JP2004275048A - プラスチッドの数又は大きさを制御するdna及びタンパク質 - Google Patents
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Abstract
【課題】植物細胞内のプラスチッドの数及び大きさを変化させる遺伝子、該遺伝子がコードするタンパク質の提供。
【解決手段】本発明の、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するために用いるDNAは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来の、特定の配列で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質であるARC3タンパク質をコードするDNAである。本発明は該遺伝子を利用して、光合成能や花卉の色調の上昇した植物を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するために用いるDNAは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来の、特定の配列で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質であるARC3タンパク質をコードするDNAである。本発明は該遺伝子を利用して、光合成能や花卉の色調の上昇した植物を提供する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物細胞内のプラスチッドの数及び大きさを変化させる遺伝子、該遺伝子がコードするタンパク質、上記遺伝子を利用して、光合成能や花卉の色調が上昇した植物を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
植物細胞内に存在する葉緑体は、光合成細菌と真核生物との共生によって発生した器官であると言われている。この葉緑体は植物細胞内で光合成等を行う細胞内小器官であるが、組織によっては光合成を行わず、エチオプラストやアミロプラスト等の器官に変化する。これらを全てまとめてプラスチッドと称している。
【0003】
従来、植物の光合成能を上昇させようとする研究が行われているが、光合成を担うタンパク質等を改変することが主流であった。しかしながら、光合成を担うタンパク質を個々に改変しても、複雑な光合成反応を効率よく上昇することは困難であった。また、光合成が行われる場としての葉緑体の植物細胞における数は厳密に制御されているため、タンパク質の改変による方法では光合成能を上昇させる方法として限界があると考えられていた。
【0004】
一方、花卉の色調を上昇させ、花卉の商品価値を高めようとするために、色素合成遺伝子を花の細胞内で発現させることも行われている。しかし、この方法によっても、色素の蓄積の場としての植物細胞内におけるプラスチッドの数は制御されているため、色素の蓄積量が制限されていた。
【0005】
従って、植物細胞内の葉緑体等のプラスチッドの数を増加することができれば、植物の光合成能を上昇させたり、花卉の色調を上昇させることが可能である。
従来、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさの変化した植物が知られている。例えば、Pyke K.A. and Leech R.M. Plant Physiology (1992) 99, 1005−1008には、シロイヌナズナの変異体が開示されている。この文献に開示されたシロイヌナズナの変異体は、葉肉細胞内の葉緑体の大きさが通常のものより大きく、その数は通常のものよりも少なくなっている。上記文献に開示されたシロイヌナズナの変異体の変異に関する遺伝子の解析はまだ行われていなかった。
【0006】
【非特許文献1】
Pyke K.A. and Leech R.M. Plant Physiology (1992) 99, 1005−1008
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、植物細胞内のプラスチッドの数及び大きさを変化させる遺伝子、該遺伝子がコードするタンパク質を提供することを目的とする。また、本発明は、上記遺伝子を利用して、光合成能や花卉の色調が上昇した植物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、ポジショナルクローニングの手法を用いることにより、植物細胞内においてプラスチッドの数及び大きさを制御する遺伝子を同定し、その遺伝子を用いて植物の光合成能や花卉の色調を改良することが可能であるという知見を得た。
【0009】
すなわち、本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するために用いる、下記(a)〜(e)のいずれかに記載のDNAを提供するものである。
(a)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNA。
(e)配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAであって、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNA。
【0010】
また、本発明は、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するために用いる、上記DNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNAを提供するものである。
また、本発明は、上記DNAを有する組換えベクターを提供するものである。また、本発明は、上記組換えベクターで形質転換された形質転換体を提供するものである。
また、本発明は、上記DNAによりコードされるタンパク質を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記形質転換体を培養し、該形質転換体又はその培養上清から、発現させたタンパク質を回収する工程を含む、上記タンパク質の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記DNA、又は上記組換えベクターを保持する形質転換植物細胞を提供するものである。
また、本発明は、上記形質転換植物細胞を含む形質転換植物体を提供するものである。
また、本発明は、上記タンパク質と結合する抗体を提供するものである。
また、本発明は、上記DNA、上記タンパク質、又は上記抗体を含む、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するための組成物を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について説明する。
本発明は、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御に関与する「ARC(Accumulation and Replication of Chloroplast)3」タンパク質を提供する。シロイヌナズナ葉緑体変異体はarcシリーズは、肉眼観察では野生型との相違は検出されないが、葉緑体の数と大きさとが変化した変異体であることが報告されている。この変異体の原因遺伝子として、ポジショナルクローニングの手法を用いて、本発明者らが単離したARC3遺伝子のcDNAの塩基配列を配列番号:2に、この遺伝子がコードするARC3タンパク質のアミノ酸配列を配列番号:1に示す。
【0013】
シロイヌナズナにおいて、葉緑体の数及び大きさを変化させる表現型をもたらすことが知られているarc変異が、野生型の産生するタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列、Atlg75010の2001番目のグアニンがアデニンに変換され、Atlg75010タンパク質の667番目のトリプトファンが停止コドンになっていることが見出された。この事実は、本発明者らが単離したARC3遺伝子が、植物細胞内における葉緑体の数及び大きさの制御に関与していることを証明するものである。このようなARC3遺伝子と植物細胞内の葉緑体の数及び大きさの制御との密接な関係は、植物においてARC3遺伝子の発現を調節することにより、植物細胞内の葉緑体等のプラスチッドの数及び大きさを制御し得ることを意味する。従って、「ARC3」タンパク質及び「ARC3」遺伝子は、植物のプラスチッドの数や大きさを制御するために、もしくは制御するための標的として利用することが可能である。
【0014】
また、本発明は、「ARC3」タンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、機能的に同等なタンパク質を提供する。ここで「機能的に同等」とは、タンパク質がプラスチッドの数及び大きさを制御する機能を有することを意味する。
【0015】
本明細書において、「実質的に同一」及び「機能的に同等」とは、タンパク質の活性、すなわち植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御する活性が実質的に同一であることを意味する。一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加された場合、活性が同一であれば、その欠失、置換又は付加がなされたタンパク質は欠失、置換又は付加されていないものと実質的に同一、又は機能的に同等である。このような、実質的に同一、又は機能的に同等なタンパク質を単離する方法の一つの態様としては、タンパク質中のアミノ酸に変異を導入する方法が行われる。
【0016】
一般的に、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列との相同性の程度が、全体の約80%以上、好ましくは90%以上であるアミノ酸配列を有するタンパク質であれば、実質的に同一であると解釈される。従って、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の一部(好ましくは1〜50個、更に好ましくは1〜30個程度、最も好ましくは数個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列からなるタンパク質も実質的に同一である。なお、配列の相同性は、例えば遺伝子配列解析ソフトGENETYX(ソフトウェア開発株式会社)やBlast search(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/blast.cgi?Jform=1)等による相同性検索により決定することができる。
【0017】
すなわち、当業者であれば、公知の方法によって、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質中のアミノ酸を適宜置換などして、これと同等の機能を有する改変タンパク質を調製することができる。また、アミノ酸の変異は自然界においても生じる。本発明のタンパク質には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加したアミノ酸配列を有し、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御する機能を有するタンパク質も含まれる。タンパク質におけるアミノ酸の改変は、通常は、全アミノ酸の50アミノ酸以内であり、好ましくは30アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内であり、さらに好ましくは3アミノ酸以内である。アミノ酸の改変は、例えば、変異や置換であれば「Transformer Site−directed Mutagenesis Kit」、「ExSite PCR−Based Site−directed MutagenesisKit」(Clontech社製)等を用いて行うことが可能である。欠失であれば「Quantum leap Nested Deletion Kit」(Clontech社製)等を用いて行うことが可能である。
【0018】
また、実質的に同一、又は機能に同等なタンパク質を単離する方法の他の態様としては、ハイブリダイゼーション技術(Southern 1975 J. Mol. Biol. 98:503、Maniatis et al.Molecular Cloning Cold Spring harbor Laboratry Press)、PCR技術(H.A.Erlich (ed.) 1989. PCR technology. StocktonPress, New York.)等が挙げられる。すなわち、配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNA、又はその一部をプローブとして、配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNAの一部にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして、これと高い相同性を有するDNAを単離し、単離したDNAから、配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNAによりコードされるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質を得ることができる。上述したように、ハイブリダイズ技術やPCR技術によって単離されたDNAによりコードされる「ARC3」タンパク質と同等の機能を有するタンパク質もまた本発明のタンパク質に含まれる。
【0019】
ARCタンパク質をコードする遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAであって、ARCタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNAも、本発明に含まれる。ハイブリダイゼーションの条件は、例えば、65℃の温度でハイブリダイゼーションさせた後、0.1%濃度のSDSを含む2XSSC(3M NaCl,0.3Mクエン酸ナトリウム)もしくは2XSSPE(3.6M NaCl, 0.2M リン酸ナトリウム液(pH7.7),0.02M Na2−EDTA)中で、65℃の温度で10分間の洗浄を合計3回行うという条件で行なうことができる。よりストリンジェントなハイブリダイゼーションにおいては、65℃の温度でハイブリダイゼーションさせた後、0.1%濃度の SDSを含む2XSSCもしくは2XSSPE液中で、65℃の温度で10分間洗浄し、次に0.1%濃度の SDSを含む1XSSCもしくは1XSSPE液中で、65℃の温度で10分間の洗浄を2回行えばよい。よりストリンジェントなハイブリダイゼーションにおいては、65℃の温度でハイブリダイゼーションさせた後、0.1% SDSを含む2XSSCもしくは2XSSPE液中で、65℃で10分間洗浄し、次に0.1% SDSを含む1XSSCもしくは1XSSPE液中で65℃で10分間洗浄し、さらに0.1% SDSを含む0.1XSSCもしくは0.1XSSPE液中で65℃で10分間洗浄すればよい。ハイブリダイゼーション液は、「Molecular cloning (Maniatis T. et al. Cold Spring Harbor Laboratory Press)」に記載されているもの等を用いればよい。
【0020】
本発明のタンパク質は、当業者に公知の方法により、天然のタンパク質として調製することができる。また、遺伝子組み換え技術を利用して調製した組み換えタンパク質として調製することもできる。天然のタンパク質は、例えば、下記の方法により調製された組み換えタンパク質をウサギなどの小動物に免疫して得た抗体を適当な吸着体(CNBr活性化アガロースやトシル活性化アガロース)に結合させてカラムを作製し、得られたカラムを利用し、上述した、Pyke K.A. and Leech R.M. Plant Physiology (1992) 99, 1005−1008に記載のシロイヌナズナの葉肉細胞からのタンパク質抽出液を精製することにより調製することが可能である。一方、組み換えタンパク質は、常法により、例えば、配列番号:1で表わされる塩基配列を有するDNAを適当な発現ベクターに挿入して組換えベクターを作製し、該組換えベクターを適当な細胞に導入して形質転換細胞を得、該形質転換細胞から精製することにより調製することが可能である。
なお、一旦、本発明タンパク質の遺伝子の塩基配列が決定されると、その後は化学合成によって、又はクローニングされたcDNAを鋳型としてPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることによって、本発明のタンパク質の遺伝子を得ることができる。更に、部位特異的突然変異誘発法等によって、本発明のタンパク質の遺伝子の変異型を合成することも可能である。
【0021】
なお、遺伝子に変異を導入する方法としては、例えばKunkel法、Gapped duple法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(Mutant−K(TAKARA社製)やMutant−G(TAKARA社製))等を用いて、変異の導入を行うことができる。
【0022】
本発明のタンパク質コードするDNAを含有する組換えベクターは、当該技術分野で公知の方法に従って作成することができる。例えば、適当なベクターに、本発明のタンパク質の遺伝子(例えば、配列番号:2で表わされるを塩基配列からなるDNA)を連結(挿入)することにより得ることができる。ベクターとしては、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えばプラスミドDNA、ファージDNA等が挙げられる。
本発明のタンパク質をコードするDNAを含有するDNA断片を切り出し、該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーター下流に連結することにより実施される。ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC18、pUC19、pUC118又はpBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5又はpC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19、pSH15、YEp13又はYCp50等)、λファージ等のバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス又はバキュロウイルス等の動物ウイルス等を利用することができる。本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応した適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、宿主が大腸菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、araBADプロモーター等が、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、penPプロモーター、XYLプロモーター、HWPプロモーター、CWPプロモーター等が、宿主が枯草菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター等が好ましい。動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーター等が挙げられる。また、昆虫細胞を宿主として用いる場合はポリヘドリンプロモーター、OplE2プロモーター等が好ましい。
【0023】
発現ベクターには、以上の他に、所望により当該技術分野で公知の、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)等を付加することができる。また、必要に応じて、本発明のDNAにコードされた蛋白質を他の蛋白質(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ及びプロテインA)との融合蛋白質として発現させることも可能である。このような融合蛋白質は、部位特異的プロテアーゼを使用して切断し、それぞれの蛋白質に分離することができる。
【0024】
宿主細胞としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞等が用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1(Proc. Natl. Acad. Sci.USA,60巻,160(1968)),JM103(Nucleic Acids Research,9巻,309(1981)),JA221(Journal of Molecular Biology,120巻,517(1978)),HB101(Journal of Molecular Biology,41巻,459(1969))、DH5α及びJM109等が用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114(Gene,24巻,255(1983)),207−21〔Journal of Biochemistry,95巻,87(1984)〕及びバチルス・ブレビス等が用いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)AH22,AH22R−,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccaromyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastoris)及びハンセヌラ・ポリモーファ(Hansenula polymorpha)等が用いられる。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr−)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞及びHEK293細胞等が用いられる。
【0025】
上述した宿主細胞の形質転換は、当該技術分野で公知の方法に従って行うことができる。例えば、以下に記載の文献に宿主細胞を形質転換する方法が記載されている。Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69巻,2110(1972); Gene,17巻,107(1982);Molecular & General Genetics,168巻,111(1979);Methods in Enzymology,194巻,182−187(1991);Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978);細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行);及び Virology,52巻,456(1973)。
【0026】
本発明のタンパク質をコードする遺伝子を植物に形質転換し、トランスジェニック植物を得る場合は、例えば電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、PEG法等によって植物中に遺伝子を導入することができる。例えばエレクトロポレーション法を用いる場合は、パルスコントローラーを備えたエレクトロポレーション装置により、電圧500〜600V、100μF、20msecの条件で処理し、遺伝子を宿主に導入する。
【0027】
アグロバクテリウム法を用いる場合は、構築した植物用発現ベクターを、例えばアグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)等の適当なアグロバクテリウムに導入し、この株をバキュームインフィルトレーション法(Bechtold et al. (1993) C. R. Acad. Sci. Ser. III Sci. Vie, 316, 1194−1199に記載の方法)等に従って宿主の無菌培養葉片に感染させ、形質転換植物細胞を得ることができる。
【0028】
パーティクルガン法を用いる場合は、植物体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)自体をそのまま使用するか、切片を調製した後に使用するか、又はプロトプラストを調製して使用する。このように調製した試料を遺伝子導入装置(例えばBIOLISTIC POS 1000/He; BioRad等)を用いて処理する。処理の条件は植物又は試料により異なるが、通常は1000〜1100psi程度の圧力、5〜10cm程度の距離で行う。
【0029】
また、形質転換に用いられる植物としては、例えば、アブラナ科のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ナス科のタバコ(Nicotiana tabacum)、イネ科のトウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)、マメ科のダイズ(Clycine max)等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その他の農作物や樹木等に対しても有用である。植物は針葉樹、広葉樹、双子葉植物、単子葉植物等いずれであってもよい。
【0030】
形質転換された植物細胞は、再分化させることにより植物体を再生させることが可能である。再分化の方法は植物細胞の種類により異なるが、例えば、イネであればFujimuraら(Plant Tissue Culture Lett. 2:74 (1995))の方法が挙げられ、トウモロコシであればShillitoら(Bio/Technology 7:581 (1989))の方法やGorden−Kammら(Plant Cell 2:603(1990))が挙げられ、ジャガイモであればVisserら(Theor. Appl. Genet 78:594 (1989))の方法が挙げられ、タバコであればNagataとTakebe(Planta 99:12(1971))の方法が挙げられ、シロイヌナズナであればAkamaら(Plant Cell Reports12:7−11 (1992))の方法が挙げられ、ユーカリであれば土肥ら(特開平8−89113号公報)の方法が挙げられる。
【0031】
一旦、ゲノム内に本発明のタンパク質をコードするDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖又は無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫又はクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得、それらから植物体を量産することも可能である。本発明には、本発明のタンパク質をコードするDNAが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫及びクローン、該植物体、その子孫及びクローンの繁殖材料も含まれる。このようにして得られた形質転換植物体は、細胞内のプラスチッドの数又は大きさが制御されている。
【0032】
上述の形質転換法により得られる、腫瘍組織やシュート、毛状根等は、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることができ、また従来より知られている植物組織培養法により、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライド等)の投与等により植物体に再生させることができる。
【0033】
大腸菌等の細菌への組換えベクターの導入方法は、細菌にDNAを導入することのできる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばカルシウムイオンを用いる方法(Cohen, S.N. et al.:Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,69:2110(1972)、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、酵母への組換えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入することのできる方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
【0034】
動物細胞を宿主とする場合は、動物細胞への組換えベクターの導入方法は、動物細胞にDNAを導入することのできる方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
【0035】
昆虫細胞を宿主とする場合は、昆虫細胞への組換えベクターの導入方法は、昆虫細胞にDNAを導入することのできる方法であれば特に限定されず、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
【0036】
遺伝子が宿主に組み込まれたか否かを確認するための方法としては、例えばPCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。例えば、形質転換体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRは、前記プラスミドを調製するために用いた条件と同様の条件にて行われる。次いで、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、次いで増幅産物を1本のバンドとして検出し、形質転換されたことを確認することができる。予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出してもよい。更に、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させた後、蛍光又は酵素反応を用いて増幅産物を確認する方法を用いることもできる。
【0037】
本発明のタンパク質は、前記形質転換体を培養し、本発明のタンパク質を生成、蓄積し、該タンパク質を採取することにより製造することができる。本発明のタンパク質が蓄積されるのは、培養上清のほか、培養細胞もしくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明において形質転換体を培養する方法は、特に制限はなく、宿主の培養において用いられる通常の方法でよい。
【0038】
例えば、宿主が大腸菌や酵母等の微生物の場合、形質転換体を培養する培地は、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、例えばグルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸又は有機酸のアンモニウム塩、又はその他の含窒素化合物の他、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鐵、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。培養は、通常、浸透培養又は通気攪拌培養等の好気的条件の下で行う。培養温度、培養時間は、宿主が大腸菌の場合、約15〜43℃の温度で約12〜48時間行う。宿主がバチルス属菌の場合、約30〜40℃の温度で約12〜100時間行う。宿主が酵母の場合は、約20〜35℃の温度で約24〜100時間行う。また、必要に応じて通気や攪拌を加えることができる。pHの調製を行う必要がある場合、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。
【0039】
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加して培養を行う。例えば、T7プロモーターを用いた発現ベクターの場合、IPTG等を培地に添加して培養を行ってもよい。また、インドール酢酸(IAA)で誘導可能なtrpプロモーターを用いた発現ベクターの場合、IAA等を培地に添加してもよい。
【0040】
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する場合、用いられる培地としては、一般に用いられているRPMI1640培地、DMEM培地又はこらの培地に牛胎児血清等を添加した培地が挙げられる。培養は、通常、5%程度の二酸化炭素の存在下で約37℃の温度で1〜30日間行う。
【0041】
培養後、タンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解等によって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により蛋白質の粗抽出液を得る方法が挙げられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジン等の蛋白質変性剤や、トリトンX−100(登録商標)等の界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる蛋白質の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。すなわち、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、目的のタンパク質を生成することができる。
【0042】
こうして得られた本発明のタンパク質は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。更に、組換え体が産生する蛋白質を、精製前または精製後に、トリプシン及びキモトリプシンのような適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に断片化することもできる。また、キナーゼ等のタンパク質修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えることもできる。本発明のタンパク質の存在は、様々な結合アッセイ及び特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイ等により測定することができる。
【0043】
また、本発明は、上記本発明のタンパク質をコードするDNAを提供する。本発明のDNAは、本発明のタンパク質をコードし得るものであれば特に制限はなく、ゲノムDNA、cDNA、化学合成DNA等が含まれる。ゲノムDNAは、例えば、文献(Rogers and Bendich, Plant Mol. Biol. 5:69 (1985))記載の方法に従って調製したゲノムDNAを鋳型として、本発明のDNAの塩基配列(例えば、配列番号:2に記載の塩基配列)を基に作製したプライマーを用いてPCR法により調製することができる。また、cDNAでは、常法(例えば、Maniatis et al. Molecular Cloning Cold Spring harbor Laboratry Press)により上述した、Pyke K.A. and Leech R.M. Plant Physiology (1992) 99, 1005−1008に記載のシロイヌナズナの葉肉細胞らmRNAを調製し、逆転写反応を行い、上記と同様のプライマーを用いてPCRを実施して調製することができる。また、ゲノムDNAやcDNAは、常法によりゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリーを作製し、このライブラリーに対し、例えば本発明のDNAの塩基配列(例えば、配列番号:2に記載の塩基配列)を基に合成したプローブを用いてスクリーニングすることによっても調製することができる。
【0044】
得られたDNAの塩基配列は、例えば「シークエンサーModel373」(ABI社製)を利用することにより容易に決定することが可能である。本発明のDNAは、例えば、上述したように組み換えタンパク質の調製に用いることができる。さらに、本発明のDNAを植物体内で発現させることにより、その植物細胞中の葉緑体の大きさが小さくなり数は多くなる。また、その植物の花卉の色調を上昇させることができるとともに、植物細胞内に蓄積されるでんぷん量を増加させることができる。
【0045】
また、本発明は、植物細胞内で本発明のDNAの発現を抑制し得る分子を提供する。本発明のDNAの発現の抑制し得るとは、遺伝子の転写の抑制及びタンパク質への翻訳の抑制も含むものである。また、DNAの発現を完全に停止すること、及び発現の減少のいずれをも含むものである。
【0046】
植物細胞内における特定の内在性遺伝子の発現を抑制する方法としては、アンチセンス技術を利用する方法が挙げられる。すなわち、配列番号:2で表わされるDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAを設計する方法である。アンチセンスRNAとしては、遺伝子のmRNAの5’端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的であると考えられる。また、コード領域又は3‘側の非翻訳領域に相補的な配列も使用し得る。このように、遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むDNAも、本発明におけるアンチセンスDNAに含まれる。使用されるアンチセンスDNAは、適当なプロモーターの下流に連結され、好ましくは3’側に転写終結シグナルを含む配列が連結される。このようにして調製されたDNAは、公知の方法で、所望の植物細胞へ形質転換される。アンチセンスDNAの配列は、形質転換される植物細胞が有する内在性遺伝子又はその一部と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に阻害できる限り、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的とする遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の相補性を有する。本発明における、配列番号:2で表わされるDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNAの一例を配列番号:3に示す。
【0047】
アンチセンス配列を用いて、効果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、アンチセンスDNAの長さは、少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さらに好ましくは500塩基以上である。通常、用いられるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短く、好ましくは1.5kbよりも短い。
アンチセンス配列を植物体内で発現させることにより、葉緑体の大きさが大きくなり数は少なくなる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。なお、DNAの切断、連結、大腸菌の形質転換、遺伝子の塩基配列決定、ハイブリダイゼーション等の一般の遺伝子組換えに必要な方法は、各操作に使用する市販の試薬、機械装置等に添付されている説明書や、実験書(例えば「Molecular cloning (Maniatis T. et al. Cold Spring Harbor Laboratory Press)」)に基本的に従った。また、シロイヌナズナの寒天培地や土壌を用いた育成、交配、ゲノムDNAの調製は実験書(例えば「モデル植物の実験プロトコール(秀潤社)」)に基本的に従った。
【0049】
実施例1
ARC3遺伝子の染色体上の位置を決定するために、分子マーカーを用いてマッピングを行った。ARC3変異体はシロイヌナズナのランズバーグ・エレクタにおいて見出されているので、この変異体に、別のエコタイプであるコロンビアタイプ種を交配し、次世代の種子を採取し、それを生育させ、自殖させてF2世代の種子を得た。このF2世代の種子を発芽させ、育成した植物からゲノムDNAを抽出した。このゲノムDNAを、マーカーとしてF1M20−3、F25A4.6、F25A4.4、F10A及びF9E.Claを用いて、上記ゲノムDNAに対して、PCR法により組換価を算出した。
【0050】
具体的には、F1M20−3を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:4及び配列番号:5)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は181bpに、コロンビア種は196bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には1934染色体間で8染色体で組換えが認められた。
【0051】
次いで、F25A4.6を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:6及び配列番号:7)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は94bpに、コロンビア種は87bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には2000染色体間で2染色体で組換えが認められた。
【0052】
次いで、F25A4.4を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:8及び配列番号:9)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は87bpに、コロンビア種は96bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には2000染色体間で組換えは認められなかった。
【0053】
次いで、F10A5を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:10及び配列番号:11)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は184bpに、コロンビア種は200bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には1852染色体間で22染色体で組換えが認められた。
【0054】
次いで、F9E.Cla を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:12及び配列番号:13)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、制限酵素ClaIで処理した後、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は199bpに、コロンビア種は28bp及び171bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には2000染色体間で1染色体で組換えが認められた。
【0055】
以上のようにして、ARC3遺伝子を含む染色体上の領域が、F25A4.4、F9E.Claの2つの分子マーカーによって挟まれていることが確認された。そこで、F25A4.4、F9E.Claマーカーをそれぞれ含むゲノムDNA断片を単離して、相補テストを行い遺伝子を同定した。ARC3遺伝子は742アミノ酸をコードしており、塩基配列の決定を行ったところ、N末領域がバクテリアの分裂制御因子であるFtsZとの相同性があり、C末領域は真核生物でよく知られているシグナル伝達因子のホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート5−キナーゼの一部と相同性があった。配列決定された遺伝子の塩基配列は、配列番号:1で表わされる。
【0056】
実施例2
ARC3遺伝子のcDNA(配列番号:2)を用いて、アンチセンス遺伝子の構築を行った(配列番号:3)。配列番号:2で表わされるDNA、及び配列番号:3で表わされるDNAを、バイナリーベクターpBI121の35Sプロもーなー顆粒に連結し、それぞれセンス遺伝子及びアンチセンス遺伝子とした。次いで、センス遺伝子又はアンチセンス遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナをアグロバクテリウム・チュメファシエンス菌を介した遺伝子導入法によって作成した。
【0057】
まず、上記センス遺伝子又はアンチセンス遺伝子発現ベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌にエレクトロポレーション法を用いて移行させた。上記発現ベクターは、マーカーとして、カナマイシン耐性遺伝子を有している。センス遺伝子又はアンチセンス遺伝子発現ベクターDNAを10%グリセロール溶液に懸濁したアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌体と混合し、1mm幅のキュベット電極中で、25μF・600Ω・1.8kV設定にて電気パルスを印可した後、25μg/mlのカナマイシンと50μg/mlのリファンピシンを添加したLB寒天培地(1%バクトトリプトン,0.5%酵母抽出物,0.5%塩化ナトリウム,1.2%バクトアガー)上で、28℃,2日間培養して、カナマイシン耐性の付与されたアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌のコロニーを選抜した。
【0058】
次いで、このセンス遺伝子又はアンチセンス遺伝子を有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌を50μg/mlのリファンピシンと25μg/mlのカナマイシンを添加したLB液体培地(1%バクトトリプトン,0.5%酵母抽出物,0.5%塩化ナトリウム)で、28℃,16時間培養した培養液を用意した。シロイヌナズナは、種子を1%アンチホルミンで滅菌した後、1%ショ糖と0.4%ゲランガムを添加したMS寒天培地(Murashige & Skoog(1962), Physiol. Plant, vol.15:p473−)に播種して、25℃の温度で14日間生育させた。生育させたシロイヌナズナは、胚軸部を切り出して、CIM培地(0.5mg/l 2,4D、0.05mg/l カイネチン、2%グルコース、0.4%ゲランガムを添加したB5寒天培地(Gamborgら(1968), Exp. Cell Res., vol.50:p151−))に置床し、25℃の温度で6日間暗所で培養した。この胚軸を、上記のセンス遺伝子又はアンチセンス遺伝子を有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌培養液と混和した後、再度CIM培地に置いて、25℃の温度で2日間暗所で共培養して感染を行わせた。除菌のために胚軸は、150mg/lのクラフォランと2%グルコースを含むB5液体培地中で5時間振とう洗浄した。洗浄後の胚軸は、形質転換植物を分化させ、選抜するために、SIM培地(2mg/l ゼラチン、0.2mg/l IBA、150mg/l クラフォラン、50μg/ml カナマイシン、2%グルコース、0.4%ゲランガムを含むB5寒天培地)に1週間ごとに植え継いだ。上記センス遺伝子又はアンチセンス遺伝子を発現させている35Sプロモーターは、恒常的発現プロモーターとして知られている。その結果として、継代培養4週目には、胚軸から直接に雌蕊を分化させることができた。
【0059】
得られた植物体の葉肉細胞内の葉緑体の数及び大きさを以下のようにして観察した。
葉肉細胞を光学顕微鏡で観察し、デジタルデータをとり、葉緑体の数をカウントした。大きさは肉眼で観察した。
【0060】得られた結果を図1に示す。図1において、(a)は未処理のシロイヌナズナの葉肉細胞の葉緑体の電子顕微鏡写真であり、(b)はアンチセンス遺伝子を発現するシロイヌナズナの葉肉細胞の葉緑体の電子顕微鏡写真である。
【0061】
図1から明らかなように、アンチセンス遺伝子を発現するシロイヌナズナの葉肉細胞中の葉緑体は、未処理のものに比べ、その大きさが大きくなり、数は少なくなっていた。また、このシロイヌナズナは、植物の生育速度が未処理のものよりも遅く、種子の収量も低下していた。
【0062】
また、図には示さないが、センス遺伝子を発現するシロイヌナズナの葉肉細胞中の葉緑体は、未処理のものに比べ、その大きさが小さくなり、数は多くなっていた。このシロイヌナズナは、植物体の光合成能が上昇しており、植物の生育速度は未処理のものよりも上昇していた。更に、このシロイヌナズナは、未処理のものに比べ、種子の収量も上昇していた。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、植物細胞内のプラスチッドの数及び大きさを変化させる遺伝子、該遺伝子がコードするタンパク質を提供することができる。また、本発明によれば、上記遺伝子を利用して、光合成能や花卉の色調が上昇した植物を提供することができる。
【0064】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】シロイヌナズナの葉肉細胞の葉緑体の電子顕微鏡写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物細胞内のプラスチッドの数及び大きさを変化させる遺伝子、該遺伝子がコードするタンパク質、上記遺伝子を利用して、光合成能や花卉の色調が上昇した植物を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
植物細胞内に存在する葉緑体は、光合成細菌と真核生物との共生によって発生した器官であると言われている。この葉緑体は植物細胞内で光合成等を行う細胞内小器官であるが、組織によっては光合成を行わず、エチオプラストやアミロプラスト等の器官に変化する。これらを全てまとめてプラスチッドと称している。
【0003】
従来、植物の光合成能を上昇させようとする研究が行われているが、光合成を担うタンパク質等を改変することが主流であった。しかしながら、光合成を担うタンパク質を個々に改変しても、複雑な光合成反応を効率よく上昇することは困難であった。また、光合成が行われる場としての葉緑体の植物細胞における数は厳密に制御されているため、タンパク質の改変による方法では光合成能を上昇させる方法として限界があると考えられていた。
【0004】
一方、花卉の色調を上昇させ、花卉の商品価値を高めようとするために、色素合成遺伝子を花の細胞内で発現させることも行われている。しかし、この方法によっても、色素の蓄積の場としての植物細胞内におけるプラスチッドの数は制御されているため、色素の蓄積量が制限されていた。
【0005】
従って、植物細胞内の葉緑体等のプラスチッドの数を増加することができれば、植物の光合成能を上昇させたり、花卉の色調を上昇させることが可能である。
従来、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさの変化した植物が知られている。例えば、Pyke K.A. and Leech R.M. Plant Physiology (1992) 99, 1005−1008には、シロイヌナズナの変異体が開示されている。この文献に開示されたシロイヌナズナの変異体は、葉肉細胞内の葉緑体の大きさが通常のものより大きく、その数は通常のものよりも少なくなっている。上記文献に開示されたシロイヌナズナの変異体の変異に関する遺伝子の解析はまだ行われていなかった。
【0006】
【非特許文献1】
Pyke K.A. and Leech R.M. Plant Physiology (1992) 99, 1005−1008
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、植物細胞内のプラスチッドの数及び大きさを変化させる遺伝子、該遺伝子がコードするタンパク質を提供することを目的とする。また、本発明は、上記遺伝子を利用して、光合成能や花卉の色調が上昇した植物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、ポジショナルクローニングの手法を用いることにより、植物細胞内においてプラスチッドの数及び大きさを制御する遺伝子を同定し、その遺伝子を用いて植物の光合成能や花卉の色調を改良することが可能であるという知見を得た。
【0009】
すなわち、本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するために用いる、下記(a)〜(e)のいずれかに記載のDNAを提供するものである。
(a)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNA。
(e)配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAであって、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNA。
【0010】
また、本発明は、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するために用いる、上記DNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNAを提供するものである。
また、本発明は、上記DNAを有する組換えベクターを提供するものである。また、本発明は、上記組換えベクターで形質転換された形質転換体を提供するものである。
また、本発明は、上記DNAによりコードされるタンパク質を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記形質転換体を培養し、該形質転換体又はその培養上清から、発現させたタンパク質を回収する工程を含む、上記タンパク質の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記DNA、又は上記組換えベクターを保持する形質転換植物細胞を提供するものである。
また、本発明は、上記形質転換植物細胞を含む形質転換植物体を提供するものである。
また、本発明は、上記タンパク質と結合する抗体を提供するものである。
また、本発明は、上記DNA、上記タンパク質、又は上記抗体を含む、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するための組成物を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について説明する。
本発明は、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御に関与する「ARC(Accumulation and Replication of Chloroplast)3」タンパク質を提供する。シロイヌナズナ葉緑体変異体はarcシリーズは、肉眼観察では野生型との相違は検出されないが、葉緑体の数と大きさとが変化した変異体であることが報告されている。この変異体の原因遺伝子として、ポジショナルクローニングの手法を用いて、本発明者らが単離したARC3遺伝子のcDNAの塩基配列を配列番号:2に、この遺伝子がコードするARC3タンパク質のアミノ酸配列を配列番号:1に示す。
【0013】
シロイヌナズナにおいて、葉緑体の数及び大きさを変化させる表現型をもたらすことが知られているarc変異が、野生型の産生するタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列、Atlg75010の2001番目のグアニンがアデニンに変換され、Atlg75010タンパク質の667番目のトリプトファンが停止コドンになっていることが見出された。この事実は、本発明者らが単離したARC3遺伝子が、植物細胞内における葉緑体の数及び大きさの制御に関与していることを証明するものである。このようなARC3遺伝子と植物細胞内の葉緑体の数及び大きさの制御との密接な関係は、植物においてARC3遺伝子の発現を調節することにより、植物細胞内の葉緑体等のプラスチッドの数及び大きさを制御し得ることを意味する。従って、「ARC3」タンパク質及び「ARC3」遺伝子は、植物のプラスチッドの数や大きさを制御するために、もしくは制御するための標的として利用することが可能である。
【0014】
また、本発明は、「ARC3」タンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、機能的に同等なタンパク質を提供する。ここで「機能的に同等」とは、タンパク質がプラスチッドの数及び大きさを制御する機能を有することを意味する。
【0015】
本明細書において、「実質的に同一」及び「機能的に同等」とは、タンパク質の活性、すなわち植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御する活性が実質的に同一であることを意味する。一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加された場合、活性が同一であれば、その欠失、置換又は付加がなされたタンパク質は欠失、置換又は付加されていないものと実質的に同一、又は機能的に同等である。このような、実質的に同一、又は機能的に同等なタンパク質を単離する方法の一つの態様としては、タンパク質中のアミノ酸に変異を導入する方法が行われる。
【0016】
一般的に、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列との相同性の程度が、全体の約80%以上、好ましくは90%以上であるアミノ酸配列を有するタンパク質であれば、実質的に同一であると解釈される。従って、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の一部(好ましくは1〜50個、更に好ましくは1〜30個程度、最も好ましくは数個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加したアミノ酸配列からなるタンパク質も実質的に同一である。なお、配列の相同性は、例えば遺伝子配列解析ソフトGENETYX(ソフトウェア開発株式会社)やBlast search(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/blast.cgi?Jform=1)等による相同性検索により決定することができる。
【0017】
すなわち、当業者であれば、公知の方法によって、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質中のアミノ酸を適宜置換などして、これと同等の機能を有する改変タンパク質を調製することができる。また、アミノ酸の変異は自然界においても生じる。本発明のタンパク質には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加したアミノ酸配列を有し、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御する機能を有するタンパク質も含まれる。タンパク質におけるアミノ酸の改変は、通常は、全アミノ酸の50アミノ酸以内であり、好ましくは30アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内であり、さらに好ましくは3アミノ酸以内である。アミノ酸の改変は、例えば、変異や置換であれば「Transformer Site−directed Mutagenesis Kit」、「ExSite PCR−Based Site−directed MutagenesisKit」(Clontech社製)等を用いて行うことが可能である。欠失であれば「Quantum leap Nested Deletion Kit」(Clontech社製)等を用いて行うことが可能である。
【0018】
また、実質的に同一、又は機能に同等なタンパク質を単離する方法の他の態様としては、ハイブリダイゼーション技術(Southern 1975 J. Mol. Biol. 98:503、Maniatis et al.Molecular Cloning Cold Spring harbor Laboratry Press)、PCR技術(H.A.Erlich (ed.) 1989. PCR technology. StocktonPress, New York.)等が挙げられる。すなわち、配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNA、又はその一部をプローブとして、配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNAの一部にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして、これと高い相同性を有するDNAを単離し、単離したDNAから、配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNAによりコードされるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質を得ることができる。上述したように、ハイブリダイズ技術やPCR技術によって単離されたDNAによりコードされる「ARC3」タンパク質と同等の機能を有するタンパク質もまた本発明のタンパク質に含まれる。
【0019】
ARCタンパク質をコードする遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAであって、ARCタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNAも、本発明に含まれる。ハイブリダイゼーションの条件は、例えば、65℃の温度でハイブリダイゼーションさせた後、0.1%濃度のSDSを含む2XSSC(3M NaCl,0.3Mクエン酸ナトリウム)もしくは2XSSPE(3.6M NaCl, 0.2M リン酸ナトリウム液(pH7.7),0.02M Na2−EDTA)中で、65℃の温度で10分間の洗浄を合計3回行うという条件で行なうことができる。よりストリンジェントなハイブリダイゼーションにおいては、65℃の温度でハイブリダイゼーションさせた後、0.1%濃度の SDSを含む2XSSCもしくは2XSSPE液中で、65℃の温度で10分間洗浄し、次に0.1%濃度の SDSを含む1XSSCもしくは1XSSPE液中で、65℃の温度で10分間の洗浄を2回行えばよい。よりストリンジェントなハイブリダイゼーションにおいては、65℃の温度でハイブリダイゼーションさせた後、0.1% SDSを含む2XSSCもしくは2XSSPE液中で、65℃で10分間洗浄し、次に0.1% SDSを含む1XSSCもしくは1XSSPE液中で65℃で10分間洗浄し、さらに0.1% SDSを含む0.1XSSCもしくは0.1XSSPE液中で65℃で10分間洗浄すればよい。ハイブリダイゼーション液は、「Molecular cloning (Maniatis T. et al. Cold Spring Harbor Laboratory Press)」に記載されているもの等を用いればよい。
【0020】
本発明のタンパク質は、当業者に公知の方法により、天然のタンパク質として調製することができる。また、遺伝子組み換え技術を利用して調製した組み換えタンパク質として調製することもできる。天然のタンパク質は、例えば、下記の方法により調製された組み換えタンパク質をウサギなどの小動物に免疫して得た抗体を適当な吸着体(CNBr活性化アガロースやトシル活性化アガロース)に結合させてカラムを作製し、得られたカラムを利用し、上述した、Pyke K.A. and Leech R.M. Plant Physiology (1992) 99, 1005−1008に記載のシロイヌナズナの葉肉細胞からのタンパク質抽出液を精製することにより調製することが可能である。一方、組み換えタンパク質は、常法により、例えば、配列番号:1で表わされる塩基配列を有するDNAを適当な発現ベクターに挿入して組換えベクターを作製し、該組換えベクターを適当な細胞に導入して形質転換細胞を得、該形質転換細胞から精製することにより調製することが可能である。
なお、一旦、本発明タンパク質の遺伝子の塩基配列が決定されると、その後は化学合成によって、又はクローニングされたcDNAを鋳型としてPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることによって、本発明のタンパク質の遺伝子を得ることができる。更に、部位特異的突然変異誘発法等によって、本発明のタンパク質の遺伝子の変異型を合成することも可能である。
【0021】
なお、遺伝子に変異を導入する方法としては、例えばKunkel法、Gapped duple法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(Mutant−K(TAKARA社製)やMutant−G(TAKARA社製))等を用いて、変異の導入を行うことができる。
【0022】
本発明のタンパク質コードするDNAを含有する組換えベクターは、当該技術分野で公知の方法に従って作成することができる。例えば、適当なベクターに、本発明のタンパク質の遺伝子(例えば、配列番号:2で表わされるを塩基配列からなるDNA)を連結(挿入)することにより得ることができる。ベクターとしては、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えばプラスミドDNA、ファージDNA等が挙げられる。
本発明のタンパク質をコードするDNAを含有するDNA断片を切り出し、該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーター下流に連結することにより実施される。ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC18、pUC19、pUC118又はpBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5又はpC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19、pSH15、YEp13又はYCp50等)、λファージ等のバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス又はバキュロウイルス等の動物ウイルス等を利用することができる。本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応した適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、宿主が大腸菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーター、araBADプロモーター等が、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、penPプロモーター、XYLプロモーター、HWPプロモーター、CWPプロモーター等が、宿主が枯草菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター等が好ましい。動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーター等が挙げられる。また、昆虫細胞を宿主として用いる場合はポリヘドリンプロモーター、OplE2プロモーター等が好ましい。
【0023】
発現ベクターには、以上の他に、所望により当該技術分野で公知の、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)等を付加することができる。また、必要に応じて、本発明のDNAにコードされた蛋白質を他の蛋白質(例えば、グルタチオンSトランスフェラーゼ及びプロテインA)との融合蛋白質として発現させることも可能である。このような融合蛋白質は、部位特異的プロテアーゼを使用して切断し、それぞれの蛋白質に分離することができる。
【0024】
宿主細胞としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞等が用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1(Proc. Natl. Acad. Sci.USA,60巻,160(1968)),JM103(Nucleic Acids Research,9巻,309(1981)),JA221(Journal of Molecular Biology,120巻,517(1978)),HB101(Journal of Molecular Biology,41巻,459(1969))、DH5α及びJM109等が用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114(Gene,24巻,255(1983)),207−21〔Journal of Biochemistry,95巻,87(1984)〕及びバチルス・ブレビス等が用いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)AH22,AH22R−,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccaromyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastoris)及びハンセヌラ・ポリモーファ(Hansenula polymorpha)等が用いられる。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr−)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞及びHEK293細胞等が用いられる。
【0025】
上述した宿主細胞の形質転換は、当該技術分野で公知の方法に従って行うことができる。例えば、以下に記載の文献に宿主細胞を形質転換する方法が記載されている。Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69巻,2110(1972); Gene,17巻,107(1982);Molecular & General Genetics,168巻,111(1979);Methods in Enzymology,194巻,182−187(1991);Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978);細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行);及び Virology,52巻,456(1973)。
【0026】
本発明のタンパク質をコードする遺伝子を植物に形質転換し、トランスジェニック植物を得る場合は、例えば電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、PEG法等によって植物中に遺伝子を導入することができる。例えばエレクトロポレーション法を用いる場合は、パルスコントローラーを備えたエレクトロポレーション装置により、電圧500〜600V、100μF、20msecの条件で処理し、遺伝子を宿主に導入する。
【0027】
アグロバクテリウム法を用いる場合は、構築した植物用発現ベクターを、例えばアグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)等の適当なアグロバクテリウムに導入し、この株をバキュームインフィルトレーション法(Bechtold et al. (1993) C. R. Acad. Sci. Ser. III Sci. Vie, 316, 1194−1199に記載の方法)等に従って宿主の無菌培養葉片に感染させ、形質転換植物細胞を得ることができる。
【0028】
パーティクルガン法を用いる場合は、植物体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)自体をそのまま使用するか、切片を調製した後に使用するか、又はプロトプラストを調製して使用する。このように調製した試料を遺伝子導入装置(例えばBIOLISTIC POS 1000/He; BioRad等)を用いて処理する。処理の条件は植物又は試料により異なるが、通常は1000〜1100psi程度の圧力、5〜10cm程度の距離で行う。
【0029】
また、形質転換に用いられる植物としては、例えば、アブラナ科のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ナス科のタバコ(Nicotiana tabacum)、イネ科のトウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)、マメ科のダイズ(Clycine max)等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、その他の農作物や樹木等に対しても有用である。植物は針葉樹、広葉樹、双子葉植物、単子葉植物等いずれであってもよい。
【0030】
形質転換された植物細胞は、再分化させることにより植物体を再生させることが可能である。再分化の方法は植物細胞の種類により異なるが、例えば、イネであればFujimuraら(Plant Tissue Culture Lett. 2:74 (1995))の方法が挙げられ、トウモロコシであればShillitoら(Bio/Technology 7:581 (1989))の方法やGorden−Kammら(Plant Cell 2:603(1990))が挙げられ、ジャガイモであればVisserら(Theor. Appl. Genet 78:594 (1989))の方法が挙げられ、タバコであればNagataとTakebe(Planta 99:12(1971))の方法が挙げられ、シロイヌナズナであればAkamaら(Plant Cell Reports12:7−11 (1992))の方法が挙げられ、ユーカリであれば土肥ら(特開平8−89113号公報)の方法が挙げられる。
【0031】
一旦、ゲノム内に本発明のタンパク質をコードするDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖又は無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫又はクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得、それらから植物体を量産することも可能である。本発明には、本発明のタンパク質をコードするDNAが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫及びクローン、該植物体、その子孫及びクローンの繁殖材料も含まれる。このようにして得られた形質転換植物体は、細胞内のプラスチッドの数又は大きさが制御されている。
【0032】
上述の形質転換法により得られる、腫瘍組織やシュート、毛状根等は、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることができ、また従来より知られている植物組織培養法により、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライド等)の投与等により植物体に再生させることができる。
【0033】
大腸菌等の細菌への組換えベクターの導入方法は、細菌にDNAを導入することのできる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばカルシウムイオンを用いる方法(Cohen, S.N. et al.:Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,69:2110(1972)、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、酵母への組換えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入することのできる方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
【0034】
動物細胞を宿主とする場合は、動物細胞への組換えベクターの導入方法は、動物細胞にDNAを導入することのできる方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
【0035】
昆虫細胞を宿主とする場合は、昆虫細胞への組換えベクターの導入方法は、昆虫細胞にDNAを導入することのできる方法であれば特に限定されず、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
【0036】
遺伝子が宿主に組み込まれたか否かを確認するための方法としては、例えばPCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。例えば、形質転換体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRは、前記プラスミドを調製するために用いた条件と同様の条件にて行われる。次いで、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、次いで増幅産物を1本のバンドとして検出し、形質転換されたことを確認することができる。予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出してもよい。更に、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させた後、蛍光又は酵素反応を用いて増幅産物を確認する方法を用いることもできる。
【0037】
本発明のタンパク質は、前記形質転換体を培養し、本発明のタンパク質を生成、蓄積し、該タンパク質を採取することにより製造することができる。本発明のタンパク質が蓄積されるのは、培養上清のほか、培養細胞もしくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明において形質転換体を培養する方法は、特に制限はなく、宿主の培養において用いられる通常の方法でよい。
【0038】
例えば、宿主が大腸菌や酵母等の微生物の場合、形質転換体を培養する培地は、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、例えばグルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸又は有機酸のアンモニウム塩、又はその他の含窒素化合物の他、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鐵、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。培養は、通常、浸透培養又は通気攪拌培養等の好気的条件の下で行う。培養温度、培養時間は、宿主が大腸菌の場合、約15〜43℃の温度で約12〜48時間行う。宿主がバチルス属菌の場合、約30〜40℃の温度で約12〜100時間行う。宿主が酵母の場合は、約20〜35℃の温度で約24〜100時間行う。また、必要に応じて通気や攪拌を加えることができる。pHの調製を行う必要がある場合、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。
【0039】
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加して培養を行う。例えば、T7プロモーターを用いた発現ベクターの場合、IPTG等を培地に添加して培養を行ってもよい。また、インドール酢酸(IAA)で誘導可能なtrpプロモーターを用いた発現ベクターの場合、IAA等を培地に添加してもよい。
【0040】
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する場合、用いられる培地としては、一般に用いられているRPMI1640培地、DMEM培地又はこらの培地に牛胎児血清等を添加した培地が挙げられる。培養は、通常、5%程度の二酸化炭素の存在下で約37℃の温度で1〜30日間行う。
【0041】
培養後、タンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解等によって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により蛋白質の粗抽出液を得る方法が挙げられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジン等の蛋白質変性剤や、トリトンX−100(登録商標)等の界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にタンパク質が分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる蛋白質の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。すなわち、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、目的のタンパク質を生成することができる。
【0042】
こうして得られた本発明のタンパク質は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。更に、組換え体が産生する蛋白質を、精製前または精製後に、トリプシン及びキモトリプシンのような適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に断片化することもできる。また、キナーゼ等のタンパク質修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えることもできる。本発明のタンパク質の存在は、様々な結合アッセイ及び特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイ等により測定することができる。
【0043】
また、本発明は、上記本発明のタンパク質をコードするDNAを提供する。本発明のDNAは、本発明のタンパク質をコードし得るものであれば特に制限はなく、ゲノムDNA、cDNA、化学合成DNA等が含まれる。ゲノムDNAは、例えば、文献(Rogers and Bendich, Plant Mol. Biol. 5:69 (1985))記載の方法に従って調製したゲノムDNAを鋳型として、本発明のDNAの塩基配列(例えば、配列番号:2に記載の塩基配列)を基に作製したプライマーを用いてPCR法により調製することができる。また、cDNAでは、常法(例えば、Maniatis et al. Molecular Cloning Cold Spring harbor Laboratry Press)により上述した、Pyke K.A. and Leech R.M. Plant Physiology (1992) 99, 1005−1008に記載のシロイヌナズナの葉肉細胞らmRNAを調製し、逆転写反応を行い、上記と同様のプライマーを用いてPCRを実施して調製することができる。また、ゲノムDNAやcDNAは、常法によりゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリーを作製し、このライブラリーに対し、例えば本発明のDNAの塩基配列(例えば、配列番号:2に記載の塩基配列)を基に合成したプローブを用いてスクリーニングすることによっても調製することができる。
【0044】
得られたDNAの塩基配列は、例えば「シークエンサーModel373」(ABI社製)を利用することにより容易に決定することが可能である。本発明のDNAは、例えば、上述したように組み換えタンパク質の調製に用いることができる。さらに、本発明のDNAを植物体内で発現させることにより、その植物細胞中の葉緑体の大きさが小さくなり数は多くなる。また、その植物の花卉の色調を上昇させることができるとともに、植物細胞内に蓄積されるでんぷん量を増加させることができる。
【0045】
また、本発明は、植物細胞内で本発明のDNAの発現を抑制し得る分子を提供する。本発明のDNAの発現の抑制し得るとは、遺伝子の転写の抑制及びタンパク質への翻訳の抑制も含むものである。また、DNAの発現を完全に停止すること、及び発現の減少のいずれをも含むものである。
【0046】
植物細胞内における特定の内在性遺伝子の発現を抑制する方法としては、アンチセンス技術を利用する方法が挙げられる。すなわち、配列番号:2で表わされるDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAを設計する方法である。アンチセンスRNAとしては、遺伝子のmRNAの5’端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的であると考えられる。また、コード領域又は3‘側の非翻訳領域に相補的な配列も使用し得る。このように、遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むDNAも、本発明におけるアンチセンスDNAに含まれる。使用されるアンチセンスDNAは、適当なプロモーターの下流に連結され、好ましくは3’側に転写終結シグナルを含む配列が連結される。このようにして調製されたDNAは、公知の方法で、所望の植物細胞へ形質転換される。アンチセンスDNAの配列は、形質転換される植物細胞が有する内在性遺伝子又はその一部と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に阻害できる限り、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的とする遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の相補性を有する。本発明における、配列番号:2で表わされるDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNAの一例を配列番号:3に示す。
【0047】
アンチセンス配列を用いて、効果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、アンチセンスDNAの長さは、少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さらに好ましくは500塩基以上である。通常、用いられるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短く、好ましくは1.5kbよりも短い。
アンチセンス配列を植物体内で発現させることにより、葉緑体の大きさが大きくなり数は少なくなる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。なお、DNAの切断、連結、大腸菌の形質転換、遺伝子の塩基配列決定、ハイブリダイゼーション等の一般の遺伝子組換えに必要な方法は、各操作に使用する市販の試薬、機械装置等に添付されている説明書や、実験書(例えば「Molecular cloning (Maniatis T. et al. Cold Spring Harbor Laboratory Press)」)に基本的に従った。また、シロイヌナズナの寒天培地や土壌を用いた育成、交配、ゲノムDNAの調製は実験書(例えば「モデル植物の実験プロトコール(秀潤社)」)に基本的に従った。
【0049】
実施例1
ARC3遺伝子の染色体上の位置を決定するために、分子マーカーを用いてマッピングを行った。ARC3変異体はシロイヌナズナのランズバーグ・エレクタにおいて見出されているので、この変異体に、別のエコタイプであるコロンビアタイプ種を交配し、次世代の種子を採取し、それを生育させ、自殖させてF2世代の種子を得た。このF2世代の種子を発芽させ、育成した植物からゲノムDNAを抽出した。このゲノムDNAを、マーカーとしてF1M20−3、F25A4.6、F25A4.4、F10A及びF9E.Claを用いて、上記ゲノムDNAに対して、PCR法により組換価を算出した。
【0050】
具体的には、F1M20−3を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:4及び配列番号:5)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は181bpに、コロンビア種は196bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には1934染色体間で8染色体で組換えが認められた。
【0051】
次いで、F25A4.6を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:6及び配列番号:7)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は94bpに、コロンビア種は87bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には2000染色体間で2染色体で組換えが認められた。
【0052】
次いで、F25A4.4を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:8及び配列番号:9)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は87bpに、コロンビア種は96bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には2000染色体間で組換えは認められなかった。
【0053】
次いで、F10A5を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:10及び配列番号:11)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は184bpに、コロンビア種は200bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には1852染色体間で22染色体で組換えが認められた。
【0054】
次いで、F9E.Cla を増幅することができる2種類のPCRプライマー(配列番号:12及び配列番号:13)を用いてF2世代のゲノムDNAをPCR法を用いて増幅させ、制限酵素ClaIで処理した後、アガロース電気泳動で調べた。この分子マーカーでは、ランズバーグ種は199bpに、コロンビア種は28bp及び171bpにバンドを示すことが知られているため、これに基づいて計算したところ、ARC3遺伝子と同マーカーとの間には2000染色体間で1染色体で組換えが認められた。
【0055】
以上のようにして、ARC3遺伝子を含む染色体上の領域が、F25A4.4、F9E.Claの2つの分子マーカーによって挟まれていることが確認された。そこで、F25A4.4、F9E.Claマーカーをそれぞれ含むゲノムDNA断片を単離して、相補テストを行い遺伝子を同定した。ARC3遺伝子は742アミノ酸をコードしており、塩基配列の決定を行ったところ、N末領域がバクテリアの分裂制御因子であるFtsZとの相同性があり、C末領域は真核生物でよく知られているシグナル伝達因子のホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート5−キナーゼの一部と相同性があった。配列決定された遺伝子の塩基配列は、配列番号:1で表わされる。
【0056】
実施例2
ARC3遺伝子のcDNA(配列番号:2)を用いて、アンチセンス遺伝子の構築を行った(配列番号:3)。配列番号:2で表わされるDNA、及び配列番号:3で表わされるDNAを、バイナリーベクターpBI121の35Sプロもーなー顆粒に連結し、それぞれセンス遺伝子及びアンチセンス遺伝子とした。次いで、センス遺伝子又はアンチセンス遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナをアグロバクテリウム・チュメファシエンス菌を介した遺伝子導入法によって作成した。
【0057】
まず、上記センス遺伝子又はアンチセンス遺伝子発現ベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌にエレクトロポレーション法を用いて移行させた。上記発現ベクターは、マーカーとして、カナマイシン耐性遺伝子を有している。センス遺伝子又はアンチセンス遺伝子発現ベクターDNAを10%グリセロール溶液に懸濁したアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌体と混合し、1mm幅のキュベット電極中で、25μF・600Ω・1.8kV設定にて電気パルスを印可した後、25μg/mlのカナマイシンと50μg/mlのリファンピシンを添加したLB寒天培地(1%バクトトリプトン,0.5%酵母抽出物,0.5%塩化ナトリウム,1.2%バクトアガー)上で、28℃,2日間培養して、カナマイシン耐性の付与されたアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌のコロニーを選抜した。
【0058】
次いで、このセンス遺伝子又はアンチセンス遺伝子を有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌を50μg/mlのリファンピシンと25μg/mlのカナマイシンを添加したLB液体培地(1%バクトトリプトン,0.5%酵母抽出物,0.5%塩化ナトリウム)で、28℃,16時間培養した培養液を用意した。シロイヌナズナは、種子を1%アンチホルミンで滅菌した後、1%ショ糖と0.4%ゲランガムを添加したMS寒天培地(Murashige & Skoog(1962), Physiol. Plant, vol.15:p473−)に播種して、25℃の温度で14日間生育させた。生育させたシロイヌナズナは、胚軸部を切り出して、CIM培地(0.5mg/l 2,4D、0.05mg/l カイネチン、2%グルコース、0.4%ゲランガムを添加したB5寒天培地(Gamborgら(1968), Exp. Cell Res., vol.50:p151−))に置床し、25℃の温度で6日間暗所で培養した。この胚軸を、上記のセンス遺伝子又はアンチセンス遺伝子を有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌培養液と混和した後、再度CIM培地に置いて、25℃の温度で2日間暗所で共培養して感染を行わせた。除菌のために胚軸は、150mg/lのクラフォランと2%グルコースを含むB5液体培地中で5時間振とう洗浄した。洗浄後の胚軸は、形質転換植物を分化させ、選抜するために、SIM培地(2mg/l ゼラチン、0.2mg/l IBA、150mg/l クラフォラン、50μg/ml カナマイシン、2%グルコース、0.4%ゲランガムを含むB5寒天培地)に1週間ごとに植え継いだ。上記センス遺伝子又はアンチセンス遺伝子を発現させている35Sプロモーターは、恒常的発現プロモーターとして知られている。その結果として、継代培養4週目には、胚軸から直接に雌蕊を分化させることができた。
【0059】
得られた植物体の葉肉細胞内の葉緑体の数及び大きさを以下のようにして観察した。
葉肉細胞を光学顕微鏡で観察し、デジタルデータをとり、葉緑体の数をカウントした。大きさは肉眼で観察した。
【0060】得られた結果を図1に示す。図1において、(a)は未処理のシロイヌナズナの葉肉細胞の葉緑体の電子顕微鏡写真であり、(b)はアンチセンス遺伝子を発現するシロイヌナズナの葉肉細胞の葉緑体の電子顕微鏡写真である。
【0061】
図1から明らかなように、アンチセンス遺伝子を発現するシロイヌナズナの葉肉細胞中の葉緑体は、未処理のものに比べ、その大きさが大きくなり、数は少なくなっていた。また、このシロイヌナズナは、植物の生育速度が未処理のものよりも遅く、種子の収量も低下していた。
【0062】
また、図には示さないが、センス遺伝子を発現するシロイヌナズナの葉肉細胞中の葉緑体は、未処理のものに比べ、その大きさが小さくなり、数は多くなっていた。このシロイヌナズナは、植物体の光合成能が上昇しており、植物の生育速度は未処理のものよりも上昇していた。更に、このシロイヌナズナは、未処理のものに比べ、種子の収量も上昇していた。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、植物細胞内のプラスチッドの数及び大きさを変化させる遺伝子、該遺伝子がコードするタンパク質を提供することができる。また、本発明によれば、上記遺伝子を利用して、光合成能や花卉の色調が上昇した植物を提供することができる。
【0064】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】シロイヌナズナの葉肉細胞の葉緑体の電子顕微鏡写真である。
Claims (12)
- 植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するために用いる、下記(a)〜(e)のいずれかに記載のDNA。
(a)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列において、一部のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNA。
(e)配列番号:2で表わされる塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAであって、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質と同等の機能を有するタンパク質をコードするDNA。 - 植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するために用いる、請求項1に記載のDNAの転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA。
- 請求項1又は2に記載のDNAを含有する組換えベクター。
- 請求項3に記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
- 請求項1に記載のDNAによりコードされるタンパク質。
- 請求項1に記載のDNA、又は請求項3に記載の組換えベクターを保持する形質転換体を培養し、該形質転換体又はその培養上清から、発現させたタンパク質を回収する工程を含む、得請求項5に記載のタンパク質の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のDNA、又は請求項3に記載の組換えベクターを保持する形質転換植物細胞。
- 請求項7に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体。
- 請求項8に記載の形質転換植物体の子孫又はクローンである、形質転換植物体。
- 細胞内のプラスチッドの数又は大きさが制御されている、請求項8又は9に記載の形質転換植物体。
- 請求項5に記載のタンパク質と結合する抗体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のDNA、請求項5に記載のタンパク質、又は請求項11に記載の抗体を含む、植物細胞内のプラスチッドの数又は大きさを制御するための組成物。
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Cited By (3)
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-
2003
- 2003-03-14 JP JP2003069670A patent/JP2004275048A/ja active Pending
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