JP2004261717A - ガス浄化装置およびガス浄化装置に使用する放電反応体 - Google Patents
ガス浄化装置およびガス浄化装置に使用する放電反応体 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ガス浄化装置1は、放電反応部2と、この放電反応部2に接続された放電発生用電源4とを具備する。放電反応部2には浄化対象ガスXが流れるガス流路9が形成されるとともに、このガス流路9に沿う放電電極5とこの放電電極5に対向する金属対向電極7と、放電電極5および金属対向電極7のうち所要の部位を覆う誘電体6とが備えられる。放電発生用電源4は放電電極5と金属対向電極7との間に電圧を印加することによりガス流路9に電界を形成するとともに放電プラズマを発生させて、電界の形成に伴う電気集塵的機能により浄化対象ガスXに含まれる粒子状物質を捕捉する一方、捕捉された粒子状物質は前記放電プラズマの作用により燃焼処理されるように構成した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子状物質等の有害物質を含む浄化対象ガスから有害物質を除去して浄化するガス浄化装置およびガス浄化装置に使用する放電反応体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジン等の排ガス発生源から排出された排ガスから粒子状物質(PM;Particulate Matter)等の有害物質を浄化するためのガス浄化装置として以下のものがある。
【0003】
従来のガス浄化装置としては、PMを含む排ガスのガス流路にPMフィルタを設け、このPMフィルタによりPMを捕捉する装置がある。そして、PMフィルタに捕捉されたPMに含まれる炭素等の物質は加熱ヒータにて燃焼除去され、PMフィルタの機能が再生される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−062558号公報(第3頁−第5頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のガス浄化装置においては、PMフィルタに捕捉されたPMに含まれる炭素等の物質を酸素との燃焼反応により除去するため、ガスの温度が600℃程度となるように加熱する必要がある。
【0006】
従って、従来のガス浄化装置においては排ガスを加熱するための外部加熱ヒータ源の追設が必要となり、逆に排ガス温度が、低温(特に200℃以下)である場合にはPMを効率良く除去することができない。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、浄化対象ガスから有害物質を加熱することなく低温でより効率的に除去し、浄化対象ガスを浄化することができるガス浄化装置およびガス浄化装置に使用する放電反応体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るガス浄化装置は、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、放電反応部と、この放電反応部に接続された放電発生用電源とを具備し、前記放電反応部には浄化対象ガスが流れるガス流路が形成されるとともに、このガス流路に沿う線状の放電電極とこの放電電極に対向する金属対向電極と、前記放電電極および金属対向電極のうち所要の部位を覆う誘電体とが備えられ、前記放電発生用電源は前記放電電極と金属対向電極との間に電圧を印加することにより前記ガス流路に電界を形成するとともに放電プラズマを発生させて、電界の形成に伴う電気集塵的機能により前記浄化対象ガスに含まれる粒子状物質を捕捉する一方、捕捉された粒子状物質は前記放電プラズマの作用により燃焼処理されるように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る放電反応体は、上述の目的を達成するために、請求項5に記載したように、浄化対象ガスが流れるガス流路が形成されるとともに、このガス流路に沿う放電電極と、この放電電極に対向する金属対向電極と、前記放電電極および金属対向電極のうち所要の部位を覆う誘電体とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係るガス浄化装置およびガス浄化装置に使用する放電反応体の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明に係るガス浄化装置の第1の実施形態を示す正面図、図2は、図1に示すガス浄化装置1のA−A断面図、図3は図1に示すガス浄化装置1のB−B断面図である。
【0012】
ガス浄化装置1は、放電反応部2とこの放電反応部2に電気ケーブル3を介して接続された放電発生用電源4とを備える。
【0013】
放電反応部2は、放電電極としての線状の沿面放電電極5と誘電体6で覆われた例えば板状の金属対向電極7とを有する。金属対向電極7を覆う誘電体6は、金属対向電極7と同様に例えば板状に形成され、誘電体6の一方の面上には、所要の形状の絶縁スペーサ8が設けられる。この絶縁スペーサ8と誘電体6とにより空間が仕切られることにより、所定の幅のガス流路9が形成される。絶縁スペーサ8と誘電体6とにより形成されるガス流路9は例えばジグザグ状とされ、ガス流路9の長さがより長くなるように構成される。
【0014】
また、放電反応部2には、絶縁スペーサ8と誘電体6とにより形成されるガス流路9に沿って線状の沿面放電電極5が誘電体6に接触して設けられる。沿面放電電極5は、例えば、絶縁スペーサ8や誘電体6に直接プリントされて設けられる。但し、沿面放電電極5を針金状に形成して誘電体6の面上の所要の位置に接触して設けても良い。
【0015】
さらに、放電発生用電源4の一方の極は、放電反応部2の沿面放電電極5と電気ケーブル3を介して接続され、他方の極は誘電体6で覆われた金属対向電極7と電気ケーブル3を介して接続される。
【0016】
放電発生用電源4は、例えば電源の一次側の入力として、AC100V、200V、400Vでφ50Hz、60Hzの交流電源あるいはDC12V、24Vのバッテリ等の直流電源が使用され、例えば電源の二次側の出力電圧として、パルス状(正極性、負極性、正負の両極性)、交流状(正弦波、断続正弦波)の出力電圧のものが使用される。
【0017】
そして、ガス浄化装置1は、放電発生用電源4により、沿面放電電極5と金属対向電極7との間に正極性の電圧と負極性の電圧が交互に印加されるように構成される。すなわち、ガス浄化装置1は、放電発生用電源4により沿面放電電極5と金属対向電極7との間に電圧を印加することにより、線状の沿面放電電極5からガス流路9を横切って金属対向電極7に向かう電界とその逆方向に向かう電界とが交互に形成されるように構成される。
【0018】
さらに、ガス浄化装置1は、図3に示すようにガス流路9における電界の形成に伴って放電し、放電プラズマYが交互に向きを変化させてガス流路9に生成されるように構成される。
【0019】
ここで、金属対向電極7は誘電体6で覆われ、かつ沿面放電電極5は線状で誘電体6に接触して設けられるため、ガス流路9における放電は沿面放電電極5と誘電体6のガス流路9に面した面とに沿って生じるいわゆる沿面放電となり、放電プラズマYは、沿面放電電極5の長手方向に垂直な方向成分を多く有する向きで誘電体6に沿って生成される。
【0020】
放電発生用電源4が、沿面放電電極5と金属対向電極7との間に印加する電圧は例えば数kVから数十kV程度とされる。
【0021】
そして、放電反応部2に形成されたガス流路9には、例えば自動車から排出される排ガス等の浄化対象ガスXが導かれる。浄化対象ガスXの他の例としては、自動車用エンジン、車両用発電機駆動原動機や船舶推進用原動機等の車載ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジン、車両、船舶、航空機等の移動体に搭載される発電用ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジン、コージェネレーション(熱電供給)システムや発電システムに用いられる定置型ディーゼルエンジンおよびガスエンジン(ガスモータ)から排出される排ガスが挙げられる。
【0022】
次にガス浄化装置1の作用について説明する。
【0023】
まず、自動車から排出される排ガス等の浄化対象ガスXが放電反応部2に形成されたガス流路9に導かれ、放電反応部2内に流入する。
【0024】
ここで、放電反応部2内のガス流路9において、放電発生用電源4の作用で沿面放電電極5の近傍には集中的に金属対向電極7との間に電界が形成されるとともに放電プラズマYが発生する。このとき、ガス流路9における放電は沿面放電電極5およびガス流路9を形成する誘電体6の表面に沿って生じる沿面放電となる。このため、放電プラズマYは、沿面放電電極5の長手方向に垂直な方向成分を多く有する向きでガス流路9を横切って誘電体6に沿って生成される。
【0025】
尚、金属対向電極7は、誘電体6で覆われるため、放電は、誘電体バリア放電となってアーク放電に移行せずに安定したコロナ放電となり持続的に維持される。
【0026】
そして、放電反応部2内のガス流路9を流れる浄化対象ガスXに含まれる有害物質である粒子状物質(PM;Particulate Matter)は、ガス流路9および浄化対象ガスXの進行方向を横切って形成された電界の電気集塵的機能により放電反応部2内のガス流路9の壁面に捕捉される。
【0027】
さらに、放電反応部2内のガス流路9には、放電プラズマYの作用によりO、OH、O3等の酸化ラジカルが生成される。
【0028】
尚、ガス流路9に発生させる放電プラズマYを、電子温度のみが高い低温プラズマとすることにより、浄化対象ガスXを加熱することなく放電プラズマYを発生させることがきる。低温プラズマを使用すれば、放電反応部2に投入する電力がガス流路9に放出される電子のエネルギに利用され、中性分子あるいはイオンの熱エネルギとして利用されない。このため、エネルギ損失を低減させより低出力の電力で電子を活性化させ、より多くの酸化ラジカルを生成させることができる。
【0029】
従って、ガス流路9に低温プラズマを発生させた場合は、高エネルギ電子が、浄化対象ガスXの分子と衝突することにより酸化ラジカルが生成される。
【0030】
そして、この酸化ラジカルの作用により放電反応部2内のガス流路9の壁面に捕捉されたPMに含まれる炭素等の物質は逐次二酸化炭素CO2へ燃焼処理されて、放電反応部2内の電気集塵的機能によるPM捕捉機能は再生される。
【0031】
さらに、浄化対象ガスXは、PMが除去された後、放電反応部2の外部に排出される。
【0032】
すなわちガス浄化装置1は、浄化対象ガスXに含まれるPMを捕捉するために放電反応部2内に形成したガス流路9に電界を形成し、形成された電界による電気集塵的機能によりPMを捕捉する構成である。
【0033】
また、浄化対象ガスXに含まれるPMを電界の形成による電気集塵的機能により十分に捕捉するために、沿面放電電極5を線状として沿面放電電極5に沿って集中的に電界を形成し、集中的に形成された電界により電気集塵的機能が作用するようなガス流路9の幅とするとともに沿面放電電極5およびガス流路9の長さをより長くしたものである。
【0034】
さらに、放電反応部2内に捕捉されたPMを温度に依存しない放電プラズマYにより、加熱することなく燃焼処理して放電反応部2内の電気集塵的機能によるPM捕捉機能を再生させる構成である。
【0035】
また、放電反応部2内に捕捉されたPMに含まれる炭素等の物質が十分に燃焼されてPM捕捉機能を再生させるために、ガス流路9を所定の幅に形成するとともにガス流路9に沿って沿面放電電極5を設け、放電プラズマYがガス流路9に沿って十分なエネルギでガス流路9内の十分な領域において発生するように構成したものである。
【0036】
さらに、このとき誘電体6で金属対向電極7を覆う構成とすることにより、放電がアーク放電に移行するのを防止して安定したコロナ放電となり持続的に維持されるように構成したものである。
【0037】
従来、各種エンジン発生源からの排ガス中のPM排出に関しての排出規制が強化されつつある。そこで、従来のガス浄化装置としてPMフィルタでPMを捕捉して加熱ヒータでPMを燃焼する装置が提案される。
【0038】
しかし、従来のガス浄化装置においては、浄化対象ガスXを少なくとも常温以上、例えば200℃以上に加熱する必要がある。特に、自動車にガス浄化装置を設け、自動車排ガスを浄化対象ガスXとした場合、排ガス温度は走行状態により変動するため、効率よく安定してPMを処理することができない。
【0039】
例えば、エンジン始動時、低速走行時あるいは加速時には、排ガス温度はPMの燃焼に必要な温度よりも低く、分解反応が十分に進行しない。このため、外部加熱ヒータ源をガス浄化装置に追設することが必要であった。
【0040】
しかし、ガス浄化装置1では、浄化対象ガスXに含まれるPMを放電反応部2内に捕捉しかつ温度変化の影響をうけにくい放電プラズマY、好ましくは低温プラズマの作用により高温のみならず低温においても継続的かつ高効率に燃焼処理することができる。
【0041】
また、ガス浄化装置1では、誘電体6で金属対向電極7を覆う構成とすることにより、放電が安定したコロナ放電となる誘電体バリア放電を形成することができるとともに、金属対向電極7の破損を防止して保護することができる。
【0042】
さらに、ガス浄化装置1の放電反応部2は簡易な構成であるため、加工性あるいは組立性が向上し、より安価で容易に放電反応部2を製造することができる。
【0043】
尚、ガス浄化装置1において、放電反応部2を複数個積層あるいは整列配置して構成してもよく、誘電体6の両面に絶縁スペーサ8とともに沿面放電電極5を設けても良い。さらに、誘電体6の一方の面に絶縁スペーサ8により複数のガス流路9を形成して各ガス流路9にそれぞれ沿面放電電極5を設ける構成としても良い。
【0044】
また、ガス浄化装置1において、放電反応部2のガス流路9は、沿面放電電極5の近傍を浄化対象ガスXが流れるような形状であれば任意である。このため、絶縁スペーサ8の形状を変化させることにより多種多様な形状の放電反応部2を構成することができる。
【0045】
また、ガス浄化装置1において、誘電体6で覆われた金属対向電極7の形状は板状に限らず、沿面放電電極5に対向する位置に設けられていれば任意である。このため、誘電体6で覆われた金属対向電極7も線状あるいは棒状に形成して、より局所的に強い電界がガス流路9に形成されるように構成しても良い。
【0046】
また、金属対向電極7全体が誘電体6で覆われる必要はなく、少なくとも沿面放電電極5と対向する部位が誘電体6で覆われていれば良い。
【0047】
図4は本発明に係るガス浄化装置の第2の実施形態を示す正面図、図5は、図4に示すガス浄化装置1AのC−C断面図、図6は図4に示すガス浄化装置1AのD−D断面図である。
【0048】
図2に示された、ガス浄化装置1Aでは、放電反応部2Aの構成が図1に示す第1の実施形態によるガス浄化装置1と相違する。他の構成および作用については図1に示すガス浄化装置1と実質的に異ならないため同一の構成には同じ符号を付して放電反応部2Aの構成のみについて説明する。
【0049】
ガス浄化装置1Aの放電反応部2Aは、誘電体6で覆われた例えば板状の金属対向電極7と誘電体6で覆われた放電電極としての線状の空間放電電極10とを有する。
【0050】
放電反応部2Aにおいて、金属対向電極7を覆う誘電体6および空間放電電極10を覆う誘電体6は、例えば板状にそれぞれ形成されて、金属対向電極7と空間放電電極10とが互いに対向する位置となるように配置される。
【0051】
また、誘電体6で覆われた線状の空間放電電極10は、例えばジグザグ状に形成され、空間放電電極10の長さがより長くなるように構成される。
【0052】
さらに、放電反応部2Aにおいて、金属対向電極7を覆う誘電体6と空間放電電極10を覆う誘電体6との間には、所要の形状の絶縁スペーサ8が設けられる。この絶縁スペーサ8および2つの誘電体6により空間が仕切られることにより、所定の幅のガス流路9が形成される。絶縁スペーサ8と各誘電体6とにより形成されるガス流路9は空間放電電極10に沿って例えばジグザグ状とされ、空間放電電極10と同様にガス流路9の長さがより長くなるように構成される。
【0053】
すなわち、誘電体6で覆われた線状の空間放電電極10と誘電体6で覆われた板状の金属対向電極7がガス流路9を挟んで互いに対向するように構成される。
【0054】
さらに、放電発生用電源4の一方の極は、放電反応部2の誘電体6で覆われた空間放電電極10と電気ケーブル3を介して接続され、他方の極は誘電体6で覆われた金属対向電極7と電気ケーブル3を介して接続される。
【0055】
そして、ガス浄化装置1Aでは、放電発生用電源4により、空間放電電極10と金属対向電極7との間に正極性の電圧と負極性の電圧が交互に印加され、空間放電電極10からガス流路9を横切って金属対向電極7に向かう電界とその逆方向に向かう電界とが交互に形成されるように構成される。
【0056】
この結果、ガス浄化装置1Aでは、ガス流路9における電界の形成に伴って、ガス流路9を横切る空間放電が誘起され、放電プラズマYが空間放電電極10と金属対向電極7との間のガス流路9を横切って生成される。
【0057】
このため、ガス浄化装置1Aでは、図1に示すガス浄化装置1と同様な効果に加え、空間放電電極10と金属対向電極7の双方が誘電体6で保護されるため、空間放電電極10および金属対向電極7の劣化を防止することができる。
【0058】
尚、ガス浄化装置1Aの放電反応部2Aにおいて、空間放電電極10および金属対向電極7が対向する部位の少なくとも一方が誘電体6で覆われていれば、他方は誘電体6で覆われなくても良く、空間放電電極10あるいは金属対向電極7の全体が誘電体6で覆われていなくても良い。
【0059】
また、ガス浄化装置1Aにおいて、放電反応部2Aを複数個積層あるいは整列配置して構成してもよく、空間放電電極10を覆う誘電体6の両面に絶縁スペーサ8とともに誘電体6で覆われた金属対向電極7を設ける構成あるいは、板金属電極を覆う誘電体6の両面に絶縁スペーサ8とともに誘電体6で覆われた空間放電電極10を設ける構成としても良い。
【0060】
さらに、単一の放電反応部2Aにおいて、絶縁スペーサ8により複数のガス流路9を形成するとともに、形成した各ガス流路9に対応する複数あるいは単一の空間放電電極10をそれぞれ誘電体6で覆う構成としても良い。
【0061】
また、ガス浄化装置1Aにおいて、放電反応部2Aのガス流路9は、空間放電電極10の近傍を浄化対象ガスXが流れるような形状であれば任意である。このため、絶縁スペーサ8の形状を変化させることにより多種多様な形状の放電反応部2Aを構成することができる。
【0062】
また、ガス浄化装置1Aにおいて、金属対向電極7の形状は板状に限らず、空間放電電極10に対向する位置に設けられていれば任意である。このため、金属対向電極7を線状あるいは棒状の電極に置き換えて、より局所的に強い電界がガス流路9に形成されるように構成しても良い。
【0063】
また、金属対向電極7全体および空間放電電極10全体が誘電体6で覆われる必要はなく、少なくとも金属対向電極7と空間放電電極10とが互いに対向する部位がそれぞれ誘電体6で覆われていれば良い。
【0064】
図7は本発明に係るガス浄化装置の第3の実施形態を示す正面図であり、図8は、図7に示すガス浄化装置1BのE−E断面図である。
【0065】
図7に示された、ガス浄化装置1Bでは、放電反応部2Bの構成が図1に示す第1の実施形態によるガス浄化装置1と相違する。他の構成および作用については図1に示すガス浄化装置1と実質的に異ならないため同一の構成には同じ符号を付して放電反応部2Bの構成のみについて説明する。
【0066】
ガス浄化装置1Bの放電反応部2Bは、例えば板状に形成された単一の誘電体6により覆われた複数の、例えば2本の線状の鏡面放電電極20を有する。
【0067】
放電反応部2Bにおいて、誘電体6で覆われた線状の各鏡面放電電極20は、互いに距離が所定の範囲内となるように併設される。さらに、誘電体6で覆われた各鏡面放電電極20は、共に例えばジグザグ状にそれぞれ形成され、鏡面放電電極20の長さがより長くなるように構成される。
【0068】
さらに、放電反応部2Bにおいて、各鏡面放電電極20を覆う板状の誘電体6の一方の面には、所要の形状の絶縁スペーサ8が設けられる。この絶縁スペーサ8および誘電体6により空間が仕切られることにより、所定の幅のガス流路9が形成される。絶縁スペーサ8と誘電体6とにより形成されるガス流路9は鏡面放電電極20に沿って例えばジグザグ状とされ、鏡面放電電極20と同様にガス流路9の長さがより長くなるように構成される。
【0069】
さらに、放電発生用電源4の一方の極は、放電反応部2の誘電体6で覆われた一方の鏡面放電電極20と電気ケーブル3を介して接続され、他方の極は誘電体6で覆われた他方の鏡面放電電極20と電気ケーブル3を介して接続される。
【0070】
そして、ガス浄化装置1Bでは、放電発生用電源4により、2本の鏡面放電電極20の間に正極性の電圧と負極性の電圧が交互に印加され、一方の鏡面放電電極20から誘電体6のガス流路9側の面を横切って他方の鏡面放電電極20に向かう電界とその逆方向に向かう電界とが交互に形成されるように構成される。
【0071】
すなわち、鏡面放電電極20は放電電極と金属対向電極としての機能を兼ね、一方あるいは一部の鏡面放電電極20が放電電極として作用する場合には、他方あるいは残りの鏡面放電電極20は金属対向電極として作用する。
【0072】
この結果、ガス浄化装置1Bでは、ガス流路9における電界の形成に伴って、誘電体6のガス流路9側の面に沿って一方の鏡面放電電極20近傍から他方の鏡面放電電極20近傍に向かう、いわゆる鏡面放電が誘起され、放電プラズマYが2本の鏡面放電電極20間における誘電体6の表面に沿ってガス流路9を横切って生成される。
【0073】
このため、ガス浄化装置1Bでは、図1に示すガス浄化装置1と同様な効果に加え、2本の鏡面放電電極20の双方が誘電体6で保護されるため、各鏡面放電電極20の劣化を防止することができる。
【0074】
さらに、ガス浄化装置1Bでは、放電反応部2Bの電極構成がより簡易な構成であるため、放電反応部2Bの加工性並びに組立性を向上させて、製造コストを低減させることができる。
【0075】
また、ガス浄化装置1Bにおいて、放電反応部2Bを複数個積層あるいは整列配置して構成してもよく、2本の鏡面放電電極20を覆う誘電体6の両面に絶縁スペーサ8を設ける構成としても良い。
【0076】
さらに、単一の放電反応部2Bにおいて、絶縁スペーサ8により複数のガス流路9を形成するとともに、形成した各ガス流路9に対応する複数の鏡面放電電極20をそれぞれ設ける構成としても良い。
【0077】
また、ガス浄化装置1Bにおいて、各鏡面放電電極20は互いに所定の間隔で単一の誘電体6により覆われて配置されれば線状でなく板状、棒状あるいはブロック状等の任意の形状であっても良い。このとき、各鏡面放電電極20同士の間隔は鏡面放電を誘起させることができる距離であればよい。各鏡面放電電極20の所要の一部同士間の距離が、鏡面放電を誘起させることができる距離となっていれば各鏡面放電電極20の全域に亘って所定の間隔で配置されなくてもよい。
【0078】
また、ガス浄化装置1Bにおいて、放電反応部2Bのガス流路9は、鏡面放電電極20の近傍を浄化対象ガスXが流れるような形状であれば任意である。このため、絶縁スペーサ8の形状を変化させることにより多種多様な形状の放電反応部2Bを構成することができる。
【0079】
尚、各実施形態におけるガス浄化装置1、1A、1Bを複合的に構成してもよく、複数の任意の組み合わせの放電反応部2、2A、2Bを浄化対象ガスXが流れる方向に対して、直列あるいは並列に設けて構成してもよい。
【0080】
また、放電反応部2、2A、2Bを1つのユニットとして放電反応体を構成してもよい。
【0081】
【発明の効果】
本発明に係るガス浄化装置およびガス浄化装置に使用する放電反応体においては、浄化対象ガスのガス流路にコロナ放電を安定して発生させることが可能であり、浄化対象ガスから粒子状物質等の有害物質を加熱することなく低温でより効率的に捕捉して浄化対象ガスを浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るガス浄化装置の第1の実施形態を示す正面図。
【図2】図1に示すガス浄化装置のA−A断面図。
【図3】図1に示すガス浄化装置のB−B断面図。
【図4】本発明に係るガス浄化装置の第2の実施形態を示す正面図。
【図5】図4に示すガス浄化装置のC−C断面図。
【図6】図4に示すガス浄化装置のD−D断面図。
【図7】本発明に係るガス浄化装置の第3の実施形態を示す正面図。
【図8】図7に示すガス浄化装置のE−E断面図。
【符号の説明】
1、1A、1B ガス浄化装置
2、2A、2B 放電反応部
3 電気ケーブル
4 放電発生用電源
5 沿面放電電極
6 誘電体
7 金属対向電極
8 絶縁スペーサ
9 ガス流路
10 空間放電電極
20 鏡面放電電極
X 浄化対象ガス
Y 放電プラズマ
Claims (5)
- 放電反応部と、この放電反応部に接続された放電発生用電源とを具備し、前記放電反応部には浄化対象ガスが流れるガス流路が形成されるとともに、このガス流路に沿う放電電極と、この放電電極に対向する金属対向電極と、前記放電電極および金属対向電極が互いに対向する部位のうち少なくとも一方を覆う誘電体とが備えられ、前記放電発生用電源は前記放電電極と金属対向電極との間に電圧を印加することにより前記ガス流路に電界を形成するとともに放電プラズマを発生させて、電界の形成に伴う電気集塵的機能により前記浄化対象ガスに含まれる粒子状物質を捕捉する一方、捕捉された粒子状物質は前記放電プラズマの作用により燃焼処理されるように構成したことを特徴とするガス浄化装置。
- 前記金属対向電極の前記放電電極と対向する部位は前記誘電体で覆われる一方、前記放電電極は前記誘電体に設けられた線状の沿面放電電極であり、この沿面放電電極および前記誘電体に沿う沿面放電を誘起させることにより前記放電プラズマを生成させるように構成したことを特徴とする請求項1記載のガス浄化装置。
- 前記金属対向電極の前記放電電極と対向する部位は誘電体で覆われる一方、前記放電電極は、前記金属対向電極と対向する部位が誘電体で覆われて前記ガス流路を挟んで前記金属対向電極に対向して設けられた線状の空間放電電極であり、前記ガス流路を横切る空間放電を誘起させることにより前記放電プラズマを生成させるように構成したことを特徴とする請求項1記載のガス浄化装置。
- 前記金属対向電極および前記放電電極は単一の誘電体で覆われ、かつ前記金属対向電極および放電電極が互いに対向する部位の距離が所定の範囲内となるように併設された鏡面放電電極であり、前記鏡面放電電極近傍の前記誘電体に沿う鏡面放電を誘起させることにより前記放電プラズマを生成させるように構成したことを特徴とする請求項1記載のガス浄化装置。
- 浄化対象ガスが流れるガス流路が形成されるとともに、このガス流路に沿う放電電極と、この放電電極に対向する金属対向電極と、前記放電電極および金属対向電極が互いに対向する部位のうち少なくとも一方を覆う誘電体とを備えることを特徴とする放電反応体。
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