JP2004265674A - イオン付着を利用する質量分析装置および質量分析方法 - Google Patents

イオン付着を利用する質量分析装置および質量分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属イオンの付着効率の低いガス成分、ガス成分同士の濃度差が大きいという試料ガスについて、精度良く検出を行い試料ガスの同定・定量を行えるイオン付着を利用する質量分析装置および質量分析方法を提供する。
【解決手段】イオン付着質量分析装置は、金属イオン放出機構21を有する反応室11、試料ガス61を導入するガス導入部62、第2ガス63を導入するガス導入部64、イオン化領域11aと、質量分析部40と、データ処理部15を備える。希釈ガス102を導入するガス導入部103を備え、かつデータ処理部は、質量分析部から与えられる信号に基づき、第1ガスに含まれるガス成分の各々の導入量とスペクトル強度とを比較・検討する比較検討部を有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン付着を利用した質量分析装置および質量分析方法に関し、特に、被測定ガスの分子に金属イオンを付着させて被測定ガスの同定・定量を行うとき、各成分ガスの分子での電気的偏りの差の大きい場合、または成分濃度差が大きい場合の被測定ガスの測定に適した質量分析の装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、試料(被測定物質)を同定・定量する方法として、ガス状試料またはガス化した試料をイオン化して荷電粒子を作り、この荷電粒子に電場または磁場を作用させ、当該荷電粒子における質量電荷比(m/z)の違いを利用して異なる荷電粒子を分離、検知、記録する質量分析法が知られている。
【0003】
質量分析法を実施する装置は、導入された試料に含まれる被測定物質をイオン化しイオンを生成するイオン源部と、生成されたイオンをその質量電荷比によって分離する質量分析部と、分離されたイオンを検出する検出部とを備えている。
【0004】
イオン源部における試料のイオン化法としては、従来、電子衝撃イオン化法、化学的イオン化法、電界イオン化法、電界脱離イオン化法などのいくつかのイオン化法が研究され、開発されている。これらのイオン化法は、測定対象である試料の性質に応じて使い分けられている。
【0005】
例えば、一般的に行われている電子衝撃イオン化法では、70eV程度の高エネルギの電子でイオン化が行われる。このため、一般に数eVの結合エネルギをもつガス分子(親分子)は分解され、親分子より小さなイオンすなわちフラグメントとして検出される。その結果、試料ガスの測定は、親分子の試料ガスそのものの測定データを用いるのではなく、各成分のガスについての固有のフラグメントパターンを利用することにより試料ガスの同定および定量が行われる。
【0006】
そのため、複数の成分からなる試料や、比較的大きな分子の成分および微量成分から成る試料では、各成分に起因するフラグメントが重なり合う場合があり、その分析精度を悪化する一因となっていた。
【0007】
そこで上記の問題を解決するため、特許文献1や、本発明と同じ出願人によって出願された特許文献2によって、試料ガスを成分に分解することなく親分子の形のままで分析できるイオン付着イオン化法による質量分析装置および質量分析方法が提案される。このイオン化方法は、結合エネルギが数eVのガス分子に対して1eV以下の低エネルギの金属イオンを付着させる方法である。これによって、親分子としてのガス分子と金属イオンの合計された質量数を分離・検出することができる。さらに本発明と同じ出願人によって出願された特許文献3では、正確かつ安定した定量分析を行うことができる発明が開示されている。
【0008】
次に、図8を参照して、イオン付着イオン化法を利用した従来のイオン付着質量分析装置の基本的な構成と作用を説明し、併せて特定な成分を含む被測定ガスを分析する際の問題を説明する。
【0009】
図8において、装置本体は、反応室11と、第1の差動排気室12と、第2の差動排気室13と、分析室14とから構成されている。分析室14にはデータ処理部15が接続されている。データ処理部15は、コンピュータで構成される制御装置18の機能の一部として当該制御装置18内に含まれている。反応室11はイオン付着を行うイオン化室であり、導入された試料ガスにイオンを付着させる反応が行われる。反応室11には試料ガス等を導入するためのガス導入機構16が設けられている。また、第1および第2の差動排気室12,13と分析室14に対して、複数の真空排気ポンプから成る排気機構17が設けられる。排気機構17において、第1および第2の差動排気室12,13と分析室14のそれぞれに対して真空排気ポンプが付設されている。
【0010】
反応室11の内部には、金属イオン放出機構20と、金属イオン放出体(エミッタ)21と、中央に開口23が形成された隔壁(アパーチャ)22が設けられる。金属イオン放出体21は金属イオン放出機構20内に含まれる。金属イオン放出機構20において、金属イオン放出体21を通電・加熱するワイヤ状の電圧印加部、リペラ電極、各種電源等の図示は省略されている。第1の差動排気室12は、第2の差動排気室13との間に、開口を有する第2の隔壁24を備える。第2の差動排気室13には集束レンズ30が設けられる。分析室14には分析部として例えば四重極型質量分析機構40とイオン検出器42が配置されている。イオン検出器42から出力される検出信号がデータ処理部15に与えられる。
【0011】
また上記の排気機構17には、第1の差動排気室用ポンプ51、第2の差動排気室用ポンプ52、分析室用ポンプ53、補助ポンプ54,55が含まれる。なお排気機構17において、装置構成によってはポンプを兼用する場合もある。
【0012】
反応室11、第1の差動排気室12、第2の差動排気室13、分析室14の各々では、排気機構17の排気作用に基づき所要の真空状態、すなわち大気以下の減圧雰囲気に保持される。排気機構17によって、好ましくは、分析室11は100Paに、第1と第2の差動排気室12,13は0.1Pa以下に、分析室14は10−3(1E−3)Paに、それぞれ減圧されている。排気機構17の各真空ポンプによる排気動作は上記制御装置18によって制御される。反応室11では、金属酸化物で作られた金属イオン放出体21を加熱し、例えばLiなどの正電荷の金属イオンを発生させ放出させる。
【0013】
ガス導入機構16は、試料ガス61を反応室11内に導入するための配管状のガス導入部62と、N等の第2ガス63を反応室11内に導入するための配管状のガス導入部64を備える。試料ガス61は被測定物質を含む。矢印65は試料ガス61の流れを示し、矢印66は第2ガス63の流れを示している。ガス導入部64には1つの流量調整バルブV1が設けられ、ガス導入部62には2つの流量調整バルブV2,V3が設けられている。バルブV1,V2は反応室11内への各ガスの導入量を調整し、バルブV3は試料ガスの外への排出量を調整する。バルブV1〜V3の開閉動作は上記の制御装置18によって所要の手順で行われる。
【0014】
制御装置18によるバルブV1〜V3の開閉動作の制御手順の一例は次の通りである。
【0015】
反応室11に配置した反応室内の減圧状態(真空度)を測定する真空計19の測定信号に基づいて、先ず、被測定ガス(被測定物質)を含む試料ガス61(ここでは被測定ガス61ともいう)を導入するガス導入部62のバルブV2,V3の開度を調節して被測定ガス61を0.1Pa導入した後、第2ガス63を導入するガス導入部64のバルブV1を調節して当該第2ガスを導入し、反応室11での全圧を100Paにする。このような減圧状態で被測定ガスの分子に金属イオンを付着させ、装置の後段で測定が行われる。反応室11内に示された斜線領域11aが、イオン付着が行われる領域である。その測定の一例は上記特許文献3により開示されている。
【0016】
反応室11には、ガス導入機構16により、試料ガスすなわち被測定ガス61と、その他のガス(N等)である第2ガス63が導入される。被測定ガス61の分子の電荷の偏りのある場所に前述した金属イオンが穏やかに付着し、被測定ガス61の分子全体が正電荷の状態にて帯電する。Li等の金属イオンが付着した被測定ガスの分子(擬分子イオン)は、付着直後は余分のエネルギを持っているので(余剰エネルギ)、解離しやすい状態にある。そこで、上記の金属イオンが付着しにくいその他のガスすなわち上記の第2ガス(第三体ガス)63を導入する。第2ガス63を導入することにより反応室11内の全圧を100Pa程度にする。これにより、被測定ガスの擬分子イオンは多数回の衝突を生じ、余剰エネルギが吸収され、安定した擬分子イオンとなる。
【0017】
金属イオン放出体21は+10Vの電圧が印加され、隔壁22はアース電位に保持され、集束レンズ30の両端は0Vおよびその中央には+10Vの電圧が印加されている。また四重極型質量分析機構40の中心部の電位は0Vに保たれている。なお、図8の各部に対して所定電圧を印加する各種の電源の図示は省略されている。
【0018】
金属イオンLiが付着した被測定ガスの分子(擬分子イオン)は、隔壁22および集束レンズ30の左端円筒により形成される電界に引かれて、反応室11から集束レンズ30の方向に引き出され、集束レンズ30に入ったイオン化された被測定ガス分子は、中央円筒のプラス電位により集束され、四重極型質量分析機構40に入射される。四重極型質量分析機構40によって被測定ガス分子は分解されることなく親分子の形で質量電荷比(m/z)に基づき分離され、検出される。
【0019】
上記構成を有する従来のイオン付着質量分析装置において、試料ガス61として、一般廃棄物や産業廃棄物を焼却することで生じる焼却ガス、金属精錬プロセスから排出されるガス、自動車等の排ガス、または大気中の汚染物質を対象する場合には、これらの試料ガス61の中には、被測定物質の他に、本来的に測定対象としない水分等のガスも含まれている。これらの非測定対象である水分等のガスには電気的に電子の偏りの大きいガス成分が存在する。前述の通り、イオン付着質量分析法では、被測定ガス分子の電荷の偏りのある場所に金属イオンが穏やかに付着して形成された擬分子イオンを測定するものなので、被測定ガス中にそのような電気的に偏りの大きいガス成分が存在すると、前述の金属イオンは本来測定したいガス成分よりも先に付着する。すなわち本来の被測定ガス分子よりも、電気的に偏りの大きいガス成分に対する金属イオン付着効率が高くなる。さらに、このような電気的偏りの大きいガスは、ガス同士が電気的に複数付着し、多量体を形成しやすいという特性を有する。
【0020】
【特許文献1】
特許第3236879号公報
【特許文献2】
特開平2001−174437号公報
【特許文献3】
特開2001−351568号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
前述した構成を有する従来のイオン付着質量分析装置では、非測定対象でありながら付着効率の高いガス成分を含む被測定ガスを測定する場合、金属イオンが非測定対象のガス成分に付着してしまい、本来測定すべきガス成分に付着できないという状況が発生する。これは、金属イオン放出機構から放出できる金属イオンの量に制限があるということに起因する。
【0022】
さらに、含まれるガス成分の間で成分濃度に著しい差がある試料ガスの場合には、濃度の高いガス成分に金属イオンが付着し、低濃度のガス成分には完全にまたは部分的に付着できない状況が発生する。この場合には、被測定物質に係るガス成分の実際の存在率を反映したマススペクトルを得ることは不可能となる。すなわち、特定のガス成分の実際の濃度とスペクトル強度との間のリニアリティ(線形性)が阻害される現象が発生し、ガス成分が微量である場合には、検出されない場合も生じる。
【0023】
また非測定対象の付着効率の高いガス成分同士が多数付着した多量体は、被測定ピークに重なって干渉ピークとなる場合があり、このため、測定の精度を低下させるという問題を生じる。
【0024】
本発明の目的は、上記各問題に鑑み、金属イオンの付着効率の低いガス成分またはガス成分同士の濃度差が大きいという特性を有する試料ガスについても、精度良く検出を行って試料ガスの同定または定量を行うことができるイオン付着を利用する質量分析装置および質量分析方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係るイオン付着を利用した質量分析装置および質量分析方法は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0026】
イオン付着質量分析装置は、基本的な装置構成として、正電荷である金属イオンを発生する金属イオン放出機構を有する反応室(イオン化室)と、この反応室へ被測定物質を含む第1ガス(試料ガス)を導入する第1ガス導入部と、反応室へ第2ガス(第三体ガス)を導入する第2ガス導入部と、反応室内にて第2ガスの雰囲気で第1ガスに金属イオンを付着させるイオン化領域と、第1ガスに関する生成イオンを質量分析する質量分析部と、質量分析のデータを処理するデータ処理部とを備えている。
【0027】
第1のイオン付着質量分析装置は、上記の基本的構成において、さらに、第1ガスを希釈する物質(希釈ガス)を導入する希釈物質導入部(希釈ガス導入部)を備え、さらにデータ処理部は、質量分析部から与えられる信号に基づき、第1ガスに含まれるガス成分の各々の導入量とスペクトル強度とを比較・検討する比較検討部を有している。
【0028】
第1のイオン付着質量分析装置では、試料ガスを導入する段階で、希釈ガスを導入することにより試料ガスを所定圧力で導入し、さらにその後で第2ガスを導入して反応室の全圧を所定値に設定し、その状態で測定を行い、データ処理部の比較検討部で測定データに関して第1ガスに含まれるガス成分の各々の導入量とスペクトル強度とを比較・検討しながら、測定を繰り返す。測定の繰返しにおいて、今回の測定で得られた測定データと前回の測定データとを比較・検討し、かつそれらをグラフとしてプロットした時に描かれる測定データ特性曲線の傾斜が比例関係からある値以上外れたか否かを判定し、外れた場合には試料ガスのそれ以上の導入を停止し、測定を終了する。このようなイオン付着質量分析の構成によって、第1ガスすなわち試料ガスのうち最も濃度の薄いガス成分がその導入量に対して比例関係のスペクトル強度が検出されるように調整し、測定が行われる。上記の構成によって、イオン化効率の低い低濃度の被測定物質の定性および定量(濃度)の測定を高感度で行うことが可能となる。
【0029】
第2のイオン付着質量分析装置(請求項2に対応)は、前述の基本的構成において、さらに、第1ガスを希釈する物質を導入する希釈物質導入部と、定量するための標準物質を導入する標準物質導入部とを備え、データ処理部は、質量分析部から与えられる信号に基づき、第1ガスに含まれるガス成分の各々の導入量とスペクトル強度とを比較・検討すると共に、希釈率を求めてガス成分の各々の絶対値を算出する演算部を有する。
【0030】
第2のイオン付着質量分析装置では、標準物質に係るガスを利用することにより、イオン化効率の低い低濃度の被測定物質(各ガス成分)の定量(絶対値)を感度良く計測することができる。
【0031】
第3のイオン付着質量分析装置(請求項3に対応)は、上記の第1または第2の構成において、好ましくは、第1ガスを希釈する希釈物質は反応室内にて化学的に安定なガスであることを特徴とする。この構成によって、希釈物質に対する金属イオンの付着効率は非常に低くなるので、測定が阻害されることを防止できる。
【0032】
第4のイオン付着質量分析装置(請求項4に対応)は、上記の各構成において、第1ガスを希釈する希釈物質は上記第2ガスと同じ物質であることを特徴とする。この構成によれば、装置構成を簡易化できる。
【0033】
第5のイオン付着質量分析装置(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、第1ガスを希釈する希釈物質として、第2ガス導入部で導入される第2ガスが併用される。この構成によれば、従来の装置から大型化することなく、簡易な装置構成で精度の高い測定を行うことができる。
【0034】
第6のイオン付着質量分析装置(請求項6に対応)は、上記の第1または第2等の構成において、好ましくは、第1ガス導入部の前段部分に、第1ガスを通過させて第1ガスに含まれる分析阻害成分を除去する除去部を設けることで特徴づけられる。この構成では、反応室に第1ガスを導入する以前に阻害成分を除去することができ、精密な測定が可能であり、金属イオン放出機構の寿命を長くすることができる。
【0035】
第7のイオン付着質量分析装置(請求項7に対応)は、前述した基本的構成において、第1ガス導入部の前段部分に、第1ガスを通過させて第1ガスに含まれる分析阻害成分を除去する除去部を設けることで特徴づけられる。この構成では、反応室に第1ガスを導入する以前に阻害成分を除去することができ、精密な測定が可能であり、金属イオン放出機構の寿命を長くすることができる。
【0036】
第8のイオン付着質量分析装置(請求項8に対応)は、上記の第6または第7の構成において、好ましくは、除去部の充填材としてモレキュラーシーブを用いることを特徴とする。これによって、水分等の阻害ガス成分を除去することができる。
【0037】
第9のイオン付着質量分析装置(請求項9に対応)は、上記の第6または第7の構成において、好ましくは、除去部の充填材として有機溶媒を用いることを特徴とする。有機溶媒の種類を親水性または疎水性の選択を行うことにより、前者では水分除去、後者では自動車排気ガス中等の未反応の炭化水素を除去することが可能となる。
【0038】
第10のイオン付着質量分析装置(請求項10に対応)は、上記の各構成において、上記第2ガスは、金属イオン放出機構の内部空間に直接に導入され、第1ガスは金属イオン放出機構の下流側に導入されることを特徴とする。この構成により、金属イオン放出機構は常に清浄な状態に保持され、第1ガスに含まれる例えば水分等のような測定阻害物質に晒されることがないので、希釈を正確に行うことができる。
【0039】
第1のイオン付着質量分析方法(請求項11に対応)は、 金属イオン放出機構を有する反応室に、被測定物質を含む第1ガスと、第2ガスとを導入し、第2ガスの雰囲気で金属イオン放出体から放出された金属イオンを第1ガスに付着させ、被測定物質に係るガスをイオン化した後に質量分析する方法であり、被測定物質に係るガスに含まれるガス成分の各々が比例関係で増加するように、第1ガスを希釈ガスで希釈するステップと、希釈率を演算するステップと、希釈率から被測定物質の濃度を測定するステップと、を備える方法である。
【0040】
第2のイオン付着質量分析方法(請求項12に対応)は、金属イオン放出機構を有する反応室に、被測定物質を含む第1ガスと、第2ガスとを導入し、第2ガスの雰囲気で金属イオン放出体から放出された金属イオンを第1ガスに付着させ、被測定物質に係るガスをイオン化した後に質量分析する方法であり、被測定物質に係るガスに含まれるガス成分の各々が比例関係で増加するように第1ガスを希釈ガスで希釈するステップと、希釈率を演算するステップと、希釈率から被測定物質の濃度を測定するステップと、反応室に定量のための標準物質を導入するステップと、標準物質のイオン強度と被測定物質のイオン強度との比を求めるステップと、比を利用して被測定物質の定量を行うステップと、を備える方法である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0042】
本発明に係る第1の実施形態を図1を参照して説明する。図1に示された構成について、基本的な構成部分は、図8で説明した従来装置の構成と同じであるので、図8で説明された要素と実質的に同一の要素には同一の符合を付している。以下、質量分析装置の構成を概説する。
【0043】
図1において、装置本体は反応室11と第1差動排気室12と第2差動排気室13と分析室14から構成され、分析室14にはデータ処理部15が接続されている。データ処理部15は、コンピュータで構成された制御装置101に含まれている。反応室11にはガス導入機構16が接続され、外部に真空計19が付設されている。第1および第2の差動排気室12,13と分析室14に対して排気機構17が設けられる。
【0044】
反応室11の内部には、金属イオン放出機構20と、金属イオン放出体(エミッタ)21と、イオン付着が行われるイオン化領域11aと、開口23が形成された隔壁22とが設けられる。第1差動排気室12と第2差動排気室13の間には第2隔壁24が備えられ、第2差動排気室13には集束レンズ30が設けられ、分析室14には四重極型質量分析機構40とイオン検出器42が配置される。イオン検出器42から出力される検出信号はデータ処理部15に与えられる。
【0045】
排気機構17は、第1の差動排気室用ポンプ51と、第2の差動排気室用ポンプ52と、分析室用ポンプ53と、補助ポンプ54,55とから構成される。
【0046】
上記のガス導入機構16は、試料ガス61を反応室11内に導入するガス導入部62、N等の第2ガス63を反応室11内に導入するガス導入部64を備える。矢印65は試料ガス61の流れを示し、矢印66は第2ガス63の流れを示す。試料ガス61は少なくとも1種類の被測定物質を含む。第2ガスは、主に前述した余剰エネルギを奪い取る機能を有するいわゆる第三体ガスである。ガス導入部64には流量調整バルブV1が設けられ、ガス導入部62には流量調整バルブV2,V3が設けられている。
【0047】
さらに本実施形態のガス導入機構16では、ガス導入部62には他の流量調整バルブV4が設けられると共に、希釈ガス102を、ガス導入部62におけるバルブV4の下流側に導入するガス導入部103が設けられる。ガス導入部103には希釈ガスの導入量を調整する流量調整バルブV5が設けられる。
【0048】
上記制御装置101には、データ処理部15に加えて、バルブV1〜V5の流量を調整・制御するバルブ制御部104、排気機構17の各真空ポンプの動作を制御する排気制御部105、およびメモリ106を有している。以下の説明において、バルブV1〜V5での流量調整動作はバルブ制御部104からの制御指令S1で行われ、排気機構17による排気動作は排気制御部105からの制御指令S2で行われる。
【0049】
また本実施形態に係るデータ処理部15は、従来のイオン付着質量分析装置で実行されている通常のデータ処理および演算と、併せて、後述されるデータ処理および演算等が実行される。
【0050】
図8に示した従来の装置では、前述の通り、反応室11内の減圧状態を測定する真空計19の測定信号に基づき、ガス導入部62のバルブV2,V3を調節して反応室11で試料ガス61を0.1Pa導入した後、ガス導入部64のバルブV1を調節して第2ガス63を導入し、全圧を100Paにして測定を行うようにしていた。
【0051】
これに対して、第1実施形態による質量分析装置では、反応室11に接続された真空計19により反応室11の内部の全圧を測定しながら、バルブV4とバルブV5を調整して試料ガス61と希釈ガス102を混合し、バルブV2を開いてこの混合ガスを反応室11に0.1Pa導入する。その後にバルブV1を調整して第2ガス63を導入し、反応室11の内部の全圧が100Paになるように調整する。なお「全圧」とは、含まれている組成ガスのそれぞれの圧力(分圧)の合計を意味する。
【0052】
次に、図2のフローチャートを参照して、希釈ガス102による試料ガス61の希釈、および測定の手順の詳述する。
【0053】
バルブV2を開いている状態で、例えば、通常の試料ガス導入量より少ない0.01Pa程度またはそれより小さい圧力P1による試料ガス61をバルブV4の開度を調整して反応室11に導入し(ステップST1)、その後、バルブV5を介して希釈ガス102を導入して反応室11の全圧を好ましくは0.1Paに調整する(ステップST2)。
【0054】
希釈ガス11の希釈物質は、好ましくは、反応室11内にて化学的に安定な状態を保つ物質である。希釈ガス11として、例えば、第2ガス(例えばN)63と同じガスを用いてもよい。
【0055】
その後、バルブV1の開度を調整しながら第2ガス63を導入して反応室11内での全圧を好ましくは100Paにする(ステップST3)。その状態で、その後、このときの試料ガス61に含まれる複数の被測定物質に係る成分の各々のスペクトル強度を希釈率を利用しながら測定し(ステップST4)、測定で得られたデータを制御装置101内のメモリ106に保存する(ステップST5)。なお図2では、以上のステップST3,ST4,ST5を1つのルーチンとしてまとめて処理ブロックST20として示している。
【0056】
その後、いったんバルブV1を閉めて第2ガス63の導入を停止し(ステップST6)、試料ガス61の導入を継続してその圧力P2が上記の圧力P1よりも大きくかつ0.1Paよりも小さくなるようにし(ステップST7)、それに合わせて導入される希釈ガスをバルブV5で調整して導入することにより内部の全圧を好ましくは0.1Paにする(ステップST8)。
【0057】
第2ガス63の導入をいったん停止する時、反応室11の内部は排気機構17によって排気される。なお、バルブV1等にマスフローコントローラを用いていれば、前述の排気動作は不要となる。
【0058】
その後に第2ガス63をバルブV1の開度を調整しながら導入し、反応室11内の全圧を好ましくは100Paにする。このとき、再び、各成分のスペクトル強度を測定し、測定データを制御装置101のメモリ106に保存する。すなわち、前述の処理ブロックST20が実行される。
【0059】
今回の測定で得られた測定データと前回の測定データとを比較・検討し、かつそれらをグラフとしてプロットした時に描かれる測定データ特性曲線の傾斜が比例関係からある値以上外れたか否かが判定される(ステップST9)。判定ステップST7でNOであるときにはステップST6に戻り、YESであるときには、試料ガス61のそれ以上の導入を停止する(ステップST10)。
【0060】
判定ステップST7においてNOである限り、ステップST6および処理ブロックST20における上記の「第2ガス63の導入」、「測定」、「メモリ保存」を繰り返し、データ処理部15において、導入量と、これら各成分ごとのスペクトル強度との関係を算出する。
【0061】
上記の繰返しの測定動作において、繰り返される測定のそれぞれの時の測定値と前回の測定値とが比較・検討され、かつそれらをプロットした時の傾斜が比例関係からある値以上外れた場合には、試料ガス61のそれ以上の導入を停止する。すなわち、試料ガス61のうち最も濃度の薄いガス成分がその導入量に対して比例関係のスペクトル強度が検出されるように、調整する。
【0062】
上記のように測定動作を行うようにすれば、試料ガス61が、例えば、金属イオンの付着しやすい非測定対象のガス成分である水分子等を含む場合、あるいは、含まれる各ガス成分の濃度差が非常に大きい場合であっても、金属イオン放出機構20の金属イオン放出体21から放出された金属イオンは、試料ガス61に含まれる被測定物質の各成分に充分付着させて各成分の濃度に応じたスペクトルを得ることができる。
【0063】
ここで、上記の「金属イオンの付着しやすい」とは「電気的偏りが強くて金属イオンが付着しやすい」または「付着効率が高い」という意味である。また「非測定対象のガス成分」とは「測定対象としないガス成分」または「測定阻害ガス成分」という意味である。
【0064】
また、金属イオンに対して付着効率の高い電荷の偏りの大きい非測定対象ガス成分を適当に希釈できるので、それら同士が多量体を形成して干渉ピークとなることを避けることができる。
【0065】
なお希釈率を利用することにおいて「希釈率」の演算が行われる。希釈率の演算については、試料ガス61と希釈ガス102の分圧により算出される。希釈率を利用して被測定物質の濃度が測定される。また予め、標準物質(濃度既知の特定成分)の全圧依存データをデータ処理部15に入力しかつメモリ106に保存しておくことにより、実際の測定成分の定量を算出することができる。
【0066】
図3を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。図3において、図1で説明した要素と同一の要素には同一の符合を付し、その説明を省略する。同一符合を付した構成部分の動作は、前述した第1実施形態と実質的に同じである。
【0067】
第2実施形態の構成での特徴は、流量調整バルブV2の下流側の箇所に標準ガス111を標準ガス導入部112を介して導入するようにした点にある。標準ガス111としては、それぞれ濃度既知のガスを収容する複数のガスボンベを用意して各ガスを導入されるか、または既知濃度の混合ガスを予め用意して導入される。
【0068】
第2実施形態では、第1実施形態の構成・作用において、標準ガス111を導入して検量線を作り、この検量線について測定したデータ(標準物質のイオン強度)を、被測定ガスのスペクトル強度(被測定物質のイオン強度)と比較し、または、希釈率から算出した各ガス成分のスペクトル強度と比較する。
【0069】
第2実施形態のイオン付着質量分析法によれば、第1実施形態の場合に比較して正確な定量を行うことができる。第2実施形態において、標準ガス111の測定時期は、被測定ガスを測定する前、あるいは測定前と適当時期の複数回行えば、より正確な定量測定が可能である。
【0070】
なお希釈ガス102は、反応室11で金属イオン放出体21から放出された金属イオンが付着しにくい、化学的に安定な物質ならよく、好適には第2ガス63と同じであれば、装置構成を大型化する必要がなくなるのでさらによい。
【0071】
図4に従って本発明の第3の実施形態を説明する。第3実施形態では、上記の第1実施形態の構成において、上記希釈ガス102の役割を第2ガス63によって代替させるように構成した例である。装置構成的には、図1で示した第1実施形態の構成において、希釈ガス102に関する構成部分およびバルブV4がなくなり、その他の構成は図1に示した構成と実質的に同一である。第3実施形態の装置構成は、図8で説明した構成と類似する。
【0072】
第3実施形態に係るイオン付着質量分析装置の特徴的な点としては、第2ガス63を導入するためのガス導入部64において、流量調整バルブV1の導入流量を調整するための制御動作が変更される。
【0073】
第3実施形態でのガス導入機構16でのガス導入の仕方は、反応室11において、試料ガス61を0.1Pa以下に導入した後、バルブV1を調整して第2ガス63を希釈ガスおよび第三対ガスとして導入して100Paにし各成分を測定する。次に、試料ガス(被測定物質を含むガス)61を増加して、反応室11での全圧が100Paなるように第2ガス63を導入する。
【0074】
上記のステップを繰り返しながら各ガス成分ごとのスペクトル強度と導入量との関係を算出し、プロットした各測定時の測定値と前回の測定値を比較検討し、各々の傾斜が比例関係からある値以上外れた場合に被測定ガスのそれ以上の導入を停止する。基本的には第1実施形態と同様な測定手順が実行され、同様な効果で試料ガスを測定することができる。第3実施形態によれば、第2ガスで希釈ガスを代用させることができるので、装置構成を簡単化することができる。また従来のイオン付着質量分析装置に若干の変更を施すだけで実現することができるという利点がある。
【0075】
図5に従って本発明の第4の実施形態を示す。第4実施形態は、第3実施形態の変形例であり、第3実施形態の構成において、第2実施形態で説明した標準ガス111を加える標準ガス導入部112の構成を付加している。第4実施形態では、第2実施形態の特徴的構成を第3実施形態の構成に組み合わせている。第4実施形態においても、上記希釈ガス2を第2ガス63によって代替させている。
【0076】
第4実施形態の構成によっても、被測定ガスを0.1Pa以下導入した後、V1のバルブを調整して第2のガスを導入し、100Paにして各成分を測定する。次に被測定ガスを増加して、全圧が100Paなるように第2のガスを導入する。これを繰り返しながら各成分ごとのスペクトル強度と導入量との関係を算出し、プロットした各測定時の測定値と前回の測定値を比較検討し、各々の傾斜が比例関係からある値以上外れた場合に被測定ガスのそれ以上の導入を停止する。
【0077】
次に図6に従って本発明の第5の実施形態を説明する。図6において、図1で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符合を付している。第5実施形態は、試料ガス61を反応室11へ導入するガス導入部62の経路に非測定対象の測定阻害物質を吸収させる除外機構121が設けられている。この測定阻害物質を吸収する除外機構121は、例えば水分を吸収するためのモレキュラーシーブのような充填材が充填されている。使用経過により充填材の機能低下が見込まれる時期には、充填材を交換するか、または加熱機構を設けて、水分を除去しても良い。この場合には、バルブV3を開いて吸引ポンプ122で排気が行われる。
【0078】
図7に従って本発明の第6の実施形態を説明する。図7において、図1で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符合を付している。この第6実施形態では、前述した除外機構として、容器131に充填した有機溶媒132が用いられる。有機溶媒132は、除外成分が水分の場合には親水性の例えばグリーコール等のアルコール類であり、除外成分が燃焼未反応の炭化水素系物質の場合には疎水性の有機溶媒である。燃焼未反応の炭化水素計物質は例えば自動車排気ガス中に含まれる。これらの有機溶媒132の蒸気が、僅かに分析室11へ導入されることがあるが、予め成分が分かっているので、測定スペクトルから被測定物質のスペクトルを区別することができる。
【0079】
なお第5および第6の実施形態であっても、試料ガスを反応室11に導入する場合に、例えば第2ガス63を上記希釈ガスとして併用し、当該第2ガス63を金属イオン放出機構20に直接に導入する構成を採用することができる。この構成によれば、僅かに反応室11に導入される除去用充填材に起因する物質や、除去用充填材の能力を超えて吸着されずに反応室11に導入される阻害物質に基づく金属イオン放出体21の表面の汚染を防止することができる。
【0080】
なお、第1から第6の実施形態において、試料ガス61を反応室11に導入する場合に、希釈ガス102を金属イオン放出機構20の内部に直接導入し、反応室11のイオン化領域11aにおいて、試料ガス61の被測定物質に係るガスが、希釈ガス102と共に押し出されてくる金属イオンと反応するような構成にすることもできる。この構成によれば、被測定ガスが金属イオン放出体21に直接に触れることがないので、金属イオン放出体21の表面をいつも清浄に保つことができ、希釈を正確に行うことができる。
【0081】
本発明によるイオン付着質量分析装置またはイオン付着質量分析方法は、前述の各実施形態の構成を任意に組み合わせて構成することができる。また前述の各実施形態の説明において、図面にされた構成は本発明が理解できる程度に概略的に示されたものであって、物質および数値の限定は例示に過ぎない。従って、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載される技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な形態に適用することができるのは勿論である。
【0082】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、次のような効果を奏する。
【0083】
本発明に係るイオン付着を利用した質量分析装置または質量分析方法は、被検出物質を含む試料ガスが、金属イオンの付着効率の低い低濃度のガス成分を含む場合、またはガス成分同士の濃度差が大きいという特性を有する場合であっても、試料ガスと共に希釈ガスを導入し、比例関係が保持される試料ガスの希釈状態で第2ガスを導入して測定を行い、イオン化効率の低い低濃度の被測定物質の定性および定量(濃度)の計測を高感度で行うことができる。
【0084】
標準物質を導入するように構成した本発明によれば、イオン化効率の低い低濃度の被測定物質の定量を絶対濃度で高感度で計測することができる。
【0085】
第2ガスで希釈ガスを代替させるように構成された本発明によれば、上記の効果に加え、従来装置を構成を利用し装置を大型化することなく、かつ複雑なガス導入機構を用いることなく、精度の高い測定を行うことができる。
【0086】
分析阻害物質を除去する除去機構部を備えるように構成された本発明によれば、反応室に試料ガスを導入する以前に阻害成分を所京することができるので、精密な測定ができ、金属イオン放出機構の寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るイオン付着質量分析装置の第1実施形態を示す概略的な装置構成図である。
【図2】第1実施形態におけるイオン付着質量分析法での測定手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係るイオン付着質量分析装置の第2実施形態を示す概略的な装置構成図である。
【図4】本発明に係るイオン付着質量分析装置の第3実施形態を示す概略的な装置構成図である。
【図5】本発明に係るイオン付着質量分析装置の第4実施形態を示す概略的な装置構成図である。
【図6】本発明に係るイオン付着質量分析装置の第5の実施形態を示す概略的な装置構成図である。
【図7】本発明に係るイオン付着質量分析装置の第6実施形態を示す概略的な装置構成図である。
【図8】従来のイオン付着質量分析装置の構成を示す概略的な装置構成図である。
【符号の説明】
11 反応室
12 第1差動排気室
13 第2差動排気室
14 分析室
15 データ処理部
16 ガス導入機構
17 排気機構
19 真空計
20 金属イオン放出機構
21 金属イオン放出体
40 四重極型質量分析部
61 試料ガス
63 第2ガス
101 制御装置
102 希釈ガス
103 希釈ガス導入部
104 バルブ制御部
105 排気制御部
106 メモリ

Claims (12)

  1. 金属イオンを発生する金属イオン放出機構を有する反応室と、この反応室へ被測定物質を含む第1ガスを導入する第1ガス導入手段と、前記反応室へ第2ガスを導入する第2ガス導入手段と、前記反応室内にて前記第2ガスの雰囲気で前記第1ガスに前記金属イオンを付着させるイオン化領域と、前記第1ガスに関する生成イオンを質量分析する質量分析部と、前記質量分析のデータを処理するデータ処理手段とを備えるイオン付着質量分析装置において、
    前記第1ガスを希釈する物質を導入する希釈物質導入手段を備え、
    前記データ処理手段は、前記質量分析部から与えられる信号に基づき、前記第1ガスに含まれるガス成分の各々の導入量とスペクトル強度とを比較・検討する比較検討手段を有することを特徴とするイオン付着質量分析装置。
  2. 金属イオンを発生する金属イオン放出機構を有する反応室と、この反応室へ被測定物質を含む第1ガスを導入する第1ガス導入手段と、前記反応室へ第2ガスを導入する第2ガス導入手段と、前記反応室内にて前記第2ガスの雰囲気で前記第1ガスに前記金属イオンを付着させるイオン化領域と、前記第1ガスに関する生成イオンを質量分析する質量分析部と、前記質量分析のデータを処理するデータ処理手段とを備えるイオン付着質量分析装置において、
    前記第1ガスを希釈する物質を導入する希釈物質導入手段と、定量するための標準物質を導入する標準物質導入手段とを備え、
    前記データ処理手段は、前記質量分析部から与えられる信号に基づき、前記第1ガスに含まれるガス成分の各々の導入量とスペクトル強度とを比較・検討すると共に、希釈率を求めて前記ガス成分の各々の絶対値を算出する演算手段を有することを特徴とするイオン付着質量分析装置。
  3. 前記第1ガスを希釈する希釈物質は前記反応室内にて化学的に安定なガスであることを特徴とする請求項1または2記載のイオン付着質量分析装置。
  4. 前記第1ガスを希釈する希釈物質は前記第2ガスと同じ物質であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン付着質量分析装置。
  5. 前記第1ガスを希釈する希釈物質として、前記第2ガス導入手段で導入される前記第2ガスが併用されることを特徴とする請求項4記載のイオン付着質量分析装置。
  6. 前記第1ガス導入手段の前段部分に、前記第1ガスを通過させて前記第1ガスに含まれる分析阻害成分を除去する除去手段を設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のイオン付着質量分析装置。
  7. 金属イオンを発生する金属イオン放出機構を有する反応室と、この反応室へ被測定物質を含む第1ガスを導入する第1ガス導入手段と、前記反応室へ第2ガスを導入する第2ガス導入手段と、前記反応室内にて前記第2ガスの雰囲気で前記第1ガスに前記金属イオンを付着させるイオン化領域と、前記第1ガスに関する生成イオンを質量分析する質量分析部と、前記質量分析のデータを処理するデータ処理手段とを備えるイオン付着質量分析装置において、
    前記第1ガス導入手段の前段部分に、前記第1ガスを通過させて前記第1ガスに含まれる分析阻害成分を除去する除去手段を設けることを特徴とするイオン付着質量分析装置。
  8. 前記除去手段の充填材としてモレキュラーシーブを用いることを特徴とする請求項6または7記載のイオン付着質量分析装置。
  9. 前記除去手段の充填材として有機溶媒を用いることを特徴とする請求項6または7記載のイオン付着質量分析装置。
  10. 前記第2ガスは、前記金属イオン放出機構の内部空間に直接に導入され、前記第1ガスは前記金属イオン放出機構の下流側に導入されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオン付着質量分析装置。
  11. 金属イオン放出機構を有する反応室に、被測定物質を含む第1ガスと、第2ガスとを導入し、前記第2ガスの雰囲気で前記金属イオン放出体から放出された金属イオンを前記第1ガスに付着させ、前記被測定物質に係るガスをイオン化した後に質量分析するイオン付着質量分析方法において、
    前記被測定物質に係るガスに含まれるガス成分の各々が比例関係で増加するように、前記第1ガスを希釈ガスで希釈するステップと、
    希釈率を演算するステップと、
    前記希釈率から前記被測定物質の濃度を測定するステップと、
    を含んで成ることを特徴とするイオン付着質量分析方法。
  12. 金属イオン放出機構を有する反応室に、被測定物質を含む第1ガスと、第2ガスとを導入し、前記第2ガスの雰囲気で前記金属イオン放出体から放出された金属イオンを前記第1ガスに付着させ、前記被測定物質に係るガスをイオン化した後に質量分析するイオン付着質量分析方法において、
    前記被測定物質に係るガスに含まれるガス成分の各々が比例関係で増加するように前記第1ガスを希釈ガスで希釈するステップと、
    希釈率を演算するステップと、
    前記希釈率から前記被測定物質の濃度を測定するステップと、
    前記反応室に定量のための標準物質を導入するステップと、
    前記標準物質のイオン強度と前記被測定物質のイオン強度との比を求めるステップと、
    前記比を利用して前記被測定物質の定量を行うステップと、
    を含んで成ることを特徴とするイオン付着質量分析方法。
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