JP2004263640A - エンジンのリコイルスタータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】動力蓄積用うず巻きばね4の外端部に半径方向外方に突出した突出部4aを設け、この突出部4aと係脱自在な凹部3cを入力輪3の内周面に形成する。そして、動力蓄積用うず巻きばね4の蓄力が所定量に達するまでは、上記突出部4aが上記凹部3cに係合して、入力輪3の正転Xにより動力蓄積用うず巻きばね4が巻き取られるように構成し、動力蓄積用うず巻きばね4の蓄力が所定量に達したときには、上記突出部4aが上記凹部3cから離脱して、動力蓄積用うず巻きばね4の巻き取りが阻止されるように構成する。
【選択図】 図11
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのリコイルスタータに関し、詳しくは、蓄力式リコイルスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の蓄力式リコイルスタータとして、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この従来技術では、リコイルリールに、入力側一方向回転伝動手段・入力輪・動力蓄積用うず巻きばね・出力輪・出力側一方向回転伝動手段を順に介して、エンジンのクランク軸が連動連結されている。上記入力輪は逆回転防止手段により正転自在で逆転を阻止されるように固定部に支持されている。そして、上記クランク軸に設けられた係止部(回転側ストッパ)と、上記係止部(回転側ストッパ)に係止してクランク軸の回転を阻止するロックレバー(固定側ストッパ)と、動力蓄積用うず巻きばねの巻き取り回数を計測するばね巻き取り回数計測手段(間欠歯車)と、動力蓄積用うず巻きばねの巻き取り回数が目標巻き取り回数に達したときに上記ロックレバー(固定側ストッパ)をロック解除位置に切り換えるロック解除手段(カム)と、を備えている。
【0003】
この蓄力式リコイルスタータでは、始動ロープが巻回されたリコイルリールとクランク軸との間に動力蓄積用のうず巻きばねを介在させ、始動ロープを引くことによりこのうず巻きばねに回転力が蓄えられるようになっている。そして、動力蓄積用うず巻きばねの巻き取り回数が目標巻き取り回数に達すると、ロック解除手段(カム)がロックレバー(固定側ストッパ)をロック解除位置に切り換えて動力蓄積用うず巻きばねの蓄力を放出し、これによってクランク軸を回転させてエンジンを始動させている。
【0004】
上記特許文献1に記載のリコイルスタータでは、同文献2頁第3欄45行目ないし47行目と、第4欄10行目ないし12行目に記載されているように、動力蓄積用うず巻きばね(スタータぜんまい)の内端部が入力輪(スタータぜんまい支持部材)に係止され、その外端部が出力輪(始動プーリ)の外周部に係止されている。
【0005】
【特許文献1】
実公平07−017810号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に記載のリコイルスタータでは、次のような問題が生じる。
すなわち、いま、動作不良等により、ばね巻き取り回数計測手段がカウントした動力蓄積用うず巻きばねの巻き取り回数の値が、現実に動力蓄積用うず巻きばねを巻き取った回数よりも少ない値を示している場合、オペレータは通常かかる異状に気付かないため、正常時と同じように始動ロープを引く。しかし、特許文献1に記載のリコイルスタータでは、ばね巻き取り回数計測手段が目標巻き取り回数に相当する位置に達しない限りロックレバーは解除されないため、ばね巻き取り回数計測手段が目標巻き取り回数相当位置に達するよりも前に、動力蓄積用うず巻きばねが限界まで巻き取られてしまうという事態が起こり得る。
【0007】
動力蓄積用うず巻きばねが限界まで巻き取られた場合、始動ロープの引き操作はそれ以上不可能になり、無理に操作すると故障や破損等の事故を招くおそれがある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明は以下のように構成されることを特徴とする。
請求項1に記載の発明は、リコイルリール(1)に、入力側一方向回転伝動手段(2)・入力輪(3)・動力蓄積用うず巻きばね(4)・出力輪(5)・出力側一方向回転伝動手段(6)を順に介して、エンジンの始動軸(7)を連動連結し、
上記入力輪(3)は逆回転防止手段(8)により正転自在で逆転を阻止されるように固定部(9)に支持され、
上記出力輪(5)に設けられた係止部(20)と、
上記係止部(20)に係止して出力輪(5)の回転を阻止するロックレバー(21)と、
上記動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取り回数を計測するばね巻き取り回数計測手段(11)と、
上記動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取り回数が目標巻き取り回数に達したときに、上記ロックレバー(21)をロック解除位置に切り換えるロック解除手段(12)と、
を備えたエンジンのリコイルスタータにおいて、
上記動力蓄積用うず巻きばね(4)の外端部に半径方向外方に突出した突出部(4a)を設け、この突出部(4a)と係脱自在な凹部(3c)を入力輪(3)の内周面に形成し、
動力蓄積用うず巻きばね(4)の蓄力が所定量に達するまでは、上記突出部(4a)が上記凹部(3c)に係合して、入力輪(3)の正転により動力蓄積用うず巻きばね(4)が巻き取られるように構成し、
動力蓄積用うず巻きばね(4)の蓄力が所定量に達したときには、上記突出部(4a)が上記凹部(3c)から離脱して、動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取りが阻止されるように構成した、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のエンジンのリコイルスタータにおいて、前記所定量が、動力蓄積用うず巻きばね(4)の目標巻き取り回数に相当する蓄力量よりも大きい値に設定された、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のエンジンのリコイルスタータにおいて、前記ばね巻き取り回数計測手段(11)は、入力輪(3)の回転に従動して刻み送りされる計測用爪車(15)を備え、この計測用爪車(15)によって動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取り回数を計測するように構成した、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載のエンジンのリコイルスタータにおいて、前記凹部(3c)を入力輪(3)の内周面に複数個形成した、ことを特徴とする。
【0012】
【発明の作用効果】
(請求項1に記載の発明)
請求項1に記載の発明では、かりに、ばね巻き取り回数計測手段(11)がカウントした動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取り回数の値が、現実に動力蓄積用うず巻きばね(4)を巻き取った回数よりも少ない値を示している場合でも、動力蓄積用うず巻きばね(4)の蓄力が所定量に達したときには、上記突出部(4a)が上記凹部(3c)から離脱して、動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取りが阻止されるように構成されているので、たとえオペレータがばね巻き取り回数計測手段(11)の異状に気付かず、正常時と同じように始動ロープを引いたとしても、動力蓄積用うず巻きばね(4)には蓄力されずに入力輪(3)を空転させることになる。このため、動力蓄積用うず巻きばね(4)が限界まで巻き取られて始動ロープを引けなくなるといった事態を防止することができる。
【0013】
なお、動力蓄積用うず巻きばね(4)の蓄力が所定量に達したときには、上記突出部(4a)は一旦は上記凹部(3c)から離脱するが、動力蓄積用うず巻きばね(4)の反発力により自然長に復元しようとして外方に付勢された形になるため、入力輪(3)の回転により突出部(4a)と凹部(3c)とが出会うと、両者は再び係合することが可能になる。
【0014】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明では、前記所定量を、動力蓄積用うず巻きばね(4)の目標巻き取り回数に相当する蓄力量よりも大きい値に設定したので、ばね巻き取り回数計測手段(11)がほぼ正確に動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取り回数を計測している場合には、上記突出部(4a)が上記凹部(3c)から離脱して動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取りが阻止されることはない。このため、始動操作を行うたびに、オペレータに不審を抱かせることもない。
【0015】
(請求項3に記載の発明)
前記突出部(4a)が凹部(3c)から離脱した場合、入力輪(3)と動力蓄積用うず巻きばね(4)との連係は解除されるため、始動ロープの引き操作により入力輪(3)は依然回転することができる。請求項3に記載の発明では、入力輪(3)の回転に従動して刻み送りされる計測用爪車(15)によって巻き取り回数を計測するように構成したので、前記突出部(4a)が凹部(3c)から離脱した後でも、始動ロープの引き操作による入力輪(3)の回転によって計測用爪車(15)を刻み送りさせることができる。このため、動作不良等により、ばね巻き取り回数計測手段(11)が計測した動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取り回数の値が、現実に動力蓄積用うず巻きばね(4)を巻き取った回数よりも少ない値を示している場合でも、始動ロープを引き続けると、やがてはばね巻き取り回数計測手段(11)が目標巻き取り回数に相当する位置に達してロックレバー(21)をロック解除位置に切り換えることになる。これにより、蓄力を放出することが可能となる。
【0016】
(請求項4に記載の発明)
上記突出部(4a)が上記凹部(3c)から離脱した場合、動力蓄積用うず巻きばね(4)は、それまでの拘束を失うため、自然長に復元しようとして蓄力を放出し外端部がいくらか巻き戻されることがある。かかる場合、もし前記凹部(3c)が入力輪(3)の内周面に一つしかないとすると、上記突出部(4a)が上記凹部(3c)から離脱したときに、次に突出部(4a)が凹部(3c)と出会うまでには、入力輪(3)の回転数にして約1回転分の蓄力がむだに放出される可能性がある。しかし、請求項4に記載の発明では、前記凹部(3c)が入力輪(3)の内周面に複数個形成されているので、たとえ突出部(4a)が凹部(3c)から離脱しても、それほど蓄力が放出されないうちに突出部(4a)と凹部(3c)とが係合する可能性は高く、むだに放出される蓄力を少なくすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態の縦断正面図、図2(A)は図1のII−II線矢視断面図、図2(B)は図2(A)におけるB−B線矢視断面図、図3は図1のIII−III線矢視断面図、図4は図3からロックレバー21を取り除いた図、図5は図4から第2のラチェット爪52を取り除いた図、図6は図3のVI−VI線矢視断面図、図7は出力側一方向回転伝動手段をエンジン側から見た図、図8(A)は入力輪3の正面図、図8(B)は図8(A)におけるB−B線矢視断面図、図9(A)はばね巻き取り回数計測手段11をエンジン側から見た図(但し、ロックレバー21と第1のラチェット爪51は省略してある)、図9(B)は図9(A)の要部を示し、送り爪14の動きを示す図、図10はばね巻き取り回数計測手段11が目標巻き取り回数に達したときの各部の状態を示し、図11は、入力輪3の内部における動力蓄積用うず巻きばね4の収容状態をエンジン側から見た図であり、始動ロープ34を引いていないときの状態を示す。図12は、入力輪3の内部における動力蓄積用うず巻きばね4の収容状態をエンジン側から見た図であり、動力蓄積用うず巻きばね4の蓄力が所定値に達する直前の状態を示す。なお、本明細書では、図1の紙面に向かって右方を前方、左方を後方と定める。
【0018】
図1において、符号7は強制空冷式4サイクルガソリンエンジンのクランク軸、符号31はフライホイルファンである。このクランク軸7の一端にスタータプーリ32が設けられる。このスタータプーリ32はクランク軸7に固定され、クランク軸7と一体に回転する。
【0019】
本実施形態のリコイルスタータは、上記クランク軸7の一端側に設けられるスタータケース33を有する。このスタータケース33は、その内部に、上記クランク軸7と同軸上に配置される固定部9を有する。
【0020】
この固定部9に、前方から順に、リコイルリール1と入力輪3と出力輪5とがそれぞれ回転自在に外嵌される。このうち、リコイルリール1には始動ロープ34が巻回される。そして、リコイルリール1とスタータケース33との間にはリール巻き戻し用うず巻きばね35が設けられ、始動ロープ34を引っ張ったときに、このリール巻き戻し用うず巻きばね35により始動ロープ34がリコイルリール1に巻き戻されるように構成されている。なお、本明細書では、図2に示すように、始動ロープ34の引き操作によりリコイルリール1が回転する方向Xを正回転方向(正転方向)とする。
【0021】
リコイルリール1と入力輪3との間には、図2に示すように、入力側一方向回転伝動手段2が介装されている。この入力側一方向回転伝動手段2は、リコイルリール1の後端面(入力輪側端面)に設けられた爪38と、入力輪3の前端面(リコイルリール側端面)の周縁に設けられた突合縁39とを備える。この爪38は図示しないばねにより外方に向けて付勢され、始動ロープ34の引き操作時には、この爪38と突合縁39とが突合してリコイルリール1の回転は入力輪3に伝達されるが、始動ロープ34の巻き戻し作動時には、上記の爪38と突合縁39との突合が解け、リコイルリール1の回転が入力輪3に伝達されないようになっている。
【0022】
上記入力輪3は、また、図2に示すように、逆回転防止手段8により逆転が防止されるようになっている。本実施形態における逆回転防止手段8は、固定部9側に設けられた逆止用爪車24と、入力輪3側に設けられた逆止用爪25とを備える。上記逆止用爪車24は、固定部9に回転不能に外嵌されるとともに、その中心部から外方に向けて4つの逆止用係合部41を延出している。各逆止用係合部41は略90度の間隔を置いて十字状に配設されている。各逆止用係合部41は、図2(B)に示すように、略三角形断面を有し、入力輪3が正転するときに(すなわちX方向回転時に)逆止用爪25を逃すための傾斜をつけた逃し面41aと、入力輪3が逆転するときに(すなわちY方向回転時に)逆止用爪25と係合する係合面41bとを備える。逆止用爪車24は、リコイルリール1の後端面と入力輪3の前端面との間の空間に収容される。一方、逆止用爪25は、入力輪3の前端面から出没自在に構成され、入力輪3とともに回転するようになっている。本実施形態では、逆止用爪25は2つ設けられている。各逆止用爪25は、入力輪3の回転中心を間に挟んで点対称な位置に配置されている。
【0023】
このような構成の結果、逆止用爪25は、入力輪3がX方向へ正転しようとするときには、上記の逃し面41aによって入力輪3内に退入するため、入力輪3の正転を可能にするが、入力輪3がY方向へ逆転しようとするときには、突出状態を保ったまま逆止用係合部41の係合面41bと係合して入力輪3の逆転を阻止する。但し、各逆止用係合部41が90度の間隔を置いて配置されているためと、逆止用爪25が入力輪3の回転中心に対して点対称な位置に配置されているために、逆止用爪25が係合面41bと係合するまでには、入力輪3は最大で約90度逆転し得る。なお、上記構成の逆回転防止手段8の代わりに公知のワンウェイクラッチやラチェット機構等を用いてもよい。
【0024】
本実施形態のリコイルスタータには、入力輪3と出力輪5の間に動力蓄積用うず巻きばね4が介装されている。この動力蓄積用うず巻きばね4は、入力輪3と出力輪5の間の空間に収容され、その外端部は入力輪3に係止され、その内端部は出力輪5に係止される。
【0025】
詳述すると、図11に示すように、入力輪3の内部には、出力輪側に開口したばね収容空間3aが設けられ、動力蓄積用うず巻きばね4はこのばね収容空間3aに収容される。ばね収容空間3aは、入力輪3の外縁に形成された周壁3bによって囲繞されている。この周壁3bの内周面には、動力蓄積用うず巻きばね4の外端部を収容する凹部3cが形成されている。一方、図1に示すように、出力輪5の入力輪3側端面にはボス部5aが形成され、出力輪5はこのボス部5aを介して前記固定部9に回転自在に枢支されている。このボス部5aには、動力蓄積用うず巻きばね4の内端部4bを係止する係止溝5bが設けられている(図11参照)。
【0026】
動力蓄積用うず巻きばね4の外端部には、半径方向外方に突出した突出部4aが設けられている。本実施形態では、この突出部4aは、動力蓄積用うず巻きばね4の外端部を外側に突出するように折り返して形成されている。しかし、かかる態様に限定されるものではない。この突出部4aは、入力輪3の内周面に形成された前記凹部3cに収容される。一方、動力蓄積用うず巻きばね4の内端部4bは、上記ボス部5aに形成された係止溝5bに挿入のうえ固定される。
【0027】
ばね収容空間3aに収容された動力蓄積用うず巻きばね4の最外周部は、始動ロープ34を引っ張っていない状態では、図11に示すように、入力輪3の内周面にほぼ密接しているため、たとえこの状態から始動ロープを引いて入力輪3をX方向に回転させたとしても、動力蓄積用うず巻きばね4の反発力により突出部4aが凹部3cから離脱することはなく、突出部4aと凹部3cは係合して動力蓄積用うず巻きばね4を巻き取るようになっている。
【0028】
さらに、始動ロープ34を引っ張って動力蓄積用うず巻きばね4を巻き取っていった場合、動力蓄積用うず巻きばね4の蓄力量は増加していく。そして蓄力量がある値を超えた場合には、突出部4aと凹部3cとの係合は解除されて突出部4aは凹部3cから離脱するようになっている。図12には、突出部4aが凹部3cから離脱する直前の状態が示されている。本実施形態では、動力蓄積用うず巻きばね4の蓄力量が、同うず巻きばね4の目標巻き取り回数に相当する蓄力量を超えるある値になったときに、突出部4aが凹部3cから離脱するようになっている。
【0029】
なお、突出部4aと凹部3cとは係脱自在に構成されている。すなわち、動力蓄積用うず巻きばね4の蓄力量が所定値を超えた場合には、突出部4aは一旦凹部3cから離脱するが、動力蓄積用うず巻きばね4の反発力により自然長に復元しようとして外方に付勢された形になるため、入力輪3の回転により突出部4aと凹部3cとが出会うと、両者は再び係合することが可能になる。
【0030】
出力輪5とクランク軸7との間には、出力側一方向回転伝動手段6が介装されている。この出力側一方向回転伝動手段6は、出力輪5の回転をクランク軸7に伝達するもので、図1と図3と図7とに示すように、出力輪5側に設けられたドッグ爪90と、このドッグ爪90を出力輪5の回転時に起立させるドッグ爪起立具91と、クランク軸7側に設けられかつ上記ドッグ爪90が起立したときにドッグ爪90と係合する爪受部92とを備えている。
【0031】
上記ドッグ爪90は、出力輪5の後端面において揺動可能に枢支される。この出力輪5の後端面にはまたドッグ爪保持部93が突設され、このドッグ爪保持部93によって上記ドッグ爪90の揺動が一定範囲に規制されるとともに、出力輪5からクランク軸7への回転伝達の際にドッグ爪90にかかる荷重が受け止められるようになっている。
【0032】
前記ドッグ爪起立具91は、前記固定部9の後端部に螺着されたボルト94に遊嵌されるとともに、ばね95によってボルト94の頭部に摩擦当接されている。このドッグ爪起立具91には起立案内部91aが設けられ、出力輪5が回転したときに、前記ドッグ爪90がこの起立案内部91aによって押し上げられ起立するようになっている。
【0033】
前記爪受部92は、スタータプーリ32の内周面を切り起こして形成され、上記ドッグ爪90がドッグ爪起立具91によって起立させられたときにドッグ爪90と係合して、出力輪5の回転をクランク軸7に伝達するようになっている。かかる出力側一方向回転伝動手段6は次のように機能する。すなわち、出力輪5の回転は始動軸7(クランク軸7)に伝達するが、エンジンが始動し始動軸7(クランク軸7)の回転速度が上昇すると、ドッグ爪90の背面に爪受部92が当接してドッグ爪90を倒伏させ、これにより、出力輪5と始動軸7(クランク軸7)との連動連結状態は解け、始動軸7(クランク軸7)の回転が出力輪5に伝達しないようになっている。なお、上記構成の出力側一方向回転伝動手段6の代わりに、クランク軸7側に遠心力により揺動する遠心爪を設け、出力輪5側にこの遠心爪と係合する爪受部を設けた公知の遠心式クラッチ機構(特許文献1参照)により出力側一方向回転伝動手段6を構成してもよい。
【0034】
本実施形態に係るリコイルスタータには、出力輪5の回転を阻止するロック機構が設けられている。このロック機構は、出力輪5に設けられた係止部20と、この係止部20に係脱自在なロックレバー21とを備える。上記係止部20は、出力輪5の後端面に設けられた凸部として構成される。この凸部は、出力輪5の後端面の周縁に等間隔で設けられる。図3から5に示すように、本実施形態では、係止部20は6個設けられている。
【0035】
一方、ロックレバー21は、スタータケース33に固定された第1の枢支軸47に揺動自在に枢支される。ロックレバー21は、ロック位置とロック解除位置とに切換可能に構成され、上記ロックレバー21がロック位置にあるときには係止部20と係止して出力輪5の回転を阻止するのに対し、上記ロックレバー21がロック解除位置にあるときには係止部20を解放して出力輪5の回転を許容するように構成される。第1の枢支軸47はスタータケース33内でその前後方向に架設されている。
【0036】
ロックレバー21は、ロック位置付勢手段48によってロック位置方向に付勢されている。本実施形態におけるロック位置付勢手段48は引っ張りばねによって構成され、この引っ張りばね48は、その一端がスタータケース33側に係止され、その他端がロックレバー21に係止されている。
【0037】
ロックレバー21は、腕部21aを備える。この腕部21aは、後述の第2の枢支軸57に向けて延出され、ロックレバー21が揺動したときに、第2の枢支軸57に懸架するようになっている。この腕部21aは、第2の枢支軸57に懸架することによりロックレバー21のロック位置方向への一定以上の揺動を規制する。
【0038】
このロックレバー21の腕部21aには受動部21bが下方に向けて垂設されている。ロックレバー21は、この受動部21bにおいて後述のロック解除手段12と当接し、その駆動を受けるようになっている。
【0039】
本実施形態に係るリコイルスタータは、動力蓄積用うず巻きばね4の巻き取り回数を計測するばね巻き取り回数計測手段11を備える。このばね巻き取り回数計測手段11は、入力輪3に設けた送り爪14と、この送り爪14によって刻み送りされる計測用爪車15と、この計測用爪車15と一体回転する残置用爪車50と、この残置用爪車50に係止する第1のラチェット爪51および第2のラチェット爪52と、を備える。
【0040】
このうち、入力輪3に設けられる送り爪14は次のように構成される。すなわち、図8と図9とに示すように、この送り爪14は、入力輪3の外周面に設けられ、起伏自在に枢支されるとともに、ねじりばね55によって入力輪3の半径方向外方に向けて付勢される。そして、入力輪3が動力蓄積用うず巻きばね4を蓄力する方向Xに回転するとき(すなわち、入力輪3の正転時)には、この送り爪14は起立して後述の計測用爪車15を刻み送りするのに対し、入力輪3がその逆方向Yに回転するときには、この送り爪14は計測用爪車15との当接により倒伏するように構成される。
【0041】
上記計測用爪車15と残置用爪車50は、スタータケース33に固定された第2の枢支軸57に回転自在に枢支される。計測用爪車15と残置用爪車50は一体に回転するように構成される。第2の枢支軸57は、スタータケース33内でその前後方向に架設され、前記第1の枢支軸47と略平行になるようにしてある。
【0042】
本実施形態では、図2に示すように、2つの送り爪14が入力輪3の外周面に設けられているため、入力輪3の1回転により計測用爪車15は爪2つ分刻み送りされる。
【0043】
上記残置用爪車50には、ロック解除手段12が設けられている。このロック解除手段12は、動力蓄積用うず巻きばね4の巻き取り回数が目標巻き取り回数に達したときに、前記ロック機構を解除するようになっている。すなわち、このロック解除手段12は残置用爪車50(および計測用爪車15)と一体に回動し、計測用爪車15が送り爪14によって刻み送りされて目標巻き取り回数に達したときに、前記ロックレバー21に設けられた受動部21bに当接してこれを駆動し、ロックレバー21をロック位置からロック解除位置に切り換えるようになっている。なお、本実施形態では、このロック解除手段12を残置用爪車50に植設したピンとして構成してあるが、残置用爪車50と一体に形成してもよい。また、計測用爪車15にロック解除手段12を設けてもよい。
【0044】
第1のラチェット爪51と第2のラチェット爪52は、前記第1の枢支軸47に枢支され、リコイルスタータの前方から第1のラチェット爪51・第2のラチェット爪52・ロックレバー21の順に並設されている。このうち、第1のラチェット爪51は、引っ張りばね61によって前記残置用爪車50に係止する方向に付勢されている。この引っ張りばね61は、一端が第1のラチェット爪51に係止され、他端がスタータケース33側に係止されている。
【0045】
一方、第2のラチェット爪52は、引っ張りばね62によって残置用爪車50に係止する方向に付勢されている。この引っ張りばね62は、一端が第2のラチェット爪52に係止され、他端が前記ロックレバー21に係止されている(図3・図4参照)。この第2のラチェット爪52には、また、入力部52aが設けられ、この入力部52aは、ロックレバー21に設けられた切り欠き部21cとの係合によりロックレバー21の揺動を第2のラチェット爪52に伝達するようになっている。すなわち、前記ロック解除手段12がロックレバー21の受動部21bに当接しこれを押動することによりロックレバー21をロック位置からロック解除位置に切り換えたときに、このロックレバー21の揺動は上記切り欠き部21cと入力部52aとの係合を介して第2のラチェット爪52に伝達され、第2のラチェット爪52を揺動起立させることにより第2のラチェット爪52と残置用爪車50との係止を解除する。また、ロックレバー21がロック解除位置にある場合には、第2のラチェット爪52も入力部52aと切り欠き部21cとの係合を介して残置用爪車50との係止を解除する係止解除姿勢を維持する。他方、ロックレバー21がロック解除位置からロック位置に切り換えられたときには、第2のラチェット爪52も入力部52aを介してこれに連動し残置用爪車50に係止するようになっている。
【0046】
本実施形態のリコイルスタータには、リコイルリール1が始動ロープ34を巻き戻す方向に回転することに基づいて、ばね巻き取り回数計測手段11が計測した動力蓄積用うず巻きばね4の巻き取り回数の計数値をリセットする計測リセット手段が設けられている。この計測リセット手段は、前記計測用爪車15を初期位置に付勢する初期位置付勢手段71と、リコイルリール1に設けられたリセット用主動部72と、前記第1のラチェット爪51に設けられたリセット用従動部73と、を備える。
【0047】
このうち、初期位置付勢手段71は、図1と図6とに示すように、第2の枢支軸57に巻回された第1のねじりばねとして構成され、この第1のねじりばね71の一端はスタータケース33側に固定され、その他端は計測用爪車15に固定される。この初期位置付勢手段71は、前記第1のラチェット爪51と第2のラチェット爪52の両方が残置用爪車50との係止を解除されたときに、計測用爪車15を初期位置に回動復帰させる。なお、図3から5に示すように、スタータケース33に設けられたブラケット76によって、上記初期位置付勢手段71による計測用爪車15の一定以上の回動復帰は規制されており、このブラケット76と計測用爪車15とが当接する位置を計測用爪車15の初期位置と定める。
【0048】
上記リセット用主動部72は、リコイルリール1の後端面の周縁にほぼ等間隔に突設された凸部として構成される。一方、リセット用従動部73は、一端が第1のラチェット爪51に係止された第2のねじりばね78の他端部として構成され、この他端部は解放端となっている。この第2のねじりばね78は、前記第1の枢支軸47に巻回されたうえ、リセット用従動部73として機能するその解放端を下方に延出して、リコイルリール1の回転時にリセット用主動部72と当接してその駆動を受けるようになっている。これにより、リコイルリール1の回転がリセット用主動部72とリセット用従動部73との当接を通じて第1のラチェット爪51に伝達される。但し、リコイルリール1の正転時Xには、リセット用主動部72がリセット用従動部73と当接してこれを駆動しても、この駆動力は第2のねじりばね78を介して第1のラチェット爪51を残置用爪車50に係止させる方向に作用するため、第1のラチェット爪51と残置用爪車50との係止は維持されるが、リコイルリール1の逆転時Y(リコイルリール1が始動ロープ34を巻き戻す巻き戻し回転時)には、リセット用主動部72がリセット用従動部73を駆動することにより第1のラチェット爪51を揺動起立させ、第1のラチェット爪51と残置用爪車50との係止が解除されるようになっている。
【0049】
本発明の実施形態に係るリコイルスタータは次のように作動する。
いま、エンジンは停止しており、これからエンジンを始動させる場合を想定する(図3から図5参照)。動力蓄積用うず巻きばね4には何ら蓄力されておらず、始動ロープ34はリコイルリール1に巻き取られているものとする。このとき、計測用爪車15は初期位置にあり、ロックレバー21は係止部20に係止して出力輪5はロックされている。また、第1のラチェット爪51と第2のラチェット爪52は、それぞれ引っ張りばね61と引っ張りばね62の付勢力によって残置用爪車50に係止している。
【0050】
この場合において、始動ロープ34を引っ張ると、出力輪5はロックされているため、動力蓄積用うず巻きばね4への蓄力が開始される。すなわち、始動ロープ34の引き操作により、リコイルリール1が正転方向Xへ回転し、このリコイルリール1の回転が入力側一方向回転伝動手段2を介して入力輪3を回転させる。一方、出力輪5はロックされているため、入力輪3が回転した分だけ上記動力蓄積用うず巻きばね4は巻き取られることになる。
【0051】
このような入力輪3の回転は、送り爪14によって計測用爪車15に伝達され、この計測用爪車15を刻み送りする。このとき、この計測用爪車15と一体に回転する残置用爪車50には第1のラチェット爪51と第2のラチェット爪52とが係止しているため、計測用爪車15はその計数値に相当する各計数位置に置き残され、動力蓄積用うず巻きばね4の巻き取り回数を正確にカウントすることができる。
【0052】
動力蓄積用うず巻きばね4の巻き取り回数が目標巻き取り回数に達すると、ロック解除手段12がロックレバー21の腕部21aに設けられた受動部21bを押動し、ロックレバー21をロック位置からロック解除位置に切り換える(図10参照)。これにより出力輪5はその拘束を解かれることになり、動力蓄積用うず巻きばね4に蓄えられた蓄力が放出されて出力輪5が回転する。この出力輪5の回転は、出力側一方向回転伝動手段6によってクランク軸7に伝達され、エンジンを始動させることになる。
【0053】
エンジンが始動してクランク軸7の回転速度が上昇すると、ドッグ爪90の背面に爪受部92が当接し、これによりドッグ爪90は倒伏させられ、出力輪5とクランク軸7との連繋が断たれる。
【0054】
一方、上記ロックレバー21がロック位置からロック解除位置へと切り換えられることに連動して第2のラチェット爪52が揺動起立し、第2のラチェット爪52と残置用爪車50との係止が解除される。始動ロープ34の巻き戻し作動が開始していない状態では、ロック解除手段12が受動部21bを介してロックレバー21を押し上げている状態にあるため、ロックレバー21はロック解除手段12によってロック解除位置に保持され、また、第2のラチェット爪52は残置用爪車50との係止を解除された係止解除姿勢をとり続けることになる(図10参照)。
【0055】
この状態から、次に、始動ロープ34の巻き戻し作動が開始される。すなわち、リコイルリール1はリール巻き戻し用うず巻きばね35により始動ロープ34を巻き戻す方向Yに回転し始める。このリコイルリール1の逆転により、リセット用主動部72がリセット用従動部73を駆動し、この駆動力が第2のねじりばね78を介して第1のラチェット爪51に伝達され、これを揺動起立させて、第1のラチェット爪51と残置用爪車50との係止が解除される。
【0056】
この結果、計測用爪車15は、初期位置付勢手段71の付勢力により初期位置に回動復帰する。これに連動して、ロック解除手段12も回動してロックレバー21から離れる。この結果、ロック解除手段12によるロックレバー21のロック解除位置への保持は解除され、ロック位置付勢手段たる引っ張りばね48のばね力(および自重)によりロック位置へ切り換えられる。これに連動して、第2のラチェット爪52も残置用爪車50に係止することになる。
【0057】
このように、本実施形態では、計測リセット手段によってばね巻き取り回数計測手段11の計数値がリセットされることに連動して、ロックレバー21がロック解除位置からロック位置へ切り換えられるようになっている。このため、出力輪5のロック解除だけでなくロック投入も自動的に行われユーザーの利便性が向上する。
【0058】
以上は本実施形態の通常の場合の作動説明であるが、次に、ばね巻き取り回数計測手段11が正常に機能しなかった場合の作動について説明する。
【0059】
いま、動作不良等が原因となって、ばね巻き取り回数計測手段11が計測した動力蓄積用うず巻きばね4の巻き取り回数の値が、現実に動力蓄積用うず巻きばね4を巻き取った回数よりも少ない値を示しているとする。オペレータは通常このような異状に気付かないため、正常時と同じように始動ロープ34を引く。これにより、リコイルリール1・入力側一方向回転伝動手段2を介して入力輪3は正転し、蓄力量はさらに増加していく。動力蓄積用うず巻きばね4が目標巻き取り回数を超えてさらに巻き取られた結果、蓄力量が所定値に達したとする。
【0060】
この場合、突出部4aが凹部3cから離脱して入力輪3と動力蓄積用うず巻きばね4との連係が断たれ、動力蓄積用うず巻きばね4への蓄力は阻止される。一方、始動ロープ34の引き操作により、入力輪3は依然回転するので、この入力輪3の回転により計測用爪車15は刻み送りされて、やがては目標巻き取り回数に相当する位置に到達する。この結果、ロックレバー21はロック解除位置へ切り換えられて、動力蓄積用うず巻きばね4の蓄力は放出される。なお、この際に放出される蓄力量は、目標巻き取り回数相当量よりも多いので、エンジンの始動には支障がない。
【0061】
この状態から、始動ロープ34を巻き戻すと、上述のように、リコイルリール1のY方向への逆転により、ばね巻き取り回数計測手段11はリセットされ、計測用爪車15は初期位置に戻る。こうして、計測用爪車15と動力蓄積用うず巻きばね4の両方が初期状態に戻ることになる。
【0062】
このように、本実施形態では、たとえ、ばね巻き取り回数計測手段11が計測した動力蓄積用うず巻きばね4の巻き取り回数の値が、現実に動力蓄積用うず巻きばね4を巻き取った回数よりも少ない値を示している場合であっても、始動ロープ34を引き続ければ、一方で、出力輪5のロックは解除されて蓄力は放出され、他方で、始動ロープ34の巻き戻し動作によりばね巻き取り回数計測手段11はリセットされるので、ばね巻き取り回数計測手段11の目盛と動力蓄積用うず巻きばね4の現実の蓄力量との不一致を矯正することができる。
【0063】
図13および図14には、上記実施形態の変形例が示されている。なお、上記実施形態と同一の機能を有する部材・要素には同一の符合が付してある。また、変形例の説明中、特に言及のない部分については上記実施形態と同様に構成されている。
【0064】
図13および図14に示すように、この変形例の入力輪3には、凹部3cが二つ設けられている。凹部3cを複数設ける理由は次の通りである。一般に、上記突出部4aが上記凹部3cから離脱した場合、動力蓄積用うず巻きばね4は、それまでの拘束を失うため、自然長に復元しようとして蓄力を放出し外端部がいくらか巻き戻されることがある。かかる場合、もし前記凹部3cが入力輪3の内周面に一つしかないとすると、上記突出部4aが上記凹部3cから離脱したときに、次に突出部4aが凹部3cに係合するまでに、入力輪3の回転数にして約1回転分の蓄力がむだに放出される可能性がある。しかし、前記凹部3cが入力輪3の内周面に複数個(本変形例では2個)形成されている場合には、たとえ突出部4aが凹部3cから離脱しても、それほど蓄力が放出されないうちに突出部4aと凹部3cとが係合する可能性が高く、むだに放出される蓄力を少なくすることができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、上記実施形態では、入力輪3の内周面に凹部3cを一つまたは二つ設けた場合について説明したが、三つ以上設けてもよい。上記実施形態では、送り爪14を起伏自在に構成したが、倒伏不能に構成してもよい。上記実施形態における計測リセット手段は、リコイルリール1が始動ロープ34を巻き戻す巻き戻し回転に基づいて、前記ばね巻き取り回数計測手段11を初期位置に戻すように構成されていたが、かかる構成に限定されるものではない。上記実施形態は第1のラチェット爪51と第2のラチェット爪52とを備えていたが、第1のラチェット爪51のみを備えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の縦断正面図である。
【図2】図2(A)は図1のII−II線矢視断面図、図2(B)は図2(A)におけるB−B線矢視断面図である。
【図3】図1のIII−III線矢視断面図である。
【図4】図3からロックレバー21を取り除いた図である。
【図5】図4から第2のラチェット爪52を取り除いた図である。
【図6】図3のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】出力側一方向回転伝動手段をエンジン側から見た図である。
【図8】図8(A)は入力輪3の正面図、図8(B)は図8(A)におけるB−B線矢視断面図である。
【図9】図9(A)は、ばね巻き取り回数計測手段11をエンジン側から見た図である(但し、ロックレバー21と第1のラチェット爪51は省略してある)。図9(B)は図9(A)の要部を示し、送り爪14の動きを示す図である。
【図10】図10はばね巻き取り回数計測手段11が目標巻き取り回数に達したときの各部の状態を示す図である。
【図11】入力輪3の内部における動力蓄積用うず巻きばね4の収容状態をエンジン側から見た図であり、始動ロープ34を引いていないときの状態を示す。
【図12】入力輪3の内部における動力蓄積用うず巻きばね4の収容状態をエンジン側から見た図であり、動力蓄積用うず巻きばね4の蓄力が所定値に達する直前の状態を示す。
【図13】変形例における動力蓄積用うず巻きばね4の収容状態をエンジン側から見た図であり、始動ロープ34を引いていない状態を示す。
【図14】変形例における動力蓄積用うず巻きばね4の収容状態をエンジン側から見た図であり、動力蓄積用うず巻きばね4の蓄力が所定値に達する直前の状態を示す。
【符号の説明】
1…リコイルリール、2…入力側一方向回転伝動手段、3…入力輪、3c…凹部、4…動力蓄積用うず巻きばね、4a…突出部、5…出力輪、6…出力側一方向回転伝動手段、7…クランク軸(始動軸)、8…逆回転防止手段、9…固定部、11…ばね巻き取り回数計測手段、12…ロック解除手段、15…計測用爪車、20…係止部、21…ロックレバー。
Claims (4)
- リコイルリール(1)に、入力側一方向回転伝動手段(2)・入力輪(3)・動力蓄積用うず巻きばね(4)・出力輪(5)・出力側一方向回転伝動手段(6)を順に介して、エンジンの始動軸(7)を連動連結し、
上記入力輪(3)は逆回転防止手段(8)により正転自在で逆転を阻止されるように固定部(9)に支持され、
上記出力輪(5)に設けられた係止部(20)と、
上記係止部(20)に係止して出力輪(5)の回転を阻止するロックレバー(21)と、
上記動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取り回数を計測するばね巻き取り回数計測手段(11)と、
上記動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取り回数が目標巻き取り回数に達したときに、上記ロックレバー(21)をロック解除位置に切り換えるロック解除手段(12)と、
を備えたエンジンのリコイルスタータにおいて、
上記動力蓄積用うず巻きばね(4)の外端部に半径方向外方に突出した突出部(4a)を設け、この突出部(4a)と係脱自在な凹部(3c)を入力輪(3)の内周面に形成し、
動力蓄積用うず巻きばね(4)の蓄力が所定量に達するまでは、上記突出部(4a)が上記凹部(3c)に係合して、入力輪(3)の正転により動力蓄積用うず巻きばね(4)が巻き取られるように構成し、
動力蓄積用うず巻きばね(4)の蓄力が所定量に達したときには、上記突出部(4a)が上記凹部(3c)から離脱して、動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取りが阻止されるように構成した、
ことを特徴とするエンジンのリコイルスタータ。 - 請求項1に記載のエンジンのリコイルスタータにおいて、
前記所定量が、動力蓄積用うず巻きばね(4)の目標巻き取り回数に相当する蓄力量よりも大きい値に設定された、
ことを特徴とするエンジンのリコイルスタータ。 - 請求項1または2に記載のエンジンのリコイルスタータにおいて、
前記ばね巻き取り回数計測手段(11)は、入力輪(3)の回転に従動して刻み送りされる計測用爪車(15)を備え、この計測用爪車(15)によって動力蓄積用うず巻きばね(4)の巻き取り回数を計測するように構成した、
ことを特徴とするエンジンのリコイルスタータ。 - 請求項1から3のいずれかに記載のエンジンのリコイルスタータにおいて、
前記凹部(3c)を入力輪(3)の内周面に複数個形成した、
ことを特徴とするエンジンのリコイルスタータ。
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