JP2004262361A - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することを可能にし、しかも生産性に優れた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】トレッド部1に少なくとも1つの孔部8を有し、該孔部8に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体9を詰め込む。帯電防止体9を構成する導電性ゴム組成物の電気抵抗は106 Ω・cm以下であると良い。
【選択図】 図1
【解決手段】トレッド部1に少なくとも1つの孔部8を有し、該孔部8に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体9を詰め込む。帯電防止体9を構成する導電性ゴム組成物の電気抵抗は106 Ω・cm以下であると良い。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッドゴムの補強充填剤としてシリカ等を使用する場合に好適な空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、タイヤの転動抵抗の低減やグリップ力の向上を目的として、トレッドゴムの補強充填剤としてカーボンブラックの替わりにシリカを添加することが提案されている。しかし、トレッドゴムに導電性のカーボンブラックに替えて非導電性のシリカを配合すると、トレッド部の電気抵抗が大きくなるため、車両に帯電した電荷をタイヤを通じて路面にリークすることができなくなってしまう。このようにして車両に帯電した電荷は、電子回路部品の機能やラジオの受信感度に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0003】
空気入りタイヤの電気抵抗を小さくするために、サイドトレッドやウイングチップと呼ばれるショルダー側のゴム部材を接地面まで延在させることが考えられるが、この場合、操縦安定性に悪影響を及ぼすことになる。また、押出装置を工夫することでアンダートレッド層の一部を帯電防止層としてキャップトレッド層の表面にまで露出させた場合、多角形摩耗等の偏摩耗を生じ易くなり、しかも生産設備のコストも増大することになる。
【0004】
そこで、トレッド部に導電性ゴム組成物からなる複数の帯電防止層を点状に配置することにより、耐偏摩耗性と帯電防止機能との両立を図ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ところが、帯電防止層をトレッド部の所望の位置に点在させることは極めて困難であり、そのような空気入りタイヤを効率良く生産することは困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−180111号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することを可能にし、しかも生産性に優れた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に少なくとも1つの孔部を有し、該孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込んだことを特徴とするものである。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、トレッド部に少なくとも1つの孔部を有する空気入りタイヤを用意し、前記孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込むようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
このようにトレッド部に形成された少なくとも1つの孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込んだことにより、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することができる。しかも、トレッド部に少なくとも1つの孔部を有する空気入りタイヤを用意し、その孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込むだけで良いので、帯電防止機能を有する空気入りタイヤを簡単に製造することができる。
【0010】
本発明において、導電性ゴム組成物としては電気抵抗が106 Ω・cm以下であるものを使用することが好ましい。これにより、帯電防止機能を十分に確保することができる。また、トレッド部の接地面積に占める帯電防止体の接地面積の割合は1%以下であることが好ましい。これにより、耐偏摩耗性を良好に維持することができる。
【0011】
トレッド部をアンダートレッド層とキャップトレッド層との積層構造とした場合、帯電防止体をキャップトレッド層からアンダートレッド層まで到達するように配置すると良い。つまり、シリカ等の補強充填剤を配合した低導電性ゴム組成物からキャップトレッド層を構成し、カーボンブラック等の補強充填剤を配合した導電性ゴム組成物からアンダートレッド層を構成した場合、導電性ゴム組成物からなる帯電防止体をアンダートレッド層まで到達させることで、その帯電防止機能をより確実に発揮することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線断面図であり、図2はその空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架され、そのカーカス層4のタイヤ幅方向両端部がそれぞれビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側にはベルト層6が配置され、更にベルト層6のエッジ部はベルトカバー層7によって覆われている。
【0014】
トレッド部1はベルト側に位置するアンダートレッド層1aとトレッド側に位置するキャップトレッド層1bとの積層構造になっている。アンダートレッド層1aは、カーボンブラック等の補強充填剤を配合した電気抵抗106 Ω・cm以下、好ましくは102 〜106 Ω・cmの導電性ゴム組成物から構成されている。キャップトレッド層1bは、シリカ等の補強充填剤を配合した電気抵抗107 Ω・cm以上、好ましくは107 〜1012Ω・cmの低導電性ゴム組成物から構成されている。シリカ等の補強充填剤を配合したキャップトレッド層1bはタイヤの転動抵抗の低減に寄与する。
【0015】
トレッド部1はセンター領域に少なくとも1つの孔部8を有し、該孔部8に電気抵抗106 Ω・cm以下、好ましくは102 〜106 Ω・cmの導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体9が詰め込まれている。この帯電防止体9は、タイヤ径方向に延長し、キャップトレッド層1bからアンダートレッド層1aまで到達するように配置されている。帯電防止体9は、図示のように円柱状であることが望ましいが、その端面形状が六角形等の多角形であっても良い。また、各帯電防止体9の接地面積は150mm2 以下であることが好ましい。
【0016】
一方、図2に示すように、トレッド部1にはタイヤ周方向に延びる複数本の主溝11とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝12などが設けられている。これら主溝11及び横溝12などによって、センター領域に位置するセンターリブ13と、該センターリブ13の両側に位置する細リブ14と、更に細リブ14の両側に位置する多数のブロック15とが区画されている。
【0017】
上述した空気入りタイヤは、以下のようにして製造することができる。先ず、トレッド部1に少なくとも1つの孔部8を有する空気入りタイヤを用意する。このような空気入りタイヤは、加硫金型の内面に孔部8を形成するための突起を設けることで得ることができる。他の方法として、孔部を持たない空気入りタイヤを加硫した後、トレッド部1に孔部8を開口しても良い。そして、孔部8を有する空気入りタイヤを用意した後、導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体9を詰め込むのである。
【0018】
このようにトレッド部1に設けた孔部8に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体9を詰め込んだことにより、車両に帯電した電荷を帯電防止体9を通じて路面にリークし、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することができる。しかも、予め決められた位置に形成された孔部8に対して帯電防止体9を容易に詰め込むことができるので、帯電防止機能を有する空気入りタイヤを簡単に製造することができる。
【0019】
上記空気入りタイヤにおいて、帯電防止体9を構成する導電性ゴム組成物の電気抵抗は106 Ω・cm以下であると良い。この導電性ゴム組成物の電気抵抗が106 Ω・cmを超えると帯電防止機能が不十分になる。導電性ゴム組成物の電気抵抗は、カーボンブラック等の導電性補強充填剤の配合量に基づいて容易に調整することができる。
【0020】
トレッド部1に配置する帯電防止体9の本数は、キャップトレッド層1bの電気抵抗値に応じて選択すれば良く、タイヤ周上に等間隔で3〜50本とすることが好ましい。トレッド部1の接地面積に占める帯電防止体9の接地面積の割合は、1%以下、より好ましくは0.1〜1%であると良い。この帯電防止体9の接地面積の割合が高過ぎると耐偏摩耗性が低下する恐れがある。但し、トレッド部の接地面積とは、JATMAイヤーブック(2002年度版)に規定される空気圧−負荷能力対応表において、最大負荷能力に対応する空気圧を充填し、その最大負荷能力の80%の荷重をかけたときの接地幅に含まれるトレッド全周の接地面積(溝部分を除く)である。
【0021】
また、キャップトレッド層1bを構成するゴム組成物のJIS−A硬さと、帯電防止体9を構成するゴム組成物のJIS−A硬さとは同等であることが好ましく、より具体的には、その差が10ポイント以下であることが好ましい。その際、両者のJIS−A硬さの範囲は45〜75にすると良い。これらキャップトレッド層1bと帯電防止体9の硬さを一致させることは耐偏摩耗性の向上に寄与する。
【0022】
【実施例】
タイヤサイズ185/65R15とし、トレッド部の構造だけを異ならせた従来例及び実施例の空気入りタイヤをそれぞれ製作した。
【0023】
〔従来例〕
図3に示すように、導電性ゴム組成物からなるアンダートレッド層と低導電性ゴム組成物からなるキャップトレッド層とを含むトレッドゴム部材の押出工程において、キャップトレッド層の中央部にその長手方向に沿って導電性ゴム組成物からなる帯電防止層(19)を同時に押出した。このトレッドゴム部材を用いて、図4に示すように、トレッド部にタイヤ周方向に連続してトレッド部と一体的に接合された帯電防止層を有する空気入りタイヤを得た。トレッド部の接地面積に占める帯電防止層の接地面積の割合は5%であった。
【0024】
〔実施例〕
図1及び図2に示すように、トレッド部の円周上10箇所に孔部を有する空気入りタイヤを用意し、その孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込んだ。トレッド部の接地面積に占める帯電防止体の接地面積の割合は1%であった。
【0025】
上述した導電性ゴム組成物及び低導電性ゴム組成物の配合を表1に示す。導電性ゴム組成物の電気抵抗は105 Ω・cmであり、低導電性ゴム組成物の電気抵抗は108 Ω・cmであった。
【0026】
【表1】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により電気伝導性と耐偏摩耗性を評価し、その結果を表2に示した。
【0027】
〔電気伝導性〕
試験タイヤを空気圧200kPaで標準リムに組付け、ドイツのWDK Blatt 3 で規定される「荷重下でのタイヤ電気抵抗の測定手順」に基づいて、試験タイヤの電気抵抗を測定した。つまり、鋼板上に試験タイヤを荷重450kgの条件で垂直に接地させ、リム中央部と鋼板との間の電気抵抗を印加電圧100Vの抵抗測定器を用いて測定した。測定時の気温は25℃であり、湿度は50%であった。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど電気伝導性が高く、帯電防止機能が優れていることを意味する。
【0028】
〔耐偏摩耗性〕
各試験タイヤをそれぞれ乗用車に装着し、空気圧200kPaとして舗装路上で20000km走行した後、トレッド部に発生した偏摩耗による段差量を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐偏摩耗性が優れていることを意味する。
【0029】
【表2】
この表2から判るように、実施例のタイヤは、耐偏摩耗性を改善しつつ良好な帯電防止機能を発揮することができた。しかも、実施例のタイヤはトレッド部に形成された孔部に対して柱状の帯電防止体を詰め込むだけで良いので、その製造が容易であった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、トレッド部に少なくとも1つの孔部を有する空気入りタイヤを用意し、その孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込むようにしたから、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することができ、しかも帯電防止機能を有する空気入りタイヤを簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【図2】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
【図3】従来の帯電防止機能を備えた空気入りタイヤの製造に用いるトレッドゴム部材を示す断面図である。
【図4】従来の帯電防止機能を備えた空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
1a アンダートレッド層
1b キャップトレッド層
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ベルト層
7 ベルトカバー層
8 孔部
9 帯電防止体
【発明の属する技術分野】
本発明は、トレッドゴムの補強充填剤としてシリカ等を使用する場合に好適な空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、タイヤの転動抵抗の低減やグリップ力の向上を目的として、トレッドゴムの補強充填剤としてカーボンブラックの替わりにシリカを添加することが提案されている。しかし、トレッドゴムに導電性のカーボンブラックに替えて非導電性のシリカを配合すると、トレッド部の電気抵抗が大きくなるため、車両に帯電した電荷をタイヤを通じて路面にリークすることができなくなってしまう。このようにして車両に帯電した電荷は、電子回路部品の機能やラジオの受信感度に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0003】
空気入りタイヤの電気抵抗を小さくするために、サイドトレッドやウイングチップと呼ばれるショルダー側のゴム部材を接地面まで延在させることが考えられるが、この場合、操縦安定性に悪影響を及ぼすことになる。また、押出装置を工夫することでアンダートレッド層の一部を帯電防止層としてキャップトレッド層の表面にまで露出させた場合、多角形摩耗等の偏摩耗を生じ易くなり、しかも生産設備のコストも増大することになる。
【0004】
そこで、トレッド部に導電性ゴム組成物からなる複数の帯電防止層を点状に配置することにより、耐偏摩耗性と帯電防止機能との両立を図ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ところが、帯電防止層をトレッド部の所望の位置に点在させることは極めて困難であり、そのような空気入りタイヤを効率良く生産することは困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−180111号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することを可能にし、しかも生産性に優れた空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に少なくとも1つの孔部を有し、該孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込んだことを特徴とするものである。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、トレッド部に少なくとも1つの孔部を有する空気入りタイヤを用意し、前記孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込むようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
このようにトレッド部に形成された少なくとも1つの孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込んだことにより、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することができる。しかも、トレッド部に少なくとも1つの孔部を有する空気入りタイヤを用意し、その孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込むだけで良いので、帯電防止機能を有する空気入りタイヤを簡単に製造することができる。
【0010】
本発明において、導電性ゴム組成物としては電気抵抗が106 Ω・cm以下であるものを使用することが好ましい。これにより、帯電防止機能を十分に確保することができる。また、トレッド部の接地面積に占める帯電防止体の接地面積の割合は1%以下であることが好ましい。これにより、耐偏摩耗性を良好に維持することができる。
【0011】
トレッド部をアンダートレッド層とキャップトレッド層との積層構造とした場合、帯電防止体をキャップトレッド層からアンダートレッド層まで到達するように配置すると良い。つまり、シリカ等の補強充填剤を配合した低導電性ゴム組成物からキャップトレッド層を構成し、カーボンブラック等の補強充填剤を配合した導電性ゴム組成物からアンダートレッド層を構成した場合、導電性ゴム組成物からなる帯電防止体をアンダートレッド層まで到達させることで、その帯電防止機能をより確実に発揮することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの子午線断面図であり、図2はその空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架され、そのカーカス層4のタイヤ幅方向両端部がそれぞれビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側にはベルト層6が配置され、更にベルト層6のエッジ部はベルトカバー層7によって覆われている。
【0014】
トレッド部1はベルト側に位置するアンダートレッド層1aとトレッド側に位置するキャップトレッド層1bとの積層構造になっている。アンダートレッド層1aは、カーボンブラック等の補強充填剤を配合した電気抵抗106 Ω・cm以下、好ましくは102 〜106 Ω・cmの導電性ゴム組成物から構成されている。キャップトレッド層1bは、シリカ等の補強充填剤を配合した電気抵抗107 Ω・cm以上、好ましくは107 〜1012Ω・cmの低導電性ゴム組成物から構成されている。シリカ等の補強充填剤を配合したキャップトレッド層1bはタイヤの転動抵抗の低減に寄与する。
【0015】
トレッド部1はセンター領域に少なくとも1つの孔部8を有し、該孔部8に電気抵抗106 Ω・cm以下、好ましくは102 〜106 Ω・cmの導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体9が詰め込まれている。この帯電防止体9は、タイヤ径方向に延長し、キャップトレッド層1bからアンダートレッド層1aまで到達するように配置されている。帯電防止体9は、図示のように円柱状であることが望ましいが、その端面形状が六角形等の多角形であっても良い。また、各帯電防止体9の接地面積は150mm2 以下であることが好ましい。
【0016】
一方、図2に示すように、トレッド部1にはタイヤ周方向に延びる複数本の主溝11とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝12などが設けられている。これら主溝11及び横溝12などによって、センター領域に位置するセンターリブ13と、該センターリブ13の両側に位置する細リブ14と、更に細リブ14の両側に位置する多数のブロック15とが区画されている。
【0017】
上述した空気入りタイヤは、以下のようにして製造することができる。先ず、トレッド部1に少なくとも1つの孔部8を有する空気入りタイヤを用意する。このような空気入りタイヤは、加硫金型の内面に孔部8を形成するための突起を設けることで得ることができる。他の方法として、孔部を持たない空気入りタイヤを加硫した後、トレッド部1に孔部8を開口しても良い。そして、孔部8を有する空気入りタイヤを用意した後、導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体9を詰め込むのである。
【0018】
このようにトレッド部1に設けた孔部8に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体9を詰め込んだことにより、車両に帯電した電荷を帯電防止体9を通じて路面にリークし、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することができる。しかも、予め決められた位置に形成された孔部8に対して帯電防止体9を容易に詰め込むことができるので、帯電防止機能を有する空気入りタイヤを簡単に製造することができる。
【0019】
上記空気入りタイヤにおいて、帯電防止体9を構成する導電性ゴム組成物の電気抵抗は106 Ω・cm以下であると良い。この導電性ゴム組成物の電気抵抗が106 Ω・cmを超えると帯電防止機能が不十分になる。導電性ゴム組成物の電気抵抗は、カーボンブラック等の導電性補強充填剤の配合量に基づいて容易に調整することができる。
【0020】
トレッド部1に配置する帯電防止体9の本数は、キャップトレッド層1bの電気抵抗値に応じて選択すれば良く、タイヤ周上に等間隔で3〜50本とすることが好ましい。トレッド部1の接地面積に占める帯電防止体9の接地面積の割合は、1%以下、より好ましくは0.1〜1%であると良い。この帯電防止体9の接地面積の割合が高過ぎると耐偏摩耗性が低下する恐れがある。但し、トレッド部の接地面積とは、JATMAイヤーブック(2002年度版)に規定される空気圧−負荷能力対応表において、最大負荷能力に対応する空気圧を充填し、その最大負荷能力の80%の荷重をかけたときの接地幅に含まれるトレッド全周の接地面積(溝部分を除く)である。
【0021】
また、キャップトレッド層1bを構成するゴム組成物のJIS−A硬さと、帯電防止体9を構成するゴム組成物のJIS−A硬さとは同等であることが好ましく、より具体的には、その差が10ポイント以下であることが好ましい。その際、両者のJIS−A硬さの範囲は45〜75にすると良い。これらキャップトレッド層1bと帯電防止体9の硬さを一致させることは耐偏摩耗性の向上に寄与する。
【0022】
【実施例】
タイヤサイズ185/65R15とし、トレッド部の構造だけを異ならせた従来例及び実施例の空気入りタイヤをそれぞれ製作した。
【0023】
〔従来例〕
図3に示すように、導電性ゴム組成物からなるアンダートレッド層と低導電性ゴム組成物からなるキャップトレッド層とを含むトレッドゴム部材の押出工程において、キャップトレッド層の中央部にその長手方向に沿って導電性ゴム組成物からなる帯電防止層(19)を同時に押出した。このトレッドゴム部材を用いて、図4に示すように、トレッド部にタイヤ周方向に連続してトレッド部と一体的に接合された帯電防止層を有する空気入りタイヤを得た。トレッド部の接地面積に占める帯電防止層の接地面積の割合は5%であった。
【0024】
〔実施例〕
図1及び図2に示すように、トレッド部の円周上10箇所に孔部を有する空気入りタイヤを用意し、その孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込んだ。トレッド部の接地面積に占める帯電防止体の接地面積の割合は1%であった。
【0025】
上述した導電性ゴム組成物及び低導電性ゴム組成物の配合を表1に示す。導電性ゴム組成物の電気抵抗は105 Ω・cmであり、低導電性ゴム組成物の電気抵抗は108 Ω・cmであった。
【0026】
【表1】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により電気伝導性と耐偏摩耗性を評価し、その結果を表2に示した。
【0027】
〔電気伝導性〕
試験タイヤを空気圧200kPaで標準リムに組付け、ドイツのWDK Blatt 3 で規定される「荷重下でのタイヤ電気抵抗の測定手順」に基づいて、試験タイヤの電気抵抗を測定した。つまり、鋼板上に試験タイヤを荷重450kgの条件で垂直に接地させ、リム中央部と鋼板との間の電気抵抗を印加電圧100Vの抵抗測定器を用いて測定した。測定時の気温は25℃であり、湿度は50%であった。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど電気伝導性が高く、帯電防止機能が優れていることを意味する。
【0028】
〔耐偏摩耗性〕
各試験タイヤをそれぞれ乗用車に装着し、空気圧200kPaとして舗装路上で20000km走行した後、トレッド部に発生した偏摩耗による段差量を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐偏摩耗性が優れていることを意味する。
【0029】
【表2】
この表2から判るように、実施例のタイヤは、耐偏摩耗性を改善しつつ良好な帯電防止機能を発揮することができた。しかも、実施例のタイヤはトレッド部に形成された孔部に対して柱状の帯電防止体を詰め込むだけで良いので、その製造が容易であった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、トレッド部に少なくとも1つの孔部を有する空気入りタイヤを用意し、その孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込むようにしたから、耐偏摩耗性を悪化させることなく帯電防止機能を確保することができ、しかも帯電防止機能を有する空気入りタイヤを簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【図2】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
【図3】従来の帯電防止機能を備えた空気入りタイヤの製造に用いるトレッドゴム部材を示す断面図である。
【図4】従来の帯電防止機能を備えた空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
1a アンダートレッド層
1b キャップトレッド層
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ベルト層
7 ベルトカバー層
8 孔部
9 帯電防止体
Claims (8)
- トレッド部に少なくとも1つの孔部を有し、該孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込んだ空気入りタイヤ。
- 前記導電性ゴム組成物の電気抵抗が106 Ω・cm以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド部の接地面積に占める前記帯電防止体の接地面積の割合が1%以下である請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド部がアンダートレッド層とキャップトレッド層との積層構造を有し、前記帯電防止体を前記キャップトレッド層から前記アンダートレッド層まで到達するように配置した請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- トレッド部に少なくとも1つの孔部を有する空気入りタイヤを用意し、前記孔部に導電性ゴム組成物からなる柱状の帯電防止体を詰め込むようにした空気入りタイヤの製造方法。
- 前記導電性ゴム組成物の電気抵抗が106 Ω・cm以下である請求項5に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記トレッド部の接地面積に占める前記帯電防止体の接地面積の割合が1%以下である請求項5又は請求項6に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記トレッド部をアンダートレッド層とキャップトレッド層との積層構造とし、前記帯電防止体を前記キャップトレッド層から前記アンダートレッド層まで到達するように配置した請求項5〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
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-
2003
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