JP2004269695A - 光機能材料 - Google Patents

光機能材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2004269695A
JP2004269695A JP2003062617A JP2003062617A JP2004269695A JP 2004269695 A JP2004269695 A JP 2004269695A JP 2003062617 A JP2003062617 A JP 2003062617A JP 2003062617 A JP2003062617 A JP 2003062617A JP 2004269695 A JP2004269695 A JP 2004269695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
photoelectric conversion
sensitizing dye
general formula
dye
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003062617A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadao Yagi
弾生 八木
Munenori Andou
宗徳 安藤
Ryuichiro Kurata
隆一郎 倉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink Mfg Co Ltd filed Critical Toyo Ink Mfg Co Ltd
Priority to JP2003062617A priority Critical patent/JP2004269695A/ja
Publication of JP2004269695A publication Critical patent/JP2004269695A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

【課題】本発明の目的はルテニウム等の枯渇性がある原料を使わず、太陽エネルギーの変換効率の高い色素増感型の光電変換セル用の光電変換用増感色素を提供することである。
【解決手段】下記一般式(1)で示される光機能材料。
一般式(1)
【化1】
Figure 2004269695

(式中、Xは下記一般式(2)もしくは一般式(3)で示される官能基、Yは一価の有機残基、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子もしくは1価の有機残基、Mは水素原子もしくは一価の有機残基もしくは陽イオンを表す。RとR、RとY、RとYは、置換基同士で結合して環を形成してもよい。さらにYとRは入れ替わっても良い。)
一般式(2)
【化2】
Figure 2004269695

一般式(3)
【化3】

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光機能材料に関する。当該光機能材料は、光電変換材料、光発光材料または光吸収材料などに使用できる。また、本発明は、この光機能材料を用いた光電変換材料、光電変換電極、およびこれを用いた光電変換セルに関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅などの化合物太陽電池が実用化、もしくは研究開発対象となっているが、普及させる上で製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイムが長い等の問題点を克服する必要がある。一方、大面積化や低価格を指向した有機材料を用いた太陽電池もこれまでに多く提案されているが変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があった。
【0003】
こうした状況の中で、色素によって増感された半導体微多孔質体を用いた光電変換電極および光電変換セル、ならびにこれを作成するための材料および製造技術が開示された(非特許文献1および特許文献1参照)。開示された電池は、ルテニウム錯体色素によって分光増感された酸化チタン多孔質薄層を作用電極としヨウ素を主体とする電解質層および対電極から成る色素増感型の光電変換セルである。この方式の第一の利点は酸化チタン等の安価な酸化物半導体を用いるため、安価な光電変換素子を提供できる点であり、第二の利点は用いられるルテニウム錯体色素が可視光域に幅広く吸収を有していることから比較的高い変換効率が得られる点である。
【0004】
このような色素増感型光電変換セルの問題点のひとつとして、色素の原料にルテニウムを用いていることが挙げられる。ルテニウムはクラーク数が0.01ppmと白金やパラジウムに匹敵する量しか地球に現存せず、大量に使われると枯渇が免れない。さらにルテニウム錯体色素の価格も高価な物となり、光電変換セルの大量普及の妨げとなる。
【0005】
最近、色素増感型太陽電池における増感色素として、非ルテニウム錯体色素の研究が盛んに行なわれている。その例としてはフェニルキサンテン系色素、フタロシアニン系色素、クマリン系色素、シアニン形色素、ポルフィリン系色素、アゾ系色素等があげられる。これらの有機色素はルテニウム錯体に比較して吸光係数が大きく、分子設計の自由度も大きいため、高い光電変換効率が期待されている。しかしながら、色素の光吸収領域がせまかったり、酸化チタンへの電荷の注入が非効率的である等の理由から、良い有機増感色素はなかった。
【0006】
これらの問題を解決するため、酸化チタンとの吸着末端に特徴をもたせた増感色素として、置換アクリル酸部位を持つ増感色素が比較的高い変換効率を有することが開示されている(特許文献2、3参照)。これらの増感色素に特徴的な点はアクリル酸末端のカルボン酸基が結合する炭素原子が同時にシアノ基を代表とする電子吸引性置換基を有することによりアクリル酸末端の電子吸引効果を増大させている点にある。増感色素は末端のカルボン酸基で酸化チタン等の無機酸化物半導体表面に結着し、増感色素が光吸収することによって生じた励起電子をカルボン酸基を通して無機酸化物側へ注入しているが、この部位の電子吸引効果が強くなることによって電子注入効果が促進され、ひいては高い変換効率を実現している。代表的な例はクマリン骨格とシアノ基を有するアクリル酸末端とを組み合わせた増感色素で、5%以上の高い変換効率を実現している(非特許文献2参照)。
【0007】
シアノ基を組み合わせると一般的にエタノール等の環境負荷の小さな染色用有機溶剤に対する溶解度が低下し、無機酸化物半導体表面へ増感色素を染色する際に製造上の困難が生じやすい。
また、シアノ基のように無機酸化物半導体表面に吸着する吸着末端のサイズが小さいと無機酸化物半導体表面を色素で完全に覆うことができず、色素から注入された電子が電解質側に逆電子移動し、電池特性を完全に引き出すことができない可能性がある。
【0008】
増感色素の光吸収によって生じた励起電子を無機酸化物半導体側へより効果的に注入し、さらに高効率でかつ溶剤への溶解性、安定性の高い色素が求められていた。
【0009】
【非特許文献1】Nature(第353巻、第737〜740頁、1991年)
【非特許文献2】Chem.commun.(第6巻、第569−570、2001年)
【特許文献1】米国特許4927721号明細書
【特許文献2】特開2002‐164089号公報
【特許文献3】WO 02/11213号パンフレット
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は無機半導体への吸着末端として特定の構造を用いることで、吸着末端の電子吸引力を既存の吸着末端より高め、無機酸化物半導体側への電子注入をより効果的にし、さらに、電子吸引基のサイズを大きくすることで、無機酸化物半導体から電解質への逆電子移動を防止し、高い変換効率性能を有する色素増感型光電変換セル用の増感色素を提供することである。また、エタノール等の環境負荷の小さな溶剤に対する溶解度を高め、製造上の問題点を解決することである。さらにはこの増感色素を無機半導体多孔質体表面に連結させた光電変換材料、および光電変換材料を電導性表面を有する透明基材の電導面に積層して成る光電変換電極、および光電変換電極を電解質層を介して導電性対極を組み合わせて成る光電変換セルを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の吸着末端を有する増感色素を透明導電性基板上に積層させた無機酸化物半導体表面に連結させ、良好な光電変換セルを作成することに成功し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される光機能材料に関する。
一般式(1)
【化4】
Figure 2004269695
(式中、Xは下記一般式(2)もしくは一般式(3)で示される官能基、Yは一価の有機残基、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子もしくは1価の有機残基、Mは水素原子もしくは一価の有機残基もしくは陽イオンを表す。RとR、RとY、RとYは、置換基同士で結合して環を形成してもよい。さらにYとRは入れ替わっても良い。)
一般式(2)
【化5】
Figure 2004269695
一般式(3)
【化6】
Figure 2004269695
また、本発明は、Yが、置換基を有しても良いアミノ基を含む1価の有機残基である上記光機能材料に関する。
また、本発明は、上記光機能材料を含んでなる光電変換用増感色素に関する。
また、本発明は、さらに、一般式(1)で表される以外の増感色素を含んでなる上記光電変換用増感色素に関する。
また、本発明は、上記光電変換用増感色素と、無機半導体多孔質体とを連結させてなる光電変換材料に関する。
また、本発明は、上記光電変換材料を透明電極に積層させてなる光電変換電極に関する。
また、本発明は、上記光電変換電極、電解質層、および導電性対極を含んでなる光電変換セルに関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、詳細にわたって本発明を説明する。まずはじめに、本発明の光機能材料は、一般式(1)で表される化合物であることが挙げられる。
本発明において光機能材料とは光を吸収することによって新たに増感効果、発熱効果、発色効果、退色効果、蓄光効果、相変化効果、光電変換効果、光磁気効果、光触媒効果、光変調効果、光記録効果、ラジカル発生効果等の機能を発現する材料、あるいは逆にこれらの効果を受けて発光機能を有する材料のことをさす。当該光機能材料は、例として光電変換材料、発光材料、光記録材料、画像形成材料、フォトクロミック材料、エレクトロルミネッセンス材料、光導電材料、二色性材料、ラジカル発生材料、酸発生材料、塩基発生材料、蓄光材料、非線形光学材料、第2高調波発生材料、第3高調波発生材料、感光材料、光吸収材料、近赤外吸収材料、フォトケミカルホールバーニング材料、光センシング材料、光マーキング材料、光化学治療用増感材料、光相変化記録材料、光焼結記録材料、光磁気記録材料、光線力学療法用色素、光触媒水分解用増感色素および光電変換用増感色素等に幅広く用いることができる。
【0013】
本明細書においては一般式(1)で表される光機能材料を主として光電変換用増感色素として用いるので、この材料を主として光電変換用増感色素あるいは増感色素として呼称するが、前記の幅広い応用を否定するものではない。
【0014】
光電変換用増感色素に必要な機能としては、酸化チタン等の無機半導体に効率よく電荷を注入できることと、色素が広い吸収領域を有することが挙げられる。
【0015】
光電変換用増感色素のクロモファー部位で光吸収して生じた励起電子を、増感色素が吸着する無機酸化物半導体の導電帯へ有効に注入し高い光電変換効率を有する素子を得るためには、増感色素の吸着部位(アンカー基)周辺が強い電子吸引性を有していることが必要である。さらにアンカー基までクロモファーのπ電子共役が繋がっていないと増感色素内で生じた励起電子をアンカー基へ有効に伝えることが出来ない。
【0016】
一般式(1)の化合物のXは一般式(2)で示すスルホニル基、あるいは一般式(3)で示すスルフィニル基を表す。スルホニル基、スルフィニル基は強い電子吸引性の置換基であり、吸着部位であるカルボキシル基周辺は、強い電子アクセプターになり、分子内での電荷の移動がより効率的になる。これは、増感色素から酸化チタン等の無機半導体への電荷の注入をより効率的に行なうことができる点で非常に効果的である。電子吸引性のパラメータであるハメットの置換基定数σはシアノ基では0.66、メチルスルホニル基では0.72、トリフルオロメチルスルホニル基では0.93(化学便覧 基礎編II 改訂3版 日本化学会編
丸善発行 第365項)とスルホニル基は総じてシ
アノ基より強い電子吸引力を有するうえ、スルホニル基やスルフィニル基はRの位置に置換基を導入することができるので、分子設計の自由度が広がり、溶解性や電子吸引力の調整も容易に行なうことができる。また、スルホニル基、スルフィニル基は化学的安定性も高く、セルの寿命の向上も期待できる。
また、スルホニル基、スルフィニル基はシアノ基と比べて、置換基Rを伴って吸引基としてのサイズが大きくなる。無機酸化物半導体表面に吸着する吸着末端のサイズが小さいと無機酸化物半導体表面を色素で完全に覆うことができず、色素から注入された電子が電解質側に逆電子移動し、光電変換特性を完全に引き出すことができないという問題を解決することができる。これは、例えば、光電変換特性の指標の一つである開放電圧の向上に対して効果を発揮する。
一般式(1)は、吸着部位までクロモファー部位のπ電子共役構造を繋げながら、かつ吸着基近傍に電子吸引基を配置することが可能な化学構造である。
すなわち、一般式(1)の構造をとることにより、無機半導体に対する強い吸着能と強い電子アクセプター性とを両立させたアンカー基を有する増感色素を実現できた。
【0017】
また、色素の吸収領域を広くするためには一般式(1)のYに吸収領域を広くするような有機残基を導入すればよい。吸収領域の広域化のためには、Yは電子供与性の有機残基であることが好ましく、アミノ基等有する有機残基が高い効果を発揮する。
【0018】
次に、一般式(1)中の各官能基の説明をする。
【0019】
一般式(1)中のXは、前述のとおり、一般式(2)で示すスルホニル基、あるいは一般式(3)で示すスルフィニル基を表す。
【0020】
一般式(1)中のYは、1価の有機残基を表す。ここでいう有機残基は、特に制限はないが、例えば、置換基を有しても良い一価の芳香族炭化水素残基、置換基を有しても良い一価の複素環残基、置換基を有しても良い一価の脂肪族不飽和炭化水素残基、置換基を有しても良い一価のアミノ基、または、置換基を有しても良い一価の有機金属錯体残基があげられる。
【0021】
芳香族炭化水素残基の芳香環としては、特に制限はないが、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ピレン、フェナンスレン、インデン、アズレン、ペリレン、フルオレン、ビフェニル、ターフェニル等があげられる。
【0022】
複素環残基の複素環としては、特に制限はないが、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、カルバゾール、アクリジン、キサンテン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、ピラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン等があげられる。
また、これらの複素環は4級化されていてもよく、対イオンを有しても良い。この場合の対イオンは、特に制限はなく、一般的な陰イオンでよい。例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフッ化ホウ素イオン、ヘキサフッ化リンイオン、水酸化物イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸等があげられる。また、対イオンを有さない場合は、分子内または分子間のカルボキシル基等の酸性基で中和されていても良い。
【0023】
さらに複素環としては染料や顔料に用いられる色素骨格を含む。
用いられる色素骨格としては、アゾ系色素、キナクリドン系色素、ジケトピロロピロール系色素、スクワリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、クロロフィル系色素、ルテニウム錯体系色素、インジゴ系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素等の色素骨格が挙げられる。
【0024】
脂肪族不飽和炭化水素残基としては、特に制限はないが、例えば、ビニル基、1,3−ブタジエニル基、1,3,5−ヘキサトリエニル基等があげられ、不飽和結合の総和が1〜20の範囲であることが好ましい。
【0025】
アミノ基としては、特に制限はないが、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリールアミノ基等があげられ、例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基等があげられる。
【0026】
有機金属錯体残基の有機金属錯体としては、特に制限はないが、例えば、フェロセン、ルテノセン、チタノセン、ジルコノセン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポルフィリン、ルテニウムビピリジル錯体等があげられる。
【0027】
上記の芳香族炭化水素残基、複素環残基、脂肪族不飽和炭化水素残基、アミノ基、有機金属錯体残基は前述のように置換基を有しても良い。置換基としては、特に制限はないが、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基、脂肪族不飽和炭化水素残基、アルコキシル基、アシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、置換基を有しても良いアミノ基、置換基を有しても良いアミド基、アルコキシアルキル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、シアノ基、イソシアノ基、チオシアネート基、イソチオシアネート基、ニトロ基、ニトロシル基、ハロゲン原子、ケトン基、ヒドロキシル基等があげられる。
【0028】
アルキル基としては、炭素数1〜30の置換基を有しても良い直鎖、分岐及び環状の炭化水素基があげられる。
【0029】
アリール基としては、前記の芳香族炭化水素残基の芳香環があげられ、これらのアリール基はさらに置換基を有していても良い。
【0030】
また、複素環基としては、前記の複素環残基の複素環があげられる。これらの複素環基はさらに置換基を有していても良い。
【0031】
また、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基といった炭素数1〜20のアルコキシル基があげられる。
【0032】
また、アシル基としては、アルキルカルボニル基、及び、アリールカルボニル基があげられ、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルオイル基といった炭素数1〜20のアシル基があげられる。
【0033】
また、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜20のアリールオキシ基があげられる。
【0034】
また、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基といった炭素数1〜20のアルキルチオ基があげられる。
【0035】
また、アリールチオ基としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基といった炭素数6〜20のアリールチオ基があげられる。
【0036】
また、置換基を有しても良いアミノ基としては、前記、置換基を有しても良い一価のアミノ基のアミノ基があげられる。
【0037】
また、置換基を有しても良いアミド基としては、アミド基、アルキルアミド基、芳香族アミド基等があげられる。
【0038】
また、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、イソプロポキシメチル基といった炭素数1〜20のアルコキシアルキル基があげられる。
【0039】
また、アルキルオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基といった、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基が上げられる。
【0040】
また、アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基といった、炭素数5〜30までのアリールオキシカルボニル基が上げられる。
【0041】
また、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホ基等の酸性基は金属塩やアンモニウム塩を形成しても良い。
【0042】
上記にあげた、Yに結合する置換基が、複数存在する場合には、それらの置換基は互いに結合して環を形成しても良く、さらには、Yや、Yに結合する置換基は、後述するRやRと結合して環を形成していても良い。
【0043】
上記にあげたYのうち好ましいものとしては、Yが置換もしくは未置換のアミノ基を有する一価の有機残基である場合であり、例としては、ジアリールアミノフェニル基、ジアルキルアミノフェニル基、ジアルキルアミノスチリル基等があげられる。さらに、高い光電変換効率を有するためには、Yが置換もしくは未置換のアミノ基を有する一価の有機残基であって、かつ、長い共役鎖を有し、その共役鎖がリジッドな骨格であることがさらに好ましい。これは、長い共役鎖を有することで、色素の光吸収領域が広くなり、また、無機酸化物半導体への電荷注入部位にアミノ基のような電子供与性の置換基を有するユニットがリジッドに結合することで、ドナー部位からアクセプター部位へ、分子内での電荷移動が効率的におきることができるためである。
【0044】
次に、一般式(1)中のR、Rについて説明する。R、Rは、それぞれ独立に、水素原子もしくは1価の有機残基を表す。
【0045】
ここでいう有機残基は、特に制限はないが、例えば、Yと同様の有機残基、置換基を有しても良い脂環式炭化水素残基、置換基を有しても良い鎖式炭化水素残基、ペルフルオロアルキル基、ヒドロキシル基等があげられる。
【0046】
置換基を有しても良い環式炭化水素残基の環式炭化水素としては、たとえば、シクロヘキサン、シクロペンタン等の炭素数3〜20までの飽和環式炭化水素や、シクロヘキセン、シクロペンテンシクロヘキサジエン、シクロペンタジエン等の、炭素数3〜30までの不飽和環式炭化水素があげられる。
【0047】
また、置換基を有しても良い鎖式炭化水素残基の鎖式炭化水素基としては、炭素数1〜30の直鎖、分岐のアルキル基があげられ、これらの鎖式炭化水素基は不飽和結合を有しても良い。
【0048】
また、ペルフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1−30ものが挙げられる。
【0049】
以上述べたR、Rは、互いに結合して環を形成していても良い。また、R、RはYと結合して環を形成していても良い。
【0050】
次に、一般式(1)の中のMについて説明する。
【0051】
Mは水素原子もしくは一価の有機残基もしくは陽イオンを表す。
【0052】
ここでいう一価の有機残基としては、特に制限はないが、R、Rと同様の有機残基や、置換基を有しても良いシリル基等を表す。
【0053】
置換基を有しても良いシリル基としては、アルキルシリル基、アリールシリル基等があげられる。
【0054】
これら、一価の有機残基のうち好ましいものとしては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t‐ブチル基といった炭素数1‐20のアルキル基や、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェナシル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリメチルシリル基、t‐ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等が挙げられる。
【0055】
また、陽イオンとしては、カルボン酸と塩を形成する陽イオンであれば特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属イオンや、テトラブチルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム等の4級アンモニウムイオンがあげられる。
【0056】
また、本発明の光電変換用増感色素を無機半導体に吸着させて使用する場合には、Mは水素原子、4級アンモニウム塩であることが好ましいが、Mがこれら以外であっても何ら問題なく使用することができる。例えば、Mが一価の有機残基でカルボン酸エステルの形態の場合には、カルボン酸エステルを無機半導体に吸着させる時に、適当な触媒等を用いて系中で加水分解をしながら吸着させることもできる。
【0057】
さて、一般式(1)で表される化合物は、二重結合を有するため、シス体、トランス体などの構造異性体をとりえるが、特に限定されず、いずれも光電変換用増感色素としては、良好に使用することができる。
【0058】
また、一般式(1)で表される化合物は、式(1)に示すような方法で合成することができる。
【0059】
式(1)
【化7】
Figure 2004269695
【0060】
式(1)中、触媒としては、ピペリジン、酢酸アンモニウム等を用いることができるが、特にこれに限定されず、例えば、Organic Reactions Volume15 Chapter2に記載の触媒を使用することができる。
【0061】
また、式(1)中の溶媒としては、エタノール、テトラヒドロフラン等を用いることができるが、特にこれに限定されず、Organic Reactions Volume15 Chapter2に記載の溶媒を使用することができる。
【0062】
さらに、反応が進行しにくい場合には、溶媒を用いず反応させることが有効な場合もある。
【0063】
また、通常、反応温度は室温でかまわないが、必要に応じて加熱して反応させることもできる。
【0064】
Mが水素原子の化合物を合成する場合、反応が進行しにくいことがあるので、このような場合には、Mに水素原子のかわりに、メチル基、エチル基等を用いて反応させ、得られた化合物を加水分解することで目的の化合物を得ることができる。
【0065】
以下、本発明の光電変換用増感色素として用いることができる化合物の代表例を示すが、本発明は、なんらこれらに限定されるものではない
【0066】
まず、下記一般式(4)で示される化合物例について、表1に示す。(ただし、表1中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Prはイソプロピル基を、Phはフェニル基を、DMAPhは4‐ジメチルアミノフェニル基を、MEMはメトキシメチル基を、Bnはベンジル基を表す)。
本明細書では化合物の代表構造式として2重結合構造に起因するシス−トランス異性体の一部を示すが、これは存在し得る異性体の全てを含んでいる。
【0067】
一般式(4)
【化8】
Figure 2004269695
【0068】
【表1】
Figure 2004269695
【0069】
次に、下記一般式(5)で示される化合物例について、表2に示す。(ただし、表2中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Prはイソプロピル基を、Phはフェニル基を、DMAPhは4−ジメチルアミノフェニル基を、MEMはメトキシメチル基を、Bnはベンジル基を表す)。
【0070】
一般式(5)
【化9】
Figure 2004269695
【0071】
【表2】
Figure 2004269695
【0072】
また、一般式(1)で表される光機能材料のその他の例を表3に示す。
【0073】
【表3】
Figure 2004269695
【0074】
Figure 2004269695
【0075】
Figure 2004269695
【0076】
Figure 2004269695
【0077】
Figure 2004269695
【0078】
Figure 2004269695
【0079】
Figure 2004269695
【0080】
Figure 2004269695
【0081】
Figure 2004269695
【0082】
Figure 2004269695
【0083】
Figure 2004269695
【0084】
Figure 2004269695
【0085】
Figure 2004269695
【0086】
Figure 2004269695
【0087】
Figure 2004269695
【0088】
ところで、本発明において用いられる光電変換用増感色素は、一般式(1)で表される増感色素がカバーしきれない領域の太陽光吸収を補うために他の増感色素と組み合わせて用いる事ができる。ここにおいて他の増感色素としてはアゾ系色素、キナクリドン系色素、ジケトピロロピロール系色素、スクワリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、クロロフィル系色素、ルテニウム錯体系色素、インジゴ系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素等、およびその誘導体等があげられる。これらの増感色素はその構造中に無機半導体多孔質体表面に連結することができるような官能基を有していると望ましい。その理由としては、光励起された色素の励起電子を無機半導体多孔質体の電導帯に迅速に伝えることができることがあげられる。ここでいう、官能基とは、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ヒドロキサム酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、およびホスフィン酸基等があげられるが、無機半導体多孔質体表面に増感色素を連結し、色素の励起電子を無機半導体多孔質体の電導帯に迅速に伝える役割を有する置換基であればこれに限らない。
【0089】
以下、本発明で使用される光電変換用増感色素以外の材料について説明する。
【0090】
(無機酸化物)
本発明において用いられる光電変換用増感色素は連結基を介して無機半導体多孔質体表面に連結することによって無機半導体多孔質体が増感された光電変換材料を形成する。無機半導体は一般的に一部の領域の光に対して光電変換機能を有しているが、この表面が増感色素を連結することによって可視光および/又は近赤外光領域までの光電変換が可能となる。無機半導体多孔質体の材質としては主に無機酸化物が用いられるが、増感色素を連結することによって光電変換機能を有する無機半導体多孔質体ならこれに限らない。無機半導体としてはシリコン、ゲルマニウム、III族‐V族系半導体、金属カルコゲニド等があげられる。本発明で用いられる無機酸化物半導体多孔質体としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化ストロンチウム、酸化タンタル、酸化アンチモン、酸化ランタノイド、酸化イットリウム、酸化バナジウム等の多孔質体をあげることができるが、これらの表面が増感色素を連結することによって可視光および/又は近赤外光領域までの光電変換が可能となるものであればこれに限らない。無機酸化物半導体多孔質体表面が増感色素によって増感されるためには無機酸化物の電導帯が増感色素の光励起順位から電子を受け取りやすい位置に存在することが望ましい。このため前記無機酸化物半導体多孔質体の中でも酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ等が特に用いられる。さらに、価格や環境衛生性等の点から、酸化チタンが特に用いられる。本発明においては前記無機酸化物半導体多孔質体から一種又は複数の種類を選択して組み合わせることができる。
【0091】
(無機酸化物の多孔質化)
無機半導体多孔質体は多量の増感色素をその表面に連結し、ひいては高効率な光電変換能力を有する目的で、多孔質化することにより広い表面積を有している。多孔質化の方法としては、粒子径が数から数十ナノメートルの酸化チタン等の無機酸化物粒子をペースト化した後に焼結する方法が広く知られているが、多孔質化して広い表面積を得る方法であればこれに限らない。
【0092】
(光電変換電極)
本発明において用いられる光電変換材料は電導性表面を有する透明基材の電導面に積層することによって光電変換電極を形成する。
【0093】
(電導性表面)
用いられる電導性表面としては、太陽光の可視から近赤外領域に対して光吸収が少ない導電材料なら特に限定されないが、ITO(インジウム−スズ酸化物)や酸化スズ(フッ素等がドープされた物を含む)、酸化亜鉛等の電導性の良好な金属酸化物が好適である。
【0094】
(透明基材)
用いられる透明基材としては太陽光の可視から近赤外領域に対して光り吸収が少ない材料であれば特に限定されない。石英、並ガラス、BK7、鉛ガラス等のガラス基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラート、ポリプロピレン、テトラアセチルセルロース、シンジオクタチックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステルスルフォン、ポリエーテルイミド、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ、塩化ビニール等の樹脂基材等を用いることができる。
【0095】
(積層方法)
本発明において用いられる光電変換材料を電導性表面を有する透明基材の電導面に積層する方法としては、電導面にペースト化した無機酸化物粒子を塗布後乾燥又は焼結させて無機酸化物半導体多孔質体を形成し、これを透明基材ごと増感色素を溶解させた溶液中に浸すことにより無機多孔質表面と増感色素の連結器の親和性を利用して増感色素を無機多孔質表面に結合させる方法が一般的であるが、この方法に限定されない。無機酸化物粒子をペースト化させるためには無機酸化物粒子を水又は適当な有機溶剤中に分散させる。均質で表面積が大きい無機多孔質表面として積層させるには分散性の良いペーストにすることが大切なので、必要に応じて、硝酸やアセチルアセトン等の酸やポリエチレングリコール、トリトンX−100等の分散剤をペースト成分に混合し、ペイントシェーカー等を用いてペースト化する。ペーストを透明基材の電導面に塗布する方法としてはスピンコーターによる塗布方法やスクリーン印刷法、スキージーを用いた塗布方法、ディップ法、吹き付け法、ローラー法等が用いられる。塗布された無機酸化物ペーストは乾燥又は焼成後ペースト中の揮発成分が除去され透明基材の電導面上に無機酸化物半導体多孔質体を形成する。乾燥又は焼成の条件としてはたとえば400℃から500℃の温度で30分〜1時間程度の熱エネルギーを与える方法が一般的であるが、透明基材の電導面に密着性を有し、太陽光照射時に良好な起電力が得られる乾燥又は焼成方法であるならこれに限らない。
【0096】
増感色素を溶解させた溶液を作るためには、溶剤としてエタノールベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、サクサンブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン等の炭酸エステル系溶剤、ヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン等の炭水化物系位溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジメチルイミダゾリノン、Nメチルピロリドン、水等を用いることができるがこれに限らない。
【0097】
透明基材の電導面上に形成される無機酸化物半導体多孔質体の膜厚は0.5μm以上200μm以下であることが望ましい。膜厚がこの範囲未満である場合有効な変換効率が得られない。又膜厚がこの範囲より厚い場合成膜時に割れや剥がれが生じる等作成が困難になるうえ、無機酸化物半導体多孔質体表層と電導面との距離が増えるために発生電荷が電導面に有効に伝えられなくなるので、良好な変換効率を得にくくなる。
【0098】
(光電変換セル)
本発明において用いられる光電変換電極は、電解質層を介して導電性対極を組み合わせることによって光電変換セルを形成する。
【0099】
(電解質層)
本発明で用いられる電解質層は電解質、媒体、および添加物から構成されることが好ましい。本発明の電解質はIとヨウ化物(例としてLiI、NaI、KI、CsI、MgI、CaI、CuI、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等)の混合物、Brと臭化物(例としてLiBr等)の混合物、Inorganic Chemistry 1996,35,1168‐1178に記載の溶融塩等を用いることができるがこの限りではない。この中でもIとヨウ化物の組み合わせとしてLiI、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等を混合した電解質が本発明では好ましいがこの組み合わせ方に限らない。
【0100】
好ましい電解質濃度は媒体中Iが0.01M以上0.5M以下でありヨウ化物の混合物が0.1M以上15M以下である。
本発明で電解質層に用いられる媒体は、良好なイオン電導性を発現できる化合物であることが望ましい。溶液状の媒体としては、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3‐メチル‐2‐オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジメチルスルホキシド、スルホランなど非プロトン極性物質、水などを用いることができる。
【0101】
又、固体状(ゲル状を含む)の媒体を用いる目的で、ポリマーを含ませることもできる。この場合、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーを前記溶液状媒体中に添加したり、エチレン性不飽和基を有した多官能性モノマーを前記溶液状媒体中で重合させて媒体を固体状にする。
電解質層としてはこの他、CuI、CuSCN媒体を必要としない電解質および、Nature,Vol.395, 8 Oct. 1998,p583‐585記載の2,2’,7,7’‐テトラキス(N, N‐ジ‐p‐メトキシフェニルアミン)‐9,9’‐スピロビフルオレンのような正孔輸送材料を用いることができる。
【0102】
本発明に用いられる電解質層には光電変換セルの電気的出力を向上させたり、耐久性を向上させる働きをする添加物を添加することができる。電気的出力を向上させる添加物として4‐t‐ブチルピリジンや、2‐ピコリン、2,6‐ルチジン等があげられる。耐久性を向上させる添加物としてMgI等があげられる。
【0103】
(導電性対極)
本発明で用いられる電導性対極は光電変換セルの正極として機能するものである。具体的に対極に用いる導電性の材料としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、金属酸化物(ITO(インジウム‐スズ酸化物)や酸化スズ(フッ素等がドープされた物を含む)、酸化亜鉛)、または炭素等があげられる。対極の膜厚は、特に制限はないが、5nm以上10μm以下であることが好ましい。
【0104】
(組み立て方)
前記の光電変換電極と導電性対極を電解質層を介して組み合わせることによって光電変換セルを形成する。必要に応じて電解質層の漏れや揮発を防ぐために、光電変換セルの周囲に封止を行う。封止には熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、ガラスフリット等を封止材料として用いることができる。光電変換セルは必要に応じて小面積の光電変換セルを連結させて作る。光電変換セルを直列に組み合わせることによって起電圧を高くすることができる。
【0105】
【実施例】
以下に実施例を具体的に示すが本発明は以下に限定されるものではない。はじめに、実施例に先立って本発明の光電変換用増感色素の合成例を述べる。
合成例1 化合物(1)の合成方法
300mlエタノールに、p‐ジメチルアミノベンズアルデヒド10.0g(67mmol)、フェニルスルホニル酢酸エチル15.3g(67mmol)、ピペリジン0.1g加えた。50℃にて3時間攪拌した後、溶媒を減圧留去するとオレンジ色の固体が得られた。クルード化合物をメタノール/水にて再結晶すると、2‐フェニルスルホニル‐3‐(4‐ジメチルアミノ‐フェニル)‐アクリル酸エチル14.2gが得られた。(収率59%)次に得られた2‐フェニルスルホニル‐3‐(4‐ジメチルアミノ‐フェニル)‐アクリル酸エチル10.0gをアセトニトリル中で加水分解し、得られた固体をアセトニトリル/水から再結晶すると、2‐フェニルスルホニル‐3‐(4‐ジメチルアミノ‐フェニル)‐アクリル酸6.4gを得た。(収率70%)マススペクトル、NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析により、化合物(1)の構造を確認した。
【0106】
合成例2 化合物(4)の合成方法
合成例(1)でp−ジメチルアミノベンズアルデヒドの替わりに、p‐ジフェニルアミノベンズアルデヒドを用いた以外は合成例(1)と同様の操作を行い化合物(4)を全収率38%で得た。マススペクトル、NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析により、化合物(4)の構造を確認した。
【0107】
合成例3 化合物(30)の合成方法
合成例(1)でp−ジメチルアミノベンズアルデヒドの替わりにp‐ジメチルアミノシンナムアルデヒドを用いた以外は合成例(1)と同様の操作を行い化合物(30)を全収率50%で得た。マススペクトル、NMRスペクトル、IRスペクトル、元素分析により、化合物(30)の構造を確認した。
【0108】
合成例4 化合物(44)の合成方法
合成例(1)でp−ジメチルアミノベンズアルデヒドの替わりにp‐ジメチルアミノシンナムアルデヒドを用い、フェニルスルホニル酢酸エチルのかわりにメチルスルホニル酢酸エチルを用いた以外は合成例(1)と同様の操作を行い化合物(44)を全収率60%で得た。
【0109】
合成例5 化合物(93)の合成方法
合成例(1)でp−ジメチルアミノベンズアルデヒドの替わりにp‐ジメチルアミノシンナムアルデヒドを用い、フェニルスルホニル酢酸エチルのかわりにヘキシルスルホニル酢酸エチルを用いた以外は合成例(1)と同様の操作を行い化合物(93)を全収率41%で得た。
【0110】
次に、合成した光電変換用色素の評価方法について説明する。
・透明電極
フッ素ドープ酸化スズ層付ガラス基板(旭ガラス社製 タイプU−TCO)を使用した。
【0111】
・酸化チタンペーストの調整
下記処方でジルコニアビーズと混合し、ペイントシェーカーを用いて分散して酸化チタンペーストを得た。
酸化チタン(日本アエロジル社製 P25 粒子径 21nm) 6 重量部
水(硝酸添加でpH2に調整した物) 14 重量部
アセチルアセトン 0.6重量部
界面活性剤(ICN社製 Triton X−100) 0.04 重量部
PEG‐#500,000 0.3 重量部
【0112】
・酸化チタン多孔質層の作成
透明電極の電導面に厚さ60μmのメンディングテープを張り、1cm角のテープを除去することでマスクを作り 、空いた部分にペーストを数的垂らした後にスキージーで余分なペーストを除去した。風乾後全てのマスクを除去 し、450℃のオーブンで1時間焼成することで有効面積1cmの酸化チタン多孔質層を有した酸化チタン電極 を得た。
【0113】
・増感色素の吸着
増感色素をアルコール、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、Nメチルピロリドン等の溶剤に溶解し、必要に応じてメンブランフィルターで不溶分を除去し、この色素溶液に酸化チタン電極を浸し、室温又は必要に応じて加熱し数時間から数日の間これを放置する。着色した電極表面を使用溶剤およびアルコールで洗浄した後、4‐t‐ブチルピリジンの2mol%溶液に30分浸した後乾燥させることで増感色素の吸着した光電変換電極を得た。
【0114】
・電解質溶液の調整
下記処方で電解質溶液を得た。
溶媒 メトキシアセトニトリル
LiI 0.1M
0.05M
4‐t‐ブチルピリジン 0.5M
1‐プロピル‐2,3‐ジメチルイミダゾリウムヨージド 0.6M
【0115】
・光電変換セルの組み立て
図1の様に光電変換セルの試験サンプルを組み立てた。
導電性対極にはフッ素ドープ酸化スズ層付ガラス基板(旭ガラス社製 タイプU−TCO)の導電層上にスパッタリング法により150nmの白金層を積層した物を用いた。
樹脂フィルム製スペーサーとしては、三井・デュポンポリケミカル社製「ハイミラン」フィルムの25μm厚の物を用いた。
【0116】
・変換効率の測定方法
ORIEL社製ソーラーシュミレーター(#8116)をエアマスフィルターとを組み合わせ、光量計で100mW/cmの光量に調整して測定用光源とし、光電変換セルの試験サンプルに光照射をしながら英弘精機社製I‐Vカーブトレーサー(MP160)を使用してI‐Vカーブ特性を測定した。変換効率ηは、I‐Vカーブ特性測定から得られたVoc(開放電圧値)、Isc(短絡電流値)、ff(フィルファクター値)を用いて下式により算出した。
【0117】
【式2】
Figure 2004269695
【0118】
実施例1−7 比較例1‐2
実施例1−7についてそれぞれ増感色素の濃度が0.6mmolとなるようにエタノール溶液を調整し、上記の増感色素の吸着の項のとおりに操作し色素の吸着を行なった後、セルの組み立てを行なった。また、比較例は Ru色素(A)、WO 02/11213号パンフレットに記載の化合物(B)を用いてその他の実施例と同様の評価を行なった。
【0119】
【化10】
Figure 2004269695
【0120】
【化11】
Figure 2004269695
【0121】
得られた結果を表4にまとめた。
【0122】
【表4】
Figure 2004269695
【0123】
【発明の効果】
本発明において一般式(1)の増感色素を用い、枯渇性のない材料でかつ高い光電変換効率を有する光電変換セルを提供することができた。さらにはエタノール等の環境負荷の小さな溶剤に対して溶解性が高く生産性の良い増感色素を提供できた。また、一般式(1)の増感色素と併用増感色素を組み合わせることにより各々の色素を単独で用いるより太陽光に対して幅広い波長領域で光電変換機能を発現でき、高効率な光電変換材料、光電変換電極および光電変換セルを作成することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、光電変換セル試験サンプルを表す。
【符号の説明】
1.酸化チタン多孔質層(光電変換用増感色素が吸着済)
2.電解質溶液層
3.透明電極層(フッ素ドープ型酸化スズ)
4.Pt電極層
5.ガラス基盤
6.樹脂フィルム製スペーサー
7.変換効率測定用導線

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で示される光機能材料。
    一般式(1)
    Figure 2004269695
    (式中、Xは下記一般式(2)もしくは一般式(3)で示される官能基、Yは一価の有機残基、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子もしくは1価の有機残基、Mは水素原子もしくは一価の有機残基もしくは陽イオンを表す。RとR、RとY、RとYは、置換基同士で結合して環を形成してもよい。さらにYとRは入れ替わっても良い。)
    一般式(2)
    Figure 2004269695
    一般式(3)
    Figure 2004269695
  2. Yが、置換基を有しても良いアミノ基を含む1価の有機残基である請求項1記載の光機能材料。
  3. 請求項1または2記載の光機能材料を含んでなる光電変換用増感色素。
  4. さらに、一般式(1)で表される以外の増感色素を含んでなる請求項3記載の増感色素。
  5. 請求項3または4記載の増感色素と、無機半導体多孔質体とを連結させてなる光電変換材料。
  6. 請求項5記載の光電変換材料を透明電極に積層させてなる光電変換電極。
  7. 請求項6記載の光電変換電極、電解質層、および導電性対極を含んでなる光電変換セル。
JP2003062617A 2003-03-10 2003-03-10 光機能材料 Pending JP2004269695A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003062617A JP2004269695A (ja) 2003-03-10 2003-03-10 光機能材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003062617A JP2004269695A (ja) 2003-03-10 2003-03-10 光機能材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004269695A true JP2004269695A (ja) 2004-09-30

Family

ID=33124430

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003062617A Pending JP2004269695A (ja) 2003-03-10 2003-03-10 光機能材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004269695A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008004580A1 (fr) 2006-07-05 2008-01-10 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Cellule solaire sensible à la coloration
JP2009093910A (ja) * 2007-10-09 2009-04-30 Konica Minolta Holdings Inc 光電変換材料用半導体、光電変換材料素子及び太陽電池
CN101789317A (zh) * 2010-03-12 2010-07-28 华中科技大学 一种染料敏化太阳能电池及其制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008004580A1 (fr) 2006-07-05 2008-01-10 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Cellule solaire sensible à la coloration
JP2009093910A (ja) * 2007-10-09 2009-04-30 Konica Minolta Holdings Inc 光電変換材料用半導体、光電変換材料素子及び太陽電池
CN101789317A (zh) * 2010-03-12 2010-07-28 华中科技大学 一种染料敏化太阳能电池及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gou et al. Strategy to improve photovoltaic performance of DSSC sensitized by zinc prophyrin using salicylic acid as a tridentate anchoring group
JP5925541B2 (ja) 光電変換素子用金属錯体色素、光電変換素子、色素増感太陽電池、色素増感太陽電池用色素吸着組成液、色素増感太陽電池用半導体電極および色素増感太陽電池の製造方法
JP4423857B2 (ja) 光機能材料
JP5206092B2 (ja) 光電変換素子及び太陽電池
JP4341621B2 (ja) 光機能材料
JP2009009931A (ja) 光電変換素子、及び太陽電池
JP2009269987A (ja) 新規化合物、光電変換素子及び太陽電池
JP4442105B2 (ja) 光機能材料
Liang et al. New organic photosensitizers incorporating carbazole and dimethylarylamine moieties for dye-sensitized solar cells
JP2007246885A (ja) 光機能材料
JP4591667B2 (ja) 光機能材料
JP2014172835A (ja) 光機能材料及び光電変換用増感色素
JP5185503B2 (ja) 光電変換材料、半導体電極並びにそれを用いた光電変換素子
JP2011026389A (ja) 光機能材料
JP2008226505A (ja) フェナントロチオフェン系化合物、および、その用途、ならびに製造方法
JP2011162644A (ja) 光電変換用増感色素及びそれを用いた光電変換素子及び色素増感太陽電池
JP2004292743A (ja) 光機能材料
Onicha et al. Carbazole donor and carbazole or bithiophene bridged sensitizers for dye-sensitized solar cells
JP5347329B2 (ja) 光電変換素子及び太陽電池
JP5233318B2 (ja) 光電変換素子及び太陽電池
JP2007131767A (ja) 光機能材料
JP2007227279A (ja) 光電変換材料、半導体電極並びにそれを用いた光電変換素子
JP2011001474A (ja) 光機能材料
JP5740984B2 (ja) 光機能材料
JP2004269695A (ja) 光機能材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091110