JP2004272142A - 光走査装置とそれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転多面鏡の駆動モータからの熱が光学ベースを介して走査レンズの温度を上昇させても、走査レンズ内の温度分布が略均一になるようにする。
【解決手段】走査レンズ5の光学ベース2への取付面5aと反対側となる取付部対向面5bと回転多面鏡3を覆う回転多面鏡カバー4に共に接した状態で跨る熱伝導性部材7を設ける。回転多面鏡3から発生した熱は、光学ベース2と熱伝導性部材7の両方から走査レンズ5の取付面5aと取付部対向面5bに伝わるため、走査レンズ5はその対向する2面から均等に温度上昇される。それにより、走査レンズ5内の温度分布が均一になるので、走査レンズ5内が取付面5a側と取付部対向面5b側とで不均一な温度分布になった場合に生じる異常画像の発生を防ぐことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】走査レンズ5の光学ベース2への取付面5aと反対側となる取付部対向面5bと回転多面鏡3を覆う回転多面鏡カバー4に共に接した状態で跨る熱伝導性部材7を設ける。回転多面鏡3から発生した熱は、光学ベース2と熱伝導性部材7の両方から走査レンズ5の取付面5aと取付部対向面5bに伝わるため、走査レンズ5はその対向する2面から均等に温度上昇される。それにより、走査レンズ5内の温度分布が均一になるので、走査レンズ5内が取付面5a側と取付部対向面5b側とで不均一な温度分布になった場合に生じる異常画像の発生を防ぐことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学ベース上に回転多面鏡と走査レンズとが取り付けられ、その回転多面鏡により偏向走査されたレーザビームを走査レンズにより透過走査する光走査装置とそれを備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、簡易で高品質な印刷方式として電子写真方式が開発され、この方式を利用したものとして、複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置がある。
このような画像形成装置は、例えば光学ベース上に駆動モータ等により回転される回転多面鏡を配置し、その回転多面鏡の主走査方向に移動する反射面にレーザ光源を対向配置し、そのレーザ光源から出射されたレーザを回転多面鏡の反射面で偏向走査している。そのレーザ光源の主走査光路上には、走査レンズ等の光学系を配置して、その光学系を介した走査光が感光ドラム等の被走査面に走査され、そこに画像が書き込まれている。また、その被走査面が副走査方向に移動することにより、副走査方向にも画像が書き込まれるようになっている。
【0003】
このような画像形成装置に使用されている走査レンズは、大量生産が可能であって低コストで製作が可能である例えば樹脂製のものが多く使用されている。そして、その走査レンズや回転多面鏡を取付ける光学ベースは、一般的に高剛性であって且つ高精度に形成可能なアルミダイキャスト等の金属ダイキャストで形成されているものが多い。
この光走査装置に設けられている回転多面鏡は、一般的に高速で回転するため、その回転中はそれを駆動している駆動モータからかなりの熱が発生する。そして、その熱は駆動モータを固定している光学ベースを介して走査レンズに伝わるため、それにより走査レンズの温度が上昇する。
その走査レンズは、通常のものは光学ベースのみに取り付けられているため、駆動モータから光学ベースに伝わった熱は走査レンズの光学ベース取付け部から温度上昇していく。したがって、走査レンズは光学ベース取付け部付近の温度が最も高くなり、そこから離れた部分ほど低い温度になるため、走査レンズ内では場所によって温度分布に差ができてしまうようになる。
【0004】
このように、同じ走査レンズ内において場所によって温度差が生じてしまうと、樹脂製の走査レンズの場合には、その温度上昇により光の屈折率が変化してしまうので、部分的に光学特性の変化が生じてレーザビームにビーム径の太り、あるいは細りが生じたりして、画像の一部に黒スジや黒帯等の異常な部分ができて画像品質が低下してしまうようになる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−264666号公報(第3−4頁、図1)
【0006】
そこで、従来の光走査装置には、例えば特許文献1に記載されているように、回転多面鏡を回転させる駆動モータと走査レンズとの間に位置する光学ベース部分に貫通穴状あるいは溝状の空隙部を設けることによって、上記駆動モータからの熱が走査レンズに伝わりにくいようにしたものがある。
また、光走査装置の走査レンズ内の温度分布に差が生じにくいようにするため、本出願人は先に特願2002−334063号(レーザ走査装置及び該レーザ走査装置を具備する画像形成装置)を出願している。
【0007】
この光走査装置(レーザ走査装置)は、図9に示すように光学ベース56の凸部56A,56B,56C上に走査レンズ58を取り付けると共に、発熱源となる駆動モータを有する回転多面鏡も、その光学ベース56に取り付けている。そして、凸部56Aと56Bとの間と、56Bと56Cの間に、熱伝導率の高い材料で形成した熱伝導性部材50をそれぞれ配置して、その各熱伝導性部材50が光学ベース56と走査レンズ58の両者に接触するようにしている。
それにより、駆動モータから発生した熱は、光学ベース56の凸部56A,56B,56Cから走査レンズ58に伝わると共に、各熱伝導性部材50を介しても走査レンズ58に伝わるため、走査レンズ58は略均一に温度上昇する。
【0008】
また、上記出願の光走査装置には、他の実施形態として図10に示すように、図9で説明した光走査装置の構成に加えて、さらに走査レンズ58の光学ベース56への取付面と反対側の面51にも熱伝導性部材50A,50Aのそれぞれ一端側を接触させ、各他端側を光学ベース56に接触させるようにしたものもある。このようにすれば、光学ベース56側からの熱は熱伝導性部材50A,50Aを介して走査レンズ58の面51側にも伝わる。
さらに、異なる他の実施形態として図11に示すように、走査レンズ58の面51上に熱伝導性部材50Bを設け、その熱伝導性部材50B上に熱伝導率が高く、高い剛性を有する材料で形成した架橋部材52を設け、その架橋部材52の両端部を光学ベース56にねじ等により固定するようにした光走査装置もある。この光走査装置よれば、架橋部材52により熱伝導性部材50Bを走査レンズ58の面51に密着させることができるので、より伝熱性が向上する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の光走査装置の場合には、光学ベースに設けた貫通穴状あるいは溝状の空隙部により熱が走査レンズに伝わりにくくはなるが、走査レンズは光学ベースに取り付けられている部分から温度上昇していくことに変わりはないので、やはり走査レンズ内においては温度分布に差が生じてしまうということがあった。
また、本出願人が先に出願した光走査装置によれば、図9に示したものは上述した従来の光走査装置と同様に走査レンズ内において、引き続き温度分布に差が生じてしまうので不十分であり、図10,図11に示したものも走査レンズ58の光学ベース56への取付面と反対側の取付部対向面となる面51側から熱伝導性部材50Aや、架橋部材52及び熱伝導性部材50Bにより伝熱はされるが、走査レンズ58内の温度の均一性(図10,図11で上下方向の均一性)を改善するには、まだ不十分であった。
【0010】
すなわち、走査レンズ58の取付面となる下面側は光学ベース56から直接伝熱されるが、上面側の面51への伝熱は、光学ベース56から熱伝導性部材50Aや架橋部材52を介して行われるため、面51側への伝熱が遠回りになる分だけ走査レンズ58に伝えられる熱量が少なくなる。したがって、走査レンズ58内において、引き続き図10及び図11の上下方向で温度差が生じてしまうということがあった。
この発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、回転多面鏡の駆動モータが発生させた熱が光学ベースを介して走査レンズに伝えられてそれが温度上昇しても、その走査レンズが部分的に温度上昇することなしに全体が略均一な温度分布になるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、光学ベース上にレーザビームを偏向走査する回転多面鏡と、その回転多面鏡を覆う回転多面鏡カバーと、回転多面鏡により偏向走査されたレーザビームを透過走査して感光体上へ導く走査レンズとをそれぞれ取り付けた光走査装置において、上記走査レンズの上記光学ベースへの取付面と反対側となる取付部対向面と上記回転多面鏡カバーに共に接した状態で跨る熱伝導性部材を設けたものである。
また、同様な光走査装置において、走査レンズの光学ベースへの取付面と反対側となる取付部対向面に接触状態に熱伝導性部材を設けると共に、熱伝導率の高い材料で形成されて回転多面鏡カバーと一体あるいはその回転多面鏡カバーに固定されて上記熱伝導性部材の外側の面に接する板状部材を設けるようにしたものである。
そして、上記熱伝導性部材は、弾性体で形成すると効果的である。
さらに、上記いずれかの光走査装置を備えた画像形成装置も提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施形態例である光走査装置の回転多面鏡付近を示す縦断面図、図2は同じくその光走査装置の回転多面鏡付近を示す平面図、図3はその光走査装置を図2のA−A線に沿って断面にした断面図、図4は同じくその光走査装置を搭載した画像形成装置の一例を示す全体概略構成図である。
図4に示す画像形成装置である複写機は、複写機本体41内に設けている光学読取系42により読み取った画像データを基にして、光走査装置1が作像系44に設けているドラム状の感光体45上に潜像を形成し、その潜像を作像系44の現像装置46がトナーにより可視像としている。
複写機本体41の下部右方には給紙装置20が設けてあり、その給紙装置20の給紙カセット47から給紙した用紙Pは垂直搬送路21を上方に搬送されて作像系44に至り、そこで感光体45上の可視像(トナー像)が転写される。
【0013】
その可視像が転写された用紙Pは、定着装置48に搬送されてそこで可視像が定着された後、排紙ローラ対49により外部の排紙トレイ65に排出される。また、両面画像形成時には、用紙Pは図示しない排紙分岐爪により反転搬送路61から両面装置62へ向けて搬送され、両面トレイ63に一旦格納された後に進行方向が逆転されて、両面搬送路64から再び作像系44に送り込まれて裏面に画像が形成され、定着装置48を通って排紙トレイ65上に排出される。
なお、図4では図面を簡略化するため、給紙装置20は1個のみを示したが、必要に応じて複数個の給紙装置を設けることも可能である。また、この給紙装置を有する画像形成装置は複写機に限るものではなく、ファクシミリ,プリンタ等にも何等支障なく適用することができる。
【0014】
光走査装置1は、図1に示すように光学ベース2上に6面を有するミラー部6によりレーザビームを偏向走査する回転多面鏡3と、その回転多面鏡3を覆う回転多面鏡カバー4と、回転多面鏡3により偏向走査されたレーザビームを透過走査して感光体45(図4参照)上へ導く走査レンズ5とをそれぞれ取り付けている。
そして、この光走査装置1は、走査レンズ5の光学ベース2への取付面(図1で下面)5aと反対側となる取付部対向面5bと回転多面鏡カバー4に共に接した状態で跨る熱伝導性部材7を設けている。その熱伝導性部材7は、例えば熱伝導性シリコーンや、熱伝導性ゴムからなるシートやパット状の弾性体で形成する。
【0015】
光学ベース2は、例えばアルミダイキャストで形成し、そこには回転多面鏡3を取り付けるための開口8を形成し、その開口8内に回転多面鏡3のミラー部6を回転させる駆動モータ部(ポリゴンモータ)9を挿入し、その駆動モータ部9の上部に形成しているフランジ部9aを開口部上面8aに設置させ、そのフランジ部9aを図2に示すように4本のネジ11により光学ベース2に固定している。
また、その光学ベース2は、上面に例えば樹脂で形成した走査レンズ5を設置するための3つの円形状の凸状部12a,12b,12cを間隔を置いてそれぞれ形成し、その上面の高さを精度良く揃えている。そして、その各凸状部12a〜12c上に、図1に示したように走査レンズ5の下面となる取付面5aをバランス良く配置して接触させている。
この状態で、中央に位置する凸状部12bの周囲に接着剤13を塗布し、走査レンズ5を光学ベース2に、その高さ方向の精度が高く保たれる状態で固定している。
【0016】
回転多面鏡カバー4は、回転多面鏡3のミラー部6の全体を覆う大きさに形成されていて、その周方向の一箇所は開口されていて、そこに防音ガラス14を装着し、その防音ガラス14の部分をレーザビームが透過できるようにしている。そして、この回転多面鏡カバー4は、この実施の形態では回転多面鏡3のフランジ部9aを介して光学ベース2に固定するようにしているが、回転多面鏡カバー4を光学ベース2に直接固定する構成にしてもよい。
なお、回転多面鏡カバー4のフランジ部9aへの固定は、例えば凸部と凹部を係合させて固定するパッチン止めや、ネジ止め等により行う。
【0017】
走査レンズ5の図1で上側の面となる取付部対向面5bには、上述したように熱伝導性部材7を回転多面鏡カバー4に跨るように接触状態で設けている。その熱伝導性部材7の走査レンズ5への固定は、取付金具等を使用して熱伝導性部材7を上側から押えて、その取付金具の両端部を光学ベース2にネジ止め固定したりする。あるいは、光路を遮断しない位置に設けたバネ性を有するコの状のバネ部材で熱伝導性部材7と走査レンズ5とを挾み込んで固定するようにしたものであってもよいし、勿論それ以外の方法を用いてもよい。
同様に、熱伝導性部材7の回転多面鏡カバー4への固定も、取付金具やそれ以外の方法を用いて固定する。
【0018】
ところで、図9で説明した光走査装置の場合には、回転多面鏡の駆動モータ部を作動させてミラー部を回転させると、その駆動モータ部から発生した熱が光学ベース56に伝わり、その光学ベース56に下面が接している走査レンズ58は下側からのみ温度上昇していくということがあった。そのため、走査レンズ58内で下面側と上面側とで温度差が生じて走査レンズ内で上下方向に温度分布が生じてしまい、場所によって屈折率等が変化してしまったときには光学特性に影響が出てしまう恐れがあった。
【0019】
しかしながら、この実施の形態では、図1等で説明したように走査レンズ5の上面側となる取付部対向面5b側には、その取付部対向面5bと回転多面鏡カバー4とに共に接した状態で跨る熱伝導性部材7を設けているので、駆動モータ部9から発生して回転多面鏡カバー4に伝わった熱は、その回転多面鏡カバー4に接している熱伝導性部材7を通して走査レンズ5に、上面の取付部対向面5b側からも伝わっていく。
したがって、走査レンズ5は、その上下の両面から熱が伝えられることによって温度上昇していくため、走査レンズ5内で下面と上面とで略均等に温度上昇していく。それにより、走査レンズ5内の上部と下部とで、ほとんど均一な温度分布になる。
【0020】
このようにして、この実施の形態による光走査装置及びそれを備えた画像形成装置では、回転多面鏡3の駆動モータ部9から発生した熱が熱伝導性部材7により積極的に走査レンズ5に伝熱される。そして、その走査レンズ5は最終的には上部と下部の熱的なバランスがとれたところで全体としての温度が飽和(均衡)してそれ以上の温度上昇はしなくなる。したがって、その走査レンズ5の温度が上昇し過ぎることはない。そのため、熱伝導性部材7を設けることによる熱的な問題は実用上生じない。
また、走査レンズ5に上下から伝熱するため、走査レンズ5の上述した飽和時のレンズの上下温度不均一を防止できるばかりか、その飽和温度に達するまでの間についても走査レンズ5の上部と下部が温度不均一になるのを防止できる。したがって、その飽和温度に達するまでの間においても走査レンズ5の上部と下部が略均一な温度分布になることにより、屈折率等が変化しないため安定した光学特性が得られる。
【0021】
なお、熱伝導性部材7の板厚は、伝熱性の観点から薄ければ薄いほど良い。但し、それを厚くしても充分な伝熱性は得られるので上記の作用効果を奏する。
また、回転多面鏡カバー4から熱伝導性部材7への伝熱、及び熱伝導性部材7から走査レンズ5への伝熱は、共にそれらの接触面によって行われるので、回転多面鏡カバー4と熱伝導性部材7との接触面積、及び熱伝導性部材7と走査レンズ5との接触面積は、共に大きくするほど熱伝導の効率が良くなる。
【0022】
また、この実施の形態では、前述したように熱伝導性部材7を弾性体で形成している。
一方、回転多面鏡カバー4や走査レンズ5は剛性体からなる。したがって、弾性体からなる熱伝導性部材7が剛性体の回転多面鏡カバー4の上面に押し付けられて固定されると共に、その熱伝導性部材7が剛性体の走査レンズ5の上面にも押し付けられて固定されるので、それらの接触面は弾性体側の熱伝導性部材7が弾性変形することにより、それぞれ互いの密着性が高まる。
それにより、接触部における熱伝導性が高まるので、走査レンズ5の図1で上下方向の温度分布を、より均一にすることができる。したがって、その走査レンズ5の上部側と下部側とで部分的な温度差が生じた際に、画像形成時に発生しやすい異常画像の発生を防いで、画像品質の低下を防止することができる。
【0023】
図5はこの発明による光走査装置の他の実施形態の回転多面鏡付近を示す図1と同様な縦断面図、図6は同じくその光走査装置の回転多面鏡付近を示す平面図、図7はその光走査装置を図6のB−B線に沿って断面にした断面図であり、図1乃至図3と対応する部分には同一の符号を付してある。
この実施の形態による光走査装置10は、図1乃至図3で説明した光走査装置1に対し、熱伝導性部材7の上側に板状部材25を設けた点のみが異なる。したがって、この光走査装置10を備えた画像形成装置は、図4で説明した画像形成装置に対して光走査装置1を光走査装置10に替えただけであるため、その図示及び説明を省略する。
【0024】
この光走査装置10は、上述したように、熱伝導性部材7の外側(図5で上側の面)に熱伝導率の高い例えばアルミ材からなる板状部材25を、熱伝導性部材7に接触状態に設けている。
その板状部材25は、回転多面鏡カバー4側となる一端側に略熱伝導性部材7の厚さ分の段差部を形成し、その段差部に図5に示すように熱伝導性部材7の一端側を位置させて、熱伝導性部材7を回転多面鏡カバー4の上面と板状部材25の下面との間に挾み込むようにしている。
そして、その状態で、図6に示すように板状部材25の端部の2箇所をネジ26により回転多面鏡カバー4に固定している。その板状部材25の他端側は、図5に示したように熱伝導性部材7を全て覆うまでの大きさに形成されている。したがって、この板状部材25がある程度の剛性を有しているようにすれば、板状部材25の一端を上述したようにネジ26により回転多面鏡カバー4に固定すれば、その板状部材25の他端側(図5で右端側)が材料自身の持つ弾性力により熱伝導性部材7を走査レンズ5の上面となる取付部対向面5bに押し付ける。
【0025】
このように、この実施の形態による光走査装置10は、弾性体からなる熱伝導性部材7よりも熱伝導率が高く剛性も高いアルミ製の板状部材25によって、熱伝導性部材7が走査レンズ5に押圧されるので、その走査レンズ5と熱伝導性部材7との接触部の密着性が高まる。それにより、その接触部分における接触面積が大きくなるので、回転多面鏡カバー4からの熱が、より走査レンズ5に伝わりやすくなる。したがって、走査レンズ5の取付部対向面5b側の熱伝導性が高まることにより、走査レンズ5の上部側と下部側の温度分布をより均一にすることができる。それにより、異常画像の発生を防いて画像品質の低下を防止することができる。
【0026】
図8はこの発明による光走査装置のさらに異なる他の実施形態の回転多面鏡付近を示す図5と同様な縦断面図であり、図5と対応する部分には同一の符号を付してある。
この実施の形態による光走査装置30は、図5で説明した光走査装置10に対し、異なる形状の回転多面鏡カバー34を設けると共に、走査レンズ5の上面となる取付部対向面5bと略同程度の大きさの小型の熱伝導性部材37を設けた点のみが異なる。
【0027】
その回転多面鏡カバー34は、例えばアルミニュウムで形成されていて、その上面の一部に走査レンズ5の上面まで鍔状に延びる板状部34aを有している。そして、図示のように組付時には、板状部34aの先端部が走査レンズ5の取付部対向面5bに載置した熱伝導性部材37を押さえつけて、板状部34aの先端部が熱伝導性部材37に密着すると共に、その熱伝導性部材37が走査レンズ5の取付部対向面5bにも密着するようにしている。
この実施の形態によれば、駆動モータ部9から発生した熱は回転多面鏡カバー34の板状部34aを通して直接走査レンズ5の上面の熱伝導性部材37に伝熱されるので、図5で説明した実施の形態に比べて走査レンズ5への電熱の効率が高まる。
なお、この実施の形態による光走査装置30は、上述した点のみが図5で説明した光走査装置10と異なるだけであるため、この図8に示した光走査装置30を備えた画像形成装置についての図示及び説明は省略する。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による光走査装置とそれを備えた画像形成装置によれば、走査レンズの光学ベースへの取付面と反対側となる取付部対向面と回転多面鏡を覆う回転多面鏡カバーに共に接した状態で跨る熱伝導性部材を設けたので、回転多面鏡から発生した熱は光学ベースと熱伝導性部材の両方から走査レンズの取付面と取付部対向面に伝わるため、走査レンズはその対向する2面から均等に温度上昇される。それにより、走査レンズ内の温度分布が均一になるので、走査レンズ内が取付面側と取付部対向面側とで不均一な温度分布になった場合に生じる異常画像の発生を防ぐことができ、画像品質の低下を防止することができる。
また、その走査レンズ内の温度分布は、温度が飽和したときに均一になるだけではなく、その飽和温度に達するまでの間についても均一になり、走査レンズ内が取付面側と取付部対向面側とで不均一な温度分布になるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態例である光走査装置の回転多面鏡付近を示す縦断面図である。
【図2】同じくその光走査装置の回転多面鏡付近を示す平面図である。
【図3】その光走査装置を図2のA−A線に沿って断面にした断面図である。
【図4】同じくその光走査装置を搭載した画像形成装置の一例を示す全体概略構成図である。
【図5】この発明による光走査装置の他の実施形態の回転多面鏡付近を示す図1と同様な縦断面図である。
【図6】同じくその光走査装置の回転多面鏡付近を示す平面図である。
【図7】同じくその光走査装置を図6のB−B線に沿って断面にした断面図である。
【図8】この発明による光走査装置のさらに異なる他の実施形態の回転多面鏡付近を示す図5と同様な縦断面図である。
【図9】本出願人が先に出願した走査レンズ内に温度分布差が生じにくいようにした光走査装置の走査レンズ付近を示す縦断面図である。
【図10】同じくその光走査装置の異なる他の例を示す縦断面図である。
【図11】同じくその光走査装置のさらに異なる他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1,10,30:光走査装置 2:光学ベース
3:回転多面鏡 4,34:回転多面鏡カバー
5:走査レンズ 5a:取付面
5b:取付部対向面 7,37:熱伝導性部材
34a:板状部(板状部材) 45:感光体
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学ベース上に回転多面鏡と走査レンズとが取り付けられ、その回転多面鏡により偏向走査されたレーザビームを走査レンズにより透過走査する光走査装置とそれを備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、簡易で高品質な印刷方式として電子写真方式が開発され、この方式を利用したものとして、複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置がある。
このような画像形成装置は、例えば光学ベース上に駆動モータ等により回転される回転多面鏡を配置し、その回転多面鏡の主走査方向に移動する反射面にレーザ光源を対向配置し、そのレーザ光源から出射されたレーザを回転多面鏡の反射面で偏向走査している。そのレーザ光源の主走査光路上には、走査レンズ等の光学系を配置して、その光学系を介した走査光が感光ドラム等の被走査面に走査され、そこに画像が書き込まれている。また、その被走査面が副走査方向に移動することにより、副走査方向にも画像が書き込まれるようになっている。
【0003】
このような画像形成装置に使用されている走査レンズは、大量生産が可能であって低コストで製作が可能である例えば樹脂製のものが多く使用されている。そして、その走査レンズや回転多面鏡を取付ける光学ベースは、一般的に高剛性であって且つ高精度に形成可能なアルミダイキャスト等の金属ダイキャストで形成されているものが多い。
この光走査装置に設けられている回転多面鏡は、一般的に高速で回転するため、その回転中はそれを駆動している駆動モータからかなりの熱が発生する。そして、その熱は駆動モータを固定している光学ベースを介して走査レンズに伝わるため、それにより走査レンズの温度が上昇する。
その走査レンズは、通常のものは光学ベースのみに取り付けられているため、駆動モータから光学ベースに伝わった熱は走査レンズの光学ベース取付け部から温度上昇していく。したがって、走査レンズは光学ベース取付け部付近の温度が最も高くなり、そこから離れた部分ほど低い温度になるため、走査レンズ内では場所によって温度分布に差ができてしまうようになる。
【0004】
このように、同じ走査レンズ内において場所によって温度差が生じてしまうと、樹脂製の走査レンズの場合には、その温度上昇により光の屈折率が変化してしまうので、部分的に光学特性の変化が生じてレーザビームにビーム径の太り、あるいは細りが生じたりして、画像の一部に黒スジや黒帯等の異常な部分ができて画像品質が低下してしまうようになる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−264666号公報(第3−4頁、図1)
【0006】
そこで、従来の光走査装置には、例えば特許文献1に記載されているように、回転多面鏡を回転させる駆動モータと走査レンズとの間に位置する光学ベース部分に貫通穴状あるいは溝状の空隙部を設けることによって、上記駆動モータからの熱が走査レンズに伝わりにくいようにしたものがある。
また、光走査装置の走査レンズ内の温度分布に差が生じにくいようにするため、本出願人は先に特願2002−334063号(レーザ走査装置及び該レーザ走査装置を具備する画像形成装置)を出願している。
【0007】
この光走査装置(レーザ走査装置)は、図9に示すように光学ベース56の凸部56A,56B,56C上に走査レンズ58を取り付けると共に、発熱源となる駆動モータを有する回転多面鏡も、その光学ベース56に取り付けている。そして、凸部56Aと56Bとの間と、56Bと56Cの間に、熱伝導率の高い材料で形成した熱伝導性部材50をそれぞれ配置して、その各熱伝導性部材50が光学ベース56と走査レンズ58の両者に接触するようにしている。
それにより、駆動モータから発生した熱は、光学ベース56の凸部56A,56B,56Cから走査レンズ58に伝わると共に、各熱伝導性部材50を介しても走査レンズ58に伝わるため、走査レンズ58は略均一に温度上昇する。
【0008】
また、上記出願の光走査装置には、他の実施形態として図10に示すように、図9で説明した光走査装置の構成に加えて、さらに走査レンズ58の光学ベース56への取付面と反対側の面51にも熱伝導性部材50A,50Aのそれぞれ一端側を接触させ、各他端側を光学ベース56に接触させるようにしたものもある。このようにすれば、光学ベース56側からの熱は熱伝導性部材50A,50Aを介して走査レンズ58の面51側にも伝わる。
さらに、異なる他の実施形態として図11に示すように、走査レンズ58の面51上に熱伝導性部材50Bを設け、その熱伝導性部材50B上に熱伝導率が高く、高い剛性を有する材料で形成した架橋部材52を設け、その架橋部材52の両端部を光学ベース56にねじ等により固定するようにした光走査装置もある。この光走査装置よれば、架橋部材52により熱伝導性部材50Bを走査レンズ58の面51に密着させることができるので、より伝熱性が向上する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の光走査装置の場合には、光学ベースに設けた貫通穴状あるいは溝状の空隙部により熱が走査レンズに伝わりにくくはなるが、走査レンズは光学ベースに取り付けられている部分から温度上昇していくことに変わりはないので、やはり走査レンズ内においては温度分布に差が生じてしまうということがあった。
また、本出願人が先に出願した光走査装置によれば、図9に示したものは上述した従来の光走査装置と同様に走査レンズ内において、引き続き温度分布に差が生じてしまうので不十分であり、図10,図11に示したものも走査レンズ58の光学ベース56への取付面と反対側の取付部対向面となる面51側から熱伝導性部材50Aや、架橋部材52及び熱伝導性部材50Bにより伝熱はされるが、走査レンズ58内の温度の均一性(図10,図11で上下方向の均一性)を改善するには、まだ不十分であった。
【0010】
すなわち、走査レンズ58の取付面となる下面側は光学ベース56から直接伝熱されるが、上面側の面51への伝熱は、光学ベース56から熱伝導性部材50Aや架橋部材52を介して行われるため、面51側への伝熱が遠回りになる分だけ走査レンズ58に伝えられる熱量が少なくなる。したがって、走査レンズ58内において、引き続き図10及び図11の上下方向で温度差が生じてしまうということがあった。
この発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、回転多面鏡の駆動モータが発生させた熱が光学ベースを介して走査レンズに伝えられてそれが温度上昇しても、その走査レンズが部分的に温度上昇することなしに全体が略均一な温度分布になるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、光学ベース上にレーザビームを偏向走査する回転多面鏡と、その回転多面鏡を覆う回転多面鏡カバーと、回転多面鏡により偏向走査されたレーザビームを透過走査して感光体上へ導く走査レンズとをそれぞれ取り付けた光走査装置において、上記走査レンズの上記光学ベースへの取付面と反対側となる取付部対向面と上記回転多面鏡カバーに共に接した状態で跨る熱伝導性部材を設けたものである。
また、同様な光走査装置において、走査レンズの光学ベースへの取付面と反対側となる取付部対向面に接触状態に熱伝導性部材を設けると共に、熱伝導率の高い材料で形成されて回転多面鏡カバーと一体あるいはその回転多面鏡カバーに固定されて上記熱伝導性部材の外側の面に接する板状部材を設けるようにしたものである。
そして、上記熱伝導性部材は、弾性体で形成すると効果的である。
さらに、上記いずれかの光走査装置を備えた画像形成装置も提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施形態例である光走査装置の回転多面鏡付近を示す縦断面図、図2は同じくその光走査装置の回転多面鏡付近を示す平面図、図3はその光走査装置を図2のA−A線に沿って断面にした断面図、図4は同じくその光走査装置を搭載した画像形成装置の一例を示す全体概略構成図である。
図4に示す画像形成装置である複写機は、複写機本体41内に設けている光学読取系42により読み取った画像データを基にして、光走査装置1が作像系44に設けているドラム状の感光体45上に潜像を形成し、その潜像を作像系44の現像装置46がトナーにより可視像としている。
複写機本体41の下部右方には給紙装置20が設けてあり、その給紙装置20の給紙カセット47から給紙した用紙Pは垂直搬送路21を上方に搬送されて作像系44に至り、そこで感光体45上の可視像(トナー像)が転写される。
【0013】
その可視像が転写された用紙Pは、定着装置48に搬送されてそこで可視像が定着された後、排紙ローラ対49により外部の排紙トレイ65に排出される。また、両面画像形成時には、用紙Pは図示しない排紙分岐爪により反転搬送路61から両面装置62へ向けて搬送され、両面トレイ63に一旦格納された後に進行方向が逆転されて、両面搬送路64から再び作像系44に送り込まれて裏面に画像が形成され、定着装置48を通って排紙トレイ65上に排出される。
なお、図4では図面を簡略化するため、給紙装置20は1個のみを示したが、必要に応じて複数個の給紙装置を設けることも可能である。また、この給紙装置を有する画像形成装置は複写機に限るものではなく、ファクシミリ,プリンタ等にも何等支障なく適用することができる。
【0014】
光走査装置1は、図1に示すように光学ベース2上に6面を有するミラー部6によりレーザビームを偏向走査する回転多面鏡3と、その回転多面鏡3を覆う回転多面鏡カバー4と、回転多面鏡3により偏向走査されたレーザビームを透過走査して感光体45(図4参照)上へ導く走査レンズ5とをそれぞれ取り付けている。
そして、この光走査装置1は、走査レンズ5の光学ベース2への取付面(図1で下面)5aと反対側となる取付部対向面5bと回転多面鏡カバー4に共に接した状態で跨る熱伝導性部材7を設けている。その熱伝導性部材7は、例えば熱伝導性シリコーンや、熱伝導性ゴムからなるシートやパット状の弾性体で形成する。
【0015】
光学ベース2は、例えばアルミダイキャストで形成し、そこには回転多面鏡3を取り付けるための開口8を形成し、その開口8内に回転多面鏡3のミラー部6を回転させる駆動モータ部(ポリゴンモータ)9を挿入し、その駆動モータ部9の上部に形成しているフランジ部9aを開口部上面8aに設置させ、そのフランジ部9aを図2に示すように4本のネジ11により光学ベース2に固定している。
また、その光学ベース2は、上面に例えば樹脂で形成した走査レンズ5を設置するための3つの円形状の凸状部12a,12b,12cを間隔を置いてそれぞれ形成し、その上面の高さを精度良く揃えている。そして、その各凸状部12a〜12c上に、図1に示したように走査レンズ5の下面となる取付面5aをバランス良く配置して接触させている。
この状態で、中央に位置する凸状部12bの周囲に接着剤13を塗布し、走査レンズ5を光学ベース2に、その高さ方向の精度が高く保たれる状態で固定している。
【0016】
回転多面鏡カバー4は、回転多面鏡3のミラー部6の全体を覆う大きさに形成されていて、その周方向の一箇所は開口されていて、そこに防音ガラス14を装着し、その防音ガラス14の部分をレーザビームが透過できるようにしている。そして、この回転多面鏡カバー4は、この実施の形態では回転多面鏡3のフランジ部9aを介して光学ベース2に固定するようにしているが、回転多面鏡カバー4を光学ベース2に直接固定する構成にしてもよい。
なお、回転多面鏡カバー4のフランジ部9aへの固定は、例えば凸部と凹部を係合させて固定するパッチン止めや、ネジ止め等により行う。
【0017】
走査レンズ5の図1で上側の面となる取付部対向面5bには、上述したように熱伝導性部材7を回転多面鏡カバー4に跨るように接触状態で設けている。その熱伝導性部材7の走査レンズ5への固定は、取付金具等を使用して熱伝導性部材7を上側から押えて、その取付金具の両端部を光学ベース2にネジ止め固定したりする。あるいは、光路を遮断しない位置に設けたバネ性を有するコの状のバネ部材で熱伝導性部材7と走査レンズ5とを挾み込んで固定するようにしたものであってもよいし、勿論それ以外の方法を用いてもよい。
同様に、熱伝導性部材7の回転多面鏡カバー4への固定も、取付金具やそれ以外の方法を用いて固定する。
【0018】
ところで、図9で説明した光走査装置の場合には、回転多面鏡の駆動モータ部を作動させてミラー部を回転させると、その駆動モータ部から発生した熱が光学ベース56に伝わり、その光学ベース56に下面が接している走査レンズ58は下側からのみ温度上昇していくということがあった。そのため、走査レンズ58内で下面側と上面側とで温度差が生じて走査レンズ内で上下方向に温度分布が生じてしまい、場所によって屈折率等が変化してしまったときには光学特性に影響が出てしまう恐れがあった。
【0019】
しかしながら、この実施の形態では、図1等で説明したように走査レンズ5の上面側となる取付部対向面5b側には、その取付部対向面5bと回転多面鏡カバー4とに共に接した状態で跨る熱伝導性部材7を設けているので、駆動モータ部9から発生して回転多面鏡カバー4に伝わった熱は、その回転多面鏡カバー4に接している熱伝導性部材7を通して走査レンズ5に、上面の取付部対向面5b側からも伝わっていく。
したがって、走査レンズ5は、その上下の両面から熱が伝えられることによって温度上昇していくため、走査レンズ5内で下面と上面とで略均等に温度上昇していく。それにより、走査レンズ5内の上部と下部とで、ほとんど均一な温度分布になる。
【0020】
このようにして、この実施の形態による光走査装置及びそれを備えた画像形成装置では、回転多面鏡3の駆動モータ部9から発生した熱が熱伝導性部材7により積極的に走査レンズ5に伝熱される。そして、その走査レンズ5は最終的には上部と下部の熱的なバランスがとれたところで全体としての温度が飽和(均衡)してそれ以上の温度上昇はしなくなる。したがって、その走査レンズ5の温度が上昇し過ぎることはない。そのため、熱伝導性部材7を設けることによる熱的な問題は実用上生じない。
また、走査レンズ5に上下から伝熱するため、走査レンズ5の上述した飽和時のレンズの上下温度不均一を防止できるばかりか、その飽和温度に達するまでの間についても走査レンズ5の上部と下部が温度不均一になるのを防止できる。したがって、その飽和温度に達するまでの間においても走査レンズ5の上部と下部が略均一な温度分布になることにより、屈折率等が変化しないため安定した光学特性が得られる。
【0021】
なお、熱伝導性部材7の板厚は、伝熱性の観点から薄ければ薄いほど良い。但し、それを厚くしても充分な伝熱性は得られるので上記の作用効果を奏する。
また、回転多面鏡カバー4から熱伝導性部材7への伝熱、及び熱伝導性部材7から走査レンズ5への伝熱は、共にそれらの接触面によって行われるので、回転多面鏡カバー4と熱伝導性部材7との接触面積、及び熱伝導性部材7と走査レンズ5との接触面積は、共に大きくするほど熱伝導の効率が良くなる。
【0022】
また、この実施の形態では、前述したように熱伝導性部材7を弾性体で形成している。
一方、回転多面鏡カバー4や走査レンズ5は剛性体からなる。したがって、弾性体からなる熱伝導性部材7が剛性体の回転多面鏡カバー4の上面に押し付けられて固定されると共に、その熱伝導性部材7が剛性体の走査レンズ5の上面にも押し付けられて固定されるので、それらの接触面は弾性体側の熱伝導性部材7が弾性変形することにより、それぞれ互いの密着性が高まる。
それにより、接触部における熱伝導性が高まるので、走査レンズ5の図1で上下方向の温度分布を、より均一にすることができる。したがって、その走査レンズ5の上部側と下部側とで部分的な温度差が生じた際に、画像形成時に発生しやすい異常画像の発生を防いで、画像品質の低下を防止することができる。
【0023】
図5はこの発明による光走査装置の他の実施形態の回転多面鏡付近を示す図1と同様な縦断面図、図6は同じくその光走査装置の回転多面鏡付近を示す平面図、図7はその光走査装置を図6のB−B線に沿って断面にした断面図であり、図1乃至図3と対応する部分には同一の符号を付してある。
この実施の形態による光走査装置10は、図1乃至図3で説明した光走査装置1に対し、熱伝導性部材7の上側に板状部材25を設けた点のみが異なる。したがって、この光走査装置10を備えた画像形成装置は、図4で説明した画像形成装置に対して光走査装置1を光走査装置10に替えただけであるため、その図示及び説明を省略する。
【0024】
この光走査装置10は、上述したように、熱伝導性部材7の外側(図5で上側の面)に熱伝導率の高い例えばアルミ材からなる板状部材25を、熱伝導性部材7に接触状態に設けている。
その板状部材25は、回転多面鏡カバー4側となる一端側に略熱伝導性部材7の厚さ分の段差部を形成し、その段差部に図5に示すように熱伝導性部材7の一端側を位置させて、熱伝導性部材7を回転多面鏡カバー4の上面と板状部材25の下面との間に挾み込むようにしている。
そして、その状態で、図6に示すように板状部材25の端部の2箇所をネジ26により回転多面鏡カバー4に固定している。その板状部材25の他端側は、図5に示したように熱伝導性部材7を全て覆うまでの大きさに形成されている。したがって、この板状部材25がある程度の剛性を有しているようにすれば、板状部材25の一端を上述したようにネジ26により回転多面鏡カバー4に固定すれば、その板状部材25の他端側(図5で右端側)が材料自身の持つ弾性力により熱伝導性部材7を走査レンズ5の上面となる取付部対向面5bに押し付ける。
【0025】
このように、この実施の形態による光走査装置10は、弾性体からなる熱伝導性部材7よりも熱伝導率が高く剛性も高いアルミ製の板状部材25によって、熱伝導性部材7が走査レンズ5に押圧されるので、その走査レンズ5と熱伝導性部材7との接触部の密着性が高まる。それにより、その接触部分における接触面積が大きくなるので、回転多面鏡カバー4からの熱が、より走査レンズ5に伝わりやすくなる。したがって、走査レンズ5の取付部対向面5b側の熱伝導性が高まることにより、走査レンズ5の上部側と下部側の温度分布をより均一にすることができる。それにより、異常画像の発生を防いて画像品質の低下を防止することができる。
【0026】
図8はこの発明による光走査装置のさらに異なる他の実施形態の回転多面鏡付近を示す図5と同様な縦断面図であり、図5と対応する部分には同一の符号を付してある。
この実施の形態による光走査装置30は、図5で説明した光走査装置10に対し、異なる形状の回転多面鏡カバー34を設けると共に、走査レンズ5の上面となる取付部対向面5bと略同程度の大きさの小型の熱伝導性部材37を設けた点のみが異なる。
【0027】
その回転多面鏡カバー34は、例えばアルミニュウムで形成されていて、その上面の一部に走査レンズ5の上面まで鍔状に延びる板状部34aを有している。そして、図示のように組付時には、板状部34aの先端部が走査レンズ5の取付部対向面5bに載置した熱伝導性部材37を押さえつけて、板状部34aの先端部が熱伝導性部材37に密着すると共に、その熱伝導性部材37が走査レンズ5の取付部対向面5bにも密着するようにしている。
この実施の形態によれば、駆動モータ部9から発生した熱は回転多面鏡カバー34の板状部34aを通して直接走査レンズ5の上面の熱伝導性部材37に伝熱されるので、図5で説明した実施の形態に比べて走査レンズ5への電熱の効率が高まる。
なお、この実施の形態による光走査装置30は、上述した点のみが図5で説明した光走査装置10と異なるだけであるため、この図8に示した光走査装置30を備えた画像形成装置についての図示及び説明は省略する。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による光走査装置とそれを備えた画像形成装置によれば、走査レンズの光学ベースへの取付面と反対側となる取付部対向面と回転多面鏡を覆う回転多面鏡カバーに共に接した状態で跨る熱伝導性部材を設けたので、回転多面鏡から発生した熱は光学ベースと熱伝導性部材の両方から走査レンズの取付面と取付部対向面に伝わるため、走査レンズはその対向する2面から均等に温度上昇される。それにより、走査レンズ内の温度分布が均一になるので、走査レンズ内が取付面側と取付部対向面側とで不均一な温度分布になった場合に生じる異常画像の発生を防ぐことができ、画像品質の低下を防止することができる。
また、その走査レンズ内の温度分布は、温度が飽和したときに均一になるだけではなく、その飽和温度に達するまでの間についても均一になり、走査レンズ内が取付面側と取付部対向面側とで不均一な温度分布になるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態例である光走査装置の回転多面鏡付近を示す縦断面図である。
【図2】同じくその光走査装置の回転多面鏡付近を示す平面図である。
【図3】その光走査装置を図2のA−A線に沿って断面にした断面図である。
【図4】同じくその光走査装置を搭載した画像形成装置の一例を示す全体概略構成図である。
【図5】この発明による光走査装置の他の実施形態の回転多面鏡付近を示す図1と同様な縦断面図である。
【図6】同じくその光走査装置の回転多面鏡付近を示す平面図である。
【図7】同じくその光走査装置を図6のB−B線に沿って断面にした断面図である。
【図8】この発明による光走査装置のさらに異なる他の実施形態の回転多面鏡付近を示す図5と同様な縦断面図である。
【図9】本出願人が先に出願した走査レンズ内に温度分布差が生じにくいようにした光走査装置の走査レンズ付近を示す縦断面図である。
【図10】同じくその光走査装置の異なる他の例を示す縦断面図である。
【図11】同じくその光走査装置のさらに異なる他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1,10,30:光走査装置 2:光学ベース
3:回転多面鏡 4,34:回転多面鏡カバー
5:走査レンズ 5a:取付面
5b:取付部対向面 7,37:熱伝導性部材
34a:板状部(板状部材) 45:感光体
Claims (4)
- 光学ベース上にレーザビームを偏向走査する回転多面鏡と、該回転多面鏡を覆う回転多面鏡カバーと、前記回転多面鏡により偏向走査されたレーザビームを透過走査して感光体上へ導く走査レンズとをそれぞれ取り付けた光走査装置において、
前記走査レンズの前記光学ベースへの取付面と反対側となる取付部対向面と前記回転多面鏡カバーに共に接した状態で跨る熱伝導性部材を設けたことを特徴とする光走査装置。 - 光学ベース上にレーザビームを偏向走査する回転多面鏡と、該回転多面鏡を覆う回転多面鏡カバーと、前記回転多面鏡により偏向走査されたレーザビームを透過走査して感光体上へ導く走査レンズとをそれぞれ取り付けた光走査装置において、
前記走査レンズの前記光学ベースへの取付面と反対側となる取付部対向面に接触状態に熱伝導性部材を設けると共に、熱伝導率の高い材料で形成されて前記回転多面鏡カバーと一体あるいは該回転多面鏡カバーに固定されて前記熱伝導性部材の外側の面に接する板状部材を設けたことを特徴とする光走査装置。 - 前記熱伝導性部材は、弾性体で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光走査装置。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光走査装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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JP2006177997A (ja) * | 2004-12-20 | 2006-07-06 | Ricoh Co Ltd | 光書込装置、及び画像形成装置 |
-
2003
- 2003-03-12 JP JP2003065990A patent/JP2004272142A/ja active Pending
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