JP2004265885A - 構造傾斜材料とこれを用いた機能素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】成分濃度、酸化物の含有量、結晶構造等の「組成傾斜」を付加することなく、基体上の機能性材料に従来にない有用な機能を付加し、或いは従来にない高性能化ができる、構造傾斜材料とこれを用いた機能素子を提供する。
【解決手段】基体1とその上に成膜された機能性材料2とからなり、基体上の機能性材料の特定方向と領域に所望の温度勾配を付けたまま熱処理されている。
【選択図】 図1
【解決手段】基体1とその上に成膜された機能性材料2とからなり、基体上の機能性材料の特定方向と領域に所望の温度勾配を付けたまま熱処理されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基体上に機能性材料を有する構造傾斜材料とこれを用いた機能素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から同一材料内において組成が徐々に変化する材料(「組成傾斜材料」と呼ぶ)が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平09−087526号公報
【特許文献2】
特開2000−211927号公報
【特許文献3】
特開平06−145839号公報
【特許文献4】
特開2000−17357号公報
【特許文献5】
特開平11−340141号公報
【0004】
[特許文献1]の「成分濃度傾斜構造を有する有機高分子と金属酸化物との複合体の製造方法」は、金属アルコキシドを有機高分子固体内部に、濃度傾斜を持つように含浸させた後、該金属アルコキシドを重縮合反応させ、金属酸化物として固定化する、ものである。
また、[特許文献2]の「ゾル・ゲルの沈降を用いた複合材料を製造する方法及びその方法で得られた物質」は、2成分以上の金属アルコキシドからなるゾルあるいはゲルを含むゾルを遠心力処理による構造粒子間の沈降速度の違いを利用して成分の濃度が分子スケールで連続的に変化する分子傾斜構造を有するゲルの複合前駆体を作製し、それを熱処理することによって製造する、ものである。
従って、[特許文献1]と[特許文献2]は、同一材料内において成分濃度が変化する材料「組成傾斜材料」である。
【0005】
また、[特許文献3]の「酸化物分散型合金、その製造方法、及びその製造装置」は、金属と当該金属の焼結温度よりも融点の低い酸化物を含有した被焼結物の一部が、前記酸化物の融点以上となるような温度勾配下で焼結して、前記被焼結物の一部から他の部分へ前記酸化物の含有量が連続的に増加するような傾斜組成を持つように分散させる、ものである。
さらに、[特許文献4]の「傾斜機能合金及びその製造方法」は、3〜10重量%のAlと、5〜20重量%のMnと、残部Cu及び不可避不純物とからなる組成を有し、実質的にβ単層からなる第一部分と、実質的にα相及びホイスラー相からなる第二部分との間に結晶構造が連続的又は段階的に変化する第三部分を有する、ものである。
[特許文献3]と[特許文献4]は、同一材料内において酸化物の含有量又は結晶構造が変化する材料「組成傾斜材料」であり、特に製造時に温度勾配をかけている特徴がある。
また、[特許文献5]の「半導体基板の製造方法」は、基板表面上の絶縁体層を部分的に除去して基板表面が露出した面を形成したのち、基板の厚み方向の温度勾配を小さく、基板の径方向の温度勾配を大きくした条件でエピタキシャル成長法を行うことによって、前記絶縁体層上に単結晶シリコン層を形成させる、ものである。
【0006】
上述したように、従来、何らかの機能を有する材料(「機能性材料」と呼ぶ)を製造する工程には、必ず何らかの熱処理工程が係っている。以下、熱処理を併せて単に「熱処理工程」と呼ぶ。
この熱処理工程は、一般的には材料全般にわたり均一な温度で行われ、材料物性の均一化、時には性能向上を図ってもいる(特許文献1、特許文献2参照)。また、製造時に温度勾配をかけている場合でも、温度勾配を有する各部分の温度は一定である(特許文献3、4、5参照)。
【0007】
また、基体上の機能性材料を利用する機能素子の性能を向上する手段としては、基体上の薄膜の場合、(1)単結晶基板の基体上にエピタキシャル成長させる完全結晶化手段、(2)不純物を高精度に制御する手段、(3)膜の均一化などによる材料単体の性能向上を目差す手段や、(4)複数の組成比の異なる薄膜を多重に構成する超格子構造、組成などの傾斜構造などを形成する手段などが用いられている。
これらの手段は、成膜速度、温度、組成、真空度、不純物、原料などの成膜に係わる重要なパラメータを高度に制御する必要があり、必然的に装置は非常に高価なものとなっている。
また、バルクに近い厚さを有する材料の場合、(5)原料の純度、組成比を高精度に制御する手段、(6)軸を配向させる手段、(7)複合化構造形成手段などが性能向上のために用いられている。これらの場合においても、高精度に制御可能な装置が必要であり、プロセスが高価なものとなり、機能性材料を利用する機能素子の価格が高くなっている。
【0008】
いずれの場合においても、従来、加工工程の途中に、物性の均一性を重視して熱処理工程がはいっている。すなわち、材料の面内または厚さ方向を均一な温度、或いは温度勾配を有する各部分の温度を一定に保持して熱処理している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来、各機能素子に利用する基体上の機能性材料は、同じ条件下で均一に熱処理されている。このため、面内、厚さ方向の物性はほぼ同じと考えられる。また、温度勾配はあるが、各部分の温度を一定に保持している場合でも、成分濃度、酸化物の含有量、結晶構造等が変化する組成傾斜材料でない限り、面内、厚さ方向の物性は近似していると考えられる。
【0010】
さらに、薄膜の場合、高精度制御の膜形成装置が必要であり、成膜関係コストが著しく高くなる。バルクに近い厚さを有する材料の場合も、薄膜と同じように、高精度制御の材料形成装置が必要となる。いずれの場合でも、製造装置は複雑で、高機能・高性能なものが必要となり、機能素子の費用対性能を考慮すると、高価な装置を導入して素子を作製する利点が得られないことになる。このため、機能素子の性能を十分高めることが難しいといった課題がある。
【0011】
本発明は、上述した従来の状況に鑑みて成されたものある。すなわち、本発明の目的は、成分濃度、酸化物の含有量、結晶構造等の「組成傾斜」を付加することなく、基体上の機能性材料に従来にない有用な機能を付加し、或いは従来にない高性能化ができる、構造傾斜材料とこれを用いた機能素子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、成分濃度、酸化物の含有量、結晶構造等の「組成傾斜」はないが、同一組成あって材料構造が傾斜している材料(以下「構造傾斜材料」という)を提案している。
本発明における「構造傾斜材料」について図1の例を用いて説明する。ここでは、基体上の薄膜について説明しているが、薄膜だけに限定するものではなく、バルクに近い厚さを有する材料の場合などにも当てはめることができる。
【0013】
各種薄膜形成技術により基体1の上に形成された薄膜2が、薄膜2面内の一方向のA点領域3とB点領域4の2点間の一方向に、温度勾配を付けたままで熱処理されている。ここで「熱処理」とは、通常の熱処理の他に、加熱処理を含む。
【0014】
この温度勾配は、熱処理温度、材料の種類、組成、成膜条件、寸法、基体などにより異なることもある。例えば、図1(c)に示すように、最高熱処理温度を700℃とする場合、A点領域3を最高700℃の高温側、B点領域4を最高600℃の低温側にして熱処理することになる。なお、本発明では、A点領域3とB点領域4の温度勾配を付けたまま処理される。従って、A点領域3は温度勾配を保持したまま、低温から最高700℃まで加熱され、同時にB点領域4も温度勾配を保持したまま、低温から最高600℃まで加熱される。
【0015】
従って、A点領域3とB点領域4の間隔を一定(例えば10mm)に保持し、熱処理温度の上昇と共にA点領域3とB点領域4間に一様な温度勾配7が100℃/cmの最大値まで付けられ、薄膜が熱処理されることになる。この熱処理により、A点領域3は最高温度700℃で熱処理された固有の材料構造をとることになり、B点領域4は600℃で熱処理された固有の材料構造になる。
【0016】
ここで言う「材料構造」とは、結晶学的な構造のみならず、エネルギー論的な構造、物性論的な構造などの構造全般を指している。A点領域3とB点領域4間の途中領域は、一定の温度勾配7で熱処理されるので、各点との距離に応じて各熱処理温度固有の材料構造を持つことになる。A点領域3からB点領域4まで、熱処理温度が一様に異なる材料構造が、あたかも一様に傾斜するようになる。このような、2点間に温度勾配7をかけて熱処理することによって、2点間にわたり一様に材料構造を傾斜した材料を「構造傾斜材料」と名づける。また、このように材料に構造傾斜を付けることによって、材料の持つ物性が、従来の一定温度加熱または熱処理された材料より大きくなるような効果を「構造傾斜効果」と名づける。
【0017】
このような構造傾斜効果によって、今回確認された現象としては、▲1▼材料の比抵抗が桁で小さくなること、▲2▼AとB点間で整流作用があること、▲3▼AとB点間に起電圧が発生すること、▲4▼AとB点間に一様な色傾斜を持つような材料を創出できること、が挙げられる。これらのことは、温度勾配を付けた熱処理という簡便な手段によって、材料の電気伝導担体に関係する物性を桁で性能向上できることなどが可能である。また、温度勾配を付ける熱処理炉は特に高性能装置を必要としないため、安価な製法技術となる。
【0018】
また、本発明に係わる構造傾斜材料は、請求項1に記載しているように、基体上の機能性材料に温度勾配を付けて熱処理する手段について示し、請求項2で機能性が電気伝導担体の特性に関連する機能性について示し、請求項3と4で基体上の材料の形成時あるいは形成後について示し、請求項5で熱処理雰囲気について示し、請求項6〜10で温度勾配の特徴について示し、請求項11〜15ついては材料の特徴を示し、請求項16としては、Siプロセスと両立する半導体を特徴としている。
また、請求項17と18は、具体的実施例に対応する構造傾斜材料の例である。
【0019】
更に、請求項19〜22までは構造傾斜材料を応用する機能素子を特徴としている。請求項23は、従来の機能素子の性能向上策である各種手段と構造傾斜材料との組み合わせを特徴としている。
【0020】
本発明に係わる構造傾斜材料では、熱処理前の薄膜、或いはバルクに近い厚さを有する材料を、従来手段で形成してもよい。材料加工時の熱処理工程において、最適な温度勾配を設けて熱処理する簡便な手段を用いることにより、特に高価な装置を用いなくとも、材料物性の著しい向上を図ることが可能となる。
【0021】
この手段は、材料の種類、例えば、金属、半導体、絶縁体(無機、有機材料を含め)などや形態、組成、形成方法、寸法などを限定するものではなく、いずれの材料の場合にも適応可能である。このため、材料の広い分野にわたる応用が可能であり、電気特性、光特性、熱特性、磁性、熱電特性、光電特性、電磁特性、強誘電性、圧電性、焦電性、超電導性などの機能性材料および機能性材料を用いる素子の機能性を従来のものよりも高めることができる。
【0022】
特に、構造傾斜効果によって電気抵抗率(比抵抗)が桁で小さくなることは、従来の均一熱処理では達成不可能であった特性である。この特性は、機能素子の電気的特性におけるノイズを低減できるため、機能素子のS/N性能を高めることが可能となり、結果的には、信号検出・処理が容易になる。また、比抵抗が小さいことは、機能素子における配線としての利用も可能であり、機能素子の電力損失を少なくすることが可能となる。さらに、比抵抗が小さいことは、高速機能素子への利用も可能となる。
【0023】
特定温度における整流作用を利用すれば、回路の保護、交流電圧の直流化が容易に可能で、しかも、pn接合のような接合界面がないため、整流機能素子の耐電圧も高くできる。また、特定温度領域のみ電流を流すことが可能な機能素子も可能となる。起電圧発生の特性に関しては、直接利用すれば電池のような機能素子が可能となる。色傾斜の特性については、材料への温度勾配のかけ方で、材料のエネルギー状態に依存すると考えられる固有の構造色をつけることが可能となる。
【0024】
温度勾配を付ける熱処理は比較的簡便であり、材料製法には必ず何らかの熱処理が必要なことから、製造工程に特に新たな工程を追加する必要がないため、製造工程は複雑にはならず、従来の製法と両立させることが可能である。よって、高機能性材料、高性能の機能素子、起電圧発生機能素子や色傾斜の材料を安価に製造できることになる。
【0025】
本発明に係わる構造傾斜材料を利用すれば、機能素子のS/N性能を飛躍的に高めることができる。さらに、起電圧の発生が確認できているため、新たなエネルギー発生機能素子が可能となる。また、色傾斜は、温度勾配をつけた熱処理によるだけで、材料に構造色をつけることが可能となる。構造色は塗料などを使うことがないため、環境にやさしい色づけとなる。
【0026】
本発明に係わる温度勾配をつけた熱処理により形成される構造傾斜材料によれば、この材料を利用する機能素子の性能向上が可能となる。この手段を用いれば、各種の高価な成膜手段や毒性のある材料あるいは環境に好ましくない材料を用いなくてもS/Nを大幅に向上させることができる。
【0027】
さらに、材料加工には熱処理が必要であるが、このときに温度勾配を付けるだけであるため、特殊で、高価な新たな工程を必要としない。薄膜の場合には、従来の成膜装置で作製後、温度勾配を付けた熱処理でS/Nを向上できる。
【0028】
また、成膜直後の基体上の薄膜がアモルファスの状態の方が構造傾斜材料を作製することが容易なため、基体としては、単結晶基板を使う必要が無く、安価なガラス、セラミックス、Si半導体、耐熱温度が許せば有機材料などの上に成膜したものでも良い。また、基体に機能素子が形成されていてもかまわない。
【0029】
さらに、アモルファスの膜が好ましいため、基体温度は室温でも良いため、基体加熱によるガス発生が少ないため、成膜に適する真空度に到達するまでの排気時間が短くて済む。これらのことは、成膜工程を簡便にするだけでなく、従来の材料加工工程をほとんど利用可能であると共に、加工技術の低コスト化も可能となる。
【0030】
さらにまた、構造傾斜材料が半導体の場合、従来の手段によって作製されたものより小さい比抵抗が可能となるため、機能素子に用いることよって、低消費電力の機能素子が可能となるだけでなく、高速機能素子への応用も可能となる。また、温度勾配を付ける熱処理のため、必要なところに限定した温度勾配をかけることが可能となるため、機能素子に必要な領域に限定して構造傾斜効果をもたせることが可能となる。
【0031】
さらにまた、一度一定温度で加熱または熱処理した基体上の薄膜領域に温度勾配をかけた熱処理しても、基体上の薄膜の物性への影響が少ないため、構造傾斜材料形成のプロセスと従来の材料形成プロセスが両立できる。また、従来の半導体プロセスとの両立も可能である。成膜後の温度勾配をかけた熱処理について示してきたが、基体が温度勾配を設けて加熱されている状態で成膜することによって構造傾斜材料となる場合も該当する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態を説明する図である。所望温度に設定した基体1の上に、薄膜形成手段により薄膜2が形成されている。
【0034】
基体1は熱処理炉内で温度勾配を付けるのに適し、熱伝導度の比較的低い材料である半導体または絶縁体などが好ましいが、材料を限定するものではない。基体1の材料は、結晶化されているかどうかは重要でなく、単結晶、多結晶、セラミックス、ガラスなどでも構わない。また、基体1に機能素子や電子回路が形成されていてもかまわない。薄膜形成手段としては、気相成長法である真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、原子線エピタキシー法などの物理的成膜法や各種CVD(化学的成膜)法など、または融液エピタキシー法や溶液エピタキシー法などの液相成長法などで行われていても構わない。
【0035】
構造傾斜材料にするには、薄膜がアモルファスの状態であることが好ましいため、物理的薄膜形成手段では、薄膜が結晶化しない(非晶質になる)基体温度を用いると良い。これ以外のアモルファス薄膜にして構造傾斜材料を形成する手段としては、結晶化した基体上の薄膜に不純物を打ち込む手段、やレーザーアニール法、電子ビーム法による非晶質化と熱処理を同時に行う手段などがあるが、アモルファス薄膜形成手段を限定するものではない。
【0036】
結晶化されている薄膜については、熱処理温度を高めるかまたは、非晶質化して温度勾配をかけた熱処理する手段を用いても構わない。薄膜2は単元素でも多元素化合物でも良く、また、各種の多重積層構造をしていてもかまわない。また、材料としては、半導体、絶縁体、電導体、超電導体でもかまわない。さらに、無機材または有機材でもよい。
【0037】
温度勾配については、基体上の薄膜の面内の特定方向について述べているが、厚さ方向または、面内と厚さの複合方向に温度勾配がかけられていてもかまわない。温度勾配を付けた熱処理を行うため、薄膜内に歪が発生することも考えられる。このため、薄膜2と基体1との熱膨張係数がほぼ等しいことが好ましい。しかし、発生する歪の問題が無い場合、たとえば、セラミックスの基体1上に薄膜を形成する場合には、密着面積が広いため、歪の影響を小さくすることが考えられるため、熱膨張係数の影響を受けないかまたは少ない場合も考えられる。また、熱処理温度が比較的低い場合には、歪の膜への影響が小さいと考えられる。
【0038】
薄膜2面内の所望方向に10mmの間隔のA点領域3とB点領域4との2点間に温度勾配7(100℃の温度差)を付け、一気圧の窒素ガス雰囲気で熱処理する。
【0039】
温度勾配は材料の種類、組成、成膜条件、寸法、基体などにより最適値が異なることもある。ここでは一例を示しており、温度勾配の値を制限するものではない。また、温度勾配が、熱処理温度の上昇、下降につれて、変化していてもかまわない。熱処理時の雰囲気ガスについては、一気圧の窒素ガスを用いているが、圧力、不活性ガスの種類を限定するものではない。また、構造傾斜化する薄膜の終端化処理などのため、不活性ガスに若干の水素、酸素などのガスが混合されていてもかまわない。
【0040】
A点領域3とB点領域4の間隔は、かけたい温度勾配7、熱処理温度、または構造傾斜材料を形成したい領域の寸法などによって、最適化をはかれば良い。例えば、最も高い熱処理温度が700℃の場合、A点領域3が熱的に接触している高温側熱シンク5の温度である700℃に、B点領域4が熱的に接触している低温側熱シンク6の温度である600℃になるように温度勾配が付けられている。この場合には、温度勾配が一様に傾斜した状態と考えられるが、高温側と低温側近辺での温度勾配が異なっていてもかまわない。
【0041】
高温側熱シンク5と低温側熱シンク6は、熱良導体の方が好ましく、熱処理温度に適する材料を用いれば良い。熱シンクの加熱の仕方は多岐にわたるが、加熱手段を限定するものではなく、電熱線による直接加熱手段や、電熱線、レーザ、電子線、マイクロ波などによる間接加熱手段でもかまわない。
【0042】
このように熱処理することによって、A点領域からB点領域まで一様な温度勾配7(100℃/10mm)で、薄膜が熱処理されることになる。この場合の平均熱処理温度は650℃となる。A点領域3は700℃で熱処理された固有の材料構造をとることになり、B点領域4は600℃で熱処理された固有の材料構造になる。
【0043】
ここで言う材料構造とは、結晶学的な構造のみならず、エネルギー論的な構造、物性論的な構造などの構造全般を指している。A点領域3とB点領域4の間の途中領域においては、一定温度勾配7で熱処理される場合には、各点からの距離に応じて熱処理温度固有の材料構造を持つことになる。A点領域3からB点領域4まで、熱処理温度が一様に異なる材料構造が、あたかも一様に傾斜するようになっている。このような、2点間の一方向に温度勾配をかけて熱処理することによって、2点間にわたり一様に材料構造を傾斜したことになる。材料にこのような構造傾斜を付けることによって、材料の持つ物性が、従来のものより大きくなるような構造傾斜効果を示すことが分かった。
【0044】
本発明の第2実施形態は、各種薄膜形成手段で機能性材料の成膜を実施する時に、基体に温度勾配がつけられて基体温度が設定されている状態で、基体上に薄膜を形成して得られる構造傾斜材料とそれを利用する機能素子である。この場合、基体上の薄膜が形成される真空度については限定するものではなく、薄膜の終端化に微量の水素ガスまたは酸素ガスなどが真空装置内に導入されていてもかまわない。基体の材料の種類、形態などを限定するものではない。基体に回路が形成されていてもかまわない。また、薄膜形成手段、多層であるかどうか、複合であるかどうかを限定するものでもない。
【0045】
図2は、本発明の第3実施形態を説明する図である。ここまでは、特定方向の2点間の一箇所の方向と領域に一定の温度勾配をかけることについて、説明しているが、図2に示すように、高温側熱シンク5と低温側熱シンク6が複数箇所存在させることによって、複数個所で温度勾配を設けて、必要な複数領域を構造傾斜化することが可能となる。
【0046】
ここでは、一例として示しているが、幾何学的にいろいろな温度勾配をかける手段も考えられ、温度勾配をかける高温側熱シンク5と低温側熱シンク6の幾何学的な配置を限定するものでもない。また、加熱の仕方を限定するものでもない。高温側熱シンク5と低温側熱シンク6との2点間については、一定勾配にしている場合について述べてきているが、必ずしも一定ではなく、勾配が設計されたパターンを持っていても構わないし、高温側熱シンク近辺と低温側熱シンク近辺で温度勾配が異なっていてもかまわない。
【0047】
いままでは、薄膜の面内方向での温度勾配について説明してきたが、厚さ方向または、複合方向に温度勾配されていてもかまわない。また、薄膜の形成時に基体の複数箇所に温度勾配をつけて基体温度が設定されていてもかまわない。
【0048】
実施形態の1から3において、温度勾配を付けた熱処理後、室温まで降温させる時、降温にしたがって、ほぼ一定の温度勾配をつけるかまたは温度にあわせた温度勾配をつけるかについては、材料に依存するため、材料に適合した温度勾配のかけ方を選択する必要があり、ここでは、温度勾配のかけ方を限定するものでもない。
【0049】
昇温速度、降温速度については、構造傾斜効果に最適な速度を用いればよく、それぞれを限定するものではない。また、温度勾配をかけた熱処理は、構造傾斜効果に影響を与えないならば、複数回の温度勾配をかけた熱処理を繰り返しても良い。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
図3は、一例として、薄膜の場合における熱処理前の膜構造の概要を示している。Si基体10の上に酸化膜または窒化膜11を形成し、所望の基体温度に設定して、その上にイオンスパッタリング成膜手段でSi膜(3nm)12とBの不純物を含むGe膜(1nm)13をレイヤー・バイ・レイヤーの積層構造に作製し、25組層14積み上げた構造の膜としている。
【0051】
この材料を高温側熱シンクと低温側熱シンクの間隔を8mmにして、図4のような温度勾配(大きい方が温度上昇時)と平均熱処理温度の関係で熱処理することによって、薄膜の比抵抗が、図5に示すように平均熱処理温度に依存することが明らかになった。
【0052】
図4の例において、基体上の温度勾配は、平均熱処理温度400℃において、温度上昇時に約40℃/8mm、温度下降時に約10℃/8mmであり、平均熱処理温度700℃において、温度上昇時に約70℃/8mm、温度下降時に約60℃/8mmであった。また、全体の温度上昇速度に対する温度勾配の変化は、温度上昇時、温度下降時共に約10〜15℃/8mm/100℃のほぼ一定値であった。
【0053】
本試料は基体温度を室温に設定してイオンスパッタ法で形成されたもので、室温近辺で約0.8Ωcmである試料の比抵抗が平均熱処理温度上昇と伴に低下し、平均熱処理温度700℃では、10−4Ωcmオーダーになる。この試料の平均熱処理温度をゆっくり降下させて行くと(約10℃/分)、室温近辺で10−5Ωcmオーダーになった。
【0054】
図中に半導体と金属の常温時の比抵抗を示している。半導体であるSiGe薄膜を一定温度で熱処理した場合の室温近辺での最小比抵抗(熱処理温度が最適な場合)は図に示すように約3×10−3Ωcmであることを考えると、本発明により温度勾配をつけて熱処理されたSiGe薄膜材料の比抵抗が2桁以上小さくなっていることがわかる。
【0055】
室温近辺において、このような小さい比抵抗の値は、従来のSiGe半導体材料の一定温度での熱処理では到底実現が不可能な値である。また、温度勾配の値が図4より小さい場合には、図9に示すように、室温近辺での材料の比抵抗は、一定温度での熱処理した場合とほぼ同じ値(約10−2Ωcmオーダー)を示した。
SiGe薄膜の室温での比抵抗が非常に小さくなる現象は、適正な温度勾配をかけた場合にのみ出現することから、温度勾配をかけた状態での熱処理による構造傾斜効果の影響と言える。
【0056】
図8は、本発明の別の実施例である。この図において、(A)は、図4に対応する温度勾配を持った熱処理であり、(B)は図5に対応する薄膜の比抵抗である。
図8の例でも、室温近辺で約0.8Ωcmである試料の比抵抗が平均熱処理温度上昇と伴に低下し、平均熱処理温度700℃では、10−4Ωcmオーダーになり、平均熱処理温度をゆっくり降下させて行くと(約10℃/分)、室温近辺で10−6Ωcmオーダーになった。
【0057】
図8の例において、基体上の温度勾配は、平均熱処理温度400℃において、温度上昇時に約60℃/8mm、温度下降時に約30℃/8mmであり、平均熱処理温度650℃において、温度上昇時に約90℃/8mm、温度下降時に約70℃/8mmであった。また、全体の温度上昇速度に対する温度勾配の変化は、温度上昇時、温度下降時共に約15〜20℃/8mm/100℃であった。
従って、図5と同様の結果が、異なる温度勾配の場合でも得られることが確認された。
【0058】
図6は図5と同じ種類、同じ熱処理過程を経た材料で、平均熱処理温度を変化させている時の起電圧の状況を示している。温度勾配の高温側を+に低温側を−に電気的に接続した状態で計測した結果を示している。従って、端子を逆に接続すれば、当然に+の起電力が得られる。
図6から常温付近で発生する起電力は約30mVであるが、起電圧の発生する温度範囲では、図5からわかるように電気抵抗が非常に小さいため、積層等により十分な電力を取り出すことが可能となる。従って、一種の電池としての応用も可能である。
従来、起電圧効果としては、光起電圧効果、熱起電圧効果があったが、今回は両起電圧効果ではもないことが確認されている。従ってこの起電力のメカニズムは不明であるが、構造傾斜材料よる新たな起電圧効果であるといえる。
【0059】
図7は、図5の熱処理過程の場合と若干異なる温度勾配の時の比抵抗変化を異なる電圧印加時にまとめた状況を示している。この図において(A)は熱処理後の高い平均熱処理温度から温度降下させた場合を示しており、(B)は(A)の熱処理後再度、室温から温度を上昇させた場合の結果を示している。
【0060】
図7(A)(B)において、●と▲は、温度勾配と同じ方向に電圧印加した時の比抵抗であり、○と△は、逆方向に電圧印加した時の比抵抗を示している。この図から、室温近辺において、●と▲は○と△より常に1桁以上大きく、強い整流作用があることが分かる。この現象も構造傾斜効果のうちの一つであり、特定の温度範囲においてのみ整流作用があることになる。
【0061】
この整流作用を利用して特定温度でのみ動作させる回路への応用が可能となる。さらに、従来のpnダイオードと同じ利用も可能である。この場合、pn接合界面がないため、破壊電圧が高いと考えられる。また、室温近辺では、温度勾配をかけている方向と逆のマイナス電圧を印加している場合、図中に破線で示すように、温度に対する抵抗変化が非常に大きく、しかも比抵抗が小さいため、消費電力の小さいボロメータ型の赤外線検知への応用も可能となる。
【0062】
図示しない試験片は、約120℃/cmの温度勾配を20mmの間隔につけて熱処理した時の色傾斜を示していた。試験片の高温側は約700℃で低温側は約460℃である。色が一様に傾斜していることが明らかとなった。この色は温度勾配をかけた熱処理によって形成された構造色であり、可視光に相当するバンドギャップの材料の場合、温度勾配をつけた熱処理で色傾斜を付ける色付けが可能となる。このことは、温度勾配をかけた熱処理によるため、従来の有機溶剤を利用する塗料を使う必要がなく、環境にやさしい着色が可能となる。
【0063】
上述の実施例において、図3のSiとGe(不純物B)のレイヤー・バイ・レイヤー積層構造の薄膜について示しているが、Ge(B不純物)の単層膜、または、SiとGe(B不純物)層の比が異なる場合にも構造傾斜効果が確認されている。これらのことから、構造傾斜材料は、材料の組成、種類などは関係しないと考えられる。このため、Si/Ge(B)の組成比、積層数、成膜手段などを限定するものではない。
【0064】
また、基体1として、Si単結晶基板、窒化膜/Si単結晶、酸化膜/Si単結晶を用いているが、室温の基体温度で作製した試料から構造傾斜効果の現象を確認していることから、基体1の状態を限定するものでもない。さらに、SiとGeというSiプロセスに適合する材料を用いて現象を確認しているが、構造傾斜をかけることは、温度勾配をかけた熱処理であるため、材料の種類を限定するものでもない。
【0065】
材料の機能性については、電気伝導度に関係することと起電圧を発生することおよび色傾斜の現象を示すことから、電気伝導担体に関連する物性に影響を及ぼし、機能素子とする場合にS/Nを向上するため、機能性を限定するものでもない。電気伝導担体と関連する機能性としては、電気特性、光特性、熱特性、磁性、熱電特性、光電特性、電磁特性、強誘電性、圧電性、焦電性、超電導性などが挙げられ、これらの機能性を限定するものでもない。
【0066】
なお、本発明は上述した実施例及び実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0067】
【発明の効果】
上述したように、本発明の構造傾斜材料とこれを用いた機能素子は、成分濃度、酸化物の含有量、結晶構造等の「組成傾斜」を付加することなく、基体上の機能性材料に従来にない有用な機能を付加し、或いは従来にない高性能化ができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構造傾斜材料の第1実施形態を示す平面図(a)、断面図(b)および温度勾配の概念図(c)である。
【図2】本発明の構造傾斜材料の第3実施例を示す平面図(a)、断面図(b)および温度勾配の概念図(c)である。
【図3】本発明の実施例を示す熱処理前の薄膜の概要例である。
【図4】本発明による温度勾配と平均熱処理温度との関係図である。
【図5】本発明による比抵抗と平均熱処理温度との関係図である。
【図6】本発明による起電圧と平均熱処理温度との関係図である。
【図7】本発明による比抵抗と平均熱処理温度との関係を異なる印加電圧で示す(a)熱処理温度降下時および(b)熱処理温度上昇時の図である。
【図8】図4と図5に対応する別の実施例である。
【図9】図5に対応する別の3つの実施例である。
【符号の説明】
1 基体
2 薄膜
3 A点領域
4 B点領域
5 高温側シンク
6 低温側シンク
7 温度勾配
10 Si基体
11 酸化膜または窒化膜
12 Si膜(3nm)
13 Bの不純物を含むGe膜(1nm)
14 25組層
【発明の属する技術分野】
本発明は、基体上に機能性材料を有する構造傾斜材料とこれを用いた機能素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から同一材料内において組成が徐々に変化する材料(「組成傾斜材料」と呼ぶ)が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平09−087526号公報
【特許文献2】
特開2000−211927号公報
【特許文献3】
特開平06−145839号公報
【特許文献4】
特開2000−17357号公報
【特許文献5】
特開平11−340141号公報
【0004】
[特許文献1]の「成分濃度傾斜構造を有する有機高分子と金属酸化物との複合体の製造方法」は、金属アルコキシドを有機高分子固体内部に、濃度傾斜を持つように含浸させた後、該金属アルコキシドを重縮合反応させ、金属酸化物として固定化する、ものである。
また、[特許文献2]の「ゾル・ゲルの沈降を用いた複合材料を製造する方法及びその方法で得られた物質」は、2成分以上の金属アルコキシドからなるゾルあるいはゲルを含むゾルを遠心力処理による構造粒子間の沈降速度の違いを利用して成分の濃度が分子スケールで連続的に変化する分子傾斜構造を有するゲルの複合前駆体を作製し、それを熱処理することによって製造する、ものである。
従って、[特許文献1]と[特許文献2]は、同一材料内において成分濃度が変化する材料「組成傾斜材料」である。
【0005】
また、[特許文献3]の「酸化物分散型合金、その製造方法、及びその製造装置」は、金属と当該金属の焼結温度よりも融点の低い酸化物を含有した被焼結物の一部が、前記酸化物の融点以上となるような温度勾配下で焼結して、前記被焼結物の一部から他の部分へ前記酸化物の含有量が連続的に増加するような傾斜組成を持つように分散させる、ものである。
さらに、[特許文献4]の「傾斜機能合金及びその製造方法」は、3〜10重量%のAlと、5〜20重量%のMnと、残部Cu及び不可避不純物とからなる組成を有し、実質的にβ単層からなる第一部分と、実質的にα相及びホイスラー相からなる第二部分との間に結晶構造が連続的又は段階的に変化する第三部分を有する、ものである。
[特許文献3]と[特許文献4]は、同一材料内において酸化物の含有量又は結晶構造が変化する材料「組成傾斜材料」であり、特に製造時に温度勾配をかけている特徴がある。
また、[特許文献5]の「半導体基板の製造方法」は、基板表面上の絶縁体層を部分的に除去して基板表面が露出した面を形成したのち、基板の厚み方向の温度勾配を小さく、基板の径方向の温度勾配を大きくした条件でエピタキシャル成長法を行うことによって、前記絶縁体層上に単結晶シリコン層を形成させる、ものである。
【0006】
上述したように、従来、何らかの機能を有する材料(「機能性材料」と呼ぶ)を製造する工程には、必ず何らかの熱処理工程が係っている。以下、熱処理を併せて単に「熱処理工程」と呼ぶ。
この熱処理工程は、一般的には材料全般にわたり均一な温度で行われ、材料物性の均一化、時には性能向上を図ってもいる(特許文献1、特許文献2参照)。また、製造時に温度勾配をかけている場合でも、温度勾配を有する各部分の温度は一定である(特許文献3、4、5参照)。
【0007】
また、基体上の機能性材料を利用する機能素子の性能を向上する手段としては、基体上の薄膜の場合、(1)単結晶基板の基体上にエピタキシャル成長させる完全結晶化手段、(2)不純物を高精度に制御する手段、(3)膜の均一化などによる材料単体の性能向上を目差す手段や、(4)複数の組成比の異なる薄膜を多重に構成する超格子構造、組成などの傾斜構造などを形成する手段などが用いられている。
これらの手段は、成膜速度、温度、組成、真空度、不純物、原料などの成膜に係わる重要なパラメータを高度に制御する必要があり、必然的に装置は非常に高価なものとなっている。
また、バルクに近い厚さを有する材料の場合、(5)原料の純度、組成比を高精度に制御する手段、(6)軸を配向させる手段、(7)複合化構造形成手段などが性能向上のために用いられている。これらの場合においても、高精度に制御可能な装置が必要であり、プロセスが高価なものとなり、機能性材料を利用する機能素子の価格が高くなっている。
【0008】
いずれの場合においても、従来、加工工程の途中に、物性の均一性を重視して熱処理工程がはいっている。すなわち、材料の面内または厚さ方向を均一な温度、或いは温度勾配を有する各部分の温度を一定に保持して熱処理している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来、各機能素子に利用する基体上の機能性材料は、同じ条件下で均一に熱処理されている。このため、面内、厚さ方向の物性はほぼ同じと考えられる。また、温度勾配はあるが、各部分の温度を一定に保持している場合でも、成分濃度、酸化物の含有量、結晶構造等が変化する組成傾斜材料でない限り、面内、厚さ方向の物性は近似していると考えられる。
【0010】
さらに、薄膜の場合、高精度制御の膜形成装置が必要であり、成膜関係コストが著しく高くなる。バルクに近い厚さを有する材料の場合も、薄膜と同じように、高精度制御の材料形成装置が必要となる。いずれの場合でも、製造装置は複雑で、高機能・高性能なものが必要となり、機能素子の費用対性能を考慮すると、高価な装置を導入して素子を作製する利点が得られないことになる。このため、機能素子の性能を十分高めることが難しいといった課題がある。
【0011】
本発明は、上述した従来の状況に鑑みて成されたものある。すなわち、本発明の目的は、成分濃度、酸化物の含有量、結晶構造等の「組成傾斜」を付加することなく、基体上の機能性材料に従来にない有用な機能を付加し、或いは従来にない高性能化ができる、構造傾斜材料とこれを用いた機能素子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、成分濃度、酸化物の含有量、結晶構造等の「組成傾斜」はないが、同一組成あって材料構造が傾斜している材料(以下「構造傾斜材料」という)を提案している。
本発明における「構造傾斜材料」について図1の例を用いて説明する。ここでは、基体上の薄膜について説明しているが、薄膜だけに限定するものではなく、バルクに近い厚さを有する材料の場合などにも当てはめることができる。
【0013】
各種薄膜形成技術により基体1の上に形成された薄膜2が、薄膜2面内の一方向のA点領域3とB点領域4の2点間の一方向に、温度勾配を付けたままで熱処理されている。ここで「熱処理」とは、通常の熱処理の他に、加熱処理を含む。
【0014】
この温度勾配は、熱処理温度、材料の種類、組成、成膜条件、寸法、基体などにより異なることもある。例えば、図1(c)に示すように、最高熱処理温度を700℃とする場合、A点領域3を最高700℃の高温側、B点領域4を最高600℃の低温側にして熱処理することになる。なお、本発明では、A点領域3とB点領域4の温度勾配を付けたまま処理される。従って、A点領域3は温度勾配を保持したまま、低温から最高700℃まで加熱され、同時にB点領域4も温度勾配を保持したまま、低温から最高600℃まで加熱される。
【0015】
従って、A点領域3とB点領域4の間隔を一定(例えば10mm)に保持し、熱処理温度の上昇と共にA点領域3とB点領域4間に一様な温度勾配7が100℃/cmの最大値まで付けられ、薄膜が熱処理されることになる。この熱処理により、A点領域3は最高温度700℃で熱処理された固有の材料構造をとることになり、B点領域4は600℃で熱処理された固有の材料構造になる。
【0016】
ここで言う「材料構造」とは、結晶学的な構造のみならず、エネルギー論的な構造、物性論的な構造などの構造全般を指している。A点領域3とB点領域4間の途中領域は、一定の温度勾配7で熱処理されるので、各点との距離に応じて各熱処理温度固有の材料構造を持つことになる。A点領域3からB点領域4まで、熱処理温度が一様に異なる材料構造が、あたかも一様に傾斜するようになる。このような、2点間に温度勾配7をかけて熱処理することによって、2点間にわたり一様に材料構造を傾斜した材料を「構造傾斜材料」と名づける。また、このように材料に構造傾斜を付けることによって、材料の持つ物性が、従来の一定温度加熱または熱処理された材料より大きくなるような効果を「構造傾斜効果」と名づける。
【0017】
このような構造傾斜効果によって、今回確認された現象としては、▲1▼材料の比抵抗が桁で小さくなること、▲2▼AとB点間で整流作用があること、▲3▼AとB点間に起電圧が発生すること、▲4▼AとB点間に一様な色傾斜を持つような材料を創出できること、が挙げられる。これらのことは、温度勾配を付けた熱処理という簡便な手段によって、材料の電気伝導担体に関係する物性を桁で性能向上できることなどが可能である。また、温度勾配を付ける熱処理炉は特に高性能装置を必要としないため、安価な製法技術となる。
【0018】
また、本発明に係わる構造傾斜材料は、請求項1に記載しているように、基体上の機能性材料に温度勾配を付けて熱処理する手段について示し、請求項2で機能性が電気伝導担体の特性に関連する機能性について示し、請求項3と4で基体上の材料の形成時あるいは形成後について示し、請求項5で熱処理雰囲気について示し、請求項6〜10で温度勾配の特徴について示し、請求項11〜15ついては材料の特徴を示し、請求項16としては、Siプロセスと両立する半導体を特徴としている。
また、請求項17と18は、具体的実施例に対応する構造傾斜材料の例である。
【0019】
更に、請求項19〜22までは構造傾斜材料を応用する機能素子を特徴としている。請求項23は、従来の機能素子の性能向上策である各種手段と構造傾斜材料との組み合わせを特徴としている。
【0020】
本発明に係わる構造傾斜材料では、熱処理前の薄膜、或いはバルクに近い厚さを有する材料を、従来手段で形成してもよい。材料加工時の熱処理工程において、最適な温度勾配を設けて熱処理する簡便な手段を用いることにより、特に高価な装置を用いなくとも、材料物性の著しい向上を図ることが可能となる。
【0021】
この手段は、材料の種類、例えば、金属、半導体、絶縁体(無機、有機材料を含め)などや形態、組成、形成方法、寸法などを限定するものではなく、いずれの材料の場合にも適応可能である。このため、材料の広い分野にわたる応用が可能であり、電気特性、光特性、熱特性、磁性、熱電特性、光電特性、電磁特性、強誘電性、圧電性、焦電性、超電導性などの機能性材料および機能性材料を用いる素子の機能性を従来のものよりも高めることができる。
【0022】
特に、構造傾斜効果によって電気抵抗率(比抵抗)が桁で小さくなることは、従来の均一熱処理では達成不可能であった特性である。この特性は、機能素子の電気的特性におけるノイズを低減できるため、機能素子のS/N性能を高めることが可能となり、結果的には、信号検出・処理が容易になる。また、比抵抗が小さいことは、機能素子における配線としての利用も可能であり、機能素子の電力損失を少なくすることが可能となる。さらに、比抵抗が小さいことは、高速機能素子への利用も可能となる。
【0023】
特定温度における整流作用を利用すれば、回路の保護、交流電圧の直流化が容易に可能で、しかも、pn接合のような接合界面がないため、整流機能素子の耐電圧も高くできる。また、特定温度領域のみ電流を流すことが可能な機能素子も可能となる。起電圧発生の特性に関しては、直接利用すれば電池のような機能素子が可能となる。色傾斜の特性については、材料への温度勾配のかけ方で、材料のエネルギー状態に依存すると考えられる固有の構造色をつけることが可能となる。
【0024】
温度勾配を付ける熱処理は比較的簡便であり、材料製法には必ず何らかの熱処理が必要なことから、製造工程に特に新たな工程を追加する必要がないため、製造工程は複雑にはならず、従来の製法と両立させることが可能である。よって、高機能性材料、高性能の機能素子、起電圧発生機能素子や色傾斜の材料を安価に製造できることになる。
【0025】
本発明に係わる構造傾斜材料を利用すれば、機能素子のS/N性能を飛躍的に高めることができる。さらに、起電圧の発生が確認できているため、新たなエネルギー発生機能素子が可能となる。また、色傾斜は、温度勾配をつけた熱処理によるだけで、材料に構造色をつけることが可能となる。構造色は塗料などを使うことがないため、環境にやさしい色づけとなる。
【0026】
本発明に係わる温度勾配をつけた熱処理により形成される構造傾斜材料によれば、この材料を利用する機能素子の性能向上が可能となる。この手段を用いれば、各種の高価な成膜手段や毒性のある材料あるいは環境に好ましくない材料を用いなくてもS/Nを大幅に向上させることができる。
【0027】
さらに、材料加工には熱処理が必要であるが、このときに温度勾配を付けるだけであるため、特殊で、高価な新たな工程を必要としない。薄膜の場合には、従来の成膜装置で作製後、温度勾配を付けた熱処理でS/Nを向上できる。
【0028】
また、成膜直後の基体上の薄膜がアモルファスの状態の方が構造傾斜材料を作製することが容易なため、基体としては、単結晶基板を使う必要が無く、安価なガラス、セラミックス、Si半導体、耐熱温度が許せば有機材料などの上に成膜したものでも良い。また、基体に機能素子が形成されていてもかまわない。
【0029】
さらに、アモルファスの膜が好ましいため、基体温度は室温でも良いため、基体加熱によるガス発生が少ないため、成膜に適する真空度に到達するまでの排気時間が短くて済む。これらのことは、成膜工程を簡便にするだけでなく、従来の材料加工工程をほとんど利用可能であると共に、加工技術の低コスト化も可能となる。
【0030】
さらにまた、構造傾斜材料が半導体の場合、従来の手段によって作製されたものより小さい比抵抗が可能となるため、機能素子に用いることよって、低消費電力の機能素子が可能となるだけでなく、高速機能素子への応用も可能となる。また、温度勾配を付ける熱処理のため、必要なところに限定した温度勾配をかけることが可能となるため、機能素子に必要な領域に限定して構造傾斜効果をもたせることが可能となる。
【0031】
さらにまた、一度一定温度で加熱または熱処理した基体上の薄膜領域に温度勾配をかけた熱処理しても、基体上の薄膜の物性への影響が少ないため、構造傾斜材料形成のプロセスと従来の材料形成プロセスが両立できる。また、従来の半導体プロセスとの両立も可能である。成膜後の温度勾配をかけた熱処理について示してきたが、基体が温度勾配を設けて加熱されている状態で成膜することによって構造傾斜材料となる場合も該当する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態を説明する図である。所望温度に設定した基体1の上に、薄膜形成手段により薄膜2が形成されている。
【0034】
基体1は熱処理炉内で温度勾配を付けるのに適し、熱伝導度の比較的低い材料である半導体または絶縁体などが好ましいが、材料を限定するものではない。基体1の材料は、結晶化されているかどうかは重要でなく、単結晶、多結晶、セラミックス、ガラスなどでも構わない。また、基体1に機能素子や電子回路が形成されていてもかまわない。薄膜形成手段としては、気相成長法である真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、原子線エピタキシー法などの物理的成膜法や各種CVD(化学的成膜)法など、または融液エピタキシー法や溶液エピタキシー法などの液相成長法などで行われていても構わない。
【0035】
構造傾斜材料にするには、薄膜がアモルファスの状態であることが好ましいため、物理的薄膜形成手段では、薄膜が結晶化しない(非晶質になる)基体温度を用いると良い。これ以外のアモルファス薄膜にして構造傾斜材料を形成する手段としては、結晶化した基体上の薄膜に不純物を打ち込む手段、やレーザーアニール法、電子ビーム法による非晶質化と熱処理を同時に行う手段などがあるが、アモルファス薄膜形成手段を限定するものではない。
【0036】
結晶化されている薄膜については、熱処理温度を高めるかまたは、非晶質化して温度勾配をかけた熱処理する手段を用いても構わない。薄膜2は単元素でも多元素化合物でも良く、また、各種の多重積層構造をしていてもかまわない。また、材料としては、半導体、絶縁体、電導体、超電導体でもかまわない。さらに、無機材または有機材でもよい。
【0037】
温度勾配については、基体上の薄膜の面内の特定方向について述べているが、厚さ方向または、面内と厚さの複合方向に温度勾配がかけられていてもかまわない。温度勾配を付けた熱処理を行うため、薄膜内に歪が発生することも考えられる。このため、薄膜2と基体1との熱膨張係数がほぼ等しいことが好ましい。しかし、発生する歪の問題が無い場合、たとえば、セラミックスの基体1上に薄膜を形成する場合には、密着面積が広いため、歪の影響を小さくすることが考えられるため、熱膨張係数の影響を受けないかまたは少ない場合も考えられる。また、熱処理温度が比較的低い場合には、歪の膜への影響が小さいと考えられる。
【0038】
薄膜2面内の所望方向に10mmの間隔のA点領域3とB点領域4との2点間に温度勾配7(100℃の温度差)を付け、一気圧の窒素ガス雰囲気で熱処理する。
【0039】
温度勾配は材料の種類、組成、成膜条件、寸法、基体などにより最適値が異なることもある。ここでは一例を示しており、温度勾配の値を制限するものではない。また、温度勾配が、熱処理温度の上昇、下降につれて、変化していてもかまわない。熱処理時の雰囲気ガスについては、一気圧の窒素ガスを用いているが、圧力、不活性ガスの種類を限定するものではない。また、構造傾斜化する薄膜の終端化処理などのため、不活性ガスに若干の水素、酸素などのガスが混合されていてもかまわない。
【0040】
A点領域3とB点領域4の間隔は、かけたい温度勾配7、熱処理温度、または構造傾斜材料を形成したい領域の寸法などによって、最適化をはかれば良い。例えば、最も高い熱処理温度が700℃の場合、A点領域3が熱的に接触している高温側熱シンク5の温度である700℃に、B点領域4が熱的に接触している低温側熱シンク6の温度である600℃になるように温度勾配が付けられている。この場合には、温度勾配が一様に傾斜した状態と考えられるが、高温側と低温側近辺での温度勾配が異なっていてもかまわない。
【0041】
高温側熱シンク5と低温側熱シンク6は、熱良導体の方が好ましく、熱処理温度に適する材料を用いれば良い。熱シンクの加熱の仕方は多岐にわたるが、加熱手段を限定するものではなく、電熱線による直接加熱手段や、電熱線、レーザ、電子線、マイクロ波などによる間接加熱手段でもかまわない。
【0042】
このように熱処理することによって、A点領域からB点領域まで一様な温度勾配7(100℃/10mm)で、薄膜が熱処理されることになる。この場合の平均熱処理温度は650℃となる。A点領域3は700℃で熱処理された固有の材料構造をとることになり、B点領域4は600℃で熱処理された固有の材料構造になる。
【0043】
ここで言う材料構造とは、結晶学的な構造のみならず、エネルギー論的な構造、物性論的な構造などの構造全般を指している。A点領域3とB点領域4の間の途中領域においては、一定温度勾配7で熱処理される場合には、各点からの距離に応じて熱処理温度固有の材料構造を持つことになる。A点領域3からB点領域4まで、熱処理温度が一様に異なる材料構造が、あたかも一様に傾斜するようになっている。このような、2点間の一方向に温度勾配をかけて熱処理することによって、2点間にわたり一様に材料構造を傾斜したことになる。材料にこのような構造傾斜を付けることによって、材料の持つ物性が、従来のものより大きくなるような構造傾斜効果を示すことが分かった。
【0044】
本発明の第2実施形態は、各種薄膜形成手段で機能性材料の成膜を実施する時に、基体に温度勾配がつけられて基体温度が設定されている状態で、基体上に薄膜を形成して得られる構造傾斜材料とそれを利用する機能素子である。この場合、基体上の薄膜が形成される真空度については限定するものではなく、薄膜の終端化に微量の水素ガスまたは酸素ガスなどが真空装置内に導入されていてもかまわない。基体の材料の種類、形態などを限定するものではない。基体に回路が形成されていてもかまわない。また、薄膜形成手段、多層であるかどうか、複合であるかどうかを限定するものでもない。
【0045】
図2は、本発明の第3実施形態を説明する図である。ここまでは、特定方向の2点間の一箇所の方向と領域に一定の温度勾配をかけることについて、説明しているが、図2に示すように、高温側熱シンク5と低温側熱シンク6が複数箇所存在させることによって、複数個所で温度勾配を設けて、必要な複数領域を構造傾斜化することが可能となる。
【0046】
ここでは、一例として示しているが、幾何学的にいろいろな温度勾配をかける手段も考えられ、温度勾配をかける高温側熱シンク5と低温側熱シンク6の幾何学的な配置を限定するものでもない。また、加熱の仕方を限定するものでもない。高温側熱シンク5と低温側熱シンク6との2点間については、一定勾配にしている場合について述べてきているが、必ずしも一定ではなく、勾配が設計されたパターンを持っていても構わないし、高温側熱シンク近辺と低温側熱シンク近辺で温度勾配が異なっていてもかまわない。
【0047】
いままでは、薄膜の面内方向での温度勾配について説明してきたが、厚さ方向または、複合方向に温度勾配されていてもかまわない。また、薄膜の形成時に基体の複数箇所に温度勾配をつけて基体温度が設定されていてもかまわない。
【0048】
実施形態の1から3において、温度勾配を付けた熱処理後、室温まで降温させる時、降温にしたがって、ほぼ一定の温度勾配をつけるかまたは温度にあわせた温度勾配をつけるかについては、材料に依存するため、材料に適合した温度勾配のかけ方を選択する必要があり、ここでは、温度勾配のかけ方を限定するものでもない。
【0049】
昇温速度、降温速度については、構造傾斜効果に最適な速度を用いればよく、それぞれを限定するものではない。また、温度勾配をかけた熱処理は、構造傾斜効果に影響を与えないならば、複数回の温度勾配をかけた熱処理を繰り返しても良い。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
図3は、一例として、薄膜の場合における熱処理前の膜構造の概要を示している。Si基体10の上に酸化膜または窒化膜11を形成し、所望の基体温度に設定して、その上にイオンスパッタリング成膜手段でSi膜(3nm)12とBの不純物を含むGe膜(1nm)13をレイヤー・バイ・レイヤーの積層構造に作製し、25組層14積み上げた構造の膜としている。
【0051】
この材料を高温側熱シンクと低温側熱シンクの間隔を8mmにして、図4のような温度勾配(大きい方が温度上昇時)と平均熱処理温度の関係で熱処理することによって、薄膜の比抵抗が、図5に示すように平均熱処理温度に依存することが明らかになった。
【0052】
図4の例において、基体上の温度勾配は、平均熱処理温度400℃において、温度上昇時に約40℃/8mm、温度下降時に約10℃/8mmであり、平均熱処理温度700℃において、温度上昇時に約70℃/8mm、温度下降時に約60℃/8mmであった。また、全体の温度上昇速度に対する温度勾配の変化は、温度上昇時、温度下降時共に約10〜15℃/8mm/100℃のほぼ一定値であった。
【0053】
本試料は基体温度を室温に設定してイオンスパッタ法で形成されたもので、室温近辺で約0.8Ωcmである試料の比抵抗が平均熱処理温度上昇と伴に低下し、平均熱処理温度700℃では、10−4Ωcmオーダーになる。この試料の平均熱処理温度をゆっくり降下させて行くと(約10℃/分)、室温近辺で10−5Ωcmオーダーになった。
【0054】
図中に半導体と金属の常温時の比抵抗を示している。半導体であるSiGe薄膜を一定温度で熱処理した場合の室温近辺での最小比抵抗(熱処理温度が最適な場合)は図に示すように約3×10−3Ωcmであることを考えると、本発明により温度勾配をつけて熱処理されたSiGe薄膜材料の比抵抗が2桁以上小さくなっていることがわかる。
【0055】
室温近辺において、このような小さい比抵抗の値は、従来のSiGe半導体材料の一定温度での熱処理では到底実現が不可能な値である。また、温度勾配の値が図4より小さい場合には、図9に示すように、室温近辺での材料の比抵抗は、一定温度での熱処理した場合とほぼ同じ値(約10−2Ωcmオーダー)を示した。
SiGe薄膜の室温での比抵抗が非常に小さくなる現象は、適正な温度勾配をかけた場合にのみ出現することから、温度勾配をかけた状態での熱処理による構造傾斜効果の影響と言える。
【0056】
図8は、本発明の別の実施例である。この図において、(A)は、図4に対応する温度勾配を持った熱処理であり、(B)は図5に対応する薄膜の比抵抗である。
図8の例でも、室温近辺で約0.8Ωcmである試料の比抵抗が平均熱処理温度上昇と伴に低下し、平均熱処理温度700℃では、10−4Ωcmオーダーになり、平均熱処理温度をゆっくり降下させて行くと(約10℃/分)、室温近辺で10−6Ωcmオーダーになった。
【0057】
図8の例において、基体上の温度勾配は、平均熱処理温度400℃において、温度上昇時に約60℃/8mm、温度下降時に約30℃/8mmであり、平均熱処理温度650℃において、温度上昇時に約90℃/8mm、温度下降時に約70℃/8mmであった。また、全体の温度上昇速度に対する温度勾配の変化は、温度上昇時、温度下降時共に約15〜20℃/8mm/100℃であった。
従って、図5と同様の結果が、異なる温度勾配の場合でも得られることが確認された。
【0058】
図6は図5と同じ種類、同じ熱処理過程を経た材料で、平均熱処理温度を変化させている時の起電圧の状況を示している。温度勾配の高温側を+に低温側を−に電気的に接続した状態で計測した結果を示している。従って、端子を逆に接続すれば、当然に+の起電力が得られる。
図6から常温付近で発生する起電力は約30mVであるが、起電圧の発生する温度範囲では、図5からわかるように電気抵抗が非常に小さいため、積層等により十分な電力を取り出すことが可能となる。従って、一種の電池としての応用も可能である。
従来、起電圧効果としては、光起電圧効果、熱起電圧効果があったが、今回は両起電圧効果ではもないことが確認されている。従ってこの起電力のメカニズムは不明であるが、構造傾斜材料よる新たな起電圧効果であるといえる。
【0059】
図7は、図5の熱処理過程の場合と若干異なる温度勾配の時の比抵抗変化を異なる電圧印加時にまとめた状況を示している。この図において(A)は熱処理後の高い平均熱処理温度から温度降下させた場合を示しており、(B)は(A)の熱処理後再度、室温から温度を上昇させた場合の結果を示している。
【0060】
図7(A)(B)において、●と▲は、温度勾配と同じ方向に電圧印加した時の比抵抗であり、○と△は、逆方向に電圧印加した時の比抵抗を示している。この図から、室温近辺において、●と▲は○と△より常に1桁以上大きく、強い整流作用があることが分かる。この現象も構造傾斜効果のうちの一つであり、特定の温度範囲においてのみ整流作用があることになる。
【0061】
この整流作用を利用して特定温度でのみ動作させる回路への応用が可能となる。さらに、従来のpnダイオードと同じ利用も可能である。この場合、pn接合界面がないため、破壊電圧が高いと考えられる。また、室温近辺では、温度勾配をかけている方向と逆のマイナス電圧を印加している場合、図中に破線で示すように、温度に対する抵抗変化が非常に大きく、しかも比抵抗が小さいため、消費電力の小さいボロメータ型の赤外線検知への応用も可能となる。
【0062】
図示しない試験片は、約120℃/cmの温度勾配を20mmの間隔につけて熱処理した時の色傾斜を示していた。試験片の高温側は約700℃で低温側は約460℃である。色が一様に傾斜していることが明らかとなった。この色は温度勾配をかけた熱処理によって形成された構造色であり、可視光に相当するバンドギャップの材料の場合、温度勾配をつけた熱処理で色傾斜を付ける色付けが可能となる。このことは、温度勾配をかけた熱処理によるため、従来の有機溶剤を利用する塗料を使う必要がなく、環境にやさしい着色が可能となる。
【0063】
上述の実施例において、図3のSiとGe(不純物B)のレイヤー・バイ・レイヤー積層構造の薄膜について示しているが、Ge(B不純物)の単層膜、または、SiとGe(B不純物)層の比が異なる場合にも構造傾斜効果が確認されている。これらのことから、構造傾斜材料は、材料の組成、種類などは関係しないと考えられる。このため、Si/Ge(B)の組成比、積層数、成膜手段などを限定するものではない。
【0064】
また、基体1として、Si単結晶基板、窒化膜/Si単結晶、酸化膜/Si単結晶を用いているが、室温の基体温度で作製した試料から構造傾斜効果の現象を確認していることから、基体1の状態を限定するものでもない。さらに、SiとGeというSiプロセスに適合する材料を用いて現象を確認しているが、構造傾斜をかけることは、温度勾配をかけた熱処理であるため、材料の種類を限定するものでもない。
【0065】
材料の機能性については、電気伝導度に関係することと起電圧を発生することおよび色傾斜の現象を示すことから、電気伝導担体に関連する物性に影響を及ぼし、機能素子とする場合にS/Nを向上するため、機能性を限定するものでもない。電気伝導担体と関連する機能性としては、電気特性、光特性、熱特性、磁性、熱電特性、光電特性、電磁特性、強誘電性、圧電性、焦電性、超電導性などが挙げられ、これらの機能性を限定するものでもない。
【0066】
なお、本発明は上述した実施例及び実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0067】
【発明の効果】
上述したように、本発明の構造傾斜材料とこれを用いた機能素子は、成分濃度、酸化物の含有量、結晶構造等の「組成傾斜」を付加することなく、基体上の機能性材料に従来にない有用な機能を付加し、或いは従来にない高性能化ができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構造傾斜材料の第1実施形態を示す平面図(a)、断面図(b)および温度勾配の概念図(c)である。
【図2】本発明の構造傾斜材料の第3実施例を示す平面図(a)、断面図(b)および温度勾配の概念図(c)である。
【図3】本発明の実施例を示す熱処理前の薄膜の概要例である。
【図4】本発明による温度勾配と平均熱処理温度との関係図である。
【図5】本発明による比抵抗と平均熱処理温度との関係図である。
【図6】本発明による起電圧と平均熱処理温度との関係図である。
【図7】本発明による比抵抗と平均熱処理温度との関係を異なる印加電圧で示す(a)熱処理温度降下時および(b)熱処理温度上昇時の図である。
【図8】図4と図5に対応する別の実施例である。
【図9】図5に対応する別の3つの実施例である。
【符号の説明】
1 基体
2 薄膜
3 A点領域
4 B点領域
5 高温側シンク
6 低温側シンク
7 温度勾配
10 Si基体
11 酸化膜または窒化膜
12 Si膜(3nm)
13 Bの不純物を含むGe膜(1nm)
14 25組層
Claims (23)
- 基体とその上に成膜された機能性材料とからなり、該基体上の機能性材料の特定方向と領域に所望の温度勾配を付けたまま熱処理されている、ことを特徴とする構造傾斜材料。
- 前記機能性材料は、電気伝導担体の特性に関連する機能性を有する機能性材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の構造傾斜材料。
- 前記基体上の機能性材料は、成膜形成時に特定方向と領域に所望の温度勾配を付けたまま加熱されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の構造傾斜材料。
- 前記基体上の機能性材料は、成膜形成後に特定方向と領域に所望の温度勾配を付けたまま熱処理されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の構造傾斜材料。
- 前記基体上の機能性材料は、反応性ガスの希釈な雰囲気中で特定方向と領域に所望の温度勾配を付けたまま熱処理されている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 前記特定方向と領域の温度勾配を同一の機能性材料の複数箇所に設ける、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 前記特定方向と領域の温度勾配は、熱処理温度により異なることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 前記所望の温度勾配は、熱処理過程においてほぼ一定である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 前記所望の温度勾配は、熱処理の高温側と低温側とで異なる、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 前記所望の温度勾配は、高温側と低温側とでほぼ同一である、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 前記機能性材料の熱処理前の材料形態が、アモルファスである、ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 熱処理された前記機能性材料と基体の熱膨張係数が、ほぼ同じである、ことを特徴とする請求項11に記載の構造傾斜材料。
- 基体上の前記機能性材料は、単元素あるいは多元素の単独または複数の組み合わせで構成される、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 基体上の前記機能性材料は、II族、III族、V族、VI族、金属元素などの各種不純物を含む、ことを特徴とする請求項13に記載の構造傾斜材料。
- 前記機能性材料に温度勾配を付けて熱処理する高温側と低温側間の温度範囲内に、急激な物性変化を伴うような相転移現象を引き起こす温度が含まれる、ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 基体上の前記機能性材料は、Si系、Ge系、SiGe系などの半導体材料であり、Si工程に利用できる、ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 基体は、Si基体の上に酸化膜または窒化膜を形成したものであり、基体上に成膜された機能性材料は、Si膜とBの不純物を含むGe膜をレイヤー・バイ・レイヤーの積層構造に作製した膜である、ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 基体上の機能性材料の温度勾配は、平均熱処理温度400℃において、温度上昇時に約40℃〜約60℃/8mm、温度下降時に約10℃〜約30℃/8mmであり、全体の温度上昇速度に対する温度勾配の変化は、温度上昇時に約10〜20℃/8mm/100℃、温度下降時共に約10〜20℃/8mm/100℃である、ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の構造傾斜材料。
- 前記電気伝導担体の特性に関連する機能性が、電気伝導性であり、この特性を利用することを特徴とする請求項2乃至18のいずれかに記載の構造傾斜材料を用いた機能素子。
- 前記電気伝導担体の特性に関連する機能性が、起電力効果の特性であり、この特性を利用する、ことを特徴とする請求項2乃至18のいずれかに記載の構造傾斜材料を用いた機能素子。
- 基体上の所望の機能性材料が、温度勾配を付けて熱処理する傾斜処理領域と一定温度で熱処理する均一処理領域とを有する、ことを特徴とする請求項19又は20に記載の機能素子。
- 機能素子が一部にpn接合を含む、ことを特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載の機能素子。
- 基体上の所望の機能性材料が、超格子構造、レイヤー・バイ・レイヤー構造、組成傾斜構造、多元素構成、層状異種材料の積層構造、又はこれらの組み合わせからなる、ことを特徴とする請求項19乃至22のいずれかに記載の機能素子。
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