JP2004269647A - 防錆塗料用メタリック顔料及びその製造方法 - Google Patents
防錆塗料用メタリック顔料及びその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】クロムを含有しなくても優れた防錆性能を有し、また耐塩水性にも優れたメタリック塗膜が形成でき、塗料の水性化にも対応可能な防錆塗料用メタリック顔料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】片状ステンレス鋼粉の表面に亜鉛粉を機械的に混合被覆した防錆塗料用メタリック顔料。その好ましい製造方法としてボールミル粉砕機で片状ステンレス鋼粉に亜鉛粉を加え、粉砕加工しながら所定の粒度まで片状加工することを特徴とする製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】片状ステンレス鋼粉の表面に亜鉛粉を機械的に混合被覆した防錆塗料用メタリック顔料。その好ましい製造方法としてボールミル粉砕機で片状ステンレス鋼粉に亜鉛粉を加え、粉砕加工しながら所定の粒度まで片状加工することを特徴とする製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はボルト・ナット部品、プレス加工部品等の防錆塗料に使用される防錆塗料用メタリック顔料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属の防錆塗料としては、亜鉛粉、無水クロム酸をグリコール等の水溶液に分散した液に部材を浸漬し焼き付ける防錆処理が有り、自動車をはじめ土木工事部材等の防錆処理として多く使用されている。しかし、焼き付け温度が300℃と高く、また六価クロムを使用していることから環境に優しい材料開発が待たれている。これらのことから、六価クロムを使用しない防錆塗料も開発されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−17795号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているメタリック顔料はアルミニウム粉を使用しているため、海水に対する防錆効果に劣り、また水性塗料化への対応が難しいという問題点があり、新しい防錆塗料用メタリック顔料が待たれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境に悪影響を与えるクロムを含有していなくても優れた防錆性能を有し、また耐塩水性にも優れたメタリック塗膜が形成でき、塗料の水性化にも対応可能な防錆塗料用メタリック顔料及び製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを目的としてなされたもので片状ステンレス鋼粉の表面に亜鉛粉を機械的に混合被覆することを特徴として、優れた防錆効果が得られる防錆塗料用メタリック顔料を実現した。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の防錆塗料用メタリック顔料ならびにその製造方法を詳細に説明する。本発明の片状ステンレス鋼粉は18−8ステンレス鋼粉を代表とするオーステナイト系ステンレス鋼粉が良い。フェライト系ステンレス鋼粉は片状加工性や耐食性がやや劣る。具体的には極低炭素の304L、316Lが挙げられる。
【0008】
片状ステンレス鋼粉の表面に亜鉛粉を機械的に混合被覆する方法はスチールボール、セラミックスボールを粉砕媒体としたボールミル粉砕機で加工するのが良い。 媒体撹拌ミルや振動ミル等の高エネルギーミル粉砕では亜鉛を均一に表面に被覆することが難しく、またステンレス鋼粉の片状化が進まず細かく粉砕される為、メタリック感が得られない。さらに粉砕中に発火燃焼する危険性もあり、大量の窒素あるいはアルゴンガスが必要などコスト高になる。
【0009】
亜鉛粉を被覆する出発原料である片状ステンレス鋼粉の粒径は目的とする防錆塗料用メタリック顔料の粒径に合わせて選定すれば良い。工業的にはアトマイズ法で製造した粒状ステンレス鋼粉を媒体撹拌ミル等で比較的大きな約50μmまで粉砕加工した片状ステンレス鋼粉を本発明の出発原料にすると効率が良い。
【0010】
このようにして得た比較的大きな粒径の片状ステンレス鋼粉に対して5〜50重量%の亜鉛粉を加え、ボールミル粉砕機でステンレス鋼粉の表面に機械的に亜鉛を被覆しながら、所定の粒度まで片状加工し本発明の防錆塗料用メタリック顔料を製造する。製造条件としては、粉砕加工する金属粉量、スチールボール量ならびにボール径、ボールミルの回転数、粉砕助剤添加量、粉砕加工時間を目的の粒度に合わせて設定すれば良い。
【0011】
粉砕助剤としては、脂肪酸のパルミチン酸、ステアリン酸などが挙げることができる。
【0012】
ステンレス鋼に対する亜鉛量は、5重量%より少ないと均一に被覆できず、また亜鉛イオンの防錆効果が少なく好ましくない。亜鉛量が50重量%以上、つまりステンレス鋼粉より多いとメタリック感が得られず、また粉砕中に凝集が激しく、目的とする形状の粉を得るのが難しい。
【0013】
このようにして製造したメタリック顔料の形状は厚さの薄い片状で、平均粒径30μm以下、比表面積10000cm2/g以上であることが必要である。ボールミル粉砕機では所定の割合に配合した金属粉を凝集しないように展延しながら粉砕加工する事が非常に重要である。平均粒径30μm以上だと塗料中で金属粉が早く沈降したり、塗膜外観が不均一となり防錆効果が劣る。メタリック感は粒径が細かくなると悪くなる為、5μm以下にしない方が良い。
【0014】
比表面積は10000cm2/g以上が必要で、それ以下だと、塗装性や防錆力が劣り、メタリック感も悪くなる。平均粒径と比表面積の好ましい関係は平均粒径20μmでは比表面積20000cm2/g、平均粒径10μmでは30000cm2/gである。平均粒径が同じ程度の場合、微粉を多く含まない粉では比表面積の大きい方が扁平度が大きく、メタリック感の強い顔料となる。
【0015】
このようにして製造した本発明の防錆塗料用メタリック顔料は、有機合成樹脂塗料あるいは水性塗料に希釈剤、分散剤と共に混合撹拌し、吹き付け塗装、浸漬塗布用に使用できる。樹脂としてはエポキシ、アルキシド、アクリル等が挙げられる。
【0016】
【実施例】
次に本発明の防錆塗料用メタリック顔料及びその製造方法について具体的に説明する。なお部は全て重量部である。
【0017】
(実施例1)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(316L)粉50部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉50部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、1/8in径のスチールボール1000部、ボールミル粉砕機の回転数60rpmで粉砕助剤としてステアリン酸を0.1部添加し大気中で10時間凝集しないよう展延粉砕加工した。その結果、平均粒径30μm、比表面積11000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察すると亜鉛が被覆しているのが確認できた。
【0018】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を40部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して12μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間後塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0019】
(実施例2)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(316L)粉50部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉50部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、1/8in径のスチールボール1000部、ボールミル粉砕機の回転数60rpmで、粉砕助剤としてステアリン酸を0.1部添加し10時間後に0.1部追加添加し、大気中で20時間凝集しないように展延粉砕加工した。その結果、平均粒径20μm、比表面積20000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察すると亜鉛が被覆しているのが確認できた。
【0020】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を30部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して8μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0021】
(実施例3)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(316L)粉50部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉50部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、1/8in径のスチールボール1000部、ボールミル粉砕機の回転数60rpmで粉砕助剤としてステアリン酸を0.1部添加し10時間後に0.2部追加添加し大気中で40時間凝集しないように展延粉砕加工した。その結果、平均粒径10μm、比表面積30000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察すると亜鉛が被覆しているのが確認できた。
【0022】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を30部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して7μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間後塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0023】
(実施例4)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(316L)粉95部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉5部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、1/8in径のスチールボール1000部、ボールミル粉砕機の回転数60rpmで粉砕助剤としてステアリン酸を0.1部添加し10時間後に0.1部追加添加し大気中で30時間凝集しないように展延粉砕加工した。その結果、平均粒径20μm、比表面積15000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察するとやや不均一であるが亜鉛が付着被覆しているのが確認できた。
【0024】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を30部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して10μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間後塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0025】
(実施例5)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(304L)粉75部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉25部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、3/16in径のアルミナボール750部、ボールミル粉砕機の回転数100rpmで粉砕助剤としてパルミチン酸を0.2部添加し40時間後に0.2部追加添加し大気中で100時間凝集しないように展延粉砕加工した。その結果、平均粒径10μm、比表面積40000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察すると亜鉛が被覆しているのが確認できた。
【0026】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を30部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して7μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間後塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば片状ステンレス鋼粉のメタリック感と耐食性、その表面に付着した微細亜鉛イオンの防錆効果が相乗的に働き、優れた防錆塗料用メタリック顔料が得られた。その結果、環境に優しいノンクロムタイプで、しかも耐塩水性に優れた防錆塗料が製造できるようになった。さらに、ステンレス鋼特有のメタリック感も呈するため、自動車、家電などメタリック外観が要求される外装防錆塗料としても使用可能になった。
【発明の属する技術分野】
本発明はボルト・ナット部品、プレス加工部品等の防錆塗料に使用される防錆塗料用メタリック顔料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属の防錆塗料としては、亜鉛粉、無水クロム酸をグリコール等の水溶液に分散した液に部材を浸漬し焼き付ける防錆処理が有り、自動車をはじめ土木工事部材等の防錆処理として多く使用されている。しかし、焼き付け温度が300℃と高く、また六価クロムを使用していることから環境に優しい材料開発が待たれている。これらのことから、六価クロムを使用しない防錆塗料も開発されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−17795号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているメタリック顔料はアルミニウム粉を使用しているため、海水に対する防錆効果に劣り、また水性塗料化への対応が難しいという問題点があり、新しい防錆塗料用メタリック顔料が待たれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境に悪影響を与えるクロムを含有していなくても優れた防錆性能を有し、また耐塩水性にも優れたメタリック塗膜が形成でき、塗料の水性化にも対応可能な防錆塗料用メタリック顔料及び製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを目的としてなされたもので片状ステンレス鋼粉の表面に亜鉛粉を機械的に混合被覆することを特徴として、優れた防錆効果が得られる防錆塗料用メタリック顔料を実現した。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の防錆塗料用メタリック顔料ならびにその製造方法を詳細に説明する。本発明の片状ステンレス鋼粉は18−8ステンレス鋼粉を代表とするオーステナイト系ステンレス鋼粉が良い。フェライト系ステンレス鋼粉は片状加工性や耐食性がやや劣る。具体的には極低炭素の304L、316Lが挙げられる。
【0008】
片状ステンレス鋼粉の表面に亜鉛粉を機械的に混合被覆する方法はスチールボール、セラミックスボールを粉砕媒体としたボールミル粉砕機で加工するのが良い。 媒体撹拌ミルや振動ミル等の高エネルギーミル粉砕では亜鉛を均一に表面に被覆することが難しく、またステンレス鋼粉の片状化が進まず細かく粉砕される為、メタリック感が得られない。さらに粉砕中に発火燃焼する危険性もあり、大量の窒素あるいはアルゴンガスが必要などコスト高になる。
【0009】
亜鉛粉を被覆する出発原料である片状ステンレス鋼粉の粒径は目的とする防錆塗料用メタリック顔料の粒径に合わせて選定すれば良い。工業的にはアトマイズ法で製造した粒状ステンレス鋼粉を媒体撹拌ミル等で比較的大きな約50μmまで粉砕加工した片状ステンレス鋼粉を本発明の出発原料にすると効率が良い。
【0010】
このようにして得た比較的大きな粒径の片状ステンレス鋼粉に対して5〜50重量%の亜鉛粉を加え、ボールミル粉砕機でステンレス鋼粉の表面に機械的に亜鉛を被覆しながら、所定の粒度まで片状加工し本発明の防錆塗料用メタリック顔料を製造する。製造条件としては、粉砕加工する金属粉量、スチールボール量ならびにボール径、ボールミルの回転数、粉砕助剤添加量、粉砕加工時間を目的の粒度に合わせて設定すれば良い。
【0011】
粉砕助剤としては、脂肪酸のパルミチン酸、ステアリン酸などが挙げることができる。
【0012】
ステンレス鋼に対する亜鉛量は、5重量%より少ないと均一に被覆できず、また亜鉛イオンの防錆効果が少なく好ましくない。亜鉛量が50重量%以上、つまりステンレス鋼粉より多いとメタリック感が得られず、また粉砕中に凝集が激しく、目的とする形状の粉を得るのが難しい。
【0013】
このようにして製造したメタリック顔料の形状は厚さの薄い片状で、平均粒径30μm以下、比表面積10000cm2/g以上であることが必要である。ボールミル粉砕機では所定の割合に配合した金属粉を凝集しないように展延しながら粉砕加工する事が非常に重要である。平均粒径30μm以上だと塗料中で金属粉が早く沈降したり、塗膜外観が不均一となり防錆効果が劣る。メタリック感は粒径が細かくなると悪くなる為、5μm以下にしない方が良い。
【0014】
比表面積は10000cm2/g以上が必要で、それ以下だと、塗装性や防錆力が劣り、メタリック感も悪くなる。平均粒径と比表面積の好ましい関係は平均粒径20μmでは比表面積20000cm2/g、平均粒径10μmでは30000cm2/gである。平均粒径が同じ程度の場合、微粉を多く含まない粉では比表面積の大きい方が扁平度が大きく、メタリック感の強い顔料となる。
【0015】
このようにして製造した本発明の防錆塗料用メタリック顔料は、有機合成樹脂塗料あるいは水性塗料に希釈剤、分散剤と共に混合撹拌し、吹き付け塗装、浸漬塗布用に使用できる。樹脂としてはエポキシ、アルキシド、アクリル等が挙げられる。
【0016】
【実施例】
次に本発明の防錆塗料用メタリック顔料及びその製造方法について具体的に説明する。なお部は全て重量部である。
【0017】
(実施例1)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(316L)粉50部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉50部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、1/8in径のスチールボール1000部、ボールミル粉砕機の回転数60rpmで粉砕助剤としてステアリン酸を0.1部添加し大気中で10時間凝集しないよう展延粉砕加工した。その結果、平均粒径30μm、比表面積11000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察すると亜鉛が被覆しているのが確認できた。
【0018】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を40部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して12μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間後塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0019】
(実施例2)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(316L)粉50部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉50部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、1/8in径のスチールボール1000部、ボールミル粉砕機の回転数60rpmで、粉砕助剤としてステアリン酸を0.1部添加し10時間後に0.1部追加添加し、大気中で20時間凝集しないように展延粉砕加工した。その結果、平均粒径20μm、比表面積20000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察すると亜鉛が被覆しているのが確認できた。
【0020】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を30部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して8μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0021】
(実施例3)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(316L)粉50部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉50部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、1/8in径のスチールボール1000部、ボールミル粉砕機の回転数60rpmで粉砕助剤としてステアリン酸を0.1部添加し10時間後に0.2部追加添加し大気中で40時間凝集しないように展延粉砕加工した。その結果、平均粒径10μm、比表面積30000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察すると亜鉛が被覆しているのが確認できた。
【0022】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を30部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して7μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間後塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0023】
(実施例4)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(316L)粉95部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉5部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、1/8in径のスチールボール1000部、ボールミル粉砕機の回転数60rpmで粉砕助剤としてステアリン酸を0.1部添加し10時間後に0.1部追加添加し大気中で30時間凝集しないように展延粉砕加工した。その結果、平均粒径20μm、比表面積15000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察するとやや不均一であるが亜鉛が付着被覆しているのが確認できた。
【0024】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を30部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して10μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間後塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0025】
(実施例5)
平均粒径50μm、比表面積7000cm2/gの片状ステンレス鋼(304L)粉75部と平均粒径5μm、比表面積3500cm2/gの粒状亜鉛粉25部をボールミル粉砕機に投入する。粉砕加工条件は、3/16in径のアルミナボール750部、ボールミル粉砕機の回転数100rpmで粉砕助剤としてパルミチン酸を0.2部添加し40時間後に0.2部追加添加し大気中で100時間凝集しないように展延粉砕加工した。その結果、平均粒径10μm、比表面積40000cm2/gの防錆塗料用メタリック顔料が得られた。ステンレス鋼の表面を観察すると亜鉛が被覆しているのが確認できた。
【0026】
このようにして得た本発明のメタリック顔料の防錆効果を以下の方法で確認した。キシレン溶媒のエポキシ樹脂塗料100部に本発明のメタリック顔料を30部加え、混合撹拌し塗料を作成し、鉄板に吹き付け塗装後250℃30分間加熱硬化して7μmの塗膜を作成し、塩水噴霧試験を実施した。その結果、100時間後塗膜のメタリック外観の劣化もなく、赤錆の発生も認められなかった。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば片状ステンレス鋼粉のメタリック感と耐食性、その表面に付着した微細亜鉛イオンの防錆効果が相乗的に働き、優れた防錆塗料用メタリック顔料が得られた。その結果、環境に優しいノンクロムタイプで、しかも耐塩水性に優れた防錆塗料が製造できるようになった。さらに、ステンレス鋼特有のメタリック感も呈するため、自動車、家電などメタリック外観が要求される外装防錆塗料としても使用可能になった。
Claims (4)
- 片状ステンレス鋼粉の表面に亜鉛粉を機械的に混合被覆した防錆塗料用メタリック顔料。
- 請求項1記載のステンレス鋼がオーステナイト系ステンレス鋼である防錆塗料用メタリック顔料。
- 請求項1および請求項2記載の顔料の形状が片状で、平均粒径30μm以下、比表面積10000cm2/g以上である防錆塗料用メタリック顔料。
- 片状ステンレス鋼粉に対して5〜50重量%の亜鉛粉を加え、ボールミル粉砕機で展延粉砕加工しながら、片状ステンレス鋼粉表面に機械的に混合被覆することを特徴とする、防錆塗料用メタリック顔料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003061029A JP2004269647A (ja) | 2003-03-07 | 2003-03-07 | 防錆塗料用メタリック顔料及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003061029A JP2004269647A (ja) | 2003-03-07 | 2003-03-07 | 防錆塗料用メタリック顔料及びその製造方法 |
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JP2004269647A true JP2004269647A (ja) | 2004-09-30 |
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JP2003061029A Pending JP2004269647A (ja) | 2003-03-07 | 2003-03-07 | 防錆塗料用メタリック顔料及びその製造方法 |
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JP (1) | JP2004269647A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014157177A1 (ja) | 2013-03-29 | 2014-10-02 | 東洋アルミニウム株式会社 | フレーク状ステンレス顔料、それを配合してなる樹脂組成物、および該樹脂組成物により形成された塗膜を有する塗布物 |
WO2022196441A1 (ja) * | 2021-03-15 | 2022-09-22 | 東洋アルミニウム株式会社 | 塗料組成物 |
CN116037935A (zh) * | 2023-02-16 | 2023-05-02 | 华中科技大学 | 一种金属汽车漆用近片状钛合金粉末、其制备方法和应用 |
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2003
- 2003-03-07 JP JP2003061029A patent/JP2004269647A/ja active Pending
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