JP2004261591A - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 磁気共鳴イメージング装置において、傾斜磁場パルスの印加によって誘起される渦電流磁場や残留磁場の不整磁場が持つ傾斜磁場パルスへの波形依存性、時間・空間依存性、および、永久磁石装置における傾斜磁場パルスの履歴依存性に対応して不整磁場を補正をすることにより、不整磁場が原因で発生する再構成画像上の歪み、信号強度の低下、ゴーストおよび他の画質劣化を防止する。
【解決手段】 傾斜磁場パルスを印加する方向と波形を色々変えて傾斜磁場パルスによって誘起される渦電流磁場や残留磁場の不整磁場を時間的および空間的に計測することで、不整磁場の各種依存性に関する較正データを取得し、較正データに基づいてシムコイルや局在コイル若しくは傾斜磁場パルス発生系に対して補正電流を即時印加する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、核磁気共鳴(以下、NMRと略記する)現象を利用して被検体の検査部位の断層画像を撮像する磁気共鳴イメージング(以下、MRIと略記する)装置に関し、特に、傾斜磁場パルスの印加によって誘起される渦電流磁場や残留磁場の不整磁場の補正において、不整磁場の空間成分毎に傾斜磁場パルス波形に対する非線形な依存性に対応した補正を行う技術に関するものである。
傾斜磁場パルスを制御して断層画像を得るMRI装置において、傾斜磁場パルスの波形および印加タイミングを正確かつ柔軟に制御して所望の印加量(傾斜磁場パルス波形と時間軸との囲む面積)を印加する必要がある。しかし、傾斜磁場パルスの印加によって誘起される渦電流磁場や残留磁場の不整磁場(以下、特に誤解が生じない限り、渦電流磁場や残留磁場をまとめて不整磁場と略記する)は、その原因となった傾斜磁場パルスの印加に伴って発生した後に時間的に変動(時間依存性)し、かつ、空間的な分布(空間依存性)をもつ。
そのため、傾斜磁場パルスの印加量を所望の値で印加できなくなり、その結果としてエコー信号強度の低下や、再構成画像上において歪みやゴースト等のアーチファクトが発生し、画質が劣化する。
さらに、永久磁石を用いたMRI装置(以下、「永久磁石装置」という)では、磁気履歴(ヒステリシス)特性を持つ強磁性体を装置構造物(磁気回路)に使用するため、渦電流磁場の他に残留磁場も傾斜磁場パルスの印加によって誘起される。そのため、傾斜磁場パルスの印加量を所望の値で印加できないことに加え、傾斜磁場パルスの印加を止めても、印加した傾斜磁場パルスの波形、印加した方向、および印加履歴に応じた残留磁場が残ってしまい、その結果として撮影空間の静磁場を複雑に歪ませる。
上記渦電流磁場の補正の例としては、[特許文献1], [特許文献2], [特許文献3]の補正方法が発表されている。
[特許文献1]の方法は、傾斜磁場パルスの印加によって誘起される渦電流磁場の時間変化を自由誘導減衰信号(以下、FID信号と略記する)にエンコードして計測し、これを減衰時定数の異なる2又は3個の指数関数でフィッティングすることにより、渦電流磁場の時間変化を近似して求める。
[特許文献2]の方法は、較正パルスシーケンスにおけるテスト傾斜磁場パルスの印加によって誘起される渦電流磁場の時間変化をFID信号にエンコードして計測する。このFID信号から各時刻における位相画像を再構成し、各位相画像から渦電流磁場の空間依存性を球面調和関数によって展開して表すと、球面調和関数の各次数項の係数が時間的に変化することになる。このようにして、渦電流磁場の空間成分毎の時間依存性が、球面調和関数の各次数項の係数の時間依存性で表れされる。渦電流磁場の補正は、球面調和関数の各次数項に対応する静磁場補正用コイル(シムコイル)に流す電流を、その次数項の係数の時間依存性に準じて制御することにより行われる。この[特許文献2]の補正方法は、超伝導磁石を用いたMRI装置において広く用いられている。
[特許文献3]の方法は、テスト傾斜磁場パルスのあるグループ1のパルスシーケンスを1回以上繰り返した後に、グループ2のエコー信号計測用パルスシーケンスを必要回数繰り返してエコー信号を計測する。このエコー信号から位相画像を再構成して渦電流磁場の時間・空間依存性を求めることは[特許文献2]の方法と同様である。
一方、残留磁場の補正に関しては、[特許文献4]や、[特許文献5]などが提案されている。
[特許文献4]では、撮影の前に装置として印加可能な最大傾斜磁場パルスを準備パルスとして付加する。これにより永久磁石装置固有のヒステリシス曲線上で最大領域を走査し、発生する残留磁場を一定値にしている。
また、[特許文献5]では、テスト傾斜磁場パルスの印加により発生した残留磁場を計測する較正走査を、装置の稼動前に行う。この較正データを元に、実際の撮影で印加される傾斜磁場パルスに対する補正を行う。
U.S. Pat. No.4698591 特開平10−272120号公報 特願2002−196272号公報 U.S. Pat.No.6043656 Euro Pat.No.1004892Al
[特許文献1]に開示された渦電流磁場の補正では、渦電流磁場を時定数の異なる幾つかの指数関数を重ね合わせて近似するため、複雑に時間変化する渦電流磁場を表すことが困難となる。また、渦電流磁場の時間・空間依存性に対応した補正や、残留磁場の補正に関しては開示されていない。
[特許文献2]に開示された渦電流磁場の補正では、較正パルスシーケンスにおけるテスト傾斜磁場パルスの振幅が一定であるため、印加する傾斜磁場パルスの振幅に依存性をもつ渦電流磁場の補正は困難となる。つまり、[特許文献2]は、渦電流磁場が傾斜磁場パルスの振幅に対して線形的に誘起されることを前提としており、渦電流磁場の傾斜磁場パルスに対する非線形的な応答に関する補正は開示されていない。また、残留磁場の補正に関しては何も開示されていない。
[特許文献3]にも、渦電流磁場の傾斜磁場パルスに対する非線形的な応答に関する補正は開示されていない。また、残留磁場の補正に関しては何も開示されていない。
[特許文献4]で示されている残留磁場の補正方法には、
(4-1)準備パルスと同じ極性を持つ傾斜磁場パルスの印加に対しては有効であるが、逆極性の傾斜磁場パルスを印加した時点で残留磁場は準備パルスで設定された値から逸脱してしまう。MRI撮影において傾斜磁場パルス極性の反転は必須であり、これへの対応が必要である。
(4-2)準備パルスを付加することにより撮影時間が延長する。
等の解決すべき問題が残されている。
また、[特許文献5]で示されている残留磁場の補正方法には、
(5-1)発生する残留磁場の分極(B0)成分についてのみ補正を行っており、他の成分が考慮されていない。
(5-2)残留磁場は印加する傾斜磁場パルス波形に対して非線形な応答であり、且つ撮影空間の場所によって異なる空間依存性を有する事が考慮されていない。
(5-3)テスト傾斜磁場パルスは1方向のみに印加されるだけであり、永久磁石装置で問題となる2方向、3方向同時に印加した時の応答が考慮されていない。
等の解決すべき問題が残されている。
そこで、本発明の第1の目的は、傾斜磁場パルスの印加によって誘起される渦電流磁場や残留磁場の不整磁場を、傾斜磁場パルスに対する線形的な依存性は勿論のこと、非線形的な依存性にまで対応して補正することである。
また、本発明の第2の目的は、不整磁場の補正を、それ自身の時間・空間依存性に対応して行うことである。
また、本発明の第3の目的は、特に残留磁場の補正を、傾斜磁場パルスの印加履歴に対する依存性に対応して行うことである。
上記目的を達成するために、本発明はMRI装置の観点から見れば以下のように構成される。
(1)計測空間に静磁場を与える静磁場発生手段と、スライス方向と位相エンコード方向と周波数エンコード方向のそれぞれに傾斜磁場を与える傾斜磁場発生手段と、前記傾斜磁場の印加によって誘起される不整磁場を補正する補正コイル及び較正データを空間成分毎に備え、該較正データに基づいて該補正コイルに供給する電流を制御することによって、前記不整磁場の前記空間成分毎の時間変化に対応して補正磁場を制御する補正磁場制御手段を備えたMRI装置において、
前記補正磁場制御手段は、前記傾斜磁場に対して非線形に応答して発生する不整磁場を補正する(請求項1)。
これによれば、傾斜磁場の印加によって誘起される不整磁場が、傾斜磁場に対して非線形に応答する成分を持っている場合にも対応して、より精度良く不整磁場を補正することができる。その結果、前記第1の目的を達成できる。
(2)好ましい一実施態様によれば、(1)に記載のMRI装置において、前記補正磁場制御手段は、前記傾斜磁場波形を規定する少なくとも一つのパラメータ毎に対応して前記補正磁場を制御する(請求項2)。
特に、前記パラメータが前記傾斜磁場波形の振幅を有して、前記補正磁場制御手段は、該振幅に対応して前記補正磁場を制御する(請求項3)。さらに/或いは、前記パラメータが前記傾斜磁場波形の形状を有して、前記補正磁場制御手段は、該形状に対応して前記補正磁場を制御する(請求項4)。
これらにより、不整磁場が持つ傾斜磁場パルス波形に対する各種依存性に詳細に対応して、精密に不整磁場を補正することができる。その結果、前記第2の目的をも達成することができる。
(3)また、好ましい一実施態様によれば、(1)に記載のMRI装置において、前記補正磁場制御手段は、前記傾斜磁場の印加履歴に対応して前記補正磁場を制御する(請求項5)。
特に、前記較正データは前記空間成分毎のヒステリシス曲線を有し、前記補正磁場制御手段は、該ヒステリシス曲線にもとづいて前記補正磁場を制御する(請求項6)。
これによれば、特に永久磁石装置において発生する残留磁場が持つ、ヒステリシス特性に対応して残留磁場を補正することが可能になる。その結果、前記第3の目的をも達成することができる。
(4)また、好ましい一実施態様によれば、(1)に記載のMRI装置において、前記空間成分は更に局所空間成分を含み、前記補正磁場制御手段は更に該局所空間成分に対応する補正コイルを備える(請求項7)。特に、前記空間成分は、球面調和関数の所望の次数項に対応する成分とする。
これらによれば、不整磁場を空間成分毎にきめ細かく補正することが可能になる。特に、空間成分を球面調和関数の所望の次数項に対応する成分とすることで、既知の球面調和関数に基づいた計算処理によって不整磁場の殆どの成分を補正することが可能になる。さらに、空間成分毎の補正コイルでも補正しきれない残りの局所成分をそれに対応する局在コイルを追加することによって、更にきめ細かく不整磁場を補正することができる。
また、本発明をMRI装置における不整磁場の補正方法の観点からみても前記目的を達成することが可能である。この方法は以下のように構成される。
(5)MRI装置において、傾斜磁場の印加よって誘起される不整磁場を補正する方法であって、
(a)テスト傾斜磁場の印加によって誘起される前記不整磁場を空間成分毎に求めて、該不整磁場を補正する較正データを空間成分毎に得る工程と、
(b)前記(a)の工程を前記テスト傾斜磁場の振幅を変えて繰り返し、該振幅毎でかつ前記空間成分毎に前記較正データを得る工程と、
(c)前記較正データに基づいて、印加される傾斜磁場の振幅に対応して前記不整磁場を空間成分毎に打ち消すような補正電流を求める工程と、
(d)前記(c)の工程で求めた空間成分毎の補正電流を、対応する空間成分の補正磁場を発生する補正コイルに、前記傾斜磁場の印加に同期して供給する工程
とを備える。
これにより、傾斜磁場の振幅に対して非線形的に応答して発生する不整磁場を、その空間成分毎に補正することが可能になる。その結果、前記第1の目的を達成することができる。
(6)好ましい一実施態様によれば、(5)に記載の不整磁場を補正する方法であって、前記工程(b)と(c)の間に
(e)前記(b)の工程を前記テスト傾斜磁場の形状を変えて繰り返し、該形状毎に前記較正データを得る工程
を有し、前記(c)の工程において、印加される傾斜磁場の形状にも対応して前記不整磁場を打ち消すよう補正電流を求める。
これにより、傾斜磁場の波形毎に異なって発生する不整磁場を、その空間成分毎に補正することが可能になる。その結果、前記第2の目的を達成することができる。
(7)また、好ましい一実施態様によれば、(6)に記載の不整磁場を補正する方法であって、前記較正データが前記空間成分毎のヒステリシス曲線であり、前記(c)の工程において、該ヒステリシス曲線に基づいて前記補正電流を求める。
これにより、特に残留磁場の補正において、それが持つヒステリシス特性に対応して補正することが可能になる。その結果、前記第3の目的を達成することができる。
以上の様にMRI装置又は方法を構成することにより、渦電流磁場や残留磁場の不整磁場における傾斜磁場パルス波形依存性、および、不整磁場の時間・空間依存性に対応して詳細に補正することが可能になる。特に永久磁石装置において、傾斜磁場パルスの印加履歴に対応して残留磁場を補正することができるようになる。
その結果、不整磁場に起因する再構成画像の劣化を低減することができ、特に、永久磁石装置特有の残留磁場に起因する画像劣化を大きく低減することができる。そのため、大振幅傾斜磁場パルスを利用するRF脂肪抑制撮影や拡散強調撮影、エコープラナー法による撮影における画質向上が可能となる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
最初に、本発明が適応されるMRI装置の概略を図1により説明する。図1は本発明が適用されるMRI装置の一例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、同図に示すように静磁場発生系1と、傾斜磁場発生系2と、送信系3と、受信系4と、信号処理系5と、シーケンサ6と、中央処理装置(CPU)7と、操作部8とを備えて構成される。
静磁場発生系1は、被検体9の周りの空間にその体軸方向(水平磁場方式)または体軸と直交する方向(垂直磁場方式)に均一な静磁場を発生させるもので、被検体9の周りに永久磁石方式又は常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生手段が配置されている。
また、静磁場不均一を補正するためのシムコイルや局在コイル27を備えて、これらに供給する電流を調整して静磁場不均一を補正して、静磁場均一度を向上させる。
本発明を適用したMRI装置においては、後述する補正磁場調整装置を備えてこの補正を行う。
傾斜磁場発生系2は、X,Y,Zの3軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル10と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源11とから成り、後述のシーケンサ6からの命令にしたがって3軸方向のコイルの傾斜磁場電源11が駆動されることにより、それぞれの方向の傾斜磁場パルスが被検体9に印加される。より具体的には、X,Y,Zのいずれかの1方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体9に対するスライス面を設定し、残り2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gr)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
送信系3は、被検体9の生体組織を構成する原子の原子核スピンにNMR現象を起こさせるために高周波磁場パルス(高周波のパルス状電磁波。以下、RFパルスと略記する)を照射するもので、高周波発振器12と、変調器13と、高周波増幅器14と、送信側の高周波コイル15とから成る。高周波発振器12から出力された高周波パルスをシーケンサ6からの指令によるタイミングで変調器13により振幅変調し、高周波増幅器14で増幅した後に被検体9に近接して配置された送信側の高周波コイル15に供給することにより、RFパルスが被検体9に照射される。
受信系4は、被検体9の生体組織を構成する原子核スピンのNMR現象により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル16と、増幅器17と、直交位相検波器18と、A/D変換器19とから成り、送信側の高周波コイル15から照射されたRFパルスによる被検体9の応答であるエコー信号(NMR信号)が被検体9に近接して配置された受信側の高周波コイル16で検出される。このエコー信号は増幅器17で増幅された後、シーケンサ6からの指令によるタイミングで直交位相検波器18により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器19でディジタル量に変換されてエコーデータとして信号処理系5に送られる。
信号処理系5は、受信系4で検出されたエコーデータを用いて画像再構成演算を行うと共に得られた画像の表示と記録等を行うもので、エコーデータのフーリエ変換を含む画像再構成等の処理及びシーケンサ6の制御を行うCPU7と、経時的な画像解析処理及び計測を行うプログラムやその実行において用いる不変のパラメータなどを記憶するROM(読み出し専用メモリ)20と、前計測で得た計測パラメータや受信系4で検出されたエコーデータ、及び、関心領域設定に用いる画像を一時保管すると共にその関心領域を設定するためのパラメータなどを記憶するRAM(随時書き込み読み出しメモリ)21と、CPU7で再構成された画像データを記録する光磁気ディスク22及び磁気ディスク24と、これらの光磁気ディスク22又は磁気ディスク24から読み出した画像データを映像化して断層画像として表示するディスプレイ23とから成る。
シーケンサ6は、RFパルスと傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段で、CPU7の制御で動作し、被検体9の断層画像のエコーデータ収集に必要な種々の命令を送信系3、後述の不整磁場補正系、傾斜磁場発生系2、および受信系4に送る。
操作部8は、上記信号処理系5で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール又はマウス25とキーボード26を有する。この操作部8はディスプレイ23に近接して配置され、操作者がディスプレイ23を見ながら操作部8を通してインタラクティブにMRI装置の処理を制御する。
前記MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
次に、前記MRI装置において、傾斜磁場パルスの印加に伴って発生する渦電流磁場や残留磁場の不整磁場について説明する。一般的にこれら渦電流磁場や残留磁場の不整磁場は以下の4つの依存性をもって複雑に変動することが知られている。つまり、不整磁場の値を指定するパラメータが少なくとも4種類あるということである。
(D1)時間依存性
渦電流磁場は時間的に複雑に変動しながら減衰していくが、残留磁場は減衰せずに時間的に一定(これも時間依存性の一種と言える)のまま残留し続ける。
(D2)空間依存性
不整磁場の発生の分布が空間的に異なり、MRI装置座標系における3次元座標位置に応じた分布を持つ。これはMRI装置の構造や材質に依存して変わる。
(D3)線形的波形依存性
傾斜磁場パルス波形の時間変化率に線形的に依存して渦電流磁場が生じる。例えば、傾斜磁場パルス波形の時間変化率が倍になれば、渦電流磁場も倍になり、傾斜磁場パルス波形の時間変化率の極性が反転すれば、渦電流磁場の極性も反転する。
(D4)履歴依存性
渦電流磁場は傾斜磁場パルスの印加履歴に対する依存性が無いが、残留磁場はそれまで受けた傾斜磁場パルスの印加履歴に依存して応答が異なるヒステリシス特性をもつ。
渦電流磁場に関する上記(D1)と(D3)の補正、及び簡易な(D4)の補正は従来から行われており、その他は本発明が補正対象とする依存性である。そこで最初に渦電流磁場の時間・空間依存性を求める従来の一般的な方法を以下に説明する。
(A)渦電流磁場の時間・空間依存性に関する補正
一般に、MRI装置の誘電性構造物にパルス状磁場が印加されると、その磁場の変化を打ち消すように導電性構造物に渦電流が流れて、この渦電流が渦電流磁場の発生をもたらし、被検体が受ける傾斜磁場パルスの波形および印加量に悪影響を与える。この渦電流磁場の時間・空間依存性は、[特許文献2]にも開示されている以下の一般的な方法により求めることができる。
一般的に、時刻t=0で傾斜磁場パルスの印加によって誘起される渦電流磁場Beは、
Be=Be (t,x,y,z) (1)
=ζ00
+ζ10z+ζ11y+ζ12
+ζ202+ζ22(x2−y2)+ζ22xy+ζ23yz+ζ24zx+ζ303+… (2)
と表せる。ここで、(1)式におけるtは傾斜磁場パルス印加直後からの経過時間、x,y,zは空間座標である。また(2)式のζpqは球面調和関数の係数で、最初の添字pは空間依存性の次数、2番目の添字qは空間次数pについてのq番目の成分を示している。(2)式の様に渦電流磁場を空間成分毎に展開することにより、渦電流磁場の空間依存性を求めることができる。
さらに、(2)式の各係数ζpqは、傾斜磁場パルス印加直後からの経過時間tに対する依存性をもつ。つまり、
ζpq=ζpq(t) (3)
と表せる。この係数ζpqの傾斜磁場パルス印加直後からの経過時間に対する変化を求めることにより、渦電流磁場の空間成分毎の時間依存性を求めることができる。
以上の様にして、渦電流磁場の時間・空間依存性を求めることができる。
(2)式の空間依存性と(3)式の時間依存性を計測するには、テスト傾斜磁場パルス波形を固定して[特許文献2]または[特許文献3]に記載された方法を利用する。これらの方法は、較正パルスシーケンスを用いて較正走査を実行する。
[特許文献2]の方法は、テスト傾斜磁場パルスで開始し、続いて最適な励起角度を有する非選択的なRFパルスを印加する。RFパルスによって誘起されるFID信号に対して3軸方向にそれぞれ位相エンコード傾斜磁場パルスを印加することによって3次元位置情報がFID信号にエンコードされる。このとき、渦電流磁場の時間変化もFID信号の時間変化としてエンコードされる。
較正走査には位相エンコード傾斜磁場パルスを用いるので、FID信号はテスト傾斜磁場パルスと位相エンコード傾斜磁場パルスによって誘起される各渦電流磁場の影響を受ける。また、静磁場不均一の影響も受ける。そのため、テスト傾斜磁場パルスの極性を反転して上記の較正パルスシーケンスを繰り返し、得られる2つのFID信号の同時刻データからそれぞれ3次元位相画像を再構成し、それら3次元位相画像の差を計算する。これにより、3軸方向の各位相エンコード傾斜磁場パルスによって生じた渦電流磁場と静磁場不均一の両方の影響を除去してテスト傾斜磁場パルスによる渦電流磁場のみを反映した3次元位相画像が得られる。この様な3次元位相画像を複数の時刻で取得し、各時刻における3次元位相画像から得られるテスト傾斜磁場パルスによって誘起された渦電流磁場の3次元分布を、上記の様に球面調和関数で展開(フィッティング)することにより、渦電流磁場の時間・空間依存性を球面調和関数の各次数項の係数とその時間変化で表すことが可能となる。
図5(a)に[特許文献2]の較正パルスシーケンスを用いた例を示す。図5(a)は[特許文献2]の図3における「正のテスト勾配パルス202」を正極性テスト傾斜磁場パルス302に置き換えて周波数エンコード方向(Gr)に印加した場合の渦電流磁場を計測する例を示したものである。テスト傾斜磁場パルス302印加後に、RFパルス310を照射してFID信号を誘起し、このFID信号に空間情報エンコード用の傾斜磁場パルス311,312,313をそれぞれスライス方向(Gs)、位相エンコード方向(Gp)、周波数エンコード方向(Gr)に印加してFID信号を計測する。このFID信号から位相画像を再構成して渦電流磁場の時間・空間依存性を求める。
また、図5(b)には[特許文献3]の較正パルスシーケンスを用いた例を示す。図5(b)は[特許文献3]の図5における「テスト傾斜磁場405」を正極性テスト傾斜磁場パルス302に置き換えて周波数エンコード方向(Gr)に印加した場合の渦電流磁場を計測する例を示したものである。RFパルス320を照射後に空間情報エンコード用の傾斜磁場パルス321,322,323をそれぞれスライス方向(Gs)、位相エンコード方向(Gp)、周波数エンコード方向(Gr)に印加する。テスト傾斜磁場パルス302のあるグループ1のパルスシーケンスTR(1)を1回以上繰り返した後に、グループ2のエコー計測用パルスシーケンスTR'(1),TR'(2),……を必要回数繰り返してエコー信号(324-2以降)を計測する。このエコー信号から位相画像を再構成して渦電流磁場の時間・空間依存性を求める。なお、エコー信号の計測の際には、テスト傾斜磁場パルスによって誘起される渦電流磁場に対して計測用傾斜磁場パルスの振幅がなるべく小さくなるようにする。
上記の様にして得られた(3)式の係数の時間依存性データは較正データとして(2)式の係数毎に、つまり空間成分毎に、以下に説明する較正データテーブル202に記憶しておく。任意の方向に傾斜磁場パルスを印加するときは、この較正データを参照してシムコイル204に供給する電流を、当該傾斜磁場パルスの印加からの時間経過に伴う渦電流磁場の空間成分毎の時間変動に追従して制御する。このような補正をすることにより所望の傾斜磁場印加量を印加できるようにする。
次に、傾斜磁場パルスの印加によって誘起される不整磁場を補正する従来の補正手段の一例を図2に基づいて具体的に説明する。図2は不整磁場補正系の概略図を示す。この不整磁場補正系は、前述の様にして求めた不整磁場の時間・空間依存性に対応して、静磁場発生系1の一部を形成している静磁場不均一補正を行うシムコイルや局在コイル204(図1における27と同じ)、あるいは、傾斜磁場発生系2の各傾斜磁場コイル203(図1における10と同じ)に対して補正電流を即時印加して不整磁場の補正を行う。なお、局在コイルの詳細は後述する。
つまり、シーケンサ6によって計算された傾斜磁場パルス波形が補正磁場調整装置201に入力されると、補正磁場調整装置201は、入力された傾斜磁場パルス波形に対応して、較正データテーブル202に設定された較正データを参照して補正電流を計算し、各傾斜磁場コイル203や局在コイルを含むシムコイル204に補正電流を供給して不整磁場を補正する。
実際のパルスシーケンスでは、x,y,zの各方向に傾斜磁場パルスを印加するので、各方向の傾斜磁場パルスの印加によって誘起される不整磁場が空間成分毎に重ね合わされて時間的に変化していく。従って、このような重ね合わされた不整磁場を補正するためには、x,y,zの方向毎に上記較正データを空間成分毎に用意しておき、方向毎に各空間成分の補正電流を求め、空間成分毎に求められた補正電流を加算し、各空間成分に対応するシムコイル又は局在コイルにその空間成分に対応する加算された補正電流をそれぞれ供給する。
不整磁場補正コイルとしては、前述の球面調和関数の各次数項に準じたシムコイルを用いる。さらに、MRI装置毎にカスタマイズした局在コイルを新たに追加しても良い。
以降に、本発明を説明する。本発明を適用したMRI装置は、前記(A)で説明した傾斜磁場パルスの印加によって誘起される渦電流磁場をその時間・空間依存性に対応して補正することに加えて、さらに、不整磁場(渦電流磁場や残留磁場)の補正をそれが有する傾斜磁場パルスの波形に対する非線形的な依存性に対応して行うことである。また、特に残留磁場の補正においては、それ自身の空間依存性及び傾斜磁場パルスの印加履歴に対する依存性に対応して行うことである。
そして、不整磁場の補正は、静磁場発生系1の一部を形成している静磁場不均一補正を行うシムコイルや局在コイル204、あるいは、傾斜磁場発生系2に対して傾斜磁場パルスの印加に同期して補正電流を供給することにより行うものである。この補正は、例えば前記補正磁場調整装置201によって行うことができる。
本発明は、発明者らが、印加される傾斜磁場パルスの波形に非線形的に依存して不整磁場が発生すること、そして特に永久磁石装置において、傾斜磁場パルスの印加履歴に依存して発生する残留磁場が空間依存性を持つことを発見したことによる。つまり、不整磁場は前記4つの依存性(時間依存性、空間依存性、線形的波形依存性、履歴依存性)に加えて、さらに以下の非線形的波形依存性と空間依存性のある履歴依存性を持つ。
なお、履歴依存性は印加される傾斜磁場パルスの波形に対する非線形な応答の一種であることから、傾斜磁場パルスの波形に対する非線形波形依存性とみなすことも可能である。
以下、線形及び非線形を含めて単に波形依存性と表記し、空間依存性のある履歴依存性を単に履歴依存性と表記する。つまり、前記(D3),(D4)は、以下のように改められる。
(D3)波形依存性
傾斜磁場パルス波形(振幅(強度とその極性)、形状、印加時間、印加タイミング等で表される傾斜磁場パルスの時間的変化の様子)に依存して、不整磁場の応答が異なる。例えば、渦電流磁場は傾斜磁場パルスの振幅や形状に対して非線形に応答する。残留磁場は傾斜磁場パルスの振幅や形状によって応答が異なり、印加時間や印加回数にも依存する。
(D4)履歴依存性
渦電流磁場は傾斜磁場パルスの印加履歴に対する依存性が無いが、残留磁場はそれまで印加された傾斜磁場パルスの印加履歴に依存して応答が異なるヒステリシス特性をもつ。そしてこのヒステリシス特性は、残留磁場の空間成分毎に異なる。つまり、残留磁場の空間成分毎に異なるヒステリシス曲線をもつ。
したがって、不整磁場は以上の(D1)〜(D4)の依存性が絡み合って複雑に変動することになる。
前述したとおり不整磁場には傾斜磁場パルスの印加に伴う4つの依存性があるので、これら4つの依存性をそれぞれ考慮して、傾斜磁場パルスに対する補正を行う。具体的には、事前に不整磁場の前記4種類の依存性をそれぞれ独立に計測して較正データを取得し、それらを較正データテーブル202に設定する。そして、補正磁場調整装置201が、入力された傾斜磁場パルスに対応して、この較正データを参照して、各傾斜磁場コイル203や局在コイルを含むシムコイル204に供給する補正電流を制御する。
較正データテーブル202内の較正データは、例えば、その較正データの取得に使用された傾斜磁場パルス波形を規定する強度、極性、形状、印加時間等の各パラメータに対応付けて記憶される。そして、補正時には、入力された傾斜磁場パルス波形を規定するパラメータに対応する較正データを較正データテーブルから取得して、その取得した較正データに基づいて補正電流を求める。
そこで、まず本発明が対象とする、不整磁場の傾斜磁場パルス波形への依存性を求めて補正する第1の実施形態について以下に説明する。
(B)渦電流磁場の波形依存性に関する補正(第1の実施形態)
渦電流磁場の時間・空間依存性を計測する方法は、前記(A)において説明したが、本発明では、さらに印加する傾斜磁場パルス波形の形状や振幅に対する依存性も併せて計測する。つまり、前記(A)で説明した方法を用いて渦電流磁場の時間・空間依存性と共に波形依存性も計測する。これは、(1)式において、ある傾斜磁場パルスの印加によって誘起される渦電流磁場Beが、
Be=Be (Gj,ti,x,y,z) (4)
と表されることを意味する。ここで、(4)式におけるGjは波形jを持つ傾斜磁場パルス、tiは傾斜磁場パルスGj印加直後からの経過時間である。なお、波形依存性を明示的に表すためにGjを(4)式の括弧中の変数に新たに追加しているが、より詳細にはGjのみならずその時間変化率(1次微分)も含まれるべきであるところ、表現を簡単にするためにGjで代表してその時間変化率は省略した。以下、渦電流磁場Beにおいて同様とする。この結果、(4)式を球面調和関数で展開したときの各次数項の係数が傾斜磁場パルス波形Gjと傾斜磁場パルスGj印加直後からの経過時間tiに対する依存性をもち、(3)式が
ζpq=ζpq(Gj,ti) (5)
と表せることになる。この係数ζpqの傾斜磁場パルス波形と傾斜磁場パルス印加直後からの経過時間への依存性を求めることにより、渦電流磁場の時間・空間依存性に加えて更に波形依存性をも求めることができる。
傾斜磁場パルス波形の形状や振幅に対する依存性は、印加する傾斜磁場パルス波形の形状と振幅をいろいろ変えて同じ計測を繰り返すことにより求めることができる。波形依存性を求めるためのテスト傾斜磁場パルスの例を図3の302または303に示す。302は正極性パルス波形、303は302の極性を反転した負極性パルス波形である。渦電流磁場の傾斜磁場パルス波形依存性を求めるには、これら302,303の振幅を変えて計測すれば十分であるが、必要に応じて他のテスト傾斜磁場パルス波形を用いても良い。これらの波形の振幅を変えて上記計測を行えば、渦電流磁場の傾斜磁場パルス波形依存性を求めることができる。
こうして得られた波形依存性は、渦電流磁場の時間・空間依存性と共に、傾斜磁場パルスの波形(つまり、形状,振幅などのパラメータ)と対応づけて較正データとして較正データテーブル202に保持される。
補正を行うときには、補正磁場調整装置201が、シーケンサ6から入力された傾斜磁場パルス波形と同一又は類似波形に関する較正データ、つまり、傾斜磁場パルス波形を規定する各種パラメータに対応する較正データを較正データテーブル202から取得して、その取得した較正データに基づいて空間成分毎に補正電流を求めて、対応するシムコイル又は局在コイル204に供給する。そして、この処理を時間の経過と共に順次繰り返していく。
次に本発明が対象とする、残留磁場の空間依存性を求めて補正する第2の実施形態について以下に説明する。
(C)残留磁場の空間依存性に関する補正(第2の実施形態)
永久磁石装置では磁気回路を形成するために強磁性特性を持つ装置構造物を用いる場合がある。この場合、傾斜磁場パルスを印加すると、強磁性特性を持つ装置構造物に残る磁化(残留磁化)が原因で残留磁場が発生し、被検体が受ける傾斜磁場パルスの波形および印加量に悪影響を与える。
また、強磁性特性のため磁化がヒステリシス特性を持ち、傾斜磁場パルスの印加によって誘起される残留磁場は複雑に変化する。図7は一般的なヒステリシス曲線である。外部磁界Hによって、強磁性体に磁化Mが発生し、外部磁界Hと磁化Mと合わせた磁場B(一般的には「磁束密度」というが、MRIの領域では習慣的に「磁場」ともいう)は
B=μ0H+M (6)
と関連づけられる。ここで、μ0は真空の透磁率である。外部磁界Hを徐々に大きくしていくと磁化Mは飽和磁化Msに達するため、磁場Bは曲線501をたどる。その後、外部磁界Hを小さくしていくと磁場Bは曲線502をたどり、外部磁界Hをゼロにしても残留磁化Mrに基づく残留磁場Brが残る。残留磁場Brをゼロにするためには、逆方向の外部磁界−Hc(このHcを保磁力という)を印加する必要がある。さらに逆方向外部磁界Hを大きくしても逆方向磁化は飽和磁化以上にはならないので磁場Bは曲線503をたどる。その後外部磁界Hを元に戻していくと磁場Bは曲線504から505をたどる。つまり、外部磁界Hを変化すると磁場Bは図7の様なループ曲線(ヒステリシス曲線)をたどる。
以下、残留磁場の空間分布を計測する方法を説明するが、計測する前に残存する残留磁場を完全に消去することが正確な計測を行うためには望ましい。そこで、残留磁場のリセットを行う図3に示す様なリセット傾斜磁場パルス301を使用して残留磁場を計測するパルスシーケンスを図4に示す。図4は、テスト傾斜磁場パルス302で残留磁場を計測する場合の、任意の1方向に印加する傾斜磁場パルスシーケンスの一例である。リセット傾斜磁場パルス301の後にテスト傾斜磁場パルス302を印加して、渦電流磁場が減衰する十分な時間経過後に残留磁場を計測する。
上記の残留磁場の空間分布を計測する第1の方法は、例えば図3に示したテスト傾斜磁場パルス302を任意の1方向に印加し、渦電流磁場を減衰させて残留磁場のみと見なせる十分な時間(例えば3秒程度)経過後に、NMRスペクトルメータ(例えば、METROLAB社(http://www.metrolab.ch/)製の NMR Teslameter)を用いて空間内の各点の磁場強度を求める。求められた3次元空間磁場分布から残留磁場の無い状態(例えば、後述するリセット傾斜磁場パルス301のみを印加した後の状態)で3次元静磁場分布を求めて減算することにより、残留磁場のみの3次元空間分布が求められる。残留磁場の3次元空間分布を求めた後は、(A)渦電流磁場の補正で説明した球面調和関数による展開をおこなうことにより、残留磁場の各空間成分を求めることができる。ただし、残留磁場の場合には、各空間成分の係数ζpq は時間に依存せず一定となる。
残留磁場の空間分布を計測する第2の方法は、(A)渦電流磁場の時間・空間依存性に関する補正で説明した[特許文献2]や[特許文献3]に代表される既知の方法を用いて計測する方法である。特に[特許文献3]の方法は数秒のオーダーで信号を追跡できるので最適である。いずれも、T2緩和時間の長い試料(例えば、低濃度の硫酸銅溶液)を用いて、必要であれば残留磁場リセットパルス301を少なくとも1回以上印加した後に、テスト傾斜磁場パルス302〜304のいずれかを印加し、渦電流磁場を十分に減衰させた後にFID信号またはエコー信号に残留磁場の空間分布をエンコードして計測する。その後位相画像から残留磁場の空間分布を球面調和関数で展開して各次数項の係数を求めることにより、空間成分毎の残留磁場分布を求めて空間依存性に関する較正データを取得することができる。
図5(a)に示した[特許文献2]の較正パルスシーケンスは残留磁場の空間依存性を求める場合にも使用することができる。例えば、図5(a)の例のおいて残留磁場を計測するために、テスト傾斜磁場パルス302印加後、テスト傾斜磁場パルス302によって誘起される渦電流磁場が十分に減衰した後で、RFパルス310を照射後に空間情報エンコード用の傾斜磁場パルス311,312,313をそれぞれスライス方向(Gs)、位相エンコード方向(Gp)、周波数エンコード方向(Gr)に印加してFID信号を計測する。また、テスト傾斜磁場パルス302を印加しないでFID信号を計測する。これら同時刻のFID信号から位相画像の差分を再構成して残留磁場の空間依存性を求めることができる。なお、図5(a)では、残留磁場リセットパルス301を省略している。必要であれば、テスト傾斜磁場パルス302の前に周波数エンコード方向(Gr)、または、全方向に印加する。なお、FID信号の計測の際には、テスト傾斜磁場パルスによって発生する残留磁場に対して計測用傾斜磁場パルスの振幅がなるべく小さくなるようにする。
また、図5(b)に示した[特許文献3]の較正パルスシーケンスも残留磁場の空間依存性を求める場合に使用することができる。例えば、図5(b)の例において残留磁場を計測するために、グループ2のエコー計測用パルスシーケンスTR'(1),TR'(2),……を必要回数繰り返して、テスト傾斜磁場パルス302によって誘起される渦電流磁場が十分に減衰した後のエコー信号(324-2以降)を計測する。このエコー信号から位相画像を再構成して残留磁場の空間依存性を求めることができる。なお、図5(b)では、残留磁場リセットパルス301を省略している。必要であれば、RFパルス320-1の前に周波数エンコード方向(Gr)、または、全方向に印加する。なお、エコー信号の計測の際には、テスト傾斜磁場パルスによって発生する残留磁場に対して計測用傾斜磁場パルスの振幅がなるべく小さくなるようにする。
以上の第1と第2の方法では、渦電流磁場を十分減衰させた後にFID信号またはエコー信号を計測することを前提としていたが、渦電流磁場が十分に補正されている状態であれば、定常状態になるまでFID信号またはエコー信号の計測を待つ必要が無い。この場合は、全体としての計測時間が大幅に短縮される。
得られた係数の空間依存性データは較正データとして(2)式の係数毎に較正データテーブル202に記憶しておく。その後の補正の仕方は、(A)又は(B)の渦電流磁場の補正と同じである。そして、渦電流磁場と残留磁場の補正はそれぞれ独立に行うことができるので、これら2つの補正による補正電流の加算値が傾斜磁場コイル203とシムコイル204に印加される。
次に本発明が対象とする、残留磁場の空間成分毎に傾斜磁場パルス波形とその印加履歴に対する依存性を求めて補正する第3の実施形態について以下に説明する。
(D)残留磁場の波形依存性と履歴依存性に関する補正(第3の実施形態)
図7に示すヒステリシス曲線に基づいてこれら2つの依存性の原理を以下に説明する。傾斜磁場パルスの印加により、空間のある点に外部磁界Htが印加されて残留磁場Btが残ったとすると、その後の傾斜磁場パルスによって、その点に印加される外部磁界Hが0<H<Htであれば、常にその点には残留磁場Btが残るが、H>Htであれば残留磁場はB>Btとなる。残留磁場B=Br>Btになると、それ以降は外部磁界H>0である限り残留磁場はBrとなる。逆に、傾斜磁場パルスによって外部磁界H<0を印加すると残留磁場は小さくなるが、その強度は外部磁界Hの印加直前の残留磁場に依存する。例えば、残留磁場がB1,B2(B1<B2)の時に同じ外部磁場H<0を印加すると残留磁場はそれぞれB1'<B1,B2'<B2(B1'<B2')となる。つまり、ある点の残留磁化による残留磁場はそれまで受けてきた外部磁界の履歴に依存するため、残留磁場はそれまで印加された傾斜磁場パルスの波形や印加履歴に依存することになる。従って、残留磁場の補正は、それまで印加した傾斜磁場パルスの波形や印加履歴に対応して補正しなければならない。
なお、残留磁場は傾斜磁場パルスによって変更されない限り時間的に変化せず一定となるため、一定の補正磁場、つまり傾斜磁場コイル203又は局在コイルを含むシムコイル204に一定の電流を印加し続ける必要がある。
残留磁場の空間依存性を計測する方法は、前記(C)において説明したが、本発明では、さらに印加する傾斜磁場パルス波形の形状や振幅に対する依存性も併せて計測する。つまり、前記(C)で説明した方法を用いて、不整磁場の空間依存性と共に波形依存性を球面調和関数の各次数項の係数に表して計測する。
ここで、残留磁場がその空間成分毎に印加された傾斜磁場パルスの波形や印加履歴に依存するということは、(3)式において、
ζpq=ζpq(G0,G1,‥‥, Gj,ti) (7)
と表せることになる。しかし、あらゆる[G0,G1,‥‥, Gj]の組み合わせについて較正データを求めることは現実的に不可能なので、以下に説明する空間成分毎のヒステリシス曲線を求め、このヒステリシス曲線に基づいて、傾斜磁場パルスの印加履歴に基づく残留磁場を空間成分毎に間接的に求める。
残留磁場の空間成分毎の係数ζpqの傾斜磁場パルス波形依存性を計測するために、計測用のテスト傾斜磁場パルス波形の形状と振幅を色々変えて、その都度空間成分毎の係数ζpq を求める。最初に、傾斜磁場パルス波形の形状を固定して、その振幅のみ順次変えながら係数ζpq を求める。この結果、係数ζpqの傾斜磁場パルスの振幅に対する依存性は、傾斜磁場パルスの振幅に対するヒステリシス曲線となる。さらに、傾斜磁場パルス波形の形状を変えて同様の計測を繰り返せば、傾斜磁場パルス波形の形状毎に係数ζpqのヒステリシス曲線が求まり、これらが較正データとなる。これらヒステリシス曲線を求めることが残留磁場の履歴依存性を求めることにもなる。
計測用のテスト傾斜磁場パルス波形の一例として、図3に示すテスト傾斜磁場パルス302〜304の波形を使用することができる。304は双極性パルス波形である。リセット傾斜磁場パルス301は残留磁場をリセットするためのもので、必要に応じてテスト傾斜磁場パルスの前に印加する。これらの波形毎に係数ζpqのヒステリシス曲線を求める。
NMRスペクトルメータを使用して残留磁場の空間分布を計測する第1の方法の場合は、MRI装置側でRFパルス印加や特定のシーケンスを起動する必要はない。この第1の方法をテスト傾斜磁場パルスの波形を適宜変更して、残留磁場のテスト傾斜磁場パルス波形への依存性を計測して、空間成分毎のヒステリシス曲線を作成するためのデータを取得する。例えば、第1の方法をテスト傾斜磁場パルス302の振幅を変えて繰り返し残留磁場の振幅依存性を計測して、空間成分毎のヒステリシス曲線を作成するためのデータを取得する。このステップを他のテスト傾斜磁場パルス303,304でも行い、傾斜磁場パルス波形の形状毎に係数ζpqのヒステリシス曲線を作成するためのデータを取得する。
さらに、以上のステップをx,y,zの全ての方向で実施し、方向毎の残留磁場の波形依存性と履歴依存性を空間成分毎に計測して、方向毎の較正データとする。
較正パルスシーケンスを使用して残留磁場の空間分布を計測する第2の方法の場合も、第1の方法と同様に、テスト傾斜磁場パルス波形の形状と振幅を変えながら、残留磁場の空間成分毎の係数ζpqのヒステリシス曲線を求める。
こうして得られた波形依存性と履歴依存性は、残留磁場の空間依存性と共に較正データとして較正データテーブル202に保持される。
補正を行うときには、補正磁場調整装置201が、シーケンサ6から入力された傾斜磁場パルス波形と同一又は類似波形に関するヒステリシス曲線(較正データ)、つまり、傾斜磁場パルス波形を規定する各種パラメータに対応する較正データ(ヒステリシス曲線データ)を較正データテーブル202から取得して、その取得したヒステリシス曲線に基づいて空間成分毎に補正電流を求めて、各空間成分に対応する傾斜磁場コイル203又は局在コイルを含むシムコイル204に供給する。また、補正した結果残る残留磁場をヒステリシス曲線から求めて次回の補正電流計算に備える。そして、この処理を時間の経過と共に順次繰り返していく。
以上は、不整磁場の空間分布を(2)式の球面調和関数で展開することにより、空間成分毎の不整磁場を求める第1〜第3の実施形態を説明したが、現実的には、(2)式の球面調和関数における高次の項でも近似できない局所的な空間成分が存在する場合がある。本発明の第4の実施形態は、これらの局所空間成分を局在コイルによって補正する実施形態である。
前述の(A)〜(D)に記載した方法によって求めた不整磁場の各種依存性を空間成分毎に求めて、対応する空間成分のシムコイルに補正電流を供給して補正した状態で、再度前述のNMRスペクトルメータを用いた第1の方法又は較正パルスシーケンスを用いた第2の方法によって補正しきれなかった不整磁場の局所空間分布を求める。或いは、(A)〜(D)に記載した方法によって求めた不整磁場の空間分布の全体から、シムコイルによって補正される空間成分を減算した残りの局所空間分布を計算によって求める。
次に、求められた不整磁場の局所空間分布を補正する様な局在コイルの形状と配置、及び、この局在コイルに流す補正電流値を計算によって求める。
最後に、この局在コイルのコイルパターンをシムコイルトレー上に配置して、これに流す補正電流を補正磁場調整装置201によって制御することにより局所補正磁場を発生させる。その際、この局在コイルが補正する不整磁場の局所空間成分の時間依存性、及び、傾斜磁場パルスの波形に対する波形依存性と印加履歴に対する履歴依存性を前述の(A)〜(D)に記載した方法又は前述の減算計算によって求め、その較正データを較正データテーブル202に保持して、この較正データを参照して補正電流を随時求めて局在コイルに供給する。
図6に局在コイルの一例を示す。図6は、鉛直方向(Z方向401)に静磁場を有する磁石装置において、装置の構造に由来する鉛直方向の静磁場の不均一や不整磁場を補正するための局在コイルの例(402〜405,406〜413)である。それぞれ1ターンのループからなり、補正電流を個別に制御することにより不整磁場の補正を行う。(a)は全周を4分割して、それぞれの領域毎に不整磁場を補正する局在コイルの例であり、(b)は、全周を8分割して(a)より詳細な局所分布を補正する局在コイルの例である。
次に、求められた空間成分毎の較正データを使って、渦電流磁場の空間成分毎の補正を行う手順について図8に基づいて説明する。図8は、この補正手順の一例を示すフローチャートである。以下、それぞれのステップの処理を詳細に説明する。ここでパルスシーケンス開始時をt=0として、時刻tでの傾斜磁場パルス波形をG(t)とする。またΔtを処理サイクル時間(例えば補正磁場調整装置201の処理サイクル時間)とする。p,qは(2)式で説明した範囲の値に加えて、局在コイルを追加して不整磁場の局所空間成分を補正する場合には、その局所空間成分をもカバーするように範囲を拡大したものとする。
パルスシーケンスが開始されると、ステップ601で、渦電流磁場の補正をするための初期設定を行う。通常は、パルスシーケンス開始時の渦電流磁場Be pq(0,t=0)はゼロであるが、何らかの渦電流磁場が減衰せずに残存している場合は、それをBe pq(0,t=0)とする。
ステップ602で、渦電流磁場を補正する補正電流を空間成分毎に求める。時刻tn=n(Δt)での傾斜磁場パルス波形G(tn)によって発生する渦電流磁場をBe pq(G(tn),0)とすると、その後の渦電流磁場はt=tn以前に発生した渦電流磁場の重ね合わせになるので、時刻t≧tnでの渦電流磁場は、
n
ΣBepq(G(ti), t−ti) (t≧tn) (8)
i
と表すことができる。
ステップ603で、ステップ602で求めた渦電流磁場を補正する補正電流Ie pq(t)を求める。この補正電流Ie pq(t)は、X,Y,Xの各方向について空間成分毎に補正電流を求め、求めた補正電流を空間成分毎に加算したものである。時刻tn以降は、較正データテーブルに記憶された較正データを参照して、渦電流磁場の空間成分毎の時間変化に対応して、補正電流を空間成分毎に時間的に変化させる。
ステップ604で、時刻t=tnの傾斜磁場パルスG(tn)の印加に同期して、ステップ603で求めた電流値を持つ電流Ie pq(t)を、各空間成分に対応する傾斜磁場コイル203又は局在コイルを含むシムコイル204に供給して補正磁場を印加する。
ステップ605で、渦電流磁場がゼロとなれば処理を終了し、それ以外の場合はステップ606に進んでnをインクリメントしてステップ602に戻る。
なお、以上の処理は補正すべき全ての空間成分についてその成分毎に行う。つまり、補正すべき全てのp,qの値について、その値毎に行う。
次に、傾斜磁場パルスの印加履歴を考慮した残留磁場の空間成分毎の補正を行う手順について図9に基づいて説明する。図9は、この補正手順の一例を示すフローチャートである。以下、それぞれのステップの処理を詳細に説明する。ここで傾斜磁場パルスの印加順序n≧1とし、0回目は最初の状態とする。
パルスシーケンスが開始されると、ステップ701で、傾斜磁場パルスの印加履歴を考慮した残留磁場の補正をするための初期設定を行う。ここでは、パルスシーケンス開始直前の空間成分毎の残留磁場をBr pq(0)とし、処理ループパラメータであり傾斜磁場パルスの印加順序であるnをn=1とする初期設定を行う。パルスシーケンス開始直前の残留磁場は、例えば、前回のパルスシーケンス終了時に、本発明を適用して求められた残留磁場とすることができる。あるいは、パルスシーケンス開始前にリセット傾斜磁場301を印加するのであれば、残留磁場はゼロとしてBr pq(0)=0とすることができる。
ステップ702で、(n-1)回目の傾斜磁場パルスG(n-1)の印加によって生じた(n-1)回目の残留磁場Br pq(n-1)と、n回目に印加すべき傾斜磁場パルスG(n)の波形から、較正データ(ヒステリシス曲線データ)を参照して空間成分毎に傾斜磁場コイル203又は局在コイルを含むシムコイル204に供給する補正電流Ir pq(n)を求める。この補正電流Ir pq(n)は、X,Y,Xの各方向について空間成分毎に補正電流を求め、求めた補正電流を空間成分毎に加算したものである。
ステップ703で、n回目の傾斜磁場パルスG(n)の印加に同期して、ステップ702で求めた電流値を持つ電流Irpq(n)を、対応する空間成分の傾斜磁場コイル203又は局在コイルを含むシムコイル204に供給して補正磁場を印加する。
ステップ704で、印加した傾斜磁場パルスG(n)と(n-1)回目の残留磁場Br pq(n-1)から、傾斜磁場パルス印加後の残留磁場を求め、n回目の残留磁場Brpq(n)とする。
ステップ705で、このパルスシーケンスにおいて最後の傾斜磁場パルスに相当する印加順序Nmaxより傾斜磁場パルスの印加順序nが大きい場合には処理を終了し、それ以外の場合はステップ706に進んでnをインクリメントしてステップ702に戻る。
なお、以上の処理は補正すべき全ての空間成分についてその成分毎に行う。つまり、補正すべき全てのp,qの値について、その値毎に行う。
以上は、(B)の渦電流磁場の補正と(C),(D)の残留磁場の補正の説明において、主に傾斜磁場パルス波形の形状と振幅に関する波形依存性を説明したが、さらに、不整磁場が傾斜磁場パルス波形の他の特性(パラメータ)に対する依存性を持つ場合は、テスト傾斜磁場パルスにおけるそのパラメータを変えた上記計測を行うことで、印加時間依存性等のパラメータに関する較正データも取得できる。例えば、傾斜磁場パルスの印加時間に関する依存性を求めるときには、テスト傾斜磁場パルスの印加時間を変えて上記計測を行う。
また、全てのパラメータ範囲に渡って較正データを用意できない場合は、用意された較正データから補間や外挿によって推定することができる。
以上、本発明の各種実施形態において説明した様な不整磁場の補正を行うことによって、不整磁場に起因する再構成画像の劣化を低減できる。特に、永久磁石装置特有の残留磁場に起因する画像劣化を大きく低減し、大振幅傾斜磁場パルスを利用するRF脂肪抑制撮影や拡散強調撮影、エコープラナー法による撮影において画質向上が可能となる。
また本発明の不整磁場補正を行えば、装置として使用できる傾斜磁場パルスの振幅の最大値を飛躍的に増やす事が可能となり、より高分解能かつ高機能な撮影が可能となる。
本発明によるMRI装置の全体構成を示すブロック図。 本発明における、不整磁場補正系の概略図。 本発明における、テスト傾斜磁場パルスの例。 残留磁場を計測するテストシーケンスの例。 [特許文献2]及び[特許文献3]の較正パルスシーケンスを用いた例。 本発明における、渦電流磁場および残留磁場を補正する局在コイルの模式図。 ヒステリシス曲線の例。 本発明による渦電流磁場の補正を行う処理フローの例を示すフローチャート。 本発明による残留磁場の補正を行う処理フローの例を示すフローチャート。
符号の説明
1 静磁場発生系、2 傾斜磁場発生系、3 送信系、4 信系、5 信号処理系、6 シーケンサ、7 中央演算装置(CPU)、8 操作部、9 被検体、10 傾斜磁場コイル、11 傾斜磁場電源、12 高周波発信器、13 変調器、14 高周波増幅器、15 高周波照射コイル、16 高周波受信コイル、17 増幅器、18 直交位相検波器、19 A/D変換器、20 ROM、21 RAM、22 光磁気ディスク、23 ディスプレイ、24 磁気ディスク、25 トラックボール又はマウス、26 キーボード、201 補正磁場調整装置、202 較正データテーブル、203 傾斜磁場コイル、204 シムコイル(局所コイルを含む)、301 残留磁場リセット傾斜磁場パルス、302 正極性テスト傾斜磁場パルス、303 負極性テスト傾斜磁場パルス、304 双極性テスト傾斜磁場パルス、310,320-1〜320-5 RFパルス、311, 321-1〜321-5 スライス方向傾斜磁場パルス、312, 322-1〜322-5 位相エンコード方向傾斜磁場パルス、313, 323-1〜323-5 周波数エンコード方向傾斜磁場パルス、314 FID信号、324-1〜324-3 エコー信号、401 Z方向、402〜405 局所コイル例1、406〜413 局所コイル例2、501〜505 ヒステリシス曲線

Claims (7)

  1. 計測空間に静磁場を与える静磁場発生手段と、スライス方向と位相エンコード方向と周波数エンコード方向のそれぞれに傾斜磁場を与える傾斜磁場発生手段と、前記傾斜磁場の印加によって誘起される不整磁場を補正する補正コイル及び較正データを空間成分毎に備え、該較正データに基づいて該補正コイルに供給する電流を制御することによって、前記不整磁場の前記空間成分毎の時間変化に対応して補正磁場を制御する補正磁場制御手段を備えた磁気共鳴イメージング装置において、
    前記補正磁場制御手段は、前記傾斜磁場に対して非線形に応答して発生する不整磁場を補正することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記補正磁場制御手段は、前記傾斜磁場波形を規定する少なくとも一つのパラメータ毎に対応して前記補正磁場を制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記パラメータが前記傾斜磁場波形の振幅を有して、前記補正磁場制御手段は、該振幅に対応して前記補正磁場を制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 請求項2又は3に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記パラメータが前記傾斜磁場波形の形状を有して、前記補正磁場制御手段は、該形状に対応して前記補正磁場を制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記補正磁場制御手段は、前記傾斜磁場の印加履歴に対応して前記補正磁場を制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  6. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記較正データは前記空間成分毎のヒステリシス曲線を有し、前記補正磁場制御手段は、該ヒステリシス曲線にもとづいて前記補正磁場を制御することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  7. 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記空間成分は更に局所空間成分を含み、前記補正磁場制御手段は更に該局所空間成分に対応する補正コイルを備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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