JP2004274439A - フィードフォワード回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】歪成分を最小とするフィードフォワード自動制御の過程で得られた検波電圧の最適点における制御電圧が収束(安定)状態になったときに過去の検波電圧(pM)と現在の検波電圧(nM)の履歴情報からその差分が小さい時には収束後の制御電圧を固定してベクトル調整器送り、安定した制御電圧を送り続ける。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歪補償機能を備えたフィードフォワード回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信システムでは、音声データだけでなく静止画や動画などの大容量データの送受信が求められている。このような通信システムで用いられる増幅器は、多数のキャリアを同時に増幅するマルチキャリア増幅器が用いられる。マルチキャリア増幅器には、隣接チャネル漏洩電力を押さえる必要があり、低歪な性能が要求される。この低歪な性能を実現する増幅器において、従来から利用されているフィードフォワード歪補償制御では、歪抽出回路と歪除去回路から得られた信号に基づく制御電圧によりベクトル調整器内の減衰器や位相器の振幅と位相を制御することで、出力信号の歪補償を行ってきた。
【0003】
例えば特開平8−56124号公報図1には従来のフィードフォワード回路のブロック図が記載されている。1は方向性結合器、2はベクトル調整器、3は主増幅器、4は方向性結合器、5,6は遅延線、7はベクトル調整器、8は補助増幅器、9は方向性結合器、10は増幅器、11はパイロット信号発生器、12は検波器、13は受信器、14は制御回路、15,16はA/D変換器、17,18はD/A変換器、である。
【0004】
次に動作について説明する。上記フィードフォワード回路では主増幅器3で増幅した時に生じる出力信号の歪成分を除去するため、入力信号をベクトル調整器2を介して主増幅器3で増幅した歪成分を含む信号と入力信号を遅延線5に通した逆位相の信号とを合成することで歪成分を検出する歪検出ループを有する。また歪検出ループから得られた歪成分のみの信号をベクトル調整器7と補助増幅器8で得た信号を主増幅器3で増幅し遅延線6を通して逆位相で合成し歪を除去する歪除去ループを有する。そして検波器12で得られた検波出力や受信機13でパイロット信号を制御回路14に入力し、ベクトル調整器2を自動調整し歪を補償する。また、特開平8−56124号公報図2には歪補償の最適点を決定するための時間短縮方法として検出値の検出順序が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−56124号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−56124号公報に記載のフィードフォワード制御で行われている具体的制御を図6に示すフローチャートで説明する。図において歪抽出回路(歪検出ループ)と歪除去回路(歪除去ループ)で得られた検波電圧の情報でベクトル調整器内の位相器調整、減衰器の調整を行う。まず、掃引中心とステップを設定し、制御電圧を設定し、検波電圧を取得する。検波電圧の最適点に対して別の掃引中心とステップを決め収束判定する(検波電圧の最小点を知る)。
【0007】
しかし、この回路では検波電圧を最小にする制御電圧を設定するが制御電圧が収束状態になった後も常にフィードフォワード自動制御を行っている。すなわち制御電圧は検波電圧の最小となる最適点で同一制御電圧で維持しているにも係わらず駆動を継続している。これは入力電力量や、マルチキャリアによる周波数の変動、また温度などの環境条件の変化による最適点の変化に追従するためであるが、常に制御電圧を変化させて検波電圧の最小点を探索する動作のため、制御電圧が最適値にあってもさらに最適点を探索する。特に最適点が複数個あった場合には、その間で制御電圧は往復動作を行う場合もある。これは例えば多数のキャリアがあった場合には本来各周波数に対して最適な検波電圧は異なるものであり、入力電力量や無入力期間の相違、また搭載機器の周囲温度環境によっても生じる。
【0008】
図7は通常の多重通信による各チャンネル間のスプリアス強度に基づく歪の抑圧量を示したものである。図では抑圧量の下限値は複数にまたがっている。また下限値は同程度の抑圧量となっている。これはフィードフォワード回路の主増幅器や補助増幅器の増幅量の非直線性の影響による要因もあるが、遅延線(遅延器)やベクトル調整器などの中心周波数の設計に係わる要因が大きい。すなわち遅延器やベクトル調整器はマイクロストリップラインの半波長もしくは1/4波長設計ラインなどがあり設計周波数は一義的であり、性能としては狭帯域によるためである。
【0009】
上記で述べた現象はベクトル調整器で調整する検波電圧と制御電圧との関係にも当てはまる。図8はベクトル調整器に入力すべき制御電圧と検波電圧との関係を示すものである。図8ではフィードフォワード回路で得られた検波電圧は検波電圧の最小点と判断できる点は複数個あることがわかる。従って任意の一点を最適点と判断して最適制御電圧とするとこの制御電圧は各々のベクトル調整器の最適制御電圧とは限らない。このような場合には例えばフィードフォワード回路に搭載している主増幅器の出力の周波数特性を観測した場合、図9に示すように正規の多重波形と歪によるそれらのスプリアス波形とが交互に観測される場合がある。これを歪のゆらぎと呼び、このような波形があるとフィードフォワード回路の性能を維持できなくなる。
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解消することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明に係わるフィードフォワード回路は、増幅器で増幅した出力信号の歪成分を除去するため、入力信号を第1ベクトル調整器を介して主増幅器で増幅した歪成分を含む信号と入力信号を遅延器に通した逆位相の信号と合成し、歪成分を抽出する歪抽出回路を有する。また歪抽出回路から得られた歪成分のみの信号を第2ベクトル調整器と補助増幅器を介して主増幅器で増幅した信号と逆位相で合成し歪を除去する歪除去回路を有する。歪抽出ループ制御手段では、抽出した信号の検波レベルが最小になるように第1ベクトル調整器の位相量および減衰量を調整する。
【0012】
また歪除去ループ制御手段では、主増幅器の前でパイロット信号を入力し、歪除去回路で抽出したパイロット信号の検波レベルが最小になるように第2ベクトル調整器の減衰量および位相量を調整する。
【0013】
次に第1ベクトル調整器および第2ベクトル調整器を自動で制御を行うため検波電圧をAD変換しディジタル信号に変換しCPUに入力する。CPUでの演算結果をDA変換しアナログ信号に変換し制御電圧として出力する。
【0014】
次に歪成分を最小とする制御電圧が継続した場合、歪抽出ループ制御手段及び歪除去ループ制御手段で一定時間制御電圧を同一電圧に固定する。これを各ベクトル調整器の位相器および減衰器のそれぞれに対して行う。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明におけるフィードフォーワード制御の実施形態を図1に示す。
図1において101は基地局送信機の高周波入力信号の入力端子、102は入力端子101からの高周波入力信号の電力を調整する入力レベル調整器、103は第1分配器、104は高周波入力信号の位相と電力を調整する第1ベクトル調整器、105は遅延器、107は高周波入力信号に重畳されるかもしくは帯域外に設定されたパイロット信号の入力端子、108は結合器、109は第1の結合器、110は高周波入力信号を増幅する主増幅器、111は第3分配器、112は高周波入力信号の歪成分の位相と電力を調整する第2ベクトル調整器、113は第2分配器、114は遅延器、115は歪成分を増幅する補助増幅器、117は第2の結合器、118は第4分配器、119はパイロット信号抽出端子、120は歪成分が除去された高周波信号を出力する出力端子、130は第5分配器、140は高周波入力信号を実効値に変換する入力信号検波器である。
【0016】
160はCPU、演算処理回路、揮発性メモリ(RAM)および不揮発性メモリ(ROM)を含む歪抽出ループ制御手段であり、検波器、A/D変換器、D/A変換器とそれらの入出力端子も含まれる。170はCPU、演算処理回路、揮発性メモリ(RAM)および不揮発性メモリ(ROM)を含む歪除去ループ制御手段であり、受信・検波器、A/D変換器、D/A変換器とそれらの入出力端子も含まれる。
【0017】
次に動作について説明する。図1において入力端子101から入力された信号は、入力レベル調整器102を介して第1分配器103で分配され第1ベクトル調整器104で位相と振幅を調整した後、主増幅器110にて信号が増幅される。分配器103で分配されたもう一方の信号は、遅延器105でタイミング遅延させた後、主増幅器110で増幅された信号と逆位相で第1の結合器109で結合される。これにより抽出された増幅器出力信号の歪成分を分配器111で分配し、一方は歪抽出ループ制御手段160で検波レベルとして利用し他方は第2ベクトル調整器112に入力する。
【0018】
そして第2ベクトル調整器112で位相と振幅を調整した後、補助増幅器115で増幅し、この信号と、主増幅器110にて増幅した信号を遅延器114でタイミング遅延させた信号とを第2の結合器117で結合し入力信号から歪成分を除去する。歪除去ループ制御手段170では、パイロット信号抽出端子119の信号を歪除去ループ制御手段170に設けられた受信機と検波器で検波レベルが最小になるように第2ベクトル調整器112を調整する。検波器としては高周波用パワーレベル検出ICなどが適当である。また、ダイオードとRC積分回路を組込んだバッファ回路を介してアナログ検波信号として取り出しても良い。その後、最終的に増幅された低歪信号を出力端子120より得る。
【0019】
なお上記フィードフォワード制御においては第1ベクトル調整器104および第2ベクトル調整器112を自動で制御を行う場合、図2に示すようにパイロット信号抽出端子119からの出力電圧を歪除去ループ制御手段170で検波後AD変換し、ディジタル信号に変換しCPUに入力する。CPUでの演算結果をDA変換しアナログ信号に変換し制御電圧として第2ベクトル調整器112に出力する。
【0020】
また入力信号のうち第1分配器103で分岐された一部の入力信号をさらに第5分配器130で分岐し入力信号検波器140を介して歪抽出ループ制御手段160と歪除去ループ制御手段170の両方に入力信号の検波電圧を入力し、歪抽出ループ制御手段160と歪除去ループ制御手段170のそれぞれでAD変換し、パイロット信号入力端子119からの検波電圧を処理したのと同等の手段で第1ベクトル調整器104および第2ベクトル調整器112への制御電圧をそれぞれ決定する。なお検波電圧の情報はRAMを介して検波電圧モニタ手段に送られ、検波電圧やその変化量、また制御電圧やその変化量を計算し、検波電圧の変動に対する履歴情報としてCPUの演算処理に活用される。
【0021】
次に制御電圧が収束した時点で制御電圧を収束後の制御電圧を固定し、維持する。収束が解除された場合にはフィードフォワード自動制御を再開する。
【0022】
図3に本実施の形態に係るフィードフォワード自動制御のフローチャートを示す。図において入力信号に応じて歪抽出回路と歪除去回路における自動制御にて第1ベクトル調整器104および第2ベクトル調整器112の位相量調整、減衰量調整を行う。第1ベクトル調整器104の位相量調整に関しては初期の制御電圧を設定しそれを複数の制御電圧に対して決められたステップ数で掃引(変化)させてその時の各々の検波電圧を取得する。そしてこの動作を繰り返す。
【0023】
検波電圧はその電圧が最小となる制御電圧を求めるのでさらに最小となった検波電圧の制御電圧を掃引中心として制御電圧を変化させて継続して検波電圧の取得を行う動作を繰り返す。掃引中心が端点でない場合はさらに掃引ステップを小さくしていく。掃引ステップが規定値以下のとき収束した、すなわち最小検波電圧と判定する。次に制御電圧が収束した時点で検波電圧の変化量(pM−nM)の測定に入る。これは歪抽出ループ制御手段160や歪除去ループ制御手段170に入力される検波電圧を毎時モニタし、CPUで過去の検波電圧の精測値(pM)と比較し、比較値が規定値以下の時はその時の制御電圧を継続させ、次回のフィードフォワード自動制御の再開まで維持する。
【0024】
なお、検波電圧の初期値設定は大きな値とし、複数回フィードフォワード自動制御を行ってから検波電圧の変化量(pM−nM)の判定に入る。図3で掃引中心とステップの設定の前段階に収束判定を行っているのは、フィードフォワード回路の電源投入直後のフィードフォワード自動制御の初回制御ループの不安定動作時は収束されないことを前提にしている。また、フィードフォワード自動制御の再開時の動作開始時の状況下でも適用される。以上から収束後の検波電圧の変化量が規定値以下の場合には次回から収束が継続される限り掃引ステップや制御電圧の設定は行われず、制御電圧は固定状態で継続される。
【0025】
通常、フィードフォワード自動制御では、1回の歪抽出ループと歪除去ループの処理時間の合計は約200mS程度の高速処理である。そして、フィードフォワード自動制御での収束状態が始まると以後も収束状態は継続することが予期される。検波電圧の最適点の変化は周波数の変更や、高周波における無期間入力の変更や、環境条件例えば温度環境などの外部要因によって生じる場合が多い。従って一端収束した状態で維持続けた制御電圧の次回の再開は数秒程度とすることで再開までの間は高速処理を必要としないので安定した制御電圧の供給が可能となる。本実施例では3〜5秒程度の制御電圧の固定時間をCPUのプログラムソフトに組み込むことで結果、出力の歪のゆらぎは大きく改善される。特に類似の検波電圧の最適点が複数個存在する場合には検波電圧の探索動作を行わないので大きな効果を奏する。
【0026】
なお、本実施例では制御電圧は第1ベクトル調整器104の位相器および減衰器の制御値、第2ベクトル調整器112の位相器および減衰器の制御値の合計4値が存在する。第1ベクトル調整器104の位相器、減衰器の制御電圧をそれぞれX1P、X1Aとし第2ベクトル調整器112の位相器、減衰器の制御電圧をそれぞれX2P、X2AとするとX1P、X1A、X2PおよびX2Aの制御電圧が独立して存在する。また、X1PおよびX1Aを決定する検波情報は歪抽出回路の歪成分の検波電圧であり、入力の検波電圧である。またX2PおよびX2Aを決定する検波情報はパイロット信号の検波電圧と入力の検波電圧である。
【0027】
これらの検波電圧は図2に示すように歪抽出ループ制御手段160及び歪除去ループ制御手段170のCPUの演算処理部分のRAMにそれらの情報が収納され、フィードフォワード自動制御中の検波電圧のReal情報として検波電圧モニタ手段に送られる。また、任意のベクトル調整器が制御電圧の収束状態であっても継続される。検波電圧モニタ手段ではこれらの検波電圧値の変化量を毎時、履歴として検波電圧の変動を監視し、フィードフォワード自動制御の再開を指示する。これはプログラムソフトで決めた制御電圧の固定時間(3〜5秒に設定)以内に大きな検波電圧の変動が有った場合にはフィードフォワード自動制御は再開されるが、加えて強制的に再開させるためである。この場合はCPUはフィードフォワード自動制御の初期状態の設定を指示する。
【0028】
また、本実施例では一端収束した状態で維持続けた制御電圧の次回の再開は数秒後としたが、帯域周波数の制限された入力信号や連続波だけの通信方式などの限られた用途では維持続けた制御電圧の再開を設定する必要性は少ない。すなわち各々のベクトル調整器が収束状態であると言うことは安定した状態でもあるため、この動作をプログラムタイマやハード的に設けたタイマ回路などでリセットさせ強制的にフィードフォワードの自動制御を再開させる必要性は無い。その場合でも検波電圧モニタ手段は常時、検波電圧の変動量を監視しているので大きな検波電圧の変動があればフィードフォワード自動制御を強制的に再開させることができる。この場合の検波電圧モニタ手段は、検波電圧の変動量と制御電圧の収束状態に不整合があった場合などを想定して強制的に再開する役目となり、フィードフォワード自動制御の系全体としての安定動作を確保するための効果がある。
【0029】
実施の形態2.
実施例1ではX1P、X1A、X2P、X2Aの任意の1個のベクトル調整器(調整器)の位相器と減衰器に対して説明したが本実施の形態2では上記4個の調整器の関係とそれらの制御について説明する。個々の調整器の検波情報は図2に示すようにCPUの演算処理回路のRAMに格納され、各々の調整器の検波情報履歴は一連のフィードフォワード回路の高速処理動作中に蓄積されていく。この場合、高速処理により、検波電圧の探索が行われるが検波電圧の最適値が複数個ある場合には制御電圧はその間の異なる電圧を往復するように動作する。このような場合はどちらも最適値であるから無駄な動作になる場合が多い。また、このような場合には前述のように歪のゆらぎが発生する場合がある。
【0030】
そこで安定したフィードフォワード自動制御がほぼ確立された時点で本実施例では4個の調整器のうち1個の調整器が収束状態の時、他のすべての調整器の収束状態を判別し他のすべての調整器が収束状態の場合には、収束後の制御電圧と同一の固定電圧を継続して送り続ける。
【0031】
図4は他のベクトル調整器と当該ベクトル調整器との関係を示したもので例えば、当該ベクトル調整器の制御電圧が収束状態になった時に他のベクトル調整器の制御電圧の収束状態を判別し、他のすべてのベクトル調整器の位相器および減衰器の制御電圧が収束状態になっている場合、安定状態と見なして当該ベクトル調整器の制御電圧を固定する。安定状態に入ると順次、各々のベクトル調整器の位相器と減衰器にはそれぞれの収束後の固定された制御電圧を継続させる。
【0032】
なお、本実施例ではすべての調整器が収束した時点ですべての調整器の収束後の制御電圧を固定したが、帯域周波数の制限された入力信号や連続波だけの通信方式などの限られた用途では不安定なベクトル調整器に限り、制御電圧の収束条件を適用しても良い。すなわち、前もって安定したベクトル調整器に対しては収束判定から除外しておき、不安定なベクトル調整器同士が収束した時点で安定しているベクトル調整器の制御電圧を強制的に固定しても良い。または、そのままフィードフォワード自動制御を継続させても良い。
【0033】
以上から各々のベクトル調整器の位相器と減衰器の収束状態の情報管理を行うことにより出力の歪のゆらぎは改善される。特に類似の検波電圧の最適点が複数個存在する場合には検波電圧の探索動作を行わないので大きな効果を奏する。
【0034】
実施の形態3.
実施例1及び実施例2が検波電圧の変化量や他のベクトル調整器の制御電圧の収束状態を基準に制御電圧の固定を図ったのに対して、図5は各々のベクトル調整器に対してプログラムによる停止タイマを設け、制御電圧が収束した時点から収束カウンタで収束回数をカウントさせる。カウント数が規定値以上の調整器に対して停止タイマを作動させ、固定電圧をベクトル調整器に供給するものである。通常、タイマの設定は数秒であり、その後強制的にリセットされて、初期状態からの計数が始まる。制御電圧が収束されていない状態では収束カウンタは常に零を維持する。
【0035】
具体的に説明すると図5において、当初タイマは未起動状態から始まり、掃引中心とステップの設定を行い、制御電圧を設定していく一連のフィードフォワード自動制御を行うが制御電圧が収束した時点でCPUのプログラムソフトの収束カウンタを順次加算して行く。そして収束カウンタが規定値、すなわち本実施例では30回になった時に停止タイマを起動させる。停止タイマが起動すると制御電圧は最新の収束後の制御電圧を発生させ、その電圧を維持する。以後、停止タイマ起動中は制御電圧は停止タイマにあらかじめ設定された時間(タイムアウト時間)が経過するまで保持続ける。本実施例ではこの時間は約3〜5秒程度に設定しておく。すなわち停止タイマにCPUからタイマ割り込み信号を送出し、タイマを停止させる。また、同時に収束カウンタをクリア(零クリア)する。
【0036】
なお本実施例では停止タイマはプログラムによるものとしたがハード的構成でも良く、この場合にはタイマの設定時間を固定設定しておくことができるのでプログラム処理の一連の処理とは関係なく独立したタイマの設定が可能なのでプログラム処理ソフトの変更を伴わない利点がある。
【0037】
実施の形態4.
実施の形態2および実施の形態3では制御電圧の収束後の検波電圧を取得し、検波電圧の変化量の規定以下に対する収束後の制御電圧の固定を実施しなかったがさらに高精度のフィードフォワード自動制御を実施する場合には、制御電圧の収束後に実施例1同様、検波電圧の変化量を測定し、制御電圧の収束後の制御電圧を固定しても良い。
【0038】
実施の形態5.
実施の形態1から4において歪抽出ループ制御手段160および歪除去ループ制御手段170はそれぞれ独立させたが両方を一体化させた制御手段であっても良い。
【0039】
【効果の説明】
本発明においては、フィードフォワード自動制御における検波電圧の最小点が複数個ある場合、最小点付近での制御電圧を最適制御電圧として固定化することにより、制御電圧の探索動作を停止させたので歪のゆらぎなどの問題を解消し、出力の歪を安定且つ最小にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係わるフィードフォワード増幅器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係わる歪抽出ループ制御手段や歪除去ループ制御手段の説明図である。
【図3】本発明の実施形態1に係わるフィードフォワード自動制御のフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態2に係わるフィードフォワード増幅器のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態3に係わるフィードフォワード自動制御のフローチャートである。
【図6】従来のフィードフォワード自動制御のフローを説明するフローチャートである。
【図7】高周波における抑圧量を説明する図である。
【図8】検波電圧と制御電圧との最適点の関係を説明する図である。
【図9】正常時と異常時の高周波の出力波形を示す図である。
【符号の説明】
101 入力端子、102 入力調整器、103 第1分配器、104 第1ベクトル調整器、105 遅延器、107 パイロット信号入力端子、108 結合器、109 第1の結合器、110 主増幅器、111 第3分配器、112 第2ベクトル調整器、113 第2分配器、114 遅延器、115 補助増幅器、117 第2の結合器、118 第4分配器、119 パイロット信号抽出端子、120 出力端子、130 第5分配器、140 入力信号検波器、160 歪抽出ループ制御手段、170 歪除去ループ制御手段。
Claims (4)
- 入力信号の位相と振幅を調整する第1ベクトル調整器と、前記第1ベクトル調整器の出力を増幅する主増幅器と、前記主増幅器の出力と前記入力信号とを逆位相で合成することで入力信号の歪成分を抽出する歪抽出回路と、前記歪抽出回路の出力の位相と振幅を調整する第2ベクトル調整器と、前記第2ベクトル調整器の出力を増幅する補助増幅器と、前記補助増幅器の出力と前記主増幅器の出力とを逆位相で合成することで前記主増幅器の出力に含まれる歪成分を除去する歪除去回路と、前記歪抽出回路で抽出した歪成分の検波レべルに基づいて前記第1ベクトル調整器を調整するための制御電圧を供給する歪抽出ループ制御手段と、前記歪除去回路の出力信号を用いて前記出力信号の検波レベルに基づいて前記第2ベクトル調整器を調整するための制御電圧を供給する歪除去ループ制御手段を有し、各制御手段は、各検波レベルが最小となる方向へ収束するよう各制御電圧を変化させ、前記検波レベルの変動幅が、一定期間の間、規定値以下となった場合に、前記制御電圧の変化を停止し維持することを特徴とするフィードフォワード回路。
- 入力信号の位相と振幅を調整する第1ベクトル調整器と、前記第1ベクトル調整器の出力を増幅する主増幅器と、前記主増幅器の出力と前記入力信号とを逆位相で合成することで入力信号の歪成分を抽出する歪抽出回路と、前記歪抽出回路の出力の位相と振幅を調整する第2ベクトル調整器と、前記第2ベクトル調整器の出力を増幅する補助増幅器と、前記補助増幅器の出力と前記主増幅器の出力とを逆位相で合成することで前記主増幅器の出力に含まれる歪成分を除去する歪除去回路と、前記歪抽出回路で抽出した歪成分の検波レべルに基づいて前記第1ベクトル調整器を調整するための制御電圧を供給する歪抽出ループ制御手段と、前記歪除去回路の出力信号を用いて前記出力信号の検波レベルに基づいて前記第2ベクトル調整器を調整するための制御電圧を供給する歪除去ループ制御手段を有し、各制御手段は、各検波レベルが最小となる方向へ収束するよう各制御電圧を変化させ、任意のベクトル調整器の位相器と減衰器の制御電圧が収束した場合、他のベクトル調整器の位相器と減衰器の収束状態を判別し、すべてのベクトル調整器の位相器と減衰器が収束状態の時、各々の前記ベクトル調整器の位相器と減衰器の前記制御電圧の変化を停止し維持することを特徴とするフィードフォワード回路。
- 入力信号の位相と振幅を調整する第1ベクトル調整器と、前記第1ベクトル調整器の出力を増幅する主増幅器と、前記主増幅器の出力と前記入力信号とを逆位相で合成することで入力信号の歪成分を抽出する歪抽出回路と、前記歪抽出回路の出力の位相と振幅を調整する第2ベクトル調整器と、前記第2ベクトル調整器の出力を増幅する補助増幅器と、前記補助増幅器の出力と前記主増幅器の出力とを逆位相で合成することで前記主増幅器の出力に含まれる歪成分を除去する歪除去回路と、前記歪抽出回路で抽出した歪成分の検波レべルに基づいて前記第1ベクトル調整器を調整するための制御電圧を供給する歪抽出ループ制御手段と、前記歪除去回路の出力信号を用いて前記出力信号の検波レベルに基づいて前記第2ベクトル調整器を調整するための制御電圧を供給する歪除去ループ制御手段を有し、各制御手段は、各検波レベルが最小となる方向へ収束するよう各制御電圧を変化させ、収束後の制御電圧の収束回数が規定値以上の場合、前記制御電圧の変化を停止し維持することを特徴とするフィードフォワード回路。
- 維持された制御電圧は一定期間後に解除されることを特徴とする請求項2又は3記載のフィードフォワード回路。
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