JP7460246B2 - Chk遺伝子の過剰発現による改良されたシュート再生 - Google Patents

Chk遺伝子の過剰発現による改良されたシュート再生 Download PDF

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Description

本発明は、分子植物生物学の分野に関し、特に植物再生の分野に関する。本発明は、植物細胞の再生能力を改良する方法に関する。
植物育種は、有用で優れた形質の選択及び組換えを介して作物の生産性及び性能を改良すること、また遺伝子技術によりそのような植物形質を改良することを目的としている。これらの技術は、多くの場合、重要な技術的課題:どのように単一細胞から繁殖力のある植物に再生するかについて直面する。これは、遺伝的変化(突然変異誘発、ゲノム編集、遺伝子形質転換)を作製することを目的とした技術と、全体としてのゲノムに影響を及ぼす技術(DH産生、倍数化、体細胞ハイブリダイゼーション)の両方に当てはまる。これは、実現される遺伝的又はゲノム的な変化が1つ又は少数の細胞においてのみ生じ、生物体のすべての細胞において厳密に同じ方法で同時に生じることが決してないからである。したがって、これらの現在の技術の重要な制限は、所望の細胞を特定して選抜し、続いてそれらを完全で繁殖力のある植物に成長させることである。
ゲノム改良の技術は、改変された単一細胞が繁殖力のある植物全体にin vitro再生される可能性により阻まれている。再生は、典型的には、最初に単一細胞が持続的細胞分裂を経て多細胞構造又はカルスを形成する段階を通過する。続いて、外因的に供給された植物成長調節物質の影響下で、多細胞塊内の細胞は組織化構造を形成する。したがって、再生は、少なくとも2つの連続する重要なステップ、すなわち、細胞分裂のステップと、その後の組織化構造を形成する分化のステップを含む。第1のステップは、カルス形成を含み得る。第2のステップは、デノボ分裂組織形成を含んでいなければならない。
in vitroでの植物再生は、2つの選択的経路である器官形成と体細胞胚形成のうちの1つに従うが、それらのどちらも植物成長調節物質による誘導に依存する(Duclercqら、2011、TIPS 16:597)。単子葉植物及び双子葉植物は、これら2つの選択的経路の両方又は一方のみのいずれかを使用して再生することができる。
双子葉植物における植物再生の一般的な経路は器官形成であり、そこでデノボ頂端分裂組織が未分化細胞から形成される。これらの分裂組織は、通常、成長してシュートを形成し、次いでそれは下部の細胞塊から分かれ、根を形成するように誘導される。器官形成は、典型的には、サイトカイニン、又はサイトカイニンが多くの場合に主に存在するオーキシン又はサイトカイニンの混合物を含有する培地で誘導される。サイトカイニンは、植物成長調物質又は植物ホルモン、アデニンの誘導体の一群であり、細胞分裂を促進することが可能である(Mok及びMok、2001、Annu.Rev.Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 52:89~118)。この群は、天然に存在するサイトカイニン、例えばゼアチンと、合成サイトカイニン、例えばキネチン及び6-ベンジルアミノプリン(6-BAP)を含む。
単子葉植物種及び木本種において多くの場合確認される別の再生経路は、体細胞胚形成を介するものであり、それによって、カルスの未分化細胞は、適切な条件下で、胚形成細胞を生成し、最終的には、接合胚、いわゆる体細胞胚に似ている構造を形成する(Quiroz-Figueroaら、2006、PCTOC 86:285~301)。次いで、これらの体細胞胚は、自発的に、又は低濃度の植物成長調物質下で、小さな小植物に変換される可能性がある。カルス又は細胞懸濁液における胚形成の潜在能力は、典型的には、天然の又は合成の植物成長調節物質の一群であるオーキシンにより誘導される。
主な障害は、繁殖可能で健全な植物に再生する植物細胞の能力が一般的に制限されていることである。再生の潜在能力は、植物の種、品種、組織起源に大きく依存する。確立されたプロトコルを用いたとしても、順調に植物まで再生する細胞の割合は、通常、極めて低い(Srinivasanら、2007、Planta 225:341~351)。再生が失敗するか、又は効率が不十分である植物種又は品種は、扱いが困難と考えられる。器官形成において扱いが困難な作物種の例は、トウガラシ、ダイズ、キュウリ及びサトウダイコンである。
これまで、扱いの困難性は、多くの場合、組織培養条件(培地組成、光、温度)における経験的な変更による試行錯誤のアプローチによって対処されており、成功には限界があった。このようにして開発されたプロトコルは、遺伝子型及び実験室の条件に依然として依存しており、そのため、ある程度まで予測不可能である。
器官形成又は体細胞胚形成による再生は、導入遺伝子の異所性発現によって増強することができる。このようなアプローチの一例は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)におけるESR1(AP2/EREBP転写因子)の過剰発現であり(Bannoら、2001、Plant Cell 13:2609~2618)、根外植片からシュート再生が増強される。別の例は、タバコにおけるAP2/ERF転写因子であるBBMの過剰発現であり(Srinivasanら、2007、Planta 225:341~351)、シュート形成が増加し、体細胞胚形成に関する能力が高くなる。しかし、これらの転写因子の構成的発現は、形態学的欠陥及び発達上の欠陥をもたらすので、これらは、外因的に供給される誘導物質(それぞれ、エストラジオール誘導システム及びデキサメタゾン誘導システム)による発現の調節を必要とする。したがって、発現の調節の必要性により、現在、再生のための導入遺伝子の使用は制限されている。
したがって、植物の発生能力を改良すること、特に、低い又は不十分な再生能力を有する植物の発生能力を改良することが当技術分野において依然として必要とされている。特に、導入遺伝子の発現の調節を必要とすることなく、植物の再生能力を改良することもまた当技術分野において必要とされている。
第1の態様では、本発明は、植物細胞のサイトカイニン誘導性再生能力を改良する方法であって、植物細胞におけるヒスチジンキナーゼの発現を増加又は導入するステップを含み、ヒスチジンキナーゼがCHK2、CHK3及びCHK4のうちの少なくとも1つであり、好ましくは、ヒスチジンキナーゼがCHK2及びCHK4のうちの少なくとも1つであり、好ましくは、ヒスチジンキナーゼがCHK4である、方法に関する。
一実施形態では、ヒスチジンキナーゼは、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のうちの少なくとも1つと少なくとも50%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされており、好ましくは、ヌクレオチド配列は配列番号3と少なくとも50%の配列同一性を有する。
好ましくは、植物細胞の前記再生能力は、ヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有していない同一の植物細胞と比較して改良されている。
一実施形態では、ヒスチジンキナーゼのアミノ酸配列は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6のうちの少なくとも1つと少なくとも50%の配列同一性を有し、好ましくは、ヒスチジンキナーゼのアミノ酸配列は配列番号6と少なくとも50%の配列同一性を有する。
好ましくは、ヒスチジンキナーゼの発現は、植物細胞において一過的に増加又は導入される。
本発明の一実施形態では、ヒスチジンキナーゼの発現は、植物細胞において連続的に増加又は導入される。
好ましくは、植物細胞はオオムギ、キャベツ、キャノーラ、カッサバ、カリフラワー、チコリ、ワタ、キュウリ、ナス、ブドウ、トウガラシ、レタス、トウモロコシ、メロン、ナタネ、ジャガイモ、カボチャ、イネ、ライムギ、モロコシ、西洋カボチャ、サトウキビ、サトウダイコン、ヒマワリ、アマトウガラシ、トマト、スイカ、コムギ、ズッキーニ、ダイズ、キク、及びシロイヌナズナからなる群から選択される植物から得ることができる。
さらなる実施形態では、サイトカイニンはアデニン型サイトカイニンであり、好ましくは、アデニン型サイトカイニンはキネチン、ゼアチン、トランス-ゼアチン、シス-ゼアチン、ジヒドロゼアチン、6-ベンジルアミノプリン及び2iPからなる群から選択される。
第2の態様では、本発明は、
本明細書で定義した植物細胞を、サイトカイニンを含む培地でインキュベートするステップと;
植物細胞を植物に再生させるステップと
を含む、植物を再生する方法に関する。
好ましくは、培地は少なくとも1つのさらなる植物ホルモンを含み、好ましくは、1つのさらなる植物ホルモンはオーキシンである。
一実施形態では、植物細胞は多細胞組織、好ましくはカルス組織、植物器官又は外植片の一部分である。
好ましくは、外植片は胚軸外植片、茎部外植片、子葉外植片、根外植片、葉外植片、花外植片及び分裂組織のうちの少なくとも1つである。
さらなる実施形態では、培地中のサイトカイニン濃度は約100~3000ng/mlであり、好ましくは、サイトカイニン濃度は約200~600ng/mlである。
本発明の実施形態では、改良されたサイトカイニン誘導性再生能力は、改良された分裂組織形成、改良された不定シュート形成、改良された花序形成、改良された体細胞胚形成、改良された根形成、改良された不定シュートの伸長、及び改良された完全な植物の再生の群から選択される。
第3の態様では、本発明は、本明細書で定義した本発明の方法によって得ることができる植物又は植物部分に関し、好ましくは、植物部分は、種子、果実又は非増殖材料である。
別の態様では、本発明は、配列番号3と少なくとも50%の配列同一性を有する第1のヌクレオチド配列と、配列番号1と少なくとも50%の配列同一性を有する第2のヌクレオチド配列とを含む発現構築物であって、好ましくは、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つは調節エレメントに作動可能に連結されている、発現構築物に関する。
さらなる態様では、本発明は、植物のサイトカイニン誘導性再生能力を改良するための、CHK2、CHK3及び/又はCHK4ヒスチジンキナーゼ或いは本明細書で定義した発現構築物の使用に関する。
定義
本発明の方法、組成物、使用及び他の態様に関係する様々な用語は、本明細書及び特許請求の範囲を通じて使用される。そのような用語は、別段の指示のない限り、本発明が関係する技術分野におけるそれらの通常の意味を与えられるものとする。他の詳細に定義された用語は、本明細書で提供された定義と一致する形で解釈されるものとする。
本明細書に記載されたものと類似の又は等価の任意の方法及び材料を本発明の実施に使用できることは、当業者には明らかである。
本発明の方法において使用される従来の技術を実施する方法は、当業者には明らかであろう。分子生物学、生化学、計算化学、細胞培養、組換えDNA、バイオインフォマティクス、ゲノミクス、シーケンシング、及び関連分野における従来の技術の実施は、当業者には周知であり、例えば、以下の参考文献で論じられている:Sambrookら、Molecular Cloning. A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.、1989; Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1987 and periodic updates;並びに、the series Methods in Enzymology, Academic Press, San Diego。
単数形用語の「a」、「an」、及び「the」には、文脈で明確に指示されていない限り、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及には、2つ以上の細胞の組合せなどが含まれる。したがって、不定冠詞の「a」又は「an」は、通常、「少なくとも1つの」を意味する。
用語の「及び/又は」とは、記載されたケースの1つ又は複数が、単独で、又は記載されたケースのすべてに至るまでの、記載されたケースの少なくとも1つと組み合わせて起こり得る状況を意味する。
本明細書で使用される場合、用語の「約」とは、小さな変動を記載及び説明するために使用される。例えば、この用語は、±(+又は-)10%以下、例えば±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下を意味し得る。さらに、量、比及び他の数値は、本明細書では範囲形式で示される場合がある。そのような範囲形式は、便宜性と簡潔性のために使用され、範囲の限界として明確に指定された数値を含むだけでなく、あたかも各数値及び部分的範囲が明確に指定されているようにその範囲内に含まれるすべての個々の数値又は部分的範囲が含まれるように柔軟に理解されるべきであることを理解されたい。例えば、約1~約200の範囲内の比は、約1と約200の明確に述べられた限界を含むだけでなく、個々の比、例えば、約2、約3及び約4、並びに部分的範囲、例えば、約10~約50、約20~約100などを含むものと理解されたい。
用語の「含む(comprising)」とは、包括的及びオープンエンドであり、排他的ではないと解釈される。詳細には、この用語及びその変形は、指定された特徴、ステップ、又は構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップ、又は構成要素の存在を除外するものと解釈されるものではない。
用語の「タンパク質」又は「ポリペプチド」とは同義的に使用され、特定の作用機序、サイズ、三次元構造又は起源に関係なく、アミノ酸の鎖からなる分子を意味する。したがって、タンパク質の「断片」又は「部分」は、依然として「タンパク質」と呼ばれ得る。「単離されたタンパク質」は、例えば、in vitroで、又は組換え細菌若しくは植物宿主細胞において、その自然環境にはもはや存在しないタンパク質を意味するために使用される。
「植物」とは、植物全体か、又は植物の一部分、例えば、植物から得ることができる細胞、組織又は器官(例えば、花粉、種子、配偶子、根、葉、花、花芽、葯、果実など)、並びにこれらのいずれかの誘導物及び自殖又は交配によってそのような植物に由来する後代を意味する。
「植物細胞(複数可)」は、分離した、又は組織、器官若しくは生物内の、プロトプラスト、配偶子、浮遊培養物、小胞子、花粉粒などを含む。植物細胞は、多細胞構造の一部分、例えば、カルス、分裂組織、植物器官又は外植片などであり得る。
植物/植物細胞を培養するための「同様の条件」とは、とりわけ、同様の温度、湿度、栄養及び光条件、並びに同様の灌水及び昼/夜リズムの使用を意味する。
用語の「相同性」、「配列同一性」等は、本明細書では同義的に使用される。配列同一性は、本明細書では、配列の比較により決定される場合、2つ以上のアミノ酸(ポリペプチド若しくはタンパク質)配列間又は2つ以上のヌクレオチド(ポリヌクレオチド)配列間の関係として定義される。当技術分野において、「同一性」もまた、場合によっては、そのような配列のストリング間の一致によって決定される場合、アミノ酸間又は核酸配列間の配列関連性の程度を意味する。2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、アミノ酸配列及び1つのポリペプチドのその保存されたアミノ酸置換を第2のポリペプチドの配列と比較することにより決定される。「同一性」及び「類似性」は、公知の方法により容易に計算することができる。配列同一性/類似性のパーセンテージは、配列の全長に対して決定することができる。
「配列同一性」及び「配列類似性」は、2つの配列の長さに応じて、グローバルアラインメント又はローカルアラインメントのアルゴリズムを使用する2つのペプチド配列又は2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって決定することができる。同様の長さの配列は、好ましくは、グローバルアラインメントアルゴリズム(例えばNeedleman Wunsch)を使用してアラインメントされるが、これは、配列を全長にわたり最適にアラインメントし、一方、実質的に異なる長さの配列は、好ましくは、ローカルアラインメントアルゴリズム(例えばSmith Waterman)を使用してアラインメントされる。次いで、(例えば、プログラムGAP又はBESTFITによってデフォルトのパラメーターを使用して最適にアラインメントされた場合に)配列同一性(以下に定義)の少なくともある特定の最小パーセンテージを共有する場合、配列は「実質的に同一の」又は「本質的に類似の」と呼ぶことができる。GAPは、Needleman及びWunschのグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して、2つの配列を全長(完全長)にわたりアラインメントし、マッチ数を最大にし、ギャップ数を最小にする。グローバルアラインメントは、2つの配列が類似の長さを有する場合、配列同一性を決定するために適切に使用される。一般的に、GAPデフォルトパラメーターが使用され、gapクリエーションペナルティ=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)であり、gapエクステンションペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)である。ヌクレオチドについては、使用されるデフォルトスコアリングマトリックスはnwsgapdnaであり、タンパク質については、デフォルトスコアリングマトリックスはBlosum62である(Henikoff & Henikoff、1992、PNAS 89、915~919)。配列アラインメント及び配列同一性のパーセンテージのスコアは、Accelrys Inc., 9685 Scranton Road, San Diego, CA 92121-3752 USAから入手可能なGCG Wisconsin Package、バージョン10.3などのコンピュータープログラムを使用して、又はオープンソースソフトウェア、例えば、EmbossWIN バージョン2.10.0のプログラム「needle」(グローバルNeedleman Wunschアルゴリズムを使用)若しくは「water」(ローカルSmith Watermanアルゴリズムを使用)を使用して、又は上記のGAPと同じパラメーターを使用して、若しくはデフォルト設定を使用して(「needle」及び「water」の両方、並びにタンパク質アラインメント及びDNAアラインメントの両方について、デフォルトGapオープニングペナルティは10.0であり、デフォルトgapエクステンションペナルティは0.5である;デフォルトスコアリングマトリックスは、タンパク質についてはBlossum62であり、DNAについてはDNAFullである)決定することができる。配列が実質的に異なる全長を有する場合、ローカルアラインメント、例えばSmith Watermanアルゴリズムを使用するものが好ましい。
或いは、類似性又は同一性のパーセンテージは、アルゴリズム、例えばFASTA、BLASTなどを使用して、公開データベースに対して検索することにより決定することができる。したがって、本発明の核酸配列及びタンパク質配列を、公開データベースに対して検索を実行する「クエリー配列」としてさらに使用し、例えば、他のファミリーメンバー又は関連配列を同定することができる。そのような検索は、Altschulら、(1990) J. Mol. Biol. 215:403~10のBLASTn及びBLASTxのプログラム(バージョン2.0)を使用して実施することができる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行し、本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、BLASTxプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行し、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的でギャップ化アラインメントを得るために、Altschulら、(1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389~3402に記載されているように、Gapped BLASTを利用することができる。BLASTプログラム及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーター(例えばBLASTx及びBLASTn)を使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/の全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のホームページを参照されたい。
用語の「核酸構築物」、「核酸ベクター」、「ベクター」及び「発現構築物」は、本明細書では同義的に使用され、また本明細書では、組換えDNA技術の使用から得られる人工の核酸分子として定義される。したがって、用語の「核酸構築物」及び「核酸ベクター」は、天然に存在する核酸分子を含まないが、核酸構築物は、天然に存在する核酸分子(の一部分)を含むことができる。
ベクター骨格は、例えば、バイナリーベクター又はスーパーバイナリーベクター(例えば、米国特許第5,591,616号、米国特許出願公開第2002/138879号、及び国際公開第95/06722号を参照)であり得るか、当技術分野で公知であって本明細書の他の箇所に記載されているキメラ遺伝子が組み込まれる、又は適切な転写調節配列が既に存在している場合には所望の核酸配列(例えば、コード配列、アンチセンス配列又は逆方向反復配列)のみが転写調節配列の下流に組み込まれる、コインテグレート(co-integrate)ベクター又はT-DNAベクターであり得る。ベクターは、分子クローニングでの使用を容易にするさらなる遺伝的エレメント、例えば、選択可能マーカー、マルチクローニング部位などを含むことができる。
用語の「遺伝子」とは、適切な調節領域(例えばプロモーター)に作動可能に連結されている、細胞内のRNA分子(例えばmRNA)に転写される領域(転写領域)を含むDNA断片を意味する。遺伝子は、通常、いくつかの作動可能に連結された断片、例えば、プロモーター、5’リーダー配列、コード領域、及びポリアデニル化部位を含む3’非翻訳配列(3’末端)を含む。
「遺伝子の発現」とは、適切な調節領域、特にプロモーターに作動可能に連結されたDNA領域が、生物学的に活性な、すなわち生物学的に活性なタンパク質又はペプチドに翻訳されることが可能なRNAに転写されるプロセスを意味する。
用語の「作動可能に連結された」とは、機能的関係におけるポリヌクレオチドエレメントの連結を意味する。核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれる場合、「作動可能に連結」される。例えば、プロモーター、又はむしろ転写調節配列は、コード配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結される。動作可能に連結されたとは、連結されているDNA配列が隣接していることを意味し得る。
「プロモーター」は、1つ又は複数の核酸の転写を調節するように機能する核酸断片を意味する。プロモーター断片は、好ましくは、遺伝子の転写開始部位の転写方向に関して上流(5’)に位置し、DNA依存性RNAポリメラーゼの結合部位、転写開始部位(複数可)の存在によって構造的に同定され、また、限定するものではないが、転写因子結合部位、リプレッサー及びアクチベータータンパク質結合部位、並びに直接的又は間接的に作用してプロモーターからの転写量を調節するための当業者に公知の他の任意のヌクレオチド配列を含む、他の任意のDNA配列もさらに含むことができる。
任意選択で、用語の「プロモーター」はまた、5’UTR領域(5’非翻訳領域)も含むことができる(例えば、プロモーターは、本明細書では、この領域が転写及び/又は翻訳の調節における役割を有し得るので、転写領域の翻訳開始コドンの上流の1つ又は複数の部分を含み得る)。「構成的」プロモーターは、ほとんどの生理学的条件及び発達的条件下で、ほとんどの組織において活性であるプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、生理学的に(例えば、ある特定の化合物の外部からの適用により)又は発達的に調節されるプロモーターである。「組織特異的」プロモーターは、特定のタイプの組織又は細胞においてのみ活性である。
用語の「再生」とは、本明細書では、単一の植物細胞、カルス、外植片、組織から、又は器官からの新しい組織及び/又は新しい器官の形成として定義される。好ましい再生経路は、器官形成、すなわち(未分化)細胞からの新しい器官の形成である。好ましくは、再生は、異所性頂端分裂組織形成、シュート再生、及び根再生のうちの少なくとも1つである。本明細書で定義した再生は、好ましくは、少なくともデノボシュート形成に関係があり得る。例えば、再生は、(花序)シュートに向けての(伸長)胚軸外植片の再生であり得る。
再生は、単一植物細胞からの、又は、例えばカルス、外植片、組織若しくは器官からの新しい植物の形成をさらに含むことができる。再生プロセスは、親組織から直接的に、又は間接的に、例えばカルスの形成を介して生じ得る。
用語の「再生を可能にする条件」とは、本明細書では、植物細胞又は組織が再生することができる環境として理解される。そのような条件は、最低でも、適切な温度(すなわち0℃~60℃)、栄養、昼/夜リズム、灌水、及び植物ホルモンサイトカイニンを含む。これらの条件には、実施例において明示した条件の1つ、2つ、又は3つが含まれ得る。さらに、「再生を可能にする最適条件」とは、植物細胞の最大の再生を可能にする環境条件である。
用語の「導入された発現」及び「デノボ発現」とは、本明細書では置き換え可能に使用される。
本発明者らは、植物細胞におけるヒスチジンキナーゼの発現を導入すること又は増強することが、サイトカイニンを含む培地において増殖させた場合に、この植物細胞の再生能力を増加させることを発見した。再生の潜在能力は、同じサイトカイニン含有培地において増殖させた非改変の植物細胞と比較して驚くほど増加した。したがって、ヒスチジンキナーゼを植物細胞に導入することにより、サイトカイニンの効果が有意に増強される。サイトカイニン含有培地での細胞の増殖と組み合わせてヒスチジンキナーゼの発現を増加させるこの効果の増強は、細胞が再生する最大能力を驚くほどに増加させた。したがって、本発明者らは、ヒスチジンキナーゼを植物細胞に導入させると、サイトカイニン含有培地において増殖させた場合に、不十分な再生能力を有する植物細胞を、再生することができる植物細胞に変換することができることを発見した。
いかなる理論にも縛られることを望むものではないが、ヒスチジンキナーゼ遺伝子、例えば、サイトカイニン受容体分子をコードするCHK遺伝子は、植物をより感受性にし、結果的に、サイトカイニンに対して応答性が高くなり、シュート再生能力を著しく改良するように思われる。CHK遺伝子は、これまでサイトカイニンシグナル変換に関与されているとされており(Kakimoto、1996、Science 274:982~985)、またCHK遺伝子の発現増強はサイトカイニン応答に起因する機能に関連しているが、再生能力には関連していなかった(Dengら、2010、Plant Cell 22:1232~1248)。
国際公開第02/099079号、欧州特許出願公開第2272862号、及びRiefler Mら(The Plant Cell、Vol.18 (2006):p40~54)は、サイトカイニン応答レギュレーター及びその使用に関係している。しかし、これらの文書は、ヒスチジンキナーゼの発現とサイトカイニン含有培地における細胞の維持との組合せについては記載していない。特に、本発明者らは、サイトカイニン含有培地における細胞の維持と組み合わせた細胞におけるヒスチジンキナーゼの発現が、細胞をそれらの自然の最大の再生能力よりも高くまで押し上げることができることをここに示している。
第1の態様において、本発明は、したがって、植物細胞のサイトカイニン誘導性再生能力を改良する方法であって、植物細胞におけるヒスチジンキナーゼの発現を増加又は導入するステップを含む、方法に関する。
植物細胞は、プロトプラストであってもよい。サイトカイニン誘導性再生は、本明細書では、少なくともサイトカイニンに曝露された場合の植物細胞の再生として、例えば、植物細胞の再生を可能にする条件下でサイトカイニンに曝露された場合の植物細胞の再生応答として定義される。
植物細胞のサイトカイニン誘導性再生能力は、本明細書では、植物細胞の再生を可能にする条件下で、好ましくは最適条件下で、少なくとも植物ホルモンサイトカイニンに曝露された場合に、植物細胞が再生する最大能力として理解される。植物細胞がサイトカイニン含有培地において再生するある特定の固有の最大の潜在能力を有することは、当技術分野において周知である。例えば、タバコ植物などから得られる植物細胞の最大の再生潜在能力は、通常、例えばキュウリ植物から得られる植物細胞の最大の再生潜在能力よりも高い。植物細胞の再生能力は、多細胞組織(複数可)にデノボ形成されたシュートの数を決定することによって評価することができる。再生の誘導の際の非限定的な例として、タバコ多細胞組織は、同じ数のキュウリ多細胞組織と比較して、多細胞組織につき、より多数のデノボ形成されたシュートを提供することができる。好ましい多細胞組織は、カルス又は外植片である。
さらに又は或いは、植物細胞が再生する最大の潜在能力は、例えば、出発材料の量を、サイトカイニンへの曝露後に再生される材料の量と比較することによって測定することができる。非限定的な例として、出発材料を形成する多細胞組織の数を決定することができる。続いて、再生を可能にする条件下で、好ましくは最適条件下で、少なくともサイトカイニンに曝露した後、再生される多細胞組織の数を決定することができる。再生された多細胞組織のパーセンテージは、本明細書では、植物細胞のサイトカイニン誘導性再生能力であると理解される。非限定的な例として、出発材料は、胚軸外植片、例えば伸長した胚軸外植片であり得、及び/又は再生組織は、シュート、例えば花序シュートであり得る。
サイトカイニン誘導性再生は、分裂組織形成、不定シュート形成、花序形成、体細胞胚形成、根形成、不定シュートの伸長、及び完全な植物の再生のうちの少なくとも1つであってよい。非限定的な例として、多細胞組織当たりのデノボ形成されたシュートの数を決定することができる。
当業者は、サイトカイニン誘導性再生能力を決定するための当分野において公知の他の同様の方法があることが分かる。
好ましくは、植物細胞のサイトカイニン誘導性再生能力は、好ましくは、同じ若しくは実質的に同じ条件下で、又は最適条件下で試験された場合の対照と比較して改良される。好ましくは、前記対照は、改変されたか又は新たに導入されたヒスチジンキナーゼを除いて、本発明の方法によって得られるか、又は得ることができる植物細胞と比較して、同じ遺伝的背景を有する同一の又は実質的に同一の植物細胞である。言い換えれば、好ましくは、対照は、本発明の方法のヒスチジンキナーゼの発現を増加又は導入するステップの前に、本発明の方法によって得られる植物細胞と遺伝的に同一である植物細胞である。したがって、好ましくは、同一の植物細胞又は実質的に同一の植物細胞は、改良された再生能力を有する植物細胞と同じ遺伝的背景を有するが、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの導入又は増加された発現は有していない。
植物細胞のサイトカイニン誘導性再生能力は、再生を可能にする条件下、好ましくは最適条件下での、植物細胞の再生する最大の潜在能力である。最適条件は、好ましくは、少なくとも最適濃度のサイトカイニンを含む。
再生能力は、再生する出発材料のパーセンテージとして表すことができる。非限定的な例として、360個の外植片のうちの7個が再生を可能にする状態下で再生する場合、再生能力は(7/360100%)1.9%である。本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの発現は、改良された再生能力を可能にする。非限定的な例として、ヒスチジンキナーゼの導入又は増加された発現は、同様の又は実質的に同じ再生条件下で増殖させた場合、再生された外植片の数は、例えば160まで増加し得る。再生能力は、(160/360100%)44.4%に増加した。したがって、再生能力は、(44.4-1.9)42.5%改良された(例えば表2を参照)。さらなる非限定的な例として、植物細胞の再生能力は、ある特定の時点で外植片ごとに形成されたシュートの数として表すことができる。例えば、誘導された再生の183日後に、200個の外植片からヒスチジンキナーゼの導入又は増加された発現を有する93個のシュートを回収することができ(表4も参照)、183日目の再生能力は(93/200100%)46.5%である。同時に、200個の対照外植片から64個のシュートを回収することができ、183日目の再生能力は(64/200100%)32%である。したがって、再生能力は((46.5-32)/32100%)45%改良された(例えば表4を参照)。
非限定的な例として、サイトカイニン誘導性再生能力の改良は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有する植物細胞と、前記の増加又は導入された発現を有していない同一細胞との間の再生能力の差として表すことができる。好ましくは、植物細胞の再生能力は、ヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有していない同一の植物細胞と比較して、少なくとも約1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は約100%改良される。
当業者は、本発明の方法において同様に使用することができる、サイトカイニン誘導性再生能力の改良を決定するための当分野における他の適切な方法があることが分かる。
再生された植物細胞は、好ましくは、分裂組織形成又はデノボ分裂組織形成、シュート形成又は不定シュート形成、花序形成、体細胞胚形成、根形成、不定シュートの伸長及び完全な植物の再生のうちの少なくとも1つを有する。
この方法は、例えば、植物細胞を改良された再生能力について試験することをさらに含むことができる。改良された再生能力は、好ましくは、対照と比較して改良され、その対照は、好ましくは、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有さない同一の植物細胞である。
非限定的な例として、その試験ステップは、デノボ形成されたシュートの数を決定することにより実施することができる。したがって、本発明の方法は、例えば、デノボ形成されたシュートの数を決定するステップ、例えばカウントするステップをさらに含むことができる。デノボ形成されたシュートの数は、シュート形成の前に、多細胞組織の数、好ましくは外植片の数に関して決定することができる。或いは又はさらに、分裂組織の数、又はそれに由来する任意の組織を決定することができる。しかし、カルス又は「グリーンカルス」の形成が、形成され得るシュートの数を示してはいないことは本明細書において理解される。カルスの形成は増殖の指標となり得るが、組織化/分化の指標にはなり得ない。
さらなる非限定的な例として、試験するステップは、再生する外植片の数を決定することによって実施することができる。したがって、本発明の方法は、例えば、再生した外植片の数を決定するステップ、例えばカウントするステップをさらに含むことができる。再生された外植片の数は、出発材料を形成した外植片の数に関して決定することができる。
本発明において使用するためのヒスチジンキナーゼは、リン酸基を特定の基質上のヒスチジン残基に転移することができるタンパク質である。好ましくは、本発明において使用するためのヒスチジンキナーゼは膜貫通タンパク質であり、サイトカイニンの細胞受容体として作用し得る。サイトカイニンに結合する際、ヒスチジンキナーゼはシグナル伝達を開始し、B型ARR(シロイヌナズナ応答レギュレーター)を活性化させ、それに続いてサイトカイニン制御型転写をもたらす。
ヒスチジンキナーゼは、ヒスチジンキナーゼ(CHK)を含有するCHASEドメインであり得る。これらの受容体は、好ましくは、CHASE(Cyclase/Histidine kinase Associated Sensory Extracellular)と呼ばれる細胞質外センシングドメインに隣接する好ましくは少なくとも2つの疎水性膜貫通ドメイン(TM)を含むN末端部分、並びに触媒ヒスチジンキナーゼ(HK)ドメインと、レシーバードメイン及び偽性レシーバードメインの両方(それぞれ、REC及びREC様)を含有する細胞質C末端部分を含む複合マルチドメイン構造を示す。HKドメインは、好ましくは、HK二量体化及びリン酸化受容体ドメイン(HisKA)及びHK様ATPaseドメイン(HATPase)と呼ばれるHK触媒ドメインから構成される(Dauduら、「CHASE-Containing Histidine Kinase Receptors in Apple Tree: From a Common Receptor Structure to Divergent Cytokinin Binding Properties and Specific Functions」、Front Plant Sci. (2017);8:1614)。
本発明において使用するためのヒスチジンキナーゼは、植物細胞に固有のタンパク質、例えば、細胞内において発現又は過剰発現される内因性ヒスチジンキナーゼタンパク質であり得る。したがって、内因性タンパク質は、野生型植物細胞のゲノム内にコードされており、その発現が導入又は増強されるタンパク質であり得る。さらに又は或いは、内因的にコードされたタンパク質の追加コピーを植物細胞に導入することができる。
一実施形態では、本発明において使用するためのヒスチジンキナーゼは、植物細胞に対して天然ではなく、すなわち外因性である。そのような外因性タンパク質は、相同タンパク質であり得る。そのタンパク質は、同じ亜属、属、連、亜科、科、目及び/又は分岐群に由来し得る。或いは、そのタンパク質は、異なる亜属、属、連、亜科、科、目及び/又は分岐群に由来し得る。ヒスチジンキナーゼタンパク質は、人工タンパク質であり得、例えば、天然には存在しないが、天然に存在するヒスチジンキナーゼと同一の又は同様の機能を発揮するタンパク質であり得る。
好ましい実施形態では、ヒスチジンキナーゼは、CHK2、CHK3及びCHK4のうちの少なくとも1つである。好ましくは、ヒスチジンキナーゼは、CHK2及びCHK4のうちの少なくとも1つである。一実施形態では、ヒスチジンキナーゼはCHK2である。別の実施形態では、ヒスチジンキナーゼはCHK4である。本明細書では、ヒスチジンキナーゼの組合せの発現が植物細胞において導入又は増加されることを想定している。例えば、少なくとも2つの異なるCHK2タンパク質、少なくとも2つの異なるCHK3及び/又は少なくとも2つの異なるCHK4タンパク質の発現が植物細胞において増加又は導入される。或いは又はさらに、植物細胞は、少なくともCHK2及びCHK4タンパク質、少なくともCHK2及びCHK3タンパク質、又は少なくともCHK3及びCHK4タンパク質の増加又は導入された発現を有していてもよい。植物細胞は、本明細書で定義した少なくともCHK2、CHK3及びCHK4タンパク質の増加又は導入された発現を有することができる。
本発明のヒスチジンキナーゼは、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のうちの少なくとも1つと少なくとも50%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ得る。好ましくは、CHK2をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有することができる。配列番号1は、AHK2とも注釈付けされている、シロイヌナズナのCHK2コード配列である。
好ましくは、CHK3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有し得る。配列番号2は、AHK3とも注釈付けされている、シロイヌナズナのCHK3コード配列である。
好ましくは、CHK4をコードするヌクレオチド配列は、好ましくは、配列番号3と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列番号3は、AHK4、CRE1、WOL1、WOODEN LEG1とも注釈付けされている、シロイヌナズナのCHK4コード配列である。
一実施形態では、CHK2タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、遺伝子At5g35750(配列番号7)、その相同体、又はAt5g35750若しくはその相同体と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有する配列であるか、又はそれらに由来する。同一性のパーセンテージは、ゲノム配列の全長にわたり決定することができる。或いは、同一性のパーセンテージは、遺伝子のコード配列の全長にわたり決定することができる。
相同体の例としては、グリシン・マクス(Glycine max)(ダイズ)(GLYMA02G47611又はGLYMA14G01040)、オリザ・サティバ(Oryza sativa)(イネ)(OS10G0362300、OSJNBA0058E19.1又はOSJNBA0073L01.1)、ポプラス・トリコカルパ(Populus trichocarpa)(ブラックコットンウッド)(POPTR_0014S16260G)、ソラヌム・リコペルシクム(Solanum lycopersicum)(トマト)(SOLYC07G047770.2)、及びビティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)(ブドウ)(VIT_12S0057G00690)が挙げられる。好ましい相同体は、ソラヌム・リコペルシクムSOLYC07G047770.2である。
好ましくは、CHK2タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、遺伝子SOLYC07G047770.2(配列番号30)、その相同体、及び/又はSOLYC07G047770.2と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有する配列であるか、又はそれらに由来する。同一性のパーセンテージは、ゲノム配列の全長にわたり決定することができる。或いは、同一性のパーセンテージは、遺伝子のコード配列の全長にわたり決定することができる。
一実施形態では、CHK3タンパク質をコードする配列は、遺伝子At1g27320(配列番号8)、その相同体、又はAt1g27320若しくはその相同体と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有する配列であるか、又はそれらに由来する。同一性のパーセンテージは、ゲノム配列の全長にわたり決定することができる。或いは、同一性のパーセントは、遺伝子のコード配列の全長にわたり決定することができる。
相同体の例としては、ブラキポディウム・ディスタキオン(Brachypodium distachyon)(ミナトカモジグサ)(BRADI2G59127)、グリシン・マクス(ダイズ)(GLYMA05G28070又はGLYMA08G11060)、オリザ・サティバ(イネ)(B1455F06.33)、ポプラス・トリコカルパ(ブラックコットンウッド)(HK3A又はPOPTR_0003S16950G)、ソラヌム・リコペルシクム(トマト)(SOLYC05G015610.2)及びビティス・ビニフェラ(ブドウ)(VIT_01S0010G03780)が挙げられる。
一実施形態では、CHK4タンパク質をコードする配列は、遺伝子At2g01830(配列番号9)、その相同体、又はAt2g01830若しくはその相同体と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有する配列であるか、又はそれらに由来する。同一性のパーセンテージは、ゲノム配列の全長にわたり決定することができる。或いは、同一性のパーセンテージは、遺伝子のコード配列の全長にわたり決定することができる。
相同体の例としては、ブラキポディウム・ディスタキオン(ミナトカモジグサ)(BRADI1G10660)、グリシン・マクス(ダイズ)(GLYMA02G09550、GLYMA05G34310、GLYMA07G19620、GLYMA07G27540又はGLYMA08G05370)、フィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)(コケ)(CKI3A、CKI3B、CKI3C、CRE1、CRE2、CRE3、PHYPADRAFT_162473、PHYPADRAFT_169293、PHYPADRAFT_172225、PHYPADRAFT_229095又はPHYPADRAFT_68053)、ポプラス・トリコカルパ(ブラックコットンウッド)(CRE1B、POPTR_0008S13720G)、ソラヌム・リコペルシクム(トマト)(SOLYC04G008110.2)、モロコシ(モロコシ)(SB01G010070)及びビティス・ビニフェラ(ブドウ)(VIT_01S0011G06190)が挙げられる。
ヒスチジンキナーゼをコードする配列は、植物細胞における発現のためにコドン最適化されていてもよく、好ましくは、本発明の方法の植物細胞における発現のためにコドン最適化されていてもよい。非限定的な例として、発現された、又はデノボ発現されたヒスチジンキナーゼは内因性タンパク質であり得るが、この内因性タンパク質をコードする配列は、外因性のコドン最適化された配列である。或いは、コドン最適化配列は、植物細胞にとって外因性であるヒスチジンキナーゼをコードすることができる。
一実施形態では、ヒスチジンキナーゼのアミノ酸配列は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6のうちの少なくとも1つと少なくとも50%の配列同一性を有する。
CHK2をコードするアミノ酸配列は、配列番号4と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有し得る。配列番号4は、シロイヌナズナCHK2タンパク質である。
或いは、CHK3をコードするヌクレオチド配列は、配列番号5と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有し得る。配列番号5は、シロイヌナズナのCHK3タンパク質である。
好ましくは、CHK4をコードするヌクレオチド配列は、好ましくは、配列番号6と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。配列番号6は、シロイヌナズナのCHK4タンパク質である。
一実施形態では、CHK2アミノ酸配列は、AT5G35750.1(AHK2)、その相同体、又はAHK2若しくはその相同体と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有する配列であるか、又はそれらに由来する。好ましい相同体は、配列番号31の配列を有するソラヌム・リコペルシクムCHK2(SlyCHK2)、及び/又はSlyCHK2と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有する配列である。
相同体の例としては、グリシン・マクス(ダイズ)(K7KBR1又はK7M476)、オリザ・サティバ(イネ)(Q0IY65、Q9AUQ0又はQ8S6P5)、ポプラス・トリコカルパ(ブラックコットンウッド)(B9IAR0)、ソラヌム・リコペルシクム(トマト)(K4CEY3)及びビティス・ビニフェラ(ブドウ)(F6HHM7)が挙げられる。
一実施形態では、CHK3アミノ酸配列は、AT1G27320(AHK3)、その相同体、又はAHK3若しくはその相同体と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を有する配列であるか、又はそれらに由来する。
相同体の例としては、ブラキポディウム・ディスタキオン(ミナトカモジグサ)(I1HUP8)、グリシン・マクス(ダイズ)(I1K3M7又はI1KS30)、オリザ・サティバ(イネ)(Q5JJP1)、ポプラス・トリコカルパ(ブラックコットンウッド)(B9GML7又はB9GZP2)、ソラヌム・リコペルシクム(トマト)(K4BYS7)及びビティス・ビニフェラ(ブドウ)(D7TAZ7)が挙げられる。
一実施形態では、CHK4アミノ酸配列は、AT2G01830(AHK4)、その相同体、又はAHK4若しくはその相同体と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有する配列であるか、又はそれらに由来する。
相同体の例としては、ブラキポディウム・ディスタキオン(ミナトカモジグサ)(I1GNZ3)、グリシン・マクス(ダイズ)(K7K767、K7KRH0、K7L210、K7L2C5又はI1KQE9)、フィスコミトレラ・パテンス(コケ)(A9RME1、A9SJM1、A9T3T9、A9S5U9、A9TAF3、A9TKN3、A9S2L4、A9TCH3、A9TVM0、A9SEU1又はA9RME0)、ポプラス・トリコカルパ(ブラックコットンウッド)(B9HVS3又はB9HJJ3)、ソラヌム・リコペルシクム(トマト)(K4BNW7)、ソルガム・ビコロ(Sorghum bicolor)(モロコシ)(C5WN04)及びビティス・ビニフェラ(ブドウ)(F6HFB2)が挙げられる。
本発明の一実施形態では、増加又は導入された発現を有するヒスチジンキナーゼは、機能性ヒスチジンキナーゼである。機能性ヒスチジンキナーゼは、好ましくは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の配列番号4、配列番号5又は配列番号6のアミノ酸配列を有するヒスチジンキナーゼの機能と同一の又は類似の機能を植物細胞において果たす。本明細書で定義したCHK2は、好ましくは、シロイヌナズナの配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質の機能と同一の又は類似の機能を植物細胞において果たす。本明細書で定義したCHK3は、好ましくは、シロイヌナズナの配列番号5のアミノ酸配列を有するタンパク質の機能と同一の又は類似の機能を植物細胞において果たす。本明細書で定義したCHK4は、好ましくは、シロイヌナズナの配列番号6のアミノ酸配列を有するタンパク質の機能と同一の又は類似の機能を植物細胞において果たす。本発明の文脈において、機能性ヒスチジンキナーゼ、又はヒスチジンキナーゼを含むCHASEドメインは、好ましくは、サイトカイニンに結合可能であり、サイトカイニン制御型転写をもたらすシグナル変換を開始する。或いは又はさらに、機能性ヒスチジンキナーゼは、増加又は導入された発現の際に、植物細胞のサイトカイニン誘導性再生能力を改良することが可能なヒスチジンキナーゼとして定義することもできる。
この方法は、例えば、植物、植物プロトプラスト又は植物細胞を遺伝子操作して、ヒスチジンキナーゼタンパク質を過剰発現又はデノボ発現させるステップを含むことができる。一実施形態では、ヒスチジンキナーゼの発現は、植物細胞において一過的に増加するか、又は導入される。タンパク質の発現を一過的に増加又は導入する方法は当技術分野では周知であり、本発明はいかなる特定の方法にも限定されない。
非限定的な例として、この方法は、好ましくは本明細書で定義した第9の態様の発現構築物として、本明細書に記載したヒスチジンキナーゼをコードする組換え核酸を含むベクター又は発現構築物で植物細胞を形質転換することを含み得る。そのようなベクター又は発現構築物は、好ましくは、植物ゲノムに組み込まれない。その結果、発現構築物から転写されたヒスチジンキナーゼタンパク質は、一時的に発現される。ヒスチジンキナーゼをコードする核酸の導入は、例えば、国際公開第2009/082190号に開示されているような当技術分野で公知の任意の適切な手段を使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、この方法は、植物プロトプラスト又は植物細胞を、ベクターを含むアグロバクテリウム株と接触させて、組換え核酸を植物プロトプラスト又は植物細胞に導入することを含む。
或いは又はさらに、植物細胞は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼタンパク質で形質転換させることができる。ヒスチジンキナーゼタンパク質の導入は、当業者に公知の任意の適切な手段によって実施することができる。
一実施形態では、植物細胞のゲノムは、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼタンパク質を一過的に発現又は過剰発現するように改変することができる。非限定的な例として、発現カセットは植物細胞のゲノムに導入することができ、その発現カセットは、誘導性プロモーター及びヒスチジンキナーゼをコードする配列を少なくとも含む。ヒスチジンキナーゼは、例えば、インデューサーの存在下で発現され得る。インデューサーはトランスアクチベーター、例えば導入トランスアクチベーターに結合することができ、このトランスアクチベーターは、例えば、ヒスチジンキナーゼをコードする配列に作動可能に連結されている誘導性プロモーターに結合することによって、ヒスチジンキナーゼの発現を開始又は増大する。
一実施形態では、ヒスチジンキナーゼの発現は、植物細胞において連続的に増加又は導入される。
ヒスチジンキナーゼタンパク質の連続的な過剰発現又は連続的なデノボ発現は、例えば、ヒスチジンキナーゼタンパク質をコードする内因性遺伝子の少なくとも1つの追加のコピーを植物、植物プロトプラスト又は植物細胞のゲノムに挿入することによって達成することができる。さらなる方法は、プロモーターをモジュレートすること、及び/又は内因性ヒスチジンキナーゼをコードする配列に作動可能に連結されている配列をさらに調節することであり、それにより増強又は導入された発現がもたらされる。これらの調節配列は、ゲノム調節因子及びエピゲノム調節因子を含むことができる。
一実施形態では、植物のゲノムは、配列番号10、配列番号11及び配列番号12のうちの少なくとも1つと少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は100%の配列同一性を有するゲノムプロモーター断片を改変することにより、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼを過剰発現又はデノボ発現するように改変される。
一実施形態では、植物細胞のゲノムは、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼを過剰発現又はデノボ発現するように改変される。非限定的な例として、本明細書で定義した内因性ヒスチジンキナーゼをコードする遺伝子を囲む調節配列は、ヒスチジンキナーゼの発現を増加又は誘導するように改変され得る。これらの調節配列は、ヒスチジンキナーゼをコードする開始コドンから約10kb、8kb、5kb、3kb、2kb、1kb、800bp、600bp、400bp、200bp、100bp未満又は約50bp未満上流に位置し得る。或いは、これらの調節配列は、ヒスチジンキナーゼをコードする開始コドンから約10kb、8kb、5kb、3kb、2kb、1kb、800bp、600bp、400bp、200bp、100bp未満又は約50bp未満下流に位置し得る。
一実施形態では、本明細書で定義した内因性ヒスチジンキナーゼの発現を増加又は誘導するように改変された調節配列は、配列番号7と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%又は100%の配列同一性を有する配列の約10kb、8kb、5kb、3kb、2kb、1kb、800bp、600bp、400bp、200bp、100bp未満又は約50bp未満上流に位置し得る。
一実施形態では、本明細書で定義した内因性ヒスチジンキナーゼの発現を増加又は誘導するように改変された調節配列は、配列番号8と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%又は100%の配列同一性を有する配列の約10kb、8kb、5kb、3kb、2kb、1kb、800bp、600bp、400bp、200bp、100bp未満又は約50bp未満上流に位置し得る。
一実施形態では、本明細書で定義した内因性ヒスチジンキナーゼの発現を増加又は誘導するように改変された調節配列は、配列番号9と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%又は100%の配列同一性を有する配列の約10kb、8kb、5kb、3kb、2kb、1kb、800bp、600bp、400bp、200bp、100bp未満又は約50bp未満上流に位置し得る。
一実施形態では、植物ゲノムは、例えば、KeyBase(登録商標)、標的ヌクレオチド交換(TNE)、オリゴ定方向突然変異誘発(ODM)又はオリゴヌクレオチド定方向突然変異誘発(ODTM)を使用して特定位置で改変し、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの発現を増加又は導入することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書で定義した内因性ヒスチジンキナーゼの発現を導入又は増加するように植物細胞のゲノムを編集する方法としては、限定するものではないが、CRISPRシステム、ZFN又はTALENなどの特定のヌクレアーゼの使用が挙げられる。CRISPRシステムの特定のヌクレアーゼの非限定的な例としては、Cas9、Cpf1及びCasXが挙げられる。
内因性ヒスチジンキナーゼの発現を導入又は増加させる代わりに、又はそれに加えて、外因性ヒスチジンキナーゼタンパク質を植物細胞において安定的に発現させることができる。例えば、ヒスチジンキナーゼをコードする核酸、例えば、外因性ヒスチジンキナーゼは、植物細胞のゲノムに安定的に挿入することができる。そのようなヒスチジンキナーゼの発現は、導入された配列に作動可能に連結された配列によって調節することができる。これらの調節配列は細胞に対し内因性であり得るか、又は、例えばヒスチジンキナーゼをコードする核酸の導入とともに導入され得る。これらの調節配列は、ゲノム調節因子及びエピゲノム調節因子を含むことができる。
本発明の方法は、本発明の方法のヒスチジンキナーゼの過剰発現又はデノボ発現を試験するステップをさらに含んでいてもよい。言い換えると、本発明はまた、
a)植物細胞において本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの発現を増加又は導入するステップと;
b)植物細胞における前記ヒスチジンキナーゼの発現レベルを検出するステップと
を含む、植物細胞のサイトカイニン誘導性再生能力を改良する方法も提供する。
ヒスチジンキナーゼタンパク質の過剰発現又はデノボ発現を試験する方法としては、限定するものではないが、PCR分析、ゲノムDNAの配列決定、mRNA転写産物の配列決定、mRNA転写産物レベルの分析(ノーザンブロット分析)、コピー数の分析(サザンブロット分析)などが挙げられる。好ましくは、本発明の方法は、本明細書で定義した対照と比較して、少なくとも2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%のヒスチジンキナーゼの発現の増加をもたらす。
一実施形態では、植物細胞は、非能率的な(inefficient)再生能力を有することが知られている植物から得られるか、又は得ることができる。不十分な(insufficient)再生能力は、本明細書では、好ましくは植物細胞が再生を可能にする定義した条件下、好ましくは最適条件下に保たれた場合に、再生能力が約25%、20%、15%、10%、8%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満であると理解される。非能率的な再生能力を有する植物の例としては、限定するものではないが、アマトウガラシ、キュウリ、及びメロンが挙げられる。
本発明において使用するための植物細胞は、再生を可能にするはずの条件下で再生することが不可能な植物から得られるか、又は得ることができる。
一実施形態では、植物細胞は、オオムギ、キャベツ、キャノーラ、カッサバ、カリフラワー、チコリ、ワタ、キュウリ、ナス、ブドウ、トウガラシ、レタス、トウモロコシ、メロン、ナタネ、ジャガイモ、カボチャ、イネ、ライムギ、モロコシ、西洋カボチャ、サトウキビ、サトウダイコン、ヒマワリ、アマトウガラシ、トマト、スイカ、コムギ、ズッキーニ、ダイズ、キク、及びシロイヌナズナからなる群から選択される植物から得られるか、又は得ることができる。
一実施形態では、植物細胞は、アマトウガラシ、キュウリ、メロン、ダイズ、キク、及びシロイヌナズナからなる群から選択される植物から得られるか、又は得ることができる。
一実施形態では、植物細胞は、アマトウガラシ、キュウリ、及びメロンからなる群から選択される植物から得られるか、又は得ることができる。
一実施形態では、植物細胞は、トマト又はトウガラシから得られるか又は入手可能であり、好ましくは、植物細胞は、ソラヌム・リコペルシクム又はカプシクム・アンヌウム(Capsicum annuum)から得られるか、又は得ることができる。
第2の態様では、本発明は、i)本明細書で定義したサイトカイニンを含む培地中で本発明の第1の態様の方法によって得られた、又は得ることができる植物細胞をインキュベートするステップと;ii)植物細胞が植物に再生することを可能にするステップとを含む、植物を再生する方法に関する。
したがって、本発明はまた、
a)植物細胞において本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの発現を増加又は導入するステップと;
b)植物細胞における前記ヒスチジンキナーゼの発現レベルを任意選択で検出し、ヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有する植物細胞を任意選択で選択するステップと;
c)本明細書で定義したサイトカイニンを含む培地中で、植物細胞、任意選択でステップb)で選択した植物細胞をインキュベートするステップと;
d)植物細胞を植物に再生させることを可能にするステップと
を含む、植物を再生する方法に関する。
一実施形態では、植物細胞は、本発明の第1の態様で明示された植物細胞である。植物細胞は、オオムギ、キャベツ、キャノーラ、カッサバ、カリフラワー、チコリ、ワタ、キュウリ、ナス、ブドウ、トウガラシ、レタス、トウモロコシ、メロン、ナタネ、ジャガイモ、カボチャ、イネ、ライムギ、モロコシ、西洋カボチャ、サトウキビ、サトウダイコン、ヒマワリ、アマトウガラシ、トマト、スイカ、コムギ、ズッキーニ、ダイズ、キク、及びシロイヌナズナからなる群から選択される植物から得られるか、又は得ることができる。
本発明の方法は、植物細胞のサイトカイニン誘導性再生能力を改良することに関し、この方法は、ヒスチジンキナーゼタンパク質の発現を増加又は導入するステップを含む。サイトカイニン(CK)は、植物の根及びシュートにおける細胞分裂、又は細胞質分裂を促進する植物成長物質(植物ホルモン)の一種である。サイトカイニンは木部を上方へと移動し、横方向の成長を促進することができる。それらは主として細胞の増殖及び分化に関係するが、頂芽優勢、腋芽成長、及び葉老化にも影響を及ぼし得る。
本発明で使用するためのサイトカイニンは、アデニン型サイトカイニン又はフェニル尿素型サイトカイニンであり得る。同様に、サイトカイニンは、天然で産生された植物ホルモンであり得るか、又は合成された化合物であり得る。アデニン型サイトカイニンは、根、種子及び果実のうちの少なくとも1つにおいて合成される植物ホルモンであり得る。さらに、形成層及び他の活発に分裂している組織もまた、サイトカイニンを合成することができる。
天然に存在するアデニン型サイトカイニンの非限定的な例は、ゼアチン並びにその代謝前駆体2iPである。合成アデニン型サイトカイニンの非限定的な例は、キネチン及び6-ベンジルアミノプリン(BAP)である。置換尿素化合物、例えばチジアズロン及びCPPUなどは植物においては生じないが、組織培養においてはサイトカイニンとして作用し得る。
アデニン型サイトカイニンは、キネチン、ゼアチン、トランス-ゼアチン、シス-ゼアチン、ジヒドロゼアチン、6-ベンジルアミノプリン、及び2iP、並びにそれらの組合せからなる群から選択することができる。フェニル尿素型サイトカイニンは、ジフェニル尿素又はチジアズロンであり得る。
一実施形態では、本明細書で定義した植物細胞は、植物細胞の再生を可能にする条件下で、本明細書で定義したサイトカイニンを含む培地においてインキュベートされる。植物細胞は、サイトカイニンを含む培地において、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は約10日間、再生を可能にする条件下でインキュベートすることができる。植物細胞は、サイトカイニンを含む培地において、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は約12週間、再生を可能にする条件下でインキュベートすることができる。
一実施形態では、本明細書で定義した植物細胞は、サイトカイニンを含む培地において、少なくとも5、6、7、8、9週間インキュベートされる。
一実施形態では、再生された植物細胞は、子葉胚にさらに発達させることができる。用語の「子葉胚」及び「子葉期胚」とは、本明細書では同義的に使用することができる。子葉胚は、好ましくは、子葉期体細胞胚である。一実施形態では、子葉胚のすべての細胞は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼを発現又は過剰発現する。本発明の方法によって生成された変異誘発された子葉胚は、小植物にさらに成長させることができる。小植物は、植物にさらに成長させることができる。
本発明の一実施形態では、本方法は、したがって、植物細胞から小植物及び/又は植物を再生するさらなるステップを含む。
一実施形態では、本明細書で定義した植物細胞は、サイトカイニンを含む培地においてインキュベートされる。培地中のサイトカイニンは、1種類のみのサイトカイニンであり得る。或いは、植物細胞はまた、サイトカイニンの混合物中でインキュベートすることもできる。例えば、植物細胞は、少なくとも1、2、3、4又は5つの異なるタイプのサイトカイニンを含む培地においてインキュベートすることができる。
少なくとも2つのサイトキニンの混合物は、例えば、キネチン及びゼアチン、キネチン及びトランス-ゼアチン、キネチン及びシス-ゼアチン、キネチン及びジヒドロゼアチン、キネチン及び6-ベンジルアミノプリン、キネチン及び2iP、ゼアチン及びトランスゼアチン、ゼアチン及びシス-ゼアチン、ゼアチン及びジヒドロゼアチン、ゼアチン及び6-ベンジルアミノプリン、ゼアチン及び2iP、トランス-ゼアチン及びシス-ゼアチン、トランス-ゼアチン及びジヒドロゼアチン、トランス-ゼアチン及び6-ベンジルアミノプリン、トランス-ゼアチン及び2iP、シス-ゼアチン及びジヒドロゼアチン、シス-ゼアチン及び6-ベンジルアミノプリン、シス-ゼアチン及び2iP、ジヒドロゼアチン及び6-ベンジルアミノプリン、ジヒドロゼアチン及び2iP、並びに6-ベンジルアミノプリン及び2iPからなる群から選択される。当業者は、1つ又は複数の追加のタイプの1つ又は複数のサイトカイニンを、少なくとも2つのサイトカイニンの混合物に加えることができることが分かる。添加されるサイトカイニンのタイプは植物細胞のタイプによって決まることが当技術分野において知られており、また当業者は適切な1つ又は複数の適切なサイトカイニンを直接選択することができる。
一実施形態では、培地は、植物細胞の再生を促進する追加の化合物を含有することができる。そのような追加の化合物は、例えば1つ又は複数の成長調節物質、例えば1つ又は複数の植物ホルモンであり得る。植物ホルモン(plant hormone)(植物ホルモン(phytohormone)又は「植物成長物質」としても知られている)は、植物の成長を調節することができる化学物質である。植物ホルモンは、植物の形状、種子の成長、開花期、花の性別、葉の老化、及び果実の老化の少なくとも1つに影響を及ぼし得る。或いは又はさらに、植物ホルモンは、組織の上方成長、組織の下方成長、葉の形成、茎の成長、果実の発達、果実の成熟、植物の寿命、及び植物の死滅のうちの少なくとも1つに影響を及ぼし得る。
本発明の方法において使用するためのさらなる植物ホルモンは、オーキシン、アブシジン酸、エチレン及びジベレリンのうちの少なくとも1つであり得る。或いは又はさらに、さらなる植物ホルモンは、ブラシノステロイド、サリチル酸、ジャスモン酸、植物ペプチドホルモン、ポリアミン、一酸化窒素、ストリゴラクトン、カリキン及びトリアコンタノールのうちの少なくとも1つであり得る。
少なくとも1つのさらなる植物ホルモンは、オーキシンであり得る。オーキシンは、モルフォゲン様の特性を有することができる植物ホルモンのクラスである。オーキシンは、内因的に合成されたオーキシンであり得る。内因的に合成されたオーキシンは、インドール-3-酢酸(IAA)、4-クロロインドール-3-酢酸、フェニル酢酸、インドール-3-酪酸、及びインドール-3-プロピオン酸からなる群から選択することができる。
オーキシンは、合成オーキシン、例えばオーキシン類似体であり得る。合成オーキシンは、1-ナフタレン酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、α-ナフタレン酢酸(α-NAA)、2-メトキシ-3,6-ジクロロ安息香酸(ジカンバ)、4-アミノ-3,5,6-トリクロロピコリン酸(トルドン又はピクロラム)、1-ナフタレン酢酸(NAA)、インドール-3-酪酸(IBA)、及び2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5-T)のうちの少なくとも1つであり得る。オーキシンは、1-ナフタレン酢酸(NAA)であり得る。
さらに又は或いは、さらなる植物ホルモンは、少なくともジベレリンであり得る。ジベレリンは、19炭素ジベレリン又は20炭素ジベレリンであり得る。ジベレリンは、ジヒドロキシル化ジベレリンであり得る。ジベレリンは、GA1、GA3、GA4、及びGA7のうちの少なくとも1つであり得る。
培地中の少なくとも1つのさらなる植物ホルモン(例えばオーキシン)の濃度は、サイトカイニン濃度と同じであるか、又は同様であり得る(例えば、約1:1の比率)。或いは、少なくとも1つのさらなる植物ホルモンの濃度は、培地中のサイトカイニン濃度よりも低い可能性がある。少なくとも1つのさらなる植物ホルモンとサイトカイニンとの比は、約0.9:1.0;0.8:1.0;0.7:1.0;0.6:1.0;0.5:1.0;0.:1.0;0.3:1.0;0.2:1.0;0.1:1.0;0.01:1.0、又は約0.001:1.0であり得る。
或いは、少なくとも1つのさらなる植物ホルモンの濃度は、培地中のサイトカイニンの濃度よりも高い可能性がある。少なくとも1つのさらなる植物ホルモンとサイトカイニンとの比は、1:0.9;1:0.8;1:0.7;1:0.6;1:0.5;1:0.4;1:0.3;1:0.2;1:0.1;1:0.01又は約1:0.001であり得る。
培地中のサイトカイニン濃度は、少なくとも約50ng/ml、75ng/ml、100ng/ml、125ng/ml、150ng/ml、175ng/ml、200ng/ml、225ng/ml、250ng/ml、275ng/ml、300ng/ml、325ng/ml、350ng/ml、375ng/ml、400ng/ml、425ng/ml、450ng/ml、475ng/ml、500ng/ml、525ng/ml、550ng/ml、575ng/ml、600ng/ml、625ng/ml、650ng/ml、675ng/ml、700ng/ml、750ng/ml、800ng/ml、850ng/ml、900ng/ml、950ng/ml、1000ng/ml、1100ng/ml、1200ng/ml、1300ng/ml、1400ng/ml、1500ng/ml、1750ng/ml、2000ng/ml、2225ng/ml、2500ng/ml、2750ng/ml、3000ng/ml、3250ng/ml、3500ng/ml、3750ng/ml、4000ng/ml、4250ng/ml、4500ng/ml、4750ng/ml又は少なくとも約5000ng/mlであり得る。
或いは又はさらに、培地中のサイトカイニン濃度は、最大で約50ng/ml、75ng/ml、100ng/ml、125ng/ml、150ng/ml、175ng/ml、200ng/ml、225ng/ml、250ng/ml、275ng/ml、300ng/ml、325ng/ml、350ng/ml、375ng/ml、400ng/ml、425ng/ml、450ng/ml、475ng/ml、500ng/ml、525ng/ml、550ng/ml、575ng/ml、600ng/ml、625ng/ml、650ng/ml、675ng/ml、700ng/ml、750ng/ml、800ng/ml、850ng/ml、900ng/ml、950ng/ml、1000ng/ml、1100ng/ml、1200ng/ml、1300ng/ml、1400ng/ml、1500ng/ml、1750ng/ml、2000ng/ml、2225ng/ml、2500ng/ml、2750ng/ml、3000ng/ml、3250ng/ml、3500ng/ml、3750ng/ml、4000ng/ml、4250ng/ml、4500ng/ml、4750ng/ml、又は約5000ng/mlであり得る。
一実施形態では、培地中のサイトカイニン濃度は、約50~5000ng/ml、75~4000ng/ml、100~3000ng/ml、125~2000ng/ml、130~1500ng/ml、140~1250ng/ml、150~1000ng/ml、175~800ng/ml、200~600ng/ml、又は約250~500ng/mlの範囲である。
培地中のサイトカイニン濃度は、好ましくは、植物細胞の再生を可能にするのに最適な濃度である。当業者は、例えば日常的な実験を通じてそのような最適濃度を確立する方法を知っており、又はこれらの濃度は当技術分野においてこれまでに開示されている。好ましい最適濃度は、約1000ng/mlである。
本明細書で定義した植物細胞をインキュベートするための培地は、液体培地又は固体培地であり得る。培地は、好ましくは滅菌されている。
異なる態様における本明細書で定義した本発明の方法及び使用では、植物細胞は、多細胞組織の一部分であり得る。植物多細胞組織は、分化細胞を含むことができる。或いは又はさらに、多細胞組織は、未分化細胞を含むことができる。一実施形態では、多細胞組織のすべての細胞は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有する。或いは、多細胞組織の細胞の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は約99%は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加した発現又はデノボ発現を有する。
多細胞組織は、カルス組織、植物器官又は外植片であり得る。
本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの誘導又は導入した発現を有する植物細胞は、カルスの一部分であり得る。カルスは、好ましくは成体細胞に由来した未分化細胞の群である。カルス細胞は、胚形成及び完全に新しい植物の形成を経ることができる。植物カルスは、組織化されていない植物の柔組織細胞の成長している塊と考えられる。カルスは単一の分化細胞から生成することができ、カルス細胞は全能性であり、植物体全体を再生することが可能である。植物カルスは、1つ又は複数の体細胞組織、例えば、外植片培養に利用可能な組織に由来し得る。カルス及び体細胞胚を生じさせる細胞は、好ましくは、迅速な分裂を経て、及び/又は分裂組織のように部分的に未分化である。本発明の方法で使用されるカルス細胞は、もろくなり得るか、又はコンパクトになり得る。さらに又は或いは、カルス細胞は、根状、シュート状、又は胚形成性のカルスであり得る(Ikeuchi M、 Plant Cell. 2013 Sep;25(9):3159~3173)。
一実施形態では、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有する植物細胞は、植物器官の一部分であり得る。植物器官は、栄養器官又は生殖器官であり得る。栄養器官は、シュート系又は根系に由来し得る。器官は、根、茎、及び葉のうちの少なくとも1つであり得る。再生植物器官は、花、種子、果実、球果、胞子嚢、毬果及び茎葉体からなる群から選択することができる。
一実施形態では、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有する植物細胞は、外植片の一部分であり得る。外植片は、本明細書では、植物の一部分から得られた試料として定義することができる。植物試料は、固体培養培地又は液体培地に置くことができる。外植片は、シュート、葉、茎、花、根、単一の未分化細胞の一部分を含む植物の多くの異なる部分から、及び成熟細胞から採取することができる。細胞は、好ましくは、生存する細胞質及び核を含有しており、脱分化して細胞分裂を再開することができる。外植片は、植物の分裂組織末端、例えば、茎先端、腋芽先端若しくは根先端であり得るか、又はそこから得ることが可能であるか、若しくは得ることができる。一実施形態では、外植片は、胚軸外植片、茎外植片、子葉外植片、根外植片、葉外植片、花外植片、及び分裂組織からなる群から選択される。一実施形態では、外植片は胚軸外植片である。
本発明の方法によって再生された植物は、続いて交配され、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を除去することができる。したがって、この方法は、再生された植物を交配して、以前に増加又は導入されたヒスチジンキナーゼの発現を除去するステップを含むことができる。植物は、異なる種の植物又は同じ種の植物と交配させることができ、ヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現をもはや有していない後代を選択することができる。
第3の態様では、本発明は、本明細書で定義した本発明の方法によって得ることが可能な、又は得られる植物又は植物部分に関する。植物又は植物部分は、器官形成又は体細胞胚形成のプロセスによって得ることが可能であるか、又は得られる。植物又は植物部分から得られる植物細胞は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有する。本発明の方法によって得ることが可能であるか、又は得られる植物は、好ましくは、オオムギ、キャベツ、キャノーラ、カッサバ、カリフラワー、チコリ、ワタ、キュウリ、ナス、ブドウ、トウガラシ、レタス、トウモロコシ、メロン、ナタネ、ジャガイモ、カボチャ、イネ、ライムギ、モロコシ、西洋カボチャ、サトウキビ、サトウダイコン、ヒマワリ、アマトウガラシ、トマト、スイカ、コムギ、ズッキーニ、ダイズ、キク、及びシロイヌナズナからなる群から選択される。植物、植物部分又は植物細胞は、すべての細胞において、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は誘導された発現を有し得る。或いは、植物細胞の約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は約99%は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有する。一実施形態では、植物部分は、種子、果実、又は非増殖材料である。
一実施形態では、本発明の植物又は植物細胞は遺伝子改変を含み、その改変は、対照植物と比較して、ヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現をもたらす。好ましい遺伝子改変は、本明細書の上記に示されている。本発明の植物又は植物細胞は、好ましくは、本明細書で定義した第8の態様の核酸及び/又は本明細書で定義した第9の態様の発現構築物を含む。
第4の態様では、本発明は、本発明の方法によって得ることが可能であるか、又は得られる植物又は植物部分に由来する産物、例えば、果実、葉、植物器官、植物脂肪、植物油、植物デンプン、及び他の材料と混合され、乾燥、凍結された、破砕、粉砕されているかそのままの植物タンパク質画分などに関する。これらの産物は、非増殖性であり得る。好ましくは、前記植物産物は遺伝子改変を含み、その改変は、対照植物と比較して、ヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現をもたらす。好ましい遺伝子改変は、本明細書の上記に示されている。前記植物産物は、本明細書で定義した第8の態様の核酸及び/又は本明細書で定義した第9の態様の発現構築物を含み得る。好ましくは、これらの産物は、前記遺伝子改変、核酸及び/又は構築物の少なくとも一部を含み、これは、植物産物が、本明細書で定義した本発明の第1及び/又は第2の態様の方法によって得られる植物に由来することを評価することを可能にする。
第5の態様では、本発明は、本発明の方法によって得ることが可能であるか、又は得られる植物細胞、小植物又は植物の後代に関する。したがって、後代の植物細胞は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの増加又は誘導された発現を有し、改良されたサイトカイニン誘導性再生能力を有する。前記後代は、本明細書で定義した本発明の第3の態様の植物又は植物の部分の遺伝子改変、核酸及び/又は発現構築物を含み得る。
第6の態様では、本発明は、植物のサイトカイニン誘導性再生能力を改良するための、本明細書で定義したCHK2、CHK3及び/又はCHK4ヒスチジンキナーゼの使用に関する。一実施形態では、本発明は、植物のサイトカイニン誘導性再生能力を改良するための、本明細書で定義したCHK2及び/又はCHK4ヒスチジンキナーゼの使用に関する。さらなる実施形態では、本発明は、植物のサイトカイニン誘導性再生能力を改良するための、本明細書で定義した少なくともCHK4ヒスチジンキナーゼの使用に関する。植物は、好ましくは、本明細書の上記で定義したような植物である。
第7の態様では、本発明は、植物のサイトカイニン誘導性再生能力を改良する方法における、本明細書の上記で定義したCHK2、CHK3及び/又はCHK4ヒスチジンキナーゼの使用に関する。好ましくは、CHK2、CHK3及び/又はCHK4ヒスチジンキナーゼは、植物のサイトカイニン誘導性再生能力を改良するために、本発明の第1及び/又は第2の態様で定義した方法で使用される。
第8の態様では、本発明は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼをコードする核酸に関する。好ましい実施形態では、核酸は、本明細書で定義したCHK2、CHK3及びCHK4のうちの少なくとも1つをコードする。好ましくは、核酸は、本明細書で定義したCHK2及びCHK4のうちの少なくとも1つをコードする。好ましくは、核酸は、本明細書で定義したCHK4をコードする。
一実施形態では、核酸の配列は、配列番号1、配列番号2及び配列番号3のうちの少なくとも1つと少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は約100%の配列同一性を有し得る。
或いは、核酸の配列は、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のうちの少なくとも1つと少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は約100%の配列同一性を有し得る。
核酸は、その自然環境から単離することができる。さらに又は或いは、少なくとも1、2、3又は4つのヌクレオチドは、本明細書で定義した核酸に隣接することができ、前記ヌクレオチドは、自然環境においてその核酸には隣接せず、すなわち、天然に存在しない核酸をもたらす。
第9の態様では、本発明は、本明細書で定義したヒスチジンキナーゼの発現のための発現構築物に関する。一実施形態では、発現構築物は、第8の態様において本明細書の上記で定義した核酸の配列を含む。発現構築物は、本明細書の第8の態様において上記で定義した少なくとも1、2、3、4又は5つの核酸の配列を含み得る。
発現構築物は、同じ核酸の少なくとも2つ以上のコピーの配列を含むことができ、及び/又は本明細書で定義した少なくとも2つの異なる核酸の配列を含むことができる。
非限定的な例として、発現構築物は、配列番号1と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は約100%の配列同一性を有する核酸の配列、並びに配列番号3と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は約100%の配列同一性を有する核酸の配列を含み得る。
別の非限定的な例として、発現構築物は、配列番号7と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は約100%の配列同一性を有する核酸の配列、並びに配列番号9と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は約100%の配列同一性を有する核酸の配列を含み得る。
発現構築物は、本明細書で定義した1つの核酸配列又は複数の核酸配列に作動可能に連結されている1つ又は複数の調節エレメントをさらに含むことができる。好ましい調節エレメントはプロモーターである。植物細胞における発現のためのプロモーターは、本明細書では、植物又は植物細胞において活性であるプロモーターとして理解され、すなわち、プロモーターは、植物又は植物細胞内の転写を駆動する一般的な能力を有する。
プロモーターは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、又は組織特異的プロモーターであり得る。「構成的」プロモーターは、ほとんどの組織において、ほとんどの生理学的条件及び発達的条件下で活性であるプロモーターであると本明細書では理解される。「誘導性」プロモーターは、生理学的に(例えば、ある特定の化合物の外部適用によって)又は発達的に調節されるプロモーターである。「組織特異的」プロモーターは、特定のタイプの組織又は細胞においてのみ活性がある。
プロモーターは、カリモウイルスプロモーター、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)プロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター又はオクトピンシンターゼプロモーターなどであり得る。
プロモーターは、配列番号10、配列番号11、配列番号12及び配列番号13の少なくとも1つと少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は約100%の配列同一性を有し得る。好ましくは、プロモーターは、配列番号12と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は約100%の配列同一性を有し得る。
本発明は、図面に示したようないくつかの例示的な実施形態に関連させて上記で説明してきた。いくつかの部分又は構成要素の変更及び代替の実施は可能であり、添付の特許請求の範囲において定義されたような保護の範囲に含まれる。
実施例1:シロイヌナズナCHK2遺伝子のクローニング
シロイヌナズナ(Arabidopsis)CHK2遺伝子(AT5G35750)のコード配列は、テンプレートとしてのシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)Col-0ゲノムDNAからのCHK2特異的フォワードプライマー14_04109及びリバースプライマー14_04110を使用し、PCRにより増幅させた。第2のPCR増幅は、プライマー14_04116(フォワード)及び14_04117(リバース)で実施して、断片の末端にGatewayクローニングattB部位を組み込んだ。増幅産物をゲルから精製し、標準のGateway BP反応クローニング(thermofisher)によって、pDONR221ドナーベクター(Invitrogen(商標))にクローニングした。
AtCHK2遺伝子(AT5G35750)の上流にある2.0kbのプロモーター配列は、遺伝子合成(ThermoFisher Scientific)により合成した。合成された断片は、フォワードプライマー15_00083及びリバースプライマー15_00084を使用してPCR増幅し、pENTR(商標)5’-TOPO(登録商標)TA Cloning(登録商標)キット(Invitrogen(商標))を使用して、エントリーベクターpENTR(商標)5’-TOPOにクローニングした。
実施例2:シロイヌナズナCHK4遺伝子のクローニング
シロイヌナズナCHK4遺伝子(AT2G01830)のコード配列は、テンプレートとしてのシロイヌナズナCol-0ゲノムDNAからのCHK4特異的フォワードプライマー14_04106及びリバースプライマー14_04107を使用し、PCRにより増幅させた。第2の増幅は、プライマー14_04114(フォワード)及び14_04115(リバース)で実施して、断片の末端にGatewayクローニングattB部位を組み込んだ。増幅産物をゲルから精製し、標準のGateway BP反応クローニング(thermofisher)によって、pDONR221ドナーベクター(Invitrogen(商標))にクローニングした。
AtCHK4遺伝子(AT2G01830)の上流にある2.0kbのプロモーター配列は、遺伝子合成(ThermoFisher Scientific)により合成した。合成された断片は、フォワードプライマー15_00087及びリバースプライマー15_00088を使用してPCR増幅し、pENTR(商標)5’-TOPO(登録商標)TA Cloning(登録商標)キット(Invitrogen(商標))を使用して、エントリーベクターpENTR(商標)5’-TOPOにクローニングした。
実施例3:発現構築物pKG9785及びpKG9791の構築
そのネイティブ2kbプロモーターの調節下にあるシロイヌナズナCHK2遺伝子の発現構築物は、実施例1で説明したエントリーベクターからのCHK2プロモーター断片及びCHK2コード配列断片を、シングルステップLRクローニング反応(ThermoFisher)により、マルチサイトGatewayデスティネーションベクターpK7m24gw,3に組み合わせることによって得られた。
そのネイティブ2kbプロモーターの調節下にあるシロイヌナズナCHK4遺伝子の発現構築物は、実施例2で説明したエントリーベクターからのCHK4プロモーター断片及びCHK4コード配列断片を、シングルステップLRクローニング反応(ThermoFisher)により、マルチサイトGatewayデスティネーションベクターpK7m24gw,3に組み合わせることによって得られた。
そのネイティブプロモーターの調節下にあるCHKコード配列を含む、得られたプラスミド構築物は、エレクトロポレーションによりアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)GV3101株に形質転換する前に、NcoI及びSacIの組合せ、又はXbaI及びHindIIIの組合せを用いた制限酵素消化を使用してチェックした。最終構築物は、CHK2発現カセットについてはpKG9785、CHK4発現カセットについてはpK9791とそれぞれ命名された。個々のアグロバクテリウムコロニーを選択し、植物の形質転換に使用してトランスジェニック株を得た。
実施例4:シロイヌナズナの形質転換
CHK構築物のいずれか(pKG9785又はpKG9791)が安定的に組み込まれたトランスジェニック植物は、Clough及びBent(Plant J. 16 (6):735~743、1998)のプロトコルに従い、フローラルディップ法を使用して、シロイヌナズナCol-0植物を形質転換することにより得た。陽性形質転換体は、気相(Clough及びBent、1998、Plant J. 16(6):735~743)を使用してT1後代種子を滅菌し、50mg.L-1のカナマイシンを補充した0.5MS10培養培地(これは100g.L-1のスクロースを含有する、Murashige及びSkoog、1962、Physiol.Plant.15:473~497に従ったMS培地濃度の半分である)上でin vitroで種子を発芽させ、カナマイシン耐性苗を選択することによって得た。続いて、各構築物の複数の独立したカナマイシン耐性苗を土壌に移し、自家受粉させてT2種子を得た。種子は気相を使用して滅菌し、50mg.L-1のカナマイシンを補充した0.5MS10プレートに播種した。2週間後、実生がカナマイシン耐性又は感受性について単離されなかったT3株はホモ接合体であると考えられ、再生アッセイにおいて使用した。選択されたトランスジェニック株における導入遺伝子の発現レベルは、全インビトロ実生から抽出されたRNAを使用してqRT-PCRによりチェックされ、非形質転換のCol-0対照植物における内因性CHK遺伝子の発現レベルと比較した。qRT-PCRで使用したプライマーは、AtCHK4については17_03894(フォワードプライマー)及び17_03895(リバースプライマー)であり、AtCHK2については17_03890(フォワードプライマー)及び17_03891(リバースプライマー)であった。それぞれの構築物について、ホモ接合体植物株は、それらの再生能力について試験される中程度発現から強発現レベルで選択した。
実施例5:CHK遺伝子を発現するシロイヌナズナ株の再生アッセイ
使用される再生アッセイは、Toら(Plant Cell 16:658~671、2004、これは参照により本明細書に組み込まれる)によって開示されているシュート開始アッセイに基づいている。試験された株のシロイヌナズナの実生を、3~4日間暗所にて、次いで3日間薄明りにおいて、垂直に置かれた正方形プレート中の0.5MS10培養培地で成長させ、伸長した堅い胚軸を得た。長さが約7mmの胚軸を実生から切除した。胚軸外植片を、キネチン(300ng.mL-1)及びNAA(100ng.mL-1)を含有する1%(w/v)スクロース及び0.4%(w/v)フィタゲル(phytagel)を補充したMS培地(Murashige及びSkoog、1962、Physiol.Plant.15:473~497)に移し、7週間25℃で、16時間明期/8時間暗期で維持した。それぞれのトランスジェニック株について、10個の個々の外植片を、5個のシロイヌナズナCol-0の非形質転換(陰性)対照外植片と、再生の陽性対照として有用である5個のシロイヌナズナarr3,4,5,6,8,9六重変異体の外植片も含まれている単一の正方形プレートで試験した。この変異体は、これらの条件下で、高効率で再生することが知られている(Toら、2004、Plant Cell 16:658~671)。それぞれの実験において、4つの独立したプレートをアッセイし、実験を二つ組で実施した。シュート再生率は、7週間の成長後に形成された花序シュートの数に基づいて決定された。
再生実験は、7週間にわたりモニターし、画像化し、スコアリングした。すべてのトランスジェニック株は、対照のCol-0株と比較して、増強された再生を示した(表2)。再生効率は、培養された外植片の総数の中から、花序シュートの形成を示す外植片のパーセンテージとして表した。表2からは、ネイティブプロモーターの制御下でCHK2遺伝子又はCHK4遺伝子を発現する植物材料の再生効率が、陽性対照(六重arr変異体)の再生効率より優れていることが明らかである。全体として、CHK2遺伝子又はCHK4遺伝子のいずれかの増強された発現が、再生能力を改良することは明らかである。
CHK2、CHK3、及びCHK4の間のアミノ酸同一性のパーセンテージを表3に示す。
Figure 0007460246000001
Figure 0007460246000002
Figure 0007460246000003
Figure 0007460246000004
実施例6:トマトCHK2オルソログの同定
オルソロジー検索は、複数のタンパク質配列アラインメントソフトウェアJackHMMER(http://hmmer.org,バージョン3.2.1;2018年6月;Johnsonら、BMC Bioinformatics、11:431、2010、 doi: 10.1186/1471-2105-11-431)を使用して、15の植物プロテオームデータベースでAtCHK2遺伝子及びAtCHK4遺伝子(AT5G35750及びAT2G0183)のクエリーにより実施した。JackHMMERブラスト検索は、MEME Suiteモチーフベース配列分析(http://meme-suite.org/index.html; Meme Suite 4.12.0.、2017年6月; Baileyら、Nucl.Acids Res. 37: W2302-W208、2009、 doi.org/10.1093/nar/gkp335)により補い、既知のタンパク質ドメインを同定及び視覚化した。オルソロジー検索により、クエリーとしてのAtCHK2遺伝子及びAtCHK4遺伝子の両方に対するトマトゲノム内の単一候補遺伝子が明らかになり、アミノ酸同一性は>50%であった。これらのトマト遺伝子は、AtCHK2及びAtCHK4の最も可能性のある相同体として、それぞれ、Solyc07g047770(SlyCHK2)及びSolyc07g0081 10(SlyCHK4)である。Solyc07g047770(SlyCHK2)をさらなる研究のために選択した。
実施例7:トマトCHK発現カセットの構築
2kbのそのネイティブプロモーター配列を含むSlyCHK2の機能的発現カセットをin silicoで設計した。ノパリンシンターゼターミネーター及びGatewayアダプターを配列に追加して、Gatewayデスティネーションベクターに直接クローニングするためのクローニング断片を作製した。カセットの合成は、GeneART(www.thermofisher.com)に発注した。カセットの完全配列を配列番号32に示す。断片は、シングルステップLRクローニング反応(www.thermofisher.com)によって、GatewayバイナリーデスティネーションベクターpKm43GW(Karimiら、Plant Physiol.145:1144~1154、2007, doi.org/10.1104/pp.107.106989)に導入された。pKm43GWは、細菌選択用のストレプトマイシン耐性マーカー及びスペクチノマイシン耐性マーカーと、カナマイシンで植物組織を選択するためのnptll遺伝子を含むGatewayマルチサイトバイナリーデスティネーションベクターである。得られたプラスミド構築物をpKG10867と命名し、大腸菌(E.coli)にクローニングし、EcoRVとNheIの組合せを使用する制限酵素消化によってチェックした。MiniprepプラスミドDNAは、アグロバクテリウム・チュメファシエンスGV3101株にエレクトロポレーションした。
実施例8:トマト形質転換
そのネイティブプロモーター下のSlyCHK2を、アグロバクテリウム媒介性形質転換によって、トマト栽培品種Moneyberg-Plus(TMV耐性)に導入した。約50個のトマト種子を滅菌し、1/2MS10培地で11日間、発芽させた。実生からの子葉外植片を切除し、40μg.l-1のアセトシリンゴンを補充した2N1B培地(=2mg.l-1のNAA及び1mg.l-1のBAPを含有するMS20培地)で24時間前培養した。外植片を、20mg.l-1のストレプトマイシン及び50mg.l-1のスペクチノマイシンを含有するTY培地で一晩増殖させたpKG10867を担持するアグロバクテリウム・ツメファシエンスGV3101の懸濁液に沈め、OD600 0.138に希釈した。外植片を拭き取って乾燥させ、40μg.l-1のアセトシリンゴンを含む2N1Bプレート上で2日間共培養した。続いて、外植片を、1mg.l-1のゼアチン、200mg.l-1のバンコマイシン、200mg.l-1のセフォタキシム及び100mg.l-1のカナマイシンを含むMS20培地からなる選択培地MS20ZVCKに移し、グロースチャンバー内で25℃及び3000ルクス(光周期16/8時間)にて培養した。外植片は、3週間ごとに新鮮な培地に継代培養した。カルスが選択培地上に形成された場合、カルスを継代培養し、元の外植片は廃棄した。
実施例9:形質転換率の記録
3週間ごとに新鮮な培地MS20ZCVKに継代培養されたトマトのカルスは、実験の114日目からシュート分裂組織及びシュートの生成が開始された。長さが5mmを超えるシュートをカルスから採取し、MS20からなる発根培地にいずれの添加剤も加えずに移した。このように回収されたシュートの累積数を記録し(表4)、アグロバクテリウム・ツメファシエンスと接触されておらず、カナマイシン非含有培地で成長させて同様に栽培したトマトMoneyberg子葉外植片と比較した。pKG10867形質転換後にカナマイシン耐性カルスから回収されたシュートは、対照のトマト外植片から再生するシュートよりも、より速く多数出現することが明らかである。この効果は、SlyCHK2遺伝子の異所性発現に起因する。
Figure 0007460246000005

Claims (23)

  1. 植物細胞のサイトカイニン誘導性デノボシュート形成を改良する方法であって、
    (a)植物細胞におけるヒスチジンキナーゼの発現を増加又は導入するステップ
    b)(a)の植物細胞をサイトカイニン含有培地に曝露するステップ、
    (c)いくつかのシュートのデノボ形成を可能にするステップ、
    (d)デノボ形成されたシュートを切除するステップ、並びに
    (e)根形成を誘導するステップを含み、
    ヒスチジンキナーゼがCHK4及びCHK2のうちの少なくとも1つであり、前記少なくとも1つのヒスチジンキナーゼの増加又は導入された発現を有していない同一の植物細胞と比較して、デノボ形成されたシュートの数が増加している、方法。
  2. ヒスチジンキナーゼがCHK4である、請求項1に記載の方法。
  3. ヒスチジンキナーゼCHK4が、配列番号3と少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされている、並びに/又はヒスチジンキナーゼCHK2が、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされている、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ヒスチジンキナーゼCHK4のアミノ酸配列が、配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有する、並びに/又はヒスチジンキナーゼCHK2のアミノ酸配列が、配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  5. ヒスチジンキナーゼの発現が植物細胞において一過的に増加又は導入される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  6. ヒスチジンキナーゼの発現が植物細胞において連続的に増加又は導入される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  7. 植物細胞がオオムギ、キャベツ、キャノーラ、カッサバ、カリフラワー、チコリ、ワタ、キュウリ、ナス、ブドウ、トウガラシ、レタス、トウモロコシ、メロン、ナタネ、ジャガイモ、カボチャ、イネ、ライムギ、モロコシ、西洋カボチャ、サトウキビ、サトウダイコン、ヒマワリ、アマトウガラシ、トマト、スイカ、コムギ、ズッキーニ、ダイズ、キク、及びシロイヌナズナからなる群から選択される植物から得ることができる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  8. サイトカイニンがアデニン型サイトカイニンである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
  9. アデニン型サイトカイニンがキネチン、ゼアチン、トランス-ゼアチン、シス-ゼアチン、ジヒドロゼアチン、6-ベンジルアミノプリン及び2iPからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  10. 請求項1~のいずれか一項で定義した植物細胞をインキュベートするステップと、
    植物細胞を植物に再生させるステップと
    を含む、植物を再生する方法。
  11. 培地が少なくとも1つのさらなる植物ホルモンを含む、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
  12. 1つのさらなる植物ホルモンがオーキシンである、請求項1に記載の方法。
  13. 植物細胞が多細胞組織の一部である、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
  14. 多細胞組織がカルス組織、植物器官又は外植片である、請求項1に記載の方法。
  15. 外植片が胚軸外植片、茎部外植片、子葉外植片、根外植片、葉外植片、花外植片及び分裂組織のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
  16. 培地中のサイトカイニン濃度が100~3000ng/mlである、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
  17. サイトカイニン濃度が200~600ng/mlである、請求項1に記載の方法。
  18. 配列番号3と少なくとも90%の配列同一性を有する第1のヌクレオチド配列と、配列番号1と少なくとも90%の配列同一性を有する第2のヌクレオチド配列とを含む、発現構築物。
  19. CHK4ヒスチジンキナーゼをコードする第1のヌクレオチド配列と、CHK2ヒスチジンキナーゼをコードする第2のヌクレオチド配列とを含む、発現構築物。
  20. 第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つが調節エレメントに作動可能に連結されている、請求項1又は19に記載の発現構築物。
  21. 請求項1~1のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる植物又は植物部分。
  22. 植物部分が種子、果実、又は非増殖材料である、請求項2に記載の植物部分。
  23. 植物のサイトカイニン誘導性デノボシュート形成を改良するための、CHK4及び/又はCHK2ヒスチジンキナーゼ或いは請求項1~2のいずれか一項に記載の発現構築物の使用。
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