JP2004277556A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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JP2004277556A
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Michihisa Tasaka
道久 田坂
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Abstract

【課題】ポリ塩化ビニル系樹脂と同様に、塗布、スプレー塗装、回転成形、ディッピング成形等の粉体成形に使用可能な熱可塑性エラストマー組成物及びそれからなる粉体成形またはゾル成形用熱可塑性エラストマー組成物の提供。
【解決手段】(a)ASTM−D1238に準拠して測定したMFRが10dg/分以上で、極性基含有コモノマー含有量が10重量%以上である極性エチレン系共重合体10〜75重量部、及び(b)融点が140℃以下の無極性ポリオレフィン系重合体90〜25重量部を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いた粉体成形又はゾル成形用熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関し、特に、粉体化が容易で、塗布、スプレー塗装、回転成形、ディッピング成形など粉体成形またはゾル成形用途に使用可能で、金属接着性、塗装性も良好な熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、玩具用、化粧用またはエステティック用人形の人形顔用表皮、あるいは自動車内層部品の製造は、熱可塑性樹脂等の粉末スラッシュ成形法や回転成形法が広く採用されている。表皮材料に用いる熱可塑性樹脂としては、成形体表面に皮シボやステッチを設けることができて、ソフトな感触の成形体を得ることができるという理由から、ポリ塩化ビニル系樹脂およびそのゾルが使用されていた。
【0003】
近年、環境に関する世論の高まりから、ポリ塩化ビニル系樹脂忌避の流れがあり、該ポリ塩化ビニル系樹脂に代えて熱可塑性エラストマーまたはアクリルゾルが使用されるようになってきているが、スラッシュ成形法や回転成形法では、樹脂に与えられる剪断力が小さいために、金型全体に亘って均一な厚みを形成するよう、また0.6mm以下の細かい部分が造型できるように、溶融樹脂が良い流動性を有する必要がある。しかしながら、従来の熱可塑性エラストマーは、溶融樹脂の流動性が悪く、ポリ塩化ビニル系樹脂に比べて金型温度を相当高く、例えば、約300℃に設定しなければ、十分な流動性を得ることができない。そのため、金型を繰り返し加熱および冷却される結果、金属疲労によって金型が速く劣化するという問題があった。また、熱可塑性エラストマーの回転成形では、ポリ塩化ビニル系樹脂に対する可塑剤のように、室温ではゾル溶媒、熱処理によって柔軟剤として機能する適切な溶媒が存在しなかった。非芳香族系の可塑剤を用いる場合も、室温でゾル状態を維持する可塑剤量では、最終製品にブリードが発生したり機械特性を低下させるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決する方法として、例えば、塩化ビニル重合体とアクリル重合体を複合化することにより得られる新規なプラスチゾルが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。しかしながら、このプラスチゾルは、本質的に塩化ビニル重合体を含有するものであり、適切な燃焼条件でない場合や排煙処理装置が充分でない場合は、焼却時に有害なガスを排出することに関しては従来の塩ビゾルと何ら変わらないものであった。
【0005】
また、塩化ビニル重合体及び他のハロゲン系重合体を全く含有しないプラスチゾルとして、アクリル系重合体からなるプラスチゾルが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。ここで用いられている重合体は、均一構造粒子であるが、アクリル系重合体の場合、プラスチゾルの貯蔵安定性と塗膜の可塑剤保持性を均一構造粒子で実現することは不可能であり、該プラスチゾルは、実用レベルにおいては貯蔵安定性がきわめて悪いか、あるいは塗膜物性がきわめて悪くなる傾向にある。
【0006】
さらに、コアシェル構造粒子を用いたアクリル系プラスチゾルが提案され(例えば、特許文献5参照。)、アクリル系重合体に酸又は酸無水物を含有させた重合体が用いられている。しかしながら、特許文献5で提案されている重合体は、可塑剤に対する相溶性が低く、特にシェル部のメチルメタクリレートの共重合比率が高いために、フタル酸エステル系可塑剤のように極性の低い可塑剤を用いた場合には、可塑化状態が不良となり、良好な塗膜を得ることができない。
【0007】
また、同様にコアシェル構造粒子を用いたプラスチゾルが提案されている(例えば、特許文献6参照。)。ここではコアシェル構造粒子といっても、均一構造粒子を製造し、これを後にアルカリ加水分解処理を行うことによって、粒子のごく表層部のエステル基をカルボキシル基に変換するというものである。したがって、シェル部の厚みはきわめて薄く、実質的に粒子の体積の1%前後かそれ以下にすぎない。したがって、シェル部の役割として期待される貯蔵安定性の改良効果はきわめて低い。またアルカリ加水分解により導入されたシェル部は、酸価が非常に高くなっており、可塑剤に対する相溶性が非常に低く、成膜性を著しく低下させる。またこのような高酸価のシェル部は、プラスチゾル中で重合体粒子が構造粘性を作ることに寄与するため、プラスチゾルの粘度が高くなる等、作業性が低下するという弊害がある。
【0008】
さらに、組成の異なるモノマーを段階的に重合することにより、コアシェル構造を構成したコアシェル構造粒子を用いたプラスチゾルの他の例が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。ここでは、プラスチゾルの貯蔵安定性を発現するために可塑剤に対して非相溶性のシェルを用いており、多くの可塑剤に対して低い相溶性を示すメチルメタクリレートを80重量%以上共重合したシェルを用いている。しかしながら、相溶性がきわめて低いシェルは、貯蔵安定性においては有利であるが、ゾルの成膜性、得られる塗膜の強度、伸度、透明性、基材に対する密着性、防音性、制振性など各種性能において劣るという傾向を有し、特に可塑剤の保持性において劣るため、可塑剤のブリードアウトを発生しやすく、実用的ではない。
【0009】
基本的に可塑剤に対する相溶性を示すコア部と、可塑剤に対して非相溶性を示すシェル部とからなるコアシェル重合体を用いるコアシェル構造粒子を用いたごく基本的な性能を有するプラスチゾルのさらなる例が提案されている(例えば、特許文献8〜9参照。)。しかしながら、工業的に実用化するためには、きわめて高い物性が要求されることになり、その点においては特許文献8〜9により提案された重合体は、可塑剤との相溶性のバランスが最適化されておらず、貯蔵安定性及び塗膜の可塑剤保持性のいずれも低いレベルであり、工業的な実用化には不適当である。
【0010】
このように、プラスチゾルの最も基本的な性質である貯蔵安定性と可塑剤保持性を両立させるために、アクリルゾルについて種々の検討がなされているものの、塩ビゾル代替材料としてはいずれも満足な結果が得られず、工業的な実用レベルに達していないのが現状であった。
【0011】
また、上記塩化ビニル樹脂やアクリル系樹脂粉体の欠点を充分克服し、さらに粉体成形や特にゾル成形用に適した粉体化が可能な樹脂はほとんど存在しなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開昭60−258241号公報
【特許文献2】
特開昭61−185518号公報
【特許文献3】
特開昭61−207418号公報
【特許文献4】
特開平5−255563号公報
【特許文献5】
特開平5−279539号公報
【特許文献6】
特開平6−322225号公報
【特許文献7】
特開昭53−144950号公報
【特許文献8】
特開平7−233299号公報
【特許文献9】
特開平8−295850号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂と同様に、塗布、スプレー塗装、回転成形、ディッピング成形等の粉体成形やゾル成形に使用可能な粉体としうる熱可塑性エラストマー組成物及びそれからなる粉体成形またはゾル成形用熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、粉体化及び粉体またはゾル成形が容易な熱可塑性エラストマー組成物の検討を鋭意行ってきた結果、特定の極性基含有エチレン系共重合体と無極性ポリオレフィン系重合体を特定割合でブレンドした熱可塑性エラストマー組成物が、冷凍粉砕の粉砕粒径が小さく、粒径によっては機械粉砕が可能で、さらにスウェルが小さいことからマイクロペレット化も良好で、また180℃以下でも粉体成形やゾル成形が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、(a)ASTM−D1238に準拠し、測定したMFR(190℃、2.16kg荷重)が10dg/分以上で極性基含有コモノマー含有量が10重量%以上である極性エチレン系共重合体10〜75重量部、及び
(b)融点が140℃以下の無極性ポリオレフィン系重合体90〜25重量部
を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0016】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、(a)極性エチレン系共重合体が、(a−1)エチレン系アイオノマー樹脂、及び/又は(a−2)エチレンと下記式(I)又は、(II)で示されるモノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
CH=C(R)−COOR …(I)
CH=C(R)−OCOR …(II)
(式中、Rは水素又はメチル基を表し、Rは水素又は炭素数1〜10個のアルキル基を表す)
【0017】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、(a)極性エチレン系共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属系化合物(アイオノマー)のいずれかであることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0018】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、(b)無極性ポリオレフィン系重合体が、炭素数2〜10のα−オレフィンの単独重合体、またはそれらの共重合体であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0019】
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、さらに、(c)重量平均分子量が150、000以下の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体、または重量平均分子量が150、000以下の共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を、成分(a)と成分(b)の合計100重量部に対して、1〜50重量部含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0020】
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、粒径が10Tylerメッシュ(1.651mm)以下の粉体であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0021】
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる粉体成形用熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0022】
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明の熱可塑性エラストマー組成物からなるゾル成形用熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0023】
【発明の実施の態様】
1.熱可塑性エラストマー組成物
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、(a)極性エチレン系共重合体と(b)無極性ポリオレフィン系重合体、さらに必要に応じて、(c)水添ブロック共重合体等を含有する組成物である。以下に各構成成分を説明する。
【0024】
(a)極性エチレン系共重合体
本発明の熱可塑性エラストマー組成物で用いる(a)極性エチレン系共重合体は、(a−1)エチレン系アイオノマー樹脂、及び/又は(a−2)エチレンと式(I)又は(II)で示される単量体との共重合体である。
CH=C(R)−COOR …(I)
CH=C(R)−OCOR …(II)
(式中、Rは水素又はメチル基を表し、Rは水素又は炭素数1〜10個のアルキル基を表す)
【0025】
(a−1)エチレン系アイオノマー樹脂
エチレン系アイオノマー樹脂は、エチレン/α、β−不飽和カルボン酸共重合体又はエチレン/α、β−不飽和カルボン酸/α、β−不飽和カルボン酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部が金属イオンにより中和、架橋されているものである。
【0026】
中和前の上記エチレン共重合体中のエチレン単位の占める割合は、90重量%未満が好ましく、さらに好ましくは15重量%以上、90重量%未満、より好ましくは20〜60重量%であり、α、β−不飽和カルボン酸単位の占める割合は、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%であり、かつα、β−不飽和カルボン酸エステル単位を含む場合、その占める割合は、好ましくは15〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。
上記エチレン共重合体中のα、β−不飽和カルボン酸の割合が10重量%未満では、得られるエチレン系アイオノマー樹脂を用いた組成物の金属接着性や塗装性が損なわれ、70重量%を超えると、得られるエチレン系アイオノマー樹脂を用いた組成物の粉体化特性が低下する。また、α、β−不飽和カルボン酸エステル単位が上記の割合で存在することにより、得られるエチレン系アイオノマー樹脂を用いた組成物の金属接着性と塗装性という特性をさらに良好に発現することが可能となる。50重量%を超えると得られるエチレン系アイオノマー樹脂を用いた組成物の粉体化特性が低下する。
【0027】
上記共重合体を構成するα、β−不飽和カルボン酸としては、好ましくは炭素数3〜8個のものが使用され、より好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等が使用される。また、α、β−不飽和カルボン酸エステルとしては、好ましくは炭素数4〜8個のものが使用され、より好ましくはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸ブチル、フタル酸ジメチル等が使用される。α、β−不飽和カルボン酸として、特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸が使用され、α、β−不飽和カルボン酸エステルとして、特に好ましくはアクリル酸イソブチルが使用される。
【0028】
上記エチレン共重合体中のカルボキシル基のうち、金属イオンにより中和される割合(中和度)は、好ましくは5〜80%、より好ましくは10〜75%である。金属イオンによるカルボキシル基の中和度が5%未満では、得られるエチレン系アイオノマー樹脂を用いた組成物の粉体化特性が低下し、80%以上では、得られるエチレン系アイオノマー樹脂を用いた組成物の粉体化特性が低下なる。
【0029】
該金属イオンとしては、1〜3価の原子価を有する金属イオン、とくに元素周期律表におけるI、II、III、IV及びVII族の1〜3価の原子価を有する金属イオンである。例えば、Na、K、Li、Zn++等が挙げられる。これらの金属イオンは、2種以上の混合成分であってもよく、アンモニウムイオンとの混合成分であってもよい。これらの金属イオンの中で、特にZn++、Naが好ましい。
【0030】
(a−2)エチレンと式(I)又は(II)で示されるモノマーとの共重合体
CH=C(R)−COOR …(I)
CH=C(R)−OCOR …(II)
(式中、Rは水素又はメチル基を表し、Rは水素又は炭素数1〜10個のアルキル基を表す)
式(I)又は(II)で示されるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。
【0031】
(a−2)共重合体における、式(I)又は(II)で示されるモノマーの含有量は、10重量%以上であり、好ましくはエチレン20〜90重量%及び式(I)又は(II)で示されるモノマー80〜10重量%であり、より好ましくはエチレン50〜90重量%及び式(I)で示されるモノマー50〜10重量%であり、特に好ましくはエチレン60〜90重量%及び式(I)又は(II)で示されるモノマー40〜10重量%である。
式(I)又は(II)で示されるモノマーの含有量が10重量%未満では金属接着性、塗装性が悪化する。80重量%を超えた場合は、タック性が悪化するため、特に外観や触感にとらわれない用途に使用される。
【0032】
(a)極性エチレン系共重合体との具体例としては、好ましくはエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したエチレン系アイオノマー樹脂が挙げられる。中でもエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)が特に好ましい。
【0033】
また、極性エチレン系共重合体(a)のMFR(190℃、2.16kg荷重)は、10dg/分以上であり、好ましくは15〜60dg/分である。MFRが10dg/分未満であると、粉体化特性と成形性、塗装性が悪化する。MFRが60dg/分を超えると、機械特性が悪化する。
ここで、MFRは、ASTM−D1238(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定する値である。
【0034】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における、(a)極性エチレン系共重合体の配合量は、10〜75重量部であり、好ましくは15〜60重量部である。(a)成分の量が10重量部未満では、金属接着性、塗装性が悪化し、75重量部を超えると、タック性が悪化する。
【0035】
(b)無極性ポリオレフィン系重合体
本発明の熱可塑性エラストマー組成物で用いる(b)無極性ポリオレフィン系重合体は、炭素数2〜10のα−オレフィンの単独重合体、またはそれらの2種以上のオレフィンの共重合体である。炭素数2〜10のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1などを挙げることができる。
【0036】
(b)無極性ポリオレフィン系重合体の例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(耐衝撃ポリプロピレン、リアクターTPOを含む)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、ポリエチレン(高密度、中密度、低密度)、エチレン・α−オレフィン共重合体(線状低密度ポリエチレン、重合触媒は任意であるが、チーグラー系、メタロセン系等が挙げられる)等が挙げられる。
【0037】
また、上記無極性ポリオレフィン系重合体のDSC融解曲線の最も高い温度側のピークトップ融点は、140℃以下であり、好ましくは80〜130℃である。融点が140℃を超えると、成形性が悪化する。
ここで、ポリオレフィンの融点は、下記に示すDSC法に準拠して測定する値である。
【0038】
DSC測定条件
DSC220C(セイコー電子(株)製)を用いて、サンプル(試料:約20mg)とリファレンス(基準物質:アルミナ、約20mg)をそれぞれパン(アルミ容器)に入れてホルダーに設置し、窒素雰囲気で両者を同時に一定速度(10℃/分)で室温から200℃まで加熱する。次に200℃から室温まで−10℃/分で降温し得られた発熱ピークから結晶化温度Tcが得られる。再度、室温から200℃まで10℃/分で昇温し得られた吸熱ピークから融解温度Tmが得られ、Tmを融点とする。
【0039】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における、(b)無極性オレフィン系重合体の配合量は、90〜25重量部であり、好ましくは85〜40重量部である。(b)成分の量が25重量部未満では、タック性が悪化し、90重量部を超えると、金属接着性、塗装性が悪化する。
【0040】
(c)(水添)ブロック共重合体
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて、柔軟性を調整するために、(c)(水添)ブロック共重合体を含有することができる。
(c)(水添)ブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体(c−1)及び/又はそれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体(c−2)、または共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(c−3)を挙げることができる。
【0041】
(c−1)ブロック共重合体
ブロック共重合体(c−1)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体である。例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を挙げることができる。
【0042】
上記ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を5〜70重量%含むことが好ましい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは、芳香族ビニル化合物のみからなるか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と任意成分、例えば共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
【0043】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは、共役ジエン化合物のみからなるか、または共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と任意成分、例えば芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
【0044】
さらに、成分全体の重量平均分子量は、150,000以下であり、好ましくは30,000〜120,000である。重量平均分子量が150,000を超えると、成形性が悪化する。
また、分子量分布は10以下が好ましい。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0045】
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0046】
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0047】
上記ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SB)、スチレン−イソプレン共重合体(SI)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、等が挙げられる。
【0048】
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。
【0049】
(c−2)水添ブロック共重合体
水添ブロック共重合体成分(c−2)は、(c−1)の水素添加物であり、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体の水素添加物である。
【0050】
成分(c−1)の水素添加物にあって、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、その水素添加率は任意であるが、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。また、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。また、1,2−結合を選択的に水素添加した物であっても良い。ポリイソプレンブロックにおいてはイソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0051】
用途により水素添加したブロック共重合体を使用する場合には、上記水添物を用途に合わせて適宜使用することが出来る。
【0052】
また、重合体ブロックAは、成分全体の5〜70重量%の割合で存在するのが好ましい。さらに、成分全体の重量平均分子量は、150,000以下であり、好ましくは30,000〜120,000である。重量平均分子量が150,000を超えると、成形性が悪化する。
また、分子量分布は10以下が好ましい。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0053】
(c−2)成分の水添ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
【0054】
(c−3)共役ジエンブロック共重合体の水素添加物
共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(c−3)は、例えば、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。本発明においては、共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の重量平均分子量は、150,000以下であり、好ましくは30,000〜120,000である。重量平均分子量が150,000を超えると、成形性が悪化する。
【0055】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物における、(c)成分の配合量は、配合する場合は、成分(a)と成分(b)の合計100重量部に対して、1〜50重量部であり、好ましくは1〜20重量部である。(c)成分の量が50重量部を超えると、粉体化特性と成形性が悪化する。
【0056】
(d)その他の成分
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、アルミナ等の無機充填剤、発泡剤(有機系、無機系、マイクロカプセル系)、難燃剤(水和金属化合物、赤燐、ポリりん酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン)などを配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
また、発泡剤(化学発泡、マイクロカプセル)としては、(a)100重量部に対して、0.01〜3重量部の範囲で添加し、成形品を軽量化することも可能であり、発泡剤としては、塩化ビニリデン・アクリロニトリルコポリマーを外殻とし、イソブタンを内包した熱膨張性マイクロカプセルであるエクスパンセル(エクスパンセル社製)が好ましい。
【0057】
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ゾル成形を行う場合には、ゾル成形用溶媒と混合して使用しても良い。ゾル成形用溶媒は、熱可塑性エラストマー組成物と混合することにより混合物がゾル状となる溶媒である限り、とくに限定されない。
【0058】
2.熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)と(b)、必要に応じて、その他の成分を加えて、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて各成分が溶融する温度で混練することによりペレットとして製造される。溶融混練の方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、単軸押出機、二軸押出機等を使用し得る。
【0059】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、粉体化が容易で塗布、スプレー塗装、回転成形、ディッピング成形などの粉体成形で用いることができる。粉体成形に用いる熱可塑性エラストマー組成物の粉体は、通常のペレットを、冷凍粉砕、化学粉砕、機械粉砕、細孔ダイスと水中カットにより得られるマイクロペレット化などによって加工される。なお、マイクロペレット化の場合は、成分(a)、(b)、その他の成分を加えて製造する熱可塑性エラストマー組成物を得る際に、ダイスとして0.3〜0.5mm径のダイスを用いることにより一工程で製造することができる。
【0060】
また、熱可塑性エラストマー組成物の粉体は、回転成形等に用いるためには、その粒径は、10Tylerメッシュ(1.651mm)以下が好ましく、より好ましくは14〜100Tylerメッシュ(1.168〜0.147mm)である。粒径が10Tylerメッシュ以上では、ゾル安定性と成形性が悪化する。
【0061】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びその粉体は、金属接着性、塗装性が良好で、塗布、スプレー塗装、回転成形、ディッピング成形、粉体成形用途に使用可能である。
【0062】
また、上記熱可塑性エラストマー組成物の粉体は、ゾル成形用溶媒とともに混合し、各種ゾル成形法(塗布、スプレー塗装、回転成形、ディッピング成形等)にて成形することができる。ゾル成形用溶媒は、任意であるが上記熱可塑性エラストマー組成物粉体と混合することにより混合物がゾル状となることが必要である。
【0063】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上述のように、粉体成形またはゾル成形用途に使用可能であり、得られる成形体は金属接着性、塗装性が良好であるので、その成形体としては、次に示す種々の分野の製品に適している。
【0064】
自動車分野においては、自動車のインストルメントパネル、コンソールボックス、アームレスト、ヘッドレスト、ドアトリム、リアパネル、ピラートリム、サンバイザー、トランクルームトリム、トランクリッドトリム、エアーバック収納ボックス、シートバックル、ヘッドライナー、グローブボックス、ステアリングホイールカバー、天井材などの内装表皮材、キッキングプレート、チェンジレバーブーツ、天井材などの内装成形体、スポイラー、サイドモール、ナンバープレートハウジング、ミラーハウジング、エアダムスカート、マッドガードなどの自動車外装部品の成形体やボディーのアンダーコート等に適する。
【0065】
家電・OA機器分野においては、テレビ、ビデオ、洗濯機、乾燥機、掃除機、クーラー、エアコン、リモコンケース、電子レンジ、トースター、コーヒーメーカー、ポット、ジャー、食器洗い器、電気カミソリ、ヘアードライヤー、マイク、ヘッドホーン、ビューテイー器具、CD・カセット収納箱、パーソナルコンピューター、タイプライター、映写機、電話、コピー機、フアクシミリ、テレックスなどのハウジングおよび該ハウジングの表皮材に適する。
【0066】
スポーツ用品分野においては、スポーツシューズ装飾部品、各種球技のラケット・スポーツ機器・用品のグリップ、自転車・二輪車・三輪車のサドル表皮材およびハンドルグリップなどに適する。
【0067】
建築・住宅分野において、家具・机・椅子などの表皮材、門・扉・塀などの表皮材、壁装飾材料・天井装飾材料・カーテンウォールの表皮材、台所・洗面所・トイレなどの屋内用床材、ベランダ・テラス・バルコニー・カーポートなどの屋外用床材、玄関マット・テーブルクロス・コースター・灰皿敷などの敷物に適する。
【0068】
工業用品分野においては、電動工具類のグリップ・ホースおよびその表皮材、パッキング材料に適する。
【0069】
それ以外にも、かばん、ケース類・フアイル・手帳・アルバム・文房具・カメラボディー・OAサプライ品・人形やその他玩具等の表皮材、また、時計バンドなどの成形体、額の外枠およびその表皮材に適している。
【0070】
上記用途の中でも自動車内外装部品用(ボディーアンダーカバー用、内装カバーリング材用、表皮用等)、玩具用、化粧用、人形顔表皮用、装飾柱用、コンテナ用、電機部品用(絶縁カバー用、保護膜用等)、電気工具用、ロール用、ドラム用、エンドレスベルト用、防水布用、床材用、壁材用、鋼板コート材用、レザー用、缶コート用、マーキングフィルム、王冠シール用、手袋用(炊事用、医療用、ディスポ用)、オーバーシューズ用、カヌーなどスポーツ用等におけるゾル成形製品に特に有用である。
【0071】
【実施例】
以下、実施例、比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた評価方法及び原料は以下の通りである。
【0072】
1.評価方法
(1)粉砕性:サンプル粉砕機SAM−0((株)奈良機械製作所製)を用いて液体窒素雰囲気で約3mm径ペレットの粉砕を1回行い、標準ふるい(12Tylerメッシュ(1.40mm)、22Tylerメッシュ(710μm)、30Tylerメッシュ(500μm)、42Tylerメッシュ(355μm)、60Tylerメッシュ(250μm)、100Tylerメッシュ(150μm)、200Tylerメッシュ(75μm))を用いて得られた粉体の最大粒径を求めた。
(2)マイクロペレット形状:二軸押出機TEM−35BH(東芝機械(株)製)にマイクロペレタイザーラボユニット(LPU)(Gala Industry社製)を取り付け、0.3mmダイスと0.5mmダイスを用いて、混練温度140〜160℃設定で得られたペレットの粒径を求めた。
(3)硬さ:JIS K 6253に準拠して測定した。試料は160×130×6.3mm厚のプレスシート(プレス温度180℃、予熱2分、加圧1分)を用いて測定を行った。
(4)引張強さ、100%モジュラス、伸び:JIS K 6251に準拠し測定した。試料は160×130×2.0mm厚のプレスシート(プレス温度180℃、予熱2分、加圧1分)を用い、試験片は3号ダンベルとした。
(5)粉体成形性:直径50mmの円内に粉体5gを散りばめた1mm厚のクロムメッキ鋼シートを180℃に加熱したホットプレート上に5分間放置し、溶解状態を次の基準で評価した。
○:気泡、ピンホール、艶むらがない。
△:気泡、ピンホール、艶むらはないが、取り出し時に破れが生じる。
×:気泡、ピンホール、艶むらが存在したり、破れがある。
(6)金属接着性:(5)粉体成形性で得られた円形フィルムとクロムメッキ鋼シートの接着性を次の基準で評価した。
○:フィルムとクロムメッキ鋼シートが界面で材料破壊する。
△:フィルムを引張れば徐々に剥離する。
×:フィルムが容易に剥離する。
(7)塗装性:(5)粉体成形性で得られた円形フィルムにMr.サーフェイサー1000スプレー((株)GSIクレオス製)を適量噴きつけ、室温で1時間放置して乾燥させた後、Mr.カラー 2 ブラック((株)GSIクレオス製)を適量塗布して、室温で24時間乾燥させ、フィルムと塗膜の接着性を次の基準で評価した。
○:フィルムと塗膜が界面で材料破壊する。
△:塗膜を引張れば徐々に剥離する。
×:塗膜が容易に剥離する。
(8)タック性:(5)粉体成形性で得られた円形フィルムをA4紙上に置いてタック性を次の基準で評価した。
○:人差指でフィルムを押した時、指に着かず、指紋も着かない。
△:人差指でフィルムを押した時、指に着かないが、指紋が着く。
×:人差指でフィルムを押した時、指に着き、指紋も着く。
【0073】
2.使用原料
(a−1)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA−1):エバフレックスEV−150(三井・デュポンポリケミカル(株)製)、MFR(190℃、2.16kg):30dg/分、VA含有量:33wt%、硬さ:66(ShoreA)
(a−2)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA−2):エバフレックスEV−170(三井・デュポンポリケミカル(株)製)、MFR(190℃、2.16kg):1.0dg/分、VA含有量:33wt%、硬さ:69(ShoreA)
(a−3)エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA):NUCコポリマーNUC−3025(三井・デュポンポリケミカル(株)製)、MFR(190℃、2.16kg):15dg/分、EA含有量:6wt%、硬さ:95(ShoreA)
(b−1)線状低密度ポリエチレン(PE):Engage EG8401(Dupont Dow Elastomer社製)、融点:80℃、比重:0.885、硬さ:85(ShoreA)、ムーニー粘度ML1+4(121℃):5以下、重量平均分子量:100,000
(b−2):シンジオタクティック(s−PP):FINAPLAS 1751(ATOFINA社製)、融点:130℃、比重:0.87、曲げ弾性率:400(MPa)、MFR(230℃、2.16kg):20g/10分
(b−3):Cataloyプロセスで重合されたリアクターTPO(TPO):Adflex X500F(サンアロマー社製)、融点:162℃、比重:0.89、曲げ弾性率:470(MPa)、MFR(230℃、2.16kg):9g/10分
(b−4):プロピレン樹脂(PP):J739E(グランドポリマー社製)、融点:162℃、比重:0.90、曲げ弾性率:1380(MPa)、MFR(230℃、2.16kg):54g/10分
(c)水添ブロック共重合体(SEPS):SEPS2002((株)クラレ製)、PS含有量:30wt%、数平均分子量:50、000、重量平均分子量:65、000
(d)ヒンダードフェノール/フォスファイト/ラクトン系複合酸化防止剤(Antioxidant):HP2215(商標;チバスペシャリティケミカルズ社製)
【0074】
実施例1〜3、比較例1〜6
表1に示す成分比で、成分(a)と(b)、必要に応じて成分(c)、(d)を加え、二軸押出機で混練温度160℃で溶融ブレンドを行って得られた熱可塑性エラストマー組成物の3mm径ペレットを得た。さらに、得られたペレットを、サンプル粉砕機で冷凍粉砕を行って粉体を得た。また、二軸押出機を用いてマイクロペレット化も行った。得られた組成物の物性と形状を測定した。その結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
Figure 2004277556
【0076】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、粉体成形性、金属接着性、塗装性、タック性に優れた組成物であった(実施例1〜3)。一方、成分(a)の量が少なすぎる(成分(b)が多すぎる)組成物は、金属接着性と塗装性が悪化し(比較例1)、成分(a)の量が多すぎる(成分(b)が少なすぎる)組成物は、タック性が悪化した(比較例2)。また、成分(b)の融点の高すぎる組成物は、硬さと伸びに劣り、粉体成形性が悪化し(比較例3及び4)、成分(a)のMFRが低く過ぎる組成物は、粉体成形性、金属接着性及び塗装性が悪化し(比較例5)、成分(a)のコモノマーの含有量が少な過ぎる組成物は、金属接着性及び塗装性が悪化した(比較例6)。
【0077】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は粉体化が容易であり、その粉体は、金属接着性、塗装性が良好で、ポリ塩化ビニル系樹脂と同様に、塗布、スプレー塗装、回転成形、ディッピング成形等の粉体成形用途に使用可能で表皮材、自動車内装材等として用いることのできる有用な材料である。

Claims (8)

  1. (a)ASTM−D1238に準拠し、測定したMFR(190℃、2.16kg荷重)が10dg/分以上で、極性基含有コモノマー含有量が10重量%以上である極性エチレン系共重合体10〜75重量部、及び
    (b)融点が140℃以下の無極性ポリオレフィン系重合体90〜25重量部
    を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. (a)極性エチレン系共重合体が、(a−1)エチレン系アイオノマー樹脂、及び/又は(a−2)エチレンと下記式(I)又は、(II)で示されるモノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    CH=C(R)−COOR …(I)
    CH=C(R)−OCOR …(II)
    (式中、Rは水素又はメチル基を表し、Rは水素又は炭素数1〜10個のアルキル基を表す)
  3. (a)極性エチレン系共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属系化合物(アイオノマー)のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. (b)無極性ポリオレフィン系重合体が、炭素数2〜10のα−オレフィンの単独重合体、またはそれらの共重合体であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. さらに、(c)重量平均分子量が150,000以下の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも1個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体、または重量平均分子量が150,000以下の共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を、成分(a)と成分(b)の合計100重量部に対して、1〜50重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 粒径が10Tylerメッシュ(1.651mm)以下の粉体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる粉体成形用熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるゾル成形用熱可塑性エラストマー組成物。
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