JP2004262408A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】一方の流量の変動が他方に及ぼさない流量調節を行なう温度調節手段を配設させることで、空調空気にハンチングが発生することがない車両用空調装置を実現する。
【解決手段】空気を冷却する蒸発器13a、13b、13cと、エンジン冷却水を熱源として蒸発器13a、13b、13cにより冷却された空気を加熱するリヒートコア16a、16bと、このリヒートコア16a、16bの空気加熱量を調節する温度調節手段47a、47bとを備えて、第1空間および第2空間に向けて独立して温度調節された空調空気を導く車両用空調装置において、温度調節手段47a、47bは、リヒートコア16a、16bに流通する流量とリヒートコア16a、16bを迂回する流量との流量配分を調節する流量調節手段47a、47bである。これにより、空調空気ハンチングが発生することがない。
【選択図】 図4
【解決手段】空気を冷却する蒸発器13a、13b、13cと、エンジン冷却水を熱源として蒸発器13a、13b、13cにより冷却された空気を加熱するリヒートコア16a、16bと、このリヒートコア16a、16bの空気加熱量を調節する温度調節手段47a、47bとを備えて、第1空間および第2空間に向けて独立して温度調節された空調空気を導く車両用空調装置において、温度調節手段47a、47bは、リヒートコア16a、16bに流通する流量とリヒートコア16a、16bを迂回する流量との流量配分を調節する流量調節手段47a、47bである。これにより、空調空気ハンチングが発生することがない。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2階建てバス車両に搭載される車両用空調装置に関するものであり、特に、冷房用熱交換器の空気下流側に設けられる加熱手段の空気加熱量の調節に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用空調装置として、例えば、図6に示すように、車両の第1空間(例えば、バス車両の1階)および第2空間(例えば、バス車両の2階)に開口する吹出口に向けて独立して送風空気を導く第1空気通路110と第2空気通路120とを有する空調ケース100と、第1空気通路110と第2空気通路120とに配設され、冷媒の蒸発熱により空気を冷却する冷房用熱交換器130と、この冷房用熱交換器130の空気下流側に設置され、エンジン冷却水を熱源として冷房用熱交換器130により冷却された空気を加熱する加熱手段140と、この加熱手段140による空気加熱量を調節する温水弁150とを備えているものが知られている。
【0003】
また、上記冷房用熱交換器130は、冷凍サイクル160を構成する冷媒機能部品の一つであって、この冷房用熱交換器130の他に、圧縮機170、凝縮器180、受液器190、膨張弁200などで冷凍サイクル160を構成している。そして、この温水弁150は、加熱手段140にエンジン冷却水を流通させるか、または流通を停止させるかのいずれか一方の開閉制御をして、加熱手段140による空気加熱量を調節することで空調空気の吹出温度を制御するものであって、車両の液冷式内燃機関である水冷式エンジン210のエンジン冷却水を流通する温水回路220、230に配設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の温水弁150によれば、一方の温水回路220、230側の温水弁150の開閉制御が行なわれると、他方の温水回路220、230側の流量が変動してしまう問題がある。しかも、このように電磁弁を用いて加熱量の調節を開閉制御する方式では、加熱手段140の下流側に吹出される空調空気の吹出温度および湿度などの上限と下限とが大きく上下するハンチングが生じやすい。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みたものであって、一方の流量の変動が他方に及ぼさない流量調節を行なう温度調節手段を配設させることで、空調空気にハンチングが発生することがない車両用空調装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記、目的を達成するために、請求項1ないし請求項3に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車両の第1空間および第2空間に開口する吹出口に向けて独立して送風空気を導く第1空気通路(11a)と第2空気通路(11b)とを有する空調ケース(10)と、冷凍サイクルからなり、第1空気通路(11a)と第2空気通路(11b)とに配設され、冷媒の蒸発潜熱により空気を冷却する冷房用熱交換器(13a、13b、13c)と、この冷房用熱交換器(13a、13b、13c)の空気下流側に設置され、エンジン冷却水を熱源として冷房用熱交換器(13a、13b、13c)により冷却された空気を加熱する加熱手段(16a、16b、16c)と、この加熱手段(16a、16b、16c)にエンジン冷却水を流通する温水回路(45)と、この温水回路(45)に配設され、加熱手段(16a、16b、16c)の空気加熱量を調節する温度調節手段(47a、47b、47c)とを備えて、第1空間および第2空間に向けて独立して温度調節された空調空気を導く車両用空調装置において、
温度調節手段(47a、47b、47c)は、加熱手段(16a、16b、16c)に流通する流量と加熱手段(16a、16b、16c)を迂回する流量との流量配分を調節する流量調節手段(47a、47b、47c)であることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、加熱手段(16a、16b、16c)に流通する流量と加熱手段(16a、16b、16c)を迂回する流量との流量配分を調節する流量調節手段(47a、47b、47c)であることにより、複数の加熱手段(16a、16b、16c)を有している場合において、加熱手段(16a、16b、16c)に流通する流量に変動があっても一方の温水回路(45)に流通する流量が一定となるため、他方の温水回路(45)側の流量が変動することはない。しかも、空気加熱量の調節、つまり、温度制御が従来の開閉制御よりもきめ細かくできる。従って、加熱手段(16a、16b、16c)の下流側に吹き出される空調空気の吹出温度および湿度の上限と下限とが大きく上下するハンチングの防止が可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、第2空気通路(11b)には、冷房用熱交換器(13b、13c)が2個配設され、かつ加熱手段(16b)および流量調節手段(47b)が少なくとも一つ以上複数個配設されたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、冷房用熱交換器(13b、13c)が2個配設されていても、加熱手段(16b)および流量調節手段(47b)を少なくとも一つ以上複数個配設させたことにより、例えば、一つであれば、温水回路(45)を含めて空気加熱量の調節のための構成部品が簡素に構成できる。また、冷房用熱交換器(13b、13c)に応じた個数とすることで、冷房用熱交換器(13b、13c)により冷却された空気に応じて空気加熱量の調節が精度よく容易にできる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、第1空間は2階建てバス車両における1階の車室であり、第2空間は2階建てバス車両における2階の車室であることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、2階建てのバス車両における各階を独立して除湿制御の可能な温度制御がきめ細かくできる。
【0012】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を2階建てバス車両用空調装置に適用した一実施形態を図1ないし図4に基づいて説明する。まず、図1はバス車両の全体の概要を示すもので、1はバス車両の最後部のバルクヘッド部に配設された空調ユニットで、2はこの空調ユニット1で空調された空調空気をバス車両の第2空間である2階の車室内天井部に導く2階用吹出ダクトであり、2階の車室内天井部の左右両側に配設され、バス車両前後方向に長く延びている。
【0014】
3は空調ユニット1により空調された空調空気をバス車両の第1空間である1階の車室内天井部に導く1階用吹出ダクトであり、1階の車室内天井部の中央部に配設され、バス車両前後方向に長く延びている。上記2階用および1階用吹出ダクト2、3には、それぞれ図示しない多数の吹出口が設けられており、各吹出口から各座席に向け空調空気が吹き出される。
【0015】
4は後述する凝縮器冷却用外気を取り入れる外気取り入れ口で、バス車両の側面から外気を取り入れるようになっている。5は凝縮器冷却後の空気(温風)を排出する凝縮器空気排出口で、バス車両後面から空気を排出するようになっている。6は凝縮器用送風機で、多数個の並列配置された軸流ファンが用いられている。なお、凝縮器空気排出口5は図1に明示されていないが、バス車両後面の幅方向の略全長にわたって、多数個の凝縮器用送風機6に対向して形成されている。
【0016】
また、7は後述する液冷式内燃機関である水冷式エンジンであり、8a、8bは後述するヒータユニット31、32により温められた温風をバス車両の第1空間である1階の車室内床部に導く1階用温風ダクトと、バス車両の第2空間である2階の車室内床部に導く2階用温風ダクトである。1階用温風ダクト8aおよび2階用温風ダクト8bは、1、2階の車室内床部の左右両側に配設され、バス車両前後方向に長く延びている。9は運転席に設けられた空調操作盤であり、図示しないが1階用エアコンスイッチ、2階用エアコンスイッチなどの操作スイッチが設けられている。
【0017】
次に、図2は、空調ユニット1部分を示しており、10は空調ユニット1の外郭および空気通路を形成する空調ケースであり、図1および図2に示すように、車両幅方向に長い横長の略直方体状に形成されている。この空調ケース10は鉄板等の金属板で構成され、上下方向に2つの部分に断熱して区画されており、上部の区画にて冷却ユニット11を形成し、そして下部の区画にて凝縮ユニット12を形成している。
【0018】
さらに、上部の冷却ユニット11は、水平方向に延びる隔壁部材17により第1空気通路である下方側流路11aと第2空気通路である上方側流路11bとに分割されている。そして、この下方側流路11aは1階用吹出ダクト3に連通するようになっており、上方側流路11bは2階用吹出ダクト2に連通するようになっている。また、下方側流路11aおよび上方側流路11bの空気流上流側、つまり車両前方側には、車両幅方向に長く延びた横長の冷房用熱交換器である複数個(本実施形態では、3個)の蒸発器13a、13b、13cが配置されている。
【0019】
この蒸発器13a13b、13cは、詳しくは後述する圧縮機19a、19b、19cにより冷媒が循環する冷凍サイクルに設けられ、冷媒の蒸発潜熱により送風空気を冷却するものである。そして、冷却ユニット11の車室側端面の左右両側には、図3に示すように、縦長の第1内気吸入口14、14が設けられている。
【0020】
また、1階用吹出ダクト3は、図3に示すように、縦長の第1内気吸入口14、14に挟まれた、冷却ユニット11の幅方向中央位置に配置されており、この1階用吹出ダクト3の上側に第2内気吸入口15が設けられている。従って、これらの第1、第2内気吸入口14、14、15から車室内空気(内気)が冷却ユニット11内に吸入され、蒸発器13a、13b、13cに流入するようになっている。
【0021】
そして、蒸発器13a、13b、13cの空気流下流側には、車両幅方向に長く延びた横長の加熱手段である複数個(本実施形態では、2個)のリヒートコア16a、16bが配置されている。このリヒートコア16a、16bは、詳しくは後述するが車両走行用水冷式エンジン7のエンジン冷却水を熱源として蒸発器13a、13b、13cにより冷却された空気を加熱するものである。
【0022】
また、上方側流路11b内には、所定間隔を介してリヒートコア16bと対向するように上下方向に延びるとともに、幅方向に横断して対向壁板18が配置されている。この対向壁板18は鉄板等の金属板で構成されている。そして、上方側流路11bにおいて対向壁板18より空気下流側に空気チャンバー20が区画形成されている。
【0023】
また、上方側流路11bに位置する対向壁板18には、多数個、本実施形態では、6個の送風手段である第1送風機22が設置されている。つまり、対向壁板18には第1送風機22の設置個数と同数の空気開口23が設けられており、この空気開口23にそれぞれ各第1送風機22のケーシング22aの吸入口22bが連通するようにして、各第1送風機22のケーシング22aが対向壁板18aにネジ止め等の手段により固定されている。
【0024】
ここで、各第1送風機22は上方側の空気チャンバー20内に収納されるように配置されている。各第1送風機22は、遠心式多翼ファン(シロッコファン)がスクロール状のケーシング22a内に収納されてモータ22cにより駆動する構成となっている。そして、空気チャンバー20の天井部の左右両側には、吹出空気口24、24が設けられ、この吹出空気口24、24に上述した2階用吹出ダクト2、2の入口部が接続されている。
【0025】
一方、隔壁部材17により分割された下方側流路11a内には、車両幅方向に直線状に延びるように多数個、本実施形態では5個の送風手段である第2送風機25が設置されている。この第2送風機25は、図2に示すように、遠心式多翼ファン(シロッコファン)がスクロール状のケーシング25a内に収納されて、駆動モータ25bにより駆動する構成となっており、各第2送風機25のケーシング25aが隔壁部材17にネジ止め等の手段により固定されている。
【0026】
そして、各第2送風機25の吹出部25cが接続ダクト27に接続されている。この接続ダクト27は、一端が複数の吹出口25cに接続され、蒸発器13aの下方側を通って、空調ケース10の車両前方側に向かって設置されており、他端が吹出空気口28に連通するように形成されている。この接続ダクト27は、ポリプロピレンなどの樹脂材を用いて真空成形加工またはブロー成形加工などの加工により、通風通路内の形状が流線状に形成され、複数の入口部から送り込まれた空気をスムーズに受け入れ吹出空気口28に導くまで円滑に送風されるようになっている。
【0027】
また、吹出空気口28は、図3に示すように、空調ケース10の車両前方側端面において車両幅方向の中央部に位置するように設けられており、この吹出空気口28には、上述した1階用吹出ダクト3の入口部が接続される。
【0028】
なお、図2において、29a、29b、29cは凝縮器で、後述する圧縮機19a、19b、19cから吐出された冷媒ガスを第3送風機6により送風される外気と熱交換して冷却し、凝縮させるものである。6aは第3送風機6の駆動用モータである。また、図3において、30は1階の車室内最後部の座席であり、31はバス車両最後部のバルクヘッド部を示す。
【0029】
次に、本発明の要部となる蒸発器13a、13b、13cの空気下流側に設置されるリヒートコア16a、16bの空気加熱量を調節する温度調節手段について図4に基づいて説明する。図4は空調ユニット1に配置される蒸発器13a、13b、13cおよびリヒートコア16a、16bに接続される冷凍サイクルと温水回路との接続形態を示す構成図である。
【0030】
本実施形態の車両用空調装置は、図4に示すように、冷房負荷の大きい第2空間である2階の車室内に空調空気を吹き出すための2系統の冷凍サイクルC2、C3と、第1空間である1階の車室内に空調空気を吹き出すための1系統の冷凍サイクルC1とを備えるもので、第1空間と第2空間が独立して温度調整するように構成されている。
【0031】
それぞれの冷凍サイクルC1、C2、C3は、周知のように冷媒を圧縮する圧縮機19a、19b、19cと、圧縮された高圧冷媒を凝縮する凝縮器29a、29b、29cと受液器33a、33b、33cと、膨張弁34a、34b、34cと蒸発器13a、13b、13cとが順に環状に冷媒配管35a、35b、35cで接続されている。
【0032】
なお、これらの冷凍サイクル部品の中で、圧縮機19a、19b、19cは、図1に示すように、空調ユニット1外部の水冷式エンジン7の近傍に配設して水冷式エンジン7により駆動するようにしている。また、上方側流路11bに配置される二つの蒸発器13b、13cは、車両幅方向の左右に配置し、凝縮ユニット12内に配置される三つの凝縮器29a、29b、29cは車両幅方向に並べて配置している。
【0033】
一方、リヒートコア16a、16bにエンジン冷却水を流通させる温水回路は、図4に示すように、水冷式エンジン7の暖房水回路40より供給するように構成している。この暖房水回路40には、車両の前面窓ガラスの内面に向けて温風を吹き出すデフロスタユニット41、1階用温風ダクト8aに向けて温風を導く1階用ヒータユニット42、および2階用温風ダクト8bに向けて温風を導く2階用ヒータユニット43が接続されて水冷式エンジン7を熱源とする暖房回路であって、暖房時に車室内の空気を加熱して車室内の床部より温風を吹き出すようになっている。
【0034】
従って、リヒートコア16a、16bにエンジン冷却水を導く温水回路45は、一端が暖房水回路40の上流側から取り出し、他端が下流側に戻すように構成するとともに、温水回路45の中途において、それぞれのリヒートコア16a、16bに並列の温水回路45a、45bを構成したものである。そして、それぞれのリヒートコア16a、16bの上流側にリヒートコア16a、16bを迂回するバイパス回路46a、46bを設けるとともに、このバイパス回路46a、46bの分岐部に温度調節手段である流量調節手段47a、47bを設けている。
【0035】
この流量調節手段47a、47bは、リヒートコア16a、16bに流通するエンジン冷却水の流量を調節するものであって、リヒートコア16a、16bに流通する流量と、リヒートコア16a、16bを迂回する流量との流量配分を調節するようになっている。これにより、蒸発器13a、13b、13cにより冷却された空気の加熱量を調節して1階用吹出ダクト3および2階用吹出ダクト2に導く空調空気の吹出温度を制御するものである。
【0036】
そして、リヒートコア16a、16bの下流側には、リヒートコア16a、16bを通過した吹出空気の温度を検出する吹出温度センサ48a、48bが設けられ、吹出温度センサ48a、48bにより検出された吹出温度に基づいて図示しない電子制御装置によって流量調節手段47a、47bが制御されるようになっている。なお、49は、循環ポンプであり、暖房水回路40のエンジン冷却水をリヒートコア16a、16bに流通させるポンプである。また、温水回路45a、45bは、流量調節手段47a、47bが互いに全開のときに、リヒートコア16a、16b両者に流れる流量比が、例えば、1:1となるように通水系の圧力損失が略同等となるように予め設定されている。これにより、循環ポンプ49を流れるエンジン冷却水の循環流量が温水回路45a側に略50%、温水回路45b側に略50%が流れる。
【0037】
以上の構成による車両用空調装置の作動を説明する。空調操作盤9の図示しない操作スイッチを作動させることで、例えば、1階用のエアコンスイッチと2階用のエアコンスイッチを作動させると圧縮機19a、19b、19cが車両走行用エンジン7により駆動される。そして、圧縮機19a、19b、19cが作動すると、冷凍サイクルC1、C2、C3の蒸発器13a、13b、13cおよび凝縮器29a、29b、29cに冷媒が循環し、蒸発器13a、13b、13cで冷媒の蒸発が行われ、凝縮器29a、29b、29cで冷媒の凝縮が行なわれる。
【0038】
また、各送風機22、25、6の駆動用モータ22c、25b、6aに通電することより、各送風機22、25、6が作動する。そして、第1、第2送風機22、25の作動により車室内空気が第1、第2内気吸入口14、15から空調ケース10内に吸入され、蒸発器13b、13cを通過し、ここで冷却され、冷風となる。
【0039】
一方、温水回路45では、循環ポンプ49が作動されるとともに、吹出温度センサ48a、48bにより検出された吹出温度に基づいて流量調節手段47a、47bの開度が制御される。例えば、検出された吹出温度が設定温度よりも高いときは、リヒートコア16a、16bに流通する流量を遮断させ、バイパス回路46、a46b側に全量が流れる開度に調節され、検出された吹出温度が設定温度よりも低いときは、リヒートコア16a、16b側に流通する流量をバイパス回路46a、46b側よりも多くするような開度に調節される。これにより、リヒートコア16a、16bを通過した空気の温度調節が行なわれる。
【0040】
そして、この温度調節された空調空気は、第1送風機22および第2送風機25において昇圧されて1階用吹出ダクト3および2階用吹出ダクト2に導かれる。これにより、第1空間である1階の車室内、および第2空間である2階の車室内が温度調節されるとともに、除湿も行なわれ快適な空調ができる。
【0041】
なお、上記、作動は、図示しない1階用エアコンスイッチおよび1階用エアコンスイッチを両者とも同時に作動させたが、それぞれ単独に作動させても良い。また、本実施形態では、蒸発器13a、13b、13cを構成する冷凍サイクルC1、C2、C3を3系統としたが、これに限らず、少なくとも2系統から構成させても良い。
【0042】
以上の一実施形態の車両用空調装置によれば、リヒートコア16a、16bに流通する流量とリヒートコア16a、16bを迂回する流量との流量配分を調節する流量調節手段47a、47bであることにより、複数のリヒートコア16a、16bを有している場合において、リヒートコア16a、16bに流通する流量に変動があっても一方の温水回路45に流通する流量が一定となるため、他方の温水回路45側の流量が変動することはない。しかも、空気加熱量の調節、つまり、温度制御が従来の開閉制御よりもきめ細かくできる。従って、リヒートコア16a、16bの下流側に吹き出される空調空気の吹出温度および湿度の上限と下限とが大きく上下するハンチングの防止が可能となる。
【0043】
また、上方側流路11bに配置される蒸発器13b、13cの空気下流側に一つのリヒートコア16bおよび流量調節手段47bを配置することにより、温水回路45を含めて空気加熱量の調節のための構成部品が簡素に構成できる。
【0044】
また、蒸発器13a、13b、13cを構成する冷凍サイクルC1、C2、C3を3系統もしくは2系統とすることにより、2階建てのバス車両における各階を独立して除湿制御の可能な温度制御がきめ細かくできる。
【0045】
(他の実施形態)
以上の一実施形態では、上方側流路11bに配置される蒸発器13b、13cの空気下流側に、一つのリヒートコア16bおよび流量調節手段47bを配置させたが、これに限らず、リヒートコア16bおよび流量調節手段47bの個数を蒸発器13b、13cと同じ個数でも良い。
【0046】
具体的には、図4に示すように、一方の蒸発器13bの空気下流側にリヒートコア16bを、他方の蒸発器13cの空気下流側にリヒートコア16cを配置し、それぞれのリヒートコア16b、16cに温水回路45b、45cおよび流量調節手段47b、47cをそれぞれ設けたものである。なお、図中に示す符号は、一実施形態と同じ構成のものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
これによれば、温水回路45がリヒートコア16a、16b、16cと同等の3系統となるが、一つの系統での流量変動が他の系統に及ぼすことがない。従って、温水系統が一実施形態より増加しても空調空気の吹出温度および湿度の上限と下限とが大きく上下するハンチングの防止が可能となる。
【0048】
また、以上の実施形態では、本発明をバス車両空調装置に適用した場合について述べたが、本発明はこれに限定されることなく、空調ユニット一般に広く適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両用空調装置の設置形態を示すバス車両全体の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態における空調ユニット1の全体構成を示す縦断面図である。
【図3】図2の空調ユニット1の設置形態を示すバス車両後部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態における空調ユニット1に接続される冷凍サイクルと温水回路との接続形態を示す構成図である。
【図5】他の実施形態における空調ユニット1に接続される冷凍サイクルと温水回路との接続形態を示す構成図である。
【図6】従来技術における空調ユニット1に接続される冷凍サイクルと温水回路との接続形態を示す構成図である。
【符号の説明】
10…空調ケース
11a…下方側流路(第1空気通路)
11b…上方側流路(第2空気通路)
13a、13b、13c…蒸発器(冷房用熱交換器)
16a、16b、16c…リヒートコア(加熱手段)
45…温水回路
47a、47b、47c…流量調整手段(温度調節手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、2階建てバス車両に搭載される車両用空調装置に関するものであり、特に、冷房用熱交換器の空気下流側に設けられる加熱手段の空気加熱量の調節に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用空調装置として、例えば、図6に示すように、車両の第1空間(例えば、バス車両の1階)および第2空間(例えば、バス車両の2階)に開口する吹出口に向けて独立して送風空気を導く第1空気通路110と第2空気通路120とを有する空調ケース100と、第1空気通路110と第2空気通路120とに配設され、冷媒の蒸発熱により空気を冷却する冷房用熱交換器130と、この冷房用熱交換器130の空気下流側に設置され、エンジン冷却水を熱源として冷房用熱交換器130により冷却された空気を加熱する加熱手段140と、この加熱手段140による空気加熱量を調節する温水弁150とを備えているものが知られている。
【0003】
また、上記冷房用熱交換器130は、冷凍サイクル160を構成する冷媒機能部品の一つであって、この冷房用熱交換器130の他に、圧縮機170、凝縮器180、受液器190、膨張弁200などで冷凍サイクル160を構成している。そして、この温水弁150は、加熱手段140にエンジン冷却水を流通させるか、または流通を停止させるかのいずれか一方の開閉制御をして、加熱手段140による空気加熱量を調節することで空調空気の吹出温度を制御するものであって、車両の液冷式内燃機関である水冷式エンジン210のエンジン冷却水を流通する温水回路220、230に配設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の温水弁150によれば、一方の温水回路220、230側の温水弁150の開閉制御が行なわれると、他方の温水回路220、230側の流量が変動してしまう問題がある。しかも、このように電磁弁を用いて加熱量の調節を開閉制御する方式では、加熱手段140の下流側に吹出される空調空気の吹出温度および湿度などの上限と下限とが大きく上下するハンチングが生じやすい。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みたものであって、一方の流量の変動が他方に及ぼさない流量調節を行なう温度調節手段を配設させることで、空調空気にハンチングが発生することがない車両用空調装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記、目的を達成するために、請求項1ないし請求項3に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、車両の第1空間および第2空間に開口する吹出口に向けて独立して送風空気を導く第1空気通路(11a)と第2空気通路(11b)とを有する空調ケース(10)と、冷凍サイクルからなり、第1空気通路(11a)と第2空気通路(11b)とに配設され、冷媒の蒸発潜熱により空気を冷却する冷房用熱交換器(13a、13b、13c)と、この冷房用熱交換器(13a、13b、13c)の空気下流側に設置され、エンジン冷却水を熱源として冷房用熱交換器(13a、13b、13c)により冷却された空気を加熱する加熱手段(16a、16b、16c)と、この加熱手段(16a、16b、16c)にエンジン冷却水を流通する温水回路(45)と、この温水回路(45)に配設され、加熱手段(16a、16b、16c)の空気加熱量を調節する温度調節手段(47a、47b、47c)とを備えて、第1空間および第2空間に向けて独立して温度調節された空調空気を導く車両用空調装置において、
温度調節手段(47a、47b、47c)は、加熱手段(16a、16b、16c)に流通する流量と加熱手段(16a、16b、16c)を迂回する流量との流量配分を調節する流量調節手段(47a、47b、47c)であることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、加熱手段(16a、16b、16c)に流通する流量と加熱手段(16a、16b、16c)を迂回する流量との流量配分を調節する流量調節手段(47a、47b、47c)であることにより、複数の加熱手段(16a、16b、16c)を有している場合において、加熱手段(16a、16b、16c)に流通する流量に変動があっても一方の温水回路(45)に流通する流量が一定となるため、他方の温水回路(45)側の流量が変動することはない。しかも、空気加熱量の調節、つまり、温度制御が従来の開閉制御よりもきめ細かくできる。従って、加熱手段(16a、16b、16c)の下流側に吹き出される空調空気の吹出温度および湿度の上限と下限とが大きく上下するハンチングの防止が可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、第2空気通路(11b)には、冷房用熱交換器(13b、13c)が2個配設され、かつ加熱手段(16b)および流量調節手段(47b)が少なくとも一つ以上複数個配設されたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、冷房用熱交換器(13b、13c)が2個配設されていても、加熱手段(16b)および流量調節手段(47b)を少なくとも一つ以上複数個配設させたことにより、例えば、一つであれば、温水回路(45)を含めて空気加熱量の調節のための構成部品が簡素に構成できる。また、冷房用熱交換器(13b、13c)に応じた個数とすることで、冷房用熱交換器(13b、13c)により冷却された空気に応じて空気加熱量の調節が精度よく容易にできる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、第1空間は2階建てバス車両における1階の車室であり、第2空間は2階建てバス車両における2階の車室であることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、2階建てのバス車両における各階を独立して除湿制御の可能な温度制御がきめ細かくできる。
【0012】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を2階建てバス車両用空調装置に適用した一実施形態を図1ないし図4に基づいて説明する。まず、図1はバス車両の全体の概要を示すもので、1はバス車両の最後部のバルクヘッド部に配設された空調ユニットで、2はこの空調ユニット1で空調された空調空気をバス車両の第2空間である2階の車室内天井部に導く2階用吹出ダクトであり、2階の車室内天井部の左右両側に配設され、バス車両前後方向に長く延びている。
【0014】
3は空調ユニット1により空調された空調空気をバス車両の第1空間である1階の車室内天井部に導く1階用吹出ダクトであり、1階の車室内天井部の中央部に配設され、バス車両前後方向に長く延びている。上記2階用および1階用吹出ダクト2、3には、それぞれ図示しない多数の吹出口が設けられており、各吹出口から各座席に向け空調空気が吹き出される。
【0015】
4は後述する凝縮器冷却用外気を取り入れる外気取り入れ口で、バス車両の側面から外気を取り入れるようになっている。5は凝縮器冷却後の空気(温風)を排出する凝縮器空気排出口で、バス車両後面から空気を排出するようになっている。6は凝縮器用送風機で、多数個の並列配置された軸流ファンが用いられている。なお、凝縮器空気排出口5は図1に明示されていないが、バス車両後面の幅方向の略全長にわたって、多数個の凝縮器用送風機6に対向して形成されている。
【0016】
また、7は後述する液冷式内燃機関である水冷式エンジンであり、8a、8bは後述するヒータユニット31、32により温められた温風をバス車両の第1空間である1階の車室内床部に導く1階用温風ダクトと、バス車両の第2空間である2階の車室内床部に導く2階用温風ダクトである。1階用温風ダクト8aおよび2階用温風ダクト8bは、1、2階の車室内床部の左右両側に配設され、バス車両前後方向に長く延びている。9は運転席に設けられた空調操作盤であり、図示しないが1階用エアコンスイッチ、2階用エアコンスイッチなどの操作スイッチが設けられている。
【0017】
次に、図2は、空調ユニット1部分を示しており、10は空調ユニット1の外郭および空気通路を形成する空調ケースであり、図1および図2に示すように、車両幅方向に長い横長の略直方体状に形成されている。この空調ケース10は鉄板等の金属板で構成され、上下方向に2つの部分に断熱して区画されており、上部の区画にて冷却ユニット11を形成し、そして下部の区画にて凝縮ユニット12を形成している。
【0018】
さらに、上部の冷却ユニット11は、水平方向に延びる隔壁部材17により第1空気通路である下方側流路11aと第2空気通路である上方側流路11bとに分割されている。そして、この下方側流路11aは1階用吹出ダクト3に連通するようになっており、上方側流路11bは2階用吹出ダクト2に連通するようになっている。また、下方側流路11aおよび上方側流路11bの空気流上流側、つまり車両前方側には、車両幅方向に長く延びた横長の冷房用熱交換器である複数個(本実施形態では、3個)の蒸発器13a、13b、13cが配置されている。
【0019】
この蒸発器13a13b、13cは、詳しくは後述する圧縮機19a、19b、19cにより冷媒が循環する冷凍サイクルに設けられ、冷媒の蒸発潜熱により送風空気を冷却するものである。そして、冷却ユニット11の車室側端面の左右両側には、図3に示すように、縦長の第1内気吸入口14、14が設けられている。
【0020】
また、1階用吹出ダクト3は、図3に示すように、縦長の第1内気吸入口14、14に挟まれた、冷却ユニット11の幅方向中央位置に配置されており、この1階用吹出ダクト3の上側に第2内気吸入口15が設けられている。従って、これらの第1、第2内気吸入口14、14、15から車室内空気(内気)が冷却ユニット11内に吸入され、蒸発器13a、13b、13cに流入するようになっている。
【0021】
そして、蒸発器13a、13b、13cの空気流下流側には、車両幅方向に長く延びた横長の加熱手段である複数個(本実施形態では、2個)のリヒートコア16a、16bが配置されている。このリヒートコア16a、16bは、詳しくは後述するが車両走行用水冷式エンジン7のエンジン冷却水を熱源として蒸発器13a、13b、13cにより冷却された空気を加熱するものである。
【0022】
また、上方側流路11b内には、所定間隔を介してリヒートコア16bと対向するように上下方向に延びるとともに、幅方向に横断して対向壁板18が配置されている。この対向壁板18は鉄板等の金属板で構成されている。そして、上方側流路11bにおいて対向壁板18より空気下流側に空気チャンバー20が区画形成されている。
【0023】
また、上方側流路11bに位置する対向壁板18には、多数個、本実施形態では、6個の送風手段である第1送風機22が設置されている。つまり、対向壁板18には第1送風機22の設置個数と同数の空気開口23が設けられており、この空気開口23にそれぞれ各第1送風機22のケーシング22aの吸入口22bが連通するようにして、各第1送風機22のケーシング22aが対向壁板18aにネジ止め等の手段により固定されている。
【0024】
ここで、各第1送風機22は上方側の空気チャンバー20内に収納されるように配置されている。各第1送風機22は、遠心式多翼ファン(シロッコファン)がスクロール状のケーシング22a内に収納されてモータ22cにより駆動する構成となっている。そして、空気チャンバー20の天井部の左右両側には、吹出空気口24、24が設けられ、この吹出空気口24、24に上述した2階用吹出ダクト2、2の入口部が接続されている。
【0025】
一方、隔壁部材17により分割された下方側流路11a内には、車両幅方向に直線状に延びるように多数個、本実施形態では5個の送風手段である第2送風機25が設置されている。この第2送風機25は、図2に示すように、遠心式多翼ファン(シロッコファン)がスクロール状のケーシング25a内に収納されて、駆動モータ25bにより駆動する構成となっており、各第2送風機25のケーシング25aが隔壁部材17にネジ止め等の手段により固定されている。
【0026】
そして、各第2送風機25の吹出部25cが接続ダクト27に接続されている。この接続ダクト27は、一端が複数の吹出口25cに接続され、蒸発器13aの下方側を通って、空調ケース10の車両前方側に向かって設置されており、他端が吹出空気口28に連通するように形成されている。この接続ダクト27は、ポリプロピレンなどの樹脂材を用いて真空成形加工またはブロー成形加工などの加工により、通風通路内の形状が流線状に形成され、複数の入口部から送り込まれた空気をスムーズに受け入れ吹出空気口28に導くまで円滑に送風されるようになっている。
【0027】
また、吹出空気口28は、図3に示すように、空調ケース10の車両前方側端面において車両幅方向の中央部に位置するように設けられており、この吹出空気口28には、上述した1階用吹出ダクト3の入口部が接続される。
【0028】
なお、図2において、29a、29b、29cは凝縮器で、後述する圧縮機19a、19b、19cから吐出された冷媒ガスを第3送風機6により送風される外気と熱交換して冷却し、凝縮させるものである。6aは第3送風機6の駆動用モータである。また、図3において、30は1階の車室内最後部の座席であり、31はバス車両最後部のバルクヘッド部を示す。
【0029】
次に、本発明の要部となる蒸発器13a、13b、13cの空気下流側に設置されるリヒートコア16a、16bの空気加熱量を調節する温度調節手段について図4に基づいて説明する。図4は空調ユニット1に配置される蒸発器13a、13b、13cおよびリヒートコア16a、16bに接続される冷凍サイクルと温水回路との接続形態を示す構成図である。
【0030】
本実施形態の車両用空調装置は、図4に示すように、冷房負荷の大きい第2空間である2階の車室内に空調空気を吹き出すための2系統の冷凍サイクルC2、C3と、第1空間である1階の車室内に空調空気を吹き出すための1系統の冷凍サイクルC1とを備えるもので、第1空間と第2空間が独立して温度調整するように構成されている。
【0031】
それぞれの冷凍サイクルC1、C2、C3は、周知のように冷媒を圧縮する圧縮機19a、19b、19cと、圧縮された高圧冷媒を凝縮する凝縮器29a、29b、29cと受液器33a、33b、33cと、膨張弁34a、34b、34cと蒸発器13a、13b、13cとが順に環状に冷媒配管35a、35b、35cで接続されている。
【0032】
なお、これらの冷凍サイクル部品の中で、圧縮機19a、19b、19cは、図1に示すように、空調ユニット1外部の水冷式エンジン7の近傍に配設して水冷式エンジン7により駆動するようにしている。また、上方側流路11bに配置される二つの蒸発器13b、13cは、車両幅方向の左右に配置し、凝縮ユニット12内に配置される三つの凝縮器29a、29b、29cは車両幅方向に並べて配置している。
【0033】
一方、リヒートコア16a、16bにエンジン冷却水を流通させる温水回路は、図4に示すように、水冷式エンジン7の暖房水回路40より供給するように構成している。この暖房水回路40には、車両の前面窓ガラスの内面に向けて温風を吹き出すデフロスタユニット41、1階用温風ダクト8aに向けて温風を導く1階用ヒータユニット42、および2階用温風ダクト8bに向けて温風を導く2階用ヒータユニット43が接続されて水冷式エンジン7を熱源とする暖房回路であって、暖房時に車室内の空気を加熱して車室内の床部より温風を吹き出すようになっている。
【0034】
従って、リヒートコア16a、16bにエンジン冷却水を導く温水回路45は、一端が暖房水回路40の上流側から取り出し、他端が下流側に戻すように構成するとともに、温水回路45の中途において、それぞれのリヒートコア16a、16bに並列の温水回路45a、45bを構成したものである。そして、それぞれのリヒートコア16a、16bの上流側にリヒートコア16a、16bを迂回するバイパス回路46a、46bを設けるとともに、このバイパス回路46a、46bの分岐部に温度調節手段である流量調節手段47a、47bを設けている。
【0035】
この流量調節手段47a、47bは、リヒートコア16a、16bに流通するエンジン冷却水の流量を調節するものであって、リヒートコア16a、16bに流通する流量と、リヒートコア16a、16bを迂回する流量との流量配分を調節するようになっている。これにより、蒸発器13a、13b、13cにより冷却された空気の加熱量を調節して1階用吹出ダクト3および2階用吹出ダクト2に導く空調空気の吹出温度を制御するものである。
【0036】
そして、リヒートコア16a、16bの下流側には、リヒートコア16a、16bを通過した吹出空気の温度を検出する吹出温度センサ48a、48bが設けられ、吹出温度センサ48a、48bにより検出された吹出温度に基づいて図示しない電子制御装置によって流量調節手段47a、47bが制御されるようになっている。なお、49は、循環ポンプであり、暖房水回路40のエンジン冷却水をリヒートコア16a、16bに流通させるポンプである。また、温水回路45a、45bは、流量調節手段47a、47bが互いに全開のときに、リヒートコア16a、16b両者に流れる流量比が、例えば、1:1となるように通水系の圧力損失が略同等となるように予め設定されている。これにより、循環ポンプ49を流れるエンジン冷却水の循環流量が温水回路45a側に略50%、温水回路45b側に略50%が流れる。
【0037】
以上の構成による車両用空調装置の作動を説明する。空調操作盤9の図示しない操作スイッチを作動させることで、例えば、1階用のエアコンスイッチと2階用のエアコンスイッチを作動させると圧縮機19a、19b、19cが車両走行用エンジン7により駆動される。そして、圧縮機19a、19b、19cが作動すると、冷凍サイクルC1、C2、C3の蒸発器13a、13b、13cおよび凝縮器29a、29b、29cに冷媒が循環し、蒸発器13a、13b、13cで冷媒の蒸発が行われ、凝縮器29a、29b、29cで冷媒の凝縮が行なわれる。
【0038】
また、各送風機22、25、6の駆動用モータ22c、25b、6aに通電することより、各送風機22、25、6が作動する。そして、第1、第2送風機22、25の作動により車室内空気が第1、第2内気吸入口14、15から空調ケース10内に吸入され、蒸発器13b、13cを通過し、ここで冷却され、冷風となる。
【0039】
一方、温水回路45では、循環ポンプ49が作動されるとともに、吹出温度センサ48a、48bにより検出された吹出温度に基づいて流量調節手段47a、47bの開度が制御される。例えば、検出された吹出温度が設定温度よりも高いときは、リヒートコア16a、16bに流通する流量を遮断させ、バイパス回路46、a46b側に全量が流れる開度に調節され、検出された吹出温度が設定温度よりも低いときは、リヒートコア16a、16b側に流通する流量をバイパス回路46a、46b側よりも多くするような開度に調節される。これにより、リヒートコア16a、16bを通過した空気の温度調節が行なわれる。
【0040】
そして、この温度調節された空調空気は、第1送風機22および第2送風機25において昇圧されて1階用吹出ダクト3および2階用吹出ダクト2に導かれる。これにより、第1空間である1階の車室内、および第2空間である2階の車室内が温度調節されるとともに、除湿も行なわれ快適な空調ができる。
【0041】
なお、上記、作動は、図示しない1階用エアコンスイッチおよび1階用エアコンスイッチを両者とも同時に作動させたが、それぞれ単独に作動させても良い。また、本実施形態では、蒸発器13a、13b、13cを構成する冷凍サイクルC1、C2、C3を3系統としたが、これに限らず、少なくとも2系統から構成させても良い。
【0042】
以上の一実施形態の車両用空調装置によれば、リヒートコア16a、16bに流通する流量とリヒートコア16a、16bを迂回する流量との流量配分を調節する流量調節手段47a、47bであることにより、複数のリヒートコア16a、16bを有している場合において、リヒートコア16a、16bに流通する流量に変動があっても一方の温水回路45に流通する流量が一定となるため、他方の温水回路45側の流量が変動することはない。しかも、空気加熱量の調節、つまり、温度制御が従来の開閉制御よりもきめ細かくできる。従って、リヒートコア16a、16bの下流側に吹き出される空調空気の吹出温度および湿度の上限と下限とが大きく上下するハンチングの防止が可能となる。
【0043】
また、上方側流路11bに配置される蒸発器13b、13cの空気下流側に一つのリヒートコア16bおよび流量調節手段47bを配置することにより、温水回路45を含めて空気加熱量の調節のための構成部品が簡素に構成できる。
【0044】
また、蒸発器13a、13b、13cを構成する冷凍サイクルC1、C2、C3を3系統もしくは2系統とすることにより、2階建てのバス車両における各階を独立して除湿制御の可能な温度制御がきめ細かくできる。
【0045】
(他の実施形態)
以上の一実施形態では、上方側流路11bに配置される蒸発器13b、13cの空気下流側に、一つのリヒートコア16bおよび流量調節手段47bを配置させたが、これに限らず、リヒートコア16bおよび流量調節手段47bの個数を蒸発器13b、13cと同じ個数でも良い。
【0046】
具体的には、図4に示すように、一方の蒸発器13bの空気下流側にリヒートコア16bを、他方の蒸発器13cの空気下流側にリヒートコア16cを配置し、それぞれのリヒートコア16b、16cに温水回路45b、45cおよび流量調節手段47b、47cをそれぞれ設けたものである。なお、図中に示す符号は、一実施形態と同じ構成のものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
これによれば、温水回路45がリヒートコア16a、16b、16cと同等の3系統となるが、一つの系統での流量変動が他の系統に及ぼすことがない。従って、温水系統が一実施形態より増加しても空調空気の吹出温度および湿度の上限と下限とが大きく上下するハンチングの防止が可能となる。
【0048】
また、以上の実施形態では、本発明をバス車両空調装置に適用した場合について述べたが、本発明はこれに限定されることなく、空調ユニット一般に広く適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両用空調装置の設置形態を示すバス車両全体の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態における空調ユニット1の全体構成を示す縦断面図である。
【図3】図2の空調ユニット1の設置形態を示すバス車両後部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態における空調ユニット1に接続される冷凍サイクルと温水回路との接続形態を示す構成図である。
【図5】他の実施形態における空調ユニット1に接続される冷凍サイクルと温水回路との接続形態を示す構成図である。
【図6】従来技術における空調ユニット1に接続される冷凍サイクルと温水回路との接続形態を示す構成図である。
【符号の説明】
10…空調ケース
11a…下方側流路(第1空気通路)
11b…上方側流路(第2空気通路)
13a、13b、13c…蒸発器(冷房用熱交換器)
16a、16b、16c…リヒートコア(加熱手段)
45…温水回路
47a、47b、47c…流量調整手段(温度調節手段)
Claims (3)
- 車両の第1空間および第2空間に開口する吹出口に向けて独立して送風空気を導く第1空気通路(11a)と第2空気通路(11b)とを有する空調ケース(10)と、
冷凍サイクルからなり、前記第1空気通路(11a)と前記第2空気通路(11b)とに配設され、冷媒の蒸発潜熱により空気を冷却する冷房用熱交換器(13a、13b、13c)と、
前記冷房用熱交換器(13a、13b、13c)の空気下流側に設置され、エンジン冷却水を熱源として前記冷房用熱交換器(13a、13b、13c)により冷却された空気を加熱する加熱手段(16a、16b、16c)と、
前記加熱手段(16a、16b、16c)に前記エンジン冷却水を流通する温水回路(45)と、
前記温水回路(45)に配設され、前記加熱手段(16a、16b、16c)の空気加熱量を調節する温度調節手段(47a、47b、47c)とを備えて、前記第1空間および前記第2空間に向けて独立して温度調節された空調空気を導く車両用空調装置において、
前記温度調節手段(47a、47b、47c)は、前記加熱手段(16a、16b、16c)に流通する流量と前記加熱手段(16a、16b、16c)を迂回する流量との流量配分を調節する流量調節手段(47a、47b、47c)であることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記第2空気通路(11b)には、前記冷房用熱交換器(13b、13c)が2個配設され、かつ前記加熱手段(16b)および前記流量調節手段(47b)が少なくとも一つ以上複数個配設されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記第1空間は2階建てバス車両における1階の車室であり、前記第2空間は2階建てバス車両における2階の車室であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
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