JP2004277068A - フォークリフトのサスペンション装置 - Google Patents

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Wataru Kumada
亙 熊田
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Abstract

【課題】ストラドルアーム内にコンパクトに収納でき、且つ路面の凸凹等による車体の振れを効果的に緩和できる、フォークリフトのサスペンション装置を提供する。
【解決手段】オーダーピッキングトラックの車体1から突設されるストラドルアーム2が中空状に形成されると共に、ストラドルアーム2内に、車輪21を回転自在に支持するサスペンションアーム22が設けられ、サスペンションアーム22が、車輪21よりも車体1側を支点として上下に揺動可能に設けられる。又、ストラドルアーム2内に、サスペンションアーム22とストラドルアーム2との間に介設され、ストラドルアーム2の突設方向に伸縮可能なスプリング29を備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はストラドルアームを有するフォークリフトに関し、特にはストラドルアームに車輪を懸架する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
荷役作業に用いられるフォークリフトのうちには車体の一方に突設されるストラドルアームを備えるものがあり、この種のフォークリフトとしては、例えばリーチ式フォークリフトがある。リーチ式フォークリフトでは、車体から車体前方に突設された左右一対のストラドルアームに沿ってフォークを備えたマストが進退動作するようにされており、ストラドルアームにはそれぞれ前輪が回転自在に支持される。
【0003】
従来、ストラドルアームに前輪を支持する構造としては、ストラドルアーム内に固定された車軸に軸受を介して前輪を嵌合するものが採用されているが、これによれば、凸凹のある路面上を走行すると車体が振動し、極めて乗り心地が悪いという問題がある。そこで、リーチ式フォークリフトにおいては、例えば下記文献に示すように、上下に伸縮するバネを利用したサスペンション機構により前輪を上下動可能に設ける技術が開発されている。
【0004】
【特許文献1】
実開平4−130294号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のバネが上下方向に伸縮するサスペンション機構では、路面上の大きな凸凹に対して振動を充分に緩和できるようにするにはバネの伸縮ストロークを多く確保することが必要となる。しかし、このようにすると、ストラドルアームの高さ寸法が増大することになり、車両が大型化してしまうという問題がある。又、リーチ式フォークリフトと同様にオーダーピッキングトラックもストラドルアームを備えるフォークリフトであるから、オーダーピッキングトラックにおいても上記のサスペンション機構を設けることが考えられるが、オーダーピッキングトラックはストラドルアームの上方に昇降する運転台が配される構造であるため、ストラドルアームの高さ寸法が増大すると運転台の高さも高くなり、運転台への乗降性が悪化するという更なる問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、ストラドルアーム内にコンパクトに収納でき、且つ路面の凸凹等による車体の振れを効果的に緩和できる、フォークリフトのサスペンション装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、車体から突設されたストラドルアームに車輪を懸架するフォークリフトのサスペンション装置であって、上記ストラドルアームが中空状に形成されると共に、該ストラドルアーム内に、上記車輪を回転自在に支持するサスペンションアームが設けられ、該サスペンションアームが、上記車輪よりも上記車体側を支点として上下に揺動可能に設けられることを特徴とする構成としている。
【0008】
これによれば、サスペンションアームが上下に揺動することで、路面の凸凹に応じて車輪とストラドルアームとの相対位置が変化し、ストラドルアームの路面に対する上下方向位置は維持される。従って、ストラドルアーム、延いては車体が上下に振れることが緩和され、運転者の乗り心地が改善されると共に、フォークにて掬い上げられた荷物に振動が伝わり荷崩れを起こすといったことが防止される。又、サスペンションアームが、車輪よりも車体側を支点として上下に揺動するので、車輪上方のスペースがサスペンションアームによって広く占有されることを防止でき、車輪が大きく上下動できるようサスペンションアームの揺動範囲を設定しても、ストラドルアームの高さ寸法が増大することを抑え、コンパクトに構成することができる。尚、本発明において、ストラドルアーム内にサスペンションアームが設けるとは、サスペンションアーム全体が常にストラドルアーム内のスペースに位置するということに限定されるものではない。
【0009】
本発明においては、サスペンションアーム自体の弾性作用により振れを緩和することができるが、その他にも、ストラドルアーム内に、サスペンションアームとストラドルアームとの間に介設されるスプリングを備える構成とすることができる。この場合には、スプリングがストラドルアームの突設方向に伸縮可能に配設されることが好ましく、このようにすれば、スプリングの伸縮ストロークを大きく確保してもストラドルアームの高さ寸法が増大することを抑えることができる。尚、スプリングとしては、コイルスプリングやゴムスプリング、ガススプリングなど弾性手段として一般に知られているものを用いることができる。
【0010】
ところで、本発明において、より効果的に振れを緩和するために、ストラドルアーム内に、サスペンションアームとストラドルアームとの間に介設されるショックアブソーバを備える構成とすることができる。ここで、ショックアブソーバをストラドルアームの突設方向に伸縮可能に配設すれば、ショックアブソーバの伸縮ストロークを大きく確保してもストラドルアームの高さ寸法が増大することを抑えることができるので好ましい。尚、ショックアブソーバとしては、減衰力一定のもの、減衰力可変式のものなどを採用することができる。
【0011】
又、本発明において、サスペンションアームの揺動、つまり車輪の上下動を制御するために、ストラドルアーム内に、サスペンションアームとストラドルアームとの間に介設されるサスペンション規制装置を備える構成とすることができる。この種のサスペンション規制装置としては、例えばロックバルブが付設される油圧シリンダが挙げられるが、サスペンション規制装置をストラドルアームの突設方向に伸縮可能に配設し、サスペンション規制装置の伸縮動作を阻止して(例えばロックバルブで作動油の流れを遮断して)サスペンションアームの上下揺動を規制することができる。尚、サスペンション規制装置を構成するロックバルブと油圧シリンダとが別体とされ、これらが油圧配管にて接続される場合には、油圧シリンダをストラドルアームの突設方向に伸縮可能に配設し、ロックバルブはストラドルアーム内のスペースに固定すればよい。
【0012】
尚、上記のサスペンション規制装置に代えて、ストラドルアーム内に、サスペンションアームとストラドルアームとの間に介設されるサスペンション作動装置を備える構成とすることができ、サスペンション作動装置をストラドルアームの突設方向に伸縮可能に配設し、サスペンション作動装置を伸縮動作させてサスペンションアームを強制的に上下揺動させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をフォークリフトの一種であるオーダーピッキングトラックに適用した実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
本実施形態のオーダーピッキングトラックは、図1に示すように、主に車体1と、車体1後部から後方へ突設される左右のストラドルアーム2と、車体1後部に立設されるマスト3と、このマスト3に沿って昇降可能な運転台4とからなっており、左右のストラドルアーム2の突設方向は、車体1前後方向とされている。又、後述するように、車体1に前輪12を備え、ストラドルアーム2に後輪21を備える。
【0015】
図1に示すように、運転台4上部には、運転者を上方から保護するためのヘッドガード5が設けられ、運転台4の下部には、荷物を掬い取るための一対のフォーク6が設けられている。運転台4壁部には、このオーダーピッキングトラックを操縦するためのステアリングハンドル7や操作ボックス8が設けられ、又、運転台4上の運転者を側方から保護するためのサイドガード9及びバックガード10が設けられている。更に、運転台4の床部には、車体1に設けられたデッドマン式ブレーキ装置(図示せず)を操作するためのブレーキペダル11が設けられている。
【0016】
又、図1に示すように、車体1の前部中央には駆動輪と操舵輪とを兼ねた前輪12が配され、この前輪12がステアリングハンドル7や操作ボックス8の操作に応じて走行駆動装置(図示せず)により駆動されることで、オーダーピッキングトラックの走行及び操舵がなされる。又、ブレーキペダル11により操作されるブレーキ装置により前輪12が制動されて、オーダーピッキングトラックが減速、停止する。
【0017】
ところで、各ストラドルアーム2には、図1に示すように、サスペンション装置20を介して後輪21が懸架されており、本実施形態のオーダーピッキングトラックは、一つの前輪12と二つの後輪21とを備える。図2に示すように、ストラドルアーム2は、下板2aと、内側板2bと、上板2cと、外側板2dとで構成される縦断面視ロ字形の中空形状とされている。但し、後輪21が設けられる後端部については、下板2aが切り欠かれ、縦断面視が下向きに開口されたコ字形である。又、両側板2b、2dの後端部には、シャフト24が挿入される貫通孔が設けられており、内側板2bの前端部、つまり車体1側端部には、ピン28が挿入される貫通孔が設けられている。
【0018】
本実施形態に係るサスペンション装置20は、図2に示すように、主に後輪21を回転自在に支持するサスペンションアーム22と、サスペンションアーム22を上下に揺動可能に支持するシャフト24と、ストラドルアーム2とサスペンションアーム22との間に介設されるショックアブソーバ26並びにコイルスプリング29とからなる。
【0019】
サスペンションアーム22は、図2ないし図4に示すように、左右一対の側面視L字形の支持部22a,22aを連結部22bで結合した平面視H字形に形成されており、両支持部22a,22aの間が連結部22bを境にして前方及び後方へ向けて開放された形状とされている。又、左右の支持部22a,22aには、それぞれL字の長手側端部、角部、及び短手側端部の計3ヶ所に貫通孔が形成されており、長手側端部の貫通孔には車軸23が、角部の貫通孔にはシャフト24が、短手側端部の貫通孔にはピン25が挿入される。
【0020】
車軸23は、円柱状に形成されており、図3に示すように、左右の支持部22a,22aの貫通孔に水平に挿入された状態で、図示しない抜け止め用ビスにより、左右の支持部22a,22aに対し相対回転不能、且つ軸方向へ移動不能に固定される。このとき、車軸23には、ベアリングを介して後輪21が支持され、これにより後輪21が回転自在に設けられる。尚、サスペンションアーム22は、支持部22aの長手側を後方に向けた状態でストラドルアーム2に設けられるので、後輪21は、連結部22bよりも後方で、車軸23を介して両支持部22a,22aに支持される。
【0021】
上記のように、サスペンションアーム22は支持部22aの角部に設けられた貫通孔にシャフト24が挿入されることで、ストラドルアーム2に設けられる。シャフト24は、図2及び図3に示すように、円柱状の軸部24aとこの軸部24aの一端に設けられる矩形状の板部24bとからなり、ストラドルアーム2の内側板2b側から軸部24aが挿入される。つまり、軸部24aは、内側板2b、左右の支持部22a,22a、外側板2dの順でそれぞれに設けられた貫通孔に水平に挿入され、一方、板部24bは内側板2bに例えばボルト(図示せず)により固定される。これにより、シャフト24は、ストラドルアーム2に対し相対回転不能とされ、又、軸方向への移動並びに抜け落ちが阻止される。従って、サスペンションアーム22はシャフト24周りに揺動可能であり、支持部22aの長手側が上下に揺動することにより、これに支持される後輪21も上下動する。尚、このとき、支持部22aの長手側を後方に向けた状態とされるので、図3に示すように、シャフト24は後輪21よりも前方、つまり車体1側に位置することになり、サスペンションアーム22の揺動の支点も後輪21よりも車体1側に位置することになる。
【0022】
ところで、サスペンションアーム22とシャフト24との間には、樹脂製のブッシュなどを介在させて、サスペンションアーム22の揺動の円滑化と、サスペンションアーム22からシャフト24へ伝わる振動及び衝撃の緩和とを図ることが好ましい。同様に、サスペンションアーム22とストラドルアーム2の両側板2b,2dとの間にも、樹脂製のスペーサなどを介在させることが好ましい。
【0023】
ショックアブソーバ26は、図2に示すように、ストラドルアーム2の後端側でサスペンションアーム22にピン25を介して連結されるロッド26aと、ストラドルアーム2の前端側にピン28を介して連結されるシリンダ26bとからなり、サスペンションアーム22とストラドルアーム2との間に、車体1前後方向、つまりストラドルアーム2の突設方向へ伸縮可能に介設される。シリンダ26bには圧力室と、この圧力室とオリフィスを介して連通されるアキュムレータとが内蔵されており、例えば、ロッド26aに衝撃的な力が作用してロッド26aがシリンダ26bへ押し込まれる、つまり短縮動作すると、ロッド26aのシリンダ26b側端に設けられたピストンが圧力室内の作動油を圧縮する。圧縮された作動油はオリフィスを通ってアキュムレータへ内と流入するが、このときの抵抗により衝撃力が緩和される。尚、ロッド26aのシリンダ26bへ押し込み可能な長さは予め規定されており、この規定長さを越えてロッド26aが押し込まれショックアブソーバ26が短縮することが阻止されている。同時に、ロッド26aのシリンダ26bからの抜け止めも行われており、これらによりショックアブソーバ26の伸縮可能な範囲が限定されている。
【0024】
ロッド26aは、図4に示すように、シリンダ26bとは反対側、つまり後側に設けられた突片がサスペンションアーム22の左右の支持部22a,22aの間に位置する状態で、この突片に設けられた貫通孔及び両支持部22a,22aの貫通孔にピン25が水平に挿入されることで、サスペンションアーム22に連結される。ピン25は、円柱状に形成されており、図4に示すように、左右の支持部22a,22aの貫通孔に水平に挿入された状態で、図示しない抜け止め用ビスにより、両支持部22a,22aに対し相対回転不能、且つ軸方向へ移動不能に固定される。尚、ロッド26aに対してピン25は貫通孔に挿入されているだけであり、ロッド26aはピン25周りに揺動可能である。
【0025】
一方、図2に示すように、ストラドルアーム2の下板2a上には正面視コ字形のベース27が上向きに開口された状態で固定されており、ベース27にはピン28が挿入される貫通孔が設けられている。シリンダ26bは、図5に示すように、ロッド26aとは反対側、つまり前側に設けられた突片が上記のベース27により左右から挟まれる状態で、この突片に設けられた貫通孔、内側板2b及びベース27の貫通孔にピン25が水平に挿入されることで、ストラドルアーム2に連結される。ピン28は、図2及び図5に示すように、円柱状の軸部28aとこの軸部28aの一端に設けられる矩形状の板部28bとからなり、ストラドルアーム2の内側板2b側から軸部28aが挿入される。つまり、軸部28aは、内側板2b、ベース27、シリンダ26b、ベース27の順でそれぞれに設けられた貫通孔に水平に挿入され、一方、板部28bは内側板2bに例えばボルト(図示せず)により固定される。これにより、ピン28は、ストラドルアーム2に対し相対回転不能とされ、又、軸方向への移動並びに抜け落ちが阻止される。尚、シリンダ26bに対してピン28は貫通孔に挿入されているだけであり、シリンダ26bはピン28周りに揺動可能である。又、シリンダ26bとピン28との間、及びロッド26aとピン25との間には、樹脂製のブッシュなどを介在させて、揺動の円滑化と、振動及び衝撃の緩和とを図ることが好ましい。
【0026】
図2に示すように、ロッド26a及びシリンダ26bには、それぞれ伸縮方向に垂直な円盤状の部材が設けられており、これら両部材間にコイルスプリング29が挟まれる形で、ロッド26a及びシリンダ26bと同心円状に設けられている。従って、ショックアブソーバ26が短縮すると、これに伴ってコイルスプリング29がショックアブソーバ26により押圧されショックアブソーバ26の短縮方向と同じ方向へ短縮し、短縮されたコイルスプリング29が弾発力により伸長すると、これに伴ってショックアブソーバ26がコイルスプリング29により付勢されコイルスプリング29の伸長方向と同じ方向へ伸長する。ここで、ショックアブソーバ26は、上記のようにサスペンションアーム22とストラドルアーム2との間に介設され、ストラドルアーム2の突設方向に伸縮可能なものであるから、コイルスプリング29は、ショックアブソーバ26を介する形でサスペンションアーム22とストラドルアーム2との間にストラドルアーム2の突設方向へ伸縮可能に介設されることになる。
【0027】
次に、本実施形態に係るサスペンション装置20の動作について、図6(a)〜(c)を参照しながら説明する。いま、走行するオーダーピッキングトラックの後輪21が平坦な路面上にあるとすると、図6(b)に示すように、サスペンションアーム22の支持部22aの長手側が路面と平行な状態にあり、又、ストラドルアーム2も路面と平行である。この状態において、コイルスプリング29は、自由長さよりも短く短縮されており、そのため、コイルスプリング29の後方へ伸びようとする弾発力により支持部22aの短手側が後方へ付勢されるので、支持部22aの長手側が下方へ付勢されることになり、後輪21は接地している。
【0028】
後輪21が路面の凸部に乗り上げると、凸部により後輪21が押し上げられる。ここで、後輪21がストラドルアーム2に上下動不能に設けられていれば、凸部の高さ分だけストラドルアーム2も押し上げられる。しかし、本実施形態では、図6(a)に示すように、サスペンションアーム22の支持部22aの長手側がシャフト24周りに上方へ揺動することで、後輪21が凸部の高さ分だけ更にストラドルアーム2内へと入り込む。従って、後輪21の上方への移動(揺動)が可能な範囲内であれば、凸部に乗り上げたとしても、ストラドルアーム2の路面に対する上下方向位置の変化しないことになる。このとき、支持部22aの短手側がシャフト24周りに前方、すなわち車体1側へ揺動し、これによりショックアブソーバ26及びコイルスプリング29が前方へ押され短縮する。同時に、反作用として、コイルスプリング29の後方へ伸びようとする弾発力により支持部22aの短手側が後方へ付勢されるので、支持部22aの長手側が下方へ付勢されることになり、後輪21の接地状態が保持される。
【0029】
後輪21が凸部を越えて平坦部へと到達すれば、支持部22aの長手側はシャフト24周りに下方へ、短手側はシャフト24周りに後方へ揺動し、ショックアブソーバ26及びコイルスプリング29は後方へ伸長し、後輪21は下方へ移動して、図6(b)に示す状態となるが、このときもストラドルアーム2の路面に対する上下方向位置の変化しない。つまり、後輪21が凸部を通り過ぎてもストラドルアーム2が上下に振れることが緩和され、延いては車体1が上下に振れることが緩和される。
【0030】
逆に、後輪21が路面の凹部に落ち込むと、凹部の深さ分だけ後輪21が沈むことになる。ここで、後輪21がストラドルアーム2に上下動不能に設けられていれば、凹部の深さ分だけストラドルアーム2も沈み込む。しかし、本実施形態では、図6(c)に示すように、サスペンションアーム22の支持部22aの長手側がシャフト24周りに下方へ揺動することで、後輪21が凹部の深さ分だけストラドルアーム2から下方へと引き出される。つまり、コイルスプリング29は既に短縮されていることから、コイルスプリング29の後方へ伸びようとする弾発力により支持部22aの短手側が後方へ付勢されるので、支持部22aの短手側がシャフト24周りに後方へ、長手側がシャフト24周りに下方へ揺動する。これにより、後輪21の接地状態が保持されながら、後輪21が下方へ移動(揺動)する。従って、後輪21の下方への移動が可能な範囲内であれば、凹部に落ち込んだとしても、ストラドルアーム2の路面に対する上下方向位置の変化しないことになる。尚、後輪21が最下位置まで移動した状態においても、コイルスプリング29は、依然として自由長さよりも短く短縮されており、後輪21の接地状態は保持される。
【0031】
後輪21が凹部を越えて平坦部へと到達すれば、支持部22aの長手側はシャフト24周りに上方へ、短手側はシャフト24周りに前方へ揺動し、ショックアブソーバ26及びコイルスプリング29は前方へ短縮し、後輪21は上方へ移動して、図6(b)に示す状態となるが、このときもストラドルアーム2の路面に対する上下方向位置の変化しない。つまり、後輪21が凹部を通り過ぎてもストラドルアーム2が上下に振れることが緩和され、延いては車体1が上下に振れることが緩和される。
【0032】
尚、本実施形態では、後輪21からサスペンションアーム22、ショックアブソーバ26並びにコイルスプリング29へと伝わる衝撃的な力は、ショックアブソーバ26及びコイルスプリング29により緩衝されるので、ストラドルアーム2、延いては車体1の振れが緩和される。又、後輪21の上下動可能な範囲はショックアブソーバ26の伸縮可能な範囲により規定され、ショックアブソーバ26の短縮限に対応する位置まで後輪21は上方へ移動可能であり、ショックアブソーバ26の伸長限に対応する位置まで後輪21は下方へ移動可能である。
【0033】
このような本実施形態によれば、サスペンション装置20によって路面の凸凹による上下の振れが緩和されるので、運転台4上の運転者にとっては乗り心地が改善され、又、フォーク6上の荷物の荷崩れが防止されるなど積荷の安定化を図ることができる。更に、車体1や運転台4に搭載される機器へ振動や衝撃が伝わることも緩和されるので、オーダーピッキングトラックの信頼性の向上も図ることができる。しかも、左右の後輪21がそれぞれ独立してストラドルアーム2に懸架されるので、後輪21がそれぞれ異なる大きさの凸凹上を通る際にも適切に対応することができ、より効果的に振れを緩和することができる。
【0034】
又、本実施形態によれば、後輪21上方のスペースがサスペンションアーム22によって占有されないので、後輪21を上下動させるスペースを容易に確保でき、又、ストラドルアーム2の高さ寸法を小さく抑制することができる。しかも、ショックアブソーバ26やコイルスプリング29を備える構成でありながら、これらをストラドルアーム2内のスペースを利用してストラドルアーム2の突設方向、つまり車体1の前後方向に伸縮するよう配置してあるので、サスペンション装置20が上下方向にコンパクトであり、又、コイルスプリング29をショックアブソーバ26と同心円状に配して設けているので、より一層コンパクト化が図られている。
【0035】
上記の実施形態では、ショックアブソーバ26により後輪21の上下動可能な範囲を規定しているが、これに代えて、サスペンションアーム22により後輪21の上下動可能な範囲を規定する構成とすることができる。すなわち、サスペンションアーム22の揺動方向にストッパを設け、このストッパによりサスペンションアーム22の揺動可能な範囲を限定することで後輪21の上下動可能な範囲を規定することができる。具体的には、例えば、ストラドルアーム2の上板2cの下面に下向きにストッパを設けて、このストッパに当接する位置までサスペンションアーム22を上方へ揺動可能としたり、ストラドルアーム2の下板2cの上面に上向きにストッパを設けて、このストッパに当接する位置までサスペンションアーム22を下方へ揺動可能としたりすればよい。尚、このようなストッパを設ける場合、ストッパとサスペンションアーム22とが当接する際の衝撃を緩和するため、ストッパ自体をゴムなどの弾性体で作製したり、ストッパやサスペンションアーム22の表面にゴムなどを貼り付けたりすることが好ましい。
【0036】
又、上記の実施形態では、サスペンション装置20にショックアブソーバ26を備える構成としているが、これに代えて、アクチュエータを備える構成とすることができる。アクチュエータとしては、サスペンションアーム22の上下揺動を規制するサスペンション規制装置や、サスペンションアーム22を強制的に上下に揺動させるサスペンション作動装置が挙げられ、このようなアクチュエータを備えることでより効果的に振れを緩和することができ、又、サスペンションアーム22の揺動を適切に制御することが可能となる。尚、アクチュエータとして、ショックアブソーバとしての機能を備えるものを採用してもよく、これによれば、ショックアブソーバとアクチュエータとをそれぞれ備える場合よりも、サスペンション装置をよりコンパクトにすることができる。
【0037】
尚、上記の実施形態ではオーダーピッキングトラックについて説明しているが、本発明はこれに限らず、リーチ式フォークリフトなどストラドルアームに車輪を備える他の形態のフォークリフトにも適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、車輪上方のスペースがサスペンションアームによって広く占有されることを防止でき、サスペンション装置をコンパクトに構成することができる。又、サスペンション装置によって上下の振れが緩和され、運転者の乗り心地が改善されると共に、積荷の安定化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るオーダーピッキングトラックを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るサスペンション装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るストラドルアーム内を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るストラドルアーム内を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るストラドルアーム内を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る動作説明図であり、(a)は車輪が路面の凸部に乗り上げた状態、(b)は車輪が平坦な路面上にある状態、(c)は車輪が路面の凹部に落ち込んだ状態を示す。
【符号の説明】
1 車体
2 ストラドルアーム
12 前輪
20 サスペンション装置
21 後輪
22 サスペンションアーム
24 シャフト
26 ショックアブソーバ
29 コイルスプリング

Claims (3)

  1. 車体から突設されたストラドルアームに車輪を懸架するフォークリフトのサスペンション装置であって、
    上記ストラドルアームが中空状に形成されると共に、該ストラドルアーム内に、上記車輪を回転自在に支持するサスペンションアームが設けられ、
    該サスペンションアームが、上記車輪よりも上記車体側を支点として上下に揺動可能に設けられることを特徴とするフォークリフトのサスペンション装置。
  2. 上記ストラドルアーム内に、上記サスペンションアームと上記ストラドルアームとの間に介設され、上記ストラドルアームの突設方向に伸縮可能なスプリングを備えることを特徴とする請求項1に記載したフォークリフトのサスペンション装置。
  3. 上記ストラドルアーム内に、上記サスペンションアームと上記ストラドルアームとの間に介設され、上記ストラドルアームの突設方向に伸縮可能なショックアブソーバを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載したフォークリフトのサスペンション装置。
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