JP2004270593A - 車両の駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータによる従駆動輪の駆動によって、運転者の意図しない減速やエンジンストールを引き起こすことがない車両の駆動装置を提供する。
【解決手段】前輪をエンジン,クラッチ,変速機の組み合わせで駆動する車両において、後輪を駆動するモータを設ける。そして、前記クラッチの締結時にエンストの可能性が生じると、エンジンにおける電子制御スロットルの目標開度を増大補正する。一方、前記エンスト回避制御中は、前輪速に後輪速を一致させるようにモータトルクを制御し、かつ、係るモータ駆動負荷分だけ前記目標開度を増大補正する。
【選択図】 図2
【解決手段】前輪をエンジン,クラッチ,変速機の組み合わせで駆動する車両において、後輪を駆動するモータを設ける。そして、前記クラッチの締結時にエンストの可能性が生じると、エンジンにおける電子制御スロットルの目標開度を増大補正する。一方、前記エンスト回避制御中は、前輪速に後輪速を一致させるようにモータトルクを制御し、かつ、係るモータ駆動負荷分だけ前記目標開度を増大補正する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主駆動輪をエンジンで駆動し、従駆動輪を電動機で駆動する構成であって、前記エンジンで駆動される発電機から前記電動機に直接電力を供給する構成の車両の駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、4輪駆動システムとして、エンジンによって主駆動輪(例えば前輪)を駆動し、電動機(モータ)によって従駆動輪(例えば後輪)を駆動する構成として、発進・加速時に従駆動輪を駆動させて4輪駆動状態とするシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、運転者のアクセル開操作に伴って駆動輪がスリップしたときに、エンジンのスロットルを絞ることによってエンジントルク(駆動トルク)を減少させ、スリップを抑制する所謂トラクションコントロールが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−094979号公報
【特許文献2】
特開平02−136525号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記4輪駆動システムにおいて、電動機に対する電力供給を、エンジンで駆動される発電機から直接行わせ、電動機に電力を供給するバッテリを備えない構成とした場合、4輪駆動状態においては電動機を駆動させる負荷がエンジンに加わることになる。
【0006】
そして、例えばトラクションコントロールによってエンジントルク(駆動トルク)が抑制されるときに、電動機負荷がエンジンに加わると、電動機負荷分だけ余分にエンジントルクが減少し、これにより運転者の意図に反する減速が発生したり、最悪の場合にはエンジンストールを引き起こす可能性があるという問題があった。
【0007】
また、エンジンの出力がクラッチを介して変速機に伝達されるシステムにおいて、クラッチを締結して発進するときのエンジンストールを防止すべく、エンジントルクを増大制御する場合があるが、この場合も、従駆動輪を駆動するための電動機負荷がエンジンに加わることで、必要なエンジントルクの増大が得られずにエンジンストールを引き起こす可能性があるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、たとえ、スリップ発生によりエンジントルクを強制的に絞っている場合や、エンジンストールを回避すべくエンジントルクを増大制御している場合であっても、電動機による従駆動輪の駆動によって、運転者の意図しない減速が発生したり、エンジンストールを引き起こすことがない車両の駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明では、電動機の駆動負荷分だけエンジントルクの調整手段における目標エンジントルクを増大補正する構成とした。
【0010】
かかる構成によると、電動機に電力を供給する発電機の負荷分を上乗せしてエンジントルクが調整されるから、電動機によって従駆動輪を駆動しているときであっても要求のエンジントルクを発生させることができる。
【0011】
従って、例えばトラクション制御によってエンジントルクが絞られるときに、必要以上にエンジントルクが減少して、運転者の意図しない減速が発生したり、エンジンストールを引き起こすことを防止することができる。
【0012】
請求項2記載の発明では、エンジンがエンジンストール傾向を示すときに、従駆動輪の車輪速が主駆動輪の車輪速に一致するように電動機を制御する構成とした。
【0013】
かかる構成によると、例えばクラッチを介してエンジントルクが主駆動輪に伝達される構成において、クラッチを接続して発進するときにエンジンストール傾向を示すと、従駆動輪の車輪速が主駆動輪の車輪速に一致するように制御して、主駆動輪に追従して従駆動輪が電動機で駆動されるようにする。
【0014】
従って、発進時などにおいてエンジンストール傾向を示すときに、従駆動輪側が過剰に駆動されて車体の揺れを助長し、車両の走行安定性が損なわれることを回避できる。
【0015】
請求項3記載の発明では、主駆動輪のスリップが発生したときに、従駆動輪の車輪速が車体速に一致するように電動機を制御する構成とした。
かかる構成によると、主駆動輪に加速スリップが発生して、主駆動輪の車輪速が車体速を上回るときに、従駆動輪の車輪速を車体速に一致させるように電動機を制御する。
【0016】
従って、主駆動輪側の過剰な駆動トルク状態に影響されて、従駆動輪が過剰に駆動されることが回避され、車両の走行安定性を保持することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、実施形態における車両の駆動装置のシステム構成図である。
【0018】
図1において、エンジン1の駆動力は、前側クラッチ2、変速機3及びディファレンシャル4を介して前輪(主駆動輪)FWに伝達される。
即ち、エンジン1,前側クラッチ2,自動変速機3,ディファレンシャル4からなる動力系は、いわゆる前輪駆動車と同様に構成される。
【0019】
前記前側クラッチ2は、運転者が操作するクラッチペダルに機械的に連動して締結・解放される構成のクラッチであっても良いし、電磁コイル等のアクチュエータによって締結・解放される電子制御式のものであっても良い。
【0020】
前記エンジン1には、該エンジン1により駆動される発電機5が設けられ、該発電機5から直接電力が供給されるモータ(電動機)6が設けられる。
前記モータ6の発生駆動力は、減速機7、後側クラッチ8及びディファレンシャル9を介して後輪(従駆動輪)RWに伝達される。
【0021】
4WDコントロールユニット10は、前記発電機5、モータ6及び後側クラッチ8の制御機能を有する。
前記4WDコントロールユニット10には、前輪FW及び後輪RWそれぞれの車輪速を検出する車輪速センサ21a,21b、前記前側クラッチ2の締結・解放を検出するクラッチスイッチ22、フットブレーキ操作を検出するブレーキスイッチ23からの検出信号が入力される。
【0022】
また、前記エンジン1を制御するエンジンコントロールユニット11が設けられており、エンジン1の電子制御スロットル25などを制御する。
前記電子制御スロットル25は、エンジン1の吸気通路に介装されるバタフライ式のスロットルバルブ25a,該スロットルバルブ25aを開閉するスロットルモータ25aで構成される。
【0023】
尚、前記電子制御スロットル25が、本実施形態においてエンジントルクを調整する調整手段に相当する。
前記エンジンコントロールユニット11には、エンジン回転速度Neを検出するエンジン回転センサ30、前記スロットルバルブ25aの開度TVOを検出するスロットルセンサ31、アクセル開度APSを検出するアクセル開度センサ32などからの検出信号が入力される。
【0024】
前記4WDコントロールユニット10とエンジンコントロールユニット11とは相互に通信可能に構成され、エンジンコントロールユニット11から4WDコントロールユニット10側へは、アクセル開度信号,スロットル開度信号,エンジン回転信号などが送信され、4WDコントロールユニット10からエンジンコントロールユニット11側へは、車輪速信号やブレーキ信号などが送信される。
【0025】
ここで、前記エンジンコントロールユニット11は、アクセル開度APSに応じて電子制御スロットル25を制御する一方、前輪FWがスリップしたときに、前記電子制御スロットル25を制御してエンジントルクを減少させ、前輪FWのスリップを減少させるトラクション制御を行うと共に、前記前側クラッチ2を締結させて車両を発進させるときに、エンジンストールを回避すべく前記電子制御スロットル25を制御するエンスト回避制御を行う。
【0026】
一方、4WDコントロールユニット10は、4WD(4輪駆動)モードのときに、前記発電機5に発電を行わせると共に、電磁クラッチ8をON(締結)し、モータ6の駆動力で後輪(従駆動輪)RWを駆動することで、前輪(主駆動輪)FWがエンジン1で駆動され、後輪(従駆動輪)RWがモータ6で駆動される4輪駆動(4WD)状態とする。
【0027】
一方、2WDモード(前輪駆動モード)においては、前記発電機5の発電を停止させると共に、電磁クラッチ8をOFF(解放)し、モータ6による後輪(従駆動輪)RWの駆動を停止させることで、前輪FWのみがエンジン1で駆動される2輪駆動(2WD)状態とする。
【0028】
尚、前記4WDモードは、例えば、滑りやすい路面での発進・加速時に設定される。
図2のフローチャートは、前記エンスト回避制御及び4WD制御を示し、図3は、前記エンスト回避制御時の各種パラメータの変化を示すタイムチャートである。
【0029】
図2のフローチャートにおいて、ステップS1では、ブレーキスイッチ23のON・OFFに基づいてブレーキ操作中であるか否かを判別する。
そして、ブレーキスイッチ23がOFFでブレーキ操作が行われていない場合に、ステップS2へ進む。
【0030】
ステップS2では、アクセル開度センサ32で検出されるアクセル開度APSが所定開度以上で、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれている状態であるか否かを判別する。
【0031】
そして、アクセルペダルが踏み込まれている状態であれば、ステップS3へ進む。
ステップS3では、クラッチスイッチ22のON・OFFに基づいて、前側クラッチ(C/L)2の解放状態であるか否かを判別する。
【0032】
前側クラッチ2が解放状態ではなく、締結途中又は完全締結状態であるときには、ステップS4へ進む。
ステップS4では、エンジン回転速度Neが所定回転速度以下であるか否かを判別する。
【0033】
エンジン回転速度Neが所定回転速度以下であれば、ステップS5へ進み、スロットル開度TVOの単位時間当たりの変化量ΔTVOが所定値以下であるか否か、換言すれば、スロットル開度TVOの増大変化速度が所定値以下であるか否かを判別する。
【0034】
エンジン回転速度Neが所定回転速度以下で、かつ、スロットル開度TVOの増大変化が緩やかであると、エンジンストール(エンスト)の可能性があると判断して、ステップS6へ進む。
【0035】
ステップS6では、前記電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOの増大補正を行なう。
具体的には、前回値TVO−1に、最新の変化量ΔTVOに補正定数S1(>1)を乗算した値を加算し、今回の目標値とする。
【0036】
TVO=TVO−1+S1・ΔTVO
尚、スロットル開度TVOの増量分を一定値としても良い。
上記のようにして、スロットル開度TVOを増大させることで、エンジントルクを増大させ、エンストの発生を回避する。
【0037】
更に、前記前側クラッチ2が、電磁コイル等のアクチュエータによって締結・解放される電子制御式である場合には、ステップS7で、前側クラッチ2の締結量(締結力)の減少補正を行なう。
【0038】
具体的には、エンスト回避制御を開始した時点での締結量から、そのときの前後輪の車輪速差に応じた減少補正分を減算する。
締結量=制御開始時の締結量−(X・S2)
上式で、S2は補正定数であり、また、Xは前後輪の車輪速差に応じて設定される値であって、前後輪の車輪速差がない場合(前輪がスリップしていない場合)には1に設定され、前輪速が後輪速に比べて大きくなるほど(前輪のスリップが大きいほど)、1を超えるより大きな値に設定され、締結量の減少補正量を大きくする。
【0039】
従って、前側クラッチ2は、エンスト回避のためにその締結量が減少補正されると共に、前輪FWがスリップしているときには締結量がより大きく減少補正されて、前輪FWのスリップ回避が図られる。
【0040】
尚、前側クラッチ2が運転者のクラッチペダル操作に機械的に連動して締結・解放されるクラッチである場合には、前記ステップS7の処理は省略される。
ステップS8では、4WDモードであるか否かを判別する。
【0041】
そして、4WDモードであるときには、ステップS9へ進み、後輪RWの車輪速が、前輪FWの車輪速に一致するように、モータ6のモータトルクを制御する。
【0042】
このように、エンスト傾向にあるときに、後輪RWの車輪速が前輪FWの車輪速に一致するようにモータ6を制御すれば、エンスト傾向による車両の揺れがモータ6による後輪RWの駆動によって助長されることがなく、車両安定性を保持できる。
【0043】
また、次のステップS10では、モータ6に電力を供給する発電機5の駆動負荷を演算し、ステップS11では、前記駆動負荷分をスロットル開度増加分TVOmに変換する。
【0044】
そして、ステップS12では、前記開度増加分TVOmによって電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOの増大補正する。
TVO=TVO+TVOm
即ち、後輪RWをモータ6で駆動する4WDモードにおいては、モータ6に電力を供給するために発電機5で発電を行わせる必要が生じ、発電機5の発電は、エンジン1の負荷になる。
【0045】
従って、ステップS6で、エンスト回避のためにスロットル開度TVOを増大補正したとしても、係る増大補正分が発電負荷で相殺され、所期のエンジントルクの増大を図ることができなくなる可能性がある。
【0046】
そこで、エンスト回避のためにスロットル開度TVOを増大補正すると共に、4WDモード時には、更に発電負荷分を上乗せして、発電負荷があってもエンスト回避が確実に図れるようにしてある。
【0047】
図4のフローチャートは、前記トラクション制御及び4WD制御を示し、図5は、前記トラクション制御時の各種パラメータの変化を示すタイムチャートである。
【0048】
図4のフローチャートにおいて、ステップS21では、ブレーキ操作中であるか否かを判別し、ブレーキ操作中でなければ、ステップS2へ進む。
ステップS22では、アクセルペダルが踏み込まれているか否かを判別し、アクセルペダルが踏み込まれていれば、ステップS23へ進む。
【0049】
ステップS23では、車速が所定速度以下であるか否かを判別し、所定車速以下であれば、ステップS24へ進む。
ステップS24では、前輪FWの車輪速rωfと、後輪RWの車輪速rωrとの偏差(rωf−rωr)が所定値x以上であるか否かを判別することで、前輪FWが加速スリップしているか否かを判別する。
【0050】
rωf−rωr≧xであって、前輪FWが加速スリップしていると判断されると、ステップS25へ進み、前輪FWの車輪速rωfと後輪RWの車輪速rωrとの偏差sabunの単位時間当たりの変化量Δsabunを算出する。
【0051】
次のステップS26では、前記変化量Δsabunが0以下であるか否か、換言すれば、スリップが減少傾向にあるか否かを判別する。
前記変化量Δsabunが0以下ではなく、スリップが増大傾向にあるときには、ステップS27へ進み、前記電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOを、アクセル開度APS相当値から所定値(1)だけ減少補正した値とする。
【0052】
このように、スロットル開度TVOを減少補正してエンジントルクを低下させることで、前輪FWのスリップの解消を図る。
そして、スロットル開度TVOを減少補正した結果、スリップが減少傾向に転じ、ステップS26で前記変化量Δsabunが0以下であると判別されるようになると、ステップS28へ進み、前記電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOを、前回値から所定値(2)(<所定値(1))だけ増大させる。
【0053】
ステップS29では、前記ステップS28におけるスロットル開度の増大補正によって、目標スロットル開度TVOがアクセル開度APS相当にまで戻ったか否かを判別する。
【0054】
そして、目標スロットル開度TVOがアクセル開度APS相当にまで戻ると、ステップS30へ進んでトラクション制御を終了させる。
また、ステップS31では、4WDモードであるか否かを判別する。
【0055】
そして、4WDモードであるときには、ステップS32へ進み、後輪RWの車輪速が車体速に一致するように、モータ6のモータトルクを制御する。
このように、前輪FWがスリップしているときに、後輪RWの車輪速が車体速に一致するようにモータ6を制御すれば、前輪FWに対して過剰に駆動トルクが加わっている状態に影響されて、後輪RWも過剰なトルクで駆動されることを回避でき、車両の安定性を向上させることができる。
【0056】
また、次のステップS33では、モータ6に電力を供給する発電機5の駆動負荷を演算し、ステップS34では、前記駆動負荷分をスロットル開度増加分TVOmに変換する。
【0057】
そして、ステップS35では、前記開度増加分TVOmによって電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOの増大補正する。
TVO=TVO+TVOm
前述のように、後輪RWをモータ6で駆動する4WDモードにおいては、モータ6に電力を供給するために発電機5で発電を行わせる必要が生じ、発電機5の発電は、エンジン1の負荷になる。
【0058】
従って、スリップ回避のためにスロットル開度TVOを減少補正しているときに、更に、発電機5の発電負荷がエンジン1に加わると、過剰にエンジントルクが減少してしまう。
【0059】
そこで、スリップ抑制のためにスロットル開度TVOを減少補正しているときの4WDモードにおいては、発電負荷分だけ目標開度TVOを増大補正し、スリップ回避に必要とされる分だけエンジントルクが減少されるようにする。
【0060】
尚、上記実施形態では、エンジントルクの調整手段として電子制御スロットル25を用いる構成としたが、この他、スロットルバルブをバイパスして流れる吸気量を調整することでエンジントルクを調整する構成や、燃料噴射量,点火時期の補正によってエンジントルクを調整する構成であっても良い。
【0061】
また、上記実施形態は、エンジン1で駆動される主駆動輪を前輪とし、モータ6で駆動される従駆動輪を後輪とする構成としたが、逆に、エンジン1で駆動される主駆動輪を後輪とし、モータ6で駆動される従駆動輪を前輪とする構成にも、適用可能であることは明らかである。
【0062】
更に、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1又は2記載の車両の駆動装置において、
前記エンジンの出力がクラッチを介して主駆動輪に伝達される構成であり、
前記クラッチの締結時におけるエンジンストールを防止すべく前記調整手段を制御するエンスト回避制御を行う一方、
前記エンスト回避制御中において、前記電動機の駆動負荷分だけ前記調整手段における目標エンジントルクを増大補正することを特徴とする車両の駆動装置。
【0063】
かかる構成によると、クラッチの締結時におけるエンジンストールを防止すべくエンジントルクを増大補正すると共に、該エンスト回避制御中においては、電動機に電力を供給する発電機による負荷分だけ、エンジントルクを増大補正する。
【0064】
従って、エンスト回避のためのエンジントルクの増大分が、発電機の負荷によって相殺されてしまうことがなく、エンストを確実に回避できる。
(ロ)請求項1又は3記載の車両の駆動装置において、
前記主駆動輪がスリップしたときに前記調整手段を制御して主駆動輪の駆動トルクを低下させるトラクション制御を行う一方、
前記トラクション制御中において、前記電動機の駆動負荷分だけ前記調整手段における目標エンジントルクを増大補正することを特徴とする車両の駆動装置。
【0065】
かかる構成によると、主駆動輪のスリップを解消すべくエンジントルクを減少補正すると共に、該トラクション制御中においては、電動機に電力を供給する発電機による負荷分だけ、エンジントルクを増大補正する。
【0066】
従って、スリップ解消のためのエンジントルクの減少分に、更に、発電機の負荷が加わり、過剰にエンジントルクが低下してしまうことを回避できる。
(ハ)請求項(イ)記載の車両の駆動装置において、
前記クラッチが電子制御クラッチであって、該電子制御クラッチの締結時におけるエンジンストールを防止すべく、前記電子制御クラッチの締結力を制御することを特徴とする車両の駆動装置。
【0067】
かかる構成によると、クラッチの締結時におけるエンジンストールを、エンジントルクの増大補正と、クラッチ締結力の低下との双方から回避することで、より確実なエンスト防止が図られる。
(ニ)請求項1〜3,(イ)〜(ハ)のいずれか1つに記載の車両の駆動装置において、
前記調整手段が電子制御スロットルであることを特徴とする車両の駆動装置。
【0068】
かかる構成によると、例えば、エンスト回避制御やトラクション制御のためにスロットル開度を補正すると共に、電動機の駆動負荷分だけスロットル開度を増大補正し、エンスト回避制御やトラクション制御のために必要なエンジントルク制御を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる車両の駆動装置を示すシステム概要図。
【図2】同上装置におけるエンスト回避制御及び4WD制御を示すフローチャート。
【図3】前記エンスト回避制御時における各種パラメータの変化を示すタイムチャート。
【図4】同上装置におけるトラクション制御及び4WD制御を示すフローチャート。
【図5】前記トラクション制御時における各種パラメータの変化を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、2…前側クラッチ、3…変速機、4…ディファレンシャル、5…発電機、6…モータ(電動機)、7…減速機、8…後側クラッチ、9…ディファレンシャル、10…4WDコントロールユニット、11…エンジンコントロールユニット、21a,21b…車輪速センサ、22…クラッチスイッチ、23…ブレーキスイッチ、25…電子制御スロットル、30…エンジン回転センサ、31…スロットルセンサ、32…アクセル開度センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、主駆動輪をエンジンで駆動し、従駆動輪を電動機で駆動する構成であって、前記エンジンで駆動される発電機から前記電動機に直接電力を供給する構成の車両の駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、4輪駆動システムとして、エンジンによって主駆動輪(例えば前輪)を駆動し、電動機(モータ)によって従駆動輪(例えば後輪)を駆動する構成として、発進・加速時に従駆動輪を駆動させて4輪駆動状態とするシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、運転者のアクセル開操作に伴って駆動輪がスリップしたときに、エンジンのスロットルを絞ることによってエンジントルク(駆動トルク)を減少させ、スリップを抑制する所謂トラクションコントロールが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−094979号公報
【特許文献2】
特開平02−136525号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記4輪駆動システムにおいて、電動機に対する電力供給を、エンジンで駆動される発電機から直接行わせ、電動機に電力を供給するバッテリを備えない構成とした場合、4輪駆動状態においては電動機を駆動させる負荷がエンジンに加わることになる。
【0006】
そして、例えばトラクションコントロールによってエンジントルク(駆動トルク)が抑制されるときに、電動機負荷がエンジンに加わると、電動機負荷分だけ余分にエンジントルクが減少し、これにより運転者の意図に反する減速が発生したり、最悪の場合にはエンジンストールを引き起こす可能性があるという問題があった。
【0007】
また、エンジンの出力がクラッチを介して変速機に伝達されるシステムにおいて、クラッチを締結して発進するときのエンジンストールを防止すべく、エンジントルクを増大制御する場合があるが、この場合も、従駆動輪を駆動するための電動機負荷がエンジンに加わることで、必要なエンジントルクの増大が得られずにエンジンストールを引き起こす可能性があるという問題があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、たとえ、スリップ発生によりエンジントルクを強制的に絞っている場合や、エンジンストールを回避すべくエンジントルクを増大制御している場合であっても、電動機による従駆動輪の駆動によって、運転者の意図しない減速が発生したり、エンジンストールを引き起こすことがない車両の駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明では、電動機の駆動負荷分だけエンジントルクの調整手段における目標エンジントルクを増大補正する構成とした。
【0010】
かかる構成によると、電動機に電力を供給する発電機の負荷分を上乗せしてエンジントルクが調整されるから、電動機によって従駆動輪を駆動しているときであっても要求のエンジントルクを発生させることができる。
【0011】
従って、例えばトラクション制御によってエンジントルクが絞られるときに、必要以上にエンジントルクが減少して、運転者の意図しない減速が発生したり、エンジンストールを引き起こすことを防止することができる。
【0012】
請求項2記載の発明では、エンジンがエンジンストール傾向を示すときに、従駆動輪の車輪速が主駆動輪の車輪速に一致するように電動機を制御する構成とした。
【0013】
かかる構成によると、例えばクラッチを介してエンジントルクが主駆動輪に伝達される構成において、クラッチを接続して発進するときにエンジンストール傾向を示すと、従駆動輪の車輪速が主駆動輪の車輪速に一致するように制御して、主駆動輪に追従して従駆動輪が電動機で駆動されるようにする。
【0014】
従って、発進時などにおいてエンジンストール傾向を示すときに、従駆動輪側が過剰に駆動されて車体の揺れを助長し、車両の走行安定性が損なわれることを回避できる。
【0015】
請求項3記載の発明では、主駆動輪のスリップが発生したときに、従駆動輪の車輪速が車体速に一致するように電動機を制御する構成とした。
かかる構成によると、主駆動輪に加速スリップが発生して、主駆動輪の車輪速が車体速を上回るときに、従駆動輪の車輪速を車体速に一致させるように電動機を制御する。
【0016】
従って、主駆動輪側の過剰な駆動トルク状態に影響されて、従駆動輪が過剰に駆動されることが回避され、車両の走行安定性を保持することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、実施形態における車両の駆動装置のシステム構成図である。
【0018】
図1において、エンジン1の駆動力は、前側クラッチ2、変速機3及びディファレンシャル4を介して前輪(主駆動輪)FWに伝達される。
即ち、エンジン1,前側クラッチ2,自動変速機3,ディファレンシャル4からなる動力系は、いわゆる前輪駆動車と同様に構成される。
【0019】
前記前側クラッチ2は、運転者が操作するクラッチペダルに機械的に連動して締結・解放される構成のクラッチであっても良いし、電磁コイル等のアクチュエータによって締結・解放される電子制御式のものであっても良い。
【0020】
前記エンジン1には、該エンジン1により駆動される発電機5が設けられ、該発電機5から直接電力が供給されるモータ(電動機)6が設けられる。
前記モータ6の発生駆動力は、減速機7、後側クラッチ8及びディファレンシャル9を介して後輪(従駆動輪)RWに伝達される。
【0021】
4WDコントロールユニット10は、前記発電機5、モータ6及び後側クラッチ8の制御機能を有する。
前記4WDコントロールユニット10には、前輪FW及び後輪RWそれぞれの車輪速を検出する車輪速センサ21a,21b、前記前側クラッチ2の締結・解放を検出するクラッチスイッチ22、フットブレーキ操作を検出するブレーキスイッチ23からの検出信号が入力される。
【0022】
また、前記エンジン1を制御するエンジンコントロールユニット11が設けられており、エンジン1の電子制御スロットル25などを制御する。
前記電子制御スロットル25は、エンジン1の吸気通路に介装されるバタフライ式のスロットルバルブ25a,該スロットルバルブ25aを開閉するスロットルモータ25aで構成される。
【0023】
尚、前記電子制御スロットル25が、本実施形態においてエンジントルクを調整する調整手段に相当する。
前記エンジンコントロールユニット11には、エンジン回転速度Neを検出するエンジン回転センサ30、前記スロットルバルブ25aの開度TVOを検出するスロットルセンサ31、アクセル開度APSを検出するアクセル開度センサ32などからの検出信号が入力される。
【0024】
前記4WDコントロールユニット10とエンジンコントロールユニット11とは相互に通信可能に構成され、エンジンコントロールユニット11から4WDコントロールユニット10側へは、アクセル開度信号,スロットル開度信号,エンジン回転信号などが送信され、4WDコントロールユニット10からエンジンコントロールユニット11側へは、車輪速信号やブレーキ信号などが送信される。
【0025】
ここで、前記エンジンコントロールユニット11は、アクセル開度APSに応じて電子制御スロットル25を制御する一方、前輪FWがスリップしたときに、前記電子制御スロットル25を制御してエンジントルクを減少させ、前輪FWのスリップを減少させるトラクション制御を行うと共に、前記前側クラッチ2を締結させて車両を発進させるときに、エンジンストールを回避すべく前記電子制御スロットル25を制御するエンスト回避制御を行う。
【0026】
一方、4WDコントロールユニット10は、4WD(4輪駆動)モードのときに、前記発電機5に発電を行わせると共に、電磁クラッチ8をON(締結)し、モータ6の駆動力で後輪(従駆動輪)RWを駆動することで、前輪(主駆動輪)FWがエンジン1で駆動され、後輪(従駆動輪)RWがモータ6で駆動される4輪駆動(4WD)状態とする。
【0027】
一方、2WDモード(前輪駆動モード)においては、前記発電機5の発電を停止させると共に、電磁クラッチ8をOFF(解放)し、モータ6による後輪(従駆動輪)RWの駆動を停止させることで、前輪FWのみがエンジン1で駆動される2輪駆動(2WD)状態とする。
【0028】
尚、前記4WDモードは、例えば、滑りやすい路面での発進・加速時に設定される。
図2のフローチャートは、前記エンスト回避制御及び4WD制御を示し、図3は、前記エンスト回避制御時の各種パラメータの変化を示すタイムチャートである。
【0029】
図2のフローチャートにおいて、ステップS1では、ブレーキスイッチ23のON・OFFに基づいてブレーキ操作中であるか否かを判別する。
そして、ブレーキスイッチ23がOFFでブレーキ操作が行われていない場合に、ステップS2へ進む。
【0030】
ステップS2では、アクセル開度センサ32で検出されるアクセル開度APSが所定開度以上で、運転者によりアクセルペダルが踏み込まれている状態であるか否かを判別する。
【0031】
そして、アクセルペダルが踏み込まれている状態であれば、ステップS3へ進む。
ステップS3では、クラッチスイッチ22のON・OFFに基づいて、前側クラッチ(C/L)2の解放状態であるか否かを判別する。
【0032】
前側クラッチ2が解放状態ではなく、締結途中又は完全締結状態であるときには、ステップS4へ進む。
ステップS4では、エンジン回転速度Neが所定回転速度以下であるか否かを判別する。
【0033】
エンジン回転速度Neが所定回転速度以下であれば、ステップS5へ進み、スロットル開度TVOの単位時間当たりの変化量ΔTVOが所定値以下であるか否か、換言すれば、スロットル開度TVOの増大変化速度が所定値以下であるか否かを判別する。
【0034】
エンジン回転速度Neが所定回転速度以下で、かつ、スロットル開度TVOの増大変化が緩やかであると、エンジンストール(エンスト)の可能性があると判断して、ステップS6へ進む。
【0035】
ステップS6では、前記電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOの増大補正を行なう。
具体的には、前回値TVO−1に、最新の変化量ΔTVOに補正定数S1(>1)を乗算した値を加算し、今回の目標値とする。
【0036】
TVO=TVO−1+S1・ΔTVO
尚、スロットル開度TVOの増量分を一定値としても良い。
上記のようにして、スロットル開度TVOを増大させることで、エンジントルクを増大させ、エンストの発生を回避する。
【0037】
更に、前記前側クラッチ2が、電磁コイル等のアクチュエータによって締結・解放される電子制御式である場合には、ステップS7で、前側クラッチ2の締結量(締結力)の減少補正を行なう。
【0038】
具体的には、エンスト回避制御を開始した時点での締結量から、そのときの前後輪の車輪速差に応じた減少補正分を減算する。
締結量=制御開始時の締結量−(X・S2)
上式で、S2は補正定数であり、また、Xは前後輪の車輪速差に応じて設定される値であって、前後輪の車輪速差がない場合(前輪がスリップしていない場合)には1に設定され、前輪速が後輪速に比べて大きくなるほど(前輪のスリップが大きいほど)、1を超えるより大きな値に設定され、締結量の減少補正量を大きくする。
【0039】
従って、前側クラッチ2は、エンスト回避のためにその締結量が減少補正されると共に、前輪FWがスリップしているときには締結量がより大きく減少補正されて、前輪FWのスリップ回避が図られる。
【0040】
尚、前側クラッチ2が運転者のクラッチペダル操作に機械的に連動して締結・解放されるクラッチである場合には、前記ステップS7の処理は省略される。
ステップS8では、4WDモードであるか否かを判別する。
【0041】
そして、4WDモードであるときには、ステップS9へ進み、後輪RWの車輪速が、前輪FWの車輪速に一致するように、モータ6のモータトルクを制御する。
【0042】
このように、エンスト傾向にあるときに、後輪RWの車輪速が前輪FWの車輪速に一致するようにモータ6を制御すれば、エンスト傾向による車両の揺れがモータ6による後輪RWの駆動によって助長されることがなく、車両安定性を保持できる。
【0043】
また、次のステップS10では、モータ6に電力を供給する発電機5の駆動負荷を演算し、ステップS11では、前記駆動負荷分をスロットル開度増加分TVOmに変換する。
【0044】
そして、ステップS12では、前記開度増加分TVOmによって電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOの増大補正する。
TVO=TVO+TVOm
即ち、後輪RWをモータ6で駆動する4WDモードにおいては、モータ6に電力を供給するために発電機5で発電を行わせる必要が生じ、発電機5の発電は、エンジン1の負荷になる。
【0045】
従って、ステップS6で、エンスト回避のためにスロットル開度TVOを増大補正したとしても、係る増大補正分が発電負荷で相殺され、所期のエンジントルクの増大を図ることができなくなる可能性がある。
【0046】
そこで、エンスト回避のためにスロットル開度TVOを増大補正すると共に、4WDモード時には、更に発電負荷分を上乗せして、発電負荷があってもエンスト回避が確実に図れるようにしてある。
【0047】
図4のフローチャートは、前記トラクション制御及び4WD制御を示し、図5は、前記トラクション制御時の各種パラメータの変化を示すタイムチャートである。
【0048】
図4のフローチャートにおいて、ステップS21では、ブレーキ操作中であるか否かを判別し、ブレーキ操作中でなければ、ステップS2へ進む。
ステップS22では、アクセルペダルが踏み込まれているか否かを判別し、アクセルペダルが踏み込まれていれば、ステップS23へ進む。
【0049】
ステップS23では、車速が所定速度以下であるか否かを判別し、所定車速以下であれば、ステップS24へ進む。
ステップS24では、前輪FWの車輪速rωfと、後輪RWの車輪速rωrとの偏差(rωf−rωr)が所定値x以上であるか否かを判別することで、前輪FWが加速スリップしているか否かを判別する。
【0050】
rωf−rωr≧xであって、前輪FWが加速スリップしていると判断されると、ステップS25へ進み、前輪FWの車輪速rωfと後輪RWの車輪速rωrとの偏差sabunの単位時間当たりの変化量Δsabunを算出する。
【0051】
次のステップS26では、前記変化量Δsabunが0以下であるか否か、換言すれば、スリップが減少傾向にあるか否かを判別する。
前記変化量Δsabunが0以下ではなく、スリップが増大傾向にあるときには、ステップS27へ進み、前記電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOを、アクセル開度APS相当値から所定値(1)だけ減少補正した値とする。
【0052】
このように、スロットル開度TVOを減少補正してエンジントルクを低下させることで、前輪FWのスリップの解消を図る。
そして、スロットル開度TVOを減少補正した結果、スリップが減少傾向に転じ、ステップS26で前記変化量Δsabunが0以下であると判別されるようになると、ステップS28へ進み、前記電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOを、前回値から所定値(2)(<所定値(1))だけ増大させる。
【0053】
ステップS29では、前記ステップS28におけるスロットル開度の増大補正によって、目標スロットル開度TVOがアクセル開度APS相当にまで戻ったか否かを判別する。
【0054】
そして、目標スロットル開度TVOがアクセル開度APS相当にまで戻ると、ステップS30へ進んでトラクション制御を終了させる。
また、ステップS31では、4WDモードであるか否かを判別する。
【0055】
そして、4WDモードであるときには、ステップS32へ進み、後輪RWの車輪速が車体速に一致するように、モータ6のモータトルクを制御する。
このように、前輪FWがスリップしているときに、後輪RWの車輪速が車体速に一致するようにモータ6を制御すれば、前輪FWに対して過剰に駆動トルクが加わっている状態に影響されて、後輪RWも過剰なトルクで駆動されることを回避でき、車両の安定性を向上させることができる。
【0056】
また、次のステップS33では、モータ6に電力を供給する発電機5の駆動負荷を演算し、ステップS34では、前記駆動負荷分をスロットル開度増加分TVOmに変換する。
【0057】
そして、ステップS35では、前記開度増加分TVOmによって電子制御スロットル25における目標スロットル開度TVOの増大補正する。
TVO=TVO+TVOm
前述のように、後輪RWをモータ6で駆動する4WDモードにおいては、モータ6に電力を供給するために発電機5で発電を行わせる必要が生じ、発電機5の発電は、エンジン1の負荷になる。
【0058】
従って、スリップ回避のためにスロットル開度TVOを減少補正しているときに、更に、発電機5の発電負荷がエンジン1に加わると、過剰にエンジントルクが減少してしまう。
【0059】
そこで、スリップ抑制のためにスロットル開度TVOを減少補正しているときの4WDモードにおいては、発電負荷分だけ目標開度TVOを増大補正し、スリップ回避に必要とされる分だけエンジントルクが減少されるようにする。
【0060】
尚、上記実施形態では、エンジントルクの調整手段として電子制御スロットル25を用いる構成としたが、この他、スロットルバルブをバイパスして流れる吸気量を調整することでエンジントルクを調整する構成や、燃料噴射量,点火時期の補正によってエンジントルクを調整する構成であっても良い。
【0061】
また、上記実施形態は、エンジン1で駆動される主駆動輪を前輪とし、モータ6で駆動される従駆動輪を後輪とする構成としたが、逆に、エンジン1で駆動される主駆動輪を後輪とし、モータ6で駆動される従駆動輪を前輪とする構成にも、適用可能であることは明らかである。
【0062】
更に、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項1又は2記載の車両の駆動装置において、
前記エンジンの出力がクラッチを介して主駆動輪に伝達される構成であり、
前記クラッチの締結時におけるエンジンストールを防止すべく前記調整手段を制御するエンスト回避制御を行う一方、
前記エンスト回避制御中において、前記電動機の駆動負荷分だけ前記調整手段における目標エンジントルクを増大補正することを特徴とする車両の駆動装置。
【0063】
かかる構成によると、クラッチの締結時におけるエンジンストールを防止すべくエンジントルクを増大補正すると共に、該エンスト回避制御中においては、電動機に電力を供給する発電機による負荷分だけ、エンジントルクを増大補正する。
【0064】
従って、エンスト回避のためのエンジントルクの増大分が、発電機の負荷によって相殺されてしまうことがなく、エンストを確実に回避できる。
(ロ)請求項1又は3記載の車両の駆動装置において、
前記主駆動輪がスリップしたときに前記調整手段を制御して主駆動輪の駆動トルクを低下させるトラクション制御を行う一方、
前記トラクション制御中において、前記電動機の駆動負荷分だけ前記調整手段における目標エンジントルクを増大補正することを特徴とする車両の駆動装置。
【0065】
かかる構成によると、主駆動輪のスリップを解消すべくエンジントルクを減少補正すると共に、該トラクション制御中においては、電動機に電力を供給する発電機による負荷分だけ、エンジントルクを増大補正する。
【0066】
従って、スリップ解消のためのエンジントルクの減少分に、更に、発電機の負荷が加わり、過剰にエンジントルクが低下してしまうことを回避できる。
(ハ)請求項(イ)記載の車両の駆動装置において、
前記クラッチが電子制御クラッチであって、該電子制御クラッチの締結時におけるエンジンストールを防止すべく、前記電子制御クラッチの締結力を制御することを特徴とする車両の駆動装置。
【0067】
かかる構成によると、クラッチの締結時におけるエンジンストールを、エンジントルクの増大補正と、クラッチ締結力の低下との双方から回避することで、より確実なエンスト防止が図られる。
(ニ)請求項1〜3,(イ)〜(ハ)のいずれか1つに記載の車両の駆動装置において、
前記調整手段が電子制御スロットルであることを特徴とする車両の駆動装置。
【0068】
かかる構成によると、例えば、エンスト回避制御やトラクション制御のためにスロットル開度を補正すると共に、電動機の駆動負荷分だけスロットル開度を増大補正し、エンスト回避制御やトラクション制御のために必要なエンジントルク制御を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる車両の駆動装置を示すシステム概要図。
【図2】同上装置におけるエンスト回避制御及び4WD制御を示すフローチャート。
【図3】前記エンスト回避制御時における各種パラメータの変化を示すタイムチャート。
【図4】同上装置におけるトラクション制御及び4WD制御を示すフローチャート。
【図5】前記トラクション制御時における各種パラメータの変化を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、2…前側クラッチ、3…変速機、4…ディファレンシャル、5…発電機、6…モータ(電動機)、7…減速機、8…後側クラッチ、9…ディファレンシャル、10…4WDコントロールユニット、11…エンジンコントロールユニット、21a,21b…車輪速センサ、22…クラッチスイッチ、23…ブレーキスイッチ、25…電子制御スロットル、30…エンジン回転センサ、31…スロットルセンサ、32…アクセル開度センサ
Claims (3)
- 主駆動輪を駆動するエンジンと、従駆動輪を駆動する電動機と、エンジントルクを調整する調整手段とを備えると共に、前記エンジンで駆動される発電機から前記電動機に直接電力を供給する構成の車両の駆動装置において、
前記電動機の駆動負荷分だけ前記調整手段における目標エンジントルクを増大補正することを特徴とする車両の駆動装置。 - 前記エンジンがエンジンストール傾向を示すときに、従駆動輪の車輪速が主駆動輪の車輪速に一致するように前記電動機を制御することを特徴とする請求項1記載の車両の駆動装置。
- 前記主駆動輪のスリップが発生したときに、従駆動輪の車輪速が車体速に一致するように前記電動機を制御することを特徴とする請求項1記載の車両の駆動装置。
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Cited By (1)
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2003
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