JP2004272979A - 多値データ信号の直流成分制御方法と直流成分制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多値データ信号の直流成分を制御するために付加した冗長データの再生時の誤りの影響を抑え、テストデータ及び所定の変換ルールに従って変換した多値データを記録する時の多値データ信号の直流成分制御を行えるようにする。
【解決手段】2値データを多値データ信号に変換するとき、第1変換部1と第2変換部2でそれぞれ同一の2値データ系列を異なる2種類の変換方法で多値データ信号に変換し、第1直流成分算出部3で第1変換部1の出力した多値データ信号の直流成分を、第2直流成分算出部4で第2変換部2の出力した多値データ信号の直流成分をそれぞれ算出し、比較部5と第1セレクタ6によって直流成分が0に近い方の多値データ信号を選択し、第2セレクタ7によってその選択した多値データ信号に2種類の変換方法を区別するデータ信号を付加して出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】2値データを多値データ信号に変換するとき、第1変換部1と第2変換部2でそれぞれ同一の2値データ系列を異なる2種類の変換方法で多値データ信号に変換し、第1直流成分算出部3で第1変換部1の出力した多値データ信号の直流成分を、第2直流成分算出部4で第2変換部2の出力した多値データ信号の直流成分をそれぞれ算出し、比較部5と第1セレクタ6によって直流成分が0に近い方の多値データ信号を選択し、第2セレクタ7によってその選択した多値データ信号に2種類の変換方法を区別するデータ信号を付加して出力する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク等の情報記録媒体に多値データを記録する時の多値データ信号の直流成分を制御する多値データ信号の直流成分制御方法及び光ディスク装置等の情報記憶装置に搭載される情報記録媒体に記録する多値データ信号の直流成分を制御する直流成分制御装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、多値データを変調して情報記録媒体等に記録する時、記録信号の直流成分を0に近づけるために冗長な多値データを追加してから変調しているが、複数通りの冗長多値データを追加した場合の変調後の直流成分を算出し、最も直流成分が0に近くなる場合の冗長多値データを採用している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開第WO 01/58102 A1号パンフレット
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、冗長な多値データを追加してから変調(差分符号化)しているため、データ再生時に冗長データが誤ると、その誤りが後のデータにも影響を与えるという問題があった。
そこで、次のような技術が提案されている。
まず、光ディスク上の隣接データ間の距離が短いため、信号再生時にレーザ光スポット内に複数のマークが含まれる事によって生ずる符号間干渉をデータ間の相関と見なして、パターン認識によって多値データを検出する。事前に、連続3点の多値データの全組合せを記録したテストデータを再生して、パターン認識用のテーブルを作成する。また、多値データを検出する時は、連続3点のデータを入力し、テーブル上のパターンに最も近いパターンを検索して、多値データの判定結果とする。
【0005】
さらに、2値データを多値データに変換する時に以下の処理を行っておく。
複数個の多値データを1セットとして扱い、各多値データの上位ビットには2値データをそのまま配置し、下位1ビットに所定の変換ルールによるデータを配置する。多値データの再生時には、下位1ビットが誤りやすいため、所定の変換ルールに従ったデータである事を利用して多値データを判定する。したがって、所定の変換ルールにより1ビットの冗長データが発生するが、多値データの判定精度は向上する。
上記の2通りの多値データの判定方法を組合せとパターン認識によって検出した多値データの下位1ビットが所定の変換ルールに従っていれば、パターン認識によって検出した多値データを最終判定結果として出力する。一方、所定の変換ルールに従っていなければ、所定の変換ルールに従ったデータである事を利用した判定結果を最終判定結果として出力する。
【0006】
しかし、上述のような技術では、テストデータ及び所定の変換ルールに従って変換した多値データを情報記録媒体に記録する時に、直流成分の制御が行われていないので、データ再生時に再生信号が直流成分を持ち、サーボ制御に悪影響を与えるという問題が生じる。
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、多値データ信号の直流成分を制御するために付加した冗長データの再生時の誤りの影響を抑え、テストデータ及び所定の変換ルールに従って変換した多値データを記録する時の多値データ信号の直流成分制御を行えるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、次の(1)〜(4)の多値データ信号の直流成分制御方法を提供する。
(1)2値データを多値データ信号に変換するとき、同一の2値データ系列を異なる2種類の変換方法で多値データ信号に変換し、その2種類の多値データ信号の直流成分を算出し、その直流成分が0に近い方の多値データ信号に上記2種類の変換方法を区別するデータ信号を付加する多値データ信号の直流成分制御方法。
(2)(1)の多値データ信号の直流成分制御方法において、上記2種類の変換方法を区別するデータ信号を、上記多値データ信号の最大値と最小値にした多値データ信号の直流成分制御方法。
【0008】
(3)複数個の多値データからなる多値データ系列を多値データ信号に変換するとき、所定量の多値データ毎に対応する多値データ信号の直流成分を算出し、その直流成分が0に近づくように上記所定量の多値データ毎に挿入する1個以上の多値データの値を決定し、その決定した1個以上の多値データを上記所定量の多値データ毎に挿入する多値データ信号の直流成分制御方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかの多値データ信号の直流成分制御方法において、上記多値データ信号の直流成分を、隣接する多値データ信号への影響成分を加算することによって算出する多値データ信号の直流成分制御方法。
【0009】
さらに、次の(5)〜(8)の多値データ信号の直流成分制御装置も提供する。
(5)2値データを多値データ信号に変換する第1の変換手段と、その第1の変換手段とは異なる種類の変換方法で多値データ信号を変換する第2の変換手段と、上記第1の変換手段と上記第2の変換手段によってそれぞれ同一の2値データ系列を変換した多値データ信号の直流成分を算出する直流成分算出手段と、その直流成分算出手段によって算出された直流成分が0に近い方の多値データ信号を選択して出力する選択出力手段と、その選択出力手段によって出力された多値データ信号に上記第1の変換手段と上記第2の変換手段のいずれによって変換されたかを区別するデータ信号を付加する区別データ信号付加手段を備えた多値データ信号の直流成分制御装置。
【0010】
(6)(5)の多値データ信号の直流成分制御装置において、上記区別データ信号付加手段を、上記選択出力手段によって出力された多値データ信号に上記第1の変換手段と上記第2の変換手段のいずれによって変換されたかを区別するデータ信号として上記多値データの最大値と最小値を付加する手段にした多値データ信号の直流成分制御装置。
【0011】
(7)複数個の多値データからなる多値データ系列の所定量の多値データ毎に対応する多値データ信号の直流成分を算出する直流成分算出手段と、その直流成分算出手段によって算出した直流成分が0に近づくように上記所定量の多値データ毎に挿入する1個以上の多値データの値を決定する挿入多値データ決定手段と、その挿入多値データ決定手段によって決定した1個以上の多値データを上記所定量の多値データ毎に挿入する多値データ挿入手段を備えた多値データ信号の直流成分制御装置。
(8)(5)〜(7)のいずれかの多値データ信号の直流成分制御装置において、上記直流成分算出手段を、上記多値データ信号の直流成分を隣接する多値データへの影響成分を加算することによって算出する手段にした多値データ信号の直流成分制御装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の第1実施形態である多値データ信号の直流成分制御装置の機能構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示した第1変換部1と第2変換部2の回路構成例を示すブロック図であり、この直流成分制御装置はこの発明の請求項1,2,4,5,6,8に係る。
この多値データ信号の直流成分制御装置は、第1変換部1,第2変換部2,第1直流成分算出部3,第2直流成分算出部4,比較部5,第1セレクタ6,第2セレクタ7からなり、その各部は、コンピュータプログラムによるソフトウェアで実現可能である。
【0013】
また、図2に示した第1〜第(n−k)セレクタA11(nは2以上の整数,kは1以上且つn>kである整数),回路で上記第1変換部1と第2変換部2の部分を実現すれば、この直流成分制御装置を回路としても実現できる。
この回路は、(n×m−1)ビットのパラレルデータ(mは2以上の整数)を入力し、1シンボルをnビットとするパラレルデータを出力する。入力データをmビットずつ入力し、その内の1ビットを出力する第1〜第(n−k)の第1〜第(n−k)セレクタA11と、その他の入力データの(m×k−1)ビットを(m×k)ビットに変換する変換回路12と、その変換回路12の(m×k)ビットの出力を入力し、その内の1ビットを出力するセレクタB13が主な回路構成要素である。その他に、入出力データのタイミングに合わせて、各セレクタの切換を制御するための回路等が必要であるが、図示を省略した。
【0014】
次に、この発明の参考となる動作例として、図2に示した回路における2値データを多値データに変換する動作例について説明する。一例として、m=2,n=3,k=2の場合について説明する。
入力の(n×m−1)=(3×2−1)=5ビットのパラレルデータをMSBからd0,d1,d2,d3,d4とし、下位(m×k−1)=(2×2−1)=3ビット(d2,d3,d4)を変換回路12で(m×k)=(2×2)=4ビット(b0,b1,b2,b3)に変換する。変換回路12は、半導体メモリや論理回路を使用して変換テーブルを実現してもよいし、「0」又は「1」を付加する簡単な変換であれば、配線の追加だけで実現できる。
【0015】
その後、(n−k)=1個の第1〜第(n−k)セレクタA11とセレクタB13の出力を順次切り換えて、2個のシンボル(S1、S2)にビットデータが配置されるようにして、3ビットのパラレルデータを出力する。
このように、簡単なハードウェア構成によって2値データを多値データに変換することができる。
【0016】
すなわち、上記第1変換部1が上述の第1変換手段に、上記第2変換部2が上述の第2変換手段にそれぞれ相当する。また、上記第1直流成分算出部3と第2直流成分算出部4が上述の直流成分算出手段の機能を果たす。さらに、上記比較部5と第1セレクタ6が上述の選択出力手段の機能を、上記比較部5と第2セレクタ7が上述の区別データ信号付加手段の機能をそれぞれ果たす。
【0017】
次に、この直流成分制御装置におけるこの発明の請求項1と5に係る機能及び動作について説明する。
この直流成分制御装置は、まず、同一の2値データ系列(2値データ)を上記第1変換部及び第2変換部による2種類の変換方法によって多値データに変換する。その変換方法には、公知技術を用いればよく、一例として、図4に示すように、3ビットからなる多値データ(8値:0〜7)の2個(S1,S2)を1セットとし、入力の5ビットの2値データ(d0,d1,d2,d3,d4)のうちの2ビット(d0,d1)をS1とS2の最上位ビット(Most Significant Bit:MSB)に配置する。
【0018】
また、残りの3ビット(d2,d3,d4)は、図3に示す変換テーブルを使用して、4ビットデータ(b0,b1,b2,b3)に変換する。そして、変換後の4ビットデータを、S1とS2の最下位ビット(Least Significant Bit:LSB)側に、図4に示すように配置する。
【0019】
図3に示す変換テーブルは、(1)と(2)の2種類の変換テーブルを含んでいる。1セット毎に使用する変換テーブルを指定するパラメータとして、Pを定義する。一例として、P=0の時は変換テーブル(1)を、P=1の時は変換テーブル(2)を使用する。また、第1セットのPの初期値をP(1)とし、第2セット以降の第iセットでのP(i)を次の数1に示す演算式で定義する。そのeorは排他的論理和演算子である。
【0020】
【数1】
P(i)=P(i−1)eor(i−1)セットのb1
【0021】
図1の第1変換部1では、Pの初期値を0として、一例として8セット分の変換を行う。また、第2変換部2では、Pの初期値を1として、第1変換部1と同じ2値データを入力して8セット分の変換を行う。
次に、上記第1変換部1と第2変換部2で得られた2種類の変換結果の多値データ系列をそれぞれ上記第1直流成分算出部3と第2直流成分算出部4で多値データ信号として見た場合の直流成分を算出する。
以下に上記第1直流成分算出部3と第2直流成分算出部4における直流成分の算出方法を述べる。
図5は、多値データxを直流成分を算出するための信号値yに変換するための変換表を示す図である。そのxとyには次の数2に示す演算式の関係がある。
【0022】
【数2】
y=2×x−7
【0023】
数2の演算式に基づく演算処理で複数個の多値データを信号値に変換して加算すると、その加算値は複数個の多値データに対応する信号(多値データ信号)の直流成分を表す。そして、各種の光ディスクなどの記録媒体に記録する信号としては、その加算値を0に近づける必要がある。
そこで、この直流成分制御装置では、上述した2値データを2種類の方法で変換し、上記比較部5によって上記第1直流成分算出部3と第2直流成分算出部4からそれぞれ出力された信号値を比較し、その比較結果に基づいてその直流成分が0に近くなる方(近い方)を選択採用するように第1セレクタ6を切り替え、第1セレクタ6は上記第1変換部1又は上記第2変換部2からの信号のいずれかを第2セレクタ7へ出力する。
【0024】
さらに、データ再生時にその採用した方の変換方法が分かるように、比較部5は第2セレクタ7へ上記2種類の変換方法を区別するデータ信号としてPの初期値(0又は1)を送り、上記2種類の変換方法を区別するデータ信号としてPの初期値(0又は1)を挿入して付加する。
【0025】
図6は、変換後の多値データに変換方法を区別するデータ信号を付加したときのフォーマットを示す図である。
同図に示すように、8セット分の変換結果の多値データに、上記2種類の変換方法を区別するデータ信号としてPの初期値(0又は1)を挿入して付加する。
従って、変換後の多値データ信号の直流成分の算出には、それまでに確定した多値データ信号の直流成分の値と、挿入した初期値も加算する。
次に、2種類の変換結果の直流成分の値を比較し、0に近いほうの変換結果を図1の第1セレクタ6で出力し、更に、第2セレクタ7で初期値を変換結果に接続して出力する。
【0026】
このようにして、同一の2値データ系列を異なる2種類の変換方法で多値データ信号に変換し、直流成分が0に近い方の多値データ信号に2種類の変換方法を区別するデータ信号を付加しているので、付加したデータの誤りが変換結果に影響を与えない多値データ信号の直流成分制御ができる。
また、上述の多値データ信号の直流成分制御方法を回路として実現しているので、高速動作が可能になる。
【0027】
次に、この直流成分制御装置におけるこの発明の請求項2と6に係る機能及び動作について説明する。
上記の第1実施形態の直流成分制御装置では、上記2種類の変換方法を区別するデータ信号として挿入するPの初期値として0又は1を挿入しているが、それを多値データの最大値“7”と最小値“0”に対応させても良い。
このように、初期値は0と1の2値であるため、7と0にすると両者の信号値が離れているので、データ再生時のエラーの確率を低減できる。
このようにして、2種類の変換方法を区別するデータ信号を多値データの最大値と最小値であるため、付加したデータが誤る確率を低減することができる。
【0028】
次に、この直流成分制御装置におけるこの発明の請求項4と8に係る機能及び動作について説明する。
図7は、多値データにおける隣接データの影響(符号間干渉)の説明に供する波形図である。
上述の第1実施形態の直流成分制御装置では、多値データxを直流成分を算出するための信号値yに変換する時に、1個の多値データxから算出しているが、実際には、図7に示すように、隣接データの影響(符号間干渉)がある。同図には、現データが“0”から“7”の時に、隣接データが共に“0”である時の再生信号の例を示しており、前データは“0”であるにもかかわらず、現データの影響で“0”ではない信号値になっている。この隣接データへの影響を、現データの比率で表して直流成分を算出しても良い。
【0029】
以下に、その算出処理について説明する。
ここでは、説明を簡単にするために、隣接データの影響は前後対象であり、現データの値(0〜7)に無関係で一定であるとする。
もちろん、隣接データへの影響を前後非対象とし、現データの値(0〜7)毎に定義しても良い。その方が、より精度の高い直流成分算出が行える。
図8は、複数個の多値データx(j)を直流成分を算出するための信号値y(j)に変換する計算時の各値の一覧を示す図である。
ここでは、隣接データへの影響の比率を0.2にした。まず、x(j)から符号間干渉を考慮した時のデータ値s(j)を求める。
x1(1)の前の多値データは0にすると、次のデータ(5)の影響を受けるだけなので、s1は次の数3に示す演算式に基づく演算処理で算出できる。
【0030】
【数3】
s1=1+0.2×5=2.0
【0031】
また、x2(5)に対しては、前後のデータの影響を受けるので、s2は次の数4に示す演算式に基づく演算処理で算出できる。
【0032】
【数4】
s2=0.2×1+5+0.2×3=5.8
【0033】
一般に、s(j)は次の数5に示す演算式に基づく演算処理で算出できる。
【0034】
【数5】
s(j)=0.2×x(j−1)+x(j)+0.2×x(j+1)
【0035】
次に、s(j)のとり得る最大値と最小値の平均値zをs(j)から減算する。符号間干渉を考慮しない時は、多値データの最大値(7)と最小値(0)の平均値(3.5)が“0”に近づくように(なるように)変換していたが、符号間干渉を考慮する時は、s(j)の最大値と最小値の平均値zが“0”に近づくように(なるように)変換する。
ここで、s(j)の最小値は“0”であり、s(j)の最大値は現データと前後データとが共に“7”の時に最大値になり、図8のs(5)=9.8が最大値であるから、z=4.9である。したがって、次の数6に示す演算式に基づく演算処理でy(j)を算出できる。
【0036】
【数6】
y(j)=s(j)−z=s(j)−4.9
【0037】
以上の手順で求めたy(j)を加算して多値データ信号の直流成分を求めると、符号間干渉を考慮したより正確な直流成分が算出できる。
このようにして、多値データ信号の直流成分の算出処理において、隣接する多値データへの影響を考慮しているので、より正確な直流成分の算出ができる。
【0038】
次に、この直流成分制御装置におけるこの発明の請求項3と7に係る機能及び動作について説明する。
上述の第1実施形態では、2値データを多値データに変換する時の多値データ信号の直流成分制御方法および直流成分制御装置(直流成分制御回路)を示したが、以下では、この発明の第2実施形態として、入力が所定の多値データ系列である時の多値データ信号の直流成分制御方法および直流成分制御装置(直流成分制御回路)を示す。
この第2実施形態の直流成分制御装置は、公知技術のパターン認識によって多値データを検出する時に必要となる、テストデータを記録する時の直流成分制御を行う。
【0039】
図9は、上記多値データとは別に記録媒体に記録するテストデータの一例を示す図である。
このテストデータは、同図に示すように、8値データが3シンボル連続する場合の全組合せ(8の3乗=512通り)を記述したテストデータである。
符号間干渉が隣接する前後の多値データのみに影響する場合に、3シンボル連続する場合の全組合せを記述したテストデータを記録する。
また、符号間干渉が、前の2シンボル及び後の2シンボルのデータに影響する場合は、5シンボル連続する場合の全組合せ(8の5乗=32768通り)を記述したテストデータを記録する。
【0040】
図10は、直流成分を制御する場合のテストデータの並びのフォーマット例を示す図である。同図に示すように、テストデータを一定量毎に分割し、1個以上の多値データを挿入する。
図11は、第2実施形態の直流成分制御装置の機能構成を示すブロック図である。この直流成分制御装置はこの発明の請求項3,4,7,8に係る。
この多値データ信号の直流成分制御装置は、直流成分算出部21,挿入データ決定部22,セレクタ23からなり、その各部は、コンピュータプログラムによるソフトウェアで実現可能である。また、上述と同様にして回路としても実現できる。
すなわち、上記直流成分算出部21が上述の直流成分算出手段の機能を、上記挿入データ決定部22が上述の挿入多値データ決定手段の機能を、上記セレクタ23が上述の多値データ挿入手段の機能をそれぞれ果たす。
【0041】
まず、直流成分算出部21に一定量(所定量)のテストデータの多値データ系列(多値データ)を入力したら、多値データを信号値に変換し、終端の多値データまでの直流成分を算出して出力する。さらに、挿入データ決定部22において直流成分算出部21で得られた直流成分値を0に近づけるように、所定量の多値データ毎に挿入する1個以上の多値データの値を決定する。その後、セレクタ23によって一定量のテストデータ毎に上記決定した1個以上の多値データを挿入して出力する。
【0042】
このようにして、所定量の多値データ毎に1個以上の多値データを挿入し、上記所定量の多値データ毎に対応する多値データ信号の直流成分を算出し、上記直流成分が0に近づくように挿入する多値データの値を決定しているので、テストパターンの記録時の多値データ信号の直流成分制御ができる。
また、上述の多値データ信号の直流成分制御方法を回路として実現しているので、高速動作が可能になる。
【0043】
また、この第2実施形態の直流成分制御装置における直流成分の算出でも、上述の第1実施形態と同様にして、図8によって説明した算出処理を使用するとよい。
このようにして、多値データ信号の直流成分の算出処理において、隣接する多値データへの影響を考慮しているので、より正確な直流成分の算出ができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の多値データ信号の直流成分制御方法と直流成分制御装置によれば、多値データ信号の直流成分を制御するために付加した冗長データの再生時の誤りの影響を抑え、テストデータ及び所定の変換ルールに従って変換した多値データを記録する時の多値データ信号の直流成分制御を行えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態である多値データ信号の直流成分制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した第1変換部1と第2変換部2の回路構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した第1変換部1と第2変換部2における変換処理の説明に供する図である。
【図4】同じく図1に示した第1変換部1と第2変換部2における変換処理の説明に供する図である。
【図5】多値データxを直流成分を算出するための信号値yに変換するための変換表を示す図である。
【図6】変換後の多値データに変換方法を区別するデータ信号を付加したときのフォーマットを示す図である。
【図7】多値データにおける隣接データの影響(符号間干渉)の説明に供する波形図である。
【図8】複数個の多値データx(j)を直流成分を算出するための信号値y(j)に変換する計算時の各値の一覧を示す図である。
【図9】多値データとは別に記録媒体に記録するテストデータの一例を示す図である。
【図10】直流成分を制御する場合のテストデータの並びのフォーマット例を示す図である。
【図11】この発明の第2実施形態の直流成分制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1:第1変換部 2:第2変換部
3:第1直流成分算出部
4:第2直流成分算出部
5:比較部
6:第1セレクタ 7:第2セレクタ
11:第1〜第(n−k)セレクタA
12:変換回路 13:セレクタB
21:直流成分算出部
22:挿入データ決定部
23:セレクタ
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク等の情報記録媒体に多値データを記録する時の多値データ信号の直流成分を制御する多値データ信号の直流成分制御方法及び光ディスク装置等の情報記憶装置に搭載される情報記録媒体に記録する多値データ信号の直流成分を制御する直流成分制御装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、多値データを変調して情報記録媒体等に記録する時、記録信号の直流成分を0に近づけるために冗長な多値データを追加してから変調しているが、複数通りの冗長多値データを追加した場合の変調後の直流成分を算出し、最も直流成分が0に近くなる場合の冗長多値データを採用している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開第WO 01/58102 A1号パンフレット
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、冗長な多値データを追加してから変調(差分符号化)しているため、データ再生時に冗長データが誤ると、その誤りが後のデータにも影響を与えるという問題があった。
そこで、次のような技術が提案されている。
まず、光ディスク上の隣接データ間の距離が短いため、信号再生時にレーザ光スポット内に複数のマークが含まれる事によって生ずる符号間干渉をデータ間の相関と見なして、パターン認識によって多値データを検出する。事前に、連続3点の多値データの全組合せを記録したテストデータを再生して、パターン認識用のテーブルを作成する。また、多値データを検出する時は、連続3点のデータを入力し、テーブル上のパターンに最も近いパターンを検索して、多値データの判定結果とする。
【0005】
さらに、2値データを多値データに変換する時に以下の処理を行っておく。
複数個の多値データを1セットとして扱い、各多値データの上位ビットには2値データをそのまま配置し、下位1ビットに所定の変換ルールによるデータを配置する。多値データの再生時には、下位1ビットが誤りやすいため、所定の変換ルールに従ったデータである事を利用して多値データを判定する。したがって、所定の変換ルールにより1ビットの冗長データが発生するが、多値データの判定精度は向上する。
上記の2通りの多値データの判定方法を組合せとパターン認識によって検出した多値データの下位1ビットが所定の変換ルールに従っていれば、パターン認識によって検出した多値データを最終判定結果として出力する。一方、所定の変換ルールに従っていなければ、所定の変換ルールに従ったデータである事を利用した判定結果を最終判定結果として出力する。
【0006】
しかし、上述のような技術では、テストデータ及び所定の変換ルールに従って変換した多値データを情報記録媒体に記録する時に、直流成分の制御が行われていないので、データ再生時に再生信号が直流成分を持ち、サーボ制御に悪影響を与えるという問題が生じる。
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、多値データ信号の直流成分を制御するために付加した冗長データの再生時の誤りの影響を抑え、テストデータ及び所定の変換ルールに従って変換した多値データを記録する時の多値データ信号の直流成分制御を行えるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、次の(1)〜(4)の多値データ信号の直流成分制御方法を提供する。
(1)2値データを多値データ信号に変換するとき、同一の2値データ系列を異なる2種類の変換方法で多値データ信号に変換し、その2種類の多値データ信号の直流成分を算出し、その直流成分が0に近い方の多値データ信号に上記2種類の変換方法を区別するデータ信号を付加する多値データ信号の直流成分制御方法。
(2)(1)の多値データ信号の直流成分制御方法において、上記2種類の変換方法を区別するデータ信号を、上記多値データ信号の最大値と最小値にした多値データ信号の直流成分制御方法。
【0008】
(3)複数個の多値データからなる多値データ系列を多値データ信号に変換するとき、所定量の多値データ毎に対応する多値データ信号の直流成分を算出し、その直流成分が0に近づくように上記所定量の多値データ毎に挿入する1個以上の多値データの値を決定し、その決定した1個以上の多値データを上記所定量の多値データ毎に挿入する多値データ信号の直流成分制御方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかの多値データ信号の直流成分制御方法において、上記多値データ信号の直流成分を、隣接する多値データ信号への影響成分を加算することによって算出する多値データ信号の直流成分制御方法。
【0009】
さらに、次の(5)〜(8)の多値データ信号の直流成分制御装置も提供する。
(5)2値データを多値データ信号に変換する第1の変換手段と、その第1の変換手段とは異なる種類の変換方法で多値データ信号を変換する第2の変換手段と、上記第1の変換手段と上記第2の変換手段によってそれぞれ同一の2値データ系列を変換した多値データ信号の直流成分を算出する直流成分算出手段と、その直流成分算出手段によって算出された直流成分が0に近い方の多値データ信号を選択して出力する選択出力手段と、その選択出力手段によって出力された多値データ信号に上記第1の変換手段と上記第2の変換手段のいずれによって変換されたかを区別するデータ信号を付加する区別データ信号付加手段を備えた多値データ信号の直流成分制御装置。
【0010】
(6)(5)の多値データ信号の直流成分制御装置において、上記区別データ信号付加手段を、上記選択出力手段によって出力された多値データ信号に上記第1の変換手段と上記第2の変換手段のいずれによって変換されたかを区別するデータ信号として上記多値データの最大値と最小値を付加する手段にした多値データ信号の直流成分制御装置。
【0011】
(7)複数個の多値データからなる多値データ系列の所定量の多値データ毎に対応する多値データ信号の直流成分を算出する直流成分算出手段と、その直流成分算出手段によって算出した直流成分が0に近づくように上記所定量の多値データ毎に挿入する1個以上の多値データの値を決定する挿入多値データ決定手段と、その挿入多値データ決定手段によって決定した1個以上の多値データを上記所定量の多値データ毎に挿入する多値データ挿入手段を備えた多値データ信号の直流成分制御装置。
(8)(5)〜(7)のいずれかの多値データ信号の直流成分制御装置において、上記直流成分算出手段を、上記多値データ信号の直流成分を隣接する多値データへの影響成分を加算することによって算出する手段にした多値データ信号の直流成分制御装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の第1実施形態である多値データ信号の直流成分制御装置の機能構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示した第1変換部1と第2変換部2の回路構成例を示すブロック図であり、この直流成分制御装置はこの発明の請求項1,2,4,5,6,8に係る。
この多値データ信号の直流成分制御装置は、第1変換部1,第2変換部2,第1直流成分算出部3,第2直流成分算出部4,比較部5,第1セレクタ6,第2セレクタ7からなり、その各部は、コンピュータプログラムによるソフトウェアで実現可能である。
【0013】
また、図2に示した第1〜第(n−k)セレクタA11(nは2以上の整数,kは1以上且つn>kである整数),回路で上記第1変換部1と第2変換部2の部分を実現すれば、この直流成分制御装置を回路としても実現できる。
この回路は、(n×m−1)ビットのパラレルデータ(mは2以上の整数)を入力し、1シンボルをnビットとするパラレルデータを出力する。入力データをmビットずつ入力し、その内の1ビットを出力する第1〜第(n−k)の第1〜第(n−k)セレクタA11と、その他の入力データの(m×k−1)ビットを(m×k)ビットに変換する変換回路12と、その変換回路12の(m×k)ビットの出力を入力し、その内の1ビットを出力するセレクタB13が主な回路構成要素である。その他に、入出力データのタイミングに合わせて、各セレクタの切換を制御するための回路等が必要であるが、図示を省略した。
【0014】
次に、この発明の参考となる動作例として、図2に示した回路における2値データを多値データに変換する動作例について説明する。一例として、m=2,n=3,k=2の場合について説明する。
入力の(n×m−1)=(3×2−1)=5ビットのパラレルデータをMSBからd0,d1,d2,d3,d4とし、下位(m×k−1)=(2×2−1)=3ビット(d2,d3,d4)を変換回路12で(m×k)=(2×2)=4ビット(b0,b1,b2,b3)に変換する。変換回路12は、半導体メモリや論理回路を使用して変換テーブルを実現してもよいし、「0」又は「1」を付加する簡単な変換であれば、配線の追加だけで実現できる。
【0015】
その後、(n−k)=1個の第1〜第(n−k)セレクタA11とセレクタB13の出力を順次切り換えて、2個のシンボル(S1、S2)にビットデータが配置されるようにして、3ビットのパラレルデータを出力する。
このように、簡単なハードウェア構成によって2値データを多値データに変換することができる。
【0016】
すなわち、上記第1変換部1が上述の第1変換手段に、上記第2変換部2が上述の第2変換手段にそれぞれ相当する。また、上記第1直流成分算出部3と第2直流成分算出部4が上述の直流成分算出手段の機能を果たす。さらに、上記比較部5と第1セレクタ6が上述の選択出力手段の機能を、上記比較部5と第2セレクタ7が上述の区別データ信号付加手段の機能をそれぞれ果たす。
【0017】
次に、この直流成分制御装置におけるこの発明の請求項1と5に係る機能及び動作について説明する。
この直流成分制御装置は、まず、同一の2値データ系列(2値データ)を上記第1変換部及び第2変換部による2種類の変換方法によって多値データに変換する。その変換方法には、公知技術を用いればよく、一例として、図4に示すように、3ビットからなる多値データ(8値:0〜7)の2個(S1,S2)を1セットとし、入力の5ビットの2値データ(d0,d1,d2,d3,d4)のうちの2ビット(d0,d1)をS1とS2の最上位ビット(Most Significant Bit:MSB)に配置する。
【0018】
また、残りの3ビット(d2,d3,d4)は、図3に示す変換テーブルを使用して、4ビットデータ(b0,b1,b2,b3)に変換する。そして、変換後の4ビットデータを、S1とS2の最下位ビット(Least Significant Bit:LSB)側に、図4に示すように配置する。
【0019】
図3に示す変換テーブルは、(1)と(2)の2種類の変換テーブルを含んでいる。1セット毎に使用する変換テーブルを指定するパラメータとして、Pを定義する。一例として、P=0の時は変換テーブル(1)を、P=1の時は変換テーブル(2)を使用する。また、第1セットのPの初期値をP(1)とし、第2セット以降の第iセットでのP(i)を次の数1に示す演算式で定義する。そのeorは排他的論理和演算子である。
【0020】
【数1】
P(i)=P(i−1)eor(i−1)セットのb1
【0021】
図1の第1変換部1では、Pの初期値を0として、一例として8セット分の変換を行う。また、第2変換部2では、Pの初期値を1として、第1変換部1と同じ2値データを入力して8セット分の変換を行う。
次に、上記第1変換部1と第2変換部2で得られた2種類の変換結果の多値データ系列をそれぞれ上記第1直流成分算出部3と第2直流成分算出部4で多値データ信号として見た場合の直流成分を算出する。
以下に上記第1直流成分算出部3と第2直流成分算出部4における直流成分の算出方法を述べる。
図5は、多値データxを直流成分を算出するための信号値yに変換するための変換表を示す図である。そのxとyには次の数2に示す演算式の関係がある。
【0022】
【数2】
y=2×x−7
【0023】
数2の演算式に基づく演算処理で複数個の多値データを信号値に変換して加算すると、その加算値は複数個の多値データに対応する信号(多値データ信号)の直流成分を表す。そして、各種の光ディスクなどの記録媒体に記録する信号としては、その加算値を0に近づける必要がある。
そこで、この直流成分制御装置では、上述した2値データを2種類の方法で変換し、上記比較部5によって上記第1直流成分算出部3と第2直流成分算出部4からそれぞれ出力された信号値を比較し、その比較結果に基づいてその直流成分が0に近くなる方(近い方)を選択採用するように第1セレクタ6を切り替え、第1セレクタ6は上記第1変換部1又は上記第2変換部2からの信号のいずれかを第2セレクタ7へ出力する。
【0024】
さらに、データ再生時にその採用した方の変換方法が分かるように、比較部5は第2セレクタ7へ上記2種類の変換方法を区別するデータ信号としてPの初期値(0又は1)を送り、上記2種類の変換方法を区別するデータ信号としてPの初期値(0又は1)を挿入して付加する。
【0025】
図6は、変換後の多値データに変換方法を区別するデータ信号を付加したときのフォーマットを示す図である。
同図に示すように、8セット分の変換結果の多値データに、上記2種類の変換方法を区別するデータ信号としてPの初期値(0又は1)を挿入して付加する。
従って、変換後の多値データ信号の直流成分の算出には、それまでに確定した多値データ信号の直流成分の値と、挿入した初期値も加算する。
次に、2種類の変換結果の直流成分の値を比較し、0に近いほうの変換結果を図1の第1セレクタ6で出力し、更に、第2セレクタ7で初期値を変換結果に接続して出力する。
【0026】
このようにして、同一の2値データ系列を異なる2種類の変換方法で多値データ信号に変換し、直流成分が0に近い方の多値データ信号に2種類の変換方法を区別するデータ信号を付加しているので、付加したデータの誤りが変換結果に影響を与えない多値データ信号の直流成分制御ができる。
また、上述の多値データ信号の直流成分制御方法を回路として実現しているので、高速動作が可能になる。
【0027】
次に、この直流成分制御装置におけるこの発明の請求項2と6に係る機能及び動作について説明する。
上記の第1実施形態の直流成分制御装置では、上記2種類の変換方法を区別するデータ信号として挿入するPの初期値として0又は1を挿入しているが、それを多値データの最大値“7”と最小値“0”に対応させても良い。
このように、初期値は0と1の2値であるため、7と0にすると両者の信号値が離れているので、データ再生時のエラーの確率を低減できる。
このようにして、2種類の変換方法を区別するデータ信号を多値データの最大値と最小値であるため、付加したデータが誤る確率を低減することができる。
【0028】
次に、この直流成分制御装置におけるこの発明の請求項4と8に係る機能及び動作について説明する。
図7は、多値データにおける隣接データの影響(符号間干渉)の説明に供する波形図である。
上述の第1実施形態の直流成分制御装置では、多値データxを直流成分を算出するための信号値yに変換する時に、1個の多値データxから算出しているが、実際には、図7に示すように、隣接データの影響(符号間干渉)がある。同図には、現データが“0”から“7”の時に、隣接データが共に“0”である時の再生信号の例を示しており、前データは“0”であるにもかかわらず、現データの影響で“0”ではない信号値になっている。この隣接データへの影響を、現データの比率で表して直流成分を算出しても良い。
【0029】
以下に、その算出処理について説明する。
ここでは、説明を簡単にするために、隣接データの影響は前後対象であり、現データの値(0〜7)に無関係で一定であるとする。
もちろん、隣接データへの影響を前後非対象とし、現データの値(0〜7)毎に定義しても良い。その方が、より精度の高い直流成分算出が行える。
図8は、複数個の多値データx(j)を直流成分を算出するための信号値y(j)に変換する計算時の各値の一覧を示す図である。
ここでは、隣接データへの影響の比率を0.2にした。まず、x(j)から符号間干渉を考慮した時のデータ値s(j)を求める。
x1(1)の前の多値データは0にすると、次のデータ(5)の影響を受けるだけなので、s1は次の数3に示す演算式に基づく演算処理で算出できる。
【0030】
【数3】
s1=1+0.2×5=2.0
【0031】
また、x2(5)に対しては、前後のデータの影響を受けるので、s2は次の数4に示す演算式に基づく演算処理で算出できる。
【0032】
【数4】
s2=0.2×1+5+0.2×3=5.8
【0033】
一般に、s(j)は次の数5に示す演算式に基づく演算処理で算出できる。
【0034】
【数5】
s(j)=0.2×x(j−1)+x(j)+0.2×x(j+1)
【0035】
次に、s(j)のとり得る最大値と最小値の平均値zをs(j)から減算する。符号間干渉を考慮しない時は、多値データの最大値(7)と最小値(0)の平均値(3.5)が“0”に近づくように(なるように)変換していたが、符号間干渉を考慮する時は、s(j)の最大値と最小値の平均値zが“0”に近づくように(なるように)変換する。
ここで、s(j)の最小値は“0”であり、s(j)の最大値は現データと前後データとが共に“7”の時に最大値になり、図8のs(5)=9.8が最大値であるから、z=4.9である。したがって、次の数6に示す演算式に基づく演算処理でy(j)を算出できる。
【0036】
【数6】
y(j)=s(j)−z=s(j)−4.9
【0037】
以上の手順で求めたy(j)を加算して多値データ信号の直流成分を求めると、符号間干渉を考慮したより正確な直流成分が算出できる。
このようにして、多値データ信号の直流成分の算出処理において、隣接する多値データへの影響を考慮しているので、より正確な直流成分の算出ができる。
【0038】
次に、この直流成分制御装置におけるこの発明の請求項3と7に係る機能及び動作について説明する。
上述の第1実施形態では、2値データを多値データに変換する時の多値データ信号の直流成分制御方法および直流成分制御装置(直流成分制御回路)を示したが、以下では、この発明の第2実施形態として、入力が所定の多値データ系列である時の多値データ信号の直流成分制御方法および直流成分制御装置(直流成分制御回路)を示す。
この第2実施形態の直流成分制御装置は、公知技術のパターン認識によって多値データを検出する時に必要となる、テストデータを記録する時の直流成分制御を行う。
【0039】
図9は、上記多値データとは別に記録媒体に記録するテストデータの一例を示す図である。
このテストデータは、同図に示すように、8値データが3シンボル連続する場合の全組合せ(8の3乗=512通り)を記述したテストデータである。
符号間干渉が隣接する前後の多値データのみに影響する場合に、3シンボル連続する場合の全組合せを記述したテストデータを記録する。
また、符号間干渉が、前の2シンボル及び後の2シンボルのデータに影響する場合は、5シンボル連続する場合の全組合せ(8の5乗=32768通り)を記述したテストデータを記録する。
【0040】
図10は、直流成分を制御する場合のテストデータの並びのフォーマット例を示す図である。同図に示すように、テストデータを一定量毎に分割し、1個以上の多値データを挿入する。
図11は、第2実施形態の直流成分制御装置の機能構成を示すブロック図である。この直流成分制御装置はこの発明の請求項3,4,7,8に係る。
この多値データ信号の直流成分制御装置は、直流成分算出部21,挿入データ決定部22,セレクタ23からなり、その各部は、コンピュータプログラムによるソフトウェアで実現可能である。また、上述と同様にして回路としても実現できる。
すなわち、上記直流成分算出部21が上述の直流成分算出手段の機能を、上記挿入データ決定部22が上述の挿入多値データ決定手段の機能を、上記セレクタ23が上述の多値データ挿入手段の機能をそれぞれ果たす。
【0041】
まず、直流成分算出部21に一定量(所定量)のテストデータの多値データ系列(多値データ)を入力したら、多値データを信号値に変換し、終端の多値データまでの直流成分を算出して出力する。さらに、挿入データ決定部22において直流成分算出部21で得られた直流成分値を0に近づけるように、所定量の多値データ毎に挿入する1個以上の多値データの値を決定する。その後、セレクタ23によって一定量のテストデータ毎に上記決定した1個以上の多値データを挿入して出力する。
【0042】
このようにして、所定量の多値データ毎に1個以上の多値データを挿入し、上記所定量の多値データ毎に対応する多値データ信号の直流成分を算出し、上記直流成分が0に近づくように挿入する多値データの値を決定しているので、テストパターンの記録時の多値データ信号の直流成分制御ができる。
また、上述の多値データ信号の直流成分制御方法を回路として実現しているので、高速動作が可能になる。
【0043】
また、この第2実施形態の直流成分制御装置における直流成分の算出でも、上述の第1実施形態と同様にして、図8によって説明した算出処理を使用するとよい。
このようにして、多値データ信号の直流成分の算出処理において、隣接する多値データへの影響を考慮しているので、より正確な直流成分の算出ができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の多値データ信号の直流成分制御方法と直流成分制御装置によれば、多値データ信号の直流成分を制御するために付加した冗長データの再生時の誤りの影響を抑え、テストデータ及び所定の変換ルールに従って変換した多値データを記録する時の多値データ信号の直流成分制御を行えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態である多値データ信号の直流成分制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した第1変換部1と第2変換部2の回路構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した第1変換部1と第2変換部2における変換処理の説明に供する図である。
【図4】同じく図1に示した第1変換部1と第2変換部2における変換処理の説明に供する図である。
【図5】多値データxを直流成分を算出するための信号値yに変換するための変換表を示す図である。
【図6】変換後の多値データに変換方法を区別するデータ信号を付加したときのフォーマットを示す図である。
【図7】多値データにおける隣接データの影響(符号間干渉)の説明に供する波形図である。
【図8】複数個の多値データx(j)を直流成分を算出するための信号値y(j)に変換する計算時の各値の一覧を示す図である。
【図9】多値データとは別に記録媒体に記録するテストデータの一例を示す図である。
【図10】直流成分を制御する場合のテストデータの並びのフォーマット例を示す図である。
【図11】この発明の第2実施形態の直流成分制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1:第1変換部 2:第2変換部
3:第1直流成分算出部
4:第2直流成分算出部
5:比較部
6:第1セレクタ 7:第2セレクタ
11:第1〜第(n−k)セレクタA
12:変換回路 13:セレクタB
21:直流成分算出部
22:挿入データ決定部
23:セレクタ
Claims (8)
- 2値データを多値データ信号に変換するとき、同一の2値データ系列を異なる2種類の変換方法で多値データ信号に変換し、その2種類の多値データ信号の直流成分を算出し、その直流成分が0に近い方の多値データ信号に前記2種類の変換方法を区別するデータ信号を付加することを特徴とする多値データ信号の直流成分制御方法。
- 請求項1記載の多値データ信号の直流成分制御方法において、前記2種類の変換方法を区別するデータ信号が、前記多値データ信号の最大値と最小値であることを特徴とする多値データ信号の直流成分制御方法。
- 複数個の多値データからなる多値データ系列を多値データ信号に変換するとき、所定量の多値データ毎に対応する多値データ信号の直流成分を算出し、その直流成分が0に近づくように前記所定量の多値データ毎に挿入する1個以上の多値データの値を決定し、その決定した1個以上の多値データを前記所定量の多値データ毎に挿入することを特徴とする多値データ信号の直流成分制御方法。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多値データ信号の直流成分制御方法において、前記多値データ信号の直流成分を、隣接する多値データ信号への影響成分を加算することによって算出することを特徴とする多値データ信号の直流成分制御方法。
- 2値データを多値データ信号に変換する第1の変換手段と、該第1の変換手段とは異なる種類の変換方法で多値データ信号を変換する第2の変換手段と、前記第1の変換手段と前記第2の変換手段によってそれぞれ同一の2値データ系列を変換した多値データ信号の直流成分を算出する直流成分算出手段と、該直流成分算出手段によって算出された直流成分が0に近い方の多値データ信号を選択して出力する選択出力手段と、該選択出力手段によって出力された多値データ信号に前記第1の変換手段と前記第2の変換手段のいずれによって変換されたかを区別するデータ信号を付加する区別データ信号付加手段とを備えたことを特徴とする多値データ信号の直流成分制御装置。
- 請求項5記載の多値データ信号の直流成分制御装置において、前記区別データ信号付加手段は、前記選択出力手段によって出力された多値データ信号に前記第1の変換手段と前記第2の変換手段のいずれによって変換されたかを区別するデータ信号として前記多値データの最大値と最小値を付加する手段であることを特徴とする多値データ信号の直流成分制御装置。
- 複数個の多値データからなる多値データ系列の所定量の多値データ毎に対応する多値データ信号の直流成分を算出する直流成分算出手段と、該直流成分算出手段によって算出した直流成分が0に近づくように前記所定量の多値データ毎に挿入する1個以上の多値データの値を決定する挿入多値データ決定手段と、該挿入多値データ決定手段によって決定した1個以上の多値データを前記所定量の多値データ毎に挿入する多値データ挿入手段とを備えたことを特徴とする多値データ信号の直流成分制御装置。
- 請求項5乃至7のいずれか一項に記載の多値データ信号の直流成分制御装置において、前記直流成分算出手段は、前記多値データ信号の直流成分を隣接する多値データへの影響成分を加算することによって算出する手段であることを特徴とする多値データ信号の直流成分制御装置。
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