JP2004263077A - 熱可塑性ポリエステル樹脂発泡フィルムの製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル樹脂発泡フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的大きな平均気泡径を有する発泡シートを用いて、安定して二軸延伸した熱可塑性ポリエステル樹脂発泡フィルムを製造する方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂の溶融押出し時に、ポリエステルに対して不活性でかつ常温常圧で気体であるガスを注入し溶融混練りさせた後、口金部においてシート状に成形すると同時に圧力開放して発泡させ、内在する気泡径の平均値が50〜500μmの範囲にあるシートを連続的に同時二軸延伸することを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂発泡フィルムの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂発泡フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステルフィルムに代表されるプラスチックフィルムは、その優れた機械的特性、電気的特性、耐薬品性、耐熱性等を有することから、各種産業において広く利用されている。とりわけ二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、他のフィルムに比べ、平面性および寸法安定性に優れ、またコストとのバランスも良く、包装用および一般工業用材料として欠くことのできない素材として使用されている。このポリエステル樹脂を素材として、その中に微細気泡を含有せしめた発泡フィルムは、ポリエステルフィルムの優れた特性に加えて、断熱性や緩衝性をも合わせ持つものである。
【0003】
ところで、プラスチックを溶融させて化学発泡剤もしくはブタンガスや二酸化炭素を溶かし込んでガス発泡させ、見かけ密度を大幅に低下させたシートを作る発泡技術は既に知られている。特に超臨界状態とした二酸化炭素を溶融ポリマーに溶かして、これを成形すると同時に発泡させることで、数μmの気泡径を有する極めて微細な発泡体を得る技術が開示されている(特許文献1)。また前述したポリエチレンテレフタレートを用いて、延伸後のフィルム内における平均気泡径が最大でも30μm以下のフィルムが開示されている(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、一般にポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、溶融時の粘度が低いため、たとえ溶融状態のある時点で非常に微細な気泡を多数発生させても、その状態を保持できずに微細気泡同士が合体して、気泡が大きく成長してしまう結果となりやすい。これを改善するために、重合度を上げたり、ポリエステル樹脂自体を変性したりして、溶融時の粘度を高める工夫がなされている(例えば、特許文献3〜6等)。しかしながらこれらの方法を用いても、気泡径を数μmにまで微細化することは難しく、多くの場合平均気泡径で数十〜数百μmの大きさとなることが殆どであった。一方で、ポリエステルに代表されるプラスチックフィルムは、延伸すると機械的性質が飛躍的に向上するが、上記のような径の大きな気泡を内在する発泡シートを二軸延伸する場合には破断しやすく製膜連続性が悪いことが多く、安定して延伸して、発泡フィルムとすることが困難であるのが実状である。
【0005】
【特許文献1】特許第2625576号公報
【特許文献2】特開平11−300814号公報
【特許文献3】特許第2837274号公報
【特許文献4】特公平5−15736号公報
【特許文献5】特許第3059355号公報
【特許文献6】特開平10−87867号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、比較的大きな平均気泡径を有する発泡シートを用いて、安定して二軸延伸した熱可塑性ポリエステル樹脂発泡フィルムを製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の方法を採用すれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、熱可塑性ポリエステル樹脂の溶融押出し時に、ポリエステルに対して不活性でかつ常温常圧で気体であるガスを注入し溶融混練りさせた後、口金部においてシート状に成形すると同時に圧力開放して発泡させ、内在する気泡径の平均値が50〜500μmの範囲にあるシートを連続的に同時二軸延伸することを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂発泡フィルムの製造方法に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明で用いる熱可塑性ポリエステル樹脂は、芳香族ジカボルボン酸あるいは脂肪族ジカボルボン酸と、脂肪族グリコールあるいは芳香族グリコールとの重縮合によって生成する樹脂であり、しかも加熱して軟化するか溶融状態となる性質を有する必要がある。
【0009】
本発明に用いる代表的な熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、樹脂の価格と性能の観点から、ポリエチレンテレフタレートが、バランスがよく有利である。また、これらのポリエステルは、非相溶の樹脂を実質的に含まないことが好ましい。
【0010】
上記の代表的な熱可塑性ポリエステル樹脂は、上記ホモポリマーの他に、ポリエステルを構成するジカルボン酸あるいはグリコールあるいはその両方の成分の45モル%以下、好ましくは35モル%以下の割合で変更して、ランダムあるいはブロック共重合化したものも用いることができる。この目的で選択できるジカボルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−スルフォニルイソフタル酸金属塩等の芳香族ジカボルボン酸や、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカボルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカボルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が例示できる。一方グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチレングリコール等の脂肪族グリコールが例示できる。またこれ以外に、ポリエステルを構成する成分としてヒドロキシカルボン酸を挙げることもできる。ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等が例示できる。
【0011】
さらに、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂には、分子中に3個以上のカルボキシル基または水酸基を含有する化合物が、全ジカルボン酸成分および全ジオール成分の合計量に対し、通常6モル%以下、好ましくは4モル%以下、さらに好ましくは2モル%以下で共重合されていてもよい。
【0012】
分子中に3個以上のカルボキシル基または水酸基を含有する化合物としては、例えば、トリメリト酸、ピロメリト酸、ナフタレンテトラカルボン酸およびそれらの無水物、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリグリセロール(グリセロールが2〜20程度縮合した化合物およびこれらの混合物)、ポリオール(炭素数2〜4程度のアルキレンオキシドが縮合した化合物)等が挙げられ、これらの中でも、トリメリト酸、ピロメリト酸、およびそれらの無水物、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリオールが好適である。なお、これら化合物は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの化合物をポリエステルに添加して共重合化することで、ポリエステルの溶融粘度を上昇させることができ、直鎖状のポリエステルと比べて、溶融状態で発生した気泡が合体して成長することが少なくなり、成形したシートに内在される気泡を結果的に小さく保持する効果を有する。
【0013】
また、本発明に使用する熱可塑性ポリエステル樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、分子量調整剤、可塑剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤等の添加剤が含有されていてもよい。
【0014】
さらに本発明においては、無機の発泡核剤を併用することも可能である。具体的にはシリカ、マイカ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ガラス繊維、カーボンファイバー、各種の微細ウィスカーなどの粉体が例示でき、これらの発泡核剤の熱可塑性ポリエステル樹脂への添加量は0.01〜10重量%の範囲内で選択して使用することもできる。これらの発泡核剤は、ポリエステル樹脂とともに押出機に投入してもいが、予めポリエステル樹脂中に含有させたマスターバッチとして添加することもできる。
【0015】
以下、本発明で用いる発泡シート(未延伸シート)の製造方法について説明するが、本発明の要旨を越えない限り、本発明は、以下の方法に限定される訳ではない。
熱可塑性ポリエステル樹脂を溶融押出しするために、市販されている押出機を用いて、熱可塑性ポリエステル樹脂を供給部から定量的に投入して、樹脂の融点あるいは軟化温度以上に加熱されたシリンダー内でスクリューの回転により、樹脂を溶融させつつ押し出す。押出機には加熱された導管が接続されており、必要に応じてスタティックミキサーを設置して溶融樹脂を均一化させ、フィルターを設置して異物を除去し、ギアポンプを設置して定量供給性を高めることもできる。こうして導かれたポリエステル樹脂は、Tダイ等のフラットダイの口金でシート状に押し広げられて吐出されて、キャスティングドラム上で冷却固化される。
【0016】
熱可塑性ポリエステル樹脂の溶融押出し時に注入するガスは、使用する熱可塑性ポリエステル樹脂に対して反応性が無く不活性であることが必要である。使用するガスに反応性があれば、ポリエステル樹脂を変性させる、あるいは圧力開放した際に有効に樹脂を発泡させることができず好ましくない。またこのガスは、常温常圧下、気体状体で存在するものであることが必要である。固体や液体で存在する物は、発泡シートを作成して常温常圧に戻した時に、ポリエステル樹脂中でも固体や液体で存在することになり好ましくない。本発明で用いられるガスは、炭酸ガス、窒素、ヘリウム、ネオンなどの無機ガス、あるいはプロパン、ブタンなどの炭化水素ガスなどを例示することができるが、取り扱い上の安全性やガスのコストなどを考慮すると、炭酸ガスまたは窒素ガスが好ましい。
【0017】
このガスを熱可塑性ポリエステル樹脂の溶融押出し時に注入するには、押出機中で樹脂が溶融状態あるいは半溶融状態となっている部分に注入して、注入したガスと樹脂とが押出機のスクリューで溶融混練りされることが、溶融樹脂にガスを溶解させる上で必要である。この際に注入するガスは、少なくとも1MPa以上の圧力をかけることが好ましい。こうしてガスを溶融樹脂に十分溶解させるべく溶融混練りを行うが、その際に用いる押出機は二軸押出機であることが好ましい。またこの時用いるスクリューブロックパターンも、注入されたガスが十分に溶融樹脂にとけ込むように、「送り」あるいは「戻し」のパターンを適宜組み合わせたもの、および注入したガスが樹脂の投入口方向へ逆流することを避けるように、ガスシール機構を有するものを使用するのが好ましい。
【0018】
また熱可塑性ポリエステル樹脂の溶融押出しには、押出機を2台直列した、いわゆるタンデム方式の押出機を用いることができる。この場合には熱可塑性ポリエステル樹脂を溶融し、ガスを注入して溶融樹脂と混練りする役割を果たすのが一段目の押出機であり、これは前述したように二軸押出機を用いるのが好ましい。次いでガスを十分に溶解した溶融樹脂を二段目の押出機に送る。この二段目の押出機は、主として一段目の押出機で注入されたガスを完全に溶融樹脂中に溶解させるのと同時に、一段目の押出機で剪断発熱を起こして上昇した溶融樹脂の樹脂温を固化しない程度に下げて、溶融樹脂の粘度を上げる役割を果たす。この時押出機内の樹脂圧は、ヘンリーの法則に従ってガスの溶解度に影響を与えることから、できるだけ高い樹脂圧を維持することが好ましい。また溶融樹脂の粘度が高ければ、最終的に口金付近で溶融樹脂の圧力が開放されて発泡する際に、生成した気泡の気泡壁が破れて気泡が連続化・巨大化することを最小限に止めるためにも好ましい。
【0019】
さらに、押出機出口から口金の直前に至るメルトラインで、溶融樹脂に溶解させたガスが気泡とならないように樹脂圧を高めた状態を保つことが好ましい。このため口金の直前に圧力調整弁を設置して、樹脂圧の低下によるメルトライン中での発泡を防ぐことが好ましい。この後、ガスを多量に溶解していた溶融樹脂は、Tダイ等のフラットダイで急速に圧力開放されて、溶存させていたガスを急速に気化させて発泡する。この時の圧力開放は、極めて急速に行うことが生成する気泡を小さくするためには好ましい。また、口金より吐出されたシートは、速やかにキャスティングドラムあるいはロールなどで急冷固化させることが重要である。急冷固化が遅いと気泡が必要以上に成長し、気泡径が大きくなり易く、好ましくない。
【0020】
以上述べた製造方法で作成した熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シート中には、気泡が多数存在しており、その平均気泡径は50〜500μmであり、好ましくは50〜300μmである。またこの発泡シートの密度は0.1〜1.2g/cm、さらには0.2〜1.0g/cmとなることが好ましい。また厚みに関しては通常0.6〜8mmである。
かくして得られた熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートは、次に延伸工程に供される。
【0021】
本発明における延伸工程は、連続的に同時二軸延伸を行う工程である。ここで言う連続的にとは、前の成形加工工程で作られた発泡シートをそのまま同時二軸延伸機のテンターに導くことを意味するものであり、例えば一旦成形シートを巻き取って再度延伸工程に戻すこと、あるいはこの成型シートをバッチ式で行われる同時二軸延伸を行うことは本発明の対象外である。
【0022】
本発明においては、延伸を行うに際しては同時二軸延伸方法を用いるが、これを通常の逐次延伸法でよく用いられる、ロール延伸法による縦延伸→テンター法による横延伸の方法で行った場合、横延伸時に極めて破断しやすいこととなる。この主たる要因は、本発明で延伸に用いる発泡シート中に存在する平均気泡径50〜500μmの気泡であり、これによってロール延伸の際に延伸フィルムの端部に微小なクラックが発生し、これが横延伸時の破断のキッカケとなると推定している。
【0023】
本発明で用いることのできる同時二軸延伸方法としては、テンター内でクリップをパンタグラフで連結しクリップ間隔を開く形態、クリップをスクリュー形状の軸で駆動しスクリュー溝の間隔を調整することでクリップ間隔を開く形態などで、縦方向および横方向に同時に延伸を行う方式のものを用いることができる。さらに同時二軸延伸方式でより好ましい形態としては、リニアモーターを利用した駆動方式によるものである。この方式のものは、クリップは個々に連結されることなく、リニアモーターにより発生する磁界で各クリップは独自に速度制御され、クリップ間隔を広げる特徴を有している。また、磁界の制御のみでクリップの広げ方が制御できるので、前述したパンタグラフ方式やスクリュー方式の同時二軸延伸機では延伸倍率などの条件変更が困難な場合があるのに対して、条件変更等はもちろんのこと、延伸を多段階に行うことも容易であり、延伸条件を細かく制御してより適切な条件を選択しながら縦方向および横方向への延伸を行うことが出来る利点がある。
【0024】
またラインスピードに関しても、パンタグラフ方式やスクリュー方式の同時二軸延伸機では、速いラインスピードを得るのが困難なのに対して、リニアモーター駆動方式の同時二軸延伸機であれば、通常の逐次二軸延伸機と同等のラインスピードまで高速化できる利点も有する。
本発明においては、連続的に同時二軸延伸を行う際のラインスピードは、10m/分以上、好ましくは20m/分以上、さらに好ましくは50m/分以上であることが好適であり、ラインスピードの上限は、製膜する発泡フィルムの厚みにも依存するが、リニアモーター駆動式同時二軸延伸機を用いた場合、通常300m/分である。
【0025】
本発明における同時二軸延伸の延伸温度は、延伸する発泡シートの温度が、ポリエステルのガラス転移点温度(Tg)−5℃から昇温結晶化温度(Tc)−10℃の範囲内で選択して行うことが好ましい。特に本発明で用いる熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートは、既にシート内に気泡を内在しているため、断熱性を有しており、通常の気泡を内在しないポリエステルシートと比べてより長い時間をかけて予熱・加温する必要がある。このために長い予熱ゾーンをテンターに設けること、延伸温度よりも高い温度で予熱すること、あるいはそれらを併用することも可能である。またそれらの他に、複数本のロール式加熱器を用いて発泡シートを十分に予熱・加温した後に、同時二軸延伸機のテンターに導く方法を用いることもできる。
【0026】
本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートの延伸倍率は、縦および横方向への同時二軸延伸により面積倍率で1.2〜50倍、好ましくは4〜30倍の範囲で延伸を行うことがよい。また縦方向と横方向との延伸倍率の比率には特に限定はないが、通常の縦・横がバランスした二軸配向フィルムであれば1.0±0.3、好ましくは1.0±0.1とするのがよい。また本発明においては、特にリニアモーター駆動方式の二軸延伸装置を用いることによって、縦方向を重点とした延伸あるいは横方向を重点とした延伸を行うこともできる。この場合には、例えば横方向を重点とした延伸を例にとると、縦方向に対する横方向の延伸倍率の比率が、1.1〜7.0、好ましくは1.5〜5.0となるように設定するのがよい。
【0027】
本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂発泡シートを延伸する際の延伸速度は、通常縦方向および横方向に各々1000〜300000%/分、好ましくは2000〜150000%/分とすることが好適である。
本発明においては、延伸に供する発泡シートに内在する平均気泡径によって、上記延伸倍率および延伸速度を調整することが好ましい。すなわち、平均気泡径が大きい(250〜500μm)場合には、延伸による面積倍率を小さくする方向で設定して、かつ延伸速度も遅くする方向で設定することが、延伸方向への気泡の拡大によるフィルムの破れを抑える点で好ましい。また延伸そのものを、一回の延伸で所定倍率まで延伸することも可能だが、特にリニアモーター駆動方式の二軸延伸装置を用いた場合には、延伸を二回以上に振り分けて所定倍率まで延伸することも可能である。この際には各々の延伸段階での延伸温度や延伸速度を変更して、発泡シートの状態に合わせて条件を設定することが可能となる。
【0028】
こうして延伸されたフィルムは、平面性、耐熱寸法安定性等を改善するために、次に熱固定を行うことができる。この熱固定には延伸工程で用いた同時二軸延伸機内で熱固定することが好ましい。
この熱固定は、通常150℃以上フィルムの融点未満の温度範囲で、1〜30秒間行われる。さらにその後、熱固定温度と同じかあるいは冷却過程の任意の温度範囲で、縦、横あるいはその両方向に各々1〜10%の弛緩処理を行うことができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
<物性値の測定方法>
1.平均気泡径
発泡シートの断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。解析には顕微鏡画像を用いて、断面を樹脂部と気泡部とに2値化処理して、少なくとも100個の気泡について、気泡の長径と短径との平均値から求めた平均気泡径を算出した。密度
【0031】
2.電子比重計((株)シロ産業製 SEW−200SG)を用いて発泡シートの比重を測定した。この比重値と測定した時の電子比重計の水温から、水の密度を換算して発泡シートの密度(g/cm)とした。
【0032】
3.製膜時のテンター内でのフィルム破断性の評価
発泡シートをテンター内で同時二軸延伸あるいは熱固定する際、および縦延伸後テンター内で横延伸あるいは熱固定する際に、フィルムが破断する状況を次に示す3ランクにて判定した。
ランク ○:殆どフィルム破断を起こさず生産性良好
ランク △:時折フィルム破断を生じ、生産性に劣る
ランク ×:頻繁に破断を生じ、生産性に極めて劣る
【0033】
以下、製膜に使用した原料ポリエステル樹脂の製造方法を述べる。
<ポリエステルA>
ジカボルボン酸単位がテレフタル酸99.5モル%、ピロメリット酸0.5モル%からなり、ジオール単位がエチレングリコール98.0モル%、ジエチテレングリコール2.0モル%からなる極限粘度1.0dl/gである熱可塑性ポリエステル樹脂。
【0034】
<ポリエステルB>
平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粒子を、5重量%含有する極限粘度が0.65dl/gの熱可塑性ポリエステル樹脂。
【0035】
実施例1
原料ポリエステル樹脂として、ポリエステルAを用いた。これを窒素気流下180℃で4時間乾燥した。この樹脂を2台の押出機を直列に設置したタンデム型の押出機に供して溶融押出しを行った。1台目の押出機はL/D=40の二軸押出機で、2台目はL/D=20の単軸押出機を使用した。原料のポリエステル樹脂を1台目の押出機に投入して200kg/hの吐出量で溶融押出しを行った。この二軸押出機には、上流側端部からL/D=12に相当する場所にディスク状のガスシールを設置し、同じくL/D=16に相当する場所にガス供給口を設置した。また、ガス供給口には加圧ポンプと冷却装置を経由した二酸化炭素を定量的に供給して、二軸押出機のシリンダー内に2MPaの圧力で5.2kg/hの割合で注入した。1台目の溶融樹脂の樹脂温度は285℃であった。次いでこの溶融樹脂を、導管を通じて直接2台目の押出機に送り、溶融樹脂の樹脂温度を270℃に下げるように溶融押し出しを行った。この後、ギアポンプ、スタティックミキサー、および濾過精度(95%カット径)40μmカットのフィルターを有する濾過装置を通過させた。次いでこの濾過装置の後に、圧力調節弁を経てTダイで圧力開放させてシート状に押し出した。この時圧力調整弁は溶融樹脂の圧力が6MPaとなるように設定した。またシート状に押し出した溶融樹脂は、静電印加法を用いて表面温度30℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化させた。この時キャスティングドラムに接するのと反対の面にも冷風を吹き付けて、冷却を補助した。
得られたシートは気泡が多数存在する白色の発泡シートであった。この発泡シートの密度は0.35g/cm、平均気泡径は300μm、厚みは2.2mmであった。
この発泡シートを、先ず5本のロール式加熱器群を通過させて予熱・加温した。この後、同時二軸延伸機を有するテンターに導いて、さらに95℃の熱風で予熱・加温を行い、95℃で縦方向3.3倍、横方向3.3倍に同時二軸延伸を行った。この後同じテンター内で205℃の熱風雰囲気下で5秒間熱固定を行い、同じ温度で縦方向および横方向に各々3%弛緩処理を行い、真珠光沢のある二軸配向発泡フィルムを得た。
この時のラインスピードは40m/分であった。このフィルムの厚みは120μmで、密度は0.50g/cmあった。この製膜時のテンター内でのフィルム破断は無く、生産性は良好で、フィルム破断性のランクは○であった。
【0036】
比較例1
実施例1と同じ原料、同じ押出機を用いて、全く同様のポリエステル発泡シートを得た。この発泡シートをロール式加熱器で予熱・加温した後、延伸用セラミックロールに導き、IRヒーターを併用しつつ90℃で縦方向に3.3倍ロール延伸した。この後実施例1で用いた同時二軸延伸機を有するテンターに導き、100℃の熱風で予熱・加温を行い、100℃で横方向のみに3.3倍延伸した。この後、実施例1と全く同様に熱固定を行い、真珠光沢のある二軸配向発泡フィルムを得た。この時のラインスピードは40m/分であった。このフィルムの厚みは120μmで、密度は0.50g/cmあった。しかしこの製膜時において、テンター内でのフィルムは度々破断を生じ、フィルム破断性のランクは×であった。
【0037】
実施例2
実施例1において、用いるポリエステル原料としてポリエステルA:ポリエステルB=4:1にブレンドしたものを用いた。またポリエステル樹脂の吐出量は100kg/hとし、二酸化炭素の注入量は2.6kg/hに変更した。この他は実施例1と全く同様に溶融押出し・ガス発泡を行い、発泡シートを得た。得られたシートは気泡が多数存在する白色の発泡シートであった。この発泡シートの密度は0.55g/cm、平均気泡径は150μm、厚みは1.2mmであった。
この発泡シートを実施例1と全く同様に、予熱・同時二軸延伸・熱固定を行い、真珠光沢のある二軸配向発泡フィルムを得た。この時のラインスピードは40m/分であった。このフィルムの厚みは95μmで、密度は0.65g/cmあった。この製膜時のテンター内でのフィルム破断は無く、生産性は良好で、フィルム破断性のランクは○であった。
【0038】
比較例2
実施例2と同じ原料を用いて、全く同様にポリエステル発泡シートを得た。この発泡シートをロール式加熱器で予熱・加温した後、延伸用セラミックロールに導き、IRヒーターを併用しつつ90℃で縦方向に3.3倍ロール延伸した。この後実施例1で用いた同時二軸延伸機を有するテンターに導き、100℃の熱風で予熱・加温を行い、100℃で横方向のみに3.3倍延伸した。この後、実施例1と全く同様に熱固定を行い、真珠光沢のある二軸配向発泡フィルムを得た。この時のラインスピードは40m/分であった。このフィルムの厚みは95μmで、密度は0.65g/cmあった。しかしこの製膜時において、テンター内でのフィルムは時折破断を生じ、フィルム破断性のランクは△であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂発泡フィルムの製造方法によれば、溶融成形して作成した発泡シートをそのまま延伸して発泡フィルムを作成する方法において、成形した発泡シート中に内在する気泡の平均径が50〜500μmの比較的大きなものであっても、このシートを延伸してフィルム化するに際しては、フィルムの破断がほとんどなく、良好な生産性を実現することが可能となり、本発明の工業的価値は高い。

Claims (1)

  1. 熱可塑性ポリエステル樹脂の溶融押出し時に、ポリエステルに対して不活性でかつ常温常圧で気体であるガスを注入し溶融混練りさせた後、口金部においてシート状に成形すると同時に圧力開放して発泡させ、内在する気泡径の平均値が50〜500μmの範囲にあるシートを連続的に同時二軸延伸することを特徴とする熱可塑性ポリエステル樹脂発泡フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022533925A (ja) * 2020-04-21 2022-07-27 ヒューヴィス コーポレーション マスターバッチ組成物及びこれを用いた発泡シートの製造方法

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