JP2004269570A - 難燃樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気・電子機器等の電線、ケーブルの被覆材料としたときに、高度の難燃性、機械特性、耐熱性、加熱変形性、柔軟性を有し、自由な色調に着色ができ、燃焼時に有害なハロゲン含有ガスを発生しない難燃樹脂組成物を得る。
【解決手段】エチレン−酢酸ビニル共重合体40〜70重量部とアクリル系ゴム20〜30重量部とマレイン酸変性低密度ポリエチレン10〜30重量部を含むベース樹脂100重量部に対して金属水酸化物70〜150重量部、メラミンシアヌレート40〜80重量部を配合する。アクリル系ゴムにエチレン−アクリル酸共重合体および/またはエチレン−メタクリル酸エステル共重合体25〜75wt%とエチレン−アクリル−酢酸ビニル共重合体75〜25wt%とのブレンド物を、金属水酸化物にメタクリルシラン処理金属水酸化物50〜90wt%と高級脂肪酸処理金属水酸化物10〜50wt%との混合物を用いるのがよい。
【選択図】なし
【解決手段】エチレン−酢酸ビニル共重合体40〜70重量部とアクリル系ゴム20〜30重量部とマレイン酸変性低密度ポリエチレン10〜30重量部を含むベース樹脂100重量部に対して金属水酸化物70〜150重量部、メラミンシアヌレート40〜80重量部を配合する。アクリル系ゴムにエチレン−アクリル酸共重合体および/またはエチレン−メタクリル酸エステル共重合体25〜75wt%とエチレン−アクリル−酢酸ビニル共重合体75〜25wt%とのブレンド物を、金属水酸化物にメタクリルシラン処理金属水酸化物50〜90wt%と高級脂肪酸処理金属水酸化物10〜50wt%との混合物を用いるのがよい。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高度の難燃性と優れた機械強度、柔軟性、耐熱性、加熱変形性、着色性を有するノンハロゲンの難燃樹脂組成物およびこの難燃樹脂組成物を被覆材とした電線、ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気・電子機器の内部配線、外部配線等に使用される電線、ケーブルには、高い難燃性を始めとして優れた機械特性、耐熱性などが要求され、これら電線、ケーブルの絶縁体やシースなどの被覆材には、これまで可塑化塩化ビニル樹脂組成物やハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィン系難燃樹脂組成物などが使用されてきた。
【0003】
しかしながら、このような被覆材を焼却処分する際に、ダイオキシン、ハロゲン含有ガス等が発生し、また埋立処分する際に、重金属化合物、可塑剤等が流出するなどして環境汚染の問題が生じている。
このため、ノンハロゲンの難燃樹脂組成物を電線、ケーブルの被覆材とすることが検討されている。
【0004】
このようなノンハロゲンの難燃樹脂組成物としては、現在ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン系ポリマーからなるベースポリマーに水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を比較的多量に配合した難燃樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、上述のように、電気・電子機器類に用いられる電線、ケーブルには、高度の難燃性が要求され、UL1581に規定される垂直燃焼試験のVW−1に合格する必要がある。また、難燃性以外にも、UL規格、電気用品安全法等で引張強度10MPa以上、伸び100%以上の高い機械特性が求められ、さらには100℃以上での加熱変形性等も要求される。
【0006】
これらの要求を満たすため、上述のエチレン系ポリマーからなるベースポリマーに金属水酸化物を配合したノンハロゲンの難燃樹脂組成物に対して以下のような検討がなされてきた。
まず、難燃剤として金属水酸化物のみを配合した場合、要求されるレベルの難燃性を得るには、ベースポリマー100重量部に対して200重量部以上の配合が必要であり、被覆材の厚さによってはこれでも燃焼することがあり、難燃性が十分であるとは言えない。また、ベースポリマー100重量部に対して金属水酸化物を100重量部以上配合すると樹脂組成物の機械特性が大幅に低下し、規格値を満足することができない。
【0007】
また、上記難燃樹脂組成物を過酸化物架橋、電子線架橋などによって架橋することで、機械特性、耐熱性等を改善することは可能であるが、この難燃樹脂組成物をシースとして使用する場合には、架橋することが難しく、架橋しなくとも高い機械特性を有していることが望まれる。さらに、難燃剤として、赤リンと高級脂肪酸表面処理金属水酸化物との組み合わせを用いる場合には、難燃性を満足することは可能であるが、機械特性を考慮して金属水酸化物の配合量をベースポリマー100重量部に対して100重量部以下としたものではUL規格のVW−1に適合する高い難燃性は得られない。
【0008】
また、赤リンを配合した難燃樹脂組成物では、得られる難燃樹脂組成物が濃赤色に着色し、自由な色調の着色が妨げられる欠点もある。
また、金属水酸化物の少量の配合で、難燃性と機械特性とを同時に満足させるため、ベースポリマーとして難燃性が高い酢酸ビニル含量の高いエチレン−酢酸ビニル共重合体を採用することも考えられるが、このエチレン−酢酸ビニル共重合体は溶融温度、軟化温度が低く、得られる難燃樹脂組成物は耐熱性、加熱変形性の要求を満たすことができない。
【0009】
そこで、耐熱性が高く、高強度のプロピレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーを添加して耐熱性を補うことが考えられるが、これでは難燃樹脂組成物の柔軟性が低下し、この難燃性樹脂組成物からなるシースを有する電線を配電盤等に組み込んだときに、繰り返し屈曲によるシースの割れが生じやすくなり、さらにはフレームとの擦れによってシースが外傷を受けやすくなるなどの問題がある。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−060414号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、電気・電子機器等の電線、ケーブルの被覆材などとしたときに、高度の難燃性、機械特性、耐熱性、加熱変形性、柔軟性を有し、自由な色調に着色ができ、焼却処分の際に有害なハロゲン含有ガスを発生せず、埋立処分の際に重金属化合物、可塑剤の流出がない難燃樹脂組成物を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体40〜70重量部と、アクリル系ゴム20〜30重量部と、マレイン酸変性低密度ポリエチレン10〜30重量部を含むベース樹脂100重量部に対して、金属水酸化物70〜150重量部、メラミンシアヌレート40〜80重量部を配合してなる難燃樹脂組成物である。
【0013】
請求項2にかかる発明は、アクリル系ゴムが、エチレン−アクリル酸共重合体および/またはエチレン−メタクリル酸エステル共重合体25〜75wt%と、エチレン−アクリル−酢酸ビニル共重合体25〜75wt%とのブレンド物である請求項1記載の難燃樹脂組成物である。
【0014】
請求項3にかかる発明は、金属水酸化物が、メタクリルシラン処理金属水酸化物50〜90wt%と、高級脂肪酸処理金属水酸化物10〜50wt%との混合物である請求項1または2記載の難燃樹脂組成物である。
請求項4にかかる発明は、請求項1、2または3記載の難燃樹脂組成物を被覆材料とした電線である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の難燃樹脂組成物をなすベース樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体とアクリル系ゴムとマレイン酸変性低密度ポリエチレンを必須成分として含むブレンドポリマーである。
【0016】
ここでのエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル含有量が12〜35wt%で、メルトフローレイト(温度190℃、荷重2.14kg、時間10分)が0.1〜1の比較的酢酸ビニル含有量が多く、分子量が高いものが用いられ、難燃性が高いものが用いられる。酢酸ビニル含有量が12wt%未満では難燃性が不足し、35wt%を越えると強度が不足する。メルトフローレイトが0.1未満では溶融粘度が高く成形加工性が劣る。
【0017】
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、ポリエチレンなどの他のエチレン系ポリマーに比較して難燃性が高く、酢酸ビニルに起因する極性により金属水酸化物との親和性が高いものでもある。
【0018】
本発明におけるアクリル系ゴムとは、エチレン−アクリル酸共重合体および/またはエチレン−メタクリル酸エステル共重合体25〜75wt%と、エチレン−アクリル−酢酸ビニル共重合体75〜25wt%とのブレンドポリマーであって、ゴム弾性を有するものを言う。
【0019】
エチレン−アクリル酸共重合体には、エチレン含有量が10〜40wt%のものが用いられる。また、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体には、エチレン含有量が30〜50wt%で、メタクリル酸エステルにメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどを用いた共重合体が用いられる。
【0020】
このエチレン−アクリル酸共重合体とエチレン−メタクリル酸エステル共重合体とは、いずれか一方を単独でもしくは両方を混合して用いられ、混合して用いるときの両者の混合比は特に限定されず、任意とされる。
【0021】
また、このブレンドポリマーからなるアクリル系ゴムにおけるエチレン−アクリル−酢酸ビニル共重合体の割合は、アクリル系ゴム全体の25〜75wt%とされ、25wt%未満では強度不良となり、75wt%を越えると伸びが不足する。
【0022】
このアクリル系ゴムは、それ自体高い難燃性と機械特性を有しており、マレイン酸変性低密度ポリエチレンの配合による難燃性の低下を補い、エチレン−酢酸ビニル共重合体とマレイン酸変性低密度ポリエチレンとの相溶性を改善する機能を有し、金属水酸化物の分散性を高める作用を行う。
【0023】
また、マレイン酸変性低密度ポリエチレンには、密度0.93g/cm3以下の低密度ポリエチレンを無水マレイン酸で変性し、ポリエチレン分子にマレイン酸を結合して極性を付与したもので、マレイン酸の結合量が0.5〜5wt%のものが用いられる。
このマレイン酸変性低密度ポリエチレンは、低密度ポリエチレンと無水マレイン酸とを有機過酸化物の存在下に、溶融、混練することで製造される。
【0024】
このマレイン酸変性ポリエチレンは、エチレン−酢酸ビニル共重合体単独では不足する耐熱性と機械特性を高める役割を果たし、そのマレイン酸残基の存在によりエチレン−酢酸ビニル共重合体との相溶性が高められ、金属水酸化物を多量に配合したときの機械特性の低下を抑える。
【0025】
また、ベース樹脂をなすエチレン−酢酸ビニル共重合体とアクリル系ゴムとマレイン酸変性低密度ポリエチレンの各成分の配合量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体が40〜70重量部、アクリル系ゴムが20〜30重量部、好ましくは23〜28重量部、マレイン酸変性低密度ポリエチレンが10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部とされる。
【0026】
アクリル系ゴムが20重量部未満では難燃性を与えることができず、金属水酸化物を多量に配合したときにその分散性が低下し、伸びが低下する。30重量部を越えると機械特性、加熱変形性が低下する。
また、マレイン酸変性低密度ポリエチレンの配合量が10重量部未満では加熱変形性、耐熱性、機械特性が低く、30重量部を越えると、結晶成分が多くなり、柔軟性、屈曲性が悪くなる。
【0027】
このような配合組成のベース樹脂に対して、ノンハロゲンの難燃剤として、金属水酸化物とメラミンシアヌレートが配合される。
ここでの金属水酸化物には、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの1種または2種以上の混合物が用いられ、なかでも難燃効果が高い水酸化マグネシウムが好ましい。
【0028】
また、この金属水酸化物としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、高級脂肪酸などを用いて表面処理したものが、分散性、親和性の点で好ましい。特に、メタクリル基を有するシランカップリング剤、例えばメタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを用いて表面処理したメタクリルシラン処理金属水酸化物50〜90wt%と、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸を用いて表面処理した金属水酸化物10〜50wt%との混合物を用いることが好ましい。
【0029】
このような2種の表面処理金属水酸化物の混合物を用いることで、ベース樹脂に対する親和性、分散性が一層高められて好ましく、金属水酸化物の多量配合による機械特性の低下が抑えられる。
メタクリル基を有するシランカップリング剤を用いて表面処理した金属水酸化物の配合量が50wt%未満となると強度不良となり、90wt%を越えると押出不良および伸びが不足となる。
【0030】
この金属水酸化物の配合量は、上記ベース樹脂100重量部に対して70〜150重量部、好ましくは100〜130重量部の範囲で、要求される難燃性に応じて決められる。これの配合量が、70重量部未満では難燃性、加熱変形性が低下し、150重量部を越えると伸び、強度の機械特性が低下する。
【0031】
なお、金属水酸化物としては、メタクリル基を有するシランカップリング剤を用いて表面処理した金属水酸化物50〜90wt%と、高級脂肪酸を用いて表面処理した金属水酸化物10〜50wt%との混合物を用いると、伸び、強度の低下を抑えつつ180重量部程度の配合が可能となり、高難燃性を確保できる。
【0032】
メラミンシアヌレートは、高い難燃付与効果を有し、これを配合することで良好な難燃性を維持しながら金属水酸化物の配合量を低減でき、強度、伸びの低下をさらに抑えることができる。
このメラミンシアヌレートとしては、平均粒径が10μm以下、好ましくは7μm以下の粒径の小さいものが好ましく、また高級脂肪酸やシランカップリング剤あるいはポリビニルアルコールで表面処理を施したものがベース樹脂に対する親和性、分散性が高められて望ましい。
【0033】
このメラミンシアヌレートの配合量は、ベース樹脂100重量部に対して40〜80重量部、好ましくは、50〜60重量部とされ、40重量部未満では高い難燃性を得ることができず、80重量部を越えると樹脂組成物の溶融時の粘度が高くなり、成形加工性が低下し、伸びも低下する。
【0034】
本発明の難燃樹脂組成物には、必要に応じてアミン系、フェノール系などの老化防止剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、難燃助剤、充填剤などの添加剤を適宜添加することができる。
また、ベース樹脂にも、必要に応じて他のオレフィン系ポリマー、例えばポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体などを少量配合して所望の特性を得るようにしてもよい。
【0035】
本発明の電線は、上述の難燃樹脂組成物を絶縁体、シースなどの被覆材として用いたものであり、ここでの電線にはケーブルも包含されるものとする。
具体的には、この難燃樹脂組成物を密閉型混練機などで混練りしてペレットとし、このペレットをクロスヘッドダイを装着した押出機に供給し、クロスヘッドダイのマンドレルに導体あるいは絶縁線心を連続的に送り込み、この上に難燃樹脂組成物を押出被覆し、絶縁体あるいはシーズとすることで製造される。この被覆材にはあらためて架橋する必要はなく、架橋を行わなくても高い機械特性、耐熱性等が得られる。
【0036】
このような難燃樹脂組成物にあっては、極めて高い難燃性を発揮し、これを被覆材とした電線はUL1581に規定する垂直燃焼試験のVW−1に合格するものとなる。また、機械特性も優れ、引張強度10MPa以上、伸び100%以上の値を示す。さらに、耐熱性、加熱変形性、柔軟性も良好になる。また、樹脂組成物の色が白色であるので、用途に応じた任意の着色を施すことができる。
【0037】
また、樹脂組成物のすべての成分は塩素などのハロゲン元素を含んでいないので、これを焼却時に有害なハロゲン含有ガスが発生することがない。また、鉛化合物などの重金属化合物やフタル酸系の可塑剤を含んでいないので、これを埋立した際にこれらが流出することがなく、環境汚染を招くことがない。
【0038】
以下、具体例を示す。
表1および表2に示す配合組成(重量部表示)の樹脂組成物を用意し、これを混練り、以下のケーブルのシースとして押出被覆した。
このケーブルについて、引張強度、加熱変形性を評価した。また、絶縁ケーブルについて、屈曲性、難燃性を評価した。
【0039】
屈曲性評価用の絶縁ケーブルは、AWG26のポリエチレン絶縁電線を32対集合し、アルミニウムテープを横巻きした上に上記樹脂組成物からなる厚さ0.8mmのシースを押出被覆したものである。
加熱変形試験用の絶縁ケーブルは、ポリエチレン絶縁電線(0.12mm×7ヶ撚り導体)を5心集合し、アルミニウムポリエチレンテレフタレートラミネートテープを横巻きし、この上に上記樹脂組成物からなる厚さ0.65mmのシースを押出被覆したものである。
【0040】
引張強度は、UL1581に準じて行い、その値が10MPa以上を合格とし、これ未満のものを不合格とした。加熱変形性はUL1581に準じ、温度100℃、荷重500gで行い、50%以下を合格とし、これを越えるものを不合格とした。
【0041】
屈曲性は、上記屈曲試験用ケーブルを60cmとり、これの中央部を中心として二つ折りとし、この状態で2枚の平板間に挟み、一方の平板を左右に往復移動させる。平板間の距離が最大で300mmから最小で60mmとなるように一方の平板を3秒に1回の速度で往復移動させ、往復回数5000回以上でシースに亀裂、割れが発生しない場合を合格とし、これ未満で亀裂、割れが発生した場合を不合格とした。
【0042】
また、絶縁ケーブルの難燃性は、UL規格のVW−1の垂直燃焼試験によって実施した。
結果を表1および表2に示す。
【0043】
表1および表2において、
「EVA」は、酢酸ビニル含有量33wt%、メルトフローレイト0.2のエチレン−酢酸ビニル共重合体 「EV180」商品名、三井デュポンポリケミカル社製を、
「EAC」は、二成分系のアクリルゴムで、「ベイマックDP]商品名、三井デュポンポリケミカル社製を示す。
【0044】
「EVAC]は、三成分系のアクリルゴムで、「ER5300]商品名、旭電化社製を、
「MLDPE」は、マレイン酸結合量0.7wt%のマレイン酸変性低密度ポリエチレン 「アドテックス6100M」商品名、三井デュポンポリケミカル社製を示す。
【0045】
「シラン処理水酸化マグネシウム」は、メタクリルシランで表面処理した水酸化マグネシウム 「キスマ5P」商品名、協和化学社製を、
「メラミンシアヌレート」は、ポリビニルアルコール処理品 「MC810」商品名、日産化学社製を、
「老化防止剤」は、「イルガノックス1010」商品名、チバ・スペシャリティケミカルズ社製を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
これらの結果から、本発明の難燃樹脂組成物は、高い難燃性と良好な機械特性を有し、耐熱性、加熱変形性にも優れていることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の難燃樹脂組成物にあっては、高度の難燃性と優れた機械強度、柔軟性、耐熱性、加熱変形性、着色性を有し、燃焼時にハロゲン含有ガスを発生することがなく、埋立処分しても重金属化合物や可塑剤がこれから流出することがない。したがって、本発明の電線は、優れた難燃性、機械的強度、耐熱性等を有し、電気・電子機器等の配線等に好適に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
この発明は、高度の難燃性と優れた機械強度、柔軟性、耐熱性、加熱変形性、着色性を有するノンハロゲンの難燃樹脂組成物およびこの難燃樹脂組成物を被覆材とした電線、ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気・電子機器の内部配線、外部配線等に使用される電線、ケーブルには、高い難燃性を始めとして優れた機械特性、耐熱性などが要求され、これら電線、ケーブルの絶縁体やシースなどの被覆材には、これまで可塑化塩化ビニル樹脂組成物やハロゲン系難燃剤を配合したポリオレフィン系難燃樹脂組成物などが使用されてきた。
【0003】
しかしながら、このような被覆材を焼却処分する際に、ダイオキシン、ハロゲン含有ガス等が発生し、また埋立処分する際に、重金属化合物、可塑剤等が流出するなどして環境汚染の問題が生じている。
このため、ノンハロゲンの難燃樹脂組成物を電線、ケーブルの被覆材とすることが検討されている。
【0004】
このようなノンハロゲンの難燃樹脂組成物としては、現在ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン系ポリマーからなるベースポリマーに水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を比較的多量に配合した難燃樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、上述のように、電気・電子機器類に用いられる電線、ケーブルには、高度の難燃性が要求され、UL1581に規定される垂直燃焼試験のVW−1に合格する必要がある。また、難燃性以外にも、UL規格、電気用品安全法等で引張強度10MPa以上、伸び100%以上の高い機械特性が求められ、さらには100℃以上での加熱変形性等も要求される。
【0006】
これらの要求を満たすため、上述のエチレン系ポリマーからなるベースポリマーに金属水酸化物を配合したノンハロゲンの難燃樹脂組成物に対して以下のような検討がなされてきた。
まず、難燃剤として金属水酸化物のみを配合した場合、要求されるレベルの難燃性を得るには、ベースポリマー100重量部に対して200重量部以上の配合が必要であり、被覆材の厚さによってはこれでも燃焼することがあり、難燃性が十分であるとは言えない。また、ベースポリマー100重量部に対して金属水酸化物を100重量部以上配合すると樹脂組成物の機械特性が大幅に低下し、規格値を満足することができない。
【0007】
また、上記難燃樹脂組成物を過酸化物架橋、電子線架橋などによって架橋することで、機械特性、耐熱性等を改善することは可能であるが、この難燃樹脂組成物をシースとして使用する場合には、架橋することが難しく、架橋しなくとも高い機械特性を有していることが望まれる。さらに、難燃剤として、赤リンと高級脂肪酸表面処理金属水酸化物との組み合わせを用いる場合には、難燃性を満足することは可能であるが、機械特性を考慮して金属水酸化物の配合量をベースポリマー100重量部に対して100重量部以下としたものではUL規格のVW−1に適合する高い難燃性は得られない。
【0008】
また、赤リンを配合した難燃樹脂組成物では、得られる難燃樹脂組成物が濃赤色に着色し、自由な色調の着色が妨げられる欠点もある。
また、金属水酸化物の少量の配合で、難燃性と機械特性とを同時に満足させるため、ベースポリマーとして難燃性が高い酢酸ビニル含量の高いエチレン−酢酸ビニル共重合体を採用することも考えられるが、このエチレン−酢酸ビニル共重合体は溶融温度、軟化温度が低く、得られる難燃樹脂組成物は耐熱性、加熱変形性の要求を満たすことができない。
【0009】
そこで、耐熱性が高く、高強度のプロピレン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーを添加して耐熱性を補うことが考えられるが、これでは難燃樹脂組成物の柔軟性が低下し、この難燃性樹脂組成物からなるシースを有する電線を配電盤等に組み込んだときに、繰り返し屈曲によるシースの割れが生じやすくなり、さらにはフレームとの擦れによってシースが外傷を受けやすくなるなどの問題がある。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−060414号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、電気・電子機器等の電線、ケーブルの被覆材などとしたときに、高度の難燃性、機械特性、耐熱性、加熱変形性、柔軟性を有し、自由な色調に着色ができ、焼却処分の際に有害なハロゲン含有ガスを発生せず、埋立処分の際に重金属化合物、可塑剤の流出がない難燃樹脂組成物を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体40〜70重量部と、アクリル系ゴム20〜30重量部と、マレイン酸変性低密度ポリエチレン10〜30重量部を含むベース樹脂100重量部に対して、金属水酸化物70〜150重量部、メラミンシアヌレート40〜80重量部を配合してなる難燃樹脂組成物である。
【0013】
請求項2にかかる発明は、アクリル系ゴムが、エチレン−アクリル酸共重合体および/またはエチレン−メタクリル酸エステル共重合体25〜75wt%と、エチレン−アクリル−酢酸ビニル共重合体25〜75wt%とのブレンド物である請求項1記載の難燃樹脂組成物である。
【0014】
請求項3にかかる発明は、金属水酸化物が、メタクリルシラン処理金属水酸化物50〜90wt%と、高級脂肪酸処理金属水酸化物10〜50wt%との混合物である請求項1または2記載の難燃樹脂組成物である。
請求項4にかかる発明は、請求項1、2または3記載の難燃樹脂組成物を被覆材料とした電線である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の難燃樹脂組成物をなすベース樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体とアクリル系ゴムとマレイン酸変性低密度ポリエチレンを必須成分として含むブレンドポリマーである。
【0016】
ここでのエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル含有量が12〜35wt%で、メルトフローレイト(温度190℃、荷重2.14kg、時間10分)が0.1〜1の比較的酢酸ビニル含有量が多く、分子量が高いものが用いられ、難燃性が高いものが用いられる。酢酸ビニル含有量が12wt%未満では難燃性が不足し、35wt%を越えると強度が不足する。メルトフローレイトが0.1未満では溶融粘度が高く成形加工性が劣る。
【0017】
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、ポリエチレンなどの他のエチレン系ポリマーに比較して難燃性が高く、酢酸ビニルに起因する極性により金属水酸化物との親和性が高いものでもある。
【0018】
本発明におけるアクリル系ゴムとは、エチレン−アクリル酸共重合体および/またはエチレン−メタクリル酸エステル共重合体25〜75wt%と、エチレン−アクリル−酢酸ビニル共重合体75〜25wt%とのブレンドポリマーであって、ゴム弾性を有するものを言う。
【0019】
エチレン−アクリル酸共重合体には、エチレン含有量が10〜40wt%のものが用いられる。また、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体には、エチレン含有量が30〜50wt%で、メタクリル酸エステルにメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどを用いた共重合体が用いられる。
【0020】
このエチレン−アクリル酸共重合体とエチレン−メタクリル酸エステル共重合体とは、いずれか一方を単独でもしくは両方を混合して用いられ、混合して用いるときの両者の混合比は特に限定されず、任意とされる。
【0021】
また、このブレンドポリマーからなるアクリル系ゴムにおけるエチレン−アクリル−酢酸ビニル共重合体の割合は、アクリル系ゴム全体の25〜75wt%とされ、25wt%未満では強度不良となり、75wt%を越えると伸びが不足する。
【0022】
このアクリル系ゴムは、それ自体高い難燃性と機械特性を有しており、マレイン酸変性低密度ポリエチレンの配合による難燃性の低下を補い、エチレン−酢酸ビニル共重合体とマレイン酸変性低密度ポリエチレンとの相溶性を改善する機能を有し、金属水酸化物の分散性を高める作用を行う。
【0023】
また、マレイン酸変性低密度ポリエチレンには、密度0.93g/cm3以下の低密度ポリエチレンを無水マレイン酸で変性し、ポリエチレン分子にマレイン酸を結合して極性を付与したもので、マレイン酸の結合量が0.5〜5wt%のものが用いられる。
このマレイン酸変性低密度ポリエチレンは、低密度ポリエチレンと無水マレイン酸とを有機過酸化物の存在下に、溶融、混練することで製造される。
【0024】
このマレイン酸変性ポリエチレンは、エチレン−酢酸ビニル共重合体単独では不足する耐熱性と機械特性を高める役割を果たし、そのマレイン酸残基の存在によりエチレン−酢酸ビニル共重合体との相溶性が高められ、金属水酸化物を多量に配合したときの機械特性の低下を抑える。
【0025】
また、ベース樹脂をなすエチレン−酢酸ビニル共重合体とアクリル系ゴムとマレイン酸変性低密度ポリエチレンの各成分の配合量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体が40〜70重量部、アクリル系ゴムが20〜30重量部、好ましくは23〜28重量部、マレイン酸変性低密度ポリエチレンが10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部とされる。
【0026】
アクリル系ゴムが20重量部未満では難燃性を与えることができず、金属水酸化物を多量に配合したときにその分散性が低下し、伸びが低下する。30重量部を越えると機械特性、加熱変形性が低下する。
また、マレイン酸変性低密度ポリエチレンの配合量が10重量部未満では加熱変形性、耐熱性、機械特性が低く、30重量部を越えると、結晶成分が多くなり、柔軟性、屈曲性が悪くなる。
【0027】
このような配合組成のベース樹脂に対して、ノンハロゲンの難燃剤として、金属水酸化物とメラミンシアヌレートが配合される。
ここでの金属水酸化物には、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの1種または2種以上の混合物が用いられ、なかでも難燃効果が高い水酸化マグネシウムが好ましい。
【0028】
また、この金属水酸化物としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、高級脂肪酸などを用いて表面処理したものが、分散性、親和性の点で好ましい。特に、メタクリル基を有するシランカップリング剤、例えばメタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを用いて表面処理したメタクリルシラン処理金属水酸化物50〜90wt%と、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸を用いて表面処理した金属水酸化物10〜50wt%との混合物を用いることが好ましい。
【0029】
このような2種の表面処理金属水酸化物の混合物を用いることで、ベース樹脂に対する親和性、分散性が一層高められて好ましく、金属水酸化物の多量配合による機械特性の低下が抑えられる。
メタクリル基を有するシランカップリング剤を用いて表面処理した金属水酸化物の配合量が50wt%未満となると強度不良となり、90wt%を越えると押出不良および伸びが不足となる。
【0030】
この金属水酸化物の配合量は、上記ベース樹脂100重量部に対して70〜150重量部、好ましくは100〜130重量部の範囲で、要求される難燃性に応じて決められる。これの配合量が、70重量部未満では難燃性、加熱変形性が低下し、150重量部を越えると伸び、強度の機械特性が低下する。
【0031】
なお、金属水酸化物としては、メタクリル基を有するシランカップリング剤を用いて表面処理した金属水酸化物50〜90wt%と、高級脂肪酸を用いて表面処理した金属水酸化物10〜50wt%との混合物を用いると、伸び、強度の低下を抑えつつ180重量部程度の配合が可能となり、高難燃性を確保できる。
【0032】
メラミンシアヌレートは、高い難燃付与効果を有し、これを配合することで良好な難燃性を維持しながら金属水酸化物の配合量を低減でき、強度、伸びの低下をさらに抑えることができる。
このメラミンシアヌレートとしては、平均粒径が10μm以下、好ましくは7μm以下の粒径の小さいものが好ましく、また高級脂肪酸やシランカップリング剤あるいはポリビニルアルコールで表面処理を施したものがベース樹脂に対する親和性、分散性が高められて望ましい。
【0033】
このメラミンシアヌレートの配合量は、ベース樹脂100重量部に対して40〜80重量部、好ましくは、50〜60重量部とされ、40重量部未満では高い難燃性を得ることができず、80重量部を越えると樹脂組成物の溶融時の粘度が高くなり、成形加工性が低下し、伸びも低下する。
【0034】
本発明の難燃樹脂組成物には、必要に応じてアミン系、フェノール系などの老化防止剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、難燃助剤、充填剤などの添加剤を適宜添加することができる。
また、ベース樹脂にも、必要に応じて他のオレフィン系ポリマー、例えばポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体などを少量配合して所望の特性を得るようにしてもよい。
【0035】
本発明の電線は、上述の難燃樹脂組成物を絶縁体、シースなどの被覆材として用いたものであり、ここでの電線にはケーブルも包含されるものとする。
具体的には、この難燃樹脂組成物を密閉型混練機などで混練りしてペレットとし、このペレットをクロスヘッドダイを装着した押出機に供給し、クロスヘッドダイのマンドレルに導体あるいは絶縁線心を連続的に送り込み、この上に難燃樹脂組成物を押出被覆し、絶縁体あるいはシーズとすることで製造される。この被覆材にはあらためて架橋する必要はなく、架橋を行わなくても高い機械特性、耐熱性等が得られる。
【0036】
このような難燃樹脂組成物にあっては、極めて高い難燃性を発揮し、これを被覆材とした電線はUL1581に規定する垂直燃焼試験のVW−1に合格するものとなる。また、機械特性も優れ、引張強度10MPa以上、伸び100%以上の値を示す。さらに、耐熱性、加熱変形性、柔軟性も良好になる。また、樹脂組成物の色が白色であるので、用途に応じた任意の着色を施すことができる。
【0037】
また、樹脂組成物のすべての成分は塩素などのハロゲン元素を含んでいないので、これを焼却時に有害なハロゲン含有ガスが発生することがない。また、鉛化合物などの重金属化合物やフタル酸系の可塑剤を含んでいないので、これを埋立した際にこれらが流出することがなく、環境汚染を招くことがない。
【0038】
以下、具体例を示す。
表1および表2に示す配合組成(重量部表示)の樹脂組成物を用意し、これを混練り、以下のケーブルのシースとして押出被覆した。
このケーブルについて、引張強度、加熱変形性を評価した。また、絶縁ケーブルについて、屈曲性、難燃性を評価した。
【0039】
屈曲性評価用の絶縁ケーブルは、AWG26のポリエチレン絶縁電線を32対集合し、アルミニウムテープを横巻きした上に上記樹脂組成物からなる厚さ0.8mmのシースを押出被覆したものである。
加熱変形試験用の絶縁ケーブルは、ポリエチレン絶縁電線(0.12mm×7ヶ撚り導体)を5心集合し、アルミニウムポリエチレンテレフタレートラミネートテープを横巻きし、この上に上記樹脂組成物からなる厚さ0.65mmのシースを押出被覆したものである。
【0040】
引張強度は、UL1581に準じて行い、その値が10MPa以上を合格とし、これ未満のものを不合格とした。加熱変形性はUL1581に準じ、温度100℃、荷重500gで行い、50%以下を合格とし、これを越えるものを不合格とした。
【0041】
屈曲性は、上記屈曲試験用ケーブルを60cmとり、これの中央部を中心として二つ折りとし、この状態で2枚の平板間に挟み、一方の平板を左右に往復移動させる。平板間の距離が最大で300mmから最小で60mmとなるように一方の平板を3秒に1回の速度で往復移動させ、往復回数5000回以上でシースに亀裂、割れが発生しない場合を合格とし、これ未満で亀裂、割れが発生した場合を不合格とした。
【0042】
また、絶縁ケーブルの難燃性は、UL規格のVW−1の垂直燃焼試験によって実施した。
結果を表1および表2に示す。
【0043】
表1および表2において、
「EVA」は、酢酸ビニル含有量33wt%、メルトフローレイト0.2のエチレン−酢酸ビニル共重合体 「EV180」商品名、三井デュポンポリケミカル社製を、
「EAC」は、二成分系のアクリルゴムで、「ベイマックDP]商品名、三井デュポンポリケミカル社製を示す。
【0044】
「EVAC]は、三成分系のアクリルゴムで、「ER5300]商品名、旭電化社製を、
「MLDPE」は、マレイン酸結合量0.7wt%のマレイン酸変性低密度ポリエチレン 「アドテックス6100M」商品名、三井デュポンポリケミカル社製を示す。
【0045】
「シラン処理水酸化マグネシウム」は、メタクリルシランで表面処理した水酸化マグネシウム 「キスマ5P」商品名、協和化学社製を、
「メラミンシアヌレート」は、ポリビニルアルコール処理品 「MC810」商品名、日産化学社製を、
「老化防止剤」は、「イルガノックス1010」商品名、チバ・スペシャリティケミカルズ社製を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
これらの結果から、本発明の難燃樹脂組成物は、高い難燃性と良好な機械特性を有し、耐熱性、加熱変形性にも優れていることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の難燃樹脂組成物にあっては、高度の難燃性と優れた機械強度、柔軟性、耐熱性、加熱変形性、着色性を有し、燃焼時にハロゲン含有ガスを発生することがなく、埋立処分しても重金属化合物や可塑剤がこれから流出することがない。したがって、本発明の電線は、優れた難燃性、機械的強度、耐熱性等を有し、電気・電子機器等の配線等に好適に使用することができる。
Claims (4)
- エチレン−酢酸ビニル共重合体40〜70重量部と、アクリル系ゴム20〜30重量部と、マレイン酸変性低密度ポリエチレン10〜30重量部を含むベース樹脂100重量部に対して、金属水酸化物70〜150重量部、メラミンシアヌレート40〜80重量部を配合してなる難燃樹脂組成物。
- アクリル系ゴムが、エチレン−アクリル酸共重合体および/またはエチレン−メタクリル酸エステル共重合体25〜75wt%と、エチレン−アクリル−酢酸ビニル共重合体25〜75wt%とのブレンド物である請求項1記載の難燃樹脂組成物。
- 金属水酸化物が、メタクリルシラン処理金属水酸化物50〜90wt%と、高級脂肪酸処理金属水酸化物10〜50wt%との混合物である請求項1または2記載の難燃樹脂組成物。
- 請求項1、2または3記載の難燃樹脂組成物を被覆材とした電線。
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JP2003058628A JP2004269570A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 難燃樹脂組成物 |
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JP2006199951A (ja) * | 2004-12-22 | 2006-08-03 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 難燃性樹脂組成物とそれを用いた成形体 |
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