JP2004274381A - 移相回路とそれを用いた半導体素子及び無線通信装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の分布定数線路99は、入力端子96に入力された信号CS1を、線路長LDに応じて移相させ、第1の出力端子93から出力し、第2の分布定数線路97は、入力端子96に入力された信号CS1を実質的に移相させることなく、第2の出力端子92から出力する。移相回路9a、9bは、位相を線路長LDに応じて制御できるので、精度の高い特性を簡単に実現することができ、しかも、搬送周波数が比較的低い場合であっても、第1の分布定数線路99と第2の分布定数線路97だけで構成されているので、その占有面積を小さくすることができる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力される信号を移相させることができる、移相回路とそれを用いた半導体素子及び無線通信装置に係り、特に、極超短波やマイクロ波などの無線信号を伝送することができる、移相回路とそれを用いた半導体素子及び無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の移相回路として、ブランチライン型ハイブリッド回路の移相回路100が提案され、マイクロ波やミリ波のRF(無線周波数)回路などに使用されている(例えば、非特許文献1参照。)。該移相回路100は、図9に示すように、入力ポート101と、3つの出力ポート102、103、104とを有している。これら入力ポート101と、3つの出力ポート102、103、104とは、線路長が、それぞれ信号の1/4波長(λ/4)である、4つの伝送線路105a、105b、105c、105dで接続されており、伝送線路105a、105cの特性インピーダンスがZ0/√2に、また、伝送線路105b、105dの特性インピーダンスがZ0に設定されている。このような移相回路100により、入力ポート(入力1)101に入力される信号は、出力ポート102から90°移相されて出力され、一方、出力ポート103から移相されることなく出力されて、電力が、出力ポート(出力2)102と出力ポート(出力3)103とで等分配されるようになっている。このような移相回路100を用いることにより、搬送周波数が比較的高い場合には、各伝送線路105a、105b、105c、105dの線路長が短くなるので、例えばチップキャパシタとチップ抵抗とで構成された移相回路より、その占有面積を小さくすることができ、しかも、線路長に応じて位相を制御できるので、精度の高い特性を簡単に実現することができる。
【0003】
【非特許文献1】
相川正義他著、「モノシリックマイクロ波集積回路(MMIC)」、第2刷、(社)電子情報通信学会、1998年5月20日、p.52−54
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、携帯電話や無線LANなどの移動体通信の送受信回路として、上記RF回路だけでなく、デジタル信号処理回路などの複数の回路を1チップで構成する、ASIC(特定用途向集積回路)が用いられており、移動体通信端末の小型化やコスト低減を図る上で、上述した回路をさらに小型化することにより、システム全体を1チップで構成する、SoC(System On a Chip)を実現することが望まれている。
【0005】
しかし、上述した従来の移相回路100では、線路長を信号の1/4波長λ/4とする、伝送線路105a、105b、105c、105dで構成されるため、搬送周波数が比較的低い場合、例えば、無線LANに用いられる搬送周波数(例えば2.45[GHz])では、上記移相回路100をそのままASIC上に構成するには、大きな面積を占めるため、上述したSoCが実現できない不都合があった。
【0006】
そこで本発明は、精度の高い特性を簡単に実現できるものでありながら、搬送周波数が比較的低い場合であっても、占有面積を小さくすることができる、移相回路とそれを用いた半導体素子及び無線通信装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1ないし図8参照)、入力された信号(CS1)を、誘電体基板(20)に構成された分布定数線路を介して移相させ、出力することができる、移相回路(9a、9b)において、
前記分布定数線路は、
前記信号(CS1)を入力することができる入力端子(96)と、
第1の出力端子(93)と、
第2の出力端子(92)と、
前記入力端子(96)と前記第1の出力端子(93)とを接続し、前記入力端子(96)に入力された信号(CS1)を、前記入力端子(96)と前記第1の出力端子(93)との間の線路長(LD)に応じて移相させ、前記第1の出力端子(93)から出力する、第1の分布定数線路(99)と、
前記入力端子(96)と前記第2の出力端子(92)とを接続し、前記入力端子(96)と前記第2の出力端子(92)との間の線路長(LUD)が、前記入力端子(96)に入力された信号(CS1)を実質的に移相させないように前記入力端子(96)と前記第1の出力端子(93)との間の線路長(LD)より短くされ、前記入力端子(96)に入力された信号(CS1)を、実質的に移相させることなく前記第2の出力端子(92)から出力する、第2の分布定数線路(97)と、備えてなる、
ことを特徴とする移相回路(9a、9b)にある。
【0008】
請求項2に係る本発明は(例えば図1ないし図8参照)、前記第1の分布定数線路の線路長(LD)は、前記入力端子(96)に入力された信号(CS1)の1/4波長(λ/4)である、
請求項1記載の移相回路(9a、9b)にある。
【0009】
請求項3に係る本発明は(例えば図1ないし図8参照)、前記第1の分布定数線路(99)、及び前記第2の分布定数線路(97)は、それぞれ、前記誘電体基板(20)の一方の面(20F)に形成された接地導体(22)と、前記誘電体基板(20)の一方の面(20F)に形成され、前記接地導体(22)との間に所定間隔(例えば図2に示すG)を介して介在する信号線(21)と、により構成されてなる、
請求項1または2記載の移相回路(9a、9b)にある。
【0010】
請求項4に係る本発明は(例えば図5ないし図8参照)、前記第2の分布定数線路(97)の信号線(21)は、蛇行してなる、
請求項3記載の移相回路(9a、9b)にある。
【0011】
請求項5に係る本発明は(例えば図1ないし図8参照)、請求項1ないし4いずれか記載の移相回路(9a、9b)を備えてなる、
半導体素子(2)にある。
【0012】
請求項6に係る本発明は(例えば図1ないし図8参照)、請求項5記載の半導体素子(2)と、
アンテナ(3)と、を備えてなる、
無線通信装置(1)にある。
【0013】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、本願特許請求の範囲の構成に何等影響を与えるものではない。
【0014】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る本発明によると、第1の分布定数線路は、入力端子に入力された信号を、線路長に応じて移相させ、第1の出力端子から出力し、第2の分布定数線路は、入力端子に入力された信号を実質的に移相させることなく、第2の出力端子から出力するので、第1の出力端子と第2の出力端子とで、入力された信号の電力が半分に分配されると共に、位相の異なる信号として出力することができる。すなわち、本発明に係る移相回路は、ブランチライン型ハイブリッド回路(図9参照)と同様に、線路長に応じて位相を制御できるので、精度の高い特性を簡単に実現することができ、しかも、第1の分布定数線路と第2の分布定数線路だけで構成されているので、上記ブランチライン型ハイブリッド回路などの従来の移相回路より、その占有面積を小さくすることができる。また、搬送周波数が比較的低い場合、例えば無線LANに用いられる搬送周波数(例えば2.45[GHz])であっても、その占有面積を、例えばチップキャパシタとチップ抵抗とで構成された移相回路程度に、あるいはそれより小さくすることができるので、好都合である。さらに、上記ブランチライン型ハイブリッド回路に比べて、構造が簡単なので、製造コストの低減を図ることができる。
【0015】
請求項2の発明に係る本発明によると、第1の分布定数線路の線路長は、入力端子に入力された信号の1/4波長であるので、第1の分布定数線路は、入力された信号の位相を90°遅らせることができる。これにより、小型でありながら、精度の高いデジタル位相変調(PSK)、例えば、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)を行うことができる。
【0016】
請求項3の発明に係る本発明によると、第1の分布定数線路、及び第2の分布定数線路は、それぞれ、誘電体基板の一方の面に形成された接地導体と、誘電体基板の一方の面に形成され、該接地導体との間に所定間隔を介して介在する信号線とにより構成されている。すなわち、本発明に係る移相回路は、コプレーナ線路で構成されるので、マイクロストリップ線路と異なり、特性インピーダンスの変更や接地が容易であることから、製造コストのさらなる低減を図ることができる。
【0017】
請求項4の発明に係る本発明によると、第2の分布定数線路の信号線は、蛇行するので、信号線に隣り合う接地導体の占める面積を少なくすることができ、移相回路を、コプレーナ線路で構成する場合であっても、その占有面積をさらに小さくすることができる。
【0018】
請求項5の発明に係る本発明によると、半導体素子は、上述した、小型化された移相回路を備えているので、当該移相回路を、ASIC(特定用途向集積回路)などの半導体素子上に問題なく構成することができる。これにより、システム全体を1チップで構成する、SoC(System On a Chip)を実現することができ、上記半導体素子の製造コストの低減を図ることができる。
【0019】
請求項6の発明に係る本発明によると、無線通信装置は、上述したSoCを実現することができる、半導体素子を備えているので、無線通信装置の小型化と製造コストの低減を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明が適用される無線通信装置1の一例を示すブロック図を示している。無線通信装置1は、半導体素子2と、ホイップアンテナなどのアンテナ3とを備えている。また、半導体素子2は、図示しないDSP(Digital Signal Processor)などを介して、キーボードやマイクロフォンなどの送話手段(図示せず)と、ディスプレイやスピーカなどの受話手段(図示せず)とに接続されている。
【0021】
この種の無線通信装置1としては、例えば、携帯電話、PHS、PDA(携帯情報端末)などの、移動体通信手段がある。また、無線LANカードや無線LANボードなど、例えばPC(パーソナルコンピュータ)に移動体通信の機能を付加させる、通信機能付加手段であってもよい。さらに、無線通信が可能であれば固定電話でもよく、例えばコードレス電話も上記無線通信装置1に含まれる。また、アンテナ3は、特にホイップアンテナに限る必要はなく、例えば、受信専用の内蔵アンテナとして用いられる、板状逆Fアンテナや、半導体素子2上に構成されたスロットアンテナでもよい。
【0022】
半導体素子2は、アンテナ3が接続されたRF(無線周波数)回路(破線枠内)2a、A/D変換回路(破線枠内)2b、及びDSPが接続された、デジタル信号処理回路(破線枠内)2cを有しており、ASIC(特定用途向集積回路)を構成している。これらRF回路2a、A/D変換回路2b、及びデジタル信号処理回路2cは、例えば、CMOS(相補型金属酸化物半導体)などにより構成されている。なお、半導体素子2を構成する回路は、上述した回路2a、2b、2cに限るものでなく、DSPなどの各種の回路を構成することが可能である。また、特に、CMOSに限るものでなく、例えば、バイポーラとCMOSが混載するBiCMOS、バイポーラ、GaAsFET(ガリウムヒ素電界効果型トランジスタ)などにより構成してもよい。
【0023】
RF回路2aは、パワーアンプ(PA)5、ローノイズアンプ(LNA)6、バンドパスフィルタとして機能する、インピーダンス整合回路(IMC)7a、7b、7c、7d、移相回路(90°/0°)9a、9b、図示しない電圧制御発振器などからなる位相同期ループ(PLL)10、ミキサ11a、11b、11c、11d、及びスイッチ(SW)12などを有している。なお、以下の説明では、特に区別の必要がないときは、移相回路9a、9bを、単に移相回路9と表現する。
【0024】
A/D変換回路2bは、ローパスフィルタ(LPF)13a、13b、13c、13d、可変ゲインアンプ(VGA)14a、14b、ADコンバータ(ADC)15a、15b、及びDAコンバータ(DAC)16a、16bなどを有している。また、デジタル信号処理回路2cは、デジタル復調器17、及びデジタル変調器18などを有している。
【0025】
デジタル信号処理回路2cは、後述する入力信号SI1が入力自在であり、また、RF回路2aは、搬送周波数が極超短波やマイクロ波などである出力信号SO1が出力自在である。デジタル信号処理回路2cは、A/D変換回路2bを介して、RF回路2aに接続されて、入力信号SI1を出力信号SO1として出力する、伝送経路が構成されている。
【0026】
具体的には、デジタル変調器18は、DAコンバータ16a及びローパスフィルタ13cを介して、ミキサ11cに接続されており、また、DAコンバータ16b及びローパスフィルタ13dを介して、ミキサ11dに接続されている。移相回路9bは、入力ポート91と、出力ポートとして、非遅延出力ポート(第2の出力端子)92及び遅延出力ポート(第1の出力端子)93とを有しており、位相同期ループ10は、移相回路9bの入力ポート91に接続されている。移相回路9bの非遅延出力ポート92は、ミキサ11cに接続されており、また、移相回路9bの遅延出力ポート93は、ミキサ11dに接続されている。さらに、ミキサ11c、11dは、インピーダンス整合回路7c、パワーアンプ5、インピーダンス整合回路7d、及びスイッチ12を介して、アンテナ3に接続されている。
【0027】
一方、RF回路2aは、搬送周波数が極超短波やマイクロ波などである入力信号SI2が入力自在であり、また、デジタル信号処理回路2cは、後述する出力信号SO2が出力自在である。RF回路2aは、上述と同様に、A/D変換回路2bを介して、デジタル信号処理回路2cに接続されて、入力信号SI2を出力信号SO2として出力する、伝送経路が構成されている。
【0028】
具体的には、アンテナ3に接続されたスイッチ12は、インピーダンス整合回路7a、ローノイズアンプ6、及びインピーダンス整合回路7bを介して、ミキサ11a、11bに接続されている。移相回路9aは、上述した移相回路9bと同様に、入力ポート91と、出力ポートとして、非遅延出力ポート92及び遅延出力ポート93とを有しており、位相同期ループ10は、移相回路9aの入力ポート91に接続されている。移相回路9aの非遅延出力ポート92は、ミキサ11aに接続され、また、移相回路9aの遅延出力ポート93は、ミキサ11bに接続されている。さらに、ミキサ11aは、ローパスフィルタ13a、可変ゲインアンプ14a、及びADコンバータ15aを介して、デジタル復調器17に接続されており、また、ミキサ11bは、ローパスフィルタ13b、可変ゲインアンプ14b、及びADコンバータ15bを介して、同様にデジタル復調器17に接続されている。
【0029】
次いで、RF回路2aの移相回路9を構成するコプレーナ線路について、図2に沿って説明する。図2は、移相回路9を構成するコプレーナ線路の構造の一例を示す(一部断面)斜視図を示している。移相回路9は、図2に示すように、2酸化シリコン(SiO2)などの誘電体材料からなる、誘電体基板20を備えている。該誘電体基板20の表面(誘電体基板の一方の面)20Fには、信号線21が形成されており、該信号線21の両側には、間隙Gのスリット23、23を介して、接地導体22、22が形成されている。これら信号線21及び接地導体22、22は、アルミニウム(Al)などの導電性材料からなる。すなわち、移相回路10の伝送線路は、コプレーナ線路(CPW:CoPlanar Waveguide)で構成されている。
【0030】
次いで、移相回路9の構成について説明する。図3は、移相回路9を構成する伝送線路の(一部省略)上面図を示している。
【0031】
移相回路9は、入力信号伝送線路95を有しており、その線路長はLIS(以下「入力信号線路長LIS」という。)である。入力信号伝送線路95は、図2で説明したように、信号線(ハッチング部)21と、該信号線21の両側に、間隙G(図示せず)のスリット23、23を介した、接地導体(ハッチング部)22、22とを有している。
【0032】
入力信号伝送線路95には、一端に、位相同期ループ10(図1参照)が接続された、入力ポート91が設けられており、他端には、分岐部(入力端子)96が設けられている。分岐部96には、非遅延伝送線路97の一端と、遅延伝送線路99の一端とが接続されている。
【0033】
非遅延伝送線路(第2の分布定数線路)97は、線路長として、LUD(以下「非遅延線路長LUD」という。)を有しており、入力信号伝送線路95と同様に、信号線21と、該信号線21の両側に、間隙G(図示せず)のスリット23、23を介した、接地導体22、22とを有している。また、該非遅延伝送線路97の他端には、非遅延出力ポート92が設けられており、非遅延出力ポート92は、上述したようにミキサ11a、11c(図1参照)が接続されている。
【0034】
一方、遅延伝送線路(第1の分布定数線路)99は、線路長として、LD(以下「遅延線路長LD」という。)を有しており、上述した入力信号伝送線路95及び非遅延伝送線路97と同様に、信号線21と、該信号線21の両側に、間隙G(図示せず)のスリット23、23を介した、接地導体22、22とを有している。また、該遅延伝送線路99の他端には、遅延出力ポート93が設けられており、遅延出力ポート93は、上述したようにミキサ11b、11d(図1参照)に接続されている。
【0035】
これら、入力信号伝送線路95、非遅延伝送線路97、及び遅延伝送線路99は、伝送される信号の搬送周波数が、所定値以上の際、例えば、極超短波(300[MHz]〜3[GHz])、マイクロ波(3[GHz]〜30[GHz])、ミリ波(30[GHz]〜300[GHz])などの高周波の際に、図2に示した誘電体基板20と共に、分布定数線路として機能する。なお、本実施の形態においては、搬送周波数を、2.45[GHz]の極超短波とする。
【0036】
上記遅延伝送線路99の遅延線路長LD(入力端子と第1の出力端子との間の線路長)は、位相が90[°]遅れるように、移相回路9a、9bを伝送する信号の波長λの1/4(波長λ/4)に設定されている。位相の変化量は、遅延線路長LDのみで調整することができ、搬送周波数が、極超短波、マイクロ波、ミリ波などの周波数にあっては、遅延線路長LDは、位相を制御する上で十分長いことから(例えば、2.45[GHz]にあっては、遅延線路長LDはセンチメートルオーダなので)、位相を精度高く制御することが可能である。
【0037】
なお、上記波長λは、管内波長を意味しており、信号が移相回路9a、9bを伝送する際、図2に示す誘電体基板20が有する誘電率に応じて、上記搬送周波数が高くなり、波長λは、搬送周波数2.45[GHz]の1波長より小さくなっている。
【0038】
一方、非遅延線路長LUD(入力端子と第2の出力端子との間の線路長)と、入力信号線路長LISとは、それぞれ、非遅延伝送線路97、入力信号伝送線路95を信号が伝送する際に、該信号を実質的に移相させないように遅延線路長LDより短くされている。ここでは、LUD≪LD、LIS≪LDの関係を満たしながら、入力ポート91及び非遅延出力ポート92を構成するために、非遅延線路長LUDと、入力信号線路長LISとを、いずれも50[μm]に設定している。
【0039】
なお、「非遅延線路長LUDが伝送する信号を実質的に移相させないように遅延線路長LDより短くされている」の「実質的に移相させないように」とは、非遅延伝送線路97を介して出力される信号の位相の変化が、極めて小さく、遅延伝送線路99を介して出力される信号の位相の変化に比べて実質的に変化していないに等しいこと、すなわち完全な「0」でないこと(いわゆるネグレクトスモール)を意味する。従って、「非遅延線路長LUDが伝送する信号を移相させないように遅延線路長LDより短くされている」ものであるためには、上述したLUD≪LDの関係が満たされていればよい。なお、上記LUD≪LDの関係には、例えば、LUD:LD=1:100の場合(LD=18450[μm]とすると、LUD=184.5[μm])も含まれることになるが、非遅延伝送線路97を介して移相しない信号を出力する上で、非遅延線路長LUDはできるだけ短いことが好ましい。
【0040】
従って、移相回路9の横幅Wは、非遅延線路長LUD(50[μm])と遅延線路長LD(λ/4)との和(LUD+LD)で表され、18500[μm]となる。また、非遅延伝送線路97及び遅延伝送線路99に対して図中上方の、接地導体22の縦幅LE1を、例えば10[μm]とすると、移相回路9の縦幅Hは、接地導体22の縦幅LE1(10[μm])と、入力信号線路長LIS(50[μm])との和(LE1+LIS)で表され、60[μm]となる。よって、移相回路9a、9bの占有面積Sは、18.5[mm]×0.06[mm]=1.11[mm2]となる。
【0041】
図9に示す従来の移相回路100で、同様に搬送周波数を2.45[GHz]とすると、その占有面積は、概略、18.5[mm]×18.5[mm]=342[mm2]となり、本発明に係る移相回路9は、従来の移相回路100に比べてその占有面積を小さくすることができる。
【0042】
次いで、本発明に係る移相回路9と、それを用いた半導体素子2及び無線通信装置1の作用について説明する。なお、本実施の形態にあっては、上述した無線通信装置1を、マイクロフォンの送話手段と、スピーカの受話手段が設けられた、移動体通信手段として、当該無線通信装置1により音声通話を行う場合について説明する。
【0043】
オペレータが、無線通信装置1を用いて例えば音声通話を行い際に、まず、無線通信装置1に設けられた起動手段(図示せず)を介して、起動指令を入力すると、これを受けて無線通信装置1が起動される。さらに、オペレータが、無線通信装置1に設けられた入力手段(図示せず)を介して、接続指令を入力すると、無線通信装置1は、公衆回線やネットワークなどを介して、音声信号の送受信が可能な形に、他の無線通信装置1’(図示せず)と接続する。
【0044】
この状態で、オペレータが、音声信号を、マイクロフォン(図示せず)を介して無線通信装置1に入力すると、該音声信号は、DSP(図示せず)に入力される。DSPは、入力された音声信号について、符号化などの所定のデジタル処理を行うと、入力信号SI1として、図1に示す半導体素子2のデジタル信号処理回路2cに出力する。
【0045】
デジタル信号処理回路2cのデジタル変調器18は、入力信号SI1について、所定のデジタル変調を行うと、入力信号SI1を1ビットずつに分割して、A/D変換回路2bに出力する。A/D変換回路2bのDAコンバータ16a、16bは、分割された信号をアナログ変換すると、それぞれ、ローパスフィルタ13c、13dに出力する。ローパスフィルタ13c、13dは、入力された信号の高調波成分を除去して、ベースバンド信号BS1、BS2として、それぞれ、RF回路2aのミキサ11c、11dに出力する。
【0046】
一方、RF回路2aの位相同期ループ10は、移相回路9bの入力ポート91に、搬送周波数(2.45[GHz])の入力キャリア信号CSを入力している。入力されたキャリア信号CSは、波長λの伝送信号(信号)CS1として、図3に示す入力信号伝送線路95に沿って伝送され、分岐部96で、波長λの伝送信号CS12と、波長λの伝送信号CS13とに分岐される。伝送信号CS12は、非遅延伝送線路97に入力され、搬送周波数の出力キャリア信号CS2として、非遅延出力ポート92から出力される。また、伝送信号CS13は、遅延伝送線路99に入力され、搬送周波数の出力キャリア信号CS3として、非遅延出力ポート92から出力される。
【0047】
ここで、入力キャリア信号CSに対する出力キャリア信号CS2、CS3の位相と電力について、図4に沿って説明する。図4は、移相回路9の周波数特性を示す図で、(a)は位相特性、(b)は電力特性を示している。
【0048】
なお、同図(a)に示す、S(1、1)は反射位相、S(2、1)は入力ポート91から非遅延出力ポート92への挿入位相、S(3、1)は入力ポート91から遅延出力ポート93への挿入位相を示している。また、同図(b)に示す、S(1、1)は反射損失、S(2、1)は入力ポート91から非遅延出力ポート92への挿入損失、S(3、1)は入力ポート91から遅延出力ポート93への挿入損失を示している。また、同図に示す周波数特性は、無線LANの規格である、IEEE(米国電気電子学会)802.11Bの条件における、電磁界シミュレーションに基づくものである。以下の説明における電磁界シミュレーションの条件についても同様である。
【0049】
反射位相S(1、1)は、図4(a)に示すように、2.45[GHz]において約180[°]であるが、同図(b)に示すように、反射損失S(1、1)は、約−10[dB]を示していることから、入力キャリア信号CSは、ほとんど反射されることなく、移相回路9bに入力されている。
【0050】
また、挿入位相S(2、1)は、図4(a)に示すように、2.45[GHz]において約0[°]であり、挿入損失S(2、1)は、同図(b)に示すように約−3[dB](50%)を示している。すなわち、非遅延伝送線路97の線路長は、上述したように、伝送信号CS2を移相させないように、LUD≪LDの関係を満たす、非遅延線路長LUDに設定されているので、入力キャリア信号CSは、位相が遅れることなく、また電力が略々半分に分配されて、出力キャリア信号CS2として、非遅延出力ポート92から出力されている。
【0051】
一方、挿入位相S(3、1)は、図4(a)に示すように、2.45[GHz]において約−90°であり、挿入損失S(3、1)は、同図(b)に示すように約−4[dB](約40%)を示している。すなわち、入力キャリア信号CSは、上記出力キャリア信号CS2と同様に、電力が略々半分に分配されるが、遅延伝送線路97の線路長が上述したように遅延線路長LD(λ/4)に設定されているので、当該λ/4の長さに応じてその位相が変化することにより、位相が90°遅れ、出力キャリア信号CS3として、遅延出力ポート93から出力されている。
【0052】
従って、非遅延出力ポート92と、遅延出力ポート93とから、90°位相が異なる、出力キャリア信号CS2、CS3が出力され、図1に示すように、位相の遅れがない出力キャリア信号CS2は、ミキサ11cに、また、出力キャリア信号CS2に対して90°位相が遅れた出力キャリア信号CS3は、ミキサ11dに入力される。ミキサ11c、11dには、上述したようにベースバンド信号BS1、BS2が入力されており、従って、ミキサ11cは、入力されたベースバンド信号BS1と出力キャリア信号CS2とを(乗算)合成して、I軸(実数軸)ベースバンド信号として出力する。一方、ミキサ11dは、入力されたベースバンド信号BS2と出力キャリア信号CS3とを(乗算)合成して、Q軸(虚数軸)ベースバンド信号として出力する。これらI軸ベースバンド信号とQ軸ベースバンド信号は、(加算)合成され、直交変調された形で、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)信号として、インピーダンス整合回路7cを介して、パワーアンプ5に入力される。
【0053】
パワーアンプ5は、入力されたQPSK信号を、所定値に増幅すると、バンドパスフィルタとして機能するインピーダンス整合回路7c、7dにより所定帯域に設定された形で、出力信号SO1としてスイッチ12に出力する。この際、スイッチ12は送信側に切り替えられており、出力信号SO1は、該スイッチを介して、アンテナに出力され、アンテナは、入力された出力信号SO1を電磁波として放射する。こうして、出力信号SO1は、公衆回線やネットワークなどを介して、他の無線通信装置1’(図示せず)に送信される。
【0054】
また、アンテナ3が、他の無線通信装置1’から入力信号SI2を受信すると、スイッチ12が受信側に切り替えられ、入力信号SI2は、該スイッチ12及びインピーダンス整合回路7aを介して、ローノイズアンプ6に入力される。ローノイズアンプ6は、入力信号SI2を、所定値に増幅すると、バンドパスフィルタとして機能するインピーダンス整合回路7a、7bにより所定帯域に設定された形で、ミキサ11a、11bに出力する。
【0055】
一方、位相同期ループ10は、上述と同様に、移相回路9aにも搬送周波数の入力キャリア信号CSを入力しており、移相回路9aは、上述した移相回路9bと同様に、移相回路9aの非遅延出力ポート92と、移相回路9aの遅延出力ポート93とから、90°位相が異なる、出力キャリア信号CS2、CS3を出力する。位相の遅れがない出力キャリア信号CS2は、ミキサ11aに入力され、また、出力キャリア信号CS2に対して90°位相が遅れた出力キャリア信号CS3は、ミキサ11bに入力される。従って、ミキサ11aは、入力信号SI2と出力キャリア信号CS2とを(乗算)合成し、ミキサ11bは、入力信号SI2と出力キャリア信号CS3とを(乗算)合成して、入力信号SI2を直交復調する。ミキサ11aは、直交復調された入力信号SI2を、I軸ベースバンド信号として、ローパスフィルタ13aに出力し、ミキサ11bは、直交復調された入力信号SI2を、Q軸ベースバンド信号として、A/D変換回路2bのローパスフィルタ13bに出力する。
【0056】
ローパスフィルタ13a、13bは、それぞれ、入力されたI軸ベースバンド信号、及びQ軸ベースバンド信号の高調波成分を除去し、可変ゲインアンプ14a、14bに出力する。可変ゲインアンプ14a、14bは、入力されたI軸ベースバンド信号、及びQ軸ベースバンド信号の減衰した信号レベルを上昇させて、ADコンバータ15a、15bに出力する。ADコンバータ15a、15bは、入力されたI軸ベースバンド信号、及びQ軸ベースバンド信号を、デジタル変換して、デジタル処理回路2cのデジタル復調器17に出力する。デジタル復調器17は、入力されたI軸ベースバンド信号、及びQ軸ベースバンド信号について、所定のデジタル復調を行い、出力信号SO2として、DSP(図示せず)に出力する。DSPは、入力された出力信号SO2について、復号化などの所定のデジタル処理を行い、音声信号として、スピーカを介して出力する。
【0057】
以上のように、本発明に係る移相回路9は、図9に示すブランチライン型ハイブリッド回路などの従来の移相回路100と同様に、線路長に応じて位相を制御できるので、精度の高い特性を簡単に実現できるものでありながら、上記従来の移相回路100のような大きな占有面積を必要としないので、該移相回路9を、問題なく半導体素子2上に構成することができる。また、搬送周波数が比較的低い場合、例えば無線LANに用いられる搬送周波数(例えば2.45[GHz])であっても、その占有面積を、例えばチップキャパシタとチップ抵抗とで構成された、従来の移相回路(図示せず)程度(約1[mm2])に小さくすることができるので、好都合である。これにより、システム全体を1チップで構成する、SoC(System On a Chip)を実現することができ、無線通信装置1の小型化とコストの低減を図ることができる。
【0058】
なお、移相回路9の遅延伝送線路99は、図3に示すように直線状に構成されているが、必ずしも直線状である必要はなく、例えば蛇行(メアンダ)状に構成させてさらに小型させてもよい。
【0059】
次いで、遅延伝送線路99を蛇行させた移相回路9について、図5に沿って説明する。図5は、遅延伝送線路99を蛇行させた移相回路9を構成する伝送線路の(一部省略)上面図を示している。
【0060】
移相回路9の遅延伝送線路99は、図5に示すように、屈曲部VDが設けられており、該屈曲部VDで遅延伝送線路99の向きを変えながら、図中左右方向に蛇行している。すなわち、蛇行する遅延伝送線路99の信号線21は、線幅tとする接地導体22を介して隣合っている。なお、図5においては、図3で説明した部分と同一の部分に同一の符号を付して、図5に関する説明は省略する。
【0061】
このように構成された移相回路9の横幅Wは、非遅延線路長LUD(例えば20[μm])と、蛇行する遅延伝送線路99の横幅LDM1と、接地導体22の横幅LE2(例えば10[μm])との和(LUD+LDM1+LE2)で表され、3130[μm]となる。また、縦幅Hは、接地導体22の縦幅LE3(例えば10[μm])と、蛇行する遅延伝送線路99の縦幅LDM2と、入力信号線路長LIS(例えば20[μm])との和(LE3+LDM2+LIS)で表され、110[μm]となる。従って、図5に示す移相回路9の占有面積Sは、3.13[mm]×0.11[mm]=0.34[mm2]となり、占有面積Sを、図3で説明した移相回路9の占有面積S(1.11[mm2])より小さくすることができる。
【0062】
遅延伝送線路99を蛇行させて小型化された、移相回路9の位相及び電力の周波数特性について、図6に沿って説明する。図6は、遅延伝送線路99を蛇行させた移相回路9の周波数特性を示す図で、(a)は挿入位相S(2、1)の位相特性、(b)は挿入位相S(3、1)の位相特性、(c)は電力特性を示している。
【0063】
挿入位相S(2、1)は、図6(a)に示すように、2.45[GHz]において約0[°](−1.6[°])であり、また、挿入損失S(2、1)は、同図(b)に示すように約−4[dB](約40%)を示している。一方、挿入位相S(3、1)は、同図(a)に示すように、2.45[GHz]において約−90°(−91[°])であり、また、挿入損失S(3、1)は、同図(b)に示すように約−3.5[dB](約45%)を示している。従って、遅延伝送線路99を蛇行させた場合においても、図5に示す移相回路9は、図3で説明した移相回路9と同様に、入力キャリア信号CSを、90°位相が異なる出力キャリア信号CS2、CS3として、その電力を等分配して出力している。
【0064】
このように、本発明に係る移相回路9は、誘電体基板20の表面20Fに接地導体22の占有面積を必要とする、コプレーナ線路(図2参照)で構成される場合であっても、遅延伝送線路99を蛇行させることにより、信号線21に隣り合う接地導体22の占める面積を少なくすることができるので、移相回路9をさらに小型化することができ、その占有面積を、上述したチップキャパシタとチップ抵抗とで構成された、従来の移相回路(占有面積が約1[mm2])より小さくすることができる。これにより、コプレーナ線路の特徴である、特性インピーダンスの変更や接地が容易であることと相俟って、無線通信装置1について、製造コストの低減をさらに図ることができる。
【0065】
また、図5に示す移相回路9における接地導体22の線幅tを、さらに、スリット23の間隙G(図示せず)にまで小さくしてしてもよい。すなわち、蛇行する遅延伝送線路99における信号線21、21の間の接地導体22が除去して、移相回路9を、当該信号線21がスリット23のみを介して隣り合うように、構成してもよい。図7は、遅延伝送線路99における信号線21、21の間の接地導体22を除去した移相回路9を構成する伝送線路の(一部省略)上面図を示している。
【0066】
図7に示すように、隣り合う信号線21の間の接地導体22が存在しない分だけ、移相回路9において接地導体22の占める面積を、さらに小さくすることができる。なお、図7においては、図3及び図5で説明した部分と同一の部分に同一の符号を付して、図7に関する説明は省略する。
【0067】
このように構成された移相回路9の横幅Wは、非遅延線路長LUD(例えば20[μm])と、蛇行する遅延伝送線路99の横幅LDM3と、接地導体22の横幅LE4(例えば10[μm])との和(LUD+LDM3+LE4)で表され、3600[μm]となる。一方、蛇行する遅延伝送線路99の縦幅LDM4は、縦幅LDM2(図5参照)より小さくなることから、図7に示す移相回路9の縦幅Hは、接地導体22の縦幅LE5(例えば10[μm])と、蛇行する遅延伝送線路99の縦幅LDM4と、入力信号線路長LIS(例えば20[μm])との和(LE5+LDM4+LIS)で表され、50[μm]となる。従って、図7に示す移相回路9の占有面積Sは、3.6[mm]×0.05[mm]=0.18[mm2]となり、占有面積Sを、図5で説明した移相回路9の占有面積S(0.36[mm2])よりさらに小さくすることができる。
【0068】
このように、小型化された移相回路9の位相及び電力の周波数特性について、図8に沿って説明する。図8は、遅延伝送線路99における信号線21、21間の接地導体22を除去した移相回路9の周波数特性を示す図で、(a)は挿入位相S(2、1)の位相特性、(b)は挿入位相S(3、1)の位相特性、(c)は電力特性を示している。
【0069】
挿入位相S(2、1)は、図8(a)に示すように、2.45[GHz]において約0[°](−3.0[°])であり、また、挿入損失S(2、1)は、同図(b)に示すように約−4[dB](約40%)を示している。一方、挿入位相S(3、1)は、同図(a)に示すように、2.45[GHz]において約−90°(−92[°])であり、また、挿入損失S(3、1)は、同図(b)に示すように約−3[dB](約50%)を示している。従って、蛇行する遅延伝送線路99の信号線21間の接地導体22が除去された場合においても、図8に示す移相回路9は、移相回路9としての特性をほとんど低下させることなく、入力キャリア信号CSを、90°位相が異なる出力キャリア信号CS2、CS3として、その電力を等分配して出力している。
【0070】
このように、本発明に係る移相回路9を、コプレーナ線路で構成することにより、マイクロストリップ線路などの伝送線路と異なり、接地導体22の占有面積が必要となるが、遅延伝送線路99を蛇行させて構成することにより、その特性をほとんど低下させることなく、その占有面積をさらに小さくすることができる。これにより、コプレーナ線路の特徴である、特性インピーダンスの変更や接地が容易であることと相俟って、さらに製造コストの低減を図ることができる。
【0071】
また、本発明に係る移相回路9は、MIMキャパシタ(金属・容量絶縁膜・金属キャパシタ)とオンチップ抵抗(Poly抵抗)とで構成される、従来の移相回路(図示せず)と同様に、半導体素子2上に構成することができ、しかも、当該従来の移相回路に比べて、精度の高い特性を簡単に実現することができるので、好都合である。
【0072】
なお、本実施の形態において、遅延線路長LDをλ/4としたが、これに限らず、設定すべき挿入位相S(3、1)に応じて遅延線路長LDを適宜調整してもよく、例えば、その線路長を3λ/4として位相を進めることも可能である。
【0073】
また、本実施の形態において、位相変調の一例としてQPSKについて示したが、これに限らず、例えば、BPSK(Binary Phase ShiftKeying)、π/4QPSKなどの位相変調でもよい。例えば、BPSKの場合、遅延線路長LDをλ/2と設定し、また、π/4QPSKの場合、λ/8と設定すればよい。また、位相変調と振幅変調を組み合わせた、BSデジタル放送に採用される8PSK(8−Phase Shift Keying)などの変調に適用することも可能である。
【0074】
また、本実施の形態において、コプレーナ線路で構成された、移相回路9について説明したが、信号線と接地導体とが各々誘電体基板の表裏に形成される、マイクロストリップ線路や、信号線を誘電体基板内に構成する、ストリップ線路などの分布定数線路についても本発明を適用することができる。
【0075】
また、本実施の形態において、無線通信について適用した移相回路9について説明したが、有線通信であっても、本発明を適用することが出来るのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される無線通信装置の一例を示すブロック図。
【図2】移相回路を構成するコプレーナ線路の構造の一例を示す(一部断面)斜視図。
【図3】移相回路を構成する伝送線路の(一部省略)上面図。
【図4】移相回路の周波数特性を示す図で、(a)は位相特性、(b)は電力特性。
【図5】遅延伝送線路を蛇行させた移相回路を構成する伝送線路の(一部省略)上面図。
【図6】遅延伝送線路を蛇行させた移相回路の周波数特性を示す図で、(a)は挿入位相S(2、1)の位相特性、(b)は挿入位相S(3、1)の位相特性、(c)は電力特性。
【図7】遅延伝送線路における信号線間の接地導体を除去した移相回路を構成する伝送線路の(一部省略)上面図。
【図8】遅延伝送線路における信号線間の接地導体を除去した移相回路の周波数特性を示す図で、(a)は挿入位相S(2、1)の位相特性、(b)は挿入位相S(3、1)の位相特性、(c)は電力特性。
【図9】従来の移相回路を示す図。
【符号の説明】
1 無線通信装置
2 半導体素子
3 アンテナ
9a、9b 移相回路
20 誘電体基板
20F 誘電体基板の一方の面
21 信号線
22 接地導体
92 第2の出力端子
93 第1の出力端子
96 入力端子
97 第2の分布定数線路
CS1 信号
LD 入力端子と第1の出力端子との間の線路長
LUD 入力端子と第2の出力端子との間の線路長
λ/4 信号の1/4波長
Claims (6)
- 入力された信号を、誘電体基板に構成された分布定数線路を介して移相させ、出力することができる、移相回路において、
前記分布定数線路は、
前記信号を入力することができる入力端子と、
第1の出力端子と、
第2の出力端子と、
前記入力端子と前記第1の出力端子とを接続し、前記入力端子に入力された信号を、前記入力端子と前記第1の出力端子との間の線路長に応じて移相させ、前記第1の出力端子から出力する、第1の分布定数線路と、
前記入力端子と前記第2の出力端子とを接続し、前記入力端子と前記第2の出力端子との間の線路長が、前記入力端子に入力された信号を実質的に移相させないように前記入力端子と前記第1の出力端子との間の線路長より短くされ、前記入力端子に入力された信号を、実質的に移相させることなく前記第2の出力端子から出力する、第2の分布定数線路と、備えてなる、
ことを特徴とする移相回路。 - 前記第1の分布定数線路の線路長は、前記入力端子に入力された信号の1/4波長である、
請求項1記載の移相回路。 - 前記第1の分布定数線路、及び前記第2の分布定数線路は、それぞれ、前記誘電体基板の一方の面に形成された接地導体と、前記誘電体基板の一方の面に形成され、前記接地導体との間に所定間隔を介して介在する信号線と、により構成されてなる、
請求項1または2記載の移相回路。 - 前記第2の分布定数線路の信号線は、蛇行してなる、
請求項3記載の移相回路。 - 請求項1ないし4いずれか記載の移相回路を備えてなる、
半導体素子。 - 請求項5記載の半導体素子と、
アンテナと、を備えてなる、
無線通信装置。
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