JP2004264416A - 平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルターおよび平面型ディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】パネル表示部に衝撃を受けた際、ガラス破砕および飛散を防止するとともに、干渉縞の発生を防止でき、さらに軽量化および薄型化が可能な耐衝撃性フィルムおよびそれを用いた平面型ディスプレイパネルの提供。
【解決手段】透明な剛性基材からなり、平面型ディスプレイパネル20の視認側に配置される第1の層1と、せん断弾性率が1×103〜9×106Paの透明な合成樹脂からなり、該第1の層よりも前面ガラス21側に配置される第2の層2と、合成樹脂フィルム上に微粒子を分散させて粗面3aが形成された粗面化フィルムからなり、該第2の層よりも前面ガラス側に配置される第3の層3とを有し、第3の層の粗面を直接前面ガラスに密着させるとともに、前面ガラスに密着した状態で該粗面の形状が維持される耐衝撃性フィルター。
【選択図】 図1
【解決手段】透明な剛性基材からなり、平面型ディスプレイパネル20の視認側に配置される第1の層1と、せん断弾性率が1×103〜9×106Paの透明な合成樹脂からなり、該第1の層よりも前面ガラス21側に配置される第2の層2と、合成樹脂フィルム上に微粒子を分散させて粗面3aが形成された粗面化フィルムからなり、該第2の層よりも前面ガラス側に配置される第3の層3とを有し、第3の層の粗面を直接前面ガラスに密着させるとともに、前面ガラスに密着した状態で該粗面の形状が維持される耐衝撃性フィルター。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面型ディスプレイパネルの前面に取り付けられ、衝撃による前面ガラスの破砕を防止するとともに、干渉縞の発生を防止でき、さらに軽量化および薄型化を可能にした平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルムおよびそれを用いた平面型ディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネルは、前面ガラスと背面ガラスとが対面した構成になっており、その中は減圧状態でキセノン等の希ガスが封入されている。前面ガラスには、アドレス電極や誘電体、保護膜が形成され、背面ガラスには、隔壁や蛍光体が形成されている。この前面ガラスは、以上のような工程により傷や歪を受け易くなることから、ガラスの強度が低下し、さらには、背面ガラスに形成されたリブ(隔壁)や蛍光体の凹凸が応力集中を受け易くなり、それが減圧状態でより影響が大きくなることから、僅かな衝撃でひびが入ったり、破壊されたガラス片が飛散する場合があった。そこで従来は、前面ガラスの前方にアクリル樹脂や強化ガラス等の保護板を数mmの隙間を設け、プラズマディスプレイパネルに受ける衝撃を防止していた。
しかし、このような構成では軽量化および薄型化が困難である問題があった。さらには、パネルと保護板との間に空間があるため、蛍光灯等の外光の映り込みによる画質低下を生じたり、僅かな振動による画像の歪みを生じるといった問題があった。
これを防止する方法として、光学フィルターとパネルを直接密着させる方法もあるが、外部からの衝撃が伝わり易いことから、前面ガラスが割れてしまう問題や、残存している空気界面から干渉縞が現れて表示画面が見にくくなる問題があった。
そこで、保護板とプラズマディスプレイパネルとの間に、微細な凹凸が形成されたシリコーンシートを挟持させてパネルの割れや干渉縞を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−112393号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、シリコーンシートが柔軟で変形し易いことから、シリコーンシートをパネルに密着させると、凹凸面が平らになって干渉縞防止効果が得らず、干渉縞が発生したり、弾性率が最適化されていないことから、外部からの衝撃を緩和できず、前面ガラスが割れるおそれがあった。
【0005】
本発明は、平面型ディスプレイパネルの表示部に衝撃を受けた際、ガラス破砕および飛散を防止するとともに、干渉縞の発生を防止でき、さらに軽量化および薄型化が可能な平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルムおよびそれを用いた平面型ディスプレイパネルの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、平面型ディスプレイパネルの前面ガラスに取り付けられる耐衝撃性フィルターであって、透明な剛性基材からなり、平面型ディスプレイパネルの視認側に配置される第1の層と、せん断弾性率が1×103〜9×106Paの透明な合成樹脂からなり、該第1の層よりも前面ガラス側に配置される第2の層と、合成樹脂フィルム上に微粒子を分散させて粗面が形成された粗面化フィルムからなり、該第2の層よりも前面ガラス側に配置される第3の層とを有し、該第3の層の粗面を直接前面ガラスに密着させるとともに、前面ガラスに密着した状態で該粗面の形状が維持されることを特徴とする平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルターを提供する。
本発明の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルターにおいて、平面型ディスプレイパネルの視認側から前面ガラスに向かう方向に沿って、上記第1の層と第2の層と第3の層とが順に積層された構造とするのが好ましい。
また、上記第1の層の厚みを1.0〜4.0mmの範囲とし、上記第2の層の厚みを0.05〜1.0mmの範囲とすることが好ましい。
さらに、上記第2の層の透明な合成樹脂は熱硬化性樹脂からなることが好ましい。
また、上記第1の層の視認側に近赤外線遮断層、電磁波遮断層、反射防止層からなる群から選択される少なくとも1つの層と、これらの層間を接着する粘着剤層とが積層された構成とするのが好ましい。
また本発明は、平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルターを前面ガラスに密着させてなる平面型ディスプレイパネルを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルター(以下、耐衝撃性フィルターと略記する。)の一実施形態を示す断面図である。この耐衝撃性フィルター10は、平面型ディスプレイパネル20の視認側から前面ガラス21に向かう方向に沿って、透明な剛性基材からなる第1の層1と、合成樹脂からなる第2の層2と、粗面化フィルムからなる第3の層3とが順に積層された構成になっている。第3の層3の粗面3aは、前面ガラス21に直接密着されており、前面ガラス21に密着した状態で粗面の形状は維持されている。
【0008】
耐衝撃性フィルター10を構成する第1の層1は、透明な剛性基材からなっている。透明とは、光学的な吸収や拡散が少なく実質的に透明であることを意味する。剛性基材とは、十分な機械強度を有している基材であることを意味し、好ましくはせん断弾性率が1×108Pa以上、特に1×109Pa以上である基材が好ましい。1×108Pa以上あれば上記衝撃力を効率よく分散および緩和することができることから好ましい。その構成材料の具体例としては、例えば強化ガラス、セミ強化ガラス、未強化ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。これらの材料の中でも、耐衝撃性とコストの点で、特に未強化ガラスが好ましい。第1の層の厚みは1.0〜4.0mmが好ましく、1.5〜3.0mmがさらに好ましい。1.0mm以上あれば、上記衝撃力を効率よく分散および緩和することができ、4.0mm以下にすることで加工性に優れ、価格的に有利になることから好ましい。
【0009】
第2の層2は、せん断弾性率1×103〜9×106Paの範囲の透明な合成樹脂から構成されている。この第2の層2の構成材料としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、弗素樹脂、ビニル系樹脂、ブタジエン樹脂、ネオプレン樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂等を単体あるいは2種類以上の異なる樹脂をブレンドまたは共重合したものを用いることができるが、耐衝撃性、飛散防止性、透明性、自己修復性、耐熱性、耐久性等のバランスを考慮すると、ウレタン系樹脂およびシリコーン系樹脂が最も好ましい。このような熱硬化性樹脂を用いることによって、画像点灯時に比較的高温にさらされるパネルにおいても弾性率の大きな変化や溶融流下するなどの不具合を生じることなく、長期にわたり優れた品質を維持することができる。さらに、上記範囲のせん断弾性率を有する熱硬化性樹脂の中でも、粘着性を有するもの、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のシリコーン樹脂、商品名NMX−143−10〜17およびSE1891Hのような樹脂材料をシート化後、第1の層1および第3の層3とゴムロール等を用いて押圧処理することによって簡単に積層でき、粘着剤や接着剤が不要となり、製造工程が大幅に簡略化できることから好ましい。この第2の層2のせん断弾性率は、1×103〜9×106Pa、好ましくは1×104〜9×105Paの範囲とされる。せん断弾性率を上記範囲とすることによって、第1の層1から前面ガラス21に向けて伝えられる衝撃力を効率よく分散および緩和吸収し、平面型ディスプレイパネル20の前面ガラス21の破壊を防止することができる。第2の層2の厚みは0.05〜1.0mmが好ましく、0.1〜0.5mmがさらに好ましい。0.05mm以上あれば、上記衝撃力を効率よく分散および緩和することができ、1.0mm以下にすることで加工性に優れ、価格的に有利になることから好ましい。
【0010】
この第2の層2には、レベリング剤、脱泡剤、色調補正色素、近赤外線吸収(反射)色素、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、または紫外線吸収剤等が含有されていてもよい。
【0011】
第2の層2を形成するには、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコーター法、マイクログラビア法、またはコンマコーター法等のコーティング法、押し出し成型法、カレンダーロール成型法、バッチ成型法等を用いて製造することができる。加工性を向上させるため、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、塩化メチレン、アルコール等の有機溶剤で希釈し、塗工することができる。
【0012】
第3の層3の粗面化フィルムとしては、バインダー樹脂に微粒子を混合して基材に一定の厚みで塗布し、硬化させることによって粗面を形成したものが好ましい。その他の粗面形成方法としては、物理的に基材表面を粗面化する方法や、基材中に微粒子を分散させる方法があるが、これらの方法では透過光の拡散が大きくなり、画質が劣化する問題がある。
【0013】
上記粗面化フィルムの基材としては、公知の樹脂フィルムの中から適宜選択して用いることができる。このような樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。特にポリエチレンテレフタレートは、透明性が高く、耐熱性が高いことから好ましい。
【0014】
上記樹脂フィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、片面または両面に、コロナ放電処理やプライマー処理を施すことができる。上記樹脂フィルムの厚みは、0.03〜0.3mmの範囲が好ましく、0.1〜0.2mmの範囲がさらに好ましい。0.03mm以上では作業性に優れ、0.3mm以下では価格的に有利である。
【0015】
上記粗面化フィルムのバインダー樹脂としては、熱や紫外線等で硬化する性質を有する公知の樹脂組成物を用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、弗素樹脂、ビニル系樹脂、ブタジエン樹脂、ネオプレン樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂等を単体あるいは2種類以上の異なる樹脂をブレンドまたは共重合したものを用いることができる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、光重合性プレポリマーまたは光重合性モノマーを1種または2種以上を混合することができる。上記光重合性プレポリマーとしては例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系のラジカル重合型やエポキシ系のカチオン重合型が挙げられる。上記光重合性モノマーとしては、多官能型アクリレートが挙げられる。さらに、光重合性の効率を向上させるため、光重合開始剤や増感剤を適宜添加することができる。
【0016】
上記バインダー樹脂と混合する微粒子としては、有機系または無機系のいずれであっても使用できる。有機系としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。無機系としては、例えば、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。この微粒子の平均粒径としては、0.5〜5μmの範囲が好ましく、1〜4μmの範囲がさらに好ましい。平均粒径が0.5μm以上あれば二次凝集が起こり難く、品質に優れ、5μm以下では鮮明な表示画面を得ることができる。微粒子の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部の範囲が好ましく、0.5〜20質量部の範囲がさらに好ましい。0.1質量部以上では、表面の粗面化が可能になり、40質量部以下では鮮明な表示画面を得ることができる。
【0017】
上記第3の層3には、希釈溶剤、レベリング剤、脱泡剤、色調補正色素、近赤外線吸収(反射)色素、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、または紫外線吸収剤等が含有されていてもよい。希釈溶剤としては、トルエン、MEK、酢酸エチル、塩化メチレン、アルコール等の有機溶剤が挙げられる。
【0018】
上記のような微粒子を含有したバインダー樹脂を基材上に形成するには、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコーター法、マイクログラビア法、またはコンマコーター法等のコーティング法、押し出し成型法、カレンダーロール成型法、バッチ成型法等を用いて製造することができる。
【0019】
このようにして形成された粗面化層の厚みは、0.1〜30μmの範囲が好ましく、0.5〜10μmの範囲がさらに好ましい。0.1μm以上では、表面の粗面化が可能になり、30μm以下では鮮明な表示画面を得ることができる。上記粗面化フィルムの光学特性としては、光沢度およびヘイズ値を指標としており、光沢度は100%以下、ヘイズ値は10%以下が好ましく、さらには光沢度が90%以下、ヘイズ値は6%以下が好ましい。光沢度が100%以下では、表面の粗面化が十分であり干渉縞の発生がなく、ヘイズ値が10%以下では鮮明な表示画面を得ることができる。
【0020】
本発明の耐衝撃性フィルター10においては、必要により粗面3aの表面に反射防止性を付与させることができる。例えば、シロキサン系皮膜やフッ素系皮膜などを設けることができる。この場合、該反射防止層の厚みは0.05〜1μmが好ましい。この反射防止層を設けることで透過率やコントラストが向上する。上記第3の層3として好適な粗面化フィルムとしては、ポラテクノ社製Z−5やZ−K1、リンテック社製LAG−3、LAG−4、LAG−6、LAG−8を挙げることができる。
【0021】
本発明の耐衝撃性フィルター10は、第3の層3の粗面3aを平面型ディスプレイパネル20の前面ガラス21に直接密着して取り付けられる。この取付状態において、第3の層3の粗面3aは変形せず、実質的に粗面形状を維持している。粗面3aを前面ガラス21に直接密着させた状態で、この耐衝撃性フィルター10を前面ガラス21に取り付ける方法は特に限定されず、例えば耐衝撃性フィルター10の周縁に固定部材を当てて機械的に固定する方法や、耐衝撃性フィルター10の粗面3aと前面ガラス21の表面との間に粘着剤を配して密着させる方法などが好ましい。
【0022】
本発明の耐衝撃性フィルター10は、各種の平面型ディスプレイパネル、例えばプラズマディスプレイパネル(PDP)、プラズマアドレスリキッドクリスタル(PALC)ディスプレイパネル、フィールドエミッションディスプレイ(FED)パネル、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイパネル、陰極管表示装置(CRT)などの平面型ディスプレイパネルに用いることができる。
【0023】
本発明の耐衝撃性フィルター10は、平面型ディスプレイパネル20の視認側に剛性の高い第1の層1を配置し、それよりも前面ガラス21側に柔軟な第2の層2を配置したものなので、平面型ディスプレイパネル20の視認側に衝撃を受けた場合、その衝撃を第1の層1で受け、第2の層2でその衝撃を分散、吸収することができるので、薄型、軽量でありながら優れた耐衝撃性を有している。
また、第2の層2よりも前面ガラス側に粗面かフィルムからなる第3の層3を配置し、この粗面3aを前面ガラス21表面に直接密着させるとともに、前面ガラス21に密着した状態で粗面3aの形状が維持されているので、干渉縞の発生を確実に防止することができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を具体的に説明する。(例1)〜(例3)は実施例であり、(例4)と(例5)は比較例である。
プラズマディスプレイパネルの前面ガラスとして、旭硝子社製高歪み点ガラス(PD200)2.8mmに、透明電極、バス電極(ガラス)、誘電体層および保護膜(MgO)を順次積層した縦950mm×横540mmのガラス基板を用意した。
衝撃試験として、IEC規格(Publication 65.1985)にあるスプリングインパクトハンマー(ドイツPTL社製、MODEL F−22)を用いて、0.2、0.35、0.50、0.70、1.00Jの衝撃力で評価を行なった。但し、電気用品取締法に規定されているポリアミド加工したおもり(半径10mm、250g)を約20.4cmの高さから落下させたときの衝撃エネルギーは、0.50Jと一致する。
上記基板の設置としては、アルミ製の板(厚み10mm×縦1000mm×横600mm)上に置き、万力で四辺を固定してコンクリート壁に立て掛けた。
ヘイズ値は、スガ試験機(株)製ヘイズメーターを使用し、JISK6714に準拠して測定した。光沢度は、日本電色(株)グロスメーターを使用し、JISK7105に準拠して測定した。画像特性は、上記ガラス基板の表面に該フィルターを置き、万力で四辺を固定して目視評価を行なった。干渉縞が生じた場合は×、鮮明な画像が得られた場合は○とした。
【0025】
(例1)
シリコーン樹脂溶液(商品名:NMX−143−17A、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)とシリコーン樹脂用硬化剤(商品名:NMX−143−17B、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)とを100:100の割合で混合して、撹拌し脱泡した後、100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した片面が粗面化されたフィルム(商品名:LAG−6、リンテック社製)の平滑面にバーコーターを用いて厚みが0.1mmになるように塗工し、120℃にて30分間硬化させた。このシリコーン樹脂のせん断弾性率は2×105Paであった。また、粗面化フィルムのヘイズは6.2%であり、光沢度は70%であった。
厚みが1.8mmのソーダライムガラスに、このフィルムのシリコーン面が接するようにゴムローラを用いて圧着させ、さらに、粘着剤層を積層した反射防止フィルム(URP2199NF、旭硝子社製)をガラス側の表面に同様に圧着させ耐衝撃性フィルターを作製した。
【0026】
(例2)
例1のシリコーン樹脂厚みを0.3mmに変更した以外は、例1と同様に操作して、耐衝撃性フィルターを作製した。
【0027】
(例3)
例2の粗面化フィルムを100μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)を使用した粗面化フィルムであるポラテクノ社製Z−K1に変更した以外は、例1と同様に操作して、耐衝撃性フィルターを作製した。この粗面化フィルムのヘイズは5.5%であり、光沢度は33.9%であった。
【0028】
(例4)
例1のシリコーン樹脂フィルムを厚みが0.3mmのポリカーボネートフィルム(商品名:レキサン8010、旭硝子社製)の両面に粘着加工したフィルムに変更した以外は、例1と同様に操作して、耐衝撃性フィルターを作製した。このポリカーボネートフィルムのせん断弾性率は9×109Paであった。
【0029】
(例5)
例1の粗面化フィルムを25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:エンブレットPTMX、ユニチカ社製)に変更した以外は、例1と同様に操作して、耐衝撃性フィルターを作製した。この粗面化フィルムのヘイズは6.0%であり、光沢度は140%であった。
以上の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
(評価結果)
以上の結果から、次のように評価した。例1〜3の耐衝撃性フィルターは、PDPの前面ガラスに模して作製したガラス基板に密着させ、耐衝撃性ガラス基板とした状態で、全てが実用上十分な性能を有していた。
一方、例4では、例1で使用した低弾性率のシリコーンを高弾性率のポリカーボネートに変更したところ、0.2Jより低い耐衝撃性であった。このことから、構成を最適化する必要があることが分かる。
さらに例5では、例1で使用した粗面フィルムを、ヘイズがほぼ同一であるが光沢度が高く表面の粗面化が十分でないフィルムに変更したところ、干渉縞が発生した。このことから、干渉縞を解消させるためには、表面の粗面化が重要であることが分かる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の耐衝撃性フィルターは、平面型ディスプレイパネルの視認側に剛性の高い第1の層を配置し、それよりも前面ガラス側に柔軟な第2の層を配置した構成としたので、平面型ディスプレイパネルの視認側に衝撃を受けた場合、その衝撃を第1の層で受け、第2の層でその衝撃を分散、吸収することができるので、薄型、軽量でありながら優れた耐衝撃性を有している。
また、第2の層よりも前面ガラス側に粗面かフィルムからなる第3の層を配置し、この粗面を前面ガラス表面に直接密着させるとともに、前面ガラスに密着した状態で粗面の形状が維持されているので、干渉縞の発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルムの一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…第1の層、2…第2の層、3…第3の層、10…耐衝撃性フィルター、20…平面型ディスプレイパネル、21…前面ガラス。
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面型ディスプレイパネルの前面に取り付けられ、衝撃による前面ガラスの破砕を防止するとともに、干渉縞の発生を防止でき、さらに軽量化および薄型化を可能にした平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルムおよびそれを用いた平面型ディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネルは、前面ガラスと背面ガラスとが対面した構成になっており、その中は減圧状態でキセノン等の希ガスが封入されている。前面ガラスには、アドレス電極や誘電体、保護膜が形成され、背面ガラスには、隔壁や蛍光体が形成されている。この前面ガラスは、以上のような工程により傷や歪を受け易くなることから、ガラスの強度が低下し、さらには、背面ガラスに形成されたリブ(隔壁)や蛍光体の凹凸が応力集中を受け易くなり、それが減圧状態でより影響が大きくなることから、僅かな衝撃でひびが入ったり、破壊されたガラス片が飛散する場合があった。そこで従来は、前面ガラスの前方にアクリル樹脂や強化ガラス等の保護板を数mmの隙間を設け、プラズマディスプレイパネルに受ける衝撃を防止していた。
しかし、このような構成では軽量化および薄型化が困難である問題があった。さらには、パネルと保護板との間に空間があるため、蛍光灯等の外光の映り込みによる画質低下を生じたり、僅かな振動による画像の歪みを生じるといった問題があった。
これを防止する方法として、光学フィルターとパネルを直接密着させる方法もあるが、外部からの衝撃が伝わり易いことから、前面ガラスが割れてしまう問題や、残存している空気界面から干渉縞が現れて表示画面が見にくくなる問題があった。
そこで、保護板とプラズマディスプレイパネルとの間に、微細な凹凸が形成されたシリコーンシートを挟持させてパネルの割れや干渉縞を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−112393号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、シリコーンシートが柔軟で変形し易いことから、シリコーンシートをパネルに密着させると、凹凸面が平らになって干渉縞防止効果が得らず、干渉縞が発生したり、弾性率が最適化されていないことから、外部からの衝撃を緩和できず、前面ガラスが割れるおそれがあった。
【0005】
本発明は、平面型ディスプレイパネルの表示部に衝撃を受けた際、ガラス破砕および飛散を防止するとともに、干渉縞の発生を防止でき、さらに軽量化および薄型化が可能な平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルムおよびそれを用いた平面型ディスプレイパネルの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、平面型ディスプレイパネルの前面ガラスに取り付けられる耐衝撃性フィルターであって、透明な剛性基材からなり、平面型ディスプレイパネルの視認側に配置される第1の層と、せん断弾性率が1×103〜9×106Paの透明な合成樹脂からなり、該第1の層よりも前面ガラス側に配置される第2の層と、合成樹脂フィルム上に微粒子を分散させて粗面が形成された粗面化フィルムからなり、該第2の層よりも前面ガラス側に配置される第3の層とを有し、該第3の層の粗面を直接前面ガラスに密着させるとともに、前面ガラスに密着した状態で該粗面の形状が維持されることを特徴とする平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルターを提供する。
本発明の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルターにおいて、平面型ディスプレイパネルの視認側から前面ガラスに向かう方向に沿って、上記第1の層と第2の層と第3の層とが順に積層された構造とするのが好ましい。
また、上記第1の層の厚みを1.0〜4.0mmの範囲とし、上記第2の層の厚みを0.05〜1.0mmの範囲とすることが好ましい。
さらに、上記第2の層の透明な合成樹脂は熱硬化性樹脂からなることが好ましい。
また、上記第1の層の視認側に近赤外線遮断層、電磁波遮断層、反射防止層からなる群から選択される少なくとも1つの層と、これらの層間を接着する粘着剤層とが積層された構成とするのが好ましい。
また本発明は、平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルターを前面ガラスに密着させてなる平面型ディスプレイパネルを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルター(以下、耐衝撃性フィルターと略記する。)の一実施形態を示す断面図である。この耐衝撃性フィルター10は、平面型ディスプレイパネル20の視認側から前面ガラス21に向かう方向に沿って、透明な剛性基材からなる第1の層1と、合成樹脂からなる第2の層2と、粗面化フィルムからなる第3の層3とが順に積層された構成になっている。第3の層3の粗面3aは、前面ガラス21に直接密着されており、前面ガラス21に密着した状態で粗面の形状は維持されている。
【0008】
耐衝撃性フィルター10を構成する第1の層1は、透明な剛性基材からなっている。透明とは、光学的な吸収や拡散が少なく実質的に透明であることを意味する。剛性基材とは、十分な機械強度を有している基材であることを意味し、好ましくはせん断弾性率が1×108Pa以上、特に1×109Pa以上である基材が好ましい。1×108Pa以上あれば上記衝撃力を効率よく分散および緩和することができることから好ましい。その構成材料の具体例としては、例えば強化ガラス、セミ強化ガラス、未強化ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。これらの材料の中でも、耐衝撃性とコストの点で、特に未強化ガラスが好ましい。第1の層の厚みは1.0〜4.0mmが好ましく、1.5〜3.0mmがさらに好ましい。1.0mm以上あれば、上記衝撃力を効率よく分散および緩和することができ、4.0mm以下にすることで加工性に優れ、価格的に有利になることから好ましい。
【0009】
第2の層2は、せん断弾性率1×103〜9×106Paの範囲の透明な合成樹脂から構成されている。この第2の層2の構成材料としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、弗素樹脂、ビニル系樹脂、ブタジエン樹脂、ネオプレン樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂等を単体あるいは2種類以上の異なる樹脂をブレンドまたは共重合したものを用いることができるが、耐衝撃性、飛散防止性、透明性、自己修復性、耐熱性、耐久性等のバランスを考慮すると、ウレタン系樹脂およびシリコーン系樹脂が最も好ましい。このような熱硬化性樹脂を用いることによって、画像点灯時に比較的高温にさらされるパネルにおいても弾性率の大きな変化や溶融流下するなどの不具合を生じることなく、長期にわたり優れた品質を維持することができる。さらに、上記範囲のせん断弾性率を有する熱硬化性樹脂の中でも、粘着性を有するもの、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のシリコーン樹脂、商品名NMX−143−10〜17およびSE1891Hのような樹脂材料をシート化後、第1の層1および第3の層3とゴムロール等を用いて押圧処理することによって簡単に積層でき、粘着剤や接着剤が不要となり、製造工程が大幅に簡略化できることから好ましい。この第2の層2のせん断弾性率は、1×103〜9×106Pa、好ましくは1×104〜9×105Paの範囲とされる。せん断弾性率を上記範囲とすることによって、第1の層1から前面ガラス21に向けて伝えられる衝撃力を効率よく分散および緩和吸収し、平面型ディスプレイパネル20の前面ガラス21の破壊を防止することができる。第2の層2の厚みは0.05〜1.0mmが好ましく、0.1〜0.5mmがさらに好ましい。0.05mm以上あれば、上記衝撃力を効率よく分散および緩和することができ、1.0mm以下にすることで加工性に優れ、価格的に有利になることから好ましい。
【0010】
この第2の層2には、レベリング剤、脱泡剤、色調補正色素、近赤外線吸収(反射)色素、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、または紫外線吸収剤等が含有されていてもよい。
【0011】
第2の層2を形成するには、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコーター法、マイクログラビア法、またはコンマコーター法等のコーティング法、押し出し成型法、カレンダーロール成型法、バッチ成型法等を用いて製造することができる。加工性を向上させるため、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、塩化メチレン、アルコール等の有機溶剤で希釈し、塗工することができる。
【0012】
第3の層3の粗面化フィルムとしては、バインダー樹脂に微粒子を混合して基材に一定の厚みで塗布し、硬化させることによって粗面を形成したものが好ましい。その他の粗面形成方法としては、物理的に基材表面を粗面化する方法や、基材中に微粒子を分散させる方法があるが、これらの方法では透過光の拡散が大きくなり、画質が劣化する問題がある。
【0013】
上記粗面化フィルムの基材としては、公知の樹脂フィルムの中から適宜選択して用いることができる。このような樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。特にポリエチレンテレフタレートは、透明性が高く、耐熱性が高いことから好ましい。
【0014】
上記樹脂フィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、片面または両面に、コロナ放電処理やプライマー処理を施すことができる。上記樹脂フィルムの厚みは、0.03〜0.3mmの範囲が好ましく、0.1〜0.2mmの範囲がさらに好ましい。0.03mm以上では作業性に優れ、0.3mm以下では価格的に有利である。
【0015】
上記粗面化フィルムのバインダー樹脂としては、熱や紫外線等で硬化する性質を有する公知の樹脂組成物を用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、弗素樹脂、ビニル系樹脂、ブタジエン樹脂、ネオプレン樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂等を単体あるいは2種類以上の異なる樹脂をブレンドまたは共重合したものを用いることができる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、光重合性プレポリマーまたは光重合性モノマーを1種または2種以上を混合することができる。上記光重合性プレポリマーとしては例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系のラジカル重合型やエポキシ系のカチオン重合型が挙げられる。上記光重合性モノマーとしては、多官能型アクリレートが挙げられる。さらに、光重合性の効率を向上させるため、光重合開始剤や増感剤を適宜添加することができる。
【0016】
上記バインダー樹脂と混合する微粒子としては、有機系または無機系のいずれであっても使用できる。有機系としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。無機系としては、例えば、シリカ、酸化チタンなどが挙げられる。この微粒子の平均粒径としては、0.5〜5μmの範囲が好ましく、1〜4μmの範囲がさらに好ましい。平均粒径が0.5μm以上あれば二次凝集が起こり難く、品質に優れ、5μm以下では鮮明な表示画面を得ることができる。微粒子の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部の範囲が好ましく、0.5〜20質量部の範囲がさらに好ましい。0.1質量部以上では、表面の粗面化が可能になり、40質量部以下では鮮明な表示画面を得ることができる。
【0017】
上記第3の層3には、希釈溶剤、レベリング剤、脱泡剤、色調補正色素、近赤外線吸収(反射)色素、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、または紫外線吸収剤等が含有されていてもよい。希釈溶剤としては、トルエン、MEK、酢酸エチル、塩化メチレン、アルコール等の有機溶剤が挙げられる。
【0018】
上記のような微粒子を含有したバインダー樹脂を基材上に形成するには、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコーター法、マイクログラビア法、またはコンマコーター法等のコーティング法、押し出し成型法、カレンダーロール成型法、バッチ成型法等を用いて製造することができる。
【0019】
このようにして形成された粗面化層の厚みは、0.1〜30μmの範囲が好ましく、0.5〜10μmの範囲がさらに好ましい。0.1μm以上では、表面の粗面化が可能になり、30μm以下では鮮明な表示画面を得ることができる。上記粗面化フィルムの光学特性としては、光沢度およびヘイズ値を指標としており、光沢度は100%以下、ヘイズ値は10%以下が好ましく、さらには光沢度が90%以下、ヘイズ値は6%以下が好ましい。光沢度が100%以下では、表面の粗面化が十分であり干渉縞の発生がなく、ヘイズ値が10%以下では鮮明な表示画面を得ることができる。
【0020】
本発明の耐衝撃性フィルター10においては、必要により粗面3aの表面に反射防止性を付与させることができる。例えば、シロキサン系皮膜やフッ素系皮膜などを設けることができる。この場合、該反射防止層の厚みは0.05〜1μmが好ましい。この反射防止層を設けることで透過率やコントラストが向上する。上記第3の層3として好適な粗面化フィルムとしては、ポラテクノ社製Z−5やZ−K1、リンテック社製LAG−3、LAG−4、LAG−6、LAG−8を挙げることができる。
【0021】
本発明の耐衝撃性フィルター10は、第3の層3の粗面3aを平面型ディスプレイパネル20の前面ガラス21に直接密着して取り付けられる。この取付状態において、第3の層3の粗面3aは変形せず、実質的に粗面形状を維持している。粗面3aを前面ガラス21に直接密着させた状態で、この耐衝撃性フィルター10を前面ガラス21に取り付ける方法は特に限定されず、例えば耐衝撃性フィルター10の周縁に固定部材を当てて機械的に固定する方法や、耐衝撃性フィルター10の粗面3aと前面ガラス21の表面との間に粘着剤を配して密着させる方法などが好ましい。
【0022】
本発明の耐衝撃性フィルター10は、各種の平面型ディスプレイパネル、例えばプラズマディスプレイパネル(PDP)、プラズマアドレスリキッドクリスタル(PALC)ディスプレイパネル、フィールドエミッションディスプレイ(FED)パネル、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイパネル、陰極管表示装置(CRT)などの平面型ディスプレイパネルに用いることができる。
【0023】
本発明の耐衝撃性フィルター10は、平面型ディスプレイパネル20の視認側に剛性の高い第1の層1を配置し、それよりも前面ガラス21側に柔軟な第2の層2を配置したものなので、平面型ディスプレイパネル20の視認側に衝撃を受けた場合、その衝撃を第1の層1で受け、第2の層2でその衝撃を分散、吸収することができるので、薄型、軽量でありながら優れた耐衝撃性を有している。
また、第2の層2よりも前面ガラス側に粗面かフィルムからなる第3の層3を配置し、この粗面3aを前面ガラス21表面に直接密着させるとともに、前面ガラス21に密着した状態で粗面3aの形状が維持されているので、干渉縞の発生を確実に防止することができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を具体的に説明する。(例1)〜(例3)は実施例であり、(例4)と(例5)は比較例である。
プラズマディスプレイパネルの前面ガラスとして、旭硝子社製高歪み点ガラス(PD200)2.8mmに、透明電極、バス電極(ガラス)、誘電体層および保護膜(MgO)を順次積層した縦950mm×横540mmのガラス基板を用意した。
衝撃試験として、IEC規格(Publication 65.1985)にあるスプリングインパクトハンマー(ドイツPTL社製、MODEL F−22)を用いて、0.2、0.35、0.50、0.70、1.00Jの衝撃力で評価を行なった。但し、電気用品取締法に規定されているポリアミド加工したおもり(半径10mm、250g)を約20.4cmの高さから落下させたときの衝撃エネルギーは、0.50Jと一致する。
上記基板の設置としては、アルミ製の板(厚み10mm×縦1000mm×横600mm)上に置き、万力で四辺を固定してコンクリート壁に立て掛けた。
ヘイズ値は、スガ試験機(株)製ヘイズメーターを使用し、JISK6714に準拠して測定した。光沢度は、日本電色(株)グロスメーターを使用し、JISK7105に準拠して測定した。画像特性は、上記ガラス基板の表面に該フィルターを置き、万力で四辺を固定して目視評価を行なった。干渉縞が生じた場合は×、鮮明な画像が得られた場合は○とした。
【0025】
(例1)
シリコーン樹脂溶液(商品名:NMX−143−17A、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)とシリコーン樹脂用硬化剤(商品名:NMX−143−17B、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)とを100:100の割合で混合して、撹拌し脱泡した後、100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した片面が粗面化されたフィルム(商品名:LAG−6、リンテック社製)の平滑面にバーコーターを用いて厚みが0.1mmになるように塗工し、120℃にて30分間硬化させた。このシリコーン樹脂のせん断弾性率は2×105Paであった。また、粗面化フィルムのヘイズは6.2%であり、光沢度は70%であった。
厚みが1.8mmのソーダライムガラスに、このフィルムのシリコーン面が接するようにゴムローラを用いて圧着させ、さらに、粘着剤層を積層した反射防止フィルム(URP2199NF、旭硝子社製)をガラス側の表面に同様に圧着させ耐衝撃性フィルターを作製した。
【0026】
(例2)
例1のシリコーン樹脂厚みを0.3mmに変更した以外は、例1と同様に操作して、耐衝撃性フィルターを作製した。
【0027】
(例3)
例2の粗面化フィルムを100μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)を使用した粗面化フィルムであるポラテクノ社製Z−K1に変更した以外は、例1と同様に操作して、耐衝撃性フィルターを作製した。この粗面化フィルムのヘイズは5.5%であり、光沢度は33.9%であった。
【0028】
(例4)
例1のシリコーン樹脂フィルムを厚みが0.3mmのポリカーボネートフィルム(商品名:レキサン8010、旭硝子社製)の両面に粘着加工したフィルムに変更した以外は、例1と同様に操作して、耐衝撃性フィルターを作製した。このポリカーボネートフィルムのせん断弾性率は9×109Paであった。
【0029】
(例5)
例1の粗面化フィルムを25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:エンブレットPTMX、ユニチカ社製)に変更した以外は、例1と同様に操作して、耐衝撃性フィルターを作製した。この粗面化フィルムのヘイズは6.0%であり、光沢度は140%であった。
以上の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
(評価結果)
以上の結果から、次のように評価した。例1〜3の耐衝撃性フィルターは、PDPの前面ガラスに模して作製したガラス基板に密着させ、耐衝撃性ガラス基板とした状態で、全てが実用上十分な性能を有していた。
一方、例4では、例1で使用した低弾性率のシリコーンを高弾性率のポリカーボネートに変更したところ、0.2Jより低い耐衝撃性であった。このことから、構成を最適化する必要があることが分かる。
さらに例5では、例1で使用した粗面フィルムを、ヘイズがほぼ同一であるが光沢度が高く表面の粗面化が十分でないフィルムに変更したところ、干渉縞が発生した。このことから、干渉縞を解消させるためには、表面の粗面化が重要であることが分かる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の耐衝撃性フィルターは、平面型ディスプレイパネルの視認側に剛性の高い第1の層を配置し、それよりも前面ガラス側に柔軟な第2の層を配置した構成としたので、平面型ディスプレイパネルの視認側に衝撃を受けた場合、その衝撃を第1の層で受け、第2の層でその衝撃を分散、吸収することができるので、薄型、軽量でありながら優れた耐衝撃性を有している。
また、第2の層よりも前面ガラス側に粗面かフィルムからなる第3の層を配置し、この粗面を前面ガラス表面に直接密着させるとともに、前面ガラスに密着した状態で粗面の形状が維持されているので、干渉縞の発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルムの一実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…第1の層、2…第2の層、3…第3の層、10…耐衝撃性フィルター、20…平面型ディスプレイパネル、21…前面ガラス。
Claims (6)
- 平面型ディスプレイパネルの前面ガラスに取り付けられる耐衝撃性フィルターであって、
透明な剛性基材からなり、平面型ディスプレイパネルの視認側に配置される第1の層と、
せん断弾性率が1×103〜9×106Paの透明な合成樹脂からなり、該第1の層よりも前面ガラス側に配置される第2の層と、
合成樹脂フィルム上に微粒子を分散させて粗面が形成された粗面化フィルムからなり、該第2の層よりも前面ガラス側に配置される第3の層とを有し、該第3の層の粗面を直接前面ガラスに密着させるとともに、前面ガラスに密着した状態で該粗面の形状が維持されることを特徴とする平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルター。 - 平面型ディスプレイパネルの視認側から前面ガラスに向かう方向に沿って、上記第1の層と第2の層と第3の層とが順に積層された請求項1に記載の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルター。
- 上記第1の層の厚みが1.0〜4.0mmの範囲であり、上記第2の層の厚みが0.05〜1.0mmの範囲である請求項1または2に記載の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルター。
- 上記第2の層が熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルター。
- 上記第1の層の視認側に近赤外線遮断層、電磁波遮断層、反射防止層からなる群から選択される少なくとも1つの層と、これらの層間を接着する粘着剤層とが積層された請求項1〜4のいずれかに記載の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルター。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルターを前面ガラスに密着させてなる平面型ディスプレイパネル。
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JP2003052971A JP2004264416A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 平面型ディスプレイパネル用耐衝撃性フィルターおよび平面型ディスプレイパネル |
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Publications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7887920B2 (en) | 2005-02-04 | 2011-02-15 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | Borate and near-infrared ray absorption material |
JP2013130854A (ja) * | 2011-12-21 | 2013-07-04 | Samsung Display Co Ltd | モバイル機器用ウインドー及びこれを具備するモバイル機器 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003052971A patent/JP2004264416A/ja not_active Withdrawn
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JP2013130854A (ja) * | 2011-12-21 | 2013-07-04 | Samsung Display Co Ltd | モバイル機器用ウインドー及びこれを具備するモバイル機器 |
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