JP2004271685A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式による画像形成は、いまやデジタル方式に主流が移行している。デジタル方式による画像形成では、例えば1200dpi(dpiとは、1インチ、即ち、2.54cmあたりの画素密度を表す。)レベルの小さなドット画像を顕像化することに代表される様に、優れた細線再現性や高解像性を発現可能な小径のトナーが必須である。
【0003】
この様な小径トナーの製造例として、ポリエステル樹脂をはじめとするトナー用原料を水系媒体中で乳化分散させ、該乳化分散液中の樹脂粒子をトナーサイズに凝集させるトナー製造方法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
又、前述したデジタル画像形成の実施形態として、「必要な時に必要な部数だけ」プリントを行うプリントオンデマンドといわれる技術分野が成長している。
【0005】
この方式による画像形成は、従来の印刷で行う版起しをする必要もなく、数百部程度の出版物を発行したり、宛名を変えながらダイレクトメールや案内状作成を行うことが可能なので、軽印刷に替わる有力な画像形成手段として注目されている。
【0006】
ところで、電子写真方式での画像形成が、前述した宛名を変えての郵便物や案内状作成を行う上で問題を有していることが判明した。それは、結婚式の招待状や喪中はがき、葬儀礼状といった非常に厚い紙に画像形成を行うと、十分な定着性が得られないことであった。特に、グレーの枠を設けた仕様の喪中はがきや葬儀礼状は、グレー枠部分における定着性が発現しにくく、未定着トナーによりユーザの手が汚れたり、紙面汚染の原因となった。
【0007】
また、厚い紙面上にトナー画像を形成すると、コピー用紙等の紙に出力する時とは比較にならない程の大きな負荷がトナー粒子に加わるので、画像形成時にトナー粒子が破壊され易く、破壊により発生するトナー微粉により紙面を汚染する問題を有していた。
【0008】
前述した喪中はがき等の厚い紙は、もっとも難易度が高い転写媒体のひとつであるが、この他にも電子写真をプリントオンデマンド方式の画像形成手段として普及させるためには、記録媒体として電子写真用に開発された普通紙ではなく、印刷用紙上にトナー像を安定して形成可能なことが必要であり、この条件をクリアーできなければ、印刷業界からはなかなか受け入れてもらえなかった。
【0009】
例えば、通勤客がラッシュアワーにつり革につかまりながら片手で文庫本を読む光景はよく目にするが、この様な状況でもページを片手でめくれる「すべり性」を有するとともに、摩擦に対してトナーがこすれて紙面や文字を汚さない「定着強度」を有することが要求される。
【0010】
ここでは、平滑なオフセット印刷用紙に定着できることと、極めて高い画像堅牢性があって初めて顧客に受け入れられるものとなる。
【0011】
しかしながら、電子写真方式によるトナー画像は、すべり性や定着強度が印刷物に比べて見劣りするため、出版社に許容されず普及が遅れていた。そして、上記特許文献1及び特許文献2に開示されたトナーを使用しても解消しなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−296839号公報(段落0011参照)
【0013】
【特許文献2】
特開2002−351140号公報(段落0011参照)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、デジタル方式による画像形成に好適に用いられる静電荷像現像用トナーであり、特に厚手の紙に画像形成を行った時に良好な定着性を発現する静電荷像現像用トナーを提供することである。
【0015】
本発明の第2の目的は、厚い紙面上への画像形成時に作用する負荷に耐えられる高い粒子強度を有するトナーを提供することであり、また、本発明の第3の目的は、印刷用紙に形成されたトナー画像が、印刷物に劣ることのないすべり性や定着強度を発現可能なトナーを提供することであり、更に、本発明の第4の目的は、製造安定性の高い静電荷像現像用トナーを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の構成1〜7により達成された。
【0017】
1.少なくとも樹脂と着色剤を含み、且つ、円形度の平均値が0.94〜0.99であるトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
該樹脂が重付加反応物または重縮合反応物であり、且つ、該トナー粒子表面近傍に荷電制御剤として前記一般式(1)で示されるアゾ系金属錯塩化合物を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0018】
2.前記トナー粒子が、水系媒体中にて重付加反応または重縮合反応により得られた樹脂粒子を分散して分散液を調製する工程、該分散液中の該樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
【0019】
3.前記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物を加熱し、前記加熱中に抽出される全ガス中における、1,4−ブタンジアミンの含有率が50ppm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
【0020】
4.前記トナー粒子の表面の少なくとも一部が、前記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物で被覆されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0021】
5.前記樹脂粒子が無定形ポリエステルを含むことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0022】
6.前記トナー粒子の円形度の平均値が0.94〜0.98にあり、且つ、円相当径の平均値が2.6μm〜7.4μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.050〜−0.010であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0023】
7.前記トナー粒子が、平均粒径が50nm〜200nmのシリカまたはチタン微粒子を有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は上記の課題を種々検討した結果、請求項1に記載のように、少なくとも樹脂と着色剤からなるトナー粒子を含み、該樹脂が重付加反応物または重縮合反応物であり、且つ、該トナー粒子表面に荷電制御剤として前記一般式(1)で示されるアゾ系金属錯塩化合物を有する静電荷像現像用トナーが、本発明に記載の効果、即ち、特に厚手の紙に画像形成を行った時に抜群の定着性を発現すると共に、厚い紙面上への画像形成時に作用する負荷に耐えられる高い粒子強度を示し、且つ、印刷用紙に形成されたトナー画像が、印刷物に劣ることのないすべり性や定着強度を発現可能であることを見いだした。
【0025】
定着強度を確保するには、トナー表面に樹脂以外の物質をできるだけ存在させないことが、紙との接着強度を高めるために必要な条件となる。実際は、保存性、流動性、転写性を確保するためにシリカ、金属酸化物などの外添剤を存在させるが、これも実際は定着強度の阻害要因となっている。
【0026】
また、定着強度を出すためにトナー外殻に弾性率の高い樹脂を存在させ、内部に溶融粘度の低い熱可塑性樹脂を分布させる構造が提案されてきた。
【0027】
一般に、高い解像度と高品位の画質が得られるものの、紙との接着面積が小さい小径トナーを実用化するには、この定着強度の壁を切実な課題として越える必要があった。
【0028】
本発明者らは、ポリエステル、ポリオール樹脂の低温定着性を活かし、本発明のアゾ系化合物をトナーの表面近傍に存在させることで、表面近傍を金属架橋により弾性率の高い外殻で被覆するには、これらの問題を解決できることを見出した。
【0029】
一方で、水系媒体で樹脂粒子を凝集させたトナーにおいては、塩類や界面活性剤が残存し、水分量が高い特性がある。ポリエステル、ポリオール樹脂に至っては元来水分量が高い性質を持ちあわせるため、これらの樹脂を水系媒体で樹脂粒子を凝集させたトナーにおいてはトナーブリスタの問題が顕著であった。
本発明者らは、トナーの外殻に弾性率の高い層を配置することで、トナー内部からの水蒸気などのガスにより気泡ができても、弾性回復により、常温に戻ったトナー画像に微細な穴が残ることがないという特徴を見出した。
【0030】
さらには、水分量が高いため、帯電性と云う観点からは、ロット毎の帯電量ばらつきが大きいという問題がある。すなわち製造の安定性が低い。荷電制御剤を使用することは誰でも思いつくところだが、荷電制御剤自身も水分を吸着する働きがあるため、トナー最表面に荷電制御剤を露出させるとトナーブリスタは解決しなかった。そこで、荷電制御剤層をトナー表面近傍に設置し、すなわち、トナー最表面に樹脂粒子を融着させた層で被覆することが有効であった。
【0031】
また、トナーブリスタの原因となるガスは水蒸気だけではなく1−4ブタンジアミンのガス濃度が高いことを見出し、これを含まないアゾ系金属錯体を選定し、トナーから加熱抽出される1−4ブタンジアミンの濃度を50PPMとすることが好ましいことがわかった。
【0032】
更に、本発明の構成では、もうひとつの課題であった帯電量のロット間ばらつき、すなわち製造の安定性を高めることが判明し、本発明を完成するに至った。
【0033】
《荷電制御剤》
本発明に係る荷電制御剤について説明する。
【0034】
本発明の静電荷像現像用トナー(単にトナーともいう)は、荷電制御剤として、前記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物を用いることが、本発明に記載の効果を発言するには必須である。
【0035】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0036】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、オクテニル基等が挙げられる。
【0037】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルキニル基としては、例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
【0038】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0039】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0040】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるカルバモイル基としては、例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等が挙げられる。
【0041】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるスルファモイル基としては、例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等が挙げられる。
【0042】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルコキシカルボニル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0043】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0044】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアシルアミノ基としては、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0045】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0046】
前記一般式(1)において、R1〜R4で各々表される上記の基は、未置換でもよく、更に置換基を有していてもよく、前記置換基としては、上記R1〜R4で表される各々の基等が挙げられる。
【0047】
前記一般式(1)において、Mは、クロム原子、鉄原子またはコバルト原子を表すが、中でも、Mがクロム原子であるクロム錯塩化合物(クロム染料ともいう)を用いたトナーは、帯電速度が早く、帯電量が高い点に於いて優れた特徴を有していることが見いだされた。
【0048】
以下、一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】
【化5】
【0053】
上記の一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物は、例えば、特開2002−341588号公報に記載のものアゾ化合物を用いて、前記広報に記載の合成方法を参照して、合成することが出来る。また、金属錯塩化合物の合成には、当該業者周知の錯塩形成反応を適用することも可能である。
【0054】
(アゾ系金属錯塩化合物中の1,4−ブタンジアミンの含有量):加熱抽出時また、本発明に係るアゾ系金属錯塩化合物は、加熱抽出によるガス中の1,4−ブタンジアミンの含有量が50ppm以下に精製されていることが好ましい。
【0055】
ここで、1,4−ブタンジアミンは、アゾ系金属錯塩化合物の合成過程で不純物として混入してくるものであり、この不純物を熱流動層を使用する等、乾燥工程に工夫を加える方法で精製することにより50ppm以下に低減することが可能である。
【0056】
上記に於いて、加熱抽出によるガス中の1,4−ブタンジアミンの含有率は、市販のGC−MS(ガスクロマトグラフ・質量分析計、バージ&トラップ法)により200℃、5分で測定した値である。因みに、アゾ系金属錯塩染料の精製前の1,4−ブタンジアミンの含有量は80ppm〜370ppmである。
【0057】
(その他の荷電制御剤)
本発明の静電荷像現像用トナー(単にトナーともいう)は、荷電制御剤として、前記一般式(1)で表される化合物を用いることが必須要件であるが、その他の荷電制御剤、例えば、例えばニグロシン系染料、含金属アゾ染料、金属錯体等と併用してもよい。荷電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0058】
(荷電制御剤の使用量(含有量ともいう))
本発明において、荷電制御剤の使用量は、樹脂(結着樹脂ともいう)の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、トナーの帯電性を適切に調整しながら、主荷電制御剤の効果を保持する、及び、現像ローラとの静電的吸引力を適度なバランスに調整し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を防止する観点から、樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部の範囲であり、更にが好ましく、更に好ましくは、0.2質量部〜5質量部の範囲である。
【0059】
(トナー粒子表面近傍に存在する荷電制御剤)
本発明では、前記一般式(1)で表される化合物を荷電制御剤として、トナー粒子表面近傍に存在さすることが必須要件である。
【0060】
トナー粒子表面近傍に荷電制御剤を存在させる(偏在でともいう)ことから得られる効果は、トナー粒子に帯電性を効果的に付与するとともに、トナー粒子表面への荷電制御剤の露出を抑制することにより、トナーに適度な流動性を付与することが可能になるからである。
【0061】
本発明において、『トナー粒子表面近傍に存在する』とは、トナー粒子をFE−TEM(電界放射型透過電子顕微鏡)で粒子観察を行いながら、粒子の中心領域〜粒子表面領域にわたる組成分析(具体的には、EDX(エネルギー分散型X線光分光法)分析)を行った時に、トナー粒子の表面から、前記トナー粒子の粒径の2割までの領域に、前記トナー粒子中に存在する全荷電制御剤の50質量%以上が存在することと定義する。
【0062】
また、上記のFE−TEM観察、EDX分析は、市販の分析装置を用いることが出来る。
【0063】
(トナー粒子表面近傍に荷電制御剤を存在させる為の達成手段)
トナー粒子表面近傍に荷電制御剤を存在させる達成手段としては、例えばトナー粒子を構成する樹脂粒子への荷電制御剤の添加量を制御する方法が挙げられる。すなわち、トナー粒子の表面近傍を構成する樹脂粒子に多めに荷電制御剤を添加しておき、荷電制御剤を添加していない樹脂粒子でトナー粒子表面を形成する様に樹脂粒子を凝集させる方法や、荷電制御剤を含有させた樹脂粒子を凝集させた後、凝集粒子表面に荷電制御剤を含有していない樹脂成分でカプセル化する方法等が挙げられる。
【0064】
つまり、荷電制御剤はトナー表面での露出を少なく、表面に近い領域に存在することが好ましい。本発明では、許容できる露出量はトナー粒子全体の表面積の10%未満であることが好ましい。
【0065】
ここで、トナー粒子表面における荷電制御剤の露出量はXPS(X線光電子分光法)により、また、全体量はWDX(波長分散X線分光法)を用いて分析することが出来る。
【0066】
樹脂粒子内への添加方法としては、樹脂とともに混練し、その分散径を調節するのが好ましいが、水系媒体中に乳化したときに、油相の分散相から水相側へ溶出したり、脱離したりする場合は水相側に添加し、凝集工程や乾燥工程時にトナーに組み込んでも構わない。
【0067】
《重付加反応または重縮合反応により得られる樹脂》
本発明に係るトナー粒子の構成材料である樹脂(結着樹脂ともいう)としては、重付加反応または重縮合反応により得られる樹脂であり、且つ、水系媒体中で樹脂粒子の分散液を形成し得る樹脂であることが必須要件である。
【0068】
そのような樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、無定形のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂等が挙げられる。
【0069】
また、ポリエステル樹脂の中では、無定形のポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0070】
ここで、無定形ポリエステルの『無定形』とは、X線回折により明瞭な結晶構造が認められないポリエステル分子が全構成分子の50モル%以上を占めるものと定義する。更に詳しくは、結晶化度が0.1未満である分子が50モル%以上を占めるものを無定形ポリエステルという。
【0071】
また、本発明では、結晶化度は、密度、融解熱、X線回折、NMR(核磁気共鳴スペクトル)により測定でき、結晶部分の質量比(百分比)で表される。
【0072】
《ポリエステル樹脂》
本発明に用いられるポリエステル樹脂について説明する。
【0073】
ポリエステル樹脂の合成に用いられる2価のアルコール単量体としては、例えばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのエーテル化ビスフェノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0074】
ポリエステル樹脂の合成に用いられる2価のカルボン酸単量体としては、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0075】
また、本発明では多価アルコール単量体、多価カルボン酸単量体を使用することも可能である。
【0076】
3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0077】
3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0078】
また、ポリエステル高分子末端の極性基を封鎖し、トナ−帯電特性の環境安定性を改善する目的において、単官能単量体がポリエステルに導入される場合がある。単官能単量体としては、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル等のモノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環族アルコール等のモノアルコールを用いることができる。
【0079】
《無定形ポリエステル樹脂》
本発明に用いられる無定形ポリエステル樹脂について説明する。
【0080】
本発明で使用される無定形のポリエステル樹脂は、トナー粒子に十分な強度を与え破砕を防止する観点から、ウレタン変性ポリエステルと呼ばれる分子構造中にウレタン結合を有し変性されたものが好ましい。以下、ウレタン変性ポリエステル(i)(ウレタン結合で変性されたポリエステルともいう)について説明する。
【0081】
(ウレタン変性ポリエステル)
ウレタン結合で変性されたポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応物などが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、前述した多価カルボン酸類と多価アルコール類を重縮合させて得られ、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらにポリイソシアネートと反応させたものなどが挙げられる。
【0082】
上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0083】
ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。ポリイソシアネートの比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。
【0084】
[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレタン含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート構成成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。
【0085】
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。
【0086】
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0087】
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレタン変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0088】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
【0089】
ウレタン変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレタン変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレタン変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0090】
本発明では、ウレタン結合で変性されていないポリエステル樹脂(ii)とこの様なウレタン結合で変性されたポリエステル(i)を併用して結着樹脂として使用することも可能である。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレタン結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の質量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の質量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
【0091】
《ポリオール樹脂、エポキシ樹脂》
本発明に用いられるポリオール樹脂、エポキシ樹脂について説明する。
【0092】
ポリオール樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、本発明に用いられるものとして、以下のものが特に好ましい。特にポリオール樹脂として、エポキシ樹脂と、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルと、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に1固有する化合物と、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるポリオールを用いることが好ましい。さらにまた、エポキシ樹脂は、数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが特に好ましい。このポリオール樹脂は、良好な光沢、透明性を付与し、耐オフセット性に効果がある。
【0093】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンを結合して得られたものである。エポキシ樹脂は、安定した定着特性や光沢を得るために数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂で、低分子量成分の数平均分子量が360〜2000であり、高分子量成分の数平均分子量が3000〜10000であることが好ましい。さらに、低分子量成分が20〜50質量%、高分子量成分が5〜40質量%であることが好ましい。低分子量成分が多すぎたり、分子量が360よりさらに低分子の場合は、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。また、高分子量成分が多すぎたり、分子量10000よりさらに高分子の場合は、光沢が不足したり、さらには定着性の悪化の可能性がある。
【0094】
本発明で用いられる化合物として、即ち、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては以下のものが例示される。エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びこれらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物をエピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリンでグリシジル化して用いてもよい。特に、下記一般式(VI)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが好ましい。
【0095】
【化6】
【0096】
また、n、mは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、n+m=2〜6である。)
また、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルが、ポリオール樹脂に対して10〜40質量%含まれていることが好ましい。ここで、量が少ないとカールが増すなどの不具合が生じ、また、n+mが7以上であったり量が多すぎると、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物としては、1価フェノール類、2級アミン類、カルボン酸類がある。1価フェノール類としては以下のものが例示される。即ち、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。2級アミン類としては、ジエチルアミン、ジオプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル(エチル)ピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。また、カルボン酸類としては、プロピオン酸、カプロン酸等が挙げられる。
【0097】
本発明の主鎖にエポキシ樹脂部とアルキレンオキサイド部を有するポリオール樹脂を得るためには、種々の原材料組み合わせが可能である。例えば、両末端グリシジル基のエポキシ樹脂と両末端グリシジル基の2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物を、ジハライドやジイソシアネート、ジアミン、ジチオール、多価フェノール、ジカルボン酸と反応させることにより得ることができる。このうち、2価のフェノールを反応させるのが反応安定性の点で最も好ましい。また、ゲル化しない範囲で多価フェノール類や多価カルボン酸類を2価フェノールと併用するのも好ましい。ここで、多価フェノール類、多価カルボン酸類の量は、全量に対し15%以下、好ましくは10%以下である。
【0098】
本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物としては、2価フェノール類、多価フェノール類、多価カルボン酸類が挙げられる。2価フェノールとしては、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールが挙げられる。また、多価フェノール類としてはオルソクレゾールノボラック類、フェノールノボラック類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンが例示される。多価カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメット酸が例示される。また、これらのポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、高い架橋密度を持たせると、透明性や光沢度が得られにくくなり、好ましくは、非架橋もしくは弱い架橋(THF不溶分5%以下)とすることが好ましい。
【0099】
《水系媒体中に、樹脂粒子が分散された分散液の調製方法》
本発明に係る樹脂粒子が水系媒体中に分散された分散液を調製する方法は、特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
【0100】
(1)ポリエステル樹脂やポリオール樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合は、以下の方法が挙げられる。
【0101】
(a)前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂粒子(A)の水性分散体を製造する方法
(b)前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化しても良い)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
(2)ビニル系樹脂の場合、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により樹脂粒子を生成し、得られた樹脂粒子の水性分散液を直接製造する方法
(3)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作製した樹脂を以下の方法で水系媒体中に分散させる方法。
【0102】
(a)上記作製した樹脂を、機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分球することにより樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(b)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(c)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、または予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却して樹脂粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(d)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法
(e)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
上記の方法で併用される乳化剤または分散剤としては、公知の界面活性剤(S)、水溶性ポリマー(T)等を用いることができる。また、乳化または分散の助剤として溶剤(U)、可塑剤(V)等を併用することができる。具体例としては、特開2002−284881号公報の段落0036〜0062に開示されたものが挙げられる。
【0103】
《着色剤》
本発明に係る着色剤について説明する。
【0104】
本発明のトナーに係る着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用可能で、具体的には、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。含有量は、樹脂(結着樹脂)100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。
【0105】
《離型剤(ワックスともいう)》
本発明に係る離型剤について説明する。
【0106】
本発明では、現像剤に適度な離型性を付与させるために、トナーの中にワックスを含有させることが好ましい。前記ワックスは、その融点が40〜150℃のものであり、特に50〜110℃のものであることが好ましい。
【0107】
上記範囲内に融点を有することにより、定着温度を低温に設定しても良好な定着性が得られるとともに、良好な耐オフセット性や耐久性が得られることが確認されている。
【0108】
なお、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。すなわち、数mgの試料を一定の昇温速度、例えば(10℃/min)で加熟したときの融解ピーク値を融点とする。
【0109】
本発明に用いることができる離型剤(ワックス)としては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどが挙げられる。
【0110】
また、低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなども用いることができる。特に、環球法による軟化点が70〜150℃のポリオレフィンが好ましく、さらには、当該軟化点が120〜150℃のポリオレフィンが好ましい。
【0111】
本発明のトナーでは、下記式で表されるエステル系化合物が好ましい。
R1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数で、好ましくは2〜4、更に好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5がよい。R2は、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、更に好ましくは18〜26がよい。
【0112】
また、本発明では、ワックスを後述する界面活性剤や分散剤を用いて水系媒体中で加熱攪拌してなる分散液を用いてトナー粒子の形成を行うものであってもよい。この場合、例えばワックスを乳化して作製されるワックスエマルジョンを作成し、樹脂粒子を凝集させる時に着色剤分散液とともに凝集させて添加することが可能である。
【0113】
《外添剤》:シリカ微粒子、チタン微粒子等
本発明に用いられる外添剤について説明する。
【0114】
本発明で得られたトナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に、5nm〜200nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、特に、0.01〜2.0質量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0115】
これらのうち、帯電性や転写性、更にクリーニング性を維持しつつ、すべり定着性を補助する観点からは、請求項6に記載の、一次粒子径50nm〜200nmのシリカまたはチタン微粒子からなる外添剤が特に好ましい。
【0116】
ここで、一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)またはFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)により測定できる。また、粒子が針状や多面体粒子の場合は、前記粒子の長径をもって一次粒子径とする。
【0117】
この他、高分子系微粒子、たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0118】
このような流動化剤は、表面処理を行なって、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0119】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることができる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭く、一次粒子径が0.01μm〜1μmのものが好ましい。
【0120】
《樹脂粒子の凝集方法》
水系媒体中での本発明に係る樹脂粒子の凝集方法について説明する。
【0121】
(製造方法)
有機溶剤中に、本発明に係る樹脂若しくはその他のトナー材料を通常のインぺラーによる攪拌や、必要に応じて加熱処理を行なったり、ボールミル、サンドミル、ホモジナイザーなどによって溶解、分散し、水系媒体中で乳化、分散する。その際、ホモミキサー(特殊機化社製)、エバラマイルダー(荏原製作所製)、クレアミックス(エムテクニック社製)等の乳化装置が用いられる。
【0122】
このときの乳化剤の濃度、固形物の有機溶剤に対する濃度や水系媒体と固形物が分散された油性相の量比や乳化分散時の回転数、時間を制御することによって所望の液滴径と粒度分布にすることができる。好ましくは、目的のトナー粒子径の1/2〜1/100まで乳化分散するのが良い。固形物と有機溶剤の質量比は1:10から1:1の間で、水系媒体と固形物が分散された油性相の質量比は10:1から1:1の間で適宜好ましく選択されるが、もちろんこの範囲外でも良い。
【0123】
固形物にしたトナー成分を溶解分散するための有機溶剤としては、水に対して不溶性あるいは難溶性、部分溶解性で、固形物を構成する樹脂や混練時用いた樹脂を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び有機酸エステルが好ましい。
【0124】
トナー成分が分散された油性相を水が含まれる液体に所望の粒径まで乳化、分散するための分散剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキル硫酸エステル等が挙げられる。
【0125】
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0126】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。その際、減圧下で行なうことが加熱温度を下げることができ好ましい。ワックスやその他トナー構成成分が有機溶剤に溶解するのを防止したり、乳化分散体の加熱による異常な再凝集、会合、合一を防止するためである。この有機溶剤の除去工程は凝集工程の前に行なっても、凝集工程後に行なっても構わない。凝集工程の前に有機溶媒を除去すれば、樹脂粒子分散液が安定し、凝集の制御が容易になり、粒度分布がシャープになるので好ましい。
【0127】
有機溶媒に溶解したものの別の処理法としては、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
【0128】
凝集方法としては、水中で微粒子が荷電を有して分散している場合は、電解質などを投じて電気二重層を圧縮することにより、粒子同士を凝集させたり、高分子量の水溶性ポリマーを粒子同士に吸着させ凝集させたり、用いている界面活性剤や分散剤と逆荷電の物質を投入することにより、微粒子の表面の電荷を中和させ凝集させたり、吸着している界面活性剤や分散剤の対イオンを変化させたり、水系媒体に他の物質を投入することにより水系媒体への界面活性剤や分散剤の溶解性を変化させて分散安定性を弱めて凝集させる方法などが採用される。
【0129】
その際、先に述べたワックスのエマルジョンや、極性基を有する樹脂微粒子とともに凝集させ、製造されるトナーに定着時の離型性を持たせたり、摩擦帯電性を強化したり、ガラス転移点の高い樹脂微粒子を比較的トナーの外側に配置することにより、高温保存時のトナー同士のブロッキングを防止することができる。
【0130】
用いられる凝集剤は、例えば、電解質としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、りん酸ナトリウム、りん酸二水素ナトリウム、りん酸水素二ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化コバルト、塩化ストロンチウム、塩化セシウム、塩化バリウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化ルビジウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、安息香酸ナトリウム等に代表される一般的な無機あるいは有機の水溶性塩を用いることができる。これら電解質の濃度は、1価の電解質を用いる場合0.01〜2.0mol/l、さらには0.1〜1.0mol/l、またさらには0.2〜0.8mol/lの範囲が好ましい。さらに、多価の電解質を用いる場合、その添加量はより少ない量でよい。界面活性剤であれば先に例示したもの、高分子系の凝集剤であれば、先に挙げた高分子保護コロイドを形成させるもののうち、特に超高分子量体のものが適当である。また、水系媒体に共存させて分散安定性を弱めて凝集させる物質としては、水溶性有機化合物であるエタノール、ブタノール、イソプロパノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン等を使用することができる。
【0131】
さらに、凝集後に分散液を加熱することにより、微粒子同士を融着させ、生成するトナーの形状を調節することができる。界面張力によって球状化するが、そのときの加熱温度、トナーの粘性、有機溶剤の存在などにより球形から不定形まで任意に粒子形状を整えることができる。
【0132】
得られた凝集粒子の分散体は、乾燥雰囲気中に噴霧して、凝集粒子中に残存している非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。凝集粒子の分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。乾燥前に固液分離して洗浄水を加え、再分散(リスラリー)する操作を繰り返し行なえば、用いた分散剤、乳化剤をほとんど除去することができる。
【0133】
得られた乾燥後のトナーの粉体と外添剤とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化し、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
【0134】
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、ヘンシェルミキサ(三井鉱山)、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)等が挙げられる。
【0135】
《トナー粒子の円形度》
本発明のトナーの形状は、粒径1μm以上のトナー粒子2000個以上を測定したとき、下記式で示される円形度(形状係数)の平均値が、0.94〜0.98、より好ましくは0.94〜0.97である。
【0136】
円形度=(相当円の周囲長)/(トナー粒子投影像の周囲長)
=2π×(粒子の投影面積/π)1/2/(トナー粒子投影像の周囲長)ここで、相当円とは、トナー粒子投影像と同じ面積を有する円のことであり、円相当径とは、該相当円の直径のことである。
【0137】
なお、上記円形度の測定方法としては、FPIA−2000(シスメック社製)により測定することができる。この時、円相当径は下式で定義される。
【0138】
円相当径=2×(粒子の投影面積/π)1/2
又、本発明のトナーの形状は、円相当径の平均値が、2.6〜7.4μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.050〜−0.010であることを特徴とする。より好ましくは、円相当径の平均値が3.4〜6.6μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.040〜−0.020であるのがよい。
【0139】
本発明者等は、質量が大きめで円形度が低い粒子に、ドット潜像上でくさびのように現像を行わせ、そのすきまを埋めるように小径で円形度の高い粒子を現像し、最密充填の状態になるように調整を行った。
【0140】
そうすると、例えば、微小なドットや細線であっても、トナー粒子間のシンダリングが進み、定着画像の堅牢性が向上する。
【0141】
円相当径の傾きの測定は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000でトナー粒子の円相当径を測定し、それに対応する円形度との関係を、横軸:円相当径(μm)−縦軸:円形度として描き、その一次の相関(y=αx+b)をみれば、αが円相当径の傾きとなる。
【0142】
この時、帯電の均一性、ハーフトーンの均一性を高める観点からR2(Rの2乗)は0.35〜0.95が好ましい。ここにおいてRは下記一般式(a)で表される。
【0143】
一般式(a)
R=A/B
式中、A、Bは各々下記式を表す。
【0144】
A=nΣXY−(ΣXΣY)
B=(nΣX2−(ΣX)2)×((nΣY2)−(ΣY)2)
Xは円相当径(μm)、Yは円形度を表す。
【0145】
また、円相当径の傾きを有するトナーを造るには、小粒径の球形トナー粒子にやや粒径の大きい異形のトナー粒子を混合しても良い。或いは、後述する樹脂粒子を会合してトナー粒子を造る方法においては、会合工程で凝集剤を添加した後、撹拌羽根形状を適宜選択し、撹拌強度を制御し、大きめの粒子に剪断力がかかり易い条件として、濾過、乾燥工程に移行する方法でもよい。好ましくは、トナー製造装置と前述のフロー式粒子像分析装置をインライン接続し、円形度の平均値と傾きαをモニタリングしつつ、適宜条件を調整しながら製造する。
【0146】
好ましくは凝集を停止させる停止剤を投入した後、例えば塩析剤の再添加や界面活性剤の追加により、トナー粒子をさらに0.2〜1.0μm成長させると、本発明の範囲内に入るよう制御することが出来る。
【0147】
次に本発明のトナーを用いる画像形成方法に用いる画像形成装置について説明する。
【0148】
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。図1において、34は被帯電体である感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に感光体層である有機光導電体(OPC)を形成してなるもので矢印方向に所定の速度で回転する。
【0149】
図1において、図示しない原稿読み取り装置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザ光源31から露光光が発せられる。これをポリゴンミラー32により、図1の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補正するfθレンズ33を介して、感光体面上に照射され静電潜像を形成する。感光体ドラム34は、予め帯電器35により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
【0150】
感光体ドラム面上の静電潜像は、現像器36により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた転写材38に転写器37の作用により転写される。更に感光体ドラム34と転写材38は分離器(分離極)39により分離されるが、現像像は転写材38に転写担持されて、定着器40へと導かれ定着される。
【0151】
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニングブレード方式のクリーニング器41にて清掃され、帯電前露光(PCL)42にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器35により、一様帯電される。
【0152】
なお、前記露光は、本発明ではデジタル像露光が特に好ましいものであるが、アナログによる像露光を行うものであってもよい。
【0153】
本発明は、電子写真法による画像形成装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に使用することもできる。図2は、本発明のトナーに適用されるデジタル画像形成装置を示す概略構成図である。
【0154】
図2において、画像形成装置101は、自動原稿搬送装置(通称ADF)Aと、自動原稿搬送装置により搬送される原稿の画像を読み取るための原稿画像読取部Bと、読み取った原稿画像を処理する画像制御基板Cと、画像処理後のデータに従って像担持体としての感光体ドラム34上に書き込みを行う書き込みユニット112を含む書き込み部Dと、感光体ドラム34及びその周囲に帯電器35、磁気ブラシ型現像装置からなる現像器36、転写器37、分離器39、クリーニング器41等の画像形成手段を含む画像形成部Eと、記録紙Pを収納する給紙トレイ122、124のための収納部Fを有している。
【0155】
自動原稿搬送装置Aは、原稿載置台126と、ローラR1を含むローラ群および原稿の移動通路を適宜切り替えるための切換手段等(参照記号なし)を含む原稿搬送処理部128とを主要素とする。
【0156】
原稿画像読取部Bは、プラテンガラスGの下にあり、光路長を保って往復移動できる2つのミラーユニット130、131、固定の結像レンズ(以下、単にレンズという)133、ライン状の撮像素子(以下、CCDという)135等からなり、書き込み部Dは、レーザ光源31、ポリゴンミラー(偏光器)32等からなる。
【0157】
転写材としての記録紙Pの移動方向からみて、転写器37の手前側に示すR10はレジストローラであり、分離器39の下流側にHで示してあるのは定着手段である。
【0158】
定着手段Hは、実施の形態においては、加熱源を内蔵するローラと、当該ローラに圧接しながら回転する圧接ローラとで構成してある。
【0159】
また、Zは定着手段Hのためのクリーニング手段で、巻き取り可能に設けたクリーニングウェブを主要素とする。
【0160】
原稿載置台126上に載置される原稿(図示せず)の1枚が原稿搬送処理部128によって搬送され、ローラR1の下を通過中に、露光手段Lによる露光が行われる。
【0161】
原稿からの反射光は、固定位置にあるミラーユニット130、131およびレンズ133を経てCCD135上に結像され、読み取られる。
【0162】
原稿画像読取部Bで読み取られた画像情報は、画像処理手段により処理され、符号化されて画像制御基板C上に設けてあるメモリーに格納される。
【0163】
また、画像データは画像形成に応じて呼び出され、当該画像データに従って、書き込み部Dにおけるレーザ光源31が駆動され、感光体ドラム34上に露光が行われる。
【0164】
近年、感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
【0165】
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0166】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あるいは楕円状である。
【0167】
本発明では、モノクロ画像だけではなく、カラー画像を得るための画像形成にも適用されるもので、例えば複数個の画像形成ユニットを備え、各画像形成ユニットにてそれぞれ色の異なる可視画像(トナー画像)を形成してトナー画像を形成する画像形成方法である。
【0168】
本発明のトナーは、トナー像が形成された画像形成支持体を、定着装置を構成する加熱ローラーと加圧ローラーとの間に通過させて定着する工程を含む画像形成方法に好適に使用される。
【0169】
図3は、本発明のトナーを用いた画像形成方法において使用する定着装置の一例を示す断面図であり、図3に示す定着装置40は、加熱ローラー71と、これに当接する加圧ローラー72とを備えている。なお、図3において、Tは転写紙(画像形成支持体)上に形成されたトナー像である。
【0170】
加熱ローラー71は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層82が芯金81の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材75を内包している。
【0171】
芯金81は、金属から構成され、その内径は10〜70mmである。芯金81を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げることができる。
【0172】
芯金81の肉厚は0.1〜15mmであり、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
【0173】
被覆層82を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などを例示することができる。
【0174】
フッ素樹脂からなる被覆層82の厚みは50μm〜700μmであり、好ましくは70μm〜600μmである。
【0175】
加熱部材75としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ローラー72は、弾性体からなる被覆層84が芯金83の表面に形成されてなる。被覆層84を構成する弾性体としては特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴムおよびスポンジゴムを挙げることができ、被覆層84を構成するものとして例示したシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムを用いることが好ましい。
【0176】
被覆層84を構成する弾性体のアスカーC硬度は、40°以上80°未満であり、好ましくは45°以上75°未満、更に好ましくは50°〜70°である。
【0177】
また、被覆層84の厚みは0.1〜30mmであり、好ましくは0.1〜20mmである。
【0178】
芯金83を構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属またはそれらの合金を挙げることができる。
【0179】
加熱ローラー71と加圧ローラー72との当接荷重(総荷重)としては、通常40〜350Nであり、好ましくは50〜300N、さらに好ましくは50〜250Nである。この当接荷重は、加熱ローラー71の強度(芯金81の肉厚)を考慮して規定され、例えば0.3mmの鉄よりなる芯金を有する加熱ローラーにあっては、250N以下とすることが好ましい。
【0180】
また、耐オフセット性および定着性の観点から、ニップ幅としては4〜10mmであることが好ましく、当該ニップの面圧は0.6×105Pa〜1.5×105Paであることが好ましい。
【0181】
図3に示した定着装置による定着条件の一例を示せば、定着温度(加熱ローラー71の表面温度)が150℃〜210℃であり、定着線速が230mm/sec〜900mm/secである。
【0182】
上記定着器にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
【0183】
なお、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。更に、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
【0184】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の記載において「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
【0185】
実施例1
《樹脂溶液1の調製》:ポリエステル樹脂溶液の調製
下記の工程1〜3により、樹脂溶液1を調製した。
【0186】
工程1:ウレタン変性ポリエステル(1)の作製
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに1.33〜1.99Pa(10〜15mmHg)の減圧条件下で5時間反応した後、110℃まで冷却し、トルエン中にてイソホロンジイソシアネート17部を入れて110℃で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、重量平均分子量152,000、遊離イソシアネート含量0.7%のウレタン変性ポリエステル(1)を得た。
【0187】
工程2:ポリエステル(2)の作製
ウレタン変性ポリエステル(1)の作製と同様に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物570部、テレフタル酸217部を常圧下、230℃で6時間重縮合し、数平均分子量3,800、水酸基価5、酸価5の変性されていないポリエステル(2)を得た。
【0188】
工程3:樹脂溶液1の調製
200部のウレタン変性ポリエステル(1)と800部のポリエステル(2)を酢酸エチル2,000部に溶解、混合し、樹脂溶液1を調製した。
【0189】
尚、樹脂溶液1中の樹脂成分のTgは64℃であった。
《静電荷像現像用トナーの作製》
(静電荷像現像用トナーK1の作製):黒トナー
上記で得られた樹脂溶液1を用いて、下記のようにして、静電荷像現像用トナーK1(黒トナー)を得た。
【0190】
工程1:油相の調製
樹脂溶液1(樹脂成分のTg64℃) 100部
フタロシアニングリーン含水ケーキ(固形分30%) 2部
カーボンブラック(MA60 三菱化学社製) 10部
荷電制御剤(例示化合物(3)) 1部
カルナウバワックス(フレークタイプ) 10部
上記材料をトルエン200部中でジルコニアビーズの充填されたボールミルを転動させることによって44℃で溶解分散し、分散相となる油相を調製した。
【0191】
工程2:水相の調製
イオン交換水 700部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部
上記材料を攪拌分散し連続相となる水相を調製した。
【0192】
工程3:黒トナーの作製
得られた水相中にホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌しながら油相を投入し、攪拌回転数を調整することにより体積平均粒径約1μmの油滴を作製し、その後、50℃で減圧溜去してトルエンを除去し、青灰色の乳濁液を得た。
【0193】
得られた青灰色分散液をインぺラーの備わった攪拌タンクに移し、硫酸アルミニウム10部をイオン交換水90部に溶解した水溶液を低速で攪拌しながら徐々に滴下することにより、凝集粒子を形成させ、その後液温を70℃に保ち、凝集が合一融解したのを一部サンプリングして走査型電子顕微鏡により確認した。その後95℃で8時間攪拌し、着色粒子の円形度が0.963になったところで、40℃まで冷却し、攪拌を停止した。
【0194】
その後、水洗とろ過を繰り返し、得られたケーキを減圧乾燥して黒色の着色粒子を得た。得られた着色粒子100部と針状酸化チタン(長径120nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)0.8部、球形単分散シリカ(ゾルゲル法で得られたシリカゾルにHMDS処理を行い、乾燥粉砕処理を施した、粒径137nm)1.8部、更に気相法で製造し、オクチルメトキシシラン処理した粒子径14nm、0.3部のシリカ粒子をヘンシェルミキサーで周速30m/秒、15分間の条件で混合処理をした後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電荷像写真用トナーC1(シアントナー)を得た。
【0195】
ここで、着色粒子の円形度と得られたシアントナーC1の円形度は同一であった。
【0196】
(静電荷像現像用トナーK2〜K7の作製):黒トナー
静電荷像現像用トナーK1の作製において、荷電制御剤を例示化合物(3)のの代わりに、表1に記載の化合物を用いた以外は同様にして、静電荷像現像用トナーK2〜K7を各々作製した。比較化合物(1)と比較化合物(2)の構造を以下に示す。
【0197】
【化7】
【0198】
《現像剤K1〜K7の作製》
上記で得られた静電荷像現像用トナーK1〜K7の各トナー5部と下記のキャリア100部とを容器が転動して撹拌される形式のターブラーミキサーを用い、50rpm、15分間均一混合し帯電させ、現像剤K1〜K7を各々作製した。
【0199】
(キャリア)
シリコーン樹脂(20%) 100部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 1.0部
カーボンブラック 0.1部
トルエン 60部
これらの処方をホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。これをフェライト1000部(体積平均粒径55μm、飽和磁化72emu/g)の表面に、流動床型塗布装置を用いて被覆層を形成した後、電気炉にて焼成してキャリアを作製した。
【0200】
得られた現像剤の各々について下記に記載の評価を行った。評価にあたり、図2に記載のようなデジタル露光を有する画像形成装置を用い、現像剤単独使用での評価を行った。また、画像形成において使用した定着装置の構成は、図3に示すような装置構成を用いた。
【0201】
《極厚用紙の定着性》
ハート株式会社の喪中はがき厚さ0.4mm、500枚を図2に記載の複写機を評価器として使用し、連続プリントした。葉書枠には相対濃度0.5のグレーの枠をつけた。得られたプリントを下記のようにランク評価した。
【0202】
◎:グレー枠上につけペンで文字を強く書いてもまったくトナーが落ちない
○:グレー枠上につけペンで文字を書くとトナーが剥落するが、ボールペン使用時には、トナーが剥落しない
×:定着が不十分で、グレー枠を手にもっただけで、トナーが剥落し、手が汚れる
《オフセット印刷用紙への定着性》
大王製紙製文庫本用紙(60.2g紙、オフセット印刷用、中質:非塗工紙)250枚に印字し、片手親指で10回めくり、文字周辺のにじみ状汚れを目視で観察し、下記のようにランク評価した。
【0203】
◎:まったくにじみ状の汚れがない
○:目視ではにじみ状汚れがないが、ルーペ観察で、わずかに汚れが検知できるが実用上問題ない
×:親指の跡が、黒くにじんだように汚れている
《トナーブリスタ評価》
普通紙(64g/cm2)上の付着量が1.6mg/cm2となるよう画像を形成し、画像に0.1μm〜0.5μm程度の穴、すなわちトナーブリスタの有無を観察し、下記のようにランク評価した
◎:まったくトナーブリスタがない
○:4cm2あたり1〜2個のトナーブリスタ存在するが実用上問題ない
×:4cm2あたり3個以上の明瞭なトナーブリスタが存在(実用不可)
《製造の安定性》
各実施例及び比較例を同処方で10回製造し、トナー粒子径と帯電性のばらつきを評価し、下記のようにランク評価した。ここで、帯電性は、60μmのマンガンフェライトにシリコーンコートしたキャリアとをトナー濃度6%の比率でウェイブローターで10分混合した後、公知のブローオフ法で測定した。混合環境は20℃、80%RH(相対湿度)であった。
【0204】
◎:10バッチの体積平均粒径がセンター値±0.1μm、帯電量がセンター値±0.3μC/gの範囲である
○:10バッチの体積平均粒径がセンター値±0.2μm、帯電量がセンター値±0.6μC/gの範囲である
△:10バッチの体積平均粒径がセンター値±0.5μm、帯電量がセンター値±1.0μC/gの範囲である
×:10バッチの体積平均粒径がセンター値±0.5μmの範囲に入らず、帯電量がセンター値±1.0μC/gの範囲外であった
ここで、△以上が実用化であるが、○は良好、◎は優良であることを示し、また、×は不良であり、実用不可のレベルである。
【0205】
得られた結果を表1に示す。
【0206】
【表1】
【0207】
表1から、比較に比べて、上記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物をトナー粒子の作製時に使用している、本発明の試料は、極厚用紙やオフセット印刷用紙への定着性が極めて良好であり、普通紙上でのトナーブリスタが少なく、且つ、製造安定性が高いことが明らかである。
【0208】
実施例2
《樹脂溶液2の調製》:ポリオール樹脂溶液の調製
実施例1で使用した上記反応容器中に、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)378部、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約2700)86部、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加体のジグリシジル化物191部、ビスフェノールF274部、p−クミルフェノール70部、キシレン200部を加えた。
【0209】
N2雰囲気下で70℃〜100℃まで昇温し、塩化リチウムを0.183g加え、更に160℃まで昇温し減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、軟化点109℃、Tg58℃のポリオール樹脂(1)を得た。
【0210】
得られたポリオール樹脂(1)の1000部を酢酸エチル2000部と混合、溶解し、樹脂溶液2を得た。
【0211】
(静電荷像現像用トナーK8〜K14の作製)
静電荷像現像用トナーK1〜K7の作製において、樹脂溶液1の代わりに樹脂溶液2を用いた以外は同様にして、静電荷像現像用トナーK8〜K14を各々作製した。
【0212】
《現像剤K8〜K14の作製》
現像剤K1〜K7の作製において、トナーをK8〜K14に各々変更した以外は同様にして、現像剤K8〜K14を各々作製した。
【0213】
得られた現像剤K8〜K14の各々について実施例1と同様に評価した。得られた結果を表2に示す。
【0214】
【表2】
【0215】
表2から、比較に比べて、上記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物をトナー粒子の作製時に使用している、本発明の試料は、極厚用紙やオフセット印刷用紙への定着性が極めて良好であり、普通紙上でのトナーブリスタが少なく、且つ、製造安定性が高いことが明らかである。
【0216】
【発明の効果】
本発明により、特に厚手の紙に画像形成を行った時に良好な定着性を発現する静電荷像現像用トナーを提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施態様例を示したデジタル露光を有する画像形成装置の概略構成図である。
【図3】本発明のトナーを用いた画像形成方法において使用する定着装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
31 半導体レーザ光源
32 ポリゴンミラー
33 fθレンズ
34 感光体ドラム
35 帯電器
36 現像器
37 転写器
38 転写材
39 分離器
40 定着器
41 クリーニング器
42 耐電前露光
【発明の属する技術分野】
本発明は静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式による画像形成は、いまやデジタル方式に主流が移行している。デジタル方式による画像形成では、例えば1200dpi(dpiとは、1インチ、即ち、2.54cmあたりの画素密度を表す。)レベルの小さなドット画像を顕像化することに代表される様に、優れた細線再現性や高解像性を発現可能な小径のトナーが必須である。
【0003】
この様な小径トナーの製造例として、ポリエステル樹脂をはじめとするトナー用原料を水系媒体中で乳化分散させ、該乳化分散液中の樹脂粒子をトナーサイズに凝集させるトナー製造方法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
又、前述したデジタル画像形成の実施形態として、「必要な時に必要な部数だけ」プリントを行うプリントオンデマンドといわれる技術分野が成長している。
【0005】
この方式による画像形成は、従来の印刷で行う版起しをする必要もなく、数百部程度の出版物を発行したり、宛名を変えながらダイレクトメールや案内状作成を行うことが可能なので、軽印刷に替わる有力な画像形成手段として注目されている。
【0006】
ところで、電子写真方式での画像形成が、前述した宛名を変えての郵便物や案内状作成を行う上で問題を有していることが判明した。それは、結婚式の招待状や喪中はがき、葬儀礼状といった非常に厚い紙に画像形成を行うと、十分な定着性が得られないことであった。特に、グレーの枠を設けた仕様の喪中はがきや葬儀礼状は、グレー枠部分における定着性が発現しにくく、未定着トナーによりユーザの手が汚れたり、紙面汚染の原因となった。
【0007】
また、厚い紙面上にトナー画像を形成すると、コピー用紙等の紙に出力する時とは比較にならない程の大きな負荷がトナー粒子に加わるので、画像形成時にトナー粒子が破壊され易く、破壊により発生するトナー微粉により紙面を汚染する問題を有していた。
【0008】
前述した喪中はがき等の厚い紙は、もっとも難易度が高い転写媒体のひとつであるが、この他にも電子写真をプリントオンデマンド方式の画像形成手段として普及させるためには、記録媒体として電子写真用に開発された普通紙ではなく、印刷用紙上にトナー像を安定して形成可能なことが必要であり、この条件をクリアーできなければ、印刷業界からはなかなか受け入れてもらえなかった。
【0009】
例えば、通勤客がラッシュアワーにつり革につかまりながら片手で文庫本を読む光景はよく目にするが、この様な状況でもページを片手でめくれる「すべり性」を有するとともに、摩擦に対してトナーがこすれて紙面や文字を汚さない「定着強度」を有することが要求される。
【0010】
ここでは、平滑なオフセット印刷用紙に定着できることと、極めて高い画像堅牢性があって初めて顧客に受け入れられるものとなる。
【0011】
しかしながら、電子写真方式によるトナー画像は、すべり性や定着強度が印刷物に比べて見劣りするため、出版社に許容されず普及が遅れていた。そして、上記特許文献1及び特許文献2に開示されたトナーを使用しても解消しなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−296839号公報(段落0011参照)
【0013】
【特許文献2】
特開2002−351140号公報(段落0011参照)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、デジタル方式による画像形成に好適に用いられる静電荷像現像用トナーであり、特に厚手の紙に画像形成を行った時に良好な定着性を発現する静電荷像現像用トナーを提供することである。
【0015】
本発明の第2の目的は、厚い紙面上への画像形成時に作用する負荷に耐えられる高い粒子強度を有するトナーを提供することであり、また、本発明の第3の目的は、印刷用紙に形成されたトナー画像が、印刷物に劣ることのないすべり性や定着強度を発現可能なトナーを提供することであり、更に、本発明の第4の目的は、製造安定性の高い静電荷像現像用トナーを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の構成1〜7により達成された。
【0017】
1.少なくとも樹脂と着色剤を含み、且つ、円形度の平均値が0.94〜0.99であるトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
該樹脂が重付加反応物または重縮合反応物であり、且つ、該トナー粒子表面近傍に荷電制御剤として前記一般式(1)で示されるアゾ系金属錯塩化合物を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0018】
2.前記トナー粒子が、水系媒体中にて重付加反応または重縮合反応により得られた樹脂粒子を分散して分散液を調製する工程、該分散液中の該樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
【0019】
3.前記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物を加熱し、前記加熱中に抽出される全ガス中における、1,4−ブタンジアミンの含有率が50ppm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
【0020】
4.前記トナー粒子の表面の少なくとも一部が、前記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物で被覆されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0021】
5.前記樹脂粒子が無定形ポリエステルを含むことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0022】
6.前記トナー粒子の円形度の平均値が0.94〜0.98にあり、且つ、円相当径の平均値が2.6μm〜7.4μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.050〜−0.010であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0023】
7.前記トナー粒子が、平均粒径が50nm〜200nmのシリカまたはチタン微粒子を有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は上記の課題を種々検討した結果、請求項1に記載のように、少なくとも樹脂と着色剤からなるトナー粒子を含み、該樹脂が重付加反応物または重縮合反応物であり、且つ、該トナー粒子表面に荷電制御剤として前記一般式(1)で示されるアゾ系金属錯塩化合物を有する静電荷像現像用トナーが、本発明に記載の効果、即ち、特に厚手の紙に画像形成を行った時に抜群の定着性を発現すると共に、厚い紙面上への画像形成時に作用する負荷に耐えられる高い粒子強度を示し、且つ、印刷用紙に形成されたトナー画像が、印刷物に劣ることのないすべり性や定着強度を発現可能であることを見いだした。
【0025】
定着強度を確保するには、トナー表面に樹脂以外の物質をできるだけ存在させないことが、紙との接着強度を高めるために必要な条件となる。実際は、保存性、流動性、転写性を確保するためにシリカ、金属酸化物などの外添剤を存在させるが、これも実際は定着強度の阻害要因となっている。
【0026】
また、定着強度を出すためにトナー外殻に弾性率の高い樹脂を存在させ、内部に溶融粘度の低い熱可塑性樹脂を分布させる構造が提案されてきた。
【0027】
一般に、高い解像度と高品位の画質が得られるものの、紙との接着面積が小さい小径トナーを実用化するには、この定着強度の壁を切実な課題として越える必要があった。
【0028】
本発明者らは、ポリエステル、ポリオール樹脂の低温定着性を活かし、本発明のアゾ系化合物をトナーの表面近傍に存在させることで、表面近傍を金属架橋により弾性率の高い外殻で被覆するには、これらの問題を解決できることを見出した。
【0029】
一方で、水系媒体で樹脂粒子を凝集させたトナーにおいては、塩類や界面活性剤が残存し、水分量が高い特性がある。ポリエステル、ポリオール樹脂に至っては元来水分量が高い性質を持ちあわせるため、これらの樹脂を水系媒体で樹脂粒子を凝集させたトナーにおいてはトナーブリスタの問題が顕著であった。
本発明者らは、トナーの外殻に弾性率の高い層を配置することで、トナー内部からの水蒸気などのガスにより気泡ができても、弾性回復により、常温に戻ったトナー画像に微細な穴が残ることがないという特徴を見出した。
【0030】
さらには、水分量が高いため、帯電性と云う観点からは、ロット毎の帯電量ばらつきが大きいという問題がある。すなわち製造の安定性が低い。荷電制御剤を使用することは誰でも思いつくところだが、荷電制御剤自身も水分を吸着する働きがあるため、トナー最表面に荷電制御剤を露出させるとトナーブリスタは解決しなかった。そこで、荷電制御剤層をトナー表面近傍に設置し、すなわち、トナー最表面に樹脂粒子を融着させた層で被覆することが有効であった。
【0031】
また、トナーブリスタの原因となるガスは水蒸気だけではなく1−4ブタンジアミンのガス濃度が高いことを見出し、これを含まないアゾ系金属錯体を選定し、トナーから加熱抽出される1−4ブタンジアミンの濃度を50PPMとすることが好ましいことがわかった。
【0032】
更に、本発明の構成では、もうひとつの課題であった帯電量のロット間ばらつき、すなわち製造の安定性を高めることが判明し、本発明を完成するに至った。
【0033】
《荷電制御剤》
本発明に係る荷電制御剤について説明する。
【0034】
本発明の静電荷像現像用トナー(単にトナーともいう)は、荷電制御剤として、前記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物を用いることが、本発明に記載の効果を発言するには必須である。
【0035】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0036】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、オクテニル基等が挙げられる。
【0037】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルキニル基としては、例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
【0038】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0039】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0040】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるカルバモイル基としては、例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等が挙げられる。
【0041】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるスルファモイル基としては、例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等が挙げられる。
【0042】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアルコキシカルボニル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0043】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0044】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるアシルアミノ基としては、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0045】
前記一般式(1)において、R1〜R4で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0046】
前記一般式(1)において、R1〜R4で各々表される上記の基は、未置換でもよく、更に置換基を有していてもよく、前記置換基としては、上記R1〜R4で表される各々の基等が挙げられる。
【0047】
前記一般式(1)において、Mは、クロム原子、鉄原子またはコバルト原子を表すが、中でも、Mがクロム原子であるクロム錯塩化合物(クロム染料ともいう)を用いたトナーは、帯電速度が早く、帯電量が高い点に於いて優れた特徴を有していることが見いだされた。
【0048】
以下、一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】
【0052】
【化5】
【0053】
上記の一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物は、例えば、特開2002−341588号公報に記載のものアゾ化合物を用いて、前記広報に記載の合成方法を参照して、合成することが出来る。また、金属錯塩化合物の合成には、当該業者周知の錯塩形成反応を適用することも可能である。
【0054】
(アゾ系金属錯塩化合物中の1,4−ブタンジアミンの含有量):加熱抽出時また、本発明に係るアゾ系金属錯塩化合物は、加熱抽出によるガス中の1,4−ブタンジアミンの含有量が50ppm以下に精製されていることが好ましい。
【0055】
ここで、1,4−ブタンジアミンは、アゾ系金属錯塩化合物の合成過程で不純物として混入してくるものであり、この不純物を熱流動層を使用する等、乾燥工程に工夫を加える方法で精製することにより50ppm以下に低減することが可能である。
【0056】
上記に於いて、加熱抽出によるガス中の1,4−ブタンジアミンの含有率は、市販のGC−MS(ガスクロマトグラフ・質量分析計、バージ&トラップ法)により200℃、5分で測定した値である。因みに、アゾ系金属錯塩染料の精製前の1,4−ブタンジアミンの含有量は80ppm〜370ppmである。
【0057】
(その他の荷電制御剤)
本発明の静電荷像現像用トナー(単にトナーともいう)は、荷電制御剤として、前記一般式(1)で表される化合物を用いることが必須要件であるが、その他の荷電制御剤、例えば、例えばニグロシン系染料、含金属アゾ染料、金属錯体等と併用してもよい。荷電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0058】
(荷電制御剤の使用量(含有量ともいう))
本発明において、荷電制御剤の使用量は、樹脂(結着樹脂ともいう)の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、トナーの帯電性を適切に調整しながら、主荷電制御剤の効果を保持する、及び、現像ローラとの静電的吸引力を適度なバランスに調整し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を防止する観点から、樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部の範囲であり、更にが好ましく、更に好ましくは、0.2質量部〜5質量部の範囲である。
【0059】
(トナー粒子表面近傍に存在する荷電制御剤)
本発明では、前記一般式(1)で表される化合物を荷電制御剤として、トナー粒子表面近傍に存在さすることが必須要件である。
【0060】
トナー粒子表面近傍に荷電制御剤を存在させる(偏在でともいう)ことから得られる効果は、トナー粒子に帯電性を効果的に付与するとともに、トナー粒子表面への荷電制御剤の露出を抑制することにより、トナーに適度な流動性を付与することが可能になるからである。
【0061】
本発明において、『トナー粒子表面近傍に存在する』とは、トナー粒子をFE−TEM(電界放射型透過電子顕微鏡)で粒子観察を行いながら、粒子の中心領域〜粒子表面領域にわたる組成分析(具体的には、EDX(エネルギー分散型X線光分光法)分析)を行った時に、トナー粒子の表面から、前記トナー粒子の粒径の2割までの領域に、前記トナー粒子中に存在する全荷電制御剤の50質量%以上が存在することと定義する。
【0062】
また、上記のFE−TEM観察、EDX分析は、市販の分析装置を用いることが出来る。
【0063】
(トナー粒子表面近傍に荷電制御剤を存在させる為の達成手段)
トナー粒子表面近傍に荷電制御剤を存在させる達成手段としては、例えばトナー粒子を構成する樹脂粒子への荷電制御剤の添加量を制御する方法が挙げられる。すなわち、トナー粒子の表面近傍を構成する樹脂粒子に多めに荷電制御剤を添加しておき、荷電制御剤を添加していない樹脂粒子でトナー粒子表面を形成する様に樹脂粒子を凝集させる方法や、荷電制御剤を含有させた樹脂粒子を凝集させた後、凝集粒子表面に荷電制御剤を含有していない樹脂成分でカプセル化する方法等が挙げられる。
【0064】
つまり、荷電制御剤はトナー表面での露出を少なく、表面に近い領域に存在することが好ましい。本発明では、許容できる露出量はトナー粒子全体の表面積の10%未満であることが好ましい。
【0065】
ここで、トナー粒子表面における荷電制御剤の露出量はXPS(X線光電子分光法)により、また、全体量はWDX(波長分散X線分光法)を用いて分析することが出来る。
【0066】
樹脂粒子内への添加方法としては、樹脂とともに混練し、その分散径を調節するのが好ましいが、水系媒体中に乳化したときに、油相の分散相から水相側へ溶出したり、脱離したりする場合は水相側に添加し、凝集工程や乾燥工程時にトナーに組み込んでも構わない。
【0067】
《重付加反応または重縮合反応により得られる樹脂》
本発明に係るトナー粒子の構成材料である樹脂(結着樹脂ともいう)としては、重付加反応または重縮合反応により得られる樹脂であり、且つ、水系媒体中で樹脂粒子の分散液を形成し得る樹脂であることが必須要件である。
【0068】
そのような樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、無定形のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂等が挙げられる。
【0069】
また、ポリエステル樹脂の中では、無定形のポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0070】
ここで、無定形ポリエステルの『無定形』とは、X線回折により明瞭な結晶構造が認められないポリエステル分子が全構成分子の50モル%以上を占めるものと定義する。更に詳しくは、結晶化度が0.1未満である分子が50モル%以上を占めるものを無定形ポリエステルという。
【0071】
また、本発明では、結晶化度は、密度、融解熱、X線回折、NMR(核磁気共鳴スペクトル)により測定でき、結晶部分の質量比(百分比)で表される。
【0072】
《ポリエステル樹脂》
本発明に用いられるポリエステル樹脂について説明する。
【0073】
ポリエステル樹脂の合成に用いられる2価のアルコール単量体としては、例えばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのエーテル化ビスフェノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0074】
ポリエステル樹脂の合成に用いられる2価のカルボン酸単量体としては、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0075】
また、本発明では多価アルコール単量体、多価カルボン酸単量体を使用することも可能である。
【0076】
3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0077】
3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0078】
また、ポリエステル高分子末端の極性基を封鎖し、トナ−帯電特性の環境安定性を改善する目的において、単官能単量体がポリエステルに導入される場合がある。単官能単量体としては、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシャルブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、オクタンカルボン酸、ラウリル酸、ステアリル酸、およびこれらの低級アルキルエステル等のモノカルボン酸類、あるいは脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環族アルコール等のモノアルコールを用いることができる。
【0079】
《無定形ポリエステル樹脂》
本発明に用いられる無定形ポリエステル樹脂について説明する。
【0080】
本発明で使用される無定形のポリエステル樹脂は、トナー粒子に十分な強度を与え破砕を防止する観点から、ウレタン変性ポリエステルと呼ばれる分子構造中にウレタン結合を有し変性されたものが好ましい。以下、ウレタン変性ポリエステル(i)(ウレタン結合で変性されたポリエステルともいう)について説明する。
【0081】
(ウレタン変性ポリエステル)
ウレタン結合で変性されたポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応物などが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、前述した多価カルボン酸類と多価アルコール類を重縮合させて得られ、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらにポリイソシアネートと反応させたものなどが挙げられる。
【0082】
上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0083】
ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。ポリイソシアネートの比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。
【0084】
[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレタン含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート構成成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。
【0085】
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。
【0086】
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0087】
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレタン変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0088】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
【0089】
ウレタン変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレタン変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレタン変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0090】
本発明では、ウレタン結合で変性されていないポリエステル樹脂(ii)とこの様なウレタン結合で変性されたポリエステル(i)を併用して結着樹脂として使用することも可能である。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレタン結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の質量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の質量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
【0091】
《ポリオール樹脂、エポキシ樹脂》
本発明に用いられるポリオール樹脂、エポキシ樹脂について説明する。
【0092】
ポリオール樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、本発明に用いられるものとして、以下のものが特に好ましい。特にポリオール樹脂として、エポキシ樹脂と、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルと、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に1固有する化合物と、エポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるポリオールを用いることが好ましい。さらにまた、エポキシ樹脂は、数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが特に好ましい。このポリオール樹脂は、良好な光沢、透明性を付与し、耐オフセット性に効果がある。
【0093】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンを結合して得られたものである。エポキシ樹脂は、安定した定着特性や光沢を得るために数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂で、低分子量成分の数平均分子量が360〜2000であり、高分子量成分の数平均分子量が3000〜10000であることが好ましい。さらに、低分子量成分が20〜50質量%、高分子量成分が5〜40質量%であることが好ましい。低分子量成分が多すぎたり、分子量が360よりさらに低分子の場合は、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。また、高分子量成分が多すぎたり、分子量10000よりさらに高分子の場合は、光沢が不足したり、さらには定着性の悪化の可能性がある。
【0094】
本発明で用いられる化合物として、即ち、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては以下のものが例示される。エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びこれらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物をエピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリンでグリシジル化して用いてもよい。特に、下記一般式(VI)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが好ましい。
【0095】
【化6】
【0096】
また、n、mは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、n+m=2〜6である。)
また、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルが、ポリオール樹脂に対して10〜40質量%含まれていることが好ましい。ここで、量が少ないとカールが増すなどの不具合が生じ、また、n+mが7以上であったり量が多すぎると、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物としては、1価フェノール類、2級アミン類、カルボン酸類がある。1価フェノール類としては以下のものが例示される。即ち、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。2級アミン類としては、ジエチルアミン、ジオプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル(エチル)ピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。また、カルボン酸類としては、プロピオン酸、カプロン酸等が挙げられる。
【0097】
本発明の主鎖にエポキシ樹脂部とアルキレンオキサイド部を有するポリオール樹脂を得るためには、種々の原材料組み合わせが可能である。例えば、両末端グリシジル基のエポキシ樹脂と両末端グリシジル基の2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物を、ジハライドやジイソシアネート、ジアミン、ジチオール、多価フェノール、ジカルボン酸と反応させることにより得ることができる。このうち、2価のフェノールを反応させるのが反応安定性の点で最も好ましい。また、ゲル化しない範囲で多価フェノール類や多価カルボン酸類を2価フェノールと併用するのも好ましい。ここで、多価フェノール類、多価カルボン酸類の量は、全量に対し15%以下、好ましくは10%以下である。
【0098】
本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物としては、2価フェノール類、多価フェノール類、多価カルボン酸類が挙げられる。2価フェノールとしては、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールが挙げられる。また、多価フェノール類としてはオルソクレゾールノボラック類、フェノールノボラック類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンが例示される。多価カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメット酸が例示される。また、これらのポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、高い架橋密度を持たせると、透明性や光沢度が得られにくくなり、好ましくは、非架橋もしくは弱い架橋(THF不溶分5%以下)とすることが好ましい。
【0099】
《水系媒体中に、樹脂粒子が分散された分散液の調製方法》
本発明に係る樹脂粒子が水系媒体中に分散された分散液を調製する方法は、特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
【0100】
(1)ポリエステル樹脂やポリオール樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合は、以下の方法が挙げられる。
【0101】
(a)前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂粒子(A)の水性分散体を製造する方法
(b)前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化しても良い)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
(2)ビニル系樹脂の場合、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により樹脂粒子を生成し、得られた樹脂粒子の水性分散液を直接製造する方法
(3)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い)により作製した樹脂を以下の方法で水系媒体中に分散させる方法。
【0102】
(a)上記作製した樹脂を、機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分球することにより樹脂粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(b)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(c)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、または予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却して樹脂粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法
(d)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法
(e)上記作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法
上記の方法で併用される乳化剤または分散剤としては、公知の界面活性剤(S)、水溶性ポリマー(T)等を用いることができる。また、乳化または分散の助剤として溶剤(U)、可塑剤(V)等を併用することができる。具体例としては、特開2002−284881号公報の段落0036〜0062に開示されたものが挙げられる。
【0103】
《着色剤》
本発明に係る着色剤について説明する。
【0104】
本発明のトナーに係る着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用可能で、具体的には、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。含有量は、樹脂(結着樹脂)100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。
【0105】
《離型剤(ワックスともいう)》
本発明に係る離型剤について説明する。
【0106】
本発明では、現像剤に適度な離型性を付与させるために、トナーの中にワックスを含有させることが好ましい。前記ワックスは、その融点が40〜150℃のものであり、特に50〜110℃のものであることが好ましい。
【0107】
上記範囲内に融点を有することにより、定着温度を低温に設定しても良好な定着性が得られるとともに、良好な耐オフセット性や耐久性が得られることが確認されている。
【0108】
なお、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。すなわち、数mgの試料を一定の昇温速度、例えば(10℃/min)で加熟したときの融解ピーク値を融点とする。
【0109】
本発明に用いることができる離型剤(ワックス)としては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどが挙げられる。
【0110】
また、低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなども用いることができる。特に、環球法による軟化点が70〜150℃のポリオレフィンが好ましく、さらには、当該軟化点が120〜150℃のポリオレフィンが好ましい。
【0111】
本発明のトナーでは、下記式で表されるエステル系化合物が好ましい。
R1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数で、好ましくは2〜4、更に好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5がよい。R2は、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、更に好ましくは18〜26がよい。
【0112】
また、本発明では、ワックスを後述する界面活性剤や分散剤を用いて水系媒体中で加熱攪拌してなる分散液を用いてトナー粒子の形成を行うものであってもよい。この場合、例えばワックスを乳化して作製されるワックスエマルジョンを作成し、樹脂粒子を凝集させる時に着色剤分散液とともに凝集させて添加することが可能である。
【0113】
《外添剤》:シリカ微粒子、チタン微粒子等
本発明に用いられる外添剤について説明する。
【0114】
本発明で得られたトナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に、5nm〜200nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、特に、0.01〜2.0質量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0115】
これらのうち、帯電性や転写性、更にクリーニング性を維持しつつ、すべり定着性を補助する観点からは、請求項6に記載の、一次粒子径50nm〜200nmのシリカまたはチタン微粒子からなる外添剤が特に好ましい。
【0116】
ここで、一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)またはFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)により測定できる。また、粒子が針状や多面体粒子の場合は、前記粒子の長径をもって一次粒子径とする。
【0117】
この他、高分子系微粒子、たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0118】
このような流動化剤は、表面処理を行なって、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0119】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることができる。ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭く、一次粒子径が0.01μm〜1μmのものが好ましい。
【0120】
《樹脂粒子の凝集方法》
水系媒体中での本発明に係る樹脂粒子の凝集方法について説明する。
【0121】
(製造方法)
有機溶剤中に、本発明に係る樹脂若しくはその他のトナー材料を通常のインぺラーによる攪拌や、必要に応じて加熱処理を行なったり、ボールミル、サンドミル、ホモジナイザーなどによって溶解、分散し、水系媒体中で乳化、分散する。その際、ホモミキサー(特殊機化社製)、エバラマイルダー(荏原製作所製)、クレアミックス(エムテクニック社製)等の乳化装置が用いられる。
【0122】
このときの乳化剤の濃度、固形物の有機溶剤に対する濃度や水系媒体と固形物が分散された油性相の量比や乳化分散時の回転数、時間を制御することによって所望の液滴径と粒度分布にすることができる。好ましくは、目的のトナー粒子径の1/2〜1/100まで乳化分散するのが良い。固形物と有機溶剤の質量比は1:10から1:1の間で、水系媒体と固形物が分散された油性相の質量比は10:1から1:1の間で適宜好ましく選択されるが、もちろんこの範囲外でも良い。
【0123】
固形物にしたトナー成分を溶解分散するための有機溶剤としては、水に対して不溶性あるいは難溶性、部分溶解性で、固形物を構成する樹脂や混練時用いた樹脂を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び有機酸エステルが好ましい。
【0124】
トナー成分が分散された油性相を水が含まれる液体に所望の粒径まで乳化、分散するための分散剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキル硫酸エステル等が挙げられる。
【0125】
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0126】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。その際、減圧下で行なうことが加熱温度を下げることができ好ましい。ワックスやその他トナー構成成分が有機溶剤に溶解するのを防止したり、乳化分散体の加熱による異常な再凝集、会合、合一を防止するためである。この有機溶剤の除去工程は凝集工程の前に行なっても、凝集工程後に行なっても構わない。凝集工程の前に有機溶媒を除去すれば、樹脂粒子分散液が安定し、凝集の制御が容易になり、粒度分布がシャープになるので好ましい。
【0127】
有機溶媒に溶解したものの別の処理法としては、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
【0128】
凝集方法としては、水中で微粒子が荷電を有して分散している場合は、電解質などを投じて電気二重層を圧縮することにより、粒子同士を凝集させたり、高分子量の水溶性ポリマーを粒子同士に吸着させ凝集させたり、用いている界面活性剤や分散剤と逆荷電の物質を投入することにより、微粒子の表面の電荷を中和させ凝集させたり、吸着している界面活性剤や分散剤の対イオンを変化させたり、水系媒体に他の物質を投入することにより水系媒体への界面活性剤や分散剤の溶解性を変化させて分散安定性を弱めて凝集させる方法などが採用される。
【0129】
その際、先に述べたワックスのエマルジョンや、極性基を有する樹脂微粒子とともに凝集させ、製造されるトナーに定着時の離型性を持たせたり、摩擦帯電性を強化したり、ガラス転移点の高い樹脂微粒子を比較的トナーの外側に配置することにより、高温保存時のトナー同士のブロッキングを防止することができる。
【0130】
用いられる凝集剤は、例えば、電解質としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、りん酸ナトリウム、りん酸二水素ナトリウム、りん酸水素二ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化コバルト、塩化ストロンチウム、塩化セシウム、塩化バリウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化ルビジウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、安息香酸ナトリウム等に代表される一般的な無機あるいは有機の水溶性塩を用いることができる。これら電解質の濃度は、1価の電解質を用いる場合0.01〜2.0mol/l、さらには0.1〜1.0mol/l、またさらには0.2〜0.8mol/lの範囲が好ましい。さらに、多価の電解質を用いる場合、その添加量はより少ない量でよい。界面活性剤であれば先に例示したもの、高分子系の凝集剤であれば、先に挙げた高分子保護コロイドを形成させるもののうち、特に超高分子量体のものが適当である。また、水系媒体に共存させて分散安定性を弱めて凝集させる物質としては、水溶性有機化合物であるエタノール、ブタノール、イソプロパノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン等を使用することができる。
【0131】
さらに、凝集後に分散液を加熱することにより、微粒子同士を融着させ、生成するトナーの形状を調節することができる。界面張力によって球状化するが、そのときの加熱温度、トナーの粘性、有機溶剤の存在などにより球形から不定形まで任意に粒子形状を整えることができる。
【0132】
得られた凝集粒子の分散体は、乾燥雰囲気中に噴霧して、凝集粒子中に残存している非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。凝集粒子の分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。乾燥前に固液分離して洗浄水を加え、再分散(リスラリー)する操作を繰り返し行なえば、用いた分散剤、乳化剤をほとんど除去することができる。
【0133】
得られた乾燥後のトナーの粉体と外添剤とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化し、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
【0134】
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、ヘンシェルミキサ(三井鉱山)、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)等が挙げられる。
【0135】
《トナー粒子の円形度》
本発明のトナーの形状は、粒径1μm以上のトナー粒子2000個以上を測定したとき、下記式で示される円形度(形状係数)の平均値が、0.94〜0.98、より好ましくは0.94〜0.97である。
【0136】
円形度=(相当円の周囲長)/(トナー粒子投影像の周囲長)
=2π×(粒子の投影面積/π)1/2/(トナー粒子投影像の周囲長)ここで、相当円とは、トナー粒子投影像と同じ面積を有する円のことであり、円相当径とは、該相当円の直径のことである。
【0137】
なお、上記円形度の測定方法としては、FPIA−2000(シスメック社製)により測定することができる。この時、円相当径は下式で定義される。
【0138】
円相当径=2×(粒子の投影面積/π)1/2
又、本発明のトナーの形状は、円相当径の平均値が、2.6〜7.4μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.050〜−0.010であることを特徴とする。より好ましくは、円相当径の平均値が3.4〜6.6μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.040〜−0.020であるのがよい。
【0139】
本発明者等は、質量が大きめで円形度が低い粒子に、ドット潜像上でくさびのように現像を行わせ、そのすきまを埋めるように小径で円形度の高い粒子を現像し、最密充填の状態になるように調整を行った。
【0140】
そうすると、例えば、微小なドットや細線であっても、トナー粒子間のシンダリングが進み、定着画像の堅牢性が向上する。
【0141】
円相当径の傾きの測定は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000でトナー粒子の円相当径を測定し、それに対応する円形度との関係を、横軸:円相当径(μm)−縦軸:円形度として描き、その一次の相関(y=αx+b)をみれば、αが円相当径の傾きとなる。
【0142】
この時、帯電の均一性、ハーフトーンの均一性を高める観点からR2(Rの2乗)は0.35〜0.95が好ましい。ここにおいてRは下記一般式(a)で表される。
【0143】
一般式(a)
R=A/B
式中、A、Bは各々下記式を表す。
【0144】
A=nΣXY−(ΣXΣY)
B=(nΣX2−(ΣX)2)×((nΣY2)−(ΣY)2)
Xは円相当径(μm)、Yは円形度を表す。
【0145】
また、円相当径の傾きを有するトナーを造るには、小粒径の球形トナー粒子にやや粒径の大きい異形のトナー粒子を混合しても良い。或いは、後述する樹脂粒子を会合してトナー粒子を造る方法においては、会合工程で凝集剤を添加した後、撹拌羽根形状を適宜選択し、撹拌強度を制御し、大きめの粒子に剪断力がかかり易い条件として、濾過、乾燥工程に移行する方法でもよい。好ましくは、トナー製造装置と前述のフロー式粒子像分析装置をインライン接続し、円形度の平均値と傾きαをモニタリングしつつ、適宜条件を調整しながら製造する。
【0146】
好ましくは凝集を停止させる停止剤を投入した後、例えば塩析剤の再添加や界面活性剤の追加により、トナー粒子をさらに0.2〜1.0μm成長させると、本発明の範囲内に入るよう制御することが出来る。
【0147】
次に本発明のトナーを用いる画像形成方法に用いる画像形成装置について説明する。
【0148】
図1は本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。図1において、34は被帯電体である感光体ドラムであり、アルミニウム製のドラム基体の外周面に感光体層である有機光導電体(OPC)を形成してなるもので矢印方向に所定の速度で回転する。
【0149】
図1において、図示しない原稿読み取り装置にて読み取った情報に基づき、半導体レーザ光源31から露光光が発せられる。これをポリゴンミラー32により、図1の紙面と垂直方向に振り分け、画像の歪みを補正するfθレンズ33を介して、感光体面上に照射され静電潜像を形成する。感光体ドラム34は、予め帯電器35により一様帯電され、像露光のタイミングにあわせて時計方向に回転を開始している。
【0150】
感光体ドラム面上の静電潜像は、現像器36により現像され、形成された現像像はタイミングを合わせて搬送されてきた転写材38に転写器37の作用により転写される。更に感光体ドラム34と転写材38は分離器(分離極)39により分離されるが、現像像は転写材38に転写担持されて、定着器40へと導かれ定着される。
【0151】
感光体面に残留した未転写のトナー等は、クリーニングブレード方式のクリーニング器41にて清掃され、帯電前露光(PCL)42にて残留電荷を除き、次の画像形成のため再び帯電器35により、一様帯電される。
【0152】
なお、前記露光は、本発明ではデジタル像露光が特に好ましいものであるが、アナログによる像露光を行うものであってもよい。
【0153】
本発明は、電子写真法による画像形成装置、特にコンピュータ等からのデジタル画像データで変調した変調ビームにより感光体上に静電潜像を形成する装置に使用することもできる。図2は、本発明のトナーに適用されるデジタル画像形成装置を示す概略構成図である。
【0154】
図2において、画像形成装置101は、自動原稿搬送装置(通称ADF)Aと、自動原稿搬送装置により搬送される原稿の画像を読み取るための原稿画像読取部Bと、読み取った原稿画像を処理する画像制御基板Cと、画像処理後のデータに従って像担持体としての感光体ドラム34上に書き込みを行う書き込みユニット112を含む書き込み部Dと、感光体ドラム34及びその周囲に帯電器35、磁気ブラシ型現像装置からなる現像器36、転写器37、分離器39、クリーニング器41等の画像形成手段を含む画像形成部Eと、記録紙Pを収納する給紙トレイ122、124のための収納部Fを有している。
【0155】
自動原稿搬送装置Aは、原稿載置台126と、ローラR1を含むローラ群および原稿の移動通路を適宜切り替えるための切換手段等(参照記号なし)を含む原稿搬送処理部128とを主要素とする。
【0156】
原稿画像読取部Bは、プラテンガラスGの下にあり、光路長を保って往復移動できる2つのミラーユニット130、131、固定の結像レンズ(以下、単にレンズという)133、ライン状の撮像素子(以下、CCDという)135等からなり、書き込み部Dは、レーザ光源31、ポリゴンミラー(偏光器)32等からなる。
【0157】
転写材としての記録紙Pの移動方向からみて、転写器37の手前側に示すR10はレジストローラであり、分離器39の下流側にHで示してあるのは定着手段である。
【0158】
定着手段Hは、実施の形態においては、加熱源を内蔵するローラと、当該ローラに圧接しながら回転する圧接ローラとで構成してある。
【0159】
また、Zは定着手段Hのためのクリーニング手段で、巻き取り可能に設けたクリーニングウェブを主要素とする。
【0160】
原稿載置台126上に載置される原稿(図示せず)の1枚が原稿搬送処理部128によって搬送され、ローラR1の下を通過中に、露光手段Lによる露光が行われる。
【0161】
原稿からの反射光は、固定位置にあるミラーユニット130、131およびレンズ133を経てCCD135上に結像され、読み取られる。
【0162】
原稿画像読取部Bで読み取られた画像情報は、画像処理手段により処理され、符号化されて画像制御基板C上に設けてあるメモリーに格納される。
【0163】
また、画像データは画像形成に応じて呼び出され、当該画像データに従って、書き込み部Dにおけるレーザ光源31が駆動され、感光体ドラム34上に露光が行われる。
【0164】
近年、感光体上に静電潜像を形成し、この潜像を現像して可視画像を得る電子写真等の分野において、画質の改善、変換、編集等が容易で高品質の画像形成が可能なデジタル方式を採用した画像形成方法の研究開発が盛んになされている。
【0165】
この画像形成方法及び装置に採用されるコンピュータまたは複写原稿からのデジタル画像信号により光変調する走査光学系として、レーザ光学系に音響光学変調器を介在させ、当該音響光学変調器により光変調する装置、半導体レーザを用い、レーザ強度を直接変調する装置があり、これらの走査光学系から一様に帯電した感光体上にスポット露光してドット状の画像を形成する。
【0166】
前述の走査光学系から照射されるビームは、裾が左右に広がった正規分布状に近似した丸状や楕円状の輝度分布となり、例えばレーザビームの場合、通常、感光体上で主走査方向あるいは副走査方向の一方あるいは両者が20〜100μmという極めて狭い丸状あるいは楕円状である。
【0167】
本発明では、モノクロ画像だけではなく、カラー画像を得るための画像形成にも適用されるもので、例えば複数個の画像形成ユニットを備え、各画像形成ユニットにてそれぞれ色の異なる可視画像(トナー画像)を形成してトナー画像を形成する画像形成方法である。
【0168】
本発明のトナーは、トナー像が形成された画像形成支持体を、定着装置を構成する加熱ローラーと加圧ローラーとの間に通過させて定着する工程を含む画像形成方法に好適に使用される。
【0169】
図3は、本発明のトナーを用いた画像形成方法において使用する定着装置の一例を示す断面図であり、図3に示す定着装置40は、加熱ローラー71と、これに当接する加圧ローラー72とを備えている。なお、図3において、Tは転写紙(画像形成支持体)上に形成されたトナー像である。
【0170】
加熱ローラー71は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層82が芯金81の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材75を内包している。
【0171】
芯金81は、金属から構成され、その内径は10〜70mmである。芯金81を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げることができる。
【0172】
芯金81の肉厚は0.1〜15mmであり、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
【0173】
被覆層82を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などを例示することができる。
【0174】
フッ素樹脂からなる被覆層82の厚みは50μm〜700μmであり、好ましくは70μm〜600μmである。
【0175】
加熱部材75としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ローラー72は、弾性体からなる被覆層84が芯金83の表面に形成されてなる。被覆層84を構成する弾性体としては特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴムおよびスポンジゴムを挙げることができ、被覆層84を構成するものとして例示したシリコーンゴムおよびシリコーンスポンジゴムを用いることが好ましい。
【0176】
被覆層84を構成する弾性体のアスカーC硬度は、40°以上80°未満であり、好ましくは45°以上75°未満、更に好ましくは50°〜70°である。
【0177】
また、被覆層84の厚みは0.1〜30mmであり、好ましくは0.1〜20mmである。
【0178】
芯金83を構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属またはそれらの合金を挙げることができる。
【0179】
加熱ローラー71と加圧ローラー72との当接荷重(総荷重)としては、通常40〜350Nであり、好ましくは50〜300N、さらに好ましくは50〜250Nである。この当接荷重は、加熱ローラー71の強度(芯金81の肉厚)を考慮して規定され、例えば0.3mmの鉄よりなる芯金を有する加熱ローラーにあっては、250N以下とすることが好ましい。
【0180】
また、耐オフセット性および定着性の観点から、ニップ幅としては4〜10mmであることが好ましく、当該ニップの面圧は0.6×105Pa〜1.5×105Paであることが好ましい。
【0181】
図3に示した定着装置による定着条件の一例を示せば、定着温度(加熱ローラー71の表面温度)が150℃〜210℃であり、定着線速が230mm/sec〜900mm/secである。
【0182】
上記定着器にはクリーニング機構を付与して使用してもよい。クリーニング方式としては、各種シリコーンオイルを定着用フィルムに供給する方式や各種シリコーンオイルを含浸させたパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方式が用いられる。
【0183】
なお、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。更に、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る。
【0184】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の記載において「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
【0185】
実施例1
《樹脂溶液1の調製》:ポリエステル樹脂溶液の調製
下記の工程1〜3により、樹脂溶液1を調製した。
【0186】
工程1:ウレタン変性ポリエステル(1)の作製
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに1.33〜1.99Pa(10〜15mmHg)の減圧条件下で5時間反応した後、110℃まで冷却し、トルエン中にてイソホロンジイソシアネート17部を入れて110℃で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、重量平均分子量152,000、遊離イソシアネート含量0.7%のウレタン変性ポリエステル(1)を得た。
【0187】
工程2:ポリエステル(2)の作製
ウレタン変性ポリエステル(1)の作製と同様に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物570部、テレフタル酸217部を常圧下、230℃で6時間重縮合し、数平均分子量3,800、水酸基価5、酸価5の変性されていないポリエステル(2)を得た。
【0188】
工程3:樹脂溶液1の調製
200部のウレタン変性ポリエステル(1)と800部のポリエステル(2)を酢酸エチル2,000部に溶解、混合し、樹脂溶液1を調製した。
【0189】
尚、樹脂溶液1中の樹脂成分のTgは64℃であった。
《静電荷像現像用トナーの作製》
(静電荷像現像用トナーK1の作製):黒トナー
上記で得られた樹脂溶液1を用いて、下記のようにして、静電荷像現像用トナーK1(黒トナー)を得た。
【0190】
工程1:油相の調製
樹脂溶液1(樹脂成分のTg64℃) 100部
フタロシアニングリーン含水ケーキ(固形分30%) 2部
カーボンブラック(MA60 三菱化学社製) 10部
荷電制御剤(例示化合物(3)) 1部
カルナウバワックス(フレークタイプ) 10部
上記材料をトルエン200部中でジルコニアビーズの充填されたボールミルを転動させることによって44℃で溶解分散し、分散相となる油相を調製した。
【0191】
工程2:水相の調製
イオン交換水 700部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部
上記材料を攪拌分散し連続相となる水相を調製した。
【0192】
工程3:黒トナーの作製
得られた水相中にホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌しながら油相を投入し、攪拌回転数を調整することにより体積平均粒径約1μmの油滴を作製し、その後、50℃で減圧溜去してトルエンを除去し、青灰色の乳濁液を得た。
【0193】
得られた青灰色分散液をインぺラーの備わった攪拌タンクに移し、硫酸アルミニウム10部をイオン交換水90部に溶解した水溶液を低速で攪拌しながら徐々に滴下することにより、凝集粒子を形成させ、その後液温を70℃に保ち、凝集が合一融解したのを一部サンプリングして走査型電子顕微鏡により確認した。その後95℃で8時間攪拌し、着色粒子の円形度が0.963になったところで、40℃まで冷却し、攪拌を停止した。
【0194】
その後、水洗とろ過を繰り返し、得られたケーキを減圧乾燥して黒色の着色粒子を得た。得られた着色粒子100部と針状酸化チタン(長径120nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)0.8部、球形単分散シリカ(ゾルゲル法で得られたシリカゾルにHMDS処理を行い、乾燥粉砕処理を施した、粒径137nm)1.8部、更に気相法で製造し、オクチルメトキシシラン処理した粒子径14nm、0.3部のシリカ粒子をヘンシェルミキサーで周速30m/秒、15分間の条件で混合処理をした後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去し、静電荷像写真用トナーC1(シアントナー)を得た。
【0195】
ここで、着色粒子の円形度と得られたシアントナーC1の円形度は同一であった。
【0196】
(静電荷像現像用トナーK2〜K7の作製):黒トナー
静電荷像現像用トナーK1の作製において、荷電制御剤を例示化合物(3)のの代わりに、表1に記載の化合物を用いた以外は同様にして、静電荷像現像用トナーK2〜K7を各々作製した。比較化合物(1)と比較化合物(2)の構造を以下に示す。
【0197】
【化7】
【0198】
《現像剤K1〜K7の作製》
上記で得られた静電荷像現像用トナーK1〜K7の各トナー5部と下記のキャリア100部とを容器が転動して撹拌される形式のターブラーミキサーを用い、50rpm、15分間均一混合し帯電させ、現像剤K1〜K7を各々作製した。
【0199】
(キャリア)
シリコーン樹脂(20%) 100部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 1.0部
カーボンブラック 0.1部
トルエン 60部
これらの処方をホモミキサーで20分分散して被覆層形成液を調製した。これをフェライト1000部(体積平均粒径55μm、飽和磁化72emu/g)の表面に、流動床型塗布装置を用いて被覆層を形成した後、電気炉にて焼成してキャリアを作製した。
【0200】
得られた現像剤の各々について下記に記載の評価を行った。評価にあたり、図2に記載のようなデジタル露光を有する画像形成装置を用い、現像剤単独使用での評価を行った。また、画像形成において使用した定着装置の構成は、図3に示すような装置構成を用いた。
【0201】
《極厚用紙の定着性》
ハート株式会社の喪中はがき厚さ0.4mm、500枚を図2に記載の複写機を評価器として使用し、連続プリントした。葉書枠には相対濃度0.5のグレーの枠をつけた。得られたプリントを下記のようにランク評価した。
【0202】
◎:グレー枠上につけペンで文字を強く書いてもまったくトナーが落ちない
○:グレー枠上につけペンで文字を書くとトナーが剥落するが、ボールペン使用時には、トナーが剥落しない
×:定着が不十分で、グレー枠を手にもっただけで、トナーが剥落し、手が汚れる
《オフセット印刷用紙への定着性》
大王製紙製文庫本用紙(60.2g紙、オフセット印刷用、中質:非塗工紙)250枚に印字し、片手親指で10回めくり、文字周辺のにじみ状汚れを目視で観察し、下記のようにランク評価した。
【0203】
◎:まったくにじみ状の汚れがない
○:目視ではにじみ状汚れがないが、ルーペ観察で、わずかに汚れが検知できるが実用上問題ない
×:親指の跡が、黒くにじんだように汚れている
《トナーブリスタ評価》
普通紙(64g/cm2)上の付着量が1.6mg/cm2となるよう画像を形成し、画像に0.1μm〜0.5μm程度の穴、すなわちトナーブリスタの有無を観察し、下記のようにランク評価した
◎:まったくトナーブリスタがない
○:4cm2あたり1〜2個のトナーブリスタ存在するが実用上問題ない
×:4cm2あたり3個以上の明瞭なトナーブリスタが存在(実用不可)
《製造の安定性》
各実施例及び比較例を同処方で10回製造し、トナー粒子径と帯電性のばらつきを評価し、下記のようにランク評価した。ここで、帯電性は、60μmのマンガンフェライトにシリコーンコートしたキャリアとをトナー濃度6%の比率でウェイブローターで10分混合した後、公知のブローオフ法で測定した。混合環境は20℃、80%RH(相対湿度)であった。
【0204】
◎:10バッチの体積平均粒径がセンター値±0.1μm、帯電量がセンター値±0.3μC/gの範囲である
○:10バッチの体積平均粒径がセンター値±0.2μm、帯電量がセンター値±0.6μC/gの範囲である
△:10バッチの体積平均粒径がセンター値±0.5μm、帯電量がセンター値±1.0μC/gの範囲である
×:10バッチの体積平均粒径がセンター値±0.5μmの範囲に入らず、帯電量がセンター値±1.0μC/gの範囲外であった
ここで、△以上が実用化であるが、○は良好、◎は優良であることを示し、また、×は不良であり、実用不可のレベルである。
【0205】
得られた結果を表1に示す。
【0206】
【表1】
【0207】
表1から、比較に比べて、上記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物をトナー粒子の作製時に使用している、本発明の試料は、極厚用紙やオフセット印刷用紙への定着性が極めて良好であり、普通紙上でのトナーブリスタが少なく、且つ、製造安定性が高いことが明らかである。
【0208】
実施例2
《樹脂溶液2の調製》:ポリオール樹脂溶液の調製
実施例1で使用した上記反応容器中に、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)378部、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約2700)86部、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加体のジグリシジル化物191部、ビスフェノールF274部、p−クミルフェノール70部、キシレン200部を加えた。
【0209】
N2雰囲気下で70℃〜100℃まで昇温し、塩化リチウムを0.183g加え、更に160℃まで昇温し減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、軟化点109℃、Tg58℃のポリオール樹脂(1)を得た。
【0210】
得られたポリオール樹脂(1)の1000部を酢酸エチル2000部と混合、溶解し、樹脂溶液2を得た。
【0211】
(静電荷像現像用トナーK8〜K14の作製)
静電荷像現像用トナーK1〜K7の作製において、樹脂溶液1の代わりに樹脂溶液2を用いた以外は同様にして、静電荷像現像用トナーK8〜K14を各々作製した。
【0212】
《現像剤K8〜K14の作製》
現像剤K1〜K7の作製において、トナーをK8〜K14に各々変更した以外は同様にして、現像剤K8〜K14を各々作製した。
【0213】
得られた現像剤K8〜K14の各々について実施例1と同様に評価した。得られた結果を表2に示す。
【0214】
【表2】
【0215】
表2から、比較に比べて、上記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物をトナー粒子の作製時に使用している、本発明の試料は、極厚用紙やオフセット印刷用紙への定着性が極めて良好であり、普通紙上でのトナーブリスタが少なく、且つ、製造安定性が高いことが明らかである。
【0216】
【発明の効果】
本発明により、特に厚手の紙に画像形成を行った時に良好な定着性を発現する静電荷像現像用トナーを提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施態様例を示したデジタル露光を有する画像形成装置の概略構成図である。
【図3】本発明のトナーを用いた画像形成方法において使用する定着装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
31 半導体レーザ光源
32 ポリゴンミラー
33 fθレンズ
34 感光体ドラム
35 帯電器
36 現像器
37 転写器
38 転写材
39 分離器
40 定着器
41 クリーニング器
42 耐電前露光
Claims (7)
- 少なくとも樹脂と着色剤を含み、且つ、円形度の平均値が0.94〜0.99であるトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
該樹脂が重付加反応物または重縮合反応物であり、且つ、該トナー粒子表面近傍に荷電制御剤として下記一般式(1)で示されるアゾ系金属錯塩化合物を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子が、水系媒体中にて重付加反応または重縮合反応により得られた樹脂粒子を分散して分散液を調製する工程、該分散液中の該樹脂粒子を水系媒体中で凝集させる工程を経て得られることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物を加熱し、前記加熱中に抽出される全ガス中における、1,4−ブタンジアミンの含有率が50ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の表面の少なくとも一部が、前記一般式(1)で表されるアゾ系金属錯塩化合物で被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記樹脂粒子が無定形ポリエステルを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の円形度の平均値が0.94〜0.98にあり、且つ、円相当径の平均値が2.6μm〜7.4μmにあり、円相当径に対する円形度の傾きが−0.050〜−0.010であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子が、平均粒径が50nm〜200nmのシリカまたはチタン微粒子を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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-
2003
- 2003-03-06 JP JP2003059756A patent/JP2004271685A/ja active Pending
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