ、更に、フェライトの強度が大きい分被削性は良好になる。しかし、前記した量のTiとVを含有させてフェライトを強化させた本発明に係る非調質鋼の場合にも、Ceqの値が0.80以上になると大きな疲労強度が確保できるものの被削性が低下することがある。したがって、前記▲1▼式で表されるCeqの値を0.80未満とした。なお、コンロッドに要求される強度にもよるが、Ceqの下限値はほぼ0.60程度である。
【0046】
前記(1)の発明に係る非調質鋼は、上記のCからNまでの元素と、残部がFe及び不純物からなり、前記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80未満の化学組成を有する鋼である。
【0047】
前記(2)の発明に係る非調質鋼は、強度を高めることを目的として、前記(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、Cr:0.50%以下を含有させた化学組成を有する鋼である。
【0048】
上記のCrは鋼の焼入れ性を向上させて強度を高める作用を有するので、以下に述べる範囲内で含有させてもよい。
【0049】
Cr:0.50%以下
Crは、添加すれば、鋼の焼入れ性を向上させて強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Crは0.02%以上の含有量とすることが望ましい。しかし、その含有量が0.50%を超えるとベイナイト組織を生じ、クラッキング性及び被削性の低下をきたす。したがって、Crを添加する場合には、その含有量を0.50%以下とするのが好ましい。Crの含有量を0.30%以下とするのが更に好ましい。
【0050】
前記(3)の発明に係る非調質鋼は、被削性を一層高めることを目的として、前記(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有させた化学組成を有する鋼である。
【0051】
上記のPbからBiまでのいずれの元素も鋼の被削性を高める作用を有するので、PbからBiまでの元素は、以下に述べる範囲内でそれぞれを単独で含有させてもよいし、2種以上を複合して含有させてもよい。
【0052】
Pb:0.30%以下
Pbは、鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Pbは0.02%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.30%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがって、Pbを添加する場合には、その含有量を0.30%以下とするのがよい。
【0053】
Te:0.30%以下
Teは、鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Teは0.002%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.30%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがって、添加する場合のTeの含有量は0.30%以下とするのがよい。
【0054】
Ca:0.010%以下
Caは、鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Caは0.0005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.010%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがって、Caを添加する場合には、その含有量を0.010%以下とするのがよい。
【0055】
Bi:0.30%以下
Biは、鋼の被削性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Biは0.03%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.30%を超えると熱間加工性の低下を招く。したがって、添加する場合のBiの含有量は0.30%以下とするのがよい。
【0056】
前記(4)の発明に係る非調質鋼は、強度を高めること、及び被削性を一層高めることを目的として、前述の(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、Cr:0.50%以下とともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有させた化学組成を有する鋼である。
(B)非調質鋼の組織
本発明に係る非調質鋼の組織は、フェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織とする必要がある。
【0057】
先ず、フェライト・パーライト組織とするのは、クラッキング性と被削性をともに良好にするためである。マルテンサイト、ベイナイトやオーステナイトを含む組織のクラッキング性は低く、更に、フェライト・パーライト組織に比べて被削性にも劣る。ここで、既に述べたように、「フェライト・パーライト組織」とはフェライトとパーライトの混合組織を指す。
【0058】
フェライト・パーライト組織において、固溶及び/又は析出によって強化されたフェライトの割合を40%以上とすることで、耐久比が高くなって耐疲労特性を高めることができる。
【0059】
したがって、本発明に係る非調質鋼においては、その組織をフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織とした。なお、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの割合の上限は90%程度である。
【0060】
ここで、或る相の体積割合は面積割合に等しいことが知られており、したがって、上記フェライトが組織に占める割合は、例えば、通常の2次元的な評価方法、すなわち、光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いた観察によって求めたフェライトの割合から決定すればよい。
(C)フェライトの硬さ及びフェライトの硬さと全硬さの比
本発明に係る非調質鋼は、その硬さに関し、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上でなければならない。
【0061】
すなわち、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの硬さはクラッキング性、被削性及び耐疲労特性に影響し、フェライトの硬さをHv250以上とすることが良好な、クラッキング性、被削性及び耐疲労特性を確保するための条件となる。また、フェライト・パーライト組織における全硬さとフェライトの硬さとの差を小さくすること、換言すればフェライトの硬さと全硬さの比を大きくすること、特に、上述の比を0.80以上と大きくすること、によって良好なクラッキング性、大きな耐久比(したがって、良好な耐疲労特性)及び、良好な被削性を確保することができる。
【0062】
したがって、本発明に係る非調質鋼においては、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの硬さをビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比を0.80以上とした。
【0063】
ここで、フェライトの硬さとしてのビッカース硬さは、0.09807Nの試験力で測定した値をいい、全硬さとしてのビッカース硬さは、98.07Nの試験力で測定した値をいうこと、また、全硬さがランダムに4箇所測定した場合の平均値を指すことは既に述べたとおりである。
【0064】
ここで、本発明におけるフェライトには、セメンタイトとともにパーライトを形成するフェライトは含まないことも既に述べたとおりである。
【0065】
前記(A)項に記載の化学組成を有する鋼は、Alで鋼を脱酸して脱酸の安定化を図ると同時に、TiがVとともにフェライトを強化する作用を確保し、また、Tiの歩留まり低下を防ぐために、例えば、Alで十分脱酸してからTiを添加する、すなわち、添加順序をAl、Tiの順として溶製された後に鋼塊や鋼片とされる。そして次に、鋼塊や鋼片のままで、或いは更に通常の方法で熱間での圧延及び/又は鍛造を施された後で、例えば、鍛造のための加熱温度を1200〜1350℃、鍛造仕上げ温度を800℃を超えて1300℃まで、鍛造後の800〜600℃における冷却速度を100〜150℃/分とした熱間鍛造と冷却によって、コンロッド本体2とコンロッドキャップ3がつながった一体物に成形され、更に、ボルト穴加工を施された後、大端部5でコンロッド本体2とコンロッドキャップ3にクラッキングされる。次いで、分割されたコンロッド本体2及びコンロッドキャップ3はボルト4でクランクシャフトに結合されて組み立てられる。
【0066】
なお、上述の熱間鍛造条件における温度と冷却速度は鋼片や一体物成形材の表面における値であり、800〜600℃の温度域を上記のように冷却した後の冷却は特に制限されるものではない。
【0067】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【0068】
【実施例】
表1に示す化学組成を有する鋼を真空溶解炉を用いて溶製し、鋼塊とした。なお、鋼1〜14については、Alで十分脱酸してからTiを添加(つまり、AlとTiの添加順序はAl、Tiの順)して溶製した後、鋳造した。一方、鋼15は、成分調整した最後にAlを添加(つまり、添加順序がTi、Alの順)し、その後直ちに鋳造した。表1において、鋼1〜7及び鋼13〜15は化学組成が本発明で規定する範囲内の本発明例の鋼であり、鋼8〜12、鋼16及び鋼17は成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れた比較例の鋼である。なお、比較例の鋼のうち鋼16と鋼17はそれぞれ、JISのS48Cに相当する鋼と特許文献1で開示され欧州で既に実用化されているクラッキングコンロッド用鋼に相当する鋼である。
【0069】
【表1】
Figure 2004277838
【0070】
次いで、これらの本発明例の鋼及び比較例の鋼を通常の方法によって鋼片とした後、鋼1〜12及び鋼17については鍛造のための加熱温度を1250℃、鍛造仕上げ温度を1050℃として直径20mmの丸棒に熱間鍛造し、鍛造終了後は800〜600℃における冷却速度を110℃/分として冷却し、600℃を下回る温度域は通常の大気中放冷とした。
【0071】
一方、鋼13及び鋼14については鍛造のための加熱温度を1300℃、鍛造仕上げ温度を1200℃として直径20mmの丸棒に熱間鍛造し、鍛造終了後は800〜600℃における冷却速度を110℃/分として冷却し、600℃を下回る温度域は通常の大気中放冷とした。また、鋼15については鍛造のための加熱温度を1150℃、鍛造仕上げ温度を1000℃として直径20mmの丸棒に熱間鍛造し、鍛造終了後は800〜600℃における冷却速度を110℃/分として冷却し、600℃を下回る温度域は通常の大気中放冷とした。
【0072】
なお、比較例の鋼のうちJISのS48Cに相当する鋼である鋼16については、1250℃に加熱後通常の方法で熱間鍛造して得た直径20mmの丸棒に、1100℃に加熱して油焼入れ後500℃で焼戻しする調質処理を施した。
【0073】
このようにして得た直径が20mmの丸棒から各種の試験片を採取して、ミクロ組織、ビッカース硬さ(以下、Hv硬さという)、引張特性、耐疲労特性、衝撃特性及び被削性を調査した。
【0074】
すなわち、前記した各丸棒から鍛錬軸に垂直な面を観察面とするミクロ試験片を切り出し、鏡面研磨してナイタル腐食した後、倍率を400倍とした光学顕微鏡で観察して、ミクロ組織の判定を行った。
【0075】
上記のようにして観察した組織がフェライト・パーライトであったものについて、更に、通常の方法で画像解析し、フェライト・パーライト組織におけるフェライトの割合を測定した。組織がフェライト・パーライトであったものについては、フェライトのHv硬さ(αHv)を0.09807Nの試験力で測定した。
【0076】
また、各丸棒から鍛錬軸に垂直な面を試験面とする試験片を切り出して鏡面研磨した後、全硬さとしてのHv硬さ(THv)を98.07Nの試験力で測定した。
【0077】
引張特性は、各丸棒から平行部の直径が7mmのJIS14A号引張試験片を切り出し、通常の方法により室温で引張試験を行い、引張強さ(TS)を測定した。
【0078】
耐疲労特性は、各丸棒から平行部の直径が8mmの小野式回転曲げ疲労試験片を切り出し、通常の方法により室温で回転曲げ疲労試験を行い、疲労強度(σw)を測定した。このσwと前記のTSとから耐久比(σw/TS)を求めた。なお、調質処理したJISのS48C相当鋼である鋼16を用いた試験番号16の耐久比である「0.479」を基準性能とし、これ以上の耐久比が得られた場合に耐疲労特性が良好と判断した。
【0079】
衝撃特性は、各丸棒からJIS Z 2202(1998)に記載の幅10mmのVノッチ試験片を切り出し、通常の方法により室温でシャルピー衝撃試験を行い、衝撃値を測定した。この幅10mmのVノッチ試験片を用いた室温でのシャルピー衝撃値(vERT)は、クラッキング性を評価する1つの指標となり得るもので、その値が小さいほどクラッキング性が良好といえる。このため、欧州で既に実用化されているクラッキングコンロッド用鋼に相当する鋼である鋼17を用いた試験番号17の衝撃値である「7.0J/cm 」を基準性能とし、これ以下の衝撃値が得られた場合に衝撃特性が低く、したがって、クラッキング性が良好と判断した。
【0080】
被削性は、丸棒から10mm×10mmの断面を有する板状試験片を切り出し、深さ10mmの貫通孔をドリルで穿孔し、孔を100個あけた後のドリルのコーナー摩耗量(ドリル最外周部の摩耗量)を測定して評価した。なお、欧州で既に実用化されているクラッキングコンロッド用鋼に相当する鋼である鋼17を用いて穿孔試験した試験番号17の場合の上記コーナー摩耗量を基準性能とし、その50%未満のコーナー摩耗量の場合に被削性が良好と判断した。
【0081】
穿孔試験条件は次に示すとおりである。
【0082】
ドリル:SKH51の直径8mmのストレートシャンクドリル、
回転数:754rpm、
送り:0.15mm/rev、
潤滑:水溶性潤滑剤。
【0083】
なお、調質処理したJISのS48C相当鋼である鋼16の丸棒については被削性試験を行わなかった。
【0084】
表2に上記の各試験結果をまとめて示す。表2におけるαHv及びTHvはそれぞれ、ビッカース硬さでのフェライトの硬さ及び全硬さを表し、また、vERTが幅10mmのVノッチ試験片を用いた室温でのシャルピー衝撃値を表すことは既に述べたとおりである。被削性の欄における「◎」、「○」、「△」及び「×」はそれぞれ、コーナー摩耗量が鋼17を穿孔試験した場合のコーナー摩耗量の25%未満、25%以上50%未満、50〜100%及び100%を超えることを示す。
【0085】
なお、試験番号9においては、フェライト面積率が小さいため0.09807Nの試験力では圧子がパーライトにもかかってフェライト単独の硬さを測定することができなかった。
【0086】
【表2】
Figure 2004277838
【0087】
表2から明らかなように、本発明で定める化学組成、組織、フェライトの硬さ及びフェライトの硬さと全硬さの比を有する試験番号1〜7の場合は、いずれも目標とする被削性、クラッキング性及び耐疲労特性が得られている。すなわち、ドリルのコーナー摩耗量は、鋼17を用いて穿孔試験した試験番号17の場合の摩耗量の50%未満(マークで「◎」又は「○」)であり、被削性は良好である。クラッキング性を評価する1つの指標となり得るvERTは、同じく鋼17を用いた試験番号17の場合のvERTである7.0J/cm を下回り、したがって、クラッキング性は良好である。更に、耐疲労特性は、JISのS48C相当鋼である鋼16を調質処理した試験番号16の場合の耐久比である0.479を上回り、耐疲労特性も良好である。
【0088】
上記試験番号のうちでも、試験番号3〜7の被削性は一段と良好なことが明らかである。
【0089】
これに対して、試験番号8〜12の場合は、少なくとも化学組成が本発明で規定する条件から外れているため、被削性、クラッキング性及び耐疲労特性のいずれか1つ以上において目標に達していない。
【0090】
JISのS48C相当鋼である鋼16を調質処理した試験番号16の場合は、vERTが鋼17を用いた試験番号17の場合のvERTである7.0J/cm を上回り、少なくともクラッキング性に劣る。
【0091】
また、欧州で既に実用化されているクラッキングコンロッド用鋼に相当する鋼である鋼17を用いた試験番号17の場合は、上記JISのS48C相当鋼である鋼16を調質処理した試験番号16の場合の耐久比である0.479を下回り、耐疲労特性に劣る。
【0092】
一方、試験番号13及び試験番号14の場合は、鋼13及び鋼14は本発明で定める化学組成を有するものの、組織が本発明で規定する条件から外れている。このため、試験番号13の場合は、被削性に劣るし、耐久比が低くて耐疲労特性も低い。また、試験番号14の場合は、被削性、クラッキング性及び耐疲労特性のいずれの特性にも劣っている。
【0093】
試験番号15の場合、鋼15は本発明で定める化学組成を有するものの、Ti及びVによる十分なフェライトの強化がなされておらず、ビッカース硬さでのフェライトの硬さ(αHv)及びフェライトの硬さと全硬さの比(αHv/THv)が本発明で規定する条件から外れている。このためvERTが7.0J/cm を上回り、クラッキング性に劣る。
【0094】
【発明の効果】
本発明の非調質鋼は、被削性、破断分割性(クラッキング性)及び耐疲労特性に優れているので、自動車エンジンなどのクラッキングコンロッドの素材として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンロッドの詳細を示す図である。
【符号の説明】
1:コンロッド、
2:コンロッド本体、
3:コンロッドキャップ、
4:ボルト、
5:大端部

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%未満、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%及びN:0.002〜0.020%を含み、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80未満の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
    Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
    ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
  2. 質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%未満、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びCr:0.50%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80未満の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
    Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
    ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
  3. 質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%未満、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%及びN:0.002〜0.020%を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80未満の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
    Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
    ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
  4. 質量%で、C:0.20〜0.40%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.30〜2.00%、P:0.040%未満、S:0.040〜0.130%、V:0.10〜0.50%、Ti:0.10%を超えて0.50%まで、Al:0.002〜0.100%、N:0.002〜0.020%及びCr:50%以下を含むとともに、Pb:0.30%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.010%以下及びBi:0.30%以下から選択される1種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、下記▲1▼式で表されるCeqの値が0.80未満の化学組成で、組織がフェライトの割合が40%以上であるフェライト・パーライト組織で、更に、フェライトの硬さがビッカース硬さで250以上、且つ、フェライトの硬さと全硬さの比が0.80以上であることを特徴とする非調質鋼。
    Ceq=C+(Si/10)+(Mn/5)+(5Cr/22)+1.65V−(5S/7)・・・・・▲1▼
    ここで、▲1▼式中の元素記号は、その元素の質量%での鋼中含有量を表す。
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