JP2004269024A - 保護シート - Google Patents
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Abstract
【課題】曲面追従性に優れた、基材破断し難い自然環境にやさしいとくに自動車の輸送時の保護に適した保護シートを提供する。
【解決手段】繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cm〜0.4gf・cm2/cmであり、繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cm〜0.3gf・cm2/cmの範囲にあり、天然繊維を主成分とする基材に天然成分を主成分とする含浸剤が含浸処理された基材と天然粘着剤を使用したことを特徴とする保護シート。
【解決手段】繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cm〜0.4gf・cm2/cmであり、繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cm〜0.3gf・cm2/cmの範囲にあり、天然繊維を主成分とする基材に天然成分を主成分とする含浸剤が含浸処理された基材と天然粘着剤を使用したことを特徴とする保護シート。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護シートに関し、とくに完成した自動車を工場から顧客まで輸送する間に、その塗装を施した表面を損傷から保護する自動車保護シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、完成した自動車を工場から顧客まで輸送する場合は、輸送中の風雨、砂埃、潮風等から塗装表面を保護する為に、該表面に防錆ワックスを塗布し、さらに輸出先では長期に亘って野ざらし状態で保存する必要があり、防錆ワックスの上に保護シートを貼り付け、鳥類の糞害等から守ってきた。この保護シートは一方の面に再剥離性すなわち貼付け後容易に剥がすことのできる粘着剤が塗布されており、この粘着剤により自動車の塗装表面に直接又はワックス等の保護膜を介して貼付けられている。
貼付けに際しては、長尺の保護シートを巻込んだロールから当該保護シートを引き出し、所定の長さに切断してこれを塗装表面又はワックス等の保護膜を介して貼付ける。この保護シートは前記のように完成車を納車するまでの保護材として使用するものであり、価格が安くかつ取り扱いが容易なことが望まれる。また、上記ロールは、保護シートの各層間に剥離紙を挟むことなく、シートどうしを直接重ね合わせて巻かれており、シートの粘着剤を塗布してない背面に、通常離型剤の薄層が設けられ、その外側に巻かれたシート部分の粘着剤に接触している。
【0003】
また、上記所定長に切断された保護シートは、一端から他端へ向かって空気を追い出しながら、塗装表面に貼付けられて行き、該保護シートが大きいと、貼付けている間に空気を巻込んだ場合この空気を追い出すのが困難なので、例えば500mmないし600mm 程度の比較的狭い巾の帯状に形成されており、このような帯状の保護シートが複数板相互に継目を形成しながら順次貼付けられる。
保護シートの基材としては、木材パルプを主体とした和紙やクレープ紙などの紙基材が知られている。これら紙基材を使用した自動車保護シートは、手で容易に切断することができる、所謂手切れ性が良好であることから、また、曲面や凹凸面に追従性が良いものが多品種用意されており、幅広く使用されている。(特許文献1参照)
しかしながら、このように追従性を重視した紙基材の自動車保護シートは、強度が不十分となり、施工後剥がす際にテープ破断しやすいという欠点を有していた。
【特許文献1】特開平6−64658号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境に優しく、曲面、凹凸面への追従性が良くかつ施工後剥がす際にシート破断が少ない自動車保護シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
目的を達成するために、本発明では、自動車保護シートの基材として、曲げ強度及び繊維流れ方向と平行な方向の破断時伸び率が特定の範囲にあり、天然繊維主体である紙、クレープ紙又は不織布を用いることにより、曲面や凹凸面への追従性や施工後剥がす際のシート破断が少なくなるよう向上を図った。
すなわち本発明は、繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cm〜0.4gf・cm2/cmであり、繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cm〜0.3gf・cm2/cmの範囲にあり、繊維流れ方向と平行な方向の破断時伸び率が3%〜10%の範囲にある、天然繊維を主成分とする基材に天然成分を主成分とする含浸剤が含浸処理された基材と天然粘着剤を使用したことを特徴とする保護シートに関する。
【0006】
ここで、本発明の天然繊維を主成分とする基材とは、紙、クレープ紙又は不織布であり、基材が天然繊維のほかに、当該基材の20質量%以下の補強繊維を含有しても良い。補強繊維としては、ポリエステル、レーヨン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリオレフイン、アクリル等の合成繊維や木材パルプ、マニラ麻等の天然パルプ繊維が混抄されて使用されるが、とくにポリエステルが望ましい。補強繊維は、基材の20質量%以下とくに5〜15質量%であることが好ましい。
【0007】
本発明においては、補強繊維であるポリエステルの一部を生分解性ポリエステルに置き換えることができる。
本発明において用いる生分解性ポリエステルとしては、モンサント(株)製のバイオポール(3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸等のポリマー)等の微生物産生のポリマー、ダイセル化学工業(株)製のセルグリーン(酢酸セルロース(PCA)系)等の天然物由来のポリマー、昭和高分子(株)製のビオノーレ(ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートなど)、ダイセル化学工業(株)製のセルグリーン(ポリカプロラクトン系)、三井化学(株)製のレイシア(ポリ乳酸系)等のような化学合成ポリマーなどがあり、特許文献としては特開平04−220478号公報、特開2001−329149号公報、特開2002−20601号公報ほかに示されている生分解性ポリエステルがあり、例えば、脂肪族ポリエステル、ポリラクトン、及びそれらのポリマーを構成するモノマー構成単位の少なくとも一種以上を有する共重合ポリエステルからなる生分解性樹脂組成物や、2−ヒドロキシ−2−アルキル酢酸単位のうち、60モル%以上が乳酸残基である脂肪族カルボン酸と脂肪族ポリオールから合成される脂肪族ポリエステル成分を含むポリマーを必須の成分として含有することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物などがある。
【0008】
天然繊維を主成分とする基材は、繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cm〜0.4gf・cm2/cmであり、繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cm〜0.3gf・cm2/cmの範囲で選択される。繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cmに満たない場合は強度が不十分となり、施工後剥がす際にシート破断し易くなり、0.4gf・cm2/cmを超える場合、追従性に問題が発生する。
繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cmに満たない場合は強度が不十分となり、施工後剥がす際にシート破断し易くなり、0.3gf・cm2/cmを超える場合追従性に問題が発生する。通常、繊維流れ方向と保護シートの長さ方向を一致させ、繊維流れ方向と直交する方向と保護シートの巾方向を一致させている。
また、天然繊維を主成分とする基材は破断時伸び率が3%〜10%の範囲にある必要がある。破断時伸び率が3%以下では、追従性に問題が発生し、破断時伸び率が10%を超えると、貼り付け時にシワが発生し易くなり、作業性に問題が発生する。
【0009】
天然繊維を主成分とする基材は、主として木材パルプを原料としたものが使用されるが、木材パルプにマニラ麻等の天然パルプ短繊維、レーヨン短繊維、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリオレフイン、ポリエステル、アクリル等の合成短繊維を基材の20質量%以下で混抄してもよい。
基材として用いる不織布の製造方法としては特に制限はないが、乾式法、湿式法、スパンボンド法などに代表されるような、主にフリースとよばれる繊維の集積層を形成する方法や、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ポイントシール法、ニードルパンチ法、水流絡合法などに代表されるような、繊維同士を結合させる方法等が用いられる。
【0010】
本発明の天然繊維を主成分とする基材の坪量は、乾燥質量で10〜70g/m2、好ましくは20〜40g/m2の範囲で選択される。基材の坪量が10g/m2以下の場合、基材の強度が十分でないため、施工後剥がす際にテープ破断しやすくなる。逆に、70g/m2を超える場合、基材の強度は十分であるが、追従性に問題が発生する。
本発明において用いる粘着剤としては、天然ゴム系のものが好ましく用いることが出来る。天然ゴムの粘着強度は、周知の方法により、調節することが出来る。
【0011】
本発明の基材の含浸剤に使用される天然成分としては、天然成分であれば特に限定されないが、澱粉や天然ゴムなどが好ましい。澱粉系の含浸剤としては、コーンポール(日本コーンスターチ(株)の商品名)が好適に用いることができる。コーンポールは、可塑剤添加や変性材料の変更等で、ガラス転移温度が異なるものがある。
含浸剤は天然成分の他に、柔軟性や強度付与の目的で当該含浸剤の20重量%以下で天然成分以外の成分を含有しても良い。天然成分以外の成分としては特に制限はないが、例えばアクリルゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合ゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合ゴム、(メタ)アクリル酸グラフト天然ゴム、(メタ)アクリル酸エステルグラフト天然ゴム、スチレングラフト天然ゴム、アクリロニトリルグラフト天然ゴム、合成イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合ゴム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合ゴム、エチレン−アクリロニトリル共重合ゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、シリコーンゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエン、液状スチレン−ブタジエン共重合ゴム、液状アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、液状オキシプロピレンゴムなどの合成ゴム(合成エラストマー)や、セラック、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの樹脂、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、N−アルキロール基やN−アルコキシアルキル基を有するモノマーよりなる群から選ばれた少なくとも2種以上の共重合樹脂などのが挙げられる。
また、成分中に水素添加可能な不飽和の二重結合を有するものについては、その水素添加品も使用可能であるとともに、硫黄を含む加硫剤、無機加硫剤、樹脂加硫剤など種々の加硫剤の他、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミン、ポリエチレンイミン、有機ペルオキシドなどの架橋剤を併用して架橋させてもよい。成分中に官能基を有するものについても、該官能基と反応することができる各種架橋剤、例えば、金属化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを併用することにより架橋させてもよい。含浸剤の含浸量は、通常、基材質量に対して、乾燥質量で5%〜80%、好ましくは10%〜60%の範囲で選択される。また含浸剤に、充填剤、顔料、紫外線吸収剤、老化防止剤を配合すると、紫外線や熱が遮断され、粘着剤層の劣化が防止されるので好ましい。
【0012】
本発明において、使用される充填剤や顔料としては特に限定されないが、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、けい酸アルミニウム、けい酸カルシウム、珪藻土、珪石粉、タルク、シリカ、ゼオライト、アルミナホワイト、グラファイト、酸化チタン、超微粒子酸化チタン、亜鉛華、黒色酸化鉄、雲母状酸化鉄、鉛白、ホワイトカーボン、モリブデンホワイト、カーボンブラック、リサージ、リトポン、バライト、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、ベンガラ、モリブデン赤、鉛丹、黄鉛、カドミウム黄、バリウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、チタンブラック、酸化クロム緑、酸化コバルト、コバルト緑、コバルト・クロム緑、群青、紺青、コバルト青、セルリアン青、マンガン紫、コバルト紫などの無機系のものや、シェラック、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニンブルー、染色レーキなどの有機系のものなどが挙げられる。なお、これら充填剤や顔料は、通常、0.01〜5μm程度の微粒子であるのが望ましい。これらは1種用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。充填剤や顔料を配合する場合、その配合量は、本発明の粘着剤100質量部に対して、通常5〜250質量部の範囲で選択される。
【0013】
本発明において、使用される紫外線防止剤としては特に限定されないが、例えばサリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系のもの、ベンゾトリアゾール系のもの、シアノアクリレート系紫外線架橋剤などが挙げられる。サリチル酸誘導体としては、例えばサリチル酸フェニル、サリチル酸−P−オクチルフェニル、サリチル酸−P−第三ブチルフェニルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系のものとしては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系のものとしては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−n−第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三アミルフェニル)ベンゾトリアゾ―ル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]などが挙げられる。シアノアクリレート系紫外線架橋剤としては、例えば、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどが挙げられる。これら紫外線防止剤は1種用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。紫外線防止剤を配合する場合、その配合量は、本発明の粘着剤100質量部に対して、通常0.1〜5質量部の範囲で選択される。
【0014】
本発明において、使用される老化防止剤としては特に限定されないが、例えば、ナフチルアミン系のもの、P−フェニレンジアミン系のもの、アミン混合物、その他アミン系のもの、キノリン系のもの、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系のもの、ビス,トリス,ポリフェノール系のもの、チオビスフェノール系のもの、ヒンダードフェノール系のもの、亜リン酸エステル系のものなどが挙げられる。これら可塑剤は1種用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。老化防止剤を配合する場合、その配合量は、本発明の粘着剤100質量部に対して、通常0.05〜5質量部の範囲で選択される。
【0015】
本発明の保護シートに適用できる粘着剤は、生分解できることから天然ゴム系のものが望ましい。
【0016】
本発明の保護シートに適用できる粘着性付与樹脂や可塑剤としては特に限定されないが、粘着付与樹脂としては、例えばテルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール系樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂、変性ロジン系樹脂、脂肪族合成石油系樹脂、芳香族合成石油系樹脂、脂環族合成石油系樹脂、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等、可塑剤としては、例えばプロセスオイル、液状ポリブタジエン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、液状テルペン系樹脂、液状テルペンフェノール系樹脂、液状ロジン系樹脂、液状石油系樹脂、液状シリコーン系樹脂、液状クマロン−インデン樹脂、液状キシレン樹脂、液状スチレン樹脂、流動パラフィン、塩化パラフィン、パラフィンワックス、エチレンとα−オレフィンのコオリゴマー、ホワイトオイル、ペトロラタム、石油スルホン酸塩、ギルソナイト、石油アスファルト、フタル酸エステル誘導体、イソフタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2−酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、クエン酸誘導体、イタコン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導体、ステアリン酸誘導体、その他脂肪酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グルタール酸誘導体、その他のモノエステル系可塑剤、グリコール誘導体、グリセリン誘導体、パラフィン誘導体、エポキシ誘導体、重合形可塑剤、動植物油脂系可塑剤などが挙げられる。これら成分の中で、分子中に水素添加可能な不飽和の二重結合を有するものについては、その水素添加品も使用可能であるとともに、官能基を有するものについては該官能基と反応することができる各種架橋剤、例えば、金属化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを併用して架橋させてもよい。架橋剤はそれぞれに応じて1種又は2種、粘着付与剤は1種のみ用いて粘着付与剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着付与樹脂、可塑剤を配合する場合、その配合量は、ベースポリマー100重量部に対して、通常5〜80質量部の範囲で選択される。アンダーコート剤には、必要に応じて本発明の含浸剤に使用されるような、充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線防止剤など、公知の各種添加剤を含有させてもよい
【0017】
本発明の保護シートに適用できる粘着剤の支持体への塗工方法としては通常用いられる方法、例えば、グラビアコータ法、ロールコータ法、リバースコータ法、ドクターブレード法、バーコータ法、コンマコータ法、ファウンテンダイコータ法、リップコータ法、ナイフコータ法などが挙げられる。これらのうち好ましいものはグラビアコータ法、コンマコータ法、リップコータ法である。塗工後は、熱風または(近)赤外線、高周波などのエネルギーにより加熱して溶媒あるいは分散媒の乾燥を行う。粘着剤の乾燥塗工厚さは、通常5〜250μm、好ましくは10〜100μmの範囲で選択される。
【0018】
本発明の保護シートは、周知の方法により粘着剤層中に気泡を含有させてもよい。気泡を含有させる方法としては特に制限はなく、公知の方法、例えばアゾ系、スルホニルヒドラジド系、ニトロソ系、無機系などの、それ自身が熱分解や化学反応を起こして気体を発生する発泡剤を含有させる方法、熱発泡性あるいは熱膨張性のマイクロカプセルを含有させる方法などの化学的方法や、乾燥の際、溶媒あるいは分散媒を急激に揮発させることにより生成する気泡をそのまま含有させる方法、塗工前に粘着剤配合液を急激に攪拌することにより機械的に泡を形成させる方法などの物理的方法が挙げられる。気泡を含有させることにより柔軟性が向上するとともに、表層が粗面となることから、低接着でありながら十分なタックを有する、いわゆる接着性と再剥離性のバランスのとれたシートとなる。
【0019】
本発明の保護シートには支持体の強度を向上させたり、支持体と粘着剤あるいは剥離剤との接着を十分なものにする目的の他、粘着剤あるいは剥離剤の必要以上の支持体への吸収を防ぐ目的で、粘着剤層側の支持体の片面にアンダーコート剤の層や粘着剤層とは反対側の支持体の背面に背面処理剤の層を設けてもよい。
【0020】
アンダーコート剤としては特に限定されないが、例えば天然ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、メタクリル酸メチルグラフト天然ゴム、スチレングラフト天然ゴム、アクリロニトリルグラフト天然ゴム、合成イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム、エチレン−アクリル酸エステル共重合ゴム、エチレン−アクリトニトリル共重合ゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合ゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエン、液状スチレン−ブタジエン共重合ゴム、液状アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、液状オキシプロピレンゴムなどのエラストマーや、セラック、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの樹脂、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、N−アルキロール基、N−アルコキシアルキル基を有する重合性単量体よりなる群から選ばれた少なくとも2種以上の共重合樹脂、官能基を有するエラストマー(クロロブチルゴム、ブロモブチルゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレン、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、液状クロロプレンゴム、液状カルボキシル化ポリイソプレンゴム、液状カルボキシル化ポリブタジエン、液状ヒドロキシル化ポリイソプレン、液状ヒドロキシル化ポリブタジエンゴム、液状アミノ化ポリブタジエンゴム)などが挙げられる。
これらのアンダーコート剤は1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、成分中に水素添加可能な不飽和の二重結合を有するものについては、その水素添加品も使用可能であるとともに、硫黄を含む加硫剤、無機加硫剤、樹脂加硫剤など種々の加硫剤の他、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミン、ポリエチレンイミン、有機ペルオキシドなどの架橋剤を併用して架橋させてもよい。成分中に官能基を有するものについても、該官能基と反応することができる各種架橋剤、例えば、金属化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを併用することにより架橋させてもよい。アンダーコート剤には、必要に応じて本発明の含浸剤に使用されるような、充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線防止剤など、公知の各種添加剤を含有させてもよい。
アンダーコート剤の塗布量は、乾燥質量で通常0.1〜20g/m2、好ましくは2〜10g/m2の範囲で選択される。
【0021】
本発明の保護シートに適用できる背面処理剤としては、特に限定されないが、例えばセラック、澱粉などの天然樹脂や、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの合成樹脂が挙げられる。
これらの背面処理剤は1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
背面処理剤の塗布量は、乾燥質量で通常1〜20g/m2、好ましくは2〜10g/m2の範囲での範囲で選択される。背面処理剤には、必要に応じて本発明の粘着剤に使用されるような、充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線防止剤など公知の各種添加剤や、ビーズ状材料等の光を乱反射させる材料を含有させてもよい。
【0022】
本発明の保護シートはロール状に巻回したシートの剥離あるいは展開をスムーズにする為に、支持体背面に直接、または背面処理剤の層を介して、剥離剤層を設けてもよい。剥離剤としては例えば、以下に示すものが挙げられる。
1)アルキルペンダント系剥離剤
(a)ステアリルアクリレートとアクリル酸、アクリロニトリルまたは酢酸ビニルの共重合物
(b)ステアリルアクリルアミドとアクリル酸またはアクリロニトリルの共重合物
(c)ステアリルビニルエーテルとアクリル酸、無水マレイン酸またはアクリロニトリルの共重合物
(d)セルロースまたはポリビニルアルコールと塩化ステアロイルとの反応生成物
(e)ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリエステルなどの活性水素をもつ共重合体をステアリルイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートで変性したもの
2)縮合ワックス系剥離剤
(a)ベヘニルアミノプロピルアミンまたはα−モノステアレートとジカルボン酸またはポリイソシアネート化合物との反応性成物であるポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン
(b)長鎖アルキルワーナー錯塩
(c)セラックワックス
3)ポリエチレンイミン誘導体
(a)ポリ(N−ステアロイルエチレンイミン)
(b)ポリエチレンイミンと脂肪族イソシアネート、例えば、C18H37NCOとの反応生成物であるアルキル尿素誘導体
これらの剥離剤は1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、成分中に官能基を有するものについては、該官能基と反応することができる各種架橋剤、例えば、金属化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを併用することにより架橋させてもよい。
剥離剤の塗布量は、通常0.01〜10g/m2、好ましくは0.1〜1g/m2の範囲で選択される。
【0023】
本発明の保護シートは通常、ロール状あるいは円筒状の巻回物である支持体を巻戻しながら供給し、その片面に上記粘着剤を常法で塗被し、接着剤層を内側に巻き込むように適当な芯材を中にして巻回することによって得られる巻回物の形状で提供される。
【0024】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0025】
[基材の調整例−1]
木材パルプ、ビニロン、生分解性ポリエステル「モンサント(株)製のバイオポール(3−ヒドロキシ酪酸ポリマー)」を90:5:5の割合で配合し、湿式法で抄紙することにより厚み60μ、乾燥重量で30g/m2のベース紙基材を得た。これに生分解性澱粉プラスチックのエマルション溶液「コーンポール」(日本コーンスターチ(株)の商品名)を乾燥重量で15g/m2含浸処理することにより表1に示すような曲げ強度、引張り強度の天然繊維を主成分とする基材(a−1)を得た。
【0026】
[基材の調整例−2]
木材パルプ、ビニロン、生分解性ポリエステル「モンサント(株)製のバイオポール(3−ヒドロキシ酪酸ポリマー)」を80:5:15の割合で配合し、湿式法で抄紙することにより厚み60μ、乾燥重量で30g/m2のベース紙基材を得た。これに生分解性澱粉プラスチックのエマルション溶液「コーンポール」(日本コーンスターチ(株)の商品名)を乾燥重量で15g/m2含浸処理することにより表1に示すような曲げ強度、引張り強度の天然繊維を主成分とする基材(a−2)を得た。
【0027】
[粘着剤の調整例−1]
ロール式ゴム練り装置によりムーニー粘度を60に調整した天然ゴム100重量部に、天然テルペン系粘着剤付与樹脂「ヤスハラケミカル(株)製のPX−1000」 40重量部、天然テルペン系可塑剤「ヤスハラケミカル製のYSレジンLP」 20重量部、老化防止剤「三新化学工業(株)製のサンダント2246」 0.02重量部をトルエン溶剤中で溶解混合することにより、天然ゴム系の粘着剤(b−1)を得た。
【0028】
[粘着剤の調整例−2]
ロール式ゴム練り装置によりムーニー粘度を60に調整した天然ゴム100重量部に、天然ロジン系粘着剤付与樹脂「荒川工業(株)製の中国ロジン」 30重量部、天然テルペン系可塑剤「ヤスハラケミカル製のYSレジンLP」 20重量部、老化防止剤「三新化学工業(株)製のサンダント2246」 0.02重量部をトルエン溶剤中で溶解混合することにより、天然ゴム系の粘着剤(b−2)を得た。
【0029】
[実施例−1]
基材の調整例−1で得た基材(a−1)に、粘着剤の調整例−1で得た粘着剤(b−1)をロールコータ法により乾燥重量で30g/m2塗布することにより目的の粘着保護シートを得た。
【0030】
[実施例2]
基材の調整例−1(a−1)で得た基材に、粘着剤の調整例−2(b−2)で得た粘着剤をロールコータ法により乾燥重量で30g/m2塗布することにより目的の粘着シートを得た。
【0031】
[実施例3]
基材の調整例−2(a−2)で得た基材に、粘着剤の調整例−2で得た粘着剤(b−2)をロールコータ法により乾燥重量で30g/m2塗布することにより目的の粘着シートを得た。
【0032】
[実施例4〜6]
ガラス転移温度(Tg)の違う含浸剤<コーンポール(日本コーンスターチ(株)の商品名)>を使用した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
【0033】
[実施例7]
コーンポール(日本コーンスターチ(株)の商品名)とビオノーレ(昭和高分子(株)の商品名)を7:3でブレンドして調整した含浸剤c−1を使用した以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0034】
[比較例1]
基材の含浸剤にセラックを使用した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
【0035】
[比較例2]
ベース基材の坪量を乾燥重量で90g/m2に調整した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
そのについて
【0036】
試験片を、曲面追従性、耐基材破断性の2項目でテストした。
(1)曲面追従性:試験片には、幅150mm、長さ300mmのものを用い、また被着体には自動車塗装面(曲面)を使用し、23℃ 65%条件下で被着体に完全に追従させるように貼り付けた時の貼り付け易さ(追従し易さ)を測定者が判断し、次の基準で判定した。
〇:良い
△:普通
×:悪い
(2)耐基材破断性:試験片には、幅150mm、長さ300mmのものを用い、被着体として自動車塗装面を使用し、試験片を貼り付けたものを温度60℃、湿度50%にて30日間保管した後、剥がした時の基材破損状態を測定者が判断し、次の基準で判定した。
〇:良い
△:普通
×:悪い
実施例及び比較例の試験片を、曲面追従性、耐基材破断性の2項目でテストした結果について、表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明に係る繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cm〜0.4gf・cm2/cmであり、繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cm〜0.3gf・cm2/cmの範囲にあり、繊維流れ方向と平行な方向の破断時伸び率が3%〜10%の範囲にある、天然繊維を主成分とする基材に天然成分を主成分とする含浸剤が含浸処理された基材と天然粘着剤を使用したことを特徴とする保護シートは自然環境にやさしく、かつ曲面や凹凸面への追従性が良く、剥がし作業時にはシート破断し難いことから作業性に優れ、幅広い用途とくに自動車の輸送時の保護に適した保護シートに対応することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護シートに関し、とくに完成した自動車を工場から顧客まで輸送する間に、その塗装を施した表面を損傷から保護する自動車保護シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、完成した自動車を工場から顧客まで輸送する場合は、輸送中の風雨、砂埃、潮風等から塗装表面を保護する為に、該表面に防錆ワックスを塗布し、さらに輸出先では長期に亘って野ざらし状態で保存する必要があり、防錆ワックスの上に保護シートを貼り付け、鳥類の糞害等から守ってきた。この保護シートは一方の面に再剥離性すなわち貼付け後容易に剥がすことのできる粘着剤が塗布されており、この粘着剤により自動車の塗装表面に直接又はワックス等の保護膜を介して貼付けられている。
貼付けに際しては、長尺の保護シートを巻込んだロールから当該保護シートを引き出し、所定の長さに切断してこれを塗装表面又はワックス等の保護膜を介して貼付ける。この保護シートは前記のように完成車を納車するまでの保護材として使用するものであり、価格が安くかつ取り扱いが容易なことが望まれる。また、上記ロールは、保護シートの各層間に剥離紙を挟むことなく、シートどうしを直接重ね合わせて巻かれており、シートの粘着剤を塗布してない背面に、通常離型剤の薄層が設けられ、その外側に巻かれたシート部分の粘着剤に接触している。
【0003】
また、上記所定長に切断された保護シートは、一端から他端へ向かって空気を追い出しながら、塗装表面に貼付けられて行き、該保護シートが大きいと、貼付けている間に空気を巻込んだ場合この空気を追い出すのが困難なので、例えば500mmないし600mm 程度の比較的狭い巾の帯状に形成されており、このような帯状の保護シートが複数板相互に継目を形成しながら順次貼付けられる。
保護シートの基材としては、木材パルプを主体とした和紙やクレープ紙などの紙基材が知られている。これら紙基材を使用した自動車保護シートは、手で容易に切断することができる、所謂手切れ性が良好であることから、また、曲面や凹凸面に追従性が良いものが多品種用意されており、幅広く使用されている。(特許文献1参照)
しかしながら、このように追従性を重視した紙基材の自動車保護シートは、強度が不十分となり、施工後剥がす際にテープ破断しやすいという欠点を有していた。
【特許文献1】特開平6−64658号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、環境に優しく、曲面、凹凸面への追従性が良くかつ施工後剥がす際にシート破断が少ない自動車保護シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
目的を達成するために、本発明では、自動車保護シートの基材として、曲げ強度及び繊維流れ方向と平行な方向の破断時伸び率が特定の範囲にあり、天然繊維主体である紙、クレープ紙又は不織布を用いることにより、曲面や凹凸面への追従性や施工後剥がす際のシート破断が少なくなるよう向上を図った。
すなわち本発明は、繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cm〜0.4gf・cm2/cmであり、繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cm〜0.3gf・cm2/cmの範囲にあり、繊維流れ方向と平行な方向の破断時伸び率が3%〜10%の範囲にある、天然繊維を主成分とする基材に天然成分を主成分とする含浸剤が含浸処理された基材と天然粘着剤を使用したことを特徴とする保護シートに関する。
【0006】
ここで、本発明の天然繊維を主成分とする基材とは、紙、クレープ紙又は不織布であり、基材が天然繊維のほかに、当該基材の20質量%以下の補強繊維を含有しても良い。補強繊維としては、ポリエステル、レーヨン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリオレフイン、アクリル等の合成繊維や木材パルプ、マニラ麻等の天然パルプ繊維が混抄されて使用されるが、とくにポリエステルが望ましい。補強繊維は、基材の20質量%以下とくに5〜15質量%であることが好ましい。
【0007】
本発明においては、補強繊維であるポリエステルの一部を生分解性ポリエステルに置き換えることができる。
本発明において用いる生分解性ポリエステルとしては、モンサント(株)製のバイオポール(3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸等のポリマー)等の微生物産生のポリマー、ダイセル化学工業(株)製のセルグリーン(酢酸セルロース(PCA)系)等の天然物由来のポリマー、昭和高分子(株)製のビオノーレ(ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートなど)、ダイセル化学工業(株)製のセルグリーン(ポリカプロラクトン系)、三井化学(株)製のレイシア(ポリ乳酸系)等のような化学合成ポリマーなどがあり、特許文献としては特開平04−220478号公報、特開2001−329149号公報、特開2002−20601号公報ほかに示されている生分解性ポリエステルがあり、例えば、脂肪族ポリエステル、ポリラクトン、及びそれらのポリマーを構成するモノマー構成単位の少なくとも一種以上を有する共重合ポリエステルからなる生分解性樹脂組成物や、2−ヒドロキシ−2−アルキル酢酸単位のうち、60モル%以上が乳酸残基である脂肪族カルボン酸と脂肪族ポリオールから合成される脂肪族ポリエステル成分を含むポリマーを必須の成分として含有することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物などがある。
【0008】
天然繊維を主成分とする基材は、繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cm〜0.4gf・cm2/cmであり、繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cm〜0.3gf・cm2/cmの範囲で選択される。繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cmに満たない場合は強度が不十分となり、施工後剥がす際にシート破断し易くなり、0.4gf・cm2/cmを超える場合、追従性に問題が発生する。
繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cmに満たない場合は強度が不十分となり、施工後剥がす際にシート破断し易くなり、0.3gf・cm2/cmを超える場合追従性に問題が発生する。通常、繊維流れ方向と保護シートの長さ方向を一致させ、繊維流れ方向と直交する方向と保護シートの巾方向を一致させている。
また、天然繊維を主成分とする基材は破断時伸び率が3%〜10%の範囲にある必要がある。破断時伸び率が3%以下では、追従性に問題が発生し、破断時伸び率が10%を超えると、貼り付け時にシワが発生し易くなり、作業性に問題が発生する。
【0009】
天然繊維を主成分とする基材は、主として木材パルプを原料としたものが使用されるが、木材パルプにマニラ麻等の天然パルプ短繊維、レーヨン短繊維、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリオレフイン、ポリエステル、アクリル等の合成短繊維を基材の20質量%以下で混抄してもよい。
基材として用いる不織布の製造方法としては特に制限はないが、乾式法、湿式法、スパンボンド法などに代表されるような、主にフリースとよばれる繊維の集積層を形成する方法や、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ポイントシール法、ニードルパンチ法、水流絡合法などに代表されるような、繊維同士を結合させる方法等が用いられる。
【0010】
本発明の天然繊維を主成分とする基材の坪量は、乾燥質量で10〜70g/m2、好ましくは20〜40g/m2の範囲で選択される。基材の坪量が10g/m2以下の場合、基材の強度が十分でないため、施工後剥がす際にテープ破断しやすくなる。逆に、70g/m2を超える場合、基材の強度は十分であるが、追従性に問題が発生する。
本発明において用いる粘着剤としては、天然ゴム系のものが好ましく用いることが出来る。天然ゴムの粘着強度は、周知の方法により、調節することが出来る。
【0011】
本発明の基材の含浸剤に使用される天然成分としては、天然成分であれば特に限定されないが、澱粉や天然ゴムなどが好ましい。澱粉系の含浸剤としては、コーンポール(日本コーンスターチ(株)の商品名)が好適に用いることができる。コーンポールは、可塑剤添加や変性材料の変更等で、ガラス転移温度が異なるものがある。
含浸剤は天然成分の他に、柔軟性や強度付与の目的で当該含浸剤の20重量%以下で天然成分以外の成分を含有しても良い。天然成分以外の成分としては特に制限はないが、例えばアクリルゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合ゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合ゴム、(メタ)アクリル酸グラフト天然ゴム、(メタ)アクリル酸エステルグラフト天然ゴム、スチレングラフト天然ゴム、アクリロニトリルグラフト天然ゴム、合成イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合ゴム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合ゴム、エチレン−アクリロニトリル共重合ゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、シリコーンゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエン、液状スチレン−ブタジエン共重合ゴム、液状アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、液状オキシプロピレンゴムなどの合成ゴム(合成エラストマー)や、セラック、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの樹脂、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、N−アルキロール基やN−アルコキシアルキル基を有するモノマーよりなる群から選ばれた少なくとも2種以上の共重合樹脂などのが挙げられる。
また、成分中に水素添加可能な不飽和の二重結合を有するものについては、その水素添加品も使用可能であるとともに、硫黄を含む加硫剤、無機加硫剤、樹脂加硫剤など種々の加硫剤の他、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミン、ポリエチレンイミン、有機ペルオキシドなどの架橋剤を併用して架橋させてもよい。成分中に官能基を有するものについても、該官能基と反応することができる各種架橋剤、例えば、金属化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを併用することにより架橋させてもよい。含浸剤の含浸量は、通常、基材質量に対して、乾燥質量で5%〜80%、好ましくは10%〜60%の範囲で選択される。また含浸剤に、充填剤、顔料、紫外線吸収剤、老化防止剤を配合すると、紫外線や熱が遮断され、粘着剤層の劣化が防止されるので好ましい。
【0012】
本発明において、使用される充填剤や顔料としては特に限定されないが、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、けい酸アルミニウム、けい酸カルシウム、珪藻土、珪石粉、タルク、シリカ、ゼオライト、アルミナホワイト、グラファイト、酸化チタン、超微粒子酸化チタン、亜鉛華、黒色酸化鉄、雲母状酸化鉄、鉛白、ホワイトカーボン、モリブデンホワイト、カーボンブラック、リサージ、リトポン、バライト、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、ベンガラ、モリブデン赤、鉛丹、黄鉛、カドミウム黄、バリウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、チタンブラック、酸化クロム緑、酸化コバルト、コバルト緑、コバルト・クロム緑、群青、紺青、コバルト青、セルリアン青、マンガン紫、コバルト紫などの無機系のものや、シェラック、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニンブルー、染色レーキなどの有機系のものなどが挙げられる。なお、これら充填剤や顔料は、通常、0.01〜5μm程度の微粒子であるのが望ましい。これらは1種用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。充填剤や顔料を配合する場合、その配合量は、本発明の粘着剤100質量部に対して、通常5〜250質量部の範囲で選択される。
【0013】
本発明において、使用される紫外線防止剤としては特に限定されないが、例えばサリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系のもの、ベンゾトリアゾール系のもの、シアノアクリレート系紫外線架橋剤などが挙げられる。サリチル酸誘導体としては、例えばサリチル酸フェニル、サリチル酸−P−オクチルフェニル、サリチル酸−P−第三ブチルフェニルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系のものとしては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系のものとしては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−n−第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三アミルフェニル)ベンゾトリアゾ―ル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]などが挙げられる。シアノアクリレート系紫外線架橋剤としては、例えば、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどが挙げられる。これら紫外線防止剤は1種用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。紫外線防止剤を配合する場合、その配合量は、本発明の粘着剤100質量部に対して、通常0.1〜5質量部の範囲で選択される。
【0014】
本発明において、使用される老化防止剤としては特に限定されないが、例えば、ナフチルアミン系のもの、P−フェニレンジアミン系のもの、アミン混合物、その他アミン系のもの、キノリン系のもの、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系のもの、ビス,トリス,ポリフェノール系のもの、チオビスフェノール系のもの、ヒンダードフェノール系のもの、亜リン酸エステル系のものなどが挙げられる。これら可塑剤は1種用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。老化防止剤を配合する場合、その配合量は、本発明の粘着剤100質量部に対して、通常0.05〜5質量部の範囲で選択される。
【0015】
本発明の保護シートに適用できる粘着剤は、生分解できることから天然ゴム系のものが望ましい。
【0016】
本発明の保護シートに適用できる粘着性付与樹脂や可塑剤としては特に限定されないが、粘着付与樹脂としては、例えばテルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール系樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂、変性ロジン系樹脂、脂肪族合成石油系樹脂、芳香族合成石油系樹脂、脂環族合成石油系樹脂、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等、可塑剤としては、例えばプロセスオイル、液状ポリブタジエン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、液状テルペン系樹脂、液状テルペンフェノール系樹脂、液状ロジン系樹脂、液状石油系樹脂、液状シリコーン系樹脂、液状クマロン−インデン樹脂、液状キシレン樹脂、液状スチレン樹脂、流動パラフィン、塩化パラフィン、パラフィンワックス、エチレンとα−オレフィンのコオリゴマー、ホワイトオイル、ペトロラタム、石油スルホン酸塩、ギルソナイト、石油アスファルト、フタル酸エステル誘導体、イソフタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2−酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、クエン酸誘導体、イタコン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導体、ステアリン酸誘導体、その他脂肪酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グルタール酸誘導体、その他のモノエステル系可塑剤、グリコール誘導体、グリセリン誘導体、パラフィン誘導体、エポキシ誘導体、重合形可塑剤、動植物油脂系可塑剤などが挙げられる。これら成分の中で、分子中に水素添加可能な不飽和の二重結合を有するものについては、その水素添加品も使用可能であるとともに、官能基を有するものについては該官能基と反応することができる各種架橋剤、例えば、金属化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを併用して架橋させてもよい。架橋剤はそれぞれに応じて1種又は2種、粘着付与剤は1種のみ用いて粘着付与剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着付与樹脂、可塑剤を配合する場合、その配合量は、ベースポリマー100重量部に対して、通常5〜80質量部の範囲で選択される。アンダーコート剤には、必要に応じて本発明の含浸剤に使用されるような、充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線防止剤など、公知の各種添加剤を含有させてもよい
【0017】
本発明の保護シートに適用できる粘着剤の支持体への塗工方法としては通常用いられる方法、例えば、グラビアコータ法、ロールコータ法、リバースコータ法、ドクターブレード法、バーコータ法、コンマコータ法、ファウンテンダイコータ法、リップコータ法、ナイフコータ法などが挙げられる。これらのうち好ましいものはグラビアコータ法、コンマコータ法、リップコータ法である。塗工後は、熱風または(近)赤外線、高周波などのエネルギーにより加熱して溶媒あるいは分散媒の乾燥を行う。粘着剤の乾燥塗工厚さは、通常5〜250μm、好ましくは10〜100μmの範囲で選択される。
【0018】
本発明の保護シートは、周知の方法により粘着剤層中に気泡を含有させてもよい。気泡を含有させる方法としては特に制限はなく、公知の方法、例えばアゾ系、スルホニルヒドラジド系、ニトロソ系、無機系などの、それ自身が熱分解や化学反応を起こして気体を発生する発泡剤を含有させる方法、熱発泡性あるいは熱膨張性のマイクロカプセルを含有させる方法などの化学的方法や、乾燥の際、溶媒あるいは分散媒を急激に揮発させることにより生成する気泡をそのまま含有させる方法、塗工前に粘着剤配合液を急激に攪拌することにより機械的に泡を形成させる方法などの物理的方法が挙げられる。気泡を含有させることにより柔軟性が向上するとともに、表層が粗面となることから、低接着でありながら十分なタックを有する、いわゆる接着性と再剥離性のバランスのとれたシートとなる。
【0019】
本発明の保護シートには支持体の強度を向上させたり、支持体と粘着剤あるいは剥離剤との接着を十分なものにする目的の他、粘着剤あるいは剥離剤の必要以上の支持体への吸収を防ぐ目的で、粘着剤層側の支持体の片面にアンダーコート剤の層や粘着剤層とは反対側の支持体の背面に背面処理剤の層を設けてもよい。
【0020】
アンダーコート剤としては特に限定されないが、例えば天然ゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、メタクリル酸メチルグラフト天然ゴム、スチレングラフト天然ゴム、アクリロニトリルグラフト天然ゴム、合成イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合ゴム、エチレン−アクリル酸エステル共重合ゴム、エチレン−アクリトニトリル共重合ゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合ゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエン、液状スチレン−ブタジエン共重合ゴム、液状アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、液状オキシプロピレンゴムなどのエラストマーや、セラック、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの樹脂、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、N−アルキロール基、N−アルコキシアルキル基を有する重合性単量体よりなる群から選ばれた少なくとも2種以上の共重合樹脂、官能基を有するエラストマー(クロロブチルゴム、ブロモブチルゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレン、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、液状クロロプレンゴム、液状カルボキシル化ポリイソプレンゴム、液状カルボキシル化ポリブタジエン、液状ヒドロキシル化ポリイソプレン、液状ヒドロキシル化ポリブタジエンゴム、液状アミノ化ポリブタジエンゴム)などが挙げられる。
これらのアンダーコート剤は1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、成分中に水素添加可能な不飽和の二重結合を有するものについては、その水素添加品も使用可能であるとともに、硫黄を含む加硫剤、無機加硫剤、樹脂加硫剤など種々の加硫剤の他、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミン、ポリエチレンイミン、有機ペルオキシドなどの架橋剤を併用して架橋させてもよい。成分中に官能基を有するものについても、該官能基と反応することができる各種架橋剤、例えば、金属化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを併用することにより架橋させてもよい。アンダーコート剤には、必要に応じて本発明の含浸剤に使用されるような、充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線防止剤など、公知の各種添加剤を含有させてもよい。
アンダーコート剤の塗布量は、乾燥質量で通常0.1〜20g/m2、好ましくは2〜10g/m2の範囲で選択される。
【0021】
本発明の保護シートに適用できる背面処理剤としては、特に限定されないが、例えばセラック、澱粉などの天然樹脂や、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの合成樹脂が挙げられる。
これらの背面処理剤は1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
背面処理剤の塗布量は、乾燥質量で通常1〜20g/m2、好ましくは2〜10g/m2の範囲での範囲で選択される。背面処理剤には、必要に応じて本発明の粘着剤に使用されるような、充填剤、顔料、老化防止剤、紫外線防止剤など公知の各種添加剤や、ビーズ状材料等の光を乱反射させる材料を含有させてもよい。
【0022】
本発明の保護シートはロール状に巻回したシートの剥離あるいは展開をスムーズにする為に、支持体背面に直接、または背面処理剤の層を介して、剥離剤層を設けてもよい。剥離剤としては例えば、以下に示すものが挙げられる。
1)アルキルペンダント系剥離剤
(a)ステアリルアクリレートとアクリル酸、アクリロニトリルまたは酢酸ビニルの共重合物
(b)ステアリルアクリルアミドとアクリル酸またはアクリロニトリルの共重合物
(c)ステアリルビニルエーテルとアクリル酸、無水マレイン酸またはアクリロニトリルの共重合物
(d)セルロースまたはポリビニルアルコールと塩化ステアロイルとの反応生成物
(e)ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリエステルなどの活性水素をもつ共重合体をステアリルイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートで変性したもの
2)縮合ワックス系剥離剤
(a)ベヘニルアミノプロピルアミンまたはα−モノステアレートとジカルボン酸またはポリイソシアネート化合物との反応性成物であるポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン
(b)長鎖アルキルワーナー錯塩
(c)セラックワックス
3)ポリエチレンイミン誘導体
(a)ポリ(N−ステアロイルエチレンイミン)
(b)ポリエチレンイミンと脂肪族イソシアネート、例えば、C18H37NCOとの反応生成物であるアルキル尿素誘導体
これらの剥離剤は1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、成分中に官能基を有するものについては、該官能基と反応することができる各種架橋剤、例えば、金属化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを併用することにより架橋させてもよい。
剥離剤の塗布量は、通常0.01〜10g/m2、好ましくは0.1〜1g/m2の範囲で選択される。
【0023】
本発明の保護シートは通常、ロール状あるいは円筒状の巻回物である支持体を巻戻しながら供給し、その片面に上記粘着剤を常法で塗被し、接着剤層を内側に巻き込むように適当な芯材を中にして巻回することによって得られる巻回物の形状で提供される。
【0024】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0025】
[基材の調整例−1]
木材パルプ、ビニロン、生分解性ポリエステル「モンサント(株)製のバイオポール(3−ヒドロキシ酪酸ポリマー)」を90:5:5の割合で配合し、湿式法で抄紙することにより厚み60μ、乾燥重量で30g/m2のベース紙基材を得た。これに生分解性澱粉プラスチックのエマルション溶液「コーンポール」(日本コーンスターチ(株)の商品名)を乾燥重量で15g/m2含浸処理することにより表1に示すような曲げ強度、引張り強度の天然繊維を主成分とする基材(a−1)を得た。
【0026】
[基材の調整例−2]
木材パルプ、ビニロン、生分解性ポリエステル「モンサント(株)製のバイオポール(3−ヒドロキシ酪酸ポリマー)」を80:5:15の割合で配合し、湿式法で抄紙することにより厚み60μ、乾燥重量で30g/m2のベース紙基材を得た。これに生分解性澱粉プラスチックのエマルション溶液「コーンポール」(日本コーンスターチ(株)の商品名)を乾燥重量で15g/m2含浸処理することにより表1に示すような曲げ強度、引張り強度の天然繊維を主成分とする基材(a−2)を得た。
【0027】
[粘着剤の調整例−1]
ロール式ゴム練り装置によりムーニー粘度を60に調整した天然ゴム100重量部に、天然テルペン系粘着剤付与樹脂「ヤスハラケミカル(株)製のPX−1000」 40重量部、天然テルペン系可塑剤「ヤスハラケミカル製のYSレジンLP」 20重量部、老化防止剤「三新化学工業(株)製のサンダント2246」 0.02重量部をトルエン溶剤中で溶解混合することにより、天然ゴム系の粘着剤(b−1)を得た。
【0028】
[粘着剤の調整例−2]
ロール式ゴム練り装置によりムーニー粘度を60に調整した天然ゴム100重量部に、天然ロジン系粘着剤付与樹脂「荒川工業(株)製の中国ロジン」 30重量部、天然テルペン系可塑剤「ヤスハラケミカル製のYSレジンLP」 20重量部、老化防止剤「三新化学工業(株)製のサンダント2246」 0.02重量部をトルエン溶剤中で溶解混合することにより、天然ゴム系の粘着剤(b−2)を得た。
【0029】
[実施例−1]
基材の調整例−1で得た基材(a−1)に、粘着剤の調整例−1で得た粘着剤(b−1)をロールコータ法により乾燥重量で30g/m2塗布することにより目的の粘着保護シートを得た。
【0030】
[実施例2]
基材の調整例−1(a−1)で得た基材に、粘着剤の調整例−2(b−2)で得た粘着剤をロールコータ法により乾燥重量で30g/m2塗布することにより目的の粘着シートを得た。
【0031】
[実施例3]
基材の調整例−2(a−2)で得た基材に、粘着剤の調整例−2で得た粘着剤(b−2)をロールコータ法により乾燥重量で30g/m2塗布することにより目的の粘着シートを得た。
【0032】
[実施例4〜6]
ガラス転移温度(Tg)の違う含浸剤<コーンポール(日本コーンスターチ(株)の商品名)>を使用した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
【0033】
[実施例7]
コーンポール(日本コーンスターチ(株)の商品名)とビオノーレ(昭和高分子(株)の商品名)を7:3でブレンドして調整した含浸剤c−1を使用した以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0034】
[比較例1]
基材の含浸剤にセラックを使用した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
【0035】
[比較例2]
ベース基材の坪量を乾燥重量で90g/m2に調整した以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
そのについて
【0036】
試験片を、曲面追従性、耐基材破断性の2項目でテストした。
(1)曲面追従性:試験片には、幅150mm、長さ300mmのものを用い、また被着体には自動車塗装面(曲面)を使用し、23℃ 65%条件下で被着体に完全に追従させるように貼り付けた時の貼り付け易さ(追従し易さ)を測定者が判断し、次の基準で判定した。
〇:良い
△:普通
×:悪い
(2)耐基材破断性:試験片には、幅150mm、長さ300mmのものを用い、被着体として自動車塗装面を使用し、試験片を貼り付けたものを温度60℃、湿度50%にて30日間保管した後、剥がした時の基材破損状態を測定者が判断し、次の基準で判定した。
〇:良い
△:普通
×:悪い
実施例及び比較例の試験片を、曲面追従性、耐基材破断性の2項目でテストした結果について、表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明に係る繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cm〜0.4gf・cm2/cmであり、繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cm〜0.3gf・cm2/cmの範囲にあり、繊維流れ方向と平行な方向の破断時伸び率が3%〜10%の範囲にある、天然繊維を主成分とする基材に天然成分を主成分とする含浸剤が含浸処理された基材と天然粘着剤を使用したことを特徴とする保護シートは自然環境にやさしく、かつ曲面や凹凸面への追従性が良く、剥がし作業時にはシート破断し難いことから作業性に優れ、幅広い用途とくに自動車の輸送時の保護に適した保護シートに対応することができる。
Claims (8)
- 繊維流れ方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.03gf・cm2/cm〜0.4gf・cm2/cmであり、繊維流れ方向と直交する方向の表裏両サイドへの曲げ硬さの平均値が0.01gf・cm2/cm〜0.3gf・cm2/cmの範囲にあり、繊維流れ方向と平行な方向の破断時伸び率が2%〜10%の範囲にある、天然繊維を主成分とする基材に天然成分を主成分とする含浸剤が含浸処理された基材と天然粘着剤を使用したことを特徴とする保護シート。
- 基材が紙、クレープ紙又は不織布である請求項1記載の保護シート。
- 基材が天然繊維のほかに、当該基材の20質量%以下の補強繊維を含有する請求項1又は請求項2に記載した保護シート。
- 補強繊維が、ポリエステル、レーヨン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリオレフイン、アクリルの合成繊維又は木材パルプ、マニラ麻等の天然パルプ繊維から選ばれる繊維の1種又は2種以上である請求項3に記載した保護シート。
- 合成繊維の一部が生分解性である請求項4に記載した保護シート
- 天然繊維が木材パルプであり、天然粘着剤が天然ゴム系であり、天然離型剤がセラックである請求項1ないし請求項4のいずれかひとつに記載した保護シート。
- 天然粘着剤が紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料を含有する請求項1ないし請求項5のいずれかひとつに記載した保護シート。
- 請求項1ないし請求7に記載した保護シートを自動車の輸送時の保護に用いること。
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