JP2004267593A - 固体撮像素子、電子内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体基板上にリードをボンディングするための複数のパッド部を所定の間隔で備えているものである。この固体撮像素子には、所定の間隔より広い幅である第1の幅部を有し、さらに、端部が、所定の間隔より狭い幅である第2の幅部で形成された複数のリードの各々が積層されている。このリードは、第2の幅部の各々において、それぞれ異なるパッド部に接続されている。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のリードがボンディングされた固体撮像素子と、該固体撮像素子を備えた電子内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子内視鏡に備えられる固体撮像素子のサイズは、その電子内視鏡先端の径を決定する重要な要因となっている。すなわち、固体撮像素子のサイズが大きい場合、電子内視鏡先端の径は大きくなり、固体撮像素子のサイズが小さい場合、電子内視鏡先端の径は小さくなるものである。体腔内に挿入される電子内視鏡の部位は、可撓性を有する細い管と固体撮像素子が設けられた先端部から構成されている。電子内視鏡が挿入される被験者体内にある種々の管は非常に細くできているため、体腔内に挿入される電子内視鏡のこれらの部位を小型化することによって、患者の負担を少しでも軽減することが望まれている。従来より、この課題を解決するためにさまざまな技術が提案されており、また、実用に供している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述の特許文献1に記載されているように、固体撮像素子に接続されているリードは、電子内視鏡先端の径を小さくするために、固体撮像素子の形状に沿って折り曲げられ、受光面と反対方向に引き出されている。固体撮像素子とリードとの間には、接着剤や絶縁シートなどが介在されているため、固体撮像素子とリードとが絶縁され、ノイズや混信などの発生を防止する構成となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−192236号公報(第2、3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、小型化された固体撮像素子の開発によって、電子内視鏡先端の径のさらなる小径化が実現可能となっている。しかしながら、このような固体撮像素子は、小型化すると同時に機能及び性能の向上も求められているため、固体撮像素子から引き出されるリードの本数は、従来のものと同等、若しくは増える傾向にある。すなわち、受光面の反対方向に引き出されるリードを接続するボンディングパッドを配設するための固体撮像素子上のスペースは狭くなる。従って、この固体撮像素子の小型化に伴って、ボンディングパッドの各々を配設する間隔を狭めなければならない。この間隔を狭めるためには、リード同士の間隔を狭めたり、リード自体を細くしたりすることによって対処することができる。言い換えると、リード同士の間隔、及びリードの幅は、ボンディングパッドの各々が配設されている間隔によって決定されるものである。
【0006】
一般に、固体撮像素子のような小型のチップから引き出されるリードには、可撓性を有し、さらに、電気的特性の優れている(例えば、ローインピーダンス)金が使用される。しかしながら、金は柔らかいため、折り曲げられることによって、容易に破断してしまう。また、リードを細くすることによって曲げに対する強度は低下するため、リードを細くした場合に、上述の特許文献1に記載されているようにリードを折り曲げると、リードは容易に断線してしまう。例えば、このリードが35μmの厚みで、1mmの幅を有するものである場合、このリードを、固体撮像素子に沿って90度折り曲げると、細くしたことによる強度低下が原因で、リードは容易に断線してしまう。
【0007】
また、体腔内に挿入される部位は可撓性を有する可撓管を含んでいるため、固体撮像素子から引き出されている上記リードは、この可撓管が湾曲することによって引っ張られることがある。上述したようにリードを細くすると、リードの絶対的な強度が低下してしまう。すなわち、リードの引っ張り強度も低下するため、可撓管が湾曲した際にリードは容易に断線してしまう。つまりリードを細くすることは、固体撮像素子の動作不良を引き起こす原因となってしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、固体撮像素子に配設されたボンディングパッドの間隔が狭い場合においても、そのボンディングパッドに接続されるリードの強度を十分に確保できる固体撮像素子、及び該固体撮像素子を備えた電子内視鏡を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る固体撮像素子は、半導体基板上にリードをボンディングするための複数のパッド部を所定の間隔で備えているものである。この固体撮像素子には、所定の間隔より広い幅である第1の幅部を有し、さらに、端部が、所定の間隔より狭い幅である第2の幅部で形成された複数のリードの各々が積層されている。このリードは、第2の幅部の各々において、それぞれ異なるパッド部に接続されている。すなわち、リードの端部が第2の幅部で形成され、リードの他の部分は第1の幅部で形成されているため、狭い間隔でパッド部が配設されている固体撮像素子においても、所定の間隔より広い幅を有するリードを引き出すことができる。従って、リードの強度を確保することができるため、リードに対してストレスが掛かった場合に、リードが容易に断線しない構成となっている。また、リードを積層することによって、所定の間隔より広い幅を有するリードを容易に引き出すことが可能となる。
【0010】
また、上記固体撮像素子において、積層されたリードは、パッド部近傍において、半導体基板上に固定されている。そのため、リードに対してストレスが掛かった場合に、第1の幅部のみにストレスが掛かり、第2の幅部にはストレスが掛からないため、リードが容易に断線することがなくなる。
【0011】
また、上記固体撮像素子において、複数のリードの各々の間には、絶縁材が介在されている。このようにリードの各々の間に絶縁材を介在させることによって、リード同士を絶縁すると共に、リードの補強となる。
【0012】
また、上記固体撮像素子において、複数のパッド部は、半導体基板上に設けられた撮像素子と同一面上に設けられている。リードは、半導体基板の側面に沿って、前記撮像素子の後方に引き出され、リードと半導体基板との間には、接着剤が介在されている。この半導体基板は、接着剤が均一な厚みに塗布される形状を有している。このように半導体基板を構成することによって、接着剤の塗布ムラやヒケをなくし、半導体基板と第1のリードとの接触を防止することが可能となる。また、接着剤が均一な厚みに塗布される形状とは、接着剤が塗布される半導体基板のエッジ部をテーパーカットした形状である。
【0013】
また、上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る電子内視鏡は、半導体基板上にリードをボンディングするための複数のパッド部を所定の間隔で備えた固体撮像素子が設けられたものである。この固体撮像素子には、所定の間隔より広い幅である第1の幅部を有し、さらに、端部が、所定の間隔より狭い幅である第2の幅部で形成された複数のリードの各々が積層されている。このリードは、第2の幅部の各々において、それぞれ異なるパッド部に接続されている。すなわち、リードの端部が第2の幅部で形成され、リードの他の部分は第1の幅部で形成されているため、狭い間隔でパッド部が配設されている固体撮像素子においても、所定の間隔より広い幅を有するリードを引き出すことができる。従って、リードの強度を確保することができるため、リードに対してストレスが掛かった場合に、リードが容易に断線しない構成となっている。また、リードを積層することによって、所定の間隔より広い幅を有するリードを容易に引き出すことが可能となる。
【0014】
また、上記電子内視鏡において、積層されたリードは、パッド部近傍において、固体撮像素子と相対的に移動しないように固定されている。そのため、リードに対してストレスが掛かった場合に、第1の幅部のみにストレスが掛かり、第2の幅部にはストレスが掛からないため、リードが容易に断線することがなくなる。
【0015】
また、上記電子内視鏡において、複数のリードの各々の間には、絶縁材が介在されている。このようにリードの各々の間に絶縁材を介在させることによって、リード同士を絶縁すると共に、リードの補強となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態の電子内視鏡100の外観を表す図である。この電子内視鏡100は、挿入部可撓管10と、鉗子差込口20と、操作部30と、コネクタ部40と、ユニバーサルコード50と、先端部60から構成されている。
【0017】
電子内視鏡100が備える挿入部可撓管10は、体腔内に挿入される管であり、可撓性を有している。この挿入部可撓管10の先端側には、先端部60が設けられている。この先端部60には、体腔内の生体組織を観察するための後述する対物光学系や固体撮像素子などが配設されている。挿入部可撓管10内部には、固体撮像素子によって受光され、光電変換された画像信号を送信する信号線や、観察対象に光を当てるライトガイドなどが配設されている。
【0018】
鉗子差込口20は、生体組織の止血や採取など、さまざまな処置を行うための鉗子を挿入する部位である。ユーザーは、手術内容に応じてさまざまな鉗子を、この鉗子差込口20にセットする。
【0019】
コネクタ部40は、電子内視鏡100を、プロセッサなどの画像処理を行う画像処理装置に接続する部位である。このコネクタ部40は、主に、固体撮像素子から伝送される画像信号を伝送する信号線と、画像処理を行うプロセッサ側の信号線と、を接続しており、さらに、ライトガイドと、プロセッサ側の光源部と、を接続している。また、このコネクタ部40は、ユニバーサルコード50を介して、操作部30と接続されている。
【0020】
操作部30は、ユーザーが電子内視鏡100を操作するための部位であり、先端部60を上下や左右に移動させて観察領域を自在に変更したり、鉗子差込口20にセットされた鉗子を起上させたりするなどの操作機能を有している。この操作部30に組み込まれている種々のノブを操作することによって、先端部60近傍の挿入部可撓管10が湾曲して先端部60が上下や左右に移動したり、鉗子が起上したりする。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施形態の先端部60の側断面を示す図である。この先端部60は、主に、体腔内の生体組織を観察するための対物レンズ群62を含む対物光学系と、対物レンズ群62から射出された光を受光して光電変換する固体撮像素子71を含むプロセッサ側に電気信号を送信するための回路部から構成されている。
【0022】
先端部60の先端面には、ガラスやプラスチックなどで生成された透明な板である観察窓61が設けられており、この観察窓61の電子内視鏡100の内部側に接するように対物レンズ群62が設けられている。さらに、対物レンズ群62の像側には、光路周辺の不要な光を遮光するための遮光マスク63が設けられている。
【0023】
プロセッサ側の光源装置から照射された光束は、ライトガイドによって先端部60に導光され、先端部60の先端面の正面を照明する。この光束によって照明された観察対象からの反射光は、観察窓61を透過し、対物レンズ群62に入射する。そして、対物レンズ群62を射出した光は、遮光マスク63によって、観察像を生成するために必要な光のみに絞られて、固体撮像素子71側に導かれる。
【0024】
図3は、本発明の第1の実施形態に用いられる固体撮像素子71と、固体撮像素子71から引き出されたリード部80が折り曲げられた状態を示す側断面図である。また、図4は、固体撮像素子71と、固体撮像素子71から引き出されたリード部80が折り曲げられる前の状態を示す正面図である。
【0025】
この固体撮像素子71は、シリコン基板上に、マトリクス状に整列した複数の受光素子から成る受光面72と、受光素子の各々に受光されて光電変換された画像信号を伝送するためのリードをボンディングするためのパッド部83と、が設けられたものである。このパッド部83は、受光面72と同一面上の非受光領域に、受光面72と同一の半導体プロセスで形成される電極であって、所定の間隔で複数配設されている。すなわち、この固体撮像素子71は、パッケージングされていないベアチップ(ダイ)から構成されている。また、固体撮像素子71から引き出されているリード部80は、パッド部83と後述する実装基板65とを接続し、固体撮像素子71から得られた画像信号を実装基板65に伝送するリード81と、リード81の各々の絶縁を行うために備えられている絶縁材82から構成されている。
【0026】
図2に示すように、この受光面72の前面には、受光面72を保護するためのカバーガラス73が接着されている。さらに、このカバーガラス73の前面には、偽色やモアレの発生を低減させる赤外線カットローパスフィルタ74が接着されている。
【0027】
また、先端部60の小径化を図るために、固体撮像素子71に入出力される信号を処理するための種々の電気部品64が実装された実装基板65は、固体撮像素子71を挟んだ受光面72と反対側のスペースに配設されている。さらに、固体撮像素子71によって得られた画像信号をプロセッサ側に送信するための信号線66が、実装基板65の実装面と反対側に引き出されている。また、固体撮像素子71と実装基板65とを接続しているリード部80は、上述した種々の部品の配置によって、受光面72側から実装基板65側に、固体撮像素子71に沿って折り曲げられて引き出されている。
【0028】
図5は、本発明の第1の実施形態に用いられる固体撮像素子71とリード部80との接続部近傍を拡大した斜視図である。このリード部80が有するリード81には、可撓性を有し、ローインピーダンスなどの優れた電気的特性を有する金が使用されている。このリード81は、強度を確保するために、パッド部83が配設されている所定の間隔よりも広い幅を有する第1の幅部81aを有し、さらに、パッド部83との接続部近傍にパッド部83と接続できるように、上記所定の間隔よりも狭い幅を有する第2の幅部81bを有している。なお、ここでいう強度とは、曲げや延伸に対する強度を示している。また、このリード81には、電子内視鏡100のような精密機器で広く利用されている35μm厚のものが用いられている。
【0029】
固体撮像素子71とリード81との間には、絶縁材82が介在されている。また、リード81同士の間にも、同様の絶縁材82が介在されている。この絶縁材82は、例えば、シリコンゴムやポリイミドから構成されたシート状の電気絶縁部材を、上記の間に、ラミネートしたものであったり、絶縁性の優れたシリコン接着剤を塗布したものであったりする。これらの絶縁材は、容易に折り曲げることができる材料であり、また、先端部60の小径化を図るために、厚さ0.01mm〜0.1mmの範囲で構成されている。また、このように、固体撮像素子71とリード81との間などに絶縁材82を介在させることによって、リード部80の強度が増す。言い換えると、この絶縁材82は、リード81の補強板としても機能するものである。
【0030】
また、上述したようにリード81の第1の幅部81aは、パッド部83が配設されている所定の間隔よりも広い幅を有しているため、図4中のパッド部83が配設されている方向にリード81を並べて接続させた場合、第1の幅部81aの各々が接触してしまい、固体撮像素子71の動作不良を引き起こしてしまう。そこで、本実施形態において、パッド部83に対応して接続されるリード81の各々は、リード81同士の間に絶縁材82を介在し、リード81と絶縁材82とを交互に積層した状態となっている。すなわち、強度を十分に確保できる程度の幅を有するリード81が、固体撮像素子71から引き出されている構成となっている。なお、図4において、固体撮像素子71から引き出されているリード81が積層されている本数は4本であるが、これは説明を分かり易くするために簡略化して図示したものであり、積層されるリードの本数は、この実施形態に図示するものに限定されることはない。
【0031】
図5に示すようにリード部80において、固体撮像素子71に沿って折り曲げられている部材は、リード81(第1の幅部81a)及び絶縁材82となっている。絶縁材82は上述したように補強板の機能を有している。また、第1の幅部81aは、パッド部83が配設されている所定の間隔よりも広い幅を有しており、90度折れ曲がった場合に断線しない程度の強度が確保されている。また、リード81の第2の幅部81bは、上記所定の間隔よりも狭い幅を有しており、リード81の各々を、パッド部83の各々にボンディングした際に、互いが接触しないよう構成されている。すなわち、リード部80を上述した構成にすることによって、上記所定の間隔が狭い固体撮像素子71においても、リードの曲げ部における強度を確保することが可能となり、容易に断線することがなくなる。また、固体撮像素子71を電子内視鏡100に組み込んだ際に、リード81のうちで最も強度が低下する折り曲げ部が、上記所定の間隔より広い第1の幅部81aを有しているため、延伸に対する強度も上がっている。
【0032】
図6は、図5で積層されているリード81の各々を分解して並べた図である。図6において左に図示されたリード81は、図5において最も下に積層されたものであり、図6において右側に図示されたリード81ほど、図5において上側に積層されたものである。パッド部83は所定の間隔で設けられているため、リード81がn本積層されている場合、1番目とn番目、2番目と(n−1)番目、3番目と(n−2)番目・・・に積層されるリード81は、互いに左右対称となる形状を有している。リード81は、ウラ面・オモテ面が反転して積層されても使用することができるため、1番目とn番目、2番目と(n−1)番目、3番目と(n−2)番目・・・は、同一形状にすることができる。すなわち、図6において、右側と左側に図示されたリード81は、同一形状であり、互いを反転させて積層することによって、パッド部83と接続することができる。また、それらの間に図示された2本のリード81も同一形状であり、互いを反転させて積層することによって、パッド部83と接続することができる。その結果、部品点数を削減することが可能となり、コストダウンとなる。
【0033】
図7は、本発明の第2の実施形態の電子内視鏡に用いられる固体撮像素子71zと、固体撮像素子71zから引き出されたリード部80が折り曲げられた状態を示す側断面図である。なお、第2の実施形態の電子内視鏡において、図2で示す第1の実施形態の電子内視鏡100と同一の構成には、同一の符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
【0034】
この第2の実施形態の固体撮像素子71zにおいて、リード部80が接している固体撮像素子71zの側面と、受光面72と、が成す端面71yは、テーパーカットされた形状となっている。この端面71yは、固体撮像素子71zの光軸に対して30〜60度の範囲のテーパーとなっている。また、固体撮像素子71とリード81との間に介在されている絶縁材82は、絶縁性の優れたシリコン接着剤となっている。すなわち、リード81を固体撮像素子71に接着する工程において、端面71yを含む領域に絶縁材82を塗布する場合、エッジ形状となっている塗布領域がないため、絶縁材82の塗布ムラが発生し難くなる。また、均一に絶縁材82を塗布し易くなるため、絶縁材82のヒケがなくなり、絶縁材82が硬化した後も、均一な絶縁層を保つことができる。
【0035】
図8は、本発明の第3の実施形態の電子内視鏡に用いられる固体撮像素子71と、カバーガラス73zと、固体撮像素子71から引き出されたリード部80zの断面形状を示す斜視図である。また、図9は、本発明の第3の実施形態の電子内視鏡に用いられる固体撮像素子71にカバーガラス73zを接着させた状態のパッド部83近傍のリード部80zの側断面図である。なお、本発明の第3の実施形態の電子内視鏡において、図2から図5に示す本発明の第1の実施形態の実施形態の電子内視鏡100と同一の構成には、同一の符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
【0036】
第3の実施形態において、固体撮像素子71から引き出されているリード部80zは、パッド部83と実装基板65とを接続し、固体撮像素子71から得られた画像信号を実装基板65に伝送するリード81zと、固体撮像素子71とリード81z、及びリード81z同士の絶縁を行うために備えられている絶縁材82zから構成されている。また、このリード部80zは、第1の実施形態と同様に、受光面72側から実装基板65側に、固体撮像素子71に沿って折り曲げられて引き出されている。
【0037】
リード部80zが有するリード81zには、可撓性を有し、ローインピーダンスなどの優れた電気的特性を有する金が使用されている。このリード81zは、強度を確保するために、パッド部83が配設されている所定の間隔よりも広い幅を有する第1の幅部81Aを有し、さらに、パッド部83との接続部近傍にパッド部83と接続できるように、上記所定の間隔よりも狭い幅を有する第2の幅部81Bを有している。また、このリード81は、その長手方向と直交する断面が左右対称な台形となる形状を有している。なお、ここでいう強度とは、曲げや延伸に対する強度を示している。また、このリード81zには、電子内視鏡100のような精密機器で広く利用されている35μm厚のものが用いられている。
【0038】
固体撮像素子71とリード81zとの間には、絶縁材82zが介在されている。また、リード81z同士の間にも、同様の絶縁材82zが介在されている。この絶縁材82zは、例えば、シリコンゴムやポリイミドから構成されたシート状の電気絶縁部材を、上記の間に、ラミネートしたものであったり、絶縁性の優れたシリコン接着剤を塗布したものであったりする。これらの絶縁材は、容易に折り曲げることができる材料であり、また、先端部60の小径化を図るために、厚さ0.01mm〜0.1mmの範囲で構成されている。さらに、この絶縁材82zは、その長手方向と直交する断面が左右対称な台形となる形状を有している。また、このように、固体撮像素子71とリード81zとの間などに絶縁材82zを介在させることによって、リード部80zの強度が増す。言い換えると、この絶縁材82zは、リード81zの補強板としても機能するものである。
【0039】
また、上述したようにリード81zの第1の幅部81Aは、パッド部83が配設されている所定の間隔よりも広い幅を有しているため、パッド部83が所定の間隔で配設されている方向にリード81zを並べて接続させた場合、第1の幅部81Aの各々が接触してしまい、固体撮像素子71の動作不良を引き起こしてしまう。そこで、本実施形態において、パッド部83に対応して接続されるリード81zの各々は、リード81z同士の間に絶縁材82zを介在し、リード81zと絶縁材82zとを交互に積層した状態となっている。すなわち、強度を十分に確保できる程度の幅を有するリード81zが、固体撮像素子71から引き出されている構成となっている。なお、図7において、固体撮像素子71から引き出されているリード81zが積層されている本数は4本であるが、これは説明を分かり易くするために簡略化して図示したものであり、積層されるリードの本数は、この実施形態に図示するものに限定されることはない。
【0040】
第3の実施形態において、固体撮像素子71に沿って折り曲げられている部材は、リード81z(第1の幅部81A)及び絶縁材82zとなっている。絶縁材82zは上述したように補強板の機能を有している。また、第1の幅部81Aは、パッド部83が配設されている所定の間隔よりも広い幅を有しており、90度折れ曲がった場合に断線しない程度の強度が確保されている。また、リード81zの第2の幅部81Bは、上記所定の間隔よりも狭い幅を有しており、リード81zの各々を、パッド部83の各々にボンディングした際に、互いが接触しないよう構成されている。すなわち、リード部80zを上述した構成にすることによって、上記所定の間隔が狭い固体撮像素子71においても、リードの曲げ部における強度を確保することが可能となり、容易に断線することがなくなる。また、固体撮像素子71を電子内視鏡に組み込んだ際に、リード81zのうちで最も強度が低下する折り曲げ部が、上記所定の間隔より広い第1の幅部81Aを有しているため、延伸に対する強度も上がっている。
【0041】
リード81z及び絶縁材82zの各々は、上述した台形の断面形状における長辺が固体撮像素子71側となり、上述した台形の断面形状における短辺がカバーガラス73z側となるように重ねられ、固体撮像素子71に接続される。リード81zは、積層される順番に応じて第1の幅部81Aがそれぞれ異なっており、絶縁材82zも同様に、積層される順番に応じて幅がそれぞれ異なっている。具体的には、固体撮像素子71側のリード81z及び絶縁材82zが最も幅が広く、カバーガラス73z側のこれらの部材ほど幅が狭くなったものが積層されている。
【0042】
図8に示すように、受光面72を保護するためのカバーガラス73zは、ニゲ部75zと、保護面76zと、接着面77zを有している。保護面76zは受光面72より多少大きく形成されている面である。また、接着面77zはリード部80zの長手方向と直交する方向に細長く形成され、カバーガラス73zを保護面76zより削った方向に形成されている面である。このカバーガラス73zを受光面72上に積載すると、保護面76zが受光面72と隙間なく合わさり、接着面77zがリード部80zの長手方向と直交する方向に形成されている固体撮像素子71の非受光領域と多少の隙間を有した状態となる。
【0043】
カバーガラス73zを受光面72上に積載すると、ニゲ部75z及び接着面77zと固体撮像素子71との間に隙間が生じる。このカバーガラス73zは、上記隙間に接着剤を充填させることによって形成される接着層86により、固体撮像素子71に接着されている。このニゲ部75zは、保護面76zと受光面72とが隙間なく合わせた状態でリード部80zとカバーガラス73zとが接しないように備えられたものであり、カバーガラス73zの両端部に備えられた左右対称な台形の切欠き形状である。
【0044】
上述したように、カバーガラス73zはニゲ部75zを有しているため、受光面72とカバーガラス73zとの間を、受光面72と同一面上にあるリード部80zの光軸方向の高さ以下にし、接着層86によって、互いを固定することが可能となる。従って、固体撮像素子71からカバーガラス73zまでの光軸方向の構造を小型にし、電子内視鏡先端部を小型にすることが可能となる。また、リード81z、絶縁材82z、及びニゲ部75zの各々を、断面形状が台形となるように構成することによって、接着層86を形成するスペースに鋭角となる箇所がなくなる。そのため、接着剤が充填し難い箇所がなくなり、さらに、硬化後のヒケが発生し難くなる。
【0045】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0046】
なお、本発明の実施形態において、リード81は固体撮像素子71に固定されているが、電子内視鏡100内の別の部材に固定されるように構成してもよい。
【0047】
また、本発明の第2の実施形態において、端面71yはテーパーカットされた形状となっているが、丸面取りされた形状であってもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明の固体撮像素子、及び電子内視鏡は、半導体基板上にリードをボンディングするための複数のパッド部を所定の間隔で備えているものである。この固体撮像素子には、所定の間隔より広い幅である第1の幅部を有し、さらに、端部が、所定の間隔より狭い幅である第2の幅部で形成された複数のリードの各々が積層されている。このリードは、第2の幅部の各々において、それぞれ異なるパッド部に接続されている。すなわち、リードの端部が第2の幅部で形成され、リードの他の部分は第1の幅部で形成されているため、狭い間隔でパッド部が配設されている固体撮像素子においても、所定の間隔より広い幅を有するリードを引き出すことができる。従って、リードの強度を確保することができるため、リードに対してストレスが掛かった場合に、リードが容易に断線しない構成となっている。また、リードを積層することによって、所定の間隔より広い幅を有するリードを容易に引き出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の電子内視鏡の外観を表す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の先端部の側断面を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に用いられる固体撮像素子と、固体撮像素子から引き出されたリード部が折り曲げられた状態を示す側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に用いられる固体撮像素子と、固体撮像素子から引き出されたリード部が折り曲げられる前の状態を示す正面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の固体撮像素子とリードとの接続部近傍を拡大した斜視図である。
【図6】図5で積層されているリードの各々を分解して並べた図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に用いられる固体撮像素子と、固体撮像素子から引き出されたリード部が折り曲げられた状態を示す側断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の固体撮像素子と、カバーガラスと、固体撮像素子から引き出されたリード部の断面形状を示す斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の固体撮像素子にカバーガラスを接着させた状態のパッド部近傍のリード部の側断面図である。
【符号の説明】
71 固体撮像素子
80 リード部
81 リード
82 絶縁材
83 パッド部
100 電子内視鏡
Claims (8)
- 半導体基板上にリードをボンディングするための複数のパッド部を所定の間隔で備えている固体撮像素子において、
前記所定の間隔より広い幅である第1の幅部を有し、さらに、端部が、前記所定の間隔より狭い幅である第2の幅部で形成されたリードを複数備え、
前記複数のリードの各々は積層され、
前記第2の幅部の各々において、それぞれ異なる前記パッド部に接続されていること、を特徴とする固体撮像素子。 - 積層された前記リードは、前記パッド部近傍において、前記半導体基板上に固定されていること、を特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
- 前記複数のリードの各々の間には、絶縁材が介在されていること、を特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の固体撮像素子。
- 前記複数のパッド部は、前記半導体基板上に設けられた撮像素子と同一面上に設けられ、
前記リードは、前記半導体基板の側面に沿って、前記撮像素子の後方に引き出され、
前記リードと前記半導体基板との間には、接着剤が介在され、
前記半導体基板は、前記接着剤が均一な厚みに塗布される形状を有していること、を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の固体撮像素子。 - 前記接着剤が均一な厚みに塗布される形状とは、前記接着剤が塗布される前記半導体基板のエッジ部をテーパーカットした形状であること、を特徴とする請求項4に記載の固体撮像素子。
- 半導体基板上にリードをボンディングするための複数のパッド部を所定の間隔で備えている固体撮像素子が設けられた電子内視鏡において、
前記所定の間隔より広い幅である第1の幅部を有し、さらに、端部が、前記所定の間隔より狭い幅である第2の幅部で形成されたリードを複数備え、
前記複数のリードの各々は積層され、
前記第2の幅部の各々において、それぞれ異なる前記パッド部に接続されていること、を特徴とする電子内視鏡。 - 積層された前記リードは、前記パッド部近傍において、前記半導体基板と相対的に移動しないように固定されていること、を特徴とする請求項6に記載の電子内視鏡。
- 前記複数のリードの各々の間には、絶縁材が介在されていること、を特徴とする請求項6または請求項7のいずれかに記載の電子内視鏡。
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