JP2004273832A - 常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温において凝固しない非水系電解液を提供し、さらには難燃性を有する非水系電解液を提供すること。
【解決手段】常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液において、電解液が凝固しない濃度範囲で該常温溶融塩を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液において、電解液が凝固しない濃度範囲で該常温溶融塩を含有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、例えば、電気二重層キャパシタの材料として好適に用いられる電解液常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液に係る。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−110472号公報
【特許文献2】WO 99/08299号公報
【非特許文献1】Ue et al., J. Electrochem. Soc. 141(2989)1994
電気二重層キャパシタ用の電解液には有機溶媒にテトラアルキルアンモニウム塩を溶解させた溶液が従来から使用されてきた。テトラアルキルアンモニウム塩の構造に関しては
【非特許文献1】Ue et al., J. Electrochem. Soc. 141(2989)1994等で詳細に検討されてきた結果、テトラエチルアンモニウムテトラフロロボレートやトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の固体状の電解質を、プロピレンカーボネート・アセトニトリル・γブチロラクトン等の非プロトン性溶媒に溶解させて使用されている。
【0003】
しかし、このような電解液は可燃性の有機溶媒を使用しているため、例えば車載用として検討した場合等、安全性に劣る欠点があった。
【0004】
固体状の電解質を溶媒に溶解させた非水電解液系では、電解液の電気伝導性は電解質の濃度とともに変化する。濃度の上昇とともに解液中のイオン濃度が増加することによって電気伝導度が増加するがやがて極大点に達する。電気伝導度が極大点に達し減少し始めるのは電解液中にイオンの数が増すにつれて、溶媒−イオン、イオン−イオン間の相互作用の増大によって電解質が解離しにくくなり、同時に電解液の粘度が増加するためと考えられている。電解質濃度がさらに増加するとそれ以上解離できなくなり、電解質濃度が飽和する。したがって電解質濃度を高めようとした場合には電解質が溶解しにくくなるといった問題があった。
【0005】
一方、常温溶融塩はイオンのからなることから蒸気圧が低く、難燃性であることが知られている。また液状であることから混合時にハンドリングしやすい。
【0006】
常温溶融塩を電気二重層キャパシタの電解液に応用した例として
【特許文献1】が挙げられる。しかし、常温溶融塩を単独で電解液としているため、低温領域においては電解液の粘性が大きくなり、または電解液が凝固してしまうために電解液の抵抗が増大してしまう。
【0007】
また、常温溶融塩を含む非水系電解液に関する報告として
【特許文献2】が挙げられる。請求項の中にはイミダゾリウム骨格が挙げられ、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートについての記載がある。また各々の濃度に関しては0.5M以上が好ましく、さらにはそれぞれ2M、3M以上が好ましいとされている。しかし、上限の濃度に関する説明はなく、また難燃性の効果に関する記載もない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は低温において凝固しない電解液を提供し、さらには難燃性を有する電解液を提供することとした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決すべく本発明者らが鋭意検討した結果、特定の常温溶融塩と特定の有機溶媒とからなる電解液が高い電気伝導性を有することを見出し、さらには特定の濃度範囲で混合することによって低温において凝固せず、さらに特定の範囲では難燃性が得られることを見出し、本発明を達成した。
【0010】
本発明の非水系電解液は、常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液において、電解液が凝固しない濃度範囲で該常温溶融塩を含有することを特徴とする。
該電解液が難燃化する濃度範囲で該常温溶融塩を含有することを特徴とする。
【0011】
一種類以上の1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートと有機溶媒とからなることを特徴とする。
【0012】
該1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートであることを特徴とする。
【0013】
該1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートであることを特徴とする。
【0014】
固体電解質を添加したことを特徴とする。
前記固体電解質が、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートの一方または混合した物であることを特徴とする。
前記固体電解質の添加量は、0.05mol/L〜2mol/Lであることを特徴とする。
【0015】
本発明の電気化学デバイスは、前記常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液を用いたことを特徴とする。電気化学デバイスとしては、例えば、電池、電気二重層キャパシタ、エレクトロクロミックデバイス等があげられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電解液は常温溶融塩と有機溶媒とからなることを特徴とする。
本発明の常温溶融塩は1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートである。1位に付いたアルキル基がプロピル基以上になるとイオンの移動度が低下するため電気伝導性が低下するので、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが好ましく、さらには1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートであることが好ましい。
【0017】
本発明で使用される有機溶媒は単一であっても混合溶媒であってもよい。溶媒が凝固すると、イオンが移動できなくなり、電気伝導性が低下してしまうため、有機溶媒の凝固点あるいは、混合溶媒にあっては最も高い凝固点が−40℃以下であることが好ましく、より好ましくは−50℃以下であり、特に好ましいのは−60℃以下である。例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、リン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、二トリル化合物、アミド化合物およびこれらの混合物などが挙げられ、これらのうち複数種の混合溶媒であってもよい。具体的には環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが挙げられ、鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。リン酸エステルとしてはリン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチルなどが挙げられる。環状エーテルとしてはテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられ、鎖状エーテルとしてはジメトキシエタンなどが挙げられる。ラクトン化合物としてはγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。鎖状エステルとしてメチルプロピオネート、エチルアセテート、メチルフォルメートなどが挙げられる。二トリル化合物としてはアセトニトリルなどが挙げられ、アミド化合物としてはジメチルフォルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒は単独でも複数種を混合してもよい。
【0018】
これらの中でも従来から非水電解液に用いられているプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリルなどが好適である。
【0019】
該常温溶融塩と該有機溶媒は任意の割合で混ざりあうので、常温溶融塩濃度を0から100まで変えると電解液の電気伝導度が変化し、上に凸型形状を示す。
その状態を図1に示す。
Xa:電解液が凝固しない、常温溶融塩の下限濃度
Xb:電解液が凝固しない、常温溶融塩の上限濃度
Xm:電気伝導度の極大値を与える常温溶融塩濃度
σm:電気伝導度の極大値
σr:常温溶融塩単体の電気伝導度
X1:電解液が難燃化する、常温溶融塩の下限濃度
【0020】
常温溶融塩濃度が0の時は有機溶媒のみなので電気伝導性をほとんどもたない。常温溶融塩は有機溶媒と比較して粘度が高いため、常温溶融塩濃度が高くなるにつれて電解液の粘度も増加する。そのため固体状の電解質を有機溶媒に溶解させた場合と同様に、常温溶融塩濃度が増すにつれてイオン濃度が大きくなるため電気伝導度は増加するが常温溶融塩濃度がXmのとき極大値σmをもつ。常温溶融塩の濃度がさらに増加すると粘性の増加によって電気伝導度が減少し、濃度が100のときσrに落ち着く。σrは常温溶融塩単体が示す電気伝導度を意味している。電気伝導度の極大値σm、極大値を示す濃度Xm、常温溶融塩単体が示す電気伝導度σrは有機溶媒あるいは常温溶融塩の種類によって異なる。
また常温溶融塩は難燃性であるため、可燃性の有機溶媒に常温溶融塩を加えていくと難燃性が発現する常温溶融塩濃度X1が存在する。難燃性が発現する常温溶融塩濃度X1は有機溶媒の種類または常温溶融塩の種類によって異なる。
【0021】
また、常温溶融塩濃度が希薄な場合は溶媒の凝固点より低い温度で電解液が凝固するが、常温溶融塩濃度がXa以上になると凝固点が消失する。一方、常温溶融塩濃度が濃厚な場合には常温溶融塩の影響が大きくなり、塩の融点近傍で凝固が起こる。しかし、常温溶融塩濃度がXb以下では凝固点がなくなる。したがって、常温溶融塩濃度がXaからXbの範囲では低温域においても電解液の凝固が生じない。XaおよびXbは有機溶媒の種類と常温溶融塩の種類によって異なる。
【0022】
以上のことから、常温溶融塩濃度をXaからXbの範囲で混合すれば低温においても凝固しない電解液が得られ、またX1からXbの範囲で混合すれば難燃性を有するとともに低温においても凝固しない電解液が得られる。
【0023】
【実施例】
本発明を、実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
(難燃性の評価)
尚、電解液の難燃性は以下の方法で評価した。紙ワイプを長さ20cm直径約3mmに依り、端から10cmの部分に電解液0.5mlを染み込ませた。その後端部に着火した。炎が電解液を染み込ませた部分に到達した時点で、自己消火性の有無を確認した。
【0024】
(融点の評価)
リガク社製示差熱分析計を使用した。サンプル重量は約20mgとし、液体アルゴンによって−150℃まで急冷した後、5℃/minで昇温した。融点はベースライン接線とピーク勾配の接線との交点から求めた。
【0025】
(電気伝導度の測定)
Radiometer社製電気伝導度メーターを使用した。測定セルとしてCDC641Tを使用した。
【0026】
(実施例1)
常温溶融塩として1−エチル3−メチルイミダゾリウムテトラフロロボレート(EMIBF4)、有機溶媒としてプロピレンカーボネートを用いた溶液を調整した。常温溶融塩の濃度を変えて、電気伝導度測定・難燃性評価・低温熱特性の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0027】
常温溶融塩を30wt%から90wt%の範囲でプロピレンカーボネート溶媒に混合すれば低温でも良好な電気伝導性の電解液が得られ、さらに60wt%から90wt%の範囲で混合すれば難燃性を有するとともに低温でも固化しない電解液が得られる。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
低温において凝固しない電解液が得られる。
難燃性を有する電解液が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】常温溶融塩濃度と電気伝導度との関係を示すグラフである。
【発明の属する分野】
本発明は、例えば、電気二重層キャパシタの材料として好適に用いられる電解液常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液に係る。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−110472号公報
【特許文献2】WO 99/08299号公報
【非特許文献1】Ue et al., J. Electrochem. Soc. 141(2989)1994
電気二重層キャパシタ用の電解液には有機溶媒にテトラアルキルアンモニウム塩を溶解させた溶液が従来から使用されてきた。テトラアルキルアンモニウム塩の構造に関しては
【非特許文献1】Ue et al., J. Electrochem. Soc. 141(2989)1994等で詳細に検討されてきた結果、テトラエチルアンモニウムテトラフロロボレートやトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の固体状の電解質を、プロピレンカーボネート・アセトニトリル・γブチロラクトン等の非プロトン性溶媒に溶解させて使用されている。
【0003】
しかし、このような電解液は可燃性の有機溶媒を使用しているため、例えば車載用として検討した場合等、安全性に劣る欠点があった。
【0004】
固体状の電解質を溶媒に溶解させた非水電解液系では、電解液の電気伝導性は電解質の濃度とともに変化する。濃度の上昇とともに解液中のイオン濃度が増加することによって電気伝導度が増加するがやがて極大点に達する。電気伝導度が極大点に達し減少し始めるのは電解液中にイオンの数が増すにつれて、溶媒−イオン、イオン−イオン間の相互作用の増大によって電解質が解離しにくくなり、同時に電解液の粘度が増加するためと考えられている。電解質濃度がさらに増加するとそれ以上解離できなくなり、電解質濃度が飽和する。したがって電解質濃度を高めようとした場合には電解質が溶解しにくくなるといった問題があった。
【0005】
一方、常温溶融塩はイオンのからなることから蒸気圧が低く、難燃性であることが知られている。また液状であることから混合時にハンドリングしやすい。
【0006】
常温溶融塩を電気二重層キャパシタの電解液に応用した例として
【特許文献1】が挙げられる。しかし、常温溶融塩を単独で電解液としているため、低温領域においては電解液の粘性が大きくなり、または電解液が凝固してしまうために電解液の抵抗が増大してしまう。
【0007】
また、常温溶融塩を含む非水系電解液に関する報告として
【特許文献2】が挙げられる。請求項の中にはイミダゾリウム骨格が挙げられ、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートについての記載がある。また各々の濃度に関しては0.5M以上が好ましく、さらにはそれぞれ2M、3M以上が好ましいとされている。しかし、上限の濃度に関する説明はなく、また難燃性の効果に関する記載もない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は低温において凝固しない電解液を提供し、さらには難燃性を有する電解液を提供することとした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決すべく本発明者らが鋭意検討した結果、特定の常温溶融塩と特定の有機溶媒とからなる電解液が高い電気伝導性を有することを見出し、さらには特定の濃度範囲で混合することによって低温において凝固せず、さらに特定の範囲では難燃性が得られることを見出し、本発明を達成した。
【0010】
本発明の非水系電解液は、常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液において、電解液が凝固しない濃度範囲で該常温溶融塩を含有することを特徴とする。
該電解液が難燃化する濃度範囲で該常温溶融塩を含有することを特徴とする。
【0011】
一種類以上の1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートと有機溶媒とからなることを特徴とする。
【0012】
該1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートであることを特徴とする。
【0013】
該1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートであることを特徴とする。
【0014】
固体電解質を添加したことを特徴とする。
前記固体電解質が、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートの一方または混合した物であることを特徴とする。
前記固体電解質の添加量は、0.05mol/L〜2mol/Lであることを特徴とする。
【0015】
本発明の電気化学デバイスは、前記常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液を用いたことを特徴とする。電気化学デバイスとしては、例えば、電池、電気二重層キャパシタ、エレクトロクロミックデバイス等があげられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電解液は常温溶融塩と有機溶媒とからなることを特徴とする。
本発明の常温溶融塩は1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートである。1位に付いたアルキル基がプロピル基以上になるとイオンの移動度が低下するため電気伝導性が低下するので、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが好ましく、さらには1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートであることが好ましい。
【0017】
本発明で使用される有機溶媒は単一であっても混合溶媒であってもよい。溶媒が凝固すると、イオンが移動できなくなり、電気伝導性が低下してしまうため、有機溶媒の凝固点あるいは、混合溶媒にあっては最も高い凝固点が−40℃以下であることが好ましく、より好ましくは−50℃以下であり、特に好ましいのは−60℃以下である。例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、リン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、二トリル化合物、アミド化合物およびこれらの混合物などが挙げられ、これらのうち複数種の混合溶媒であってもよい。具体的には環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが挙げられ、鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。リン酸エステルとしてはリン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチルなどが挙げられる。環状エーテルとしてはテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられ、鎖状エーテルとしてはジメトキシエタンなどが挙げられる。ラクトン化合物としてはγ−ブチロラクトンなどが挙げられる。鎖状エステルとしてメチルプロピオネート、エチルアセテート、メチルフォルメートなどが挙げられる。二トリル化合物としてはアセトニトリルなどが挙げられ、アミド化合物としてはジメチルフォルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒は単独でも複数種を混合してもよい。
【0018】
これらの中でも従来から非水電解液に用いられているプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリルなどが好適である。
【0019】
該常温溶融塩と該有機溶媒は任意の割合で混ざりあうので、常温溶融塩濃度を0から100まで変えると電解液の電気伝導度が変化し、上に凸型形状を示す。
その状態を図1に示す。
Xa:電解液が凝固しない、常温溶融塩の下限濃度
Xb:電解液が凝固しない、常温溶融塩の上限濃度
Xm:電気伝導度の極大値を与える常温溶融塩濃度
σm:電気伝導度の極大値
σr:常温溶融塩単体の電気伝導度
X1:電解液が難燃化する、常温溶融塩の下限濃度
【0020】
常温溶融塩濃度が0の時は有機溶媒のみなので電気伝導性をほとんどもたない。常温溶融塩は有機溶媒と比較して粘度が高いため、常温溶融塩濃度が高くなるにつれて電解液の粘度も増加する。そのため固体状の電解質を有機溶媒に溶解させた場合と同様に、常温溶融塩濃度が増すにつれてイオン濃度が大きくなるため電気伝導度は増加するが常温溶融塩濃度がXmのとき極大値σmをもつ。常温溶融塩の濃度がさらに増加すると粘性の増加によって電気伝導度が減少し、濃度が100のときσrに落ち着く。σrは常温溶融塩単体が示す電気伝導度を意味している。電気伝導度の極大値σm、極大値を示す濃度Xm、常温溶融塩単体が示す電気伝導度σrは有機溶媒あるいは常温溶融塩の種類によって異なる。
また常温溶融塩は難燃性であるため、可燃性の有機溶媒に常温溶融塩を加えていくと難燃性が発現する常温溶融塩濃度X1が存在する。難燃性が発現する常温溶融塩濃度X1は有機溶媒の種類または常温溶融塩の種類によって異なる。
【0021】
また、常温溶融塩濃度が希薄な場合は溶媒の凝固点より低い温度で電解液が凝固するが、常温溶融塩濃度がXa以上になると凝固点が消失する。一方、常温溶融塩濃度が濃厚な場合には常温溶融塩の影響が大きくなり、塩の融点近傍で凝固が起こる。しかし、常温溶融塩濃度がXb以下では凝固点がなくなる。したがって、常温溶融塩濃度がXaからXbの範囲では低温域においても電解液の凝固が生じない。XaおよびXbは有機溶媒の種類と常温溶融塩の種類によって異なる。
【0022】
以上のことから、常温溶融塩濃度をXaからXbの範囲で混合すれば低温においても凝固しない電解液が得られ、またX1からXbの範囲で混合すれば難燃性を有するとともに低温においても凝固しない電解液が得られる。
【0023】
【実施例】
本発明を、実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
(難燃性の評価)
尚、電解液の難燃性は以下の方法で評価した。紙ワイプを長さ20cm直径約3mmに依り、端から10cmの部分に電解液0.5mlを染み込ませた。その後端部に着火した。炎が電解液を染み込ませた部分に到達した時点で、自己消火性の有無を確認した。
【0024】
(融点の評価)
リガク社製示差熱分析計を使用した。サンプル重量は約20mgとし、液体アルゴンによって−150℃まで急冷した後、5℃/minで昇温した。融点はベースライン接線とピーク勾配の接線との交点から求めた。
【0025】
(電気伝導度の測定)
Radiometer社製電気伝導度メーターを使用した。測定セルとしてCDC641Tを使用した。
【0026】
(実施例1)
常温溶融塩として1−エチル3−メチルイミダゾリウムテトラフロロボレート(EMIBF4)、有機溶媒としてプロピレンカーボネートを用いた溶液を調整した。常温溶融塩の濃度を変えて、電気伝導度測定・難燃性評価・低温熱特性の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0027】
常温溶融塩を30wt%から90wt%の範囲でプロピレンカーボネート溶媒に混合すれば低温でも良好な電気伝導性の電解液が得られ、さらに60wt%から90wt%の範囲で混合すれば難燃性を有するとともに低温でも固化しない電解液が得られる。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
低温において凝固しない電解液が得られる。
難燃性を有する電解液が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】常温溶融塩濃度と電気伝導度との関係を示すグラフである。
Claims (9)
- 常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液において、電解液が凝固しない濃度範囲で該常温溶融塩を含有することを特徴とする常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液。
- 該電解液が難燃化する濃度範囲で該常温溶融塩を含有することを特徴とする請求項1記載の常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液。
- 一種類以上の1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートと有機溶媒とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液。
- 該1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートであることを特徴とする請求項3に記載の常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液。
- 該1−アルキル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートであることを特徴とする請求項3に記載の常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液。
- 固体電解質を添加したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液。
- 前記固体電解質が、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートの一方または混合した物であることを特徴とする請求項6に記載の電解液。
- 前記固体電解質の添加量は、0.05mol/L〜2mol/Lであることを特徴とする請求項6又は7記載の常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液。
- 請求項1〜8いずれか1項記載の常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液を用いたことを特徴とする電気化学デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003063702A JP2004273832A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003063702A JP2004273832A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | 常温溶融塩と有機溶媒とからなる非水系電解液 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006269946A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Sii Micro Parts Ltd | キャパシタおよびその製造方法 |
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JP2006319322A (ja) * | 2005-04-12 | 2006-11-24 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 電気二重層キャパシタ |
JP2007109698A (ja) * | 2005-10-11 | 2007-04-26 | Kaneka Corp | イオン性液体と有機溶媒を含む電解液 |
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JP2010251797A (ja) * | 2010-07-09 | 2010-11-04 | Seiko Instruments Inc | キャパシタおよびその製造方法 |
-
2003
- 2003-03-10 JP JP2003063702A patent/JP2004273832A/ja not_active Withdrawn
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