JP2004274900A - 直流昇圧装置およびエアバッグシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】低コスト化や小型化を達成しつつスイッチング素子の保護を図れる直流昇圧装置を提供する。
【解決手段】本発明の直流昇圧装置は、直流電源1と、コイル23とスイッチング素子24とコンデンサ22とダイオード21とからなる昇圧回路2と、スイッチング素子24をON/OFFさせるスイッチ駆動手段を有し昇圧回路2を制御する制御回路6とを備えた直流昇圧装置Sにおいて、前記制御回路6は、前記スイッチング素子24に印加される素子電圧V1を検出する電圧検出手段と、この素子電圧V1に基づいて昇圧回路2の異常状態を判定する異常判定手段と、昇圧回路2の異常状態が判定されたときにスイッチ駆動手段によるスイッチング素子24のON/OFF動作を停止させるスイッチ停止手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の直流昇圧装置は、直流電源1と、コイル23とスイッチング素子24とコンデンサ22とダイオード21とからなる昇圧回路2と、スイッチング素子24をON/OFFさせるスイッチ駆動手段を有し昇圧回路2を制御する制御回路6とを備えた直流昇圧装置Sにおいて、前記制御回路6は、前記スイッチング素子24に印加される素子電圧V1を検出する電圧検出手段と、この素子電圧V1に基づいて昇圧回路2の異常状態を判定する異常判定手段と、昇圧回路2の異常状態が判定されたときにスイッチ駆動手段によるスイッチング素子24のON/OFF動作を停止させるスイッチ停止手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇圧回路のスイッチイング素子等に過電流が流れるのを防止する直流昇圧装置およびこれを備えたエアバッグシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータやその周辺の電子回路等からなる電子機器は、想定外の過電圧が印加されたり過電流が流れると破壊、焼損等するため、許容電圧や許容電流が設定されている。これは、例えば、昇圧回路を備えた直流昇圧装置においてもいえることである。
【0003】
直流昇圧装置は、図3または図4に示すように、直流電源1と、この直流電源1から電源電圧が入力される昇圧回路2と、この昇圧回路を制御する制御回路6と、その昇圧回路2から昇圧された出力電圧が印加される負荷回路7とからなる。この内、昇圧回路2は、コイル(インダクタ)23と、このコイル23に流れる電流を切替えるFET等のスイッチイング素子24と、コイル23の出力側に並列接続されたコンデンサ22と、コイル23からコンデンサ22へのみ電流をダイオード21とから主になる。この昇圧回路2の場合、スイッチイング素子24をONすると、コイル23からスイッチイング素子24を介して電流が流れる。この電流によってコイル23に電磁エネルギーが蓄えられ、スイッチイング素子24をOFFした際に電磁エネルギーがダイオード21を介してコイル23からコンデンサ22側へ放出され、コンデンサ22に充電されることで昇圧される。そして、コンデンサ22から外部回路へ昇圧された出力電圧が印加される。
【0004】
ここで、例えば、コイル23の一部または全部が短絡(インダクタショートまたはインダクタレアショート)した場合、一時的にしろ、コイル23に逆起電力が生じなくなる結果、スイッチイング素子24がONすると、入力電圧がスイッチイング素子24に印加されることとなる。この結果、スイッチイング素子24には許容電圧以下の電圧が印加さるものの、過電流が流れてスイッチイング素子24は破壊され得る。
このような事態を回避するため、図3に示すように、スイッチイング素子の入力側に抵抗(シャンク抵抗)29を設けて、この抵抗29の両端電圧を検出することによって、昇圧回路の異常状態を判定していた。また、図4に示すように、その電圧検出用の抵抗に加えて、スイッチイング素子に流れる電流が一定となるように、カレントミラー回路Cを付加したものもあった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−176641号公報
【特許文献2】
特開2002−345237号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような抵抗29の配設やカレントミラー回路Cの追加は、電子機器の小型化や低コスト化が求められる昨今の要請に反する。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、昇圧回路のスイッチイング素子等に過電流が流れるのを防止しつつ、小型化や低コスト化を図れる直流昇圧装置およびこれを備えたエアバッグシステムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、従来設けていたシャンク抵抗等を廃止して、スイッチイング素子自体をシャンク抵抗等の代替とすることを思い付き、これを発展させて本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明の直流昇圧装置は、直流電源と、該直流電源に接続されたコイルと該コイルに流れる電流を高速切替するスイッチング素子と該コイルの出力側に並列接続されたコンデンサと該コイルから該コンデンサへのみ電流を流すダイオードとからなる昇圧回路と、該スイッチング素子をON/OFFさせるスイッチ駆動手段を有し該昇圧回路を制御する制御回路と、を備えた直流昇圧装置において、
前記制御回路は、前記スイッチング素子に印加される素子電圧を検出する電圧検出手段と、該検出された素子電圧に基づいて前記昇圧回路の異常状態を判定する異常判定手段と、該昇圧回路の異常状態が判定されたときに前記スイッチ駆動手段によるスイッチング素子のON/OFF動作を停止させるスイッチ停止手段と、を備えることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
本発明の場合、電圧検出手段は、スイッチング素子に印加される素子電圧を直接検出する。つまり、電圧検出用の抵抗を別途設けていない。このため、その分、直流昇圧装置の小型化や低コスト化を図れる。
検出用の抵抗を設けずに、素子電圧の検出が可能となったのは、スイッチング素子自体の抵抗を利用したためである。すなわち、スイッチング素子を流れる電流量に応じて、その両端には電位差が生じるところ、この電圧を素子電圧として検出するようにしたからである。
【0009】
なお、素子電圧の検出精度は、高精度の検出用抵抗を設けた場合に比べれば、劣る場合もあり得るが、その検出精度に応じた許容範囲(公差)を設定することで何ら問題はない。また、スイッチング素子のON/OFFの周波数を従来よりも大きくする(つまり、周期を短くする)ことで、1周期あたりにコイルに蓄えられる電磁エネルギーを小さくすると、その分、スイッチング素子に印加される素子電圧も小さくなる。これにより、上記検出精度が多少低下したとしても、スイッチング素子に過電流が流れることはほとんどない。その周波数として、例えば、従来、数十kHz程度だったものを100〜500kHz程度にすれば良い。
そして、この電圧検出手段によって検出された素子電圧に基づき、異常判定手段によって昇圧回路が異常状態であると判定された場合、スイッチ停止手段がスイッチ駆動手段によるスイッチング素子のON/OFFを停止させる。このような各手段は、制御回路中に設けたコンピュータがプログラム処理を行うことや昇圧回路の制御ブロックを構成するIC等で達成される。
【0010】
上記異常判定手段による昇圧回路の異常状態の判定方法は複数考えることができる。例えば、前記スイッチング素子のON/OFF動作に伴って生じる素子電圧の電圧変化量が所定変化量よりも小さいときに、異常判定手段は前記昇圧回路を異常状態と判定しても良い(請求項2)。
これは、スイッチング素子のON/OFFによって、正常時、素子電圧が大きく変化することに着眼して、その変化量が小さいときに異常判定を行うものである。
【0011】
この他、異常判定手段は、前記スイッチング素子がON状態にあって、前記素子電圧が所定電圧以上となったときに前記昇圧回路を異常状態と判定しても良い(請求項3)。
これは、スイッチング素子がONしているとき、昇圧回路が正常なら、素子電圧は相応の低い電圧となる。しかし、コイルの短絡等が生じている場合、スイッチング素子がON状態にあるにも拘らず、素子電圧が所定電圧以上の高い電圧となる場合がある。異常判定手段は、このような場合に異常判定を行う。
なお、この所定電圧は、例えば、スイッチング素子の許容電流とスイッチング素子の抵抗値とから算出される(請求項4)。単に許容電流と抵抗値とを掛算したものでも良いが、安全率を見込んでマージンを設けておいても良い。
【0012】
(エアバッグシステム)
本発明は、上記直流昇圧装置に限らず、これを組込んだエアバッグシステムとしても把握できる。
すなわち、本発明のエアバッグシステムは、ガスが充填されることにより展開するバッグと、該ガスを発生させるインフレータと、直流電源と、該インフレータを点火させるスクイブを有し該スクイブに点火電流を供給する点火回路と、該直流電源に接続されたコイルと該コイルに流れる電流を高速切替するスイッチング素子と該コイルの出力側に並列接続されたコンデンサと該コイルから該コンデンサへのみ電流を流すダイオードとからなる昇圧回路と、該点火回路を制御すると共に該スイッチング素子をON/OFFさせるスイッチ駆動手段を有し該昇圧回路を制御する制御回路とを備えてなり、車両の衝突時に得られる衝突信号に基づいて該制御回路が該点火回路を介して該インフレータを点火させ該バッグを展開させるエアバッグシステムにおいて、
前記制御回路は、前記スイッチング素子に印加される素子電圧を検出する電圧検出手段と、該検出された素子電圧に基づいて前記昇圧回路の異常状態を判定する異常判定手段と、該昇圧回路の異常状態が判定されたときに前記スイッチング素子のON/OFF動作を停止させるスイッチ停止手段と、を備えることを特徴とする(請求項5)。
なお、本明細書でいうスイッチング素子には、通常のトランジタス(Tr)の他、電界効果トランジスタ(FET)等が使用される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態であるエアバッグシステムSについて以下説明する。
エアバッグシステムSは、図1に示すように、車両衝突時等にガスが充填して展開するバッグ9と、このバッグ9を展開させるためのガスを発生させるインフレータ8と、このインフレータ8に着火するスクイブへ点火電流を流すか否かの制御やシステムの故障や異常等の対応をする電子制御装置(ECU)とからなる。なお、スクイブはインフレータ8と共にバッグ9内側に組込まれている。
【0014】
ECUは、バッテリ1(直流電源)を電源としてそのバッテリ電圧V0を昇圧する昇圧回路2と、この昇圧回路2によって昇圧された電圧がコンデンサ22に印加され、このコンデンサ22から電力供給されてスクイブに点火電流を供給する点火回路4と、昇圧回路2および点火回路4を制御する制御回路6とからなる。点火回路4等は周知であるので、ここでは、本発明に係る昇圧回路2および制御回路6等について詳細に説明する。
昇圧回路2は、ダイオード21と、上記コンデンサ22と、コイル23(インダクタ)と、コイル23を流れる電流を高速で切替えるFET(スイッチング素子)よりなるスイッチ24、コンデンサ25およびダイオード26〜28とからなる。
【0015】
この昇圧回路2は、イグニッションスイッチがONされると、バッテリ1からバッテリ電圧V0が入力される。そして、スイッチ24が制御回路6によって高速で切替制御されることで、バッテリ電圧V0(12〜14V)が規定の出力電圧V2(例えば、23V)まで昇圧される。
制御回路6は、バッテリ1のバッテリ電圧V0を検出してA/D変換する検出器60と、スイッチ24に印加されるスイッチ電圧V1(素子電圧)を検出してA/D変換する検出器61と、ダイオード21以降の出力電圧V2を検出してA/D変換する検出器62と、スイッチ24等を駆動する基本波を発生する発振器63と、これらから得られた各種入力信号に基づき、スイッチ24のON/OFF制御(PWM制御)するコンピュータ64とからなる。検出器61は本発明でいう電圧検出手段に相当し、本発明でいう異常判定手段およびスイッチ駆動手段およびスイッチ停止手段はコンピュータ64によって構成される。
【0016】
次に、このエアバッグシステムSの昇圧回路2を作動させたときの、スイッチ24のON/OFFと、上記スイッチ電圧V1と、出力電圧V2およびスイッチ24に流れるスイッチ電流Iのタイムチャートの一例を図2に示した。
ここで昇圧回路2が正常なとき、スイッチ24をONすると、コイル23からスイッチ24へ電流が流れる。これにより、スイッチ電圧V1が急減し、スイッチ電流Iは一定の割合で増加していく。そして、本実施形態では、スイッチ電流Iが許容電流Ioを超える手前でスイッチ24がOFFされるように、スイッチ24はPWM制御されている(スイッチ駆動手段)。スイッチ24がOFFされると、当然にスイッチ24を流れる電流は無くなり(つまり、スイッチ電流I=0)となり、スイッチ電圧V1は急増する。このような動作を繰返すことで、出力電圧V2は図2のように、一定範囲に昇圧される。
【0017】
ところで、図2の中央右寄りに示すように、例えば、コイル23の一部が短絡(レアショート)した場合、スイッチ24をONした際のスイッチ電圧V1の電圧変化量は小さくなる。コンピュータ64は、この電圧変化量の変動幅によって、昇圧回路2の異常状態を判定する(異常判定手段)。そして、この変動幅が所定値よりも小さくなると、これまでPWM制御していたスイッチ24の駆動を停止させる(スイッチ停止手段)。なお、コンピュータ64は、スイッチ24をONした際のスイッチ電圧V1の下限値をモニタして、その下限値が所定値以上となったときに上記のような異常判定を行っても良い。さらには、スイッチ24がONしている際に、スイッチ電圧V1がFETの許容電圧Vo(所定電圧)以上となったときに上記のような異常判定を行っても良い。なお、この許容電圧Voは、許容電流Ioとスイッチ24の抵抗値Rとの積により求めた。
【0018】
ここでは、昇圧回路2の異常検出がされた場合に、一律にスイッチ24のON/OFFを停止させることとしたが、図2に示すレアショートのような場合、昇圧目標電圧が得られ、かつ、スイッチ24に過電流が流れない範囲で、スイッチ24のON時間を短縮して対応することも可能である(ON時間短縮手段)。
もっとも、図2の右端側に示すように、コイル23の全体が短絡したような場合、スイッチ24には、許容電流Ioを超える過電流が当初より流れるため、スイッチ24のON/OFFを一律に停止させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるエアバッグシステムの要部回路図である。
【図2】そのタイムチャートである。
【図3】従来の直流昇圧装置の要部回路図である。
【図4】従来の直流昇圧装置の要部回路図である。
【符号の説明】
1 バッテリ(直流電源)
2 昇圧回路
24 スイッチ(スイッチング素子)
4 点火回路
6 制御回路
61 検出器(電圧検出手段)
62 コンピュータ
V1 スイッチ電圧(素子電圧)
V2 出力電圧
S エアバッグシステム(直流昇圧装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇圧回路のスイッチイング素子等に過電流が流れるのを防止する直流昇圧装置およびこれを備えたエアバッグシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータやその周辺の電子回路等からなる電子機器は、想定外の過電圧が印加されたり過電流が流れると破壊、焼損等するため、許容電圧や許容電流が設定されている。これは、例えば、昇圧回路を備えた直流昇圧装置においてもいえることである。
【0003】
直流昇圧装置は、図3または図4に示すように、直流電源1と、この直流電源1から電源電圧が入力される昇圧回路2と、この昇圧回路を制御する制御回路6と、その昇圧回路2から昇圧された出力電圧が印加される負荷回路7とからなる。この内、昇圧回路2は、コイル(インダクタ)23と、このコイル23に流れる電流を切替えるFET等のスイッチイング素子24と、コイル23の出力側に並列接続されたコンデンサ22と、コイル23からコンデンサ22へのみ電流をダイオード21とから主になる。この昇圧回路2の場合、スイッチイング素子24をONすると、コイル23からスイッチイング素子24を介して電流が流れる。この電流によってコイル23に電磁エネルギーが蓄えられ、スイッチイング素子24をOFFした際に電磁エネルギーがダイオード21を介してコイル23からコンデンサ22側へ放出され、コンデンサ22に充電されることで昇圧される。そして、コンデンサ22から外部回路へ昇圧された出力電圧が印加される。
【0004】
ここで、例えば、コイル23の一部または全部が短絡(インダクタショートまたはインダクタレアショート)した場合、一時的にしろ、コイル23に逆起電力が生じなくなる結果、スイッチイング素子24がONすると、入力電圧がスイッチイング素子24に印加されることとなる。この結果、スイッチイング素子24には許容電圧以下の電圧が印加さるものの、過電流が流れてスイッチイング素子24は破壊され得る。
このような事態を回避するため、図3に示すように、スイッチイング素子の入力側に抵抗(シャンク抵抗)29を設けて、この抵抗29の両端電圧を検出することによって、昇圧回路の異常状態を判定していた。また、図4に示すように、その電圧検出用の抵抗に加えて、スイッチイング素子に流れる電流が一定となるように、カレントミラー回路Cを付加したものもあった。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−176641号公報
【特許文献2】
特開2002−345237号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような抵抗29の配設やカレントミラー回路Cの追加は、電子機器の小型化や低コスト化が求められる昨今の要請に反する。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、昇圧回路のスイッチイング素子等に過電流が流れるのを防止しつつ、小型化や低コスト化を図れる直流昇圧装置およびこれを備えたエアバッグシステムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、従来設けていたシャンク抵抗等を廃止して、スイッチイング素子自体をシャンク抵抗等の代替とすることを思い付き、これを発展させて本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明の直流昇圧装置は、直流電源と、該直流電源に接続されたコイルと該コイルに流れる電流を高速切替するスイッチング素子と該コイルの出力側に並列接続されたコンデンサと該コイルから該コンデンサへのみ電流を流すダイオードとからなる昇圧回路と、該スイッチング素子をON/OFFさせるスイッチ駆動手段を有し該昇圧回路を制御する制御回路と、を備えた直流昇圧装置において、
前記制御回路は、前記スイッチング素子に印加される素子電圧を検出する電圧検出手段と、該検出された素子電圧に基づいて前記昇圧回路の異常状態を判定する異常判定手段と、該昇圧回路の異常状態が判定されたときに前記スイッチ駆動手段によるスイッチング素子のON/OFF動作を停止させるスイッチ停止手段と、を備えることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
本発明の場合、電圧検出手段は、スイッチング素子に印加される素子電圧を直接検出する。つまり、電圧検出用の抵抗を別途設けていない。このため、その分、直流昇圧装置の小型化や低コスト化を図れる。
検出用の抵抗を設けずに、素子電圧の検出が可能となったのは、スイッチング素子自体の抵抗を利用したためである。すなわち、スイッチング素子を流れる電流量に応じて、その両端には電位差が生じるところ、この電圧を素子電圧として検出するようにしたからである。
【0009】
なお、素子電圧の検出精度は、高精度の検出用抵抗を設けた場合に比べれば、劣る場合もあり得るが、その検出精度に応じた許容範囲(公差)を設定することで何ら問題はない。また、スイッチング素子のON/OFFの周波数を従来よりも大きくする(つまり、周期を短くする)ことで、1周期あたりにコイルに蓄えられる電磁エネルギーを小さくすると、その分、スイッチング素子に印加される素子電圧も小さくなる。これにより、上記検出精度が多少低下したとしても、スイッチング素子に過電流が流れることはほとんどない。その周波数として、例えば、従来、数十kHz程度だったものを100〜500kHz程度にすれば良い。
そして、この電圧検出手段によって検出された素子電圧に基づき、異常判定手段によって昇圧回路が異常状態であると判定された場合、スイッチ停止手段がスイッチ駆動手段によるスイッチング素子のON/OFFを停止させる。このような各手段は、制御回路中に設けたコンピュータがプログラム処理を行うことや昇圧回路の制御ブロックを構成するIC等で達成される。
【0010】
上記異常判定手段による昇圧回路の異常状態の判定方法は複数考えることができる。例えば、前記スイッチング素子のON/OFF動作に伴って生じる素子電圧の電圧変化量が所定変化量よりも小さいときに、異常判定手段は前記昇圧回路を異常状態と判定しても良い(請求項2)。
これは、スイッチング素子のON/OFFによって、正常時、素子電圧が大きく変化することに着眼して、その変化量が小さいときに異常判定を行うものである。
【0011】
この他、異常判定手段は、前記スイッチング素子がON状態にあって、前記素子電圧が所定電圧以上となったときに前記昇圧回路を異常状態と判定しても良い(請求項3)。
これは、スイッチング素子がONしているとき、昇圧回路が正常なら、素子電圧は相応の低い電圧となる。しかし、コイルの短絡等が生じている場合、スイッチング素子がON状態にあるにも拘らず、素子電圧が所定電圧以上の高い電圧となる場合がある。異常判定手段は、このような場合に異常判定を行う。
なお、この所定電圧は、例えば、スイッチング素子の許容電流とスイッチング素子の抵抗値とから算出される(請求項4)。単に許容電流と抵抗値とを掛算したものでも良いが、安全率を見込んでマージンを設けておいても良い。
【0012】
(エアバッグシステム)
本発明は、上記直流昇圧装置に限らず、これを組込んだエアバッグシステムとしても把握できる。
すなわち、本発明のエアバッグシステムは、ガスが充填されることにより展開するバッグと、該ガスを発生させるインフレータと、直流電源と、該インフレータを点火させるスクイブを有し該スクイブに点火電流を供給する点火回路と、該直流電源に接続されたコイルと該コイルに流れる電流を高速切替するスイッチング素子と該コイルの出力側に並列接続されたコンデンサと該コイルから該コンデンサへのみ電流を流すダイオードとからなる昇圧回路と、該点火回路を制御すると共に該スイッチング素子をON/OFFさせるスイッチ駆動手段を有し該昇圧回路を制御する制御回路とを備えてなり、車両の衝突時に得られる衝突信号に基づいて該制御回路が該点火回路を介して該インフレータを点火させ該バッグを展開させるエアバッグシステムにおいて、
前記制御回路は、前記スイッチング素子に印加される素子電圧を検出する電圧検出手段と、該検出された素子電圧に基づいて前記昇圧回路の異常状態を判定する異常判定手段と、該昇圧回路の異常状態が判定されたときに前記スイッチング素子のON/OFF動作を停止させるスイッチ停止手段と、を備えることを特徴とする(請求項5)。
なお、本明細書でいうスイッチング素子には、通常のトランジタス(Tr)の他、電界効果トランジスタ(FET)等が使用される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態であるエアバッグシステムSについて以下説明する。
エアバッグシステムSは、図1に示すように、車両衝突時等にガスが充填して展開するバッグ9と、このバッグ9を展開させるためのガスを発生させるインフレータ8と、このインフレータ8に着火するスクイブへ点火電流を流すか否かの制御やシステムの故障や異常等の対応をする電子制御装置(ECU)とからなる。なお、スクイブはインフレータ8と共にバッグ9内側に組込まれている。
【0014】
ECUは、バッテリ1(直流電源)を電源としてそのバッテリ電圧V0を昇圧する昇圧回路2と、この昇圧回路2によって昇圧された電圧がコンデンサ22に印加され、このコンデンサ22から電力供給されてスクイブに点火電流を供給する点火回路4と、昇圧回路2および点火回路4を制御する制御回路6とからなる。点火回路4等は周知であるので、ここでは、本発明に係る昇圧回路2および制御回路6等について詳細に説明する。
昇圧回路2は、ダイオード21と、上記コンデンサ22と、コイル23(インダクタ)と、コイル23を流れる電流を高速で切替えるFET(スイッチング素子)よりなるスイッチ24、コンデンサ25およびダイオード26〜28とからなる。
【0015】
この昇圧回路2は、イグニッションスイッチがONされると、バッテリ1からバッテリ電圧V0が入力される。そして、スイッチ24が制御回路6によって高速で切替制御されることで、バッテリ電圧V0(12〜14V)が規定の出力電圧V2(例えば、23V)まで昇圧される。
制御回路6は、バッテリ1のバッテリ電圧V0を検出してA/D変換する検出器60と、スイッチ24に印加されるスイッチ電圧V1(素子電圧)を検出してA/D変換する検出器61と、ダイオード21以降の出力電圧V2を検出してA/D変換する検出器62と、スイッチ24等を駆動する基本波を発生する発振器63と、これらから得られた各種入力信号に基づき、スイッチ24のON/OFF制御(PWM制御)するコンピュータ64とからなる。検出器61は本発明でいう電圧検出手段に相当し、本発明でいう異常判定手段およびスイッチ駆動手段およびスイッチ停止手段はコンピュータ64によって構成される。
【0016】
次に、このエアバッグシステムSの昇圧回路2を作動させたときの、スイッチ24のON/OFFと、上記スイッチ電圧V1と、出力電圧V2およびスイッチ24に流れるスイッチ電流Iのタイムチャートの一例を図2に示した。
ここで昇圧回路2が正常なとき、スイッチ24をONすると、コイル23からスイッチ24へ電流が流れる。これにより、スイッチ電圧V1が急減し、スイッチ電流Iは一定の割合で増加していく。そして、本実施形態では、スイッチ電流Iが許容電流Ioを超える手前でスイッチ24がOFFされるように、スイッチ24はPWM制御されている(スイッチ駆動手段)。スイッチ24がOFFされると、当然にスイッチ24を流れる電流は無くなり(つまり、スイッチ電流I=0)となり、スイッチ電圧V1は急増する。このような動作を繰返すことで、出力電圧V2は図2のように、一定範囲に昇圧される。
【0017】
ところで、図2の中央右寄りに示すように、例えば、コイル23の一部が短絡(レアショート)した場合、スイッチ24をONした際のスイッチ電圧V1の電圧変化量は小さくなる。コンピュータ64は、この電圧変化量の変動幅によって、昇圧回路2の異常状態を判定する(異常判定手段)。そして、この変動幅が所定値よりも小さくなると、これまでPWM制御していたスイッチ24の駆動を停止させる(スイッチ停止手段)。なお、コンピュータ64は、スイッチ24をONした際のスイッチ電圧V1の下限値をモニタして、その下限値が所定値以上となったときに上記のような異常判定を行っても良い。さらには、スイッチ24がONしている際に、スイッチ電圧V1がFETの許容電圧Vo(所定電圧)以上となったときに上記のような異常判定を行っても良い。なお、この許容電圧Voは、許容電流Ioとスイッチ24の抵抗値Rとの積により求めた。
【0018】
ここでは、昇圧回路2の異常検出がされた場合に、一律にスイッチ24のON/OFFを停止させることとしたが、図2に示すレアショートのような場合、昇圧目標電圧が得られ、かつ、スイッチ24に過電流が流れない範囲で、スイッチ24のON時間を短縮して対応することも可能である(ON時間短縮手段)。
もっとも、図2の右端側に示すように、コイル23の全体が短絡したような場合、スイッチ24には、許容電流Ioを超える過電流が当初より流れるため、スイッチ24のON/OFFを一律に停止させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるエアバッグシステムの要部回路図である。
【図2】そのタイムチャートである。
【図3】従来の直流昇圧装置の要部回路図である。
【図4】従来の直流昇圧装置の要部回路図である。
【符号の説明】
1 バッテリ(直流電源)
2 昇圧回路
24 スイッチ(スイッチング素子)
4 点火回路
6 制御回路
61 検出器(電圧検出手段)
62 コンピュータ
V1 スイッチ電圧(素子電圧)
V2 出力電圧
S エアバッグシステム(直流昇圧装置)
Claims (5)
- 直流電源と、
該直流電源に接続されたコイルと該コイルに流れる電流を高速切替するスイッチング素子と該コイルの出力側に並列接続されたコンデンサと該コイルから該コンデンサへのみ電流を流すダイオードとからなる昇圧回路と、
該スイッチング素子をON/OFFさせるスイッチ駆動手段を有し該昇圧回路を制御する制御回路と、を備えた直流昇圧装置において、
前記制御回路は、前記スイッチング素子に印加される素子電圧を検出する電圧検出手段と、
該検出された素子電圧に基づいて前記昇圧回路の異常状態を判定する異常判定手段と、
該昇圧回路の異常状態が判定されたときに前記スイッチ駆動手段によるスイッチング素子のON/OFF動作を停止させるスイッチ停止手段と、
を備えることを特徴とする直流昇圧装置。 - 前記異常判定手段は、前記スイッチング素子のON/OFF動作に伴って生じる前記素子電圧の電圧変化量が所定変化量よりも小さいときに前記昇圧回路を異常状態と判定する請求項1に記載の直流昇圧装置。
- 前記異常判定手段は、前記スイッチング素子がON状態にあり、前記素子電圧が所定電圧以上となったときに前記昇圧回路を異常状態と判定する請求項1に記載の直流昇圧装置。
- 前記所定電圧は、前記スイッチング素子の許容電流と該スイッチング素子の抵抗値とから算出されたものである請求項3に記載の直流昇圧装置。
- ガスが充填されることにより展開するバッグと、
該ガスを発生させるインフレータと、
直流電源と、
該インフレータを点火させるスクイブを有し該スクイブに点火電流を供給する点火回路と、
該直流電源に接続されたコイルと該コイルに流れる電流を高速切替するスイッチング素子と該コイルの出力側に並列接続されたコンデンサと該コイルから該コンデンサへのみ電流を流すダイオードとからなる昇圧回路と、
該点火回路を制御すると共に該スイッチング素子をON/OFFさせるスイッチ駆動手段を有し該昇圧回路を制御する制御回路とを備えてなり、
車両の衝突時に得られる衝突信号に基づいて該制御回路が該点火回路を介して該インフレータを点火させ該バッグを展開させるエアバッグシステムにおいて、
前記制御回路は、
前記スイッチング素子に印加される素子電圧を検出する電圧検出手段と、
該検出された素子電圧に基づいて前記昇圧回路の異常状態を判定する異常判定手段と、
該昇圧回路の異常状態が判定されたときに前記スイッチング素子のON/OFF動作を停止させるスイッチ停止手段と、
を備えることを特徴とするエアバッグシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003063118A JP2004274900A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 直流昇圧装置およびエアバッグシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003063118A JP2004274900A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 直流昇圧装置およびエアバッグシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004274900A true JP2004274900A (ja) | 2004-09-30 |
Family
ID=33124785
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003063118A Pending JP2004274900A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 直流昇圧装置およびエアバッグシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004274900A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008079448A (ja) * | 2006-09-22 | 2008-04-03 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 昇圧電源装置 |
JP2012120415A (ja) * | 2010-12-03 | 2012-06-21 | Omron Corp | 短絡検出装置、昇圧装置、太陽光発電システム、短絡検出方法、およびプログラム |
-
2003
- 2003-03-10 JP JP2003063118A patent/JP2004274900A/ja active Pending
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JP2012120415A (ja) * | 2010-12-03 | 2012-06-21 | Omron Corp | 短絡検出装置、昇圧装置、太陽光発電システム、短絡検出方法、およびプログラム |
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