JP2003249181A - 平面型ディスプレイパネル用耐衝撃フィルム及び平面型ディスプレイパネル - Google Patents

平面型ディスプレイパネル用耐衝撃フィルム及び平面型ディスプレイパネル

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JP2003249181A
JP2003249181A JP2002048159A JP2002048159A JP2003249181A JP 2003249181 A JP2003249181 A JP 2003249181A JP 2002048159 A JP2002048159 A JP 2002048159A JP 2002048159 A JP2002048159 A JP 2002048159A JP 2003249181 A JP2003249181 A JP 2003249181A
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JP2002048159A
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Inventor
Hiroshi Watabe
宏 渡部
Shigemi Kumamoto
重實 隈本
Takeomi Miyako
強臣 宮古
Hiroshi Wachi
博 和知
Takeshi Moriwaki
健 森脇
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AGC Inc
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝撃を受けた際にパネルのガラス破砕及び飛
散を防止するとともに、軽量化及び薄型化が可能な平面
型ディスプレイパネル用耐衝撃フィルムの提供。 【解決手段】 平面型ディスプレイパネル本体の前面ガ
ラスに接合される耐衝撃フィルムであって、せん断弾性
率1×106Pa〜3×107Pa、厚み2.0mm〜
7.0mmの透明な合成樹脂からなり、平面型ディスプ
レイパネルの前面ガラス側の第1の層と、せん断弾性率
1×106Pa〜2×108Paの範囲でかつ第1の層の
合成樹脂よりも大きく、厚み0.05mm〜3.0mm
の透明な合成樹脂からなり、該第1の層よりも視認側の
第2の層14とを含むことを特徴とする平面型ディスプ
レイパネル用耐衝撃フィルム10。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平面型ディスプレ
イパネルの前面ガラスに取り付けられ、衝撃による前面
ガラスの破砕を防止するとともに、軽量化及び薄型化を
可能にした平面型ディスプレイパネル用耐衝撃フィルム
及びそれを用いた平面型ディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大画面パネルを作製でき、明瞭な
フルカラー表示が可能であるなどの利点を有するプラズ
マディスプレイパネル(以下、PDPと略記する。)が
注目されている。PDPは、2枚のガラス板間に隔離形
成された多数の放電セル内で蛍光体を選択的に放電発光
させることでフルカラー表示を行うものである。
【0003】図1は、PDPの構造を例示する図であ
り、この図中符号1で示すPDPは前面ガラス2と背面
ガラス3とが対向配置された構成になっており、双方の
ガラス2,3間の隙間には減圧状態でキセノン等の希ガ
スが封入されている。前面ガラス2には放電電極4、誘
電体膜5、保護膜6等が形成され、背面ガラス3には隔
壁7、蛍光体8A,8B,8C、アドレス電極9等が設
けられている。PDP1の前面ガラス2は、電極や各種
材料からなる薄膜等を積層形成する際、傷や歪みを受け
ており、元のガラス板に比べて強度が著しく低下してい
る。さらに、背面ガラスに形成された隔壁や蛍光体の凹
凸が接することで、それらの接触部分に応力集中が生じ
易くなっている。
【0004】従来、PDP等の平面型ディスプレイパネ
ルの前面ガラス破損を防止するために、前面ガラスの前
方に数ミリの間隔をおいて、アクリル樹脂や強化ガラス
等からなる保護板を設け、平面型ディスプレイパネルに
衝撃が加わることを防止していた。しかし、このような
保護構造は、平面型ディスプレイパネルの軽量化、薄型
化の妨げとなる問題があった。さらに、パネルの前面ガ
ラスと保護板との間に空間があるため、蛍光灯等の外光
の映り込みによる画質低下を生じたり、僅かな振動によ
り画像の歪みを生じるといった問題があった。
【0005】平面型ディスプレイパネルの前面ガラス破
損を防止するための技術は、これまでに種々提案されて
おり、例えば特開2000−123751号公報には、
前面ガラスの厚みを厚くすることで強度を向上させる技
術が提案されている。しかしこの構造では衝撃に対する
保護効果は不十分であり、またパネル重量が増加するこ
とから問題である。また、特開2000−156182
号公報、特開平11−119667号公報、特開平11
−119668号公報、特開平11−119669号公
報においては、保護板を接着層を介してパネルの前面ガ
ラスに接着する構造が提案されているが、この構造では
衝撃が前面ガラスに伝わり易く、前面ガラスの破損防止
効果が充分に得られない問題があった。
【0006】さらに別な従来技術として、特開2001
−266759号公報には、平面型ディスプレイパネル
の前面ガラスに透明な粘着剤層を介して、割れ防止層
(衝撃緩和層)Bとその上の飛散防止層Aとの順に透明
な合成樹脂からなる2つの層を積層し、飛散防止層Aの
せん断弾性率が2×108Pa以上であり、割れ防止層
Bのせん断弾性率が1×104〜2×108Paの範囲内
である衝撃緩和積層体(以下、従来積層体という。)が
提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来積層体は、PDPなどの前面ガラスにおける耐衝撃性
付与という点では不十分であった。同公報の実施例にお
いては、ガラス板として、電極や各種材料からなる薄膜
等を積層形成していない、いわば「無処理」のガラス板
を使用し、これに粘着剤、衝撃緩和層、飛散防止層を順
に積層して硬球を落下させ、耐衝撃性の有無を試験して
いるが、上述した通り、実際のPDPの前面ガラスは、
電極や各種材料からなる薄膜等を積層形成した結果、無
処理のガラスに比べて耐衝撃力が大幅に劣化し、割れや
すくなっている。このように従来積層体は、耐衝撃力が
無処理のガラス板に比べて大幅に弱化しているPDPの
前面ガラスに接合した場合、十分な耐衝撃効果が得られ
ることは実証されていない。そして後述する実施例にお
いて詳述するが、ガラス板に電極や誘電体膜などを形成
しPDPの前面ガラスを想定したガラス基板に、同公報
の実施例中に記載されたものと同等の材質と厚みの三層
を積層し、スプリングインパクトハンマーにより所定の
衝撃力を加えて耐衝撃性を測定したところ、このものは
耐衝撃性が不足していることが判った(実施例の例5参
照)。従って従来積層体は、耐衝撃性が弱化しているP
DPなど平面型ディスプレイパネルの前面ガラスを保護
するための耐衝撃フィルムとしては不十分であった。
【0008】本発明は、平面型ディスプレイパネルの前
面に取り付けて、衝撃を受けた際にパネルのガラス破砕
及び飛散を防止するとともに、軽量化及び薄型化が可能
な平面型ディスプレイパネル用耐衝撃フィルム(以下、
耐衝撃フィルムと略記する。)およびそれを用いた平面
型ディスプレイパネルの提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、平面型ディスプレイパネル本体の前面ガ
ラスに接合される耐衝撃フィルムであって、せん断弾性
率が1×106Pa〜3×107Paの範囲で厚みが2.
0mm〜7.0mmの透明な合成樹脂からなり、平面型
ディスプレイパネルの前面ガラス側の第1の層と、せん
断弾性率が1×106Pa〜2×108Paの範囲でかつ
前記第1の層の合成樹脂よりも大きいせん断弾性率を有
し、厚みが0.05mm〜3.0mmの透明な合成樹脂
からなり、該第1の層よりも視認側の第2の層とを含む
ことを特徴とする平面型ディスプレイパネル用耐衝撃フ
ィルムを提供する。本発明の耐衝撃フィルムは、せん断
弾性率が1×106Pa〜2×108Paの範囲の合成樹
脂からなる厚み0.05mm〜3.0mmの第2の層
と、平面型ディスプレイパネルの前面ガラスとの間に、
せん断弾性率が第2の層の合成樹脂より小さく、厚み
2.0mm〜7.0mmの合成樹脂からなる第1の層を
設けたものなので、衝撃を受けた際、第2の層と前面ガ
ラスの間に設けられた第1の層によって衝撃が吸収され
て前面ガラスへの衝撃力の伝達を防止でき、軽量、薄型
で耐衝撃性の優れた耐衝撃フィルムを提供できる。
【0010】本発明の耐衝撃フィルムにおいて、前記第
1の層の視認側面に前記第2の層が積層された構造とす
るのが好ましい。また前記第1の層は、前記平面型ディ
スプレイパネルの前面ガラスに直接接合される粘着性を
有する樹脂材料が好ましい。さらに、前記第2の層の視
認側に、電磁波遮蔽層、近赤外線吸収層、反射防止層か
らなる群から選択される少なくとも1つの層と、これら
の層間を接着する接着剤層とが積層された構成としてよ
い。
【0011】さらに本発明は、上述した耐衝撃フィルム
を、平面型ディスプレイパネル本体の前面ガラスに直接
または透明接着剤層を介して接合してなる平面型ディス
プレイパネルを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】図2は本発明の耐衝撃フィルムの
一実施例を示す図であって、この耐衝撃フィルム10
は、動的粘弾性測定におけるせん断弾性率G´(以下、
せん断弾性率と略記する。)が1×106Pa〜3×1
7Paの範囲であり、厚み2.0mm〜7.0mmの
透明な合成樹脂からなり、平面型ディスプレイパネル本
体11の前面ガラス12側に設けられた第1の層13
と、せん断弾性率が同じく1×106Pa〜2×108
aの範囲でかつ第1の層13の合成樹脂よりも大きいせ
ん断弾性率を有し、厚みが0.05mm〜3.0mmの
透明な合成樹脂からなり、該第1の層13の視認側面上
に積層された第2の層14とからなっている。
【0013】上記せん断弾性率(G´)は、セイコーイ
ンスツルメンツ社製動的粘弾性測定装置DMS120を
用い、周波数1Hzにおける25℃±3℃でのせん断弾
性率G´の測定値である。なお一般的には引っ張り弾性
率E=3G´(せん断弾性率)の関係があり、引っ張り
弾性率Eは、上記せん断弾性率の約3倍程度である。
【0014】[第1の層]平面型ディスプレイパネル本
体11の前面ガラス12側に設けられる第1の層13
は、せん断弾性率が1×106Pa〜3×107Paの範
囲の透明な合成樹脂からなる。このような合成樹脂は、
ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、
フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹
脂、ビニル系樹脂、ブタジエン樹脂、ネオプレン樹脂、
スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂等を単体または2
種類以上の異なる樹脂をブレンド又は共重合したものな
どから適宜選択して用いることができるが、耐衝撃性、
破損ガラス飛散防止性、透明性、自己修復性、耐熱性、
耐久性等のバランスを考慮すると、熱硬化性樹脂である
ウレタン系樹脂およびシリコーン系樹脂が最も好まし
い。このような熱硬化性樹脂を用いることによって、前
面ガラス12が比較的高い温度にさらされるPDPに該
耐衝撃フィルム10を適用した場合であっても、前面ガ
ラス12に接する第1の層13が軟化、溶融流下するな
どの不具合を生じることなく、長期にわたり優れた耐衝
撃性を維持することができる。
【0015】この第1の層13のせん断弾性率は、1×
106Pa〜3×107Pa、好ましくは3×106Pa
〜9×106Paの範囲とされる。せん断弾性率を上記
範囲とすることによって、第2の層14側から前面ガラ
ス12に向けて伝えられる衝撃力を効率よく分散および
緩和吸収し、平面型ディスプレイパネル本体11の前面
ガラス12の破壊を防止することができるとともに、前
面ガラス12との積層が容易になり、層自体の形成時の
加工性も向上する。また、上記範囲のせん断弾性率を有
する熱硬化性樹脂の中でも、粘着性を有する樹脂材料
は、前面ガラス12上に配置し、その上に第2の層14
を載せてゴムロール等を用いて押圧処理することによっ
て簡単に前面ガラス12上に積層でき、製造工程が大幅
に簡略化できることから好ましい。第1の層13の粘着
性が十分でない場合には、透明な粘着剤層を第1の層1
3の両面に設けて前面ガラス12と第2の層14との接
合を行うように構成することができる。
【0016】第1の層13の厚みは2.0〜7.0mm
であり、3.0〜5.0mmが好ましい。第1の層13
が2.0mm以上あれば、上記衝撃力を効率よく分散お
よび緩和することができ、7.0mm以下にすることで
加工性に優れ、価格的に有利になることから好ましい。
【0017】第1の層13中には、レベリング剤、脱泡
剤、色調補正色素、近赤外線吸収(反射)色素、帯電防
止剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、滑剤、
可塑剤、または紫外線吸収剤等が含有されていてもよ
い。さらに、第1の層13と第2の層14との層間に、
色調補正色素、近赤外線吸収(反射)色素、帯電防止
剤、紫外線吸収剤等を含む層を介在させることもでき
る。
【0018】上記第1の層13の材料としてウレタン系
樹脂およびシリコーン系樹脂などの熱硬化型樹脂を用い
る場合、適当な厚みの第1の層13を形成するには、浸
漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナ
ーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバ
ーコーティング法、ブレードコーティング法、ロールコ
ーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイ
コーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコ
ーター法、マイクログラビア法、またはコンマコーター
法等のコーティング法、押し出し成型法、カレンダーロ
ール成型法、バッチ成型法等を用いて製造することがで
きる。加工性を向上させるため、トルエン、MEK、酢
酸エチル、塩化メチレン、アルコール等の有機溶剤で上
記熱硬化性樹脂を希釈して塗工することができる。第1
の層13は、上記熱硬化性樹脂を適当な基板上に塗工し
て得られるフィルムを用いる他、前面ガラス12の視認
側面または第2の層14の前面ガラス12側に直接塗工
することもできる。さらに、第1の層13は市販のポリ
ウレタン系軟質樹脂フィルムを用いることができ、例え
ば旭硝子社製のアークトップ(商品名)などが挙げられ
る。
【0019】[第2の層]第2の層14は、せん断弾性
率が1×106Pa〜2×108Paの範囲の透明な合成
樹脂からなり、本実施形態では上記第1の層13の視認
側面に直接積層されている。この第2の層14は、例え
ば、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート等のポリエステル樹脂、ジアセチルセルロース、
トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブ
チリルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエ
ステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、
ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−酢
酸ビニル共重合体樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペ
ンテン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエ
ーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂が挙げら
れ、特に耐衝撃性に優れたポリウレタン系樹脂が好まし
い。
【0020】第2の層14の厚みは、0.05〜3.0
mmであり、0.1〜2.0mmが好ましい。第2の層
14の厚みを上記範囲とすることで、耐衝撃性を向上さ
せることができるとともに、貼合時の作業性が向上す
る。また、この第2の層14のせん断弾性率を1×10
6Pa〜2×108Pa、好ましくは3×107Pa〜9
×107Paの範囲とすることで、第1の層13と積層
した状態で耐衝撃性が十分な耐衝撃フィルムを構成する
ことができるとともに、前面ガラス12との積層が容易
になり、層自体の形成時の加工性も向上する。第2の層
14を基材として、その片面側に上記第1の層13を成
膜する場合には、該第2の層14の表面にコロナ処理や
易接着処理を施すことが好ましい。この第2の層14に
レベリング剤、脱泡剤、色調補正色素、近赤外線吸収
(反射)色素、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、分
散剤、難燃剤、滑剤、可塑剤、または紫外線吸収剤等が
含有されていてもよい。
【0021】本実施形態の好適な一例として、第2の層
14が、せん断弾性率が1×106Pa〜2×108Pa
の範囲の合成樹脂フィルムの片面に、低屈折率の合成樹
脂フィルムを積層し、第2の層14の本来の衝撃吸収機
能と反射防止機能を兼備した積層フィルムを用いる構成
を挙げることができる。特にポリウレタン系軟質樹脂の
片面に非結晶性の含フッ素重合体からなる低屈折率層を
有する反射防止層が好ましく、具体的には旭硝子社製の
アークトップ(商品名)などが挙げられる。
【0022】本実施形態の耐衝撃フィルム10は、せん
断弾性率が1×106Pa〜3×107Pa、厚み2.0
〜7.0mmの合成樹脂からなる第1の層13と、せん
断弾性率が1×106Pa〜2×108Pa、厚み0.3
〜3.0mmの第2の層14とを積層してなり、第1の
層13を平面型ディスプレイパネル本体11の前面ガラ
ス12に接合した状態において、前面ガラス12と第2
の層14との間に、比較的軟質の第1の層13が介在さ
れた構造なので、第2の層14から第1の層13を介し
て前面ガラス12側に加わる衝撃が第1の層13で分
散、吸収緩和され、前面ガラス12への衝撃力の伝達を
防止でき、軽量、薄型で耐衝撃性の優れた耐衝撃フィル
ム10を提供できる。
【0023】[平面型ディスプレイパネル]本発明に係
る平面型ディスプレイパネル20は、図2に示すよう
に、平面型ディスプレイパネル本体11の前面ガラス1
2に、上述した耐衝撃フィルム10を接合して構成され
ている。耐衝撃フィルム10は、上述したように平面型
ディスプレイパネル本体11の前面ガラス12に直接積
層してもよいが、第1の層13の粘着性が十分でない場
合には、透明な粘着剤層を設けて平面型ディスプレイパ
ネル本体11に容易に貼り付けることができる。粘着剤
を用いる場合、市販されている粘着剤を使用することが
でき、好ましい粘着剤の具体例は、アクリル酸エステル
共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタ
ン、酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合
体、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、スチ
レン−ブタジエン共重合体系ゴム、ブチルゴム、または
シリコーン樹脂等の粘着剤を挙げることができる。更
に、粘着剤層を積層する場合には、その粘着面にシリコ
ーン樹脂またはフッ素系樹脂が塗布されたPET等の離
型フィルムを貼付しておくことが、作業性の点で好まし
い。この粘着剤に紫外線吸収剤、色調補正色素、近赤外
線吸収(反射)色素、電磁波遮蔽剤などの種々の機能を
有する添加剤を添加してもよい。平面型ディスプレイパ
ネル本体11に耐衝撃フィルム10を貼合する方法とし
ては、ロールラミネート法、真空ラミネート法およびオ
ートクレーブ法等を用いて行うことができる。
【0024】平面型ディスプレイパネル本体11として
は、PDPの他、プラズマアドレスリキッドクリスタル
(PALC)ディスプレイパネル、フィールドエミッシ
ョンディスプレイ(FED)パネル、液晶(LC)ディ
スプレイパネル、エレクトロルミネッセンス(EL)デ
ィスプレイパネル、陰極管表示装置(CRT)などの平
面型ディスプレイパネルとすることができる。
【0025】図3は、本発明に係る耐衝撃フィルムの他
の実施形態を示す図である。本発明の耐衝撃フィルム
は、上述した第2の層14の視認側に、種々の機能を有
する層を1層以上積層して構成することができる。これ
らの層としては、例えば、紫外線吸収層、色調補正層、
近赤外線吸収(反射)層、防汚層、反射防止層、電磁波
遮蔽層、ハードコート層、または耐擦傷性機能を与える
層等を挙げることができる。その一例として、図3に示
す耐衝撃フィルム30は、第2の層14の視認側に、接
着剤層15を介して電磁波遮蔽層16、近赤外線吸収機
能と色調補正機能とを兼備した近赤外線吸収層17およ
び反射防止層18を順に積層した構成になっている。な
お、本例示は、平面型ディスプレイパネル本体11がP
DPである場合に好ましい組み合わせを示すものであ
り、PDP以外の平面型ディスプレイパネル本体に適用
する場合、または第1の層13と第2の層14のいずれ
かに電磁波遮蔽機能、近赤外線吸収機能および/または
色調補正機能を付与してある場合などでは、電磁波遮蔽
層16と近赤外線吸収層17の一方または両方を省いた
構成としてよい。以下に、本例示で挙げた各層の詳細を
記す。
【0026】[電磁波遮蔽層]電磁波遮蔽層16は、P
DP本体から放射される電磁波を遮蔽し、他の家電機器
等に電磁波ノイズによる影響を及ぼさないようにするた
めのもので、PDP用の電磁波遮蔽層16としては、導
電性金属のメッシュからなる導電層や、スパッタ法など
の薄膜形成技術を用いて5〜20nmの金属膜、または
該金属膜と酸化物とを多層に積層した導電性多層膜から
なる透光性の導電層を用いることができる。導電性金属
のメッシュからなる導電層は、PDP用の電磁波遮蔽
(シールド)用メッシュとして従来より周知の各種メッ
シュ材を用いることができる。これらのメッシュ材に関
しては、例えば特開平11−212475号公報、特開
2000−156182号公報、特開2000−286
593号公報等にも記載されている。
【0027】透光性の導電層に用いる金属層としては、
Au、AgおよびCuからなる群から選ばれる1種以上
の金属又は該金属を主成分とする層が好ましく、特に、
比抵抗が小さく、吸収が小さいことから、Agを主成分
とする金属層が好ましい。さらにAgを主成分とする金
属層としては、Agの拡散を抑制し、結果として耐湿性
が向上することから、Agを主成分としPd、Auまた
はCuの少なくとも一つを含む金属層であることが好ま
しい。Pd、AuまたはCuの少なくとも一つの含有割
合は、AgとPd、AuまたはCuの少なくとも一つの
含量との総量に対して0.3〜10原子%であることが
好ましい。0.3原子%以上であればAgの安定化の効
果が得られると共に、10原子%以下とすることで良好
な耐湿性を維持しつつ、良好な成膜速度及び可視光透過
率が得られる。したがって、以上の観点からは、添加量
は5.0原子%以下が適当である。また、添加量が増加
するとターゲットコストが著しく増加するので、通常必
要な耐湿性を勘案すると、0.5〜2.0原子%程度の
範囲となる。単層として透光性の導電層を形成する場
合、この金属層の厚さは5〜20nm、好ましくは8〜
15nmとされる。この金属層の形成方法は特に限定さ
れないが、透明基板の一方の面側に直接、薄い金属膜を
均一に成膜可能なスパッタ法を用いて成膜することが好
ましい。
【0028】この導電層としては、低いシート抵抗値、
低い反射率、高い可視光線透過率が得られることから、
透明な合成樹脂フィルムなどの適当な透明基板上に、酸
化物層と金属層を交互に積層した多層導電膜、特に、酸
化物層、金属層、酸化物層、と交互に計(2n+1)層
(nは1以上の整数)積層された多層導電膜が好適に使
用される。酸化物層としては、Bi、Zr、Al、T
i、Sn、InおよびZnからなる群から選ばれる1種
以上の金属の酸化物を主成分とする層が挙げられる。好
ましくはTi、Sn、InおよびZnからなる群から選
ばれる1種以上の金属の酸化物を主成分とする層であ
る。特に、吸収が小さく、屈折率が2前後であることか
ら、ZnOを主成分とする層、屈折率が大きく、好まし
い色調を少ない層数で得られやすいことからTiO2
主成分とする層が好ましい。酸化物層は、複数の薄い酸
化物層から構成されていてもよい。例えば、ZnOを主
成分とする酸化物層に代えて、SnO2を主成分とする
層とZnOを主成分とする層とから形成することもでき
る。ZnOを主成分とする酸化物層は、Zn以外の1種
以上の金属を含有するZnOからなる酸化物層であるこ
とが好ましい。含有された前記の1種以上の金属は、酸
化物層中では主として酸化物の状態で存在している。1
種以上の金属を含有するZnOとしては、Sn、Al、
Cr、Ti、Si、B、MgおよびGaからなる群から
選ばれる1種以上の金属を含有するZnOが好ましく挙
げられる。前記1種以上の金属の含有割合は、得られる
導電膜の耐湿性が向上することから、該金属の合計量と
Znとの総量に対して1〜10原子%が好ましい。1原
子%以上とすれば、充分にZnO膜の内部応力を低減せ
しめて、良好な耐湿性を得ることができる。また10原
子%以下とすれば、ZnOの結晶性が良好に維持される
と共に、金属層との相性が低下することがない。安定し
て再現性よく低内部応力のZnO膜を得ること、および
ZnOの結晶性を考慮すると、金属の含有割合は2〜6
原子%が好ましい。酸化物層の幾何学的膜厚(以下、単
に膜厚という)は、最も透明基板に近い酸化物層および
最も透明基板から遠い酸化物層は20〜60nm(特に
30〜50nm)、それ以外の酸化物層は40〜120
nm(特に40〜100nm)とすることが好ましい。
金属層の合計膜厚は、例えば得られる導電層の抵抗値の
目標を2.5Ω/□とした場合、25〜40nm(特に
25〜35nm)、抵抗値の目標を1.5Ω/□とした
場合、35〜50nm(特に35〜45nm)とするこ
とが好ましい。酸化物層と金属層との全合計膜厚は、例
えば、金属層数が2の場合は150〜220nm(特に
160〜200nm)、金属層数が3の場合は230〜
330nm(特に250〜300nm)、金属層数が4
の場合は270〜370nm(特に310〜350n
m)であることが好ましい。上記第1の金属層と第2の
酸化物層との間、第2の金属層と第3の酸化物層との
間、第3の金属層と第4の酸化物層との間には、酸化物
層形成時に、金属層が酸化されることを防止するための
別の層(以下、酸化バリア層という。)を設けることが
できる。酸化バリア層としては、例えば、金属層、酸化
物層、窒化物層が用いられる。具体的には、Al、T
i、Si、GaおよびZnからなる群から選ばれる1種
以上の金属、該金属の酸化物、窒化物などである。好ま
しくは、TiやSiとGaとを含有するZnOを用い
る。酸化バリア層の膜厚は1〜7nmが望ましい。1n
mより薄いとバリア層としての働きを充分に示さない。
7nmより厚いと膜系の透過率が低下する。
【0029】この電磁波遮蔽層16には、PDP本体か
ら発した電磁波に起因して該層中で発生する電流をアー
ス線に導くためのアース線接続用の電極(図示せず)が
接続されている。この電極の形状および寸法は特に限定
されないが、抵抗が低い方が電磁波遮蔽性能の点では優
位となる。この電極は、耐衝撃フィルム30の周縁全体
に設けることが、透光性導電膜の電磁波遮蔽効果を確保
するために好ましい。このような電極は、例えば、Ag
ペースト(Agとガラスフリットを含むペースト)やC
uペースト(Cuとガラスフリットを含むペースト)を
塗布、焼成して得られる電極が好適に用いられる。さら
に、この電極に接続された図示しない長尺のアース線を
含む構成とすることができる。
【0030】[近赤外線吸収層]近赤外線吸収層17
は、PDP本体から放射される近赤外線を吸収する近赤
外線吸収能を有する色素と、色調補正能を有する色素と
を含有する透明な合成樹脂層から構成される。これらの
色素は染料と顔料のいずれも使用できる。なお、「近赤
外線吸収能を有する色素(以下、近赤外線吸収剤と記
す。)」とは、少なくとも近赤外領域(波長780〜1
300nm)の光の一部を吸収できる色素であればよ
く、該色素が他の波長領域、例えば可視光にも吸収能を
有している色素であっても使用し得る。また「色調補正
能を有する色素(以下、色調補正剤と記す。)」とは、
可視光の波長領域(波長380〜780nm)の光を、
好ましくは特定波長領域(複数の領域でもよい)の光を
特異的に吸収できる色素である。近赤外線吸収剤および
色調補正剤を含有させるベースの合成樹脂は特に限定さ
れず、各種の透明な熱可塑性合成樹脂または熱硬化性合
成樹脂を用いることができ、また該層の厚みは特に限定
されないが、0.5〜25μm程度とするのが好まし
い。
【0031】近赤外線吸収剤としては、ポリメチン系、
フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、
アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンス
ラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、
インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系
の化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
熱線吸収や電子機器のノイズ防止の用途には、最大吸収
波長が750〜1100nmである近赤外線吸収剤が好
ましく、金属錯体系、アミニウム系、フタロシアニン
系、ナフタロシアニン系、ジイモニウム系が特に好まし
い。近赤外線吸収剤は1種類としてもよいし、2種以上
を混合して用いてもよい。
【0032】色調補正剤は、可視光の特定波長域の一部
を吸収し、透過可視光の色調を改善するために用いられ
る。本発明において使用し得る色調補正剤としては、ア
ゾ系、縮合アゾ系、ジインモニウム系、フタロシアニン
系、アンスラキノン系、インジゴ系、ペリノン系、ペリ
レン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、メチン系、
イソインドリノン系、キノフタロン系、ピロール系、チ
オインジゴ系、金属錯体系などの周知の有機顔料および
有機染料、無機顔料が挙げられるが、耐候性が良好であ
るとともに近赤外線吸収層17の主剤との相溶性または
分散性が良好な色素、例えばジインモニウム系、フタロ
シアニン系、アンスラキノン系色素のうちの1種類又は
2種以上を適宜組み合わせて用い得る。
【0033】この耐衝撃フィルム30をPDPに適用す
る場合、近赤外線吸収剤により、PDPの表示画面から
発せられる近赤外線が近赤外線吸収層17に吸収され、
電子機器に対するノイズ発生を防止することができる。
また近赤外線吸収層17に含有させる色調補正剤として
は、PDP本体内に封入された放電ガス、例えばネオン
とキセノンの二成分ガス、からの余分な発光色(主に5
60〜610nmに波長領域)を選択的に吸収・減衰さ
せるための1種類若しくは複数種類の色調補正剤を混合
して含有させることが好ましい。このような色素構成と
することによって、PDPの表示画面から発せられる可
視光のうち、放電ガスの発光に起因する余分な光が吸収
・減衰され、その結果PDPの表示画面から発する可視
光の表示色を表示目標の表示色に近づけることができ、
自然な色調を表示し得るPDPを提供できる。このよう
に上記放電ガスからの余分な発光色を選択的に吸収・減
衰させる色素には、近赤外線を吸収・減衰させる効果を
有するものもある。
【0034】[反射防止層]反射防止層18は、反射防
止性を有している層であればよく、既知の反射防止方法
が何でも採用できる。例えば防眩性(アンチグレア)処
理を施した層または低屈折率層を含む層であればよい。
高剛性透明基板自身が万一破損した際に破片の飛散防止
の観点から、樹脂フィルムの片面に、低屈折率層を有し
ているものが好ましい。特にポリウレタン系軟質樹脂の
片面に非結晶性の含フッ素重合体からなる低屈折率層を
有する反射防止層が好ましく、具体的には旭硝子社製の
アークトップ(商品名)などが挙げられる。また最外面
層となる反射防止層18の表面に、耐摩耗性を付与させ
るため潤滑剤を反射防止性能を損なわない程度に塗布し
たり、反射防止層18中に潤滑剤を配合したりしてもよ
い。このような潤滑剤として、デュポン社製の商品名ク
ライトックス、ダイキン工業社製の商品名ダイフロイ
ル、アウジモント社製の商品名フォンブリン、旭硝子社
製の商品名フロンルーブなどのパーフルオロポリエーテ
ル類が挙げられる。
【0035】反射防止層18に上述したアークトップ
(商品名)のような飛散防止兼反射防止樹脂フィルムを
用いる場合、そのポリウレタン樹脂層中に近赤外線吸収
剤を混入しておき、この反射防止層18に近赤外線遮蔽
効果を持たせてもよい。また、特定波長の可視光を吸収
する顔料および/または染料を含有せしめることで、表
示色の色バランスを補正する色調補正能を持たせること
もできる。
【0036】[接着剤層]上記第2の層14と電磁波遮
蔽層16の間、電磁波遮蔽層16と近赤外線吸収層17
との間、および近赤外線吸収層17と反射防止層18と
の間は、透明な接着剤層15を介して接着し得る。好適
な接着剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(E
VA)等のホットメルト型の接着剤、エポキシ、アクリ
レート系の紫外線硬化型、熱硬化型接着剤を挙げること
ができる。接着剤層15の厚さは各々0.1〜1.0m
m、好ましくは0.2〜0.5mmとする。
【0037】本実施形態の耐衝撃フィルム30は、第1
の層13を平面型ディスプレイパネル本体11の前面ガ
ラス12に接合した状態で、前面ガラス12と硬質樹脂
からなる第2の層14との間に、軟質の第1の層13が
介在された状態となるので、第2の層14から第1の層
13を介して前面ガラス12側に加わる衝撃が第1の層
13で分散、吸収緩和され、前面ガラス12への衝撃力
の伝達を防止でき、軽量、薄型で耐衝撃性の優れた耐衝
撃フィルム10を提供できるという、先の実施態様の耐
衝撃フィルム10と同様の効果を得ることができる他、
第2の層14の視認側面に、電磁波遮蔽層16と、近赤
外線吸収能と色調補正能とを兼備する近赤外線吸収層1
7と、反射防止層18とを積層形成したことによって、
平面型ディスプレイパネル本体11として、PDPのよ
うに、電磁波や近赤外線によるノイズが発生しかつ表示
色の色バランスを補正することが望ましいディスプレイ
パネルに特に好適に適用させることができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の耐衝撃フィルムの効果を具体
的に記す。以下の例1〜2は本発明に係る実施例であ
り、例3〜5は比較例を示す。
【0039】(例1) ガラス基板の作製:厚さ2.8mmの高歪み点ガラス
(商品名:PD200、旭硝子社製)に、透明電極、バ
ス電極、透明誘電体および保護膜を順次積層し、縦95
0mm×横540mmのPDPの前面ガラスを模したガ
ラス基板を作製した。これら各層は次のような条件で作
製した。 透明電極:ITOをスパッタリング法により成膜し、フ
ォトリソグラフィーにより電極パターンを作製した。 バス電極:Cr−Cu−Crの三層をスパッタリング法
により成膜し、フォトリソグラフィーにより電極パター
ンを作製した。 透明誘電体:ペースト状にした低融点ガラスをベタ印刷
により成膜した。 保護膜:透明誘電体の表面に接着(シール)層をスクリ
ーン印刷により成膜した後、MgOを蒸着法により成膜
した。
【0040】第1の層として、せん断弾性率が6.7×
106Paの熱硬化性ウレタンからなる厚さ5.0mm
のフィルム(商品名:アークトップSE、旭硝子社製)
の両面にアクリル系粘着剤(綜研化学社製、商品名:S
Kダイン1604Nの150質量部と、綜研化学社製、
商品名:L−45の2質量部とを混合したもの)を、バ
ーコーターを用いて塗工し、100℃にて10分間、乾
燥およびアニール処理することにより、両面に0.01
5mmのアクリル系粘着剤を積層させ、その片面に、第
2の層として、せん断弾性率が5.0×107の熱可塑
性ウレタン(商品名:エスマーURS、日本マタイ社
製)からなる厚さ1.0mmのフィルムをゴムロールを
用いて室温でラミネートし、耐衝撃フィルムを作製し
た。この耐衝撃フィルムを上記ガラス基板上に、熱硬化
性ウレタン層側の面がガラス基板に接触するように置
き、ゴムロールを用い室温で第2の層側を押圧、ラミネ
ートし、耐衝撃フィルム付きのガラス基板(以下、耐衝
撃ガラス基板と記す。)を作製した。この耐衝撃ガラス
基板(例1)を用い、以下の条件で衝撃試験および耐熱
性試験を実施した。結果を表1に記す。
【0041】[評価方法] せん断弾性率G´:Rheometric Scien
tific社製の動的粘弾性測定装置ARESを用い、
周波数1Hz、温度25℃の条件で直接測定した。ただ
し、ポリカーボネート等のせん断弾性率は、上記装置を
用いて、温度25℃にて引張弾性率(E)を測定し、換
算式E=3G´に従って、引張弾性率をせん断弾性率に
換算して得た。特に記載しない限り、前記の方法でせん
断弾性率を直接測定した。
【0042】衝撃試験:IEC規格(Publicat
ion 65.1985)に記載されたスプリングイン
パクトハンマー(MODEL F−22、ドイツPTL
社製)を用いて、0.2J、0.35J、0.50J、
0.70Jおよび1.00Jの衝撃力で評価を行なっ
た。割れなかった場合を○、割れた場合を×とした。な
お、電気用品取締法に規定されているポリアミド加工し
たおもり(半径10mm、250g)を約20.4cm
の高さから落下させたときの衝撃エネルギーは、0.5
0Jと一致することから、本衝撃試験において0.50
J以上の耐衝撃性を有すれば、実用上十分な耐衝撃性を
有しているものと判断できる。衝撃試験は、該耐衝撃ガ
ラス基板を、アルミニウム製の板(厚み10mm×縦1
000mm×横600mm)上に置き、万力で四辺を固
定してコンクリート壁に立て掛けて実施した。
【0043】耐熱性試験:80℃のオーブン中に入れ、
1000時間経過した後に取り出し、外観を観察した。
オーブンに入れる前と比較して変化がない場合を○、耐
衝撃フィルムがガラス基板から剥がれた場合、またはフ
ィルムとガラス基板の間に気泡の発生や表面状態の歪み
を生じた場合を×とした。
【0044】(例2)例1の熱可塑性ウレタンからなる
フィルム(第2の層)の厚さを2.0mmに変更した以
外は例1と同様に操作して、耐衝撃ガラス基板を作製
し、例1と同様の試験を実施した。結果を表1に記す。
【0045】(例3)耐衝撃フィルムを接合しないガラ
ス基板のみで衝撃試験を実施した。結果を表1に記す。
【0046】(例4)ポリカーボネート(商品名:レキ
サン8010、旭硝子社製)からなる厚さ2.0mmの
フィルムの片面にアクリル系粘着剤(綜研化学社製、商
品名:SKダイン1604Nの150質量部と綜研化学
社製、商品名:L−45の2質量部とを混合したもの)
を厚さ0.015mmになるように積層して、粘着剤面
がガラス基板に接触するように、ゴムロールを用いて室
温でラミネートし、衝撃吸収フィルム付きのガラス基板
を作製し、例1と同様の試験を実施した。結果を表1に
記す。
【0047】(例5)厚さ0.8mmのポリプロピレン
/EVA/ポリプロピレンフィルム(商品名:POVIC
−T、アキレス社製)の両面にアクリル系粘着剤(綜研
化学社製、商品名:SKダイン1604Nの150質量
部と綜研化学社製、商品名:L−45の2質量部とを混
合したもの)を積層し、その片面にポリエチレンテレフ
タレート(商品名:コスモシャインA4300、東洋紡
社製)からなる厚さ0.188mmのフィルムをゴムロ
ールを用いて室温でラミネートした。ポリプロピレン/
EVA/ポリプロピレンフィルムおよびポリエチレンテ
レフタレートフィルムのせん断弾性率は、引張弾性率か
ら換算し、それぞれ6.9×107Pa、2.0×109
Paであった。この衝撃吸収フィルムと上記ガラス基板
とを、衝撃吸収フィルムの粘着剤面がガラス基板に接触
するように、ゴムロールを用いて室温でラミネートし、
衝撃吸収フィルム付きのガラス基板を作製し、例1と同
様の試験を実施した。結果を表1に記す。
【0048】
【表1】
【0049】表1の結果から判るように、本発明に係る
例1および2の耐衝撃フィルムは、PDPの前面ガラス
に模して作製したガラス基板に接合し、耐衝撃ガラス基
板とした状態で、全てが実用上十分な耐衝撃性を有して
いるものと判断できる0.50J以上の耐衝撃性を有し
ていた。一方、耐衝撃フィルムを接合しない例3のガラ
ス基板は、0.2Jより低い耐衝撃性であった。また、
このガラス基板に、厚さ2.0mmのポリカーボネート
層を、薄い粘着剤層を介して接合した例4の耐衝撃ガラ
ス基板は、0.2Jより低い耐衝撃性であった。このこ
とから、第2の層のみでは耐衝撃性が増加しないことが
判る。さらに、従来積層体に模して作製した積層体を接
合した例5の耐衝撃ガラス基板は、0.2Jより低い耐
衝撃性であり、本発明に係る例1と2の各耐衝撃ガラス
基板に比べ、明らかに耐衝撃性が劣っていた。さらに、
例5の耐衝撃ガラス基板は、第1の層として熱可塑性樹
脂を用いていることから、耐熱性が不十分であり、PD
P用の耐衝撃フィルムとして好ましくなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明により、平面型パネルディスプレ
イパネルの前面ガラスに接合することで、衝撃によるガ
ラス破砕を防止できるとともに、軽量化および薄型化を
可能にした平面型ディスプレイパネル用耐衝撃フィルム
および平面型ディスプレイパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 PDPの構成を説明するための要部斜視図で
ある。
【図2】 本発明に係る耐衝撃フィルムおよび平面型デ
ィスプレイパネルの一実施形態を示す断面図である。
【図3】 本発明に係る耐衝撃フィルムおよび平面型デ
ィスプレイパネルの他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
10,30 耐衝撃フィルム(平面型ディスプレイパネ
ル用耐衝撃フィルム) 11 平面型ディスプレイパネル本体 12 前面ガラス 13 第1の層 14 第2の層 15 接着剤層 16 電磁波遮蔽層 17 近赤外線吸収層 18 反射防止層 20 平面型ディスプレイパネル
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 9/00 302 H01J 29/89 309 G02B 1/10 A H01J 29/89 Z (72)発明者 隈本 重實 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 宮古 強臣 千葉県市原市五井海岸10番地 旭硝子株式 会社内 (72)発明者 和知 博 千葉県市原市五井海岸10番地 旭硝子株式 会社内 (72)発明者 森脇 健 千葉県市原市五井海岸10番地 旭硝子株式 会社内 Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 2K009 AA02 CC03 CC26 CC35 CC42 CC47 DD01 DD02 EE00 EE03 4F100 AK01B AK01C AR00D AT00A BA03 BA04 BA10A BA10C BA10D GB41 JA20B JA20C JD08D JD10D JK07B JK07C JK10 JN01B JN01C JN06D YY00B YY00C 5C032 AA07 CC06 EE01 EF01 EF02 EF04 EF05 5G435 AA00 AA07 AA18 BB01 BB06 BB11 FF03 FF14 GG33 HH03 HH05 LL04 LL08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面型ディスプレイパネル本体の前面ガ
    ラスに接合される耐衝撃フィルムであって、 せん断弾性率が1×106Pa〜3×107Paの範囲で
    厚みが2.0mm〜7.0mmの透明な合成樹脂からな
    り、平面型ディスプレイパネルの前面ガラス側の第1の
    層と、 せん断弾性率が1×106Pa〜2×108Paの範囲で
    かつ前記第1の層の合成樹脂よりも大きいせん断弾性率
    を有し、厚みが0.05mm〜3.0mmの透明な合成
    樹脂からなり、該第1の層よりも視認側の第2の層とを
    含むことを特徴とする平面型ディスプレイパネル用耐衝
    撃フィルム。
  2. 【請求項2】 前記第1の層の視認側面に前記第2の層
    が積層された請求項1に記載の平面型ディスプレイパネ
    ル用耐衝撃フィルム。
  3. 【請求項3】 前記第1の層が、前記平面型ディスプレ
    イパネルの前面ガラスに直接接合される粘着性を有する
    樹脂材料からなる請求項1または2に記載の平面型ディ
    スプレイパネル用耐衝撃フィルム。
  4. 【請求項4】 前記第2の層の視認側に、電磁波遮蔽
    層、近赤外線吸収層、反射防止層からなる群から選択さ
    れる少なくとも1つの層と、これらの層間を接着する接
    着剤層とが積層された請求項1〜4のいずれかに記載の
    平面型ディスプレイパネル用耐衝撃フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の平面型
    ディスプレイパネル用耐衝撃フィルムを、平面型ディス
    プレイパネル本体の前面ガラスに直接または透明接着剤
    層を介して接合してなる平面型ディスプレイパネル。
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