JP2004270464A - 燃料供給装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筒状のハウジング2と、ハウジング2の一端に設けられたポンプ(図略)と、ハウジング2の他端に設けられ、燃料の吐き出し口31を有するブラケット3と、ステータ4と、ステータ4と対向するように永久磁石12を固定し、前記インペラの回転を駆動するロータ5と、一端がステータコイルの引き出し線41と接合されているターミナル8とを備えた燃料供給装置1において、前記ブラケット3に、ターミナル8の前記一端を囲むとともに前記引き出し線41を導入する開口を有する凹部35が形成され、その凹部35に引き出し線41とターミナル8との接合部を覆う樹脂36が充填されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料供給装置に属し、特にブラシレスモータを用いて車両の燃料タンクから内燃機関に燃料を供給する車両用燃料供給装置として好適に利用されうる。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平5−71436号公報
【特許文献2】特開平5−340345号公報
一般に車両用の燃料供給装置は、筒状のハウジングと、ハウジングの一端に設けられたポンプと、ハウジング内に装填されてポンプを駆動するモータと、ハウジングの他端に設けられ、吐き出し口を有し、外部回路との接続用のターミナルを固定するブラケットとからなる。そして、ポンプの駆動によりハウジング内に吸い込まれた燃料は、ハウジング内の隙間を通って吐き出し口に至り、内燃機関に向かう。上記モータがブラシレスモータであると、ブラシの摩耗粉が燃料に混入することがない点で優れている。
【0003】
ところで、このようにブラシレスモータを用いた燃料供給装置であっても、アルコールや水を含む粗悪な燃料を吸い込むと、ステータコイルやその引き出し線が燃料により腐食する可能性がある。腐食によって生じた錆が燃料と共に内燃機関に入ると、ピストンにかじりが生じて内燃機関が故障する。このように理論的に錆発生の可能性がある場合は、車載の動力部品は10年以上の耐久性を要求されることから、錆発生を未然に防止する措置を採る必要がある。そこで、このような防止措置として、ステータ及びその引き出し線とターミナルとの接合部周辺全体に樹脂を充填して成形する方法(特許文献1)と、ステータから引き出し線の接合部に至るまでをハウジングよりも小さいケース内に収納して燃料をケース外面とハウジング内面との隙間に通させる方法(特許文献2)とが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ステータや接合部周辺全体に樹脂を充填するには、樹脂を成形する金型が必要であり、燃料供給装置の製造コストを増すという不利を伴う。また、ケース内に収納するにはハウジング内におけるケースの位置決めが必要であるところ、上記の隙間の存在故に位置決めが困難であるか又は複雑な位置決め構造を備える必要があり、結局コストを増す。
それ故、この発明の課題は、上記ステータコイルの錆を未然に且つ安価に防止することのできる燃料供給装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するために、この発明の燃料供給装置は、
筒状のハウジングと、
ハウジングの一端に設けられ、回転するインペラによって燃料を輸送するポンプと、
ハウジングの他端に設けられ、燃料の吐き出し口を有するブラケットと、
ハウジングの内周面における、ポンプとブラケットとの間に固定されたステータと、
ステータと対向するように永久磁石を固定し、ハウジング内のポンプとブラケットとの間に設けられ、前記インペラの回転を駆動するロータと、
一端がハウジング内部、他端がハウジング外部に位置するようにブラケットを液密に貫通し、前記一端がステータコイルの引き出し線と接合されているターミナルとを備えた燃料供給装置において、
前記ブラケットに、ターミナルの前記一端を囲むとともに前記引き出し線を導入する開口を有する凹部が形成され、その凹部に引き出し線とターミナルとの接合部を覆う樹脂が充填されていることを特徴とする。
【0006】
この発明の燃料供給装置によれば、充填された樹脂は凹部の形状に硬化するから凹部が金型に代わって樹脂を成形する。ステータコイルはコアに巻かれる前に予め樹脂で被覆しておけば接合部を除いて腐食することはない。また、引き出し線とターミナルとの接合部は、その接合形態が半田付けや溶接などの加熱を要する場合は勿論、カシメなどの機械的方法による場合であっても被覆樹脂の剥離を伴うが、上記の通り凹部によって成形された樹脂で覆われているので、燃料と接触することがない。よって、コイルをなす導線が腐食することがなく、供給装置を通過する燃料の清浄度が燃料タンク内におけるものと同程度に保たれる。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態を図面とともに説明する。実施形態に係る燃料供給装置を図1に軸方向断面図として示す。
燃料供給装置1は、筒状のハウジング2と、ハウジングの一端(図において下端)に設けられた図略のポンプと、ハウジングの他端(図において上端)に設けられ、径方向の一方の側に燃料の吐き出し口31を有するブラケット3と、ハウジング2の内周に沿って配置されたステータ4と、内部が円筒状の空洞となったロータ5とを備える。ポンプは、回転するインペラによって燃料をハウジング2外部から吸い込む。ブラケット3は吐き出し口31を除いてハウジング2に液密に固定されている。この実施形態では、ステータ4の励磁を制御する回路は、ハウジング2の外にあり、図示されていない。
【0008】
ブラケット3はハウジング2への固定前に予め複数(例えば3本)のターミナル8とともに一体成形された樹脂からなり、内面の中央に軸方向に突出した肉厚の壁33と、その壁33によって囲まれポンプ側に開口した深い凹部32を有する。壁33の一部は凹部32と吐き出し口31との仕切りも兼ねている。この凹部32の内周面にすべり軸受け61の外周面が固定され、すべり軸受け61を介して回転軸6の一端が回転可能に支持されている。各ターミナル8は、ブラケット3を軸方向に液密に貫通しており、一端がハウジング2内に臨み、他端が外部に露出し図略のリード線を介して前記制御回路と接続している。これらの3本のターミナル8は、ロータ5の回転中心を中心とする同一円周上に配置されており、ブラケット3のポンプとの反対側にこれらの3本のターミナルの他端を収容する円弧状の口金筒部が形成されている。
【0009】
ハウジング2は、メッキされた鋼管からなり、ほぼ一様な内外径を有するが、内周面については若干内側に突出した肉厚部21が形成され、その肉厚部21によってステータ4の一端の位置が決められている。ステータ4は、内周に突出する複数のティースを有するステータコアと、このステータコアに軸方向両側から嵌合されステータコア表面(ステータコアの外周面及び各ティースの先端面を除く)を覆った一対のインシュレータと、ステータコアの各ティース部分にインシュレータを介して巻回されたコイルとからなり、ステータコアをハウジング2の内周面に嵌合することによりステータ4がハウジング2内に固定されている。ステータ4の他端側のインシュレータには、ハウジング2の内径と同じ外径を有する樹脂製の環状絶縁体7が一体に設けられており、環状絶縁体7のステータ4と反対側に突き出たフック71が、ハウジング2に他端側から嵌合されたブラケット3のフック34と係合し、ブラケット3のハウジング2に対する抜けが防止されている。ステータ4のコイルは銅線の表面にポリイミド樹脂で被覆されており、ハウジング2や他との絶縁性が保たれている。
【0010】
ロータ5は、円筒状のヨーク51と、ヨーク51の両側の開口を閉じる上キャップ52及び下キャップ53とからなり、いずれも磁性体鋼板製である。上下キャップ52,53の中央には肉厚のボスが形成され、その各ボス孔に凹部32の位置から延びる回転軸6が嵌合され溶接されている。また、上下キャップ52,53の偏芯位置には、燃料の出入り口となる孔52a,53aが形成されている。回転軸6は、下キャップ53を出た直後にワッシャ9に嵌合され、次いでもう一つのすべり軸受け10に通されてポンプに向かっている。すべり軸受け10は、ハウジング2の内周面に取り付けられたフレーム11に固定されている。フレーム11は図略のポンプハウジングの一部をなす。ヨーク51の外周面には永久磁石12が固定されている。永久磁石12はステータ4と対向し、ステータ4に給電したときにステータ4との間で磁気吸引力を生じ、ロータ5を回転させる。
【0011】
ブラケット3は、壁33における外周面のうち各ターミナル8のポンプ側端部周辺は、径方向内側に凹部35を形成するようにえぐられている。凹部35は、図2に拡大して示すように、軸6を中心とした円筒状の底面35aとそれに垂直な側面35bとで囲まれ、径方向外側に開いた空間をなし、その開口よりステータ4のコイルの引き出し線41を導き入れるようになっている。3端子のターミナル8はそれぞれの端部がこの一つの凹部35に案内されており、導入された引き出し線41は、ターミナル8と半田13により接合されている。ターミナル8は、底面35aで支持されていて半田13付けを容易にしている。接合後、凹部35に樹脂系接着剤36が充填され、それによってターミナル8の端部、半田13及び引き出し線41の端部が覆われる。接着剤36は底面35a及び側面35bにて流動が規制されているので、凹部35の形状に成形されて硬化する。
【0012】
燃料供給装置1を使用するときは、ターミナル8を介してステータ4に給電し、ロータ5を回転させる。すると、その回転運動が軸6によりポンプのインペラに伝達され、インペラが回転して燃料タンクの燃料をハウジング2内に吸引する。そして、燃料はステータ4のスロット間隙つまり複数のティース間の間隙あるいはロータ5の内部を通過して吐き出し口31より出て内燃機関に送られる。ステータ4のコイルは銅線からなるが、ポリイミド樹脂で被覆されているので、燃料がアルコールや水分を含んでいても腐食することはない。また、上記銅線のうち引き出し線41の端部は、半田13による接合時にポリイミド樹脂が剥がれて露出するが、接着剤36で覆われているので燃料と接触することはない。よって、燃料タンク内の燃料と同じ清浄度の燃料を内燃機関に供給することができる。
【0013】
なお、上述した実施形態では、ブラケット3に液密に貫通した3本のターミナル8が同一円周上に配置された場合であり、さらに一つの凹部35に各ターミナル8のそれぞれの端部が導入された場合であるが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ブラケットに液密に貫通した複数のターミナルは一直線上に配置される場合や他の相互関係の配置でもよく、また、ブラケットのポンプ側に形成する凹部は、複数のターミナルのそれぞれの端部を一括して収容する一つの凹部であってもよく、各ターミナル毎に個々に独立した複数の凹部であってもよい。
【0014】
【発明の効果】
この発明によれば、格別の金型を要することなくステータコイルの腐食を防止することができるので、清浄な燃料を供給する供給装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る燃料供給装置を示す軸方向断面図である。
【図2】上記燃料供給装置における引き出し線とターミナルとの接合部周辺を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 燃料供給装置
2 ハウジング
3 ブラケット
4 ステータ
5 ロータ
6 軸
7 環状絶縁体
8 ターミナル
9 ワッシャ
10,61 すべり軸受け
11 フレーム
12 永久磁石
13 半田
35 凹部
Claims (4)
- 筒状のハウジングと、
ハウジングの一端に設けられ、回転するインペラによって燃料を輸送するポンプと、
ハウジングの他端に設けられ、燃料の吐き出し口を有するブラケットと、
ハウジングの内周面における、ポンプとブラケットとの間に固定されたステータと、
ステータと対向するように永久磁石を固定し、ハウジング内のポンプとブラケットとの間に設けられ、前記インペラの回転を駆動するロータと、
一端がハウジング内部、他端がハウジング外部に位置するようにブラケットを液密に貫通し、前記一端がステータコイルの引き出し線と接合されているターミナルとを備えた燃料供給装置において、
前記ブラケットに、ターミナルの前記一端を囲むとともに前記引き出し線を導入する開口を有する凹部が形成され、その凹部に引き出し線とターミナルとの接合部を覆う樹脂が充填されていることを特徴とする燃料供給装置。 - 前記ブラケットには複数のターミナルが液密に貫通しており、ブラケットに形成された一つの凹部に複数のターミナルのそれぞれの一端が囲まれている請求項1記載の燃料供給装置。
- 前記複数のターミナルはロータの回転中心に対し同一円周上に近接して配置され、前記一つの凹部の内底面が各ターミナルが位置するよう円弧状に形成されている請求項2記載の燃料供給装置。
- 前記ブラケットには複数のターミナルが液密に貫通しており、ブラケットに形成されたターミナルの一端を囲む凹部は各ターミナル毎に独立して形成されている請求項1記載の燃料供給装置。
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