JP2004272657A - 画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】画像処理装置100は、所定の2次元フィルタを実現する垂直方向1次元フィルタ107及び水平方向1次元フィルタ109を有し、垂直方向1次元フィルタ107及び水平方向1次元フィルタ109により、2次元画像データに対して2次元フィルタ処理を施す2次元フィルタ処理部102及び103と、2つの2次元フィルタ処理手段102、103の各々の出力値を加算して出力する加算出力部106とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等で撮像して得られた画像データに対してフィルタ処理を施す画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、カメラ等で撮像して得られた画像データに対して2次元フィルタ処理を施す一般的な画像処理装置で、画素が垂直方向にp個、水平方向にq個からなる画像データに対し、大きさが垂直方向にm個、水平方向にn個(但し、p>=m、q>=n)からなる2次元フィルタ処理を施す場合について説明する。
【0003】
画像処理装置は、注目すべき画素X(i,j)を中心として、その周囲の画素のデータに対して、対応するフィルタ係数との畳み込み演算を行う。例えば、2次元フィルタの大きさが3×3である場合、画素X(i,j)とその周囲8画素の計9つのデータの各々に対し、各データに対応するフィルタ係数を乗じ、得られた9個の演算値を加算した値を、画素X(i,j)のフィルタ処理値として出力する。そして、このような処理を画像データの全画素(p×q個の画素)について行うことで、画像データ全体のフィルタ処理を行う。
【0004】
このように、上記画像処理装置では、2次元フィルタのサイズが大きくなるとフィルタ処理時の演算量が多くなる。例えば、3×3の2次元フィルタの場合の乗算回数は、9×p×q回である。一般に、m×nの2次元フィルタでは、m×n×p×q回の乗算を行う必要がある。このため、フィルタをハードウェアで構成する場合には回路規模が大きくなると共に、演算量が増え、2次元フィルタ処理に要する時間が長くなってしまう。
【0005】
そこで、従来では、画像データに対する2次元フィルタ処理を垂直方向1次元フィルタ処理と水平方向1次元フィルタ処理との2つの処理に分けて行うといったことが行われている。
【0006】
図9は、従来の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
画像処理装置900は、画像データ記録部901、垂直方向1次元フィルタ902、フィルタ出力記録部903、及び水平方向1次元フィルタ904を備え、各々が直列に接続されている。
【0007】
画像データ記録部901は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリであり、撮像素子等で撮像されたNTSC(National TV Standards Committee)信号等の画像信号のディジタル化後の画像データを記録する。垂直方向1次元フィルタ902は、m個のフィルタ係数からなる列ベクトルであり、画像データ記録部901に記録された画像データに対して1次元フィルタ処理を施す。フィルタ出力記録部903は、垂直方向1次元フィルタ902によるフィルタ処理後の出力データを記録する。水平方向1次元フィルタ904は、n個のフィルタ係数からなる行ベクトルであり、フィルタ出力記録部903に記録されているデータに対し1次元フィルタ処理を施し、フィルタ処理後の画像データを出力する。
【0008】
図10(a)は、従来の画像処理装置が備える垂直方向1次元フィルタ902のフィルタ係数値を示す図、(b)は従来の画像処理装置が備える水平方向1次元フィルタ904のフィルタ係数値を示す図、(c)は従来の画像処理装置が備える垂直方向1次元フィルタ902と水平方向1次元フィルタ904とで実現される2次元フィルタのフィルタ係数値を示す図である。図10(a)、(b)の横軸はフィルタ係数タップ、縦軸はフィルタ係数値を表す。図10(c)の平面上の軸はフィルタ係数タップ、空間軸はフィルタ係数値を表す。
【0009】
上記の垂直方向1次元フィルタ902のフィルタ係数値と水平方向1次元フィルタ904のフィルタ係数値とを乗じることにより、図10(c)に示したように、フィルタ係数が全て正値で、中央値が最も大きい値をとり、その中央から遠ざかるにつれて値が小さくなる特性を有するローパスフィルタを実現することができる。つまり、垂直方向1次元フィルタ902及び水平方向1次元フィルタ904のフィルタ係数を任意の値に設定することで、様々な特性を有する2次元フィルタを実現することが可能である。
【0010】
以上のように構成された従来の画像処理装置の2次元フィルタ処理動作について図11及び図12を参照して説明する。図11は、従来の画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ902による1次元フィルタ処理動作を説明するための図である。図11には、垂直方向p個、水平方向q個の画素からなる画像データ1101、n個の画素列1102、原点Oからの座標が(i,j)である注目画素1103、及び注目画素1103に対するフィルタ処理に必要な画像データ1104を図示している。
【0011】
図12は、従来の画像処理装置の水平方向1次元フィルタ904による1次元フィルタ処理動作を説明するための図である。図12には、図11と同様に画像データ1101、画像データ1104、及び注目画素1103を図示している。
【0012】
画像処理装置900では、図11に示したように、画像データ記録部901に記録されている画像データ1101の注目画素1103について2次元フィルタ処理を行う場合、i−(m−1)/2番目の画素行からi+(m−1)/2番目の画素行までの図中点線で囲った部分のデータ1104が最低限必要である。
【0013】
画像処理装置900は、まず、注目画素1103を中心とし、j−(m−1)/2番目の画素列からj+(m−1)/2番目の画素列までの計n本の画素列1102の各々に対し、垂直方向1次元フィルタ902による畳み込み演算を行う。この結果、注目画素1103に対する垂直方向1次元フィルタ処理後の出力データは、n個の行ベクトルとなってフィルタ出力記録部903に記録される。
【0014】
次に、画像処理装置900は、フィルタ出力記録部903に記録されたn個の行ベクトルデータに対し、水平方向1次元フィルタ904による畳み込み演算を行う。この結果、注目画素1103に対して、m×nの2次元フィルタを用いて2次元フィルタ処理を行った場合とほぼ同等の出力が得られる。画像処理装置900は、以上の動作をi=1〜p、j=1〜qの全画素について行うことで、画像データ全体に対する2次元フィルタ処理を終了する。
【0015】
ここで、図11を見ても分かるように、垂直方向1次元フィルタ902の1次元フィルタ処理後のn個の出力データは、注目画素1103を水平方向に1つずらしても、そのずらした後の垂直方向1次元フィルタ902の1次元フィルタ処理後のn個の出力データと多くの部分(n−1個)が重複することになる。このため、垂直方向1次元フィルタ902による1次元フィルタ処理を行う際は、垂直方向1次元フィルタによる1次元フィルタ処理を注目画素を中心に常にn回行うのではなく、出力データの値を共有化することで、その演算量を減らすことができる。
【0016】
例えば、図11に示したような画像データ1101に対してm×nの2次元フィルタにより2次元フィルタ処理を行う場合、その演算回数はm×n×p×q回である。これに対し、2つの1次元フィルタを用いて2次元フィルタ処理を行う場合、その演算回数は(2n+1)×p×q回であり、その演算量を大幅に削減することができる。
【0017】
具体例で説明すると、640×480のVGA(Video Graphics Array)画像に対し、48×48の2次元フィルタを用いて2次元フィルタ処理を行う場合、その演算回数は48×48×640×480=707百万回になる。これに対して、上記VGA画像に対し、48×48の2次元フィルタによる2次元フィルタ処理と同等のフィルタ処理を2つの1次元フィルタを用いて行う場合、その演算回数は97×640×480=30百万回になり、遥かに演算量を削減できる。
【0018】
このように従来の画像処理装置によれば、画像データに対して2次元フィルタ処理を行う際の演算量を低く抑えることができ、2次元フィルタ処理を高速に実現できる。
【0019】
特に、画像に対して所望の画像処理を行うのに用いる2次元フィルタ(以下、所望の2次元フィルタという)の空間上のフィルタ係数値が非常に単調に変化するものである場合、例えば、図10(c)に示したようなローパスフィルタであるならば、上記のように2つの1次元フィルタを直列結合してフィルタ出力値を求めることで、実際に所望の2次元フィルタで2次元フィルタ処理して得られるフィルタ出力値に高精度に近似された値を得ることができる。
【0020】
【非特許文献1】
尾知博著,「シミュレーションで学ぶディジタル信号処理」,CQ出版社,2001年7月,p23−28
【非特許文献2】
長橋宏著,「信号画像処理」,昭晃堂,1998年11月,p95−97
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の画像処理装置において、所望の2次元フィルタの特性が複雑である場合、例えば、空間上でフィルタ係数が正値と負値とを繰り返すような2次元フィルタである場合には、2つの1次元フィルタの直列結合による2次元フィルタ処理を実現できないことがある。以下にその理由を説明する。
【0022】
例えば、ある画像データに対して垂直方向1次元フィルタxと水平方向1次元フィルタyとを用いて2次元フィルタ処理を行う場合について説明する。ここで垂直方向1次元フィルタxと水平方向1次元フィルタyのベクトルは以下のようになっているものとする。
【0023】
【数式1】
【0024】
画像データに対し、上記のフィルタx、yを用いた2次元フィルタ処理は、画像データに対し以下の2次元フィルタMxyを用いて2次元フィルタ処理を行うことと等価になる。
【0025】
【数式2】
【0026】
上記Mxyの形から明らかなように、2つの1次元フィルタを用いても、必ずしも任意の2次元フィルタを作りだせるわけではない。複雑な特性を持つ2次元フィルタとして、例えば、空間上のフィルタ係数の中央値が正で、中央値以外は負となるような形状の2次元フィルタを作ろうとしても、上記Mxyでは中央値以外に必ず正の部分が存在することになり、そのような2次元フィルタを作ることは不可能である。
【0027】
又、2つの1次元フィルタの直列結合による2次元フィルタ処理を実現できた場合でも、所望の2次元フィルタの特性が複雑である場合には、所望の2次元フィルタを用いて実際に2次元フィルタ処理を行ったフィルタ出力値と、2つの1次元フィルタの直列結合によって2次元フィルタ処理を近似して行った後のフィルタ出力値との誤差が大きくなり、近似の精度が低下するという問題点がある。
【0028】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、画像処理に必要な2次元フィルタが複雑な特性を持つ2次元フィルタであっても、該2次元フィルタを用いずに、該2次元フィルタによる2次元フィルタ処理後の出力値に高精度に近似した出力値を得ることが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理装置は、2次元画像データに対し2次元フィルタ処理を施す複数の2次元フィルタ処理手段と、前記複数の2次元フィルタ処理手段の各々の出力値を加算して出力する加算出力手段とを備え、前記複数の2次元フィルタ処理手段の各々は、所定の2次元フィルタを実現する垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタを有する。
【0030】
この構成により、複数の2次元フィルタ処理手段の各々の出力値を加算するため、上記加算後の出力値を、複数の所定の2次元フィルタの各々を合成して得られる複雑な特性を持つ2次元フィルタによって2次元画像データに2次元フィルタ処理を施した場合の出力値に近似することが可能となる。したがって、複雑な特性を持つ2次元フィルタを用いずに、該2次元フィルタによる2次元フィルタ処理後の出力値に高精度に近似した出力値を得ることができる。
【0031】
本発明の画像処理装置は、2次元画像データに対し2次元フィルタ処理を施す2次元フィルタ処理手段と、前記2次元画像データに対して1次元フィルタ処理を施す1次元フィルタと、前記2次元フィルタ処理手段の出力値と、前記1次元フィルタの出力値とを加算して出力する加算出力手段とを備え、前記2次元フィルタ処理手段は、所定の2次元フィルタを実現する垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタを有する。
【0032】
この構成により、2次元フィルタ処理手段の出力値と1次元フィルタの出力値とを加算するため、上記加算後の出力値を、所定の2次元フィルタと1次元フィルタとを合成して得られる複雑な特性を持つ2次元フィルタによって2次元画像データに2次元フィルタ処理を施した場合の出力値に近似することが可能となる。したがって、複雑な特性を持つ2次元フィルタを用いずに、該2次元フィルタによる2次元フィルタ処理後の出力値に高精度に近似した出力値を得ることができる。
【0033】
又、本発明の画像処理装置は、前記1次元フィルタが複数存在し、前記加算出力手段は、前記2次元フィルタ処理手段の出力値と、前記複数の1次元フィルタの各々の出力値とを加算して出力する。
【0034】
この構成により、1次元フィルタを複数にすることで、2次元画像データに対してより複雑な特性を持つ2次元フィルタを用いて2次元フィルタ処理を行った場合と同等の処理を行うことが可能となる。
【0035】
又、本発明の画像処理装置は、前記2次元フィルタ処理手段が複数存在し、前記加算出力手段は、前記複数の2次元フィルタ処理手段の各々の出力値と、前記1次元フィルタの出力値とを加算して出力する。
【0036】
この構成により、2次元フィルタ処理手段を複数にすることで、2次元画像データに対してより複雑な特性を持つ2次元フィルタを用いて2次元フィルタ処理を行った場合と同等の処理を行うことが可能となる。
【0037】
又、本発明の画像処理装置は、前記2次元フィルタ処理手段及び前記1次元フィルタがそれぞれ複数存在し、前記加算出力手段は、前記複数の2次元フィルタ処理手段の各々の出力値と、前記複数の1次元フィルタの各々の出力値とを加算して出力する。
【0038】
この構成により、2次元フィルタ処理手段及び1次元フィルタをそれぞれ複数にすることで、2次元画像データに対してより複雑な特性を持つ2次元フィルタを用いて2次元フィルタ処理を行った場合と同等の処理を行うことが可能となる。
【0039】
本発明の画像処理装置は、2次元画像データに対し2次元フィルタ処理を施す2次元フィルタ処理手段と、前記2次元画像データの前記2次元フィルタ処理対象の画素値に対し、所定のゲイン値を乗じる乗算手段と、前記2次元フィルタ処理手段による前記2次元フィルタ処理対象の画素値に対する2次元フィルタ処理後の出力値と、前記乗算手段の出力値とを加算して出力する加算出力手段とを備え、前記2次元フィルタ処理手段は、所定の2次元フィルタを実現する垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタを有する。
【0040】
この構成により、2次元フィルタ処理手段の出力値と2次元フィルタ処理対象の画素値にゲイン値を乗じる乗算手段の出力値とを加算するため、上記加算後の出力値を、所定の2次元フィルタと、空間上のフィルタ係数値が1点のみ突出した2次元フィルタとを合成して得られる複雑な特性を持つ2次元フィルタによって2次元画像データに2次元フィルタ処理を施した場合の出力値に近似することが可能となる。したがって、複雑な特性を持つ2次元フィルタを用いずに、該2次元フィルタによる2次元フィルタ処理後の出力値に高精度に近似した出力値を得ることができる。
【0041】
又、本発明の画像処理装置は、上記画像処理装置が前記2次元画像データの全画素信号の直流成分の平均値を求める平均値算出手段を備え、前記加算出力手段は、前記加算時に、前記平均値算出手段により求めた平均値を加算する。
【0042】
この構成により、加算出力手段から出力される画像データは、直流成分が補正されたものとなるため、フィルタ処理を効果的に行うことができる。又、2次元画像データに対して画像処理を行うのに用いる所望の2次元フィルタを、直流成分を補正しなくてもよい特性を持つものにする場合に比べ、そのサイズを小さくすることができるため、2次元フィルタ処理後の画像データの直流成分を保持しつつ、フィルタ処理に要する演算量や処理量を低く抑えることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置100は、画像データ記録部101、2次元フィルタ処理部102、2次元フィルタ処理部103、画像データ平均値算出部104、ゲイン調整部105、及び加算出力部106を備える。又、2次元フィルタ処理部102、2次元フィルタ処理部103、及び画像データ平均値算出部104は、画像データ記録部101と加算出力部106との間にそれぞれ並列に接続されている。
【0044】
画像データ記録部101は、DRAM等の半導体メモリであり、撮像素子等で撮像されたNTSC信号等の画像信号のディジタル化後の画像データを記録する。2次元フィルタ処理部102及び103の各々は、直列に接続された垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタにより、画像データ記録部101に記録されている1画像(画面)分の画像データに対して2次元フィルタ処理を施す。
【0045】
2次元フィルタ処理部102は、垂直方向1次元フィルタ107、フィルタ出力記録部108、及び水平方向1次元フィルタ109を備える。垂直方向1次元フィルタ107は、m個のフィルタ係数からなる列ベクトルであり、画像データ記録部101に記録された画像データに対して1次元フィルタ処理を施す。フィルタ出力記録部108は、垂直方向1次元フィルタ107によるフィルタ処理後の出力データを記録する。水平方向1次元フィルタ109は、n個のフィルタ係数からなる行ベクトルであり、フィルタ出力記録部108に記録されているデータに対し1次元フィルタ処理を施し、フィルタ処理後の画像データを出力する。尚、n及びmは共に正の整数とする。
【0046】
2次元フィルタ処理部103は、垂直方向1次元フィルタ110、フィルタ出力記録部111、及び水平方向1次元フィルタ112を備える。垂直方向1次元フィルタ110は、m個のフィルタ係数からなる列ベクトルであり、画像データ記録部101に記録された画像データに対して1次元フィルタ処理を施す。フィルタ出力記録部111は、垂直方向1次元フィルタ110によるフィルタ処理後の出力データを記録する。水平方向1次元フィルタ112は、n個のフィルタ係数からなる行ベクトルであり、フィルタ出力記録部111に記録されているデータに対し1次元フィルタ処理を施し、フィルタ処理後の画像データを出力する。
【0047】
画像データ平均値算出部104は、画像データ記録部101に記録された画像データの全画素の直流成分の平均値を算出する。ゲイン調整部105は、画像データ平均値算出部104から出力された平均値のゲインを調整する。
【0048】
加算出力部106は、2次元フィルタ処理部102からの画像データの全画素分の2次元フィルタ処理後の出力の各々と、2次元フィルタ処理部103からの画像データの全画素分の2次元フィルタ処理後の出力の各々と、ゲイン調整部105の出力とを加算し、加算後の画像データを図示しないディスプレイやメモリ等に出力する。
【0049】
ここで、画像処理装置100が画像データ平均値算出部104を備える理由について説明する。
図2は、第一実施形態に係る画像処理装置が画像データ平均値算出部104を備える理由を説明するための図である。(a)は画像データの信号波形、(b)はあるハイパスフィルタのフィルタ係数値、(c)は画像データに対してハイパスフィルタ処理を施した後のフィルタ出力信号波形、(d)は直流成分が補正されたフィルタ出力信号波形を示している。
【0050】
尚、図2(a)、(c)、及び(d)の各横軸は位置、各縦軸は信号波形振幅を示し、(b)の横軸はフィルタ係数タップ、縦軸はフィルタ係数値を示す。
【0051】
図2に示したように、(a)のような画像データに対して(b)に示したハイパスフィルタによってフィルタ処理を行うと、そのフィルタ処理後の出力は、(c)に示したように低域が落ち込んだ出力となる。一般に、画像データにハイパスフィルタ等によるフィルタ処理を行うと、その直流成分が落とされてしまい、全体的にレベルが下がった出力となってしまう。このため、レベルが正であるはずの画素値が負となり、クリッピングされてしまい、フィルタ処理による効果が得られないと共に、画像全体が暗くなってしまう。
【0052】
そこで、本実施形態の画像処理装置100では、画像データ平均値算出部104により、画像データ記録部101に記録されている1画像分の画像データの全画素値の直流成分の平均を予め算出し、この算出値を加算出力部106により各画素のフィルタ出力値に加算するようにしている。
【0053】
これにより、図2の例では、(c)に示したハイパスフィルタ処理後の出力信号に、画像データの直流成分の平均値を加算することで、(d)に示したように、直流成分が補正された出力を得ることができ、フィルタ処理による効果が得られると共に、画像全体が暗くなることを防ぐことができる。
【0054】
次に、上述した垂直方向1次元フィルタ107、水平方向1次元フィルタ109、垂直方向1次元フィルタ110、及び水平方向1次元フィルタ112の各々のフィルタ係数の設定値について説明する。
【0055】
図3(a)は、第一実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ107及び水平方向1次元フィルタ109によって実現される2次元フィルタaのフィルタ係数値を示す図、(b)は第一実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ110及び水平方向1次元フィルタ112によって実現される2次元フィルタbのフィルタ係数値を示す図、(c)は2次元フィルタaとbとによって実現される2次元フィルタcのフィルタ係数値を示す図である。尚、図3(a)、(b)、(c)の平面上の軸はフィルタ係数タップ、空間軸はフィルタ係数値を表す。
【0056】
画像処理装置100は、画像データ記録部101に記録された画像データに対し、図3(c)に示したようなフィルタ係数を持つ所望の2次元フィルタcによって2次元フィルタ処理を行うものである。
【0057】
図3(c)に示したように、所望の2次元フィルタcは空間上でフィルタ係数が正負に変動し、中心のみが正に突出しているフィルタであり、例えば、2次元的なハイパスフィルタ等がこれにあたる。
【0058】
又、所望の2次元フィルタcは、フィルタ係数が全て負値である2次元フィルタaと、フィルタ係数が全て正値である2次元フィルタbの2つの2次元フィルタにより実現可能である。ここで、2次元フィルタaは、所望の2次元フィルタcのフィルタ係数が中心で正に突出している部分のうち、中心から0までの部分を、そのフィルタ係数値に対応する画素の隣接画素と滑らかに接合できるような負値となっている。この値は、隣り合う負値の隣接画素から1次補完することで求めることが可能である。
【0059】
又、2次元フィルタbのフィルタ係数は、所望の2次元フィルタcのフィルタ係数の正値から突出した部分の値と、上記補完した負値の絶対値とを足した値となっている。
【0060】
図4は、2次元フィルタbのフィルタ係数を説明するための図である。図4に示したように、所望の2次元フィルタcのフィルタ係数の正値に突出した部分αと、所望の2次元フィルタcのフィルタ係数の中央値から0まで突出した部分βとの値を足した値が、2次元フィルタbのフィルタ係数となる。
【0061】
図5(a)は、第一実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ107のフィルタ係数値を示す図、(b)は第一実施形態に係る画像処理装置の水平方向1次元フィルタ109のフィルタ係数値を示す図、(c)は第一実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ107と水平方向1次元フィルタ109とで実現される2次元フィルタaのフィルタ係数値を示す図である。尚、図5(a)、(b)の横軸はフィルタ係数タップ、縦軸はフィルタ係数値を表し、(c)の平面軸はフィルタ係数タップ、空間軸はフィルタ係数値を表す。
【0062】
上述したように、所望の2次元フィルタcは、2つの2次元フィルタa及びbから実現されているが、本実施形態では、2つの2次元フィルタa及びbの各々による2次元フィルタ処理を、従来の画像処理装置900と同様に、垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタの2つの1次元フィルタによって行うようにしている。
【0063】
図5に示したように、2次元フィルタaは、垂直方向1次元フィルタ107及び水平方向1次元フィルタ109の2つの1次元フィルタにより実現可能である。又、垂直方向1次元フィルタ107及び水平方向1次元フィルタ109の各々のフィルタ係数は、図5(c)に示すフィルタ係数を持つ2次元フィルタaを実現するような値に設定されている。
【0064】
又、2次元フィルタbも同様に、垂直方向1次元フィルタ110及び水平方向1次元フィルタ112の2つの1次元フィルタにより実現可能であり、垂直方向1次元フィルタ110及び水平方向1次元フィルタ112の各々のフィルタ係数は、図3(b)に示すフィルタ係数を持つ2次元フィルタbを実現するような値に設定されている。
【0065】
尚、本実施形態では、図3に示したように、2次元フィルタa及び2次元フィルタbを、共に空間上のフィルタ係数値が単調に変化(単調増加又は単調減少)するものになるように、垂直方向1次元フィルタ107、水平方向1次元フィルタ109、垂直方向1次元フィルタ110、及び水平方向1次元フィルタ112の各々のフィルタ係数値を設定しておく必要がある。
【0066】
これは、2次元フィルタa及bの空間上のフィルタ係数値が単調でなく、複雑であると、従来のように2つの1次元フィルタよる2次元フィルタ処理近似が不可能になってしまうか、又は近似精度が低下してしまうためである。
【0067】
以下、画像処理装置100の動作について説明する。尚、画像処理装置100の一部の動作は、従来の画像処理装置の動作と同様であるため、その説明には図11及び図12を用いる。
【0068】
画像処理装置100では、図11に示したように、画像データ記録部101に記録されている画像データ1101の注目画素1103について2次元フィルタ処理を行う場合、i−(m−1)/2番目の画素行からi+(m−1)/2番目の画素行までの図中点線で囲った部分のデータ1104が最低限必要である。
【0069】
画像処理装置100は、まず、注目画素1103を中心とし、j−(m−1)/2番目の画素列からj+(m−1)/2番目の画素列までの計n本の画素列1102の各々に対し、垂直方向1次元フィルタ107による畳み込み演算を行う。この結果、注目画素1103に対する1次元フィルタ処理後の出力データは、n個の行ベクトルとなってフィルタ出力記録部108に記録される。
【0070】
次に、画像処理装置100は、フィルタ出力記録部108に記録されたn個の行ベクトルデータに対し、水平方向1次元フィルタ109による畳み込み演算を行う。この結果、注目画素1103に対して、図3(a)に示すような特性を持つ2次元フィルタaを用いて2次元フィルタ処理を行った場合の出力値、に非常に近い出力値が得られる。画像処理装置100は、以上の動作をi=1〜p、j=1〜qの全画素について行い、その全画素分のフィルタ出力値を加算出力部106に入力する。
【0071】
2次元フィルタ処理部103も、2次元フィルタ処理部102と同様に画像データに対して2次元フィルタ処理を施し、その画像データの全画素分のフィルタ出力値を加算出力部106に入力する。
【0072】
画像データ平均値算出部104は、画像データ記録部101に記録した画像データの直流成分の平均値を算出し、これをゲイン調整部105でゲイン調整した後、加算出力部106に入力する。加算出力部106は、上記3つの入力値を加算して出力する。
【0073】
以上のように本実施形態によれば、2次元フィルタ処理部102により、画像データに対して2次元フィルタaによる2次元フィルタ処理を施した際のフィルタ出力値に近いフィルタ出力値を出力し、2次元フィルタ処理部103により、画像データに対して2次元フィルタbによる2次元フィルタ処理を施した際のフィルタ出力値に近いフィルタ出力値を出力し、2つのフィルタ出力値と画像データの直流成分の平均値とを加算して出力する。
【0074】
このように、所望の2次元フィルタcの空間上のフィルタ係数が正負に変動するような複雑な特性を持つフィルタであっても、2次元フィルタ処理部を2つ設け、各2次元フィルタ処理部の出力を加算することで、所望の2次元フィルタcによる2次元フィルタ処理後のフィルタ出力値と同等の出力値を得ることができる。又、各2次元フィルタ処理部からのフィルタ出力値は、近似精度の高いものであるため、加算出力部106から出力される値も近似精度の高いものとなり、所望の2次元フィルタcの特性が複雑であっても、2次元フィルタ処理を精度良く行うことができる。
【0075】
又、例えば、640×480のVGA画像に対し、所望の2次元フィルタcとして48×48の2次元フィルタを用いてフィルタ処理を行う場合、その演算回数は48×48×640×480=707百万回になる。これに対し、画像処理装置100による演算回数は、2×{(2×48)+1}×640×480=約60百万回になり、従来の画像処理装置より多少の演算量が増えるだけで、実現不可能又は精度の低かった2次元フィルタ処理を高精度に実現することができる。
【0076】
又、画像データ平均値算出部104により算出した画像データの直流成分の平均値を、2つの2次元フィルタ処理部の出力値に加算するため、加算出力部106から出力される画像データは、直流成分が補正されたものとなり、フィルタ処理による効果を得ることができる。
【0077】
所望の2次元フィルタcを、直流成分を落とさないような特性を持つものにすれば、画像データ平均値算出部104は不要である。しかしながら、特にハイパスフィルタの場合、直流成分を保持しながら低域を落とす特性を持つことになり、空間上のフィルタのフィルタ係数が広い領域で正負を繰り返す大変複雑な形状になってしまい、所望の2次元フィルタcのサイズが大きくなってしまう。
【0078】
所望の2次元フィルタcのサイズが大きくなると、2つの2次元フィルタ処理部の有する垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタのサイズも大きくする必要があり、フィルタ処理に要する演算回数が増大してしまい、高速なフィルタ処理が実現できない。又、垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタを設計する手間がかかるという問題もある。
【0079】
そこで、本実施形態では、上記のように画像データ平均値算出部104を設けたことにより、所望の2次元フィルタcの特性を複雑にすることなく、2次元フィルタ処理後の出力データの直流成分を保持することができる。このため、上記問題を解決することができ、フィルタ処理の高速化及び画像処理装置製造のコスト削減等を期待することができる。
【0080】
尚、以上の説明では、2次元フィルタ処理部102と2次元フィルタ処理部103の2つを並列に設ける構成としたが、この数は2つに限らず、複数設けてあっても良い。例えば、2次元フィルタ処理部を3つ以上にすることで、所望の2次元フィルタcの特性をより複雑なものにすることができるため、フィルタ処理に要する演算量やフィルタ設計の手間を増大させることなく、様々なフィルタ処理を行うことができ、画像処理の自由度を向上させることができる。
【0081】
又、本実施形態では、2つの2次元フィルタ処理部の有する垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタのフィルタ係数を、上述した値に設定したが、この値をメモリ等に複数種類記憶しておき、画像処理の内容に応じたフィルタ係数を設定することで、所望の2次元フィルタcの特性を自由に変えることが可能なため、様々なフィルタ処理を行うことができる。
【0082】
又、本実施形態で説明したフィルタとは、ハードウェアで構成したものであっても良いし、ソフトウェアで実現したものであっても良い。ソフトウェアで実現する場合には、マイコン等により、指示されたフィルタプログラムとフィルタ係数をメモリ等から読み込み、読み込んだフィルタプログラムを実行するようにすれば良い。
【0083】
又、画像データ記録部101に順次記録される画像データが、例えば1/30秒で更新される時系列的な画面データであれば、時間的に隣り合う画面データの全画素の直流成分の平均値は大きく変化はしない。このため、画像データ平均値算出部104は、画像データ記録部101に画像データが記録される度に、上記平均値を算出するのではなく、1画面から数画面前の画面データから算出した平均値を、現在処理中の画面データの直流成分の平均値として加算出力部106に入力するようにしても構わない。
【0084】
このようにすることで、処理速度的又は回路構成的に現在の画面データの平均値が算出できない場合等に対応することができる。又、平均値の算出を全ての画像データについて行わないため、画像処理装置全体の処理負荷を軽減することができると共に、画像処理の高速化を実現できる。
【0085】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態に係る画像処理装置200は、第一実施形態で説明した画像処理装置100の2次元フィルタ処理部103の代わりに、水平方向1次元フィルタ212(特許請求の範囲の1次元フィルタ該当)を備えた構成としたものである。又、本実施形態における所望の2次元フィルタCは、1つの2次元フィルタのフィルタ係数と1つの1次元フィルタのフィルタ係数とを乗算する、つまり合成することにより実現可能なものである。
【0086】
図6は、第二実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。尚、図1と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。画像処理装置200の水平方向1次元フィルタ212は、画像データ記録部101に記録された画像データに対し、1次元フィルタ処理を行い、その出力値を加算出力部106に入力する。尚、所望の2次元フィルタCの特性に応じて、水平方向1次元フィルタ212の代わりに、垂直方向1次元フィルタを用いても構わない。
【0087】
次に、本実施形態における所望の2次元フィルタCと、それを実現する2次元フィルタ及び1次元フィルタについて説明する。
図7(a)は、第二実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ107及び水平方向1次元フィルタ109によって実現される2次元フィルタaのフィルタ係数値を示す図、(b)は第二実施形態に係る画像処理装置の1次元フィルタ212のフィルタ係数値を示す図、(c)は上記2次元フィルタaと1次元フィルタ212によって実現される2次元フィルタCのフィルタ係数値を示す図である。尚、図7(a)、(b)、(c)の各平面上の軸はフィルタ係数タップ、空間軸はフィルタ係数値を表す。
【0088】
図7に示したように、所望の2次元フィルタCは、第一実施形態で説明した2次元フィルタaと、フィルタ係数が全て正値である1次元フィルタ212とにより実現可能である。1次元フィルタ212のフィルタ係数は、第一実施形態の2次元フィルタbのフィルタ係数と同様に決定する。
【0089】
又、本実施形態では、第一実施形態と同様、水平方向1次元フィルタ212を、空間上のフィルタ係数が単調に変化(単調増加又は単調減少)するものになるようなフィルタ係数値に設定しておく必要がある。
【0090】
本実施形態に係る画像処理装置200の動作は、水平方向1次元フィルタ212が、画像データ記録部101に記録された画像データの全画素に対し1次元フィルタ処理を施し、その出力値を加算出力部106に入力し、加算出力部106が、2次元フィルタ処理部102の全画素分の出力値の各々と、水平方向1次元フィルタ212の全画素分の出力値の各々と、ゲイン調整部105の出力値とを加算して出力する以外は、第一実施形態と同様である。
【0091】
以上のように本実施形態によれば、所望の2次元フィルタCが、空間上のフィルタ係数が単調に変化する1つの2次元フィルタと空間上のフィルタ係数が単調に変化する1つの1次元フィルタとで実現可能なものである場合、2次元フィルタ処理部102の出力と、水平方向1次元フィルタ212の出力とを加算することで、画像データに所望の2次元フィルタCにより2次元フィルタ処理を行った際と同等の出力値を、高精度且つ高速に得ることができる。
【0092】
従来の画像処理装置900により上記所望の2次元フィルタCによる2次元フィルタ処理を行う場合は、図7(c)に示した特性を持つ2次元フィルタを、垂直と水平の2つの1次元フィルタにより実現する必要があり、垂直方向1次元フィルタ902及び水平方向1次元フィルタ904の特性が複雑なものとなり、実現不可能又はフィルタ処理後の出力値の近似精度が低下してしまう。
【0093】
そこで、本実施形態では、1つの2次元フィルタ処理部102と1つの水平方向1次元フィルタ212とを備え、それぞれの出力を加算することで、所望の2次元フィルタCによるフィルタ出力値に非常に近い出力値を得ることができる。又、画像処理装置200内に備える1次元フィルタの設計が簡単であり、コスト削減に繋がる。
【0094】
又、例えば、640×480のVGA画像に対し、所望の2次元フィルタCとして48×48の2次元フィルタを用いてフィルタ処理を行う場合、その演算回数は48×48×640×480=707百万回になる。これに対し、画像処理装置200による演算回数は、{(2×48)+1+48}×640×480=約45百万回になり、従来の画像処理装置より演算量が少し多くなるだけで、実現不可能又は精度の低かった2次元フィルタ処理を高精度に実現することができる。
【0095】
又、第一実施形態に係る画像処理装置100による上記演算回数は約60百万回であり、所望の2次元フィルタの特性が、図7に示したように、空間上のフィルタ係数が単調に変化し、フィルタ係数が全て正値の1次元フィルタに分解できるようなものである場合には、第一実施形態に係る画像処理装置100よりも演算回数を減らすことができ、フィルタ処理を高速に行うことができる。
【0096】
尚、以上の説明では、水平方向1次元フィルタ212を1つだけ設ける構成としたが、水平方向1次元フィルタ212を画像データ記録部101と加算出力部106との間に並列に複数備える構成としても良い。これにより、所望の2次元フィルタCの特性をより複雑なものにすることができるため、フィルタ処理に要する演算量やフィルタ設計の手間を増大させることなく、様々なフィルタ処理を行うことができ、画像処理の自由度を向上させることができる。又、2次元フィルタ処理部102も同様に複数設けても良い。
【0097】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態に係る画像処理装置は、第一実施形態で説明した2次元フィルタ処理部103の代わりに、フィルタ係数乗算部313を備えた構成としたものである。又、本実施形態における所望の2次元フィルタは、第一実施形態と同じ2次元フィルタcとする。
【0098】
図8は、第三実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。尚、図1と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。画像処理装置300のフィルタ係数乗算部313は、図3(b)に示したように、フィルタ係数値が中央から1点のみ正又は負に突出した特性を持つ2次元フィルタと同等の機能を有しており、突出した1点の部分に相当する1つのフィルタ係数値(所定のゲイン値)のみを、内部に内蔵するメモリ等から読み出し、該フィルタ係数値を画像データ記録部101に記録されている画像データの注目画素(図11で示した符号1103の画素に相当)に乗じ、画像データの全画素についての乗算結果を加算出力部106に入力する。加算出力部106は、2次元フィルタ処理部102の画像データの全画素分の出力値の各々と、フィルタ係数乗算部313の画像データの全画素分の乗算値の各々と、ゲイン調整部105の出力値とを加算して出力する。
【0099】
画像データに対して、実際に図3(b)のような特性を持つ2次元フィルタにより2次元フィルタ処理を行う場合、該2次元フィルタのサイズが3×3であるとすると、1画素に対する2次元フィルタ処理に要する演算回数は9回となるが、2次元フィルタの突出した1点部分のフィルタ係数値以外は、全て0であるため、演算を9回行わずとも、1点部分のフィルタ係数値と、その対応する画素との1回の乗算のみで、1画素に対する2次元フィルタ処理を行うことができる。このことを利用して、フィルタ係数乗算部313は、2次元フィルタ処理を行う対象となる注目画素に、所定のフィルタ係数値を乗算して、図3(b)のような2次元フィルタと同等のフィルタ処理を行うようにしている。
【0100】
つまり、本実施形態に係る画像処理装置300は、所望の2次元フィルタcが、図3(c)に示したような特性を持つ場合には、第一実施形態に係る画像処理装置100の2次元フィルタ処理部103による2次元フィルタ処理を行う代わりに、画像データの注目画素に上記1つのフィルタ係数値を乗じ、その出力結果を、2次元フィルタ処理後のデータとして加算出力部106に入力する。
【0101】
画像処理装置300の動作を具体例をあげて以下に説明する。
注目画素をgij、その注目画素に対する2次元フィルタ処理部102による2次元フィルタ処理後の出力値をF、フィルタ係数乗算部313の乗ずるフィルタ係数値をcとすると、注目画素gijの2次元フィルタ処理後の出力NEWgijは以下の式のようになる。
【0102】
NEWgij=F+c×gij
【0103】
画像処理装置300は上記の処理を画像データの全画素について行うことで、画像データ全体に2次元フィルタ処理を施す。本実施形態の例では、図3(c)に示したように上記フィルタ係数値cが1であるため、2次元フィルタ処理部102の出力値に、注目画素の画素値を加算した値が、その注目画素の2次元フィルタ処理後の出力値となる。
【0104】
本実施形態によれば、所望の2次元フィルタが、図3に示したように、フィルタ係数値の空間上の中央値が正又は負に1点のみ突出し、他が0であるような2次元フィルタに分解可能なものである場合は、フィルタ係数乗算部313による乗算処理のみで、第一実施形態で説明した2次元フィルタ処理部103のフィルタ出力値と同等の出力を加算出力部106に入力することができる。したがって、第一実施形態と同様の効果が得られる。
【0105】
又、例えば、640×480のVGA画像に対し、48×48の2次元フィルタを用いてフィルタ処理を行う場合、その演算回数は48×48×640×480=707百万回になる。これに対し、上記VGA画像に対し、48×48の2次元フィルタによるフィルタ処理を画像処理装置300により行う場合、その演算回数は(97+1)×640×480=約30百万回になり、第一実施形態に比べて遥かに演算量を削減でき、フィルタ処理を高速に行うことができる。
【0106】
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態に係る画像処理装置は、第一実施形態で説明した画像処理装置100の構成に、第二実施形態で説明した水平方向1次元フィルタ212と、第三実施形態で説明したフィルタ係数乗算部313とを、2つの2次元フィルタ処理部102、103と同様に、画像データ記録部101と加算出力部106との間に並列に設けたものである。
【0107】
本実施形態に係る画像処理装置は、所望の2次元フィルタの特性に応じて、図示しないマイコン等の制御により、第一〜第三実施形態で説明したフィルタ処理を選択的に行う。例えば、所望の2次元フィルタの特性が、図3(a)、図3(b)、及び図7(b)に示した特性を持つ3つのフィルタから実現されるものである場合には、マイコンが、2次元フィルタ処理部102、水平方向1次元フィルタ212、及びフィルタ係数乗算部313を動作させてフィルタ処理を行う。
【0108】
本実施形態によれば、所望の2次元フィルタの特性に応じて、様々なフィルタ処理を選択的に行うことができる。このため、フィルタ処理を効率的に行うことができる。又、多くのパターンの2次元フィルタを装置内に用意しておくことができるため、画像処理の自由度が向上する。又、常に高精度の近似出力値を得ることも可能となり、信頼性の高い画像処理装置を提供できる。
【0109】
尚、上述したように水平方向1次元フィルタ212を別途設けずに、例えば、2次元フィルタ処理部102が、画像データ記録部101に記録されている画像データを、自身の有する垂直方向1次元フィルタに入力せずに、直接水平方向1次元フィルタに入力することで、1次元フィルタ処理を行うようにしても良い。この場合は、水平方向1次元フィルタ212を別途設けずに済むため、画像処理装置の製造コストを削減することができる。
【0110】
【発明の効果】
本発明によれば、複雑な特性を持つ2次元フィルタを用いずに、該2次元フィルタによる2次元フィルタ処理後の出力値に高精度に近似した出力値を得ることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る画像処理装置が画像データ平均値算出部を備える理由を説明するための図であり、(a)は画像データの信号波形、(b)はあるハイパスフィルタのフィルタ係数値、(c)は画像データに対してハイパスフィルタ処理を施した後のフィルタ出力信号波形、(d)は直流成分が補正されたフィルタ出力信号波形を示す図である。
【図3】(a)は、本発明の第一実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ107及び水平方向1次元フィルタ109によって実現される2次元フィルタaのフィルタ係数値を示す図、(b)は本発明の第一実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ110及び水平方向1次元フィルタ112によって実現される2次元フィルタbのフィルタ係数値を示す図、(c)は2次元フィルタaとbとによって実現される2次元フィルタcのフィルタ係数値を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る画像処理装置が有する垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタによって実現される2次元フィルタbのフィルタ係数値を説明するための図である。
【図5】(a)は、本発明の第一実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ107のフィルタ係数値を示す図、(b)は本発明の第一実施形態に係る画像処理装置の水平方向1次元フィルタ109のフィルタ係数値を示す図、(c)は本発明の第一実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ107と水平方向1次元フィルタ109とで実現される2次元フィルタaのフィルタ係数値を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】(a)は、本発明の第二実施形態に係る画像処理装置の垂直方向1次元フィルタ107及び水平方向1次元フィルタ109によって実現される2次元フィルタaのフィルタ係数値を示す図、(b)は本発明の第二実施形態に係る画像処理装置の1次元フィルタ212のフィルタ係数値を示す図、(c)は上記2次元フィルタaと1次元フィルタ212によって実現される2次元フィルタCのフィルタ係数値を示す図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図10】(a)は、従来の画像処理装置が備える垂直方向1次元フィルタ902のフィルタ係数値を示す図、(b)は従来の画像処理装置が備える水平方向1次元フィルタ904のフィルタ係数値を示す図、(c)は従来の画像処理装置が備える垂直方向1次元フィルタ902と水平方向1次元フィルタ904とで実現される2次元フィルタのフィルタ係数値を示す図である。
【図11】従来の画像処理装置の垂直方向1次元フィルタによる1次元フィルタ処理動作を説明するための図である。
【図12】従来の画像処理装置の水平方向1次元フィルタによる1次元フィルタ処理動作を説明するための図である。
【符号の説明】
100、200、300、900 画像処理装置
101、901 画像データ記録部
102、103 2次元フィルタ処理部
104 画像データ平均値算出部
105 ゲイン調整部
106 加算出力部
107、110、902 垂直方向1次元フィルタ
108、111、903 フィルタ出力記録部
109、112、212、904 水平方向1次元フィルタ
313 フィルタ係数乗算部
Claims (7)
- 2次元画像データに対し2次元フィルタ処理を施す複数の2次元フィルタ処理手段と、
前記複数の2次元フィルタ処理手段の各々の出力値を加算して出力する加算出力手段とを備え、
前記複数の2次元フィルタ処理手段の各々は、所定の2次元フィルタを実現する垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタを有する画像処理装置。 - 2次元画像データに対し2次元フィルタ処理を施す2次元フィルタ処理手段と、
前記2次元画像データに対して1次元フィルタ処理を施す1次元フィルタと、
前記2次元フィルタ処理手段の出力値と、前記1次元フィルタの出力値とを加算して出力する加算出力手段とを備え、
前記2次元フィルタ処理手段は、所定の2次元フィルタを実現する垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタを有する画像処理装置。 - 請求項2記載の画像処理装置であって、
前記1次元フィルタが複数存在し、
前記加算出力手段は、前記2次元フィルタ処理手段の出力値と、前記複数の1次元フィルタの各々の出力値とを加算して出力する画像処理装置。 - 請求項2記載の画像処理装置であって、
前記2次元フィルタ処理手段が複数存在し、
前記加算出力手段は、前記複数の2次元フィルタ処理手段の各々の出力値と、前記1次元フィルタの出力値とを加算して出力する画像処理装置。 - 請求項2記載の画像処理装置であって、
前記2次元フィルタ処理手段及び前記1次元フィルタがそれぞれ複数存在し、
前記加算出力手段は、前記複数の2次元フィルタ処理手段の各々の出力値と、前記複数の1次元フィルタの各々の出力値とを加算して出力する画像処理装置。 - 2次元画像データに対し2次元フィルタ処理を施す2次元フィルタ処理手段と、
前記2次元画像データの前記2次元フィルタ処理対象の画素値に対し、所定のゲイン値を乗じる乗算手段と、
前記2次元フィルタ処理手段による前記2次元フィルタ処理対象の画素値に対する2次元フィルタ処理後の出力値と、前記乗算手段の出力値とを加算して出力する加算出力手段とを備え、
前記2次元フィルタ処理手段は、所定の2次元フィルタを実現する垂直方向1次元フィルタ及び水平方向1次元フィルタを有する画像処理装置。 - 請求項1〜6のいずれか記載の画像処理装置であって、
前記2次元画像データの全画素信号の直流成分の平均値を求める平均値算出手段を備え、
前記加算出力手段は、前記加算時に、前記平均値算出手段により求めた平均値を加算する画像処理装置。
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