JP2004263223A - 多層電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多層電磁鋼板の製造方法において、積層体が3層以上であっても、すべての積層鋼板に所望の脱炭焼鈍が施されるようにして高い品質の多層電磁鋼板を得る。
【解決手段】電磁鋼板30を接着剤31を用いて2枚以上重ね合わせた後、目標厚さまで冷間圧延する工程を少なくとも含む多層電磁鋼板の製造方法において、鋼板30を2枚以上重ね合わせる工程の前工程として、各鋼板に脱炭焼鈍処理を施すようにする。
【選択図】 図2
【解決手段】電磁鋼板30を接着剤31を用いて2枚以上重ね合わせた後、目標厚さまで冷間圧延する工程を少なくとも含む多層電磁鋼板の製造方法において、鋼板30を2枚以上重ね合わせる工程の前工程として、各鋼板に脱炭焼鈍処理を施すようにする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモータコアなどとして有効に用いられる多層電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁鋼板は知られている。結晶組織により方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板に大別される。方向性電磁鋼板は圧延方向に優れた軟磁性を示すことから主にトランスの鉄心として用いられる。無方向性電磁鋼板は磁性特性が方向に依存しないことからモータコアに特に適している。いずれの電磁鋼板も渦電流などの鉄損が伴う。特に渦電流損を低減するために薄板化して電気抵抗を高めることが行われる。一方、電気自動車やハイブリット自動車などで使用されるモータコアなどでは、機械的強度が必要なこと等の理由から電磁鋼板を多層化することが必要となるが、複数の薄鋼板を多層に接着積層することは大きな作業を伴う。
【0003】
そのために、所要厚みの電磁鋼板を絶縁性のある酸化物系接着剤を用いて積層しておき、その積層体を目標厚みにまで冷間圧延するようにした鉄損の少ないラミネート電磁鋼板を製造する技術が知られている。この方法によれば、薄板の積み工程や打ち抜き工程を削減することができて、製造コストの低減がもたらされる(特許文献1:特公平4−30725号公報)。
【0004】
上記従来の製造方法は概略次のようにして行われる。熱間圧延した電磁鋼板を1次冷間圧延して所要厚さとし、酸化物系接着剤を塗布してから重ね合わせ、その状態で目標板厚まで2次冷間圧延をする。その後、電磁特性を劣化させないために、目標板厚まで2次冷間圧延された積層体に対して脱炭焼鈍処理を行い、表裏面にフォルステライト絶縁被膜をコーティングし、再結晶焼鈍を行い、所望の多層電磁鋼板としている。
【0005】
【特許文献1】特公平4−30725号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電磁鋼板の場合、電磁特性を劣化させないために、脱炭焼鈍を行いかつ再結晶焼鈍を行うことは必要な工程となる。この工程を行わないと炭素が鋼板内に残ってしまい、適正な2次再結晶が進行しないことから、品質が低下する。上記した製造方法では、目標板厚まで2次冷間圧延した積層体に対して脱炭焼鈍処理を施すようにしており、積層が3層以上の場合に最上層と最下層の鋼板には所望の脱炭処理が進行するが、中間に位置する鋼板には脱炭焼鈍が十分には進行しない。そのために、高品質の多層電磁鋼板を得るためには、上記の方法では2層の積層が限度であり、例えば、4層の多層電磁鋼板を必要とするときには、得られた2層電磁鋼板を必要枚数だけ、従来法により積層する処理が必要となる。
【0007】
本発明は上記の不都合を解消することを目的になされたものであり、電磁鋼板の積層体を目標板厚まで2次冷間圧延する工程を少なくとも含む多層電磁鋼板の製造方法において、積層体が3層以上であっても、すべての積層鋼板に所望の脱炭焼鈍が施されるようにし、結果として高い品質の多層電磁鋼板を得ることができるようにした改良された多層電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電磁鋼板を接着剤を用いて2枚以上重ね合わせた後、目標厚さまで冷間圧延する工程を少なくとも含む多層電磁鋼板の製造方法であって、鋼板を2枚以上重ね合わせる工程の前工程として、少なくとも各鋼板の脱炭焼鈍を行う工程を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明による多層電磁鋼板の製造方法では、積層すべき鋼板に予め脱炭焼鈍処理が施され、それが多層に積層された状態で目標厚さまでの冷間圧延処理が行われる。従って、積層枚数が3枚以上であっても、得られた多層電磁鋼板のすべての薄板鋼板は等しく脱炭され2次再結晶が進行している。そのために、高品質の多層電磁鋼板を確実に得ることができる。なお、脱炭焼鈍処理自体は従来法で行われている処理方法と同じであってよく、例えば800℃程度の温度環境で2〜5分湿水素雰囲気にて行うような方法でよい。
【0010】
本発明の製造方法は、鋼板を2枚以上重ね合わせる工程の前工程として、少なくとも各鋼板の脱炭焼鈍を行う工程を含むことを条件に、多層電磁鋼板を製造するのに要する他の工程は、従来の製造方法による場合と基本的に同様であってよい。脱炭処理工程の前に、熱間圧延された鋼板に対して一度冷延や連続焼鈍を行う工程、脱炭処理された鋼板のうち最外板となる鋼板にMgO系フォルステライトのような絶縁コート処理を施す工程、目標厚さまで冷間圧延した積層鋼板に対して、接着剤の硬化も兼ねた再結晶焼鈍を行う工程、などが必要に応じて行われる。
【0011】
出発点となる鋼板も、適量の珪素を含有する珪素鋼板やアルファモス鋼板などであってよい。方向性であるか無方向性であるかも問わない。接着剤も、酸化物系接着剤であることは再結晶焼鈍時の高温(通常、1200℃程度)に耐え、かつ電気絶縁性に優れていることから特に好ましいが、これに限られない。絶縁性を高める他の成分(例えば、MgO,CaOなど)を配合することも好ましい。本発明では、接着剤塗布後の鋼板が必要枚数だけ積層され、それが2次冷延により目標板厚まで圧延される。そのために、接着剤として延性に富んだものを用いることが望ましい。一例として、ケイ酸化物を含んだ酸化物系接着剤のような接着剤が挙げられる。また、絶縁性を確保するために、接着剤層厚みは50μm以上が好ましい。
【0012】
最外板となる鋼板に施す絶縁コート処理は、錆防止の目的で行うものであり、例えばMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布する処理、あるいは、ブルーイングのような処理が行われる。
【0013】
本発明において、何層の積層体とするかは多層電磁鋼板の使用目的などに応じて適宜選択されるが、通常2層〜20層程度である。1次冷延後の厚みにも特に制限はない。また、2次冷延後の積層厚みも同様に当該多層電磁鋼板の使用目的に応じて定められるが、通常0.2mm〜2mm程度である。この場合、0.2mmより薄いと生産性に不都合があり、2mmより厚いと抜き打ち加工性が困難となって好ましくない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態により説明する。図1は本発明による多層電磁鋼板の製造方法での各工程を示すフローの一例である。例えば電磁鋼板を2mm〜3mm程度の厚みに熱間圧延10し、必要な場合にはホットコイル焼鈍11を行う。ホットコイル焼鈍11は、延性の回復を目的として行われる。その後、1次冷延と連続焼鈍12を行い、0.6mm程度の厚さの鋼板とする。
【0015】
得られた鋼板に対して脱炭焼鈍13を行う。脱炭焼鈍処理は湿水素の雰囲気中で、800℃で2〜5分程度行うのが好ましいが、使用する鋼板の組成や板厚を考慮して適宜の値が設定される。必要枚数の鋼板について脱炭焼鈍処理を行った後、多層に積層した状態で最外板となる2枚の鋼板に対しては、必要に応じて表面の脱脂処理を行う。その外側面に絶縁コート塗布14を行い、次いで、塗布した絶縁コート層の硬化処理15を行う。絶縁コート剤としては、MgO系のフォルステライトのようなものが用いられる。塗布はロールコーターなどで行うことができる。その後、表面の脱脂処理16を行う。最外板となる2枚の鋼板以外の鋼板表面も同様に脱脂処理16を行う。
【0016】
次いで、各鋼板における積層したときに相対向するようになる面に対して、接着剤塗布17を行う。接着剤はZrO2,Al2O3,SiO2のような成分を持つ酸化物系接着剤が好ましいが、Cr2O3,MnOのような接着剤であってもMgO,CaO,Mg2SiO2を配合した成分であればよい。塗布はロールコーターなどで行うことができる。接着剤の塗布は相対向する面の双方に行ってもよく、いずれか一方のみに行ってもよい。接着剤塗布後に水分を5wt%程度の状態となるようにして乾燥処理18を行う。
【0017】
接着剤の乾燥後、必要枚数だけ鋼板を重ね合わせる。図2は枚数が3枚の場合の例を模式的に示しており、脱炭処理済みである中間の鋼板30の両面には接着剤層31が形成され、そこに積層するやはり脱炭処理済みである上下2枚の鋼板30の外側面にはコート層32が形成されている。そのように重ね合わした多層鋼板に対して、従来知られた冷間圧延装置を用いて目標板厚まで冷間圧延(最終圧延)19を行い、必要な場合には連続焼鈍処理をさらに行う。
【0018】
その後、好ましくは水素雰囲気中で接着剤の硬化処理も兼ねて再結晶焼鈍20を行い、本発明による多層電磁鋼板ができあがる。再結晶焼鈍の主目的は磁気特性の向上であり、1200℃で20時間のような条件で通常行われる。その後、多層電磁鋼板はスリッター(不図示)において帯状に切断され、所望の製品とされる。
【0019】
【発明の効果】
上記のように、本発明による多層電磁鋼板の製造方法では、電磁鋼板の積層体を目標板厚まで2次冷間圧延する工程を少なくとも含む多層電磁鋼板の製造方法において、積層体が3層以上であっても、すべての積層鋼板に所望の脱炭焼鈍が施される。それにより、高い品質の多層電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多層電磁鋼板の製造方法における各工程を示すフローの一例を示す図。
【図2】本発明による多層電磁鋼板での中間製品を説明する模式図。
【符号の説明】
30…鋼板、31…接着剤層、32…絶縁コート層
【発明の属する技術分野】
本発明はモータコアなどとして有効に用いられる多層電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁鋼板は知られている。結晶組織により方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板に大別される。方向性電磁鋼板は圧延方向に優れた軟磁性を示すことから主にトランスの鉄心として用いられる。無方向性電磁鋼板は磁性特性が方向に依存しないことからモータコアに特に適している。いずれの電磁鋼板も渦電流などの鉄損が伴う。特に渦電流損を低減するために薄板化して電気抵抗を高めることが行われる。一方、電気自動車やハイブリット自動車などで使用されるモータコアなどでは、機械的強度が必要なこと等の理由から電磁鋼板を多層化することが必要となるが、複数の薄鋼板を多層に接着積層することは大きな作業を伴う。
【0003】
そのために、所要厚みの電磁鋼板を絶縁性のある酸化物系接着剤を用いて積層しておき、その積層体を目標厚みにまで冷間圧延するようにした鉄損の少ないラミネート電磁鋼板を製造する技術が知られている。この方法によれば、薄板の積み工程や打ち抜き工程を削減することができて、製造コストの低減がもたらされる(特許文献1:特公平4−30725号公報)。
【0004】
上記従来の製造方法は概略次のようにして行われる。熱間圧延した電磁鋼板を1次冷間圧延して所要厚さとし、酸化物系接着剤を塗布してから重ね合わせ、その状態で目標板厚まで2次冷間圧延をする。その後、電磁特性を劣化させないために、目標板厚まで2次冷間圧延された積層体に対して脱炭焼鈍処理を行い、表裏面にフォルステライト絶縁被膜をコーティングし、再結晶焼鈍を行い、所望の多層電磁鋼板としている。
【0005】
【特許文献1】特公平4−30725号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電磁鋼板の場合、電磁特性を劣化させないために、脱炭焼鈍を行いかつ再結晶焼鈍を行うことは必要な工程となる。この工程を行わないと炭素が鋼板内に残ってしまい、適正な2次再結晶が進行しないことから、品質が低下する。上記した製造方法では、目標板厚まで2次冷間圧延した積層体に対して脱炭焼鈍処理を施すようにしており、積層が3層以上の場合に最上層と最下層の鋼板には所望の脱炭処理が進行するが、中間に位置する鋼板には脱炭焼鈍が十分には進行しない。そのために、高品質の多層電磁鋼板を得るためには、上記の方法では2層の積層が限度であり、例えば、4層の多層電磁鋼板を必要とするときには、得られた2層電磁鋼板を必要枚数だけ、従来法により積層する処理が必要となる。
【0007】
本発明は上記の不都合を解消することを目的になされたものであり、電磁鋼板の積層体を目標板厚まで2次冷間圧延する工程を少なくとも含む多層電磁鋼板の製造方法において、積層体が3層以上であっても、すべての積層鋼板に所望の脱炭焼鈍が施されるようにし、結果として高い品質の多層電磁鋼板を得ることができるようにした改良された多層電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電磁鋼板を接着剤を用いて2枚以上重ね合わせた後、目標厚さまで冷間圧延する工程を少なくとも含む多層電磁鋼板の製造方法であって、鋼板を2枚以上重ね合わせる工程の前工程として、少なくとも各鋼板の脱炭焼鈍を行う工程を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明による多層電磁鋼板の製造方法では、積層すべき鋼板に予め脱炭焼鈍処理が施され、それが多層に積層された状態で目標厚さまでの冷間圧延処理が行われる。従って、積層枚数が3枚以上であっても、得られた多層電磁鋼板のすべての薄板鋼板は等しく脱炭され2次再結晶が進行している。そのために、高品質の多層電磁鋼板を確実に得ることができる。なお、脱炭焼鈍処理自体は従来法で行われている処理方法と同じであってよく、例えば800℃程度の温度環境で2〜5分湿水素雰囲気にて行うような方法でよい。
【0010】
本発明の製造方法は、鋼板を2枚以上重ね合わせる工程の前工程として、少なくとも各鋼板の脱炭焼鈍を行う工程を含むことを条件に、多層電磁鋼板を製造するのに要する他の工程は、従来の製造方法による場合と基本的に同様であってよい。脱炭処理工程の前に、熱間圧延された鋼板に対して一度冷延や連続焼鈍を行う工程、脱炭処理された鋼板のうち最外板となる鋼板にMgO系フォルステライトのような絶縁コート処理を施す工程、目標厚さまで冷間圧延した積層鋼板に対して、接着剤の硬化も兼ねた再結晶焼鈍を行う工程、などが必要に応じて行われる。
【0011】
出発点となる鋼板も、適量の珪素を含有する珪素鋼板やアルファモス鋼板などであってよい。方向性であるか無方向性であるかも問わない。接着剤も、酸化物系接着剤であることは再結晶焼鈍時の高温(通常、1200℃程度)に耐え、かつ電気絶縁性に優れていることから特に好ましいが、これに限られない。絶縁性を高める他の成分(例えば、MgO,CaOなど)を配合することも好ましい。本発明では、接着剤塗布後の鋼板が必要枚数だけ積層され、それが2次冷延により目標板厚まで圧延される。そのために、接着剤として延性に富んだものを用いることが望ましい。一例として、ケイ酸化物を含んだ酸化物系接着剤のような接着剤が挙げられる。また、絶縁性を確保するために、接着剤層厚みは50μm以上が好ましい。
【0012】
最外板となる鋼板に施す絶縁コート処理は、錆防止の目的で行うものであり、例えばMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布する処理、あるいは、ブルーイングのような処理が行われる。
【0013】
本発明において、何層の積層体とするかは多層電磁鋼板の使用目的などに応じて適宜選択されるが、通常2層〜20層程度である。1次冷延後の厚みにも特に制限はない。また、2次冷延後の積層厚みも同様に当該多層電磁鋼板の使用目的に応じて定められるが、通常0.2mm〜2mm程度である。この場合、0.2mmより薄いと生産性に不都合があり、2mmより厚いと抜き打ち加工性が困難となって好ましくない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態により説明する。図1は本発明による多層電磁鋼板の製造方法での各工程を示すフローの一例である。例えば電磁鋼板を2mm〜3mm程度の厚みに熱間圧延10し、必要な場合にはホットコイル焼鈍11を行う。ホットコイル焼鈍11は、延性の回復を目的として行われる。その後、1次冷延と連続焼鈍12を行い、0.6mm程度の厚さの鋼板とする。
【0015】
得られた鋼板に対して脱炭焼鈍13を行う。脱炭焼鈍処理は湿水素の雰囲気中で、800℃で2〜5分程度行うのが好ましいが、使用する鋼板の組成や板厚を考慮して適宜の値が設定される。必要枚数の鋼板について脱炭焼鈍処理を行った後、多層に積層した状態で最外板となる2枚の鋼板に対しては、必要に応じて表面の脱脂処理を行う。その外側面に絶縁コート塗布14を行い、次いで、塗布した絶縁コート層の硬化処理15を行う。絶縁コート剤としては、MgO系のフォルステライトのようなものが用いられる。塗布はロールコーターなどで行うことができる。その後、表面の脱脂処理16を行う。最外板となる2枚の鋼板以外の鋼板表面も同様に脱脂処理16を行う。
【0016】
次いで、各鋼板における積層したときに相対向するようになる面に対して、接着剤塗布17を行う。接着剤はZrO2,Al2O3,SiO2のような成分を持つ酸化物系接着剤が好ましいが、Cr2O3,MnOのような接着剤であってもMgO,CaO,Mg2SiO2を配合した成分であればよい。塗布はロールコーターなどで行うことができる。接着剤の塗布は相対向する面の双方に行ってもよく、いずれか一方のみに行ってもよい。接着剤塗布後に水分を5wt%程度の状態となるようにして乾燥処理18を行う。
【0017】
接着剤の乾燥後、必要枚数だけ鋼板を重ね合わせる。図2は枚数が3枚の場合の例を模式的に示しており、脱炭処理済みである中間の鋼板30の両面には接着剤層31が形成され、そこに積層するやはり脱炭処理済みである上下2枚の鋼板30の外側面にはコート層32が形成されている。そのように重ね合わした多層鋼板に対して、従来知られた冷間圧延装置を用いて目標板厚まで冷間圧延(最終圧延)19を行い、必要な場合には連続焼鈍処理をさらに行う。
【0018】
その後、好ましくは水素雰囲気中で接着剤の硬化処理も兼ねて再結晶焼鈍20を行い、本発明による多層電磁鋼板ができあがる。再結晶焼鈍の主目的は磁気特性の向上であり、1200℃で20時間のような条件で通常行われる。その後、多層電磁鋼板はスリッター(不図示)において帯状に切断され、所望の製品とされる。
【0019】
【発明の効果】
上記のように、本発明による多層電磁鋼板の製造方法では、電磁鋼板の積層体を目標板厚まで2次冷間圧延する工程を少なくとも含む多層電磁鋼板の製造方法において、積層体が3層以上であっても、すべての積層鋼板に所望の脱炭焼鈍が施される。それにより、高い品質の多層電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多層電磁鋼板の製造方法における各工程を示すフローの一例を示す図。
【図2】本発明による多層電磁鋼板での中間製品を説明する模式図。
【符号の説明】
30…鋼板、31…接着剤層、32…絶縁コート層
Claims (1)
- 電磁鋼板を接着剤を用いて2枚以上重ね合わせた後、目標厚さまで冷間圧延する工程を少なくとも含む多層電磁鋼板の製造方法であって、鋼板を2枚以上重ね合わせる工程の前工程として、少なくとも各鋼板の脱炭焼鈍を行う工程を含むことを特徴とする多層電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003053060A JP2004263223A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 多層電磁鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003053060A JP2004263223A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 多層電磁鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004263223A true JP2004263223A (ja) | 2004-09-24 |
Family
ID=33117780
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003053060A Pending JP2004263223A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 多層電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004263223A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009256734A (ja) * | 2008-04-17 | 2009-11-05 | Nippon Steel Corp | 積層鋼板及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003053060A patent/JP2004263223A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009256734A (ja) * | 2008-04-17 | 2009-11-05 | Nippon Steel Corp | 積層鋼板及びその製造方法 |
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Legal Events
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