JPH11302778A - 被削性に優れた低延性非調質鋼材 - Google Patents

被削性に優れた低延性非調質鋼材

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JPH11302778A
JPH11302778A JP11294498A JP11294498A JPH11302778A JP H11302778 A JPH11302778 A JP H11302778A JP 11294498 A JP11294498 A JP 11294498A JP 11294498 A JP11294498 A JP 11294498A JP H11302778 A JPH11302778 A JP H11302778A
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carbosulfide
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JP11294498A
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Mitsuo Uno
光男 宇野
Yoshihiko Kamata
芳彦 鎌田
Masaki Sakamoto
雅紀 坂本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた被削性を有し、低延性で常温分割加工が
可能でその分割破面がフラットな脆性破面を呈する鋼材
を提供する。 【解決手段】重量%で、C:0.70超〜1.20%、Si≦ 1.50
%、Mn:0.3〜2.0%、P≦0.15%、S:0.002〜0.2%、Cu
≦0.2%、Ni≦ 0.5%、Cr:0.02〜2.0%、Mo≦0.5%、W
≦0.8%、V≦0.50%、Nb≦ 0.17%、Ti≦0.50%、Zr≦
0.50%で、且つ、Ti+Zr:0.20%超〜0.50%、B≦0.010
%、Al<0.06%、N≦0.008%、Pb≦ 0.30%、Ca≦0.10
%、Al+2N−0.06≦0%、Ti+Zr−1.2S>0%、残部はFe
と不純物の組成で、鋼中のTi炭硫化物とZr炭硫化物の最
大直径が10μm以下、その量の和が清浄度で0.05%以上
である被削性に優れた低延性非調質鋼材。但し、式中の
元素記号はその元素の重量%での含有量を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被削性に優れた低
延性非調質鋼材に関し、より詳しくは、強度は要求され
るものの延性は必要とせず、むしろ常温、つまり室温で
の冷間分割加工が可能でその破断面がフラットな脆性破
面を呈し、自動車エンジンなどのコネクティングロッド
やコネクティングロッドキャップ用の材料として好適な
被削性に優れた低延性非調質鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジンなどの部品である図1に
示すコネクティングロッド(通称コンロッド)の本体1
及びコネクティングロッドキャップ(通称コンロッドキ
ャップ)2は、従来、別の工程で熱間鍛造された後で焼
入れ焼戻しの調質処理が施され、次いで、切削加工によ
るボルト穴の加工と仕上げ整形加工を受け、その後でボ
ルト3によって形状の複雑なクランクシャフトに結合し
て組み立てられていた。
【0003】しかしながら、最近、厳しい経済情勢を反
映して、各種自動車部品の製造コスト低減の動きが活発
化しており、この動きはエンジン部品においても例外で
はなくなってきている。
【0004】このため、前記のコネクティングロッド本
体1及びコネクティングロッドキャップ2に関しては、
製造コスト低減対策として、両者を熱間鍛造にて一体成
形しこれに焼入れ焼戻しの熱処理を施すか、あるいは熱
間鍛造後放冷し、その後でコネクティングロッド本体1
及びコネクティングロッドキャップ2に分割し、接合部
(接合面どうし)に対する仕上げ整形のための切削加工
は施すことなく、ボルト3でクランクシャフトに結合し
て組み立てるという方法が検討されている。この方法で
は、ボルト穴の切削加工は前記の一体成形材を分割する
前あるいは後に行われる。
【0005】上記の一体成形したコネクティングロッド
本体1及びコネクティングロッドキャップ2を分割する
方法としては、例えば治具を挿入することによって図1
中に矢印で示した方向に働く力を与えて分割する方法が
考えられる。この方法ではコネクティングロッド本体1
及びコネクティングロッドキャップ2に分割した分割面
をフラットにすることが極めて重要となる。
【0006】しかしながら、従来使用されてきた鋼(J
IS規格のS45CやS48C相当鋼など)をそのまま
用いて熱間鍛造で一体成形し、その後常温でコネクティ
ングロッド本体1及びコネクティングロッドキャップ2
に分割すると、分割面がアメやガムを千切ったような所
謂「延性破断面」となってフラットな「脆性破面」が得
られず、切削加工による仕上げ整形加工を行わなければ
ならないという問題がある。上記の分割を低温(例えば
液体窒素温度)で行えば脆性破壊が生じて容易にフラッ
トな脆性破面が得られるが、大量の製品が流れる実操業
ラインにおいて低温状態とすることは技術的に容易では
なく、更に設備を建設し維持する費用が嵩むため必ずし
もコスト低減には結びつかないといった問題がある。
【0007】一方、熱間鍛造で一体成形した後の熱処理
はコストが嵩むため、熱処理を省略できる新しいタイプ
の鋼に対する要望も生じている。
【0008】熱間圧延や熱間鍛造後に行う熱処理として
の調質処理を省略できる非調質鋼としては、例えば特開
平5−195140号公報に「非調質高強度鋼」が提案
されている。しかし、この公報に記載された非調質鋼
は、連続鋳造時にブルーム表面に生ずる割れを防止した
タイプの高強度非調質鋼である。そのため、上記の提案
鋼をコネクティングロッド本体1及びコネクティングロ
ッドキャップ2用鋼として用いた場合、所望の強度は得
られるものの、前記した一体成形した後でコネクティン
グロッド本体1及びコネクティングロッドキャップ2に
常温で分割する方法に対しては、延性が大き過ぎて脆性
破面が得られない。したがって、切削加工による仕上げ
整形加工を行う必要がある。
【0009】鉄と鋼(vol.57(1971年)S4
84)には、脱酸調整快削鋼にTiを添加すれば被削性
が高まる場合のあることが報告されている。しかし、T
iの多量の添加はTiNが多量に生成されることもあっ
て工具摩耗を増大させ、被削性の点からは好ましくない
ことも述べられている。例えば、C:0.45%、S
i:0.29%、Mn:0.78%、P:0.017
%、S:0.041%、Al:0.006%、N:0.
0087%、Ti:0.228%、O:0.004%及
びCa:0.001%を含有する鋼では却ってドリル寿
命が低下して被削性が劣っている。このように、鋼に単
にTiを添加するだけでは被削性は向上するものではな
い。
【0010】又、硫黄快削鋼の硫化物形態制御の目的で
Zrが添加されることがあるが、例えば、鉄と鋼(vo
l.62(1976年)p.885)に記されているよ
うに、Zrは被削性に対してはほとんど影響を及ぼさな
い。つまり、鋼に単にZrを添加するだけでは被削性は
向上するものではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みなされたもので、熱間鍛造した一体成形材を前記し
たような方法によって常温で分割した時の破面が、フラ
ットな脆性破面を呈するとともに、例えば、600MP
a以上の引張強度を有する被削性に優れた低延性非調質
鋼材の提供を課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
被削性に優れた低延性非調質鋼材にある。
【0013】すなわち、「重量%で、C:0.70%を
超えて1.20%以下、Si:1.50%以下、Mn:
0.3〜2.0%、P:0.15%以下、S:0.00
2〜0.2%、Cu:0.2%以下、Ni:0.5%以
下、Cr:0.02〜2.0%、Mo:0.50%以
下、W:0.8%以下、V:0.50%以下、Nb:
0.17%以下、Ti:0.50%以下、Zr:0.5
0%以下で、且つ、Ti(%)+Zr(%):0.20
%を超えて0.50%以下、B:0.010%以下、A
l:0.06%未満、N:0.008%以下、Pb:
0.30%以下及びCa:0.10%以下を含み、式中
の元素記号をその元素の重量%での含有量として、下記
式で表されるfn1の値が0%以下、下記式で表さ
れるfn2の値が0%を超え、残部はFe及び不可避不
純物の化学組成で、更に、鋼中のTi炭硫化物及びZr
炭硫化物の最大直径が10μm以下で、且つ、その量の
和が清浄度で0.05%以上であることを特徴とする被
削性に優れた低延性非調質鋼材。fn1=Al+2N−
0.06・・・・・、fn2=Ti+Zr−1.2S
・・・・・」である。
【0014】なお、本発明でいう「Ti炭硫化物」には
単なるTi硫化物を、又、「Zr炭硫化物」には単なる
Zr硫化物をそれぞれ含むものとする。又、「(Ti及
びZrの炭硫化物の)最大直径」とは「個々のTi及び
Zrの炭硫化物における最も長い径」のことを指す。T
i炭硫化物の清浄度やZr炭硫化物の清浄度は、光学顕
微鏡の倍率を400倍として、JIS G 0555に規定された
「鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」によって60視
野測定した値をいう。
【0015】本発明者らは、前記した課題を解決するた
め非調質鋼材の化学組成及び組織について種々検討を重
ねた。その結果、下記(a)及び(b)の常温における
破壊形態に関する知見に加えて、(c)の被削性に関す
る知見を得た。
【0016】(a)Cの含有量が0.70重量%を超
え、しかも特定の化学組成を有する非調質鋼材の場合、
その常温における破壊形態は、前記式で表されるfn
1と相関を有する。そして、fn1の値が0%以下(f
n1≦0%)を満たす場合に脆性破壊が促進され、熱間
鍛造した一体成形材の常温分割面がフラットな脆性破面
になり易い。
【0017】(b)上記のfn1≦0%に加えて、熱間
鍛造した一体成形材の分割したい部位の少なくとも一部
に0.5mmR以下の切り欠きを設けておけば、僅かな
力を加えるだけで容易に当該一体成形材の常温分割が可
能で、且つその分割面は一層確実にフラットな脆性破面
となる。したがって、一体成形材の分割したい部位であ
る大端部穴の内側(図1におけるN部)の少なくとも一
部に0.5mmR以下の切り欠きを設けておけば、コネ
クティングロッド本体1及びコネクティングロッドキャ
ップ2を容易、且つ、確実に製造することができる。
【0018】(c)鋼にTiとZrの少なくともいずれ
かを添加し、鋼中の介在物制御として硫化物をTi炭硫
化物やZr炭硫化物に変え、こうした炭硫化物を鋼材に
微細に分散させれば、鋼材の被削性が飛躍的に向上す
る。
【0019】そこで、更に研究を続けた結果、下記の事
項を見いだした。
【0020】(d)Sとのバランスを考慮して鋼にTi
とZrのいずれかを積極的に添加して行くと、鋼中にT
i炭硫化物あるいはZr炭硫化物が形成され、Ti及び
Zrを添加すると、鋼中にはTi炭硫化物とZr炭硫化
物とが形成される。
【0021】(e)鋼中に上記したTi炭硫化物やZr
炭硫化物が生成すると、MnSの生成量が減少する。
【0022】(f)鋼中のS含有量が同じ場合には、T
i炭硫化物やZr炭硫化物はMnSよりも大きな被削性
改善効果を有する。これは、Ti炭硫化物やZr炭硫化
物の融点がMnSのそれよりも低いため、切削加工時に
工具のすくい面での潤滑作用が大きくなることに基づ
く。
【0023】(g)Ti炭硫化物やZr炭硫化物の効果
を充分発揮させるためには、N含有量を低くすることが
重要である。これは、N含有量が多いとTiNやZrN
としてTiやZrが固定されてしまい、Ti炭硫化物や
Zr炭硫化物の生成が抑制されてしまうためである。
【0024】(h)製鋼時に生成したTi炭硫化物やZ
r炭硫化物は、通常の熱間加工のための加熱温度では基
地に固溶しない。したがって、オーステナイト領域にお
いて所謂「ピン止め作用」が発揮されるので、オーステ
ナイト粒の粗大化防止がなされて均質な組織が得られ
る。
【0025】(i)Ti炭硫化物やZr炭硫化物によっ
て被削性を高めるためには、Ti炭硫化物やZr炭硫化
物のサイズと、その清浄度で表される量(以下、単に
「清浄度」という)を適正化しておくことが重要であ
る。
【0026】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各要件について詳
しく説明する。なお、化学成分の含有量の「%」は「重
量%」を意味する。
【0028】(A)素材鋼(鋼材)の化学組成 C:Cは、SとともにTiやZrと結合してTi炭硫化
物やZr炭硫化物を形成し、被削性を高める作用を有す
る。更に、Cは、鋼に所望の強度を付与するとともに常
温での脆性破壊を促進する作用を有する。非調質鋼材の
場合には、Cの含有量が0.70%を超えると常温での
脆性破壊が極めて促進される。一方、1.20%を超え
て含有させると、熱間での変形抵抗が大きくなって大き
な加工設備を必要とするので製造コストが嵩んでしま
う。したがって、Cの含有量を、0.70%を超えて
1.20%以下とした。なお、Cの含有量の上限は1.
10%とすることが好ましい。
【0029】Si:Siは添加しなくても良い。添加す
れば鋼の脱酸を促進するとともに、焼入れ性を向上させ
る作用も有する。これらの効果を確実に得るには、Si
は0.05%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、その含有量が1.50%を超えると熱間加工性が低
下し、熱間での加工時に割れが生じ易くなる。したがっ
て、Siの含有量を1.50%以下とした。安定した熱
間加工性を確保するためには、Si含有量の上限は1.
00%とすることが望ましい。なお、Ti炭硫化物やZ
r炭硫化物のサイズと清浄度(TiとZrを複合添加す
る場合にはTi炭硫化物とZr炭硫化物の清浄度の和)
で表される量を後述の所定の値とするためには、Tiや
Zrの酸化物が過剰に生成することを防ぐことが重要で
ある。このため、Alを添加しない場合には、少なくと
も0.1%程度のSiを含有させるのが良い。
【0030】Mn:Mnは脱酸に必要であるとともに、
鋼の焼入れ性を高めて強度を向上させる作用がある。し
かし、その含有量が0.3%未満では所望の効果が得ら
れず、2.0%を超えると熱間加工性が劣化するように
なる。したがって、Mnの含有量を0.3〜2.0%と
した。
【0031】P:Pは添加しなくても良い。添加すれば
粒界脆化を引き起こし延性を低下させる作用があるの
で、前記したような常温での分割方法でフラットな脆性
破面を得るのに有効である。この効果を確実に得るに
は、Pは0.005%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、その含有量が0.15%を超えると熱間加
工性が著しく劣化する。したがって、Pの含有量は0.
15%以下とした。なお、安定した熱間加工性確保のた
めに、Pの含有量は0.10%以下とすることがより好
ましい。
【0032】S:Sは、CとともにTiやZrと結合し
てTi炭硫化物やZr炭硫化物を形成し、被削性を高め
る作用を有する。しかし、その含有量が0.002%未
満では所望の効果が得られない。
【0033】従来、快削鋼にSを添加する目的は、Mn
Sを形成させて被削性を改善させることにあった。しか
し、本発明者らの検討によると、上記のMnSの被削性
向上作用は、切削時の切り屑と工具表面との潤滑性を高
める機能に基づくことが判明した。しかもMnSは巨大
化し、鋼材本体の地疵を大きくし、欠陥となる場合があ
る。本発明におけるSの被削性改善作用は、適正量のC
とTiやZrとの複合添加によってTi炭硫化物やZr
炭硫化物を形成させることで初めて得られる。このため
には、上記したように0.002%以上のSの含有量が
必要である。一方、Sを0.2%を超えて含有させても
被削性に与える効果に変化はないが、鋼中に粗大なMn
Sが再び生じるようになり、地疵等の問題が生じる。更
に、熱間での加工性が著しく劣化し熱間加工が困難にな
る。したがって、Sの含有量を0.002〜0.2%と
した。なお、Sの好ましい含有量は0.02〜0.1%
である。
【0034】Cu:Cuは添加しなくても良い。添加す
れば焼入れ性を高めて強度を向上させる効果を有する。
この効果を確実に得るには、Cuは0.01%以上の含
有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.
2%を超えると熱間加工性の劣化をもたらし、熱間圧延
時や熱間鍛造時に割れの発生を招く。したがって、Cu
の含有量は0.2%以下とした。
【0035】Ni:Niは添加しなくても良い。添加す
れば焼入れ性を高めて強度を向上させる効果を有する。
この効果を確実に得るには、Niは0.01%以上の含
有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.
5%を超えると延性と靭性の増加をきたして、フラット
な脆性破面が得られなくなる。したがって、Niの含有
量を0.5%以下とした。
【0036】Cr:Crは焼入れ性を向上させて強度を
高める効果がある。しかし、その含有量が0.02%未
満では所望の効果が得られず、2.0%を超えて含有さ
せてもその効果は飽和し、コストのみが上昇し経済性を
損うことになるので、その含有量を0.02〜2.0%
とした。なお、Cr含有量は0.1%以上とすることが
好ましい。
【0037】Mo:Moは添加しなくても良い。添加す
れば焼入れ性を高めて強度を向上させる効果を有する。
この効果を確実に得るには、Moは0.01%以上の含
有量とすることが好ましい。しかし、Moを0.50%
を超えて含有させても前記の効果は飽和するのでコスト
のみが上昇し、経済性を損うことになる。したがって、
Moの含有量を0.50%以下とした。なお、Moを添
加する場合、その含有量は0.05%以上とすることが
一層好ましい。
【0038】W:Wは添加しなくても良い。添加すれば
焼入れ性を高めて強度を向上させる効果を有する。この
効果を確実に得るには、Wは0.05%以上の含有量と
することが好ましい。しかし、Wを0.8%を超えて含
有させても前記の効果は飽和するのでコストのみが上昇
し、経済性を損うことになる。したがって、Wの含有量
を0.8%以下とした。なお、Wを添加する場合、その
含有量は0.1%以上とすることが一層好ましい。
【0039】V:Vも添加しなくても良い。添加すれば
強度を高める効果を有する。この効果を確実に得るに
は、Vは0.005%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、0.50%を超えて含有させても前記の効
果は飽和し、コストのみが上昇して経済性を損う。更
に、熱間加工性の劣化を招く。したがって、Vの含有量
を0.50%以下とした。
【0040】Nb:Nbは添加しなくても良い。添加す
れば強度を高める効果を有する。この効果を確実に得る
には、Nbは0.003%以上の含有量とすることが好
ましい。しかし、0.17%を超えて含有させても前記
の効果は飽和し、コストのみが上昇し経済性を損うこと
になる。更に、熱間加工性の劣化を招くようになる。し
たがって、Nbの含有量を0.17%以下とした。な
お、安定した熱間加工性を確保するためには、Nb含有
量の上限を0.10%とすることが好ましい。
【0041】Ti、Zr:Ti、Zrは本発明において
重要な元素であって、それぞれC及びSと結合してTi
炭硫化物やZr炭硫化物を形成し、被削性を高める作用
を有する。
【0042】TiとZrの含有量に関し、Ti(%)+
Zr(%)の値が0.20%を超えると前記の作用が充
分に発揮されて被削性が大きく高まるとともに、熱間鍛
造した一体成形材の常温分割面を容易にフラットな脆性
破面とすることができる。一方、Ti(%)+Zr
(%)の値で0.50%を超えるTiとZrを含有させ
ても、被削性向上効果は高まるものの、常温での破壊特
性に変化が見られずコストが嵩む。なお、Ti(%)+
Zr(%)の値が0.20%を超えて0.50%以下で
ありさえすれば良いので、必ずしもTiとZrを複合し
て含有させる必要はない。Zrを添加しない、つまりT
iを単独で添加する場合に、Tiを0.50%を超えて
含有させても常温での破壊特性に変化が見られずコスト
が嵩むばかりとなる。逆に、Tiを添加しない、つまり
Zrを単独で添加する場合に、Zrを0.50%を超え
て含有させても常温での破壊特性に変化が見られずコス
トが嵩むばかりとなる。したがって、本発明にあって
は、TiとZrの含有量をいずれも0.50%以下で、
且つ、Ti(%)+Zr(%)の値を0.20%を超え
て0.50%以下とした。
【0043】B:Bは添加しなくても良い。添加すれば
鋼の焼入れ性を向上させて強度を高める効果がある。こ
の効果を確実に得るには、Bは0.0003%以上の含
有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.
010%を超えると、焼入れ性向上効果が飽和するばか
りか、熱間加工性が著しく劣化するようになる。したが
って、Bの含有量を0.010%以下とした。
【0044】Al:Alは添加しなくても良い。添加す
れば鋼の脱酸を促進する作用を有する。この効果を確実
に得るには、Alは0.005%以上の含有量とするこ
とが望ましい。しかし一方では、Alの含有量が低いほ
ど脆性破壊が促進される。Cの含有量が0.70%を超
え、しかも、TiとZrの含有量の和が0.20%を超
える非調質鋼材においては、Alの含有量が0.06%
未満の場合に、前記したような常温での分割方法でフラ
ットな脆性破面が得易くなる。したがって、Alの含有
量を0.06%未満とした。なお、Ti炭硫化物やZr
炭硫化物のサイズと清浄度(TiとZrを複合添加する
場合にはTi炭硫化物とZr炭硫化物の清浄度の和)で
表される量を後述の所定の値とするためには、TiやZ
rの酸化物が過剰に生成することを防ぐことが重要であ
る。このため、Siを添加しない場合には、少なくとも
0.005%のAlを含有させることとするのが良い。
【0045】N:本発明においてはNの含有量は低いほ
ど良い。すなわち、NはTiやZrとの親和力が大きい
ために容易にTiやZrと結合してTiNやZrNを生
成し、TiやZrを固定してしまうので、Nを多量に含
有する場合には前記したTi炭硫化物やZr炭硫化物の
被削性向上効果が充分に発揮できないこととなる。特
に、TiやZrの含有量が低めの場合には、N含有量の
影響が顕著となる。更に、粗大なTiNやZrNは被削
性を低下させてしまう。N含有量が0.008%以下
で、且つ前述の式で表されるfn2が0%を超える場
合に前記したTi炭硫化物とZr炭硫化物の効果が確保
される。更に、Nの含有量が低いほど脆性破壊が促進さ
れ、Nの含有量が0.008%以下の場合に、前記した
ような常温での分割方法でフラットな脆性破面が得易く
なる。したがって、Nの含有量を0.008%以下とし
た。なお、Ti炭硫化物とZr炭硫化物の効果を高める
とともに、常温での分割特性を一層高めるために、N含
有量の上限は0.006%とすることが好ましい。
【0046】Pb:Pbは添加しなくても良い。添加す
れば、ボルト穴加工時の被削性を高める効果を有する。
この効果を確実に得るには、Pbは0.01%以上の含
有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.
30%を超えると熱間加工性が劣化して熱間圧延時や熱
間鍛造時に割れの発生を招く。したがって、Pbの含有
量を0.30%以下とした。
【0047】Ca:Caは添加しなくても良い。添加す
れば、鋼の被削性を大きく高める作用がある。この効果
を確実に得るには、Caは0.001%以上の含有量と
することが好ましい。しかし、その含有量が0.10%
を超えると前記の効果が飽和してコストが嵩むばかり
か、熱間加工性の低下をきたす。したがって、Caの含
有量を0.10%以下とした。
【0048】fn1:Cの含有量が0.70%を超え、
しかも、TiとZrの含有量の和が0.20%を超える
非調質鋼材の常温における破壊形態は前記式で表され
るfn1と相関を有し、fn1≦0%を満たす場合に脆
性破壊が促進され、熱間鍛造した一体成形材の常温分割
破面がフラットな脆性破面となり易く、前記したような
新しいプロセスによって、例えば、600MPa以上の
引張強度を有するコネクティングロッド本体及びコネク
ティングロッドキャップを製造することができる。した
がって、fn1の値が0%以下を満たすように規定し
た。
【0049】fn1の値の下限は特に制限されるもので
はなく、fn1から求められる下限値の−0.06%に
近い値であっても良い。
【0050】fn2:N含有量が0.008%以下で、
前述の式で表されるfn2が0%を超える値(fn1
=Ti+Zr−1.2S>0%)の場合に前記したTi
炭硫化物とZr炭硫化物の被削性向上効果が確保でき
る。fn2が0%以下の値(fn2≦0%)の場合に
は、S量が過剰となるため、その分MnSが過剰生成し
てTi炭硫化物とZr炭硫化物による被削性向上効果が
低下してしまう。したがって、本発明では式で表され
るfn2に関して0%を超える値(fn2>0%)と規
定した。このfn2の値の上限は特に規定されるもので
はなく、Ti(%)+Zr(%)の値が0.50%でS
が0.002%の場合の値であっても良い。
【0051】(B)Ti炭硫化物、Zr炭硫化物のサイ
ズと量 上記の化学組成を有する非調質鋼材の被削性をTi炭硫
化物やZr炭硫化物によって高めるとともに、熱間鍛造
した一体成形材の常温分割面を容易にフラットな脆性破
面とするためには、Ti炭硫化物やZr炭硫化物のサイ
ズと清浄度(TiとZrを複合添加する場合にはTi炭
硫化物とZr炭硫化物の清浄度の和)で表される量を適
正化しておくことが重要である。
【0052】鋼中のTi炭硫化物及びZr炭硫化物の最
大直径が10μmを超えると熱間鍛造した一体成形材の
常温分割面がフラットな脆性破面とならない場合があ
る。なお、Ti炭硫化物及びZr炭硫化物の最大直径は
いずれも7μm以下とすることが好ましい。Ti炭硫化
物とZr炭硫化物は、それらの最大直径が小さすぎると
被削性向上効果が小さくなってしまう。したがって、T
i炭硫化物とZr炭硫化物の最大直径の下限値は0.5
μm程度とすることが好ましい。
【0053】最大直径が10μm以下のTi炭硫化物及
びZr炭硫化物の量の和が清浄度で0.05%未満の場
合には、Ti炭硫化物及びZr炭硫化物による被削性向
上効果が発揮できない。したがって、Ti炭硫化物及び
Zr炭硫化物の最大直径が10μm以下で、且つその量
の和を清浄度で0.05%以上とした。なお、前記の清
浄度の和は0.08%以上とすることが好ましい。上記
のTi炭硫化物とZr炭硫化物の清浄度の和の値が大き
すぎると熱間加工性が低下する場合があるので、上記の
清浄度の和の上限値は2.0%程度とすることが好まし
い。
【0054】上記したようなTi炭硫化物とZr炭硫化
物の形態は基本的にはTi、Zr、S及びNの含有量で
決定される。しかし、Ti炭硫化物やZr炭硫化物のサ
イズと清浄度(清浄度の和)を上述の値とするために
は、TiやZrの酸化物が過剰に生成することを防ぐこ
とが重要である。このためには、鋼が前記(A)項で述
べた化学組成を有しているだけでは充分でない場合があ
るので、例えば、Si及びAlで充分脱酸し、最後にT
iやZrを添加する製鋼法を採れば良い。
【0055】なお、Ti炭硫化物とZr炭硫化物は、鋼
材から採取した試験片を鏡面研磨し、その研磨面を被検
面として倍率400倍以上で光学顕微鏡観察すれば、色
と形状から容易に他の介在物と識別できる。すなわち、
前記の条件で光学顕微鏡観察すれば、Ti炭硫化物及び
Zr炭硫化物の「色」は極めて薄い灰色で、「形状」は
JISのB系介在物やC系介在物に相当する粒状(球
状)として認められる。Ti炭硫化物及びZr炭硫化物
の詳細判定は、前記の被検面をEDX(エネルギー分散
型X線分析装置)などの分析機能を備えた電子顕微鏡で
観察することによって行うこともできる。
【0056】前記のTi炭硫化物やZr炭硫化物の清浄
度は、既に述べたように、光学顕微鏡の倍率を400倍
として、JIS G 0555に規定された「鋼の非金属介在物の
顕微鏡試験方法」によって60視野測定した値をいう。
なお、Ti炭硫化物やZr炭硫化物の最大直径も、倍率
が400倍の光学顕微鏡で60視野観察して調査すれば
良い。
【0057】(A)に記載の化学組成を有する鋼は、例
えば、上記したような方法で溶製された後、通常の方法
による熱間での圧延及び鍛造によって、コネクティング
ロッド本体1とコネクティングロッドキャップ2がつな
がった一体物に成形された後、切削加工によるボルト穴
の加工が施される。その後、コネクティングロッド本体
1及びコネクティングロッドキャップ2に前記したよう
な方法によって常温で分割される。なお、必要に応じて
当該一体物の分割しようとする部位である大端部穴の内
側(図1におけるN部)の少なくとも一部に0.5mm
R以下の切り欠きが設けられることもある。次いで、分
割されたコネクティングロッド本体1及びコネクティン
グロッドキャップ2はボルト3でクランクシャフトに結
合されて組み立てられる。
【0058】
【実施例】表1、表2に示す化学組成の鋼を真空溶解炉
を用いて溶製した。なお、鋼27を除いて、Ti酸化物
及びZr酸化物の生成を防ぐために、Si及びAlで充
分脱酸し種々の元素を添加した最後にTi、Zrを添加
して、Ti炭硫化物とZr炭硫化物のサイズと清浄度
(清浄度の和)を調整するようにした。鋼27について
は、Si及びAlで脱酸する際に同時にTi、Zrを添
加した。
【0059】表1における鋼1〜15は化学組成が本発
明で規定する範囲内にある本発明例であり、表2におけ
る鋼16〜27はその化学組成のいずれかが本発明で規
定する含有量の範囲から外れた比較例である。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】次いで、これらの本発明例に係る鋼及び比
較例に係る鋼を通常の方法によって鋼片とした後、12
50℃に加熱してから1200〜950℃の温度で直径
30mmの丸棒及び厚さ12mmで幅が60mmの鋼板
に熱間鍛造し、その後常温まで空冷した。
【0063】こうして得られた熱間鍛造ままの丸棒から
JIS4号試験片を切り出し、常温で引張試験を行っ
た。更に、常温引張試験後の破面の状態を走査型電子顕
微鏡(SEM)で観察した。
【0064】上記の熱間鍛造ままの丸棒からは、JIS G
0555の図1に則って試験片を採取し、鏡面研磨した幅が
15mmで高さが20mmの被検面を、倍率が400倍
の光学顕微鏡で60視野観察して、Ti炭硫化物及びZ
r炭硫化物を他の介在物と区分しながらその清浄度(清
浄度の和)も測定した。Ti炭硫化物及びZr炭硫化物
の最大直径も、倍率が400倍の光学顕微鏡で60視野
観察して調査した。
【0065】被削性評価のためのドリル穿孔試験も実施
した。すなわち、前記した熱間鍛造した厚さ12mmで
幅が60mmの鋼板を用いて、その厚さ方向に貫通孔を
開け、刃先摩損により穿孔不能となったときの貫通孔の
個数を数え、被削性の評価を行った。貫通孔の個数が1
000個に達したものはその時点で穿孔試験を中止し
た。穿孔条件は、JIS高速度工具鋼SKH51のφ8
mmストレ−トシャンクドリルを使用し、水溶性の潤滑
剤を用いて、穴の中心間隔10mm、送り0.15mm
/rev、回転数745rpmの条件で行った。
【0066】なお、熱間鍛造した直径30mmの丸棒及
び厚さ12mmで幅が60mmの鋼板の表面は目視で観
察して鍛造割れの有無を確認した。
【0067】表3に各種試験の結果を示す。なお、表の
「Ti、Zr炭硫化物」とした欄において、TiとZr
とを複合添加した場合には「最大直径」はいずれか大き
い方の炭硫化物の値であり、清浄度は清浄度の和を意味
する。
【0068】
【表3】
【0069】表3から明らかなように、化学組成及び最
大直径が10μm以下のTi炭硫化物及びZr炭硫化物
の清浄度(清浄度の和)が本発明で規定する範囲内にあ
る本発明例の試験番号1〜15の場合は、いずれも鍛造
割れを生ずることもなく、良好な被削性とともに、60
0MPa以上の引張強度が得られており、常温引張り試
験後の破面はすべてフラットな脆性破面であった。
【0070】これに対して、成分のいずれかが本発明で
規定する含有量の範囲から外れた比較例に係る鋼を用い
た試験番号16〜27のうち、Si量、Mn量、P量、
S量、V量、Nb量、B量及びPb量がそれぞれ規定値
に対して高目に外れた試験番号16〜23には熱間での
鍛造割れが認められた。
【0071】Ni量が本発明の規定値に対して高めに外
れた試験番号24では常温引張試験後の破面は延性破面
であった。
【0072】試験番号25においてはAl量とN量が本
発明の規定値に対して高めに外れるとともに前記式で
表されるfn1の値が本発明で規定した条件から外れる
ため、常温引張試験後の破面は延性破面であり、被削性
も劣っていた。
【0073】試験番号26の場合、N量が本発明の規定
値に対して高めに外れるとともに前記式で表されるf
n1の値が本発明で規定した条件から外れるため、常温
引張試験後の破面は延性破面であり、被削性も劣ってい
た。
【0074】試験番号27においては、Ti+Zrの値
が本発明の規定値に対して低めに外れるとともに、Al
量が本発明の規定値に対して高めに外れ、しかも前記
式で表されるfn1の値が本発明で規定した条件から外
れるため、常温引張試験後の破面は延性破面であった。
この試験番号27の場合、Ti+Zrの値が本発明の規
定値に対して低めに外れていることに加えて、前記式
で表されるfn2の値と「Ti、Zr炭硫化物」の量
(清浄度)も本発明で規定した条件から外れるため、被
削性も劣るものであった。
【0075】次いで、前記の表1に記載した本発明例に
係る鋼である鋼1及び鋼5を素材として通常の熱間鍛造
法によって、コネクティングロッド本体1とコネクティ
ングロッドキャップ2がつながった一体物を各々20体
ずつ熱間成形した。なお、各20体のうち5体には熱間
成形の後、図1のN部に0.3mmRの切り欠きを付け
た。次いで、前記した方法によって常温でコネクティン
グロッド本体1及びコネクティングロッドキャップ2へ
の分割テストを行った。この結果、鋼1と鋼5を素材鋼
とする各20体すべてにフラットな脆性破面が得られ、
切削加工による仕上げ整形なしで使用できることが分か
った。なお、いずれの場合にも切り欠きを付けた各5体
の分割は特に容易であった。
【0076】
【発明の効果】本発明による被削性に優れた低延性非調
質鋼材を用いれば、コネクティングロッド本体及びコネ
クティングロッドキャップをコストの低い新プロセスで
製造することが可能で、産業上の効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】コネクティングロッドの詳細を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.70%を超えて1.2
    0%以下、Si:1.50%以下、Mn:0.3〜2.
    0%、P:0.15%以下、S:0.002〜0.2
    %、Cu:0.2%以下、Ni:0.5%以下、Cr:
    0.02〜2.0%、Mo:0.50%以下、W:0.
    8%以下、V:0.50%以下、Nb:0.17%以
    下、Ti:0.50%以下、Zr:0.50%以下で、
    且つ、Ti(%)+Zr(%):0.20%を超えて
    0.50%以下、B:0.010%以下、Al:0.0
    6%未満、N:0.008%以下、Pb:0.30%以
    下及びCa:0.10%以下を含み、下記式で表され
    るfn1の値が0%以下、下記式で表されるfn2の
    値が0%を超え、残部はFe及び不可避不純物の化学組
    成で、更に、鋼中のTi炭硫化物及びZr炭硫化物の最
    大直径が10μm以下で、且つ、その量の和が清浄度で
    0.05%以上であることを特徴とする被削性に優れた
    低延性非調質鋼材。 fn1=Al+2N−0.06・・・・・ fn2=Ti+Zr−1.2S・・・・・ なお、上記式中の元素記号はその元素の重量%での含有
    量を表す。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008091214A1 (en) * 2007-01-26 2008-07-31 Sandvik Intellectual Property Ab Lead free free-cutting steel and its use
EP1961831A1 (en) 2003-01-17 2008-08-27 JFE Steel Corporation High-strength steel product excelling in fatigue strength and process for producing the same
US8152939B2 (en) 2003-03-18 2012-04-10 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Non-heat treated connecting rod and method of manufacturing the same

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