JP2004268487A - 発泡ゴムローラの製造方法および発泡ゴムローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】低硬度であって、セル壁が薄く、均一で微細なセル構造を有するローラを得ることのできる発泡ゴムローラの製造方法およびそれにより得られる発泡ゴムローラを提供する。
【解決手段】ゴム成分と、少なくとも発泡剤および加硫剤を含む配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、混練された未加硫ゴム組成物を加硫、発泡させる加硫発泡工程とを含む発泡ゴムローラの製造方法である。加硫発泡工程において、150℃以下の温度領域にて、未加硫ゴム組成物に対し8.0J/g以上の熱量を加えた後、所定の加硫温度まで温度を上げて該未加硫ゴム組成物を加硫するか、または、混練を、未加硫ゴム組成物の温度が5.4J/g以上の熱量相当分だけ上昇するまで行う。
【選択図】 なし
【解決手段】ゴム成分と、少なくとも発泡剤および加硫剤を含む配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、混練された未加硫ゴム組成物を加硫、発泡させる加硫発泡工程とを含む発泡ゴムローラの製造方法である。加硫発泡工程において、150℃以下の温度領域にて、未加硫ゴム組成物に対し8.0J/g以上の熱量を加えた後、所定の加硫温度まで温度を上げて該未加硫ゴム組成物を加硫するか、または、混練を、未加硫ゴム組成物の温度が5.4J/g以上の熱量相当分だけ上昇するまで行う。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡ゴムローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)の製造方法(以下、単に「製造方法」とも称する)および発泡ゴムローラに関し、詳しくは、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の各種電子写真装置等において好適に使用される導電性発泡ゴムローラの製造方法および発泡ゴムローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、オゾン発生の防止を目的として、ローラ形状の導電性部材が多用されてきている。画像形成装置において高品位画像を得るためには、かかる導電性ローラは低硬度であることが必要であり、一般に、ゴム発泡体からなる導電性発泡ゴムローラが使用されている。
【0003】
一般的な発泡ゴムローラの製造方法では、▲1▼ノンプロ練り、▲2▼プロ練り、▲3▼押出、▲4▼加硫缶による加硫・発泡、▲5▼熱風オーブンによる後加硫、▲6▼芯金圧入、▲7▼表面研磨、▲8▼抵抗測定等といった工程を経て、製品としての導電性発泡ゴムローラを得ることができる。かかる工程のうち、ノンプロ練りおよびプロ練りの混練工程においては、オープンロールやニーダー等、各種練り装置を用いてゴムの練り作業が行われる。
【0004】
特に、加硫剤を添加して混練を行うプロ練りは、最終的なゴム製品の物性に大きな影響を与える重要な工程であるので、充填剤、可塑剤その他の各種配合剤をゴム中に均一に練り込み、かつ分散させるために、十分な練り作業を行うことが必要となる。従って、プロ練りにおいては、練りのバラツキが大きいオープンロールよりも、バラツキの小さいニーダーにより練り作業を行うことが好都合である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プロ練り工程においてオープンロールではなくニーダーを用いて練り作業を行うためには、ゴムをある程度スコーチタイムの長い配合系とすることが必要となる。しかしながら、スコーチタイムが長いゴム配合では、加硫缶による蒸気加硫工程においてガス抜けが生じやすく、良好なセル構造を有する発泡ローラを得ることはできなかった。
【0006】
反対に、上記のような押出工程および加硫缶発泡工程を要する製造方式を採用する場合には、発泡の進行と加硫の進行との時間的なバランスから、ゴム配合としてはスコーチが非常に速い配合系を用いることが必要となる。従ってこの観点からは、混練、特にプロ練りにおける練り装置としては、ニーダーではなくオープンロールを使用せざるを得ないため、得られる混練ゴムにおいて練りのバラツキが大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
即ち、発泡ゴムローラの製造においては、プロ練り工程においてニーダーを用いて練りのバラツキを抑えることと、加硫発泡工程において所望の低硬度およびセル構造を得ることとが、ゴム配合のスコーチタイムの点で矛盾する要請となっており、これら要請をともに満足して、全体として均一な発泡状態を有し、かつ、所望の低硬度およびセル構造を備える発泡ゴムローラを実現することは困難であった。
【0008】
そこで本発明の目的は、ゴムのプロ練り工程において、ニーダーによる混練を可能とするために長いスコーチタイムを有するゴム配合を用いても、加硫発泡工程においてガス抜け等の不具合を生ずることがなく、これにより、低硬度であって、セル壁が薄く、均一で微細なセル構造を有するローラを得ることのできる発泡ゴムローラの製造方法およびそれにより得られる発泡ゴムローラを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、スコーチタイムが長いゴム配合について、加硫発泡工程において、加硫に先立って未加硫ゴム組成物に所定量の熱量を加えることにより、または、混練工程において、未加硫ゴム組成物の温度が所定の熱量相当分上昇するまで混練を行うことにより、その後の加硫時において低硬度で良好なセル構造を有するローラが実現されることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、上記課題を解決するために、本発明の発泡ゴムローラの製造方法は、ゴム成分と、少なくとも発泡剤および加硫剤を含む配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、該混練された未加硫ゴム組成物を加硫、発泡させる加硫発泡工程とを含む発泡ゴムローラの製造方法において、
前記加硫発泡工程において、150℃以下の温度領域にて、前記押出された未加硫ゴム組成物に対し8.0J/g以上の熱量を加えた後、所定の加硫温度まで温度を上げて、該未加硫ゴム組成物を加硫することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の発泡ゴムローラの製造方法は、ゴム成分と、少なくとも発泡剤および加硫剤を含む配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、該混練された未加硫ゴム組成物を加硫、発泡させる加硫発泡工程とを含む発泡ゴムローラの製造方法において、
前記混練を、前記未加硫ゴム組成物の温度が5.4J/g以上の熱量相当分だけ上昇するまで行うことを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、特に、前記未加硫ゴム組成物として、キュラストメーターによる100℃でのスコーチタイムが10〜90分程度である、スコーチタイムの長い配合系を用いる場合に効果的である。また、本発明においては、前記加硫発泡工程は加圧水蒸気を用いて加硫缶内で、前記混練はニーダーを用いて、夫々好適に行うことができる。さらに、本発明においては、前記配合剤として、導電性物質を含有させることが好ましい。さらにまた、前記発泡剤の好適含有量は、前記ゴム成分100重量部に対し、1〜20重量部の範囲内である。
【0013】
また、本発明の発泡ゴムローラは、上記本発明の発泡ゴムローラの製造方法により製造されてなることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、ゴム成分と各種配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、混練された未加硫ゴムを加硫、発泡させる加硫発泡工程とを経て発泡ゴムローラを得る製造方法に係る技術であり、加硫に先立って、未加硫ゴム組成物に対し、所定量以上の熱量を実質的に加える点に特徴がある。
【0015】
前述したように、長いスコーチタイムを有する配合系の未加硫ゴム組成物の場合、加硫発泡工程においてガス抜け等の不具合が生じてセル構造に不良を生じやすい。本発明においては、未加硫ゴム組成物に対し、加硫前に所定量以上の熱量を付与することで、かかる不具合を解消して、練りの均一性と良好な発泡状態とを両立させた発泡ゴムローラを安定的に得ることが可能となった。
【0016】
具体的には、加硫発泡工程において、加硫前に、150℃以下の温度領域にて、未加硫ゴム組成物に対し8.0J/g以上、好ましくは8.0〜13.4J/g程度の熱量を加えることが必要である。これにより、未加硫ゴム組成物を均一に予備加熱するとともに、予備スコーチを起こすことで、発泡の進行によるガス抜け等を防止することができる。従って、その後、所定の加硫温度まで温度を上げて、未加硫ゴム組成物の加硫を行うことにより、スキン層が形成され、セル壁が薄く、微細で均一なセル径を有する、見掛け密度の小さい低硬度の発泡ゴムローラを得ることができる。
【0017】
かかる所定量の熱量を未加硫ゴム組成物に対し加える具体的な手法としては、特に制限されるものではないが、例えば、110〜120℃程度の環境温度にて一定時間保持する方法などを用いることができる。例えば、熱風オーブンを用いてもよい。但し、未加硫ゴム組成物自体の温度が150℃を超えないようにすることが必要である。未加硫ゴム組成物自体の温度が高温になりすぎると、加硫、発泡が開始してしまい、本発明の効果が損なわれる。
【0018】
また、本発明においては、加硫発泡工程ではなく、混練工程において未加硫ゴム組成物に対し実質的に熱量を加えることによっても、同様の効果を得ることができる。具体的には、混練工程のうちでもプロ練り時において、未加硫ゴム組成物の温度が5.4J/g以上、好ましくは5.4〜8.0J/g程度の熱量相当分だけ上昇するまで、混練を行う。この場合にも、その後の加硫発泡工程において、セル径が小さく、セル壁の薄い、見掛け密度の小さい低硬度の発泡ゴムローラを得ることができる。上記熱量相当分の温度上昇は、プロ練り終了後に、混練ゴムをニーダーから取り出して、熱電対を直接混練ゴム内部に差し込むことにより、温度を実測し、プロ練り前後の温度変化より、求めることができる。
【0019】
なお、上記の2種類の熱量付与の技術は、単独で用いても十分所期の効果を得ることができるが、併用してもよい。その場合の夫々の工程における付与熱量の配分は、相対的な割合として、最終的に上記条件を満足するように行うことができる。
【0020】
ここで、本発明における長いスコーチタイムとは、キュラストメーターによる100℃でのスコーチタイム(tsx)で10〜90分程度をいう。即ち、本発明は、この範囲内程度の長いスコーチタイムを有するゴム配合に対し、好適に適用することができる。従って、本発明に係る混練工程においては、上記のような長いスコーチタイムの配合系に対応して、ニーダーを用いて混練を行うことができる。そのため、練りのバラツキを適切に防止して、ゴム成分と各種配合剤とを十分に混合させることができ、ローラ全体として均一なセル構造を実現することが可能となる。
【0021】
本発明の製造方法においては、混練工程ないし加硫発泡工程において、上記条件に従い未加硫ゴム組成物に実質的に熱量を加える点のみが重要であり、他工程における製造条件等には特に制限はないが、例えば、以下のように行うことができる。
【0022】
混練工程は、上記したように、通常2段階で行い、最初に、ゴム成分に対し発泡剤および加硫剤以外の配合剤を添加して、例えば、110〜180℃程度の温度にて、ノンプロ練りを行う。その後、得られた混練物を一旦冷却して、発泡剤および加硫剤を添加し、例えば、50〜90℃程度の温度でプロ練りを行う。最初の混練であるノンプロ練りは発泡剤および加硫剤以外の配合剤をゴム成分中に十分に分散させるために行うものであるので、ある程度高い温度で行うことが必要であるが、2度目の混練であるプロ練りは、加硫、発泡反応を進行させないために、加硫や発泡が起こる温度よりも低い温度で行うことが必要となる。この混練工程において、本発明に係る実質的な熱量付与を行う場合には、2度目の混練であるプロ練りにおいて、上述した条件に従う混練を行うことが必要となる。混練に用いる練り装置としては、前述したように、練りのバラツキを抑えるために、ニーダーを用いることが好適であるが、バンバリーミキサーやインターミックス等の、他の練り装置を用いてもよい。
【0023】
混練工程後には、未加硫ゴムを所定形状に押出す押出工程を行う。押出工程は、慣用のゴム押出機を用いて、常法に従い行うことができ、特に制限されるものではないが、押出温度としては、上記混練の第2段階におけると同様に、加硫や発泡が起こる温度よりも低い温度で行うことが重要である。好適には、加硫発泡工程の温度よりも30℃以上低い温度であり、例えば、40〜130℃程度とすることができる。
【0024】
押出後の未加硫ゴム組成物は、次いで、加硫発泡工程に供される。本発明に係る加硫発泡工程は、特に制限されるものではないが、加圧水蒸気を用いて加硫缶内で行うことが好ましい。加硫発泡は、例えば、温度120〜180℃程度で、時間10〜120分程度にて行うことができる。なお、この加硫発泡工程において本発明に係る熱量付与を行う場合には、一旦150℃以下の温度として熱量を加えた後、上記加硫発泡温度にまで加温することが必要となる。
【0025】
加硫発泡工程後には、熱風オーブンにより後加硫を行うことが好ましい。後加硫は、発泡ゴムローラの発泡セルの形態を安定化させるとともに、発泡ゴムローラの硬度、寸法および電気抵抗の安定化、圧縮永久歪や加工歪の低減等に効果がある。また、後加硫により、発泡ゴムローラに残留する低分子化合物を揮散させることができるので、発泡ゴムローラを実機にて使用する際の、他部材に対する汚染防止効果も得ることができる。後加硫は、温度70〜200℃程度で、時間15〜300分程度にて行うことができる。
【0026】
さらに、芯金の圧入、表面研磨等の工程を経て、芯金の外周に発泡ゴム層が担持されてなる、本発明の発泡ゴムローラを得ることができる。研磨方法としては、例えば、回転砥石による方法や、ブレードによるピーリング等の手法を用いることができる。回転砥石による研磨の場合には、ローラの長さよりも幅の狭い砥石を用いるトラバース研磨と、ローラの長さとほぼ同等の幅を持つ砥石を用いるプランジ研磨とがあるが、生産性が良好である点から、プランジ研磨が好適である。
【0027】
本発明の発泡ゴムローラは、上記本発明の発泡ゴムローラの製造方法により製造されてなるものであればよく、具体的な材料、構造等には特に制限はないが、例えば、以下のような材料を用いることができる。
【0028】
ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、特にはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等が挙げられ、これらを1種または2種以上で用いることができるが、特に、EPDMが好ましい。EPDMのジエン成分としては、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン等が挙げられ、例えば、エチレンの含有量を5〜95重量%、プロピレンの含有量を5〜95重量%、ジエン成分の含有量をヨウ素価で0〜50程度とすることが好ましい。
【0029】
発泡剤としては、例えば、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)等のスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物等の有機発泡剤や、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤が挙げられる。これらの中でも、OBSH、ADCAまたはこれらを併用した発泡剤が特に好ましい。発泡剤の添加量は、ゴム成分100重量部に対し、1〜20重量部程度とすることが好ましい。
【0030】
加硫剤としては、硫黄、有機過酸化物等が挙げられ、その使用量としては、通常、ゴム成分100重量部に対し、1〜10重量部程度である。
【0031】
また、本発明の発泡ゴムローラは、配合剤として導電性物質を用いることにより導電性ローラとして好適に使用することができる。かかる導電性物質としては、カーボン導電剤やイオン導電剤などを用いることができる。カーボン導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のガスブラック、インクブラックを含むオイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等のドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム等のオクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩:リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。これらの導電性物質の配合量としては特に制限はなく、所望に応じ適宜選定することができるが、通常、ゴム成分100重量部に対し、30〜100重量部、特には40〜70重量部の範囲内である。本発明の発泡ゴムローラを導電性ローラとして用いる場合には、これら導電性物質の配合により、ローラの抵抗を103〜109Ω程度に調整することが好ましい。
【0032】
本発明の発泡ゴムローラの材料としては、上記の他、加硫促進剤、加硫促進助剤、しゃく解剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等を適宜用いることができる。加硫促進剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、または、DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系などが挙げられる。また、芯金としては、例えば、硫黄快削鋼などの鋼材に亜鉛などのめっきを施した金属部材、アルミニウム、ステンレス鋼、マグネシウム合金などの金属部材が挙げられる。
【0033】
また、本発明の発泡ゴムローラの諸物性としては、例えば、アスカーC硬度15〜25°程度、見かけ密度0.15〜0.35g/cm3程度とすることができ、上述した各種製造条件の調整により、発泡セル径80〜200μm程度、セル壁厚さ30〜100μm程度のセル構造を有するものとすることが好ましい。
【0034】
なお、本発明の発泡ゴムローラは、複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置における、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラ、クリーニングローラ、バイアスローラ、給紙ローラ等として、好適に用いることができるものである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
実施例1、2および比較例1
下記の表1中に示すゴム配合にて、以下に示す手順に従い発泡ゴムローラを作製した。まず、ゴム成分および各種配合剤をニーダーに投入して、50℃で6分混練を行った。その後、得られた未加硫ゴム組成物を、ゴム押出機(中田エンジニアリング(株)製 押出機)を用いて50℃で押し出して、円筒状の未発泡ゴム成形物を得た。これを加硫缶内に配置して、約120℃の温度領域で下記の表1中に示す熱量を加えた後、170℃まで温度を上げて、加硫、発泡を行った。この付与熱量については、練りゴムの比熱を0.107J/g・Kとして、熱電対による練りゴムの実測温度と温室25℃との差より求めた。その後、熱風オーブンにより180℃で60分、後加硫を行って、芯金(材質:SUS)を圧入し、表面を研磨することにより、発泡ゴムローラを得た。
【0036】
各実施例および比較例の未加硫ゴム組成物のキュラストメーターによる100℃でのスコーチタイム、得られた発泡ゴムローラのアスカーC硬度、見かけ密度、発泡セル径、セル壁厚さ、ローラ抵抗の各測定値を、夫々、下記の表1中に示す。なお、各測定値の測定方法は以下のとおりである。
キュラストメーター:(株)東洋精機製作所製 キュラストメーターW型を用いた。
アスカーC硬度:JIS K6301に準拠して測定した。
見かけ密度:発泡ゴムの空気中での重量を体積で除して得た。
発泡セル径、セル壁厚さ:ハイロックス社製のCCDビデオカメラを用いて、約70倍の倍率で写真撮影を行い、得られた画像に基づき測定した。
ローラ抵抗:ローラの両端に夫々500gの荷重を掛けて銅版上に押しつけ、抵抗率計R8340A(アドバンテスト社製)を用いて、100Vの電圧を印加して、抵抗値を測定した。
【0037】
【表1】
1)2−メルカプトベンゾチアゾール、
2)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、
3)ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、
4)N,N’−ジエチルチオ尿素、
5)p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、
6)アゾジカルボンアミド
【0038】
実施例3、4および比較例2
下記の表2中に示すゴム配合にて、以下に示す手順に従い発泡ゴムローラを作製した。まず、ゴム成分および各種配合剤をニーダーに投入して、最初の温度50℃で、未加硫ゴム組成物の温度が下記表2に示す熱量相当分だけ上昇するまで、6分混練を行った。その後、得られた未加硫ゴム組成物を、ゴム押出機(中田エンジニアリング(株)製 押出機)を用いて50℃で押し出して、円筒状の未発泡ゴム成形物を得た。これを加硫缶内に配置して、170℃にて、加硫、発泡を行った。その後、熱風オーブンにより180℃で60分、後加硫を行って、芯金(材質:SUS)を圧入し、表面を研磨することにより、発泡ゴムローラを得た。
【0039】
各実施例および比較例の未加硫ゴム組成物のキュラストメーターによる100℃でのスコーチタイム、得られた発泡ゴムローラのアスカーC硬度、見かけ密度、発泡セル径、セル壁厚さ、ローラ抵抗の各測定値を、夫々、下記の表2中に示す。各測定値の測定方法は実施例1等と同様である。
【0040】
【表2】
1)2−メルカプトベンゾチアゾール、
2)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、
3)ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、
4)N,N’−ジエチルチオ尿素、
5)p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、
6)アゾジカルボンアミド
【0041】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の発泡ゴムローラの製造方法によれば、ゴムの混練工程において、ニーダーによる混練を可能とするために長いスコーチタイムを有するゴム配合を用いても、加硫発泡工程においてガス抜け等の不具合を生ずることがない。従って、発泡工程において良好なスキン層を形成することが可能となり、低硬度であって、セル壁が薄く、均一で微細なセル構造を有するローラを安定して得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡ゴムローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)の製造方法(以下、単に「製造方法」とも称する)および発泡ゴムローラに関し、詳しくは、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の各種電子写真装置等において好適に使用される導電性発泡ゴムローラの製造方法および発泡ゴムローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、オゾン発生の防止を目的として、ローラ形状の導電性部材が多用されてきている。画像形成装置において高品位画像を得るためには、かかる導電性ローラは低硬度であることが必要であり、一般に、ゴム発泡体からなる導電性発泡ゴムローラが使用されている。
【0003】
一般的な発泡ゴムローラの製造方法では、▲1▼ノンプロ練り、▲2▼プロ練り、▲3▼押出、▲4▼加硫缶による加硫・発泡、▲5▼熱風オーブンによる後加硫、▲6▼芯金圧入、▲7▼表面研磨、▲8▼抵抗測定等といった工程を経て、製品としての導電性発泡ゴムローラを得ることができる。かかる工程のうち、ノンプロ練りおよびプロ練りの混練工程においては、オープンロールやニーダー等、各種練り装置を用いてゴムの練り作業が行われる。
【0004】
特に、加硫剤を添加して混練を行うプロ練りは、最終的なゴム製品の物性に大きな影響を与える重要な工程であるので、充填剤、可塑剤その他の各種配合剤をゴム中に均一に練り込み、かつ分散させるために、十分な練り作業を行うことが必要となる。従って、プロ練りにおいては、練りのバラツキが大きいオープンロールよりも、バラツキの小さいニーダーにより練り作業を行うことが好都合である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プロ練り工程においてオープンロールではなくニーダーを用いて練り作業を行うためには、ゴムをある程度スコーチタイムの長い配合系とすることが必要となる。しかしながら、スコーチタイムが長いゴム配合では、加硫缶による蒸気加硫工程においてガス抜けが生じやすく、良好なセル構造を有する発泡ローラを得ることはできなかった。
【0006】
反対に、上記のような押出工程および加硫缶発泡工程を要する製造方式を採用する場合には、発泡の進行と加硫の進行との時間的なバランスから、ゴム配合としてはスコーチが非常に速い配合系を用いることが必要となる。従ってこの観点からは、混練、特にプロ練りにおける練り装置としては、ニーダーではなくオープンロールを使用せざるを得ないため、得られる混練ゴムにおいて練りのバラツキが大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
即ち、発泡ゴムローラの製造においては、プロ練り工程においてニーダーを用いて練りのバラツキを抑えることと、加硫発泡工程において所望の低硬度およびセル構造を得ることとが、ゴム配合のスコーチタイムの点で矛盾する要請となっており、これら要請をともに満足して、全体として均一な発泡状態を有し、かつ、所望の低硬度およびセル構造を備える発泡ゴムローラを実現することは困難であった。
【0008】
そこで本発明の目的は、ゴムのプロ練り工程において、ニーダーによる混練を可能とするために長いスコーチタイムを有するゴム配合を用いても、加硫発泡工程においてガス抜け等の不具合を生ずることがなく、これにより、低硬度であって、セル壁が薄く、均一で微細なセル構造を有するローラを得ることのできる発泡ゴムローラの製造方法およびそれにより得られる発泡ゴムローラを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、スコーチタイムが長いゴム配合について、加硫発泡工程において、加硫に先立って未加硫ゴム組成物に所定量の熱量を加えることにより、または、混練工程において、未加硫ゴム組成物の温度が所定の熱量相当分上昇するまで混練を行うことにより、その後の加硫時において低硬度で良好なセル構造を有するローラが実現されることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、上記課題を解決するために、本発明の発泡ゴムローラの製造方法は、ゴム成分と、少なくとも発泡剤および加硫剤を含む配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、該混練された未加硫ゴム組成物を加硫、発泡させる加硫発泡工程とを含む発泡ゴムローラの製造方法において、
前記加硫発泡工程において、150℃以下の温度領域にて、前記押出された未加硫ゴム組成物に対し8.0J/g以上の熱量を加えた後、所定の加硫温度まで温度を上げて、該未加硫ゴム組成物を加硫することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の発泡ゴムローラの製造方法は、ゴム成分と、少なくとも発泡剤および加硫剤を含む配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、該混練された未加硫ゴム組成物を加硫、発泡させる加硫発泡工程とを含む発泡ゴムローラの製造方法において、
前記混練を、前記未加硫ゴム組成物の温度が5.4J/g以上の熱量相当分だけ上昇するまで行うことを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、特に、前記未加硫ゴム組成物として、キュラストメーターによる100℃でのスコーチタイムが10〜90分程度である、スコーチタイムの長い配合系を用いる場合に効果的である。また、本発明においては、前記加硫発泡工程は加圧水蒸気を用いて加硫缶内で、前記混練はニーダーを用いて、夫々好適に行うことができる。さらに、本発明においては、前記配合剤として、導電性物質を含有させることが好ましい。さらにまた、前記発泡剤の好適含有量は、前記ゴム成分100重量部に対し、1〜20重量部の範囲内である。
【0013】
また、本発明の発泡ゴムローラは、上記本発明の発泡ゴムローラの製造方法により製造されてなることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、ゴム成分と各種配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、混練された未加硫ゴムを加硫、発泡させる加硫発泡工程とを経て発泡ゴムローラを得る製造方法に係る技術であり、加硫に先立って、未加硫ゴム組成物に対し、所定量以上の熱量を実質的に加える点に特徴がある。
【0015】
前述したように、長いスコーチタイムを有する配合系の未加硫ゴム組成物の場合、加硫発泡工程においてガス抜け等の不具合が生じてセル構造に不良を生じやすい。本発明においては、未加硫ゴム組成物に対し、加硫前に所定量以上の熱量を付与することで、かかる不具合を解消して、練りの均一性と良好な発泡状態とを両立させた発泡ゴムローラを安定的に得ることが可能となった。
【0016】
具体的には、加硫発泡工程において、加硫前に、150℃以下の温度領域にて、未加硫ゴム組成物に対し8.0J/g以上、好ましくは8.0〜13.4J/g程度の熱量を加えることが必要である。これにより、未加硫ゴム組成物を均一に予備加熱するとともに、予備スコーチを起こすことで、発泡の進行によるガス抜け等を防止することができる。従って、その後、所定の加硫温度まで温度を上げて、未加硫ゴム組成物の加硫を行うことにより、スキン層が形成され、セル壁が薄く、微細で均一なセル径を有する、見掛け密度の小さい低硬度の発泡ゴムローラを得ることができる。
【0017】
かかる所定量の熱量を未加硫ゴム組成物に対し加える具体的な手法としては、特に制限されるものではないが、例えば、110〜120℃程度の環境温度にて一定時間保持する方法などを用いることができる。例えば、熱風オーブンを用いてもよい。但し、未加硫ゴム組成物自体の温度が150℃を超えないようにすることが必要である。未加硫ゴム組成物自体の温度が高温になりすぎると、加硫、発泡が開始してしまい、本発明の効果が損なわれる。
【0018】
また、本発明においては、加硫発泡工程ではなく、混練工程において未加硫ゴム組成物に対し実質的に熱量を加えることによっても、同様の効果を得ることができる。具体的には、混練工程のうちでもプロ練り時において、未加硫ゴム組成物の温度が5.4J/g以上、好ましくは5.4〜8.0J/g程度の熱量相当分だけ上昇するまで、混練を行う。この場合にも、その後の加硫発泡工程において、セル径が小さく、セル壁の薄い、見掛け密度の小さい低硬度の発泡ゴムローラを得ることができる。上記熱量相当分の温度上昇は、プロ練り終了後に、混練ゴムをニーダーから取り出して、熱電対を直接混練ゴム内部に差し込むことにより、温度を実測し、プロ練り前後の温度変化より、求めることができる。
【0019】
なお、上記の2種類の熱量付与の技術は、単独で用いても十分所期の効果を得ることができるが、併用してもよい。その場合の夫々の工程における付与熱量の配分は、相対的な割合として、最終的に上記条件を満足するように行うことができる。
【0020】
ここで、本発明における長いスコーチタイムとは、キュラストメーターによる100℃でのスコーチタイム(tsx)で10〜90分程度をいう。即ち、本発明は、この範囲内程度の長いスコーチタイムを有するゴム配合に対し、好適に適用することができる。従って、本発明に係る混練工程においては、上記のような長いスコーチタイムの配合系に対応して、ニーダーを用いて混練を行うことができる。そのため、練りのバラツキを適切に防止して、ゴム成分と各種配合剤とを十分に混合させることができ、ローラ全体として均一なセル構造を実現することが可能となる。
【0021】
本発明の製造方法においては、混練工程ないし加硫発泡工程において、上記条件に従い未加硫ゴム組成物に実質的に熱量を加える点のみが重要であり、他工程における製造条件等には特に制限はないが、例えば、以下のように行うことができる。
【0022】
混練工程は、上記したように、通常2段階で行い、最初に、ゴム成分に対し発泡剤および加硫剤以外の配合剤を添加して、例えば、110〜180℃程度の温度にて、ノンプロ練りを行う。その後、得られた混練物を一旦冷却して、発泡剤および加硫剤を添加し、例えば、50〜90℃程度の温度でプロ練りを行う。最初の混練であるノンプロ練りは発泡剤および加硫剤以外の配合剤をゴム成分中に十分に分散させるために行うものであるので、ある程度高い温度で行うことが必要であるが、2度目の混練であるプロ練りは、加硫、発泡反応を進行させないために、加硫や発泡が起こる温度よりも低い温度で行うことが必要となる。この混練工程において、本発明に係る実質的な熱量付与を行う場合には、2度目の混練であるプロ練りにおいて、上述した条件に従う混練を行うことが必要となる。混練に用いる練り装置としては、前述したように、練りのバラツキを抑えるために、ニーダーを用いることが好適であるが、バンバリーミキサーやインターミックス等の、他の練り装置を用いてもよい。
【0023】
混練工程後には、未加硫ゴムを所定形状に押出す押出工程を行う。押出工程は、慣用のゴム押出機を用いて、常法に従い行うことができ、特に制限されるものではないが、押出温度としては、上記混練の第2段階におけると同様に、加硫や発泡が起こる温度よりも低い温度で行うことが重要である。好適には、加硫発泡工程の温度よりも30℃以上低い温度であり、例えば、40〜130℃程度とすることができる。
【0024】
押出後の未加硫ゴム組成物は、次いで、加硫発泡工程に供される。本発明に係る加硫発泡工程は、特に制限されるものではないが、加圧水蒸気を用いて加硫缶内で行うことが好ましい。加硫発泡は、例えば、温度120〜180℃程度で、時間10〜120分程度にて行うことができる。なお、この加硫発泡工程において本発明に係る熱量付与を行う場合には、一旦150℃以下の温度として熱量を加えた後、上記加硫発泡温度にまで加温することが必要となる。
【0025】
加硫発泡工程後には、熱風オーブンにより後加硫を行うことが好ましい。後加硫は、発泡ゴムローラの発泡セルの形態を安定化させるとともに、発泡ゴムローラの硬度、寸法および電気抵抗の安定化、圧縮永久歪や加工歪の低減等に効果がある。また、後加硫により、発泡ゴムローラに残留する低分子化合物を揮散させることができるので、発泡ゴムローラを実機にて使用する際の、他部材に対する汚染防止効果も得ることができる。後加硫は、温度70〜200℃程度で、時間15〜300分程度にて行うことができる。
【0026】
さらに、芯金の圧入、表面研磨等の工程を経て、芯金の外周に発泡ゴム層が担持されてなる、本発明の発泡ゴムローラを得ることができる。研磨方法としては、例えば、回転砥石による方法や、ブレードによるピーリング等の手法を用いることができる。回転砥石による研磨の場合には、ローラの長さよりも幅の狭い砥石を用いるトラバース研磨と、ローラの長さとほぼ同等の幅を持つ砥石を用いるプランジ研磨とがあるが、生産性が良好である点から、プランジ研磨が好適である。
【0027】
本発明の発泡ゴムローラは、上記本発明の発泡ゴムローラの製造方法により製造されてなるものであればよく、具体的な材料、構造等には特に制限はないが、例えば、以下のような材料を用いることができる。
【0028】
ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、特にはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等が挙げられ、これらを1種または2種以上で用いることができるが、特に、EPDMが好ましい。EPDMのジエン成分としては、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン等が挙げられ、例えば、エチレンの含有量を5〜95重量%、プロピレンの含有量を5〜95重量%、ジエン成分の含有量をヨウ素価で0〜50程度とすることが好ましい。
【0029】
発泡剤としては、例えば、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)等のスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物等の有機発泡剤や、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム等の無機発泡剤が挙げられる。これらの中でも、OBSH、ADCAまたはこれらを併用した発泡剤が特に好ましい。発泡剤の添加量は、ゴム成分100重量部に対し、1〜20重量部程度とすることが好ましい。
【0030】
加硫剤としては、硫黄、有機過酸化物等が挙げられ、その使用量としては、通常、ゴム成分100重量部に対し、1〜10重量部程度である。
【0031】
また、本発明の発泡ゴムローラは、配合剤として導電性物質を用いることにより導電性ローラとして好適に使用することができる。かかる導電性物質としては、カーボン導電剤やイオン導電剤などを用いることができる。カーボン導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のガスブラック、インクブラックを含むオイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等のドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム等のオクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩:リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。これらの導電性物質の配合量としては特に制限はなく、所望に応じ適宜選定することができるが、通常、ゴム成分100重量部に対し、30〜100重量部、特には40〜70重量部の範囲内である。本発明の発泡ゴムローラを導電性ローラとして用いる場合には、これら導電性物質の配合により、ローラの抵抗を103〜109Ω程度に調整することが好ましい。
【0032】
本発明の発泡ゴムローラの材料としては、上記の他、加硫促進剤、加硫促進助剤、しゃく解剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等を適宜用いることができる。加硫促進剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、または、DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系などが挙げられる。また、芯金としては、例えば、硫黄快削鋼などの鋼材に亜鉛などのめっきを施した金属部材、アルミニウム、ステンレス鋼、マグネシウム合金などの金属部材が挙げられる。
【0033】
また、本発明の発泡ゴムローラの諸物性としては、例えば、アスカーC硬度15〜25°程度、見かけ密度0.15〜0.35g/cm3程度とすることができ、上述した各種製造条件の調整により、発泡セル径80〜200μm程度、セル壁厚さ30〜100μm程度のセル構造を有するものとすることが好ましい。
【0034】
なお、本発明の発泡ゴムローラは、複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置における、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラ、クリーニングローラ、バイアスローラ、給紙ローラ等として、好適に用いることができるものである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
実施例1、2および比較例1
下記の表1中に示すゴム配合にて、以下に示す手順に従い発泡ゴムローラを作製した。まず、ゴム成分および各種配合剤をニーダーに投入して、50℃で6分混練を行った。その後、得られた未加硫ゴム組成物を、ゴム押出機(中田エンジニアリング(株)製 押出機)を用いて50℃で押し出して、円筒状の未発泡ゴム成形物を得た。これを加硫缶内に配置して、約120℃の温度領域で下記の表1中に示す熱量を加えた後、170℃まで温度を上げて、加硫、発泡を行った。この付与熱量については、練りゴムの比熱を0.107J/g・Kとして、熱電対による練りゴムの実測温度と温室25℃との差より求めた。その後、熱風オーブンにより180℃で60分、後加硫を行って、芯金(材質:SUS)を圧入し、表面を研磨することにより、発泡ゴムローラを得た。
【0036】
各実施例および比較例の未加硫ゴム組成物のキュラストメーターによる100℃でのスコーチタイム、得られた発泡ゴムローラのアスカーC硬度、見かけ密度、発泡セル径、セル壁厚さ、ローラ抵抗の各測定値を、夫々、下記の表1中に示す。なお、各測定値の測定方法は以下のとおりである。
キュラストメーター:(株)東洋精機製作所製 キュラストメーターW型を用いた。
アスカーC硬度:JIS K6301に準拠して測定した。
見かけ密度:発泡ゴムの空気中での重量を体積で除して得た。
発泡セル径、セル壁厚さ:ハイロックス社製のCCDビデオカメラを用いて、約70倍の倍率で写真撮影を行い、得られた画像に基づき測定した。
ローラ抵抗:ローラの両端に夫々500gの荷重を掛けて銅版上に押しつけ、抵抗率計R8340A(アドバンテスト社製)を用いて、100Vの電圧を印加して、抵抗値を測定した。
【0037】
【表1】
1)2−メルカプトベンゾチアゾール、
2)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、
3)ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、
4)N,N’−ジエチルチオ尿素、
5)p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、
6)アゾジカルボンアミド
【0038】
実施例3、4および比較例2
下記の表2中に示すゴム配合にて、以下に示す手順に従い発泡ゴムローラを作製した。まず、ゴム成分および各種配合剤をニーダーに投入して、最初の温度50℃で、未加硫ゴム組成物の温度が下記表2に示す熱量相当分だけ上昇するまで、6分混練を行った。その後、得られた未加硫ゴム組成物を、ゴム押出機(中田エンジニアリング(株)製 押出機)を用いて50℃で押し出して、円筒状の未発泡ゴム成形物を得た。これを加硫缶内に配置して、170℃にて、加硫、発泡を行った。その後、熱風オーブンにより180℃で60分、後加硫を行って、芯金(材質:SUS)を圧入し、表面を研磨することにより、発泡ゴムローラを得た。
【0039】
各実施例および比較例の未加硫ゴム組成物のキュラストメーターによる100℃でのスコーチタイム、得られた発泡ゴムローラのアスカーC硬度、見かけ密度、発泡セル径、セル壁厚さ、ローラ抵抗の各測定値を、夫々、下記の表2中に示す。各測定値の測定方法は実施例1等と同様である。
【0040】
【表2】
1)2−メルカプトベンゾチアゾール、
2)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、
3)ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、
4)N,N’−ジエチルチオ尿素、
5)p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、
6)アゾジカルボンアミド
【0041】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の発泡ゴムローラの製造方法によれば、ゴムの混練工程において、ニーダーによる混練を可能とするために長いスコーチタイムを有するゴム配合を用いても、加硫発泡工程においてガス抜け等の不具合を生ずることがない。従って、発泡工程において良好なスキン層を形成することが可能となり、低硬度であって、セル壁が薄く、均一で微細なセル構造を有するローラを安定して得ることができる。
Claims (8)
- ゴム成分と、少なくとも発泡剤および加硫剤を含む配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、該混練された未加硫ゴム組成物を加硫、発泡させる加硫発泡工程とを含む発泡ゴムローラの製造方法において、
前記加硫発泡工程において、150℃以下の温度領域にて、前記未加硫ゴム組成物に対し8.0J/g以上の熱量を加えた後、所定の加硫温度まで温度を上げて、該未加硫ゴム組成物を加硫することを特徴とする発泡ゴムローラの製造方法。 - ゴム成分と、少なくとも発泡剤および加硫剤を含む配合剤とからなる未加硫ゴム組成物を混練する混練工程と、該混練された未加硫ゴム組成物を加硫、発泡させる加硫発泡工程とを含む発泡ゴムローラの製造方法において、
前記混練を、前記未加硫ゴム組成物の温度が5.4J/g以上の熱量相当分だけ上昇するまで行うことを特徴とする発泡ゴムローラの製造方法。 - 前記未加硫ゴム組成物として、キュラストメーターによる100℃でのスコーチタイムが10〜90分であるものを用いる請求項1または2記載の発泡ゴムローラの製造方法。
- 前記加硫発泡工程を、加圧水蒸気を用いて加硫缶内で行う請求項1〜3のうちいずれか一項記載の発泡ゴムローラの製造方法。
- 前記混練を、ニーダーを用いて行う請求項1〜4のうちいずれか一項記載の発泡ゴムローラの製造方法。
- 前記配合剤として、導電性物質を含有させる請求項1〜5のうちいずれか一項記載の発泡ゴムローラの製造方法。
- 前記発泡剤を、前記ゴム成分100重量部に対し、1〜20重量部の範囲内で含有させる請求項1〜6のうちいずれか一項記載の発泡ゴムローラの製造方法。
- 請求項1〜7のうちいずれか一項記載の発泡ゴムローラの製造方法により製造されてなることを特徴とする発泡ゴムローラ。
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2003
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