JP3781622B2 - イネ由来のジベレリン3β水酸化酵素遺伝子およびその利用 - Google Patents

イネ由来のジベレリン3β水酸化酵素遺伝子およびその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジベレリンの生合成に関与するイネ由来の遺伝子および該遺伝子の利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
多細胞生物は、集合して機能的単位を形成する多数の専門器官や組織で構成される。生物の様々な部分の協調は化学伝達物質を通じて行なわれており、これら物質に対してホルモンという語が用いられている。植物ホルモンは、生長を刺激したり阻害したりする、または何らかの生長プログラムを制御するシグナルとして作用する天然に存在する物質であり、少量でも非常に有効である。今日、一般に植物ホルモンとして認識されている物質としては、オーキシン類、ジベレリン類、サイトカイニン類、アブシジン酸、ブラシノライド、およびエチレンが挙げられる。
【0003】
動物ではホルモンは、通常、特殊な腺で合成され、血流を通じて生体全体に送られる。このようにして、ホルモンは反応する準備ができている標的や反応組織に到達し、特異的な制御プロセスを誘発する。当初、動物について展開されたホルモンに対するこのような古典的な考え方は、高等植物に応用された。多くの場合、植物ホルモンは特異的標的組織において活性を示すが、それらはホルモンが産生される組織とは異なることが多い。しかし、植物ホルモンは全て、多細胞植物の多くの部位で検出することができる。これは、合成部位と植物ホルモン作用部位との間にしばしば絶対的な分離がないことを示している。必要であれば、ホルモンは、ホルモンが形成される細胞と同じ細胞(組織)に作用を及ぼすことが可能である。このように、植物ホルモン合成の調節を理解することは、合成と作用との関係を決定する上で重要である。
【0004】
ジベレリン(GA)は、当初、1920年代に日本人植物病理学者によって植物毒素として発見された。植物病原性真菌であるジベレラ(Gibberella fujikuroi)は、イネ科植物に感染し、病理的な縦方向の生長を引き起こす化合物を分泌する(馬鹿苗病("mad seedling disease"))。1935〜1938年の間にこの化合物は単離され、活性物質が結晶化されて、これを「ジベレリン」と呼んだ。後の研究によって、GAが高等植物によっても生成され、生長の制御と分化プロセスにおいて非常に重要であることが示された。
【0005】
1992年までに同定された約80個のGAの基本構造は、エント・ジベレラン(ent-gibberellan)の4環式系である(図1a)。GAは、主にメバロン酸からゲラニルゲラニルピロ燐酸の環状化を通じて生成されるジテルペノイドカルボン酸を含むが(図1b)、そのほとんどは植物の生長促進には不活性である。多くの植物において、植物生長制御物質として作用する生物学的に活性なGAは、GAおよびGAである。それらは、種子の発芽、茎の伸長、開花そして結実などの様々な生長プロセスを調節することができる。このため、GAの生合成を改変することで、産業上有用な様々な改変植物を作出することが可能であると考えられる。
【0006】
環境刺激のメディエータとしてのGAの役割は、十分に確立されている。光や温度のような物理的要因は、代謝経路の特定の段階を通じて、その流量を変化させることによりGA代謝を修飾することができる。例えば、光の性質(赤色または赤外線)と強度(強いまたは弱い)は、GA生合成に影響を及ぼす。レタスの種子やササゲの上胚軸では、GA20の3βヒドロキシル化は、遠赤色線による処置によって増強される(Toyumasu et al. (1992) Plant Cell Physiol. 33,695-701)。さらに、エンドウの実生を低放射度(40 μmol/m・s)で生長させると、GA20含量は、高放射度(386 μmol/m・s)で生長する植物と比較して7倍増加するが、暗所で生長させた植物のGA20含量は高放射度の場合の含量へと減少する(Gawronska et al. (1995) Plant Cell Physiol.36,1361-1367)。
【0007】
フィトクロムや光の強度による生長速度の変化とGA代謝との関係を解明しようとした試みは数多く為されてきたが、それを支持する証拠はいまだ乏しい。これらの制御プロセスの基礎となるメカニズムは、GA生合成の分子生物学における現在の進歩の結果として理解されるであろう。
【0008】
また、少なからぬ努力にも関わらず生物活性GAの合成部位と特定の細胞や組織におけるそれらの作用様式は明らかにされていない。植物に14C-標識GAを加えた実験から、それらは植物の中を非極性的に移動すると考えられている。最近、矮性のエンドウ植物と野生型のエンドウ植物の接木実験から、生物活性GAであるGAが、その前駆体であるGA20とは異なり輸送されないことが示された(Proebsting et al. (1992) Plant Physiol.100,1354-1360、Reid et al. (1983) J.Exp.Bot.34,349-364)。矮性エンドウ植物についてGC-MSとバイオアッセイを用いた定量的分析から、GAが主に茎端、若葉そして花のような活発に生長伸長しつつある組織に存在することが明らかになった(Jones and Phillips (1996) Plant Physiol.41,1381-1386、Potts et al. (1982) Physiol.Plant,55,323-328、Kobayashi et al. (1988) Agric.Biol.Chem.52,1189-1194)。しかし、ほとんどのGAはごく少量しか存在せず、ほとんどが生物活性でないため、特定の組織に存在する各GAの正確な量は測定することが難しい。したがって、生物活性GAの合成部位を明らかにするためには、新しいアプローチが必要である。
【0009】
分子生物学と遺伝子戦略の進歩に伴って、現在では、GA生合成酵素をコードする遺伝子のほとんどが様々な植物種からクローニングされている。これらの試験から、それぞれのGA反応性矮性変異体がGA生合成酵素を欠損することが示された(図1b)。その発現プロフィールは、経路が生長時に厳密に制御されていることを示している。これらの遺伝子のうち、GA生合成の初期に活性な酵素であるコパリル2燐酸シンターゼ(CPS)をコードするシロイヌナズナのGA1は、例えば、茎端、根端そして花などの急速に生長しつつある組織において高度に発現されている(Silverstone et al. (1997) Plant J. 12, 9-19)。GA生合成経路の後期段階を触媒し、小さい遺伝子ファミリーを構成するGA C-20オキシダーゼは、生長のためにGAが必要であるシロイヌナズナ、エンドウそしてインゲンの茎や生長しつつある種子に特異的に発現し、それらはGA処理によって負の制御を受ける(Phillips et al. (1995) Plant Physiol. 108, 1049-1057、Garcia-Martinez et al. (1997) Plant Mol.Biol. 33, 1073-1084)。
【0010】
これらの観察により、本発明者らは、様々な器官におけるGAの作用は存在する内因性GAの量に依存し、内因性GA量は、生物活性GAのGA作用部位への移動ではなくて、GA生合成酵素の発現の制御に依存するのではないかと推測するに至った。しかし、生物活性GAは、GA3β-ヒドロキシラーゼによって触媒される3βヒドロキシル化によって合成されるため、CPSまたはGA C-20オキシダーゼの発現を分析しても、生物活性GAの合成部位や生物活性GA量の制御に関する直接的な証拠は得られないと考えた。
【0011】
上記のように、3β-ヒドロキシラーゼは、生物活性GA生成の最終段階でそれぞれ、GA20とGAのGAとGAへの変換を触媒する(図1b)。3β-ヒドロキシラーゼの酵素学はまだ完全には解明されていないが、2-オキソグルタル酸結合領域がその活性に必須であり、このことはGA3β-ヒドロキシラーゼが2-オキソグルタル酸依存的ジオキシゲナーゼの典型的な特性を有することを示している。特定のGA3βヒドロキシラーゼは多機能性である可能性があり、カボチャの胚乳は、2βと3βの双方のヒドロキシル化を触媒する(Lange et al. (1997) Plant Cell, 9, 1459-1467)。トウモロコシ矮性体の1,3βヒドロキシラーゼもまた、多機能性であると考えられており、トウモロコシGA生合成経路における3つのヒドロキシル化段階を触媒する(Spray et al. (1996) Proc.Natl.Acad.Sci. 93, 10515-10518)。しかし、これらのGA3βヒドロキシラーゼの本質はまだ十分に解明されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、イネ由来の新規なGA3β-ヒドロキシラーゼ遺伝子およびその利用、特に草型が改変された植物体の作出のための該遺伝子の利用を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、イネ由来のGA3β-ヒドロキシラーゼ遺伝子を単離するために、まず、双子葉植物のGA3β-ヒドロキシラーゼの保存領域を基に設計した縮重プライマーを用いて、イネのゲノムDNAを鋳型にPCRを行なった。次いで、これにより得られたGA3β-ヒドロキシラーゼをコードするゲノムDNA断片をプローブとしてイネのゲノムライブラリのスクリーニングを行ない、いくつかのクローンを得た。これらのゲノムクローンを制限マップに基づいて2群に分類し、各群の中の1つにつき完全に塩基配列の決定を行なった。その結果、本発明者等は、これらクローンが、それぞれイネのGA3β-ヒドロキシラーゼをコードしていることを見出した。
【0014】
次ぎに、各クローンの配列に基づき、cDNA断片を得るために、実生(イネの茎端)または未開の花から単離した総RNAを用いてRT-PCRを実施した。これにより、GA3β-ヒドロキシラーゼをコードする完全な大きさのcDNAクローンを得た(それぞれのクローンを「Os3β-1」と「Os3β-2」と名付けた)。さらに、本発明者等は、得られたゲノムDNAの配列を基に設計したプライマーを用いて、イネの実生(茎端)または未開の花から単離した総RNAを鋳型に逆転写PCR(RT-PCR)を行ない、完全なイネGA3β-ヒドロキシラーゼをコードするcDNAクローンを取得することに成功した。
【0015】
イネにおいてはGA反応性の矮性種としてd18変異体が知られているため、本発明者等は、単離されたイネGA3β-ヒドロキシラーゼクローンがD18遺伝子に対応するか否かの検討を行なった。RFLP(制限断片長多型)分析およびd18対立遺伝子の塩基配列の直接的な分析を行なった結果、単離した2つのイネ遺伝子のうち、Os3β-2遺伝子がd18変異の原因となる遺伝子であった。また、Os3β-2遺伝子との発現部位の相違から、Os3β-1タンパク質がOs3β-2タンパク質と生物活性GAの異なる経路に関与していることが示唆された。
さらに、本発明者等は、Os3β-2遺伝子に対するアンチセンスDNAを利用して、イネ植物体におけるOs3β-2遺伝子の発現を抑制することにより、野生型植物体と比較して矮性化した植物体を作出することに成功した。
【0016】
即ち、本発明者等は、イネから新規なGA3β-ヒドロキシラーゼ遺伝子を単離することに成功し、さらに該遺伝子の発現を抑制することで野生型植物体と比較して草型が改変された植物体を作出し得ることを見出した。
【0017】
本発明は、より詳しくは、
(1) ジベレリン3β水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードする、下記(a)から(c)のいずれかに記載のDNA、
(a)配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(b)配列番号:3または4に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA、
(c)配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA、
(2) (1)に記載のDNAまたはその転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA、
(3) (1)に記載のDNAの転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA、
(4) 植物細胞における発現時に、共抑制効果により、内因性の(1)に記載のDNAの発現を抑制するRNAをコードするDNA、
(5) (1)から(4)のいずれかに記載のDNAを含むベクター、
(6) (1)から(4)のいずれかに記載のDNAを発現可能に保持する形質転換植物細胞、
(7) (6)に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体、
(8) (7)に記載の形質転換植物体の繁殖材料、
(9) (1)に記載のDNAによりコードされるタンパク質、
(10) (1)に記載のDNAを発現可能に保持する形質転換細胞を培養し、該細胞またはその培養上清から発現させたタンパク質を回収する工程を含む、(9)に記載のタンパク質の製造方法、
(11) 植物細胞内において(1)に記載のDNAの発現量を調節することを特徴とする、植物の生長を改変する方法、
(12) 植物細胞内において(1)に記載のDNAの発現量を調節することを特徴とする、植物の草型を改変する方法、を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、イネから単離された、新規なGA3β-ヒドロキシラーゼおよび該酵素をコードするDNAを提供する。本発明のDNAに含まれる、本発明者らにより単離されたイネ由来のGA3β-ヒドロキシラーゼ遺伝子Os3β-1およびOs3β-2のcDNAの塩基配列をぞれぞれ配列番号:3および4に、ゲノムDNAの塩基配列をぞれぞれ配列番号:5および6に示す。また、「Os3β-1」タンパク質および「Os3β-2」タンパク質のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号:1および2に示す。
【0019】
イネ由来の「Os3β-1」タンパク質および「Os3β-2」タンパク質は、3βヒドロキシラーゼの2-オキソグルタル酸依存的ジオキシゲナーゼ(2-ODD)としてのこれまでの分類と一致して、植物の2-ODDに特徴的な全てのドメインを含んでいた(Prescott, (1993) J.Exp.Bot. 44, 849-861;de Carolis and Luca, (1994) Phytochemistry, 36, 1093-1107)。公表された全ての配列の中で、双方のクローンのコード領域はGA3β-ヒドロキシラーゼと最も高い相同性を示す。特に、鉄と共因子である2-オキソグルタル酸の結合として作用する可能性がある領域は、高度に保存されている(Os3β-1では240〜247位と302〜307位、Os3β-2では222〜229位と285〜290位)。それらはまた、GA3β-ヒドロキシラーゼ(Os3β-1では144〜150位、Os3β-2では127〜133位)に独自の保存モチーフ(Met-Trp-X-Glu-Gly-X-Thr)を有する。双子葉植物のGA3β-ヒドロキシラーゼやその他のジオキシゲナーゼとの配列の比較から、本発明者等により単離されたクローンは、イネのGA3β-ヒドロキシラーゼをコードしていると考えられる。
【0020】
Os3β-2のマッピングとゲノムサザン分析から、Os3β-2がD18遺伝子に対応することが示された。イネのd18変異体はGA反応性の矮性種であり、多数の対立遺伝子、すなわち豊雪-矮性(Hosetu-waisei)、秋晴-矮性(Akibare-waisei)、小丈-玉錦(Kotake-tamanishiki)、そして矮稲-C(Waito-C)、がこれまでに確認されている(図2)。Os3β-2タンパク質もまた、生物活性GA合成を介して、植物の節間伸長に関与していると考えられる。
【0021】
様々な生長段階で異なる器官における内因性GA量に関する分析から、13-ヒドロキシジベレリン(GA19、GA20、GA)は栄養生長器官では優性であるが、非13-ヒドロキシル化ジベレリン(GA24、GA、GA)は再生生長器官、特に葯に蓄積することが明らかになっている。このことは、生物活性GAの生合成経路が器官特異的であることを示している(Kurogouchi et al. (1979) Planta, 146, 185-191、Kobayashi et al. (1984) Agric.Biol.Chem. 48, 2725-2729、Kobayashi et al. (1988) Agric.Biol.Chem. 52, 1189-1194)。Os3β-2(D18)とOs3β-1の発現パターンはこの推測と一致する。実際、Os3β-2 mRNAは茎、若葉、そして花序分裂組織において高く、Os3β-1 mRNAは花において特に認められた。これらの一致は、Os3β-2とOs3β-1の産物がそれぞれ、GA20とGAに対する基質特異性を有する可能性を示している。
【0022】
Os3β-2とOs3β-1の発現はまた、イネにおける生物活性GAの分布とも一致する。育種分析と定量的分析により、GAは、ジベレリン生合成の最も活発な部位である若葉組織では高く(Choi et al. (1995) Physiol. 36(6), 997-1001)、Os3β-2の最も高い発現も若葉において認めた。興味いことに、茎端におけるOs3β-2の発現は他の器官と比較して中等度のレベルであるが、それにも関わらず、シロイヌナズナのGA1やタバコのNtyなどの多くのGA生合成遺伝子は、活発に分裂伸長しつつある組織、例えば茎端と根に強く発現している(Silverstone et al. (1997) Plant J. 12, 9-19)。この相違は、GAを合成する器官活性が単子葉植物と双子葉植物では異なる可能性があることを示唆している。一方、内因性のGA量は、開花段階での葯において非常に高く(Kobayashi et al. (1988) Agric.Biol.Chem. 52, 1189-1194、Kobayashi et al. (1990) Plant Cell Physiol. 31(2), 289-293)、この事実は花におけるOs3β-1の特異的発現とよく一致する。この一致はGAがOs3β-1タンパク質の作用により葯において合成されることを示しているのかも知れない。従って、Os3β-2タンパク質とOs3β-1タンパク質は、生物活性GAの異なる経路に関係している可能性がある。
【0023】
実際、Os3β-1タンパク質はGA9を基質として、GA4(3β水酸化)、GA7(2,3位の不飽和化および3β水酸化)、GA34(2β水酸化)を生成し(図9)、GA20を基質とした場合にも同様な結果が得られた。またGA5、GA44を基質とした時にはそれぞれに対応する3β水酸化ジベレリン(GA3、GA88)を生成した。また、Os3β-2タンパク質は、GA5、GA9、GA20、GA44を基質として、それぞれに対応する3β水酸化ジベレリン(GA3、GA4、GA1、GA38)を生成した(図10)(実施例5)。
【0024】
生物活性GAが、茎の伸長のみならず、他の様々な植物生長過程に必要であることに関しては、その他いくつかの報告例がある。例えば、花の器官に関しては、シロイヌナズナのGA欠損変異体であるga1-3が雄性不稔表現型を示すという報告(Koornneef and Van der Veen, (1980) Theor.Appl.Genet. 58, 257-263)やトマトのstamenless-2やgib-1が、初期段階で葯の生長を停止し、生存花粉粒を形成しないという報告(Sawhney, (1974) J.Exp.Bot. 25, 1004-1009、Jacobsen and Olszewski, (1996) Proc.Natl.Acad.Sci. 93, 9292-9296)がなされている。
【0025】
本発明のこれらタンパク質は、いずれも生物活性GAの生成に関与していると考えられるため、生物活性GAの製造に用いることが可能である。また、後述するように、植物体内においてこれらタンパク質の発現量を調節することにより、植物の生長を改変させ、例えば、野生型とは異なる草型の植物体を製造することも可能である。
【0026】
本発明のタンパク質は、当業者に公知の方法により、遺伝子組み換え技術を利用して調製した組み換えタンパク質として、また天然のタンパク質として調製することができる。組み換えタンパク質は、後述するが、例えば、本発明のタンパク質をコードするDNA(例えば、配列番号:3、4)を適当な発現ベクターに挿入し、該ベクターを適当な細胞に導入し、該形質転換細胞から精製することにより調製することが可能である。また、天然のタンパク質は、例えば、調製した組み換えタンパク質若しくはその部分ペプチドを適当な免疫動物に免疫することにより調製した抗体を結合したアフィニティーカラムに、本発明のタンパク質を発現しているタバコやイネの組織などから調製した抽出液を接触させて、該カラムに結合するタンパク質を精製することにより調製することができる。
【0027】
本発明のタンパク質には、野生型タンパク質(配列番号:1、2)の機能を保持したまま、その一部のアミノ酸を改変したタンパク質が含まれる。このようなタンパク質を調製するための当業者によく知られた方法としては、例えば、site-directed mutagenesis法(Kramer, W.& Fritz,H.-J. Oligonucleotide-directed construction of mutagenesis via gapped duplex DNA.Methods in Enzymology, 154: 350-367, 1987)が挙げられる。また、アミノ酸の変異は自然界において生じることもある。本発明のタンパク質には、このように天然型のタンパク質のGA3β-ヒドロキシラーゼ活性を保持したまま、そのアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたタンパク質も含まれる。タンパク質におけるアミノ酸の改変部位および改変個数は、改変後のタンパク質がGA3β-ヒドロキシラーゼ活性を有する限り、特に制限はない。アミノ酸の改変は、一般的には、50アミノ酸以内であり、好ましくは30アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内であり、さらに好ましくは3アミノ酸以内である。
【0028】
本発明において「GA3β-ヒドロキシラーゼ活性」とは、反応基質であるGA20またはGA9を与えた際に、補因子である鉄イオン、2オキソグルタル酸の存在下でGA1またはGA4を反応生成物として合成する活性を指す。該活性は、例えば、次ぎにようにして検出することができる。一般的には、発現ベクターに得られたcDNAを挿入し、融合タンパク質として大腸菌内で過剰発現させる。その結果、得られる細胞抽出液を酵素液として、反応基質であるGA20またはGA9、および補因子である鉄イオン、2オキソグルタル酸の存在下で反応をin vitroで行なわせ、最終的に反応生成物(GA1またはGA4)をGC-MSによって確認する。
【0029】
本発明においては、これらタンパク質をコードするcDNAおよびゲノムDNAが単離された。従って、本発明のタンパク質をコードするDNAには、これらタンパク質をコードしうる限り、cDNAおよびゲノムDNAの双方が含まれる。Os3β-2タンパク質やOs3β-1タンパク質をコードするDNAは、cDNAであれば、それぞれ配列番号:3および4に記載の塩基配列情報を基に設計したプライマーを用い、実生(イネの茎端)または未開の花から単離した総RNAを鋳型とした逆転写PCRを行なうことにより調製することができる。また、ゲノムDNAは、それぞれ配列番号:5および6に記載の塩基配列情報を基に設計したプライマーを用い、イネのゲノムDNAを鋳型にPCRを行なうことにより調製することができる。
【0030】
これら本発明のタンパク質をコードするDNAは、例えば、組換えタンパク質の製造に用いることができる。組換えタンパク質の製造は、例えば、下記のようにして行なうことができる。まず、pMAL-c2発現ベクター(NEB社)のマルチクローニングサイトに対し、予め制限酵素サイトを設けたプライマーを用いてRT-PCRにより合成した全長cDNAをサブクローニングする。この構築物を、定法により、BL21(プロテアーゼ欠失株)に形質転換する。これにより得られる形質転換体を用いてタンパク質の誘導を行う。大腸菌は、2xYT、0.2%グルコースの培地で37℃振とう培養する。OD600が0.6前後になったところで、IPTGを最終濃度1mMとなるように加え、更に18℃で24時間培養する。酵素液の抽出に関しては、培養後、集菌し、これをsuspend buffer(50mM Tris-HCl, pH8.0, 10%グリセロール, 2mM DTT, 1mg/ml リゾチーム)に溶かす。懸濁液を4℃にて30分放置後、-80℃にて、凍結するまでインキュベートする。凍結した懸濁液を解凍し、SONICATOR(HEAT SYSTEMS-ULTRASONICS,INC.MODEL W-225R)を用いて、MAXレベルにて、30秒間、5分のインターバルをおき、2回超音波処理を行う。処理した懸濁液を遠心(15,000rpm, 4℃, 20分)し、その上清を粗酵素液とすることができる。
【0031】
また、精製タンパク質の調製は、例えば、本発明のタンパク質をヒスチジンタグ、マルトース結合タンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)と融合した形態で大腸菌などで発現させ、これをそれぞれニッケルカラム、アミロースカラム、GST-グルタチオンカラムにて精製することにより行なうことができる。さらに、精製後は、必要に応じて、スロンビンやファクターXaなどの制限プロテアーゼを利用して上記タグを切り離すこともできる。
【0032】
上記したように、本発明者等により単離された遺伝子は、生物活性GAの生産を通じて植物の生長に関係していると考えられ、従って、これら遺伝子の発現を調節することにより、植物の成長を制御することができると言える。特にOs3β-2は、植物の節間の生長に関与していると考えられるため、植物の草丈の制御などに利用することができる。植物の草丈を制御することには、産業上の種々の利点が存在する。
【0033】
例えば、植物体内における本発明の遺伝子の発現を抑制して、草丈を減少させることにより、植物を倒れにくくすることができ、その結果、子実重量を増加させることが可能となる。また、草丈を減少させ、1株あたりの植物体の形をよりコンパクトにすることにより、単位面積あたりに作付できる植物体の個体数を増加させることができる。このことは、特に、イネをはじめ、ムギ、トウモロコシなどの農作物の生産において大きな意義を有する。また本発明のタンパク質をコードするDNAは、矮性花卉などへの応用、矮性果樹などへの応用も考えられる。Os3β-1に関しては、花における発現を抑制することにより、雄性不稔形質を誘導できる可能性がある。
一方、植物体内における本発明の遺伝子の発現を増加させて、草丈を増加させることにより、植物体全体の収量を増加させることも考えられる。このことは、特に、飼料用作物全体の収穫量を向上させる上で有意義である。
【0034】
本発明において、植物の生長を制御するために、本発明の遺伝子の発現を抑制する方法としては、当業者に公知の種々の方法を用いることができる。ここで「遺伝子の発現の抑制」には、遺伝子の転写の抑制、タンパク質への翻訳の抑制が含まれる。また、遺伝子発現の完全な停止のみならず発現の減少も含まれる。
【0035】
植物における特定の内在性遺伝子の発現を抑制する方法としては、アンチセンス技術を利用する方法が当業者に最もよく利用されている。植物細胞におけるアンチセンス効果は、エッカーらが一時的遺伝子発現法を用いて、電気穿孔法で導入したアンチセンスRNAが植物においてアンチセンス効果を発揮することで初めて実証した(J.R.EckerおよびR.W.Davis, Proc.Natl.Acad.USA.83:5372,1986)。その後、タバコやペチュニアにおいても、アンチセンスRNAの発現によって標的遺伝子の発現を低下させる例が報告されており(A.R.van der Krolら Nature 333:866,1988)、現在では植物における遺伝子発現を抑制させる手段として確立している。
【0036】
アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造がつくられた部位とのハイブリッド形成による転写抑制、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエキソンとの接合点でのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行抑制、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始抑制、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻止、および核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現抑制などである。これらは、転写、スプライシング、または翻訳の過程を阻害して、標的遺伝子の発現を抑制する(平島および井上「新生化学実験講座2 核酸IV 遺伝子の複製と発現」,日本生化学会編,東京化学同人,pp.319-347,1993)。
【0037】
本発明で用いられるアンチセンス配列は、上記のいずれの作用で標的遺伝子の発現を抑制してもよい。一つの態様としては、遺伝子のmRNAの5'端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的であろう。しかし、コード領域もしくは3'側の非翻訳領域に相補的な配列も使用し得る。このように、遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むDNAも、本発明で利用されるアンチセンスDNAに含まれる。使用されるアンチセンスDNAは、適当なプロモーターの下流に連結され、好ましくは3'側に転写終結シグナルを含む配列が連結される。このようにして調製されたDNAは、公知の方法で、所望の植物へ形質転換できる。アンチセンスDNAの配列は、形質転換する植物が持つ内在性遺伝子(若しくはその相同遺伝子)またはその一部と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に阻害できる限り、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的とする遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有する。アンチセンス配列を用いて、効果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、アンチセンスDNAの長さは、少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さらに好ましくは500塩基以上である。通常、用いられるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短く、好ましくは2.5kbよりも短い。
【0038】
内在性遺伝子の発現の抑制は、また、リボザイムをコードするDNAを利用して行うことも可能である。リボザイムとは触媒活性を有するRNA分子のことをいう。リボザイムには種々の活性を有するものがあるが、中でもRNAを切断する酵素 としてのリボザイムの研究により、RNAの部位特異的な切断を目的とするリボザイムの設計が可能となった。リボザイムには、グループIイントロン型や、RNasePに含まれるM1RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさのものもあるが、ハンマーヘッド型やヘアピン型と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある(小泉誠および大塚栄子,蛋白質核酸酵素,35:2191,1990)。
【0039】
例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの自己切断ドメインは、G13U14C15のC15の3'側を切断するが、活性にはU14が9位のAと塩基対を形成することが重要とされ、15位の塩基はCの他にAまたはUでも切断されることが示されている(M.Koizumiら,FEBS Lett.228:225,1988)。リボザイムの基質結合部を標的部位近傍のRNA 配列と相補的になるように設計すれば、標的RNA中のUC、UUまたはUAという配列を認識する制限酵素的なRNA切断リボザイムを作出することが可能である(M.Koizumiら,FEBS Lett. 239:285,1988, 小泉誠および大塚栄子,蛋白質核酸酵素,35:2191,1990, M.Koizumiら, Nucleic Acids Res. 17:7059,1989)。本発明者等により単離されたNty遺伝子、Os3β-1遺伝子、Os3β-2遺伝子(配列番号:3、4)中にはリボザイムの標的となりうる部位が多数存在する。
【0040】
また、ヘアピン型リボザイムも、本発明の目的のために有用である。ヘアピン型リボザイムは、例えばタバコリングスポットウイルスのサテライトRNAのマイナス鎖に見出される(J.M.Buzayan Nature 323:349,1986)。このリボザイムも、標的特異的なRNA切断を起こすように設計できることが示されている(Y.Kikuchi およびN.Sasaki Nucleic Acids Res. 19:6751,1992, 菊池洋,化学と生物 30:112,1992)。
【0041】
標的を切断できるよう設計されたリボザイムは、植物細胞中で転写されるようにカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターなどのプロモーターおよび転写終結配列に連結される。しかし、その際、転写されたRNAの5'末端や3'末端に余分な配列が付加されているとリボザイムの活性が失われてしまうことがある。このようなとき、転写されたリボザイムを含むRNAからリボザイム部分だけを正確に切り出すために、リボザイム部分の5'側や3'側に、トリミングを行うためのシスに働く別のトリミングリボザイムを配置させることも可能である(K.Tairaら, Protein Eng. 3:733,1990, A.M.DzianottおよびJ.J.Bujarski Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 86:4823,1989, C.A.GrosshansおよびR.T.Cech Nucleic Acids Res. 19:3875, 1991, K.Tairaら Nucleic Acids Res. 19:5125, 1991)。また、このような構成単位をタンデムに並べ、標的遺伝子内の複数の部位を切断できるようにして、より効果を高めることもできる(N.Yuyamaら Biochem.Biophys.Res.Commun.186:1271,1992)。このようなリボザイムを用いて本発明で標的となる遺伝子の転写産物を特異的に切断し、該遺伝子の発現を抑制することができる。
【0042】
内在性遺伝子の発現の抑制は、さらに、標的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有するDNAの形質転換によってもたらされる共抑制によっても達成されうる。「共抑制」とは、植物に標的内在性遺伝子と同一若しくは類似した配列を有する遺伝子を形質転換により導入すると、導入する外来遺伝子および標的内在性遺伝子の両方の発現が抑制される現象のことをいう。共抑制の機構の詳細は明らかではないが、植物においてはしばしば観察される(Curr.Biol.7:R793,1997, Curr.Biol.6:810,1996)。例えば、本発明の遺伝子が共抑制された植物体を得るためには、本発明の遺伝子若しくはこれと類似した配列を有するDNAを発現できるように作製したベクターDNAを目的の植物へ形質転換すればよい。共抑制に用いる遺伝子は、標的遺伝子と完全に同一である必要はないが、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%以上)の配列の同一性を有する。
【0043】
アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sei. USA 90:5873-5877, 1993)によって決定することができる。このアルゴリズムに基づいて、BLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul et al. J. Mol. Biol.215:403-410, 1990)。BLASTに基づいてBLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターはたとえばscore = 100、wordlength = 12とする。また、BLASTに基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターはたとえばscore = 50、wordlength = 3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
【0044】
本発明の遺伝子の発現を抑制する機能を有するDNAを利用して、植物の生長を改変するためには、該DNAを適当なベクターに挿入して、これを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換植物細胞を再生させればよい。用いられるベクターとしては、植物細胞内で挿入遺伝子を発現させることが可能なものであれば特に制限はない。
【0045】
例えば、本発明者等により単離された遺伝子のプロモーターを用いることが可能である。また、植物細胞内での恒常的な遺伝子発現を行うためのプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター)を有するベクターを用いることが可能である。また、植物の組織特異的なプロモーターを用いれば、植物の特定の組織、例えば、葉や花、実などを特異的に改変させることが可能であるかもしれない。組織特異的プロモーターとしては、種子特異的プロモーターとしてインゲンマメのβーファセオリン(Bustosら (1991) EMBO J. 10:1469-1479)やダイズのグリシニン(Lelievreら (1992) Plant Physiol. 98:387-391)、葉特異的プロモーターとしてはエンドウのRbcS遺伝子(Lam and Chua (1990) Science 248:471-474)やコムギのCab1遺伝子(Gotornら (1993) Plant J. 3:509-518)、根特異的なプロモーターとしてはタバコのTobRB7遺伝子(Yamamotoら (1991) Plant Cell 3:371-382)やアグロバクテリウム・リゾゲネスのrolD遺伝子(Elmayan and Tepfer (1995) Transgenic Res 4:388-396)が挙げられる。また、外的な刺激により誘導的に活性化されるプロモーターを有するベクターを用いることも可能である。
【0046】
ベクターを挿入する植物細胞としては、特に制限はないが、本発明等により単離された遺伝子が由来するイネやタバコが特に好ましい。なお、ここでいう「植物細胞」には、種々の形態の植物細胞、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片、カルスなどが含まれる。植物細胞へのベクターの導入は、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポーレーション)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法など当業者に公知の種々の方法を用いることができる。形質転換植物細胞からの植物体の再生は公知の方法により行なうことが可能である。これにより形質転換植物体が作出されれば、該植物体からその繁殖媒体(例えば、種子、塊茎、切穂など)を得て、これを基に本発明の形質転換植物体を量産することができる。
【0047】
また、本発明においては、本発明者らにより単離されたDNAの発現を促進することで、植物の生長を増大させることも可能であるかもしれない。この場合、該DNAを適当なベクターに挿入して、これを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換植物細胞を再生させればよい。植物細胞内で発現させるために利用されるベクター、ベクターの導入される植物細胞、植物体の再生などの方法は、上記アンチセンスなどを用いる場合と同様である。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、イネの種子(Oryza sativa、ジャポニカ型栽培品種:「ニッポンバレ」、「アキバレ」、「シオカリ」、そしてその他)を1%NaClOで1時間消毒して、滅菌蒸留水で十分にすすぎ、土壌で発芽させて、温室で生育させた。
【0049】
[実施例1] GA3β-ヒドロキシラーゼをコードするcDNAクローンの単離
単子葉植物のGA3β-ヒドロキシラーゼを単離したという報告例はない。いくつかのGA3β-ヒドロキシラーゼは双子葉植物からクローニングされている(Chiangら、1995;Martinら、1997;Lesterら、1997)。
【0050】
GA3β-ヒドロキシラーゼをコードする部分的断片を単離するために、イネのゲノムDNAを鋳型として、報告された双子葉植物のGA3β-ヒドロキシラーゼ配列における保存領域からデザインした縮重プライマー(5'-プライマー:5'-GTNGTNAARGTNGGNGARRT-3'/配列番号:7、3'プライマー:5'-AYYTARTCRTTGGANGTNAC-3'/配列番号:8)を用いてPCRを行なった。その結果、報告されたGA3β-ヒドロキシラーゼ配列から予想されるサイズに対応する210 bpのDNA断片を得た。
【0051】
次ぎに、全長のクローンを単離するため、この断片をプローブとしてイネのゲノムライブラリをスクリーニングした。その結果、いくつかのクローンを単離し、各ゲノムクローンの制限マップに基づいて2群に分類した。最後に各群の1つを完全にシークエンシングして、それぞれのクローンをOs3β-1とOs3β-2(Os3β-1とOs3β-2;Oriza sativa GA3β-ヒドロキシラーゼ-1、-2)と名付けた。それぞれのクローンの塩基配列を配列番号:5および6に示す。Os3β-1はプローブとして用いた断片と共通する配列を有したが、Os3β-2は断片からの対応する領域で異なる配列を含んでいた。
【0052】
次ぎに、各クローンの配列に基づき、cDNA断片を得るために、実生(イネの茎端)または未開の花から単離した総RNAを用いてRT-PCRを実施した。これにより、GA3β-ヒドロキシラーゼをコードする完全な大きさのcDNAクローンを得た。Os3β-1cDNAおよびOs3β-2 cDNAはそれぞれ379残基および373残基のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含んでいた。それぞれのクローンの塩基配列を配列番号:3および4に示す。Os3β-2ゲノムDNAは、短いサイズ(110 bp)の単一のイントロンを含み、イントロンは双子葉植物においてこれまでに報告されたGA3β-ヒドロキシラーゼと同じ位置に存在していた。Os3β-1ゲノムDNAは2つのイントロンを含んでいた。1つはOs3β-2ゲノムDNAと同じ位置に存在し、これはほぼ同程度の大きさであった(110 bp)。もう一つは、共因子である2-オキソグルタル酸(400 bp)の結合部位に存在した(データは示していない)。両クローンの推定アミノ酸配列は、他のGA3β-ヒドロキシラーゼと高度の類似性を示したが、それらは互いに対しても高度の類似性を示した(56.6%の同一性と88.2%の類似性)。
【0053】
なお、塩基配列は、自動シークエンシングシステム(ABI373A)を用いたジデオキシヌクレオチド・チェーン・ターミネーション法により決定した。また、配列の解析は、GENETYXコンピューターソフトウェア(Software Kaihatu Co.、日本)を用いて実施した。
【0054】
[実施例2] d18対立遺伝子の同定と特徴付け
矮性イネ植物に関する定量的分析とバイオアッセイから、D18遺伝子がGA3β-ヒドロキシラーゼをコードすることが示されている。D18座は第1染色体上で同定され、この染色体の下端でFS-2座に隣接する。単離されたGA3β-ヒドロキシラーゼクローンがD18遺伝子に対応することを調べるために、RFLP(制限断片長多型)分析を用いてイネのゲノム上に2つのクローンをマッピングした。
Os3β-1またはOs3β-2のRFLPは、EcoRIまたはApaIでそれぞれ消化したアソミノリ(ジャポニカ種のイネ)とIR 24(インディカ種のイネ)DNAの間に存在した。アソミノリとIR24の交配のF2子孫の消化したゲノムDNAについて連鎖分析を行った。Os3β-1とOs3β-2はそれぞれ、第5染色体の上端と第1染色体の下端にマッピングされる(図3)。この結果は、Os3β-2がD18座に対応することを示唆している。
【0055】
Os3β-2がD18座であることを確認するためにさらなる分析を行った。D18遺伝子の機能喪失によって生じた4つの独立した通常変異体が存在する。これらの変異は、γ線照射を用いた変異誘発によるD18遺伝子のDNA転位および/または欠失によって生じる可能性がある。従って、野生型とこれらの変異体の間のOs3β-2位でのRFLPは、Os3β-2がD18遺伝子であれば認められる可能性がある。
野生型(シオカリまたはアキバレ)とd18対立遺伝子(ld18、ld18そしてd18-AD)からのゲノムDNAについてDNAゲルブロット分析を行った。ld18とld18は、シオカリ系の同種同系株で、d18-ADはエチレンイミン(EI)によるアキバレの変異誘発から単離した。DNAゲルブロット分析においては、まず、イネのゲノムDNA(レーンあたり1μg)を制限酵素で消化させ、アガロースゲル電気泳動によって分離して、ハイボンドN+ナイロンメンブレン(Amersham社)に移した(Sambrookら、1989)。ハイブリダイゼーションは、0.25 M NaHPO、1mM EDTAそして7%SDS中で65℃で実施した。フィルターは、2×SSC、0.1%SDS中で65℃で15分の洗浄を2回、そして0.1×SSC、0.1%SDS中で65℃で15分の洗浄を1回行った。
8個の酵素(BamHI、Bg/II、ApaI、KpnI、DraI、EcoRV、EcoRI、そしてHindIII)を用いてこれらのゲノムDNAを消化して、野生型植物と変異体の間のRFLPを探索した結果、d18-ADとId18からのDNAをApaIで消化した際に多型性が認められた。一方、ld18は試した如何なる酵素でも多型性を示さなかった(図4)。
【0056】
RFLP分析の結果は、d18-ADがD18座に長い欠失を有することを示唆しており、ld18はApaI部位を含む短い欠失を有する。この検討を確認するため、全てのd18対立遺伝子の全コード配列を直接分析して、これらを野生型のOs3β-2の配列と比較した。
具体的には、D18の5'と3'非コード配列に由来するオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、D18、d18、d18そしてd18-wからの全コード領域を含む1.6 kb断片を増幅し、次に増幅された断片をシークエンシングした。
その結果、予想通り、全てのd18対立遺伝子は、様々な位置でそのOs3β-2コード配列を変化させていたが(表1)、d18-ADはPCR産物を生成しなかった。
【0057】
【表1】
Figure 0003781622
【0058】
このことはこの対立遺伝子がほぼ完全にそのコード配列を失っているという上記推測を支持するものである(データは示していない)。ld18からの配列では、開始コドンから433位の塩基でのCからTへの置換によって、アルギニン-168がシスチンに変化した。d18-wでは、169〜177位での9個の塩基のインフレーム欠失により、バリン57からアルギニン59までのアミノ酸3個が欠失した。ld18では、塩基Gの欠失によって読みとり枠がシフトしている。これらの結果は、Os3β-2遺伝子がD18座であり、GA3β-ヒドロキシラーゼをコードすることを証明する。
【0059】
[実施例3] Os3β-2(D18)そしてOs3β-1遺伝子の生長過程での制御
植物の生長過程でのD18とOs3β-1遺伝子の発現を調べるために、RNAゲルブロット分析を実施した。RNAゲルブロット分析においては、標準的な方法(Sambrookら、1989)にしたがって、総RNAを様々な器官または組織から調製した。RNA(試料あたり10 μg)をゲル電気泳動で分離して、ハイボンドN+ナイロンメンブレン(Amersham社)に移した。ハイブリダイゼーションは、5×SSC、10%(w/v)硫酸デキストラン、0.5%(w/v)SDS、0.1 mg/ml変性サケ精子DNAを含む溶液中で65℃で実施した。フィルターは、2×SSC、0.1%SDS中で65℃で15分洗浄を2回、そして0.1×SSC、0.1%SDS中で65℃で15分洗浄を1回行った。プローブとしては、D18全長のcDNAからのBssHII-PvuII(519 bp)断片、およびOs3β-1からのKpnI-PvuII断片(310 bp)を用いた。
その結果、D18遺伝子は調べたあらゆる器官に発現していた(図5)。発現レベルは茎、若葉、そして花序分裂組織で高く、葉身と葉軸で低かった。対照的に、Os3β-1 mRNA発現は花では特に高く、葉身と葉軸では低かった。
【0060】
また、D18とOs3β-1は高度の配列類似性を共有するため、ゲノムサザン分析によるクロス-ハイブリダイゼーションの程度を調べた。それぞれの特定のプローブをゲノムサザンハイブリダイゼーションにプローブとして用いた結果、クロス-ハイブリダイゼーションは検出されなかった(データは示していない)。
【0061】
[実施例4] Os3β-2(D18)遺伝子の発現抑制による矮性化植物体の作出
Os3β-2の全長cDNAは、pBS-SK+にBamHI-HindIII部位にクローニングされており(図7)、BamHI-HindIII処理による該ベクターの切断により該cDNAを取り出した後、平滑末端化した。Os3β-2遺伝子のアンチセンスを発現するベクターは、この平滑末端化した全長cDNAを、pAct-NOS/Hm2のSmaI部位に挿入することにより構築した(図8)。
これをエレクトロポレーション法によりアグロバクテリアEHA101株にトランスフォームした。イネ発芽種子に該アグロバクテリアを共存させた後、カナマイシン及びハイグロマイシンを含む選抜培地で3週間培養して細胞を選抜後、再分化培地に移植して、数十個体の形質転換植物体を得た。その結果、Os3β-2遺伝子のアンチセンスを発現する植物体は、野生型植物体と比較して矮性化していた(図6)。
【0062】
[実施例5] 組み替えGA3βヒドロキシラーゼの機能
Os3β-1遺伝子およびOs3β-2遺伝子について、蛋白をコードすることが予想される部分のcDNAを、pMAL-c2発現ベクター(New England Biolabs, Beverly, MA)へと翻訳融合体としてセンス方向で挿入した。得られた構築物pMAL-Os3β-1およびpMAL-Os3β-2を、大腸菌株JM109内で発現させた。細菌細胞を、100mg/Lアンピシリンを含有する2xYT培地で一晩37℃で振盪培養した。一晩培養したあと、培養物を100mg/Lアンピシリンを含有する新鮮な2xYT培地で100倍希釈し、30℃で振盪培養した。4時間後、IPTGを最終濃度1mMとなるように添加し、17℃で更に18時間振盪培養した。培養終了後細菌細胞を集め、洗浄バッファー(50mM Tris-HCl、pH8.0、10% [w/v]グリセロール、2mM DTT)で洗浄し、リゾチーム(1mg/ml)を含む洗浄バッファーに懸濁して氷上で30分間静置した。
【0063】
これにより得られた溶菌液を超音波処理して遠心し、その上清をSDS-PAGEにかけて融合蛋白の発現を確認した。Os3β-1の融合蛋白質の活性を検定するために、この上清を用いて広範なジベレリン類およびコファクター類(アスコルビン酸、2価鉄、2-ケトグルタル酸)とともにインキュベーションを行った。Os3β-2の融合蛋白質の活性検定のためには、この上清をアミロースレジンを用いたカラムでカタログに記載された方法により精製し、この精製蛋白液を用いて同様のインキュベーションを行った。代謝されたジベレリン類は、GC-MSを用いて同定した。その結果、Os3β-1の融合蛋白質はGA9を基質としたときGA4(3β水酸化)、GA7(2,3位の不飽和化および3β水酸化)、GA34(2β水酸化)の生成が確認された(図9)。生成物の中ではGA4とGA7が主要な産物であった。GA20を基質とした場合にも同様な結果が得られた。またGA5、GA44を基質とした時にはそれぞれに対応する3β水酸化ジベレリン(GA3、GA88)のみを得た。一方、Os3β-2の融合蛋白質は、GA5、GA9、GA20、GA44を基質としたときにそれぞれに対応する3β水酸化ジベレリン(GA3、GA4、GA1、GA38)を生成した(図10)。
【0064】
この結果、Os3β-1遺伝子は3β水酸化のほかに2,3位の不飽和化、2β水酸化の核反応を触媒する酵素をコードする遺伝子であることが明らかとなった。またOs3β-2遺伝子は、3β水酸化反応を触媒する酵素をコードする遺伝子であることが明らかとなった。
【0065】
【発明の効果】
本発明により、植物のジベレリンの活性化に関与する新規なタンパク質および遺伝子、並びに該遺伝子の発現を調節することにより植物体内におけるジベレリン活性が改変された植物が提供された。本発明により、植物体内のジベレリン活性化を改変させ、植物の草型を人為的に改変することが可能となった。植物体内のジベレリン活性化を抑制することにより、特に伸長生長の抑制によって引き起こされる植物の矮性を誘起できる。このため、例えば、イネにおいては多肥料によって生育を促しても背丈が伸びすぎて倒伏してしまうこともなくなる。また、葉の受光量の効率が上昇するため収量の大幅な増加が期待できる。さらに収穫や生育管理の作業の効率化も図ることが可能である。また、植物体内における本発明の遺伝子の発現を増加させて、植物体内のジベレリン活性化を促進することにより、植物体全体の収量を増加させることも考えられる。このことは、特に、飼料用作物全体の収穫量を向上させる上で有意義である。
【0066】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 a:ジベレリン(エント・ジベレリン)の一般構造を示す。
b:高等植物における主要なGA生合成経路を示す。
イタリック体は、特異的GA生合成経路を欠損するGA反応性矮性変異体を示す。それぞれ、シロイヌナズナのga1、ga2、ga3、ga5、そしてga4;トウモロコシのan1、d5、d3、そしてd1、エンドウのlsおよびle、イネのd35(dx)およびd18(dy)。
【図2】 d18矮性植物の様々な表現型を示す写真である。左から右へ、台中-65(WT:最終段階で約1m)、古丈玉錦矮性体(d18:約65 cm)、矮稲-C(約55 cm)、そして豊雪矮性矮性体(d18:約15 cm)、秋晴矮性矮性体(バー=10 cm)である。
【図3】各GA3β-ヒドロキシラーゼ(Os3β-1とOs3β-2)遺伝子の位置と様々なRFLPマーカーをイネの第1染色体と第5染色体について示す図である。
【図4】 a:D18とd18対立遺伝子のRFLP分析の結果を示す電気泳動写真である。DNAはD18(シオカリとアキバレ)とd18対立遺伝子(d18、ld18そしてd18-AD)植物の葉組織から単離した。DNAをApaIで消化し、電気泳動で分離して、ナイロンフィルターに結合させ、ハイブリダイズさせた(材料および方法を参照)。分子の長さのマーカーを左側にキロベースで示す。
b:ゲノムOs3β-2クローンとそのサブクローンの制限マップを示す図である。ゲノムクローンはPCR産物をプローブとして用いたゲノムライブラリのスクリーニングに由来した。2.3 kbのBglII断片のサブクローンはD18 の全コード領域を含む。
【図5】野生型O. sativa植物におけるGA3β-ヒドロキシラーゼの発現パターンを示す電気泳動写真である。3β-ヒドロキシラーゼcDNA D18とOs3β-1の、SA(茎端)、ST(茎)、LB(葉身)、Ra(葉軸)、FL(花)、YL(若葉)、IFM(花序分裂組織)、そしてSh(2週齢の実生)から抽出した総RNA 10 μgを含むノザンブロットとのハイブリダイゼーションの結果である。
【図6】 Os3β-2(D18)cDNAをアンチセンス向きにアクチンプロモーターの制御下で恒常的に発現させた形質転換植物体を示す写真である。写真左は野生型の日本晴、写真中央は半矮性植物体、写真右は矮性植物体を示す。
【図7】 Os3β-2の全長cDNAが挿入されたプラスミド、pBS-SK+を示す図である。
【図8】 Os3β-2(D18)遺伝子のアンチセンスが挿入されたプラスミド、pAct-NOS/Hm2を示す図である。
【図9】 Os3β-1の融合蛋白質がGA9を基質としたときGA4、GA7、GA34を生成することを示した図である。
【図10】 Os3β-2の融合蛋白質が、GA5、GA9、GA20、GA44を基質としたときにそれぞれに対応する3β水酸化ジベレリン(GA3、GA4、GA1、GA38)を生成することを示した図である。

Claims (10)

  1. ジベレリン3β水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードする、下記(a)から(c)のいずれかに記載のDNA。
    (a)配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
    (b)配列番号:3または4に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
    (c)配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
  2. 請求項1に記載のDNAまたはその転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA。
  3. 請求項1または2に記載のDNAを含むベクター。
  4. 請求項1または2に記載のDNAを発現可能に保持する形質転換植物細胞。
  5. 請求項に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体。
  6. 請求項に記載の形質転換植物体の繁殖媒体
  7. 請求項1に記載のDNAによりコードされるタンパク質。
  8. 請求項1に記載のDNAを発現可能に保持する形質転換細胞を培養し、該細胞またはその培養上清から発現させたタンパク質を回収する工程を含む、請求項に記載のタンパク質の製造方法。
  9. 植物細胞内において請求項1に記載のDNAの発現量を調節することを特徴とする、植物の生長を改変する方法。
  10. 植物細胞内において請求項1に記載のDNAの発現量を調節することを特徴とする、植物の草型を改変する方法。
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