JP2004262738A - 薄片状炭素結晶の製造方法 - Google Patents

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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

Abstract

【課題】本発明は真空蒸着装置のような装置を必要とせずに低コストで薄片状のフラーレン結晶を得る。
【解決手段】ベンゼン環のオルト位置または1,2,4の位置に置換基を有するベンゼン化合物を含有する第1の溶媒にフラーレンを溶解してなる溶液、フラーレンに対して貧溶媒である第2の溶媒および固体の壁を、前記溶液と前記第2溶媒とが液−液界面を形成するようにそして前記固体壁と前記溶液とが固−液界面を形成するように接触させ、ついで前記溶液、前記第2溶媒および前記固体壁をその状態で所定時間維持し、それにより前記溶液に接触する前記壁の表面から壁面を横切る面に沿って成長するようにフラーレンを析出させる薄片状炭素結晶の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は薄片状炭素結晶の製造方法、特に炭素の同素体分子フラーレンの薄片状結晶の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素元素のみから合成される物質として、ダイヤモンドやグラファイトが知られているが、最近、新たに60個の炭素原子からなる球状クラスター分子が見いだされ、その物性および応用について研究がなされている。例えば非特許文献1によれば、この分子はフラーレンと呼ばれるもので、サッカーボール状の形状を有している。またフラーレン分子の集合体は面心立方格子であり、各種元素をドーピングすることにより超伝導特性を有する物質が得られることが非特許文献2に報告されている。しかし、上記特性評価に用いられたフラーレン集合体試料は粒径数十μmの多結晶体であった。
【0003】
そのため、多結晶体の物性測定においてはフラーレン結晶間の界面の物性が含まれてしまうため、純粋なフラーレン結晶の物性を調べることが困難であった。より詳細な物性を調べるために必要な大きな単結晶体として、特許文献1には、臭化ルビジウム、ヨウ化カリウムまたはヨウ化ルビジウムの単結晶基板上にフラーレン単結晶を析出させてフラーレンの単結晶薄膜を得る方法が提案されている。
【0004】
また溶液中でフラーレンの単結晶を作製する方法として、非特許文献3には、フラーレンを溶解したトルエン溶液にイソプロピルアルコールを添加するとフラーレンの針状結晶が得られると記載されている。
【0005】
【非特許文献1】
H.W.Kroto等、Nature 318(1985) 162
【非特許文献2】
A.F.Hebard等、Nature 350(1991) 600
【特許文献1】
特開平05−124894号公報
【非特許文献3】
宮澤薫一、熱処理42巻2号 P81
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記薄膜作製方法では高真空度1.3×10−4Pa(1×10−6Torr)を有する真空蒸着装置が必要であり、また、フラーレン単結晶膜を成長させるために臭化ルビジウム、ヨウ化カリウムまたはヨウ化ルビジウムの単結晶基板が必要となる。そのため、工程が煩雑で、フラーレン単結晶を得るためのコストも高くなる。
また、上記針状結晶の作製方法では針状結晶は得られるものの、薄片状の結晶は作製することができない。
本発明は真空蒸着装置のような装置を必要とせずに低コストで薄片状のフラーレン結晶を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はベンゼン環のオルト位置または1,2,4の位置に置換基を有するベンゼン化合物を含有する第1の溶媒にフラーレンを溶解してなる溶液、フラーレンに対して貧溶媒である第2の溶媒および固体の壁を、前記溶液と前記第2溶媒とが液−液界面を形成するようにそして前記固体壁と前記溶液とが固−液界面を形成するように接触させ、ついで前記溶液、前記第2溶媒および前記固体壁をその状態で所定時間維持し、それにより前記溶液に接触する前記壁の表面から壁面を横切る面に沿って成長するようにフラーレンを析出させる薄片状炭素結晶の製造方法である。
【0008】
本発明において、ベンゼン環のオルト位置または1,2,4の位置に置換基を有するベンゼン化合物を含有する第1の溶媒にフラーレンを溶解してなる溶液を準備する。ベンゼン環のオルト位置または1,2,4の位置の置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン基、−NH、−NHR、−NR,−OH、−OR、ここでRはアルキル基である、を例示することができる。これらの置換基の中でメチル基および塩素基が特に好ましく用いられる。
ベンゼン環のオルト位置または1,2,4の位置に置換基を有するベンゼン化合物としては、例えばo−キシレン、o−ジクロロベンゼン、o−ジエチルベンゼン、o−ジブロモベンゼン、o−ジフルオロベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリエチルベンゼンおよび2−クロロトルエン等を挙げることができる。これらの中でo−キシレン、o−ジクロロベンゼンおよび1,2,4−トリメチルベンゼン、および2−クロロトルエンが特に好ましく用いられる。
【0009】
本発明における第1の溶媒は前記ベンゼン化合物のいずれか一種であることが最も好ましいが、前記ベンゼン化合物の二種またはそれ以上の混合物であってもよく、また上記一種または二種以上の前記ベンゼン化合物を少なくとも50質量%含有するものであってもよく、フラーレンの溶解度が5mg/ml以上である溶媒が好ましい。第1の溶媒に50質量%未満含有させてもよい溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ヨードベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、p−キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、m−ジクロロベンゼンおよびp−ジクロロベンゼン、二硫化炭素、トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1−メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、2−メチルチオフェン等を挙げることができる。
【0010】
上記第1の溶媒に溶解させるフラーレンとしては、C60、C70,C76,C78,C82,C84,C240,C540およびC720等を使用することができるが、それらの中でC60、C70,C76,C78,C82およびC84を好ましく用いることができ、C60およびC70が最も好ましく用いられる。またフラーレン分子の内部に異元素(例えば典型元素金属または遷移金属)を内包したもの、またはフラーレン分子の間に異元素を配置したものも用いることができる。
【0011】
本発明において、上記第1の溶媒にフラーレンを溶解させて溶液とするが、フラーレンの濃度があまり低すぎるとフラーレン結晶の析出速度が小さくなったり、析出量が少量になる。従って前記溶液中のフラーレンの濃度は3mg/ml以上でかつ第1溶媒に対する溶解度の30%以上の濃度で含有させることが好ましく、4mg/ml以上でかつ第1溶媒に対する溶解度の35%以上の濃度で含有させることがさらに好ましい。例えばo−キシレンのC60の溶解度(飽和濃度)は約8.7mg/mlであるので、フラーレンの濃度は3mg/ml以上にすることが好ましく、4mg/ml以上にすることがさらに好ましい。
【0012】
前記溶液に接触させる第2の溶媒としてフラーレンに対して貧溶媒であるものが用いられる。フラーレンに対する貧溶媒とはフラーレンの溶解度(飽和濃度)が0.01mg/ml以下の溶媒を指す。また第2の溶媒は前記溶液の第1溶媒と相互に溶解することができるものが用いられる。第2溶媒としてn−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコールおよびi−ペンチルアルコールのようなアルコールが好ましく用いられ、これらの中でi−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコールおよびi−ペンチルアルコールが特に好ましく用いられる。メチルアルコール、エチルアルコールは拡散速度が大き過ぎて薄片状の結晶が成長し難いので好ましくない。
【0013】
本発明における第2の溶媒は前記アルコールのいずれか一種であることが最も好ましいが、前記アルコールの二種またはそれ以上の混合物であってもよく、また上記一種または二種以上の前記アルコールを少なくとも50質量%含有するものであってもよい。第2溶媒に50質量%未満含有させてもよい溶媒としては、例えばメチルアルコールおよびエチルアルコール等を挙げることができる。
【0014】
本発明において、前記溶液、前記第2溶媒および固体の壁を、前記溶液と前記第2溶媒とが液−液界面を形成するようにそして前記固体壁と前記溶液とが固−液界面を形成するように接触させる。例えば容器に前記溶液を入れ、ついで前記第2溶媒を静かに注いで容器内で前記溶液と前記第2溶媒とが2層に分離してその2層の境界に液−液界面を形成させる。この際に容器の底面または側面(固体壁)は前記溶液と接していてその境界に固−液界面が形成される。容器とは別に例えばガラス板からなる固体の壁を容器内に配置させて前記溶液と接するようにしてもよい。
【0015】
互いに接触させる前記溶液および前記第2溶媒のいずれか一方があまりに多量であったり少量であると、フラーレンの析出が効率的に行われないので、前記溶液および前記第2溶媒をその合計体積Vに対して前記溶液が好ましくは10〜50体積%になるように使用される。
【0016】
上記固体の壁としては、ガラス、セラミックス、金属、プラスチックス、単結晶などからなる容器、板状体、棒状体、繊維等が用いられる。フラーレン分子同士はファンデルワールス結合により結合されるので、フラーレン分子を非晶質基材上に堆積させると細密構造を有しやすい。従って上記の壁の材質としてはガラス、プラスチクのような非晶質が好ましく用いられる。前記固−液界面の表面積(前記溶液に接触する前記固体壁表面の面積)は、使用する前記溶液および前記第2溶媒の体積にもよるが、10mm 以上であることが好ましい。
【0017】
この状態の前記溶液、前記第2溶媒および固体の壁を所定時間維持する。好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下、ただし前記溶液および前記第2溶媒の凝固点のうち高い方の温度より高い温度で静置することが、均一な大きさの結晶を析出させる上で好ましい。この維持時間が経過するつれて、液−液界面の両側の前記溶液と前記第2溶媒とが徐々に相互に拡散する。フラーレンは液−液界面を中心として生じるある厚みの前記溶液と前記第2溶媒との混合部分から前記溶液の方に追い出されるので、前記溶液中のフラーレン濃度は徐々に高くなり、過飽和となり、容器の底部または側面等の固体壁の表面にフラーレンが析出し、これが壁面を横切る面に沿って成長していく。そして前記溶液および前記第2溶媒の相互拡散が終わる10〜100時間経過した後には薄片状のフラーレン結晶が得られる。薄片状のフラーレン結晶の一端は固体壁に付着しているが、簡単に壁から剥がすことができる。
【0018】
フラーレンの析出、成長の過程は次のように考えられる。固体壁の表面から立ち上がる厚みが小さい、例えば数十nmの厚みで最大寸法が1mm〜数mmの薄片状フラーレン単結晶が最初に成長し、その薄片の主表面(両表面)にさらにフラーレンが層状に積み重なって最終的に数百nmの厚みに増大した最大寸法が1mm〜数mmの薄片状フラーレン結晶が得られる。図1および図2は薄片状フラーレン結晶の表面を示す電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)写真であり、薄片を一部破砕させて薄片の断面が見えやすいようにしている。図1は薄片の主表面を正面から見た拡大率4,000倍の写真(写真大きさ90mm×118mm)であり、図2は薄片の主表面の正面から40度傾斜した方向から見た拡大率20,000倍の写真(写真大きさ90mm×118mm)である。図1において薄片状フラーレン結晶の表面に菱形(最大寸法約10μm)の薄層状のフラーレン単結晶が析出している。この析出が進行して菱形の面積が次第に大きくなって全面を覆うようになりこれを繰り返して薄片の厚みが増大すると考えられる。図2では薄片状フラーレン結晶の断面が示されており、積層構造になっていることが観察される。
【0019】
もし、上述の前記溶液、前記第2溶媒および固体の壁の接触の際に液−液界面が形成されずに前記溶液と前記第2溶媒が急激に混合されたり、前記静置がされずに前記溶液と前記第2溶媒の相互拡散が急激に生じた場合には、前記溶液中でフラーレンが急速に微粒子状で析出するため、薄片状のフラーレン結晶は生成されない。
【0020】
得られる薄片状のフラーレン結晶は100nm〜10μmの平均厚みを有する。なお平均厚みとは薄片の厚みの個数平均値である。また後述の平均最大寸法とは薄片の長径(最大寸法)の個数平均値である。この薄片状のフラーレン結晶はフラーレン分子同士がファンデルワールス結合したものであり、指でつまむ位では壊れない程度の機械的強度を有する。
【0021】
この薄片状のフラーレン結晶を加圧、例えば3〜9Paでのプレス、加熱、例えば250〜400℃保持またはレーザ照射、例えば波長300nm以下のレーザ光照射の操作により結晶を構成するフラーレン分子同士の間に存在する前記第1溶媒などを除去して緻密化して機械的強度を高めることができる。空気中で加熱する場合は、450℃以上では分解が起こってしまうので、450℃以下での加熱が望ましい。なお、真空中や窒素雰囲気など、酸素の存在しない環境では昇華が始まる600℃より低い温度での処理が望ましい。
【0022】
本発明により得られる薄片状のフラーレン結晶はπ結合を有するため、薄片状のフラーレンの表面では新たな反応や物質の合成が期待できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
[実施例]
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
フラーレンC60(純度99%、サイエンスラボラトリーズ社製) 66mgをo−キシレン(第1溶媒)20mlに溶解し、2mlを分取した。フラーレンの濃度は3.3mg/mlであり、溶解度(25℃飽和濃度)は約8.7mg/mlである。これをガラス製の円筒形容器(直径1.9cm、高さ3.2cm)に入れた。この溶液と混合しないようにガラス容器の側面壁に沿ってゆっくりとi−プロピルアルコール(第2溶媒)4mlを加えた。容器の中には約6mmの高さの前記溶液の下層と、その溶液の層の上に約10mmの高さの第2溶媒の上層とに分離しており、前記下層と上層との境界に直径1.9cmの円形の液−液界面が形成されていた。その後、容器に蓋をかぶせて、10℃で48時間静置した。その結果、ガラス容器内面の底から出発して内側に延びて析出した平均厚み約0.4μm、平均最大寸法約2mmの薄片状の多数のフラーレンの結晶(合計約4.6mg)が得られた。
【0024】
[実施例2〜11]
実施例1において使用したo−キシレン(第1溶媒)およびi−プロピルアルコール(第2溶媒)に代えて表1に示す物質[第1溶媒;1,2,4−トリメチルベンゼン(1,2,4−TMB)、o−ジクロロベンゼン(o−DCB)、p−キシレン、2−クロロトルエン、第2溶媒;i−ペンチルアルコール(i−PeA)、n−ペンチルアルコール(n−PeA)、i−ブチルアルコール(i−BuA)、エチルアルコール(EtA)]およびフラーレン濃度を使用した以外は実施例1と同様にして薄片状のフラーレンの結晶が得られた。なお、実施例10においては、第2溶媒としてi−プロピルアルコール50体積%およびi−ブチルアルコール50体積%からなる混合溶媒を使用した。
【0025】
[実施例12]
実施例1において使用したフラーレンC60およびn−プロピルアルコール(第2溶媒)4mlに代えてフラーレンC70(純度99%、サイエンスラボラトリーズ社製)およびn−プロピルアルコール(n−PrA)を表1に示す通り使用した以外は実施例1と同様にして表1に示す薄片状のフラーレンの単結晶が得られた。なおn−プロピルアルコールに対するC70の溶解度(飽和濃度)は20℃における値である。
【0026】
【表1】
Figure 2004262738
1,2,4−TMB:1,2,4−トリメチルベンゼン
o−DCB:o−ジクロロベンゼン
i−PrA:i−プロピルアルコール
i−PeA:i−ペンチルアルコール
n−PeA:n−ペンチルアルコール
i−BuA:i−ブチルアルコール
2−BuA:2−ブチルアルコール
EtA:エチルアルコール
【0027】
[比較例1]
実施例1において使用したo−キシレン(第1溶媒)2mlおよびi−プロピルアルコール(第2溶媒)4mlに代えてトルエン2mlおよびi−プロピルアルコール4mlおよびフラーレン濃度2.8mg/ml(飽和濃度約2.8mg/ml)を使用した以外は実施例1と同様に処理したところ、ガラス容器内の液−液界面から出発して延びて析出した平均直径約1μm、平均長さ約0.5mmの多数の針状の単結晶(合計約4mg)が得られた。しかし薄片状のフラーレンの結晶は得られなかった。
【0028】
[比較例2]
実施例1において使用したo−キシレン(第1溶媒)2mlおよびi−プロピルアルコール(第2溶媒)4mlに代えてベンゼン2mlおよびi−プロピルアルコール4mlおよびフラーレン濃度1.4mg/ml(飽和濃度約1.6mg/ml)を使用した以外は実施例1と同様に処理したところ、ガラス容器内の液−液界面から出発して延びて析出した平均直径約100μmの多数の粒子状の結晶(合計約2mg)が得られた。しかし薄片状のフラーレンの結晶は得られなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、真空蒸着装置のような装置を必要とせずに低コストで薄片状のフラーレン結晶が得られる。フラーレンの薄片状結晶の平坦な結晶面を用いた各種応用面での進展が促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で得られる薄片状のフラーレンの結晶を正面からみた電子顕微鏡写真
【図2】本発明で得られる薄片状のフラーレンの結晶を斜め正面からみた電子顕微鏡写真

Claims (9)

  1. ベンゼン環のオルト位置または1,2,4の位置に置換基を有するベンゼン化合物を含有する第1の溶媒にフラーレンを溶解してなる溶液、フラーレンに対して貧溶媒である第2の溶媒および固体の壁を、前記溶液と前記第2溶媒とが液−液界面を形成するようにそして前記固体壁と前記溶液とが固−液界面を形成するように接触させ、ついで前記溶液、前記第2溶媒および前記固体壁をその状態で所定時間維持し、それにより前記溶液に接触する前記壁の表面から壁面を横切る面に沿って成長するようにフラーレンを析出させる薄片状炭素結晶の製造方法。
  2. 前記ベンゼン化合物がo−キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、o−ジクロロベンゼンおよび2−クロロトルエンよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の薄片状炭素結晶の製造方法。
  3. 前記第1溶媒が前記ベンゼン化合物を少なくとも50質量%含有する請求項1または2記載の薄片状炭素結晶の製造方法。
  4. 前記第2溶媒がi−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコールおよびi−ペンチルアルコールの中から選ばれた少なくとも1種を50質量%以上含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の薄片状炭素結晶の製造方法。
  5. 前記溶液はフラーレンを3mg/ml以上でかつ第1溶媒に対する溶解度の30%以上の濃度で含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の薄片状炭素結晶の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法で得られた薄片状炭素結晶を加圧、加熱またはレーザ照射する薄片状炭素結晶の製造方法。
  7. 前記溶液に溶解するフラーレンはフラーレン分子、フラーレン分子の内部に異元素を内包したもの、またはフラーレン分子の間に異元素を配置したものである請求項1〜6のいずれか1項記載の薄片状炭素結晶の製造方法。
  8. 前記フラーレン分子はC60またはC70である請求項7記載の薄片状炭素結晶の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法で得られた薄片状炭素結晶であって、100nm〜10μmの平均厚みを有する薄片状炭素結晶。
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