JP2004271806A - カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】装填するフィルムの感度に応じて低感度及び高感度の2種類の感度に設定する感度設定手段と、被写体距離に応じてストロボ発光量を自動的に調節する自動調光回路を有するストロボ発光手段と、前記感度設定手段による感度設定、及び前記ストロボ発光手段の使用状態若しくは不使用状態によって、撮影レンズの開口径を切り換える絞り切換手段と、備えたカメラにおいて、露出不足の発生を少なくすることを簡易な構成で実現する。
【解決手段】ストロボ発光手段を使用状態にした場合に、前記感度設定手段を高感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を可能とし、前記感度設定手段を低感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を禁止する禁止手段と、を設けたこと。
【選択図】 図5
【解決手段】ストロボ発光手段を使用状態にした場合に、前記感度設定手段を高感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を可能とし、前記感度設定手段を低感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を禁止する禁止手段と、を設けたこと。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は銀塩フィルム(以下、フィルムという)を用いるカメラに関し、詳しくは、装填するフィルムの感度に応じて低感度及び高感度の2種類の感度に手動設定し、且つ、被写体距離に応じて発光量を自動的に調節する自動調光ストロボを備えたカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
フィルムを用いる通常のカメラは、マイコン等を搭載して、装填されたパトローネのDXコードよりフィルム感度を識別し、識別したフィルム感度と被写体輝度に応じて予め設定されたプログラムにより適正な絞り及びシャッタ速度を自動的に決定する。
【0003】
しかし、廉価な普及型カメラにおいては、低コストにするためにフィルム感度を識別するマイコン等を搭載することができず、フィルム感度を手動操作により設定している。また、絞り及びシャッタ速度のプログラムを記憶したマイコンも搭載できず、シャッタ速度を一定にし、手動操作により設定したフィルム感度に応じて絞りのみを切り換えるカメラがある。このようなカメラにおいては、所定のフィルム感度においては、被写体輝度に無関係に一定のシャッタ速度と絞りにより撮影し、露光の過不足はフィルムのラチチュードによって補っている。
【0004】
なお、日中では上記の如き構成でもある程度の撮影が可能であるが、室内や夜間ではひどい露出不足になってしまい、鑑賞に耐える写真にはならない。そこで、ストロボを内蔵し、ストロボを使用状態にしたときは大絞りに切り換えて露出不足を解消し、ストロボを不使用状態にしたときは設定したフィルム感度に応じて小絞りに切り換えるカメラが以前よりあった。
【0005】
例えば、ISO100〜200と、ISO400との2種のフィルム感度に切り換え可能であって、ストロボを使用状態にしたときはF4の開放絞りに切り換え、ストロボを不使用状態にした場合は、ISO100〜200のときにF8に絞りを切り換え、ISO400のときにF16に絞りを切り換えるカメラがあった。
【0006】
また、予めフィルムが装填されたレンズ付きフィルムユニットにおいて、ストロボを使用状態にしたときと不使用状態にしたときとで絞りを切り換える形式のものが市販されている。このレンズ付きフィルムユニットにおいては、ストロボを使用状態にしたときには、開放絞りとなって絞り口径が大きくなるので、被写体距離が遠距離でも適正露出になるが、近距離ではストロボ光が強すぎて露出過多になる恐れがある。そこで、被写体距離に応じてストロボ発光量を自動的に調節する自動調光ストロボを内蔵し、近距離での露出過多を解消したレンズ付きフィルムユニットも市販されている。
【0007】
更に、通常の屋外での撮影(日中)、屋外での逆光下での撮影(逆光)、及び夜間や屋内で撮影(夜間)に対応して各々手動設定し、且つ、自動調光ストロボを備えたレンズ付きフィルムユニットが特許文献1に記載されている。そして、このレンズ付きフィルムユニットは、日中に設定したときは小絞りに切り換えられてストロボが不作動になり、夜間に設定したときは大絞りに切り換えられて自動調光ストロボが作動し、逆光に設定したときは小絞りに切り換えられてストロボの自動調光回路が作動せずに常にフル発光する。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−333657号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く2種のフィルム感度に切り換え可能であって、且つ、自動調光ストロボを内蔵し、屋外での撮影においてストロボを不使用状態にしたときはフィルム感度の切り換えに応じて所定の小絞りに切り換え、室内や夜間での撮影においてストロボを使用状態にしたときはフィルム感度に切り換えに拘わらず一定の開放絞りに切り換えるように構成する簡易カメラが考えられる。このような構成にすると、日中でも室内や夜間であっても、ある程度の適正露出の写真が得られるカメラを安価に提供することができる。
【0010】
ここで、2種のフィルム感度に切り換え領域を、例えばISO100〜400の低感度領域とISO800〜1600の高感度領域とに切り換えるものとする。この場合に、ストロボを不使用状態にするときは、各領域において複数のフィルム感度の中の代表的な感度に対応した小絞りを設定すればよい。例えば、低感度領域においてはISO400に対応した小絞りに設定し、高感度領域においてはISO1600に対応した小絞りを設定する。しかし、ストロボを使用状態にするときは、このストロボは自動調光ストロボであるので自動調光機能を高感度領域に合わせるか低感度領域に合わせるかが問題になる。上記の例では高感度領域と低感度領域とでは2EVの感度差があるので、自動調光機能を高感度領域に合わせると、ISO1600のフィルムを使用したときは適正露出になるが、ISO400のフィルムを使用したときは2EVの露出不足になる。また、自動調光機能を低感度領域に合わせると、ISO400のフィルムを使用したときは適正露出になるが、ISO1600のフィルムを使用したときは2EVの露出過多になる。
【0011】
なお、このような問題はフィルム感度に対応して適正な絞りを選択することができない簡易な構成で安価なカメラにおいて生ずるものであり、マイコンを用いて装填したフィルム感度を自動的に検出して、フィルム感度に対応した適正な絞りを自動的に設定することができるカメラであれば、問題は生じない。
【0012】
また、通常のユーザーはネガフィルムを用いるので、フィルムのラチチュードの点から露出不足になるのは特に好ましくない。
【0013】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、手動操作により2種のフィルム感度に切り換え可能であって、自動調光ストロボを内蔵し、且つフィルム感度及びストロボの使用の有無に応じて絞りが切り換えられる簡単な構成の安価なカメラであって、何れのフィルム感度に切り換えても、夜間や室内でストロボを使用したときに露出不足若しくは露出過多の発生を少なくすることを簡易な構成で実現したカメラを提案することを発明の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は下記の手段により達成される。
【0015】
装填するフィルムの感度に応じて低感度及び高感度の2種類の感度に設定する感度設定手段と、被写体距離に応じてストロボ発光量を自動的に調節する自動調光回路を有するストロボ発光手段と、前記感度設定手段による感度設定、及び前記ストロボ発光手段の使用状態若しくは不使用状態によって、撮影レンズの開口径を切り換える絞り切換手段と、前記ストロボ発光手段を使用状態にした場合に、前記感度設定手段を高感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を可能とし、前記感度設定手段を低感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を禁止する禁止手段と、を設けたことを特徴とするカメラ。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のカメラにおける実施の形態を、図を参照して詳細に説明する。
【0017】
先ず、カメラの一例を図1のカメラの外観斜視図により説明する。
カメラの前面中央には撮影レンズ1が配置され、撮影レンズ1の上方にはファインダの対物レンズ窓2が配置されている。
【0018】
対物レンズ窓2の右方にはストロボ光を発光するストロボ発光部3が配置されている。ストロボ発光部3の左下には被写体より反射したストロボ光を受光する受光部のための受光窓4が配置され、ストロボ発光部3の下方にはストロボを作動状態及び不作動状態にするストロボ操作レバー5が配置されている。なお、ストロボ操作レバー5を図1の如く右端が側面より突出するように右方に摺動させれば内部のメインスイッチがオンになってストロボが充電しストロボが作動状態になり、左方に摺動させればメインスイッチがオフになってストロボの充電が停止しストロボは不作動状態になる。また、ストロボ操作レバー5の左右への摺動により後述の如く内部の絞りが切り換わる。
【0019】
撮影レンズ1の下方には装填したフィルムの感度に応じて切り換えるフィルム感度レバー6(感度設定手段)が配置され、本実施の形態においてはフィルム感度レバー6を右方に摺動操作するとISO100〜400(以下、低感度領域という)に対応した絞りに切り換わり、フィルム感度レバー6を左方に摺動操作するとISO800〜1600(以下、高感度領域という)に対応した絞りに切り換わる。
【0020】
カメラの上面には、左から撮影時に押下するレリーズボタン7、撮影コマ数を表示した内部の指数板を視認するための指数窓8、ストロボが充電したときに点灯する内部のLEDを視認するための充電確認窓9、及び撮影済みのフィルムをパトローネ内に巻き戻すための巻戻しハンドル10が配置されている。
【0021】
カメラの背面にはフィルムを巻き上げるための巻上げノブ11が配置されている。
【0022】
なお、本カメラの背面図は省略してあるが、背面に配置した裏蓋を開閉してフィルムの装填や取り出しを行う。また、背面には対物レンズ窓2と光学的に接続した接眼レンズ窓が配置されている。
【0023】
次に、本発明に係わる絞り切り換えについて、図2乃至図5に基づいて説明する。
【0024】
図2乃至図5は外装部材や撮影レンズ等を取り外したカメラの正面図であり、図2はフィルム感度レバー6を高感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ不作動状態に切り換えた図、図3はフィルム感度レバー6を高感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ作動状態に切り換えた図、図4はフィルム感度レバー6を低感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ不作動状態に切り換えた図、図5はフィルム感度レバー6を低感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ作動状態に切り換えた図である。
【0025】
先ず、図2に基づいて各部材を説明する。
21は絞り切換レバー(絞り切換手段)であり、支軸22を中心に回動する。そして、絞り切換レバー21は不図示のバネによって時計方向に回動するように付勢されている。絞り切換レバー21の左端には中口径の孔が空いていて、これが第2絞り21aを形成し、その右方には第2絞り21aより小口径の孔が空いていて、これが第3絞り21bを形成している。
【0026】
絞り切換レバー21の裏面側にはセクター23が配置されていて、支軸24を中心に回動する。なお、セクター23の上端には切り欠き部23aが設けられ、切り欠き部23aにシャッタレバー25の先端部25aが挿入されている。シャッタチャージ機構及びシャッタレリーズ機構の説明は省略するが、これらは公知の構成であって、シャッタチャージ状態でレリーズボタン7を押下すると、シャッタレバー25の先端部25aが急速に左方に移動するので、セクター23は支軸24を中心に反時計方向に回動し、セクター23の裏面側に位置する地板26に設けた開口部26aを開放する。これによって、絞り切換レバー21の前方に位置する撮影レンズ1を透過した被写体光が開口部26aを通過し、不図示のフィルムを露光する。そして、この開口部26aは第2絞り21aより大口径であって、開放絞りである第1絞りを形成する。
【0027】
なお、セクター23は反時計方向に回動して開口部26aを開放した後、回動を続ける慣性力がなくなると、シャッタレバー25に付勢された不図示のバネによって逆方向の時計方向に回動し、シャッタレバー25と共に原位置に復帰する。
【0028】
また、絞り切換レバー21の裏面側にはストロボ操作レバー5が配置されていて、更にその裏面側にはフィルム感度レバー6が配置されている。そして、フィルム感度レバー6の裏面側にはストロボユニット30(ストロボ発光手段)のプリント配線基板31が配置されている。なお、プリント配線基板31にはストロボ発光部3が接続されている。
【0029】
図2はフィルム感度レバー6を左方に摺動して高感度領域に設定し、ストロボ操作レバー5を左方に摺動した図である。この状態では、絞り切換レバー21の中央に位置する切換部21cがストロボ操作レバー5より突出した切換ピン5aに圧着している。そして、絞り切換レバー21の第3絞り21bの中心が、撮影レンズ1の光軸及び開口部26aの中心と合致している。また、ストロボ操作レバー5はプリント配線基板31に設けた不図示のメインスイッチをオフにしていて、ストロボは不作動状態である。従って、図2はISO800乃至ISO1600のフィルムを用いて日中に撮影する場合に好適な状態である。
【0030】
次に、図2の状態からストロボ操作レバー5を右方に摺動すると図3の状態になり、ストロボ操作レバー5はプリント配線基板31に設けた不図示のメインスイッチをオンにしていて、ストロボは作動状態である。このとき、ストロボ操作レバー5の切換ピン5aが切換部21cを介して絞り切換レバー21を更に反時計方向に回動させている。これにより、絞りは開口部26a、即ち開放絞りである第1絞りになる。従って、図3はISO800乃至ISO1600のフィルムを用いて夜間や室内でストロボ撮影する場合に好適な状態である。
【0031】
また、図4はフィルム感度レバー6を右方に摺動して低感度領域に設定し、ストロボ操作レバー5を左方に摺動した図である。この状態では、絞り切換レバー21の切換部21cがフィルム感度レバー6より突出した切換ピン6aに圧着し、ストロボ操作レバー5の切換ピン5aは退避している。そして、絞り切換レバー21の第2絞り21aの中心が、撮影レンズ1の光軸及び開口部26aの中心と合致している。また、ストロボ操作レバー5はプリント配線基板31に設けた不図示のメインスイッチをオフにしていて、ストロボは不作動状態である。従って、図4はISO100乃至ISO400のフィルムを用いて日中に撮影する場合に好適な状態である。
【0032】
次に、図4の状態からストロボ操作レバー5を右方に摺動すると図5の状態になり、ストロボ操作レバー5はプリント配線基板31に設けた不図示のメインスイッチをオンにしていて、ストロボは作動状態である。このとき、ストロボ操作レバー5の切換ピン5aが切換部21cを介して絞り切換レバー21を更に反時計方向に回動させている。これにより、絞りは開口部26a、即ち開放絞りである第1絞りになる。従って、図5はISO100乃至ISO400のフィルムを用いて夜間や室内でストロボ撮影する場合に好適な状態である。
【0033】
なお、プリント配線基板31の上部には、被写体にて反射したストロボ光を受光する受光素子31aが配置されている。そして、図2及び図3の如くフィルム感度レバー6を左方に摺動して高感度領域に設定したときは、フィルム感度レバー6の上部6b(禁止手段、即ち遮蔽部材)が受光素子31aより退避している。従って、図3の如きストロボ撮影においては、ストロボは通常に調光動作を行い、被写体距離が近距離のときはストロボ光量が少なくなり、被写体距離が遠距離のときはストロボ光量が多くなるので、撮影距離に無関係に常に適正露出になる。
【0034】
一方、図4及び図5の如くフィルム感度レバー6を右方に摺動して低感度領域に設定したときは、フィルム感度レバー6の上部6bが受光素子31aの前方を遮蔽している。従って、ストロボは作動するが調光動作は行われず、全ての撮影距離で常にフル発光することになる。従って、調光動作を高感度領域に合わせて設定し、これに準じて低感度領域でも調光動作を行って低感度領域では全ての撮影距離で露出不足になる状態と比較して、実用上遙かに良い露出の写真が多数得られる。
【0035】
一例として、開放の第1絞りをF4.5、第2絞りをF5.6、第3絞りをF11とし、ISO100でのストロボのガイドナンバーを5とし、ストロボの調光動作をISO1600に合わせたとする。この場合にカメラにISO1600のフィルムを装填したとすると、4.4mでストロボがフル発光し20のガイドナンバーになり、至近距離とした1mでは調光動作により発光が途中で停止して4.5のガイドナンバーになる。そして、4.4mから1mの間で全て適正なガイドナンバーとなって、絞りが一定であっても適正露出となる。この調光動作をそのままISO400でも行うとすると、4.4mから1mの間で全て−2EVの露出不足になる。このために、ISO400では調光動作を行わなわずに全てフル発光するようにすれば、ガイドナンバーは10となり、2.2mで適正露出になる。調光を行わないので当然のことながら、2.2m以上では次第に露出不足になり、2.2m以下では次第に露出過多になるのは避けられないが、人物撮影において比較的多く行われる2m前後の撮影距離では適正露出となるので、前述の如く2m前後でも必ず−2EVの露出不足になるより遙かに良好な写真が得られる。
【0036】
次に、調光ストロボの一例を図6のストロボ回路図に基づいて説明する。
ストロボ操作レバー5の操作によりメインスイッチS1をオンにすると、発光禁止スイッチS2も連動してオンになり、電池Bの電流が抵抗R1を介してトランジスタTRに流れて発振が開始し、発振トランスTの二次側は高圧に昇圧される。この二次側の電流をダイオードD1によって整流することで300〜350Vの直流高電圧を得て、メインコンデンサCM、及び抵抗R3と直列に接続したトリガーコンデンサCTを充電する。メインコンデンサCMが所定の電圧に充電されると、抵抗R2と直列に接続された発光ダイオードDLが点灯し、充電確認窓9より視認することができる。
【0037】
撮影のときにはセクター23の開放動作に連動してトリガースイッチSTがオンになる。これによって、トリガーコンデンサCT、トリガースイッチST、トリガートランスTCの一次側巻線、及び発光禁止スイッチS2を直列に接続した閉回路が形成され、トリガーコンデンサCTに充電されていた電荷がトリガートランスTCの一次側に放電する。この結果、トリガートランスTCの二次側には更なる高圧が発生し、放電管Xeのトリガー電極に印加されるので、放電管Xeの中のイオン化されたキセノン原子が陰極より飛び出した電子と衝突して励起され、メインコンデンサCMの放電に伴って放電管Xeは発光する。
【0038】
なお、トリガースイッチSTがオンになると、メインコンデンサCMの電荷の一部がトリガートランスTCの一次側及びトリガースイッチSTを通って電流i1となって抵抗R4に流れる。また、トリガーコンデンサCTが放電した後、メインコンデンサの電荷の一部がトリガーコンデンサCTを充電すべく電流i2となって抵抗R4に流れる。抵抗R4,R5と、抵抗R5の側をカソードとしたツェナーダイオードD2とが直列に接続されているので、ツェナーダイオードD2には電流i1と電流i2とを加えた電流iが逆向きに流れるので、ツエナー電圧が発生する。
【0039】
ここで、互いに直列に接続されたフォトトランジスタPTとコンデンサCPとが、ツェナーダイオードD2と並列に接続されている。フォトトランジスタPTは被写体にて反射したストロボ光を受光するものであって、前述の受光素子31aに相当する。フォトトランジスタPTとコンデンサCPとの接続部分は抵抗R6を介してトランジスタTRPのベースと接続され、トランジスタTRPのエミッタがサイリスタTh1のゲートに接続されている。サイリスタTh1はバイパス用のチョークコイルCCと直列に接続され、これらは放電管Xeと並列に接続されている。
【0040】
従って、サイリスタTh1がオンになると、放電管Xeに流れる電流よりも大電流でチョークコイルCCに電流が流れてメインコンデンサCMの電荷は急速に消費され、放電管Xeの発光が停止されるようになっている。
【0041】
ツェナーダイオードD2に電流iが流れ、ツェナーダイオードD2の両端にツェナー電圧が生じると、被写体の反射光に応じてフォトトランジスタPTに電流が流れる。撮影距離が近距離であれば被写体によって反射したストロボ光は強くなり、フォトトランジスタPTに流れる電流は大きくなるので、コンデンサCPの充電は早くなる。一方、撮影距離が遠距離であれば被写体によって反射したストロボ光は弱くなり、フォトトランジスタPTに流れる電流は小さくなり、コンデンサCPの充電は遅くなる。
【0042】
この結果、近距離であれば、トランジスタTRPはオンになるのが早く、サイリスタTh1もオンになるのが早いので、放電管Xeの発光途中でメインコンデンサCMの電荷が急速にチョークコイルCCにより消費されて、放電管Xeの発光は早めに停止する。一方、遠距離であれば、トランジスタTRPはオンになるのが遅く、サイリスタTh1もオンになるのが遅いので、放電管Xeは遅めに発光停止する。従って、絞りが一定であっても撮影距離に応じて被写体からの反射光が変化してストロボの総発光量が変化するので、撮影距離が変化しても略一定の露光量が得られる。
【0043】
また、トリガースイッチSTがオンになったときにチャタリングが発生し、動作が不安定になるので、この防止のためにサイリスタTh2が設けられている。
【0044】
ここで、前述の図2乃至図5に示した構成において、フィルム感度レバー6を右方に摺動して低感度領域に設定したときは、フィルム感度レバー6の上部6bにて受光素子31a即ちフォトトランジスタPTの前方を遮蔽するので、被写体からのストロボの反射光を受光することがなく、調光動作が行われずに常にフル発光する。
【0045】
しかし、フォトトランジスタPTの前方を遮蔽することをせずに、調光回路にフィルム感度レバー6と連動するスイッチ(禁止手段)を設け、低感度領域に設定したときはそのスイッチをオフ(不導通)にして調光回路を不作動状態にしてもよい。
【0046】
例えば、抵抗R5の一端とフォトトランジスタPTのカソード端子との間のαの位置にスイッチを設ければ、ストロボの反射光がフォトトランジスタPTに照射されてもフォトトランジスタPTに電流が流れないので、ストロボは調光動作を行わずにフル発光する。
【0047】
また、トランジスタTRPのエミッタがサイリスタTh1のゲートとの間のβの位置にスイッチを設ければ、フォトトランジスタPTに電流が流れてもサイリスタTh1がオンにならないので、同様にストロボは調光動作を行わずにフル発光する。
【0048】
その他に、チョークコイルCCと放電管Xeとの間のγの位置にスイッチを設ければ、サイリスタTh1がオンしてもサイリスタTh1に電流が流れないので、同様にストロボは調光動作を行わずにフル発光する。
【0049】
無論、このスイッチはストロボの調光動作を不能にすればよいので、上述のα,β,γの位置に限定されるものではなく、これら以外の部所に設けてもよい。
【0050】
その他に、以上の実施の形態においてはフィルム感度レバー及びストロボ操作レバーがカメラの長手方向に摺動するように構成していたが、これらの少なくとも何れか一方がカメラの短手方向に摺動するように構成してもよいし、また、これらの少なくとも何れか一方が回転するように構成してもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明のカメラによれば、手動操作により2種のフィルム感度に切り換え可能であって、自動調光ストロボを内蔵し、且つフィルム感度及びストロボの使用の有無に応じて絞りが切り換えられる簡単な構成を有し、何れのフィルム感度に切り換えても、夜間や室内でストロボを使用したときに露出不足若しくは露出過多の発生を少なくすることを簡易な構成で安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カメラの外観斜視図である。
【図2】フィルム感度レバー6を高感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ不作動状態に切り換えた状態のカメラの正面図である。
【図3】フィルム感度レバー6を高感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ作動状態に切り換えた状態のカメラの正面図である。
【図4】フィルム感度レバー6を低感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ不作動状態に切り換えた状態のカメラの正面図である。
【図5】フィルム感度レバー6を低感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ作動状態に切り換えた状態のカメラの正面図である。
【図6】調光回路を有するストロボの回路図である。
【符号の説明】
1 撮影レンズ
5 ストロボ操作レバー
6 フィルム感度レバー
6b 上部
21 絞り切換レバー
21a 第2絞り
21b 第3絞り
23 セクター
26a 開口部
30 ストロボユニット
31a 受光素子
PT フォトトランジスタ
【発明の属する技術分野】
本発明は銀塩フィルム(以下、フィルムという)を用いるカメラに関し、詳しくは、装填するフィルムの感度に応じて低感度及び高感度の2種類の感度に手動設定し、且つ、被写体距離に応じて発光量を自動的に調節する自動調光ストロボを備えたカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
フィルムを用いる通常のカメラは、マイコン等を搭載して、装填されたパトローネのDXコードよりフィルム感度を識別し、識別したフィルム感度と被写体輝度に応じて予め設定されたプログラムにより適正な絞り及びシャッタ速度を自動的に決定する。
【0003】
しかし、廉価な普及型カメラにおいては、低コストにするためにフィルム感度を識別するマイコン等を搭載することができず、フィルム感度を手動操作により設定している。また、絞り及びシャッタ速度のプログラムを記憶したマイコンも搭載できず、シャッタ速度を一定にし、手動操作により設定したフィルム感度に応じて絞りのみを切り換えるカメラがある。このようなカメラにおいては、所定のフィルム感度においては、被写体輝度に無関係に一定のシャッタ速度と絞りにより撮影し、露光の過不足はフィルムのラチチュードによって補っている。
【0004】
なお、日中では上記の如き構成でもある程度の撮影が可能であるが、室内や夜間ではひどい露出不足になってしまい、鑑賞に耐える写真にはならない。そこで、ストロボを内蔵し、ストロボを使用状態にしたときは大絞りに切り換えて露出不足を解消し、ストロボを不使用状態にしたときは設定したフィルム感度に応じて小絞りに切り換えるカメラが以前よりあった。
【0005】
例えば、ISO100〜200と、ISO400との2種のフィルム感度に切り換え可能であって、ストロボを使用状態にしたときはF4の開放絞りに切り換え、ストロボを不使用状態にした場合は、ISO100〜200のときにF8に絞りを切り換え、ISO400のときにF16に絞りを切り換えるカメラがあった。
【0006】
また、予めフィルムが装填されたレンズ付きフィルムユニットにおいて、ストロボを使用状態にしたときと不使用状態にしたときとで絞りを切り換える形式のものが市販されている。このレンズ付きフィルムユニットにおいては、ストロボを使用状態にしたときには、開放絞りとなって絞り口径が大きくなるので、被写体距離が遠距離でも適正露出になるが、近距離ではストロボ光が強すぎて露出過多になる恐れがある。そこで、被写体距離に応じてストロボ発光量を自動的に調節する自動調光ストロボを内蔵し、近距離での露出過多を解消したレンズ付きフィルムユニットも市販されている。
【0007】
更に、通常の屋外での撮影(日中)、屋外での逆光下での撮影(逆光)、及び夜間や屋内で撮影(夜間)に対応して各々手動設定し、且つ、自動調光ストロボを備えたレンズ付きフィルムユニットが特許文献1に記載されている。そして、このレンズ付きフィルムユニットは、日中に設定したときは小絞りに切り換えられてストロボが不作動になり、夜間に設定したときは大絞りに切り換えられて自動調光ストロボが作動し、逆光に設定したときは小絞りに切り換えられてストロボの自動調光回路が作動せずに常にフル発光する。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−333657号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く2種のフィルム感度に切り換え可能であって、且つ、自動調光ストロボを内蔵し、屋外での撮影においてストロボを不使用状態にしたときはフィルム感度の切り換えに応じて所定の小絞りに切り換え、室内や夜間での撮影においてストロボを使用状態にしたときはフィルム感度に切り換えに拘わらず一定の開放絞りに切り換えるように構成する簡易カメラが考えられる。このような構成にすると、日中でも室内や夜間であっても、ある程度の適正露出の写真が得られるカメラを安価に提供することができる。
【0010】
ここで、2種のフィルム感度に切り換え領域を、例えばISO100〜400の低感度領域とISO800〜1600の高感度領域とに切り換えるものとする。この場合に、ストロボを不使用状態にするときは、各領域において複数のフィルム感度の中の代表的な感度に対応した小絞りを設定すればよい。例えば、低感度領域においてはISO400に対応した小絞りに設定し、高感度領域においてはISO1600に対応した小絞りを設定する。しかし、ストロボを使用状態にするときは、このストロボは自動調光ストロボであるので自動調光機能を高感度領域に合わせるか低感度領域に合わせるかが問題になる。上記の例では高感度領域と低感度領域とでは2EVの感度差があるので、自動調光機能を高感度領域に合わせると、ISO1600のフィルムを使用したときは適正露出になるが、ISO400のフィルムを使用したときは2EVの露出不足になる。また、自動調光機能を低感度領域に合わせると、ISO400のフィルムを使用したときは適正露出になるが、ISO1600のフィルムを使用したときは2EVの露出過多になる。
【0011】
なお、このような問題はフィルム感度に対応して適正な絞りを選択することができない簡易な構成で安価なカメラにおいて生ずるものであり、マイコンを用いて装填したフィルム感度を自動的に検出して、フィルム感度に対応した適正な絞りを自動的に設定することができるカメラであれば、問題は生じない。
【0012】
また、通常のユーザーはネガフィルムを用いるので、フィルムのラチチュードの点から露出不足になるのは特に好ましくない。
【0013】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、手動操作により2種のフィルム感度に切り換え可能であって、自動調光ストロボを内蔵し、且つフィルム感度及びストロボの使用の有無に応じて絞りが切り換えられる簡単な構成の安価なカメラであって、何れのフィルム感度に切り換えても、夜間や室内でストロボを使用したときに露出不足若しくは露出過多の発生を少なくすることを簡易な構成で実現したカメラを提案することを発明の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は下記の手段により達成される。
【0015】
装填するフィルムの感度に応じて低感度及び高感度の2種類の感度に設定する感度設定手段と、被写体距離に応じてストロボ発光量を自動的に調節する自動調光回路を有するストロボ発光手段と、前記感度設定手段による感度設定、及び前記ストロボ発光手段の使用状態若しくは不使用状態によって、撮影レンズの開口径を切り換える絞り切換手段と、前記ストロボ発光手段を使用状態にした場合に、前記感度設定手段を高感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を可能とし、前記感度設定手段を低感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を禁止する禁止手段と、を設けたことを特徴とするカメラ。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のカメラにおける実施の形態を、図を参照して詳細に説明する。
【0017】
先ず、カメラの一例を図1のカメラの外観斜視図により説明する。
カメラの前面中央には撮影レンズ1が配置され、撮影レンズ1の上方にはファインダの対物レンズ窓2が配置されている。
【0018】
対物レンズ窓2の右方にはストロボ光を発光するストロボ発光部3が配置されている。ストロボ発光部3の左下には被写体より反射したストロボ光を受光する受光部のための受光窓4が配置され、ストロボ発光部3の下方にはストロボを作動状態及び不作動状態にするストロボ操作レバー5が配置されている。なお、ストロボ操作レバー5を図1の如く右端が側面より突出するように右方に摺動させれば内部のメインスイッチがオンになってストロボが充電しストロボが作動状態になり、左方に摺動させればメインスイッチがオフになってストロボの充電が停止しストロボは不作動状態になる。また、ストロボ操作レバー5の左右への摺動により後述の如く内部の絞りが切り換わる。
【0019】
撮影レンズ1の下方には装填したフィルムの感度に応じて切り換えるフィルム感度レバー6(感度設定手段)が配置され、本実施の形態においてはフィルム感度レバー6を右方に摺動操作するとISO100〜400(以下、低感度領域という)に対応した絞りに切り換わり、フィルム感度レバー6を左方に摺動操作するとISO800〜1600(以下、高感度領域という)に対応した絞りに切り換わる。
【0020】
カメラの上面には、左から撮影時に押下するレリーズボタン7、撮影コマ数を表示した内部の指数板を視認するための指数窓8、ストロボが充電したときに点灯する内部のLEDを視認するための充電確認窓9、及び撮影済みのフィルムをパトローネ内に巻き戻すための巻戻しハンドル10が配置されている。
【0021】
カメラの背面にはフィルムを巻き上げるための巻上げノブ11が配置されている。
【0022】
なお、本カメラの背面図は省略してあるが、背面に配置した裏蓋を開閉してフィルムの装填や取り出しを行う。また、背面には対物レンズ窓2と光学的に接続した接眼レンズ窓が配置されている。
【0023】
次に、本発明に係わる絞り切り換えについて、図2乃至図5に基づいて説明する。
【0024】
図2乃至図5は外装部材や撮影レンズ等を取り外したカメラの正面図であり、図2はフィルム感度レバー6を高感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ不作動状態に切り換えた図、図3はフィルム感度レバー6を高感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ作動状態に切り換えた図、図4はフィルム感度レバー6を低感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ不作動状態に切り換えた図、図5はフィルム感度レバー6を低感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ作動状態に切り換えた図である。
【0025】
先ず、図2に基づいて各部材を説明する。
21は絞り切換レバー(絞り切換手段)であり、支軸22を中心に回動する。そして、絞り切換レバー21は不図示のバネによって時計方向に回動するように付勢されている。絞り切換レバー21の左端には中口径の孔が空いていて、これが第2絞り21aを形成し、その右方には第2絞り21aより小口径の孔が空いていて、これが第3絞り21bを形成している。
【0026】
絞り切換レバー21の裏面側にはセクター23が配置されていて、支軸24を中心に回動する。なお、セクター23の上端には切り欠き部23aが設けられ、切り欠き部23aにシャッタレバー25の先端部25aが挿入されている。シャッタチャージ機構及びシャッタレリーズ機構の説明は省略するが、これらは公知の構成であって、シャッタチャージ状態でレリーズボタン7を押下すると、シャッタレバー25の先端部25aが急速に左方に移動するので、セクター23は支軸24を中心に反時計方向に回動し、セクター23の裏面側に位置する地板26に設けた開口部26aを開放する。これによって、絞り切換レバー21の前方に位置する撮影レンズ1を透過した被写体光が開口部26aを通過し、不図示のフィルムを露光する。そして、この開口部26aは第2絞り21aより大口径であって、開放絞りである第1絞りを形成する。
【0027】
なお、セクター23は反時計方向に回動して開口部26aを開放した後、回動を続ける慣性力がなくなると、シャッタレバー25に付勢された不図示のバネによって逆方向の時計方向に回動し、シャッタレバー25と共に原位置に復帰する。
【0028】
また、絞り切換レバー21の裏面側にはストロボ操作レバー5が配置されていて、更にその裏面側にはフィルム感度レバー6が配置されている。そして、フィルム感度レバー6の裏面側にはストロボユニット30(ストロボ発光手段)のプリント配線基板31が配置されている。なお、プリント配線基板31にはストロボ発光部3が接続されている。
【0029】
図2はフィルム感度レバー6を左方に摺動して高感度領域に設定し、ストロボ操作レバー5を左方に摺動した図である。この状態では、絞り切換レバー21の中央に位置する切換部21cがストロボ操作レバー5より突出した切換ピン5aに圧着している。そして、絞り切換レバー21の第3絞り21bの中心が、撮影レンズ1の光軸及び開口部26aの中心と合致している。また、ストロボ操作レバー5はプリント配線基板31に設けた不図示のメインスイッチをオフにしていて、ストロボは不作動状態である。従って、図2はISO800乃至ISO1600のフィルムを用いて日中に撮影する場合に好適な状態である。
【0030】
次に、図2の状態からストロボ操作レバー5を右方に摺動すると図3の状態になり、ストロボ操作レバー5はプリント配線基板31に設けた不図示のメインスイッチをオンにしていて、ストロボは作動状態である。このとき、ストロボ操作レバー5の切換ピン5aが切換部21cを介して絞り切換レバー21を更に反時計方向に回動させている。これにより、絞りは開口部26a、即ち開放絞りである第1絞りになる。従って、図3はISO800乃至ISO1600のフィルムを用いて夜間や室内でストロボ撮影する場合に好適な状態である。
【0031】
また、図4はフィルム感度レバー6を右方に摺動して低感度領域に設定し、ストロボ操作レバー5を左方に摺動した図である。この状態では、絞り切換レバー21の切換部21cがフィルム感度レバー6より突出した切換ピン6aに圧着し、ストロボ操作レバー5の切換ピン5aは退避している。そして、絞り切換レバー21の第2絞り21aの中心が、撮影レンズ1の光軸及び開口部26aの中心と合致している。また、ストロボ操作レバー5はプリント配線基板31に設けた不図示のメインスイッチをオフにしていて、ストロボは不作動状態である。従って、図4はISO100乃至ISO400のフィルムを用いて日中に撮影する場合に好適な状態である。
【0032】
次に、図4の状態からストロボ操作レバー5を右方に摺動すると図5の状態になり、ストロボ操作レバー5はプリント配線基板31に設けた不図示のメインスイッチをオンにしていて、ストロボは作動状態である。このとき、ストロボ操作レバー5の切換ピン5aが切換部21cを介して絞り切換レバー21を更に反時計方向に回動させている。これにより、絞りは開口部26a、即ち開放絞りである第1絞りになる。従って、図5はISO100乃至ISO400のフィルムを用いて夜間や室内でストロボ撮影する場合に好適な状態である。
【0033】
なお、プリント配線基板31の上部には、被写体にて反射したストロボ光を受光する受光素子31aが配置されている。そして、図2及び図3の如くフィルム感度レバー6を左方に摺動して高感度領域に設定したときは、フィルム感度レバー6の上部6b(禁止手段、即ち遮蔽部材)が受光素子31aより退避している。従って、図3の如きストロボ撮影においては、ストロボは通常に調光動作を行い、被写体距離が近距離のときはストロボ光量が少なくなり、被写体距離が遠距離のときはストロボ光量が多くなるので、撮影距離に無関係に常に適正露出になる。
【0034】
一方、図4及び図5の如くフィルム感度レバー6を右方に摺動して低感度領域に設定したときは、フィルム感度レバー6の上部6bが受光素子31aの前方を遮蔽している。従って、ストロボは作動するが調光動作は行われず、全ての撮影距離で常にフル発光することになる。従って、調光動作を高感度領域に合わせて設定し、これに準じて低感度領域でも調光動作を行って低感度領域では全ての撮影距離で露出不足になる状態と比較して、実用上遙かに良い露出の写真が多数得られる。
【0035】
一例として、開放の第1絞りをF4.5、第2絞りをF5.6、第3絞りをF11とし、ISO100でのストロボのガイドナンバーを5とし、ストロボの調光動作をISO1600に合わせたとする。この場合にカメラにISO1600のフィルムを装填したとすると、4.4mでストロボがフル発光し20のガイドナンバーになり、至近距離とした1mでは調光動作により発光が途中で停止して4.5のガイドナンバーになる。そして、4.4mから1mの間で全て適正なガイドナンバーとなって、絞りが一定であっても適正露出となる。この調光動作をそのままISO400でも行うとすると、4.4mから1mの間で全て−2EVの露出不足になる。このために、ISO400では調光動作を行わなわずに全てフル発光するようにすれば、ガイドナンバーは10となり、2.2mで適正露出になる。調光を行わないので当然のことながら、2.2m以上では次第に露出不足になり、2.2m以下では次第に露出過多になるのは避けられないが、人物撮影において比較的多く行われる2m前後の撮影距離では適正露出となるので、前述の如く2m前後でも必ず−2EVの露出不足になるより遙かに良好な写真が得られる。
【0036】
次に、調光ストロボの一例を図6のストロボ回路図に基づいて説明する。
ストロボ操作レバー5の操作によりメインスイッチS1をオンにすると、発光禁止スイッチS2も連動してオンになり、電池Bの電流が抵抗R1を介してトランジスタTRに流れて発振が開始し、発振トランスTの二次側は高圧に昇圧される。この二次側の電流をダイオードD1によって整流することで300〜350Vの直流高電圧を得て、メインコンデンサCM、及び抵抗R3と直列に接続したトリガーコンデンサCTを充電する。メインコンデンサCMが所定の電圧に充電されると、抵抗R2と直列に接続された発光ダイオードDLが点灯し、充電確認窓9より視認することができる。
【0037】
撮影のときにはセクター23の開放動作に連動してトリガースイッチSTがオンになる。これによって、トリガーコンデンサCT、トリガースイッチST、トリガートランスTCの一次側巻線、及び発光禁止スイッチS2を直列に接続した閉回路が形成され、トリガーコンデンサCTに充電されていた電荷がトリガートランスTCの一次側に放電する。この結果、トリガートランスTCの二次側には更なる高圧が発生し、放電管Xeのトリガー電極に印加されるので、放電管Xeの中のイオン化されたキセノン原子が陰極より飛び出した電子と衝突して励起され、メインコンデンサCMの放電に伴って放電管Xeは発光する。
【0038】
なお、トリガースイッチSTがオンになると、メインコンデンサCMの電荷の一部がトリガートランスTCの一次側及びトリガースイッチSTを通って電流i1となって抵抗R4に流れる。また、トリガーコンデンサCTが放電した後、メインコンデンサの電荷の一部がトリガーコンデンサCTを充電すべく電流i2となって抵抗R4に流れる。抵抗R4,R5と、抵抗R5の側をカソードとしたツェナーダイオードD2とが直列に接続されているので、ツェナーダイオードD2には電流i1と電流i2とを加えた電流iが逆向きに流れるので、ツエナー電圧が発生する。
【0039】
ここで、互いに直列に接続されたフォトトランジスタPTとコンデンサCPとが、ツェナーダイオードD2と並列に接続されている。フォトトランジスタPTは被写体にて反射したストロボ光を受光するものであって、前述の受光素子31aに相当する。フォトトランジスタPTとコンデンサCPとの接続部分は抵抗R6を介してトランジスタTRPのベースと接続され、トランジスタTRPのエミッタがサイリスタTh1のゲートに接続されている。サイリスタTh1はバイパス用のチョークコイルCCと直列に接続され、これらは放電管Xeと並列に接続されている。
【0040】
従って、サイリスタTh1がオンになると、放電管Xeに流れる電流よりも大電流でチョークコイルCCに電流が流れてメインコンデンサCMの電荷は急速に消費され、放電管Xeの発光が停止されるようになっている。
【0041】
ツェナーダイオードD2に電流iが流れ、ツェナーダイオードD2の両端にツェナー電圧が生じると、被写体の反射光に応じてフォトトランジスタPTに電流が流れる。撮影距離が近距離であれば被写体によって反射したストロボ光は強くなり、フォトトランジスタPTに流れる電流は大きくなるので、コンデンサCPの充電は早くなる。一方、撮影距離が遠距離であれば被写体によって反射したストロボ光は弱くなり、フォトトランジスタPTに流れる電流は小さくなり、コンデンサCPの充電は遅くなる。
【0042】
この結果、近距離であれば、トランジスタTRPはオンになるのが早く、サイリスタTh1もオンになるのが早いので、放電管Xeの発光途中でメインコンデンサCMの電荷が急速にチョークコイルCCにより消費されて、放電管Xeの発光は早めに停止する。一方、遠距離であれば、トランジスタTRPはオンになるのが遅く、サイリスタTh1もオンになるのが遅いので、放電管Xeは遅めに発光停止する。従って、絞りが一定であっても撮影距離に応じて被写体からの反射光が変化してストロボの総発光量が変化するので、撮影距離が変化しても略一定の露光量が得られる。
【0043】
また、トリガースイッチSTがオンになったときにチャタリングが発生し、動作が不安定になるので、この防止のためにサイリスタTh2が設けられている。
【0044】
ここで、前述の図2乃至図5に示した構成において、フィルム感度レバー6を右方に摺動して低感度領域に設定したときは、フィルム感度レバー6の上部6bにて受光素子31a即ちフォトトランジスタPTの前方を遮蔽するので、被写体からのストロボの反射光を受光することがなく、調光動作が行われずに常にフル発光する。
【0045】
しかし、フォトトランジスタPTの前方を遮蔽することをせずに、調光回路にフィルム感度レバー6と連動するスイッチ(禁止手段)を設け、低感度領域に設定したときはそのスイッチをオフ(不導通)にして調光回路を不作動状態にしてもよい。
【0046】
例えば、抵抗R5の一端とフォトトランジスタPTのカソード端子との間のαの位置にスイッチを設ければ、ストロボの反射光がフォトトランジスタPTに照射されてもフォトトランジスタPTに電流が流れないので、ストロボは調光動作を行わずにフル発光する。
【0047】
また、トランジスタTRPのエミッタがサイリスタTh1のゲートとの間のβの位置にスイッチを設ければ、フォトトランジスタPTに電流が流れてもサイリスタTh1がオンにならないので、同様にストロボは調光動作を行わずにフル発光する。
【0048】
その他に、チョークコイルCCと放電管Xeとの間のγの位置にスイッチを設ければ、サイリスタTh1がオンしてもサイリスタTh1に電流が流れないので、同様にストロボは調光動作を行わずにフル発光する。
【0049】
無論、このスイッチはストロボの調光動作を不能にすればよいので、上述のα,β,γの位置に限定されるものではなく、これら以外の部所に設けてもよい。
【0050】
その他に、以上の実施の形態においてはフィルム感度レバー及びストロボ操作レバーがカメラの長手方向に摺動するように構成していたが、これらの少なくとも何れか一方がカメラの短手方向に摺動するように構成してもよいし、また、これらの少なくとも何れか一方が回転するように構成してもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明のカメラによれば、手動操作により2種のフィルム感度に切り換え可能であって、自動調光ストロボを内蔵し、且つフィルム感度及びストロボの使用の有無に応じて絞りが切り換えられる簡単な構成を有し、何れのフィルム感度に切り換えても、夜間や室内でストロボを使用したときに露出不足若しくは露出過多の発生を少なくすることを簡易な構成で安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カメラの外観斜視図である。
【図2】フィルム感度レバー6を高感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ不作動状態に切り換えた状態のカメラの正面図である。
【図3】フィルム感度レバー6を高感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ作動状態に切り換えた状態のカメラの正面図である。
【図4】フィルム感度レバー6を低感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ不作動状態に切り換えた状態のカメラの正面図である。
【図5】フィルム感度レバー6を低感度領域に設定し、且つ、ストロボ操作レバー5をストロボ作動状態に切り換えた状態のカメラの正面図である。
【図6】調光回路を有するストロボの回路図である。
【符号の説明】
1 撮影レンズ
5 ストロボ操作レバー
6 フィルム感度レバー
6b 上部
21 絞り切換レバー
21a 第2絞り
21b 第3絞り
23 セクター
26a 開口部
30 ストロボユニット
31a 受光素子
PT フォトトランジスタ
Claims (5)
- 装填するフィルムの感度に応じて低感度及び高感度の2種類の感度に設定する感度設定手段と、
被写体距離に応じてストロボ発光量を自動的に調節する自動調光回路を有するストロボ発光手段と、
前記感度設定手段による感度設定、及び前記ストロボ発光手段の使用状態若しくは不使用状態によって、撮影レンズの開口径を切り換える絞り切換手段と、
前記ストロボ発光手段を使用状態にした場合に、前記感度設定手段を高感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を可能とし、前記感度設定手段を低感度に設定したときは前記自動調光回路による調光動作を禁止する禁止手段と、を設けたことを特徴とするカメラ。 - 前記自動調光回路は被写体にて反射したストロボ光を受光する受光素子を有し、
前記禁止手段を、前記ストロボ発光手段を使用状態にして前記感度設定手段を低感度に設定したときに、前記受光素子の前方を遮蔽する遮蔽部材で構成したことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。 - 前記禁止手段を、前記ストロボ発光手段を使用状態にして前記感度設定手段を低感度に設定したときに、前記自動調光回路を不作動にするスイッチで構成したことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 前記ストロボ発光手段を使用状態にしたときは、前記感度設定手段による感度設定に拘わらず、絞り切換手段により切り換えた絞りが一定の開口径であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のカメラ。
- 前記絞り切換手段は、前記ストロボ発光手段を使用状態にしたときは最も大口径の第1絞りに切り換え、前記感度設定手段を低感度に設定して前記ストロボ発光手段を不使用状態にしたときは前記第1絞りより小口径の第2絞りに切り換え、前記感度設定手段を高感度に設定して前記ストロボ発光手段を不使用状態にしたときは前記第2絞りより小口径の第3絞りに切り換えることを特徴とする請求項4に記載のカメラ。
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