JP2004265954A - プラズマプロセス装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラズマプロセス装置は、処理室と、共振によってマイクロ波の第1の定在波が形成される内部空間20を有する導入導波管4と、共振によってマイクロ波の第2の定在波が内部に形成される誘電体5pおよび5qと、マイクロ波を内部空間20から誘電体5pおよび5qへと通すためのスロット6aを有するスロットアンテナ6とを備える。スロット6aは、第1の定在波の腹が形成される位置をスロットアンテナ6に対して垂直に投影した地点と、第2の定在波の腹が形成される位置をスロットアンテナ6に対して垂直に投影した地点とが一致する地点にほぼ位置するように設けられている。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般的には、プラズマプロセス装置に関し、より特定的には、たとえば半導体、液晶表示素子および太陽電池などの製造プロセスなどに使用されるドライエッチング装置、成膜装置およびアッシング装置などのプラズマプロセス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体またはLCD(Liquid Crystal Display)などのFPD(Flat Panel Display)などの製造に用いられる基板の大面積化により、大面積の基板を処理するプラズマプロセス装置が開発されている。特に、FPDの製造装置においては、サイズが1m角以上の基板を対象にした装置の開発が始まっている。そして、プラズマプロセス装置によって、このような大型の基板に対して微細加工および成膜などを行なう場合、プラズマの均一性、ならびに加工および成膜などのプロセスの均一性が課題となっている。
【0003】
プラズマおよびプロセスの均一化、ならびに制御性については、従来、主として使われてきた容量結合型のプラズマプロセス装置に比べて、誘導結合型またはマイクロ波領域の周波数(周波数=100MHzから10GHz)の電源を用いたプラズマプロセス装置の方が優れた結果を示す。これは、これらのプラズマプロセス装置がプラズマ源の電力と基板バイアスの電力とを独立に制御できる構成になっているからである。これにより、プロセスの制御が行ないやすくなるため、これらのプラズマプロセス装置が広く用いられる状況になりつつある。
【0004】
このうち、マイクロ波領域の周波数の電源を用いたプラズマプロセス装置では、導波管または同軸ケーブルを用いて導かれたマイクロ波のエネルギーを、スロットアンテナと真空封止とを兼ねる誘電体を通して処理室の内部に導入する構成が多く用いられている。
【0005】
大型の基板を処理するプラズマプロセス装置において、スロットアンテナには通常複数個のスロットが設けられる。この複数のスロットが設けられる中心位置と互いの間隔とは、電源からのマイクロ波のエネルギーを効率的に処理室に導入できるか否かに大きく関係する。
【0006】
このスロットを設ける位置に関して開示した先行文献として、特開平11−121196号公報(特許文献1)および特開平10−241892号公報(特許文献2)がある。図8は、特許文献1に開示されているマイクロ波プラズマ処理装置を示す断面図である。
【0007】
図8を参照して、内部に処理室102を規定する反応器101の上部には、誘電体からなる封止板104が設けられている。封止板104の上面は、カバー部材110によって覆われている。カバー部材110の上面には、マイクロ波を処理室102に導入するための導波管型アンテナ部112が設けられている。導波管型アンテナ部112は、マイクロ波を発振させるマイクロ波発振器120に導波管121を介して接続されている。直線状に形成された導波管型アンテナ部112の一端側は、導波管121に接続されている。円弧状に形成された導波管型アンテナ部112の他端側は、反応器101の上方において閉塞した端部を形成している。カバー部材110には、導波管型アンテナ部112に対向する位置に開口された複数のスリット115が設けられている。
【0008】
マイクロ波発振器120から発振されたマイクロ波は、導波管型アンテナ部112の内部で導波管型アンテナ部112の端部からの反射波と重ね合わされる。これにより、導波管型アンテナ部112の内部には定在波が発生する。スリット115は、導波管型アンテナ部112の端部からn・λg/2(nは自然数、λgはマイクロ波の波長)の位置に設けられている。
【0009】
図9は、特許文献2に開示されているプラズマ処理装置を示す断面図である。図9を参照して、プラズマ処理装置220は、チャンバ221によって規定された処理室222と、処理室222の上方に位置するプラズマ生成室226とを備える。チャンバ221と離れた位置には、マイクロ波を発振させる発振器229が設けられている。プラズマ生成室226の上方には、導波管230が設けられている。導波管230の一端側は、発振器229に接続されており、導波管230の他端側には、マイクロ波を反射する短絡面230aが形成されている。導波管230の他端側には、図示しないスロットアンテナが形成された天板231が設けられている。天板231の下方には、誘電体より形成されたマイクロ波透過窓233が設けられている。マイクロ波透過窓233は、プラズマ生成室226を規定する外壁の取付部234に取り付けられている。
【0010】
マイクロ波透過窓233では、マイクロ波が取付部234に向かう入射波と、マイクロ波が取付部234により反射された反射波とによって合成波が形成される。マイクロ波透過窓233の幅Wは、W=λSW/2×n(λSWはマイクロ波の波長、nは整数)の関係を満たすように決定されている。また、スロットアンテナは、マイクロ波透過窓233の端部からλSW/2隔てた位置に設けられている。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−121196号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平10−241892号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示されているマイクロ波プラズマ処理装置では、マイクロ波発振器120から発振されたマイクロ波は、導波管型アンテナ部112によって処理室102へと導かれる。その後、スリット115から封止板104に達したマイクロ波が処理室102に向けて放射される。しかし、スリット115が設けられる位置については、導波管型アンテナ部112を伝播するマイクロ波の波長のみが考慮されており、封止板104に関しては何ら考慮されていない。このため、封止板104の形状および封止板104を形成する誘電体の比誘電率によっては、マイクロ波を効率良く処理室102に導入できないという問題が発生する。
【0014】
また、特許文献2に開示されているプラズマ処理装置220では、発振器229から発振されたマイクロ波は、導波管230によってプラズマ生成室226側へと導かれる。その後、スロットアンテナからマイクロ波透過窓233に達したマイクロ波がプラズマ生成室226に導入される。しかし、スロットアンテナが設けられる位置については、導波管230の形状などが全く考慮されていない。このため、導波管230の形状によっては、マイクロ波を効率良くプラズマ生成室226に導入できないという問題が発生する。また、マイクロ波透過窓233の端部からλSW/2隔てて設けられたスロットアンテナの位置も、マイクロ波を効率良く導入するための位置としては不適切である。
【0015】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、スロットアンテナの開口部を通過するマイクロ波の伝播効率を向上させることによって、マイクロ波のエネルギーを効率良く処理室に導入できるプラズマプロセス装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明に従ったプラズマプロセス装置は、プラズマを用いた処理を行なうための処理室と、共振によってマイクロ波の第1の定在波が形成される内部空間を有し、処理室に向けてマイクロ波を導くマイクロ波導入手段と、マイクロ波を処理室内に放射するために処理室とマイクロ波導入手段との間で内部空間に面して設けられ、共振によってマイクロ波の第2の定在波が内部に形成される誘電体と、誘電体が内部空間に面する側を覆うように設けられたスロットアンテナとを備える。スロットアンテナは、マイクロ波を内部空間から誘電体へと通すための開口部を有する。開口部は、第1の定在波の腹が形成される位置をスロットアンテナに対して垂直に投影した地点と、第2の定在波の腹が形成される位置をスロットアンテナに対して垂直に投影した地点とが一致する地点にほぼ位置するように設けられている。
【0017】
このように構成されたプラズマプロセス装置によれば、第1および第2の定在波の腹に相当する位置にスロットアンテナの開口部が形成されている。定在波の腹とは、マイクロ波の電界強度が極大となる部分をいい、定在波の節とは、マイクロ波の電界強度が極小となる部分をいう。定在波の腹と節とは所定の間隔(マイクロ波の波長の1/4の間隔)で交互に現れる。このため、マイクロ波が開口部を通過して内部空間から誘電体へと伝播する際に、伝播方向を一定方向に保持したままマイクロ波を進行させることができる。これにより、マイクロ波の伝播効率を向上させ、マイクロ波のエネルギーを効率良く処理室に導入することができる。
【0018】
また好ましくは、開口部は、間隔dで複数設けられている。第1の定在波が形成されている内部空間におけるマイクロ波の波長がλpで、第2の定在波が形成されている誘電体内におけるマイクロ波の波長がλqである場合、開口部の間隔dは、d=m・λp/2(mは自然数)およびd=n・λq/2(nは自然数)の関係を満たす。このように構成されたプラズマプロセス装置によれば、第1および第2の定在波の各々において、定在波の腹は、λp/2およびλq/2ごとに現れる。したがって、m・λp/2=n・λq/2の関係を満たす自然数mおよびnを求めた後、そのmおよびnから開口部を設ける間隔dを決定する。そして、間隔dごとに開口部を設けることによって、定在波の腹に相当する位置に開口部を位置決めすることができる。
【0019】
また好ましくは、開口部が設けられた同一の地点を投影する第1および第2の定在波の腹が形成される位置において、第1および第2の定在波の電界の方向がほぼ同一である。このように構成されたプラズマプロセス装置によれば、複数の開口部のうちどの開口部においても電界の向きの変化を小さくできるため、反射波を最小限に抑えることができる。これにより、マイクロ波のエネルギーをさらに効率良く処理室に導入することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1におけるプラズマプロセス装置を示す断面図である。図2は、図1中のII−II線上に沿った断面図である。図1の紙面が延在する平面をX−Z平面とし、図2の紙面が延在する平面をY−Z平面として以下プラズマプロセス装置の構造について説明を行なう。
【0022】
図1および図2を参照して、プラズマプロセス装置は、上面に開口を有し、内部に処理室13を規定するプロセスチャンバ本体2と、プロセスチャンバ本体2の上面に設けられたチャンバ蓋1と、チャンバ蓋1に設けられた誘電体5、スロットアンテナ6および導入導波管4とを備える。
【0023】
処理室13には、絶縁体12を介してプロセスチャンバ本体2に取り付けられた基板ホルダ7が設けられている。基板ホルダ7の頂面には、処理室13においてプラズマ処理が行なわれる基板9が載置されている。チャンバ蓋1とプロセスチャンバ本体2との接触部には、シールを確実にするためのガスケット10が設けられている。処理室13は、図示しない真空ポンプに接続されている。
【0024】
チャンバ蓋1には、所定の間隔を隔てた位置においてそれぞれ矩形形状に開口された開口1aが複数形成されている。開口1aは、X軸方向に4つ並んで形成されており、Y軸方向に2つ並んで形成されている。それぞれの開口1aには、シールのためのガスケット11を介して板状の誘電体5が嵌め合わされている。誘電体5は、アルミナ(Al2O3)から形成されている。
【0025】
誘電体5は、処理室13を真空封止することと、マイクロ波を伝播させることとを目的として設けられている。図示しない真空ポンプを稼働させることによって、処理室13を10−4(Pa)から10−5(Pa)程度の真空状態に保持することができる。チャンバ蓋1には、処理室13にプロセスガスを導入するためのガス導入路14が設けられている。
【0026】
なお、図示しないが、温度調節機構が温度を一定に保つために、チャンバ蓋1、プロセスチャンバ本体2および基板ホルダ7には設けられている。
【0027】
誘電体5の頂面、つまり処理室13に向い合う面とは反対側の面には、スロットアンテナ6が設けられている。スロットアンテナ6は、誘電体5の頂面全体を覆うように延在している。スロットアンテナ6には、Y軸方向に延びて開口されたスロット6aが複数形成されている。
【0028】
スロットアンテナ6上には、導入導波管4が設けられている。導入導波管4は、スロットアンテナ6に形成されたスロット6aに向い合う位置に内部空間20を規定している。内部空間20は、X軸方向に短く、Y軸方向に長く延在する形状を有する。導入導波管4上には、内部空間20に連通する導波管3が設けられている。導波管3は、図示しないマイクロ波立体回路を介して、同様に図示しないマグネトロンに接続されている。マイクロ波立体回路は、アイソレータ、自動整合器、ならびにJIS規格などに準じた直導波管、コーナー導波管、テーパー導波管および分岐導波管などによって構成されている。
【0029】
図1および図2中に示すプラズマプロセス装置をドライエッチング装置として用いる場合を想定し、以下説明を続ける。
【0030】
図示しないマグネトロンから発振されたたとえば周波数2.45(GHz)のマイクロ波は、図示しないマイクロ波立体回路を通り導波管3に達する。さらに導波管3から内部空間20に進んだマイクロ波は、スロットアンテナ6に形成されたスロット6aを通って誘電体5へと伝播する。そして、マイクロ波は、誘電体5から処理室13へと放射される。
【0031】
処理室13に放射されたマイクロ波は、ガス導入路14から導入されたCF4、Cl2、O2、N2またはArもしくはこれらの混合ガスなどからなるプロセスガスにエネルギーを与える。これにより、プロセスガスはプラズマ(電離気体)となる。そのプラズマは、基板ホルダ7上に載置された基板9(たとえば、ガラス基板上にAlなどの金属膜または絶縁体膜などからなる単層膜や積層膜が成膜され、さらにその上から配線またはコンタクトホールを形成するためのレジスト膜が設けられたもの)をエッチングする際に利用される。
【0032】
一般的に、プロセスガスをプラズマにするために必要なエネルギーは、被処理物である基板の面積が大きいほど大きくなる。したがって、1m角四方より大きい面積を有するような大面積の基板を処理する場合には、プラズマプロセス装置全体の電源出力が数(kW)から数十(kW)も必要となる。このため、できるだけ効率良くマイクロ波のエネルギーを処理室13に導入できることが重要となる。
【0033】
特に、導入するマイクロ波の周波数が高い場合、たとえばマイクロ波の周波数が2.45(GHz)の場合を考えると、自由空間でのマイクロ波の波長は122mmになる。この場合、マイクロ波の波長は基板サイズよりも短くなる。したがって、周波数がGHzオーダーのマイクロ波を使用する場合には、導波管のサイズ、スロットを設ける位置と間隔、誘電体の比誘電率および誘電体のサイズなどが、マイクロ波の伝播特性およびプロセスの均一性を適切に制御する上で非常に重要な要素となる。
【0034】
つまり、マイクロ波が処理室13に導入されるまでに通過する導入導波管4および誘電体5は共振器となって、内部空間20および誘電体5の内部においてマイクロ波の定在波が形成される。マイクロ波の波長をλとする場合、定在波には、電界強度が極小となる節がλ/2ごとに現われ、節からλ/4隔てた位置において電界強度が極大となる腹がλ/2ごとに現われる。内部空間20の端部および誘電体5の端部は電界の固定端となるため必ず定在波の節になる。
【0035】
導入導波管4および誘電体5の形状、ならびに誘電体5の比誘電率は、内部空間20に形成される定在波の腹の位置をスロットアンテナ6に対して垂直に投影した地点と、誘電体5に形成される定在波の腹の位置をスロットアンテナ6に対して垂直に投影した地点との間において、一致する地点が存在するように決定されている。この際、内部空間20および誘電体5に形成される定在波の腹の位置は、導入導波管4および誘電体5の形状、ならびに誘電体5の比誘電率をパラメータとしたコンピュータシミュレーションによって求めることができる。
【0036】
スロット6aは、内部空間20に形成される定在波の腹の位置をスロットアンテナ6に対して垂直に投影した地点と、誘電体5に形成される定在波の腹の位置をスロットアンテナ6に対して垂直に投影した地点とが一致した地点に位置するように形成されている。つまり、スロット6aは、内部空間20に形成された定在波の腹の直下に位置し、さらに、誘電体5に形成された定在波の腹の直上に位置するスロットアンテナ6上の地点に形成されている。
【0037】
このような位置にスロット6aが位置決めされている場合、マイクロ波の定在波はλ/2ごとに腹を有していることから、スロット6aが設けられる間隔dを、d=m・λp/2=n・λq/2(mおよびnは本式の関係を満たす任意の自然数、λpは内部空間20に形成されるマイクロ波の波長、λqは誘電体5に形成されるマイクロ波の波長)と表わすことができる。
【0038】
この発明の実施の形態1に従ったプラズマプロセス装置は、プラズマを用いた処理を行なうための処理室13と、共振によってマイクロ波の第1の定在波が形成される内部空間20を有し、処理室13に向けてマイクロ波を導くマイクロ波導入手段としての導入導波管4と、マイクロ波を処理室13内に放射するために処理室13と導入導波管4との間で内部空間20に面して設けられ、共振によってマイクロ波の第2の定在波が内部に形成される誘電体5と、マイクロ波を内部空間20から誘電体5へと通すための開口部としてのスロット6aを有し、誘電体5が内部空間20に面する側を覆うように設けられたスロットアンテナ6とを備える。スロット6aは、第1の定在波の腹が形成される位置をスロットアンテナ6に対して垂直に投影した地点と、第2の定在波の腹が形成される位置をスロットアンテナ6に対して垂直に投影した地点とが一致する地点にほぼ位置するように設けられている。
【0039】
スロット6aは、間隔dで複数設けられている。第1の定在波が形成されている内部空間20におけるマイクロ波の波長がλpで、第2の定在波が形成されている誘電体5におけるマイクロ波の波長がλqである場合、間隔dは、d=n・λp/2(nは自然数)およびd=m・λq/2(mは自然数)の関係を満たす。
【0040】
このように構成されたプラズマプロセス装置によれば、マイクロ波のエネルギーを効率良く処理室に導入することができる。つまり、内部空間20において定在波の腹が形成される位置の直下は磁界が大きくなる地点であるため、その地点にスロット6aを設けることにより、スロット6aの周りに大きい電流を誘導することができる。そして、この電流によりスロット6aから大きい磁界が誘起される。また、マイクロ波などの波は、基本的にまっすぐに伝播させた方が伝播効率は高くなる。逆に波が曲がって伝播する場合には、曲がった地点において反射波が生じるため伝播効率が低くなる。本実施の形態では、スロット6aが形成されている地点は、誘電体5において定在波の腹が形成される位置の直上でもあるため、マイクロ波がスロット6aを通って内部空間20から誘電体5に進行する際にマイクロ波をまっすぐに伝播させることができる。これにより、伝播時におけるマイクロ波のエネルギー損失を抑制することができる。以上の理由から、マイクロ波の伝播効率を向上させ、マイクロ波のエネルギーを効率良く処理室13に導入することができる。
【0041】
以下において、本実施の形態におけるプラズマプロセス装置を実際に設計するために、コンピュータシミュレーションを行なった。
【0042】
まず、図示しないマグネトロンから発振されるマイクロ波を、JIS導波管によりTE(1、0)モードの単一モードとし、直導波管、コーナー導波管、テーパー導波管および分岐導波管などを通じて、マイクロ波をTE(1、0)モードの単一モードで伝播できる構成とした。そして、このTE(1、0)モードの単一モードを効率良く他のモードに変換し、マイクロ波を処理室13に導入できる構成とした。
【0043】
なお、TE(s、t)モードとある場合のsおよびtは、波のモードを示している。TE波(Transverse Electric Wave)とは、電界の方向が電磁波の進行方向(たとえばZ軸方向)に対して垂直な平面(たとえばX−Y平面)上にのみ存在する波をいう。sはその電界の方向を表わす一方向(たとえばX軸方向)成分のモードを示し、tはsで示す方向に垂直方向(たとえばY軸方向)成分のモードを示す。TE(1、0)モードは方形(矩形)導波管によって伝播できる基本波を表わしており、sおよびtの値が大きくなるほど高次の波(高調波)のモードとなる。
【0044】
まず初めに、内部空間20の大きさが、16mm(X軸方向)、530mm(Y軸方向)、100mm(Z軸方向)となるように導入導波管4を設計した。これにより、導入導波管4は、TE(1、0)モードのマイクロ波をTE(7、0)モードのマイクロ波に変換するモード変換器の役割を果たす。
【0045】
図3は、実施の形態1におけるシミュレーションにおいて、内部空間および誘電体に形成される定在波の電界強度を示す断面図である。図3は、図2に示す内部空間20付近の断面を拡大したものであり、一部において詳細な形状が省略されている。
【0046】
図3を参照して、電磁界シミュレーションを行なうことによって、内部空間20に形成されるマイクロ波の定在波の電界強度分布を求めた。図中の略円形は、定在波の電界強度を表わす等高線であり、略円形の中心側ほど電界強度が強いことを示している。略円形の中心に描かれた記号は電界の方向を示しており、中心が塗りつぶされた丸印は紙面から手前に向かう方向を示し、罰点が描かれた丸印は紙面から奥に向かう方向を示す。
【0047】
内部空間20には、y軸方向の波長λpが約154mmのマイクロ波の定在波が形成された。これにより、内部空間20のY軸方向における中心をY座標の0とするとき、Y座標が、−226mm、−149mm、−72mm、0、72mm、149mm、226mmの位置において定在波の腹A7からG7が形成された。なお、定在波の腹C7からD7までの距離と、定在波の腹D7からE7までの距離とが、他の隣接する定在波の腹間の距離よりも小さくなっているのは、内部空間20がY座標0の上方において導波管3に連通しており、屈曲部で反射波が生じ、波に歪みが生じるためである。
【0048】
表1は、内部空間20に形成される定在波の腹の位置に対するスロット6aの配置例を示す。
【0049】
【表1】
表1を参照して、隣接するスロット6aの間隔dをd=m・λp/2として、m=1、2、3と変化させた場合のスロット6aの配置例を示した。たとえば、m=1の場合、内部空間20において定在波の腹A7〜G7が形成される位置からスロットアンテナ6に垂直に投影した地点にスロット6aを形成することができる。
【0050】
図3を参照して、本シミュレーションでは、誘電体5の面積が大きいと強度面に問題があるため、2枚の誘電体5pおよび5qをY座標の0を中心にして対称に配置することとした。誘電体5pおよび5qを形成する材料として、比誘電率が9程度のアルミナ(Al2O3)を用いた。また、スロット6aを設ける間隔dをd=λp/2とし、D7を除く定在波の腹A7、B7、C7、E7、F7およびG7の直下に位置するスロットアンテナ6上の地点にスロット6aを設けることとした。
【0051】
定在波の腹D7の直下に位置するスロットアンテナ6上の地点にスロット6aを設けなかった理由のひとつは、定在波の腹D7の上方に内部空間20にマイクロ波を導入するための導波管3が設けられているからである。このような位置にスロット6aを設けた場合、内部空間20において進行方向が90°変化して伝播するマイクロ波の伝播特性に大きな影響を与えるおそれがある。また、別の理由としては、定在波の腹D7の直下に位置するスロットアンテナ6を、誘電体5pおよび5qが離間する部分を支持するために利用したいからである。
【0052】
本シミュレーションにおけるプラズマプロセス装置の構造は、Y座標の0を中心として左右対称であるため、以降の説明は、Y座標が0以上の領域を中心に行なうこととする。
【0053】
空気によって占められている内部空間20の比誘電率は1程度である。したがって、内部空間20に形成されるマイクロ波の波長λpよりも、誘電体5pの内部に形成されるマイクロ波の波長λqの方が短くなる。既に、内部空間20におけるマイクロ波の波長λpが決定していることから、誘電体5pにおけるマイクロ波の波長λqを、λpの整数/整数倍にすることによって、定在波の腹が形成される位置を一致させやすくなる。ここでは、まず誘電体5pにおけるマイクロ波の波長λqが、λpの1/2倍、つまり77mmとなるような構成について検討を行なった。
【0054】
表2は、内部空間20における定在波の腹D7からG7に対して、誘電体5pにおいて定在波の腹を設ける位置の検討例を示す。
【0055】
【表2】
表2を参照して、内部空間20に形成された定在波の腹D7からG7が位置するY座標、その位置におけるスロット6aの有無、および誘電体5pにおいて定在波の腹を設ける位置の検討例を示した。
【0056】
検討例その1は、誘電体5pにTE(5、t)(tは整数)モードのマイクロ波が発生した場合、検討例その2−1およびその2−2は、誘電体5pにTE(6、t)(tは整数)モードのマイクロ波が発生した場合、検討例その3は、誘電体5pにTE(7、t)(tは整数)モードのマイクロ波が発生した場合である。たとえば、比較例その3では、誘電体5pにおいて定在波の腹a7からg7が形成される。
【0057】
処理室13に設置された基板9を均一に処理するためには、誘電体5pの面積が広い方が好ましい。そこで、検討例その3を採用して、誘電体5pの形状および比誘電率を決定するためのシミュレーションを試みた。
【0058】
具体的には、図2および図3を参照して、Y座標が0の位置に梁部1bを設けることによって、誘電体5pおよび5qが離間する部分の支持を行なうこととした。スロットアンテナ6に向い合う側の梁部1bの幅Cは、強度的に10mm以上の長さが必要であると判断した。内部空間20において定在波の腹E7が形成されたY座標72mmの位置に誘電体5における定在波の腹b7を形成し、そのY座標72mmの位置にスロット6aを設けることを想定すると、そのスロット6aから誘電体5qに向い合う誘電体5pの端部までの距離を67mm以下にする必要がある。定在波の腹b7からd7までの距離は77mmであるから、誘電体5pのY軸方向の最大長さは288mmとなる。
【0059】
また、誘電体5pの面積を広くするためには誘電体5pの幅(X軸方向の長さ)も大きいことが望まれるが、X軸方向に隣接する誘電体との設置間隔などの制約を考慮する必要がある。さらに、処理室13が真空または低圧の状態で高温になることから、誘電体5pの破損を防止のため、誘電体5pにある程度の厚みを持たせることも必要である。加えて、誘電体5pをチャンバ蓋1に形成された開口1aに支持するため、誘電体5pの下部を一部切り欠く形状を採用している。このため、その形状の影響による局所的なマイクロ波の波長変化も考慮する必要がある。
【0060】
以上の内容を鑑みて、誘電体5pにおいて形成される定在波のモードがTE(7、0)、TE(7、1)、TE(7、2)などとなる誘電体5pの形状について電磁界シミュレーションを行なった。この際、導入導波管4、スロットアンテナ6、スロット6aおよび誘電体5pの形状、ならびに誘電体5pの比誘電率を入力することによって、マイクロ波の電界の強度および方向に関する分布が得られた。
【0061】
いくつかの電磁界シミュレーション検討により、好適な誘電体5pの形状をひとつ抽出した。すなわち、誘電体5pの大きさは、283mm(Y軸方向)、80mm(X軸方向)、15mm(Z軸方向)となった。
【0062】
また、スロット6aの位置のみを変更して別に電磁界シミュレーションを行なった。その結果、誘電体5pに形成される定在波のモードはスロット6aの位置にほとんど依存せず、概ねTE(7、1)モードとなることが分かった。また、誘電体5pに形成されるマイクロ波の波長は約77mmとなった。すなわち、内部空間20で形成される定在波の腹は、約77mmの間隔で現われ、誘電体5pで形成される定在波の腹は、約39mmの間隔で現われることが分かった。
【0063】
したがって、内部空間20および誘電体5pの双方において定在波の腹が形成される位置により多くのスロット6aを設けることを考えた場合、Y座標が72mm、149mm、226mmの位置にスロット6aを設ければ良い。そこで、スロットアンテナ6全体では、Y座標が−226mm、−149mm、−72mm、72mm、149mm、226mmの位置にスロット6aを設けることとした。
【0064】
スロット6aのY軸方向の長さに関しては、処理室13に向けたマイクロ波の放射量に影響を与える。そこで、シミュレーションを行なうことによって、スロット6aの各々から処理室13に向けて放射されるマイクロ波の放射量が概ね均一になるように、スロット6aのY軸方向の長さを決定した。
【0065】
以上のシミュレーションによって得られた形状を有するプラズマプロセス装置において、実際に電界測定を行なってみた。その結果、マイクロ波のエネルギーを効率良く処理室13に導入できることを確認できた。
【0066】
また、誘電体5におけるマイクロ波の波長は約78mmとなり、シミュレーションで示された誘電体におけるマイクロ波の波長とわずかに異なる値となった。しかし、たとえば内部空間20に形成される定在波の腹F7の位置と、誘電体5pに形成される定在波の腹d7の位置とを一致させた場合、その両側に位置する定在波の腹の位置の誤差は1mm程度である。この値はマイクロ波の波長に比べれば十分に短いと言える。加えて、スロット6aはある程度の大きさ(Y軸方向の長さ)で形成されていることを考慮すると、この程度の誤差であればマイクロ波の伝播効率にさほど大きな影響を及ぼすことはなかったと考えられる。
【0067】
以上説明したような設計指針で決定した位置に所定の大きさを有するスロット6aを設けることによって、マイクロ波のエネルギーを効率的に処理室13に導入することができた。これにより、プラズマを生成できる条件(圧力範囲など)を広げることができ、さらにより少ない電力でプラズマを生成できるプラズマプロセス装置を構成することができた。
【0068】
なお、導入導波管4および誘電体5のサイズならびにスロット6aの数などは、プラズマプロセス装置のサイズに応じて設計されるものであり、上述の値に限定されるものではない。また、導入導波管4のE面(方形導波管において電界に平行な面)にスロットを設けたが、H面(方形導波管において磁界に平行な面)にスロットを設けても同様の効果が得られる。内部空間20におけるマイクロ波の波長に変化がないためである。
【0069】
また、誘電体5を形成する材料として、AlNまたはSiO2などの誘電体を用いても良い。誘電体5を形成する材料を選択することにより誘電体5の比誘電率を変えることができる。また、誘電体5を同じアルミナを主成分として形成する場合であっても、アルミナの成分比や副成分の組成を変化させることによって誘電体5の比誘電率を調整することができる。これにより、誘電体5の形状および大きさは同一であっても、所定の比誘電率を有する誘電体を誘電体5の材料として選択することによって、誘電体5におけるマイクロ波の波長を所望の値にすることができる。このため、プラズマプロセス装置を設計する際の自由度を向上させることができる。また、内部空間20に誘電体を装填することによって、内部空間20の比誘電率を適宜調整することができる。この場合、プラズマプロセス装置を設計する際の自由度をさらに向上させることができる。
【0070】
また、1箇所の内部空間20に対して誘電体5を2箇所設ける場合について説明したが、上述の設計指針に従ってスロット6aを設ける限り、誘電体5の数にかかわらず、マイクロ波の伝播効率に優れたプラズマプロセス装置を構成することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、プラズマプロセス装置をドライエッチング装置として使用する場合について説明したが、本発明はスロットアンテナを用いてマイクロ波を効率的に処理室に向けて放射する技術であるため、成膜装置およびアッシング装置などプラズマ処理を行なう全てのプラズマプロセス装置に適用することができる。
【0072】
続いて、本実施の形態に従ったプラズマプロセス装置による効果を確認するため、比較のためのシミュレーションを行なった。図4から図6は、比較のためのシミュレーションにおいて、内部空間および誘電体に形成される定在波とスロットとの位置関係を示す模式図である。比較のためのシミュレーションでは、内部空間20および誘電体5に形成させる定在波とスロット6aとの位置関係を変えて、それぞれの位置関係におけるマイクロ波の伝播効率を比較した。
【0073】
図4を参照して、内部空間20および誘電体5において形成される定在波の節の位置を一致させ、その位置にスロット6aを設けた。この場合、マイクロ波の伝播効率は極めて低い値となった。スロット6aに侵入する際、マイクロ波のエネルギーの大部分がスロットアンテナ6によって反射されたためと考えられる。
【0074】
図5を参照して、内部空間20において形成される定在波の腹の位置にスロット6aを設けた。但し、誘電体5において形成される定在波の節の位置にスロット6aを設けた。この場合、マイクロ波の伝播効率は、本実施の形態に従ったシミュレーション結果よりはるかに低い値となったが、図4に示すシミュレーション結果よりは高い値となった。マイクロ波のエネルギーは、内部空間20からスロット6aには効率良く伝播するが、スロット6aから誘電体5に侵入する際にマイクロ波のエネルギーの大部分が反射されたためと考えられる。
【0075】
図6を参照して、内部空間20において形成される定在波の腹の位置にスロット6aを設けた。但し、誘電体5において形成される定在波の腹および節の位置とはずれてスロット6aを設けた。この場合、マイクロ波の伝播効率は、本実施の形態に従ったシミュレーション結果よりはるかに低い値となったが、図4および図5に示すシミュレーション結果よりは高い値となった。図5に示す場合と同様に、スロット6aから誘電体5に侵入する際にマイクロ波のエネルギーが反射されるが、その反射量が図5に示す場合よりも小さかったためと考えられる。
【0076】
(実施の形態2)
実施の形態2におけるプラズマプロセス装置は、基本的には実施の形態1におけるプラズマプロセス装置と同様の構造を備える。但し、実施の形態2におけるプラズマプロセス装置では、内部空間20および誘電体5の内部に形成され、同一のスロット6aを挟んで位置する定在波の腹において、電界の方向が同一となるようにスロット6aが設けられている。
【0077】
この発明の実施の形態2に従ったプラズマプロセス装置は、スロット6aが設けられた同一の地点を投影する第1および第2の定在波の腹が形成される位置において、第1および第2の定在波の電界の方向がほぼ同一である。
【0078】
このように構成されたプラズマプロセス装置によれば、複数の開口部のうちどの開口部においても電界の向きの変化を小さくできるため、反射波を最小限に抑えることができる。これにより、マイクロ波のエネルギーをさらに効率良く処理室13に導入することができる。
【0079】
以下において、本実施の形態におけるプラズマプロセス装置を実際に設計するために、コンピュータシミュレーションを行なった。図7は、実施の形態2におけるシミュレーションにおいて、内部空間および誘電体に形成される定在波の電界強度を示す断面図である。図7は、実施の形態1における図3に相当する断面図である。なお、図7中に記載された略円形および略円形の中心に描かれた記号については、実施の形態1に記載の図3の説明と同様に理解するものとする。
【0080】
図7を参照して、導入導波管4によって形成される内部空間20の大きさを16mm(X軸方向)、530mm(Y軸方向)、71.5mm(Z軸方向)とした。この場合、内部空間20に形成されるマイクロ波の波長λpは約234mmとなり、内部空間20には、約117mmの間隔で定在波の腹A5からE5が形成された。定在波の腹A5からE5における電界主成分の方向はX軸方向となり、隣り合う定在波の腹において電界の方向は逆向きとなった。
【0081】
一方、誘電体5には、実施の形態1におけるシミュレーションによって得られた形状を有する誘電体5pおよび5qを用いることとした。誘電体5pに形成されるマイクロ波の波長λqは約77mmとなり、誘電体5pには、約39mmの間隔で定在波の腹a7からg7が形成された。内部空間20において形成される定在波の腹D5およびE5の位置と、誘電体5pにおいて形成される定在波の腹b7およびe7の位置とはそれぞれ一致した。この誘電体5pにおいても、定在波の腹a7からg7における電界主成分の方向はX軸方向となり、隣り合う定在波の腹において電界の方向は逆向きとなった。
【0082】
そこで、同一のスロット6aを挟んだ定在波の腹における電界の向きを同じ方向にすることを考慮し、内部空間20に形成される定在波の腹A5、B5、D5およびE5の直下にスロット6aを形成した。
【0083】
以上のシミュレーションによって得られた形状を有するプラズマプロセス装置において、実際に電界測定を行なってみた。その結果、マイクロ波のエネルギーをさらに効率良く処理室13に導入できることを確認できた。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に従えば、スロットアンテナの開口部を通過するマイクロ波の伝播効率を向上させることによって、マイクロ波のエネルギーを効率良く処理室に導入できるプラズマプロセス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1におけるプラズマプロセス装置を示す断面図である。
【図2】図1中のII−II線上に沿った断面図である。
【図3】実施の形態1におけるシミュレーションにおいて、内部空間および誘電体に形成される定在波の電界強度を示す断面図である。
【図4】比較のためのシミュレーションにおいて、内部空間および誘電体に形成される定在波とスロットとの位置関係を示す模式図である。
【図5】比較のためのシミュレーションにおいて、内部空間および誘電体に形成される定在波とスロットとの位置関係を示す別の模式図である。
【図6】比較のためのシミュレーションにおいて、内部空間および誘電体に形成される定在波とスロットとの位置関係を示すさらに別の模式図である。
【図7】実施の形態2におけるシミュレーションにおいて、内部空間および誘電体に形成される定在波の電界強度を示す断面図である。
【図8】特許文献1に開示されているマイクロ波プラズマ処理装置を示す断面図である。
【図9】特許文献2に開示されているプラズマ処理装置を示す断面図である。
【符号の説明】
4 導入導波管、5 誘電体、6 スロットアンテナ、6a スロット、13処理室、20 内部空間。
Claims (3)
- プラズマを用いた処理を行なうための処理室と、
共振によってマイクロ波の第1の定在波が形成される内部空間を有し、前記処理室に向けてマイクロ波を導くマイクロ波導入手段と、
マイクロ波を前記処理室内に放射するために前記処理室と前記マイクロ波導入手段との間で前記内部空間に面して設けられ、共振によってマイクロ波の第2の定在波が内部に形成される誘電体と、
マイクロ波を前記内部空間から前記誘電体へと通すための開口部を有し、前記誘電体が前記内部空間に面する側を覆うように設けられたスロットアンテナとを備え、
前記開口部は、第1の定在波の腹が形成される位置を前記スロットアンテナに対して垂直に投影した地点と、第2の定在波の腹が形成される位置を前記スロットアンテナに対して垂直に投影した地点とが一致する地点にほぼ位置するように設けられている、プラズマプロセス装置。 - 前記開口部は、間隔dで複数設けられており、第1の定在波が形成されている前記内部空間におけるマイクロ波の波長がλpで、第2の定在波が形成されている前記誘電体内におけるマイクロ波の波長がλqである場合、間隔dは、d=m・λp/2(mは自然数)およびd=n・λq/2(nは自然数)の関係を満たす、請求項1に記載のプラズマプロセス装置。
- 前記開口部が設けられた同一の地点を投影する第1および第2の定在波の腹が形成される位置において、第1および第2の定在波の電界の方向がほぼ同一である、請求項1または2に記載のプラズマプロセス装置。
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