JPH08315767A - 微量ガス分析装置 - Google Patents
微量ガス分析装置Info
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- JPH08315767A JPH08315767A JP11706395A JP11706395A JPH08315767A JP H08315767 A JPH08315767 A JP H08315767A JP 11706395 A JP11706395 A JP 11706395A JP 11706395 A JP11706395 A JP 11706395A JP H08315767 A JPH08315767 A JP H08315767A
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- gas
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 試料ガスの絶対検出感度を上げ、バックグラ
ンドに対するシグナルの検出効果向上可能な微量ガス分
析装置を提供する。 【構成】 真空容器内の試料ガスをイオン化し、分析す
るガス分析装置であり、イオン化領域4を試料導入部5
と対向させ、かつ該導入部との距離を試料ガス分子の平
均自由行程の10分の1以下となるようにして設けた装
置。
ンドに対するシグナルの検出効果向上可能な微量ガス分
析装置を提供する。 【構成】 真空容器内の試料ガスをイオン化し、分析す
るガス分析装置であり、イオン化領域4を試料導入部5
と対向させ、かつ該導入部との距離を試料ガス分子の平
均自由行程の10分の1以下となるようにして設けた装
置。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種気相処理における
ガス分析又は試料からの離脱ガスの分析に用いられる微
量ガス分析装置に関する。
ガス分析又は試料からの離脱ガスの分析に用いられる微
量ガス分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種気相処理における残留ガス、雰囲気
ガスの分析では、相対的な検出感度はもとより、高い絶
対検出感度をもつガス分析装置が要求される。特に、半
導体製造プロセスにおいては、集積度の増加に伴う加工
の微細化により、真空処理槽内の僅かな残留ガス成分に
よる処理表面の汚染が重要な問題となっている。このよ
うな真空の質を評価するには、単に装置内の全圧を測定
するだけではなく、分圧の低い微量ガス成分を感度良く
識別することが必要である。
ガスの分析では、相対的な検出感度はもとより、高い絶
対検出感度をもつガス分析装置が要求される。特に、半
導体製造プロセスにおいては、集積度の増加に伴う加工
の微細化により、真空処理槽内の僅かな残留ガス成分に
よる処理表面の汚染が重要な問題となっている。このよ
うな真空の質を評価するには、単に装置内の全圧を測定
するだけではなく、分圧の低い微量ガス成分を感度良く
識別することが必要である。
【0003】又、試料を加熱或いは光照射して、試料表
面から離脱、放出されるガス分子を測定する昇温離脱分
光法は、表面にしか存在しない微量の結合状態を感度良
く調べる方法として注目されているが、シリコンウエハ
のように鏡面で表面積の小さな試料では、発生するガス
が非常に微量であり、高い絶対検出感度が必要不可欠で
ある。
面から離脱、放出されるガス分子を測定する昇温離脱分
光法は、表面にしか存在しない微量の結合状態を感度良
く調べる方法として注目されているが、シリコンウエハ
のように鏡面で表面積の小さな試料では、発生するガス
が非常に微量であり、高い絶対検出感度が必要不可欠で
ある。
【0004】従来、ガス分析装置としては四重極型質量
分析器を用いたものが多く使われている。これは、ガス
分子をイオン化させるイオン化室と、それを四重極電極
によって、質量/電荷比ごとに分別かつ計数する分析室
からなり、イオン化は一般に低速の熱電子衝撃により行
われる。この装置では、熱電子発生のためのフィラメン
ト焼損や残留ガスによるイオンの散乱、イオン検出器の
劣化を防ぐため、分析器本体は10-3Pa以下の真空中
に置かれ、試料ガスはバルブで適当な圧力に落とされて
から導入される。
分析器を用いたものが多く使われている。これは、ガス
分子をイオン化させるイオン化室と、それを四重極電極
によって、質量/電荷比ごとに分別かつ計数する分析室
からなり、イオン化は一般に低速の熱電子衝撃により行
われる。この装置では、熱電子発生のためのフィラメン
ト焼損や残留ガスによるイオンの散乱、イオン検出器の
劣化を防ぐため、分析器本体は10-3Pa以下の真空中
に置かれ、試料ガスはバルブで適当な圧力に落とされて
から導入される。
【0005】しかし、試料ガスを導入しない場合でも、
イオン化室付近の内壁に吸着したり壁材そのものに含有
されているガスが、離脱、放出されて検出されるため、
これがバックグランドとなり、最低検出量を制限してし
まう。
イオン化室付近の内壁に吸着したり壁材そのものに含有
されているガスが、離脱、放出されて検出されるため、
これがバックグランドとなり、最低検出量を制限してし
まう。
【0006】これに対して、気相処理雰囲気など試料ガ
スの圧力が高い場合、イオン化室を工夫して、なるべく
高い圧力すなわち多量の試料ガスを導入するクローズド
ソースイオン源と呼ばれる方法が開発されている。この
方法はシグナルを増やして相対的にバックグランドを抑
えるものであるが、前述のような元から圧力の低い試料
ガスや絶対量の少ない微量ガスに対しては適用できな
い。
スの圧力が高い場合、イオン化室を工夫して、なるべく
高い圧力すなわち多量の試料ガスを導入するクローズド
ソースイオン源と呼ばれる方法が開発されている。この
方法はシグナルを増やして相対的にバックグランドを抑
えるものであるが、前述のような元から圧力の低い試料
ガスや絶対量の少ない微量ガスに対しては適用できな
い。
【0007】そこで、バックグランドをできるだけ低減
する目的から、コンパクトなイオン化室をオリフィスを
介して分析室と接続し、排気を別々に行う、セパレート
イオン源と呼ばれる方法が開発されている。この方法で
は、イオン化室の表面積を減らして内壁からのガスの発
生量を減少させることにより、バックグランドを小さく
して絶対検出感度を上げている。
する目的から、コンパクトなイオン化室をオリフィスを
介して分析室と接続し、排気を別々に行う、セパレート
イオン源と呼ばれる方法が開発されている。この方法で
は、イオン化室の表面積を減らして内壁からのガスの発
生量を減少させることにより、バックグランドを小さく
して絶対検出感度を上げている。
【0008】しかしなが、これらの方法はイオン化室内
の平衡圧測定を前提としているため、測定対象となる試
料ガス分子は、イオン化室内壁から放出されたガス分子
と同等に等方的な運動をしており、同じ分子種であれば
イオン化効率は同じになり、シグナルとバックグランド
の検出効率を変えることはできない。
の平衡圧測定を前提としているため、測定対象となる試
料ガス分子は、イオン化室内壁から放出されたガス分子
と同等に等方的な運動をしており、同じ分子種であれば
イオン化効率は同じになり、シグナルとバックグランド
の検出効率を変えることはできない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来のイオン化を用いたガス分析装置において、さら
らに絶対検出感度を向上させると共に、バックグランド
に対するシグナルの検出効率を上げることが可能な、極
高真空中の残留ガス評価或いは低表面積試料から放出さ
れる微量ガス成分を分析する分析装置の提供を目的とす
る。
な従来のイオン化を用いたガス分析装置において、さら
らに絶対検出感度を向上させると共に、バックグランド
に対するシグナルの検出効率を上げることが可能な、極
高真空中の残留ガス評価或いは低表面積試料から放出さ
れる微量ガス成分を分析する分析装置の提供を目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を行った結果、該分析装置において、イオン化領域を、
試料又はガス状試料導入口と対向させて設け、かつこれ
らイオン化領域と試料又はガス状試料導入口の距離を特
定することにより、本発明の目的が達成し得ることを見
出して本発明を完成した。
を行った結果、該分析装置において、イオン化領域を、
試料又はガス状試料導入口と対向させて設け、かつこれ
らイオン化領域と試料又はガス状試料導入口の距離を特
定することにより、本発明の目的が達成し得ることを見
出して本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、真空容器内に導入又
は発生した試料ガスに含まれる分子をイオン化し、該イ
オンの質量/電荷比、発光スペクトル等の物理的な性質
を利用して、該分子を識別かつ計数するガス分析装置で
あって、イオン化領域が試料又はガス状試料導入口と対
向して設けられ、かつ該イオン化領域とそれらの間の距
離が該分子の平均自由行程λの10分の1以下であるこ
とを特徴とする微量ガス分析装置を要旨とする。
は発生した試料ガスに含まれる分子をイオン化し、該イ
オンの質量/電荷比、発光スペクトル等の物理的な性質
を利用して、該分子を識別かつ計数するガス分析装置で
あって、イオン化領域が試料又はガス状試料導入口と対
向して設けられ、かつ該イオン化領域とそれらの間の距
離が該分子の平均自由行程λの10分の1以下であるこ
とを特徴とする微量ガス分析装置を要旨とする。
【0012】上記において、分子の平均自由行程λは次
式で求められる値とする。
式で求められる値とする。
【0013】λ=1/(√2πd2 )・kT/p ここで、dは試料ガスの分子直径[nm]、pは試料ガ
スの分圧[Pa]、Tは試料ガスの温度[K]、kはボ
ルツマン定数をそれぞれ示す。
スの分圧[Pa]、Tは試料ガスの温度[K]、kはボ
ルツマン定数をそれぞれ示す。
【0014】本発明は、前記試料又はガス状試料導入口
とイオン化領域の間の距離(以下、距離xという。)を
上記式で求められるλの10分の1以下、好ましくは2
0分の1以下、より好ましくは50分の1以下とし、か
つそれらを対向させることに特徴がある。
とイオン化領域の間の距離(以下、距離xという。)を
上記式で求められるλの10分の1以下、好ましくは2
0分の1以下、より好ましくは50分の1以下とし、か
つそれらを対向させることに特徴がある。
【0015】
【作用】上記構成によれば、試料又はガス状試料導入口
とイオン化領域の間では分子条件が成り立っており、気
体分子同士の衝突は、真空容器内壁との衝突に比べて無
視できるほど少ない。更に、イオン化領域が、試料又は
ガス状試料導入口と対向するように配置されることによ
り、イオン化領域に向かって導入された分子は、他の真
空容器内壁と衝突することなく、直接、イオン化領域に
到達することが可能である。
とイオン化領域の間では分子条件が成り立っており、気
体分子同士の衝突は、真空容器内壁との衝突に比べて無
視できるほど少ない。更に、イオン化領域が、試料又は
ガス状試料導入口と対向するように配置されることによ
り、イオン化領域に向かって導入された分子は、他の真
空容器内壁と衝突することなく、直接、イオン化領域に
到達することが可能である。
【0016】例えば、イオン化領域の方向に導入された
N0 個の分子は、途中、分子同士の衝突による他方向へ
の散乱によって減少し、次式で表されるN個の分子がイ
オン化領域に到達する。
N0 個の分子は、途中、分子同士の衝突による他方向へ
の散乱によって減少し、次式で表されるN個の分子がイ
オン化領域に到達する。
【0017】N=N0 exp(−x/λ) この式から、距離xが平均自由行程λの10分の1であ
るとき、導入された分子の90%は直接、イオン化領域
に到達できることが分かる。90%未満だと、十分な精
度が得られない。
るとき、導入された分子の90%は直接、イオン化領域
に到達できることが分かる。90%未満だと、十分な精
度が得られない。
【0018】ガス試料導入口の直径が距離xに比べて十
分に小さくない場合、導入された分子の進行方向は一方
向ではなく、ある広がりを持つようになるが、その場合
でも導入方向に進行する分子が最も多いことから、これ
と対向するようにイオン化領域を配置することで、最も
多くの分子が直接、イオン化領域に到達することができ
る。
分に小さくない場合、導入された分子の進行方向は一方
向ではなく、ある広がりを持つようになるが、その場合
でも導入方向に進行する分子が最も多いことから、これ
と対向するようにイオン化領域を配置することで、最も
多くの分子が直接、イオン化領域に到達することができ
る。
【0019】又、試料から離脱、放出されるガス分子を
測定する場合も、分子の進行方向は一方向に揃っていな
いが、放出は余弦法則に従い、試料表面と垂直な方向に
最も多くの分子が放出されるので、イオン化領域が試料
表面と対向する場合に、最も多くの分子が直接、イオン
化領域に到達する。
測定する場合も、分子の進行方向は一方向に揃っていな
いが、放出は余弦法則に従い、試料表面と垂直な方向に
最も多くの分子が放出されるので、イオン化領域が試料
表面と対向する場合に、最も多くの分子が直接、イオン
化領域に到達する。
【0020】このように、最も多くの試料ガス分子が進
行する方向にイオン化領域を配置し、しかも、これと試
料又はガス状試料導入口との距離xを小さくして、分子
同士の衝突散乱による減衰を抑えることにより、最も効
率良く試料ガス分子をイオン化領域に到達させることが
でき、絶対量の少ない微量ガスを効率良くイオン化する
ことができる。
行する方向にイオン化領域を配置し、しかも、これと試
料又はガス状試料導入口との距離xを小さくして、分子
同士の衝突散乱による減衰を抑えることにより、最も効
率良く試料ガス分子をイオン化領域に到達させることが
でき、絶対量の少ない微量ガスを効率良くイオン化する
ことができる。
【0021】一方、バックグランドとなる真空容器内壁
からのガス放出も余弦法則に従い、イオン化領域と対向
しない内壁から放出された分子は、一部が直接、イオン
化領域に到達するものの、多くは対向する内壁に衝突
し、やはり余弦法則に従って反射される。何回か衝突を
繰り返した後にイオン化領域に達するものもあるが、同
様にして排気側に散逸するものもあり、試料ガスに比べ
ると、分子一個がイオン化領域に到達する確率は低くな
る。このためバックグランドに対して相対的に試料ガス
のイオン化確率が向上する。
からのガス放出も余弦法則に従い、イオン化領域と対向
しない内壁から放出された分子は、一部が直接、イオン
化領域に到達するものの、多くは対向する内壁に衝突
し、やはり余弦法則に従って反射される。何回か衝突を
繰り返した後にイオン化領域に達するものもあるが、同
様にして排気側に散逸するものもあり、試料ガスに比べ
ると、分子一個がイオン化領域に到達する確率は低くな
る。このためバックグランドに対して相対的に試料ガス
のイオン化確率が向上する。
【0022】上記の作用効果により、微量の試料ガス
を、効率良くしかもバックグランドとなる残留ガス及び
真空容器内壁からの放出ガスよりも感度良く検出でき、
絶対検出感度を向上させることができる。
を、効率良くしかもバックグランドとなる残留ガス及び
真空容器内壁からの放出ガスよりも感度良く検出でき、
絶対検出感度を向上させることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明における微量ガス分析装置の実
施例を、図1〜2に基づいて説明する。
施例を、図1〜2に基づいて説明する。
【0024】図1は、超高真空処理槽内の残留ガスを分
析する場合の本発明の微量ガス分析装置の模式図であ
り、図2は、昇温離脱スペクトルを測定する場合の本発
明の微量ガス分析装置の模式図である。
析する場合の本発明の微量ガス分析装置の模式図であ
り、図2は、昇温離脱スペクトルを測定する場合の本発
明の微量ガス分析装置の模式図である。
【0025】図1に示すように、本実施例の微量ガス分
析装置は、イオン化のための電子線源2及び対電極3を
備えたイオン化室1と、集イオン電極9と四重極電極1
0及びイオン検出器11を備えた質量分析室8からな
り、それぞれ真空ポンプ7及び12によって排気されて
いる。
析装置は、イオン化のための電子線源2及び対電極3を
備えたイオン化室1と、集イオン電極9と四重極電極1
0及びイオン検出器11を備えた質量分析室8からな
り、それぞれ真空ポンプ7及び12によって排気されて
いる。
【0026】被測定真空槽13は、真空ポンプ15によ
って排気されており、真空バルブ14を介して、イオン
化室1のガス状試料導入管6と接続している。これによ
り、試料ガスの圧力が、イオン化室1、質量分析室8及
び各真空ポンプ構成部品からの要求によって定まる微量
ガス分析装置の動作圧力上限を、越える場合には、真空
バルブ14を開閉することにより、試料ガスを適当な圧
力に下げて、イオン化室1に導入することができる。
って排気されており、真空バルブ14を介して、イオン
化室1のガス状試料導入管6と接続している。これによ
り、試料ガスの圧力が、イオン化室1、質量分析室8及
び各真空ポンプ構成部品からの要求によって定まる微量
ガス分析装置の動作圧力上限を、越える場合には、真空
バルブ14を開閉することにより、試料ガスを適当な圧
力に下げて、イオン化室1に導入することができる。
【0027】イオン化室1の圧力は、フィラメントの焼
損を防ぐため、少なくとも10-3Pa以下であることが
望ましく、より好ましくは、残留ガスによる試料ガス分
子の散乱、並びに残留ガスのイオン化室内壁への吸着及
びそこからの離脱によるバックグランドの増大を防ぐた
めに、10-8Pa以下であるのが良い。
損を防ぐため、少なくとも10-3Pa以下であることが
望ましく、より好ましくは、残留ガスによる試料ガス分
子の散乱、並びに残留ガスのイオン化室内壁への吸着及
びそこからの離脱によるバックグランドの増大を防ぐた
めに、10-8Pa以下であるのが良い。
【0028】一方、質量分析室8は、残留ガス分子との
衝突による試料ガス分子イオンの減衰、及び放電、吸着
汚染によるイオン検出器11の劣化を防ぐため、少なく
とも10-3Pa以下であることが望ましく、より好まし
くは、集イオン電極9の隙間を通過した残留ガスがイオ
ン化室1の圧力を上昇させないよう、イオン化室1の圧
力以下であるのが良い。
衝突による試料ガス分子イオンの減衰、及び放電、吸着
汚染によるイオン検出器11の劣化を防ぐため、少なく
とも10-3Pa以下であることが望ましく、より好まし
くは、集イオン電極9の隙間を通過した残留ガスがイオ
ン化室1の圧力を上昇させないよう、イオン化室1の圧
力以下であるのが良い。
【0029】イオン化室1は、電子線源2において発
生、放出された熱電子が、対電極3との間の電界によっ
て加速され、試料ガス分子に衝突、イオン化させるイオ
ン化領域4が、ガス状試料導入管6の延長上に位置する
よう、構成されている。但し、ガス状試料導入管6の長
さに対して、ガス状試料導入口5の直径が大きくなるほ
ど、導入される試料ガス分子の運動方向分布は、ガス状
試料導入管6の軸方向から広がっていくため、ガス状試
料導入口5の直径がガス状試料導入管6の長さの10分
の1以上である場合には、化イオン領域がガス状試料導
入口5の中心延長線と対向するように構成されるのが望
ましい。
生、放出された熱電子が、対電極3との間の電界によっ
て加速され、試料ガス分子に衝突、イオン化させるイオ
ン化領域4が、ガス状試料導入管6の延長上に位置する
よう、構成されている。但し、ガス状試料導入管6の長
さに対して、ガス状試料導入口5の直径が大きくなるほ
ど、導入される試料ガス分子の運動方向分布は、ガス状
試料導入管6の軸方向から広がっていくため、ガス状試
料導入口5の直径がガス状試料導入管6の長さの10分
の1以上である場合には、化イオン領域がガス状試料導
入口5の中心延長線と対向するように構成されるのが望
ましい。
【0030】そして、ガス状試料導入口5とイオン化領
域4の距離xは、最大、分子直径10nm、分圧10-4
Paの試料ガス分子が測定できるよう、計算により求ま
る平均自由行程91cmの10分の1、すなわち9cm
となっている。これは、前記式の通り測定すべき試料ガ
ス分子の分子直径及び分圧によって定められるもので、
測定要求に応じて種々の値を取り得ることは言うでもな
い。
域4の距離xは、最大、分子直径10nm、分圧10-4
Paの試料ガス分子が測定できるよう、計算により求ま
る平均自由行程91cmの10分の1、すなわち9cm
となっている。これは、前記式の通り測定すべき試料ガ
ス分子の分子直径及び分圧によって定められるもので、
測定要求に応じて種々の値を取り得ることは言うでもな
い。
【0031】上記微量ガス分析装置を用いて、圧力1×
10-3Paの超高真空処理層内の残留ガスを分析したと
ころ、平衡圧を求める従来の四重極質量分析器ではバッ
クグランドのため検出できなかった残留H2 O分子を検
出することができ、さらに適切なベーキング(ガス出
し)処理を行うことによりバックグランドを低減できる
ことが確認できた。
10-3Paの超高真空処理層内の残留ガスを分析したと
ころ、平衡圧を求める従来の四重極質量分析器ではバッ
クグランドのため検出できなかった残留H2 O分子を検
出することができ、さらに適切なベーキング(ガス出
し)処理を行うことによりバックグランドを低減できる
ことが確認できた。
【0032】図2は、昇温離脱スペクトルを測定する場
合の発明の微量ガス分析装置の実施例で、イオン化室1
及び質量分析室8の符号の共通する部分については、図
1の実施例の説明に準ずる。試料加熱室16は、試料ホ
ルダー17を取り付けた直線運動導入器18と、試料加
熱用の赤外線ランプ19及び赤外線を透過する石英窓2
0を備えており、真空ポンプ21によって排気されてい
る。ウエハ状の試料22は、測定すべき試料面をイオン
化室側に向けて試料ホルダー17に固定されており、直
線運動導入器18によりイオン化室1の試料導入口5に
押し付けられている。
合の発明の微量ガス分析装置の実施例で、イオン化室1
及び質量分析室8の符号の共通する部分については、図
1の実施例の説明に準ずる。試料加熱室16は、試料ホ
ルダー17を取り付けた直線運動導入器18と、試料加
熱用の赤外線ランプ19及び赤外線を透過する石英窓2
0を備えており、真空ポンプ21によって排気されてい
る。ウエハ状の試料22は、測定すべき試料面をイオン
化室側に向けて試料ホルダー17に固定されており、直
線運動導入器18によりイオン化室1の試料導入口5に
押し付けられている。
【0033】試料22は、赤外線ランプ19から裏面に
照射された赤外線により加熱され、赤外線ランプ19の
出力を制御することにより、予め設定した温度に保持或
いは昇温される。試料加熱室16とイオン化室1は、試
料22によって隔てられており、試料22の裏面側で発
生したガスがイオン化室1に回り込んでバックグランド
が増大するのを防ぐようになっている。イオン化領域4
は、試料22の垂直中心面と対向するようになってお
り、これらの距離は、図1の実施例と同様にして9cm
に設定されている。
照射された赤外線により加熱され、赤外線ランプ19の
出力を制御することにより、予め設定した温度に保持或
いは昇温される。試料加熱室16とイオン化室1は、試
料22によって隔てられており、試料22の裏面側で発
生したガスがイオン化室1に回り込んでバックグランド
が増大するのを防ぐようになっている。イオン化領域4
は、試料22の垂直中心面と対向するようになってお
り、これらの距離は、図1の実施例と同様にして9cm
に設定されている。
【0034】上記昇温離脱スペクトル測定装置を用い
て、水素終端処理を施したシリコンウエハ表面から離脱
する水素分子の量を測定したところ、従来の四重極質量
分析器を用いた装置では、バックグランドの影響で、残
留ガスの量により不安定だった測定値が安定し、測定の
信頼性が向上した。
て、水素終端処理を施したシリコンウエハ表面から離脱
する水素分子の量を測定したところ、従来の四重極質量
分析器を用いた装置では、バックグランドの影響で、残
留ガスの量により不安定だった測定値が安定し、測定の
信頼性が向上した。
【0035】以上の実施例では、電子線を用いたイオン
源と四重極質量分析器を用いているが、本発明の分析装
置はこれらに限定されるものではなく、他に、イオン化
の方法としては、レーザーなどの電磁波を用いた光イオ
ン化や、電場を用いたプラズマイオン化、或いは電子以
外の電荷粒子を用いたイオン化を利用しても良く、又、
分子イオンの分析方法としては、飛行時間型質量分析器
やフーリエ変換型質量分析器、或いはイオンの緩和過程
に伴って放出される発光や放出電子のスペクトルを利用
しても良い。
源と四重極質量分析器を用いているが、本発明の分析装
置はこれらに限定されるものではなく、他に、イオン化
の方法としては、レーザーなどの電磁波を用いた光イオ
ン化や、電場を用いたプラズマイオン化、或いは電子以
外の電荷粒子を用いたイオン化を利用しても良く、又、
分子イオンの分析方法としては、飛行時間型質量分析器
やフーリエ変換型質量分析器、或いはイオンの緩和過程
に伴って放出される発光や放出電子のスペクトルを利用
しても良い。
【0036】
【発明の効果】本発明の装置は、最も効率良く試料ガス
分子をイオン化領域に到達させることができるので、絶
対量の少ない微量ガスも効率良くイオン化することがで
きる。
分子をイオン化領域に到達させることができるので、絶
対量の少ない微量ガスも効率良くイオン化することがで
きる。
【0037】又、バックグランドとなる真空容器内壁か
らの放出ガス分子の多くは、直接イオン化領域に到達せ
ず、容器内壁での衝突、放出を繰り返した後にイオン化
領域或いは排気側に至るため、試料ガス分子よりもイオ
ン化領域に到達する確率は低くなる。
らの放出ガス分子の多くは、直接イオン化領域に到達せ
ず、容器内壁での衝突、放出を繰り返した後にイオン化
領域或いは排気側に至るため、試料ガス分子よりもイオ
ン化領域に到達する確率は低くなる。
【0038】従って、微量ガスに対する絶対検出感度を
向上させることができると共に、バックグランドを減ら
し、従来は同等であったバックグランドに対する試料ガ
スの検出感度を、上げることができる。
向上させることができると共に、バックグランドを減ら
し、従来は同等であったバックグランドに対する試料ガ
スの検出感度を、上げることができる。
【図1】本発明の一実施例に係る微量ガス分析装置の要
部概略説明図である。
部概略説明図である。
【図2】図1とは異なる一実施態様である本発明の装置
の要部概略説明図である。
の要部概略説明図である。
1 イオン化室 2 電子線源 3 対電極 4 イオン化領域 5 ガス状試料導入口 6 ガス状試料導入管 7,12,14,15,21 真空ポンプ 8 質量分析室 9 集イオン電極 10 四重極電極 11 イオン検出器 13 被測定真空槽 16 試料加熱室 17 試料ホルダー 18 直線運動導入器 19 赤外線ランプ 20 石英窓 22 試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 健 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 本間 美規 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 畠中 達也 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内 (72)発明者 斎藤 和男 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1 株式会 社東芝研究開発センター内
Claims (2)
- 【請求項1】 真空容器内に導入又は発生した試料ガス
に含まれる分子をイオン化し、該イオンの物理的性質を
利用して、該分子を識別かつ計数するガス分析装置であ
って、イオン化領域が試料又はガス状試料導入口と対向
して設けられ、かつ該イオン化領域とそれらの間の距離
が該分子の平均自由行程λの10分の1以下であること
を特徴とする微量ガス分析装置。 - 【請求項2】 上記平均自由行程λが、式λ=1/(√
2πd2 )・kT/pで求められる値である請求項1に
記載の微量ガス分析装置。(但し、dは試料ガスの分子
直径[nm]、pは試料ガスの分圧[Pa]、Tは試料
ガスの温度[K]、kはボルツマン定数である。)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11706395A JPH08315767A (ja) | 1995-05-16 | 1995-05-16 | 微量ガス分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11706395A JPH08315767A (ja) | 1995-05-16 | 1995-05-16 | 微量ガス分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08315767A true JPH08315767A (ja) | 1996-11-29 |
Family
ID=14702514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11706395A Pending JPH08315767A (ja) | 1995-05-16 | 1995-05-16 | 微量ガス分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08315767A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002042721A (ja) * | 2000-07-19 | 2002-02-08 | Anelva Corp | イオン付着質量分析装置 |
JP2002260576A (ja) * | 2001-02-27 | 2002-09-13 | Anelva Corp | 質量分析装置 |
-
1995
- 1995-05-16 JP JP11706395A patent/JPH08315767A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002042721A (ja) * | 2000-07-19 | 2002-02-08 | Anelva Corp | イオン付着質量分析装置 |
JP2002260576A (ja) * | 2001-02-27 | 2002-09-13 | Anelva Corp | 質量分析装置 |
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