JP2004266880A - 電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来確保していた電圧の余裕を大幅に削減する事により、最大定格電圧が低いスイッチング素子の選定を可能とする。
【解決手段】励磁コイルに電力を供給するスイッチング素子と、スイッチング素子に印加される電圧が安全動作電圧範囲を超えた事を検知するスイッチング素子電圧検知手段と、スイッチング素子電圧検知手段の検知信号に応じて前記コイルに供給する電力を制御する電力制御手段とを有すること特徴とする電源装置。
【選択図】 図10
【解決手段】励磁コイルに電力を供給するスイッチング素子と、スイッチング素子に印加される電圧が安全動作電圧範囲を超えた事を検知するスイッチング素子電圧検知手段と、スイッチング素子電圧検知手段の検知信号に応じて前記コイルに供給する電力を制御する電力制御手段とを有すること特徴とする電源装置。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,電磁誘導加熱方式の加熱装置に使用される電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ・複写機・ファクシミリなどの画像形成装置に対し、近年、省エネルギー化・高速化についての市場要求が強くなってきている。これらの要求性能を達成するためには、画像形成装置に用いられる定着装置の熱効率の改善が重要である。
【0003】
画像形成装置では、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより、画像転写方式もしくは直接方式により未定着トナー画像が記録材シート・印刷紙・感光紙・静電記録紙などの記録材に形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
【0004】
特に、電磁誘導加熱方式については、励磁コイルからなる誘導加熱手段の交番磁界により磁性金属部材である発熱部材に発生した渦電流でジュール熱を直接生じさせる為、省エネルギー性、高速性に優れており、近年、採用が拡大している。
【0005】
前記電磁誘導加熱方式においては、コイルの励磁電流が非常に大きい事から、スイッチング素子の損失を軽減する事を目的として、電圧共振方式電源の採用が一般的である。
【0006】
従来の電圧共振方式電源の動作を図14及び、図15に示す。
【0007】
図14は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図、図15は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図である。
【0008】
図14は正常な回路の動作波形であり、スイッチング素子(図示せず)がオン時はスイッチング素子電流が発生し、オフ時はスイッチング素子コレクタ電圧が発生する。尚、スイッチング素子電圧波形は商用交流電圧波形と相似な包絡線を描く。スイッチング素子(図示せず)のコレクタに印加される電圧は固有の最大定格電圧値が有り、当然ながら、この値を超える電圧が印加されれば、スイッチング素子は即破壊に至る。
【0009】
このような場合の回路の動作波形を図15に示す。スイッチング素子コレクタ印加電圧がスイッチング素子コレクタ最大定格電圧を超えており、この場合、間違いなくスイッチング素子は破壊に至る。回路動作時の外来雑音及び内部発生雑音による瞬間的な制御不具合、又前記定着装置の固有インダクタンス値及び固有抵抗値のばらつき等がスイッチング素子コレクタ印加電圧の変動に直結する為、これらの要因を考慮しながら前記に説明したようなスイッチング素子の破壊を避ける為には、スイッチング素子コレクタ印加電圧は安全動作電圧範囲を、スイッチング素子固有の最大定格電圧値に対して十分余裕をもった低い値、経験的には30%から40%の余裕をもって設計を行う必要があった。この事は、最大定格電圧のより大きいスイッチング素子の選定につながる。
【0010】
その他、スイッチング素子に関しては、特許文献1に記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−184698号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、スイッチング素子は、その最大定格電圧が増加する程高価となり、一定の値を超えると、数十倍もの値段になる事があり、むやみに電圧余裕を増加させる事は、企業収益に多大な悪影響をもたらすという課題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲の設定をできる限りスイッチング素子固有の最大定格電圧に近づけて、従来確保していた電圧の余裕を大幅に削減する事により、最大定格電圧が低いスイッチング素子の選定を可能とし、スイッチング素子の価格を安くし、企業収益に貢献することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するもので、下記の特徴を有する電源装置である。
(1)発熱部材と、前記発熱部材近傍に配置され、電磁誘導によって前記発熱部材を発熱させる励磁コイルを備えた電磁誘導加熱手段の電源装置において、前記励磁コイルに電力を供給するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に印加される電圧が安全動作電圧範囲を超えた事を検知するスイッチング素子電圧検知手段と、前記スイッチング素子電圧検知手段の検知信号に応じて前記コイルに供給する電力を制御する電力制御手段とを有すること特徴とする電源装置。
(2)前記スイッチング素子電圧検知手段により、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲を超えた事を検知した場合、前記電力制御手段にて前記励磁コイルへの電力供給を制限し、前記スイッチング素子に印加される電圧が、安全動作電圧範囲限界を維持する様に制御する事を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
(3)前記スイッチング素子電圧検知手段により、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲を超えた事を検知した場合、前記電力制御手段にて前記励磁コイルへの電力供給を制限し、前記スイッチング素子に印加される電圧が、安全動作電圧範囲限界内で任意のレベルで減衰する事を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
(4)前記スイッチング素子電圧検知手段により、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲を超えた事を検知した場合、前記電力制御手段にて前記励磁コイルへの電力供給を停止する事を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【0015】
以上の発明動作内容により、回路動作時の外来雑音及び内部発生雑音による瞬間的な制御不具合、又前記定着装置の固有インダクタンス値及び固有抵抗値のばらつき等がスイッチング素子コレクタ印加電圧の変動を引き起こし、スイッチング素子コレクタ最大定格電圧を超えようとしても、自動的に最大定格電圧以下に設定された所定の安全動作電圧範囲内に制限される為、安全動作電圧範囲の管理が高精度に容易となり、不用意に最大定格電圧から大きな余裕度をとる必要が無くなった。
【0016】
これにより、スイッチング素子の安全動作電圧範囲の設定をできる限りスイッチング素子固有の最大定格電圧安全に近づけて、従来確保していた電圧の余裕を大幅に削減する事ができた為、最大定格電圧が低いスイッチング素子の選定を可能とし、スイッチング素子の価格を安くし、企業収益に貢献することができた。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図9を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態である定着装置を備えた画像形成装置の構成を示す説明図、図2は図1の画像形成装置に用いられる本発明の一実施の形態である定着装置の構成を示す説明図、図3は図2の定着装置を構成する加熱ローラの構成を破断して示す説明図、図4は図2の定着装置を構成する励磁コイル、ショートリングの構成を示す図、図5は本発明の一実施の形態である誘導加熱手段の磁束の様子を示す説明図、図6は本発明の一実施の形態である誘導加熱手段のショートリングでの磁束を打ち消す様子を示す説明図、図7は本発明の一実施の形態である誘導加熱手段のショートリングでの磁束を打ち消す様子を示す説明図、図8は本発明の一実施の形態である誘導加熱手段の遮蔽板での磁束変化を示す説明図、図9は本発明の別の一実施の形態である定着装置の構成を示す説明図、図10は本発明の一実施の形態である電源装置の回路説明図、図11は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図、図12は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図、図13は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図である。
【0019】
(1)画像形成装置
まず、本発明に係る画像形成装置の概略を説明する。なお、本実施の形態で説明する画像形成装置は、電子写真方式を採用する装置の中で特にカラー画像の発色に寄与する4色の基本色トナー毎に現像装置を備え、転写体に4色画像を重ね合わせ、シート材に一括転写するタンデム方式である。
【0020】
しかしながら、本発明はタンデム方式の画像形成装置のみに限定されず、また現像装置の数、中間転写体の有無等に拘らず、あらゆる方式の画像形成装置に採用可能であることはいうまでもない。
【0021】
図1において、感光体ドラム10a,10b,10c,10dの周囲には、各感光体ドラム10a,10b,10c,10dの表面を一様に所定の電位に帯電させる帯電手段20a,20b,20c,20d、帯電された感光体ドラム10a,10b,10c,10d上に特定色の画像データに対応したレーザビームの走査線30K,30C,30M,30Yを照射して静電潜像を形成する露光手段30、感光体ドラム10a,10b,10c,10d上に形成された静電潜像を顕像化する現像手段40a,40b,40c,40d、感光体ドラム10a,10b,10c,10d上に顕像化されたトナー像を無端状の中間転写ベルト(中間転写体)70に転写する転写手段50a,50b,50c,50d、感光体ドラム10a,10b,10c,10dから中間転写ベルト70にトナー像を転写した後に感光体ドラム10a,10b,10c,10dに残っている残留トナーを除去するクリーニング手段60a,60b,60c,60dがそれぞれ配置されている。
【0022】
ここで、露光手段30は、感光体ドラム10a,10b,10c,10dに対して所定の傾きをもって配置されている。また、中間転写ベルト70は、図示する場合においては、矢印A方向へ回動する。なお、画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdでは、それぞれブラック画像、シアン画像、マゼンタ画像、イエロー画像が形成される。そして、感光体ドラム10a,10b,10c,10dに形成された各色の単色画像が中間転写ベルト70上に順次重ね転写されてフルカラー画像が形成される。
【0023】
装置の下部には、印字用紙などのシート材(記録媒体)90が収納された給紙カセット100が設けられている。そして、シート材90は、給紙ローラ80により給紙カセット100から1枚ずつ用紙搬送路に送り出される。
【0024】
用紙搬送路上には、中間転写ベルト70の外周面と所定量にわたって接触し、この中間転写ベルト70上に形成されたカラー画像をシート材90に転写する転写ローラ110、シート材90上に転写されたカラー画像をローラの狭持回転に伴う圧力と熱とによってシート材90に定着する定着器120が配置されている。
【0025】
このような構成の画像形成装置において、まず画像形成ステーションPaの帯電手段20aおよび露光手段30により感光体ドラム10a上に画像情報のブラック成分色の潜像が形成される。この潜像は現像手段40aでブラックトナーを有する現像手段40aによりブラックトナー像として可視像化され、転写手段50aにより中間転写ベルト70上にブラックトナー像として転写される。
【0026】
一方、ブラックトナー像が中間転写ベルト70に転写されている間に、画像形成ステーションPbではシアン成分色の潜像が形成され、続いて現像手段40bでシアントナーによるシアントナー像が顕像化される。そして、先の画像ステーションPaでブラックトナー像の転写が終了した中間転写ベルト70にシアントナー像が画像ステーションPbの転写手段50bにて転写され、ブラックトナー像と重ね合わされる。
【0027】
以下、マゼンタトナー像、イエロートナー像についても同様な方法で画像形成が行われ、中間転写ベルト70に4色のトナー像の重ね合わせが終了すると、給紙ローラ80により給紙カセット100から給紙されたシート材90上にシート材転写ローラ110によって4色のトナー像が一括転写される。そして、転写されたトナー像は定着器120でシート材90に加熱定着され、このシート材90上にフルカラー画像が形成される。
【0028】
(2)定着装置
次に、このような画像形成装置に用いられた定着装置について説明する。
【0029】
図2に示すように、定着装置は、誘導加熱手段180の電磁誘導により加熱される加熱ローラ(発熱部材)130と、加熱ローラ130と平行に配置された定着ローラ140と、加熱ローラ130と定着ローラ140とに張り渡され、加熱ローラ130により加熱されるとともに少なくともこれらのいずれかのローラの回転により矢印B方向に回転する無端帯状の耐熱性ベルト(トナー加熱媒体)150と、耐熱性ベルト150を介して定着ローラ140に圧接されるとともに耐熱性ベルト150に対して順方向に回転する加圧ローラ160とから構成されている。
【0030】
加熱ローラ130はたとえば鉄、コバルト、ニッケルまたはこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材の回転体からなり、外径をたとえば20mm、肉厚をたとえば0.3mmとして、低熱容量で昇温の速い構成となっている。
【0031】
加熱ローラ130は、図3に示すように、亜鉛メッキ鋼板からなる支持側板131に固定されたベアリング132により、その両端が回転可能に支持されている。加熱ローラ130は、図示しない装置本体の駆動手段によって回転駆動される。加熱ローラ130は、鉄・ニッケル・クロムの合金である磁性材料によって構成され、そのキュリー点が300℃以上となるように調整されている。また、加熱ローラ130は、厚さ0.3mmのパイプ状に形成されている。
【0032】
加熱ローラ130の表面には、離型性を付与するために、厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層(図示せず)が被覆されている。尚、離型層としては、PTFE、PFA、FEP、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の離型性の良好な樹脂やゴムを単独であるいは混合して用いてもよい。加熱ローラ130をモノクロ画像の定着用として用いる場合には離型性のみを確保すればよいが、加熱ローラ130をカラー画像の定着用として用いる場合には弾性を付与することが望ましく、その場合にはさらに厚いゴム層を形成する必要がある。
【0033】
定着ローラ140は、たとえばステンレススチール等の金属製の芯金140aと、耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金140aを被覆した弾性部材140bとからなる。そして、加圧ローラ160からの押圧力でこの加圧ローラ160と定着ローラ140との間に所定幅の定着ニップ部Nを形成するために外径を30mm程度として加熱ローラ130より大きくしている。
【0034】
弾性部材140bはその肉厚を3〜8mm程度、硬度を15〜50°(Asker硬度:JIS A の硬度では6〜25°による)程度としている。この構成により、加熱ローラ130の熱容量は定着ローラ140の熱容量より小さくなるので、加熱ローラ130が急速に加熱されてウォームアップ時間が短縮される。
【0035】
加熱ローラ130と定着ローラ140とに張り渡された耐熱性ベルト150は、誘導加熱手段180により加熱される加熱ローラ130との接触部位で加熱される。そして、加熱ローラ130,定着ローラ140の回転によって耐熱性ベルト150の内面が連続的に加熱され、結果としてベルト全体に渡って加熱される。
【0036】
耐熱性ベルト150は、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性を有する金属またはそれらを基材とする合金を基材とした発熱層と、その表面を被覆するようにして設けられたシリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性部材からなる離型層(図示せず)とから構成された複合層ベルトである。
【0037】
前記複合層ベルトを使用すれば、ベルトを直接加熱できる他、発熱効率が良くなり、またレスポンスが速くなる。
【0038】
また、仮に何らかの原因で、例えば耐熱性ベルト150と加熱ローラ130との間に異物が混入してギャップが生じたとしても、耐熱性ベルト150の発熱層の電磁誘導による発熱で耐熱性ベルト150自体が発熱するので、温度ムラが少なく定着の信頼性が高くなる。
【0039】
図2において、加圧ローラ160は、たとえば銅またはアルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金160aと、この芯金160aの表面に設けられた耐熱性およびトナー離型性の高い弾性部材160bとから構成されている。芯金160aには前記金属以外にSUSを使用しても良い。
【0040】
加圧ローラ160は耐熱性ベルト150を介して定着ローラ140を押圧してシート材90を挟持搬送する定着ニップ部Nを形成しているが、本実施の形態では、加圧ローラ160の硬度を定着ローラ140に比べて硬くすることによって、加圧ローラ160が定着ローラ140(及び耐熱性ベルト150)へ食い込む形となり、この食い込みにより、シート材90は加圧ローラ160表面の円周形状に沿うため、シート材90が耐熱性ベルト150表面から離れやすくなる効果を持たせている。
【0041】
この加圧ローラ160の外径は定着ローラ140と同じ30mm程度であるが、肉圧は2〜5mm程度で定着ローラ140より薄く、また硬度は20〜60°(Asker硬度:JIS A の硬度では6〜25°による)程度で前述したとおり定着ローラ140より硬く構成されている。定着ニップ部Nの入口側近傍において耐熱性ベルト150の内面側に当接して配置されたサーミスタなどの熱応答性の高い感温素子からなる温度検出手段240により、ベルト内面温度が検知される。
【0042】
次に、誘導加熱手段180の構成について説明する。
【0043】
電磁誘導により加熱ローラ130を加熱する誘導加熱手段180は、図2に示すように、加熱ローラ130の外周面と対向配置されている。誘導加熱手段180には、加熱ローラ130を覆うように湾曲形成されて加熱ローラ130を格納するための格納室200を備えた支持フレーム(コイルガイド部材)190が設けられている。なお、支持フレーム190は難燃性の樹脂で構成されている。
【0044】
支持フレーム190の加熱ローラ130に相対する位置にはサーモスタット210が設けられ、サーモスタット210の温度を検知する部分が支持フレーム190から加熱ローラ130及び耐熱性ベルト150に向けて一部表出して設けられている。これにより、加熱ローラ130及び耐熱性ベルト150の温度を検知し、異常温度を検知した場合に電源回路(図示せず)を強制切断する。
【0045】
支持フレーム190の外周面には、磁界発生手段である表面が絶縁された線材を束ねた線束の励磁コイル220が巻回されている。励磁コイル220は長い一本の励磁コイル線材をこの支持フレーム190に沿って加熱ローラ130の軸方向に交互に巻き付けたものである。(図9参照)コイルを巻き付ける長さは耐熱性ベルト150と加熱ローラ130とが接する領域と略同じにされている。
【0046】
励磁コイル220は、発振回路が周波数可変の電源装置図10に接続され、電源装置図10から10kHz〜1MHzの高周波交流電流、好ましくは20kHz〜800kHzの高周波交流電流が給電され、これにより交番磁界を発生する。そして、加熱ローラ130と耐熱性ベルト150との接触領域およびその近傍部においてこの交番磁界が加熱ローラ130および耐熱性ベルト150の発熱層に作用し、これらの内部では交番磁界の変化を妨げる方向に渦電流が流れる。
【0047】
この渦電流が加熱ローラ130および耐熱性ベルト150の発熱層の抵抗に応じたジュール熱を発生させ、主として加熱ローラ130と耐熱性ベルト150との接触領域およびその近傍部において加熱ローラ130および耐熱性ベルト150が電磁誘導加熱される。
【0048】
図4にも示すように、支持フレーム190の外側には格納室200を囲む形でショートリング230が設けられている。ショートリング230には励磁コイル220に電流を流すことによって生じる磁束のうち外部に漏れ出る漏れ磁束を打ち消す方向に渦電流が発生する。渦電流が発生するとフレミングの法則により、漏れ磁束の磁界を打ち消す方向に磁界が発生し、漏れ磁束による不要輻射を防止する。
【0049】
ショートリング230は、例えば、導電性の高い銅またはアルミニウムを材料とする。また、ショートリング230は、少なくとも、漏れ磁束を打ち消す磁束を発生させられる位置にあればよい。
【0050】
支持フレーム190の格納室200を囲むような形で励磁コイルコア250が設けられ、その上部には、支持フレーム190の格納室200をまたぐような形でC型コイルコア260が設けられている。
【0051】
励磁コイルコア250及びC型コイルコア260を設けることにより、励磁コイル220のインダクタンスが大きくなり、励磁コイル220と加熱ローラ130との電磁結合が良好となる。このため、同じコイル電流でも多くの電力を加熱ローラ130へ投入することが可能となり、ウォームアップ時間の短い定着装置を実現することができる。
【0052】
この励磁コイル220を挟んで加熱ローラ130の反対側には、誘導加熱手段180の内部を覆うハウジング270が取り付けられている。ハウジング270はたとえば樹脂製であり、C型コイルコア260やサーモスタット210を覆うような屋根型で支持フレーム190に取り付けられている。なお、ハウジング270は樹脂製以外であってもよい。ハウジング270には複数の放熱孔280が形成されており、内部の支持フレーム190、励磁コイル220、C型コイルコア260等から発散された熱が外部に放出されるようになっている。
【0053】
ハウジング270に形成された放熱孔を塞がないような形状で、ショートリング290が支持フレーム190に取り付けられている。
【0054】
ショートリング290は、上述したショートリング230と同様のものであり、図4に示すように、C型コイルコア260等の背面に位置しており、C型コイルコア260等の背面から外部に漏れ出るわずかな漏れ磁束を打ち消す方向に渦電流が発生することで、漏れ磁束の磁界を打ち消す方向に磁界が発生し、漏れ磁束による不要輻射を防止する。
【0055】
励磁コイル220を挟んで加熱ローラ130の反対側に遮蔽版300が取り付けられている。
【0056】
遮蔽版300は、例えば鉄などの強磁性体金属などで出来ており、C型コイルコア260等の背面から外部に漏れ出る漏れ磁束を遮蔽することで、不要輻射を防止する。
【0057】
ここで、ショートリング230、及び290が、漏れ磁束を打ち消す状況と、遮蔽版300の磁束遮蔽の状況について、図5〜8を参照しながら説明する。
【0058】
図5の矢印で示すように、励磁回路(図示せず)からの交流電流によって励磁コイル220が発生させる磁束は、加熱ローラ130の磁性のために、加熱ローラ130内を円周方向に貫通し、生成消滅を繰り返す。この磁束の変化によって発熱ローラ130に発生する誘導電流は、表皮効果によってほとんど加熱ローラ130の表面にのみ流れ、ジュール熱を発生させる。
【0059】
しかし、全ての磁束が加熱ローラに加わり、加熱させるわけではなく、漏れ出るものがある。
【0060】
図6に示すように、ショートリング230は、漏れ磁束のうち、励磁コイル220と加熱ローラ130の隙間から、加熱ローラ側へ漏れ出る磁束(実線で表示)に対して、打ち消す方向の磁束(点線で表示)が発生することにより、漏れ磁束による不要輻射を防止している。
【0061】
図7に示すように、ショートリング290は、漏れ磁束のうち、励磁コイル220からC型コイルコア260等の背面側へ漏れ出る磁束(実線で表示)に対して、打ち消す方向の磁束(点線で表示)が発生することにより、漏れ磁束による不要輻射を防止している。
【0062】
図8に示すように、遮蔽版300は、励磁コイル220からC型コイルコア260等の背面側へ漏れ出る磁束(実線で表示)に対して、磁束が外側へ漏れないように、閉磁路を形成し、漏れ磁束による不要輻射を防止している。
【0063】
ショートリング230、290、遮蔽版300は、それぞれでも効果を発揮するが、組み合わせる事で、より多くの漏れ磁束による不要輻射を抑えることが可能となっている。
【0064】
図9は、本発明の別の一実施形態である定着装置の構成を示す説明図である。
【0065】
図2で説明した定着装置は耐熱性ベルト150を介して、定着を行う構成の定着装置に本発明の誘導加熱手段を用いたものを上げたが、図9に示すように、ベルトを介しない構成の定着装置にも対策を盛り込んだ誘導加熱手段を用いる事は容易である。
【0066】
330は発熱部材としての加熱ローラであり、加熱ローラ330は、図示しない装置本体の駆動手段によって回転駆動される。加熱ローラ330は、鉄・ニッケル・クロムの合金である磁性材料によって構成され、そのキュリー点が300℃以上となるように調整されている。また、発熱ローラ130は、厚さ0.3mmのパイプ状に形成されている。
【0067】
加熱ローラ330の表面には、離型性を付与するために、厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層(図示せず)が被覆されている。尚、離型層としては、PTFE、PFA、FEP、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の離型性の良好な樹脂やゴムを単独であるいは混合して用いてもよい。加熱ローラ330をモノクロ画像の定着用として用いる場合には離型性のみを確保すればよいが、加熱ローラ330をカラー画像の定着用として用いる場合には弾性を付与することが望ましく、その場合にはさらに厚いゴム層を形成する必要がある。
【0068】
360は加圧手段としての加圧ローラである。この加圧ローラ360は、硬度JISA65度のシリコーンゴムによって構成され、20kgfの押圧力で加熱ローラ330に圧接してニップ部を形成している。そして、この状態で、加圧ローラ360は、加熱ローラ330の回転に伴って回転する。尚、加圧ローラ360の材料としては、他のフッ素ゴム、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂やゴムを用いてもよい。また、耐摩耗性や離型性を高めるために、加圧ローラ360の表面には、PFA、PTFE、FEP等の樹脂あるいはゴムを単独であるいは混合して被覆することが望ましい。また、熱の放散を防ぐために、加圧ローラ360は、熱伝導性の小さい材料によって構成されることが望ましい。
【0069】
(3)電源装置
図10は前記定着装置内の励磁コイル220に電力を供給する電源装置810の回路構成図である。
【0070】
410及び420は商用交流電圧の入力端子、430は本電源装置の入力フィルタ及び雷防護回路ブロック、440は両波整流ブリッジ、450及び460は雑音防止用のコンデンサ、470は雑音防止用インダクタ、510は整流用の平滑コンデンサ、490は励磁コイル220と共振回路を構成する為の共振コンデンサ、520は前記共振回路への通電を制御するスイッチング素子、480及び481は本電源装置と前記定着装置内の励磁コイル220を接続する為の端子、240は前記定着装置内の温度検出手段である。
【0071】
530は本電源装置内の回路動作用の電源電圧Vccを作り出す為のDC−DCコンバータIC、540はDC−DCコンバータIC入力整流ダイオード、550はDC−DCコンバータIC入力平滑コンデンサ、570はDC−DCコンバータIC出力平滑コンデンサ、560は、DC−DCコンバータIC出力過電圧制限用ツェナーダイオードである。
【0072】
580及び590はスイッチング素子コレクタ電圧検出用の分圧抵抗、620は雑音対策用のコンデンサ、630及び610はVccから所定の基準電圧を作り出す為の分圧抵抗、650は雑音対策用のコンデンサ、640は前記基準電圧とスイッチング素子コレクタ電圧を比較する為のオープンコレクタの比較器、800は比較器640の0V出力を一定時間遅延させる遅延器である。
【0073】
780は温度検出手段240の一定温度制御を行う加熱装置温度制御回路、760は1次2次絶縁用のフォトカプラ、770は前記フォトカプラ760のダイオード電流制限抵抗、740は電圧反転用トランジスタ、750及び730は電圧確定用の抵抗、700は時定数回路を構成する抵抗、690は時定数回路を構成するコンデンサ、720は時定数回路を構成するダイオード、680は、時定数回路によって発生した電圧をある一定値で制限するツェナーダイオード、710は時定数回路によって発生した電圧と前記遅延器800の出力を接続する為の制限抵抗、790は前記スイッチング素子520の発振を制御するスイッチング素子発振制御回路、670及び660は前記スイッチング素子発振制御回路と時定数回路によって発生した電圧を接続する為の分圧抵抗である。
【0074】
以上の構成で動作説明を行う。商用交流電圧が端子410、420間に印加されると、入力フィルタ及び雷防護回路ブロック430を通った後、両波整流ブリッジ440、雑音防止用のコンデンサ450及び460、雑音防止用インダクタ470、整流用の平滑コンデンサ510によって直流電圧に整流される。平滑コンデンサ510に充電された直流電圧は、スイッチング素子520のオンオフにより、励磁コイル220と共振コンデンサ490によって構成される共振回路に周期的に印加される。
【0075】
整流ダイオード540及び入力平滑コンデンサ550は、商用交流電圧を半波整流後、DC−DCコンバータIC530の入力端子に直流電圧を供給し、DC−DCコンバータIC530は平滑コンデンサ570に対し、本電源装置内の回路動作用の電源電圧Vccを出力する。ツェナータイオード560は、Vccの過電圧保護を行う。
【0076】
加熱装置温度制御回路780は温度検出手段240からの温度値が常に所定の値一定となる様に、スイッチング素子起動信号及び、スイッング素子通電制御量信号を出力する。スイッチング素子起動信号はスイッチング素子発振制御回路790の状態を停止状態から動作状態に移す。スイッチング素子通電制御量2次信号は一定周期信号のオン占有量として電流制限抵抗770を通して、1次2次絶縁用のフォトカプラ760をオンオフし、さらに電圧確定用抵抗750、730及び電圧反転用トランジスタ740で構成される電圧反転回路を通して、抵抗700、ダイオード720及びコンデンサ690で構成される時定数回路を充放電する。次に、スイッチング素子コレクタ印加電圧は分圧抵抗580及び590によって分圧され、雑音対策用コンデンサ620で雑音除去された後、比較器640負入力端子に伝えられる。比較器640正入力端子には、電圧Vccを分圧抵抗630及び610で分圧した所定の電圧が、雑音対策用コンデンサ610で雑音除去された後接続される。比較器640は前記負端子が正端子電圧を超えた時、出力オープン状態を0V出力に移行し、0V出力の遅延時間が0秒の遅延器800を通り、あらかじめ定められた制限抵抗値710を通してコンデンサ690の電荷を引き抜き、電圧を低下させる。このような動作で作られたコンデンサ690の電圧は、スイッチング素子通電制御量1次信号は直流電圧量として、過電圧制限用ツェナーダイオード680、及び分圧抵抗670、660を通してスイッチング素子発振制御回路790に伝えられる。前記の起動信号により停止状態から動作状態に移行したスイッチング素子発振制御回路790は、前記スイッチング素子通電制御量1次信号に従って、スイッチング素子520をオンオフ制御する。
【0077】
このように動作している回路の動作波形を図11に示す。スイッチング素子コレクタ印加電圧が所定の安全動作範囲を超えると、前記動作により、スイッチング素子通電制御量を決定するコンデンサ690の電圧が低下し、励磁コイル220の通電量が低下した結果、スイッチング素子コレクタ印加電圧は所定の安全動作電圧範囲限界を水平に維持する。
【0078】
また、遅延器800の0V遅延時間を商用交流電圧の半波分の時間に設定し、制限抵抗値710の値を前記に比してやや小さめに設定すると、図12のようにコンデンサ690の電圧低下は強制的に促進され、励磁コイル220の通電量をさらに低下させる事ができる。これは、スイッチング素子コレクタ印加電圧を安全動作範囲内に維持しながら、励磁コイルに供給される電力を更に低下する方向に調整したい場合有効な選択肢となる。
【0079】
さらに遅延器800の0V遅延時間を商用交流電圧の半波分の時間に設定し、制限抵抗値710の値を0Ωに設定すると、図13のようにコンデンサ690の電圧低下は極限まで促進され、励磁コイル220の通電量を極限まで低下させる事ができる。これは、スイッチング素子コレクタ印加電圧を安全動作範囲内に維持しながら、励磁コイルに供給される電力を極限まで低下させたい場合有効な選択肢となる。
【0080】
【発明の効果】
以上の動作により、回路動作時の外来雑音及び内部発生雑音による瞬間的な制御不具合、又前記定着装置の固有インダクタンス値及び固有抵抗値のばらつき等がスイッチング素子コレクタ印加電圧の変動を引き起こし、スイッチング素子コレクタ最大定格電圧を超えようとしても、自動的に最大定格電圧以下に設定された所定の安全動作電圧範囲内に制限される為、安全動作電圧範囲の管理が高精度に容易となり、不用意に最大定格電圧から大きな余裕度をとる必要が無くなった。これにより、スイッチング素子の安全動作電圧範囲の設定をできる限りスイッチング素子固有の最大定格電圧安全に近づけて、従来確保していた電圧の余裕を大幅に削減する事ができた為、最大定格電圧が低いスイッチング素子の選定を可能とし、スイッチング素子の価格を安くし、企業収益に貢献することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である定着装置を備えた画像形成装置の構成を示す説明図
【図2】図1の画像形成装置に用いられる本発明の一実施の形態である定着装置の構成を示す説明図
【図3】図2の定着装置を構成する加熱ローラの構成を破断して示す説明図
【図4】図2の定着装置を構成する励磁コイル、ショートリングの構成を示す図
【図5】本発明の一実施の形態である誘導加熱手段の磁束の様子を示す説明図
【図6】本発明の一実施の形態である誘導加熱手段のショートリングでの磁束を打ち消す様子を示す説明図
【図7】本発明の一実施の形態である誘導加熱手段のショートリングでの磁束を打ち消す様子を示す説明図
【図8】本発明の一実施の形態である誘導加熱手段の遮蔽板での磁束変化を示す説明図
【図9】本発明の別の一実施の形態である定着装置の構成を示す説明図
【図10】本発明の一実施の形態である電源装置の回路説明図
【図11】本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図
【図12】本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図
【図13】本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図
【図14】従来の電源装置の動作説明図
【図15】従来の電源装置の動作説明図
【符号の説明】
240 温度検出手段
780 加熱装置温度制御回路
810 電源装置
【発明の属する技術分野】
本発明は,電磁誘導加熱方式の加熱装置に使用される電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ・複写機・ファクシミリなどの画像形成装置に対し、近年、省エネルギー化・高速化についての市場要求が強くなってきている。これらの要求性能を達成するためには、画像形成装置に用いられる定着装置の熱効率の改善が重要である。
【0003】
画像形成装置では、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより、画像転写方式もしくは直接方式により未定着トナー画像が記録材シート・印刷紙・感光紙・静電記録紙などの記録材に形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
【0004】
特に、電磁誘導加熱方式については、励磁コイルからなる誘導加熱手段の交番磁界により磁性金属部材である発熱部材に発生した渦電流でジュール熱を直接生じさせる為、省エネルギー性、高速性に優れており、近年、採用が拡大している。
【0005】
前記電磁誘導加熱方式においては、コイルの励磁電流が非常に大きい事から、スイッチング素子の損失を軽減する事を目的として、電圧共振方式電源の採用が一般的である。
【0006】
従来の電圧共振方式電源の動作を図14及び、図15に示す。
【0007】
図14は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図、図15は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図である。
【0008】
図14は正常な回路の動作波形であり、スイッチング素子(図示せず)がオン時はスイッチング素子電流が発生し、オフ時はスイッチング素子コレクタ電圧が発生する。尚、スイッチング素子電圧波形は商用交流電圧波形と相似な包絡線を描く。スイッチング素子(図示せず)のコレクタに印加される電圧は固有の最大定格電圧値が有り、当然ながら、この値を超える電圧が印加されれば、スイッチング素子は即破壊に至る。
【0009】
このような場合の回路の動作波形を図15に示す。スイッチング素子コレクタ印加電圧がスイッチング素子コレクタ最大定格電圧を超えており、この場合、間違いなくスイッチング素子は破壊に至る。回路動作時の外来雑音及び内部発生雑音による瞬間的な制御不具合、又前記定着装置の固有インダクタンス値及び固有抵抗値のばらつき等がスイッチング素子コレクタ印加電圧の変動に直結する為、これらの要因を考慮しながら前記に説明したようなスイッチング素子の破壊を避ける為には、スイッチング素子コレクタ印加電圧は安全動作電圧範囲を、スイッチング素子固有の最大定格電圧値に対して十分余裕をもった低い値、経験的には30%から40%の余裕をもって設計を行う必要があった。この事は、最大定格電圧のより大きいスイッチング素子の選定につながる。
【0010】
その他、スイッチング素子に関しては、特許文献1に記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−184698号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、スイッチング素子は、その最大定格電圧が増加する程高価となり、一定の値を超えると、数十倍もの値段になる事があり、むやみに電圧余裕を増加させる事は、企業収益に多大な悪影響をもたらすという課題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲の設定をできる限りスイッチング素子固有の最大定格電圧に近づけて、従来確保していた電圧の余裕を大幅に削減する事により、最大定格電圧が低いスイッチング素子の選定を可能とし、スイッチング素子の価格を安くし、企業収益に貢献することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するもので、下記の特徴を有する電源装置である。
(1)発熱部材と、前記発熱部材近傍に配置され、電磁誘導によって前記発熱部材を発熱させる励磁コイルを備えた電磁誘導加熱手段の電源装置において、前記励磁コイルに電力を供給するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に印加される電圧が安全動作電圧範囲を超えた事を検知するスイッチング素子電圧検知手段と、前記スイッチング素子電圧検知手段の検知信号に応じて前記コイルに供給する電力を制御する電力制御手段とを有すること特徴とする電源装置。
(2)前記スイッチング素子電圧検知手段により、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲を超えた事を検知した場合、前記電力制御手段にて前記励磁コイルへの電力供給を制限し、前記スイッチング素子に印加される電圧が、安全動作電圧範囲限界を維持する様に制御する事を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
(3)前記スイッチング素子電圧検知手段により、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲を超えた事を検知した場合、前記電力制御手段にて前記励磁コイルへの電力供給を制限し、前記スイッチング素子に印加される電圧が、安全動作電圧範囲限界内で任意のレベルで減衰する事を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
(4)前記スイッチング素子電圧検知手段により、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲を超えた事を検知した場合、前記電力制御手段にて前記励磁コイルへの電力供給を停止する事を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【0015】
以上の発明動作内容により、回路動作時の外来雑音及び内部発生雑音による瞬間的な制御不具合、又前記定着装置の固有インダクタンス値及び固有抵抗値のばらつき等がスイッチング素子コレクタ印加電圧の変動を引き起こし、スイッチング素子コレクタ最大定格電圧を超えようとしても、自動的に最大定格電圧以下に設定された所定の安全動作電圧範囲内に制限される為、安全動作電圧範囲の管理が高精度に容易となり、不用意に最大定格電圧から大きな余裕度をとる必要が無くなった。
【0016】
これにより、スイッチング素子の安全動作電圧範囲の設定をできる限りスイッチング素子固有の最大定格電圧安全に近づけて、従来確保していた電圧の余裕を大幅に削減する事ができた為、最大定格電圧が低いスイッチング素子の選定を可能とし、スイッチング素子の価格を安くし、企業収益に貢献することができた。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図9を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。
【0018】
図1は本発明の一実施の形態である定着装置を備えた画像形成装置の構成を示す説明図、図2は図1の画像形成装置に用いられる本発明の一実施の形態である定着装置の構成を示す説明図、図3は図2の定着装置を構成する加熱ローラの構成を破断して示す説明図、図4は図2の定着装置を構成する励磁コイル、ショートリングの構成を示す図、図5は本発明の一実施の形態である誘導加熱手段の磁束の様子を示す説明図、図6は本発明の一実施の形態である誘導加熱手段のショートリングでの磁束を打ち消す様子を示す説明図、図7は本発明の一実施の形態である誘導加熱手段のショートリングでの磁束を打ち消す様子を示す説明図、図8は本発明の一実施の形態である誘導加熱手段の遮蔽板での磁束変化を示す説明図、図9は本発明の別の一実施の形態である定着装置の構成を示す説明図、図10は本発明の一実施の形態である電源装置の回路説明図、図11は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図、図12は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図、図13は本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図である。
【0019】
(1)画像形成装置
まず、本発明に係る画像形成装置の概略を説明する。なお、本実施の形態で説明する画像形成装置は、電子写真方式を採用する装置の中で特にカラー画像の発色に寄与する4色の基本色トナー毎に現像装置を備え、転写体に4色画像を重ね合わせ、シート材に一括転写するタンデム方式である。
【0020】
しかしながら、本発明はタンデム方式の画像形成装置のみに限定されず、また現像装置の数、中間転写体の有無等に拘らず、あらゆる方式の画像形成装置に採用可能であることはいうまでもない。
【0021】
図1において、感光体ドラム10a,10b,10c,10dの周囲には、各感光体ドラム10a,10b,10c,10dの表面を一様に所定の電位に帯電させる帯電手段20a,20b,20c,20d、帯電された感光体ドラム10a,10b,10c,10d上に特定色の画像データに対応したレーザビームの走査線30K,30C,30M,30Yを照射して静電潜像を形成する露光手段30、感光体ドラム10a,10b,10c,10d上に形成された静電潜像を顕像化する現像手段40a,40b,40c,40d、感光体ドラム10a,10b,10c,10d上に顕像化されたトナー像を無端状の中間転写ベルト(中間転写体)70に転写する転写手段50a,50b,50c,50d、感光体ドラム10a,10b,10c,10dから中間転写ベルト70にトナー像を転写した後に感光体ドラム10a,10b,10c,10dに残っている残留トナーを除去するクリーニング手段60a,60b,60c,60dがそれぞれ配置されている。
【0022】
ここで、露光手段30は、感光体ドラム10a,10b,10c,10dに対して所定の傾きをもって配置されている。また、中間転写ベルト70は、図示する場合においては、矢印A方向へ回動する。なお、画像形成ステーションPa,Pb,Pc,Pdでは、それぞれブラック画像、シアン画像、マゼンタ画像、イエロー画像が形成される。そして、感光体ドラム10a,10b,10c,10dに形成された各色の単色画像が中間転写ベルト70上に順次重ね転写されてフルカラー画像が形成される。
【0023】
装置の下部には、印字用紙などのシート材(記録媒体)90が収納された給紙カセット100が設けられている。そして、シート材90は、給紙ローラ80により給紙カセット100から1枚ずつ用紙搬送路に送り出される。
【0024】
用紙搬送路上には、中間転写ベルト70の外周面と所定量にわたって接触し、この中間転写ベルト70上に形成されたカラー画像をシート材90に転写する転写ローラ110、シート材90上に転写されたカラー画像をローラの狭持回転に伴う圧力と熱とによってシート材90に定着する定着器120が配置されている。
【0025】
このような構成の画像形成装置において、まず画像形成ステーションPaの帯電手段20aおよび露光手段30により感光体ドラム10a上に画像情報のブラック成分色の潜像が形成される。この潜像は現像手段40aでブラックトナーを有する現像手段40aによりブラックトナー像として可視像化され、転写手段50aにより中間転写ベルト70上にブラックトナー像として転写される。
【0026】
一方、ブラックトナー像が中間転写ベルト70に転写されている間に、画像形成ステーションPbではシアン成分色の潜像が形成され、続いて現像手段40bでシアントナーによるシアントナー像が顕像化される。そして、先の画像ステーションPaでブラックトナー像の転写が終了した中間転写ベルト70にシアントナー像が画像ステーションPbの転写手段50bにて転写され、ブラックトナー像と重ね合わされる。
【0027】
以下、マゼンタトナー像、イエロートナー像についても同様な方法で画像形成が行われ、中間転写ベルト70に4色のトナー像の重ね合わせが終了すると、給紙ローラ80により給紙カセット100から給紙されたシート材90上にシート材転写ローラ110によって4色のトナー像が一括転写される。そして、転写されたトナー像は定着器120でシート材90に加熱定着され、このシート材90上にフルカラー画像が形成される。
【0028】
(2)定着装置
次に、このような画像形成装置に用いられた定着装置について説明する。
【0029】
図2に示すように、定着装置は、誘導加熱手段180の電磁誘導により加熱される加熱ローラ(発熱部材)130と、加熱ローラ130と平行に配置された定着ローラ140と、加熱ローラ130と定着ローラ140とに張り渡され、加熱ローラ130により加熱されるとともに少なくともこれらのいずれかのローラの回転により矢印B方向に回転する無端帯状の耐熱性ベルト(トナー加熱媒体)150と、耐熱性ベルト150を介して定着ローラ140に圧接されるとともに耐熱性ベルト150に対して順方向に回転する加圧ローラ160とから構成されている。
【0030】
加熱ローラ130はたとえば鉄、コバルト、ニッケルまたはこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材の回転体からなり、外径をたとえば20mm、肉厚をたとえば0.3mmとして、低熱容量で昇温の速い構成となっている。
【0031】
加熱ローラ130は、図3に示すように、亜鉛メッキ鋼板からなる支持側板131に固定されたベアリング132により、その両端が回転可能に支持されている。加熱ローラ130は、図示しない装置本体の駆動手段によって回転駆動される。加熱ローラ130は、鉄・ニッケル・クロムの合金である磁性材料によって構成され、そのキュリー点が300℃以上となるように調整されている。また、加熱ローラ130は、厚さ0.3mmのパイプ状に形成されている。
【0032】
加熱ローラ130の表面には、離型性を付与するために、厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層(図示せず)が被覆されている。尚、離型層としては、PTFE、PFA、FEP、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の離型性の良好な樹脂やゴムを単独であるいは混合して用いてもよい。加熱ローラ130をモノクロ画像の定着用として用いる場合には離型性のみを確保すればよいが、加熱ローラ130をカラー画像の定着用として用いる場合には弾性を付与することが望ましく、その場合にはさらに厚いゴム層を形成する必要がある。
【0033】
定着ローラ140は、たとえばステンレススチール等の金属製の芯金140aと、耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金140aを被覆した弾性部材140bとからなる。そして、加圧ローラ160からの押圧力でこの加圧ローラ160と定着ローラ140との間に所定幅の定着ニップ部Nを形成するために外径を30mm程度として加熱ローラ130より大きくしている。
【0034】
弾性部材140bはその肉厚を3〜8mm程度、硬度を15〜50°(Asker硬度:JIS A の硬度では6〜25°による)程度としている。この構成により、加熱ローラ130の熱容量は定着ローラ140の熱容量より小さくなるので、加熱ローラ130が急速に加熱されてウォームアップ時間が短縮される。
【0035】
加熱ローラ130と定着ローラ140とに張り渡された耐熱性ベルト150は、誘導加熱手段180により加熱される加熱ローラ130との接触部位で加熱される。そして、加熱ローラ130,定着ローラ140の回転によって耐熱性ベルト150の内面が連続的に加熱され、結果としてベルト全体に渡って加熱される。
【0036】
耐熱性ベルト150は、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性を有する金属またはそれらを基材とする合金を基材とした発熱層と、その表面を被覆するようにして設けられたシリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性部材からなる離型層(図示せず)とから構成された複合層ベルトである。
【0037】
前記複合層ベルトを使用すれば、ベルトを直接加熱できる他、発熱効率が良くなり、またレスポンスが速くなる。
【0038】
また、仮に何らかの原因で、例えば耐熱性ベルト150と加熱ローラ130との間に異物が混入してギャップが生じたとしても、耐熱性ベルト150の発熱層の電磁誘導による発熱で耐熱性ベルト150自体が発熱するので、温度ムラが少なく定着の信頼性が高くなる。
【0039】
図2において、加圧ローラ160は、たとえば銅またはアルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金160aと、この芯金160aの表面に設けられた耐熱性およびトナー離型性の高い弾性部材160bとから構成されている。芯金160aには前記金属以外にSUSを使用しても良い。
【0040】
加圧ローラ160は耐熱性ベルト150を介して定着ローラ140を押圧してシート材90を挟持搬送する定着ニップ部Nを形成しているが、本実施の形態では、加圧ローラ160の硬度を定着ローラ140に比べて硬くすることによって、加圧ローラ160が定着ローラ140(及び耐熱性ベルト150)へ食い込む形となり、この食い込みにより、シート材90は加圧ローラ160表面の円周形状に沿うため、シート材90が耐熱性ベルト150表面から離れやすくなる効果を持たせている。
【0041】
この加圧ローラ160の外径は定着ローラ140と同じ30mm程度であるが、肉圧は2〜5mm程度で定着ローラ140より薄く、また硬度は20〜60°(Asker硬度:JIS A の硬度では6〜25°による)程度で前述したとおり定着ローラ140より硬く構成されている。定着ニップ部Nの入口側近傍において耐熱性ベルト150の内面側に当接して配置されたサーミスタなどの熱応答性の高い感温素子からなる温度検出手段240により、ベルト内面温度が検知される。
【0042】
次に、誘導加熱手段180の構成について説明する。
【0043】
電磁誘導により加熱ローラ130を加熱する誘導加熱手段180は、図2に示すように、加熱ローラ130の外周面と対向配置されている。誘導加熱手段180には、加熱ローラ130を覆うように湾曲形成されて加熱ローラ130を格納するための格納室200を備えた支持フレーム(コイルガイド部材)190が設けられている。なお、支持フレーム190は難燃性の樹脂で構成されている。
【0044】
支持フレーム190の加熱ローラ130に相対する位置にはサーモスタット210が設けられ、サーモスタット210の温度を検知する部分が支持フレーム190から加熱ローラ130及び耐熱性ベルト150に向けて一部表出して設けられている。これにより、加熱ローラ130及び耐熱性ベルト150の温度を検知し、異常温度を検知した場合に電源回路(図示せず)を強制切断する。
【0045】
支持フレーム190の外周面には、磁界発生手段である表面が絶縁された線材を束ねた線束の励磁コイル220が巻回されている。励磁コイル220は長い一本の励磁コイル線材をこの支持フレーム190に沿って加熱ローラ130の軸方向に交互に巻き付けたものである。(図9参照)コイルを巻き付ける長さは耐熱性ベルト150と加熱ローラ130とが接する領域と略同じにされている。
【0046】
励磁コイル220は、発振回路が周波数可変の電源装置図10に接続され、電源装置図10から10kHz〜1MHzの高周波交流電流、好ましくは20kHz〜800kHzの高周波交流電流が給電され、これにより交番磁界を発生する。そして、加熱ローラ130と耐熱性ベルト150との接触領域およびその近傍部においてこの交番磁界が加熱ローラ130および耐熱性ベルト150の発熱層に作用し、これらの内部では交番磁界の変化を妨げる方向に渦電流が流れる。
【0047】
この渦電流が加熱ローラ130および耐熱性ベルト150の発熱層の抵抗に応じたジュール熱を発生させ、主として加熱ローラ130と耐熱性ベルト150との接触領域およびその近傍部において加熱ローラ130および耐熱性ベルト150が電磁誘導加熱される。
【0048】
図4にも示すように、支持フレーム190の外側には格納室200を囲む形でショートリング230が設けられている。ショートリング230には励磁コイル220に電流を流すことによって生じる磁束のうち外部に漏れ出る漏れ磁束を打ち消す方向に渦電流が発生する。渦電流が発生するとフレミングの法則により、漏れ磁束の磁界を打ち消す方向に磁界が発生し、漏れ磁束による不要輻射を防止する。
【0049】
ショートリング230は、例えば、導電性の高い銅またはアルミニウムを材料とする。また、ショートリング230は、少なくとも、漏れ磁束を打ち消す磁束を発生させられる位置にあればよい。
【0050】
支持フレーム190の格納室200を囲むような形で励磁コイルコア250が設けられ、その上部には、支持フレーム190の格納室200をまたぐような形でC型コイルコア260が設けられている。
【0051】
励磁コイルコア250及びC型コイルコア260を設けることにより、励磁コイル220のインダクタンスが大きくなり、励磁コイル220と加熱ローラ130との電磁結合が良好となる。このため、同じコイル電流でも多くの電力を加熱ローラ130へ投入することが可能となり、ウォームアップ時間の短い定着装置を実現することができる。
【0052】
この励磁コイル220を挟んで加熱ローラ130の反対側には、誘導加熱手段180の内部を覆うハウジング270が取り付けられている。ハウジング270はたとえば樹脂製であり、C型コイルコア260やサーモスタット210を覆うような屋根型で支持フレーム190に取り付けられている。なお、ハウジング270は樹脂製以外であってもよい。ハウジング270には複数の放熱孔280が形成されており、内部の支持フレーム190、励磁コイル220、C型コイルコア260等から発散された熱が外部に放出されるようになっている。
【0053】
ハウジング270に形成された放熱孔を塞がないような形状で、ショートリング290が支持フレーム190に取り付けられている。
【0054】
ショートリング290は、上述したショートリング230と同様のものであり、図4に示すように、C型コイルコア260等の背面に位置しており、C型コイルコア260等の背面から外部に漏れ出るわずかな漏れ磁束を打ち消す方向に渦電流が発生することで、漏れ磁束の磁界を打ち消す方向に磁界が発生し、漏れ磁束による不要輻射を防止する。
【0055】
励磁コイル220を挟んで加熱ローラ130の反対側に遮蔽版300が取り付けられている。
【0056】
遮蔽版300は、例えば鉄などの強磁性体金属などで出来ており、C型コイルコア260等の背面から外部に漏れ出る漏れ磁束を遮蔽することで、不要輻射を防止する。
【0057】
ここで、ショートリング230、及び290が、漏れ磁束を打ち消す状況と、遮蔽版300の磁束遮蔽の状況について、図5〜8を参照しながら説明する。
【0058】
図5の矢印で示すように、励磁回路(図示せず)からの交流電流によって励磁コイル220が発生させる磁束は、加熱ローラ130の磁性のために、加熱ローラ130内を円周方向に貫通し、生成消滅を繰り返す。この磁束の変化によって発熱ローラ130に発生する誘導電流は、表皮効果によってほとんど加熱ローラ130の表面にのみ流れ、ジュール熱を発生させる。
【0059】
しかし、全ての磁束が加熱ローラに加わり、加熱させるわけではなく、漏れ出るものがある。
【0060】
図6に示すように、ショートリング230は、漏れ磁束のうち、励磁コイル220と加熱ローラ130の隙間から、加熱ローラ側へ漏れ出る磁束(実線で表示)に対して、打ち消す方向の磁束(点線で表示)が発生することにより、漏れ磁束による不要輻射を防止している。
【0061】
図7に示すように、ショートリング290は、漏れ磁束のうち、励磁コイル220からC型コイルコア260等の背面側へ漏れ出る磁束(実線で表示)に対して、打ち消す方向の磁束(点線で表示)が発生することにより、漏れ磁束による不要輻射を防止している。
【0062】
図8に示すように、遮蔽版300は、励磁コイル220からC型コイルコア260等の背面側へ漏れ出る磁束(実線で表示)に対して、磁束が外側へ漏れないように、閉磁路を形成し、漏れ磁束による不要輻射を防止している。
【0063】
ショートリング230、290、遮蔽版300は、それぞれでも効果を発揮するが、組み合わせる事で、より多くの漏れ磁束による不要輻射を抑えることが可能となっている。
【0064】
図9は、本発明の別の一実施形態である定着装置の構成を示す説明図である。
【0065】
図2で説明した定着装置は耐熱性ベルト150を介して、定着を行う構成の定着装置に本発明の誘導加熱手段を用いたものを上げたが、図9に示すように、ベルトを介しない構成の定着装置にも対策を盛り込んだ誘導加熱手段を用いる事は容易である。
【0066】
330は発熱部材としての加熱ローラであり、加熱ローラ330は、図示しない装置本体の駆動手段によって回転駆動される。加熱ローラ330は、鉄・ニッケル・クロムの合金である磁性材料によって構成され、そのキュリー点が300℃以上となるように調整されている。また、発熱ローラ130は、厚さ0.3mmのパイプ状に形成されている。
【0067】
加熱ローラ330の表面には、離型性を付与するために、厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層(図示せず)が被覆されている。尚、離型層としては、PTFE、PFA、FEP、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の離型性の良好な樹脂やゴムを単独であるいは混合して用いてもよい。加熱ローラ330をモノクロ画像の定着用として用いる場合には離型性のみを確保すればよいが、加熱ローラ330をカラー画像の定着用として用いる場合には弾性を付与することが望ましく、その場合にはさらに厚いゴム層を形成する必要がある。
【0068】
360は加圧手段としての加圧ローラである。この加圧ローラ360は、硬度JISA65度のシリコーンゴムによって構成され、20kgfの押圧力で加熱ローラ330に圧接してニップ部を形成している。そして、この状態で、加圧ローラ360は、加熱ローラ330の回転に伴って回転する。尚、加圧ローラ360の材料としては、他のフッ素ゴム、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂やゴムを用いてもよい。また、耐摩耗性や離型性を高めるために、加圧ローラ360の表面には、PFA、PTFE、FEP等の樹脂あるいはゴムを単独であるいは混合して被覆することが望ましい。また、熱の放散を防ぐために、加圧ローラ360は、熱伝導性の小さい材料によって構成されることが望ましい。
【0069】
(3)電源装置
図10は前記定着装置内の励磁コイル220に電力を供給する電源装置810の回路構成図である。
【0070】
410及び420は商用交流電圧の入力端子、430は本電源装置の入力フィルタ及び雷防護回路ブロック、440は両波整流ブリッジ、450及び460は雑音防止用のコンデンサ、470は雑音防止用インダクタ、510は整流用の平滑コンデンサ、490は励磁コイル220と共振回路を構成する為の共振コンデンサ、520は前記共振回路への通電を制御するスイッチング素子、480及び481は本電源装置と前記定着装置内の励磁コイル220を接続する為の端子、240は前記定着装置内の温度検出手段である。
【0071】
530は本電源装置内の回路動作用の電源電圧Vccを作り出す為のDC−DCコンバータIC、540はDC−DCコンバータIC入力整流ダイオード、550はDC−DCコンバータIC入力平滑コンデンサ、570はDC−DCコンバータIC出力平滑コンデンサ、560は、DC−DCコンバータIC出力過電圧制限用ツェナーダイオードである。
【0072】
580及び590はスイッチング素子コレクタ電圧検出用の分圧抵抗、620は雑音対策用のコンデンサ、630及び610はVccから所定の基準電圧を作り出す為の分圧抵抗、650は雑音対策用のコンデンサ、640は前記基準電圧とスイッチング素子コレクタ電圧を比較する為のオープンコレクタの比較器、800は比較器640の0V出力を一定時間遅延させる遅延器である。
【0073】
780は温度検出手段240の一定温度制御を行う加熱装置温度制御回路、760は1次2次絶縁用のフォトカプラ、770は前記フォトカプラ760のダイオード電流制限抵抗、740は電圧反転用トランジスタ、750及び730は電圧確定用の抵抗、700は時定数回路を構成する抵抗、690は時定数回路を構成するコンデンサ、720は時定数回路を構成するダイオード、680は、時定数回路によって発生した電圧をある一定値で制限するツェナーダイオード、710は時定数回路によって発生した電圧と前記遅延器800の出力を接続する為の制限抵抗、790は前記スイッチング素子520の発振を制御するスイッチング素子発振制御回路、670及び660は前記スイッチング素子発振制御回路と時定数回路によって発生した電圧を接続する為の分圧抵抗である。
【0074】
以上の構成で動作説明を行う。商用交流電圧が端子410、420間に印加されると、入力フィルタ及び雷防護回路ブロック430を通った後、両波整流ブリッジ440、雑音防止用のコンデンサ450及び460、雑音防止用インダクタ470、整流用の平滑コンデンサ510によって直流電圧に整流される。平滑コンデンサ510に充電された直流電圧は、スイッチング素子520のオンオフにより、励磁コイル220と共振コンデンサ490によって構成される共振回路に周期的に印加される。
【0075】
整流ダイオード540及び入力平滑コンデンサ550は、商用交流電圧を半波整流後、DC−DCコンバータIC530の入力端子に直流電圧を供給し、DC−DCコンバータIC530は平滑コンデンサ570に対し、本電源装置内の回路動作用の電源電圧Vccを出力する。ツェナータイオード560は、Vccの過電圧保護を行う。
【0076】
加熱装置温度制御回路780は温度検出手段240からの温度値が常に所定の値一定となる様に、スイッチング素子起動信号及び、スイッング素子通電制御量信号を出力する。スイッチング素子起動信号はスイッチング素子発振制御回路790の状態を停止状態から動作状態に移す。スイッチング素子通電制御量2次信号は一定周期信号のオン占有量として電流制限抵抗770を通して、1次2次絶縁用のフォトカプラ760をオンオフし、さらに電圧確定用抵抗750、730及び電圧反転用トランジスタ740で構成される電圧反転回路を通して、抵抗700、ダイオード720及びコンデンサ690で構成される時定数回路を充放電する。次に、スイッチング素子コレクタ印加電圧は分圧抵抗580及び590によって分圧され、雑音対策用コンデンサ620で雑音除去された後、比較器640負入力端子に伝えられる。比較器640正入力端子には、電圧Vccを分圧抵抗630及び610で分圧した所定の電圧が、雑音対策用コンデンサ610で雑音除去された後接続される。比較器640は前記負端子が正端子電圧を超えた時、出力オープン状態を0V出力に移行し、0V出力の遅延時間が0秒の遅延器800を通り、あらかじめ定められた制限抵抗値710を通してコンデンサ690の電荷を引き抜き、電圧を低下させる。このような動作で作られたコンデンサ690の電圧は、スイッチング素子通電制御量1次信号は直流電圧量として、過電圧制限用ツェナーダイオード680、及び分圧抵抗670、660を通してスイッチング素子発振制御回路790に伝えられる。前記の起動信号により停止状態から動作状態に移行したスイッチング素子発振制御回路790は、前記スイッチング素子通電制御量1次信号に従って、スイッチング素子520をオンオフ制御する。
【0077】
このように動作している回路の動作波形を図11に示す。スイッチング素子コレクタ印加電圧が所定の安全動作範囲を超えると、前記動作により、スイッチング素子通電制御量を決定するコンデンサ690の電圧が低下し、励磁コイル220の通電量が低下した結果、スイッチング素子コレクタ印加電圧は所定の安全動作電圧範囲限界を水平に維持する。
【0078】
また、遅延器800の0V遅延時間を商用交流電圧の半波分の時間に設定し、制限抵抗値710の値を前記に比してやや小さめに設定すると、図12のようにコンデンサ690の電圧低下は強制的に促進され、励磁コイル220の通電量をさらに低下させる事ができる。これは、スイッチング素子コレクタ印加電圧を安全動作範囲内に維持しながら、励磁コイルに供給される電力を更に低下する方向に調整したい場合有効な選択肢となる。
【0079】
さらに遅延器800の0V遅延時間を商用交流電圧の半波分の時間に設定し、制限抵抗値710の値を0Ωに設定すると、図13のようにコンデンサ690の電圧低下は極限まで促進され、励磁コイル220の通電量を極限まで低下させる事ができる。これは、スイッチング素子コレクタ印加電圧を安全動作範囲内に維持しながら、励磁コイルに供給される電力を極限まで低下させたい場合有効な選択肢となる。
【0080】
【発明の効果】
以上の動作により、回路動作時の外来雑音及び内部発生雑音による瞬間的な制御不具合、又前記定着装置の固有インダクタンス値及び固有抵抗値のばらつき等がスイッチング素子コレクタ印加電圧の変動を引き起こし、スイッチング素子コレクタ最大定格電圧を超えようとしても、自動的に最大定格電圧以下に設定された所定の安全動作電圧範囲内に制限される為、安全動作電圧範囲の管理が高精度に容易となり、不用意に最大定格電圧から大きな余裕度をとる必要が無くなった。これにより、スイッチング素子の安全動作電圧範囲の設定をできる限りスイッチング素子固有の最大定格電圧安全に近づけて、従来確保していた電圧の余裕を大幅に削減する事ができた為、最大定格電圧が低いスイッチング素子の選定を可能とし、スイッチング素子の価格を安くし、企業収益に貢献することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である定着装置を備えた画像形成装置の構成を示す説明図
【図2】図1の画像形成装置に用いられる本発明の一実施の形態である定着装置の構成を示す説明図
【図3】図2の定着装置を構成する加熱ローラの構成を破断して示す説明図
【図4】図2の定着装置を構成する励磁コイル、ショートリングの構成を示す図
【図5】本発明の一実施の形態である誘導加熱手段の磁束の様子を示す説明図
【図6】本発明の一実施の形態である誘導加熱手段のショートリングでの磁束を打ち消す様子を示す説明図
【図7】本発明の一実施の形態である誘導加熱手段のショートリングでの磁束を打ち消す様子を示す説明図
【図8】本発明の一実施の形態である誘導加熱手段の遮蔽板での磁束変化を示す説明図
【図9】本発明の別の一実施の形態である定着装置の構成を示す説明図
【図10】本発明の一実施の形態である電源装置の回路説明図
【図11】本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図
【図12】本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図
【図13】本発明の一実施の形態である電源装置の動作説明図
【図14】従来の電源装置の動作説明図
【図15】従来の電源装置の動作説明図
【符号の説明】
240 温度検出手段
780 加熱装置温度制御回路
810 電源装置
Claims (4)
- 発熱部材と、前記発熱部材近傍に配置され、電磁誘導によって前記発熱部材を発熱させる励磁コイルを備えた電磁誘導加熱手段の電源装置において、前記励磁コイルに電力を供給するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に印加される電圧が安全動作電圧範囲を超えた事を検知するスイッチング素子電圧検知手段と、前記スイッチング素子電圧検知手段の検知信号に応じて前記コイルに供給する電力を制御する電力制御手段とを有すること特徴とする電源装置。
- 前記スイッチング素子電圧検知手段により、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲を超えた事を検知した場合、前記電力制御手段にて前記励磁コイルへの電力供給を制限し、前記スイッチング素子に印加される電圧が、安全動作電圧範囲限界を維持する様に制御する事を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
- 前記スイッチング素子電圧検知手段により、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲を超えた事を検知した場合、前記電力制御手段にて前記励磁コイルへの電力供給を制限し、前記スイッチング素子に印加される電圧が、安全動作電圧範囲限界内で任意のレベルで減衰する事を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
- 前記スイッチング素子電圧検知手段により、前記スイッチング素子の安全動作電圧範囲を超えた事を検知した場合、前記電力制御手段にて前記励磁コイルへの電力供給を停止する事を特徴とする請求項1に記載の電源装置。
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-
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