JP2004268494A - 木材の乾燥方法及び乾燥装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧力容器を用いて短時間で目標含水率を達成することができる木材乾燥方法及び木材乾燥装置を提供することを目的とする。
【解決手段】木材乾燥装置1において、圧力容器3内に木材を収容し、まず、減圧工程Aとして真空ポンプ13により容器内を減圧した後、昇温乾燥工程Bとして熱風発生器9により高温空気よりなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させる。続いて、再減圧工程Cとして真空ポンプ13により容器内を減圧した後、再昇温乾燥工程Dとして熱風による木材乾燥を行う。以降、最終目標の含水率に達するまで、再減圧工程と再昇温乾燥工程とを交互に複数回繰り返す。
【選択図】 図2
【解決手段】木材乾燥装置1において、圧力容器3内に木材を収容し、まず、減圧工程Aとして真空ポンプ13により容器内を減圧した後、昇温乾燥工程Bとして熱風発生器9により高温空気よりなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させる。続いて、再減圧工程Cとして真空ポンプ13により容器内を減圧した後、再昇温乾燥工程Dとして熱風による木材乾燥を行う。以降、最終目標の含水率に達するまで、再減圧工程と再昇温乾燥工程とを交互に複数回繰り返す。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木材の乾燥に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、圧力容器を利用した木材の人工乾燥方法では、圧力容器内の木材を飽和水蒸気で蒸煮し、続いて減圧することによって、木材の含水率を低下させる方法がある(下記の、非特許文献1「今日からの木材乾燥」の55頁参照)。
【0003】
【非特許文献1】
長野県木材協同組合連合会の企画、吉田孝久氏(長野県林業総合センター)の著者による、「今日からの木材乾燥(乾燥マニュアル)」、2002年2月22日印刷
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような既存の方法では、木材を飽和水蒸気で昇温させるため、蒸気内の水分が木材に浸入し、減圧工程で低下した含水率は、蒸煮工程で再び増加する。したがって、蒸煮・減圧工程を相当回数繰り返しても、目標の含水率まで低下させることが困難な場合があり、効率のよい乾燥とはいえなかった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、圧力容器を用いて短時間で目標含水率を達成することができる木材乾燥方法及び木材乾燥装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の木材乾燥方法は、圧力容器内に木材を収容し、減圧手段により該圧力容器内を減圧する減圧工程と、前記減圧工程後に前記圧力容器内に高温空気からなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させる昇温乾燥工程とを備える。
【0007】
前記昇温乾燥工程後に前記圧力容器内に蒸気を導入して木材の蒸煮を行う蒸煮工程を更に含むようにすると好適である。さらに、前記昇温乾燥工程後又は前記蒸煮工程後に前記圧力容器内を減圧する再減圧工程と、前記再減圧工程後に前記圧力容器内に高温空気からなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させる再昇温乾燥工程とを更に含むようにすると好適である。また、前記再減圧工程と前記再昇温乾燥工程とは交互に複数回繰り返すようにすると好適である。
【0008】
同目的を達成するため、本発明の木材乾燥装置は、被乾燥対象の木材を収容する圧力容器と、前記圧力容器に接続され該容器へ蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記圧力容器の圧力を減圧する減圧手段と、前記圧力容器に接続され該容器へ高温空気からなる熱風を導入する熱風供給手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、本実施の形態に係る木材乾燥装置の構成を示す。木材乾燥装置1は、オートクレーブ圧力容器3と、ボイラ5と、ボイラ蒸気供給弁7と、熱風発生器9と、熱風供給弁11と、真空ポンプ13と、圧力調整弁15と、温度制御手段17と、湿度制御手段18と、圧力制御手段19とを備えている
【0010】
圧力容器3には、蒸気供給路23を介してボイラ5が、また、熱風供給路25を介して熱風発生器9が接続されている。蒸気供給路23は、ボイラ5で作られたボイラ蒸気を圧力容器3に供給するものであり、その途中にはボイラ蒸気供給弁7が設けられている。熱風供給路25は、熱風発生器9で作られた熱風を圧力容器3に供給するものであり、その途中には熱風供給弁11が設けられている。本実施の形態においては、空気を加熱することによって非常に乾いた高温空気を作り出し、かかる高温空気を熱風として用いている。
【0011】
また、圧力容器3には、空気抜き弁27及びドレン抜き弁29が接続されている。さらに、圧力容器3には、排出流路31が接続されている。この排出流路31には、真空ポンプ13及び圧力調整弁15が設けられている。また、圧力容器3の中には、それぞれ容器内温度、容器内湿度及び容器内圧力を検出する温度センサ33、湿度センサ34及び圧力センサ35が取り付けられている。これら温度センサ33、湿度センサ34及び圧力センサ35はそれぞれ、温度制御手段17、湿度制御手段18及び圧力制御手段19に接続されている。また、温度制御手段17は、後述する各処理工程A,B,C,Dに応じて、温度の制御系統の接続点T1,T2を切り替えて制御を行う。同様に湿度制御手段18も、湿度の制御系統の接点M1の開閉で制御を行う。
【0012】
次に、このような構成を有する本実施の形態に係る木材の乾燥方法について図1及び図2を参照しながら説明する。まず、被乾燥対象となる木材を圧力容器3内に収容し、減圧工程Aを開始する。減圧工程Aの開始に際して、ボイラ蒸気供給弁7、熱風供給弁11及び空気抜き弁27はすべて閉弁しておく。そして、圧力制御手段19は、圧力センサ35から得られる容器内圧力の値に応じて、真空ポンプ13の運転と圧力調整弁15の開度とを調整する。なお、本工程は温度制御、湿度制御をかけずに行う。真空ポンプ13の起動及び圧力調整弁15の閉弁によって、圧力容器3内が減圧される。本実施の形態では、常温、常圧の状態から0.02〜0.04MPaまで減圧される。減圧工程Aは、好適には減圧に0.5〜1時間をかけ1〜2時間その減圧状態を保持する。
【0013】
続いて、減圧工程Aから圧力及び温度を上昇させる昇温乾燥工程Bを開始する。昇温乾燥工程Bの開始に際しては、真空ポンプ13を停止させると共に、圧力調整弁15及び空気抜き弁27を閉弁しておく。そして、熱風供給弁11を開弁して熱風発生器9からの熱風を圧力容器3内に導入する(なお圧力は常圧に戻る)。これによって、圧力容器3内の木材を昇温させ乾燥させる。ここで、乾いた高温空気からなる熱風は、木材内部まで浸透し内部水の温度を上昇させるので、木材内部水の沸騰がし易く、以降に効率の良い乾燥が実現する。具体的には、圧力容器3内の温度を50〜100℃、湿度を10〜80%程度とする範囲で高温空気を圧力容器3内に吸引することによって実施する。また、温度制御は制御系統の接続点T2を選択して熱風発生器9の温度設定で行い、湿度制御は制御系統の接点M1を閉じてボイラ蒸気供給弁7で行う。さらに、導入する熱風の温度と湿度とを木材のキャラクターに応じて調整することによって、以降の含水率の低下速度を調整することが可能である。昇温乾燥工程Bは、好適には昇温に1〜2時間をかけ、1〜4時間程度その昇温状態を保持する。
【0014】
続いて、昇温乾燥工程Bから圧力及び温度を低下させる再減圧工程Cを開始する。再減圧工程Cの開始に際しては、ボイラ蒸気供給弁7、熱風供給弁11及び空気抜き弁27をすべて閉弁しておく。そして、圧力制御手段19は、圧力センサ35から得られる容器内圧力の値に応じて、真空ポンプ13の運転と圧力調整弁15の開度とを調整する。真空ポンプ13の起動及び圧力調整弁15の開弁によって、圧力容器3内が減圧される。ここで、圧力容器3内では、前述のように昇温乾燥工程Bにおいて木材内部水が沸騰しやすくなり、しかも減圧行程Aから昇温乾燥工程Bへの移行に際して急激な圧力変化が発生するので、木材の内部組織が破壊され、水分の移動が容易になっている。そして、この状態で、本再減圧行程Cによる減圧が行われると、内部水が沸騰し、初期状態よりも遥かに水が抜け易くなっていた為、効率よく含水率を低下させることができる。
【0015】
これに続いて、再昇温乾燥工程Dを開始する。再昇温乾燥工程Dは、上述した昇温乾燥工程Bと同じ要領で熱風発生器9からの熱風を圧力容器3内に導入し、木材を昇温させ乾燥させる。さらにこれ以後、図2に示されるように、再減圧工程Cと再昇温乾燥工程Dとを交互に複数回繰り返して、圧力容器3のみでより短時間に最終目標含水率を達成する乾燥を完了させることができる。なお、1サイクルのインターバルは、再昇温乾燥工程Dが2〜4時間、再減圧工程Cが0.5〜2時間、トータルで2.5〜6時間が好適である。
【0016】
次に、木材乾燥装置1を用いて行う、図2とは異なる手順の乾燥方法について説明する。図3に示されるように、まず、上記と同様な減圧工程A及び昇温乾燥工程Bを行い、それに続いて、昇温乾燥工程Bから更に圧力及び温度が上昇する蒸煮工程Eを開始する。蒸煮工程Eの開始に際しては、熱風供給弁11、圧力調整弁15及び空気抜き弁27を閉弁しておく。また、温度制御は制御系統の接続点T1を選択しておき、温度制御部17は、温度センサ33から得られる容器内温度の値に応じて、ボイラ蒸気供給弁7の開度を調整する。湿度の制御系統に関しては接点M1を開いておく。これによって、圧力容器3内には、ボイラ5からの蒸気が導入され、4〜8時間程、木材の蒸煮が行われる。かかる蒸煮は昇温乾燥工程Bによる木材内部の温度が上昇したところで蒸気を導入することによって行われるため、木材を効率よく軟化させる。なお、ボイラ5からの蒸気を圧力容器3内に導入する際には、圧力容器3内にある既存の空気を追い出すために、空気抜き弁27を必要に応じて数回開弁させ、蒸気導入を容易にすると好適である。
【0017】
続いて、蒸煮工程Eから圧力及び温度を低下させる再減圧工程Cを開始する。図3の再減圧工程Cも、図2のものと同様な要領で行う。このように、蒸煮工程Eの後に再減圧工程Cを行うことで、木材は軟化した後に減圧による表面乾燥を受け、いわゆるドライングセットが形成される。すなわち、一般に、木材の乾燥が始まるとまず木材表面から乾燥して収縮しようとするが、木材内部は未だ乾燥していないので収縮できず、表面には引張応力、内部には圧縮応力が作用し、その結果表面割れが生じる。しかしながら、木材の乾燥初期に90〜130℃の範囲で蒸煮処理を施し木材を軟化させた後に乾燥させることで、材表層を引張変形させた状態で固定し、すなわち、材表層に効果的な引張りのドライングセットを形成させる。そして、その後、乾燥が進行すると、材表部と材内部とで応力の転換が生じ、材表部には圧縮応力が作用するため、以降、乾燥処理における表面割れが抑制される。
【0018】
再減圧工程Cに続いて、さらに再昇温乾燥工程Dを開始する。再昇温乾燥工程Dは、上述した昇温乾燥工程Bと同じ要領で熱風発生器9からの熱風を圧力容器3内に導入し、木材を昇温させ乾燥させる。さらにこれ以後、図2と同様に、再減圧工程Cと再昇温乾燥工程Dとを交互に複数回繰り返して、圧力容器3のみでより短時間に最終目標含水率まで落とす乾燥を完了させることができる。
【0019】
次に、木材乾燥装置1を用いて行う、図2及び図3とも異なる手順の乾燥方法について説明する。すなわち、本方法では、図4に示されるように、図3と同様な要領で減圧工程A、昇温乾燥工程B、蒸煮工程E及び再減圧工程Cを行い、その後、後述する要領で再昇温乾燥工程Fを行う。再昇温乾燥工程Fにおいては、熱風供給弁11及び空気抜き弁27を開き、温度制御に関しては制御系統接続点T2を選択し、温度制御手段17は圧力容器3の容器内温度が一定値となるように熱風発生器9の温度設定を調整する。また、湿度制御手段18は、接点M1を閉じ、これによって湿度センサ34から得られる容器内湿度の値に応じて、ボイラ蒸気供給弁7の開度を調整し、容器内湿度が一定となるようにする。このように圧力容器内の温度と湿度とを一定に保った状態で、目標含水率を達成するまで乾燥処理を継続する。乾燥条件の設定は、木材の乾燥特性、品質、品種、サイズ、芯持ちの有無などに応じて決定する。例えば、芯持ち正角材の場合、内部割れ抑制のため、含水率の低下に伴い、温度を低く、湿度を高めにする。板材の場合、初期の反り、曲りを抑制するため、乾燥初期は湿度を高くし、含水率の低下に伴い、温度を高く湿度を低くした運転を行う。
【0020】
なお、上記の実施の形態では、一つの木材乾燥装置で、図2〜図4に示す3タイプを含む複数の乾燥方法を実施することができるように、制御系統を切り替えるための接続点を設けていたが、本発明はこれには限定されない。従って、一つの木材乾燥装置で実施する乾燥方法が一通りに決まっている場合には、制御系統の切り替え手段等は設けられていなくてもよく、逆に、より複雑多種な乾燥方法を実施できるようにするために図1の構成よりも更に複雑な切り替え手段等を設けてもよい。さらに、圧力容器3内にファン等を設け、各工程において容器3内雰囲気を攪拌、循環させるようにしても良い。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、圧力容器内に木材を収容し、減圧工程後に前記圧力容器内に高温空気からなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させるので、圧力容器のみを用いて短時間で目標含水率を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る木材乾燥装置の概要を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る第1の木材乾燥過程の温度及び圧力変化を示す線図である。
【図3】本実施の形態に係る第2の木材乾燥過程の温度及び圧力変化を示す線図である。
【図4】本実施の形態に係る第3の木材乾燥過程の温度及び圧力変化を示す線図である。
【符号の説明】
1 木材乾燥装置、3 オートクレーブ圧力容器、5 ボイラ(蒸気供給手段)、7 ボイラ蒸気供給弁(蒸気供給手段)、9 熱風発生器(熱風供給手段)、11 熱風供給弁(熱風供給手段)、13 真空ポンプ(減圧手段)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、木材の乾燥に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、圧力容器を利用した木材の人工乾燥方法では、圧力容器内の木材を飽和水蒸気で蒸煮し、続いて減圧することによって、木材の含水率を低下させる方法がある(下記の、非特許文献1「今日からの木材乾燥」の55頁参照)。
【0003】
【非特許文献1】
長野県木材協同組合連合会の企画、吉田孝久氏(長野県林業総合センター)の著者による、「今日からの木材乾燥(乾燥マニュアル)」、2002年2月22日印刷
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような既存の方法では、木材を飽和水蒸気で昇温させるため、蒸気内の水分が木材に浸入し、減圧工程で低下した含水率は、蒸煮工程で再び増加する。したがって、蒸煮・減圧工程を相当回数繰り返しても、目標の含水率まで低下させることが困難な場合があり、効率のよい乾燥とはいえなかった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、圧力容器を用いて短時間で目標含水率を達成することができる木材乾燥方法及び木材乾燥装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明の木材乾燥方法は、圧力容器内に木材を収容し、減圧手段により該圧力容器内を減圧する減圧工程と、前記減圧工程後に前記圧力容器内に高温空気からなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させる昇温乾燥工程とを備える。
【0007】
前記昇温乾燥工程後に前記圧力容器内に蒸気を導入して木材の蒸煮を行う蒸煮工程を更に含むようにすると好適である。さらに、前記昇温乾燥工程後又は前記蒸煮工程後に前記圧力容器内を減圧する再減圧工程と、前記再減圧工程後に前記圧力容器内に高温空気からなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させる再昇温乾燥工程とを更に含むようにすると好適である。また、前記再減圧工程と前記再昇温乾燥工程とは交互に複数回繰り返すようにすると好適である。
【0008】
同目的を達成するため、本発明の木材乾燥装置は、被乾燥対象の木材を収容する圧力容器と、前記圧力容器に接続され該容器へ蒸気を供給する蒸気供給手段と、前記圧力容器の圧力を減圧する減圧手段と、前記圧力容器に接続され該容器へ高温空気からなる熱風を導入する熱風供給手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、本実施の形態に係る木材乾燥装置の構成を示す。木材乾燥装置1は、オートクレーブ圧力容器3と、ボイラ5と、ボイラ蒸気供給弁7と、熱風発生器9と、熱風供給弁11と、真空ポンプ13と、圧力調整弁15と、温度制御手段17と、湿度制御手段18と、圧力制御手段19とを備えている
【0010】
圧力容器3には、蒸気供給路23を介してボイラ5が、また、熱風供給路25を介して熱風発生器9が接続されている。蒸気供給路23は、ボイラ5で作られたボイラ蒸気を圧力容器3に供給するものであり、その途中にはボイラ蒸気供給弁7が設けられている。熱風供給路25は、熱風発生器9で作られた熱風を圧力容器3に供給するものであり、その途中には熱風供給弁11が設けられている。本実施の形態においては、空気を加熱することによって非常に乾いた高温空気を作り出し、かかる高温空気を熱風として用いている。
【0011】
また、圧力容器3には、空気抜き弁27及びドレン抜き弁29が接続されている。さらに、圧力容器3には、排出流路31が接続されている。この排出流路31には、真空ポンプ13及び圧力調整弁15が設けられている。また、圧力容器3の中には、それぞれ容器内温度、容器内湿度及び容器内圧力を検出する温度センサ33、湿度センサ34及び圧力センサ35が取り付けられている。これら温度センサ33、湿度センサ34及び圧力センサ35はそれぞれ、温度制御手段17、湿度制御手段18及び圧力制御手段19に接続されている。また、温度制御手段17は、後述する各処理工程A,B,C,Dに応じて、温度の制御系統の接続点T1,T2を切り替えて制御を行う。同様に湿度制御手段18も、湿度の制御系統の接点M1の開閉で制御を行う。
【0012】
次に、このような構成を有する本実施の形態に係る木材の乾燥方法について図1及び図2を参照しながら説明する。まず、被乾燥対象となる木材を圧力容器3内に収容し、減圧工程Aを開始する。減圧工程Aの開始に際して、ボイラ蒸気供給弁7、熱風供給弁11及び空気抜き弁27はすべて閉弁しておく。そして、圧力制御手段19は、圧力センサ35から得られる容器内圧力の値に応じて、真空ポンプ13の運転と圧力調整弁15の開度とを調整する。なお、本工程は温度制御、湿度制御をかけずに行う。真空ポンプ13の起動及び圧力調整弁15の閉弁によって、圧力容器3内が減圧される。本実施の形態では、常温、常圧の状態から0.02〜0.04MPaまで減圧される。減圧工程Aは、好適には減圧に0.5〜1時間をかけ1〜2時間その減圧状態を保持する。
【0013】
続いて、減圧工程Aから圧力及び温度を上昇させる昇温乾燥工程Bを開始する。昇温乾燥工程Bの開始に際しては、真空ポンプ13を停止させると共に、圧力調整弁15及び空気抜き弁27を閉弁しておく。そして、熱風供給弁11を開弁して熱風発生器9からの熱風を圧力容器3内に導入する(なお圧力は常圧に戻る)。これによって、圧力容器3内の木材を昇温させ乾燥させる。ここで、乾いた高温空気からなる熱風は、木材内部まで浸透し内部水の温度を上昇させるので、木材内部水の沸騰がし易く、以降に効率の良い乾燥が実現する。具体的には、圧力容器3内の温度を50〜100℃、湿度を10〜80%程度とする範囲で高温空気を圧力容器3内に吸引することによって実施する。また、温度制御は制御系統の接続点T2を選択して熱風発生器9の温度設定で行い、湿度制御は制御系統の接点M1を閉じてボイラ蒸気供給弁7で行う。さらに、導入する熱風の温度と湿度とを木材のキャラクターに応じて調整することによって、以降の含水率の低下速度を調整することが可能である。昇温乾燥工程Bは、好適には昇温に1〜2時間をかけ、1〜4時間程度その昇温状態を保持する。
【0014】
続いて、昇温乾燥工程Bから圧力及び温度を低下させる再減圧工程Cを開始する。再減圧工程Cの開始に際しては、ボイラ蒸気供給弁7、熱風供給弁11及び空気抜き弁27をすべて閉弁しておく。そして、圧力制御手段19は、圧力センサ35から得られる容器内圧力の値に応じて、真空ポンプ13の運転と圧力調整弁15の開度とを調整する。真空ポンプ13の起動及び圧力調整弁15の開弁によって、圧力容器3内が減圧される。ここで、圧力容器3内では、前述のように昇温乾燥工程Bにおいて木材内部水が沸騰しやすくなり、しかも減圧行程Aから昇温乾燥工程Bへの移行に際して急激な圧力変化が発生するので、木材の内部組織が破壊され、水分の移動が容易になっている。そして、この状態で、本再減圧行程Cによる減圧が行われると、内部水が沸騰し、初期状態よりも遥かに水が抜け易くなっていた為、効率よく含水率を低下させることができる。
【0015】
これに続いて、再昇温乾燥工程Dを開始する。再昇温乾燥工程Dは、上述した昇温乾燥工程Bと同じ要領で熱風発生器9からの熱風を圧力容器3内に導入し、木材を昇温させ乾燥させる。さらにこれ以後、図2に示されるように、再減圧工程Cと再昇温乾燥工程Dとを交互に複数回繰り返して、圧力容器3のみでより短時間に最終目標含水率を達成する乾燥を完了させることができる。なお、1サイクルのインターバルは、再昇温乾燥工程Dが2〜4時間、再減圧工程Cが0.5〜2時間、トータルで2.5〜6時間が好適である。
【0016】
次に、木材乾燥装置1を用いて行う、図2とは異なる手順の乾燥方法について説明する。図3に示されるように、まず、上記と同様な減圧工程A及び昇温乾燥工程Bを行い、それに続いて、昇温乾燥工程Bから更に圧力及び温度が上昇する蒸煮工程Eを開始する。蒸煮工程Eの開始に際しては、熱風供給弁11、圧力調整弁15及び空気抜き弁27を閉弁しておく。また、温度制御は制御系統の接続点T1を選択しておき、温度制御部17は、温度センサ33から得られる容器内温度の値に応じて、ボイラ蒸気供給弁7の開度を調整する。湿度の制御系統に関しては接点M1を開いておく。これによって、圧力容器3内には、ボイラ5からの蒸気が導入され、4〜8時間程、木材の蒸煮が行われる。かかる蒸煮は昇温乾燥工程Bによる木材内部の温度が上昇したところで蒸気を導入することによって行われるため、木材を効率よく軟化させる。なお、ボイラ5からの蒸気を圧力容器3内に導入する際には、圧力容器3内にある既存の空気を追い出すために、空気抜き弁27を必要に応じて数回開弁させ、蒸気導入を容易にすると好適である。
【0017】
続いて、蒸煮工程Eから圧力及び温度を低下させる再減圧工程Cを開始する。図3の再減圧工程Cも、図2のものと同様な要領で行う。このように、蒸煮工程Eの後に再減圧工程Cを行うことで、木材は軟化した後に減圧による表面乾燥を受け、いわゆるドライングセットが形成される。すなわち、一般に、木材の乾燥が始まるとまず木材表面から乾燥して収縮しようとするが、木材内部は未だ乾燥していないので収縮できず、表面には引張応力、内部には圧縮応力が作用し、その結果表面割れが生じる。しかしながら、木材の乾燥初期に90〜130℃の範囲で蒸煮処理を施し木材を軟化させた後に乾燥させることで、材表層を引張変形させた状態で固定し、すなわち、材表層に効果的な引張りのドライングセットを形成させる。そして、その後、乾燥が進行すると、材表部と材内部とで応力の転換が生じ、材表部には圧縮応力が作用するため、以降、乾燥処理における表面割れが抑制される。
【0018】
再減圧工程Cに続いて、さらに再昇温乾燥工程Dを開始する。再昇温乾燥工程Dは、上述した昇温乾燥工程Bと同じ要領で熱風発生器9からの熱風を圧力容器3内に導入し、木材を昇温させ乾燥させる。さらにこれ以後、図2と同様に、再減圧工程Cと再昇温乾燥工程Dとを交互に複数回繰り返して、圧力容器3のみでより短時間に最終目標含水率まで落とす乾燥を完了させることができる。
【0019】
次に、木材乾燥装置1を用いて行う、図2及び図3とも異なる手順の乾燥方法について説明する。すなわち、本方法では、図4に示されるように、図3と同様な要領で減圧工程A、昇温乾燥工程B、蒸煮工程E及び再減圧工程Cを行い、その後、後述する要領で再昇温乾燥工程Fを行う。再昇温乾燥工程Fにおいては、熱風供給弁11及び空気抜き弁27を開き、温度制御に関しては制御系統接続点T2を選択し、温度制御手段17は圧力容器3の容器内温度が一定値となるように熱風発生器9の温度設定を調整する。また、湿度制御手段18は、接点M1を閉じ、これによって湿度センサ34から得られる容器内湿度の値に応じて、ボイラ蒸気供給弁7の開度を調整し、容器内湿度が一定となるようにする。このように圧力容器内の温度と湿度とを一定に保った状態で、目標含水率を達成するまで乾燥処理を継続する。乾燥条件の設定は、木材の乾燥特性、品質、品種、サイズ、芯持ちの有無などに応じて決定する。例えば、芯持ち正角材の場合、内部割れ抑制のため、含水率の低下に伴い、温度を低く、湿度を高めにする。板材の場合、初期の反り、曲りを抑制するため、乾燥初期は湿度を高くし、含水率の低下に伴い、温度を高く湿度を低くした運転を行う。
【0020】
なお、上記の実施の形態では、一つの木材乾燥装置で、図2〜図4に示す3タイプを含む複数の乾燥方法を実施することができるように、制御系統を切り替えるための接続点を設けていたが、本発明はこれには限定されない。従って、一つの木材乾燥装置で実施する乾燥方法が一通りに決まっている場合には、制御系統の切り替え手段等は設けられていなくてもよく、逆に、より複雑多種な乾燥方法を実施できるようにするために図1の構成よりも更に複雑な切り替え手段等を設けてもよい。さらに、圧力容器3内にファン等を設け、各工程において容器3内雰囲気を攪拌、循環させるようにしても良い。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、圧力容器内に木材を収容し、減圧工程後に前記圧力容器内に高温空気からなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させるので、圧力容器のみを用いて短時間で目標含水率を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る木材乾燥装置の概要を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る第1の木材乾燥過程の温度及び圧力変化を示す線図である。
【図3】本実施の形態に係る第2の木材乾燥過程の温度及び圧力変化を示す線図である。
【図4】本実施の形態に係る第3の木材乾燥過程の温度及び圧力変化を示す線図である。
【符号の説明】
1 木材乾燥装置、3 オートクレーブ圧力容器、5 ボイラ(蒸気供給手段)、7 ボイラ蒸気供給弁(蒸気供給手段)、9 熱風発生器(熱風供給手段)、11 熱風供給弁(熱風供給手段)、13 真空ポンプ(減圧手段)。
Claims (5)
- 圧力容器内に木材を収容し、減圧手段により該圧力容器内を減圧する減圧工程と、
前記減圧工程後に前記圧力容器内に高温空気からなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させる昇温乾燥工程と
を備えることを特徴とする木材乾燥方法。 - 前記昇温乾燥工程後に前記圧力容器内に蒸気を導入して木材の蒸煮を行う蒸煮工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の木材乾燥方法。
- 前記昇温乾燥工程後又は前記蒸煮工程後に前記圧力容器内を減圧する再減圧工程と、
前記再減圧工程後に前記圧力容器内に高温空気からなる熱風を導入して木材を昇温させ乾燥させる再昇温乾燥工程と
を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の木材乾燥方法。 - 前記再減圧工程と前記再昇温乾燥工程とを交互に複数回繰り返すことを特徴とする請求項3に記載の木材乾燥方法。
- 被乾燥対象の木材を収容する圧力容器と、
前記圧力容器に接続され該容器へ蒸気を供給する蒸気供給手段と、
前記圧力容器の圧力を減圧する減圧手段と、
前記圧力容器に接続され該容器へ高温空気からなる熱風を導入する熱風供給手段と
を備えることを特徴とする木材乾燥装置。
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---|---|---|---|
JP2003064710A JP2004268494A (ja) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | 木材の乾燥方法及び乾燥装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008106959A (ja) * | 2006-10-23 | 2008-05-08 | Yasujima:Kk | 木材乾燥装置及び木材乾燥方法 |
US7739829B2 (en) * | 2004-09-02 | 2010-06-22 | Virginia Tech Intellectual Properties, Inc. | Killing insect pests inside wood by vacuum dehydration |
KR101012770B1 (ko) | 2008-05-16 | 2011-02-08 | 한국표준과학연구원 | 가변압력을 이용한 건조기 및 이를 이용한 건조방법 |
JP2012519262A (ja) * | 2009-02-27 | 2012-08-23 | ザクルイトエ・アクツィオネルノエ・オブスチェストヴォ“ツイン・トレーディング・カンパニー” | 木材乾燥法及びそれを実施するためのユニット |
-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003064710A patent/JP2004268494A/ja not_active Withdrawn
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