JP2004268087A - 逐次成形方法及び装置,並びに逐次成形方法により成形されたカップ状部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の成形形状に合わせた専用支持具を必要とせず,自由度の高い成形が実現でき,素材の板厚減少が少ない逐次成形方法を提供すること。
【解決手段】底予定部81を有すると共に底予定部81の周囲に壁予定部82を有する板状の素材80を準備し,その外周端89を解放した状態で素材80を保持する。壁予定部82に対し,一対の山部71の間において窪んだ谷部72を有する断面略V字状の皺形状部を多数形成する皺形成工程を行う。皺形成工程を行うに当たっては,底予定部81の外周を囲う仮想輪郭線88から素材80の外周端89に向かって山部71及び谷部72が配置されるように皺形状部7を形成する。皺形成工程後には,山部71及び谷部72を潰すように変形させて略平坦な形状に成形する皺潰し工程を行う。皺形成工程と皺潰し工程とを繰り返し行うことにより,壁予定部82を徐々に所望形状に近づけてカップ状部品を得る。
【選択図】 図18
【解決手段】底予定部81を有すると共に底予定部81の周囲に壁予定部82を有する板状の素材80を準備し,その外周端89を解放した状態で素材80を保持する。壁予定部82に対し,一対の山部71の間において窪んだ谷部72を有する断面略V字状の皺形状部を多数形成する皺形成工程を行う。皺形成工程を行うに当たっては,底予定部81の外周を囲う仮想輪郭線88から素材80の外周端89に向かって山部71及び谷部72が配置されるように皺形状部7を形成する。皺形成工程後には,山部71及び谷部72を潰すように変形させて略平坦な形状に成形する皺潰し工程を行う。皺形成工程と皺潰し工程とを繰り返し行うことにより,壁予定部82を徐々に所望形状に近づけてカップ状部品を得る。
【選択図】 図18
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形方法及び装置,並びに逐次成形方法により成形されたカップ状部品に関する。
【0002】
【従来技術】
金属板よりなる素材を成形して大量の製品を得るには,専用の金型を作製し,プレス成形することが効率的でコストダウンにもつながる。しかしながら,小ロットの製品を作製する場合には,金型の作製コストが高いため,プレス成形はむしろコストアップに繋がる。そのため,板金職人による一品生産が採用される場合もある。しかしながらこの一品生産は,けっして効率の良いものではなく,製造コストを低減させることが困難であった。
【0003】
このような背景のもと,上記板金職人の作業と同様の作業を機械化する検討がなされてきた。例えば,所望の成形形状に対応する形状をそのまま有する支持具(下型)に対面させて材料を固定し,NC加工機に取り付けられた工具を材料に押しつけて,材料を支持具形状に成形する方法が,逐次成形法あるいはインクリメンタル成形法という名称で提案されている(例えば,特許文献1,特許文献2参照)。これらの工具としては,半球状,円錐状,逆円錐状のものを用いることも示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−334314号公報
【特許文献2】
特開平10−314855号公報
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の逐次成形方法においては,次の問題がある。
即ち,上記従来の方法では,所望の成形形状に合わせた専用の支持具(下型)が必要になる。そのため,少量生産であっても,その製品形状ごとに支持具を作製する必要があり,自由度が低く,製造コストの低減効果も低い。
また,上記工具によって素材である板材料を上記支持具に押さえつけて成形させるので,素材の板厚減少が避けられない。そのため,板厚減少による破断が生じたり,所望の強度を有する部品が得られないという問題も生じうる。また,これらの従来技術は,素材の外周部を保持して内部を張り出す方法をとるので,成形の自由度がさらに低い。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,所望の成形形状に合わせた専用支持具を必要とせず,自由度の高い成形が実現でき,かつ,素材の板厚減少が少ない逐次成形方法及び装置,並びに逐次成形方法により成形されたカップ状部品を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1の発明は,底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品を,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形方法であって,
上記底部となる底予定部を有すると共に該底予定部の周囲に上記立ち壁部となる壁予定部を有する板状の上記素材を準備し,その外周端を解放した状態で該素材を保持し,
該素材の上記壁予定部に対し,一対の山部の間において窪んだ谷部を有する断面略V字状の皺形状部を多数形成する皺形成工程を行い,
該皺形成工程を行うに当たっては,上記底予定部の外周を囲う仮想輪郭線から上記素材の外周端に向かって上記山部及び上記谷部が配置されるように上記皺形状部を形成し,
上記皺形成工程を行った後には,上記皺形状部の上記山部及び上記谷部を潰すように変形させて上記山部と上記谷部を略平坦な形状に成形する皺潰し工程を行い,
上記皺形成工程と上記皺潰し工程とを繰り返し行うことにより,上記壁予定部を徐々に所望形状に近づけて上記カップ状部品を得ることを特徴とする逐次成形方法にある(請求項1)。
【0008】
本発明の逐次成形方法においては,上記のごとく,素材の外周端を解放した状態,即ち,外周端を自由に変形できるようにした状態で上記素材を保持し,上記皺形成工程及び皺潰し工程を上記壁予定部に対して施す。上記皺形成工程を施して上記山部と谷部とを有する皺形状部を形成した後に,上記皺潰し工程を施して皺形状部を略平坦に潰すことにより,上記壁予定部を元の位置からいずれかの方向にずらすように変形させることができる。そのため,上記皺形成工程と皺潰し工程とを繰り返し行うことにより,上記壁予定部を徐々に変形させることができ,所望形状へと近づけることができる。
【0009】
また,上記のごとく,素材はその外周端を解放させた状態で保持し,上記皺形状部は,その山部及び谷部が,上記仮想輪郭線から素材の外周端に向くように配置する。そのため,上記皺形状部は,自由に変形しうる外周端にその断面形状を開放させた状態で形成されるので,大きな変形抵抗を受けることなく,スムーズに形成される。もし,上記仮想輪郭線と外周端との間で略平行に皺形状を作るとすると,大きな変形抵抗を受けてスムーズな成形が困難となり,かつ,不要な歪みの発生を誘発するおそれがある。
【0010】
また,上記皺潰し工程においても,自由に変形しうる外周端の存在によって,皺潰し成形をもスムーズに行うことができる。
そして,上記素材の外周端を解放させていることによって,壁予定部がその平面方向に伸ばされるような変形を受けることが殆ど無く,その板厚の減少を十分に抑制することができる。むしろ,成形条件によっては,板厚の増加をも実現することができる。
【0011】
また,上記皺形成工程と皺潰し工程とは,後述するような工具を用いることができ,得ようとする製品特有の専用工具を必要としない。そして,製品形状が多少変わっても,上記皺形成工程と皺潰し工程とを施す位置,回数を変更することによって対応することができ,製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
このように,本発明によれば,所望の成形形状に合わせた専用支持具を必要とせず,自由度の高い成形が実現でき,かつ,素材の板厚減少が少ない逐次成形方法を提供することができる。
【0013】
第2の発明は,底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品を,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形装置であって,
上記板状の素材の外周端を解放した状態で該素材を保持する保持手段と,
上記素材の両面にそれぞれ対面するように配設される少なくとも一対の押圧工具と,
上記素材を上記押圧工具に対して相対的に移動させる素材移動手段と,
上記一方の押圧工具を他方の押圧工具に対して相対的に移動させて上記素材を変形させる工具駆動手段とを有し,
上記一対の押圧工具としては,一対の山部の間において窪んだ谷部を有する断面略V字状の皺形状部を形成可能な一対の皺出し工具と,上記皺形状部の上記山部及び上記谷部を潰すように変形させて上記山部と上記谷部を略平坦な形状に成形する一対の皺潰し工具とを取り替え可能に有することを特徴とする逐次成形装置にある(請求項8)。
【0014】
本発明の逐次成形装置は,上記のごとく,上記保持手段,上記押圧工具,上記素材移動手段,上記工具駆動手段を有しており,かつ,上記押圧工具としては,上記皺出し工具と上記皺潰し工具とを取り替え可能に有している。そのため,上述した皺形成工程と皺潰し工程とを繰り返す逐次成形方法を確実に実行することができる。
【0015】
即ち,まず,上記逐次成形装置には,上記押圧工具として,一対の皺出し工具を取り付ける。一方,上記保持手段には,外周端を解放させた状態で上記素材を保持する。そして,上記素材移動手段によって上記素材を上記皺出し工具に対して相対的に移動させ,両者の位置合わせを行う。次いで,上記工具駆動手段によって上記皺出し工具を一方から他方に向けて相対的に移動させて上記素材に皺形状部を形成する。この素材と皺出し工具との相対位置の変更と皺形状部の成形を繰り返すことにより,上述した逐次成形方法の皺形成工程を行うことができる。
【0016】
また,皺潰し工程を行うには,上記逐次成形装置に,上記一対の皺出し工具に代えて一対の皺潰し工具を取付ける。そして,上記素材移動手段によって上記素材を上記皺潰し工具に対して相対的に移動させ,両者の位置合わせを行う。次いで,上記工具駆動手段によって上記皺潰し工具を一方から他方に向けて相対的に移動させて上記皺形状部を平坦に潰す。この素材と皺潰し工具との相対位置の変更と皺潰し作業とを繰り返すことにより,上述した逐次成形方法の皺潰し工程を行うことができる。
【0017】
そして,上記押圧工具として,上記皺出し工具と皺潰し工具との取り替えを交互に行って,上記と同様の作業を行うことにより,上記皺形成工程と皺潰し工程とを繰り返し行うことができ,上述した優れた逐次成形方法を容易に実施することができる。
【0018】
第3の発明は,底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品を,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形装置であって,
上記板状の素材の外周端を解放した状態で該素材を保持する保持手段と,
上記素材の両面にそれぞれ対面するように配設される少なくとも二対の押圧工具と,
上記素材を上記押圧工具に対して相対的に移動させる素材移動手段と,
上記一方の押圧工具を他方の押圧工具に対して相対的に移動させて上記素材を変形させる工具駆動手段とを有し,
上記一対の押圧工具としては,一対の山部の間において窪んだ谷部を有する断面略V字状の皺形状部を形成可能な一対の皺出し工具と,上記皺形状部の上記山部及び上記谷部を潰すように変形させて上記山部と上記谷部を略平坦な形状に成形する一対の皺潰し工具とを併設して有することを特徴とする逐次成形装置にある(請求項9)。
【0019】
この発明の逐次成形装置は,上記押圧工具を二対以上有し,少なくとも一対の皺出し工具と一対の皺潰し工具との両者を併設して有している。そのため,上記第2の発明のように,押圧工具としての皺出し工具と皺潰し工具とを交換する必要が無く,より効率よく上述した逐次成形方法を実現することができる。
【0020】
第4の発明は,底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品であって,上記第1の発明の逐次成形方法により成形されてなり,上記立ち壁部の板厚が上記底部の板厚と同等以上の大きさを有していることを特徴とするカップ状部品にある(請求項14)。
【0021】
本発明のカップ状部品は,上記の優れた逐次成形方法により成形されているので,上記のごとく立ち壁部の板厚の減少を抑制することができ,底部の板厚と同等以上の板厚に維持することができる。これにより,上記カップ状部品は,優れた強度特性を得ることができ,様々な用途に適用することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明において,上記皺形成工程を行うに当たっては,上記仮想輪郭線の接線に対して略垂直な方向に上記山部及び上記谷部が配置されるように上記皺形状部を形成することが好ましい(請求項2)。この場合には,上記皺形状部を,上記底予定部から外周端に向けて放射状に配置することが容易となり,偏りの少ないより均一な加工を行うことができる。
【0023】
また,上記皺潰し工程は,上記仮想輪郭線の周囲を回動すると共にその回動位置を内周側から外周端に徐々に移動させるという加工軌跡に沿って徐々に行うことが好ましい(請求項3)。この場合には,上記加工軌跡を採用することにより,皺潰し作業をよりスムーズに行うことができ,かつ,不要な歪みの発生を抑制することができる。また,上記加工軌跡としては,複数の独立した輪を複数組み合わせたもの,あるいは,いわゆる一筆書きのように螺旋状に徐々に輪の径を大きくしたもの,さらには両者の組み合わせ等の形態をとることができる。
【0024】
また,上記仮想輪郭線が曲線部分と直線部分の組み合わせである場合には,各部分に上記皺形成工程あるいは上記皺潰し工程を行うに当たって,その両端側から交互に内方に近づくように上記皺形状部を形成あるいは皺潰し成形することが好ましい(請求項4)。この場合にも,加工にともなって製品に生ずる不要な歪みを低減することができる。
【0025】
また,上記皺形成工程では,上記谷部の外面側に対応する窪みを有する凹工具と,上記谷部の内面側に対応する突出部を有する凸工具とよりなる皺出し工具を用い,上記凹工具と上記凸工具とによって上記壁予定部を挟持することにより上記皺形状部を形成することが好ましい(請求項5)。この場合には,上記素材を上記凹工具と凸工具とで挟持することにより容易に上記皺形状部を形成することができる。
【0026】
また,上記皺潰し工程では,上記谷部を押圧する谷押圧面を有する谷側工具と,上記山部を押圧する山押圧面を有する山側工具とよりなる皺潰し工具を用い,上記谷側工具と上記山側工具とによって上記皺形状部を挟持することにより上記山部及び上記谷部を潰すように変形させることが好ましい(請求項6)。この場合には,上記山部を上記谷側工具と上記山側工具とで挟持することにより容易に上記皺形状部を平坦に潰すことができる。なお,上記皺潰し工具としては,一つの上記皺形状部の全体を一度に潰す大きさを有していてもいいが,一の皺形状部を部分的に潰す大きさであっても良い。
【0027】
また,上記皺潰し工程では,上記皺潰し工具によって,上記素材の厚み方向に略平行に上記山部及び上記谷部を押圧することが好ましい(請求項7)。この場合には,上記皺形状部における素材の板厚が減少するような変形が生ずることを防止することができる。素材の板厚は,この素材をその厚み方向と直行する方向に力をかけ,素材をその平面方向に伸ばすことにより減少し易いが,上記のごとく素材の厚み方向に略平行に押圧した場合には,素材を平面方向に伸ばすような加工が生ずることを極力防止することができる。
【0028】
次に,上記第2,第3の発明においても,上記一対の皺出し工具は,上記谷部の外面側に対応する窪みを有する凹工具と,上記谷部の内面側に対応する突出部を有する凸工具とよりなることが好ましい(請求項10)。この場合には,上記素材を上記凹工具と凸工具とで挟持することにより容易に上記皺形状部を形成することができる。
【0029】
また,上記凹工具は,球面状の頭部を有し,該頭部の近傍から徐々に深さが深くなるように上記窪みを設けてあることが好ましい(請求項11)。この場合には,上記頭部を素材に当接させて上記皺形成の作業を行うことにより,皺形状部と平坦な部分との境界部において上記頭部がなめらかに素材に接触し,素材にダメージを与えることなく無理なく皺形状部を形成することができる。
【0030】
また,上記一対の皺潰し工具は,上記谷部を押圧する谷押圧面を有する谷側工具と,上記山部を押圧する山押圧面を有する山側工具とよりなることが好ましい(請求項12)。この場合には,上記山部を上記谷側工具と上記山側工具とで挟持することにより容易に上記皺形状部を平坦に潰すことができる。また,皺潰し工具としては,一つの上記皺形状部の全体を一度に潰す大きさを有していてもいいが,一の皺形状部を部分的に潰す大きさであっても良い。
【0031】
また,上記逐次成形装置は,上記一対の押圧工具と上記素材との相対位置関係を順次変更することにより順次異なる位置で上記素材を変形させるための自動制御部を有しており,該自動制御部は,上記押圧工具と上記素材との相対位置関係を示す位置情報を時系列に有する加工データを記憶し,該加工データに従って,順次上記素材移動手段と上記工具駆動手段とを交互に制御して,上記一対の押圧工具と上記素材との相対位置関係の変更と上記素材の変形作業とを繰り返し行うよう構成されていることが好ましい(請求項13)。
【0032】
この場合には,同一形状のカップ状部品を複数作製する際に,精度良く,かつ効率よく成形することができ,製造コストをさらに低減することができる。
【0033】
また,上記第4の発明においては,上記立ち壁部と上記底部のなす角度が90°以下の部分を有している構造をとることもできる(請求項15)。即ち,上記立ち壁部が開口部に近づくにつれて拡径する形状だけでなく,縮径する形状をもとることができる。そのため,上記カップ状部品の用途をさらに拡大することができる。
【0034】
【実施例】
実施例1
本発明の実施例に係る逐次成形方法及び装置,並びに逐次成形方法により成形されたカップ状部品につき,図1〜図24を用いて説明する。
本例では,図22,図23に示すごとく,底部81と該底部81から立設させた立ち壁部82とを有するカップ状部品8を,板状の素材80(図17)を徐々に変形させて成形する。
【0035】
上記カップ状部品8を成形する逐次成形装置1は,図1に示すごとく,上記板状の素材80(図17)の外周端89を解放した状態で該素材80を保持する保持手段11と,素材80の両面にそれぞれ対面するように配設される少なくとも一対の押圧工具21,22と,素材80を押圧工具21,22に対して相対的に移動させる素材移動手段13と,上記一方の押圧工具22を他方の押圧工具21に対して相対的に移動させて上記素材80を変形させる工具駆動手段14とを有する。そして,本例では,上記一対の押圧工具21,22としては,一対の山部71の間において窪んだ谷部72を有する断面略V字状の皺形状部7(図18参照)を形成可能な一対の皺出し工具21a,22a(図2〜図6)と,上記皺形状部7の山部71及び谷部72を潰すように変形させて山部71と谷部72を略平坦な形状に成形する一対の皺潰し工具21b,22b(図7〜図12)とを取り替え可能に有する。
【0036】
さらに上記逐次成形装置1を詳説すると,図1に示すごとく,逐次成形装置1は,ハウジング101内にベース部102を有し,このベース部102上およびハウジング101にすべての構成部分が配設されている。
まずベース部102上に立設された基台29上には,一対の押圧工具21,22のうち下方に固定される工具(以下,下工具21(21a,21b)という)が固定されている。この下工具21としては,後述する一対の皺出し工具21a,22aのうちの下工具21aと,一対の皺潰し工具21b,22bのうちの下工具21bとのいずれかを取り替え可能に配設できるように構成されている。
【0037】
ベース部102上にはX−Yテーブル103が配設されており,さらにその上に素材移動手段13が配設されている。
素材移動手段13は,同図に示すごとく,2本のガイドポール131,132と,これらのガイドポール131,132に沿って昇降可能な昇降部133,134を有している。2つの昇降部133,134は互いに連動して昇降するように構成されている。
【0038】
上記2つの昇降部133,134の間には,上記素材8を保持する保持手段11が配設されている。そして,保持手段11は,上記X−Yテーブル103の移動に伴って平面状で任意の方向に移動し,上記昇降部133,134の移動に伴って上下方向に移動するよう構成されている。
【0039】
上記保持手段11は,素材8の中央部を固定する固定部112を有している。固定部112は,任意の方向に傾動可能に設けられている。そして,素材8を,上記固定部112の傾動によって任意の方向に傾けることができるよう構成されている。
【0040】
また,上記ハウジング101の天井部には,一対の押圧工具21,22のうちの上側に配置される工具(以下,上工具22(22a,22b)という)をセットした工具駆動手段14が配設されている。工具駆動手段14は,上工具22(22a,22b)を上下方向に移動させ,押圧量(押し込み量)および下工具21との平面方向の相対位置を調整できるように構成されている。
【0041】
次に,本例において上記一対の押圧工具21,22として適用した,一対の皺出し工具21a,22a及び一対の皺潰し工具21b,22bの形状について説明する。
まず,図2〜図4に示すごとく,一対の皺出し工具21a,22aのうちの下工具21aは,後述する皺形成工程において得ようとする皺形状部7の谷部72の外面側に対応する窪み215を有する凹工具である。この下工具21aは,同図に示すごとく,その上面の先端に球面状の頭部211aを設け,この頭部211aから遠ざかり後端213aに向かうにつれて徐々に下降するよう傾斜した加工面212aを有している。加工面212aは,その前後方向に直交する横断面形状が,上記頭部211aの球面形状と同じ曲率半径を有する略円弧状を有し,その上面中央部分に前後方向に沿って上記窪み215を設けてある。そして,窪み215は,上記頭部211aから遠ざかるに従って徐々に深さ及び幅が大きくなるように設けてある。また,窪み215は,図4に示すごとく,内角αが90°となるよう断面略V字状に設けた。
【0042】
また,図5,図6に示すごとく,一対の皺出し工具21a,22aのうちの上工具22aは,得ようとする皺形状部7の谷部72の内面側に対応する突出部225を有する凸工具である。同図に示すごとく,突出部225は,その下面の先端221aから後端223aに向けて徐々に下降するように設けられている。そして,突出部225は,下方に突出した断面略V字状を呈しており,その角度βは90°に設けた。
【0043】
次に,図7〜図9に示すごとく,上記一対の皺潰し工具21b,22bのうちの下工具21bは,後述する皺潰し工程において谷部72を押圧する谷押圧面212bを有する谷側工具である。この下工具21bは,同図に示すごとく,その上面の先端に球面状の頭部211bを設け,この頭部211bから後端213bまで略水平方向に延びた上記谷押圧面212bを有している。図9に示すごとく,谷押圧面212bは,その前後方向に直交する横断面形状が,上記頭部211bの球面形状と同じ曲率半径を有する略円弧状を有している。
【0044】
また,図10〜図12に示すごとく,一対の皺潰し工具21b,22bのうちの上工具22bは,後述する皺潰し工程において皺形状部7の山部71を押圧する山押圧面222bを有する山側工具である。この上工具22bは,図11に示すごとく,前後方向の寸法W1よりも横方向(左右方向)の寸法W2が大きい形状を有し,前後左右に所定の曲率を有する曲面を設けてある。
【0045】
次に,上記構成の逐次成形装置1を用いて,カップ状部品8を成形する方法につき,図13〜図24を用いて説明する。
まず,図17に示すごとく,本例で得ようとするカップ状部品8の底部81となる底予定部(符号は底部と同じ81とする)を有すると共に該底予定部81の周囲に上記立ち壁部82となる壁予定部(符号は立ち壁部と同じ82とする)を有する板状の素材80を準備する。本例で作製するカップ状部品8は,図22に示すごとく,円形と四角形を重ねたように一方が略方形で他方が略円形の底部81を有し,その周囲から立ち壁部82が立設した形状を有している。そして,素材80は,図17に示すごとく,その外周端89の輪郭が底予定部81の輪郭と相似形で拡大した形状の金属板を用いた。
【0046】
上記カップ状部品8を製造するに当たっては,まず,図1に示すごとく,素材80の外周端89を解放した状態で上記保持手段11により素材80の底予定部81の中央部分を保持する。
次いで,素材80の壁予定部82に対し,一対の山部71の間において窪んだ谷部72を有する断面略V字状の皺形状部7を多数形成する皺形成工程を行う。このとき,逐次成形装置1の押圧工具21,22としては,上述した皺出し工具21a,22aをセットしておく。
【0047】
上記皺形成工程を行うに当たっては,図13に示すごとく,工具駆動手段14(図1)によって上工具22aを上昇させて,上工具22aと下工具21aとの間に間隔をあけておいた状態で,上記素材80を素材移動手段13によって移動させ,壁予定部82における皺形状部を形成したい部分を,上工具22aと下工具21aとの間に位置させる。
【0048】
次いで,図14に示すごとく,工具駆動手段14(図1)によって上工具22aを下降させ,素材80の壁予定部82を上工具22aと下工具21aとの間に挟み込む。これにより,図18に示すごとく,皺形状部7を壁予定部82に形成する。そして,この作業を,上記壁予定部82に対して,位置をずらしながら多数形成する。
【0049】
ここで,本例では,皺形成工程を行うに当たって,図18,図24に示すごとく,底予定部81の外周を囲う仮想輪郭線88から上記素材80の外周端89に向かって上記山部71及び谷部72が配置されるように皺形状部7を形成した。さらに,同図に示すごとく,仮想輪郭線88の接線に対して略垂直な方向に上記山部71及び谷部72が配置されるように皺形状部7を形成した。
【0050】
なお,図24は,本例において形成した皺形状部7の谷部72を形成する位置を実線Vにより示し,また,皺形状部7を形成する順番を丸によって囲んだ数字により示したものである。
同図に示すごとく,本例の底予定部81の仮想輪郭線88は,曲線部分と直線部分の組み合わせである。即ち,仮想輪郭線88は,3つの直線部S1,S2,S3と,これらに挟まれる3つの曲線部C1,C2,C3を有している。加工を行う順序としては,同図に示すごとく,直線部S1,曲線部C1,直線部S2,曲線部C2,直線部S3,曲線部C3の順序とし,曲線部分C1,C2,C3に上記皺形成工程を行うに当たっては,その両端側から交互に内方に近づくように上記皺形状部を形成した。なお,この順序は変更することも可能である。
【0051】
図18に示すごとく,上記壁予定部82全体に満遍なく上記皺形状部7を形成して第1回目の皺形成工程を完了した後に,図19,図20に示すごとく,皺形状部7の山部71及び谷部72を潰すように変形させて山部71と谷部72を略平坦な形状に成形する皺潰し工程を行った。
このとき,逐次成形装置1の押圧工具21,22としては,上述した皺出し工具21a,22aを取り外し,皺潰し工具21b,22bをセットしておく。
【0052】
そして,上記皺潰し工程を行うに当たっては,工具駆動手段14によって上工具22bを上昇させて,上工具22bと下工具21bとの間に間隔をあけておいた状態で,上記素材80を素材移動手段13によって移動させ,潰そうとする皺形状部7の部位を,上工具22bと下工具21bとの間に位置させる。
【0053】
次いで,図15に示すごとく,工具駆動手段14(図1)によって上工具22bを下降させ,素材80の壁予定部82の皺形状部7を上工具22bと下工具21bとの間に挟み込む。このとき,素材80の厚み方向に略平行に山部71及び谷部72を押圧する。これにより,皺形状部7の一部分における山部71及び谷部72を潰すように変形させて略平坦にする。そして,この作業を,上記壁予定部82に対して,位置をずらしながら多数回行う。その際,各直線部,曲線部の各部における加工順序は,上述した図24に示すごとく,皺形成工程の場合と同様に,その両端側から交互に内方に近づくようにした。なお,この順序は変更することもできる。
【0054】
また,図19に示すごとく,皺潰し工程は,仮想輪郭線88の周囲を回動すると共にその回動位置を内周側から外周端に徐々に移動させるという加工軌跡K,K2,K3,,に沿って徐々に行った。本例の加工軌跡K1,K2,K3,,は,複数の独立した等高線のような輪を複数組み合わせたものとした。そして,図20に示すごとく,上記壁予定部82全体に上記の皺潰しの作業を行って,第1回目の皺潰し工程が完了した。図16に示すごとく,加工前に水平状の位置P0にあった壁予定部82は,この時点で,加工前の素材80の状態から約40〜45°起立した位置P1にまで変形した状態となった。
【0055】
次に,再び逐次成形装置1の押圧工具21,22として,皺潰し工具21b,22bを取り外し,皺出し工具21a,22aをセットする。そして,図21に示すごとく,第2回目の皺形成工程を行う。具体的な作業方法は上述した第1回目の皺形成工程と同様である。
【0056】
次に,再び逐次成形装置1の押圧工具21,22として,皺出し工具21a,22aを取り外し,皺潰し工具21b,22bをセットする。第2回目の皺潰し工程を行う。具体的な作業方法は上述した第2回目の皺潰し工程と同様である。この第2回目の皺潰し工程が完了した時点で,図16におけるP2の位置まで壁予定部82の変形がなされる。
そして,同様に,第3回目の皺形成工程と第3回目の皺潰し工程を施すことにより,図22,図23に示すごとく,壁予定部82を図16におけるP3の位置まで起立させ,所望の状態まで成形し,上記カップ状部品8を得た。
【0057】
上記のごとく,本例では,素材80の外周端89を解放した状態,即ち,外周端89を自由に変形できるようにした状態で素材80を保持し,皺形成工程及び皺潰し工程を壁予定部82に対して繰り返し施すことにより,壁予定部82を徐々に変形させることができ,所望形状へと近づけることができる。
【0058】
また,上記のごとく,素材80はその外周端89を解放させた状態で保持し,上記皺形状部7は,その山部71及び谷72部が,仮想輪郭線88から素材80の外周端89に向くように配置する。特に本例では,仮想輪郭線88の接線に対して略垂直な方向に山部71及び谷部72が配置されるようにする。そのため,皺形状部7は,自由に変形しうる外周端89にその断面形状を開放させた状態で形成されるので,大きな変形抵抗を受けることなく,スムーズに形成される。また,自由に変形しうる外周端89の存在によって,皺形成時と同様に,皺潰し成形をもスムーズに行うことができる。
【0059】
そして,素材80の外周端89を解放させていることによって,変形を受ける壁予定部89が張り出し変形を殆ど受けることが無く,その板厚の減少を十分に抑制することができ,むしろ,成形条件によっては,板厚の増加をも実現することができる。
【0060】
さらに,上記のごとく,皺形成工程と皺潰し工程とは,上記皺出し工具21a,22aと,皺潰し工具21b,22bとを用いて行い,得ようとする製品特有の専用工具を必要としない。そして,製品形状が多少変わっても,上記皺形成工程と皺潰し工程とを施す位置,回数を変更することによって対応することができ,製造コストの低減を図ることができる。
【0061】
なお,本例では,図22,図23に示すごとく,立ち壁部82が略直線的に拡径したカップ状部品8を例にしたが,立ち壁部82が所定の曲率を持った曲線状または円弧状等になった形状を採用することもできる。また,立ち壁部82を同図に示すごとく徐々に拡開するように設ける以外に,径が変化しないストレート形状あるいは,後述する実施例3のように縮径する形状に設けることも可能である。そして,いずれの場合も,上述した本例の逐次成形方法及び装置1を適用することが可能である。
【0062】
実施例2
本例では,図25に示すごとく,板厚0.78mmの素材を用いて,底部911の形状が円形のカップ状部品91を成形した。また,その立ち壁部912は,開口部に向けて徐々に拡径するように設けた。そして本例では,得られたカップ状部品91の立ち壁部912の板厚を測定した。
上記カップ状部品91の逐次成形方法,及びこれに用いた逐次成形装置は,実施例1と同様である。なお,皺形成工程あるいは皺潰し工程における,各皺形状部の成形順序あるいは皺潰し成形の順序は,左回りあるいは右回りのどちらか一方の方向に連続に行う順序にした。なお,成形順序は,左右交互の順序にしても問題がない。
【0063】
得られたカップ状部品91の板厚は,図25に示すごとく,測定部位線Tに沿って測定した。測定結果を図26に示す。同図は,横軸に中心点C1(図25)からの距離を,縦軸に板厚(mm)をとったものである。
同図より知られるごとく,立ち壁部912に相当する中心からの距離35mm以降の部分では板厚が素材の板厚よりも増加していることがわかる。
この結果から,本例の逐次成形方法によって成形することにより,立ち壁部の板厚減少を防止し,むしろ,板厚増加を実現することができることがわかる。
【0064】
実施例3
本例では,図27に示すごとく,板厚0.78mmの素材を用いて,底部921の形状が円形のカップ状部品92を成形し,また,その立ち壁部922は,開口部に向けて,徐々に縮径するように設けた。
この場合にも,実施例1と同様の逐次成形方法及び逐次成形装置1を用いることにより,スムーズな成形を行うことができた。そして,本例の場合にも,立ち壁部922の板厚減少も抑制することができ,優れた強度を有するカップ状部品92が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,逐次成形装置の構成を示す説明図。
【図2】実施例1における,皺出し工具の下工具を側面から見た説明図。
【図3】実施例1における,皺出し工具の下工具を上面から見た説明図。
【図4】実施例1における,皺出し工具の下工具の縦断面図(図2のA−A線矢視断面図)。
【図5】実施例1における,皺出し工具の上工具を側面から見た説明図。
【図6】実施例1における,皺出し工具の上工具の縦断面図(図5のB−B線矢視断面図)。
【図7】実施例1における,皺潰し工具の下工具を側面から見た説明図。
【図8】実施例1における,皺潰し工具の下工具を上面から見た説明図。
【図9】実施例1における,皺潰し工具の下工具の縦断面図(図7のC−C線矢視断面図)。
【図10】実施例1における,皺潰し工具の上工具を側面から見た説明図。
【図11】実施例1における,皺潰し工具の上工具を上面から見た説明図。
【図12】実施例1における,皺潰し工具の上工具の縦断面図(図10のD−D線矢視断面図)。
【図13】実施例1における,皺形成工程を行うために皺出し工具間に素材の壁予定部を配置した状態を示す説明図。
【図14】実施例1における,皺形成工程において皺出し工具によって素材の壁予定部を挟持した状態を示す説明図。
【図15】実施例1における,皺潰し工程において皺潰し工具によって素材の壁予定部を挟持した状態を示す説明図。
【図16】実施例1における,立ち壁部の角度が変化していく段階を示す説明図。
【図17】実施例1における,素材の形状を示す説明図。
【図18】実施例1における,第1回目の皺形成工程が完了した時点の素材の形状を示す説明図。
【図19】実施例1における,第1回目の皺潰し工程を行っている途中の素材の形状を示す説明図。
【図20】実施例1における,第1回目の皺潰し工程が完了した時点の素材の形状を示す説明図。
【図21】実施例1における,第2回目の皺形成工程が完了した時点の素材の形状を示す説明図。
【図22】実施例1における,カップ状部品の形状を示す説明図。
【図23】実施例1における,カップ状部品の縦断面図(図22のE−E線矢視断面図)。
【図24】実施例1における,皺形成工程において皺形状部の谷部を形成する位置及び形成する順序を示す説明図。
【図25】実施例2における,カップ状部品の形状を示す説明図。
【図26】実施例2における,カップ状部品の底部の中心からの距離と板厚の関係を示す説明図。
【図27】実施例3における,カップ状部品の形状を示す説明図。
【図28】実施例3における,カップ状部品の縦断面図(図27のF−F線矢視断面図)。
【符号の説明】
1...逐次成形装置,
11...保持手段,
13...素材移動手段,
14...工具駆動手段,
21...押圧工具(下工具),
21a...皺出し工具(下工具),
21b...皺潰し工具(下工具),
22...押圧工具(上工具),
22a...皺出し工具(上工具),
22b...皺潰し工具(上工具),
7...皺形状部,
71...山部,
72...谷部,
8,91,92...カップ状部品,
80...素材,
81,911,921...底部(底予定部),
82,912,922...立ち壁部(壁予定部),
88...仮想輪郭線,
89...外周端,
【技術分野】
本発明は,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形方法及び装置,並びに逐次成形方法により成形されたカップ状部品に関する。
【0002】
【従来技術】
金属板よりなる素材を成形して大量の製品を得るには,専用の金型を作製し,プレス成形することが効率的でコストダウンにもつながる。しかしながら,小ロットの製品を作製する場合には,金型の作製コストが高いため,プレス成形はむしろコストアップに繋がる。そのため,板金職人による一品生産が採用される場合もある。しかしながらこの一品生産は,けっして効率の良いものではなく,製造コストを低減させることが困難であった。
【0003】
このような背景のもと,上記板金職人の作業と同様の作業を機械化する検討がなされてきた。例えば,所望の成形形状に対応する形状をそのまま有する支持具(下型)に対面させて材料を固定し,NC加工機に取り付けられた工具を材料に押しつけて,材料を支持具形状に成形する方法が,逐次成形法あるいはインクリメンタル成形法という名称で提案されている(例えば,特許文献1,特許文献2参照)。これらの工具としては,半球状,円錐状,逆円錐状のものを用いることも示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−334314号公報
【特許文献2】
特開平10−314855号公報
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の逐次成形方法においては,次の問題がある。
即ち,上記従来の方法では,所望の成形形状に合わせた専用の支持具(下型)が必要になる。そのため,少量生産であっても,その製品形状ごとに支持具を作製する必要があり,自由度が低く,製造コストの低減効果も低い。
また,上記工具によって素材である板材料を上記支持具に押さえつけて成形させるので,素材の板厚減少が避けられない。そのため,板厚減少による破断が生じたり,所望の強度を有する部品が得られないという問題も生じうる。また,これらの従来技術は,素材の外周部を保持して内部を張り出す方法をとるので,成形の自由度がさらに低い。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,所望の成形形状に合わせた専用支持具を必要とせず,自由度の高い成形が実現でき,かつ,素材の板厚減少が少ない逐次成形方法及び装置,並びに逐次成形方法により成形されたカップ状部品を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1の発明は,底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品を,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形方法であって,
上記底部となる底予定部を有すると共に該底予定部の周囲に上記立ち壁部となる壁予定部を有する板状の上記素材を準備し,その外周端を解放した状態で該素材を保持し,
該素材の上記壁予定部に対し,一対の山部の間において窪んだ谷部を有する断面略V字状の皺形状部を多数形成する皺形成工程を行い,
該皺形成工程を行うに当たっては,上記底予定部の外周を囲う仮想輪郭線から上記素材の外周端に向かって上記山部及び上記谷部が配置されるように上記皺形状部を形成し,
上記皺形成工程を行った後には,上記皺形状部の上記山部及び上記谷部を潰すように変形させて上記山部と上記谷部を略平坦な形状に成形する皺潰し工程を行い,
上記皺形成工程と上記皺潰し工程とを繰り返し行うことにより,上記壁予定部を徐々に所望形状に近づけて上記カップ状部品を得ることを特徴とする逐次成形方法にある(請求項1)。
【0008】
本発明の逐次成形方法においては,上記のごとく,素材の外周端を解放した状態,即ち,外周端を自由に変形できるようにした状態で上記素材を保持し,上記皺形成工程及び皺潰し工程を上記壁予定部に対して施す。上記皺形成工程を施して上記山部と谷部とを有する皺形状部を形成した後に,上記皺潰し工程を施して皺形状部を略平坦に潰すことにより,上記壁予定部を元の位置からいずれかの方向にずらすように変形させることができる。そのため,上記皺形成工程と皺潰し工程とを繰り返し行うことにより,上記壁予定部を徐々に変形させることができ,所望形状へと近づけることができる。
【0009】
また,上記のごとく,素材はその外周端を解放させた状態で保持し,上記皺形状部は,その山部及び谷部が,上記仮想輪郭線から素材の外周端に向くように配置する。そのため,上記皺形状部は,自由に変形しうる外周端にその断面形状を開放させた状態で形成されるので,大きな変形抵抗を受けることなく,スムーズに形成される。もし,上記仮想輪郭線と外周端との間で略平行に皺形状を作るとすると,大きな変形抵抗を受けてスムーズな成形が困難となり,かつ,不要な歪みの発生を誘発するおそれがある。
【0010】
また,上記皺潰し工程においても,自由に変形しうる外周端の存在によって,皺潰し成形をもスムーズに行うことができる。
そして,上記素材の外周端を解放させていることによって,壁予定部がその平面方向に伸ばされるような変形を受けることが殆ど無く,その板厚の減少を十分に抑制することができる。むしろ,成形条件によっては,板厚の増加をも実現することができる。
【0011】
また,上記皺形成工程と皺潰し工程とは,後述するような工具を用いることができ,得ようとする製品特有の専用工具を必要としない。そして,製品形状が多少変わっても,上記皺形成工程と皺潰し工程とを施す位置,回数を変更することによって対応することができ,製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
このように,本発明によれば,所望の成形形状に合わせた専用支持具を必要とせず,自由度の高い成形が実現でき,かつ,素材の板厚減少が少ない逐次成形方法を提供することができる。
【0013】
第2の発明は,底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品を,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形装置であって,
上記板状の素材の外周端を解放した状態で該素材を保持する保持手段と,
上記素材の両面にそれぞれ対面するように配設される少なくとも一対の押圧工具と,
上記素材を上記押圧工具に対して相対的に移動させる素材移動手段と,
上記一方の押圧工具を他方の押圧工具に対して相対的に移動させて上記素材を変形させる工具駆動手段とを有し,
上記一対の押圧工具としては,一対の山部の間において窪んだ谷部を有する断面略V字状の皺形状部を形成可能な一対の皺出し工具と,上記皺形状部の上記山部及び上記谷部を潰すように変形させて上記山部と上記谷部を略平坦な形状に成形する一対の皺潰し工具とを取り替え可能に有することを特徴とする逐次成形装置にある(請求項8)。
【0014】
本発明の逐次成形装置は,上記のごとく,上記保持手段,上記押圧工具,上記素材移動手段,上記工具駆動手段を有しており,かつ,上記押圧工具としては,上記皺出し工具と上記皺潰し工具とを取り替え可能に有している。そのため,上述した皺形成工程と皺潰し工程とを繰り返す逐次成形方法を確実に実行することができる。
【0015】
即ち,まず,上記逐次成形装置には,上記押圧工具として,一対の皺出し工具を取り付ける。一方,上記保持手段には,外周端を解放させた状態で上記素材を保持する。そして,上記素材移動手段によって上記素材を上記皺出し工具に対して相対的に移動させ,両者の位置合わせを行う。次いで,上記工具駆動手段によって上記皺出し工具を一方から他方に向けて相対的に移動させて上記素材に皺形状部を形成する。この素材と皺出し工具との相対位置の変更と皺形状部の成形を繰り返すことにより,上述した逐次成形方法の皺形成工程を行うことができる。
【0016】
また,皺潰し工程を行うには,上記逐次成形装置に,上記一対の皺出し工具に代えて一対の皺潰し工具を取付ける。そして,上記素材移動手段によって上記素材を上記皺潰し工具に対して相対的に移動させ,両者の位置合わせを行う。次いで,上記工具駆動手段によって上記皺潰し工具を一方から他方に向けて相対的に移動させて上記皺形状部を平坦に潰す。この素材と皺潰し工具との相対位置の変更と皺潰し作業とを繰り返すことにより,上述した逐次成形方法の皺潰し工程を行うことができる。
【0017】
そして,上記押圧工具として,上記皺出し工具と皺潰し工具との取り替えを交互に行って,上記と同様の作業を行うことにより,上記皺形成工程と皺潰し工程とを繰り返し行うことができ,上述した優れた逐次成形方法を容易に実施することができる。
【0018】
第3の発明は,底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品を,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形装置であって,
上記板状の素材の外周端を解放した状態で該素材を保持する保持手段と,
上記素材の両面にそれぞれ対面するように配設される少なくとも二対の押圧工具と,
上記素材を上記押圧工具に対して相対的に移動させる素材移動手段と,
上記一方の押圧工具を他方の押圧工具に対して相対的に移動させて上記素材を変形させる工具駆動手段とを有し,
上記一対の押圧工具としては,一対の山部の間において窪んだ谷部を有する断面略V字状の皺形状部を形成可能な一対の皺出し工具と,上記皺形状部の上記山部及び上記谷部を潰すように変形させて上記山部と上記谷部を略平坦な形状に成形する一対の皺潰し工具とを併設して有することを特徴とする逐次成形装置にある(請求項9)。
【0019】
この発明の逐次成形装置は,上記押圧工具を二対以上有し,少なくとも一対の皺出し工具と一対の皺潰し工具との両者を併設して有している。そのため,上記第2の発明のように,押圧工具としての皺出し工具と皺潰し工具とを交換する必要が無く,より効率よく上述した逐次成形方法を実現することができる。
【0020】
第4の発明は,底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品であって,上記第1の発明の逐次成形方法により成形されてなり,上記立ち壁部の板厚が上記底部の板厚と同等以上の大きさを有していることを特徴とするカップ状部品にある(請求項14)。
【0021】
本発明のカップ状部品は,上記の優れた逐次成形方法により成形されているので,上記のごとく立ち壁部の板厚の減少を抑制することができ,底部の板厚と同等以上の板厚に維持することができる。これにより,上記カップ状部品は,優れた強度特性を得ることができ,様々な用途に適用することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明において,上記皺形成工程を行うに当たっては,上記仮想輪郭線の接線に対して略垂直な方向に上記山部及び上記谷部が配置されるように上記皺形状部を形成することが好ましい(請求項2)。この場合には,上記皺形状部を,上記底予定部から外周端に向けて放射状に配置することが容易となり,偏りの少ないより均一な加工を行うことができる。
【0023】
また,上記皺潰し工程は,上記仮想輪郭線の周囲を回動すると共にその回動位置を内周側から外周端に徐々に移動させるという加工軌跡に沿って徐々に行うことが好ましい(請求項3)。この場合には,上記加工軌跡を採用することにより,皺潰し作業をよりスムーズに行うことができ,かつ,不要な歪みの発生を抑制することができる。また,上記加工軌跡としては,複数の独立した輪を複数組み合わせたもの,あるいは,いわゆる一筆書きのように螺旋状に徐々に輪の径を大きくしたもの,さらには両者の組み合わせ等の形態をとることができる。
【0024】
また,上記仮想輪郭線が曲線部分と直線部分の組み合わせである場合には,各部分に上記皺形成工程あるいは上記皺潰し工程を行うに当たって,その両端側から交互に内方に近づくように上記皺形状部を形成あるいは皺潰し成形することが好ましい(請求項4)。この場合にも,加工にともなって製品に生ずる不要な歪みを低減することができる。
【0025】
また,上記皺形成工程では,上記谷部の外面側に対応する窪みを有する凹工具と,上記谷部の内面側に対応する突出部を有する凸工具とよりなる皺出し工具を用い,上記凹工具と上記凸工具とによって上記壁予定部を挟持することにより上記皺形状部を形成することが好ましい(請求項5)。この場合には,上記素材を上記凹工具と凸工具とで挟持することにより容易に上記皺形状部を形成することができる。
【0026】
また,上記皺潰し工程では,上記谷部を押圧する谷押圧面を有する谷側工具と,上記山部を押圧する山押圧面を有する山側工具とよりなる皺潰し工具を用い,上記谷側工具と上記山側工具とによって上記皺形状部を挟持することにより上記山部及び上記谷部を潰すように変形させることが好ましい(請求項6)。この場合には,上記山部を上記谷側工具と上記山側工具とで挟持することにより容易に上記皺形状部を平坦に潰すことができる。なお,上記皺潰し工具としては,一つの上記皺形状部の全体を一度に潰す大きさを有していてもいいが,一の皺形状部を部分的に潰す大きさであっても良い。
【0027】
また,上記皺潰し工程では,上記皺潰し工具によって,上記素材の厚み方向に略平行に上記山部及び上記谷部を押圧することが好ましい(請求項7)。この場合には,上記皺形状部における素材の板厚が減少するような変形が生ずることを防止することができる。素材の板厚は,この素材をその厚み方向と直行する方向に力をかけ,素材をその平面方向に伸ばすことにより減少し易いが,上記のごとく素材の厚み方向に略平行に押圧した場合には,素材を平面方向に伸ばすような加工が生ずることを極力防止することができる。
【0028】
次に,上記第2,第3の発明においても,上記一対の皺出し工具は,上記谷部の外面側に対応する窪みを有する凹工具と,上記谷部の内面側に対応する突出部を有する凸工具とよりなることが好ましい(請求項10)。この場合には,上記素材を上記凹工具と凸工具とで挟持することにより容易に上記皺形状部を形成することができる。
【0029】
また,上記凹工具は,球面状の頭部を有し,該頭部の近傍から徐々に深さが深くなるように上記窪みを設けてあることが好ましい(請求項11)。この場合には,上記頭部を素材に当接させて上記皺形成の作業を行うことにより,皺形状部と平坦な部分との境界部において上記頭部がなめらかに素材に接触し,素材にダメージを与えることなく無理なく皺形状部を形成することができる。
【0030】
また,上記一対の皺潰し工具は,上記谷部を押圧する谷押圧面を有する谷側工具と,上記山部を押圧する山押圧面を有する山側工具とよりなることが好ましい(請求項12)。この場合には,上記山部を上記谷側工具と上記山側工具とで挟持することにより容易に上記皺形状部を平坦に潰すことができる。また,皺潰し工具としては,一つの上記皺形状部の全体を一度に潰す大きさを有していてもいいが,一の皺形状部を部分的に潰す大きさであっても良い。
【0031】
また,上記逐次成形装置は,上記一対の押圧工具と上記素材との相対位置関係を順次変更することにより順次異なる位置で上記素材を変形させるための自動制御部を有しており,該自動制御部は,上記押圧工具と上記素材との相対位置関係を示す位置情報を時系列に有する加工データを記憶し,該加工データに従って,順次上記素材移動手段と上記工具駆動手段とを交互に制御して,上記一対の押圧工具と上記素材との相対位置関係の変更と上記素材の変形作業とを繰り返し行うよう構成されていることが好ましい(請求項13)。
【0032】
この場合には,同一形状のカップ状部品を複数作製する際に,精度良く,かつ効率よく成形することができ,製造コストをさらに低減することができる。
【0033】
また,上記第4の発明においては,上記立ち壁部と上記底部のなす角度が90°以下の部分を有している構造をとることもできる(請求項15)。即ち,上記立ち壁部が開口部に近づくにつれて拡径する形状だけでなく,縮径する形状をもとることができる。そのため,上記カップ状部品の用途をさらに拡大することができる。
【0034】
【実施例】
実施例1
本発明の実施例に係る逐次成形方法及び装置,並びに逐次成形方法により成形されたカップ状部品につき,図1〜図24を用いて説明する。
本例では,図22,図23に示すごとく,底部81と該底部81から立設させた立ち壁部82とを有するカップ状部品8を,板状の素材80(図17)を徐々に変形させて成形する。
【0035】
上記カップ状部品8を成形する逐次成形装置1は,図1に示すごとく,上記板状の素材80(図17)の外周端89を解放した状態で該素材80を保持する保持手段11と,素材80の両面にそれぞれ対面するように配設される少なくとも一対の押圧工具21,22と,素材80を押圧工具21,22に対して相対的に移動させる素材移動手段13と,上記一方の押圧工具22を他方の押圧工具21に対して相対的に移動させて上記素材80を変形させる工具駆動手段14とを有する。そして,本例では,上記一対の押圧工具21,22としては,一対の山部71の間において窪んだ谷部72を有する断面略V字状の皺形状部7(図18参照)を形成可能な一対の皺出し工具21a,22a(図2〜図6)と,上記皺形状部7の山部71及び谷部72を潰すように変形させて山部71と谷部72を略平坦な形状に成形する一対の皺潰し工具21b,22b(図7〜図12)とを取り替え可能に有する。
【0036】
さらに上記逐次成形装置1を詳説すると,図1に示すごとく,逐次成形装置1は,ハウジング101内にベース部102を有し,このベース部102上およびハウジング101にすべての構成部分が配設されている。
まずベース部102上に立設された基台29上には,一対の押圧工具21,22のうち下方に固定される工具(以下,下工具21(21a,21b)という)が固定されている。この下工具21としては,後述する一対の皺出し工具21a,22aのうちの下工具21aと,一対の皺潰し工具21b,22bのうちの下工具21bとのいずれかを取り替え可能に配設できるように構成されている。
【0037】
ベース部102上にはX−Yテーブル103が配設されており,さらにその上に素材移動手段13が配設されている。
素材移動手段13は,同図に示すごとく,2本のガイドポール131,132と,これらのガイドポール131,132に沿って昇降可能な昇降部133,134を有している。2つの昇降部133,134は互いに連動して昇降するように構成されている。
【0038】
上記2つの昇降部133,134の間には,上記素材8を保持する保持手段11が配設されている。そして,保持手段11は,上記X−Yテーブル103の移動に伴って平面状で任意の方向に移動し,上記昇降部133,134の移動に伴って上下方向に移動するよう構成されている。
【0039】
上記保持手段11は,素材8の中央部を固定する固定部112を有している。固定部112は,任意の方向に傾動可能に設けられている。そして,素材8を,上記固定部112の傾動によって任意の方向に傾けることができるよう構成されている。
【0040】
また,上記ハウジング101の天井部には,一対の押圧工具21,22のうちの上側に配置される工具(以下,上工具22(22a,22b)という)をセットした工具駆動手段14が配設されている。工具駆動手段14は,上工具22(22a,22b)を上下方向に移動させ,押圧量(押し込み量)および下工具21との平面方向の相対位置を調整できるように構成されている。
【0041】
次に,本例において上記一対の押圧工具21,22として適用した,一対の皺出し工具21a,22a及び一対の皺潰し工具21b,22bの形状について説明する。
まず,図2〜図4に示すごとく,一対の皺出し工具21a,22aのうちの下工具21aは,後述する皺形成工程において得ようとする皺形状部7の谷部72の外面側に対応する窪み215を有する凹工具である。この下工具21aは,同図に示すごとく,その上面の先端に球面状の頭部211aを設け,この頭部211aから遠ざかり後端213aに向かうにつれて徐々に下降するよう傾斜した加工面212aを有している。加工面212aは,その前後方向に直交する横断面形状が,上記頭部211aの球面形状と同じ曲率半径を有する略円弧状を有し,その上面中央部分に前後方向に沿って上記窪み215を設けてある。そして,窪み215は,上記頭部211aから遠ざかるに従って徐々に深さ及び幅が大きくなるように設けてある。また,窪み215は,図4に示すごとく,内角αが90°となるよう断面略V字状に設けた。
【0042】
また,図5,図6に示すごとく,一対の皺出し工具21a,22aのうちの上工具22aは,得ようとする皺形状部7の谷部72の内面側に対応する突出部225を有する凸工具である。同図に示すごとく,突出部225は,その下面の先端221aから後端223aに向けて徐々に下降するように設けられている。そして,突出部225は,下方に突出した断面略V字状を呈しており,その角度βは90°に設けた。
【0043】
次に,図7〜図9に示すごとく,上記一対の皺潰し工具21b,22bのうちの下工具21bは,後述する皺潰し工程において谷部72を押圧する谷押圧面212bを有する谷側工具である。この下工具21bは,同図に示すごとく,その上面の先端に球面状の頭部211bを設け,この頭部211bから後端213bまで略水平方向に延びた上記谷押圧面212bを有している。図9に示すごとく,谷押圧面212bは,その前後方向に直交する横断面形状が,上記頭部211bの球面形状と同じ曲率半径を有する略円弧状を有している。
【0044】
また,図10〜図12に示すごとく,一対の皺潰し工具21b,22bのうちの上工具22bは,後述する皺潰し工程において皺形状部7の山部71を押圧する山押圧面222bを有する山側工具である。この上工具22bは,図11に示すごとく,前後方向の寸法W1よりも横方向(左右方向)の寸法W2が大きい形状を有し,前後左右に所定の曲率を有する曲面を設けてある。
【0045】
次に,上記構成の逐次成形装置1を用いて,カップ状部品8を成形する方法につき,図13〜図24を用いて説明する。
まず,図17に示すごとく,本例で得ようとするカップ状部品8の底部81となる底予定部(符号は底部と同じ81とする)を有すると共に該底予定部81の周囲に上記立ち壁部82となる壁予定部(符号は立ち壁部と同じ82とする)を有する板状の素材80を準備する。本例で作製するカップ状部品8は,図22に示すごとく,円形と四角形を重ねたように一方が略方形で他方が略円形の底部81を有し,その周囲から立ち壁部82が立設した形状を有している。そして,素材80は,図17に示すごとく,その外周端89の輪郭が底予定部81の輪郭と相似形で拡大した形状の金属板を用いた。
【0046】
上記カップ状部品8を製造するに当たっては,まず,図1に示すごとく,素材80の外周端89を解放した状態で上記保持手段11により素材80の底予定部81の中央部分を保持する。
次いで,素材80の壁予定部82に対し,一対の山部71の間において窪んだ谷部72を有する断面略V字状の皺形状部7を多数形成する皺形成工程を行う。このとき,逐次成形装置1の押圧工具21,22としては,上述した皺出し工具21a,22aをセットしておく。
【0047】
上記皺形成工程を行うに当たっては,図13に示すごとく,工具駆動手段14(図1)によって上工具22aを上昇させて,上工具22aと下工具21aとの間に間隔をあけておいた状態で,上記素材80を素材移動手段13によって移動させ,壁予定部82における皺形状部を形成したい部分を,上工具22aと下工具21aとの間に位置させる。
【0048】
次いで,図14に示すごとく,工具駆動手段14(図1)によって上工具22aを下降させ,素材80の壁予定部82を上工具22aと下工具21aとの間に挟み込む。これにより,図18に示すごとく,皺形状部7を壁予定部82に形成する。そして,この作業を,上記壁予定部82に対して,位置をずらしながら多数形成する。
【0049】
ここで,本例では,皺形成工程を行うに当たって,図18,図24に示すごとく,底予定部81の外周を囲う仮想輪郭線88から上記素材80の外周端89に向かって上記山部71及び谷部72が配置されるように皺形状部7を形成した。さらに,同図に示すごとく,仮想輪郭線88の接線に対して略垂直な方向に上記山部71及び谷部72が配置されるように皺形状部7を形成した。
【0050】
なお,図24は,本例において形成した皺形状部7の谷部72を形成する位置を実線Vにより示し,また,皺形状部7を形成する順番を丸によって囲んだ数字により示したものである。
同図に示すごとく,本例の底予定部81の仮想輪郭線88は,曲線部分と直線部分の組み合わせである。即ち,仮想輪郭線88は,3つの直線部S1,S2,S3と,これらに挟まれる3つの曲線部C1,C2,C3を有している。加工を行う順序としては,同図に示すごとく,直線部S1,曲線部C1,直線部S2,曲線部C2,直線部S3,曲線部C3の順序とし,曲線部分C1,C2,C3に上記皺形成工程を行うに当たっては,その両端側から交互に内方に近づくように上記皺形状部を形成した。なお,この順序は変更することも可能である。
【0051】
図18に示すごとく,上記壁予定部82全体に満遍なく上記皺形状部7を形成して第1回目の皺形成工程を完了した後に,図19,図20に示すごとく,皺形状部7の山部71及び谷部72を潰すように変形させて山部71と谷部72を略平坦な形状に成形する皺潰し工程を行った。
このとき,逐次成形装置1の押圧工具21,22としては,上述した皺出し工具21a,22aを取り外し,皺潰し工具21b,22bをセットしておく。
【0052】
そして,上記皺潰し工程を行うに当たっては,工具駆動手段14によって上工具22bを上昇させて,上工具22bと下工具21bとの間に間隔をあけておいた状態で,上記素材80を素材移動手段13によって移動させ,潰そうとする皺形状部7の部位を,上工具22bと下工具21bとの間に位置させる。
【0053】
次いで,図15に示すごとく,工具駆動手段14(図1)によって上工具22bを下降させ,素材80の壁予定部82の皺形状部7を上工具22bと下工具21bとの間に挟み込む。このとき,素材80の厚み方向に略平行に山部71及び谷部72を押圧する。これにより,皺形状部7の一部分における山部71及び谷部72を潰すように変形させて略平坦にする。そして,この作業を,上記壁予定部82に対して,位置をずらしながら多数回行う。その際,各直線部,曲線部の各部における加工順序は,上述した図24に示すごとく,皺形成工程の場合と同様に,その両端側から交互に内方に近づくようにした。なお,この順序は変更することもできる。
【0054】
また,図19に示すごとく,皺潰し工程は,仮想輪郭線88の周囲を回動すると共にその回動位置を内周側から外周端に徐々に移動させるという加工軌跡K,K2,K3,,に沿って徐々に行った。本例の加工軌跡K1,K2,K3,,は,複数の独立した等高線のような輪を複数組み合わせたものとした。そして,図20に示すごとく,上記壁予定部82全体に上記の皺潰しの作業を行って,第1回目の皺潰し工程が完了した。図16に示すごとく,加工前に水平状の位置P0にあった壁予定部82は,この時点で,加工前の素材80の状態から約40〜45°起立した位置P1にまで変形した状態となった。
【0055】
次に,再び逐次成形装置1の押圧工具21,22として,皺潰し工具21b,22bを取り外し,皺出し工具21a,22aをセットする。そして,図21に示すごとく,第2回目の皺形成工程を行う。具体的な作業方法は上述した第1回目の皺形成工程と同様である。
【0056】
次に,再び逐次成形装置1の押圧工具21,22として,皺出し工具21a,22aを取り外し,皺潰し工具21b,22bをセットする。第2回目の皺潰し工程を行う。具体的な作業方法は上述した第2回目の皺潰し工程と同様である。この第2回目の皺潰し工程が完了した時点で,図16におけるP2の位置まで壁予定部82の変形がなされる。
そして,同様に,第3回目の皺形成工程と第3回目の皺潰し工程を施すことにより,図22,図23に示すごとく,壁予定部82を図16におけるP3の位置まで起立させ,所望の状態まで成形し,上記カップ状部品8を得た。
【0057】
上記のごとく,本例では,素材80の外周端89を解放した状態,即ち,外周端89を自由に変形できるようにした状態で素材80を保持し,皺形成工程及び皺潰し工程を壁予定部82に対して繰り返し施すことにより,壁予定部82を徐々に変形させることができ,所望形状へと近づけることができる。
【0058】
また,上記のごとく,素材80はその外周端89を解放させた状態で保持し,上記皺形状部7は,その山部71及び谷72部が,仮想輪郭線88から素材80の外周端89に向くように配置する。特に本例では,仮想輪郭線88の接線に対して略垂直な方向に山部71及び谷部72が配置されるようにする。そのため,皺形状部7は,自由に変形しうる外周端89にその断面形状を開放させた状態で形成されるので,大きな変形抵抗を受けることなく,スムーズに形成される。また,自由に変形しうる外周端89の存在によって,皺形成時と同様に,皺潰し成形をもスムーズに行うことができる。
【0059】
そして,素材80の外周端89を解放させていることによって,変形を受ける壁予定部89が張り出し変形を殆ど受けることが無く,その板厚の減少を十分に抑制することができ,むしろ,成形条件によっては,板厚の増加をも実現することができる。
【0060】
さらに,上記のごとく,皺形成工程と皺潰し工程とは,上記皺出し工具21a,22aと,皺潰し工具21b,22bとを用いて行い,得ようとする製品特有の専用工具を必要としない。そして,製品形状が多少変わっても,上記皺形成工程と皺潰し工程とを施す位置,回数を変更することによって対応することができ,製造コストの低減を図ることができる。
【0061】
なお,本例では,図22,図23に示すごとく,立ち壁部82が略直線的に拡径したカップ状部品8を例にしたが,立ち壁部82が所定の曲率を持った曲線状または円弧状等になった形状を採用することもできる。また,立ち壁部82を同図に示すごとく徐々に拡開するように設ける以外に,径が変化しないストレート形状あるいは,後述する実施例3のように縮径する形状に設けることも可能である。そして,いずれの場合も,上述した本例の逐次成形方法及び装置1を適用することが可能である。
【0062】
実施例2
本例では,図25に示すごとく,板厚0.78mmの素材を用いて,底部911の形状が円形のカップ状部品91を成形した。また,その立ち壁部912は,開口部に向けて徐々に拡径するように設けた。そして本例では,得られたカップ状部品91の立ち壁部912の板厚を測定した。
上記カップ状部品91の逐次成形方法,及びこれに用いた逐次成形装置は,実施例1と同様である。なお,皺形成工程あるいは皺潰し工程における,各皺形状部の成形順序あるいは皺潰し成形の順序は,左回りあるいは右回りのどちらか一方の方向に連続に行う順序にした。なお,成形順序は,左右交互の順序にしても問題がない。
【0063】
得られたカップ状部品91の板厚は,図25に示すごとく,測定部位線Tに沿って測定した。測定結果を図26に示す。同図は,横軸に中心点C1(図25)からの距離を,縦軸に板厚(mm)をとったものである。
同図より知られるごとく,立ち壁部912に相当する中心からの距離35mm以降の部分では板厚が素材の板厚よりも増加していることがわかる。
この結果から,本例の逐次成形方法によって成形することにより,立ち壁部の板厚減少を防止し,むしろ,板厚増加を実現することができることがわかる。
【0064】
実施例3
本例では,図27に示すごとく,板厚0.78mmの素材を用いて,底部921の形状が円形のカップ状部品92を成形し,また,その立ち壁部922は,開口部に向けて,徐々に縮径するように設けた。
この場合にも,実施例1と同様の逐次成形方法及び逐次成形装置1を用いることにより,スムーズな成形を行うことができた。そして,本例の場合にも,立ち壁部922の板厚減少も抑制することができ,優れた強度を有するカップ状部品92が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,逐次成形装置の構成を示す説明図。
【図2】実施例1における,皺出し工具の下工具を側面から見た説明図。
【図3】実施例1における,皺出し工具の下工具を上面から見た説明図。
【図4】実施例1における,皺出し工具の下工具の縦断面図(図2のA−A線矢視断面図)。
【図5】実施例1における,皺出し工具の上工具を側面から見た説明図。
【図6】実施例1における,皺出し工具の上工具の縦断面図(図5のB−B線矢視断面図)。
【図7】実施例1における,皺潰し工具の下工具を側面から見た説明図。
【図8】実施例1における,皺潰し工具の下工具を上面から見た説明図。
【図9】実施例1における,皺潰し工具の下工具の縦断面図(図7のC−C線矢視断面図)。
【図10】実施例1における,皺潰し工具の上工具を側面から見た説明図。
【図11】実施例1における,皺潰し工具の上工具を上面から見た説明図。
【図12】実施例1における,皺潰し工具の上工具の縦断面図(図10のD−D線矢視断面図)。
【図13】実施例1における,皺形成工程を行うために皺出し工具間に素材の壁予定部を配置した状態を示す説明図。
【図14】実施例1における,皺形成工程において皺出し工具によって素材の壁予定部を挟持した状態を示す説明図。
【図15】実施例1における,皺潰し工程において皺潰し工具によって素材の壁予定部を挟持した状態を示す説明図。
【図16】実施例1における,立ち壁部の角度が変化していく段階を示す説明図。
【図17】実施例1における,素材の形状を示す説明図。
【図18】実施例1における,第1回目の皺形成工程が完了した時点の素材の形状を示す説明図。
【図19】実施例1における,第1回目の皺潰し工程を行っている途中の素材の形状を示す説明図。
【図20】実施例1における,第1回目の皺潰し工程が完了した時点の素材の形状を示す説明図。
【図21】実施例1における,第2回目の皺形成工程が完了した時点の素材の形状を示す説明図。
【図22】実施例1における,カップ状部品の形状を示す説明図。
【図23】実施例1における,カップ状部品の縦断面図(図22のE−E線矢視断面図)。
【図24】実施例1における,皺形成工程において皺形状部の谷部を形成する位置及び形成する順序を示す説明図。
【図25】実施例2における,カップ状部品の形状を示す説明図。
【図26】実施例2における,カップ状部品の底部の中心からの距離と板厚の関係を示す説明図。
【図27】実施例3における,カップ状部品の形状を示す説明図。
【図28】実施例3における,カップ状部品の縦断面図(図27のF−F線矢視断面図)。
【符号の説明】
1...逐次成形装置,
11...保持手段,
13...素材移動手段,
14...工具駆動手段,
21...押圧工具(下工具),
21a...皺出し工具(下工具),
21b...皺潰し工具(下工具),
22...押圧工具(上工具),
22a...皺出し工具(上工具),
22b...皺潰し工具(上工具),
7...皺形状部,
71...山部,
72...谷部,
8,91,92...カップ状部品,
80...素材,
81,911,921...底部(底予定部),
82,912,922...立ち壁部(壁予定部),
88...仮想輪郭線,
89...外周端,
Claims (15)
- 底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品を,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形方法であって,
上記底部となる底予定部を有すると共に該底予定部の周囲に上記立ち壁部となる壁予定部を有する板状の上記素材を準備し,その外周端を解放した状態で該素材を保持し,
該素材の上記壁予定部に対し,一対の山部の間において窪んだ谷部を有する断面略V字状の皺形状部を多数形成する皺形成工程を行い,
該皺形成工程を行うに当たっては,上記底予定部の外周を囲う仮想輪郭線から上記素材の外周端に向かって上記山部及び上記谷部が配置されるように上記皺形状部を形成し,
上記皺形成工程を行った後には,上記皺形状部の上記山部及び上記谷部を潰すように変形させて上記山部と上記谷部を略平坦な形状に成形する皺潰し工程を行い,
上記皺形成工程と上記皺潰し工程とを繰り返し行うことにより,上記壁予定部を徐々に所望形状に近づけて上記カップ状部品を得ることを特徴とする逐次成形方法。 - 請求項1において,上記皺形成工程を行うに当たっては,上記仮想輪郭線の接線に対して略垂直な方向に上記山部及び上記谷部が配置されるように上記皺形状部を形成することを特徴とする逐次成形方法。
- 請求項1又は2において,上記皺潰し工程は,上記仮想輪郭線の周囲を回動すると共にその回動位置を内周側から外周端に徐々に移動させるという加工軌跡に沿って徐々に行うことを特徴とする逐次成形方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記仮想輪郭線が曲線部分と直線部分の組み合わせである場合には,各部分に上記皺形成工程あるいは上記皺潰し工程を行うに当たって,その両端側から交互に内方に近づくように上記皺形状部を形成あるいは皺潰し成形を行うことを特徴とする逐次成形方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項において,上記皺形成工程では,上記谷部の外面側に対応する窪みを有する凹工具と,上記谷部の内面側に対応する突出部を有する凸工具とよりなる皺出し工具を用い,上記凹工具と上記凸工具とによって上記壁予定部を挟持することにより上記皺形状部を形成することを特徴とする逐次成形方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項において,上記皺潰し工程では,上記谷部を押圧する谷押圧面を有する谷側工具と,上記山部を押圧する山押圧面を有する山側工具とよりなる皺潰し工具を用い,上記谷側工具と上記山側工具とによって上記皺形状部を挟持することにより上記山部及び上記谷部を潰すように変形させることを特徴とする逐次成形方法。
- 請求項6において,上記皺潰し工程では,上記皺潰し工具によって,上記素材の厚み方向に略平行に上記山部及び上記谷部を押圧することを特徴とする逐次成形方法。
- 底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品を,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形装置であって,
上記板状の素材の外周端を解放した状態で該素材を保持する保持手段と,
上記素材の両面にそれぞれ対面するように配設される少なくとも一対の押圧工具と,
上記素材を上記押圧工具に対して相対的に移動させる素材移動手段と,
上記一方の押圧工具を他方の押圧工具に対して相対的に移動させて上記素材を変形させる工具駆動手段とを有し,
上記一対の押圧工具としては,一対の山部の間において窪んだ谷部を有する断面略V字状の皺形状部を形成可能な一対の皺出し工具と,上記皺形状部の上記山部及び上記谷部を潰すように変形させて上記山部と上記谷部を略平坦な形状に成形する一対の皺潰し工具とを取り替え可能に有することを特徴とする逐次成形装置。 - 底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品を,板状の素材を徐々に変形させて成形する逐次成形装置であって,
上記板状の素材の外周端を解放した状態で該素材を保持する保持手段と,
上記素材の両面にそれぞれ対面するように配設される少なくとも二対の押圧工具と,
上記素材を上記押圧工具に対して相対的に移動させる素材移動手段と,
上記一方の押圧工具を他方の押圧工具に対して相対的に移動させて上記素材を変形させる工具駆動手段とを有し,
上記一対の押圧工具としては,一対の山部の間において窪んだ谷部を有する断面略V字状の皺形状部を形成可能な一対の皺出し工具と,上記皺形状部の上記山部及び上記谷部を潰すように変形させて上記山部と上記谷部を略平坦な形状に成形する一対の皺潰し工具とを併設して有することを特徴とする逐次成形装置。 - 請求項8又は9において,上記一対の皺出し工具は,上記谷部の外面側に対応する窪みを有する凹工具と,上記谷部の内面側に対応する突出部を有する凸工具とよりなることを特徴とする逐次成形装置。
- 請求項10において,上記凹工具は,球面状の頭部を有し,該頭部の近傍から徐々に深さが深くなるように上記窪みを設けてあることを特徴とする逐次成形装置。
- 請求項8〜11のいずれか1項において,上記一対の皺潰し工具は,上記谷部を押圧する谷押圧面を有する谷側工具と,上記山部を押圧する山押圧面を有する山側工具とよりなることを特徴とする逐次成形装置。
- 請求項8〜12のいずれか1項において,上記逐次成形装置は,上記一対の押圧工具と上記素材との相対位置関係を順次変更することにより順次異なる位置で上記素材を変形させるための自動制御部を有しており,該自動制御部は,上記押圧工具と上記素材との相対位置関係を示す位置情報を時系列に有する加工データを記憶し,該加工データに従って,順次上記素材移動手段と上記工具駆動手段とを交互に制御して,上記一対の押圧工具と上記素材との相対位置関係の変更と上記素材の変形作業とを繰り返し行うよう構成されていることを特徴とする逐次成形装置。
- 底部と該底部から立設させた立ち壁部とを有するカップ状部品であって,請求項1〜7のいずれか1項に記載の逐次成形方法により成形されてなり,上記立ち壁部の板厚が上記底部の板厚と同等以上の大きさを有していることを特徴とするカップ状部品。
- 請求項14において,上記立ち壁部と上記底部のなす角度が90°以下の部分を有していることを特徴とするカップ状部品。
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